JP6910213B2 - 転写箔の製造方法及び転写箔 - Google Patents

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Description

本発明は、対象物に親水性の転写層を転写する転写箔の製造方法及び転写箔に関するものである。
対象物の表面に防曇性やセルフクリーニング性等の機能を発揮する親水性を付与する技術として、基材と、該基材上に形成された表面処理層と、該表面処理層上に形成された転写層とを備え、該転写層を対象物に転写する転写箔を用いる方法を挙げることができる。
前記転写箔としては、例えば、特許文献1に示すように、前記転写層に、光照射によって親水性を発現する酸化チタンを添加したものが知られている。
しかしながら、このような転写箔では、対象物に転写された転写層に光が照射されている間は親水性が発現するが、光が照射されなければ親水性が発現しないので、持続的な親水性を付与できないという問題がある。
特開2006−231890号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光照射の有無に関わらず、対象物に転写された転写層の外表面に持続的な親水性を発現することができる転写箔を提供することを主な目的としている。
すなわち、本発明に係る転写箔の製造方法は、基材と、該基材上に形成された表面処理層と、該表面処理層上に形成された転写層とを具備し、該転写層を対象物に転写する転写箔を製造する方法であって、前記表面処理層が、その表面に親水基を固定されたものであり、該表面処理層に対して、重合性官能基を有した疎水性化合物と、該疎水性化合物と重合反応する重合性官能基を有した両親媒性化合物とを含有する転写層用組成物を塗工することを特徴とするものである。
このような転写箔の製造方法によれば、例えば、図1に示すように、前記表面処理層3の表面に固定された親水基Aによって、該表面処理層3と前記転写層5の接触面5aから前記転写層組成物に含まれる前記疎水性化合物Bがはじかれ前記両親媒性化合物に含まれる親水基A′が引き寄せられるので、該接触面5aに前記両親媒性化合物に含まれる親水基A′を集めた状態にすることができる。
この状態で前記転写層5を硬化させ、被転写体である対象物に転写することにより、前記表面処理層3から剥離した前記転写層5の外表面5aに、光照射の有無に関わらず、持続的な親水性を発現させることができる。
また、このような転写箔の製造方法によれば、前記表面処理層に対して、前記転写層用組成物を塗工するだけで、前述したように、前記表面処理層と前記転写層との接触面に親水基を集めた状態にすることができる。
そのため、対象物に持続的な親水性を付与することができる転写箔を、複雑な工程や特別な設備を必要とすることなく、簡単に製造することができる。
具体的な実施態様としては、前記重合性官能基を有する疎水性化合物が熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化性樹脂であり、前記表面処理層上に塗工された前記転写層用組成物を加熱、活性エネルギー線照射又はこれらを組合せた方法によって硬化させる請求項1記載の転写箔製造方法を挙げることができる。
具体的な実施態様としては、前記表面処理層の前記転写層と接する面の水接触角が0°以上75°以下である前記転写箔の製造方法を挙げることができる。
前記基材が疎水性のものであり、前記表面処理層が、前記基材に対して、重合性官能基を有する疎水性化合物と、該疎水性化合物と重合反応する官能基を有した両親媒性化合物とを含有する表面処理層用組成物を塗工し、硬化させたものであれば、前記基材の疎水性によって、前記表面処理層中の前記疎水性化合物が前記基材との接触面に集まり、前記両親媒性化合物に含まれる親水基が前記表面処理層の外表面に集まった状態で硬化するので、前記表面処理層の表面に安定して前記親水基を固定することができる。
具体的な実施態様としては、前記両親媒性化合物が反応性界面活性剤である前記転写箔の製造方法を挙げることができる。
前記両親媒性化合物に含まれる親水基がイオン性のものであれば、前記表面処理層又は転写層の表面の親水性をより高くすることができる。
前記基材と、該基材上に形成された表面処理層と、該表面処理層上に形成された前記転写層とを備えた転写箔であって、前記表面処理層が、その表面に親水基を固定されたものであり、前記転写層が疎水性の重合体と該疎水性の重合体に結合した親水基を含有するものである転写箔によっても、同様に前述した本発明の効果を奏することができる。
