JP2013071118A - 超親水性の表面領域を有する塗膜、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法、特に、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能な超親水性領域を有する塗膜の簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)を含む重合性組成物(X)の層を形成し、エネルギー線の照射により硬化塗膜(CH)を形成する工程α、エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)を含む重合性組成物(Y)を前記硬化塗膜(CH)の表面に塗布し、重合性化合物(B)の重合体からなる膜を形成する工程β、を順次行なう方法であって、前記重合性化合物(B)が、スルホン酸基、アンモニウム基、アミド結合、ポリオキシエチレン単位、リン酸基、及び、カルボキシ基からなる群から選ばれた1種以上の親水性化学構造単位を有する化合物である超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、超親水性の表面領域を有する塗膜とその製造方法に関し、より詳細には、さまざまなぬれ性を示すポリマー塗膜表面に、重合性組成物を用いて超親水性領域を形成させることによって製造する超親水性の表面領域を有する塗膜に関する。
超親水性表面は、その科学的定義はないが、一般的には水接触角が10°以下のきわめて水にぬれ易い表面を指す。超親水性表面は、汚れやホコリがつきにくく、たとえ汚れが付着しても水で簡単に汚れを除去できることから、住設や自動車の内外装部材や家電用品などへの展開が期待されている。また防曇性も示すことより、サングラスやゴーグル、浴室ミラーなどにも応用が可能である。
一方、周囲とは異なるぬれ性を有する領域を同一表面上に形成した撥水性/親水性パターン化表面は、印刷用部材、表示用部材、輸送用部材、建築装飾用部材等の用途において、幅広く用いられている。特に、印刷用部材では、文字・図案・画像の印刷に関して、撥水性/親水性パターンは印刷インクを転写する際にインクを受容及び反発する部分となり、数多くの研究がなされている。しかしながら、近年、水系印刷において、より解像度の高い印刷精度を実現するために、水系組成物をより撥きやすい超撥水性領域を有する超撥水性/親水性パターン化表面が求められる傾向がある。また、超撥水性領域とともに、水接触角が10°以下である超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン化表面は、印刷用部材の他にも、結露防止用部材や着雪・着霜防止用部材等、多くの用途に用いることが期待できる。特に、水と接触後、速やかに(5秒以内)に水との接触角が0°を示す超親水領域を有する表面は毛管現象による水の移動を促すことができ、着水(着雪・着霜)後の水の除去において有効である。
特許文献1においては、凹凸化処理を施した基材上に光触媒無機コーティング剤を含むゾルゲル膜前駆体を塗布した後、加熱処理により加水分解・重縮合を進行させ、水接触角値150°以上を示す超撥水性膜を調製した。これに、フォトマスクを介してパターン露光をすることにより、水接触角値10°以下の超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン化表面を調製した。
また、特許文献2においては、ゾルゲル反応により得た微細凹凸性アルミナ膜に対して、酸化チタンアナターゼゾル、続いて含フッ素シラン化合物で処理し、水接触角値150°以上を示す超撥水性膜を調製した。これに、フォトマスクを介してパターン露光を施し、酸化チタン結晶層の光触媒作用により、水接触角値4°以下の超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン表面を調製した。
以上2例の発明は、酸化チタン層の光触媒作用を利用して超親水性領域のパターン生成を行ったものである。しかしながら、超撥水性領域に存在する有機物も、長期の使用により、光触媒作用により徐々に分解され、撥水性が低下することが指摘されている。
一方、特許文献3においては、含フッ素化合物、無機粒子、樹脂、溶剤の混合物を基材に塗布し、加熱処理を行うことで超撥水性表面を作製した。これにフォトクロミック化合物を付着させた後、パターン露光により該フォトクロミック化合物の化学構造変化を促し、その後、露光部に親水性高分子を付着することにより親水性パターンを生成させた。しかしながら、この方法では、水接触角値約60°の親水性領域の形成は可能であるが、超親水性パターンを形成するには至っていない。
特許文献4では、本発明者らは、ビニル重合誘起の相分離現象を利用して調製した微細な凹凸構造を有する撥水性ポリマー膜の表面の一部または全部に、親水基を有する重合性化合物を含む重合性組成物を塗布し、その後、エネルギー線を照射して親水基を有する重合性化合物を重合させることにより、超撥水性の領域と親水性の領域とを有するパターン化膜を製造できることを報告している。超親水性の領域について、水接触角値のデータについては開示されているが、水接触角が低下していく過程の時間変化(時間プロファイル)については開示されていない。
特開2000−87016号公報 特開2001−17907号公報 特開平11−265058号公報 特開2011−161434号公報
本発明が解決しようとする課題は、超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法、特に光触媒の作用を用いることなく、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能な超親水性領域を有する塗膜の簡便な製造方法、及び、該製造方法によって形成した超親水性領域を有する塗膜を提供することにある。
本発明者等は、種々検討した結果、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物を含む重合性組成物の層を基材上に形成し、エネルギー線照射により重合性化合物を重合させ硬化塗膜を作製し、更に、その塗膜上の一部にエネルギー線の照射により重合可能な親水基を含む重合性化合物を含む重合性組成物を塗布し、エネルギー線を照射することにより、超親水性の表面領域を有する塗膜を製造することが可能であること、特に、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能な超親水性領域を有する塗膜を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
また、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物と、エネルギー線に対して不活性な添加物とを混合した重合性組成物の層を基材上に形成し、エネルギー線照射により重合させ相分離状態を誘起し、その後、可溶性添加物の一部を除去することにより超撥水膜を形成し、更に、その超撥水性膜上の一部にエネルギー線の照射により重合可能な親水基を含む重合性化合物を含む重合性組成物を塗布し、エネルギー線を照射することにより超撥水性と超親水性の表面領域を有する塗膜を製造すること、特に、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能な超親水性領域を有する塗膜を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)を含む重合性組成物(X)を調製した後、該重合性組成物(X)の層を形成し、
エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させ硬化塗膜(CH)とする工程α、
(2)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)を含む重合性組成物(Y)を調製し、
該重合性組成物(Y)を前記硬化塗膜(CH)の表面の一部または全部に塗布し、エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(B)の重合体からなる膜を硬化塗膜(CH)の表面に形成する工程β、
を順次行なうことを特徴とする方法であって、
前記重合性化合物(B)が、親水性化学構造単位として、スルホン酸基、アンモニウム基、アミド結合、ポリオキシエチレン単位、リン酸基、及び、カルボキシ基からなる群から選ばれた1種以上の化学構造単位を有する1種以上の化合物である、
超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記の方法で得られたことを特徴とする、超親水性の表面領域を有する塗膜を提供する。
また、本発明は、基材(S)と、該基材(S)上に形成された上記の超親水性の表面領域を有する塗膜とを備えた複合部材を提供する。
本発明の製造方法によれば、前記特許文献1及び特許文献2で開示された光触媒の作用を利用することなく、ポリマーからなる硬化塗膜への親水性重合性組成物の塗布とエネルギー線照射による親水性領域の形成により、又は、ポリマーからなる表面凹凸性の超撥水性膜への親水性重合性組成物の塗布とエネルギー線照射による親水性領域の形成により、簡便なプロセスで超親水性の表面領域を有する塗膜、特に、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能な超親水性領域を有する塗膜を製造することができる。
実施例1で得られた超親水性領域を有する塗膜[CHL−1]の外観写真である。 実施例1で得られた超親水性領域を有する塗膜[CHL−1]に対する水着滴後の接触角及び水滴の様子の変化である。 実施例9で得られた超親水性領域と超撥水性領域を有する塗膜[CHL−9]の外観写真である。 実施例9で得られた超親水性領域と超撥水性領域を有する塗膜[CHL−9]の超撥水性領域の走査型電子顕微鏡像である。 実施例9で得られた超親水性領域と超撥水性領域を有する塗膜[CHL−9]に対する水着滴後の接触角及び水滴の様子の変化である。
以下、本発明について説明する。
超親水性については学術上、技術上の明確な区別、及び定義はなく、一般的に、水接触角がおよそ10°以下の表面を超親水性表面といっている。
本明細書では、水接触角が10°以下の表面を「超親水性表面」と定義し、表記するが、単に「親水性表面」と記載した場合は、「超親水性表面」を含む通常の親水性表面を意味するものとする。
本発明は、超親水性の表面領域を有する塗膜、及びその製造方法に関する。ここで、超親水性の領域は塗膜の一部又は全部に形成されており、その領域の形状は特に限定されるものではない。不定形であっても、円形、楕円形、たまご型、瓢箪型、ダンベル型、三角形、四角形、多角形、縞模様、波線模様、特定形状の領域が繰り返し現れる形状、幾何学状模様等、いかなる形状であっても良い。超親水性の領域は隣接する領域のぬれ性については特に限定はないが、超親水性と超撥水性の領域が同一平面上に存在する場合は、両領域が隙間が空くことなしに隣接していることが好ましい。
