以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるエンジン暖機システム100を説明する概略図である。なお、図1中、信号の流れを破線の矢印で示す。
図1に示すように、エンジン暖機システム100には、エンジン1が設けられる。エンジン1は、クランクシャフト2を挟んで2つのシリンダブロック3にそれぞれ形成されたシリンダボア3aが対向して配された水平対向4気筒エンジンである。
シリンダブロック3には、クランクケース4が一体形成されるとともに、クランクケース4とは反対側にシリンダヘッド5が固定されている。クランクシャフト2は、2つのクランクケース4によって形成されたクランク室6内に回転自在に支持される。
シリンダボア3aには、コネクティングロッド7を介してクランクシャフト2に連結されたピストン8が摺動可能に収容されている。そして、エンジン1では、シリンダボア3aと、シリンダヘッド5と、ピストン8の冠面8q(図5参照)とによって囲まれた空間が燃焼室9として形成される。
シリンダヘッド5には、吸気ポート10および排気ポート11が燃焼室9に連通するように形成される。吸気ポート10と燃焼室9との間には、吸気バルブ12の先端が位置し、排気ポート11と燃焼室9との間には、排気バルブ13の先端が位置している。
また、エンジン1では、シリンダヘッド5およびヘッドカバー14に囲まれたカム室内に、吸気バルブ用カム15および排気バルブ用カム16が設けられる。吸気バルブ用カム15は、吸気バルブ12の他端に当接されており、回転することで吸気バルブ12を軸方向に移動させる。これにより、吸気バルブ12は、吸気ポート10と燃焼室9との間を開閉する。排気バルブ用カム16は、排気バルブ13の他端に当接されており、回転することで排気バルブ13を軸方向に移動させる。これにより、排気バルブ13は、排気ポート11と燃焼室9との間を開閉する。
吸気ポート10の上流側には、インテークマニホールド17を含む吸気流路18が連通される。また、排気ポート11の下流側には、エキゾーストマニホールド19を含む排気流路20が連通される。燃焼室9から排出された排気ガスは、排気ポート11を介してエキゾーストマニホールド19で集約され、排気流路20に導かれる。
吸気流路18には、エアクリーナ21、吸気制御バルブ25、後述する電動過給機22のコンプレッサインペラ22c、インタークーラ前バルブ28、インタークーラ23、スロットルバルブ24およびインテークマニホールド17が上流側から順に設けられる。ここで、吸気流路18のうち、コンプレッサインペラ22cよりも上流側を上流側吸気流路18aと呼び、コンプレッサインペラ22cよりも下流側を下流側吸気流路18bと呼ぶ。
電動過給機22は、モータ22aと、シャフト22bと、コンプレッサインペラ22cとを含んで構成される。モータ22aは、電力が供給されることで駆動する。シャフト22bは、モータ22aと接続され、モータ22aの駆動によって回転する。コンプレッサインペラ22cは、シャフト22bと接続され、シャフト22bと一体回転する。
また、コンプレッサインペラ22cは、モータ22aの駆動によって回転することで、エアクリーナ21で塵や埃などの不純物が除去された空気(吸気)を圧縮して下流側吸気流路18bに供給する。
インタークーラ23は、コンプレッサインペラ22cで圧縮されて昇温された吸気を冷却する。冷却された空気は、スロットルバルブ24、インテークマニホールド17および吸気ポート10を介して燃焼室9に導かれる。
スロットルバルブ24は、不図示のアクチュエータによって開度が調整されることで、燃焼室9に供給される吸気の流量を可変する。
吸気制御バルブ25は、エンジン1の駆動中は開放状態になっており、エアクリーナ21を介して外部から吸い込まれる空気の流量を調節することなく下流側に通過させる。また、吸気制御バルブ25は、詳しくは後述するエンジン暖気中に開度が調整されることで、外部から吸い込まれる空気(吸気)の流量を調整する。
また、吸気流路18には、コンプレッサインペラ22cを迂回するエアバイパス流路26が設けられる。エアバイパス流路26は、上流側吸気流路18aにおける吸気制御バルブ25とコンプレッサインペラ22cとの間に接続される。また、エアバイパス流路26は、下流側吸気流路18bにおけるインタークーラ23とスロットルバルブ24との間に接続される。
エアバイパス流路26には、エアバイパスバルブ27が介装される。エアバイパスバルブ27は、開度が調整されることで、エアバイパス流路26を流通する圧縮された空気の流量を調整する。エアバイパスバルブ27は、エンジン1の駆動時、運転者がアクセルを放してスロットルバルブ24が閉鎖されるときに開放され、下流側吸気流路18bの圧力が過剰となることを防止する。なお、エンジン1の暖気中におけるエアバイパスバルブ27の詳細な制御については、後述する。
下流側吸気流路18bには、電動過給機22によって圧縮された空気をクランクケース4内(クランク室6内)へと導入させるクランクケース流路29が設けられる。クランクケース流路29の一端は、下流側吸気流路18bにおけるインタークーラ前バルブ28よりも上流側に接続される。また、クランクケース流路29の他端は、クランクケース4に接続され、クランク室6に連通される。
また、エンジン暖機システム100には、インタークーラ前バルブ28およびクランクケースバルブ30を含んで構成されるクランクケースバルブ機構200が設けられる。
インタークーラ前バルブ28は、下流側吸気流路18bにおけるインタークーラ23よりも上流側に設けられる。インタークーラ前バルブ28は、エンジン1の駆動中は開放状態になっており、空気の流量を調節することなく下流側に通過させる。また、インタークーラ前バルブ28は、詳しくは後述するエンジン暖気中に閉鎖状態になることで、空気を下流側(インタークーラ23側)に流通させない。
