以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、方法の一実施の形態について説明する。
[情報配信システムの構成例]
図1は、この実施の形態の情報配信システムの構成例を説明するための図である。図1に示すように、この実施形態の情報配信システムは、通信ネットワーク2を介して、情報配信サーバ装置1と、移動通信端末3(1)、3(2)、…と、情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…とが接続されて構成される。この例において、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、携帯電話網の基地局21(1)、21(2)、…及び携帯電話網を通じて、通信ネットワーク2に接続される例を示している。
通信ネットワーク2は、主にインターネットであるが、情報配信サーバ装置1、移動通信端末3(1)、3(2)、…、情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…のそれぞれからインターネットまでをつなぐ電話網、携帯電話網、無線LAN(Local Area Network)などをも含む。このように、通信ネットワーク2は、種々の機器がインターネットに接続可能な環境であるIoT(Internet of Things)プラットホームを実現している。
情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3(1)、3(2)、…に対して配信すべき1以上の配信情報と、1以上の配信情報のそれぞれを配信すべき予め設定された配信エリアとを管理する。情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3(1)、3(2)、…から提供される位置情報に基づいて、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれの現在位置を把握する。そして、情報配信サーバ装置1は、管理している配信エリアに位置する移動通信端末3(1)、3(2)、…に対して、当該配信エリアにおいて配信すべき配信情報を配信(提供)する。
移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末、タブレットPC(Personal Computer)、車載装置等、使用者と共に移動しながら当該使用者によって使用される種々の機器である。移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、所定のタイミングごとに、自機の現在位置を取得して情報配信サーバ装置1に送信する。上述したように、配信エリアに至った移動通信端末3(1)、3(2)、…に対しては、情報配信サーバ装置1から配信情報が配信されるので、移動通信端末3(1)、3(2)、…は、配信された配信情報を出力して使用者に提供する。
情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…は、情報配信サーバ装置1が移動通信端末3(1)、3(2)、…に配信する配信情報を、情報配信サーバ装置1に提供するものである。例えば、情報提供サーバ装置4(1)は、道路工事の実施状況、渋滞の発生状況、交通事故の発生状況などの交通に関する種々の情報を収集し、これらの交通に関する情報を情報配信サーバ装置1に提供する。また、情報提供サーバ装置4(2)は、店舗や施設のPR(public relations)情報やイベントの開催情報などを収集して、情報配信サーバ装置1に提供する。
情報配信サーバ装置1は、情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…から、移動通信端末3(1)、3(2)、…に配信すべき配信情報を取得する。情報配信サーバ装置1は、取得した配信情報ごとに、これを配信すべき配信エリアを設定し、配信情報と配信エリアとを関連付けて管理する。例えば、道路工事、交通渋滞、交通事故等の交通に関する情報は、その事象が発生している場所の周辺において重要な情報である。このため、情報配信サーバ装置1は、当該事象が発生している場所の周辺を配信エリアとして特定するようにしている。
情報配信サーバ装置1は、上述したように、通信ネットワーク2を通じて移動通信端末3(1)、3(2)、…に配信情報を配信するが、通信状態の如何によっては、スムーズな情報提供が行えない場合があると考えられる。そこで、この実施の形態の情報配信システムにおいては、情報配信サーバ装置1が、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれの移動速度と移動方向とを把握し、所定時間内に到達する可能性がある配信エリアを予測する。
そして、移動通信端末3(1)、3(2)、…が所定時間内に到達する可能性がある配信エリアがあることが予測できたとする。この場合には、その配信エリアにおいて当該移動通信端末3(1)、3(2)、…が配信を受けて再生すべき配信情報の再生スケジュール情報を作成し、これを事前に当該移動通信端末3(1)、3(2)、…に配信しておく。予め配信される再生スケジュール情報は、少なくとも再生時刻(再生予定時刻)と配信情報とを含むものである。
これにより、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれが配信エリアに到達し、その配信エリアで使用者に提供すべき配信情報の配信が受けられなかった場合でも、再生スケジュール情報により、当該配信情報を再生して使用者に提供できるようにしている。すなわち、この実施の形態の情報配信システムは、配信エリアにおいて、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれの使用者に対して、配信情報を適切に提供できる機能を担保している。
以下においては、この実施形態の情報配信システムを構成する主要な構成装置である情報配信サーバ装置1と、移動通信端末3(1)、3(2)、…とについて説明する。なお、移動通信端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、基本的に同様の構成を有するものである。このため、以下においては、特に区別して示す必要のある場合を除き、移動通信端末3(1)、3(2)、…を総称して、移動通信端末3と記載する。
また、情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…は、必須の構成要素ではなく、情報配信サーバ装置1に対して、管理者が配信情報と配信エリアとを関連付けて登録するようにすることも可能である。このため、以下においては、情報提供サーバ装置4(1)、4(2)、…の詳細な構成についての説明は省略する。
[情報配信サーバ装置1の構成例]
図2は、情報配信サーバ装置1の構成例を説明するための図である。通信I/F101は、通信ネットワーク2を通じて情報の送受信を可能にする通信機能を実現する。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサである。制御部102は、情報配信サーバ装置1の各部を制御する。
