JP2016209816A - 凹凸構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 隣接する凸部同士の間に均一な間隔を有し、アスペクト比が大きく、かつ、反射防止膜等の用途に対して実用的な強度を有する微細凹凸構造体を、簡便な方法で作製可能な凹凸構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 凹凸構造体を、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を用いて製造する製造方法であって、該塗工液組成物の粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で10/90〜50/50の範囲であり、かつ、以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とする凹凸構造体の製造方法。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
【選択図】 図1
【解決手段】 凹凸構造体を、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を用いて製造する製造方法であって、該塗工液組成物の粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で10/90〜50/50の範囲であり、かつ、以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とする凹凸構造体の製造方法。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
【選択図】 図1
Description
本発明は、凸部同士の間に均一な間隔を有する微細な凹凸を簡便な方法で作製可能な凹凸構造体の製造方法に関する。
蛾の目の微細構造を模倣した反射防止フィルム、植物表面の微細構造を模倣した超撥水コーティング、細胞の増殖や伸展を制御する細胞足場材料等、微細な凹凸構造体は様々な分野で利用されている。このような微細凹凸構造体を形成する方法としては、電子ビーム描画法が提案されている。例えば、特開2001−272505号公報(特許文献1)では、電子ビーム描画法を用いてレジストパターンを基板上に作製し、レジストパターンを元にして基板上に金属を蒸着し、蒸着した金属をマスクとしてエッチングを行う方法が開示されている。しかし、この方法は多数の工程を有する上に、電子ビームを用いたレジストパターンの描画に長時間を要することから量産に適さず、コストが高くなるという問題がある。
一方、このような微細凹凸構造体を高い生産性で作製する方法としては、粒子を用いる方法が提案されている。例えば、特開2002−006108号公報(特許文献2)では、粒子の表面電荷による基板上への粒子の吸着を利用した微細凹凸構造体の形成方法が開示されている。この方法により、粒子同士の電荷反発によって粒子を凝集させずに基板上に配列させることが可能であり、凸部同士の間に間隔を有する微細凹凸構造体を得ることが可能である。しかしながら、特許文献2の方法では均一な間隔で粒子を配置することは困難であり、凸部の間隔にばらつきが生じるという問題があった。
また、他の方法としては、例えば、特開1993−13021号公報(特許文献3)では、粒子を分散させた溶液中に基板を浸漬させ、基板引き上げ時に粒子を最密充填させることにより、均一な構造を有する微細凹凸構造体を形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法では粒子同士が接触していなければならず、凸部同士の間に間隔を設けることはできないという問題があった。このために、粒子半径以上の凹凸高さを得ることはできず、アスペクト比(凹凸の平均高さ/平均粒径の比)が0.5以上の微細凹凸構造体を作製することはできないという問題があった。
さらに、粒子を用いた微細凹凸構造体の作製方法であって、凸部同士の間に均一な間隔を有する凹凸構造体を得る方法として、特開2009−139796号公報(特許文献4)の方法が提案されている。特許文献4では、シリカ粒子及びアクリル樹脂の混合物を塗布及び硬化させた後にプラズマエッチングを行うことで、均一な間隔を有する微細凹凸構造体が作製されている。しかしながら、この方法ではコストの高いプラズマエッチングを用いる必要があり、量産には適さないという課題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣接する凸部同士の間に均一な間隔を有し、アスペクト比が大きく、かつ、反射防止膜等の用途に対して実用的な強度を有する微細凹凸構造体を、簡便な方法で作製可能な凹凸構造体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の凹凸構造体の製造方法が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、凹凸構造体を、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を用いて製造する製造方法であって、該塗工液組成物の粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で10/90〜50/50の範囲であり、かつ、以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とする凹凸構造体の製造方法。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の凹凸構造体の製造方法では、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を用いる。本発明において、該塗工液組成物が粒子を含まない場合、凹凸構造が形成されず、平滑な膜となるものである。また、該塗工液組成物が硬化性樹脂を含まない場合、硬化処理による膜の硬化を行うことができず、耐擦傷性に乏しい膜となるものである。
