以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の画像形成部全体構成及び動作について説明する。画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、用紙などの記録媒体に画像を形成する画像形成部100を有する。以下に画像形成部100を構成する各部材について述べる。
画像形成装置1内部の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配置されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射する。
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配置されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34と、ベルトクリーニング装置35とを備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32を回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)する。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び交流電圧(AC)又はそれらのいずれか一方(以下単に「所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)」と表現する場合もある)が各一次転写ローラ31に印加される。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加される。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配置されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35で回収された廃トナーは、廃トナー移送ホースを介して廃トナー収容器に収容される。
画像形成装置1本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間に設けた補給路を介して、各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7にトナーが補給される。
一方、画像形成装置1の内部の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けられている。なお、記録媒体には、普通紙、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等の記録紙や、OHPシート等が含まれる。また、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
画像形成装置1の内部には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配置されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙P搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ12が配置されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙P搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配置されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙P搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、装置本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
続いて、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として可視像化される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ31に、定電圧制御又は定電流制御されたトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。そして、各感光体5の表面が除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置1の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によって搬送が一旦停止される。
その後、所定のタイミングでレジストローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを二次転写ニップへ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、廃トナー収容器へと搬送される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、画像形成装置1の画像形成部100を含むハードウェア全体構成について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、画像形成装置1は、前述の画像形成部100の他に、操作部101と、外部通信インターフェース102と、HDD(Hard Disc Drive)103と、外部インターフェース104と、RAM(Random Access Memory)105と、ROM(Read Only Memory)106と、CPU(Central Processing Unit)107とを有する。これら各ハードウェアは、バスBにより相互に接続されている。