記憶部(記憶装置)103は、例えばハードディスクなどの大容量記録媒体とそのドライバとからなり、大容量記録媒体への情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行う。記憶部103は、制御部102において実行させる種々のプログラム(ソフトウェア)や処理に必要になる種々のデータを記憶保持する他、処理の途中結果を一時記憶するなど、種々の処理において作業領域としても用いられる。
さらに、情報配信サーバ装置1は、地図情報DB104、配信エリアDB105を備える。地図情報DB104や配信エリアDB105における文字「DB」は、データベース(Data Base)の略称である。また、情報配信サーバ装置1は、端末別時刻位置格納部106、即時配信情報格納部109、再生スケジュール格納部111を備える。これらのデータベースや格納部のそれぞれもまた、例えばハードディスクなどの大容量記録媒体とそのドライバとからなる記憶装置である。そして、大容量記録媒体への情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行うことができるようになっている。
地図情報DB104は、市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データを記憶する。市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データは、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データなどを含む。そして、地図情報DB104の地図データは、移動経路や現在位置などを移動通信端末3の使用者に示すために使用されたり、また、配信エリアを特定するために使用されたりする。
配信エリアDB105は、配信情報と配信エリアとを対応付けて記憶する。配信エリアDB105の格納データの詳細について説明するに先立って、配信エリアの具体例について説明する。図3は、配信情報を配信する配信エリアについて説明するための図である。図3(A)は、配信エリアを面積範囲として設定する場合について説明するためのものであり、図3(B)は、配信エリアを距離範囲として設定する場合について説明するためのものである。
図3(A)においては、図の中央付近の道路上に工事現場CSが存在している。工事現場CSがある道路では、例えば、一車線の片側通行や通行止めになるなどの交通規制が行われ、特に自動車での通行がし難くなることが予想されるとする。そこで、図3(A)においては、工事現場CSを中心として、半径の異なる3つの円Rd1、Rd2、Rd3の内側のエリアのそれぞれを配信エリアAr1、Ar2、Ar3として設定している。
この例では、円Rd1は、工事現場CSから半径1kmの円であり、円Rd2は、工事現場CSから半径500mの円であり、円Rd3は、工事現場CSから半径250mの円であるものとする。したがって、配信エリアAr1は、円Rd1と円Rd2との間のエリアであり、配信エリアAr2は、円Rd2と円Rd3との間のエリアであり、配信エリアAr3は、円Rd3の内側のエリアとなる。
これにより、配信エリアAr1、Ar2、Ar3のそれぞれにおいて配信情報を配信できるので、工事現場CSに近づく場合には、3回にわたって配信情報を配信できる。この場合、配信エリアAr1、AR2、Ar3のそれぞれで同じ配信情報を配信することができる。また、工事現場CSに近づくに従って、異なる配信情報を配信することもできるし、2つの配信エリアで同じ配信情報を配信し、他の1つで他の2つとは異なる配信情報を配信するといったこともできる。
なお、ここでは、工事現場CSを中心した円により配信エリアを設定するようにしたが、多角形により配信エリアを設定することもでき。すなわち、三角形、四角形、五角形、…など、目的とする場所を基準にして、その周囲の地物などに応じて、種々の形状の配信エリアを設定することができる。この場合には、周囲を特定する多点の位置情報を用いて、配信エリアの外縁を設定することができる。換言すれば、種々の形状の面積範囲を配信エリアとして設定することが可能である。
図3(B)においては、その中央部分に「○○高速道路」が示されており、当該高速道路の下り車線において渋滞が発生し、その最後尾が位置TJ付近にあることが把握されているとする。このため、渋滞の最後尾の位置TJを基準として、その3km手前の地点Pt1と、2km手前の地点Pt2と、1km手前の地点Pt3とのそれぞれを、配信エリアの開始点とする。
そして、図3(B)に示すように、地点Pt1から地点Pt2までの1kmのエリア(区間)を配信エリアSAr1とする。また、地点Pt2から地点Pt3までの1kmのエリアを配信エリアSAr2とする。そして、地点Pt3から渋滞最後尾の位置TJまでの約1kmのエリアを配信エリアSAr3とする。このように、図3(B)に示した例の場合には、渋滞の最後尾の位置TJを基準にして、3km手前から1kmtずつの3つのエリアSAr1、SAr2、SAr3を設定している。
このように、距離に応じて配信エリアを設定した場合にも、各配信エリアにおいて、同じ配信情報を配信したり、配信エリアごとに異なる配信情報を配信したりできる。もちろん、2つの配信エリアで同じ配信情報を配信し、他の1つで他の2つとは異なる配信情報を配信するといったこともできる。
なお、図3(A)に示した例の場合には、工事現場CSを基準にして3つの配信エリアAr1、Ar2、Ar3を設定し、図3(B)に示した例の場合には、渋滞の最後尾の位置TJを基準にして3つの配信エリアSAr1、SAr2、SAr3を設定した。しかし、これに限るものではない。配信エリアは1つでもよいし、配信する配信情報などに応じて、2つ以上の配信エリアを設定することが可能である。つまり、配信エリアは、4つ、5つと必要な数分設けることが可能である。
そして、図3を用いて説明したように設定される配信エリアに対して、各配信エリアで配信すべき配信情報を対応付けて記憶しているのが、配信エリアDB105である。図4は、配信エリアDB105の格納データの例を説明するための図である。図4では、図3(A)、(B)を用いて説明した円形の配信エリアと道路上の配信エリアなどについての格納データを示している。図4に示すように、配信エリアDB105の格納データは、「エリアID」と「属性」と「優先」とからなるヘッダ情報と、「種別」と「No.」と「特定情報」とからなる配信エリア情報と、配信情報とからなる。
「エリアID」は、ひとまとまりとなるエリアに対して付与される識別情報である。すなわち、「エリアID」は、図3(A)を用いて説明したように、工事現場CSを基準にして3つの配信エリアAr1、Ar2、Ar3が設定された場合において、これら3つの配信エリアに関する情報をひとまとまりの情報として扱う場合の識別情報となる。
「属性」は、対応する配信エリアが何のために設けられたエリアかを示すものである。例えば、交通情報を配信するために設けられた配信エリアの「属性」は「交通」であり、気象情報を配信するために設けられた配信エリアの「属性」は「気象」である。また、広告や宣伝のために設けられた配信エリアの「属性」は「PR」になる。この他にも種々の属性の設定が可能である。
