JP6911266B2 - 吸塵ドリル - Google Patents
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Description
したがって、このような複雑な形状を有する部品同士を篏合するためには、製造コストに影響する程の高い加工精度が要求される。
特に、直径6mm以下となるような小径の孔を穿孔する場合、特許文献1のような吸塵ドリルを適用することは想定されておらず、適用できたとしても、更なる高い加工精度が要求される。よって、製造コストが低減された吸塵ドリルが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複雑な形状を伴わず、製造コストが低減できる吸塵ドリルを提供することを目的とする。
(1)本発明の吸塵ドリルは、吸引した切粉や粉塵等の通路となる吸引穴を軸の中心に有する中空筒状のドリル本体と、前記ドリル本体の先端部に固定されたドリルチップと、を備える吸塵ドリルであって、前記ドリル本体は、前記先端部を等幅で直径方向に横断するとともに先端面から前記軸方向に沿って切り欠かれた第1スリットと、前記先端部を等幅で直径方向に横断するとともに前記先端面から前記軸方向に沿って切り欠かれ、前記第1スリットと交差する第2スリットと、を有し、前記ドリルチップは、前記ドリル本体の先端部から突出し先端に切刃が形成された切刃部と、前記第1スリットに嵌った支持部と、を有し、前記第2スリットは、前記第1スリットよりも前記軸方向の深さが深く形成されており、前記吸塵ドリルは、前記支持部と前記第2スリットとの間に、前記吸引穴に連通する吸塵口を有する。
(2)上記(1)の構成において、前記ドリルチップは、前記第1スリットの幅と同じ寸法の略均一な厚さを有する平板状の主刃と、前記第2スリットの幅と同じ寸法の略均一な厚さを有する平板状の副刃と、前記主刃と前記副刃とが互いに交差するようにして形成された放射形状の断面と、を有し、前記主刃は、前記第1スリットに嵌っている。
(3)上記(2)の構成において、前記ドリルチップは、前記主刃と前記副刃とが互いに交差するようにして形成された十字形状の断面を有する。
(4)上記(2)又は(3)の構成において、前記副刃の幅は、前記ドリル本体の先端部の外径より小さく、前記副刃の外表面と前記第2スリットの内面とで吸塵口に連通する溝状の吸塵経路が形成されている。
(5)上記(2)から(4)のいずれかの構成において、前記主刃及び副刃の底面は同平面上にあり、前記主刃と前記第1スリットとの間は閉塞している。
(6)上記(2)から(5)のいずれかの構成において、前記ドリル本体は、前記先端部を直径方向に横断するとともに前記先端面から前記軸方向に沿って同幅に切り欠かれた第3スリットを更に有し、前記副刃は、前記第3スリットに嵌っている。
(7)上記(1)の構成において、前記ドリルチップは、前記第1スリットの幅と同じ寸法の略均一な厚さを有する平板状の主刃であり、前記主刃は、前記第1スリットに嵌っている。
以下、図面を参照して本発明を実施するための第1の形態(以下、第1実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号が付される。また、以下では、特に説明がない限り、ドリル本体10の軸方向X(図1参照)におけるドリルチップ20側(図1から図7における左側)を先端側とし、シャンク30側(図1から図7における右側)を後端側とする。
本実施形態に係る吸塵ドリル100は、コンクリートや石材等の被切削体に対して、あと施工アンカーを施工する際の下孔を穿孔する際に、主に用いられ、発生する切粉や粉塵等を穿孔と同時に回収可能である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、吸塵ドリル100は、吸引した切粉や粉塵等の通路となる吸引穴10aを軸の中心に有する中空筒状のドリル本体10と、ドリル本体10の先端部に固定されたドリルチップ20と、を備える。
吸引穴10aの内径は、後述する吸塵口Wの内形状における最大寸法よりも大きいことが好ましい。これにより、吸塵口Wを通過できないような大きな切粉や粉塵等は、被切削体とドリルチップ20との間に留まり、主刃21や副刃22によって再び刻まれて小さくなる機会が与えられるので、大きな切粉や粉塵等が吸引穴10aの内部に詰まってしまうことを抑制できる。
そして、孔を穿孔する際に発生した切粉や粉塵等は、吸引装置(不図示)による吸引力により、図1(b)において矢印で示すように、吸塵口Wを通って、吸引穴10a及びホース50の内腔を伝って吸引され、吸引装置の集塵部に至る。よって、切粉や粉塵等が施工場所の周囲に飛散することを抑制できる。