操作部101は、ユーザが操作を入力するためのタッチパネルと、各種の処理結果を表示するディスプレイとを備える入出力装置である。
外部通信インターフェース102は、画像形成装置1をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するためのインターフェースである。画像形成装置1は、外部通信インターフェース102を介して、ホストコンピュータなどのユーザ端末装置からの印刷(画像形成)指令や画像データ等を受信することができる。
HDD103は、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。HDD103に格納されるプログラムやデータには、画像形成装置1の全体を制御するプログラムや各種アプリケーションプログラム、制御に必要な制御条件データ等がある。
外部インターフェース104は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、例えば、CD(Compact Disc)やDVD、SD(Secure Degital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体104aがある。画像形成装置1は、外部インターフェース104を介して、記録媒体104aの読み取りや書き込みを行うことができる。
RAM105は、プログラムやデータを一時保存する揮発性の半導体メモリである。ROM106は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである 。CPU107は、例えば、HDD103やROM106からプログラムやデータをRAM105上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。
図3は、本実施形態に係る定着装置の断面図である。定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21の外周面に対向する加圧部材としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱部材としてハロゲンヒータ23と、定着ベルト21の内周側に配置されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、ハロゲンヒータから放射される熱(輻射熱)又は光を定着ベルト21へ反射する反射部材26とを有する。定着装置20はさらに、定着ベルト21の温度を検知する定着温度検知手段としての温度センサ27と、加圧ローラ22の温度を検知する加圧温度検知手段としての温度センサ28を備える。温度センサ27は非接触式温度センサ、温度センサ28は接触式温度センサであるがこれに限られない。
画像形成装置1本体に設けられたモータ等の周知の駆動源が加圧ローラ22を回転駆動する。加圧ローラ22が回転すると、定着ベルト21は加圧ローラ22と接触しているため、摩擦により定着ベルト21にその駆動力が伝達され、定着ベルト21は加圧ローラ22の回転に従って回転する。定着ベルト21の内側、つまり加圧ローラ22の反対側は、ニップ形成部材24と接触しながら回転することになる。定着装置20に搬送された用紙Pは、定着ベルト21と加圧ローラ22の間に供給される。用紙Pが定着ベルト21と加圧ローラ22に挟まれてニップN位置を通過するときに、ニップNで与えられる熱と圧力によってトナー画像が用紙Pに定着される。
定着ベルト21、加圧ローラ22、ハロゲンヒータ23、ニップ形成部材24、ステー25は、いずれも定着ベルト21の回転軸方向(図紙面に垂直方向)に延びる長さを有している(以下「長手方向」という場合がある)。そして、この回転軸に対し略直角に用紙Pが搬送される方向に、それぞれニップNを形成するのに必要な長さを有している(以下「短手方向」という場合がある)。
また、本実施例では加圧ローラ22の直径を20〜40mmに設定しており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径を同等となるように構成している。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、ニップNにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、ニップNから排出される用紙Pが定着ベルト21から分離されやすくなる。
