JP2008082702A - 加工状態評価システム - Google Patents

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JP2008082702A JP2006259530A JP2006259530A JP2008082702A JP 2008082702 A JP2008082702 A JP 2008082702A JP 2006259530 A JP2006259530 A JP 2006259530A JP 2006259530 A JP2006259530 A JP 2006259530A JP 2008082702 A JP2008082702 A JP 2008082702A
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Abstract

【課題】ブレードが切断中に発生する振動や音響情報をインゴットの固定部に設置されたセンサで計測し、その振動解析をすることでブレードの切断状態をリアルタイムで計測評価する。
【解決手段】インゴットをスライスする加工装置において、前記被加工物の振動を検出するセンサからの信号を解析して、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する信号解析手段と、有し、前記信号解析手段は、F(ω)を前記センサの出力をフーリエ変換した信号、S(ω)を加工部材の回転による信号、G(ω)を伝達経路による振動信号としたときの、 log(F(ω))=log(G(ω))+log(S(ω))のlog(G(ω))及びlog(S(ω))を分離して解析することにより、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転する加工部材により被加工物を加工する加工装置において、加工部材の状態と被加工物の加工状態との少なくとも一方を評価する加工状態評価システムに関する。例えば、前記加工装置はインゴットをスライスする装置であり、前記加工部材は内周刃ブレード、前記被加工物はインゴットである。
単結晶シリコンインゴットからウェハを切断する方法として、遊離砥粒を用いたマルチワイヤーソーによる切断と、内周刃ダイヤモンドブレードを用いたスライシングマシンによる切断の2つが現在行われている。ワイヤーソーは大量切断と大口径インゴットの切断に向いており、自動化も容易であることからインゴット切断の手法として主流になりつつあるが、結晶方位を考慮した切断を行うことが難しくウェハの品質向上には限界があるなどの問題点を有する。
一方、内周刃ブレードによる切断は、ウェハを1 枚ずつ切断するため、結晶方位に合わせた切断が可能であり、品質の高いウェハを得ることができる。高集積化された半導体デバイスには高品質と高機能のウェハが要求されるため、内周刃ダイヤモンドブレードによる切断法も依然需要が高い。
半導体デバイスの低コスト化の要求に応えるためには、ウェハ製造工程の自動化を進め生産性を向上させることが不可欠であると共に、内周刃ブレードの耐久性と切れ味も製造コストと効率にとって重要な指標である。そのためブレードの切断状態をオンラインで計測し定量的に評価することは重要な課題である。
従来のスライシングマシンでは、ブレードの切断状態をブレードの裏面に設置されたレーザ変位計で切断中に生じたたわみ変形量を計測することで切断状態を評価している。さらにブレードたわみ変形に対応してインゴットの送り込み量やブレードの回転を制御することでより高精度のウェハの生産を行っている。しかしながら、レーザ変位計を、直接ブレードがインゴットを切断する部位に設置できないため、観察されたブレードの変形量はインゴット直径範囲外の部分となり、ブレードの切断状態を正確に評価できない。また、切断中に発生する振動には切断そのものにより発生する振動と、インゴット、ウェハ、ブレードの振動の相互作用によるものが存在している。ワークであるインゴットやウェハの振動は切断状態と密接な関係にあるが、周波数スペクトル上においてそれらの信号は微弱であるため定量化することが難しく、一般的なフーリエ変換による周波数スペクトル解析により評価することには限界がある。
特許文献1及び2には、内周刃ブレードを用いたシリコンインゴットのスライス装置が記載されている。しかしながら、振動検出による切断状態の評価は行っていない。
非特許文献1は、本発明者らにより発表された論文である。非特許文献1には、内周刃ブレードを用いたシリコンインゴットのスライス装置において、シリコンインゴットの振動を検出し、検出した振動信号をフーリエ変換し、周波数解析することでシリコンインゴットの切断状態を評価している。
