以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。この画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、そのプリンタ本体の中央には、中間転写ベルト30の展張方向に沿って4つの作像部4Y、4C、4M、4Kが並設されている。各作像部4Y、4C、4M、4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容する以外は、同じ構成である。
具体的に、それぞれ画像ステーションを構成する各作像部4Y、4C、4M、4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備えている。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに色用符号を付し、その他の作像部4Y、4C、4Mにおいては符号を省略している。
作像部4Y、4C、4M、4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
作像部4Y、4C、4M、4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36とを備える。更に、転写装置3は二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33、テンションローラ34、及びベルトクリーニング装置35を備えている。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、プリンタ本体の電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にもプリンタ本体の電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には補給用のトナーを収容した4つのトナーボトル2Y、2C、2M、2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y、2C、2M、2Kと各現像装置7との間には、周知のように補給路が設けられ、この補給路を介して各トナーボトル2Y、2C、2M、2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録材としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11などが設けられている。ここで、記録材には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。また、周知のように、手差し給紙機構が設けられていてもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ(位置合わせローラ)12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。更に、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けられている。
本実施形態に係るプリンタの基本的動作は次のようである。作像動作が開始されると、各作像部4Y、4C、4M、4Kにおける各感光体5が図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。各感光体5の表面は、その後、除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によってタイミングを計られ、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、そのニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーはプリンタ本体内に置かれた廃トナー収容器へと搬送され、回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y、4C、4M、4Kの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
図2は、定着装置20の一実施形態を示す概略的な断面構成図である。定着装置20は、薄肉で可撓性を有し回転可能な無端状で筒状の定着部材である定着ベルト21と、この定着ベルト21の外周側から当接する対向回転体である加圧ローラ22とを有している。定着ベルト21は、その内部(ループ内)に配された複数の熱源としてのハロゲンヒータ23A,23B(以下、第1ハロゲンヒータ23A、第2ハロゲンヒータ23Bともいう)の輻射熱によって加熱される。なお、ハロゲンヒータは、主たる熱源としての輻射型熱源を代表するものである。