ハロゲンヒータ23は、周知の電源から供給される電力により発熱する。その発熱は、温度センサ27による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて制御される。このようなハロゲンヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21を、所望の温度に維持できる。所望の温度の例としては、トナーを安定的に定着するための定着目標温度、次の定着までに維持しておく定着目標温度より低い温度、スリープ時温度等がある。ハロゲンヒータ23は一例として、長手方向に伸びたフィラメント線を長手方向に伸びたガラス管の中に不活性ガスであるハロゲンガスをとともに封入して構成される。フィラメント線を密に巻きながら長手方向に伸びている部分は特に多く発熱し、発熱部として形成することが出来る。
ニップ形成部材24は、耐熱性に富む樹脂材料、例えばポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等で形成されている。ニップ形成部材24は、ステー25によって支持されている。これにより、加圧ローラ22による加圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、定着ベルト21と加圧ローラ22の対向領域の長手方向全体で均一なニップ幅を形成することができる。
また、ニップ形成部材24は、定着ベルト側の表面に低摩擦シートを有していてもよい。定着ベルト21が回転する際、この低摩擦シートに対し定着ベルト21が接することで、定着ベルト21に生じる摩擦力が低減され、定着ベルト21への負荷が軽減される。低摩擦シートの素材としては、例えば、東レ社製のトヨフロン(登録商標)401等が好ましい。
ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス等の鋼材をはじめとする金属材料で形成されるが、撓み防止に十分な効果があれば樹脂材料で形成してもよい。
反射部材26は、ステー25とハロゲンヒータ23との間に配置されている。本実施形態では、反射部材26をステー25に固定している。また、反射部材26は、ハロゲンヒータ23によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。このように反射部材26を配置していることにより、ハロゲンヒータ23からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されて散逸するのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。
反射部材26の材料としては、アルミニウムやステンレス等が用いられる。特に、アルミニウム製の基材に輻射率の低い(反射率の高い)銀を蒸着したものを用いた場合、定着ベルト21の加熱効率を向上させることが可能である。
図4は、別の実施形態に係る定着装置の断面図である。本実施形態では、ハロゲンヒータ23が二つのハロゲンヒータ23a,23bを有する。各ハロゲンヒータ23a,23bは、定着ベルト21内の用紙P搬送方向上流側の領域において定着ベルト21と直接対向しており、この上流側の領域において定着ベルト21は直接加熱される。
また、各ハロゲンヒータ23a,23bは、周知の電源部により、それぞれ出力制御されて発熱する。その出力制御は、温度センサ29による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなヒータ23の出力制御によって、第一の実施形態と同様、定着ベルト21は所望の温度に維持できる。
本実施形態のニップ形成部材24は、基材241と熱伝導部材242とを有する。熱伝導部材242は、基材241のニップN側に配置されている。また、基材241は、ステー25によって支持されている。これにより、加圧ローラ22による加圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、定着ベルト21と加圧ローラ22の対向領域の長手方向に均一なニップ幅を形成することができる。
熱伝導部材242は、その定着装置内の用紙P搬送方向にみて両端部が、長手方向にわたってニップと反対側へ向かって伸びている。基材241はその両側の伸長部の間に設けられている。定着ベルト21の回転に伴って、定着ベルト21と低摩擦シート243、熱伝導部材242間に生じる摩擦により、基材241と熱伝導部材242との間で用紙P搬送方向にずれを生じさせる力が働くことがある。その際には、基材241が熱伝導部材242の伸長部の間に設けられている為、基材241と熱伝導部材242との用紙P搬送方向の位置がずれるのを防止し、互いの位置を維持することができる。
また、熱伝導部材242のニップN側の面には、低摩擦シート243が取り付けられている。定着ベルト21が回転すると、この低摩擦シート243に定着ベルト21の内周面が接触して回転することで、定着ベルト21に作用する摩擦力の低減が図られる。なお、低摩擦シート243を省略することも可能である。
反射部材26は、ステー25とハロゲンヒータ23a,23bとの間に配置され、ステー25に固定支持されている。第一の実施例同様、この反射部材26によって、ハロゲンヒータ23a,23bからの熱を定着ベルト21へ反射することで、熱がステー25等に伝達されるのを抑制し、定着ベルト21を効率良く加熱できるようにして省エネルギー化を図っている。