本発明にかかる転写箔の製造方法によれば、対象物に転写された前記転写層の外表面に光照射の有無に関わらず持続的な親水性を発現させることができる。
また、対象物に持続的な親水性を付与することができる転写箔を、複雑な工程や特別な設備を必要とすることなく、簡単に製造することができる。
本発明の一実施形態に係る転写層の断面模式図。 本実施形態に係る転写箔全体の断面を示す模式図。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態に係る転写箔1の製造方法は、例えば、図2に示すように、基材2と該基材2上に形成された表面処理層3(以下、離型層とも言う。)とを備えた離型フィルム4と、該離型フィルム4の前記表面処理層3上に形成された転写層5とを備えたものであって、該転写層5が、前記離型フィルム4から剥離して、例えば、家具、壁紙、鏡、窓などの建装材やゴーグル、防護メガネ等、様々な対象物の表面に転写されることで、これら対象物の表面に親水性を付与する転写箔1を製造するものである。
前記転写箔1の具体的な製造方法は以下のようなものである。
まず、前記基材2の表面に、前記表面処理層3を形成する。
前記基材2としては、転写箔1の支持体として使用できるフィルム状又はシート状のものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、(メタ)アクリル系、イミド系、スチレン系、セルロース系などの樹脂やこれら樹脂のなかから選ばれる2種類以上の樹脂を混合したポリマーアロイ、これら樹脂の構成成分であるモノマーやオリゴマーを混合して共重合させた疎水性の樹脂等を含むものを使用することができる。
前記基材2の厚みは、前記転写箔1の支持体としての使用に支障がない範囲であれば特に限定されないが、1μm以上500μm以下であるのが好ましく、より好ましくは10μm以上200μm以下である。
前記表面処理層3は、その表面に親水基が固定されたものであり、この表面処理層3を形成する方法として、例えば、前記基材2の表面に親水基を含有する表面処理層用組成物を塗工し、硬化させる方法を挙げることができる。
前記表面処理層用組成物は、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、(メタ)アクリル系、イミド系、スチレン系、セルロース系などの重合性官能基を有した疎水性のモノマー又はオリゴマーと、前記疎水性のモノマー又はオリゴマーと重合反応する重合性官能基及び親水性官能基を有した両親媒性化合物である、例えば、反応性界面活性剤とを含有するものである。
より具体的には、前記表面処理層用組成物は、例えば、前記表面処理層用組成物100部に対して、前記反応性界面活性剤が重量比で0.01部以上30部以下、より好ましくは、0.1部以上10部以下含まれるものである。
前記反応性界面活性剤としては、イオン性界面活性剤が好ましいが、非イオン性の界面活性剤であっても良い。
前記疎水性のモノマー又はオリゴマーは、例えば、活性エネルギー線である紫外線等を照射することで重合反応を起こし硬化する紫外線硬化性樹脂である。
前記表面処理層用組成物には他に、例えば、光重合開始剤などの各種添加剤や適切な量の溶剤等が含まれていても良い。
この表面処理層3の厚みは、例えば、0.1μm以上300μm以下、より好ましくは1μm以上100μm以下のものを挙げることができる。
前記基材2の表面に前記表面処理層用組成物を塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコート等や、マイクログラビアコーター、ダイレクトグラビアコーター、ダイコーター等を使用した塗工方法を挙げることができる。
塗工された前記表面処理層用組成物を硬化させる方法としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して前記疎水性のモノマー又はオリゴマーを重合させて硬化させる方法を挙げることができる。
次に、硬化した前記表面処理層3上に前記転写層5を形成する。
前記転写層5は、対象物に転写されたときに最外層となる、例えば、ハードコート層であり、前記表面処理層3に対して、例えば、ハードコート層用組成物である転写層用組成物を塗工し、硬化させたものである。
