以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図1及び図2を参照して、実施の形態1の空気調和機200について説明する。
図1に示す如く、空気調和機200はエアコンにより構成されている。すなわち、空気調和機200は室内機1及び室外機2を有している。室内機1は熱交換器(不図示)を有しており、かつ、室外機2は他の熱交換器(不図示)を有しており、かつ、これらの熱交換器は冷媒管(不図示)により互いに熱的に接続されている。また、室外機2は冷媒用の圧縮機(不図示)等を有している。これらの部材の構造、配置及び動作などは公知であるため、詳細な説明は省略する。また、空気調和機200は、リモートコントローラ(以下「リモコン」という。)3により操作されるものである。
以下、室内機1に対する左右方向を「x方向」という。また、室内機1に対する前後方向を「y方向」という。また、室内機1に対する上下方向を「z方向」という。また、室内機1の前後方向に対する方位角方向、すなわちy方向に対する方位角方向を単に「方位角方向」という。また、室内機1の前後方向に対する仰俯角方向、すなわちy方向に対する仰俯角方向を単に「仰俯角方向」という。
また、空気調和機200による空気調和の対象となる空間S1を「空気調和対象空間」という。また、室内機1による空気調和対象空間S1に対する送風方向ΦB,ΘBのうちの方位角方向に対する送風方向ΦBを「第1送風方向」ということがある。また、仰俯角方向に対する送風方向ΘBを「第2送風方向」ということがある。
図2に示す如く、室内機1は、方位角方向に対する取付け角度が可変な風向板(以下「第1風向板」という。)11、仰俯角方向に対する取付け角度が可変な風向板(以下「第2風向板」という。)12、及び空気調和対象空間S1に対する送風用のファン(以下「送風ファン」という。)13を有している。また、室内機1は、第1風向板11用の駆動モータ14、第2風向板12用の駆動モータ15、及び送風ファン13用の駆動モータ16を有している。
送風方向制御部21は、第1風向板11の取付け角度を制御することにより、より具体的には駆動モータ14におけるロータの回転位置を制御することにより、第1送風方向ΦBを制御するものである。また、送風方向制御部21は、第2風向板12の取付け角度を制御することにより、より具体的には駆動モータ15におけるロータの回転位置を制御することにより、第2送風方向ΘBを制御するものである。
送風風量制御部22は、送風ファン13の回転数を制御することにより、より具体的には駆動モータ16におけるロータの回転数を制御することにより、室内機1による空気調和対象空間S1に対する送風風量VBを制御するものである。
ユーザによるリモコン3に対する操作入力に応じて、第1風向板11の取付け角度、第2風向板12の取付け角度、送風ファン13の回転数、及び圧縮機の動作などが制御される。これらの制御により、空気調和対象空間S1内の空気調和(例えば冷房又は暖房)が実現される。
以下、送風方向制御部21による送風方向ΦB,ΘBの制御及び送風風量制御部22による送風風量VBの制御を総称して「送風制御」という。また、空気調和対象空間S1内の空気調和を実現するための送風制御を「空気調和用送風制御」という。送風方向制御部21及び送風風量制御部22により、送風制御部23の要部が構成されている。
室内機1は、ライダ17を有している。ライダ17は、例えば、パルス変調方式のライダ又はCW(Continuous Wave)方式のライダにより構成されている。各方式のライダの構造及び動作原理などは公知であるため、詳細な説明は省略する。
ライダ17によるレーザ光Lの出力口Oは、例えば、室内機1の前面部に設けられている。ライダ17は、レーザ光Lの出力方向(以下「視線方向」という。)Dが可変なものである。ライダ17は、空気調和対象空間S1にレーザ光Lを出力することにより、視線方向Dにおける、距離Zに対する受信信号の強度(以下「受信強度」という。)PRECを示す特性(以下「距離−強度特性」という。)を取得するものである。受信強度PRECは、例えば、受信信号の時間軸波形に対するFFT(Fast Fourier Transform)により得られたパワースペクトルのピーク値に対応するものである。すなわち、受信強度PRECは、ピーク周波数における受信信号の強度に対応するものである。各方式のライダによる距離−強度特性の取得方法は公知であるため、詳細な説明は省略する。
ライダ17は、空気調和対象空間S1内をラスタースキャン状に走査することにより、複数個の視線方向Dの各々における距離−強度特性を取得する。ライダ17は、複数個の視線方向Dの各々における距離−強度特性を示す情報(以下「距離−強度特性情報」という。)を第1ガス濃度算出部24に出力する。なお、距離−強度特性情報は、個々の距離−強度特性に対応する視線方向Dを示す角度値φ,θを含むものである。φは方位角方向に対する角度値であり、θは仰俯角方向に対する角度値である。
ここで、ライダ17は、互いに異なる波長λに対応する複数個の光発振器(不図示)を有している。または、ライダ17は、波長可変型の光発振器(不図示)を有している。これにより、ライダ17は、出力されるレーザ光Lの波長λを切替え自在なものである。より具体的には、ライダ17は、所定の波長(以下「第1波長」という。)λOFFを有するレーザ光(以下「第1波長光」という。)LOFFを出力自在なものであり、かつ、他の所定の波長(以下「第2波長」という。)λONを有するレーザ光(以下「第2波長光」という。)LONを出力自在なものである。
ライダ17は、複数個の視線方向Dの各々における、距離Zに対する第1波長光LOFFによる受信強度(以下「第1受信強度」という。)PREC OFFを示す距離−強度特性(以下「第1距離−強度特性」という。)を取得するとともに、距離Zに対する第2波長光LONによる受信強度(以下「第2受信強度」という。)PREC ONを示す距離−強度特性(以下「第2距離−強度特性」という。)を取得する。距離−強度特性情報は、複数個の視線方向Dの各々における、第1距離−強度特性及び第2距離−強度特性を含むものである。
第1ガス濃度算出部24は、ライダ17により出力された距離−強度特性情報を用いて、空気調和対象空間S1内の複数個の領域(以下「第1ガス検知対象領域」という。)A1の各々における、所定のガス(以下「検知対象ガス」という。)の濃度値(以下「第1濃度値」という。)N1を算出するものである。ここで、複数個の第1ガス検知対象領域A1は、空気調和対象空間S1のうちの少なくとも一部の空間(以下「ガス検知対象空間」という。)S2をx方向、y方向及びz方向に所定間隔に分割してなるものである。
ガス検知対象空間S2は、通常、空気調和対象空間S1の略全体に対応する空間に設定されている。検知対象ガスは、例えば、都市ガス又はプロパンガスである。第1ガス濃度算出部24は、空気調和対象空間S1(より具体的にはガス検知対象空間S2)における第1濃度値N1の分布を示す情報(以下「第1ガス濃度分布情報」という。)を第2ガス濃度算出部25に出力するものである。
第2ガス濃度算出部25は、第1ガス濃度算出部24により出力された第1ガス濃度分布情報を用いて、第1ガス濃度算出部24により算出された第1濃度値N1を空間的に平均化するものである。より具体的には、第2ガス濃度算出部25は、当該算出された第1濃度値N1をx方向、y方向及びz方向に対する所定の距離範囲(例えば60センチメートル)毎に平均化するものである。なお、第2ガス濃度算出部25は、移動平均を求めるものであっても良い。これにより、第2ガス濃度算出部25は、空気調和対象空間S1(より具体的にはガス検知対象空間S2)内の1個以上の領域(以下「第2ガス検知対象領域」という。)A2の各々における、検知対象ガスの濃度値(以下「第2濃度値」という。)N2を算出するものである。すなわち、個々の第2ガス検知対象領域A2は、複数個の第1ガス検知対象領域A1のうちの対応する第1ガス検知対象領域A1を空間的にマージしてなるものである。
個々の第1ガス検知対象領域A1のサイズは、例えば、ライダ17の空間分解能に応じた値(例えば数センチメートル)に設定されている。これに対して、個々の第2ガス検知対象領域A2のサイズは、個々の第1ガス検知対象領域A1のサイズよりも大きいものである。個々の第2ガス検知対象領域A2のサイズは、例えば、一般的なガス機器(例えばガスコンロ)のサイズ、又は空気調和対象空間S1内に設置されたガス機器(例えばガスコンロ)のサイズに応じた値(例えば60センチメートル)に設定されている。
以下、第1濃度値N1及び第2濃度値N2を総称して単に「濃度値」ということがある。また、この濃度値に「N」の符号を付すことがある。
また、第1ガス濃度算出部24が第1濃度値N1を算出する処理及び第2ガス濃度算出部25が第2濃度値N2を算出する処理を総称して「ガス検知処理」という。すなわち、ガス検知処理は、空気調和対象空間S1(より具体的にはガス検知対象空間S2)内の検知対象ガスを検知する処理である。第1ガス濃度算出部24及び第2ガス濃度算出部25により、ガス検知処理部26の要部が構成されている。
ここで、図3〜図5を参照して、第1距離−強度特性の具体例、第2距離−強度特性の具体例、第1ガス濃度算出部24による第1濃度値N1の算出方法の具体例、及び第2ガス濃度算出部25による第2濃度値N2の算出方法の具体例について説明する。
検知対象ガスは、いわゆる「吸収線」を有している。第2波長λONは、検知対象ガスの吸収線に対応する値に設定されている。例えば、検知対象ガスが都市ガスである場合、第2波長λONは2マイクロメートルに設定されている。または、例えば、検知対象ガスがプロパンガスである場合、第2波長λONは3.2〜3.4マイクロメートルの範囲内の値に設定されている。他方、第1波長λOFFは、検知対象ガスの吸収線を回避した値に設定されている。例えば、第1波長λOFFは、1550ナノメートルに設定されている。
このため、視線方向Dにおける距離区間ΔZに対応する領域(以下「距離区間領域」という。)A3に検知対象ガスが存在する場合、当該距離区間ΔZにおいては、第2受信強度PREC ONが第1受信強度PREC OFFよりも小さくなる。また、当該距離区間ΔZに対応する距離区間領域A3における検知対象ガスの濃度値nは、当該距離区間ΔZにおける第1受信強度PREC OFFと第2受信強度PREC ONとの比に応じた値となる。