2本のハロゲンヒータ23a,23bは、図5に示すように互いに異なる領域に発熱部を有するヒータで構成されている。一方のハロゲンヒータ23aは、定着ベルトの長手方向中央側に発熱部(発光部)h1を有する第1加熱部材としての中央ヒータであり、他方のハロゲンヒータ23bは、定着ベルトの長手方向両端部側に発熱部(発光部)h2を有する第2加熱部材としての端部ヒータである。また、端部ヒータ23bの各発熱部h2における内側端部(定着ベルト21の長手方向中央側の端部)は、中央ヒータ23aの発熱部h1の両端部に対応する位置に配置されている。
図4において、幅Aはハガキサイズに対応し、幅A’はA4縦サイズ、幅BはB4縦サイズ、幅CはA3縦サイズ、幅DはA3ノビサイズにそれぞれ対応する。ハガキサイズ(幅A)およびA4縦サイズ(幅A’)の用紙の定着処理を行う場合は、中央ヒータ23aのみに通電し、長手方向中央側の発熱部h1を発熱させる。一方、B4縦サイズ(幅B),A3縦サイズ(幅C),A3ノビサイズ(幅D)の用紙の定着処理を行う場合は、中央ヒータ23aと端部ヒータ23bの両方に通電し、長手方向中央側の発熱部h1と長手方向両端部側の発熱部h2を発熱させる。
本実施形態では、ハロゲンヒータは2本設けられているが、プリンタで使用する用紙のサイズ等に応じて、ハロゲンヒータの本数を3本以上としてもよい。また、定着ベルト21を輻射熱を用いて加熱する加熱部材として、ハロゲンヒータ以外にカーボンヒータ等を用いることも可能である。
図3、図4に示す定着ベルト21の長手方向端部構成について述べる。図6に示されるように、定着ベルト21の端部にはベルト保持部材40が配置されている。ベルト保持部材40は保持部401を有し、保持部401が定着ベルト21の内周側に挿入されている。図6には定着ベルトの片側端部が示されているが、定着ベルト21は、その両端部側でベルト保持部材40によって回転可能に支持されている。
基本的にベルト保持部材40以外に定着ベルト21を支持する部材は存在しない。つまり、定着ベルト21は、ローラ等に架け渡されていない無張架の状態にある。ベルト保持部材40は、ハロゲンヒータ23及びステー25と共に、定着ベルト21の回転軸方向両側に設けられた一対の側板に固定支持されている。
ベルト保持部材40は、定着ベルト21を回転可能に保持する保持部401と、定着ベルト21の回転軸方向の寄りを規制する規制部402と、定着装置の側板にネジなどの締結具で固定される固定部403とを有する。保持部401は、周方向の一部に開口部404を有する部分円筒状に形成されている。この保持部401が定着ベルト21の端部内に挿入されることで、定着ベルト21が保持部401によって回転可能に保持される。各部材を組み付けた状態では、保持部401の開口部404にはニップ形成部材24の端部が配置される。
規制部402は、少なくとも定着ベルト21の外径よりも大きく形成されている。図6に示すように、定着ベルト21は、その端部が規制部402に対向した状態で配置される。そして、駆動中に定着ベルト21に回転軸方向への寄り移動が生じた場合は、定着ベルト21の端部が規制部402に当接することでその寄り移動が規制される。
図7に、本実施形態に係る定着装置20を制御する制御ブロック図の一例を示す。制御手段としての制御部200は、コントローラ部201と画像形成制御部202と記憶部203を備えている。
コントローラ部201は、CPU107、ROM106、RAM105等を備え、画像形成制御部202、操作部101、外部通信インターフェース102等と接続されている。コントローラ部201は、予め組み込まれている制御プログラムを実行することにより、画像形成装置1全体の制御や、外部通信インターフェース102及び操作部101からの入力の制御等を行う。
例えば、コントローラ部201は、操作部101を介して入力されたユーザからの指示入力を受け付け、その指示入力に従って各種処理を行う。また、コントローラ部201は、外部通信インターフェース102を介して外部のホストコンピュータ等から印刷(画像形成)の指令や画像データを受信し、画像形成制御部202を制御し、用紙Pにカラー画像やモノクロ画像を形成して出力する画像形成部100の動作を制御する。
画像形成制御部202は、コントローラ部201、記憶部203、各種の検知部材等と接続され、コントローラ部201からの指令に基づいて、予め組み込まれている制御プログラムを実行する。制御プログラムを実行することにより、画像形成部100内の各装置、例えば図1で説明した各作像部、光学系ユニット9、給紙ローラ11、レジストローラ12、排紙ローラ13、定着装置20、さらに、制御に必要な時間を計測する時間計測手段37、レジストローラ駆動部38、各種モータを駆動するモータ駆動部39等の制御が可能である。
記憶部203は例えばHDD103によって実現され、画像形成部100内の各装置を制御する為に用いられる制御条件データである条件テーブル等を記憶可能である。
画像形成制御部202は、コントローラ部201からの印刷の指令や画像データに基づき、画像形成装置内の各装置へ印刷命令を行う。各装置は、印刷命令に基づいてそれぞれが画像形成で行う動作が可能な状態まで必要な立ち上げが行われ、画像形成制御部202は各装置が必要な立ち上げが完了すると用紙Pへの画像形成がスタートする。