図2は、第1実施形態に係る吸塵ドリル100における先端部の分解図であり、(1)は左から順に、(a)ドリルチップ20の正面図、(b)ドリルチップ20の側面図、(c)ドリル本体10の正面図、(d)ドリル本体10の側面図であり、(2)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として45°回転させた図であり、(3)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として90°回転させた図である。
図3は、第1実施形態に係る吸塵ドリル100における先端部の組立図であり、(1)は左から順に、(a)正面図、(b)側面図であり、(2)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として45°回転させた図であり、(3)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として90°回転させた図である。
このように、ドリルチップ20は、主刃21と副刃22とで放射形状の断面となっているので、主刃21で被切削体を削って際に生じた切粉や粉塵等を、後続の副刃22で細かく刻むことで切粉や粉塵等の単体の重量及び体積を小さくでき、吸塵口Wや吸引穴10aで詰まることを抑制でき、吸引しやすくできる。
なお、主刃21や副刃22の数は多いほど、一回転当たりの細かく刻む効率が向上して好ましいが、ドリル本体10の先端部における狭いスペースに密集すればするほど、ドリルチップ20とドリル本体10との接合部の強度確保が困難になるので、現実的には、主刃21及び副刃22の合計で4枚程度が限度である。なお、放射形状であれば、更に主刃21又は副刃22を追加してよく、例えば、主刃21及び副刃22をそれぞれ十字形状の断面にして、両者を互いに45°ずらして重ねて八方に放射する形状としてもよい。
以下、主に図4及び図5を参照して本発明を実施するための第2の形態(以下、第2実施形態)について詳細に説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比べて、ドリルチップ20の形状が異なるので、その部分を中心に説明するが、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する場合がある。
図5は、第2実施形態に係る吸塵ドリル100における先端部の組立図であり、(1)は左から順に、(a)正面図、(b)側面図であり、(2)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として45°回転させた図であり、(3)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として90°回転させた図である。
以下、主に図6及び図7を参照して本発明を実施するための第3の形態(以下、第3実施形態)について詳細に説明する。第3実施形態は、第1実施形態と比べて、ドリルチップ20の形状及びドリル本体10の形状が異なるので、その部分を中心に説明するが、第1実施形態と共通する部分については説明を省略する場合がある。
図7は、第3実施形態に係る吸塵ドリル100における先端部の組立図であり、(1)は左から順に、(a)正面図、(b)側面図であり、(2)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として45°回転させた図であり、(3)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として90°回転させた図である。
具体的には、先端部を等幅b1で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれた第1スリット11と、先端部を等幅b2で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれ、第1スリット11と交差する第2スリット12と、先端部を等幅b3で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれ、第1スリット11及び第2スリット12と交差する第3スリット13と、を有する。なお、ドリル本体10には、先端部を等幅で直径方向に横断するとともに軸方向Xに沿って切り欠かれた第4スリット(不図示)を更に追加してもよい。
主刃21の直径方向の寸法である幅B1は、ドリル本体10の先端部の外径φDより大きくなっている。
以下、主に図8及び図9を参照して本発明を実施するための第4の形態(以下、第4実施形態)について詳細に説明する。第4実施形態は、第3実施形態と比べて、ドリル本体10の形状が異なるので、その部分を中心に説明するが、第3実施形態と共通する部分については説明を省略する場合がある。