「優先」は、「エリアID」によって特定される配信エリアに配信される配信情報の優先度を示すものであり、例えば、数字の1〜5によって示され、当該数字が大きいほど、優先度が高いことが示される。これにより、重複する配信エリアでは、優先度の高い配信情報を優先して配信することができるようにされる。図4に示すように、「属性」が「交通」である配信情報の優先度は「5」とされ、「属性」が「PR」である配信情報の優先度は「1」とされている。この場合、これらの配信情報が例えば同じ配信エリアで配信される場合には、属性が「交通」である配信情報が優先して配信される。
「種別」は、当該配信エリアがどのような形状の配信エリアかを示す。具体的に「種別」が「円形」であれば、当該配信エリアは、図3(A)を用いて説明したように、所定の位置を中心にした円によって配信エリアが特定される。また、種別が「道路」であれば、当該配信エリアは、図3(B)を用いて説明したように、所定の位置を基準した距離範囲によって配信エリアが特定される。この他にも、「多角形」の場合などもある。
「No.」は、同一位置を基準にして複数の配信エリアが設定された場合の各配信エリアを特定するエリア番号(エリアNo.)であり、エリアIDに対する枝番に相当する。図3(A)、(B)に示すように、例えば、3つの配信エリアが設定された場合には、「01」、「02」、「03」というように、各配信エリアに対応して番号が付与される。したがって、「エリアID」と「No.」とによって、設定された配信エリアが一意に特定できる。
「特定情報」は、配信エリアを具体的に特定するための情報である。例えば、「種別」が「円形」で、「特定情報」が「X1,Y1、1000m」であれば、位置(X1,Y1)を中心にした半径1000mの円の範囲が配信エリアということになる。また、「種別」が「道路」で、「特定情報」が「XA,YA、以北」であれば、当該道路上の位置(X1,Y1)から以北の範囲が配信エリアということになる。
但し、図3(A)を用いて説明したように、同心円状に複数の配信エリアが設定された場合には、重複する範囲は除かれる。つまり、図3(A)を用いて説明したように、図3(A)における配信エリアAr1は、円Rd1と円Rd2との間のドーナツ状のエリアである。また、図3(B)を用いて説明したように、同一道路上に連続して配信エリアが設定される場合においても、重複する範囲は除かれる。つまり、図3(B)における配信エリアSAr1は、位置Pt1から位置Pt2までのエリアである。
「配信情報」は、対応する配信エリアで配信すべき種々の情報である。なお、「配信情報」には、音声メッセージデータ、静止画像データ、動画像データ、テキストデータなど、種々のものを用いるようにすることが考えられる。しかし、以下においては、説明を簡単にするため、「配信情報」は音声メッセージデータであるものとして説明する。
そして、図4に示した例の場合には、「エリアID」が「0001」で特定される格納データは、図3(A)を用いて説明した配信エリアAr1、Ar2、Ar3に対応して設けられたものである。また、図4に示した例の場合には、「エリアID」が「0002」で特定される格納データは、図3(B)を用いて説明した配信エリアSAr1、SAr2、SAr3に対応して設けられたものである。
また、図4に示すように、例えば、「エリアID」が「0092」で特定されるデータとして、「属性」が「PR」で、「優先」が「1」で、(X2,Y2)を中心とする半径500mの円の内側を配信エリアとするデータも格納されている。当該配信エリアでは、美術館の展覧会の開催をPRするためのメッセージが「配信情報」とされている。
このように、配信エリアDB105には、種々の配信エリアについての情報が格納されている。そして、配信エリアDB105の格納データにより、何処にどのような配信エリアが設定されているのかを特定でき、その設定されている配信エリアでは、どのような配信情報を配信するのかが管理されている。また、その配信情報の属性や優先度についても管理されている。
端末別時刻位置格納部106は、移動通信端末3から送信されて来る時刻位置情報を移動通信端末3ごとに記憶保持する。すなわち、移動通信端末3は、例えば、10秒ごと、20秒ごと、30秒ごとなどのように、所定のタイミングごとに時刻位置情報を情報配信サーバ装置1に送信してくる。情報配信サーバ装置1の制御部102は、これを通信I/F101を通じて受信して、端末別時刻位置格納部106に格納する。
図5は、移動通信端末3からの時刻位置情報の例を説明するための図である。図5に示すように、移動通信端末3からは、「送信先ID」、「送信元ID」、「位置情報取得時刻」、「位置情報(緯度、経度)」、「その他」の情報からなる時刻位置情報が送信されてくる。当該時刻位置情報は、上述もしたように、IoTプラットホームとしての通信ネットワーク2を通じて伝送される。このため、「送信先ID」は、送信元の移動通信端末3から見て相手先となる情報配信サーバ装置1のIPアドレスが用いられる。「送信元ID」は、当該時刻位置情報を送信する移動通信端末3のIPアドレスが用いられる。
「位置情報取得時刻」は、移動通信端末3において、自機の現在位置をGPS部を通じて取得した時点の時刻であり、「位置情報」はGPS部を通じて取得した自機の現在位置を示す緯度、経度である。そして、情報配信サーバ装置1においては、端末別時刻位置格納部106において、図5に示した時刻位置情報を移動通信端末3ごとであって位置情報取得時刻順に格納しておこくことにより、移動通信端末3ごとにその移動経路を把握できる。
また、隣り合う時刻位置情報の位置情報により移動方向と移動距離が把握できる。しかも、位置情報により移動している道路も特定できるので、地図情報も加味することにより、当該移動距離は当該道路上を移動した場合の距離として把握できる。また、隣り合う時刻位置情報の位置情報取得時刻により移動時間も把握できる。したがって、移動距離を移動時間で割り算することにより、移動速度も把握できる。
エリア到達予測部107は、上述した端末別時刻位置格納部106の時刻位置情報に基づいて、移動通信端末3の現在位置と移動方向と移動速度とを特定する。また、エリア到達予測部107は、地図情報DB104の地図情報を用い、配信エリアDBの格納データを利用して、地図上において各配信エリアの位置及び大きさを特定する。そして、エリア到達予測部107は、所定時間以内、例えば、5分間以内に到達する可能性のある配信エリアを予測する。また、エリア到達予測部107は、時刻位置情報の送信元である移動通信端末3は予め設定された配信エリアに到達しているか否かの判別も行う。到達する可能性のある配信エリアに予測よりも早く到達したり、到達する可能性あると予測した配信エリアと異なる配信エリアに到達したりする可能性もあるためである。
エリア到達予測部107において、所定時間以内に到達する可能性のある配信エリアの存在が予測できたとする。この場合、エリア到達予測部107は、予測結果を、制御部102を通じて再生スケジュール作成部110に通知する。予測結果には、時刻位置情報から取得する処理対象の移動通信端末3を特定する送信元IDと、当該到達する可能性のある配信エリアの「エリアID」と「No.」と「到達予定時刻」とを含む。