立ち上げの一例として、図3、図4に示される定着装置20について説明する。画像形成制御部202が、定着ベルト21の温度を、印刷命令が行われた時点の温度から上昇させ、トナーを定着可能な温度までになった時点で立ち上げが完了となり、通紙、つまり立ち上げ完了後に用紙Pを定着装置20へ搬送することが可能となる。この搬送の結果、用紙P上のトナーが定着され、定着装置20から出て、さらに図1で説明した排紙トレイ14へ排紙される。通紙は用紙一枚で完了するものに限らず、印刷の指令や画像データの内容が複数枚の用紙を連続して印刷するものであれば、立ち上げ後、複数枚の用紙を一連の印刷として連続して搬送(以下連続通紙ということがある。)して完了することもある。
このとき、定着装置20以外で立ち上げが完了している各装置は、それぞれ画像形成の為の動作を始めることも可能である。定着装置20の立ち上げを待って、定着装置20へ通紙を行えばよい。
本実施形態に係る定着装置20は、省エネルギー性及び、ファーストプリント時間(ホストコンピュータの印刷指令から1頁目がプリンタから排出されるまでの時間)等に影響する装置立ち上げ早さの向上のために、種々の構成上の工夫が施されている。具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップN以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。本実施形態では、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21の間に何も介在させない部分を設け、その部分においてハロゲンヒータ23からの輻射熱を定着ベルト21に直接与えるようにしている。従来、内部に加熱部材を有するローラを含む複数のローラに定着ベルトを掛け渡し、加熱部材を有するローラで定着ベルトを加熱する方式、また定着ベルトの内周に設けた金属パイプで定着ベルトを加熱する方式等があった。それらに対し定着ベルト21を直接加熱しているため、効率よく加熱することができる。
さらに、定着ベルト21は低熱容量化を図るために、薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20〜50μm、100〜300μm、10〜50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。 また、定着ベルト21の直径は、20〜40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS(ステンレス鋼)等の金属材料又はPI(ポリイミド)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などで形成された外周側の離型層によって構成され、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)に形成されている。基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性の向上を達成できるが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラを生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。
加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴムといったゴム材料等から成る弾性層22bと、弾性層22bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cとによって構成されている。加圧ローラ22は、加圧機構によって定着ベルト21側へ加圧され、ニップ形成部材24との間で定着ベルト21を挟んでいる。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップが形成されている。加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。
また、加圧ローラ22の弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、スポンジゴム、つまり内部に気泡を有するゴムの方が、気泡により断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。以降、ソリッドゴムを用いた加圧ローラをソリッドローラ、スポンジゴムを用いた加圧ローラをスポンジローラと呼ぶことがある。
図8を用いて、加圧部材にソリッドローラとスポンジローラを用いた場合それぞれの定着部材、加圧部材表面の昇温の傾向について説明する。図8において破線は内部に加熱部材を有する定着部材としての定着ベルトと、スポンジローラである加圧ローラとの組み合わせで前述の定着装置立ち上げを行った場合の、それぞれの表面温度経時変化を示す。実線は、定着ベルトとソリッドローラからなる加圧ローラとの組み合わせを示す。破線、実線どちらにおいても、定着ベルトの表面温度を定着目標温度まで上昇させ維持する為に、定着ベルト表面温度を検知して加熱部材のフィードバックを行っている。定着ベルトと加圧ローラが接触しながら回転することで定着ベルトの熱が加圧ローラに伝わって加圧ローラの表面温度は上昇する。加圧ローラを加熱する別の加熱手段はないため、加圧ローラの表面温度は定着ベルトに遅れて上昇している。