更に、定着ベルト21の内側(内部)には、定着ベルト21を介して加圧ローラ22とで定着ニップNを形成するニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持するステー部材25(支持部材)とが配されている。定着ベルト21の幅方向(長手方向)に亘って配されたニップ形成部材24が、ステー部材25によって固定支持されることで、加圧ローラ22からの圧力によってニップ形成部材24に撓みが生じることを防止し、加圧ローラ22の軸方向(長手方向)に亘って均一なニップ幅が得られるようになっている。なお、ニップ形成部材24は、機械的強度が高く耐熱温度200℃以上の耐熱性部材、特に耐熱性樹脂、例えばポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、それらをガラス繊維で強化したもので構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材24の変形を防止し、安定した定着ニップの状態を確保し、出力画質の安定化を図っている。また、ステー部材25やハロゲンヒータ23A,23Bは、その長手方向両端を、定着装置20の側板あるいは別途設けられたホルダに固定保持されている。ニップ形成部材24の長手方向両端部には、主たる熱源(定着熱源)とは別の端部熱源としての端部ヒータ26が一体に取り付けられている。端部ヒータとしては、一般的に、セラミックセータのような抵抗発熱体である接触伝熱型熱源が用いられる。
定着ベルトの長手方向における温度勾配を緩くする均熱部材とも称される熱移動補助部材27が、ニップ形成部材24及び端部ヒータ26の、定着ベルト21の内周面に対向する各面を覆うように配されている。熱移動補助部材27は、短時間で熱移動が可能となる熱伝導率の高い材料、例えば銅、アルミニウム、銀などで形成されている。これにより、小サイズ紙の通紙時や端部ヒータ26点灯時に定着ベルト21の端部領域に熱が留まることを防止して、熱移動補助部材27の長手方向に熱を積極的に移動させて、定着ベルト21の長手方向の温度不均一を解消させる。
図2の描写では、熱移動補助部材27の定着ベルト21の内周面に対向する面が、定着ベルト21に直接接触する面であり、ニップ形成面となっており、平坦状に形成されているが、凹形状やその他の形状であってもよい。ニップ形成面が凹形状であると、用紙先端の排出方向が加圧ローラ寄りになり、分離性が向上してジャムの発生が抑制される。
周知のように、定着ベルト21の外周側の適切な位置、例えば定着ニップのベルト回転方向上流側には、ベルト温度を検知する温度センサ29が設けられており、定着装置20の用紙搬送方向下流側には、定着ベルト21から用紙Pを分離する分離部材41が配されている。更に、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する解除可能な加圧手段も設けられている。
低熱容量化を図るため、フィルムのように薄肉で小径化した無端状の定着ベルト21は、ニッケルやSUSなどの金属材料やポリイミドなどの樹脂材料で形成された内周側の基材と、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。基材と離型層の間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、あるいはフッ素ゴムなどのゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。この弾性層の厚さを100μm程度にすれば、未定着トナーを押し潰して定着させるときに弾性層の弾性変形により、ベルト表面の微小な凹凸を吸収でき、光沢ムラの発生を回避できる。低熱容量化の観点から、定着ベルト21は、全体として厚さ1mm以下に、直径20〜40mmに設定されている。そして、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さは、20〜50μm、100〜300μm、10〜50μmの範囲に設定されている。更に、低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、更に望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよく、直径は30mm以下とするのが望ましい。