前記転写層用組成物は、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ビニル系、(メタ)アクリル系、イミド系、スチレン系、セルロース系などの重合性官能基を有した疎水性のモノマー又はオリゴマーと、前記疎水性のモノマー又はオリゴマーと重合反応する重合性官能基及び親水性官能基を有した両親媒性化合物である、例えば、反応性界面活性剤とを含有するものである。
より具体的には、前記転写層用組成物100部に対して、前記反応性界面活性剤が重量比で0.01部以上30部以下、より好ましくは、0.1部以上10部以下含まれるものである。
前記疎水性のモノマー又はオリゴマーは、例えば、活性エネルギー線である紫外線等を照射することで重合反応を起こし硬化する紫外線硬化樹脂である。
前記転写層用組成物には他に、例えば、光重合開始剤などの各種添加剤や適切な量の溶剤等が含まれていても良い。
前記転写層5の厚みは、例えば、0.1μm以上300μm以下であれば良く、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは、1μm以上10μm以下のものを挙げることができる。
前記転写層用組成物を前記表面処理層3上に塗工する方法は、特に限定されないが、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコート等であってもよいし、マイクログラビアコーター、ダイレクトグラビアコーター、ダイコーター等を使用してロール状のフィルムに直接前記転写層用組成物を塗工することができる方法であれば、より簡単に均質な転写箔1を製造することができる。
塗工した前記転写層用組成物を硬化させる方法としては、紫外線等を照射して前記疎水性のモノマー又はオリゴマーを重合させて硬化させる方法を挙げることができる。
前記転写層5上に、該転写層5を対象物に接着する接着層6がさらに形成されても良い。
該接着層6は、前記転写層5を、例えば、印刷や加熱などによって対象物に接着する、例えば、ヒートシール剤などの接着剤等を含む層であり、前記転写層5及び対象物の組成や素材によって、これら両方に密着する素材のものを適宜用いることができる。
また、必要であれば、前記転写層5と接着層6との間に、これらの層を互いに接着させるための中間層7を設けても良い。
該中間層7は、前記転写層5と接着層6とを接着する接着剤等を含む層であり、前記転写層5及び接着層6の組成によって、これらに密着する素材のものを適宜用いることができる。
このような転写箔1の製造方法によれば、疎水性の前記基材2上に、前記表面処理層用組成物を塗工するので、前記表面処理層組成物中の親水基が前記基材2表面の疎水性によってはじかれ、疎水性成分が前記基材2との接触面に集まる。
この状態で、前記表面処理層3を硬化させるので、前記表面処理層3中の疎水性化合物を前記基材2側に、前記界面活性剤に含まれる親水基を前記基材2とは反対側の表面に集めた状態で固定することができる。
また、重合反応により前記表面処理層3の樹脂が硬化する時に、前記反応性界面活性剤がその重合性官能基を介して樹脂に結合し、しっかりと固定されるので、前記親水基を前記表面処理層3の表面に安定な状態で長期間保持することができる。
その結果、前記表面処理層3の前記基材2と接している面とは反対側の表面を親水性にすることができ、その水接触角は、例えば、0°以上75°以下であり、好ましくは、0°以上30°以下、より好ましくは、0°以上15°以下である。
表面に親水性基が固定された前記表面処理層3上に、前記転写層用組成物を塗工すると、前記表面処理層3の親水性によって、前記転写層用組成物中の疎水性成分が前記表面処理層3との接触面5aからはじかれて、該接触面5aに前記反応性界面活性剤の親水基が集まった状態になる。
この状態で、前記転写層5を硬化させるので、前記転写層5中の前記反応性界面活性剤に含まれる親水基を、その表面処理層3と接している面5aに集めた状態で固定することができる。
また、重合反応により前記転写層5の樹脂が硬化する時に、前記反応性界面活性剤がその重合性官能基を介して樹脂に結合し、しっかりと固定されるので、前記親水基を前記転写層5の表面5aに安定な状態で長期間保持することができる。
その結果、前記転写層5中の前記表面処理層3と接している面5aの水接触角を持続的に0°以上45°以下、好ましくは、0°以上20°以下、より好ましくは、0°以上10°以下にすることができる。
このようにして製造された前記転写箔1の前記転写層5を対象物に転写すると、前記転写層5の前記表面処理層3との接触面5aが該転写層5の外表面となり、対象物に親水性を付与することができる。