なお、撥水性表面に関しては、学術上、技術上の明確な区別及び定義はないが、一般的に、水接触角がおよそ150°以上の表面を超撥水性表面といい、およそ120〜150°の範囲の水接触角を示す表面を高撥水性表面といい、およそ90〜120°の範囲の水接触角を示す表面を通常の撥水性表面と区別している。
本発明の超親水性の表面領域を有する塗膜は、以下に示す2工程を行うことにより、製造することができる。
工程α:エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)を含む重合性組成物(X)を調製した後、該重合性組成物(X)の層を形成し、エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させ硬化塗膜(CH)とする工程。
工程β:エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)を含む重合性組成物(Y)を調製し、該重合性組成物(Y)を前記硬化塗膜(CH)の表面の一部または全部に塗布し、エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(B)を硬化塗膜(CH)の表面に結合させる工程。
工程βについては、次の二通りの方法により行うことができる:(1)工程αで形成した塗膜上の全部に対して重合性組成物の層を形成させ、エネルギー線をパターン照射することにより重合性組成物中の重合性化合物を工程αで形成した塗膜に結合させ、その後、非照射部分の未重合の重合性組成物を除去する方法と、(2)工程αで形成した塗膜上の一部に対して重合性組成物の層を形成させ、その後、エネルギー線を照射することにより重合性組成物中の重合性化合物を工程αで形成した塗膜に結合させる方法である。
以下に、それぞれの工程について説明する。
[工程α]
工程αはポリマーからなる硬化塗膜を形成する工程であり、その方法は3つに分けられる。
(第1の方法)
第1の方法では、硬化塗膜は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)を含む重合性組成物(X)を調製した後、該重合性組成物(X)の層を形成し、エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合することにより形成させることができる。
重合性化合物(A)は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(a)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。重合性化合物(a)は、エネルギー線の照射により重合し、ポリマーとなる物質であれば特に制限はなく、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性など任意のものであってよい。例えば、ビニル基を含有する重合性化合物が用いられるが、なかでも、エネルギー線の照射による重合速度が速い(メタ)アクリル系化合物が好ましい。また、硬化後の強度も高くできることから、重合して架橋ポリマーを形成する化合物であることが好ましく、1分子中に2つ以上のビニル基を有する2官能以上の重合性化合物であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−2−メチルプロピルジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドなどの2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能モノマーが挙げられる。
また、分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のオリゴマーとして、重量平均分子量が500〜50,000のものが挙げられ、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールA骨格を有するポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル(チッソ株式会社製両末端サイラプレーンシリーズ、FM−7711、FM−7721、FM−7725など)、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
以上挙げた重合性化合物および重合性オリゴマーの中でも、重合後に架橋密度が高く、且つ、表面硬度の高いポリマー膜を与えやすいという観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a)としては、ビニル基を1つ有する単官能重合性化合物、特に、ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物などを用いることができる。ただし、単官能重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物とともに用いることが好ましい。
ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、ω−カルボキシカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリルアルデヒド、スルホン酸エステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの単官能重合性化合物の中でも、疎水性を高め、且つ、粘度調節を行う目的で用いる場合は、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが、また、重合後膜表面に偏在し、表面の自由エネルギーを低下させる目的で、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなど)、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレート(チッソ株式会社製片末端サイラプレーンシリーズ、FM−0711、FM−0721、FM−0725、TM−0701、TM−0701Tなど)などが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a)としては、表面ぬれ性の制御の目的で、分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のフッ素含有オリゴマーとして、例えば、DIC株式会社製メガファックRS−75、メガファックRS−72−Kなどを用いることができる。
重合性組成物(X)には、重合速度や重合度を調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、重合遅延剤、増粘剤、あるいは、溶剤などの各種添加剤を添加してもよい。
重合開始剤としては、エネルギー線の照射により、重合性化合物(A)を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが使用できる。例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類、N−アジドスルフォニルフェニルマレイミドなどのアジドが挙げられる。また、マレイミド系化合物などの重合性光重合開始剤を使用することもできる。また、ここに挙げた重合開始剤を、テトラエチルチイラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシド化合物、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン銅錯体−トリクロロ酢酸メチル複合体、ベンジルジエチルジチオカルバメートなどの化合物と併用して、リビングラジカル重合開始剤として用いることもできる。
重合遅延剤や重合禁止剤は、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの重合速度の低いビニル系モノマーやtert−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール類などが挙げられる。
増粘剤は、塗工性、膜厚の均質性を向上させる目的で公知慣用のものを用いることができる。重合性組成物(X)を構成する素材の組合せや膜の目的性能により、粘度は適宜設定を変えることは重要である。
溶剤としては、重合性化合物(A)およびその他の構成成分とともに均一な組成物(X)が得られ、また、重合性化合物(A)の重合後も、均一な塗膜状態が得られればよい。溶剤は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよく、混合溶剤の場合には、その構成成分単独では重合性化合物(A)またはその他の構成成分と相溶しないものであってもよい。このような溶剤(M)としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ブタン酸メチル、アジピン酸ジイソブチルなどの脂肪酸のアルキルエステル類、アセトン、2−ブタノン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,1−ジメチル−1−エタノール、ヘキサノール、デカノールなどのアルコール類、および、水などの溶剤が挙げられる。
本発明における超親水性の表面領域を有する塗膜は、膜単独の自立膜であっても良いが、基材(S)と積層した積層体として用いることができる。本発明の塗膜と積層する基材(S)は、重合性組成物(X)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、重合性組成物(X)を実質的に侵さないものであればよい。そのような基材としては、例えば、樹脂、ガラス、石英などの結晶、セラミックス、シリコンなどの半導体、金属、金属酸化物などが挙げられるが、これらの中でも、透明性が高いこと、および、安価であることより、樹脂、または、ガラスが好ましい。基材に使用する樹脂は、単一モノマーの重合体ポリマーであっても、複数モノマーの共重合体ポリマーであってもよく、熱可塑性ポリマーであっても、熱硬化性ポリマーであってもよい。また、基材は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていてもよいし、積層体その他の複合体であってもよい。更に、基材は、改質剤、着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有してもよい。
