以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
更に、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
(実施の形態)
<膜構造体>
初めに、本発明の一実施形態である実施の形態の膜構造体について説明する。図1は、実施の形態の膜構造体の断面図である。図2は、実施の形態の膜構造体が上部電極としての導電膜を有する場合の、膜構造体の断面図である。図3は、図1に示す膜構造体から基体の全部を除去した場合の、膜構造体の断面図である。図4は、図2に示す膜構造体から基体の一部を除去した場合の、膜構造体の断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、基板11と、配向膜12と、導電膜13と、導電膜14と、圧電膜15と、を有する。配向膜12は、基板11上に形成されている。導電膜13は、配向膜12上に形成されている。導電膜14は、導電膜13上に形成されている。圧電膜15は、導電膜14上に形成されている。
なお、図2に示すように、本実施の形態の膜構造体10は、導電膜16を有してもよい。導電膜16は、圧電膜15上に形成されている。このとき、導電膜13及び14は、下部電極としての導電膜であり、導電膜16は、上部電極としての導電膜である。これにより、圧電膜15に、厚さ方向に電界を印加することができる。
基板11は、基体11aと、絶縁層11bと、シリコン(Si)層11cと、を含む。基体11aは、例えばシリコン(Si)単結晶よりなるシリコン基板である。絶縁層11bは、基体11aの主面上、即ち基体11aの上面上に、形成されている絶縁層、即ち埋め込み酸化膜である、BOX層である。シリコン層11cは、絶縁層11b上に形成されたシリコン(Si)単結晶よりなる半導体層であるSOI層である。そのため、基板11は、シリコン基板上に、BOX層とSOI層が順次形成された、SOI基板である。なお、シリコン層11cは、主面としての上面11dを有する。
配向膜12は、例えばシリコン層11cの上面11d上にエピタキシャル成長した酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む。導電膜13は、金属を含み、例えば配向膜12上にエピタキシャル成長した白金(Pt)を含む。導電膜14は、導電膜13上にエピタキシャル成長している。圧電膜15は、導電膜14上にエピタキシャル成長している。
ここで、シリコン層11cの主面としての上面11d内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11dに垂直な方向をZ軸方向としたとき、ある膜がエピタキシャル成長しているとは、その膜が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれの方向にも配向していることを意味する。
基板11上に配向膜12がエピタキシャル成長せず、配向膜12上に導電膜13がエピタキシャル成長していない場合、導電膜13上に圧電膜15をエピタキシャル成長させることができない。圧電膜15では、例えば分極方向に平行な方向、又は、分極方向と一定の角度を有する方向に沿った電界が印加される場合に、圧電定数d33及びd31が大きい。そのため、圧電膜15がエピタキシャル成長していない場合、圧電膜15全体で分極方向が揃わないため、圧電膜15の圧電定数d33及びd31を増加させることができず、圧電素子の特性が低下する。
一方、本実施の形態では、基板11上に配向膜12がエピタキシャル成長し、配向膜12上に導電膜13がエピタキシャル成長しているので、導電膜13上に導電膜14をエピタキシャル成長させることができ、導電膜14上に圧電膜15をエピタキシャル成長させることができる。そのため、圧電膜15全体で分極方向を揃えることができ、圧電膜15の圧電定数d33及びd31を増加させることができ、圧電素子の特性を向上させることができる。
好適には、導電膜14は、金属酸化物を含み、配向膜12上にエピタキシャル成長したルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3、以下、SROともいう。)を含む。また、圧電膜15は、導電膜13上に、導電膜14を介してエピタキシャル成長したチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1)、以下、PZTともいう。)を含む。
圧電膜15がPZTを含むことにより、圧電膜15の圧電定数を、圧電膜15がPZTを含まない場合に比べ、大きくすることができる。
また、導電膜14に含まれるSROが、圧電膜15に含まれるPZTの結晶構造であるペロブスカイト構造と同様の結晶構造を有する。そのため、圧電膜15に含まれるPZTが一定の方向に配向しやすくなる。また、圧電膜15に含まれるPZTが、正方晶の結晶構造、又は、菱面体晶の結晶構造を有するので、圧電膜15に含まれるPZTが一定の方向に配向しやすくなり、分極方向が一定の方向に揃いやすくなって、圧電特性が向上する。
なお、後述する図17を用いて説明するように、膜構造体10は、導電膜14を有さなくてもよく、圧電膜15は、導電膜13上に直接形成されていてもよい。この場合、圧電膜15は、SROを含む導電膜14上に形成されている場合に比べれば配向しにくくはなるものの、白金を含む導電膜13上でも一定の方向に配向することができる。
図1に示すように、膜構造体10がSOI基板としての基板11を有する場合、例えばフォトリソグラフィ技術及びアルカリ性のエッチング液を用いたエッチング技術により、基板11のうち基体11aの全部をエッチングして除去することができる。これにより、図3に示すように、絶縁層11bと、シリコン層11cと、配向膜12と、導電膜13と、導電膜14と、圧電膜15と、を有する膜構造体10aを形成することができる。そして、例えば複数の膜構造体10aを積層することにより、圧電特性に優れた圧電素子、即ち圧電アクチュエータを形成することができる。
或いは、図2に示すように、膜構造体10がSOI基板としての基板11を有する場合、例えばフォトリソグラフィ技術及びアルカリ性のエッチング液を用いたエッチング技術により、図4に示すように、基板11のうち基体11aの一部をエッチングして開口部11eを形成することができる。また、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により、上部電極としての導電膜16の一部をエッチングしてパターニングすることができる。
これにより、図4に示すように、基体11aの開口部11e内に、絶縁層11bと、シリコン層11cと、配向膜12と、導電膜13と、導電膜14と、圧電膜15と、導電膜16と、を有する膜構造体10bよりなる圧電素子を形成することができる。そして、基体11aに形状精度良く形成された複数の圧電素子を有する微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)よりなる圧電アクチュエータを容易に形成することができる。
好適には、シリコン層11cに含まれるシリコン単結晶は、立方晶の結晶構造において(100)面よりなる主面としての上面11dを有する。配向膜12に含まれる酸化ジルコニウム(ZrO2)は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向している。導電膜13に含まれる白金(Pt)は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向している。
これにより、導電膜14に含まれるSROが疑立方晶の結晶構造を有する場合に、導電膜14を基板11上で(100)配向させることができる。また、圧電膜15に含まれるPZTが、正方晶の結晶構造を有する場合に、圧電膜15を基板11上で(001)配向させることができ、圧電膜15に含まれるPZTが、菱面体晶の結晶構造を有する場合に、圧電膜15を基板11上で(100)配向させることができる。