クランクケースバルブ30は、クランクケース流路29の上流端(コンプレッサインペラ22c側)に介装される。クランクケースバルブ30は、エンジン1の駆動中は閉鎖状態になっており、空気(吸気)をクランクケース流路29に流通させない。また、クランクケースバルブ30は、詳しくは後述するエンジン暖気中に開度が調整されることで、クランクケース流路29を流通する空気の流量を調整する。なお、インタークーラ前バルブ28およびクランクケースバルブ30の詳細な制御については、後述する。
エンジン1では、燃焼室9に導かれた吸気と、不図示のインジェクタから噴射された燃料との混合気が、シリンダヘッド5に設けられた不図示の点火プラグによって所定のタイミングで点火されて燃焼される。かかる燃焼により、ピストン8がシリンダボア3a内で往復運動を行い、その往復運動が、コネクティングロッド7を通じてクランクシャフト2の回転運動に変換される。
また、燃焼により発生した排気ガスは、排気ポート11、排気流路20を介して車外へ排出される。排気流路20には、上流側の触媒31と下流側の触媒32とが設けられる。上流側の触媒31および下流側の触媒32は、排気流路20を流通する排気ガスを浄化する。なお、上流側の触媒31および下流側の触媒32は、触媒機能付きのフィルタ装置であってもよい。
また、排気流路20における上流側の触媒31および下流側の触媒32の間には、EGR(Exhaust Gas Recirculation)流路33の一端が接続される。上流側吸気流路18aにおける吸気制御バルブ25およびコンプレッサインペラ22cの間には、EGR流路33の他端が接続される。EGR流路33は、排気流路20を流通する排気ガスの一部を上流側吸気流路18aに還流させる(以下、還流させた排気ガス(空気)を「EGRガス」と称する)。
EGR流路33には、EGRクーラ34およびEGRバルブ35が上流側から順に設けられる。EGRクーラ34は、EGRガスを冷却する。EGRバルブ35は、開度が調整されることで、EGR流路33を流通するEGRガスの流量を調整する。なお、EGRバルブ35の詳細な制御については、後述する。
また、EGR流路33には、EGRクーラ34を迂回するバイパス流路36が設けられる。バイパス流路36の上流側と、EGR流路33とを接続する箇所には、流路切り替えバルブ37が設けられる。流路切り替えバルブ37は、EGRクーラ34またはバイパス流路36のどちらかにEGRガス(空気)を流通させるように、流路を切り替える。
また、エンジン暖機システム100には、クランクケース4内と燃焼室9とを連通および遮断させるシリンダ内連通機構38が設けられる。
シリンダ内連通機構38は、クランクシャフト2、コネクティングロッド7、ピストン8、および、コネクティングロッド7に対してピストン8を回転自在に支持するピストンピン8a(図4参照)に形成される。ここで、図2〜図5を用いて、シリンダ内連通機構38について説明する。
図2は、クランクシャフト2を説明するための図である。図2に示すように、クランクシャフト2は、クランクジャーナル2a、クランクアーム2bおよびクランクピン2cが一体形成される。クランクジャーナル2aは、クランクケース4に回転自在に支持される。クランクアーム2bは、クランクジャーナル2aおよびクランクピン2cの間に設けられ、クランクジャーナル2aに対してクランクピン2cを偏心させる。クランクピン2cは、ピストン8と同等の数だけ(ここでは、4つ)設けられ、コネクティングロッド7を回転自在に支持する。
クランクピン2cには、クランクシャフト2の軸方向の中央に、クランクシャフト2の内部でエンジンオイルが流通するオイル流路から外周面2dに亘って貫通したオイル孔2eが形成される。オイル孔2eは、オイル流路を流通したエンジンオイルを外周面2dに導く。また、クランクピン2cの外周面2dには、クランクシャフト2の軸方向の中央に、周方向に亘ってオイル溝2fが形成される。オイル溝2fは、クランクピン2cの外周面2dにおいてオイル孔2eと繋がっている。したがって、オイル孔2eを流通してクランクピン2cの外周面2dまで到達したエンジンオイルで、クランクピン2cの周方向に亘ってオイル溝2f内が満たされる。
図3は、コネクティングロッド7を説明するための図である。図3に示すように、コネクティングロッド7は、ビックエンド7a、スモールエンド7bおよびコネクティングロッド軸7cが一体形成される。ビックエンド7aは、クランクシャフト2におけるクランクピン2cの外径よりも若干径が大きい結合孔7dが形成され、クランクピン2cが結合孔7dに結合されることで、クランクシャフト2に回転自在に支持される。スモールエンド7bは、ピストンピン8aの外径よりも若干径が大きい挿通孔7eが形成され、挿通孔7eにピストンピン8aが挿通されることで、ピストンピン8aを介してピストン8を回転自在に支持する。コネクティングロッド軸7cは、ビックエンド7aおよびスモールエンド7bの間に位置し、ビックエンド7aおよびスモールエンド7bを繋ぐ。
コネクティングロッド軸7cには、ビックエンド7aの結合孔7dと、スモールエンド7bの挿通孔7eとを連通させる油回路7fが形成される。油回路7fは、コネクティングロッド軸7cにおける幅方向(クランクシャフト2の軸方向)の中央に形成される。油回路7fは、クランクシャフト2にコネクティングロッド7が支持された際に、クランクピン2cに形成されたオイル溝2fに対向する位置に一端7gが開口している。これにより、クランクピン2cのオイル溝2fに満たされたオイルは、一端7gから油回路7fを通じて他端7hに導かれる。
また、油回路7fは、後述するピストンピン8aを介して、ピストン8を支持した際に、ピストンピン8aに形成されたピストンピン溝8g(図4参照)に対向する位置に他端7hが開口している。