基材の形状は特に限定されず、使用目的に応じて任意の形状のものを使用できる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状、ベルト状を含む)、板状、ロール状、球状などの形状が挙げられるが、重合性組成物(X)をその上に塗布し易く、また、エネルギー線を照射し易いという観点から、塗工面が平面状または2次曲面状の形状であることが好ましい。
基材はまた、樹脂の場合もそれ以外の素材の場合も、表面処理されていてよい。表面処理は、重合性組成物(X)による基材の溶解防止を目的としたもの、重合性組成物(X)の濡れ性向上及び硬化塗膜の接着性向上を目的としたものなどが挙げられる。
基材の表面処理方法は任意であり、例えば、前記重合性組成物(X)を基材の表面に塗布し、エネルギー線を照射して硬化させる処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合、界面活性剤や離型剤等の塗布、ラビングやサンドブラストなどの物理的処理などが挙げられる。また、超撥水性膜が有する官能基や上記の表面処理方法によって導入された官能基と反応して表面に固定される化合物を反応させる方法が挙げられる。この中で、基材としてガラス、または、石英を用いた場合、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートやトリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等のシランカップリング剤によって処理する方法は、これらのシランカップリング剤の有する重合基が重合性組成物(X)と共重合できることより、超撥水性膜の基材上への接着性を向上させる上で有用である。
重合性組成物(X)の基材(S)への塗布方法は公知慣用の方法であればいずれの方法でもよく、例えば、ディップ法、ロ−ルコ−ト法、ドクタ−ブレ−ド法、スピンコ−ト法、スプレ−法等による塗布方法が好ましく挙げられる。
重合過程において照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
重合性組成物(X)の重合の際、揮発性の高い溶剤を添加して用いた場合には、該溶剤を除く必要がある。そのためには、揮発性の低い溶剤で洗浄することが有効である。そのような溶剤としては、組成物(X)の重合に用いた揮発性の高い溶剤と相溶するものであれば、制限なく用いることができ、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどが好ましく用いられる。
この方法により製造した硬化塗膜は、基本的に無孔性の平滑表面を有するポリマー膜の形態をとる。
(第2の方法)
第2の方法では、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(C)とを混合した重合性組成物(Z)の層を形成し、エネルギー線の照射により重合させた後、化合物(C)を除去することにより超撥水性膜を形成することができる。
この方法では、重合性化合物(A)の重合により生成した重合体ポリマー(P)が、化合物(C)と相溶しなくなり、重合体ポリマー(P)と化合物(C)との相分離状態が生じ、重合体ポリマー(P)内部や重合体ポリマー(P)間に化合物(C)が取り込まれた状態になる。この化合物(C)を除去することにより、化合物(C)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性膜を形成できる。
この方法で用いることができる重合性化合物(A)は、前記方法1の項で示した重合性化合物(A)と同様である。中でも、疎水性が高く、且つ、重合後に架橋密度が高く、表面微細構造の発達したポリマー膜を与えやすいという観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a)としては、前記方法1の項で示したビニル基を1つ有する単官能重合性化合物を用いることができる。ただし、単官能重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物とともに用いることが好ましい。前記の単官能重合性化合物の中でも、疎水性を高め、且つ、粘度調節を行う目的で、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが、また、重合後膜表面に偏在し、表面の自由エネルギーを低下させる目的で、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなど)、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレート(チッソ株式会社製片末端サイラプレーンシリーズ、FM−0711、FM−0721、FM−0725、TM−0701、TM−0701Tなど)などが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a)としては、表面ぬれ性の制御の目的で、分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のフッ素含有オリゴマーとして、例えば、DIC株式会社製メガファックRS−75、メガファックRS−72−Kなどを用いることができる。
化合物(C)は、化合物(D)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。化合物(D)は、重合性化合物(A)の重合プロセスにおいては、基材上にとどまり、且つ、重合性化合物(A)の重合後は主に溶剤洗浄により除去される。化合物(D)は、化合物(C)の構成成分として、重合性化合物(A)とは相溶するが、重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性であり、また、25℃における飽和蒸気圧が400Pa以下の液体状又は固体状の化合物であれば、特に制限はない。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、
前記化合物(D)が、式(1)、式(2)、式(5)及び式(6)で表される化合物、並びに炭素数14〜22の分岐していてもよいアルカンが挙げられる。
(式(1)中、Rは炭素数が9〜19の分岐していてもよいアルキル基、Rはメチル基、又はエチル基を表す。)
(式(2)中、Rはメチル基、又はエチル基、Rは炭素数10〜20の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
(式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
(式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
式(1)及び式(2)中、R及びRは炭素数が9〜19のアルキル基であることが好ましく、10〜18のアルキル基であることがより好ましい。アルカンとしては炭素数14〜20のアルカンであることが好ましく、16〜20のアルカンであることがより好ましい。また、式(5)中、R〜R10は、少なくとも1つが炭素数3〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜6のアルキル基であることがより好ましい。この場合、残りの他の基は水素原子であることが好ましい。また、R〜R10中の炭素数の合計は10以下であることが好ましい。更に、式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることがより好ましい。そして、アルカンとしては炭素数12〜20のアルカンであることが好ましく、炭素数12〜18のアルカンであることがより好ましい。
これらの中でも、25℃における飽和蒸気圧が150Pa以下である液体または固体を用いる場合は、その揮発性が低いため、超撥水性膜を作製するのに有利である。そのような化合物として、テトラデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチル、オクタデカン酸メチル等の長鎖脂肪族カルボン酸のメチルエステル、及び、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の長鎖脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。
重合性組成物(Z)に含まれる重合性化合物(A)及び化合物(C)の含有量によって、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性化合物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性化合物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
重合性組成物(Z)には、重合速度や重合度、あるいは膜の孔径、表面凹凸性などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、あるいは、重合遅延剤などの各種添加剤を添加してもよい。重合開始剤、重合禁止剤、および、重合遅延剤は、前記方法1の項で示した化合物を用いることができる。
増粘剤は、塗工性、膜厚の均質性を向上させる目的、及び、膜内部の孔径、表面の凹凸性を制御する目的で、公知慣用のものを用いることができる。重合性組成物(Z)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、重合性組成物(Z)を構成する素材の組合せや膜の目的性能により、粘度は適宜設定を変えることは重要である。
第2の方法で形成する超撥水性の硬化塗膜は、膜単独の自立膜であっても良いが、基材(S)と積層した積層体として用いることができる。基材(S)の材質および形状は、方法1の項で示した内容に準じて選択することができる。また、基材(S)の表面改質に関しても同様である。
重合性組成物(Z)の基材(S)への塗布方法は、方法1の項で示した通りである。また、重合過程において照射するエネルギー線も、方法1と同様に選択できる。
重合性組成物(Z)の重合により生成した、重合体ポリマー(P)と化合物(C)が相分離された膜から化合物(C)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。その際、化合物(C)が占めていた領域が溶剤により置換され、その後、乾燥過程において溶剤が蒸発することにより、膜内部の孔や表面の凹凸構造が形成され、超撥水性膜の製造が完結する。溶剤は、化合物(C)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