次に、破線の場合と実線の場合との、昇温の傾向の相違について述べる。ソリッドローラと比較してスポンジローラはスポンジ状のゴムの為、ローラ内の気泡の存在により断熱性が高い。その為ソリッドローラと比較すると定着ベルト表面から加圧ローラ表面に伝わった熱が、加圧ローラ内部へ伝熱しにくく、加圧ローラ表面にとどまりやすい。つまり定着ベルト表面から加圧ローラ表面を通って加圧ローラ内部へ伝熱して奪われる量が、スポンジローラの方が時間あたりで少ない。その分、図8に示されているように、スポンジローラを用いた方が、定着ベルト表面が所望の温度まで早く到達でき、その結果立ち上げに必要な待ち時間が少なくできる。
次に図9、図10、図11を用いて、従来の定着装置の課題について述べる。図9は定着装置の立ち上げを行う際の、定着ベルトの温度、加圧ローラの温度を検知するセンサの出力を示す。図9中、「定着部材温度」が定着ベルトの温度を、「加圧部材温度」が加圧ローラの温度をそれぞれ示す。印刷命令を受信すると、制御部200は、定着ベルトの温度を定着目標温度に向かって制御する。定着目標温度は安定的にトナーの定着が行える温度であり、一例として140℃とする。定着ベルトの加熱が始まると定着ベルトは定着目標温度近傍で温度の上下動を繰り返しながら定着目標温度へと収束していく。定着目標温度に収束する過程で、定着ベルトが定着準備温度に到達すると、制御部が定着装置の立ち上げが完了したと判断し、印刷命令を受信したあとの初めて通紙を開始、つまり定着装置20への用紙搬送を開始する。定着準備温度は、その温度に到達後に通紙を行えば、定着性の問題、例えばコールドオフセットと呼ばれるトナーと用紙との界面付近が十分溶かされない場合に生じる画像抜け等、を起こさない温度であり、一例として180℃とする。
ここで、図7に基づく説明でも述べたとおり、定着ベルトの温度はフィードバック制御されているが、これにより加圧ローラは定着ベルトからの伝熱によって後追いで温度が上昇する。この時、加圧ローラは薄膜である定着ベルトに比べて熱容量が大きいため、定着ベルトから加圧ローラ表面に伝わった熱は加圧ローラ内部に吸収されていく。したがって加熱を始めてしばらく加圧ローラ表面温度は定着ベルト表面温度の昇温に追従しない。ある程度加圧ローラに蓄熱が行われると、定着ベルト温度表面と加圧ローラ表面温度差が小さい状態で追従するようになる。
そのため、図9中のA、つまり定着準備温度に到達時点と、それからある時間経ったBの時点で通紙をする場合とで定着ベルトと加圧ローラの温度差が大きく異なることとなる。つまりAの時点では、定着性には問題が無いものの、Bの時点と比較して温度差が大きいため、通紙した紙の表と裏の温度差が大きく、カール量が大きくなる。
また、一般的に、通紙した際に加圧ローラ表面の熱は用紙に奪われるが、加圧ローラの蓄熱が少ないと、通紙による表面温度低下の度合いも大きくなる。図10を用いて説明する。図10中に破線であらわされるのは、定着ベルトからの伝熱による加熱開始時点で加圧ローラの温度が低く蓄熱が小さい状態の加圧ローラ表面温度である。実線であらわされるのは、元々温度が高く蓄熱が大きい加圧ローラの表面温度である。それぞれを同じ表面温度まで上昇させ、連続通紙を行った。その際、それぞれを同じ表面温度まで上昇させても、破線で示した方は内部の蓄熱が小さい分、通紙した時の表面温度低下が大きくなる。つまりその分、通紙した際に定着ベルトとの温度差が大きくなることを示している。
図11は通紙前後の加圧ローラの表面温度の時間変化を表すグラフである。図10で説明したように、断熱スポンジローラはソリッドローラよりも表面温度の上昇が早いため、例えばファーストプリントまでの時間を短くするのに有利である。その反面、スポンジローラは熱容量が小さいため、蓄熱しにくい。したがって例えば両ローラが同じ表面温度にある程度安定した状態で通紙すると、スポンジローラの方は蓄熱が少ない分、用紙に熱が奪われた時の表面温度の落ち込みが大きくなる。つまり通紙前と通紙時で、定着ベルトと加圧ローラとの温度差が、スポンジローラを使用した時の方が、ソリッドローラを使用する時より大きくなることになることが新たにわかった。
特にトレイに調湿されていない状態で放置された紙はカールの一因である湿度を多く含む。例えば、前夜から使用されていない定着装置によって翌朝に、湿度を多く含む紙に対して定着を実行する場合、定着装置はほぼ室温まで下がっており、加圧ローラの蓄熱も最も低い状態のため、定着通過後の用紙にカールが発生しやすい。このような状況においてもカールを発生させないことが望まれている。
そこで、コールドオフセット等、定着性の問題を出さないためにはAの時点で通紙可能なところ、Bまで待って通紙を開始することでカール量を低減しつつ、待ち時間を少なくすることが求められる。
図12は、定着装置20立ち上げを前回の通紙動作完了から4時間以上経過してから行ったときの定着ベルト21と加圧ローラ22表面の温度変化である。図13は、前回の通紙動作完了から1分以上30分未満の間で行ったときの温度変化である。
図13に示す状態では図12と比較して定着ベルト21、加圧ローラ22に前回通紙の余熱がまだ残っている分、表面温度自体が高い。また空気等への放熱も進んでいないため加圧ローラ22内部の蓄熱も多い分、加圧ローラ22の上昇も早い。その結果、定着準備到達から5秒程度で定着ベルト21加圧ローラ22との温度差はカールが発生しない程度になっている。
それに対し図12に示す状態では同程度の温度差になるために30秒程度を要している。また前回通紙から時間が経っているため放熱が進んでおり、加圧ローラ22内部の蓄熱も少ない為、表面温度が同程度になったとしても通紙時の温度の落ち込みが大きくなりやすい。したがって長く加熱して内部の蓄熱を増やす必要がある。