図3は、第1距離−強度特性の例及び第2距離−強度特性の例を示している。特性線Iは、第1波長光LOFFによる距離−強度特性の例、すなわち第1距離−強度特性の例を示している。特性線IIは、第2波長光LONによる距離−強度特性の例、すなわち第2距離−強度特性の例を示している。図中、iはレンジビン番号を示しており、R(i)はレンジビンを示しており、Z(i)は各レンジビンに対応する距離値を示している。また、ΔZ(i)は距離値Z(i)と距離値Z(i+1)間の距離区間を示している。
図3に示す如く、距離区間ΔZ(1)〜ΔZ(3)においては、第2受信強度PREC ONが第1受信強度PREC OFFと同等である。このため、これらの距離区間ΔZ(1)〜ΔZ(3)に対応する距離区間領域A3には、検知対象ガスが存在しないと考えられる。他方、距離区間ΔZ(4)〜ΔZ(9)においては、第2受信強度PREC ONが第1受信強度PREC OFFよりも小さい。このため、これらの距離区間ΔZ(4)〜ΔZ(9)に対応する距離区間領域A3には、検知対象ガスが存在すると考えられる。
まず、第1ガス濃度算出部24は、以下の式(1)により、個々の距離区間ΔZ(i)に対応する距離区間領域A3における、検知対象ガスによる差分吸収量(すなわち検知対象ガスの光学的厚さ)Δτを算出する。
PREC OFF(Z(i))は、距離値Z(i)に対応する第1受信強度PREC OFFを示している。PREC OFF(Z(i+1))は、距離値Z(i+1)に対応する第1受信強度PREC OFFを示している。PREC ON(Z(i))は、距離値Z(i)に対応する第2受信強度PREC ONを示している。PREC ON(Z(i+1))は、距離値Z(i+1)に対応する第2受信強度PREC ONを示している。これらの値は、ライダ17により出力された距離−強度特性情報に含まれている。
次いで、第1ガス濃度算出部24は、以下の式(2)により、個々の距離区間ΔZ(i)に対応する距離区間領域A3における、検知対象ガスの濃度値n(i)を算出する。なお、濃度値n(i)の単位は[ppm]である。
δZは、ライダ17の距離分解能を示している。δZは、以下の式(3)により表されるものである。また、kOFFは、検知対象ガスによる第1波長光LOFFの吸収係数を示している。kOFFの値は、検知対象ガスの種類及び第1波長λOFFの値に応じて定まるものである。また、kONは、検知対象ガスによる第2波長光LONの吸収係数を示している。kONの値は、検知対象ガスの種類及び第2波長λONの値に応じて定まるものである。なお、吸収係数kOFF,kONの単位は[/ppm/m]である。
δZ=Z(i+1)−Z(i) (3)
第1ガス濃度算出部24には、距離分解能δZを示す情報及び吸収係数kOFF,kONを示す情報が予め記憶されている。第1ガス濃度算出部24は、当該予め記憶されている情報を上記式(2)の計算に用いる。
ここで、個々の距離値Z(i)に対応する地点の空気調和対象空間S1におけるx座標値は、以下の式(4)により表される。また、当該地点の空気調和対象空間S1におけるy座標値は、以下の式(5)により表される。また、当該地点の空気調和対象空間S1におけるz座標値は、以下の式(6)により表される。
x=Z(i)×sinφ (4)
y=Z(i)×sinθ×cosφ (5)
z=Z(i)×cosφ×cosθ (6)
第1ガス濃度算出部24は、上記式(4)〜上記式(6)に基づき、個々の距離区間ΔZ(i)に対応する距離区間領域A3が、複数個の第1ガス検知対象領域A1のうちのいずれの第1ガス検知対象領域A1に対応するものであるのかを判定する。第1ガス濃度算出部24は、当該判定の結果に基づき、個々の距離区間領域A3における濃度値n(i)を、対応する第1ガス検知対象領域A1における第1濃度値N1に設定する。
上記のとおり、ライダ17は、空気調和対象空間S1内をラスタースキャン状に走査する。第1ガス濃度算出部24は、複数個の視線方向Dの各々について、個々の距離区間ΔZ(i)に対応する距離区間領域A3における濃度値n(i)を算出する。そして、第1ガス濃度算出部24は、これらの濃度値(i)の各々を、対応する第1ガス検知対象領域A1における第1濃度値N1に設定する。
これにより、図4に示す如く、複数個の第1ガス検知対象領域A1の各々における第1濃度値N1が算出される。図中、個々の丸印は、対応する第1ガス検知対象領域A1における第1濃度値N1を示している。すなわち、当該丸印の色が濃いほど、対応する第1ガス検知対象領域A1における第1濃度値N1が大きいことを示している。第1ガス濃度算出部24は、ガス検知対象空間S2における第1濃度値N1の分布を示す情報、すなわち第1ガス濃度分布情報を第2ガス濃度算出部25に出力する。
次いで、第2ガス濃度算出部25は、第1ガス濃度算出部24により出力された第1ガス濃度分布情報を用いて、第1ガス濃度算出部24により算出された第1濃度値N1を空間的に平均化する。より具体的には、第2ガス濃度算出部25は、当該算出された第1濃度値N1をx方向、y方向及びz方向に対する所定の距離範囲(例えば60センチメートル)毎に平均化する。これにより、第2ガス濃度算出部25は、1個以上の第2ガス検知対象領域A2の各々における第2濃度値N2を算出する。上記のとおり、個々の第2ガス検知対象領域A2は、複数個の第1ガス検知対象領域A1のうちの対応する第1ガス検知対象領域A1を空間的にマージしてなるものである。
図5は、複数個(より具体的には12個)の第2ガス検知対象領域A2が設定されている場合における、当該複数個の第2ガス検知対象領域A2の各々における第2濃度値N2の例を示している。図中、個々の球体は、対応する第2ガス検知対象領域A2における第2濃度値N2を示している。すなわち、当該球体の色が濃いほど、対応する第2ガス検知対象領域A2における第2濃度値N2が大きいことを示している。
第2ガス濃度算出部25は、空気調和対象空間S1(より具体的にはガス検知対象空間S2)における第2濃度値N2の分布を示す情報(以下「第2ガス濃度分布情報」という。)を送風制御部23に出力する。送風制御部23は、当該出力された第2ガス濃度分布情報を用いて、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスを所定の領域(以下「ガス誘導対象領域」という。)A4に誘導するための送風制御(以下「ガス誘導用送風制御」という。)を実行する。以下、図6及び図7を参照して、ガス誘導用送風制御の具体例について説明する。
まず、送風制御部23は、個々の第2ガス検知対象領域A2における第2濃度値N2を所定の閾値Nthと比較する。これにより、送風制御部23は、ガス誘導用送風制御の実行の要否を判定する。
例えば、閾値Nth以上の第2濃度値N2を有する第2ガス検知対象領域A2の個数が所定個(例えば1個)以上である場合、送風制御部23は、ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定する。他方、閾値Nth以上の第2濃度値N2を有する第2ガス検知対象領域A2の個数が所定個未満である場合、送風制御部23は、ガス誘導用送風制御の実行が不要であると判定する。閾値Nthは、検知対象ガスの種類毎に、検知対象ガスが人体に与える影響などを考慮して設定されたものである。
送風制御部23は、ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定された場合、以下のようにガス誘導用送風制御を実行する。
すなわち、送風制御部23には、空気調和対象空間S1内の複数個の領域(以下「単位領域」という。)A5の各々における、方位角方向に対する風向値(以下「第1風向値」ということがある。)ΦM、仰俯角方向に対する風向値(以下「第2風向値」ということがある。)ΘM、及び風速値VMのモデル(以下「風向風速モデル」という。)Mと、この風向風速モデルMを実現するための送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBとの対応関係を示すテーブル(以下「風向風速モデルテーブル」という。)Tが予め記憶されている。より具体的には、送風制御部23には、複数個の風向風速モデルMに対応する複数個の風向風速モデルテーブルTが予め記憶されている。複数個の単位領域A5は、空気調和対象空間S1をx方向、y方向及びz方向に所定間隔に分割してなるものである。
図6は、複数個の風向風速モデルMのうちの1個の風向風速モデルMにおける、所定のx座標値に対応する部分の例を示している。図中、複数個の白抜きの矢印の各々は、対応する単位領域A5における風ベクトルDMを示している。すなわち、風ベクトルDMは、風向値ΦM,ΘMに対応する向きを有し、かつ、風速値VMに対応する大きさを有するものである。また、線状の矢印は、当該1個の風向風速モデルMに対応する送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBによる送風制御を送風制御部23が実行した場合における、空気調和対象空間S1内に発生する気流F1の例を示している。
例えば、図7に示す如く、空気調和対象空間S1内にガス機器(より具体的にはコンロ台及び当該コンロ台に載置されたガスコンロ)E1が設置されており、ガス機器E1の設置位置に対応する第2ガス検知対象領域A2における第2濃度値N2が閾値Nth以上であるものとする。この場合、送風制御部23は、複数個の風向風速モデルMのうち、ガス機器E1の設置位置に対応する単位領域A5及び当該単位領域A5に対する上方に配置された単位領域A5にて上昇気流が発生する風向風速モデルMを選択する。すなわち、図6に示す風向風速モデルMを選択する。
送風制御部23は、当該選択された風向風速モデルMに対応する送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBによる送風制御を実行する。当該送風制御により、空気調和対象空間S1内の検知対象ガス(図中G)が上昇して、空気調和対象空間S1内の天井部を含む領域に誘導される。すなわち、当該送風制御がガス誘導用送風制御であり、当該天井部を含む領域がガス誘導対象領域A4に設定されている。
送風制御部23及びガス検知処理部26により、制御装置100の要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17及び制御装置100により、室内機1の要部が構成されている。室内機1及び室外機2により、空気調和機200の要部が構成されている。
次に、図8を参照して、制御装置100の要部のハードウェア構成について説明する。