また、エリア到達予測部107は、当該移動通信端末3が配信エリアに到達していると判別した場合には、これを制御部102を通じて即時配信情報作成部108に通知する。この場合、エリア到達予測部107は、時刻位置情報が取得する処理対象の移動通信端末3を特定する「送信元ID」と、配信エリアDB105から取得する当該移動通信端末3が到達した配信エリアを特定する「エリアID」と「No.」とを即時配信情報作成部108に通知する。
即時配信情報作成部108は、制御部102を通じてエリア到達予測部107から提供される情報に基づいて、即時配信情報を作成する。図6は、即時配信情報の例を説明するための図である。図6に示すように、即時配信情報は、「送信先ID」、「送信元ID」、「エリアID」、「No.」、「優先」、「配信情報」からなる。
即時配信情報作成部108は、即時配信情報の重複確認を行う。具体的には、エリア到達予測部107からの「送信元ID」を「送信先ID」とし、エリア到達予測部107からの「エリアID」、「No.」を「エリアID」、「No.」とする即時配信情報が、既に即時配信情報格納部109に存在するか確認する。これらの情報が共通する即時配信情報は同一の即時配信情報となるため、既に同じ即時配信情報が即時配信情報格納部109に存在する場合には、即時配信情報作成部108は即時配信情報を生成しない。同じ移動通信端末3に対して、同じ配信エリアで、同じ即時配信情報の重複配信を防止するためである。
同じ即時配信情報が即時配信情報格納部109に存在しない場合には、即時配信情報作成部108は、即時配信情報を作成する。ここで、「送信先ID」には、エリア到達予測部107から通知された処理対象の移動通信端末3を特定する時刻位置情報の「送信元ID」が入力される。「送信元ID」には、当該即時配信情報を配信する情報配信サーバ装置1のIPアドレスが入力される。
また、「エリアID」と「No.」には、エリア到達予測部107から通知された「エリアID」と「No.」とが入力される。「優先」と「配信情報」とには、エリア到達予測部107から通知された「エリアID」と「No.」とに基づいて、配信エリアDB105の格納データを参照することにより得られる対応する格納データの「優先」と「配信情報」とが入力される。このようにして形成された即時配信情報が即時配信情報格納部109に格納される。
即時配信情報格納部109は、即時配信情報作成部108において作成された即時配信情報を記憶保持する。即時配信情報格納部109に格納され即時配信情報は、格納された直後に制御部102の制御の下、後述する配信処理部112が機能して、配信先の移動通信端末3に配信される。
再生スケジュール作成部110は、制御部102を通じてエリア到達予測部107から提供される情報に基づいて、再生スケジュール情報を作成する。図7は、再生スケジュール情報の例を説明するための図である。図7に示すように、再生スケジュール情報は、「送信先ID」、「送信元ID」、「エリアID」、「属性」、「優先」、「No.」、「再生時刻」、「配信情報」、「FLG」からなる。
再生スケジュール情報の「送信先ID」には、エリア到達予測部107から通知された処理対象の移動通信端末3を特定する時刻位置情報の「送信元ID」が入力される。「送信元ID」には、当該即時配信情報を配信する情報配信サーバ装置1のIPアドレスが入力される。また、「エリアID」と「No.」には、エリア到達予測部107から通知された「エリアID」と「No.」とが入力される。「属性」と「優先」と「配信情報」とには、エリア到達予測部107から通知された「エリアID」と「No.」とに基づいて、配信エリアDB105の格納データを参照することにより得られる対応する格納データの「属性」と「優先」と「配信情報」とが入力される。また、「再生時間」には、エリア到達予測部107から通知された「到達予定時刻」が入力される。
なお、「FLG」は、この再生スケジュール情報が配信された移動通信端末3において、再生の有無が更新されるフラグ情報であり、情報配信サーバ装置1において空白とされる。このようにして形成された再生スケジュール情報が、再生スケジュール格納部111に格納される。そして、図7に示した再生スケジュール情報は、図3(A)を用いて説明した配信エリアAr1、Ar2、Ar3に到達する可能性のある移動通信端末3に対する再生スケジュール情報である。
また、再生スケジュール作成部110は、「送信先ID」と「エリアID」とが同じ再生スケジュール情報が、再生スケジュール格納部111に既に存在する場合には、当該再生スケジュール情報を更新し、存在しない場合には、生成した再生スケジュール情報を追加記録する。ここで、再生スケジュール情報の更新は、主には「再生時刻」を新たな再生スケジュール情報の「再生時刻」に置き換える処理となる。
処理対象の移動通信端末3の移動速度が大きく変化するなど、移動通信端末3の移動状態が変わった場合には、到達が予想される配信エリアへの「到達予定時刻」が変わるためである。また、その他の場合、例えば、「配信情報」が変わっていれば、「配信情報」の更新も可能である。例えば、交通に関する情報の場合、道路工事の進みや遅れ、交通渋滞の状況の変化などにより、「配信情報」も変更される可能性があるためである。
再生スケジュール格納部111は、再生スケジュール作成部110において作成された再生スケジュール情報を記憶保持する。再生スケジュール格納部111に格納され再生スケジュール情報は、格納された直後に制御部102の制御の下、後述する配信処理部112が機能して、配信先の移動通信端末3に配信されることになる。
そして、配信処理部112は、制御部102の制御の下、即時配信情報格納部109に格納された即時配信情報を、通信I/F101を通じて通信ネットワーク2に送出し、目的とする移動通信端末3に配信(送信)する。また、配信処理部112は、制御部102の制御の下、再生スケジュール格納部111に格納された再生スケジュール情報を、通信I/F101を通じて通信ネットワーク2に送出し、目的とする移動通信端末3に配信(送信)する。
このように、情報配信サーバ装置1は、予め設定された配信エリアに移動通信端末3が到達した場合には、即時配信情報を当該移動通信端末3に配信して、移動通信端末3の使用者に提供できるようにする。しかし、通信状態によっては、即時配信情報が移動通信端末3に配信されないといった状況も起こり得る。このため、情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3が到達する可能性のある配信エリアを予測し、再生スケジュール情報を作成して事前に配信しておく。これにより、即時配信情報が配信されなかった場合でも、再生スケジュール情報により、再生時刻において、配信情報を再生して移動通信端末3の使用者に提供できるようにしている。
[移動通信端末3の構成例]
図8は、移動通信端末3の構成例を説明するためのブロック図である。移動通信端末3は、上述もしたように、スマートフォン、タブレットPC、車載用ナビゲーション装置など、使用者と共に移動しながら使用されるものである。ここでは、説明を簡単にするため、移動通信端末3は、配信情報を受信して再生する機能を備えたスマートフォンである場合を例にして説明する。なお、タブレットPCであっても、車載用ナビゲーション装置であっても、配信情報を受信して再生する機能を実現する部分の構成は同様のものとなる。