方法2により製造した超撥水性膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である。得られた超撥水性膜の平均表面粗さ(Ra)は、30nmを超えて、1000nmまでの範囲である。また、超撥水性膜としては平均表面粗さ(Ra)が、40nm〜1000nmであることが好ましく、40〜500nmであることがより好ましい。この範囲であれば、表面の水接触角値は、150°以上をしめし易く、好ましい。
なお、上記の如く規定する平均表面粗さ(Ra)は下記の機器(I)で測定した値であり、特許請求の範囲で規定する平均表面粗さ(Ra)の数値は機器(I)で測定した値である。
機器(I):走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N/SPA400):エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
(第3の方法)
第3の方法では、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)、該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(C)、及び、該重合性化合物(A)と該化合物(C)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(E)とを混合した重合性組成物(Z)の薄層を基材(S)上に形成し、エネルギー線の照射により重合させた後、化合物(C)を除去することにより製造することができる。
超撥水性膜は、
この方法では、重合性化合物(A)の重合により生成した重合体ポリマー(P)が、化合物(C)と相溶しなくなり、重合体ポリマー(P)と化合物(C)との相分離状態が生じ、重合体ポリマー(P)内部や重合体ポリマー(P)間に化合物(C)が取り込まれた状態になる。この化合物(C)を除去することにより、化合物(C)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性膜を形成できる。ポリマー(E)は、本発明の効果を損なわない限り、重合性組成物(Z)の硬化膜からその全てが除去されても構わないが、硬化膜の強度を確保する上で、少なくとも一部を硬化膜中に残留させることが好ましい。したがって、重合体ポリマー(P)と化合物(C)との相分離状態において、ポリマー(E)は重合体ポリマー(P)相にある程度分配されることが好ましく、その分配率が高ければ高いほど、硬化膜の強度は高くなる。
重合性化合物(A)については、前記、第1の方法において説明した通りである。
化合物(C)は、化合物(F)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。化合物(F)は、化合物(C)の構成成分として、重合性化合物(A)とは相溶するが、重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性であれば、特に制限はない。ただし、化合物(C)は、重合性化合物(A)の重合プロセスにおいては、基材上にとどまり、且つ、重合性化合物(A)の重合後は主に溶剤洗浄により除去され、表面微細構造を有する超撥水性膜を与える必要があるため、化合物(F)は揮発性が低く、且つ、溶剤への溶解性が高い化合物であることが好ましい。したがって、化合物(F)は、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下である液体または固体であることが好ましい。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、
前記化合物(F)が、式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)で表される化合物、並びに炭素数10〜20の分岐していてもよいアルカンが挙げられる。
(式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
(式(4)中、Rはメチル基又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基を表す。)
(式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。)
(式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
式(3)及び式(4)中、R及びRは炭素数が7〜18のアルキル基であることが好ましく、8〜16のアルキル基であることがより好ましい。また、式(5)中、R〜R14は、少なくとも1つが炭素数3〜7のアルキル基であることが好ましく、3〜6のアルキル基であることがより好ましい。この場合、残りの他の基は水素原子であることが好ましい。また、R〜R10中の炭素数の合計は10以下であることが好ましい。更に、式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜7のアルキル基であることが好ましく、2〜6のアルキル基であることがより好ましい。そして、アルカンとしては炭素数12〜20のアルカンであることが好ましく、12〜18のアルカンであることがより好ましい。
これらの中でも、25℃における飽和蒸気圧が150Pa以下である液体または固体を用いる場合は、その揮発性が低いため、より薄い膜を形成することができ、透明性の高い超撥水性膜を作製するのに有利である。そのような化合物として、テトラデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチル、オクタデカン酸メチル等の長鎖脂肪族カルボン酸のメチルエステルが好ましく用いられる。
また、化合物(C)中に、上記化合物(F)とともに、揮発性の高い液体状の化合物(G)を構成成分として共存させることは、調製する超撥水性膜の膜厚を小さくし、その透明度を上げる上で有用である。この場合、重合性組成物の基材上への塗布後、重合性化合物(A)の重合プロセスを通して、化合物(F)は基材上にとどまるが、一方、化合物(G)は揮発するため、結果として、膜厚は薄くなる。そのような化合物(G)としては、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以上である液体であることが好ましい。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、R17COOR18(式中R17及びR18は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R17とR18の炭素数の合計は6以下である。)、R19COR20(式中R19及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R19とR20の炭素数の合計は6以下である。)、R21OR22(式中R21及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表すが、R21とR22の炭素数の合計は7以下である。)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素が好ましく用いられる。R17COOR18の具体例としては、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ヘキサン酸メチル等が、R19COR20の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が、R21OR22の具体例としては、ジエチルエーテルがある。
化合物(F)と化合物(G)の混合割合は、超撥水性膜の目的性能、特に透明性に応じて、任意の割合で適宜設定することができる。
ポリマー(E)は、ポリマーを単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。ポリマー(E)の構成成分として、重合性化合物(A)と化合物(C)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性であれば、特に制限はない。ポリマー(E)は、本発明の効果を損なわない限り、重合性組成物(Z)の硬化膜からその全てが除去されても構わないが、硬化膜の強度を確保する上で、少なくとも一部を硬化膜中に残留させることが好ましい。したがって、重合体ポリマー(P)と化合物(C)との相分離状態において、ポリマー(E)は重合体ポリマー(P)相にある程度分配されることが好ましく、その分配率が高ければ高いほど、硬化膜の強度は高くなる。このような観点から、ポリマー(E)は、超撥水性膜を構成する成分となるために疎水性が高いことが好ましく、アクリル系(共)重合体又はスチレン系(共)重合体が好ましく用いられる。中でも、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリtert−ブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリイソボルニル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンが特に好ましく用いられる。また、ポリマー(E)の役割の1つとして、重合性組成物(Z)の粘度を高めることによる、相分離条件の拡大が挙げられる。すなわち、重合性組成物(Z)の粘度が高いほど、組成物に用いることのできる重合性化合物(A)および化合物(C)の種類が増える。また、後述するように、重合性組成物(Z)の粘度は、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性に影響を与える。したがって、該ポリマーの分子量は、超撥水性膜の目的性能に応じて適宜設定することが重要である。該ポリマーの分子量は10,000〜1,000,000の範囲において設定することが好ましい。
重合性組成物(Z)に含まれる重合性化合物(A)と化合物(C)及びポリマー(E)の相対含有量によって、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性化合物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性化合物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
また、重合性組成物(Z)の粘度は、膜の細孔形状に影響を与える。重合性組成物(Z)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、透明性等、超撥水性膜の目的性能に応じ、重合性化合物(A)と化合物(C)及びポリマー(E)の相対含有量、化合物(C)に対するポリマー(E)の相対含有量を変化させ、重合性組成物(Z)の粘度を適宜設定することは重要である。