ここで、配向膜12が(100)配向している、とは、立方晶の結晶構造を有する配向膜12の(100)面が、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの、(100)面よりなる主面としての上面11dに沿っていることを意味する。また、配向膜12が(100)配向している、とは、好適には、配向膜12の(100)面が、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの、(100)面よりなる上面11dに平行であることを意味する。また、配向膜12の(100)面がシリコン層11cの(100)面よりなる上面11dに平行であるとは、配向膜12の(100)面がシリコン層11cの上面11dに完全に平行な場合のみならず、シリコン層11cの上面11dに完全に平行な面と配向膜12の(100)面とのなす角度が20°以下であるような場合を含む。
なお、バルク材料としての酸化ジルコニウムは、室温では単斜晶の結晶構造を有し、室温から温度を上昇させると、約1170℃で相転移して正方晶の結晶構造を有するようになり、更に温度を上昇させると、約2370℃で相転移して立方晶の結晶構造を有するようになる。しかし、配向膜12に含まれる酸化ジルコニウムは、上下の膜又は基板から応力が印加されているため、配向膜12に含まれる酸化ジルコニウムの相転移の挙動は、バルク材料としての酸化ジルコニウムの相転移の挙動とは異なる。また、配向膜12の厚さが数10nm程度以下と薄いため、配向膜12に含まれる酸化ジルコニウムの結晶構造が、正方晶の結晶構造か、立方晶の結晶構造かを精度良く区別することは困難である。
従って、以下では、配向膜12に含まれる酸化ジルコニウムが正方晶の結晶構造を有する場合を、当該酸化ジルコニウムが立方晶の結晶構造を有する場合とみなすことがある。即ち、本願明細書では、配向膜12に含まれる酸化ジルコニウムが立方晶の結晶構造を有する場合には、実際に立方晶の結晶構造を有する場合と、実際には立方晶の結晶構造ではなく正方晶の結晶構造を有する場合と、が含まれるものとする。
また、同様に、以下では、導電膜14に含まれるSROが、斜方晶の結晶構造を有する場合を、当該SROが擬立方晶の結晶構造を有する場合とみなし、更に、当該SROが立方晶の結晶構造を有する場合とみなすことがある。即ち、本願明細書では、導電膜14に含まれるSROが立方晶の結晶構造を有する場合には、実際に立方晶の結晶構造を有する場合と、実際には立方晶の結晶構造ではなく斜方晶、即ち擬立方晶の結晶構造を有する場合と、が含まれるものとする。
好適には、圧電膜15は、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向している。Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1)におけるxが0.48<x<1を満たすことにより、圧電膜15に含まれるPZTが、正方晶の結晶構造を有し、エピタキシャル成長しやすくなり、(001)配向しやすくなる。そして、正方晶の結晶構造を有するPZTが(001)配向している場合、[001]方向に平行な分極方向と、圧電膜15の厚さ方向に平行な電界方向とが互いに平行になるので、圧電特性が向上する。即ち、正方晶の結晶構造を有するPZTでは、[001]方向に沿った電界が印加される場合に、大きな圧電定数d33及びd31が得られる。そのため、圧電膜15の圧電定数を、更に大きくすることができる。
或いは、好適には、圧電膜15は、菱面体晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向している。Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1)におけるxが0.20<x≦0.48を満たすことにより、圧電膜15に含まれるPZTが、菱面体晶の結晶構造を有し、エピタキシャル成長しやすくなり、(100)配向しやすくなる。そして、菱面体晶の結晶構造を有するPZTが(100)配向している場合、当該PZTは、いわゆるエンジニアードドメイン構造を有し、[111]方向と等価な各方向に平行な分極方向と、圧電膜15の厚さ方向に平行な電界方向との角度が、いずれの分極ドメインでも互いに等しくなるので、圧電特性が向上する。即ち、菱面体晶の結晶構造を有するPZTでは、[100]方向に沿った電界が印加される場合に、大きな圧電定数d33及びd31が得られる。そのため、圧電膜15の圧電特性を、更に大きくすることができる。
図5は、実施の形態の膜構造体に含まれる配向膜がエピタキシャル成長した状態を説明する図である。一方、図6は、膜構造体に含まれる配向膜がエピタキシャル成長していない状態を説明する図である。なお、図5では、シリコン層11c、配向膜12、導電膜13及び14、並びに、圧電膜15の各層を、模式的に示し、図6では、シリコン層11c及び配向膜12を、模式的に示している。
シリコン層11cに含まれるSiの格子定数、配向膜12に含まれるZrO2の格子定数、導電膜13に含まれるPtの格子定数、導電膜14に含まれるSROの格子定数、圧電膜15に含まれるPZTの格子定数を、表1に示す。
表1に示すように、Siの格子定数は、0.543nmであり、ZrO2の格子定数は、0.514nmであり、Siの格子定数に対するZrO2の格子定数の不整合は5.3%と小さいため、Siの格子定数に対するZrO2の格子定数の整合性がよい。そのため、図5に示すように、ZrO2を含む配向膜12を、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面よりなる主面上にエピタキシャル成長させることができる。従って、ZrO2を含む配向膜12を、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面上に、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができ、配向膜12の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、ZrO2の格子定数は、0.514nmであり、Ptの格子定数は、0.392nmであるものの、Ptが平面内で45°回転すると、対角線の長さは、0.554nmとなり、ZrO2の格子定数に対する当該対角線の長さの不整合は7.8%と小さいため、ZrO2の格子定数に対するPtの格子定数の整合性がよい。そのため、図5に示すように、Ptを含む導電膜13を、ZrO2を含む配向膜12の(100)面上に、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができ、導電膜13の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、Ptの格子定数は、0.392nmであり、SROの格子定数は、0.390〜0.393nmであり、Ptの格子定数に対するSROの格子定数の不整合は0.51%以下と小さいため、Ptの格子定数に対するSROの格子定数の整合性がよい。そのため、SROを含む導電膜14を、Ptを含む導電膜13の(100)面上に、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができ、導電膜14の結晶性を向上させることができる。
また、表1に示すように、SROの格子定数は、0.390〜0.393nmであり、PZTの格子定数は、0.401nmであり、SROの格子定数に対するPZTの格子定数の不整合は2.0〜2.8%と小さいため、SROの格子定数に対するPZTの格子定数の整合性がよい。そのため、PZTを含む圧電膜15を、SROを含む導電膜14の(100)面上に、正方晶の結晶構造で(001)配向、又は、菱面体晶の結晶構造で(100)配向させることができ、圧電膜15の結晶性を向上させることができる。