前記転写層5の外表面5aは、前記対象物の設置場所が明所であっても暗所であっても関係なく、安定した親水性を発揮することができるものである。
また、前記転写層5がハードコート層であるので、前記対象物の表面に、親水性だけでなく、耐擦傷性や耐薬品性などのハードコート性をも付与することができる。
また、本実施形態に係る転写箔1の製造方法であれば、従来の転写箔製造と同じ設備を用いて、特段複雑な手順を必要とすることなく、前記転写箔を製造することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記重合性官能基を有した疎水性化合物は、活性エネルギー線硬化性樹脂にかぎらず、熱硬化性樹脂であっても良いし、活性エネルギー線硬化と熱硬化を組み合わせて硬化するものであっても良い。
前記表面処理層用組成物と前記転写層用組成物とは、同じ組成のものであっても良いし、異なる組成のものであっても良い。
前記表面処理層用組成物又は前記転写層用組成物は、前記実施形態で説明したような疎水性のモノマー又はオリゴマーと、反応性界面活性剤とを含有するものに限られない。
例えば、前記表面処理層用組成物又は前記転写層用組成物は、重合性官能基を有する第1の化合物と、該第1の化合物と重合反応する第2の化合物とを含有するものであって、親水性の差によって互いに分離する前記第1の化合物と前記第2の化合物とを含有するものであれば良い。
具体的には、前記表面処理層用組成物又は前記転写層用組成物として、例えば、親水性の異なるポリマー同士を混合したエマルジョン型のコーティング剤や、ベースとなる樹脂と、このベースとなる樹脂に対して重合可能な官能基を含む4級アンモニウム塩とを混合したコーティング剤等を使用することができる。
さらに言えば、その分子内に親水性の異なる2種類以上の成分を含有するブロック共重合体を、前記表面処理層用組成物又は前記転写層用組成物として使用することもできる。
前記第1の化合物と前記第2の化合物との組み合わせ、又は、前記2種類以上の成分の組合せは、疎水性化合物と親水性化合物との組合せに限らず、親水性化合物同士でも良いし、疎水性化合物同士でも良い。
また、前記表面処理層用組成物又は前記転写層用組成物は、前述したような2種類の化合物を含有するものに限らず、親水性の異なる3種類、4種類、5種類、又は、それ以上の互いに重合可能な化合物を含有するものであっても良い。
また、前記表面処理層用組成物は、親水基を含有するものであれば良く、前記表面処理層3が、例えば、ケイ酸化合物膜、不定形シリカ塗膜、金属酸化物膜などであっても良い。
前記表面処理層3の表面に親水基を固定する方法としては、前記表面処理層用組成物を塗工、硬化させる方法に限らず、例えば、コロナ処理やプラズマ処理等、一時的に前記表面処理層3の表面に親水基を固定する親水化処理であっても良い。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、種々の変形や実施形態の組合せを行ってもかまわない。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。
この実施例では、本発明に係る転写箔製造方法の一例として、実施例1に記載する方法で製造した転写箔1と、後述する比較例1〜3で製造した転写箔1とを用いて、これら転写箔1の転写層5を転写された対象物である被転写体表面の水接触角を比較した。
[実施例1]
前記基材2として、厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(A4300、東洋紡株式会社製)を使用した。
この基材2に、反応性界面活性剤を含有する紫外線硬化性のアクリル系モノマー又はオリゴマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有した前記表面処理層用組成物をバーコーターで、硬化後の膜厚が2.7μmになるように塗工した。
前記表面処理層用組成物の具体的な組成としては、反応性界面活性剤を含有するアクリル系モノマー又はオリゴマー(ノストラSA、三井化学株式会社製)を47.6重量%と、光重合開始剤(IRGACURE184、BASF製)1.9重量%と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、大商化成株式会社製)50.5重量%とを混合したものを使用した。