本発明において、凹凸構造の高さや間隔のばらつきを抑制するのにより好適であるため、粒子の粒径分布の指標である分散度が20%未満であることが好ましく、10%未満がさらに好ましく、5%未満が特に好ましい。ここで、平均粒径及び粒子の分散度は粒子の電子顕微鏡写真から100点以上の粒子の粒径を計測し、平均値、及び標準偏差を算出することで算出できるものである。このとき、粒子の分散度=(粒径の標準偏差/粒径の平均値)×100である。
前記粒子の種類としては特に限定はないが、シリカ粒子、アルミナ被覆シリカ粒子、酸化スズ粒子等の無機粒子;ポリスチレン粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子、アクリル系樹脂粒子等の有機粒子等が挙げられ、有機粒子に関しては架橋したものであっても非架橋であっても良い。性能向上のための表面への官能基導入が可能であることから無機粒子が好ましく、入手容易性、硬度、表面への官能基導入が容易である点でシリカ粒子がさらに好ましい。
前記粒子として無機粒子を用いる場合には、粒子の分散性に優れ、塗膜内での粒子配列の乱れが少ないことから、粒子表面が有機官能基をもつシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。また、耐摩耗性や耐擦傷性、耐クラック性等の機械的強度に優れるものとなることから、粒子表面が電子線又は紫外線により重合可能な官能基を含む有機基で修飾されており、有機基シリカ粒子と共有結合で繋がっているものであることがさらに好ましく、粒子表面がメタクリル基又はアクリル基から選ばれる1つ以上の官能基を含む有機基で修飾されていることが特に好ましい。
前記のメタクリル基又はアクリル基から選ばれる1つ以上の官能基を含む有機基としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等のシランカップリング剤;2−ヒドロキシエチルアクリレートとアミノエチルトリメトキシシランの縮合物;これら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基、水酸基、及び/又はアルキル基に置換された化合物等が挙げられる。
本発明に用いる硬化性樹脂としては特に限定はないが、熱可塑性樹脂、電子線又は紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。なかでも、粒子の分散性に優れ、短時間で生産可能で、形成する塗膜が耐擦傷性や耐摩耗性に優れるものとなることから、電子線又は紫外線硬化性樹脂が好ましい。
前記の電子線又は紫外線硬化性樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。単独で用いても、複数の種類の樹脂を組み合わせた混合物を用いても良い。必要に応じて、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート等の単官能アクリレートを混合しても良い。特に、粒子としてシリカ粒子を用いる場合には、シリカ粒子の分散性に優れ、塗膜における粒子配列の乱れが少なく、規則的で粒子間隔の揃ったものになりやすいことから、樹脂がエチレングリコール部位若しくはプロピレングリコール部位を有するアクリレート、又はエチレングリコール部位若しくはプロピレングリコール部位を有するメタクリレート等のエチレングリコール基(―OCH2CH2―)やプロピレングリコール基(―OCH2CH(CH3)―)等のシリカ粒子と親和性を有する官能基を有している樹脂であることが好ましく、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレートが特に好ましい。
前記硬化性樹脂としては、塗工液組成物を基材へ塗布する際の硬化性樹脂の揮発を抑えて粒子の凝集を防止し、凸部同士の間に間隔が設けられた凹凸構造体を得るのにより好適であるため、沸点が150℃以上のものが好ましく、沸点150℃以上400℃以下であるものがさらに好ましく、沸点150℃以上200℃以下であるものが特に好ましい。なお、沸点が高すぎる場合には、加熱による硬化性樹脂の一部除去に際し、高温又は長時間の加熱が必要となる場合がある。
本発明で用いる塗工液組成物における粒子と硬化性樹脂の組成比としては、体積比で、粒子/硬化性樹脂=10/90〜50/50の範囲である。粒子と硬化性樹脂の比率が前記の範囲内にあることで、硬化性樹脂中に粒子が均一に配列した塗膜が得られ、その後の加熱による硬化性樹脂の一部除去により、凸部同士の間に均一な間隔を有する凹凸構造が形成される。硬化性樹脂が少なすぎる場合には、組成物の塗布時に粒子が凝集してしまい、凸部同士の間に間隔を有する凹凸構造体が得られない。また、硬化性樹脂が多すぎる場合には、加熱前の塗膜において硬化性樹脂中に粒子が均一に配列せず、加熱後に得られる凹凸構造の凸部同士の間隔は不均一となる。
本発明において、粒子/硬化性樹脂=25/75〜45/55であることが好ましい。