一方、図6に示すように、ZrO2を含む配向膜12が、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面よりなる主面上にエピタキシャル成長していない状態では、例えばZrO2を含む配向膜12は、シリコン単結晶を含む基板11の(100)面上に、例えば立方晶の結晶構造で(111)配向している。そのため、配向膜12の結晶性を向上させることができない。
また、図6に示すように、ZrO2を含む配向膜12が、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面よりなる主面上にエピタキシャル成長していない状態では、図6では図示を省略するものの、Ptを含む導電膜13は、例えば立方晶の結晶構造で(111)配向している。そのため、導電膜13の結晶性を向上させることができない。そして、Ptを含む導電膜13が、例えば立方晶の結晶構造で(111)配向している状態では、SROを含む導電膜14を、立方晶の結晶構造で(100)配向させることができず、PZTを含む圧電膜15を、正方晶の結晶構造で(001)配向、又は、菱面体晶の結晶構造で(100)配向させることができない。
好適には、配向膜12は、13〜22nmの厚さを有する。配向膜12の厚さが13nm未満の場合、配向膜12の厚さが薄すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12がエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12の厚さが13nm未満の場合、配向膜12の一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、配向膜12の厚さが22nmを超える場合も、配向膜12の厚さが厚すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12がエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12の厚さが22nmを超える場合も、配向膜12の一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
図7は、実施の形態の膜構造体の配向膜が二層構造を有する場合の、膜構造体の断面図である。
配向膜12は、膜12aと、配向膜12bと、を含んでもよい。膜12aは、シリコン層11c上に形成されたジルコニウムを含むが、膜12aに含まれるジルコニウムは、酸化されておらず、金属ジルコニウムである。即ち、膜12aは、ジルコニウムを含む金属膜である。一方、配向膜12bは、膜12a上にエピタキシャル成長した酸化ジルコニウムを含む。従って、図1〜図4に示した配向膜12は、図7に示す配向膜12bに相当する。
配向膜12bが、膜12aを介してシリコン層11c上に形成される場合、配向膜12bが、膜12aを介さずにシリコン層11c上に形成される場合よりも、エピタキシャル成長しやすくなる。そのため、ZrO2を含む配向膜12bを、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面よりなる主面としての上面11d上に、より安定してエピタキシャル成長させることができる。従って、ZrO2を含む配向膜12を、シリコン単結晶を含むシリコン層11cの(100)面上に、より安定して(100)配向させることができ、配向膜12の結晶性をより向上させることができる。
ただし、ZrO2を含む配向膜12bが形成される際に、膜12aに含まれるZrが酸化されることにより、膜12aが消滅して配向膜12bになることがある。このような場合には、図1に示すように、シリコン層11c上に配向膜12bが直接形成され、シリコン層11c上に直接形成された配向膜12bのみを含む配向膜12が形成されることになる。
好適には、膜12aは、5〜10nmの厚さを有する。膜12aの厚さが5nm未満の場合、膜12aの厚さが薄すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、膜12aの厚さが5nm未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、膜12aの厚さが10nmを超える場合も、膜12aの厚さが厚すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、膜12aの厚さが10nmを超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
好適には、配向膜12bは、8〜12nmの厚さを有する。配向膜12bの厚さが8nm未満の場合、配向膜12bの厚さが薄すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12bの厚さが8nm未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、配向膜12bの厚さが12nmを超える場合も、配向膜12bの厚さが厚すぎるため、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12bの厚さが12nmを超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
なお、本実施の形態の膜構造体10は、導電膜14及び圧電膜15を有さず、基板11と、配向膜12と、導電膜13と、のみを有するものでもよい。このような場合でも、膜構造体10上に、圧電膜15と、上部電極としての導電膜16が形成されることにより、導電膜13と導電膜16とにより上下から挟まれた圧電膜15を有する圧電素子を容易に形成することができる。
<膜構造体の製造方法>
次に、本実施の形態の膜構造体の製造方法を説明する。図8〜図16は、実施の形態の膜構造体の製造工程中の断面図である。
まず、図8〜図11に示すように、SOI基板としての基板11を用意する(ステップS1)。
ステップS1では、まず、図8に示すように、基板11(図11参照)を形成するための半導体基板21及び22を用意する。半導体基板21は、基体23と、基体23上に形成された絶縁層24と、を有する。半導体基板22は、基体25と、基体25上に形成された絶縁層26と、を有する。基体23及び25の各々は、例えば単結晶シリコン基板である。絶縁層24及び26の各々は、例えば酸化シリコン膜であり、その膜厚は、例えば0.1〜10μm程度である。なお、絶縁層24及び26を窒化処理してもよい。
ステップS1では、次に、図9に示すように、それぞれ絶縁層24側及び絶縁層26側で接するように、半導体基板21と半導体基板22とを圧着させる。
ステップS1では、次に、図10に示すように、例えば1000℃の高温に保持し、熱処理を施すことによって、半導体基板21と、半導体基板22とを貼り合わせる。このとき、絶縁層24と絶縁層26とを接合して一体化し、絶縁層24及び26よりなる絶縁層11bを形成する。
ステップS1では、次に、図11に示すように、貼り合わせられた半導体基板21及び22のうち、基体25を研磨する。基体25の厚さが例えば0.1〜10μm程度になるように研磨して薄化し、薄化された基体25よりなるシリコン層11cを形成する。これにより、基体23よりなる基体11aを支持基板とし、絶縁層11bをBOX層とし、シリコン層11cをSOI層とするSOI基板である基板11を形成する。そして、基体11aと、基体11a上の絶縁層11bと、絶縁層11b上のシリコン層11cと、を含む基板11を用意することになる。
好適には、シリコン層11cは、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)面よりなる主面としての上面11dを有する。また、シリコン層11cの上面11d上には、自然酸化膜としてのSiO2膜などの酸化膜が形成されていてもよい。
なお、基体11aとして、シリコン基板以外の各種の基板を用いることができ、例えばシリコン以外の各種の半導体単結晶よりなる基板などを用いることができる。
