JP6911814B2 - シリコンウェーハの評価方法 - Google Patents
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Description
シリコン単結晶1は、品質上の要求や、引き上げ中の外乱により直径が変動する可能性があること等を考慮に入れて、目標のシリコンウェーハの直径(以下、「目標直径」という)よりも数%大きな直径で引き上げられる。このシリコン単結晶1の研削前直胴部11に対し、図5(A)に二点鎖線で示すように、円筒研削後の直胴部21(以下、「研削後直胴部21」という)が目標直径の円柱状になるように円筒研削を行う。例えば、直径がR1の研削前直胴部11を目標直径がR2の研削後直胴部21となるように円筒研削を行う場合、研削による原料ロスを最小限に抑えることが好ましい。このような観点を考慮に入れると、二点鎖線で示すように、研削前直胴部11の一端面11Aの内接円の中心を中心として、研削後の中心21C(以下、「研削後中心21C」という)が研削前の中心11C(以下、「研削前中心11C」という」に対して偏心するように研削することが好ましい。
しかし、シリコンウェーハの製造メーカの評価結果では品質が許容範囲に入っているが、例えばデバイスメーカで加工されたチップの品質が許容範囲に入っていない場合があった。
また、研削前直胴部11における径方向の品質の変化量(径方向中心の品質を基準とした、所定位置の品質の変化量)は、中心側が小さく、外縁側が大きくなる。この品質変化量の傾向は、研削前中心11Cから平坦部12に向かう方向でも、研削前中心11Cから円弧部13に向かう方向でも同じである。
つまり、評価試料3の外縁3Aと仮想線L11との交点のうち、平坦部12側とは反対側の交点をP1、外縁3Aと仮想線L12との交点のうち、点13A側の交点をP3とした場合、評価試料3の中心3C(以下、「試料中心3C」という)から交点P1まで延びる評価線M1上の領域には、試料中心3Cから交点P3まで延びる評価線M3上の領域と比べて、品質の変化量が大きい部分が多く存在することになる。
また、評価試料3の外縁3Aと仮想線L11との交点のうち、平坦部12側の交点をP2とした場合も、試料中心3Cから交点P2まで延びる評価線M2上の領域には、評価線M3上の領域と比べて、品質の変化量が大きい部分が多く存在することになる。
これらのことから、研削前直胴部11の一端面11Aにおける内接円の中心を通りかつ平坦部12に直交する評価線M1,M2上の品質評価は、他の部分に対して行う品質評価と比べて厳しい条件であると考えられる。つまり、評価線M1,M2上の品質が許容範囲に入っていれば、評価線M3上の品質も許容範囲に入っているが、評価線M3上の品質が許容範囲に入っていても、評価線M1,M2上の品質が許容範囲に入っていない場合があると考えられる。
本発明者は、以上の知見に基づき本発明を完成させた。
なお、本発明の評価試料は、その仕様、例えば厚さ、研磨条件、エッチング条件等が製品として出荷するシリコンウェーハと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、本発明において、評価線は、厳密に円板状の評価試料の中心を通りかつ平坦部に直交する線でなくても、許容範囲内でずれた線であってもよく、例えば、内接円の中心を通りかつ平坦部に直交する線を、試料中心(内接円の中心)を中心にして5°以下だけ回転させた線であってもよい。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、図4に示すような中心軸が<111>結晶軸のシリコン単結晶1であって、研削前直胴部11の外周上の一部に平坦部12が形成されたシリコン単結晶1を製造する(ステップS1)。
このとき、研削後直胴部21の目標直径が200mm、300mm、450mmあるいは他の大きさとなるように、シリコン単結晶1を製造すればよいが、300mm以下であることが好ましい。原料ロスを最小限に抑える観点から、シリコン単結晶1は、目標直径が200mmの場合には、図5(B)に示す研削幅H1,H2が、4mm以上20mm以下となるような大きさ、目標直径が300mmの場合には、研削幅H1,H2が、4mm以上24mm以下となるような大きさであることが好ましい。シリコン単結晶1の製造方法は特に限定されず、シリコン融液に磁場が印加されるMCZ(Magnetic field applied Czochralski)法であってもよいし、磁場が印加されないCZ(Czochralski)法であってもよい。
その後、研削後中心21Cからノッチマーク4Bに基づき特定されるノッチ22の形成位置まで延びるノッチ特定用仮想線L1を設定した後、評価線Mのうち研削後中心21Cから平坦部12側に延びる線とノッチ特定用仮想線L1とのなす角度θを評価線Mとノッチ22の形成位置との位置関係として把握する。
ノッチ22が形成された研削後直胴部21から円板状の評価試料3を取得する(ステップS7)。このとき取得する評価試料3は、研削後直胴部21の長さ方向の端部から切り出したものであってもよいし、研削後直胴部21を複数の円柱状のブロックに切断して、当該ブロックの端部から切り出したものであってもよい。品質評価をするために、評価試料3に対して、研磨、エッチング等の処理を行う。