重合性組成物(Z)には、重合速度や重合度、あるいは膜の孔径、表面凹凸性などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、重合遅延剤、あるいは、増粘剤などの各種添加剤を添加してもよい。これらの添加剤に関しては、前記、第1の方法において行った説明と同様である。
基材(S)は、重合性組成物(Z)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、重合性組成物(Z)を実質的に侵さないものであればよい。基剤(S)についての説明も、前記と同様である。また、重合性組成物(Z)の基材(S)への塗布方法は、前記の通りである。
重合過程において照射するエネルギー線は、前記説明の通りである。
重合性組成物(Z)の重合により生成した、重合体ポリマー(P)と化合物(C)が相分離された膜から化合物(C)を除去する方法は、第2の方法において説明した通りである。
この方法により製造した超撥水性膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である。得られた超撥水性膜の膜厚は0.02〜100μm、平均表面粗さ(Ra)は20〜1000nmの範囲にある。表面の水接触角値は、150°以上を示す。
また、この発明の製造方法によると、前記のように、透明性の高い超撥水性膜を容易に得ることができる。例えば、波長600nmの可視光の透過率が80%以上である透明性超撥水性膜は、膜厚が0.02〜1.00μm、平均表面粗さ(Ra)は10〜100nmの範囲にあることが特徴である。
[工程β]
工程βは、基材(S)上に親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)を含む重合性組成物(Y)を塗布し、エネルギー線を照射することにより超親水性の表面領域を有する膜を形成する工程である。重合性化合物(B)は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(b)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。重合性化合物(b)は、エネルギー線の照射により重合しポリマーとなる物質であり、且つ、親水性化学構造単位を有する構造であれば、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性など任意のものであってよい。ここでいう親水性化学構造単位とは、スルホン酸基、アンモニウム基、アミド結合、ポリオキシエチレン単位、リン酸基、及び、カルボキシ基を指す。また、重合性化合物(b)としては、ビニル基を含有する重合性化合物が用いられるが、なかでも、エネルギー線の照射による重合速度が速い(メタ)アクリル系化合物が好ましい。
親水性化学構造単位を有する重合性化合物(b)を例示すると、例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエイコサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエイコサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシエチレン単位を有するモノマー;
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチレンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミドなどのアミド結合を有するモノマー;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸などのカルボキシ基を有するモノマー;モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;
(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基を有するモノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン酸ソーダエトキシメタクリレートなどのスルホン酸基を有するモノマー;これらの親水基を有する分子量500〜50000の重合性オリゴマー、などが挙げられる。
これらの中でも、容易に超親水性領域を有する膜を提供できるため、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナトリウム、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩が好ましく用いられる。
重合性組成物(Y)には、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)に、親水性化学構造単位を有していない単官能性の重合性化合物を添加して用いることができる。そのような化合物としては、例えば、前記した工程αにおいて使用できる重合性化合物(a)のうち単官能性の化合物を使用できる。
重合性組成物(Y)には、必要に応じて、光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤などを混合して使用することができる。重合性組成物(Y)に添加できる光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤としては、例えば、前記した工程αにおいて重合性組成物(X)又は重合性組成物(Z)の光重合開始剤、重合遅延剤、および重合禁止剤と同様の化合物を好適に使用できる。
本工程を超撥水性の硬化塗膜上に対して行う場合、重合性組成物(Y)の粘度は、超撥水性膜の孔径及び表面凹凸度に応じて変わりうるものであるが、重合性組成物(Y)が速く超撥水性膜の孔内へ浸透すること、及びエネルギー線照射後に未重合の重合性組成物(Y)を除去する場合、重合性組成物(Y)が完全に孔内から除去されるという観点から、重合性組成物(Y)の粘度が25℃において30〜3,000mPa・sの範囲であることが好ましく、100〜1,000mPa・sの範囲であることが更に好ましい。粘度が3,000mPa・sより大きいと、重合性組成物(Y)の超撥水性膜内部への浸透が困難になり、また、未重合の重合性組成物(Y)の除去も困難になる。
また、重合性組成物(Y)には、溶剤を添加することができる。溶剤としては、使用する重合性化合物(b)や重合性組成物(Y)に添加された添加剤、あるいは要求される粘度などによって溶剤の種類や添加量を適宜調整する必要がある。溶剤は、単一溶剤であっても混合溶剤であってもよく、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶剤、及びそれらの混合溶剤が挙げられるが、重合性化合物(B)を含むすべての構成成分を溶解することができ、均一な重合性組成物(Y)を与えることが必須である。
中でも、塗膜上の超親水性領域の親水性度合いを高めるためには、水を溶剤として用いることは有効である。水を溶剤として用いることにより、重合性組成物(Y)をポリマー硬化塗膜上に塗布した際、ポリマー硬化塗膜中への浸透性が低くなり、その結果、重合性化合物(B)をポリマー硬化塗膜の表面からの浅い深さ領域に濃縮して吸着することが可能となる。特に、超撥水性のポリマー硬化塗膜に対して処理を行う場合、その効果は顕著である。そのような観点から、重合性組成物(Y)中、重合性化合物(B)を除く成分のうち、水の重量分率が30〜100%の範囲であることが好ましく、50〜100%の範囲にあることが特に好ましい。また、重合性組成物(Y)に含まれる重合性化合物(B)の濃度が高いほど、塗膜上の超親水性領域の親水性度合いを高める効果が高く、0.2〜2.5mol/Lの範囲であることが好ましい。
重合性組成物(Y)の塗布後、エネルギー線照射により、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)は、ポリマー硬化塗膜中に残存するビニル基と反応することにより、塗膜上に結合することができ、その結合された領域を超親水性へと変換することができる。重合性化合物(B)は単一分子として塗膜表面に結合することもでき、また、グラフトポリマー鎖を形成して結合することも可能である。表面凹凸性を有する超撥水性のポリマー硬化塗膜の場合は、膜の孔内及び表面において、重合性化合物(B)が結合した形態となる。
工程αにより形成した硬化塗膜上に重合性組成物(Y)を塗布する方法としては、公知慣用の方法であればいずれの方法でもよく、例えば、ディップ法、ロ−ルコ−ト法、ドクタ−ブレ−ド法、スピンコ−ト法、スプレ−法等による塗布方法が好ましく挙げられる。また、本工程を工程αに次いで行う場合において、重合性組成物(Y)をパターン塗布する方法としては、インクジェット方式やXYロボットなどの液体精密定量吐出機能を備えた装置が好ましく用いられる。
重合過程において照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
工程βを行う場合のエネルギー線のパターン照射の方法は任意であり、例えば、エネルギー線を照射しない部分をマスキングして照射する、あるいはレーザーなどの活性エネルギー線のビームを走査するなどのフォトリソグラフィーの手法が利用できる。エネルギー線をパターン照射した後、非照射部分の未重合の重合性組成物(Y)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。溶剤は、重合性組成物(Y)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
また、工程βを行う場合において、重合性組成物(Y)をパターン塗布する方法としては、インクジェット方式やXYロボットなどの液体精密定量吐出機能を備えた装置が好ましく用いられる。
このようにして調製した塗膜の超撥水性領域の親水性はきわめて高く、一般的な超親水性表面の示す水接触角10°以下という水ぬれ性を凌駕する、水接触角5°以下の表面を容易に提供でき、また、水接触角が着水後3秒以内に0〜2°まで低下することが可能なきわめて高度な超親水性領域を有する塗膜を提供することも可能である。そのような超親水性領域を有する塗膜は、指紋に対して空気中の水分が作用し表面への付着性を弱めることが可能であるため、指紋の拭き取り性という観点から有効である。
以上示した方法により製造した超撥水性の表面領域を有する塗膜は、平滑な表面構造を形成する場合と、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔構造や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔構造を形成する場合が可能である。