つまり、図12に示す状態と比較して図13に示す状態の方が定着ベルト21と加圧ローラ22とで表面温度が早く近づく、つまり差が早く小さくなる分、早く印刷を行ってもカールは発生しにくい。
そこで本発明は、前回の通紙動作完了からの時間によって、定着準備温度到達後に通紙を開始(定着装置20に用紙Pを搬送開始)する条件を変更し、通紙を開始するタイミングを変更している。
図14に通紙を開始するまでの処理フローを示す。印刷指示(S1)後、制御部200は、前回通紙動作完了後からの時間情報を取得する(S2)。制御部200は、時間情報に基づき通紙開始条件を、定着ベルト21と加圧ローラ22の温度差が小さくなるタイミングになるように、再設定する(S3)。具体的には、記憶部203に前回通紙動作完了後から今回の印刷指示までの時間と、通紙を開始するタイミングを決める条件とを対応付けたテーブルを保存しておく。制御部200は、前回通紙動作完了後から今回の印刷指示までの時間をキーにテーブルを検索して、通紙を開始するタイミングを決める条件を抽出して設定する。
その後、定着目標温度への温度制御をするために、加熱動作、つまり定着ベルト21の加熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22の接触回転を開始する(S4)。加熱と接触回転それぞれの開始は同時であっても、どちらかが先であってもよい。その後、まず、制御部200は、定着ベルト21の温度が定着準備温度に到達したか否かを判断する(S5)。制御部200が定着ベルト21の温度が定着準備温度に到達したと判断した場合には、さらに通紙開始条件に合致したか否かを判断する(S6)。制御部200は通紙開始条件に合致したと判断した場合には、その時点で定着装置20に対して通紙を開始するよう、制御する(S7)。
ステップS2における前回通紙動作完了後からの時間情報の取得は、例えば、制御部200が、前回の最後の用紙の後端が定着装置から排出された時間を周知の紙センサで検知した時間を通紙動作完了時点として記憶部203に記憶しておき、今回の印刷指示が行われた時間とを比較することによって取得できる。
前回通紙動作完了の他の例として、用紙の後端が排出された後、定着目標温度への制御をやめて加熱を停止したときや、定着目標温度への制御をやめてレディ状態、スリープ状態、スタンバイ状態等への制御を開始したときなどでもよい。ステップS3の通紙開始条件の再設定は、通紙開始条件が今まで設定されていた条件から変更される場合もあるし、変更されない場合もある。変更されない場合の一例としては前回通紙動作完了から1分経過していない場合などがある。
印刷指示が行われた時間の例としては、操作部101を介してユーザが指示入力を行った時点、外部のホストコンピュータ装置等でユーザが印刷の指令を行った時点、画像形成制御部202が、画像形成部100内の各装置へ印刷命令を行った時点等がある。
再設定する通紙開始条件として、定着準備温度に到達してからの経過時間を採用することができる。例えば、表1に示すテーブルを定着装置制御の条件として記録部203にあらかじめ記憶しておく。表1のテーブルは、前回通紙動作完了後から今回の印刷指示までの時間(表中、前回通紙動作完了からの経過時間)と、通紙を開始するタイミングを決める条件として定着準備温度到達から通紙開始までの時間(表中、定着準備温度到達から通紙開始までの時間)とを対応付けている。表1は、前回通紙動作完了からの経過時間が長いほど、定着準備温度に到達してから通紙開始までの時間が長くなるように対応づけている。
この場合、図15のフローに示すように、制御部200は、印刷指示(S9)後、前回通紙動作完了後からの時間情報を取得する(S10)。制御部200は、時間情報に基づき通紙開始時間を決定し、再設定する(S11)。この場合には、定着準備温度に達してからの経過時間を通紙開始時間として再設定する。
その後、定着目標温度への温度制御として加熱動作、つまり定着ベルト21の加熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22の接触回転を開始する(S12)。加熱と接触回転それぞれの開始は同時であってもどちらかが先であってもよい。その後、まず、制御部200は、定着ベルト21が定着準備温度に到達したか否かを判断する(S13)。制御部200が定着ベルト21の温度が定着準備温度に到達したと判断した場合には、さらに定着準備温度に達してからの経過時間が再設定された時間を経過したか否かを判断する(S14)。制御部200は、定着準備温度に達してからの経過時間が再設定された時間を経過したと判断した場合に、その時点で定着装置20への通紙を開始するよう、制御する(S15)。
再設定する開始条件として、定着ベルト21と加圧ローラ22の温度を採用することができる。例えば表2、表3に示されるテーブルを定着装置制御の条件として記録部203にあらかじめ記憶しておく。表2、表3のテーブルは、前回通紙動作完了後から今回の印刷指示までの時間(表中、前回通紙動作完了からの経過時間)と、通紙を開始するタイミングを決める条件として定着準備温度到達後の定着部材温度(表中、定着部材温度)と定着準備温度到達後の加圧部材温度(表中、加圧部材温度)とを対応付けている。図16のフローに示すように、印刷指示(S17)後、制御部200は、前回通紙動作完了後からの時間情報を取得する(S18)。制御部200は、時間情報に基づき通紙開始温度を再設定する(S19)。