本発明の塗工液組成物に含まれる硬化性樹脂は、必要に応じてその一部を光開始剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤で置換しても良い。この場合、これらの添加剤を硬化性樹脂の一部として考え、塗工液組成物における粒子と硬化性樹脂の組成比が前記範囲内にあればよい。
前記の光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物;ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等の分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。市販品としては、IRUGACURE184、IRUGACURE651、IRUGACURE500、IRUGACURE907、DAROCUR1116、DAROCUR1173(BASF社製)等を挙げることができる。また、硬化を促進するためにメチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の三級アミン等を併用しても良い。
前記の光開始剤量には限定は無いが、最適な硬化性を得るためには塗工液組成物中の固形分100重量部中0.1〜10重量部であることが好ましい。
本発明の塗工液組成物は、必要に応じて膜厚の調整等のために、粒子が分散可能かつ硬化性樹脂及び硬化性樹脂に含まれる各成分が溶解可能な有機溶剤を希釈剤として加えても良い。前記希釈剤としては揮発性に優れるものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等を挙げることができる。
本発明において、前記塗工液組成物を用いた凹凸構造体の製造方法の概要は、図1の模式図で示されるものとなる。
本発明は、以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とするものである。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。
本発明の製造方法における(1)工程では、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を基材に塗布する。前記組成物の基材への塗布に際して、塗布時の粒子同士の凝集を防止し、凸部同士の間に均一な間隔を有する凹凸構造体を得るのにより好適であることから、加熱による硬化性樹脂の一部除去前の塗膜(以後、「加熱前塗膜」という)における凹凸平均高さ/平均粒径の比が0.5未満となる条件で組成物を塗布することが好ましい。ここで、加熱前塗膜における凹凸平均高さとは、塗工液組成物を基材に塗布した後に、希釈剤のみが全て揮発した際に得られるウェット塗膜における凹凸平均高さを示し、ウェット塗膜を加熱せず、硬化性樹脂の一部除去を行わずに紫外線照射等により膜を硬化させることで得られる凹凸構造体の凹凸高さを測定することによって算出することができる。
加熱前塗膜における凹凸平均高さ/平均粒径の比が0.5未満となる塗膜を得る為には、加熱前塗膜における粒子と硬化性樹脂の組成比が、塗工液組成物における組成範囲と同様の範囲、すなわち、体積比で粒子/硬化性樹脂=10/90〜50/50の範囲となる条件で塗布すればよい。塗布時の温度が高すぎる場合には塗布過程で硬化性樹脂の揮発が生じやすくなる傾向があり、塗布後の塗膜における粒子と硬化性樹脂の組成比を前記範囲に維持するのが困難になる場合がある。塗布時の好ましい温度は用いる硬化性樹脂の種類によって変化するが、例えば、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(平均分子量Mw=428)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(平均分子量Mw=571)、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート(平均分子量Mw=470)等を用いる場合、50℃以下の温度で基材へ塗布することが好ましい。
本発明の製造方法における(1)工程ではまた、加熱前塗膜の膜厚が塗工液組成物に含まれる粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下である。本発明において、加熱前塗膜の膜厚が平均粒径の1.7倍未満では、加熱前塗膜において粒子が膜厚方向へ多層に配列せず(凹凸構造体の結晶構成上、膜厚が粒径の1.7倍未満の場合、多層構造とならない)、加熱による硬化性樹脂の一部除去の際に粒子同士が密集してしまい、凸部同士の間に間隔を有する凹凸構造体が得られない。また、加熱前塗膜の膜厚が薄い場合には加熱による硬化性樹脂除去の際に粒子配列が乱れやすく、凸部同士の間隔にばらつきを生じる原因となる。なお、本発明において、膜厚が平均粒径の100倍を超える場合、膜の加熱及び硬化工程に長時間をかける必要が生じ、量産性を低下させる原因となる。また、得られる膜の透明性を低下させる原因ともなる。
本発明において、加熱前塗膜の膜厚が塗工液組成物に含まれる粒子の平均粒径の10倍以上100倍以下であることが好ましく、20倍以上100倍以下であることがさらに好ましい。
塗工液組成物の基材への塗工方法は如何なる方法であっても良いが、例えば、バーコート、スピンコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、スロットダイコート、ディップコート等を挙げることができる。
塗工液組成物の基材への塗布に際して、基材としては特に制限がなく、例えば、樹脂、ガラス、セラミックス等が挙げられ、形状的にはフィルム、シート、板の他、曲面を有する形状の構造物等如何なる形状の基材であっても用いることができる。