図4は、ピストンピン8aを説明するための図である。図4に示すように、ピストンピン8aは、内部が中空(中空部)である略円筒形状に形成される。そして、ピストンピン8aにおける内周面と外周面との間には、軸方向に沿って油回路8bが設けられる。なお、油回路8bは、ピストンピン8aの一方の側面8cから、軸方向に沿って、他方の側面8dまで到達しないように削られることにより形成され、一方の側面8c側がプラグ8eで封止される。
また、ピストンピン8aには、軸方向の中央に連通孔8fおよびピストンピン溝8gが形成される。連通孔8fは、油回路8bから外周面にかけて貫通している。また、ピストンピン溝8gは、ピストンピン8aの外周面において周方向に亘って形成される。そして、連通孔8fおよびピストンピン溝8gは、ピストンピン8aの外周面において繋がっている。したがって、コネクティングロッド7における油回路7fを流通したオイルは、油回路7fの他端7hからピストンピン溝8gに排出され、ピストンピン溝8gおよび連通孔8fを介して油回路8bに導かれる。
また、ピストンピン8aには、油回路8bから外周面にかけて連通する2つの連通孔8hが設けられる。2つの連通孔8hは、ピストンピン8aの軸方向において中央を基準として対称の位置に形成される。
また、ピストンピン8aには、2つのピストンピン溝8iが設けられる。ピストンピン溝8iは、ピストンピン8aの外周面において周方向に亘って形成される。ピストンピン溝8iは、クランクピン2cの外周面2dにおいてオイル孔2eと繋がっている。したがって、油回路8bおよび連通孔8hを流通してピストンピン8aの外周面まで到達したエンジンオイルで、ピストンピン8aの周方向に亘ってピストンピン溝8i内が満たされる。なお、油回路8bを設けることなく、連通孔8fおよび連通孔8hをピストンピン8aの中空部まで貫通させ、中空部の両端をプラグで封止することで、中空部を油回路8bの代わりとして用いるようにしてもよい。
図5は、ピストン8を説明する図である。図5(a)は、ピストン8の略断面図である。図5(b)は、ピストン8を上方から(図5(a)中、上方から)見た概略図である。図5(a)および図5(b)に示すように、ピストン8は、ピストンピン穴8j、油回路8k、油圧室8lおよびクランク室内流路39が形成される。ピストンピン穴8jは、ピストンピン8aの外径よりも若干径が大きく、ピストンピン8aが挿通される。油回路8kは、一端がピストンピン穴8jに連通され、他端が油圧室8lに連通される。
油回路8kは、ピストンピン穴8jと連通する位置において、ピストンピン8aがピストン8に挿通された際に、ピストンピン8aのピストンピン溝8iに対向する位置に形成される。したがって、ピストンピン溝8iに満たされたオイルは、油回路8kを通って油圧室8lに導かれる。
油圧室8lは、ピストン8の摺動方向に直交する径方向に沿って円柱形状に形成される。油圧室8lは、一端8m側が油回路8kに連通されている。また、油圧室8lは、径方向における他端8nから所定の距離だけ離隔した位置で、クランク室内流路39と交差(直交)している。
油圧室8l内には、伸縮部材8oおよび可動部材8pが設けられる。伸縮部材8oは、一端が油圧室8l内の他端8nに接して設けられる。伸縮部材8oは、伸縮可能な部材であり、例えば、スプリングが用いられる。また、伸縮部材8oの長さ(図5(a)中、左右方向の長さ)は、伸縮されていない状態(自然長)のときに、油圧室8l内の他端8nからクランク室内流路39を超えるまでの長さを有する。
可動部材8pは、油圧室8lが延在する方向(図5(a)中、左右方向)に油圧室8l内を移動可能に設けられる。可動部材8pは、一端が伸縮部材8oの他端に接して設けられる。可動部材8pは、外径が油圧室8lの内径と概ね同等に形成される。また、可動部材8pの油圧室8lが延在する方向の長さは、少なくともクランク室内流路39の直径よりも長く、かつ、伸縮部材8oが伸縮されていない状態のときに、油回路8kを塞がない長さに形成される。
クランク室内流路39は、ピストン8の冠面8qから背面8rにかけて貫通するように形成される。また、クランク室内流路39は、油圧室8lと直交するように設けられる。なお、クランク室内流路39は、外径が油圧室8lの外径よりも小さく、ピストン8の上方(後述する冠面8q側)から見た際に、油圧室8lの幅(図5(b)中、上下方向)内にすべてが位置するように交差している。
このような構成でなるシリンダ内連通機構38は、エンジン1が駆動しているときには、エンジンオイルが、クランクシャフト2からコネクティングロッド7の油回路7f、ピストンピン8aの油回路8b、ピストン8の油回路8kを介して、油圧室8lへと導かれる。そして、油圧室8lに貯留されたエンジンオイルは、油圧によって、伸縮部材8oの付勢力に抗して可動部材8pを油圧室8lの他端8n側(伸縮部材8o側)へと移動させる。そして、可動部材8pは、油圧室8lの他端8n側に移動することによって、クランク室内流路39を閉鎖(遮断)する。したがって、シリンダ内連通機構38は、エンジン1が駆動しているときには、エンジンオイルがクランクシャフト2に常に供給されるので、クランクケース4内と燃焼室9内とを遮断し続けることができる。なお、伸縮部材8oの付勢力は、油圧よって可動部材8pから受ける力よりも弱く設定されている。
一方で、エンジン1が停止しているときには、クランクシャフト2にエンジンオイルが供給されない。したがって、シリンダ内連通機構38では、エンジン1が停止すると、可動部材8pに対して油圧が加えられないため、伸縮部材8oの付勢力によって可動部材8pが油圧室8lの一端8m側に移動され、クランク室内流路39が開放(連通)する。これにより、シリンダ内連通機構38は、エンジン1が停止しているときには、クランクケース4内と燃焼室9内とを連通させることができる。