また、本発明の製造方法によると、透明性の高い超撥水性の表面領域を有する塗膜を得ることができる。その場合の膜全体の可視光透過率は、波長600nmにおいて80%以上であることが特徴である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
[工程α]
〔基材の調製〕
松浪硝子工業株式会社製ガラス製平板S−1111(26mm×76mm、厚さ1mm)を、東京化成工業株式会社製メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルエステル「M0725」の5mmol/Lのメタノール溶液に50℃にて3時間浸漬した後、メタノール中で超音波洗浄し、100℃の恒温槽で減圧下(0.01Pa以下)1時間加熱し、基材[S−1]を調製した。
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
東亞合成株式会社製イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート「アロニックスM−215」3.60g、東亞合成株式会社製イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート「アロニックスM−315」0.90g、第一工業製薬株式会社製1,6−ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」0.50g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[X−1]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、3500rpm、25秒間の条件で重合性組成物[X−1]を塗工した。該塗膜に3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置(以下、「ランプ1」と称する。)を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で1分間照射して重合性組成物[X−1]を重合させることにより、基材上に形成された厚さ2.5μmの硬化塗膜[CH−1]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:59°
測定装置:協和界面化学自動接触角計DM500
水滴量:1.0μl
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
日本乳化剤株式会社2−ソジウムスルホエチルメタクリレート「アントックスMS−2N」1.00g、水2.00g、2−プロパノール1.20g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−1]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の上に、スポイドを用いた滴下により重合性組成物[Y−1]を塗工した。次いで、超親水化処理を行わない部分をフォトマスキングし、「ランプ1」を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で3分間照射した後、水/2−プロパノール混合溶液(質量比:5/3)を用いて洗浄することにより未重合の組成物[Y−1]を除去し、超親水性領域を有する塗膜[CHL−1]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
外観:膜の外観写真を図1に示す。
[CH−1の残存部分]
水接触角:57°
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:1.1秒)
水着滴後の接触角及び水滴の様子の変化を図2に示す。
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔基材の調製〕
日東樹脂工業株式会社メタアクリル樹脂板クラレックスS0(厚さ1mm)を切り出して(53mm×80mm)、基材[S−2]とした。
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
基材として、[S−1]の代わりに[S−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.0μmの硬化塗膜[CH−2]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:56°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、基材[S−2]上に形成された硬化塗膜[CH−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−2]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−2の残存部分]
水接触角:57°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:2.0秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔基材の調製〕
東洋紡績株式会社二軸延伸ポリエステルフィルムコスモシャインA4300(厚さ125μm)を切り出して(40mm×50mm)、基材[S−3]とした。
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
基材として、[S−1]の代わりに[S−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.2μmの硬化塗膜[CH−3]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:58°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、基材[S−3]上に形成された硬化塗膜[CH−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−3]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−3の残存部分]
水接触角:57°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:2.0秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
DIC株式会社製3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」4.00g、前記「ニューフロンティアHDDA」1.00g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[X−2]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、重合性組成物[X−1]の代わりに[X−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.1μmの硬化塗膜[CH−4]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:68°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、硬化塗膜[CH−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−4]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−4の残存部分]
水接触角:57°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.94秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ2.5μmの超撥水性膜[CH−1]を得た。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
前記「アントックスMS−2N」0.35g、水2.80g、2−プロパノール0.40g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−2]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−5]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−1の残存部分]
水接触角:58°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.76秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ2.4μmの超撥水性膜[CH−1]を得た。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
共栄社化学株式会社ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物「ライトエステルDQ−100」0.35g、水2.80g、2−プロパノール0.40g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−3]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−6]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−1の残存部分]
水接触角:59°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:2.0秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ2.5μmの超撥水性膜[CH−1]を得た。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
N,N−ジメチルアクリルアミド0.35g、水2.80g、2−プロパノール0.40g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−4]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−7]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−1の残存部分]