特開平8−141887号公報 特開2000−15625号公報 阿部陽太郎・江鐘偉ほか、「シリコンウエハスライサの切断信号解析と切断状態評価」、日本機械学会東北支部 多賀城地方講演会講演論文集(2000年9月1日)、115-116ページ
本発明は、加工部材(例えば、ブレード)が加工中(切断中)に発生する振動や音響情報を被加工物(例えば、インゴット)の固定部に設置されたロードセンサ又は振動センサで計測し、その振動解析をすることで加工部材(ブレード)の加工状態(切断状態)をリアルタイムで計測評価するシステムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
回転する加工部材により被加工物を加工する加工装置において、加工部材の状態と被加工物の加工状態との少なくとも一方を評価する加工状態評価システムであって、前記被加工物の振動を検出するセンサと、前記センサからの信号を解析して、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する信号解析手段と、有し、前記信号解析手段は、F(ω)を前記センサの出力をフーリエ変換した信号、S(ω)を加工部材の回転による信号、G(ω)を伝達経路による振動信号としたときの、
log(F(ω))=log(G(ω))+log(S(ω))
の関係式をj次の離散ウェーブレット分解し、
log(F(ω))=f0(ω)
log(G(ω))=g-j(ω)
log(S(ω))=h-1(ω)+h-2(ω)+・・・+h-j(ω)
(ただし、f0(ω)はレベル0近似関数、g-j(ω)はレベルj近似関数、h-j(ω)はレベルjの高周波成分)
のlog(G(ω))及びlog(S(ω))を分離して解析することにより、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする加工状態評価システム。
回転する加工部材により被加工物を加工する加工装置において、加工部材の状態と被加工物の加工状態との少なくとも一方を評価する加工状態評価方法であって、前記被加工物の振動信号をセンサにより検出する振動信号検出工程と、前記振動信号を解析して、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する信号解析工程と、有し、前記信号解析工程は、F(ω)を前記センサの出力をフーリエ変換した信号、S(ω)を加工部材の回転による信号、G(ω)を伝達経路による振動信号としたときの、
log(F(ω))=log(G(ω))+log(S(ω))
の関係式をj次の離散ウェーブレット分解し、
log(F(ω))=f0(ω)
log(G(ω))=g-j(ω)
log(S(ω))=h-1(ω)+h-2(ω)+・・・+h-j(ω)
(ただし、f0(ω)はレベル0近似関数、g-j(ω)はレベルj近似関数、h-j(ω)はレベルjの高周波成分)
のlog(G(ω))及びlog(S(ω))を分離して解析することにより、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする加工状態評価方法。
また、以下の実施態様を有する。
前記信号解析手段(工程)において、F(ω)に代えて、F(ω)+α(ただし、F(ω)+α>0)を用いる。
前記センサは、複数方向の振動成分を検出するものであり、前記信号解析手段(工程)は、前記複数方向の振動成分ごとに信号解析を行い、これらの解析結果から前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する。
前記信号解析手段(工程)は、log(S(ω))により前記加工部材の状態を評価し、log(G(ω))により前記被加工物の加工状態を評価する。
前記加工装置はインゴットをスライスする装置であり、前記加工部材は内周刃ブレード、前記被加工物はインゴットである。
前記信号解析手段(工程)は、log(S(ω))により内周刃ブレードの張り上げ状態を評価し、log(G(ω))によりインゴットの切断状態を評価する。
振動センサより得られた信号に対して従来の離散フーリエ解析に加え、対数変換と信号分解機能に優れているウェーブレット解析を組み合わせた新しい解析法により加工装置における加工状態を評価する。本発明の構成によれば、離散ウェーブレット変換を用いることで、振動センサで捕らえた信号から加工(スライシング)による振動信号と加工部材(ブレード)の回転による信号に分離することができ、加工部材の状態(ブレードの張り上げ状態)と被加工物の加工状態(切断状態)を簡単に計測評価することができる。
図1に本発明のシステムの概略図を示す。