樹脂の基材としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
前記の基材の表面には耐擦傷性や密着性等を高めるため、ハードコート層やアンカーコート層等のコート層を形成してあっても良く、密着性や塗工性等を高めるためUVオゾン洗浄、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を施してあっても良い。
本発明の製造方法における(2)工程では、加熱により硬化性樹脂の一部を除去し、(1)工程で得られる塗膜を濃縮する。そして、(2)工程では、塗膜内の粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲まで硬化性樹脂を除去することで、塗膜表面に凸部が形成される。本発明において、該(2)工程がない場合、凹凸構造が形成されず、平滑な膜となるものである。
加熱方法としては如何なる方法も利用可能であるが、例えば、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、UV乾燥等を挙げることができる。
硬化性樹脂の除去は蒸発による除去、熱分解による除去どちらも利用可能である。この時、加熱時間によって硬化性樹脂の除去量を制御することができ、また、硬化性樹脂の除去量に応じて任意の凹凸高さを得ることができる。
加熱温度に特に制限はないが、塗工液組成物の基材への塗布時の温度と加熱の温度に100℃以上の差があることが好ましい。塗布時の温度が高い場合には硬化性樹脂が塗布時に揮発しやすくなる傾向があり、粒子の凝集を防止しにくくなる傾向がある。また、加熱の温度が低い場合には長時間の加熱が必要となり、生産性の向上が図りにくくなる。従って、低温で塗工液組成物の基材への塗布を行い、短時間で所望の凹凸高さを得ることが可能な高温で加熱を行うことが好ましい。塗布時及び加熱時の好ましい温度は用いる硬化性樹脂の種類によって変化するが、例えば、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(平均分子量Mw=428)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(平均分子量Mw=571)、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート(平均分子量Mw=470)等を用いる場合、50℃以下の温度で基材への塗布を行い、150℃以上の温度で加熱を行うことが好ましい。
本発明の製造方法における(3)工程では、加熱により濃縮した塗膜((2)工程で得られる塗膜)を硬化する。本発明において、該(3)工程がない場合、耐擦傷性に乏しい膜となるものである。塗膜の硬化方法としては如何なる方法であってもよいが、例えば、電子線又は紫外線照射による光硬化を挙げることができる。硬化時間に特に制限はないが、10秒〜20分程度が好ましい。
本発明において形成可能な凹凸構造体の凹凸の平均高さの最大値は用いる粒子の粒径により変化し、例えば、50〜500nmが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、粒子同士が基材と平行な面方向に密着せず、凸部の平均頂点間距離/平均粒径の比を1.05以上とすることができる。なお、凸部の平均頂点間距離/平均粒径の比が1.0であることは、粒子(凸部の頂点)の間隔と粒子の粒径とが同じ大きさであることを示し、凸部同士の間に間隔が設けられていないことを示すものである。
本発明の製造方法によれば、凹凸の平均高さ/平均粒径の比(アスペクト比)を0.5以上とすることができる。
また、本発明の製造方法によれば、得られる凹凸構造体の凸部同士の間隔は均一であり、凸部の頂点間距離の標準偏差を凸部の平均頂点間距離の18%以下(凸部頂点間距離の標準偏差/凸部平均頂点間距離の比0.18以下)とすることができる。
また、本発明の製造方法では、反射防止膜等の用途に対して実用的な強度を有する凹凸構造体が得られるものであり、該凹凸構造体は優れた耐擦傷性を有するものである。
本発明の凹凸構造体は、光の透過性能に優れた凹凸構造体とするのに好適であるため、全光線透過率が92%以上であることが好ましく、93%以上であることがさらに好ましく、94%以上であることが特に好ましい。
本発明の凹凸構造体は、光散乱による視認性低下の抑制のため、ヘーズ値が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
本発明の凹凸構造体は、外光の映り込みによる視認性低下の抑制のため、可視光域の波長における最小の反射率(最小反射率)が1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。ここで、本発明において、「可視光域の波長」とは、波長380〜780nmであることをいう。
本発明によれば、凸部同士の間に均一な間隔を有し、反射防止膜等の用途に対して実用的な強度を有する微細な凹凸構造体を、簡便な方法で製造できる方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例における凹凸高さ、凹凸の平均頂点間距離、全光線透過率、ヘーズ値、反射率、耐擦傷性の測定は以下の方法により行った。
[凹凸高さ、凸部平均頂点間距離の測定]
凹凸の平均高さは走査プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製AFM5100)を用い、オリンパス社製カンチレバーOMCL−AC200TSを用いてダイナミックフォースモードで形状像を測定し、近接する凸部と凹部の高さの差を求めることで算出した。また、加熱前の凹凸の平均高さを算出する為、各実施例及び比較例において、塗工液組成物を基材に塗布した後に、加熱を行わずに紫外線照射により塗膜を硬化させた試料をそれぞれ作製し、同様に走査プローブ顕微鏡により凹凸高さを測定した。