断面T字状のステー部材25は、定着ニップN側と反対側が起立した起立部25aを有しており、主たる熱源としてのハロゲンヒータ23A,23Bが起立部25aによって隔てられるように配置されている。ハロゲンヒータ23A,23Bは、一方が小サイズ紙に対応した長手方向中央部に発熱部を有するものであり、他方が大サイズ紙に対応して長手方向両端部に発熱部を有するものである。ハロゲンヒータ23A,23Bは、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されており、その出力制御は、定着ベルト21の外周に設けられた温度センサ29によるベルト表面の温度検知結果に基づいて行われる。このようなヒータの出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。
また、ステー部材25とハロゲンヒータ23A,23Bの間には反射部材28A,28Bが配されている。これにより、ハロゲンヒータ23A,23Bの定着ベルト21に対する加熱効率を上げると共に、ハロゲンヒータ23A,23Bからの輻射熱によりステー部材25が加熱されることによる無駄なエネルギー消費を抑制できる。反射部材28A,28Bを備える代わりに、ステー部材25表面に断熱若しくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることができる。
加圧ローラ22は、芯金と、芯金の表面に設けられた発泡性シリコーンゴムやフッ素ゴムなどから成る弾性層と、弾性層の表面に設けられたPFAやPTFEなどから成る離型層とによって構成されている。バネなどの加圧手段により加圧ローラ22が定着ベルト21に押し付けられ定着ベルト21と圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層が押し潰されることで、所定幅の定着ニップNが形成される。加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられたモータなどの駆動源によって回転駆動する。加圧ローラ22が回転駆動すると、その駆動力が定着ニップNで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転する。定着ベルト21は。定着ニップNで挟み込まれて回転し、定着ニップN以外では両端部に配された側板フランジにガイドされ、走行する。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータなどの熱源を配設してもよい。弾性層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラの内部に熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
図3は、ニップ形成ユニットの基本構成を示す斜視図である。図3に示すように、ニップ形成ユニットは、ニップ形成部材24、ステー部材25、熱移動補助部材27、端部ヒータ26a,26bによって構成される。ニップ形成ユニットでは、ニップ形成部材24の、定着ニップN側と反対側の面が、ステー部材25の定着ニップN側の平面と一体化される。この際、それぞれの面にボスとピンのような凹凸形状を形成させて、これらを形状拘束的に嵌め合わせるようにしてもよい。熱移動補助部材27は、略直方体状のニップ形成部材24の、定着ベルト21の内周面に対向する面を覆うように嵌め合わされて一体化される。熱移動補助部材27とニップ形成部材24の一体構成は、爪などを設けて噛み合わせればよいが、接着などを用いてもよい。ニップ形成部材24の長手方向の両端部には、段差部としての凹部24a,24bが形成され、これらの箇所には端部ヒータ26a,26bが収容され、固定されている。なお、端部ヒータ26a,26bは、凹部に設けられる態様に限定されず、平坦部や凸部に設けられてもよい。これら端部ヒータ26a,26bとハロゲンヒータ23A,23Bの位置関係については、後述する。
熱移動補助部材27の定着ベルト21の内周面に対向する面は、ベルト摺接面27aとして構成されるが、機械的強度上、実質的にニップ形成面となるのはニップ形成部材24の加圧ローラ22に対向するニップ形成面24cである。
このように、本実施形態では、端部ヒータ26a,26bを、定着ニップを形成するために必要なニップ形成部材24に一体に設ける構成としたので、端部ヒータ26a,26bを定着ベルト21の内側に省スペースで配置できる。また、端部ヒータ26a,26bによる定着ベルト21の加熱部位は、ニップ領域内ある。そのため、特許文献2のように定着ニップNとは異なる部位で加熱することによる未定着残留トナーの再溶融の問題(品質低下)を生じない。