インゴットの切断は高速回転する内周刃ブレードの中心から半径方向(図1中のx方向)にインゴットを移動させることにより行われる。切断状態はブレードの応力分布や内周部の形状、砥粒の目詰まりや磨耗、インゴットやウェハの状態の影響を大きく受ける。インゴット切断中に発生する振動信号はインゴット上部に取り付けられた3軸圧電ロードセンサによって検出される。信号は、アンプで増幅された後、直流成分を取り除くためのハイパスフィルタを介し、A/D変換され、コントローラ部を介し、信号解析部(コンピュータ)に取り込まれ、信号解析される。なお、インゴット送り方向をx軸、切断方向をy軸、インゴットの長さに沿った方向をz軸とする。
信号解析部における、信号解析について説明する。
ウェハ切断中に計測した振動信号の一例を図2に示す。図2(a)と(b)はそれぞれx方向の切断信号x(t)とy方向信号y(t)である。図より、これらの時間信号からブレードの切断状態を直接読み取ることは難しい。そこで、A/D変換後の時間信号x(n)とy(n)に対して次式により離散フーリエ変換(DWT)を行う。すなわち、
Figure 2008082702
ここで、fsはサンプリング周波数で、Nはデータ長である。図2のデータに対してフーリエ変換を行った結果を図3に例示する。図3の周波数応答波形によるとブレードの回転数(約25Hz)とその整数倍周波数でピーク波形が存在することが分かる。一方、ブレードの回転により発生した振動信号成分が比較的大きいため、F(ω)の結果からはブレードやウェハなどの切断状態への影響を見分けることが困難である。
インゴットを切断する際にブレードの回転は、ブレードやインゴット、スライサ本体などの振動を励起させる。その結合された振動がインゴット上部に取り付けてある3軸ロードセンサによって検出される。そこで、ブレードの回転による信号源をS(ω)、ブレードやインゴット、スライサ本体などの伝達経路による振動信号をG(ω)と考えると、センサによって検出された振動信号F(ω)は
Figure 2008082702
で表すことができる。上式の両辺に対数をとると、
Figure 2008082702
となる。従って、対数をとることで、式(2)の積の形を式(3)の和の形に分離することができる。
一方、ウェーブレット解析によると任意の関数f0(x)をj次数列g-j(x)とh-j(x)を用いて次式のように分解することができる。すなわち、
Figure 2008082702
(ただし、f0(ω)はレベル0近似関数、g-j(ω)はレベルj近似関数、h-j(ω)はレベルjの高周波成分)
もし、ここで、
Figure 2008082702
とおくと、式(2)に対してウェーブレット分解を施すことでセンサ出力信号F(ω)を、ブレードの回転信号S(ω)と、伝達経路による振動信号G(ω)に分離することができる。
そこで、図3のデータに対し、j=5とした場合について式(5)により求めた結果をそれぞれ図4と5に示す。センサの出力信号F(ω)は、ブレード回転による振動成分S(ω)とブレードやインゴットなどの伝達経路による振動成分G(ω)に都合よく分離されたことが一目瞭然である。特に、S(ω)の結果では、200Hz以下の低周波数領域においてはブレードの回転数25Hz 基数とする周波数にピーク波形が見られる。このことから、回転数(25Hz)を基数とした共振周波数が切断信号に大きく関与することがいえる。
ところで、式(3)において、F(ω)の値がゼロ、またはゼロより小さい場合、log(F(ω))が無効な値となる。そこで、調整係数αを設け、F(ω)+α>0となるように調整係数αを適切に設定すれば、式(3)を以下の式で近似することができる。また、調整係数αを小さくすればするほど、F(ω)の値の低い部分を強調させることができる一方、調整係数αを大きくすればするほど、F(ω)に含む振幅値の小さい成分を低減させる効果がある(図14参照、グラフの曲線は下からα=0,1.1,2.0を表す)。
Figure 2008082702
この場合、式(6)は以下のように分解される。
Figure 2008082702
このように離散ウェーブレット変換を用いて、センサ出力信号F(ω)を、ブレードの回転信号S(ω)と、伝達経路による振動信号G(ω)に分離することにより、それぞれの信号成分を解析することができ、より効果的にインゴットの切断状態や内周刃ブレードの状態を解析・評価できる。
以下に、本発明による実験結果を示す。
実験条件は、
インゴット直径: 152mm
インゴット送り速度: 45mm/分
ブレード回転数: 1500rpm
Initial
extension of blade at inner edge: 1100μm
である。
異なる種類のブレードの切断状況を解析するため、刃先形状やダイヤモンド砥石を電着させるボンドの異なるブレードを試作し、切断実験を行った。ブレードNo.624,625,630では硬いボンド(ビッカース硬さ約500)、ブレードNo.627は軟らかいボンド(ビッカース硬さ約200)を使用している。また、ブレードNo.630は図6の右側に示す特殊形状(ワット形状)の刃先を有するもので、ほかのブレードは図6の左側と真ん中に示す通常の刃先形状を有するものである。ワット型刃先形状は、クーラントを抜けやすくさせることに期待をかけて設計されたものである。