また、図1に戻り説明すると、エンジン暖機システム100には、制御装置110が設けられる。制御装置110には、第1圧力センサ(圧力センサ)50、第2圧力センサ52、第1温度センサ54、第2温度センサ56、第3温度センサ58、第4温度センサ60およびエンジン起動スイッチセンサ62が接続される。
第1圧力センサ50は、下流側吸気流路18bにおけるインタークーラ23とスロットルバルブ24との間に設けられ、下流側吸気流路18b内の圧力を測定する。また、第1圧力センサ50は、下流側吸気流路18b内の圧力(圧力P1)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
第2圧力センサ52は、上流側吸気流路18aにおけるEGR流路33の接続箇所よりも下流側に設けられ、上流側吸気流路18a内の圧力を測定する。また、第2圧力センサ52は、上流側吸気流路18a内の圧力(圧力P2)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
第1温度センサ54は、シリンダブロック3内に設けられ、エンジン1内を流通する冷却水の温度を測定する。また、第1温度センサ54は、エンジン1内の温度(温度T1)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
第2温度センサ56は、上流側吸気流路18aにおける吸気制御バルブ25よりも上流側に設けられ、吸気される空気(吸気)の温度を測定する。また、第2温度センサ56は、吸気(外気)の温度(温度T2)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
第3温度センサ58は、インテークマニホールド17内に設けられ、インテークマニホールド17内を流通する空気の温度を測定する。また、第3温度センサ58は、インテークマニホールド17内の温度(温度T3)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
第4温度センサ60は、上流側の触媒31に設けられ、上流側の触媒31内を流通する空気(排気)の温度を測定する。また、第4温度センサ60は、上流側の触媒31内の温度(温度T4)に応じた検出信号を制御装置110に送信する。
エンジン起動スイッチセンサ62は、不図示のエンジン起動スイッチがオンされると、エンジン起動スイッチがオンされたことを示すエンジン起動スイッチオン信号を制御装置110に送信する。また、エンジン起動スイッチセンサ62は、エンジン起動スイッチがオフされると、エンジン起動スイッチがオフされたことを示すエンジン起動スイッチオフ信号を制御装置110に送信する。
制御装置110は、例えば、ECU(Engine Control Unit)であり、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、エンジン1全体を制御する。また、制御装置110は、エンジン1を含む車両全体の動作を制御するほか、駆動制御部112、吸排気バルブ制御部114、バルブ制御部116、流路切り替えバルブ制御部118および電動過給機制御部120としても機能する。以下では、エンジン暖機システム100の具体的な動作について説明する。
図6は、暖機中の空気の流れを示す説明図である。図6中、黒塗り矢印は、吸気系統を流通する空気の流れを示す。図6中、白抜き矢印は、排気系統を流通する空気の流れを示す。ここで、吸気系統とは、吸気ポート10、吸気流路18、およびエアバイパス流路26を指し、排気系統とは、排気ポート11、排気流路20、EGR流路33およびバイパス流路36を指す。
ここで、エンジン起動スイッチがオンされる(エンジン起動スイッチオン信号を受信する)と、駆動制御部112は、エンジン1を始動させることになるが、エンジン1が低温である場合、エンジンオイルの粘性が高く、エンジン1の始動性が低下してしまう。そこで、エンジン暖機システム100では、エンジン起動スイッチがオンされた際に、エンジン暖機実行条件が成立している場合、エンジン暖機を実行する。なお、エンジン暖機実行条件は、エンジン1内の温度(温度T1)が予め設定された低温とされる所定の温度よりも低いことである。なお、エンジン暖機システム100による暖機は、エンジン1の燃焼室9を暖機することで、外気温が低いときでも始動時の燃焼を安定させることを第1の目的として行われる。
駆動制御部112は、エンジン起動スイッチセンサ62より送られてきたエンジン起動スイッチオフ信号を受信すると、エンジン1を停止させる。このとき、吸排気バルブ制御部114は、エンジン暖機を実行する前段階として、エンジン1の始動時にエンジン暖機を実行するか否かに拘わらず、吸気バルブ12および排気バルブ13が共に開放状態(オーバーラップ状態)になるようにエンジン1を停止制御する。これにより、エンジン1では、吸気ポート10と燃焼室9とが連通された状態が維持される。また、エンジン1では、排気ポート11と燃焼室9とが連通された状態が維持される。また、エンジン1が停止されることで、シリンダ内連通機構38は、クランクケース4内と燃焼室9とを、クランク室内流路39を介して連通させる。
その後、エンジン起動スイッチがオンされた(エンジン起動スイッチオン信号を受信した)際に、駆動制御部112は、エンジン暖機実行条件が成立しているかを判定する。そして、エンジン暖機実行条件が成立したと判定した場合、駆動制御部112は、エンジン1を始動させずに、制御装置110の各部にエンジン暖機を実行させる。
エンジン暖機が開始されると、バルブ制御部116は、スロットルバルブ24、エアバイパスバルブ27、クランクケースバルブ30およびEGRバルブ35を開放させる。また、バルブ制御部116は、吸気制御バルブ25およびインタークーラ前バルブ28を閉鎖させる。