図11に示すように、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの(100)面よりなる上面11d内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11dに垂直な方向をZ軸方向とする。
次に、図12に示すように、膜12aを形成する(ステップS2)。このステップS2では、基板11のシリコン層11c上に、ジルコニウムを含む膜12aを形成する。
ステップS2では、電子ビーム蒸着法を用いて配向膜12を形成する場合を例示して説明するが、例えばスパッタリング法など各種の方法を用いて形成することができる。
ステップS2では、まず、基板11を、電子ビーム蒸着装置の真空チャンバー内に設置し、真空チャンバー内の圧力を、例えば2.1×10−5Paなどの一定の真空雰囲気下に調整した状態で、基板11を例えば600〜750℃に加熱する。
ステップS2では、次に、ジルコニウム(Zr)単結晶の蒸着材料を用いた電子ビーム蒸着法によりZrを蒸発させる。このとき、蒸発したZrが、ジルコニウム(Zr)膜となって成膜される。そして、シリコン層11c上に、例えば20nm以下の厚さを有するジルコニウムを含む膜12aが形成される。なお、膜12aに含まれるジルコニウムは、酸化されておらず、金属ジルコニウムである。即ち、膜12aは、ジルコニウムを含む金属膜である。
好適には、ステップS2では、5〜10nmの厚さを有する膜12aを形成する。膜12aの厚さが5nm未満の場合、膜12aの厚さが薄くなり、シリコン層11c上に配向膜12b(後述する図13参照)がエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、膜12aの厚さが5nm未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、膜12aの厚さが10nmを超える場合も、膜12aの厚さが厚くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、膜12aの厚さが10nmを超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
好適には、ステップS2では、膜12aを、650〜700℃の温度で形成する。基板11の温度が650℃未満の場合、基板11の温度が低くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、基板11の温度が650℃未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、基板11の温度が700℃を超える場合、基板11の温度が高くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、基板11の温度が700℃を超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
次に、図13に示すように、配向膜12bを形成する(ステップS3)。このステップS3では、膜12a上にエピタキシャル成長した酸化ジルコニウムを含む配向膜12bを形成する。
ステップS3においても、ステップS2と同様に、電子ビーム蒸着法を用いて配向膜12を形成する場合を例示して説明するが、例えばスパッタリング法など各種の方法を用いて形成することができる。
ステップS3では、まず、基板11を、電子ビーム蒸着装置の真空チャンバー内に設置し、真空チャンバー内に、例えば10sccmの流量で酸素(O2)ガスを流し、真空チャンバー内の圧力を例えば7.0×10−3Paに調整した状態で、基板11を例えば500〜600℃に加熱する。
ステップS3では、次に、ジルコニウム(Zr)単結晶の蒸着材料を用いた電子ビーム蒸着法によりZrを蒸発させる。このとき、蒸発したZrが膜12a上で酸素と反応することにより、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜となって成膜される。そして、単層膜としてのZrO2膜よりなる配向膜12bが形成される。そして、ジルコニウムを含む膜12a上にエピタキシャル成長した、酸化ジルコニウムを含む配向膜12bが形成される。
配向膜12bは、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの(100)面よりなる主面としての上面11d上に、膜12aを介して、エピタキシャル成長する。配向膜12は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む。即ち、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの(100)面よりなる上面11d上に、膜12aを介して、(100)配向した酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む配向膜12が、形成される。
前述した図11を用いて説明したように、シリコン単結晶よりなるシリコン層11cの(100)面よりなる上面11d内で互いに直交する2つの方向を、X軸方向及びY軸方向とし、上面11dに垂直な方向をZ軸方向とする。このとき、ある膜がエピタキシャル成長するとは、その膜が、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれの方向にも配向することを意味する。
好適には、ステップS3では、8〜12nmの厚さを有する配向膜12bを形成する。配向膜12bの厚さが8nm未満の場合、配向膜12bの厚さが薄くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12bの厚さが8nm未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、配向膜12bの厚さが12nmを超える場合も、配向膜12bの厚さが厚くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、配向膜12bの厚さが12nmを超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
前述したように、好適には、ステップS3では、配向膜12bを、500〜600℃の温度で形成する。基板11の温度が500℃未満の場合、基板11の温度が低くなり、例えば膜12a上でジルコニウム原子及び酸素原子が再配置されにくくなることなどにより、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、基板11の温度が500℃未満の場合、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
また、基板11の温度が600℃を超える場合、基板11の温度が高くなり、シリコン層11c上に配向膜12bがエピタキシャル成長しやすくなる効果が小さくなる。従って、基板11の温度が600℃を超える場合も、配向膜12bの一部が、(100)配向せず、(111)配向する。
ZrO2を含む配向膜12bが形成される際に、膜12aに含まれるZrが酸化されることにより、膜12aが消滅して配向膜12bになることがある。このような場合には、図14に示すように、シリコン層11c上に配向膜12bが直接形成され、シリコン層11c上に直接形成された配向膜12bのみを含む配向膜12が形成されることになる。そして、好適には、5〜10nmの厚さを有する膜12aと、8〜12nmの厚さを有する元々の配向膜12bとにより、合計13〜22nmの厚さを有する新たな配向膜12bを含む配向膜12が形成される。以後の説明では、図14に示すように、ステップS3において、シリコン層11c上に配向膜12bが直接形成された場合を例示して説明する。