図8Aに示す如く、制御装置100はプロセッサ41及びメモリ42を有している。メモリ42のうちの不揮発性メモリには、送風制御部23及びガス検知処理部26の機能に対応するプログラムが記憶されている。プロセッサ41は、当該記憶されているプログラムをメモリ42のうちの揮発性メモリにロードして、当該ロードされたプログラムを実行する。これにより、送風制御部23及びガス検知処理部26の機能が実現される。
または、図8Bに示す如く、制御装置100は処理回路43を有している。この場合、送風制御部23及びガス検知処理部26の機能が専用の処理回路43により実現される。
または、制御装置100はプロセッサ41、メモリ42及び処理回路43を有している(不図示)。この場合、送風制御部23及びガス検知処理部26の機能のうちの一部の機能がプロセッサ41及びメモリ42により実現されて、残余の機能が専用の処理回路43により実現される。
プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)のうちの少なくとも一つにより構成されている。
メモリ42のうちの揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成されている。メモリ42のうちの不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)のうちの少なくとも一つにより構成されている。
処理回路43は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、SoC(System−on−a−Chip)又はシステムLSI(Large−Scale Integration)のうちの少なくとも一つにより構成されている。
次に、図9のフローチャートを参照して、制御装置100の動作について、ガス検知処理及びガス誘導用送風制御を中心に説明する。
送風制御部23が空気調和用送風制御を実行しているとき、ライダ17は、空気調和対象空間S1内を繰り返し走査する。ライダ17は、各回の走査において、複数個の視線方向Dの各々における距離−強度特性を取得する。ガス検知処理部26は、例えば、ライダ17による各回の走査が終了したとき、ステップST1の処理を実行する。
まず、ステップST1にて、ガス検知処理部26がガス検知処理を実行する。すなわち、第1ガス濃度算出部24が個々の第1ガス検知対象領域A1における第1濃度値N1を算出して、第2ガス濃度算出部25が個々の第2ガス検知対象領域A2における第2濃度値N2を算出する。ガス検知処理の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。ガス検知処理部26は、第2ガス濃度分布情報を送風制御部23に出力する。
次いで、ステップST2にて、送風制御部23は、ガス検知処理部26により出力された第2ガス濃度分布情報を用いて、ガス誘導用送風制御の実行の要否を判定する。送風制御部23による判定方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定された場合(ステップST2“YES”)、ステップST3にて、送風制御部23は、空気調和用送風制御を停止して、ガス誘導用送風制御を開始する。ガス誘導用送風制御の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
ステップST3にてガス誘導用送風制御が開始された後、ライダ17による走査、ガス検知処理部26によるガス検知処理、及び送風制御部23によるガス誘導用送風制御の実行要否の判定が繰り返し実行されるものであっても良い。送風制御部23は、ガス誘導用送風制御の実行要否の判定結果が「否」になったとき、すなわち閾値Nth以上の第2濃度値N2を有する第2ガス検知対象領域A2の個数が所定個未満になったとき、ガス誘導用送風制御を終了する。このとき、送風制御部23は、ステップST2“YES”のタイミングにて停止された空気調和用送風制御を再開するものであっても良い。
このように、空気調和機200は、ライダ17を用いたガス検知処理を実行する。ガス検知処理にライダ17を用いることにより、室内機1の設置位置に対する近傍の領域における検知対象ガスを早期に検知することができるのはもちろんのこと、当該設置位置に対する遠方の領域における検知対象ガスも早期に検知することができる。
また、空気調和機200は、ガス検知処理により高濃度の検知対象ガスが検知された場合(より具体的には、閾値Nth以上の第2濃度値N2を有する第2ガス検知対象領域A2の個数が所定個以上であると判定された場合)、ガス誘導用送風制御を実行する。ガス誘導対象領域A4は、例えば、空気調和対象空間S1内の天井部を含む領域に設定されている。通常、当該領域内に人がいる蓋然性は低い。したがって、かかるガス誘導用送風制御により、空気調和対象空間S1内の人を回避した領域に検知対象ガスを誘導することができる。また、検知対象ガスが都市ガスである場合、天井部にガス警報器が設けられている蓋然性が高い。したがって、かかるガス誘導用送風制御により、ガス警報器による早期の警報出力を実現することができる。
なお、検知対象ガスは都市ガス又はプロパンガスに限定されるものではない。例えば、検知対象ガスはフロン(より具体的にはHFC)であっても良い。この場合、第2波長λONが3000〜3100ナノメートルの範囲内の値に設定されているものであっても良い。または、例えば、検知対象ガスは二酸化炭素であっても良い。この場合、第2波長λONが1.6マイクロメートルに設定されており、かつ、閾値Nthが5000ppmに設定されているものであっても良い。
また、ライダ17は、出力されるレーザ光Lの波長λを3段階以上に切替え自在なものであっても良い。これにより、ガス検知処理部26は、互いに異なる吸収線を有する複数種類の検知対象ガスの各々の濃度値Nを算出するものであっても良い。
ここで、ライダ17を用いることにより、室内機1の設置位置よりも下方に位置する領内における検知対象ガスを検知することができるのはもちろんのこと、当該設置位置よりも上方に位置する領域における検知対象ガスを検知することもできる。これにより、検知対象ガスが都市ガス及びプロパンガスである場合、都市ガス及びプロパンガスの各々の検知を実現することができる。
また、ガス誘導用送風制御においては、検知対象ガスの種類毎に異なる風向風速モデルMが選択されるものであっても良い。これは、検知対象ガスが有する粘性、検知対象ガスに含まれる分子の重さ、及び検知対象ガスに含まれる分子のサイズなどに応じて、検知対象ガスの誘導に要する風速値VM(すなわち検知対象ガスの誘導に要する送風風量VB)などが異なり得るためである。
また、複数個の風向風速モデルMのうちの少なくとも一部の風向風速モデルMは、いわゆる「機械学習」による学習済みモデルを用いたものであっても良い。
また、ガス検知処理部26は、第2ガス濃度算出部25を有しないものであっても良い。この場合、ガス検知処理部26は、第1ガス濃度分布情報を送風制御部23に出力するものであっても良い。送風制御部23は、第2濃度値N2に代えて第1濃度値N1を用いて、ガス誘導用送風制御の実行の要否を判定するとともに、ガス誘導用送風制御を実行するものであっても良い。ただし、濃度値Nと閾値Nthとの比較を安定させる観点から、すなわち検知対象ガスの検知を安定させる観点から、第2濃度値N2を用いるのがより好適である。
また、送風制御部23には、風向風速モデルテーブルTに代えて、複数個の単位領域A5の各々における風向値ΦM,ΘMのモデル(以下「風向モデル」という。)M’と、この風向モデルM’を実現するための送風方向ΦB,ΘBとの対応関係を示すテーブル(以下「風向モデルテーブル」という。)T’が予め記憶されているものであっても良い。この場合、ガス誘導用送風制御における送風方向ΦB,ΘBが選択された風向モデルM’に応じた値に設定される一方、ガス誘導用送風制御における送風風量VBは空気調和用送風制御における送風風量VBと同様の値に設定されるものであっても良い。ただし、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上する観点から、風向風速モデルテーブルTを用いるのがより好適である。
また、送風風量制御部22による送風風量VBの制御方法は、駆動モータ16におけるロータの回転数を制御する方法に限定されるものではない。例えば、室内機1は、風量調節用のダンパ(不図示)を有するものであっても良い。送風風量制御部22は、当該ダンパを制御することにより、すなわちダクト抵抗曲線を変化させることにより、送風風量VBを制御するものであっても良い。
また、空気調和機200は空気調和用の機器であれば良く、エアコンに限定されるものではない。例えば、空気調和機200は、扇風機、送風機又はエアダクト装置により構成されているものであっても良い。
また、1個の空気調和対象空間S1に対して、複数台の空気調和機200による空気調和システムが構成されているものであっても良い。この場合、当該複数台の空気調和機200が連携することにより、選択された風向風速モデルMによるガス誘導用送風制御が実現されるものであっても良い。これにより、複雑な風向風速モデルMによるガス誘導用送風制御を実現することができる。また、上昇気流により天井部を含む領域に誘導された検知対象ガスを当該領域内に滞留させることができる。この結果、当該誘導された検知対象ガスが空気調和対象空間S1内にて下降するのを防ぐことができる。
以上のように、実施の形態1の空気調和機200は、ライダ17を用いて、空気調和対象空間S1における検知対象ガスの濃度値Nを算出するガス検知処理部26と、濃度値Nを用いて、空気調和対象空間S1に対する送風方向ΦB,ΘBを制御する送風制御部23と、を備える。ライダ17を用いることにより、空気調和対象空間S1(より具体的にはガス検知対象空間S2)内の検知対象ガスを早期に検知することができる。また、ガス誘導用送風制御により、検知対象ガスを空気調和対象空間S1内の所定の領域に誘導することができる。
また、ガス検知処理部26は、複数個の第1ガス検知対象領域A1の各々における第1濃度値N1を算出する第1ガス濃度算出部24と、第1濃度値N1を空間的に平均化することにより、1個以上の第2ガス検知対象領域A2の各々における第2濃度値N2を算出する第2ガス濃度算出部25と、を有し、送風制御部23は、第2濃度値N2を送風方向ΦB,ΘBの制御に用いる。第2濃度値N2を用いることにより、第1濃度値N1を用いる場合に比して、濃度値Nと閾値Nthとの比較を安定させることができる。すなわち、検知対象ガスの検知を安定させることができる。