[凹凸高さ、凸部平均頂点間距離の測定]
凹凸の平均高さは走査プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製AFM5100)を用い、オリンパス社製カンチレバーOMCL−AC200TSを用いてダイナミックフォースモードで形状像を測定し、近接する凸部と凹部の高さの差を求めることで算出した。また、加熱前の凹凸の平均高さを算出する為、各実施例及び比較例において、塗工液組成物を基材に塗布した後に、加熱を行わずに紫外線照射により塗膜を硬化させた試料をそれぞれ作製し、同様に走査プローブ顕微鏡により凹凸高さを測定した。
凸部の平均頂点間距離は走査プローブ顕微鏡で観察した形状像において、基材の面内方向に水平な方向に近接する凸部の頂点間距離の平均とした。
[全光線透過率、ヘーズ値の測定]
全光線透過率、ヘーズ値の測定は日本電色工業製NDH−5000を用いてJIS−K−7136に従い、基材となるガラス基板を含めて測定した。なお、用いたガラス基板のヘーズ値は0.4%であった。
[反射率の測定]
反射率は分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製U−4100)及び角度可変絶対反射付属装置を用い、入射角10°、波長380〜780nmにおける反射率を5nm間隔で測定した。反射率測定にあたっては裏面反射の影響を除くために、試料の裏面をマジックで黒く塗りつぶし、さらに裏面に黒色テープを貼り測定した。
[耐擦傷性の測定]
耐擦傷性はスチールウール試験により測定した。スチールウール試験は面積4cm2の領域に荷重500gをかけ、4cm/秒の速度で行い、試料上を10往復させた。
[全光線透過率、ヘーズ値の測定]
全光線透過率、ヘーズ値の測定は日本電色工業製NDH−5000を用いてJIS−K−7136に従い、基材となるガラス基板を含めて測定した。なお、用いたガラス基板のヘーズ値は0.4%であった。
[反射率の測定]
反射率は分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製U−4100)及び角度可変絶対反射付属装置を用い、入射角10°、波長380〜780nmにおける反射率を5nm間隔で測定した。反射率測定にあたっては裏面反射の影響を除くために、試料の裏面をマジックで黒く塗りつぶし、さらに裏面に黒色テープを貼り測定した。
[耐擦傷性の測定]
耐擦傷性はスチールウール試験により測定した。スチールウール試験は面積4cm2の領域に荷重500gをかけ、4cm/秒の速度で行い、試料上を10往復させた。
耐擦傷性は次のように評価した。
〇:スチールウール試験による傷が10本未満。
△:スチールウール試験による傷が10本以上。
×:手で触れるだけで膜が破壊。
[実施例1]
平均粒径280nmの粉末状シリカ粒子(株式会社日本触媒製KE−P30)40部にトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製TMPEOTA)60部を加え、光開始剤として2−ヒドロキシ−2―メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製DAROCUR1173)3部を加えて塗工液組成物を調製した。
〇:スチールウール試験による傷が10本未満。
△:スチールウール試験による傷が10本以上。
×:手で触れるだけで膜が破壊。
[実施例1]
平均粒径280nmの粉末状シリカ粒子(株式会社日本触媒製KE−P30)40部にトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製TMPEOTA)60部を加え、光開始剤として2−ヒドロキシ−2―メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製DAROCUR1173)3部を加えて塗工液組成物を調製した。
40×50mm角のガラス基板上に上記の塗工液組成物を滴下し、600rpmで120秒間スピンコートし、160℃で20分間熱風乾燥後、ガラス製密閉容器に移し、容器内を窒素置換後、高圧水銀灯を用い6mW/cm2の照射強度となる条件で20分間紫外線照射を行うことでガラス基板上に形成された凹凸構造体を得た。
凹凸の平均高さは240nm、凹凸の平均頂点間距離は400nmであった。得られた凹凸構造体の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を図2に示すが、粒子が互いに凝集することなく、間隔を空けて凹凸が配列している様子が確認された。
また、得られた結果を表1に示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例2]
実施例1における塗工液組成物を用いる代わりに、以下の方法で調製した塗工液組成物を使用した。
[実施例2]
実施例1における塗工液組成物を用いる代わりに、以下の方法で調製した塗工液組成物を使用した。