インゴット切断実験においては、長さ190mmの6インチシリコンインゴットを使用した。No.624,625,627,630の4つのブレードを用いてそれぞれ約40枚程度のウェハを切断し、その切断信号を計測した。ただし、ブレードNo.624は切断状態が不安定で25枚のウェハを切断した際に、ブレードの切断状態がかなり悪化したため、ブレードNo.624による切断を中止し、ブレードの交換を行った。各ブレードの切断開始と終了時に対応するインゴットの長さをまとめて表1に併記する。
Figure 2008082702
また、ウェハ1
枚の切断に10点の測定を行った。インゴットの送り速度が45
mm/minであることから、1点測定当たりにインゴットへ切り込む量は約15.2mmと換算される。
計測した切断信号から内周刃ブレードの切断状態を評価するため、表1に示す3種類刃先の異なるブレードを使用し切断実験を行った。各ブレードが切断した各ウェハの信号に対してDFTを施し、Fx(ω)とFy(ω)を求めた。さらに対数をかけたものに対して切断した枚数分の平均値を取る。得られた結果をそれぞれ図7及び8に示す。
切断実験で観察された現象を次に述べる。ブレードNo. 625と627は大きなトラブルがなく通常通りの切断を行っていた。No.630はほぼ通常通りの切断を行っていたが、ウェハが飛びそうな危険状況が1〜2回あり、テーブルドレスとハンドドレスを施し刃先を磨くことで切断状態が改善された。ブレードNo.624は切断状態が非常に不安定であり、ウェハを破損させたり、ブレードの変形が正常値を超えたりした現象が何度も起こっていた。テーブルドレスとハンドドレスをかけてもその改善が見られないため、25枚目ウェハの切断中にやむを得ずブレードを交換した。また、これらのブレードの中ではNo.625の切断状態が最も安定していた。
図7に示すFx(ω)の結果をみると、ブレードNo.625の値が全般的に小さいことと、回転数25Hzの成分も他の整数倍の周波数成分に比べ小さいことが特徴的である。それと対照に、No.624の周波数応答では、回転数25Hzの成分がかなり大きい。これより、1回転毎にブレードのある1箇所がインゴットと強く折衝し、応力集中が起こっていると考えられる。これはブレードが均一に張り上げられていない可能性が高いことに原因があると思われる。また、ワット型形状刃先を有するブレードNo.630ではFx(ω)の値が他のブレードより高いことから切断抵抗が大きいと予想できる。
図8には、比較しやすくするため、ブレードNo.630,627のFy(ω)の結果と、No.625,624のFy(ω)の結果を重ねて表示する。各ブレードのFy(ω)が同様な傾向を示し、ブレードNo.630と627はブレードNo.625と624に比べその値が多少大きい程度である。以上のことから、ブレードの回転数に関与する切断応答からブレードの張り上げ状態を評価するには、インゴットの送り方向の信号Fx(ω)を用いることが有効といえる。
以上の結果から、回転数を基数とする共振周波数はブレードの張り上げ状態やインゴットの切断に大きく関与する可能性が高いことが分かる。これらの影響を詳細に調べるため,図7と8の結果に対してウェーブレット分解を施し、求めたS(ω),G(ω)について検討する。Sy(ω)の結果に図8と同様にあまり大きな変化が観察されていなかったため、ここでSx(ω)とGx(ω),Gy(ω)の結果についてそれぞれ図9と図10に示す。
図9によるとブレードNo.630とNo.627では、刃先の形状ならびにダイヤモンド砥石を電着させるボンドが異なっているが、両者の周波数応答Sx(ω)に大きな相違点が認められない。一方、ブレードNo.625とNo.624の刃先形状ならびに使用するボンドが同じであるにも関わらず、両者の周波数応答Sx(ω)が大きく異なる。No.624の応答波形Sx(ω)では回転数25Hzに最も大きな振幅が観察されていることから、ブレード内周の真円度が損なわれていたことが、切断状態を悪化させた原因と考えられる。
内周刃ブレードの製造圧延工程によりブレードの圧延方向とそのクロース方向にわずかであるが異方性が存在している。この点を考慮すれば、ブレードを真円に張り上げる場合、回転数の2倍となる周波数に大きめのピークを持つ周波数応答パターンが理想的と考えられる。この観点から、ブレードNo.630,627,625の応答波形Sx(ω)は理想的といえる。以上の結果から、ブレードの異方性やブレードの張り上げ状態は応答波形Sx(ω)を利用することで評価でき、本発明の解析法が有効である。