また、流路切り替えバルブ制御部118は、空気がバイパス流路36を流通するように、流路切り替えバルブ37を制御する。
そして、電動過給機制御部120は、予め設定された一定の電力で電動過給機22を駆動させる。このとき、吸気制御バルブ25が閉鎖状態であり、エアバイパスバルブ27およびEGRバルブ35が開放状態であることにより、電動過給機22を駆動させた際、コンプレッサインペラ22cはエアバイパス流路26およびEGR流路33から空気を吸気する。
このように、吸気バルブ12および排気バルブ13が開放状態で維持され、各バルブの開閉状態が制御されることで、図6に黒塗り矢印と白抜き矢印で示すように、エンジン1内(燃焼室9)を含む、空気が循環する循環流路が形成されることになる。
ここで、電動過給機22の圧縮比について説明する。図7は、電動過給機22が駆動する際の効率のマップを示す図である。図7中は、縦軸に圧力比を示し、横軸に流量を示す。圧力比とは、電動過給機22を流通する空気の圧力と、電動過給機22によって圧縮された空気の圧力との比である。流量とは、電動過給機22によって圧縮された空気の質量流量である。図7を用いて、クランクケースバルブ30の制御を説明する。また、図7中、破線は、電動過給機22の効率(動力効率)を示している。なお、それぞれの動力効率線a〜dは、等しい動力効率を示す。また、図7中、一点鎖線は、電動過給機22に入力される電力を示している。なお、それぞれの一点鎖線で示される電力線は、等しい電力を示す。
図7に示すように、電動過給機22の動力効率は、図中中央に向かうに連れて効率が高くなる。例えば、動力効率線aで囲まれる内側の領域では、電動過給機22は、85%以上の効率で駆動する。また、電動過給機22は、動力効率線bで囲まれる内側の領域では80%〜85%の効率で、動力効率線cで囲まれる内側の領域では75%〜80%の効率で、動力効率線dで囲まれる内側の領域では70%〜75%の効率で駆動する。
動力効率線aで囲まれる内側の領域Aは、電動過給機22が通常で駆動される場合の動力効率を示す。上述したように、動力効率線aで囲まれる内側の領域では、電動過給機22は、例えば、85%以上の効率で駆動する。そのとき、電動過給機22が駆動することによって生じる発熱は10%程度となる。よって、電動過給機22は、領域A内で駆動することにより、効率よく空気を圧縮することができる。
一方で、動力効率線b、動力効率線c、動力効率線dの順に、動力効率線aから遠くなるにつれて、電動過給機22が駆動することにより生じる発熱量は多くなる。発熱量の上昇に伴って、電動過給機22の動力効率は悪化するものの、発熱によるエネルギーが吸気流路18を流通する空気に伝達され、空気の温度は上昇する。
ここで、図7中、低で示す実線で囲まれた領域は、高で示す実線で囲まれた領域(電動過給機22が通常で駆動される場合)に対して、効率の悪い(低効率の)領域である。なお、図7中、左側の領域を領域Bとし、右側の領域を領域Cとする。ただし、領域Bおよび領域Cでは、電動過給機22の効率はほぼ等しい。
領域Bおよび領域Cでは、電動過給機22から生じる発熱量はほぼ同じである。しかし、電動過給機22に供給される電力が同一である場合、領域Bでは、領域Aに比べ、より空気は圧縮され、流量は減少する。一方で、領域Cでは、領域Aに比べ、空気が圧縮されず、流量は増加する。したがって、領域Bで電動過給機22を駆動させる方が、領域Cで電動過給機22を駆動させる場合よりも、圧縮による温度上昇分だけ、空気を高温にすることができる。
そこで、クランクケースバルブ30は、電動過給機22が領域Bで駆動するようなバルブ径に設定されている。これにより、エンジン暖機システム100は、空気の温度が最も高くなる領域Bで電動過給機22を駆動させることになり、エンジン1を早期に暖機することができる。
また、電動過給機22が駆動していることにより、EGR流路33内は負圧となる。EGR流路33内が負圧となるため、空気は、排気流路20より下流(下流側の触媒32より下流側)には排出され難くなる。そのため、一度暖めた空気が外気により冷却されることなく再び暖機に用いることができる。
また、クランクケース流路29により、電動過給機22で圧縮され暖められた空気は、クランクケース流路29を流通して、エンジン1内(クランク室6内)に直接導かれる。そして、エンジン1は、導かれた空気の熱によって暖められる。エンジン1を通過した空気は、エアバイパス流路26、あるいは排気流路20およびEGR流路33を流通し、上流側吸気流路18aに還流される。また、エンジン1を通過した空気は、排気流路20およびEGR流路33を流通する過程で、EGRクーラ34を迂回して上流側吸気流路18aに還流される。
このように、エンジン1内に直接暖められた空気を導入することで、吸気流路18やインタークーラ23やインテークマニホールド17を介す場合よりもより早く(効率的に)エンジン1を暖めることができる。また、ピストン8において暖められた空気(暖機用の空気)がクランク室内流路39を通過することから、暖機時におけるピストン8の位置の影響を受け難くなり、暖機の進行にばらつきが生じることを抑制することができる。
そして、電動過給機制御部120は、インテークマニホールド17内の温度(温度T3)が、外気の温度(温度T2)を基準とした閾値Th1以上になるまでエンジン1を暖機する。なお、閾値Th1は、外気の温度(温度T2)よりも高い値であり、かつ、外気の温度(温度T2)によって異なる値となっており、外気の温度(温度T2)が低い場合の閾値Th1は、外気の温度(温度T2)が高い場合のそれよりも相対的に低くなる。