なお、ステップS1を行った後、ステップS2を行わず、ステップS3を行って、図14に示すように、膜12aを形成せず、シリコン層11c上に配向膜12bを直接形成してもよい。シリコン層11c上に膜12aを介さずに配向膜12bを形成する場合、シリコン層11c上に膜12aを介して配向膜12bを形成する場合に比べて、配向膜12bの結晶性は低下する。しかし、シリコン層11c上に膜12aも配向膜12bも介さずに導電膜13を形成する場合に比べれば、シリコン層11c上に膜12aは介さないが配向膜12bを介して導電膜13を形成する場合、シリコン層11c上に配向膜12bが配向又はエピタキシャル成長しやすくなる。そのため、配向膜12b上に形成される導電膜13もある程度配向又はエピタキシャル成長しやすくなり、導電膜13の結晶性を向上させることができる。
次に、図15に示すように、導電膜13を形成する(ステップS4)。このステップS4では、配向膜12b上にエピタキシャル成長した、下部電極の一部としての導電膜13を形成する。導電膜13は、金属よりなる。金属よりなる導電膜13として、例えば白金(Pt)を含む導電膜が用いられる。
導電膜13として、Ptを含む導電膜を形成する場合、配向膜12上に、550℃以下の温度、好ましくは400℃の温度で、スパッタリング法により、エピタキシャル成長した導電膜13を、下部電極の一部として形成する。Ptを含む導電膜13は、配向膜12b上にエピタキシャル成長する。また、導電膜13に含まれる白金は、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向する。
なお、金属よりなる導電膜13として、白金(Pt)を含む導電膜に代えて、例えばイリジウム(Ir)を含む導電膜を用いることもできる。
次に、図16に示すように、導電膜14を形成する(ステップS5)。このステップS5では、導電膜13上にエピタキシャル成長した、下部電極の一部としての導電膜14を形成する。導電膜14は、金属酸化物よりなる。金属酸化物よりなる導電膜14として、例えばルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3:SRO)を含む導電膜が用いられる。
導電膜14として、SROを含む導電膜を形成する場合、導電膜13上に、600℃程度の温度で、スパッタリング法により、エピタキシャル成長した導電膜14を、下部電極の一部として形成する。SROを含む導電膜14は、導電膜13上にエピタキシャル成長する。また、導電膜14に含まれるSROは、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向する。
なお、金属酸化物よりなる導電膜14として、SROを含む導電膜に代えて、例えばチタン酸ルテニウム酸ストロンチウム(Sr(TiyRu1−y)O3(0≦y≦0.4))を含む導電膜を用いることもできる。
次に、図1に示すように、圧電膜15を形成する(ステップS6)。このステップS6では、例えばゾルゲル法などの塗布法又はスパッタリング法により、導電膜14上に、エピタキシャル成長したチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1):PZT)を含む圧電膜15を形成する。
また、ゾルゲル法により圧電膜15を形成する場合、ステップS6では、まず、導電膜14上に、鉛、ジルコニウム及びチタンを含有する溶液を塗布することにより、PZTの前駆体を含む膜を形成する工程を、複数回繰り返す。これにより、互いに積層された複数の膜を含む膜を形成する。
そして、ゾルゲル法により圧電膜15を形成する場合、ステップS6では、次に、膜を熱処理して前駆体を酸化して結晶化することにより、PZTを含む圧電膜15を形成する。
好適には、圧電膜15は、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向する。Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1)におけるxが0.48<x<1を満たすことにより、圧電膜15に含まれるPZTが、正方晶の結晶構造を有し、エピタキシャル成長しやすくなり、(001)配向しやすくなる。そして、正方晶の結晶構造を有するPZTが(001)配向している場合、[001]方向に平行な分極方向と、圧電膜15の厚さ方向に平行な電界方向とが互いに平行になるので、圧電特性が向上する。即ち、正方晶の結晶構造を有するPZTでは、[001]方向に沿った電界が印加される場合に、大きな圧電定数d33及びd31が得られる。そのため、圧電膜15の圧電定数を、更に大きくすることができる。
或いは、好適には、圧電膜15は、菱面体晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向する。Pb(Zr1−xTix)O3(0<x<1)におけるxが0.20<x≦0.48を満たすことにより、圧電膜15に含まれるPZTが、菱面体晶の結晶構造を有し、エピタキシャル成長しやすくなり、(100)配向しやすくなる。そして、菱面体晶の結晶構造を有するPZTが(100)配向している場合、当該PZTは、いわゆるエンジニアードドメイン構造を有し、[111]方向と等価な各方向に平行な分極方向と、圧電膜15の厚さ方向に平行な電界方向との角度が、いずれの分極ドメインでも互いに等しくなるので、圧電特性が向上する。即ち、菱面体晶の結晶構造を有するPZTでは、[100]方向に沿った電界が印加される場合に、大きな圧電定数d33及びd31が得られる。そのため、圧電膜15の圧電特性を、更に大きくすることができる。
このようにして、図1に示す膜構造体10が形成される。なお、配向膜12bを形成する際に、膜12aが消滅せずに残る場合、図7に示す膜構造体10が形成される。
なお、圧電膜15を形成した後、ステップS7として、圧電膜15上に、上部電極としての導電膜16(図2参照)を形成してもよい。これにより、圧電膜15上に厚さ方向に電界を印加することができる。
<実施の形態の変形例>
実施の形態では、図1に示したように、導電膜13上に導電膜14を介して圧電膜15が形成されていた。しかし、導電膜13上に、導電膜14を介さずに圧電膜15が直接形成されていてもよい。このような例を、実施の形態の変形例として説明する。
図17は、実施の形態の変形例の膜構造体の断面図である。
図17に示すように、本変形例の膜構造体10は、基板11と、配向膜12と、導電膜13と、圧電膜15と、を有する。配向膜12は、基板11上に形成されている。導電膜13は、配向膜12上に形成されている。圧電膜15は、導電膜13上に形成されている。
即ち、本変形例の膜構造体10は、導電膜13上に、導電膜14(図1参照)を介さずに圧電膜15が直接形成されている点を除いて、実施の形態の膜構造体10と同様である。
Ptを含む導電膜13上に、SROを含む導電膜14(図1参照)を介さずにPZTを含む圧電膜15が形成されている場合、Ptを含む導電膜13上に、SROを含む導電膜14(図1参照)を介してPZTを含む圧電膜15が形成されている場合に比べ、圧電膜15の結晶性は低下する。しかし、Ptを含む導電膜13上に、SROを含む導電膜14(図1参照)を介さずにPZTを含む圧電膜15が形成されている場合も、配向膜12上に導電膜13が配向又はエピタキシャル成長しやすい。そのため、導電膜13上に形成される圧電膜15もある程度配向又はエピタキシャル成長しやすくなり、圧電膜15の結晶性をある程度向上させることができる。
なお、本変形例の膜構造体10も、実施の形態の膜構造体10と同様に、導電膜16(図2参照)を有してもよい。
以下、実施例に基づいて本実施の形態を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜60)
以下では、実施の形態で図1を用いて説明した膜構造体10を、実施例1〜60の膜構造体として形成した。また、実施例1〜60の膜構造体は、膜12a(図12参照)の厚さ、膜12aを形成する際の基板温度、及び、配向膜12b(図13参照)を形成する際の基板温度の各々を変更しながら形成したものである。
まず、図11に示したように、基板11として、(100)面よりなる主面としての上面11dを有し、6インチのSOI基板よりなるウェハを用意した。