また、異なる3種類のブレードNo.630,No.627,No.625 のGx(ω)とGy(ω)の平均値を重ねてプロットしたグラフを図10に示す。これらの曲線で示す値は切断抵抗に比例するものと考えられるため、ブレードの切断状態評価に利用できる。図よりブレードNo.625ではGx(ω)とGy(ω)の値が全体的に小さいこと、No.630ではより大きいことが分かる。両ブレードは同様なボンドを使用しているため、この違いは刃先の形状による影響と考えられる。クーラントを抜けやすくさせるために設計されたワット型刃先形状は、砥石の目詰まりなどが起こりやすくなることが原因で、切断抵抗を増大させてしまうことが予想される。従って、Gx(ω)とGy(ω)の値の大きさを利用してブレードの切断状態を評価することが可能である。
次に、ブレードNo.624で切断した25枚ウェハのデータを等高線図でプロットしたものを図11に示す。図より、Gx(ω)の波形パターンに特に異常現象が見られないが、5枚目前後と20枚目前後におけるGy(ω)の値に異常パターンが見られる。これらのウェハを切断していたときに、ブレードの内周が大きく変形し、ウェハが破損される危険な状態になっていた。そこで、正常切断状態にある3枚目と16枚目ウェハの切断信号と、異常切断状態にある5枚目と19枚目の信号について求めたGx(ω)とGy(ω)の結果を図12に示す。5枚目(点線)と19枚目(破線)の結果をみると、200Hz以下の領域ではGy(ω)の値が正常切断時(3枚目と16枚目)の値よりかなり大きくなっていることが分かる。実際に観察された結果からも5枚目と19枚目の切断中にブレードのたわみが大きくなっておりウェハが飛びそうな状態であったことがわかっている。また、16枚目ウェハのデータは、テーブルドレスとハンドドレスをかけた後に計測されたものである。ブレードの刃先を磨くことにより切断信号の振幅が下がっていることが分かる。しかし、Gx(ω)の波形には大きな相違点が見られなかった。これらのことから、200Hz以下の低周波数領域におけるGy(ω)を用いれば、ブレードの切断状態をオンラインで評価することが可能である。
最後に、ウェハを切断中にインゴットのx方向への移動量(切り込み量)に対して測定したGy(ω)の例を図13に示す。縦軸のAmplitude は比較しやすくするため10log10(Gy(ω))を正規化したものであり、それぞれの曲線は切り込み量が約(n-1)x15.2mmのところの切断状態を表す。図の結果から、インゴット直径方向への切り込み深さが直径の半分までは切断抵抗が低く正常に切断しているが、後半になると、振幅(切断抵抗)が上昇し切断状態が悪化されたことが分かる。
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において各種の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態では加工装置としてインゴットを内周刃ブレードによってスライスする装置について説明したが、加工装置としてはこれに限定されず、回転する加工部材によって被加工物を加工する装置であれば、本発明における信号解析及び加工状態の評価が行えることは当業者にとって明らかである。
本発明のシステムの概略図 ロードセンサからの出力信号 図2のデータをフーリエ変換した信号 log(Fx(ω))、log(Sx(ω))、log(Gx(ω))のグラフ log(Fy(ω))、log(Sy(ω))、log(Gy(ω))のグラフ ブレードエッジの形状 実験結果におけるlog(Fx(ω))のグラフ 実験結果におけるlog(Fy(ω))のグラフ 実験結果におけるlog(Sx(ω))のグラフ 実験結果におけるlog(Gx(ω))及びlog(Gy(ω))のグラフ ブレードNo.624で切断した25枚ウェハのデータの等高線図 ブレードNo.624の3枚目、5枚目、16枚目、19枚目におけるlog(Gx(ω))及びlog(Gy(ω))のグラフ インゴットのx方向への移動量に対するlog(Gy(ω))のグラフ 調整定数αによるlog(F(ω)+α)の特性を表すグラフ(グラフの曲線は下からα=0,1.1,2.0を表す)

Claims (12)

  1. 回転する加工部材により被加工物を加工する加工装置において、加工部材の状態と被加工物の加工状態との少なくとも一方を評価する加工状態評価システムであって、
    前記被加工物の振動を検出するセンサと、
    前記センサからの信号を解析して、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する信号解析手段と、有し、
    前記信号解析手段は、F(ω)を前記センサの出力をフーリエ変換した信号、S(ω)を加工部材の回転による信号、G(ω)を伝達経路による振動信号としたときの、