ところで、エンジン1を暖機する際、上流側の触媒31を、エンジン1と同時に暖機させることができる。上流側の触媒31を暖めることで、エンジン1の駆動直後の燃料噴射量低減や暖機の早期化が可能になり、燃費の向上や排気ガスの浄化性能の向上へと繋がる。
そこで、エンジン暖機システム100では、エンジン1および吸気系統が暖機されたとされる、エンジン暖機保温条件が成立している場合、上流側の触媒31の暖機を実行する。なお、エンジン暖機保温条件は、インテークマニホールド17内の温度(温度T3)が、閾値Th1以上の温度であり、かつ、上流側の触媒31の温度(温度T4)が予め設定された閾値Th2よりも低いことである。
バルブ制御部116は、エンジン暖機保温条件が成立したと判定した場合、エンジン1および吸気系統が暖気されたとして、エアバイパスバルブ27を閉鎖する。
これにより、電動過給機22で圧縮され暖められた空気は、吸気系統(図6中、黒塗り矢印)に流通されず、排気系統(図6中、白抜き矢印)のみを流通することとなる。そのため、上流側の触媒31を集中して暖機することができる。
そして、電動過給機制御部120は、上流側の触媒31の温度(温度T4)が閾値Th2以上の温度になるまで上流側の触媒31を暖機する。
そして、駆動制御部112は、インテークマニホールド17内の温度(温度T3)が閾値Th1以上の温度、かつ、上流側の触媒31の温度(温度T4)が閾値Th2以上になった場合に、エンジン暖機終了条件が成立したとして上流側の触媒31およびエンジン暖機を終了させ、エンジン1を駆動(始動)させる。
(エンジン暖機処理)
次に、エンジン暖機システム100による、エンジン暖機処理の流れについて説明を行う。図8は、エンジン1の停止時におけるエンジン暖機処理を説明するフローチャートである。
まず、駆動制御部112は、エンジン起動スイッチセンサ62から送信される信号に基づいて、エンジン起動スイッチがオフされたか否かを判定する(S10)。そして、エンジン起動スイッチがオフされたと判定されれば(ステップS10におけるYES)、吸排気バルブ制御部114は、吸気バルブ12および排気バルブ13を開放状態(オーバーラップ状態)に制御する(S12)。その後、駆動制御部112は、エンジン1を停止させ(S14)、当該エンジン1の停止時におけるエンジン暖機処理を終了する。
一方で、駆動制御部112は、エンジン起動スイッチがオフされていないと判定した場合(ステップS10におけるNO)は、エンジン起動スイッチがオフされたと判定されるまで、ステップS10の処理を繰り返す。
図9は、エンジン1の始動時におけるエンジン暖機処理を説明するフローチャートである。このエンジン1の始動時におけるエンジン暖気処理は、エンジン起動スイッチがオンされた場合に実行される処理である。
エンジン起動スイッチがオンされた場合、駆動制御部112は、エンジン暖機実行条件が成立しているか否かを判定する(S20)。なお、エンジン暖機実行条件が成立しているか否かの判断に、温度T2を加えてもよい。この場合、温度T1および温度T2がそれぞれに対して設定された温度(閾値)以下であるときにエンジン暖機実行条件が成立していると判定する。
そして、エンジン暖機実行条件が成立していると判定されれば(ステップS20におけるYES)、バルブ制御部116は、スロットルバルブ24、エアバイパスバルブ27、クランクケースバルブ30およびEGRバルブ35を開放し、吸気制御バルブ25およびインタークーラ前バルブ28を閉鎖する(S22)。また、流路切り替えバルブ制御部118は、空気がバイパス流路36を流通するように、流路切り替えバルブ37を制御する。そして、電動過給機制御部120は、電動過給機22を所定の電力で駆動させる(S24)。
そして、バルブ制御部116は、温度T3が閾値Th1以上であるか否かを判定する(S28)。そして、温度T3が閾値Th1以上であると判定されれば(ステップS28におけるYES)、バルブ制御部116は、温度T4が閾値Th2未満であるか否かを判定する(S30)。つまり、バルブ制御部116は、ステップS28およびステップS30において、エンジン暖機保温条件が成立しているか否かを判定している。
一方で、温度T3が閾値Th1以上でない(閾値Th1未満である)と判定されれば(ステップS28におけるNO)、エンジン1は充分な温度まで暖機されていないということになり、エンジン1が充分な温度まで暖機された(温度T3が閾値Th1以上になる)と判定されるまで、ステップS28の処理を繰り返す。
また、温度T4が閾値Th2未満でない(閾値Th2以上である)と判定されれば(ステップS30におけるNO)、上流側の触媒31は充分な温度まで暖機されているということになり、駆動制御部112は、エンジン暖機を終了する。そして、バルブ制御部116は、クランクケースバルブ30およびEGRバルブ35を閉鎖し、吸気制御バルブ25およびインタークーラ前バルブ28を開放する。また、流路切り替えバルブ制御部118は、空気がEGRクーラ34を流通するように、流路切り替えバルブ37を制御する(S36)。
そして、駆動制御部112は、エンジン1を駆動(始動)させ(S38)、当該エンジンの始動時におけるエンジン暖機処理を終了する。つまり、エンジン暖機を行う過程で上流側の触媒31も充分に暖機されたので(エンジン暖機終了条件が成立したので)、エンジン1を保温することなくエンジン1を駆動させる。