移動通信端末3は、図8に示すように、送受信アンテナ301A、無線通信部301、制御部302、記憶装置303、操作部304、時計回路305、GPS部306、GPSアンテナ306Aを備える。また、移動通信端末3は、タッチパネル307、音声出力部308、スピーカ309、時刻位置通知部311、再生スケジュールメモリ312、情報再生制御部313を備える。なお、この発明の実施に直接的に寄与しない通話機能部等の構成部分については省略している。
送受信アンテナ301A及び無線通信部301は、通信ネットワーク2を通じて情報の送受信を可能にする通信機能を実現する。制御部302は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて構成されたマイクロプロセッサであり、この実施形態の移動通信端末3の各部を制御する。記憶装置303は、比較的に記憶容量の大きな不揮発性メモリとそのドライバとを備え、当該不揮発性メモリに対して情報(データ)の書き込み、読み出し、変更、削除等を行う。当該記憶装置303の不揮発性メモリは、種々のアプリケーションプログラムや処理に必要になるデータ、また、使用者によって設定されたパラメータなどが記憶保持される。
操作部304は、電源のオン/オフキーやいくつかのファンクションキーなどのハードウェアキーから構成される部分である。時計回路305は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する。GPS部306及びGPSアンテナ306Aは、複数の人工衛星からの信号を受信して解析し、自機の現在位置を測位する機能を実現する。タッチパネル307は、LCDなどの表示部307Dとタッチセンサ307Sとから構成され、情報の表示機能と使用者からの操作入力の受け付け機能を実現する。
音声出力部308は、制御部302の制御の下、制御部302を通じて供給される音声データをスピーカ309に供給するアナログ音声信号に変換し、これをスピーカ309に供給する。スピーカ309は、音声出力部308からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これら音声出力部308及びスピーカ309の機能により、ガイダンスメッセージや警告メッセージなどの音声メッセージを放音したり、種々のアラーム音を放音したりするなどのことができるようにされる。
時刻位置通知部311は、例えば、10秒ごと、20秒ごと、30秒ごとといった所定のタイミングごとに、時計回路305から現在時刻を取得すると共に、GPS部306を通じて自機の現在位置を示す位置情報を取得する。そして、時刻位置通知部311は、図5を用いて説明した時刻位置情報を生成し、これを無線通信部301及び送受信アンテナ301Aを通じて通信ネットワーク2に送出して、情報配信サーバ装置1に送信する。このように、時刻位置通知部311は、所定のタイミング毎に現在時刻と現在位置を情報配信サーバ装置1に通知する機能を実現する。
再生スケジュールメモリ312は、不揮発性メモリとそのドライバとからなり、情報配信サーバ装置1において作成されて配信されて来る再生スケジュール情報を記憶保持する。再生スケジュール情報は、図7を用いて説明したものであり、情報配信サーバ装置1で作成されて配信されて来る自機宛てのものを、送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて受信し、制御部102が再生スケジュールメモリ312に記録する。
情報再生制御部313は、再生スケジュールメモリ312に格納された再生スケジュール情報の再生時刻と時計回路からの現在時刻とを比較し、再生時刻が到来した再生スケジュール情報であって、「FLG」が未再生を示す「0」の配信情報を再生する処理を行う。この実施の形態において、配信情報は、「○○郵便局前工事中」などといった音声メッセージを放音するためのメッセージデータである。情報再生制御部313は、再生時刻が到来した再生スケジュール情報の配信情報(メッセージデータ)を音声出力部308に供給して、これに応じた音声メッセージをスピーカ309から放音するようにする。
なお、上述もしたように、情報配信サーバ装置1からは即時配信情報も送信されて来る。即時配信情報は、送受信アンテナ301A及び無線通信部301で受信された、制御部302に供給される。制御部302は、即時配信情報の「エリアID」と「No.」とに基づいて、再生スケジュールメモリ312の格納情報を参照する。そして、制御部302は、対応する再生スケジュール情報であって、「FLG」が再生済を示す「1」の格納データがある場合には、当該即時配信情報に応じた配信情報を再生しない。
また、制御部302は、再生スケジュールメモリ312の格納情報を参照した結果、対応する再生スケジュール情報が存在しなかった場合には、当該即時配信情報に応じた配信情報を再生する。また、制御部302は、再生スケジュールメモリ312の格納情報を参照した結果、対応する再生スケジュール情報であって、「FLG」が未再生を示す「0」の格納データがある場合には、当該即時配信情報に応じた配信情報を再生する。この場合、制御部302は、当該再生スケジュール情報の「FLG」を、再生済を示す「1」に更新する。
このように、制御部302は、即時配信情報については、受信後すぐに再生するようにする。しかし、即時配信情報が通信状態の悪化により配信されてこなくても、再生スケジュール情報に基づき、到達した配信エリアで配信すべき配信情報を再生して使用者に提供できるようにしている。なお、即時配信情報を再生する場合、再生スケジュール情報によって既に同じ配信情報が再生されている場合には、即時配信情報に応じた配信情報の再生は行わない。また、制御部302は、即時配信情報に応じた配信情報を再生するようにした場合には、対応する再生スケジュール情報の「FLG」を更新し、再生スケジュール情報による再生済みの配信情報の再生は行わないようにしている。
[情報配信サーバ装置1の再生スケジュール情報の提供処理]
図9は、情報配信サーバ装置1において行われる主要な処理である配信情報の再生スケジュールを作成して提供する処理について説明するためのフローチャートである。図9のフローチャートに示す処理は、制御部102の制御の下、情報配信サーバ装置1の各部が機能して実行される処理である。
情報配信サーバ装置1の制御部102は、常時、通信I/F101を通じて、通信ネットワーク2を介して送信されて来る移動通信端末3からの時刻位置情報を受信して、これを端末別時刻位置格納部106に格納するようにしている(ステップS101)。時刻位置情報は、図5を用いて説明したように、送信元の移動通信端末3の現在位置と、当該現在位置の取得時刻とを含むものである。そして、制御部102の制御の下、エリア到達予測部107が機能して、端末別時刻位置格納部106の履歴をも考慮し、現在の移動通信端末3の移動方向と移動速度を特定する(ステップS102)。
次に、エリア到達予測部107は、移動通信端末3が、所定時間内に到達する可能性のある配信エリアがあるか否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理では、移動通信端末3の現在位置、移動方向、移動速度と、配信エリアDB105で管理されている各配信エリアの地図上での位置とに基づいて、判別処理がなされる。ステップS103の判別処理において、移動通信端末3が、所定時間内に到達する可能性のある配信エリアはないと判別した場合には、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