次に、図12に示したように、基板11のシリコン層11c上に、膜12aとして、ジルコニウム(Zr)膜を、電子ビーム蒸着法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : 電子ビーム蒸着装置
圧力 : 2.10×10−5Pa
蒸着源 : Zr
加速電圧/エミッション電流 : 7.5kV/1.50mA
厚さ : 20nm以下
成膜速度 : 0.005nm/s
酸素流量 : 0sccm
基板温度 : 600〜750℃
次に、図13に示したように、配向膜12として、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜を、電子ビーム蒸着法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : 電子ビーム蒸着装置
圧力 : 7.00×10−3Pa
蒸着源 : Zr+O2
加速電圧/エミッション電流 : 7.5kV/1.80mA
厚さ : 10nm
成膜速度 : 0.005nm/s
酸素流量 : 10sccm
基板温度 : 500〜600℃
ここで、実施例1〜60の各実施例におけるZr膜の厚さ、Zr膜を形成する際の基板温度、及び、ZrO2膜を形成する際の基板温度を、表2〜表4に示す。表2に示す実施例1〜20は、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合である。表3に示す実施例21〜40は、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合である。そして、表4に示す実施例41〜60は、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合である。なお、前述したように、実施例1〜60の各実施例におけるZrO2膜の厚さは、10nmである。また、表2〜表4では、ZrO2膜の結晶性の評価結果を、一重丸と二重丸とにより示す。二重丸の場合、一重丸の場合よりも、結晶性が高いことを示す。
実施例1〜60について、ZrO2膜までが形成された膜構造体のX線回折(X-ray Diffraction:XRD)法によるθ−2θスペクトルを測定した。図18及び図19は、ZrO2膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。図18及び図19の各々のグラフの横軸は、角度2θを示し、図18及び図19の各々のグラフの縦軸は、X線の強度を示す。
なお、図18は、Zr膜の厚さが7nmであり、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃であり、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃である場合を例示する。また、図19は、Zr膜の厚さが7nmであり、Zr膜を形成する際の基板温度が750℃であり、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃である場合を例示する。また、図18及び図19において、T−ZrO2は、正方晶のZrO2を意味し、M−ZrO2は、単斜晶のZrO2を意味する。なお、前述したように、正方晶のZrO2が立方晶のZrO2に含まれるものとする。
図18に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するZrO2の(200)に相当するピークが観察された。そのため、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したZrO2を含むことが分かった。
また、図18に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するZrO2の(200)に相当するピーク以外のピークは観察されなかった。そのため、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)面以外の面で配向したZrO2、又は、単斜晶の結晶構造を有するZrO2を、少なくとも検出限界以上の含有比としては含まないことが分かった。
一方、図19に示す例でも、θ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するZrO2の(200)に相当するピークが観察された。そのため、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したZrO2を含むことが分かった。
ただし、図19に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するZrO2の(200)に相当するピーク以外のピークとして、正方晶の結晶構造を有するZrO2の(111)に相当するピーク、及び、単斜晶の結晶構造を有するZrO2の(111)に相当するピークが観察された。そのため、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したZrO2に比べれば含有比としては少ないものの、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(111)配向したZrO2、及び、単斜晶の結晶構造を有し、且つ、(111)配向したZrO2を、ある程度含むことが分かった。
前述したように、実施例1〜60の膜構造体は、Zr膜の厚さ、Zr膜を形成する際の基板温度、及び、ZrO2膜を形成する際の基板温度の各々を変更して形成したものである。このような実施例1〜60の膜構造体について測定したθ−2θスペクトルにおいて観察されたピークを、Zr膜の厚さ、Zr膜を形成する際の基板温度、及び、ZrO2膜を形成する際の基板温度で分類して整理した。図20〜図22は、実施例1〜60のθ−2θスペクトルで観察されたピークを、Zr膜の厚さ、及び、Zr膜を形成する際の基板温度で分類して整理した表を示す。図20〜図22の各々は、ZrO2膜を形成する際の基板温度が、500℃、550℃及び600℃のいずれかである場合を示す。また、図20〜図22の各々の各列は、互いに異なるZr膜の厚さに対応し、図20〜図22の各々の各行は、互いに異なるZr膜を形成する際の基板温度に対応している。
まず、図20に示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合には、Zr膜の厚さが20nm以下で、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が600〜750℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク(図20においてZrO2(200)と記載)が観察された。一方、図20では図示を省略するが、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合には、Zr膜の厚さが20nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が600℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が750℃を超える場合に、(100)配向したZrO2のピークが観察されなかった。
また、図21に示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合には、Zr膜の厚さが20nm以下で、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が600〜750℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク(図21においてZrO2(200)と記載)が観察された。一方、図21では図示を省略するが、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合には、Zr膜の厚さが20nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が600℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が750℃を超える場合に、(100)配向したZrO2のピークが観察されなかった。