そして、エンジン暖機保温条件が成立したと判定されれば(ステップS28およびステップS30におけるYES)、バルブ制御部116は、エアバイパスバルブ27を閉鎖させる(S32)。次に、バルブ制御部116は、温度T4が閾値Th2以上であるか否かを判定する(S34)。そして、温度T4が閾値Th2以上であると判定されれば(ステップS34におけるYES)、駆動制御部112は、エンジン暖機を終了する。そして、バルブ制御部116は、クランクケースバルブ30およびEGRバルブ35を閉鎖し、吸気制御バルブ25およびインタークーラ前バルブ28を開放する。また、流路切り替えバルブ制御部118は、空気がEGRクーラ34を流通するように、流路切り替えバルブ37を制御する(S36)。そして、駆動制御部112は、エンジンを駆動(始動)させ(S38)、エンジン1の始動時におけるエンジン暖機処理を終了する。つまり、バルブ制御部116は、ステップS28、ステップS30およびステップS34において、エンジン暖機終了条件が成立しているか否かを判定している。
一方で、温度T4が閾値Th2未満であると判定されれば(ステップS34におけるNO)、バルブ制御部116は、ステップS34の処理を繰り返す。なお、エンジン始動前におけるエンジン暖機システム100による暖機時にあっては、エンジン1内の温度(冷却水温度)を示す温度T1に基づいて燃焼室9の温度を精度良く把握するのは困難である。そこで、本実施形態にあっては、エンジン暖機の終了の判定に、インテークマニホールド17内の温度T3、換言すれば、燃焼室9に供給される空気の温度を用いるようにした。また、燃焼室9の熱容量を勘案し、温度T3が閾値Th1に達してからの経過時間を確認するようにした。なお、温度T3と流量履歴(エンジン暖機が開始してからの空気流量の積算値)に基づいてエンジン暖機の終了を判定するようにしてもよい。
また、電動過給機制御部120は、エンジン暖機実行条件が成立していないと判定されれば(S20におけるNO)、エンジン1を始動させ(S38)、当該エンジンの始動時におけるエンジン暖機処理を終了する。エンジン暖機実行条件が成立していないということは、エンジン1は冷態状態ではないということである。したがって、エンジン1内を暖める必要がないため、駆動制御部112は、エンジン暖機を行わずに、当該エンジンの始動時におけるエンジン暖機処理を終了する。
かかる構成により、エンジン暖機システム100は、エンジン1が冷態状態で駆動する際、各バルブの開閉の制御を行い、電動過給機22を駆動させる。これにより、電動過給機22によって圧縮(過給)され暖められた空気をシリンダ内連通機構38によって、エンジン1内(クランク室6内)に直接導入させることが可能となる。また、各バルブの制御によって、圧縮され暖められた空気を循環させることが可能となる。よって、シリンダ内連通機構38および各バルブの制御により、エンジン1を効率よく早期に暖機することができる。
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態におけるエンジン始動時のエンジン暖機処理を説明するフローチャートである。第2の実施形態は、上述したエンジン暖機システム100によって構成されるが、バルブ制御部116の制御が異なる。なお、上述したエンジン暖機システム100と実質的に等しい制御については、説明を省略する。
バルブ制御部116は、エンジン暖機実行条件が成立したと判定した場合(ステップS20におけるYES)、スロットルバルブ24、エアバイパスバルブ27およびクランクケースバルブ30を開放させる。また、バルブ制御部116は、吸気制御バルブ25、インタークーラ前バルブ28およびEGRバルブ35を閉鎖させる(S40)。
このように、吸気バルブ12および排気バルブ13が開放状態で維持され、各バルブの開閉状態が制御されることで、図6に黒塗り矢印で示すように、吸気系統を含む循環流路が形成されることになる。一方で、図6に白塗り矢印で示した排気系統を含む循環流路は形成されない。
そして、電動過給機制御部120によって、電動過給機22を駆動させ(S24)、エンジン暖機を行う。この場合、電動過給機22によって圧縮(過給)され暖められた空気は、吸気系統(図6中、黒塗り矢印)により多く流通される。そのため、吸気系統をより早く(優先的に)暖めることができる。
そして、バルブ制御部116は、エンジン暖機保温条件が成立したと判定した場合(ステップS28およびステップS30におけるYES)、エアバイパスバルブ27を閉鎖し、EGRバルブ35を開放する(S42)。また、流路切り替えバルブ制御部118は、空気がバイパス流路36を流通するように、流路切り替えバルブ37を制御する。これにより、吸気系統を含む循環流路が閉鎖される一方で、排気系統を含む循環流路が形成され、上流側の触媒31を集中して暖機することができる。
よって、第2の実施形態のエンジン暖機システム100では、エンジン1と上流側の触媒31とをそれぞれ重点的に暖機することが出来る。このことにより、より早くエンジン暖機処理を終了することが可能となる。
(変形例)
図11は、第1の実施形態における変形例を示す図である。なお、上述したエンジン暖機システム100と実質的に等しい構成については、説明を省略する。図10に示すように、エンジン1には、エンジン暖機システム300が設けられる。具体的には、エンジン暖機システム300は、排気制御バルブ302、加熱ヒータ304および制御装置310を新たに含んで構成される。
排気制御バルブ302は、排気流路20におけるEGR流路33が接続される箇所よりも下流側で、かつ、下流側の触媒32よりも上流側に設けられる。排気制御バルブ302は、エンジン1の駆動中は開放状態になっており、排気流路20における排気制御バルブ302よりも上流側から流通する空気の流量を調節することなく排気制御バルブ302よりも下流側に通過させる。また、排気制御バルブ302は、詳しくは後述するエンジン暖気中に開度が調整されることで、排気流路20を介して外部へと排出される空気の流量を調整する。
加熱ヒータ304は、排気流路20における上流側の触媒31よりも上流側に設けられる。加熱ヒータ304は、排気流路20を流通する空気(排気ガス)を暖める。