冷却管、スターラーを備えたフラスコに平均粒径180nm、固形分濃度40wt%のコロイダルシリカ粒子水分散液(日産化学工業社製MP−2040)100部、エタノール150部、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)4部、及び28wt%アンモニア水0.2gを撹拌しながら加え、60℃で3時間反応させ室温まで冷却することで表面がメタアクリレート基で修飾されたシリカ粒子を得た。その後、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製TMPEOTA)56部、メタノール150部を加えた。エバポレータにより溶媒を留去し、メタノール500部を加え再度溶媒を留去する操作を3回繰り返した。留去操作後、サンプル重量に変化がなくなるまでエバポレータで濃縮し、光開始剤として2−ヒドロキシ−2―メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製DAROCUR1173)2.8部を加えた溶液組成物を調製した。この溶液組成物100部に希釈剤としてメタノール150部を加え、組成物濃度(全溶液量に対するシリカ粒子及びアクリル樹脂、開始剤、シランカップリング剤の量)40wt%の塗工液組成物を調製した。
得られた塗工液組成物について、200℃で10分間熱風乾燥を行った以外は実施例1と同様の方法を行うことで凹凸構造体を得た。
得られた凹凸構造体の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を図3及び図4に示すが、粒子が互いに凝集することなく、間隔を空けて凹凸が配列している様子が確認された。
また、得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例3]
実施例2において、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートを用いる代わりに、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(ダイセルオルネクス社製EBECRYL40)を用いた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例3]
実施例2において、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートを用いる代わりに、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(ダイセルオルネクス社製EBECRYL40)を用いた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例4]
実施例2において、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートを用いる代わりに、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製EBECRYL135)を用いた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例4]
実施例2において、硬化性樹脂としてトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートを用いる代わりに、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート(ダイセルオルネクス社製EBECRYL135)を用いた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例5]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート18部及び光開始剤0.85部を加えた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例5]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート18部及び光開始剤0.85部を加えた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例6]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート88部及び光開始剤4.4部を加えた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例6]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート88部及び光開始剤4.4部を加えた塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例7]
実施例2において、塗工液組成物100部に対してメタノール150部を加える代わりに、メタノール1150部を加え、組成物濃度8wt%に調製した塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例7]
実施例2において、塗工液組成物100部に対してメタノール150部を加える代わりに、メタノール1150部を加え、組成物濃度8wt%に調製した塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[実施例8]
実施例2において、塗工液組成物100部に対してメタノール150部を加える代わりに、メタノール10部を加え、組成物濃度90wt%に調製した塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
[実施例8]