ところで、従来の定着装置は、図14に示すように、定着ベルト21の長手方向中央部を加熱するハロゲンヒータ23Aと、定着ベルト21の長手方向両端部を加熱するハロゲンヒータ23Bとは、並列に配置されている。そのため、一方のハロゲンヒータの輻射熱が他方のハロゲンヒータを加熱してしまう。また、2本のハロゲンヒータ23A,23Bは、反射部材38に囲まれているため、反射部材38での反射による輻射が減衰してしまう。更に、双方向矢印で示すように、ハロゲンヒータ23A,23Bからの輻射が定着ベルト21に直接当たる角度が狭められてしまう。そのため、加熱効率が低下する問題が生じる。
本実施形態の定着装置は、このような問題を解決する。
図4は、ニップ形成ユニット及びハロゲンヒータの構成を示す斜視図である。図4に示すように、ステー部材25は、断面が略L型の、第1部材25Aと第2部材25Bとからなり、断面が略T型に構成されている。そのため、剛性が高く、ニップ形成部材24が加圧ローラ22からの応力によって撓むことを防止できる。また、ステー部材25(第1部材25A及び第2部材25B)は、ニップ形成部材24の長手方向に直線的に延在し、ニップ形成部材24に固定されている。したがって、定着ニップNの長手方向全域に亘り、良好なニップ形成面を保つことができる。
起立部25aの短手方向両側には、それぞれ第1ハロゲンヒータ23A、第2ハロゲンヒータ23Bが配置されている。すなわち、第1、第2ハロゲンヒータ23A,23Bの発熱部は、それぞれ長手方向に異なる分布(図中の斜線部)を有し、支持部材である起立部25aにより相互に隔てられている。そのため、ヒータ点灯時に互いのガラス管を加熱しないので、加熱効率が下がらない。また、第1、第2ハロゲンヒータ23A,23Bは、ステー部材25に囲まれていない(各ハロゲンヒータ23の中心はステー部材25が囲む空間の外側にある)ため、照射角α、β(図2参照)が鈍角となり、加熱効率を向上できる。
なお、ステー部材25の断面形状は、略T型に限定されない。第1、第2ハロゲンヒータ23A,23Bを、起立部25aを挟み相互に仕切るような配置であればよく、第1部材25A及び第2部材25Bをハロゲンヒータの長手方向に曲線的に延在してもよい。また、第1部材25A及び第2部材25Bをニップ形成部材24のニップ形成面に対し、斜め方向に起立させてもよい。
続いて、A3ノビなどの特殊サイズの記録材に対応できる熱源の配置構成について説明する。図5は、ハロゲンヒータ及び端部ヒータの発熱部の配置を示す模式図である。図5に示すように、長手方向における中央部の配光分布が密である第1ハロゲンヒータ23Aと、長手方向における両端部の配光分布が密である第2ハロゲンヒータ23Bが、配置されている。すなわち、第1ハロゲンヒータ23Aは、定着ベルト21の中央範囲を加熱し、第2ハロゲンヒータ23Bは、定着ベルト21の側部範囲を加熱する。
第1ハロゲンヒータ23Aの発熱部40Aは、例えばA4タテサイズなどの小サイズの記録材に対応し、第2ハロゲンヒータ23Bの発熱部40Bは、第1ハロゲンヒータ23AでカバーできないA3タテサイズなどの使用可能な最大定形サイズの記録材の側部範囲をカバーする。すなわち、両ハロゲンヒータの発熱部40A,40Bからなる発熱範囲W1は、最大定形サイズの紙幅に対応し、最大定形サイズより大きいノビサイズの紙幅をカバーしていない。
一方、端部ヒータ26a,26bは、第2ハロゲンヒータ23Bの長手方向両端部に対応する位置にあり、最大定形サイズより大きいノビサイズ紙幅の両端部を加熱する発熱部42a,42bを有する。なお、ここでは、説明の都合上、定着ベルト21の長手方向の長手方向発熱領域42a,42bを端部ヒータ26a,26bの発熱部をとしているが、実際には、長手方向発熱領域42a,42bと定着ベルト21幅方向の幅方向発熱領域43a,43bとにより区画される領域(後述する抵抗発熱体51のパターン(発熱パターン37)が形成された領域)が、端部ヒータ26a,26bの発熱部となる。また、端部ヒータ26a,26bの発熱部42a,42bの一部は、ハロゲンヒータ23Bの発熱部40Bと重なる。これにより、定着装置20は、最大定形サイズより大きいノビサイズ紙幅の両端にも対応できる。すなわち、両ハロゲンヒータ23A,23Bの発熱部40A,40Bと、両端部ヒータ26a,26bの発熱部42a,42bとからなる発熱範囲W2は、最大定形サイズより大きいノビサイズに対応する。
ここで、ハロゲンヒータ及び端部ヒータの実際に出力する熱量(加熱出力)について説明する。図6は、第2ハロゲンヒータ23B及び端部ヒータ26bの各発熱部の位置関係と各ヒータの加熱出力の様子を示す模式図である。図6の上部は、第2ハロゲンヒータ23Bの発熱部の右側端部の状態を、図6の下部は、端部ヒータ26bの発熱部の左側の状態を示している。