制御装置310は、上述した制御装置110の機能に加え、新たに排気制御バルブ制御部312および加熱ヒータ制御部314としても機能する。
排気制御バルブ制御部312は、排気制御バルブ302の開度を制御する。排気制御バルブ制御部312は、エンジン暖機実行条件が成立したと判定された後、排気制御バルブ302を閉鎖させる。このため、排気流路20を流通する空気は、下流側の触媒32よりも下流側(エンジン暖機システム300外)に排出されなくなる。そのため、暖められた空気が外気により冷却されることなく(エンジン暖機システム100外に排出させることなく)、再度エンジン暖機に使用することが可能となる。よって、より効果的(より積極的)、かつ、早期にエンジン1を暖機することができる。
加熱ヒータ制御部314は、加熱ヒータ304を加熱させる。加熱ヒータ制御部314は、エンジン暖機実行条件が成立したと判定された後、加熱ヒータ304を加熱させる。電動過給機22によって圧縮され、暖められた空気は、エンジン1内を通過することにより温度が低下する。よって、排気流路20を流通する空気はクランクケース流路29を通過する空気に比べて、温度が低い。そのため、排気流路20に加熱ヒータ304を設け、流通する空気を暖めることで、還流する空気の温度を上昇させる。還流する空気の温度を上昇させることで、空気が再び電動過給機22によって圧縮される際、より高い温度に圧縮される。このように、還流される空気を暖め循環させることで、より効果的(より積極的)、かつ、早期にエンジン1を暖機することができる。
また、加熱ヒータ304が排気流路20における上流側の触媒31よりも上流側に設けられることで、上流側の触媒31を暖めることができる。上流側の触媒31を暖めることで、上流側の触媒31を早期に活性化することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、エンジン1が冷態状態の場合にエンジン暖機処理を実行する場合について説明したが、エンジン1が冷態状態でない場合においてもエンジン暖機処理を実行してもよい。
また、上記実施形態では、エンジン暖機システム100、300には、EGR流路33にEGRクーラ34を迂回するバイパス流路36が設けられる場合について説明した。しかし、バイパス流路36は必須の構成ではない。
また、上記実施形態では、エンジン暖機システム100、300には、第1圧力センサ50および第2圧力センサ52が設けられ、圧力比に基づいてスロットルバルブ24の開度を制御する場合について説明した。しかし、圧力センサの代わりに、流量センサを用いて流量を導出しクランクケースバルブ30の開度を制御してもよい。
また、上記実施形態では、エンジン暖機システム100、300では、バルブ制御部116は、エンジン暖機保温条件が成立したと判定した場合、エアバイパスバルブ27を閉鎖する制御を行う(ステップS32およびステップS42)場合について説明した。しかし、バルブ制御部116は、エアバイパスバルブ27を閉鎖する代わりに、エンジン暖機保温条件が成立したと判定した場合、インテークマニホールド17内の温度(温度T3)が閾値Th1以上の温度に保たれるように、エアバイパスバルブ27の開度を制御する(開度が絞られる)こととしてもよい。この場合、電動過給機22によって圧縮され暖められた空気が吸気系統にも流通する。そのため、暖機されたエンジン1を保温することが出来るため、より早期にエンジン1の始動時におけるエンジン暖機処理を終了することが出来る。
また、上記実施形態では、クランクケースバルブ機構200は、インタークーラ前バルブ28とクランクケースバルブ30とによって構成される場合について説明した。しかし、インタークーラ前バルブ28およびクランクケースバルブ30の代わりに、下流側吸気流路18bにおけるクランクケース流路29との分岐位置に、クランクバルブを設けてもよい。この場合、クランクバルブは、下流側吸気流路18bまたはクランクケース流路29のどちらかに吸気(空気)を流通させるように流路を切り替え、かつ、クランクケース流路29を流通する吸気(空気)の流量を調整する。そして、バルブ制御部116は、このクランクバルブを制御し、上述したように、クランクケース流路29に電動過給機22によって圧縮され暖められた空気を流通させる。
また、上記変形例では、エンジン暖機システム300には、排気制御バルブ302および加熱ヒータ304がさらに設けられる場合について説明した。しかし、排気制御バルブ302および加熱ヒータ304を両方備えずともよい。少なくとも排気制御バルブ302および加熱ヒータ304のいずれか一方を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電動過給機22が領域Bで駆動するように、クランクケースバルブ30のバルブ径を設定するようにした。しかしながら、電動過給機22が領域Bで駆動できれば、バルブ制御部116がクランクケースバルブ30の開度を制御するようにしてもよいし、クランク室内流路39の直径で調整するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、吸気バルブ12および排気バルブ13をオーバーラップ状態に制御する際、吸気バルブ12および排気バルブ13がオーバーラップするクランク角でエンジン1を停止させる場合について説明した。しかし、例えば、VVT(Variable Valve Timing system:可変バルブタイミング機構)を用いて、エンジン1が停止する際または停止した後に、吸気バルブ12および排気バルブ13を動かしてオーバーラップ状態にしてもよい。その場合、各バルブの開放および閉鎖の制御を行う際(ステップS36)、吸排気バルブ制御部114は、吸気バルブ12および排気バルブ13をエンジン起動スイッチがオフされた時のクランク角に応じたバルブ開度に戻す制御を行う。