また、送風制御部23は、濃度値Nを用いて、送風方向ΦB,ΘB及び空気調和対象空間S1に対する送風風量VBを制御する。送風方向ΦB,ΘBに加えて送風風量VBを制御対象に含めることにより、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上することができる。
また、ガス検知処理部26は、複数個の第1ガス検知対象領域A1の各々における第1濃度値N1を算出する第1ガス濃度算出部24と、第1濃度値N1を空間的に平均化することにより、1個以上の第2ガス検知対象領域A2の各々における第2濃度値N2を算出する第2ガス濃度算出部25と、を有し、送風制御部23は、第2濃度値N2を送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBの制御に用いる。第2濃度値N2を用いることにより、第1濃度値N1を用いる場合に比して、濃度値Nと閾値Nthとの比較を安定させることができる。すなわち、検知対象ガスの検知を安定させることができる。
また、個々の第1ガス検知対象領域A1のサイズは、ライダ17の空間分解能に応じた値に設定されており、個々の第2ガス検知対象領域A2のサイズは、ガス機器のサイズに応じた値に設定されている。これにより、例えば、検知対象ガスが都市ガス又はプロパンガスである場合において、個々の第2ガス検知対象領域A2のサイズを適切なサイズに設定することができる。
また、送風制御部23は、送風方向ΦB,ΘBを制御することにより、検知対象ガスを空気調和対象空間S1におけるガス誘導対象領域A4に誘導する。これにより、例えば、空気調和対象空間S1内の天井部を含む領域に検知対象ガスを誘導することができる。
また、送風制御部23は、送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBを制御することにより、検知対象ガスを空気調和対象空間S1におけるガス誘導対象領域A4に誘導する。これにより、例えば、空気調和対象空間S1内の天井部を含む領域に検知対象ガスを誘導することができる。
また、送風制御部23は、空気調和対象空間S1における天井部を含む領域をガス誘導対象領域A4に設定する。これにより、当該領域に検知対象ガスを誘導することができる。この結果、例えば、検知対象ガスが都市ガスである場合、ガス警報器による早期の警報出力を実現することができる。
また、ライダ17により出力されるレーザ光Lの波長λが切替え自在であり、ガス検知処理部26は、複数種類の検知対象ガスの各々の濃度値Nを算出する。複数個の光発振器を有するライダ17、又は波長可変型の光発振器を有するライダ17を用いることにより、複数種類の検知対象ガスの各々を検知することができる。
また、実施の形態1に係る制御方法は、空気調和機200の制御方法であって、ガス検知処理部26が、ライダ17を用いて、空気調和対象空間S1における検知対象ガスの濃度値Nを算出して、送風制御部23が、濃度値Nを用いて、空気調和対象空間S1に対する送風方向ΦB,ΘBを制御する。これにより、空気調和機200による上記効果と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図11は、実施の形態2に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図10及び図11を参照して、実施の形態2の空気調和機200aについて説明する。
なお、図10において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図11において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態1にて説明したとおり、ライダ17は、空気調和対象空間S1内を走査することにより、複数個の視線方向Dの各々における距離−強度特性を取得するものである。これに加えて、ライダ17は、当該走査により、複数個の視線方向Dの各々における、少なくとも1個の距離値Zに対応する地点(以下「風計測対象地点」という。)Prにおける、視線方向Dに対する風速値(以下「視線方向風速値」という。)Vrを取得するものである。各方式のライダによる視線方向風速値Vrの取得方法は公知であるため、詳細な説明は省略する。ライダ17は、角度値θ,φ及び視線方向風速値Vrを含む情報(以下「視線方向風速情報」という。)を風計測処理部29に出力するものである。
風計測処理部29は、ライダ17により出力された視線方向風速情報を用いて、空気調和対象空間S1内のN個の領域(以下「風計測対象領域」という。)A6の各々における、方位角方向に対する風向値(すなわち第1風向値)ΦL、仰俯角方向に対する風向値(すなわち第2風向値)ΘL、及び風速値VLを算出するものである。N個の風計測対象領域A6の各々は、例えば、複数個の風計測対象地点Prのうちの対応するM個の風計測対象地点Prにより囲まれた領域である。ここで、Nは2以上の任意の整数であり、Mは3以上の任意の整数である。
すなわち、風向値ΦL,ΘLを算出する風向値算出部27、及び風速値VLを算出する風速値算出部28により、風計測処理部29の要部が構成されている。以下、風向値算出部27が風向値ΦL,ΘLを算出する処理及び風速値算出部28が風速値VLを算出する処理を総称して「風計測処理」という。
ここで、図12及び図13を参照して、風計測処理部29による風計測処理の具体例について説明する。以下、N個の風計測対象領域A6のうちの第nの風計測対象領域A6に係る各符号に「_n」を付すことがある(1≦n≦N)。また、第nの風計測対象領域A6に対応するM個の風計測対象地点Prのうちの第mの風計測対象地点Prに係る各符号に「_n_m」を付すことがある(1≦m≦M)。
図12に示す如く、角度値φ_1_1,θ_1_1に対応する視線方向D_1_1、角度値φ_1_2,θ_1_2に対応する視線方向D_1_2、及び角度値φ_1_3,θ_1_3に対応する視線方向D_1_3の各々にライダ17がレーザ光Lを出力したものとする。これにより、3個の風計測対象地点Pr_1_1,Pr_1_2,Pr_1_3における3個の視線方向風速値Vr_1_1,Vr_1_2,Vr_1_3がそれぞれ取得される。
ここで、個々の風計測対象地点Prにおける視線方向風速値Vrは、以下の式(7)により表される。Vuは、対応する風計測対象地点Prにおけるx方向に対する風速値である。Vvは、対応する風計測対象地点Prにおけるy方向に対する風速値である。Vwは、対応する風計測対象地点Prにおけるz方向に対する風速値である。
Vr=Vu×sinφ×cosθ
+Vv×cosφ×cosθ
+Vw×sinθ (7)
角度値φ_1_1,φ_1_2,φ_1_3,θ_1_1,θ_1_2,θ_1_3、及び視線方向風速値Vr_1_1,Vr_1_2,Vr_1_3を上記式(7)に代入することにより、3個の変数Vu,Vv,Vwを含む三元連立方程式が得られる。風計測処理部29は、この三元連立方程式を解くことにより、第1の風計測対象領域A6_1における風速値Vu_1,Vv_1,Vw_1を算出する。図12に示す如く、第1の風計測対象領域A6_1は、3個の風計測対象地点Pr_1_1,Pr_1_2,Pr_1_3により囲まれた領域である。
次いで、風向値算出部27は、上記式(7)により算出された風速値Vu_1,Vv_1を用いて、以下の式(8)により、第1の風計測対象領域A6_1における風向値ΦLを算出する。また、風向値算出部27は、上記式(7)により算出された風速値Vu_1,Vv_1,Vw_1を用いて、以下の式(9)により、第1の風計測対象領域A6_1における風向値ΘLを算出する。また、風速値算出部28は、上記式(7)により算出された風速値Vu_1,Vv_1,Vw_1を用いて、以下の式(10)により、第1の風計測対象領域A6_1における風速値VLを算出する。
ΦL=atan(Vu/Vv) (8)
ΘL=atan{Vw/√(Vu2+Vv2)} (9)
VL=√(Vu2+Vv2+Vw2) (10)
以下、ライダ17が空気調和対象空間S1内を走査しながら、上記と同様の処理が繰り返し実行される。最終的に、第Nの風計測対象領域A6_Nにおける風向値ΦL,ΘL及び風速値VLが算出される(図13参照)。
すなわち、風向値算出部27は、個々の風計測対象領域A6内の風向及び風速が一様であるものとみなして、個々の風計測対象領域A6における風向値ΦL,ΘL及び風速値VLを算出するものである。したがって、個々の風計測対象領域A6のサイズは、個々の風計測対象領域A6内の風向及び風速が一様であるとみなすことができる程度に小さい値に設定するのが好適である。
例えば、M個の角度値φ_n_1〜φ_n_Mのうちの各2個の角度値φ_n間の差分値は、第nの風計測対象領域A6_nのサイズに応じた値(例えば2度)に設定されている。また、M個の角度値θ_n_1〜θ_n_Mのうちの各2個の角度値θ_n間の差分値は、第nの風計測対象領域A6_nのサイズに応じた値(例えば2度)に設定されている。
送風制御部23aは、空気調和用送風制御及びガス誘導用送風制御を実行するものである。実施の形態1にて説明したとおり、ガス誘導用送風制御には、複数個の風向風速モデルMのうちの選択された風向風速モデルMが用いられる。以下、当該選択された風向風速モデルMを「選択風向風速モデル」という。また、当該選択された風向風速モデルMを示す風向風速モデルテーブルTを「選択風向風速モデルテーブル」という。
ここで、送風制御部23aは、風計測処理部29により算出された風向値ΦL,ΘL及び風速値VLを用いて、選択風向風速モデルテーブルTが示す送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBに対して、ガス誘導用送風制御における送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBを修正(すなわち補正)する機能を有している。以下、送風方向制御部21aが第1送風方向ΦBを修正する制御、送風方向制御部21aが第2送風方向ΘBを修正する制御、及び送風風量制御部22aが送風風量VBを修正する制御を総称して「補正制御」という。補正制御の具体例は以下のとおりである。
まず、送風方向制御部21aは、個々の風計測対象領域A6における第1風向値ΦLと、選択風向風速モデルMにおける対応する単位領域A5における第1風向値ΦMとの差分値ΦEを算出する。これにより、N個の風計測対象領域A6と一対一に対応するN個の差分値ΦEが算出される。