一般に、ハロゲンヒータは、発熱部(フィラメントを螺旋状に巻いた部分)の長手方向端部において加熱出力が低下する。これは、フィラメントの巻き密度によっても変わり、巻く密度が疎であるとより低下しやすい。図6の上部に示すように、第2ハロゲンヒータ23Bの発熱部40Bは、所定の加熱出力を100(%)出力する部分から、熱量のダレが生じて加熱出力が50%になる部分までと例えば定義できる。
また、端部ヒータ26bも、図6の下部に示すように、発熱部42bの長手方向端部において加熱出力が低下する。すわなち、端部において所定の加熱出力に対して100%の出力がされず、加熱出力のダレが生じる。
このため、第2ハロゲンヒータ23B及び端部ヒータ26bの端部で加熱出力の落ち込み(ダレ)が生じると、特に最大定形サイズよりも大きいノビサイズの記録材の端部で、良好な定着が行われない虞がある。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、第2ハロゲンヒータ23Bの発熱部40Bにおける加熱出力が低減し始める境界Bhと、端部ヒータ26bの発熱部42bにおける加熱出力が低減し始める境界Bcとを合致する。実際の装置では、第2ハロゲンヒータ23Bと端部ヒータ26bは、空間上離れて配置されているので、投影する状態で、長手方向において互いの境界Bh,Bcが合致することである。なお、もう一方の端部ヒータ26aも同様である。
これにより、ハロゲンヒータ23Bと両端部ヒータ26a,26bの重なる領域において、加熱出力が低下せず、所定の加熱出力の100%を維持できる。したがって、特に最大定形サイズよりも大きいノビサイズの記録材の両端部においても、良好な定着が保証できる。
なお、本実施形態では、第2ハロゲンヒータ23Bの境界Bhと、端部ヒータ26bの境界Bcが合致することとしているが、この態様に限定されない。ニップ形成ユニットは、熱伝導率のよい熱移動補助部材27を有するので、ある程度の加熱出力の落ち込みを均すことができる。そのため、両端部ヒータ26a,26bの加熱出力が低減し始める境界の配置に所定の許容範囲を設けてもよい。
ところで、金属材料からなる熱移動補助部材27を定着ベルト21の内周面と直接摺擦させると、熱移動補助部材27と定着ベルト21間の摩擦力が大きくなり、ユニットトルクが上昇し、定着ベルトの走行不良を招く問題がある。
本実施形態では、熱移動補助部材27の、定着ベルト21の内周面に対向するベルト摺接面27aに、PFAやPTFEのようなフッ素系の塗装やコーティングを施す。これにより、熱移動補助部材27と定着ベルト21との間の摩擦力を抑え、摺動性を良好に維持することが可能となる。
更に、熱移動補助部材27と定着ベルト21の間に、フッ素グリースやシリコーンオイルなどの潤滑剤を塗布することで、摺動トルクを長期に渡り低減することができる。
ところで、端部ヒータ26a,26bの定着ベルト21の内周面に対向する面と、ニップ形成部材24の定着ベルト21の内周面に対向するニップ形成面24cと、を同一の高さの面(面一)になるように設計しても、部品のばらつきにより、狙いの形状にならない虞がある。ニップ形成部材24の定着ベルト21の内周面に対向するニップ形成面24cが、端部ヒータ26bの定着ベルト21の内周面に対向する面より突出してしまうと、端部ヒータ26a,26bが熱移動補助部材27に接触しなくなる。そのため、端部ヒータ26a,26bからの熱が熱移動補助部材27を介して、定着ベルト21に伝わらず、定着ベルト21の長手方向で温度むらが発生する問題が生じる。本発明は、このような問題を解決する。
続いて、ニップ形成部材と、端部ヒータと、熱移動補助部材の構成について説明する。
[第1実施形態]
図7は、ニップ形成部材と端部ヒータと熱移動補助部材の構成の第1実施形態について説明する説明図であり、(a)は同断面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図である。ここで、(a)は、(b)のA−A線上で切断した断面を用紙搬送方向から見た図である。なお、説明の都合上、図7では一方の端(端部ヒータ26b)のみを示すが、端部ヒータ26aも同じ構成である。
図7(a)に示すように、端部ヒータ26bは、基材50と、基材50の上に、例えば略U字状に形成された抵抗発熱体51と、抵抗発熱体51に電力を供給する電極部である複数の電極52と、を有する抵抗発熱部材である。例えば、端部ヒータとしては、セラミック等の基材上に抵抗発熱体(発熱体)を配置したセラミックヒータが用いられる。