図9は、第4実施形態に係る吸塵ドリル100における先端部の組立図であり、(1)は左から順に、(a)正面図、(b)側面図であり、(2)は(1)を基準にドリル本体10の軸を中心として−45°回転させた図である。
具体的には、先端部を等幅b1で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれた第1スリット11と、先端部を等幅b2で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれ、第1スリット11と交差する第2スリット12と、先端部を等幅b3で直径方向に横断するとともに先端面10fから軸方向Xに沿って切り欠かれ、第1スリット11及び第2スリット12と交差する第3スリット13と、を有する。なお、ドリル本体10には、先端部を等幅で直径方向に横断するとともに軸方向Xに沿って切り欠かれた第4スリット(不図示)を更に追加してもよい。
そして、吸塵ドリル100は、図9(1)及び図9(2)に示すように、ドリルチップ20の支持部20s(不図示)と第2スリット12との間に、吸引穴10aに連通する吸塵口Wを有し、吸塵口Wに連通する溝状の吸塵経路Kを有する。言い換えると、吸引穴10aと連通し、吸塵経路Kと連通するスリットは、R形状を持って加工されている。この吸塵経路Kにより、ドリル本体10の先端側で生じた切粉や粉塵等が吸塵口Wに円滑に移動することができ、切粉や粉塵等をより確実に吸引しながら被切削体を穿孔できる。
また、第2スリット12を異なる二方向から順に加工することで、ドリル本体10における第1スリット11や第3スリット13等の他のスリットとの交差部における薄肉部の加工応力を高めずに加工でき、加工応力によって変形してしまうことを抑制できる。
10a 吸引穴
10f 先端面
11 第1スリット
12 第2スリット
13 第3スリット
20 ドリルチップ
20r 後端面
20s 支持部
21 主刃
22 副刃
22s 外表面
23 切刃
30 シャンク
40 継手
50 ホース
100 吸塵ドリル
b1 (第1スリットの)幅
b2 (第2スリットの)幅
b3 (第3スリットの)幅
L1 (第1スリットの)深さ
L2 (第2スリットの)深さ
L3 (第3スリットの)深さ
B1 (主刃の)幅
B2 (副刃の)幅
t1 (主刃の)厚さ
t2 (副刃の)厚さ
K 吸塵経路
W 吸塵口
X 軸方向
φD 外径
Claims (5)
- 吸引した切粉や粉塵等の通路となる吸引穴を軸の中心に有する中空筒状のドリル本体と、
前記ドリル本体の先端部に固定されたドリルチップと、を備える吸塵ドリルであって、
前記ドリル本体は、前記先端部を等幅で直径方向に横断するとともに先端面から前記軸方向に沿って切り欠かれた第1スリットと、前記先端部を等幅で直径方向に横断するとともに前記先端面から前記軸方向に沿って切り欠かれ、前記第1スリットと交差する第2スリットと、を有し、
前記ドリルチップは、前記ドリル本体の先端部から突出し先端に切刃が形成された切刃部と、前記第1スリットに嵌った支持部と、前記第1スリットの幅と同じ寸法の略均一な厚さを有する平板状の主刃と、前記第2スリットの幅と同じ寸法の略均一な厚さを有する平板状の副刃と、前記主刃と前記副刃とが互いに交差するようにして形成された放射形状の断面と、を有し、
前記第2スリットは、前記第1スリットよりも前記軸方向の深さが深く形成されており、
前記主刃は、前記第1スリットに嵌っており、
前記副刃の幅は、前記ドリル本体の先端部の外径より小さく、
前記副刃の外表面と前記第2スリットの内面とで吸塵口に連通する溝状の吸塵経路が形成され、
前記吸塵ドリルは、前記支持部と前記第2スリットとの間に、前記吸引穴に連通する吸塵口を有する
ことを特徴とする吸塵ドリル。 - 前記ドリルチップは、前記主刃と前記副刃とが互いに交差するようにして形成された十字形状の断面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の吸塵ドリル。 - 前記主刃及び副刃の底面は同平面上にあり、前記主刃と前記第1スリットとの間は閉塞している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸塵ドリル。 - 前記ドリル本体は、前記先端部を直径方向に横断するとともに前記先端面から前記軸方向に沿って同幅に切り欠かれた第3スリットを更に有し、
前記副刃は、前記第3スリットに嵌っている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸塵ドリル。 - 前記第2スリットは、直径方向の中心から外側に向かって広がる円弧面状の底面を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸塵ドリル。
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