    log(F(ω))=log(G(ω))+log(S(ω))
    の関係式をj次の離散ウェーブレット分解し、
    log(F(ω))=f0(ω)
    log(G(ω))=g-j(ω)
    log(S(ω))=h-1(ω)+h-2(ω)+・・・+h-j(ω)
    (ただし、f0(ω)はレベル0近似関数、g-j(ω)はレベルj近似関数、h-j(ω)はレベルjの高周波成分)
    のlog(G(ω))及びlog(S(ω))を分離して解析することにより、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする加工状態評価システム。
  2. 前記信号解析手段において、F(ω)に代えて、F(ω)+α(ただし、F(ω)+α>0)を用いることを特徴とする請求項1記載の加工状態評価システム。
  3. 前記センサは、複数方向の振動成分を検出するものであり、
    前記信号解析手段は、前記複数方向の振動成分ごとに信号解析を行い、これらの解析結果から前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする請求項1又は2記載の加工状態評価システム。
  4. 前記信号解析手段は、log(S(ω))により前記加工部材の状態を評価し、log(G(ω))により前記被加工物の加工状態を評価することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の加工状態評価システム。
  5. 前記加工装置はインゴットをスライスする装置であり、前記加工部材は内周刃ブレード、前記被加工物はインゴットであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の加工状態評価システム。
  6. 前記信号解析手段は、log(S(ω))により内周刃ブレードの張り上げ状態を評価し、log(G(ω))によりインゴットの切断状態を評価することを特徴とする請求項5記載の加工状態評価システム。
  7. 回転する加工部材により被加工物を加工する加工装置において、加工部材の状態と被加工物の加工状態との少なくとも一方を評価する加工状態評価方法であって、
    前記被加工物の振動信号をセンサにより検出する振動信号検出工程と、
    前記振動信号を解析して、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価する信号解析工程と、有し、
    前記信号解析工程は、F(ω)を前記センサの出力をフーリエ変換した信号、S(ω)を加工部材の回転による信号、G(ω)を伝達経路による振動信号としたときの、
    log(F(ω))=log(G(ω))+log(S(ω))
    の関係式をj次の離散ウェーブレット分解し、
    log(F(ω))=f0(ω)
    log(G(ω))=g-j(ω)
    log(S(ω))=h-1(ω)+h-2(ω)+・・・+h-j(ω)
    (ただし、f0(ω)はレベル0近似関数、g-j(ω)はレベルj近似関数、h-j(ω)はレベルjの高周波成分)
    のlog(G(ω))及びlog(S(ω))を分離して解析することにより、前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする加工状態評価方法。
  8. 前記信号解析工程において、F(ω)に代えて、F(ω)+α(ただし、F(ω)+α>0)を用いることを特徴とする請求項7記載の加工状態評価方法。
  9. 前記振動信号検出工程は、複数方向の振動成分を検出するものであり、
    前記信号解析工程は、前記複数方向の振動成分ごとに信号解析を行い、これらの解析結果から前記加工部材の状態と前記被加工物の加工状態の少なくとも一方を評価することを特徴とする請求項7又は8記載の加工状態評価方法。
  10. 前記信号解析工程は、log(S(ω))により前記加工部材の状態を評価し、log(G(ω))により前記被加工物の加工状態を評価することを特徴とする請求項7乃至9いずれか記載の加工状態評価方法。
  11. 前記加工装置はインゴットをスライスする装置であり、前記加工部材は内周刃ブレード、前記被加工物はインゴットであることを特徴とする請求項7乃至10いずれか記載の加工状態評価方法。
  12. 前記信号解析工程は、log(S(ω))により内周刃ブレードの張り上げ状態を評価し、log(G(ω))によりインゴットの切断状態を評価することを特徴とする請求項11記載の加工状態評価方法。
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