また、送風方向制御部21aは、個々の風計測対象領域A6における第2風向値ΘLと、選択風向風速モデルMにおける対応する単位領域A5における第2風向値ΘMとの差分値ΘEを算出する。これにより、N個の風計測対象領域A6と一対一に対応するN個の差分値ΘEが算出される。
また、送風風量制御部22aは、個々の風計測対象領域A6における風速値VLと、選択風向風速モデルMにおける対応する単位領域A5における風速値VMとの差分値VEを算出する。これにより、N個の風計測対象領域A6と一対一に対応するN個の差分値VEが算出される。
次いで、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΦEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「比較用差分値」という。)ΦEを所定の閾値Φthと比較する。比較用差分値ΦEは、例えば、N個の差分値ΦEのうちの最も大きい差分値ΦEである。または、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΦEによるRMS(Root Mean Square)誤差ΦRMSEを算出して、当該算出されたRMS誤差ΦRMSEを所定の閾値Φthと比較する。比較用差分値ΦE又はRMS誤差ΦRMSEが閾値Φth以上である場合、送風方向制御部21aは、第1送風方向ΦBの修正が要であると判定する。他方、比較用差分値ΦE又はRMS誤差ΦRMSEが閾値Φth未満である場合、送風方向制御部21aは、第1送風方向ΦBの修正が不要であると判定する。
また、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΘEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「比較用差分値」という。)ΘEを所定の閾値Θthと比較する。比較用差分値ΘEは、例えば、N個の差分値ΘEのうちの最も大きい差分値ΘEである。または、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΘEによるRMS誤差ΘRMSEを算出して、当該算出されたRMS誤差ΘRMSEを所定の閾値Θthと比較する。比較用差分値ΘE又はRMS誤差ΘRMSEが閾値Θth以上である場合、送風方向制御部21aは、第2送風方向ΘBの修正が要であると判定する。他方、比較用差分値ΘE又はRMS誤差ΘRMSEが閾値Θth未満である場合、送風方向制御部21aは、第2送風方向ΘBの修正が不要であると判定する。
また、送風風量制御部22aは、N個の差分値VEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「比較用差分値」という。)VEを所定の閾値Vthと比較する。比較用差分値VEは、例えば、N個の差分値VEのうちの最も大きい差分値VEである。または、送風風量制御部22aは、N個の差分値VEによるRMS誤差VRMSEを算出して、当該算出されたRMS誤差VRMSEを所定の閾値Vthと比較する。比較用差分値VE又はRMS誤差VRMSEが閾値Vth以上である場合、送風風量制御部22aは、送風風量VBの修正が要であると判定する。他方、比較用差分値VE又はRMS誤差VRMSEが閾値Vth未満である場合、送風風量制御部22aは、送風風量VBの修正が不要であると判定する。
第1送風方向ΦBの修正が要であると判定された場合、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΦEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「補正用差分値」という。)ΦEに応じた補正値ΦCを算出する。補正用差分値ΦEは、例えば、N個の差分値ΦEのうちの最も大きい差分値ΦEである。送風方向制御部21aは、当該算出された補正値ΦCに基づき、選択風向風速モデルテーブルTが示す第1送風方向ΦBに対して、ガス誘導用送風制御における第1送風方向ΦBを修正する。
また、第2送風方向ΘBの修正が要であると判定された場合、送風方向制御部21aは、N個の差分値ΘEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「補正用差分値」という。)ΘEに応じた補正値ΘCを算出する。補正用差分値ΘEは、例えば、N個の差分値ΘEのうちの最も大きい差分値ΘEである。送風方向制御部21aは、当該算出された補正値ΘCに基づき、選択風向風速モデルテーブルTが示す第2送風方向ΘBに対して、ガス誘導用送風制御における第2送風方向ΘBを修正する。
また、送風風量VBの修正が要であると判定された場合、送風風量制御部22aは、N個の差分値VEのうちの少なくとも1個の差分値(以下「補正用差分値」という。)VEに応じた補正値VCを算出する。補正用差分値VEは、例えば、N個の差分値VEのうちの最も大きい差分値VEである。送風風量制御部22aは、当該算出された補正値VCに基づき、選択風向風速モデルテーブルTが示す送風風量VBに対して、ガス誘導用送風制御における送風風量VBを修正する。
空気調和対象空間S1内の風向及び風速に関して、空気調和対象空間S1内の家具等の設置状況により、目標値(すなわちΦM,ΘM,VM)に対する計測値(すなわちΦL,ΘL,VL)の誤差が生ずることがある。このとき、送風制御部23aが補正制御を実行することにより、かかる誤差を小さくすることができる。この結果、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上することができる。
なお、ガス誘導用送風制御の実行中に、ライダ17が空気調和対象空間S1内を複数回走査して、風計測処理及び補正制御が複数回実行されるものであっても良い。これにより、上記誤差を次第に小さくすることができる。すなわち、補正制御は、いわゆる「フィードバック制御」によるものであっても良い。
送風制御部23a、ガス検知処理部26及び風計測処理部29により、制御装置100aの要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17及び制御装置100aにより、室内機1aの要部が構成されている。室内機1a及び室外機2により、空気調和機200aの要部が構成されている。
制御装置100aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図8を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、送風制御部23a、ガス検知処理部26及び風計測処理部29の各々の機能は、プロセッサ41及びメモリ42により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路43により実現されるものであっても良い。
次に、図14のフローチャートを参照して、制御装置100aの動作について、ガス検知処理、ガス誘導用送風制御、風計測処理及び補正制御を中心に説明する。なお、図14において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、図14Aに示す如く、ステップST1〜ST3の処理が実行される。ステップST1〜ST3の処理内容は、実施の形態1にて図9を参照して説明したものと同様であるため、再度の説明は省略する。
ステップST3にてガス誘導用送風制御が開始された後、ライダ17は空気調和対象空間S1内を繰り返し走査する。図14Bに示す如く、ガス誘導用送風制御が終了するまで、ライダ17による走査に応じて、風計測処理及び補正制御が繰り返し実行される。
すなわち、ステップST11にて、風計測処理部29が風計測処理を実行する。風計測処理の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。ステップST11の風計測処理により、N個の風計測対象領域A6の各々における風向値ΦL,ΘL及び風速値VLが算出される。
次いで、ステップST12にて、送風方向制御部21aは、ステップST11の風計測処理により算出されたN個の第1風向値ΦLを用いて、第1送風方向ΦBの修正の要否を判定する。また、ステップST13にて、送風方向制御部21aは、ステップST11の風計測処理により算出されたN個の第2風向値ΘLを用いて、第2送風方向ΘBの修正の要否を判定する。また、ステップST14にて、送風風量制御部22aは、ステップST11の風計測処理により算出されたN個の風速値VLを用いて、送風風量VBの修正の要否を判定する。これらの判定方法の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
第1送風方向ΦBの修正が要であると判定された場合(ステップST12“YES”)、ステップST15にて、送風方向制御部21aは、ステップST3における選択風向風速モデルテーブルTが示す第1送風方向ΦBに対して、ガス誘導用送風制御における第1送風方向ΦBを修正する。他方、第1送風方向ΦBの修正が不要であると判定された場合(ステップST12“NO”)、ステップST15の処理はスキップされる。
また、第2送風方向ΘBの修正が要であると判定された場合(ステップST13“YES”)、ステップST16にて、送風方向制御部21aは、ステップST3における選択風向風速モデルテーブルTが示す第2送風方向ΘBに対して、ガス誘導用送風制御における第2送風方向ΘBを修正する。他方、第2送風方向ΘBの修正が不要であると判定された場合(ステップST13“NO”)、ステップST16の処理はスキップされる。
また、送風風量VBの修正が要であると判定された場合(ステップST14“YES”)、ステップST17にて、送風風量制御部22aは、ステップST3における選択風向風速モデルテーブルTが示す送風風量VBに対して、ガス誘導用送風制御における送風風量VBを修正する。他方、送風風量VBの修正が不要であると判定された場合(ステップST14“NO”)、ステップST17の処理はスキップされる。
すなわち、ステップST15〜ST17にて、送風制御部23aは、ガス誘導用送風制御の実行中に補正制御を実行する。補正制御の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