一方、ステップS103の判別処理において、移動通信端末3が、所定時間内に到達する可能性のある配信エリアがあると判別したとする。この場合、エリア到達予測部107は、当該配信エリアへの到達予定時刻を算出し、必要情報を再生スケジュール作成部110に通知する(ステップS104)。ステップS104において、エリア到達予測部107から再生スケジュール作成部110に通知される情報には、移動通信端末3を特定する「送信元ID」と、当該到達する可能性のある配信エリアの「エリアID」と「エリアNo.」と「到達予定時刻」などの情報を含む。
そして、再生スケジュール作成部110は、図7を用いて説明した態様の再生スケジュール情報を作成する(ステップS105)。次に、再生スケジュール作成部110は、ステップS105で作成した再生スケジュール情報と同一対象の再生スケジュール情報が既に移動通信端末3に配信済みか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理は、ステップS105で作成した再生スケジュール情報と、少なくとも「送信先ID」、「エリアID」、「エリアNo.」が同じ再生スケジュール情報が既に再生スケジュール格納部111に格納されているか否かにより判別可能である。
ステップS106の判別処理において、同一対象の再生スケジュール情報は移動通信端末3に配信済みでないと判別したとする。この場合には、再生スケジュール作成部110が、ステップS105で作成した再生スケジュール情報を、制御部102の制御の下、配信処理部112が機能して当該移動通信端末3に配信する処理を行う(ステップS107)。すなわち、ステップS107においては、再生スケジュール作成部110が、ステップS105で作成した再生スケジュール情報を再生スケジュール格納部111に格納するので、これを配信処理部112が時刻位置情報の送信元の移動通信端末3に配信する。このステップS107の処理の後においては、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS106の判別処理において、同一対象の再生スケジュール情報は移動通信端末3に配信済みであると判別したとする。この場合には、再生スケジュール作成部110は、今回作成した再生スケジュール情報と、再生スケジュール格納部111に格納されている配信済みの再生スケジュール情報との間に差分があるか否かを判別する(ステップS108)。具体的に、ステップS108では、今回作成した再生スケジュール情報と配信済みの再生スケジュール情報とで、再生時刻や配信情報が変わっているか否かを判別する。ステップS108の判別処理において、今回作成した再生スケジュール情報と配信済みの再生スケジュール情報との間に差分はないと判別したときには、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
一方、ステップS108の判別処理において、今回作成した再生スケジュール情報と配信済みの再生スケジュール情報との間に差分があると判別したとする。この場合には、配信処理部112が機能して、今回作成した再生スケジュール情報と配信済みの再生スケジュール情報との差分を更新するために必要な更新情報を、当該移動通信端末3に配信する(ステップS109)。ステップS109で配信される更新情報は、再生時刻や配信情報を更新することができるものであればよい。
より具体的には、再生スケジュール作成部110は、ステップS105で作成した再生スケジュール情報を再生スケジュール格納部111に上書き記録する。そして、このステップS105で作成した再生スケジュール情報を配信処理部112が当該移動通信端末3に配信してもよい。また、再生スケジュール格納部111の該当データの再生時刻を更新し、配信処理部112が、当該再生スケジュール情報を一意に特定可能な情報(エリアID、エリアNo.)と、差分となる情報(再生時間や配信情報)を当該移動通信端末3に配信してもよい。そして、ステップS109の処理の後においては、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
このように、この実施の形態の情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3からの時刻位置情報を利用して、配信エリアに到達する時刻を予測し、移動通信端末3において配信情報を適切に再生可能にするために再生スケジュール情報を作成し、事前に配信できる。また、再生スケジュールに情報に変更が生じた場合にも、これを更新することができる。
従って、配信エリア周辺の通信状況が悪く、位置情報の未受信により配信エリアに到達したか否かを情報配信サーバ装置1が判定できなかったり、配信情報を適切なタイミングで移動通信端末3に配信できなかったりする事態が発生したとする。このような場合でも、移動通信端末3で再生スケジュール情報に従って配信情報を再生できるので、移動通信端末3の使用者に適切に配信情報を提供できる。
[情報配信サーバ装置1の即時配信情報の提供処理]
図10は、情報配信サーバ装置1において行われる処理である即時配信情報を作成して提供する処理について説明するためのフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理は、図9を用いて説明した処理と並行して行われる処理であり、制御部102の制御の下、情報配信サーバ装置1の各部が機能して実行される処理である。
上述もしたように、情報配信サーバ装置1の制御部102は、常時、通信I/F101を通じて、通信ネットワーク2を介して送信されて来る移動通信端末3からの時刻位置情報を受信して、これを端末別時刻位置格納部106に格納するようにしている(ステップS201)。そして、情報配信サーバ装置1のエリア到達予測部107は、時刻位置情報を送信してきた移動通信端末3の現在位置は、いずれかの配信エリア内か否かを判別する(ステップS202)。ステップS202において、移動通信端末3の現在位置は、配信エリア内ではないと判別した場合には、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
一方、ステップS202の判別処理において、移動通信端末3の現在位置は、配信エリア内であると判別したとする。この場合、エリア到達予測部107は、再生スケジュール格納部111の格納データを参照し、時刻位置情報の送信元の移動通信端末3が位置する配信エリアに対する再生スケジュール情報を当該移動通信端末3に配信済みか否かを判別する(ステップS203)。すなわち、ステップS203の判別処理は、当該移動通信端末3を送信先とし、当該移動通信端末3が位置する配信エリアの「エリアID」と「エリアNo.」とを有する再生スケジュール情報が存在するか否かを確認する処理である。