実施例2において、塗工液組成物100部に対してメタノール150部を加える代わりに、メタノール10部を加え、組成物濃度90wt%に調製した塗工液組成物を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表1に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられ、均一性に優れ、耐擦傷性に優れるものであることが確認された。
[比較例1]
実施例2において、硬化性樹脂の一部除去の為の熱風乾燥を行わずに紫外線照射により膜を硬化させた。
[比較例1]
実施例2において、硬化性樹脂の一部除去の為の熱風乾燥を行わずに紫外線照射により膜を硬化させた。
得られた膜の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を図5に示す。
また、得られた結果を表2に示す。
得られた膜には凹凸がほとんど存在せず、凹凸の平均高さ/平均粒径の比が0.27であり、凹凸の平均高さ/平均粒径の比が小さいものであった。
[比較例2]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート2部及び光開始剤0.1部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
[比較例2]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート2部及び光開始剤0.1部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凸部同士の間に間隔が設けられていないものであり、かつ、凹凸間隔のばらつきが大きく、均一性に劣るものであった。また、耐擦傷性に問題があるものであった。
[比較例3]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート360部及び光開始剤18部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
[比較例3]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部及び光開始剤28部を加える代わりに、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート360部及び光開始剤18部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、凹凸間隔のばらつきが大きく、均一性に劣るものであった。
[比較例4]
実施例2において、塗工液組成物100部にメタノール150部を加える代わりに、メタノール1900部を加え、組成物濃度5wt%の塗工液組成物を使用することで、熱風乾燥前の膜厚が平均粒径の1.7倍未満の膜を調製して凹凸構造体を得た。
[比較例4]
実施例2において、塗工液組成物100部にメタノール150部を加える代わりに、メタノール1900部を加え、組成物濃度5wt%の塗工液組成物を使用することで、熱風乾燥前の膜厚が平均粒径の1.7倍未満の膜を調製して凹凸構造体を得た。
得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、粒子同士が密集し、凸部同士の間に間隔が設けられていないものであり、かつ、均一性に劣るものであった。
[比較例5]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部を加える代わりに、ポリメチルメタクリレート56部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
[比較例5]
実施例2において、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート56部を加える代わりに、ポリメチルメタクリレート56部を加えた塗工液を使用し、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は、加熱によって凹凸が形成されず、凹凸の平均高さ/平均粒径の比が0.27であり、凹凸の平均高さ/平均粒径の比が小さいものであった。また、均一性に劣るものであった。
[比較例6]
実施例2において、紫外線照射による膜の硬化処理を施さず、凹凸構造体を得た。
[比較例6]
実施例2において、紫外線照射による膜の硬化処理を施さず、凹凸構造体を得た。
得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は耐擦傷性に問題があるものであった。
[比較例7]
先行技術(J. Moghal et al, “High−Performance, Single−Layer Antireflective Optical Coatings Comprising Mesoporous Silica Nanoparticles”, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2012, 4(2), p.854−859)を参考に、以下の手順で粒子を電荷によって基板上に配列させた凹凸構造体を作製した。
[比較例7]
先行技術(J. Moghal et al, “High−Performance, Single−Layer Antireflective Optical Coatings Comprising Mesoporous Silica Nanoparticles”, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2012, 4(2), p.854−859)を参考に、以下の手順で粒子を電荷によって基板上に配列させた凹凸構造体を作製した。