なお、実施の形態1にて説明したとおり、ライダ17は、第1波長光LOFFを出力自在なものであり、かつ、第2波長光LONを出力自在なものである。視線方向風速値Vrの取得には、第1波長光LOFFを用いるのが好適である。仮に、視線方向風速値Vrの取得に第2波長光LONを用いた場合、空気調和対象空間S1内に検知対象ガスが存在するとき、第2波長光LONが検知対象ガスにより吸収されて、視線方向風速値Vrの取得が困難となる可能性がある。これに対して、視線方向風速値Vrの取得に第1波長光LOFFを用いることにより、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスの有無にかかわらず、視線方向風速値Vrを取得することができる。
また、送風方向制御部21aは、RMS誤差ΦRMSEに代えて、N個の差分値ΦEの平均値を所定の閾値Φthと比較するものであっても良い。送風方向制御部21aは、RMS誤差ΘRMSEに代えて、N個の差分値ΘEの平均値を所定の閾値Θthと比較するものであっても良い。送風風量制御部22aは、RMS誤差VRMSEに代えて、N個の差分値VEの平均値を所定の閾値Vthと比較するものであっても良い。
また、補正制御は、送風方向ΦB,ΘBのみを対象とするものであっても良い。すなわち、送風風量VBは、補正制御の対象から除外されたものであっても良い。この場合、風計測処理における風速値VLの算出は不要である。また、図14Bに示すステップST14,ST17の処理は不要である。ただし、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上する観点から、送風風量VBを補正制御の対象に含めるのがより好適である。
また、補正制御は、第1送風方向ΦBのみを対象とするものであっても良い。すなわち、第2送風方向ΘB及び送風風量VBは、補正制御の対象から除外されたものであっても良い。この場合、上記式(7)におけるVw×sinθの項は不要である。これにより、上記式(7)における変数の個数が2個になるため(すなわちVu及びVv)、個々の風計測対象領域A6に対応する風計測対象地点Prの個数はM=2であっても良い。ただし、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上する観点から、第2送風方向ΘB及び送風風量VBを補正制御の対象に含めるのがより好適である。
また、送風制御部23aは、第2ガス濃度算出部25により出力された第2ガス濃度分布情報を用いて、高濃度の検知対象ガスが存在する領域(すなわち閾値Nth以上の第2濃度値N2を有する第2ガス検知対象領域A2に対応する領域)を風計測対象領域A6に設定するものであっても良い。これにより、高濃度の検知対象ガスが存在する領域における風向値ΦL,ΘL及び風速値VLに基づく補正制御を実行することができる。
また、ライダ17は、パルス式のドップラーライダにより構成されているものであっても良い。これにより、ライダ17が1個の視線方向Dにレーザ光Lを出力したとき、この視線方向Dに沿うように配列された複数個の風計測対象地点Prの各々における視線方向風速値Vrを取得することができる。したがって、図15に示す如く、この視線方向Dに沿うように配列された複数個の風計測対象領域A6を一度に設定することができる。
そのほか、空気調和機200aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態2の空気調和機200aは、ライダ17を用いて、空気調和対象空間S1における風向値ΦL,ΘLを算出する風計測処理部29を備え、送風制御部23aは、濃度値N及び風向値ΦL,ΘLを用いて、送風方向ΦB,ΘBを制御する。送風方向ΦB,ΘBを対象とする補正制御により、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を向上することができる。
また、空気調和機200aは、ライダ17を用いて、空気調和対象空間S1における風向値ΦL,ΘL及び風速値VLを算出する風計測処理部29を備え、送風制御部23aは、濃度値N並びに風向値ΦL,ΘL及び風速値VLを用いて、送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBを制御する。送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBを対象とする補正制御により、ガス誘導用送風制御による誘導の精度を更に向上することができる。
実施の形態3.
図16は、実施の形態3に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図17は、実施の形態3に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図16及び図17を参照して、実施の形態3の空気調和機200bについて説明する。
なお、図16において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図17において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
実施の形態1にて説明したとおり、ライダ17は、空気調和対象空間S1内を走査することにより、複数個の視線方向Dの各々における距離−強度特性を取得するものである。これに加えて、ライダ17は、当該走査により、いわゆる「強度画像」及び「距離画像」を生成するものである。強度画像における各画素は、当該画素に対応する視線方向Dにレーザ光Lを出力することにより得られた受信信号の強度値を示すものである。距離画像における各画素は、当該画素に対応する視線方向Dにレーザ光Lを出力することにより得られた距離値を示すものである。ライダ17は、当該生成された強度画像を示す画像情報(以下「強度画像情報」という。)、及び当該生成された距離画像を示す画像情報(以下「距離画像情報」)を出力するものである。以下、ライダ17により生成される画像を総称して「ライダ画像」ということがある。
人検知処理部30は、ライダ17により出力された強度画像情報及び距離画像情報を用いて、空気調和対象空間S1における人を検知する処理(以下「人検知処理」という。)を実行するものである。人検知処理の具体例は以下の通りである。
まず、人検知処理部30は、強度画像に対する閾値処理を実行することにより、ライダ画像における物体(いわゆる「ハードターゲット」)に対応する画素群を抽出する。通常、ハードターゲットに対応する画素群に含まれる個々の画素の強度値は、他の画素の強度値に対して104倍程度大きいものである。このため、強度画像に対する閾値処理を実行することにより、ライダ画像におけるハードターゲットに対応する画素群を抽出することができる。次いで、人検知処理部30は、強度画像又は距離画像に対するパターンマッチング処理を実行することにより、当該抽出された画素群が人に対応するものであるか否かを判定する。
これにより、空気調和対象空間S1内に人がいるか否かを判定することができる。また、空気調和対象空間S1内に人がいる場合、空気調和対象空間S1における当該人の位置を検知することができる。特に、強度画像に加えて距離画像を用いることにより、x方向及びz方向に対する当該人の位置を検知することができるのはもちろんのこと、y方向に対する当該人の位置を検知することができる。すなわち、当該人の位置を高精度に検知することができる。
人検知処理部30は、人検知処理の結果を示す情報(以下「検知結果情報」という。)を送風制御部23に出力する。送風制御部23は、人検知処理部30により出力された検知結果情報をガス誘導用送風制御に用いるものである。より具体的には、送風制御部23は、当該出力された検知結果情報を風向風速モデルMの選択に用いるものである。
例えば、空気調和対象空間S1内に人がいる場合、人検知処理部30は、当該人の足元に対する送風が実現されるような風向風速モデルMを選択する。当該選択された風向風速モデル(すなわち選択風向風速テーブル)Mに対応する風向風速モデルテーブル(すなわち選択風向風速モデルテーブル)Tに基づく送風制御により、図18に示す如く、当該人(図中H)の体に沿う上昇気流を含む気流F2が発生する。この上昇気流により、検知対象ガス(図中G)を天井部を含む領域に誘導することができる。
なお、当該人(図中H)の位置が室内機1bとガス機器E1間の位置である場合、当該選択風向風速モデルテーブルTに基づく送風制御により、図19に示す如く、図18に示すものと同様の気流F2が発生するとともに、図7に示すものと同様の気流F1も発生する。これにより、図7に示す例と同様に、かつ、図18に示す例と同様に、検知対象ガス(図中G)を天井部を含む領域に誘導することができる。
送風制御部23、ガス検知処理部26及び人検知処理部30により、制御装置100bの要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17及び制御装置100bにより、室内機1bの要部が構成されている。室内機1b及び室外機2により、空気調和機200bの要部が構成されている。
制御装置100bの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図8を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、送風制御部23、ガス検知処理部26及び人検知処理部30の各々の機能は、プロセッサ41及びメモリ42により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路43により実現されるものであっても良い。
次に、図20のフローチャートを参照して、制御装置100bの動作について、ガス検知処理、人検知処理及びガス誘導用送風制御を中心に説明する。なお、図20において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1,ST2の処理が実行される。ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定された場合(ステップST2“YES”)、ステップST4にて、人検知処理部30が人検知処理を実行する。人検知処理の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。人検知処理部30は、検知結果情報を送風制御部23に出力する。
次いで、ステップST3にて、送風制御部23がガス誘導用送風制御を開始する。このとき、送風制御部23は、人検知処理部30により出力された検知結果情報を風向風速モデルMの選択に用いる。ガス誘導用送風制御の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