ステップS203の判別処理において、移動通信端末3が位置する配信エリアに対する再生スケジュール情報は、当該移動通信端末3に配信済みであると判別したとする。この場合、エリア到達予測部107は、当該配信済みの再生スケジュール情報の再生時刻は、当該移動通信端末3から送信されてきた時刻位置情報の位置情報取得時刻より遅いか否かを判別する(ステップS204)。ステップS204の判別処理において、配信済みの再生スケジュール情報の再生時刻は、時刻位置情報の位置情報取得時刻よりも早いと判別した場合には、当該再生スケジュール情報に従って配信情報は既に再生済みであるので、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
一方、ステップS204の判別処理において、配信済みの再生スケジュール情報の再生時刻は、時刻位置情報の位置情報取得時刻より遅いと判別したとする。この場合には、当該移動通信端末3が到達すると予測された配信エリアに予想よりも早く到達したために、再生スケジュール情報に応じて配信情報は再生されていないと考えられる。そこで、エリア到達予測部107は、当該移動通信端末3が予測した配信エリアに予測よりも早く到達したことを、制御部102を通じて再生スケジュール作成部110に通知する。
再生スケジュール作成部110は、当該配信エリアにおいて配信すべき配信情報を有し、これを即時に配信するように再生時刻を設定した再生スケジュール情報(図7)を作成し、これを配信処理部112が当該移動通信端末3に配信する(ステップS205)。これにより、当該移動通信端末3において、配信された再生スケジュール情報が更新され、当該配信エリアで配信すべき配信情報が即座に再生するようにされる。
また、ステップS205において再生スケジュール作成部110は、作成した再生スケジュール情報により、再生スケジュール格納部111に格納されている対応する再生スケジュール情報を更新する処理も行う。そして、ステップS205の処理の後においては、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
なお、ステップS205では、配信情報を即時に再生するようにする再生スケジュール情報を作成して移動通信端末3に配信するようにしたが、これに限るものではない。上述した図9のステップS109の処理と同様に、新たに作成した再生スケジュール情報と、配信済みの再生スケジュール情報との差分を更新するために必要な更新情報を作成し、これを移動通信端末3に配信するようにしてもよい。
一方、ステップS203の判別処理において、移動通信端末3が位置する配信エリアに対する再生スケジュール情報は、当該移動通信端末3に配信済みではないと判別したとする。この場合には、予測した配信エリアとは異なる配信エリアに当該移動通信端末3が到達したと考えられる。このため、エリア到達予測部107は、予測した配信エリアとは異なる配信エリアに当該移動通信端末3が到達したことを、制御部102を通じて即時配信情報作成部108に通知する。
即時配信情報作成部108は、当該配信エリアにおいて、当該移動通信端末3に配信すべき配信情報を有する即時配信情報(図6)を作成し、これを配信処理部112が当該移動通信端末3に配信する(ステップS206)。また、ステップS206において、即時配信情報作成部108は、作成した即時配信情報を即時配信情報格納部109に格納する処理も行う。ステップS206の処理の後においては、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返すようにする。
この図10に示す処理により、移動通信端末3が、予測された配信エリアとは異なる配信エリアに到達した場合と、予測された配信エリアに予測よりも早く到達した場合にも、到達した配信エリアで配信すべき配信情報を移動通信端末3に配信することができる。そして、当該移動通信端末3において、適切なタイミングで当該配信情報を再生することができる。
[移動通信端末3の処理]
上述したように、情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3からの時刻位置情報に基づいて、移動通信端末3の移動経路を予測し、再生スケジュール情報や即時配信情報を作成して移動通信端末3に配信する。移動通信端末3は、情報配信サーバ装置1からの再生スケジュール情報や即時配信情報に基づいて、配信情報の再生処理を行うことになる。以下、移動通信端末3の基本的な処理について説明する。
まず、移動通信端末3は、所定のタイミングごとに時刻位置情報を生成して、これを情報配信サーバ装置1に送信する処理を行う。また、移動通信端末3は、図9のステップS108の処理により、情報配信サーバ装置1から再生スケジュール情報の配信を受けた時には、当該再生スケジュール情報に含まれる再生時刻に従って、当該再生スケジュール情報に含まれる配信情報の再生処理を行う。
また、移動通信端末3は、図9のステップS109の処理により、情報配信サーバ装置1から更新情報の配信を受けた時には、まず、配信された更新情報により、自機に配信されている再生スケジュール情報を更新する処理を行う。そして、移動通信端末3は、更新後の再生スケジュール情報に含まれる再生時刻に従って、当該再生スケジュール情報に含まれる配信情報の再生処理を行う。
また、移動通信端末3は、図10のステップS206の処理により、情報配信サーバ装置1から即時再生情報の配信を受けた時には、当該即時再生情報に従って、当該即時再生情報に含まれる配信情報を即時に再生する処理を行う。また、移動通信端末3は、図10のステップS205の処理により、情報配信サーバ装置1から即時再生する再生スケジュール情報の配信を受けたとする。この場合には、移動通信端末3は、当該再生スケジュール情報に含まれる再生時刻に従って、当該再生スケジュール情報に含まれる配信情報の再生処理を行う。
なお、図10のステップS205の処理により情報配信サーバ装置1から更新情報の配信を受けた時には、まず、配信された更新情報により、自機に配信されている再生スケジュール情報を更新する処理を行う。そして、移動通信端末3は、更新後の再生スケジュール情報に含まれる再生時刻に従って、当該再生スケジュール情報に含まれる配信情報の再生処理を行うことになる。
このように、移動通信端末3は、情報配信サーバ装置1からの再生スケジュール情報や即時配信情報に応じて、配信情報を再生することができる。また、移動通信端末3は、情報配信サーバ装置1からの更新情報に基づいて、再生スケジュール情報を更新し、更新後の再生スケジュール情報に従って、配信情報の再生処理を行うこともできる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の情報配信システムでは、移動通信端末3が到達する可能性のある配信エリアを予測し、その配信エリアに到達した場合に、その配信エリアで配信されるべき配信情報を再生できるようにする再生スケジュール情報が生成されて配信される。これにより、配信エリアに到達した移動通信端末3に配信される配信情報が、通信状態の悪化等の理由により配信されなくても、再生スケジュール情報に基づき、当該移動通信端末3の使用者に提供すべき配信情報を自動再生して提供できる。したがって、確実に配信情報を移動通信端末3の使用者に提供できる。
[変形例]