図7(b)に示すように、電極52は、端部ヒータ26bの長手方向発熱領域42bの長手方向外側に配置され、抵抗発熱体51の両端部に接続されている。電極52に電力が供給されると抵抗発熱体51が発熱し、抵抗発熱体51が配置された長手方向発熱領域42bが高温となる。電極52を端部ヒータ26bの長手方向発熱領域42bの長手方向外側に配置することで、電極52の過昇温を防止できる。なお、上述したように、定着ベルト21の長手方向の長手方向発熱領域42a,42bと、定着ベルト21幅方向の幅方向発熱領域43a,43bと、により区画される領域が、端部ヒータ26a,26bの発熱部となる。
幅方向発熱領域43bは、熱移動補助部材27の幅よりも小さい。抵抗発熱体51へ給電するための電極の結合方法は、ろう付け、はんだ付けが一般的である。これらの結合方法は、耐熱性自体が低いため、高温はんだや銀が用いられてもよい。
熱移動補助部材27は、端部ヒータ26bの基材50と接触範囲55で接触し、端部ヒータ26bの発熱部(長手方向発熱領域42bと幅方向発熱領域43bとで区画される領域)を覆うように設けられている。また、図7(c)において、熱移動補助部材27は、概念的に描かれており、熱移動補助部材27は、ニップ出口部近傍のベルト回転方向上流側で加圧ローラ22の方向に突出した形状としてもよい。これにより、ニップ出口部での用紙Pの離型性が改善される。
図7では簡略化して示されているが、端部ヒータ26bは、ニップ形成部材24のニップ形成部材24の長手方向の端部に形成された凹部24b(図3参照)に設けられる。端部ヒータ26bの定着ベルト21の内周面に対向する面は、ニップ形成部材24の定着ベルト21の内周面に対向するニップ形成面24cより、突出して設けられる。これにより、端部ヒータ26a,26bは、熱移動補助部材27と、接触範囲55において、確実に接触する。その結果、端部ヒータ26a,26bからの熱を、熱移動補助部材27を介して定着ベルト21に効率よく伝え、定着ベルト21の長手方向の温度むらの発生を防止する。
[第2実施形態]
図8は、ニップ形成部材と端部ヒータと熱移動補助部材の構成の第2実施形態について説明する説明図であり、(a)は同断面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図である。ここで、(a)は、(b)のA−A線上で切断した断面を用紙搬送方向から見た図である。なお、説明の都合上、図8では一方の端(端部ヒータ26b)のみを示すが、端部ヒータ26aも同じ構成である。
図8(a),図8(b)に示すように、端部ヒータ26bは、一般にフラットな板状部材であるが、図8(c)に示すように、熱移動補助部材27の断面形状は、複雑な曲線で形作られる場合が多い。熱移動補助部材27の端部ヒータ26bと向かい合う側において、フラット面が狭い場合、端部ヒータ26bと熱移動補助部材27が接触する部分が減少してしまう。
そこで、本実施の形態では、図8(a),図8(c)に示すように、熱移動補助部材27と端部ヒータ26bの間に中間部材53を設けている。熱移動補助部材27と向かい合う側の中間部材53の形状は、熱移動補助部材27と対応する(組み合う)形状であり、端部ヒータ26bと向かい合う側の中間部材53の形状は、端部ヒータ26bと対応する(組み合う)形状である。中間部材53は、端部ヒータ26bの発熱部(長手方向発熱領域42bと幅方向発熱領域43bとで区画される領域)の大きさに対応して設けられることが望ましい。
中間部材53は、例えば銅やアルミニウム又はこれらの合金の材料からなり、熱伝導率が熱移動補助部材27と同じかそれよりも大きいことが望ましい。中間部材53の熱伝導率が低いと、端部ヒータ26bから熱移動補助部材27への熱移動が悪くなる(熱損失が増える)ところ、中間部材53の熱伝導率を高めることで、熱効率低下を防止できる。
また、熱移動補助部材27と端部ヒータ26bの間に、それぞれが接触する中間部材53を配置することで、端部ヒータ26bから定着ベルト21を介して電極52へ伝わる熱を低減し、この熱による電極52の過昇温を防止できる。耐熱性の低い端部ヒータ26bの電極52を定着ベルト21から遠ざけられる。
図8では簡略化して示されているが、端部ヒータ26bは、ニップ形成部材24のニップ形成部材24の長手方向の端部に形成された凹部24b(図3参照)に設けられる。中間部材53の定着ベルト21の内周面に対向する面は、ニップ形成部材24の定着ベルト21の内周面に対向するニップ形成面24cより、突出して設けられる。これにより、端部ヒータ26a,26bは、中間部材53を介して熱移動補助部材27と、接触範囲55において、確実に接触する。その結果、端部ヒータ26a,26bからの熱を、中間部材53及び熱移動補助部材27を介して定着ベルト21に効率よく伝え、定着ベルト21の長手方向の温度むらの発生を防止する。