なお、ライダ画像を用いた人検知処理における人の検知方法は、上記の具体例に限定されるものではない。当該人検知処理には、公知の種々の検知方法を用いることができる。
また、図21に示す如く、制御装置100bは、実施の形態2にて説明したものと同様の風計測処理部29及び送風制御部23aを有するものであっても良い。この場合、図20に示すステップST3の処理が実行された後、図14Bに示すものと同様のステップST11〜ST17の処理が実行されるものであっても良い。
また、図22又は図23に示す如く、室内機1bに赤外線カメラ18が設けられているものであっても良い。赤外線カメラ18は、空気調和対象空間S1内を撮像するものである。赤外線カメラ18は、当該撮像された画像(いわゆる「赤外画像」)を示す画像情報(以下「赤外画像情報」という。)を送風制御部23又は送風制御部23aに出力する。送風制御部23又は送風制御部23aは、ライダ画像に代えて赤外画像を人検知処理に用いるものであっても良い。通常、赤外線カメラ18による撮像にかかる時間は、ライダ17による走査にかかる時間に比して短い。このため、ライダ画像に代えて赤外画像を用いることにより、人検知処理の高速化を図ることができる。
ただし、ライダ画像に代えて赤外画像を人検知処理に用いる場合、x方向及びz方向に対する人の位置は検知することができるものの、y方向に対する人の位置を検知することは不可能又は困難である。そこで、図24又は図25に示す如く、送風制御部23又は送風制御部23aは、ライダ画像に加えて赤外画像を人検知処理に用いるものであっても良い。人検知処理に用いる画像の種類を増やすことにより、人検知処理の精度を更に向上することができる。
また、ガス検知処理部26は、人検知処理部30による検知結果情報を用いて、空気調和対象空間S1内の人の位置に対応する領域を、ガス検知処理の対象となる領域(すなわち第1ガス検知対象領域A1及び第2ガス検知対象領域A2)に設定するものであっても良い。これにより、当該人の位置に対応する領域における濃度値Nを算出することができる。
また、制御装置100bが風計測処理部29を有するものである場合、風計測処理部29は、人検知処理部30による検知結果情報を用いて、空気調和対象空間S1内の人の位置に対応する領域を、風計測処理の対象となる領域(すなわち風計測対象領域A6)に設定するものであっても良い。これにより、当該人の位置に対応する領域における風向値ΦL,ΘL及び風速値VLを算出することができる。なお、空気調和対象空間S1内に複数人の人がいる場合、例えば、各人の位置を中心とする所定範囲(例えば半径1メートルの範囲)内の領域が風計測処理の対象に設定されるものであっても良い。
そのほか、空気調和機200bは、実施の形態1,2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。例えば、ガス誘導用送風制御は、送風方向ΦB,ΘBのみを対象とするものであっても良い。この場合、風計測処理は、風向値ΦL,ΘLのみを対象とするものであっても良い。また、補正制御は、送風方向ΦB,ΘBのみを対象とするものであっても良い。
以上のように、実施の形態3の空気調和機200bは、空気調和対象空間S1における人を検知する処理を実行する人検知処理部30を備え、送風制御部23,23aは、人検知処理部30による検知結果を送風方向ΦB,ΘBの制御に用いる。検知結果情報をガス誘導用送風制御(より具体的には風向風速モデルMの選択)に用いることにより、空気調和対象空間S1における人の有無及び位置に応じた気流を空気調和対象空間S1内に発生させることができる。
また、空気調和機200bは、空気調和対象空間S1における人を検知する処理を実行する人検知処理部30を備え、送風制御部23,23aは、人検知処理部30による検知結果を送風方向ΦB,ΘB及び送風風量VBの制御に用いる。検知結果情報をガス誘導用送風制御(より具体的には風向風速モデルMの選択)に用いることにより、空気調和対象空間S1における人の有無及び位置に応じた気流を空気調和対象空間S1内に発生させることができる。
実施の形態4.
図26は、実施の形態4に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図27は、実施の形態4に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図26及び図27を参照して、実施の形態4の空気調和機200cについて説明する。
なお、図26において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図27において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
空気調和対象空間S1には、空気清浄用又は換気用の機器(以下「外部機器」という。)E2が設けられている。外部機器E2は、例えば、空気清浄機、換気扇又は自動開閉窓により構成されている。外部機器E2は、外部機器E2と通信自在なサーバ装置(不図示)により管理されているものであっても良い。室内機1cは、外部機器E2又はサーバ装置と通信自在な通信装置19を有している。通信装置19は、例えば、無線通信用の送信機及び受信機により構成されている。
外部機器E2又はサーバ装置には、外部機器E2に関する情報(以下「外部機器情報」という。)が記憶されている。外部機器情報は、空気調和対象空間S1における外部機器E2の設置位置を示す情報(以下「外部機器設置位置情報」という。)を含むものである。
外部機器情報取得部31は、通信装置19を用いて、外部機器E2又はサーバ装置に記憶されている外部機器情報を取得するものである。外部機器情報取得部31は、当該取得された外部機器情報を送風制御部23に出力するものである。
送風制御部23は、送風制御部23により出力された外部機器情報をガス誘導用送風制御に用いるものである。より具体的には、送風制御部23は、当該出力された外部機器情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いるものである。
例えば、外部機器設置位置情報に基づき、外部機器E2の設置位置を示す座標値が(x1,y1,z1)であるものとする。この場合、送風制御部23は、座標値(x1,y1,z1)に対応する領域、すなわち外部機器E2の設置位置に対応する領域をガス誘導対象領域A4に設定する。
また、第2ガス濃度分布情報に基づき、高濃度の検知対象ガスが存在する領域を示す座標値が(x2,y2,z2)であるものとする。また、当該領域は、ガス機器E1の設置位置に対応する領域であるものとする。この場合、送風制御部23は、座標値(x2,y2,z2)に対応する始点を有し、かつ、座標値(x1,y1,z1)に対応する終点を有するベクトルDFを算出する(図28参照)。送風制御部23は、当該算出されたベクトルDFに対応する気流を含む気流F3が生成される風向風速モデルMを選択する。
当該選択された風向風速モデル(すなわち選択風向風速モデル)Mを示す風向風速モデルテーブル(すなわち選択風向風速モデルテーブル)Tに基づく送風制御により、外部機器E2の設置位置に対応する領域に検知対象ガスが誘導される。当該誘導された検知対象ガスは、空気清浄用の外部機器E2により除去又は吸収される。または、当該誘導された検知対象ガスは、換気用の外部機器E2により空気調和対象空間S1外に排出される。
送風制御部23、ガス検知処理部26及び外部機器情報取得部31により、制御装置100cの要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17、通信装置19及び制御装置100cにより、室内機1cの要部が構成されている。室内機1c及び室外機2により、空気調和機200cの要部が構成されている。
制御装置100cの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図8を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、送風制御部23、ガス検知処理部26及び外部機器情報取得部31の各々の機能は、プロセッサ41及びメモリ42により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路43により実現されるものであっても良い。
次に、図29のフローチャートを参照して、制御装置100cの動作について、ガス検知処理及びガス誘導用送風制御を中心に説明する。なお、図29において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1,ST2の処理が実行される。ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定された場合(ステップST2“YES”)、ステップST5にて、外部機器情報取得部31が外部機器情報を取得する。外部機器情報取得部31は、当該取得された外部機器情報を送風制御部23に出力する。
次いで、ステップST3にて、送風制御部23がガス誘導用送風制御を開始する。このとき、送風制御部23は、外部機器情報取得部31により出力された外部機器情報を、ガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いる。ガス誘導用送風制御の具体例は上記のとおりであるため、再度の説明は省略する。
なお、図30に示す如く、制御装置100cは、実施の形態2にて説明したものと同様の風計測処理部29及び送風制御部23aを有するものであっても良い。この場合、図29に示すステップST3の処理が実行された後、図14Bに示すものと同様のステップST11〜ST17の処理が実行されるものであっても良い。
そのほか、空気調和機200cは、実施の形態1,2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態4の空気調和機200cは、空気調和対象空間S1における空気清浄用又は換気用の外部機器E2の設置位置を示す情報を取得する外部機器情報取得部31を備え、送風制御部23,23aは、外部機器情報取得部31により取得された情報を用いて、外部機器E2の設置位置に対応する領域をガス誘導対象領域A4に設定する。これにより、空気清浄用の外部機器E2による検知対象ガスの除去若しくは吸収、又は換気用の外部機器E2による検知対象ガスの排出を促進することができる。これにより、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスの濃度を低下させることができる。
実施の形態5.