また、図22に示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合には、Zr膜の厚さが20nm以下で、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が600〜750℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク(図22においてZrO2(200)と記載)が観察された。一方、図22では図示を省略するが、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合には、Zr膜の厚さが20nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が600℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が750℃を超える場合に、(100)配向したZrO2のピークが観察されなかった。
また、図20〜図22では図示を省略するが、図20〜図22に示す実施例1〜60以外の実施例として、他の条件は全て同じにし、5nm又は20nmの厚さを有するZrO2膜を形成した場合についても、10nmの厚さを有するZrO2膜を形成した場合と全く同様の結果が得られた。
以上の結果より、少なくとも、20nm以下の厚さを有する、ジルコニウムを含む膜12aを、600〜750℃の温度で形成し、且つ、5〜20nmの厚さを有する酸化ジルコニウムを含む配向膜12bを、500〜600℃の温度で形成する場合に、(100)配向したZrO2のピークが観察されることが分かった。このような場合、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウムをより多く含む。
また、図20にハッチングを付して示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合には、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク以外のピークは観察されなかった。一方、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合には、Zr膜の厚さが5nm未満の場合、Zr膜の厚さが10nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が650℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃を超える場合に、ZrO2(100)以外のピークが観察された。観察されたピークは、例えば(111)配向したZrO2のピーク(図20においてZrO2(111)と記載)、(111)配向したZr3Oのピーク(図20においてZr3O(111)と記載)、(101)配向したZr3Oのピーク(図20においてZr3O(101)と記載)であった。
なお、ZrO2膜を形成する際の基板温度が500℃の場合の上記の結果については、表2の「ZrO2膜の結晶性」の欄には、以下のように示されている。即ち、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合(実施例7〜9、12〜14)、結晶性の評価結果が一重丸よりも優れた二重丸で示されている。一方、それ以外の場合(実施例1〜6、10、11、15〜20)、結晶性の評価結果が一重丸で示されている。
また、図21にハッチングを付して示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合には、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク以外のピークは観察されなかった。一方、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合には、Zr膜の厚さが5nm未満の場合、Zr膜の厚さが10nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が650℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃を超える場合に、ZrO2(100)以外のピークが観察された。観察されたピークは、例えば(111)配向したZrO2のピーク(図21においてZrO2(111)と記載)、(111)配向したZr3Oのピーク(図21においてZr3O(111)と記載)、(101)配向したZr3Oのピーク(図21においてZr3O(101)と記載)であった。
なお、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃の場合の上記の結果については、表3の「ZrO2膜の結晶性」の欄には、以下のように示されている。即ち、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合(実施例27〜29、32〜34)、結晶性の評価結果が一重丸よりも優れた二重丸で示されている。一方、それ以外の場合(実施例21〜26、30、31、35〜40)、結晶性の評価結果が一重丸で示されている。
また、図22にハッチングを付して示すように、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合には、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合、(100)配向したZrO2のピーク以外のピークは観察されなかった。一方、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合には、Zr膜の厚さが5nm未満の場合、Zr膜の厚さが10nmを超える場合、Zr膜を形成する際の基板温度が650℃未満の場合、又は、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃を超える場合に、ZrO2(100)以外のピークが観察された。観察されたピークは、例えば(111)配向したZrO2のピーク(図22においてZrO2(111)と記載)、(111)配向したZr3Oのピーク(図22においてZr3O(111)と記載)、(101)配向したZr3Oのピーク(図22においてZr3O(101)と記載)であった。
なお、ZrO2膜を形成する際の基板温度が600℃の場合の上記の結果については、表4の「ZrO2膜の結晶性」の欄には、以下のように示されている。即ち、Zr膜の厚さが5〜10nmで、且つ、Zr膜を形成する際の基板温度が650〜700℃の場合(実施例47〜49、52〜54)、結晶性の評価結果が一重丸よりも優れた二重丸で示されている。一方、それ以外の場合(実施例41〜46、50、51、55〜60)、結晶性の評価結果が一重丸で示されている。
なお、図20〜図22において、「ZrO2(200)弱」と記載されたピーク強度は、5.0×103cps未満であり、それ以外の「ZrO2(200)」と記載されたピーク強度の1/2未満であることを意味する。
また、図20〜図22では図示を省略するが、実施例1〜60以外の実施例として、8nm又は12nmの厚さを有するZrO2膜を形成した場合についても、10nmの厚さを有するZrO2膜を形成した場合と全く同様の結果が得られた。
以上の結果より、5〜10nmの厚さを有する、ジルコニウムを含む膜12aを、650〜700℃の温度で形成し、且つ、8〜12nmの厚さを有する酸化ジルコニウムを含む配向膜12bを、500〜600℃の温度で形成することが好ましいことが分かった。このような条件の場合、配向膜12bが、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向した酸化ジルコニウムをより多く含むことができる。