水接触角:60°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:2.1秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ2.4μmの超撥水性膜[CH−1]を得た。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
アクリルアミド0.35g、水2.80g、2−プロパノール0.40g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−5]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−8]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−1の残存部分]
水接触角:57°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:1.7秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
共栄社化学株式会社製エチレングリコールジメタクリレート「ライトエステルEG」6.94g、共栄社化学株式会社製tert−ブチルメタクリレート「ライトエステルTB」1.14g、共栄社化学株式会社製パーフロロオクチルエチルメタクリレート「ライトエステルFM−108」0.16g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.18gを均一に混合して重合性化合物[A−1]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−3]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、実施例1と同様にして、厚さ19μmの硬化塗膜[CH−5]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:159°(転落角:1°)
水滴量:4.0μl
測定装置は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−9]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
外観:膜の外観写真を図3に示す。
[CH−5の残存部分]
表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡像を図4に示す。
水接触角:158°(転落角:1°)
水滴量:4.0μl
測定装置は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.23秒)
水着滴後の接触角及び水滴の様子の変化を図5に示す。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例9と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、テトラデカン酸メチル5.23gと均一に混合して、重合性組成物[X−4]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−3]の代わりに、[X−4]を用いる以外は実施例9と同様にして、基材上に形成された厚さ14μmの超撥水性膜[CH−6]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:152°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−10]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−6の残存部分]
水接触角:151°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.34秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
共栄社化学株式会社製ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート「ライトアクリレートDCP−A」7.00g、大阪有機化学工業株式会社製イソブチルアクリレート「AIB」1.02g、共栄社化学株式会社製パーフロロオクチルエチルアクリレート「ライトアクリレートFA−108」0.15g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.18gを均一に混合して重合性化合物[A−2]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−5]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、実施例1と同様にして、厚さ25μmの硬化塗膜[CH−7]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:158°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−11]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−7の残存部分]
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.57秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例9と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[CH−5]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−5]を用いる以外は実施例5と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−12]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−5の残存部分]
水接触角:158°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.23秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例9と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[CH−5]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−5]を用いる以外は実施例6と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−13]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−5の残存部分]
水接触角:157°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.23秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例9と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ20μmの超撥水性膜[CH−5]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:160°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−5]を用いる以外は実施例7と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−14]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−5の残存部分]
水接触角:158°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.57秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
実施例9と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[CH−5]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:158°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性のポリマー硬化塗膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、超撥水性の硬化塗膜[CH−5]を用いる以外は実施例8と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−15]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−5の残存部分]
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例9に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.76秒)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.60g、前記「アロニックスM−315」0.90g、前記「ニューフロンティアHDDA」0.50g、共栄社化学株式会社製パーフロロオクチルエチルアクリレート「ライトアクリレートFA−108」0.10g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[X−6]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、重合性組成物[X−1]の代わりに[X−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ1.9μmの硬化塗膜[CH−8]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:91°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、硬化塗膜[CH−8]を用いる以外は実施例5と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−16]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−8の残存部分]
水接触角:90°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.66秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。