なお、図10のステップS206で即時配信情報を移動通信端末3に配信する際に、更に、以下の処理を行ってもよい。すなわち、移動通信端末3に配信済みの再生スケジュール情報の中で、移動通信端末3が到達しない配信エリアを特定し、その特定した配信エリアの再生スケジュール情報の削除要求を移動通信端末3に配信する。移動通信端末3は、当該削除要求に従って既に配信を受けている再生スケジュール情報を削除する。これにより、移動通信端末3は、情報配信サーバ装置1から提供を受けた再生スケジュール情報の中で、当該移動通信端末3が到達しない配信エリアの配信情報を確実に再生しないようにできる。
また、実施の形態の情報配信サーバ装置1の構成例はあくまで一例であり、情報配信サーバ装置1の各機能を複数のサーバ装置の協働によって実現してもよく、各データベースの内の少なくとも一部は、他の装置の内部/外部記憶装置に設けてもよく、例えば、いわゆるクラウド上に構成されていてもよい。
また、移動通信端末3の位置情報の取得方法は、特に限定されるものではなく、衛星測位、Wi−Fi(登録商標)測位、基地局測位等の任意の方法を用いて位置情報を取得すればよい。
また、移動通信端末3の時刻情報の取得方法は、特に限定されるものではない。例えば、時計回路から取得した時刻、NTP(Network Time Protocol)サーバから取得した時刻、衛星からの信号に含まれる時刻等、取得経路を問わず適切に正確な時刻が取得できる種々の方法を用いることができる。
また、配信情報は音声メッセージデータに限るものではなく、静止画データ、動画データ、テキストデータであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。静止画データ、動画データ、テキストデータは、移動通信端末3の表示部307Dに供給して、表示部307Dの表示画面に表示出力することにより、移動通信端末3の使用者に提供で生きる。テキストデータは、いわゆるテロップのように表示するなどのことができる。また、例えば、図3に示したような地図を表示するための地図情報と、音声メッセージデータとからなる配信情報を移動通信端末3に配信し、地図を表示部307Dの表示画面に表示し、音声メッセージはスピーカ309から放音するといったことが可能である。
また、配信情報は交通に関する情報だけでなく、店舗や施設のPR情報、名所や旧跡の案内情報、名物の紹介情報など、設定された配信エリアに応じて、種々の配信情報を配信できる。また、配信情報ごとに優先度を設定しておくことにより、上述もしたように、優先度の高い配信情報を優先して移動通信端末3において再生するように制御できる。
また、設定された配信エリア内を通過中の場合には、配信情報の再生を繰り返すようにしたり、所定の回数分、配信情報の再生を繰り返すようにしたりすることもできる。この場合には、再生スケジュール情報に、無制限の再生を指示する情報や再生回数を設定するようにすればよい。従って、再生回数を指定すれば、当該再生回数分の再生が終了したら次の配信エリアまで配信情報を再生しないようにすることができる。
また、上述した実施の形態では、情報配信サーバ装置1は、移動通信端末3から時刻位置情報(図5)の提供を受けて、位置、移動方向、移動速度を特定するようにしたが、これに限るものではない。例えば、移動通信端末3が搭載している方位センサや加速度センサ(6軸センサなど)を通じて検知可能な移動方向や移動速度を、情報配信サーバ装置1が移動通信端末3から提供を受けるようにする。そして、情報配信サーバ装置1において、移動通信端末3からの移動方向や移動速度を利用して、到達する可能性のある配信エリアを予測するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、移動通信端末3を所持した使用者が、例えば自動車や徒歩によって道路を移動する場合において、配信情報を配信する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、美術館や博物観などでの経路に沿ったガイダンス情報の配信や大規模なベント会場でのエリアごとの情報の提供などにもこの発明を適用できる。
このような、施設やイベント会場における情報の提供の場合には、移動通信端末3の現在位置は、GPS部により正確に特定可能な状況にあれば、GPS部からの位置情報を用いればよい。しかし、GPS部により正確に現在位置が測位できない場合や施設が複数階に分かれている場合などもある。このような場合においては、施設やイベント会場に、例えば、Wi−Fi(登録商標)規格のアクセスポイントを複数設置し、その複数のサクセスポイントからの信号の受信電界強度を種々の位置で予め測定しておき、受信電界強度マップを作成しておく。これにより、当該受信電界強度マップを移動通信端末3に登録しておけば、移動通信端末3において、検出したアクセスポイントからの信号の受信電界強度に基づき受信電界強度マップを参照すれば、自機の現在位置を正確に特定できる。
また、電車やバスで移動する場合においても、座席ごとに設置されるLCD(Liquid Crystal Display)装置などの表示装置や電車やバスの窓に設けられる透過型ディスプレイを通じて、現在位置の近傍の観光案内や名物、特産品などの案内を行う場合もある。このような場合においても、この発明を適用できる。すなわち、使用者(ユーザ)が移動する場合において、当該使用者と共に移動する携帯型の移動通信端末の現在位置に応じて、あるいは、当該使用者が利用する移動体に搭載された移動通信端末の現在位置に応じて種々の配信情報を提供する場合に、この発明を適用できる。
[その他]
なお、特許請求の範囲の各構成要素と、実施の形態の装置の構成部分とを対応付けると、以下のようになる。配信エリア記憶手段の機能は、情報配信サーバ装置1の配信エリアDB105が実現し、時刻位置記憶手段の機能は、情報配信サーバ装置1の端末別時刻位置格納部106が実現している。また、予測手段の機能は、情報配信サーバ装置1のエリア到達予測部107が実現し、第1の作成手段の機能は、情報配信サーバ装置1の再生スケジュール作成部110が実現し、第1、第2、第3、第4の配信手段の機能は、情報配信サーバ装置1の配信処理部112が実現している。
また、再生スケジュール情報記憶手段の機能は、情報配信サーバ装置1の再生スケジュール格納部111が実現し、第2の作成手段の機能は、再生スケジュール作成部110が実現するようにしている。また、第1の判別手段の機能は、エリア到達予測部107が実現し、第3の作成手段の機能は、情報配信サーバ装置1の即時配信情報作成部108が実現している。また、第2の判別手段の機能は、情報配信サーバ装置1のエリア到達予測部107が実現し、第4の作成手段の機能は、情報配信サーバ装置1の再生スケジュール作成部110が実現している。
また、図9、図10のフローチャートに示した処理を行う方法が、この発明の方法の一実施の形態が適用されたものである。図9、図10のフローチャートに示した処理を行うプログラムをサーバ装置に搭載することにより、この発明の情報配信サーバ装置を実現することもできる。また、図2に示した情報配信サーバ装置1のエリア到達予測部107、即時配信情報作成部108、再生スケジュール作成部110、配信処理部112の各部の機能は、制御部102において実行されるプログラム(ソフトウェア)によって、制御部102の機能として実現することもできる。