塗工された前記表面処理層用組成物を50℃で60秒乾燥させた後、200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた。
この表面処理層3に対して、前記表面処理層用組成物と同じ組成の前記転写層用組成物をバーコーターで硬化後の膜厚が2.7μmになるように塗工した。
塗工された前記転写層用組成物を50℃で60秒乾燥させた後、200mJ/cmの紫外線を照射して硬化させた。
この転写層5に対して、前記接着層6としてヒートシール剤をバーコーターで乾燥後の膜厚が0.3μmになるように塗工し、150℃で60秒乾燥させた。
このように製造した転写箔1の転写層5を、被転写体であるポリエチレンテレフタレートフィルムにロール転写機を用いて転写した。
従来、前記離型フィルム4の表面に親水化処理を施すと、該離型フィルム4表面の濡れ性、すなわち、接着性が高まるので、このような離型フィルム4に親水性の転写層5を積層した場合、該離型フィルム4から前記転写層5をうまく剥離できないのではないかと考えられる。
しかし、本実施例1のように、親水性の前記離型フィルム4に親水性の前記転写層5を積層した場合であっても、前記離型フィルム4から前記転写層5を問題なく剥離して、被転写体に転写することができた。
[比較例1]
比較例1では、前記転写層用組成物として従来使用されている、前記反応性界面活性剤を含まないウレタンアクリレート系ハードコート剤を用いた以外は、前述の実施例1と同様の手順で転写箔1を製造し、実施例1と同様に、被転写体であるポリエチレンテレフタレートフィルムにロール転写機を用いて転写した。
前記従来のハードコート剤の具体的な組成としては、反応性界面活性剤を含有しないアクリル系モノマー又はオリゴマー(ビームセット577、荒川化学株式会社製)を38.1重量%と、光重合開始剤(IRGACURE184、BASF製)1.9重量%と、PGM(大商化成株式会社製)60.0重量%とを混合したものを使用した。
[比較例2]
比較例2では、表面処理層用組成物として従来使用されている、前記反応性界面活性剤を含有しない非シリコン系離型層用組成物を用いた以外は、前述の実施例1と同様の手順で転写箔1の製造を試みた。
具体的には、反応性界面活性剤を含有しない従来の離型層を有するノンシリコンリリースフィルム(レイハイパーRR01N−1(N−7)、中井工業株式会社製)を使用して実験を行った。
[比較例3] 比較例3では、前記表面処理層用組成物及び転写層用組成物のいずれにも前記反応性界面活性剤を含まない組成物を使用して、すなわち前述した従来の離型層を有したリリースフィルム及び従来のハードコート剤をそれぞれ使用して、その他は前記実施例1と同じ手順で転写箔1を製造し、実施例1と同様に、被転写体であるポリエチレンテレフタレートフィルムにロール転写機を用いて転写した。
これら実施例1及び比較例1〜3で製造した前記転写箔1の前記転写層5をそれぞれ転写した各被転写体表面の水接触角を調べたところ、以下の表1の結果が得られた。
Figure 0006910213
この表1の結果から分かるように、実施例1の製造方法で製造された転写箔1を使用した結果、各比較例に比べてその外表面に高い親水性を示す前記転写層5を転写することができた。
比較例1では、比較例2及び3に比べて、水接触角が低下しているが、これは比較例1では、前記表面処理層3の表面に親水基が固定されているので、前記転写層を剥離する時に、前記表面処理層3に含まれる親水基が僅かに遊離して前記転写層5の表面に付着したのではないかと考えられる。
前記実施例1又は比較例1〜3で製造された転写箔1の転写層5をそれぞれ転写した被転写体の全光線透過率(単位:%)及びヘイズ(単位:%)をJIS K 7105に準拠して求めた結果以下の表2のような結果となった。
Figure 0006910213
この表2に示すように、実施例1及び比較例1〜3で製造した転写箔1の転写層5を転写した被転写体の全光線透過率及びヘイズ値については、いずれも大きな違いはないことがわかった。
この表2の結果から、実施例1で製造した転写箔1の転写層5を転写することによって、被転写体表面の色合いや透明性が損なわれないことが確認できた。
また、実施例1で製造した転写箔1の転写層5を転写した被転写体の外観についても特に異常はなかった。
さらに、実施例1で製造した転写箔1の転写層5を転写した被転写体について、防曇性及びセルフクリーニング性及びハードコート性を以下のようにして確認した。