ガラス基板をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの5wt%水溶液に1時間浸漬し、純水により基板を繰り返し洗浄し、乾燥させた。次に、この基板を固形分濃度40wt%のコロイダルシリカ粒子水分散液(日産化学工業社製MP−2040)に1時間浸漬し、純水により基板を繰り返し洗浄し、乾燥させ、凹凸構造体を得た。
得られた凹凸構造体の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を図6に示す。
また、得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は凸部同士の間に間隔を有するものの、その間隔は不均一であり、均一性に劣るものであった。また、耐擦傷性に問題があるものであった。
[比較例8]
先行技術(p. Jiang et al., “Single−Crystal Colloidal Multilayers of Controlled Thickness”, Chem. Mater. 1999, 11, p.2132−2140)を参考に、以下の手順で粒子を基板上に密に配列させた凹凸構造体を作製した。
[比較例8]
先行技術(p. Jiang et al., “Single−Crystal Colloidal Multilayers of Controlled Thickness”, Chem. Mater. 1999, 11, p.2132−2140)を参考に、以下の手順で粒子を基板上に密に配列させた凹凸構造体を作製した。
固形分濃度40wt%のコロイダルシリカ粒子水分散液(日産化学工業社製MP−2040)10部にメタノール90部を加え、固形分濃度4%の溶液を調製した。親水化処理を施したガラス基板上にこの溶液を1400rpmで20秒間スピンコートし、凹凸構造体を得た。
得られた凹凸構造体の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を図7に示す。
また、得られた結果を表2に合わせて示す。
得られた凹凸構造体は凹凸の配列は均一であるが、凸部同士の間に間隔が設けられていないものであった。また、耐擦傷性に問題があるものであった。
本発明によれば、凸部同士の間に均一な間隔が設けられている微細な凹凸を簡便な方法で作製可能な凹凸構造体の作製方法を提供することができる。
1 粒子
2 未硬化の硬化性樹脂
3 基材
4 硬化した硬化性樹脂
2 未硬化の硬化性樹脂
3 基材
4 硬化した硬化性樹脂
Claims (5)
- 凹凸構造体を、粒子と硬化性樹脂とを含む塗工液組成物を用いて製造する製造方法であって、該塗工液組成物の粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で10/90〜50/50の範囲であり、かつ、以下の(1)〜(3)工程を経ることを特徴とする凹凸構造体の製造方法。
(1)前記粒子の平均粒径の1.7倍以上100倍以下の膜厚で前記塗工液組成物を基材上に塗布する工程。
(2)粒子/硬化性樹脂の組成比が体積比で30/70〜70/30の範囲となるまで硬化性樹脂を加熱除去し、前記塗布して得られる塗膜を濃縮する工程。
(3)硬化処理により前記濃縮して得られる膜を硬化させる工程。 - 硬化性樹脂として200℃以下の加熱によって蒸発可能な硬化性樹脂を用い、150〜200℃の温度で硬化性樹脂を加熱除去することを特徴とする請求項1に記載の凹凸構造体の製造方法。
- 粒子としてシリカ粒子、硬化性樹脂としてエチレングリコール部位若しくはプロピレングリコール部位を有するアクリレート、又はエチレングリコール部位若しくはプロピレングリコール部位を有するメタクリレートをそれぞれ用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の凹凸構造体の製造方法。
- シリカ粒子がさらにシランカップリング剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の凹凸構造体の製造方法。
- 凹凸構造体の凹凸の平均高さが50〜500nmであり、凹凸の平均高さ/平均粒径の比が0.5以上であり、凸部の平均頂点間距離/平均粒径の比が1.05以上であり、凸部の頂点間距離の標準偏差が凸部の平均頂点間距離の18%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の凹凸構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015095975A JP2016209816A (ja) | 2015-05-08 | 2015-05-08 | 凹凸構造体の製造方法 |
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ID=57550347
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JP (1) | JP2016209816A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019030852A (ja) * | 2017-08-09 | 2019-02-28 | アイシン精機株式会社 | 凹凸膜の製造方法及び凹凸膜 |
-
2015
- 2015-05-08 JP JP2015095975A patent/JP2016209816A/ja active Pending
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