[第3実施形態]
図9は、ニップ形成部材と端部ヒータと熱移動補助部材の構成の第3実施形態について説明する説明図である。
本実施の形態は、ニップ形成部材の形状が異なる点で、上記第1実施形態と相違する。
本実施の形態のニップ形成部材24は、図9に示すように、熱移動補助部材27と所定の間隔をあけて設けられている。ニップ形成部材24の熱移動補助部材27に対向するニップ形成面24cの形状は、熱移動補助部材27のニップ形成部材24に対向する面の形状に対応する形状とすることが望ましい。なお、熱移動補助部材27のニップ形成部材24に対向する面の形状を、ニップ形成部材24の熱移動補助部材27に対向するニップ形成面24cの形状に対応する形状としてもよい。
これにより、端部ヒータ26a,26bから熱移動補助部材27に伝えられた熱が、ニップ形成部材24に移動することを防止する。その結果、端部ヒータ26a,26bからの熱を、熱移動補助部材27を介して定着ベルト21に効率よく伝え、定着ベルト21の長手方向の温度むらの発生を防止する。
[第4実施形態]
図10は、ニップ形成部材と端部ヒータと熱移動補助部材の構成の第4実施形態について説明する説明図である。
本実施の形態は、ニップ形成部材の形状が異なる点で、上記第1実施形態と相違する。
図10に示すように、本実施の形態のニップ形成部材24の熱移動補助部材27に対向するニップ形成面24cを、長手方向中央部が、長手方向両端部より突出した形状とする。なお、熱移動補助部材27のニップ形成部材24に対向する面を、長手方向中央部が、長手方向両端部より突出した形状としてもよい。ニップ形成部材24は、熱移動補助部材27と所定の間隔をあけて設けられている。
これにより、加圧ローラ22からの圧力によってニップ形成部材24に撓みが生じた際に、定着ニップNの長手方向中央部の面圧低下を防止できる。
なお、図11に示すように、熱移動補助部材27のニップ形成部材24に対向する面の形状を、ニップ形成部材24の熱移動補助部材27に対向するニップ形成面24cの形状に対応する形状としてもよい。
これにより、端部ヒータ26a,26bから熱移動補助部材27に伝えられた熱が、ニップ形成部材24に移動することを防止する。その結果、端部ヒータ26a,26bからの熱を、熱移動補助部材27を介して定着ベルト21に効率よく伝え、定着ベルト21の長手方向の温度むらの発生を防止する。
次に、定着ベルト21の端部ヒータ26により加熱された箇所の温度を検知する、図2で示した温度センサ29とは別の温度検知部について説明する。定着ベルト21の温度検知に接触方式のセンサ(例えば、サーミスタなど)を用いることは、安価で高精度という利点がある。しかし、接触位置に微細な摺接跡が発生したり、対応する位置の画像に微小な光沢ムラなどが発生したりする虞がある。そのため、特にカラー画像出力機においては、定型サイズの紙幅内には接触式センサを用いないことが主流になっている。
ところで、ノビサイズの記録材において、ノビ部は、最大定形サイズの紙端部直前まで作像する場合の耳部や、印刷位置合わせに使われるトンボと呼ばれる線画像、又は色確認のための小面積のベタパッチが作像される部分として使われる。そして、最終的には切断されることが多い。したがって、接触式の温度検知部によって接触跡が発生したとしても、微小な光沢ムラなどは異常画像として顕在化しないといえる。
そこで、本実施形態では、図12に示すように、定着ベルト21の端部ヒータ26a,26bにより加熱された箇所の温度を検知する温度検知部45a,45b(45aは反対側端部に設けられるので、描写を省略する)を、定着ベルト21の長手方向において、最大定形サイズの紙幅より外側で、最大定形サイズよりも大きいノビサイズの紙幅より内側に設ける。これにより、微小な光沢ムラなどの異常画像を顕在化することなく、安価で精度良く温度検知できる。
なお、上述の実施形態では、正面から見てU字型に形成された抵抗発熱体のパターン(発熱パターン)を例示したが、この態様に限定されない。例えば、図13に示すように、基材50の面上を複数回にわたり往復して抵抗発熱体51を形成し、抵抗発熱体51の形成される長さをより長くしてもよい。これにより、端部ヒータ26の熱出力を上げることができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。また、本発明の定着装置を備える画像形成装置としては複写機あるいはプリンタに限らず、ファクシミリや複数の機能を備える複合機であってもよい。