ジルコニウム(Zr)は、シリコン(Si)よりも酸化しやすく、イオン化しやすい。そのため、5〜10nmの厚さを有する、ジルコニウムを含む膜12aを、650〜700℃の温度で形成し、且つ、8〜12nmの厚さを有する酸化ジルコニウムを含む配向膜12bを、500〜600℃の温度で形成することにより、シリコン層11cの上面11dに存在する自然酸化膜(SiO2)をより完全に除去することができる。そのため、酸化ジルコニウム(Zr)を含む配向膜12bを、シリコン層11cの上面11d上に直接エピタキシャル成長させることができる。
なお、実施例1〜60では、ZrO2を含む配向膜12bが形成される際に、膜12aに含まれるZrが酸化されることにより、膜12aが消滅して配向膜12bになった。そのため、シリコン層11c上に配向膜12bが直接形成され、シリコン層11c上に直接形成された配向膜12bのみを含む配向膜12が形成された。
次に、図15に示したように、配向膜12上に、導電膜13として、白金(Pt)膜を、スパッタリング法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : DCスパッタリング装置
圧力 : 3.20×10−2Pa
蒸着源 : Pt
電力 : 100W
厚さ : 100nm
成膜速度 : 0.14nm/s
Ar流量 : 16sccm
基板温度 : 400℃
ZrO2膜のθ−2θスペクトルにおいて、ZrO2(200)のピーク以外に、ZrO2(111)、Zr3O(111)及びZr3O(101)のピークが観察された場合、Pt膜のθ−2θスペクトルにおいて、Pt(200)のピーク以外に、Pt(111)のピークが観察された。一方、ZrO2膜のθ−2θスペクトルにおいて、ZrO2(200)のピーク以外に、ZrO2(111)、Zr3O(111)及びZr3O(101)のピークが観察されない場合、Pt膜のθ−2θスペクトルにおいて、Pt(200)のピーク以外に、Pt(111)のピークが観察されず、導電膜13の結晶性を向上させることができる。
次に、図16に示したように、導電膜13上に、導電膜14として、SRO膜を、スパッタリング法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
装置 : RFマグネトロンスパッタリング装置
パワー : 300W
ガス : Ar
圧力 : 1.8Pa
基板温度 : 600℃
成膜速度 : 0.11nm/s
厚さ : 20nm
実施例1〜60について、SRO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルを測定した。図23は、SRO膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。図23のグラフの横軸は、角度2θを示し、図23のグラフの縦軸は、X線の強度を示す。
なお、図23は、Zr膜の厚さが7nmであり、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃であり、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃である場合を例示する。
図23に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、立方晶の結晶構造を有するPtの(200)に相当するピークが観察された。そのため、導電膜13が、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したPtを含むことが分かった。
また、図23に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、立方晶の結晶構造を有するSROの(100)に相当するピークが観察された。そのため、導電膜13が、立方晶の結晶構造を有し、且つ、(100)配向したSROを含むことが分かった。
次に、図1に示したように、導電膜14上に、圧電膜15として、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3膜(PZT膜)を積層した積層膜を、塗布法により形成した。この際の条件を、以下に示す。
Pb、Zr、及びTiの有機金属化合物をPb:Zr:Ti=100+δ:52:48の組成比になるように混合し、エタノールと2−n−ブトキシエタノールの混合溶媒に、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3としての濃度が0.35mol/lになるように溶解させた原料溶液を調整した。ここでδは、後の熱処理プロセスにおいてPb酸化物が揮発することを加味した余剰Pb量であり、本実施例においてδ=20である。そして、原料溶液には更に20gの重量の、K値が27〜33のポリピロリドンを溶解させた。
次に、調製した原料溶液のうち3mlの原料溶液を、6インチのウェハよりなる基板11上に滴下し、3000rpmで10秒間回転させ、基板11上に原料溶液を塗布することにより、前駆体を含む膜を形成した。そして、200℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置し、更に450℃の温度のホットプレート上に、基板11を30秒間載置することにより、溶媒を蒸発させて膜を乾燥させた。その後、0.2MPaの酸素(O2)雰囲気中、600〜700℃で60秒間熱処理して前駆体を酸化して結晶化させることにより、100nmの膜厚を有する圧電膜を形成した。この原料溶液の塗布から結晶化までの工程を例えば5回繰り返すことにより、例えば500nmの膜厚を有するPZT膜を形成した。
実施例1〜60について、PZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルを測定した。図24は、PZT膜までが形成された膜構造体のXRD法によるθ−2θスペクトルの例を示すグラフである。図24のグラフの横軸は、角度2θを示し、図24のグラフの縦軸は、X線の強度を示す。
なお、図24は、Zr膜の厚さが7nmであり、Zr膜を形成する際の基板温度が700℃であり、ZrO2膜を形成する際の基板温度が550℃である場合を例示する。
また、図24に示す例では、θ−2θスペクトルにおいて、正方晶の結晶構造を有するPZTの(001)及び(002)に相当するピークが観察された。そのため、圧電膜15が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したPZTを含むことが分かった。
また、PZT膜を、塗布法により形成する場合、基板温度として、従来に比べて広い600〜700℃の温度範囲で形成した場合に、図24に示す例と同様に、圧電膜15が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したPZTを含むことが分かった。
なお、実施例1〜60とは別に、圧電膜15として、PZT膜を、塗布法に代えて、スパッタリング法により形成しても、全く同様の結果が得られた。圧電膜15として、PZT膜をスパッタリング法により形成する際の条件を、以下に示す。
装置 : RFマグネトロンスパッタリング装置
パワー : 2500W
ガス : Ar/O2
圧力 : 0.14Pa
基板温度 : 425〜525℃
成膜速度 : 0.63nm/s
PZT膜を、塗布法に代えて、スパッタリング法により形成する場合も、基板温度として、従来に比べて広い425〜525℃の温度範囲で形成した場合に、図24に示した例と同様に、圧電膜15が、正方晶の結晶構造を有し、且つ、(001)配向したPZTを含むことが分かった。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。