この後、テーブルに載置された評価試料3の評価線M1上の品質、例えば抵抗率、酸素濃度および欠陥密度のうち少なくともいずれか1つを、研削後直胴部21から得られるシリコンウェーハの品質として評価する(ステップS9)。品質評価は、評価線M1上の全領域に対して行ってもよいし、評価線M1上の複数の測定点に対して行ってもよい。
上記実施形態によれば、研削前直胴部11の軸方向の一端面11Aにおける内接円の中心を通りかつ平坦部12に直交する評価線M、つまり円筒研削時に研削量が最も少ない評価線M上の品質を、シリコンウェーハの品質として評価するため、評価線M上の品質が許容範囲に入っていれば、当該評価線Mに対して評価試料の周方向に所定角度回転した線上、例えば図5(B)に示す評価線M3上の品質も許容範囲に入っていることになる。したがって、シリコンウェーハの製造メーカの評価結果では品質が許容範囲に入っているが、デバイスメーカで加工されたチップの品質が許容範囲に入っていないという不具合を抑制でき、シリコンウェーハの品質を適切に評価できる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
評価線マーク4Aおよびノッチマーク4Bの位置は、評価線Mの位置、ノッチ22の形成位置をそれぞれ特定可能であれば、評価線M上、ノッチ特定用仮想線L1上でなくてもよい。
製品として出荷するシリコンウェーハを本発明の評価試料とみなし、当該シリコンウェーハに対してステップS8〜S9の処理を行ってもよい。
ノッチ22が形成されていない評価試料3に対して、本発明のシリコンウェーハの評価方法を適用してもよい。この場合、円筒研削、品質評価のための研磨、エッチング等の処理を行った後にも評価試料3に評価線マーク4Aが残るように、当該評価線マーク4Aを付与すればよい。
評価線Mを評価試料3の試料中心3Cを回転中心として、図2(B)における右方向または左方向に5°以下回転させた線上の品質を、評価線M上の品質とみなして評価してもよい。
次に、シリコン単結晶1から取得した研削前直胴部11に対して評価線マーク4Aおよびノッチマーク4Bを付与し、評価線Mとノッチ22の形成位置との位置関係を把握した後、円筒研削を行うことで直径が目標直径の研削後直胴部21を得た。
同じ評価試料3の被検査面上において、評価線M1および当該評価線M1の延長線に重ならない任意の線上の酸素濃度を実施例1と同じ間隔で測定した(比較例1)。測定は、試料中心3Cと当該試料中心3Cから径方向に145mm離れた位置との間で行った。
実施例1および比較例1の酸素濃度の測定結果を図3に示す。
また、実施例1および比較例1のそれぞれの測定結果に基づいて、以下の式(1)で表されるROG(Radial Oxygen Gradient:酸素濃度勾配)を算出した。その結果を表1に示す。
ROG(%)={(酸素濃度の最大値−酸素濃度の最小値)/酸素濃度の最小値}×100) … (1)
以上のことから、実施例1の品質評価は比較例1の品質評価よりも厳しい条件であり、当該厳しい条件で品質評価を行うことで、品質が許容範囲に入っていないシリコンウェーハの出荷を抑制できることを確認できた。
Claims (6)
- 直胴部の外周上の一部に結晶中心軸に沿って平坦部が形成された、中心軸の結晶方位が<111>であるシリコン単結晶から得られるシリコンウェーハの評価方法であって、
前記シリコン単結晶を準備する工程と、
前記シリコン単結晶の直胴部を円筒研削する工程と、
円筒研削された直胴部から円板状の評価試料を切り出す工程と、
前記評価試料の中心を通り前記平坦部に直交する評価線を特定する工程と、
前記評価試料における前記評価線上の品質を、前記直胴部から得られるシリコンウェーハの品質として評価する工程とを実施することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 請求項1に記載のシリコンウェーハの評価方法において、
前記評価試料を前記直胴部から切り出す工程の前に、前記直胴部にマーキング加工を施す工程を実施し、
前記評価線を特定する工程は、前記マーキング加工が施された位置に基づいて評価線の位置を特定することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 請求項2に記載のシリコンウェーハの評価方法において、
前記評価線を特定する工程は、前記評価試料の中心と前記評価試料の外周部のマーキング加工が施された位置を結ぶ線を、前記評価試料の中心を回転中心として、所定の角度で回転することにより、前記評価線を特定することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの評価方法において、
前記評価する工程は、前記評価線のうち、前記評価試料の中心から前記平坦部側に延びる部分の品質、および、前記評価試料の中心から前記平坦部側とは反対側に延びる部分の品質のうち少なくともいずれか一方を評価することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの評価方法において、
前記評価する工程は、抵抗率、酸素濃度および欠陥密度のうち少なくともいずれか1つを評価することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの評価方法において、
前記評価する工程は、前記評価線を前記評価試料の中心を回転中心として5°以下回転させた線上の品質を、前記評価線上の品質とみなして評価することを特徴とするシリコンウェーハの評価方法。
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