実施例1で製造された前記転写箔1の前記転写層5を転写した前記被転写体を熱湯が入ったビーカーの上に置き、ビーカー底面に敷いた碁盤目の見え方を調べたところ、曇りが無く、碁盤目が問題なく見える状態であった。
この結果から、前記被転写体の表面に十分な防曇性が付与されたことが確認できた。
また、実施例1で製造された前記転写箔1の前記転写層5を転写した前記被転体表面に油性マーカーペン(マッキー:MO−120−MC−BK、ゼブラ株式会社製)で書き込んだ線の取れ方でセルフクリーニング性を評価したところ、水に浸漬する又は流水のみで前記油性マーカーペンで書き込んだ線が取れた。 この結果から、前記被転写体の表面に十分なセルフクリーニング性が付与されたことが確認できた。
さらに、実施例1で製造された前記転写箔1の前記転写層5を転写した前記被転体表面に対して、#0000のスチールウールで表面を200g荷重で10往復摩擦後の傷を確認したところ無傷であった。
この結果から、前記被転写体の表面に十分な耐擦傷性が付与されたことが確認できた。
1・・・転写箔
2・・・基材
3・・・表面処理層
5・・・転写層
A・・・親水基
B・・・疎水性化合物

Claims (6)

  1. 疎水性の基材と、該基材上に形成された表面処理層と、該表面処理層上に形成された転写層とを具備し、該転写層を対象物に転写する転写箔を製造する方法であって、
    前記基材に対して、重合性官能基を有した疎水性化合物と、該疎水性化合物と重合反応する重合性官能基を有した両親媒性化合物とを含有する表面処理層用組成物を塗工し、
    前記基材表面の疎水性によって、前記基材と前記表面処理層との接触面から前記表面処理層用組成物に含まれる前記両親媒性化合物の親水基がはじかれ、該親水基を前記表面処理層の前記基材とは反対側の表面に集めた状態で、前記表面処理層用組成物に含まれる前記両親媒性化合物と前記疎水性化合物とを重合反応させることによって、前記表面処理層前記転写層との接触面前記親水基固定
    該表面処理層に対して、重合性官能基を有した疎水性化合物と、該疎水性化合物と重合反応する重合性官能基を有した両親媒性化合物とを含有する転写層用組成物を塗工し、
    前記表面処理層の表面に固定された親水基によって、該表面処理層と前記転写層用組成物との接触面から前記転写層用組成物に含まれる前記疎水性化合物がはじかれ、前記転写層用組成物に含まれる前記両親媒性化合物親水基が前記表面処理層との接触面に引き寄せられた状態で、前記転写層用組成物に含まれる前記両親媒性化合物と前記疎水性化合物とを重合反応させる転写箔製造方法。
  2. 前記疎水性化合物が熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線硬化性樹脂であり、前記表面処理層上に塗工された前記転写層用組成物を加熱、活性エネルギー線照射又はこれらを組合せた方法によって硬化させる請求項1記載の転写箔製造方法。
  3. 前記表面処理層の前記転写層と接する表面の水接触角が0°以上75°以下である請求項1又は2記載の転写箔製造方法。
  4. 前記両親媒性化合物が反応性界面活性剤である請求項1、2又は3記載の転写箔製造方法。
  5. 前記両親媒性化合物に含まれる親水基がイオン性のものである請求項1、2、3又は4記載の転写箔製造方法。
  6. 疎水性の基材と、
    該基材上に積層された表面処理層と、
    該表面処理層上に形成された転写層とを具備し、
    対象物の表面に該転写層を転写する転写箔であって、
    前記表面処理層が、疎水性の重合体と該疎水性の重合体に固定された親水基とを含有するものであり、前記表面処理層に含まれる前記親水基が、前記基材表面の疎水性によってはじかれ、該親水基が前記表面処理層と前記転写層との接触面に集めた状態で、重合性官能基を介して前記表面処理層に含まれる前記疎水性の重合体に固定されているものであり、
    前記転写層が疎水性の重合体と該疎水性の重合体に固定された親水基とを含有し、
    前記転写層用組成物に含まれる前記疎水性化合物が、前記表面処理層との接触面からはじかれ、前記転写層に含有されている親水基が、該表面処理層と前記転写層との接触面に引き寄せられた状態で重合性官能基を介して前記転写層に含まれる前記疎水性の重合体に固定されているものであることを特徴とする転写箔。
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