図31は、実施の形態5に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図32は、実施の形態5に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図31及び図32を参照して、実施の形態5の空気調和機200dについて説明する。
なお、図31において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図32において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
室内機1dは、専用の排気口を用いて、空気調和対象空間S1内の空気を空気調和対象空間S1外に排出する機能を有している。または、室内機1dは、専用の吸排気口を用いて、空気調和対象空間S1内の空気を空気調和対象空間S1外に排出するとともに、空気調和対象空間S1外の空気を空気調和対象空間S1内に供給する機能を有している。または、室内機1dは、室外機2を用いて、空気調和対象空間S1内の空気を空気調和対象空間S1外に排出する機能を有している。または、室内機1dは、室外機2を用いて、空気調和対象空間S1内の空気を空気調和対象空間S1外に排出するとともに、空気調和対象空間S1外の空気を空気調和対象空間S1内に供給する機能を有している。以下、これらの機能を総称して「換気機能」という。すなわち、空気調和機200dは、換気機能を有する型式のエアコンにより構成されている。
室内機情報記憶部32には、室内機1dに関する情報(以下「室内機情報」という。)が記憶されている。室内機情報は、空気調和対象空間S1における室内機1dの設置位置を示す情報(以下「室内機設置位置情報」という。)を含むものである。
送風制御部23は、室内機情報記憶部32に記憶されている室内機情報を取得して、当該取得された室内機情報をガス誘導用送風制御に用いるものである。より具体的には、送風制御部23は、当該取得された室内機情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いるものである。
すなわち、送風制御部23は、室内機設置位置情報に基づき、室内機1dの設置位置に対応する領域をガス誘導対象領域A4に設定する。次いで、送風制御部23は、第2ガス濃度分布情報に基づき、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスを当該設定されたガス誘導対象領域A4に誘導することができる気流F4を発生させるための風向風速モデルMを選択する(図33参照)。
当該選択された風向風速モデル(すなわち選択風向風速モデル)Mを示す風向風速モデルテーブル(すなわち選択風向風速モデルテーブル)Tに基づく送風制御により、室内機1dの設置位置に対応する領域に検知対象ガスが誘導される。当該誘導された検知対象ガスは、空気調和機200dが有する換気機能により、空気調和対象空間S1外に排出される。
なお、図33に示す例における換気機能は、室外機2を用いて、空気調和対象空間S1内の空気を空気調和対象空間S1外に排出するとともに、空気調和対象空間S1外の空気を空気調和対象空間S1内に供給するものである。図中、矢印αは室外機2による排気を示しており、矢印βは室外機2による吸気を示している。
送風制御部23、ガス検知処理部26及び室内機情報記憶部32により、制御装置100dの要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17及び制御装置100dにより、室内機1dの要部が構成されている。室内機1d及び室外機2により、空気調和機200dの要部が構成されている。
制御装置100dの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図8を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、送風制御部23及びガス検知処理部26の各々の機能は、プロセッサ41及びメモリ42により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路43により実現されるものであっても良い。また、室内機情報記憶部32の機能は、メモリ42のうちの不揮発性メモリにより実現されるものであっても良い。
制御装置100dの動作は、実施の形態1にて図9を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。ただし、送風制御部23は、ガス誘導用送風制御を開始するとき(ステップST3)、室内機情報記憶部32に記憶されている室内機情報を取得して、当該取得された室内機情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いる。
なお、図34に示す如く、制御装置100dは、実施の形態2にて説明したものと同様の風計測処理部29及び送風制御部23aを有するものであっても良い。この場合、ステップST3の処理が実行された後、図14Bに示すものと同様のステップST11〜ST17の処理が実行されるものであっても良い。
そのほか、空気調和機200dは、実施の形態1,2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態5の空気調和機200dは、室内機1d及び室外機2により構成されており、かつ、換気機能を有し、送風制御部23,23aは、空気調和対象空間S1における室内機1dの設置位置に対応する領域をガス誘導対象領域A4に設定する。空気調和機200dが有する換気機能により、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスを空気調和対象空間S1外に排出することができる。この結果、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスの濃度を低下させることができる。
実施の形態6.
図35は、実施の形態6に係る空気調和機の要部を示すブロック図である。図36は、実施の形態6に係る空気調和機の室内機の要部を示すブロック図である。図35及び図36を参照して、実施の形態6の空気調和機200eについて説明する。
なお、図35において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図36において、図2に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
室内機1は、通信装置19を有している。通信装置19は、サーバ装置(不図示)と通信自在なものである。通信装置19は、例えば、無線通信用の送信機及び受信機により構成されている。
サーバ装置には、空気調和対象空間S1に対応する部屋の構造を示す情報(以下「空間構造情報」という。)が記憶されている。空間構造情報は、例えば、当該部屋の3D−CAD(3−Dimensional Computer−Aided Design)データにより構成されている。また、空間構造情報は、空気調和対象空間S1における避難経路ERを示す情報(以下「避難経路情報」という。)を含むものである。避難経路情報は、空気調和対象空間S1における出口EOの位置を示す情報(以下「出口位置情報」という。)を含むものである。
避難経路情報取得部33は、通信装置19を用いて、サーバ装置に記憶されている空間構造情報を取得するものである。避難経路情報取得部33は、当該取得された空間構造情報を送風制御部23に出力するものである。
送風制御部23は、避難経路情報取得部33により出力された空間構造情報をガス誘導用送風制御に用いるものである。より具体的には、送風制御部23は、当該出力された空間構造情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いるものである。
すなわち、送風制御部23は、避難経路情報に基づき、空気調和対象空間S1における避難経路ERを回避した領域をガス誘導対象領域A4に設定する。また、送風制御部23は、第2ガス濃度分布情報に基づき、空気調和対象空間S1内の検知対象ガスをガス誘導対象領域A4に誘導することができ、かつ、当該誘導された検知対象ガスをガス誘導対象領域A4内に閉じ込めることができるベクトルDFを算出する。送風制御部23は、空間構造情報に基づき、いわゆる「エアカーテン」を形成することによりベクトルDFを実現することができる気流F5に対応する風向風速モデルMを選択する。
例えば、図37に示す如く、空気調和対象空間S1におけるx座標値が大きい側の端部(以下「左端部」という。)に避難経路ERが配置されているものとする。この場合、送風制御部23は、避難経路情報に基づき、空気調和対象空間S1におけるx座標値が小さい側の端部(以下「右端部」という。)を含む領域をガス誘導対象領域A4に設定する。
ここで、図37Aに示す如く、ガス機器E1によるガス漏れが発生することにより、ガス機器E1の設置位置に対応する領域が、高濃度の検知対象ガス(図中G)が存在する領域になったものとする。当該領域を示す座標値が(x2,y2,z2)であるものとする。また、出口位置情報に基づき、出口EOの位置を示す座標値が(x3,y3,z3)であるものとする。
この場合、送風制御部23は、座標値(x3,y3,z3)に対応する始点を有し、かつ、座標値(x2,y2,z2)に対応する終点を有するベクトルDFを算出する(図37B参照)。次いで、送風制御部23は、ベクトルDFを実現するためのエアカーテンを形成することができる気流F5に対応する風向風速モデルMを選択する。
当該選択された風向風速モデル(すなわち選択風向風速モデル)Mを示す風向風速モデルテーブル(すなわち選択風向風速モデルテーブル)Tに基づく送風制御により、空気調和対象空間S1内の右端部に検知対象ガスが誘導される(図37B参照)。また、エアカーテンにより、当該誘導された検知対象ガスがガス誘導対象領域A4内に閉じ込められる。
このとき、通信装置19は、避難経路情報をリモコン3又はユーザUが所持している携帯情報端末(不図示)に送信する。リモコン3又は携帯情報端末は、ガス漏れが発生していることを示す画像、及び避難経路ERを示す画像などを表示する。ユーザUは、当該表示された画像を視認して、適切な経路により空気調和対象空間S1外に避難することができる(図37C参照)。
送風制御部23、ガス検知処理部26及び避難経路情報取得部33により、制御装置100eの要部が構成されている。第1風向板11、第2風向板12、送風ファン13、駆動モータ14、駆動モータ15、駆動モータ16、ライダ17、通信装置19及び制御装置100eにより、室内機1eの要部が構成されている。室内機1e及び室外機2により、空気調和機200eの要部が構成されている。
制御装置100eの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図8を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、送風制御部23、ガス検知処理部26及び避難経路情報取得部33の各々の機能は、プロセッサ41及びメモリ42により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路43により実現されるものであっても良い。
次に、図38のフローチャートを参照して、制御装置100eの動作について、ガス検知処理及びガス誘導用送風制御を中心に説明する。なお、図38において、図9に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
まず、ステップST1,ST2の処理が実行される。ガス誘導用送風制御の実行が要であると判定された場合(ステップST2“YES”)、次いで、ステップST6にて、避難経路情報取得部33が空間構造情報を取得する。避難経路情報取得部33は、当該取得された空間構造情報を送風制御部23に出力する。
次いで、ステップST3にて、送風制御部23がガス誘導用送風制御を開始する。このとき、送風制御部23は、避難経路情報取得部33により出力された空間状態情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いる。
なお、図39に示す如く、制御装置100eは、実施の形態2にて説明したものと同様の風計測処理部29及び送風制御部23aを有するものであっても良い。この場合、図38に示すステップST3の処理が実行された後、図14Bに示すものと同様のステップST11〜ST17の処理が実行されるものであっても良い。
また、制御装置100eは、実施の形態3にて説明したものと同様の人検知処理部30を有するものであっても良い(不図示)。この場合、送風制御部23は、避難経路情報取得部33により出力された空間構造情報に加えて、人検知処理部30により出力された検知結果情報をガス誘導対象領域A4の設定及び風向風速モデルMの選択に用いるものであっても良い。例えば、避難経路ERを回避した領域内に人が存在しているものとする。この場合、制御装置100eは、避難経路ERを回避した領域のうちの当該人を回避した領域をガス誘導対象領域A4に設定するものであっても良い。
そのほか、空気調和機200eは、実施の形態1,2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態6の空気調和機200eは、空気調和対象空間S1における避難経路ERを示す情報を取得する避難経路情報取得部33を備え、送風制御部23,23aは、避難経路情報取得部33により取得された情報を用いて、避難経路ERを回避した領域をガス誘導対象領域A4に設定する。これにより、検知対象ガスが避難経路に滞留するのを回避することができる。
また、空気調和機200eは、空気調和対象空間S1における人を検知する処理を実行する人検知処理部30を備え、送風制御部23,23aは、人検知処理部30による検知結果に基づき、人を回避した領域をガス誘導対象領域A4に設定する。これにより、例えば、避難経路ERを回避した領域内に人がいる場合、当該人を回避した領域をガス誘導対象領域A4に設定することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。