[工程α]
〔ポリマー硬化塗膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.60g、前記「アロニックスM−315」0.90g、前記「ニューフロンティアHDDA」0.50、DIC株式会社製フッ素含有オリゴマー「メガファックRS−75」0.50g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[X−7]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、重合性組成物[X−1]の代わりに[X−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ2.0μmの硬化塗膜[CH−9]を得た。
〔硬化塗膜の分析〕
水接触角:102°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程β]
〔超親水性領域を有する塗膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された硬化塗膜[CH−1]の代わりに、硬化塗膜[CH−9]を用いる以外は実施例5と同様にして、超親水性領域を有する塗膜[CHL−17]を作製した。
〔超親水性領域を有する塗膜の分析〕
[CH−8の残存部分]
水接触角:102°
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[超親水性部分]
水接触角:0°(0°に達するまでに要した時間:0.81秒)
測定装置、測定条件等は、上記の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超親水性の表面領域を有する塗膜が形成できたことが確認された。

Claims (18)

  1. (1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)を含む重合性組成物(X)を調製した後、該重合性組成物(X)の層を形成し、
    エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させ硬化塗膜(CH)とする工程α、
    (2)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(B)を含む重合性組成物(Y)を調製し、
    該重合性組成物(Y)を前記硬化塗膜(CH)の表面の一部または全部に塗布し、エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(B)の重合体からなる膜を硬化塗膜(CH)の表面に形成する工程β、
    を順次行なうことを特徴とする方法であって、
    前記重合性化合物(B)が、親水性化学構造単位として、スルホン酸基、アンモニウム基、アミド結合、ポリオキシエチレン単位、リン酸基、及び、カルボキシ基からなる群から選ばれた1種以上の化学構造単位を有する1種以上の化合物である、
    超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  2. 前記重合性組成物(Y)が含水溶液であって、重合性化合物(B)を除く成分のうち、水の体積分率が30〜100%の範囲である請求項1に記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  3. 前記重合性組成物(Y)に含まれる重合性化合物(B)の濃度が、0.2〜2.5mol/Lの範囲である請求項1又は2に記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  4. 前記工程βにおいて、エネルギー線をパターン照射することにより、エネルギー線が照射された部分のみ該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(B)を硬化塗膜(CH)の表面に結合させ、
    非照射部分に残存する未重合の該重合性組成物(Y)を除去する工程を有する請求項1〜3のいずれかに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  5. 前記工程αが、
    エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
    該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(C)を含む重合性組成物(Z)を調製した後、該重合性組成物(Z)の層を形成し、
    エネルギー線の照射により該重合性組成物(Z)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(C)を除去して撥水性膜(SH)とする工程である、
    請求項1〜4のいずれかに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  6. 前記化合物(C)が液体状又は固体状であり、分子量が500以下であり、且つ25℃における飽和蒸気圧が400Pa以下の化合物(D)である請求項1〜5のいずれかに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  7. 前記化合物(D)が、式(1)、式(2)、式(5)及び式(6)で表される化合物から選ばれた1種以上の化合物、又は、炭素数14〜22の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項6記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
    (式(1)中、Rは炭素数が9〜19の分岐していてもよいアルキル基、Rはメチル基、又はエチル基である。)
    (式(2)中、Rはメチル基、又はエチル基、Rは炭素数10〜20の分岐していてもよいアルキル基である。)
    (式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
    (式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  8. 前記重合性組成物(Z)が、前記重合性化合物(A)、前記化合物(C)と、
    前記重合性化合物(A)と前記化合物(C)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(E)とを混合して調製した組成物である請求項1〜7のいずれかに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  9. 前記化合物(C)が液体状又は固体状であり、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の化合物(F)である請求項8に記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  10. 前記化合物(C)として、液体状又は固体状であり、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の化合物(F)及び25℃における飽和蒸気圧が600Pa以上である液体状の化合物(G)を用いる請求項8記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  11. 前記化合物(F)が、式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)で表される化合物から選ばれた1種以上の化合物、並びに炭素数10〜20の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項9又は10に記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
    (式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
    (式(4)中、Rはメチル基又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基を表す。)
    (式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
    (式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  12. 前記化合物(G)が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、R17COOR18(式中R17及びR18は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R17とR18の炭素数の合計は6以下である。)、R19COR20(式中R19及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R19とR20の炭素数の合計は6以下である。)、R21OR22(式中R21及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表すが、R21とR22の炭素数の合計は7以下である。)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素からなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項10又は11記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  13. 前記ポリマー(E)が、アクリル系共重合体又はスチレン系共重合体である請求項8〜12のいずれか1つに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法で得られたことを特徴とする、超親水性の表面領域を有する塗膜。
  15. 膜表面の超親水性部分が、水との接触角が0〜10°の範囲である請求項14に記載の塗膜。
  16. 膜表面の超親水性部分が、水と接触後、3秒以内に水との接触角が0〜2°を示す請求項14又は15に記載の塗膜。
  17. 塗膜表面の超親水性領域以外の部分が、水との接触角が150°以上の超撥水性を示す請求項14〜16のいずれかに記載の塗膜。
  18. 基材(S)と、該基材(S)上に形成された請求項14〜17のいずれかに記載の超親水性の表面領域を有する塗膜とを備えた複合部材。
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