この場合には、表2、表3に示されるように定着ベルト21と加圧ローラ22の温度を通紙開始温度として決定し、再設定する。ここで、定着ベルト21の温度は、その上限が設定され、これを定着部材上限温度ということもできる。同様に加圧ローラ22の温度は、その下限が設定され、これを加圧部材下限温度ということもできる。
次に定着目標温度への温度制御として加熱動作、つまり定着ベルト21の加熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22の接触回転を開始する(S12)。加熱と接触回転それぞれの開始は同時であってもどちらかが先であってもよい。その後、制御部200は、定着ベルト21が定着目標温度に到達したか否かを判断する(S21)。制御部200が定着ベルト21の温度が定着準備温度に到達したと判断した場合には、さらに表2、表3に示される通紙開始定着温度、すなわち、定着ベルト21が設定した温度に到達したか否かを判断する(S22)。制御部200が通紙開始定着温度に到達したと判断した場合には、さらに通紙開始加圧温度、すなわち加圧ローラ22が再設定した温度に到達したか否か(S23)を判断する。制御部200が通紙開始加圧温度に到達したと判断した場合には、通紙を開始する(S24)。
表2では150℃に到達した時点を通紙開始定着温度としている。定着ベルト21が定着準備温度180℃から定着目標温度140℃へと近づく過程で、ある程度加圧ローラ22の温度へ近づき、つまり定着ベルト21と加圧ローラ22との温度差が小さくなった時点である。表2において、この通紙開始定着温度は、前回通紙動作完了からの経過時間によらず同じく150℃である。一方、通紙開始加圧温度は、蓄熱の違いによる通紙時の温度低下を考慮し、前回通紙動作完了からの経過時間が長いほど高く設定して、通紙開始タイミングを決定する条件を変更している。
表3は、表2の加圧部材温度の変更に加え、通紙開始定着温度を前回通紙動作完了からの経過時間が長いほど低くなるよう対応付けることで、通紙開始定着温度を変更する。加圧ローラ22の蓄熱が多ければ通紙時の温度落ち込みは小さいため定着ベルト21側温度が比較的高くてもカールは発生しにくい。つまり蓄熱が多ければ通紙開始定着温度条件を表2よりも緩くすることができる。表2と比較して特に蓄熱が多い時のよりファーストプリントをより早くすることができる。
再設定する開始条件として、定着ベルト21と加圧ローラ22の温度差を採用することができる。例えば、表4に示すテーブルを定着装置制御の条件としてあらかじめ記憶部203に記憶しておく。表4のテーブルは、前回通紙動作完了後から今回の印刷指示までの時間(表中、前回通紙動作完了からの経過時間)と、通紙を開始するタイミングを決める条件として定着準備温度到達後の定着部材温度と加圧部材温度との温度差(表中、定着部材と加圧部材温度差)とを対応付けている。表4は前回通紙動作完了からの経過時間が長いほど、通紙開始できる温度差を小さくしている。この場合、図17のフローに示すように、制御部200は、印刷指示(S26)後、前回通紙動作完了後からの時間情報を取得する(S27)。制御部200は、時間情報に基づき通紙開始温度差を決定し、再設定する(S28)。
この場合には、定着ベルト21と加圧ローラ22の温度差を通紙開始温度差として再設定する。その後定着目標温度への温度制御として加熱動作、つまり定着ベルト21の加熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22の接触回転を開始する(S29)。加熱と接触回転それぞれの開始は同時であってもどちらかが先であってもよい。その後、まず、制御部200は、定着ベルト21が定着準備温度に到達したか否かを判断する(S30)。制御部200が定着ベルト21の温度が定着準備温度に到達したと判断した場合には、さらに通紙開始温度差が再設定された温度差の値に到達した否かを判断する(S31)。制御部200は、通紙開始温度差が再設定された温度差の値に到達したと判断した場合に、その時点で定着装置20への通紙を開始するよう、制御する(S32)。
さらに、上述の通紙開始条件に合致していなくても、あらかじめ決めた所定の時間(通紙許可時間)が経過した場合には、通紙を行うことにしてもよい。例えば、印刷指示を受けてから定着準備温度に到達するまで通常よりも長い時間がかかっている場合は、定着準備温度に到達した時点で、カールが発生しない程度に加圧ローラが十分蓄熱がなされていることがある。その場合は図18に示すように、通紙開始条件を満たしていなくても、通紙許可時間として、印刷指示を受けてから定着準備温度に到達するまでの時間が一定以上であれば通紙する(S40)ことで、待ち時間を少なくすることができる。
また、通紙開始条件が表2〜4のように温度条件の場合は、一時的なセンサの故障により、実際には所定の条件を満たしていても検知できない場合もある。その場合は図19の通紙許可時間として、例えば定着準備温度到達から30秒という条件を設定すれば、表2〜4の条件に合致しなくても通紙を行うこととする。センサの故障等が理由で通紙が開始されない不具合を解消することができる。