以下、本発明を実施するための形態を説明する。尚、以下の説明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」のうち少なくとも一方を意味する。例えば、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとのうち少なくとも一方の化合物を意味する。
<毛髪化粧料>
本実施形態に係る毛髪化粧料について説明する。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、不飽和単量体(I)の重合体と、カチオン性界面活性剤(II)とを含有する。そして、不飽和単量体(I)は、屈折率が1.500以上(20℃、D線(589.3nm))のエチレン性不飽和単量体(A)と、アニオン性不飽和単量体(B)とを含む。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、毛髪に塗布するのに適したものである。このため、不飽和単量体(I)の重合体を含む皮膜が毛髪表面に形成されやすくなる。この場合、カチオン性界面活性剤(II)と重合体のアニオン性不飽和単量体(B)を由来とする構造とでコンプレックス(複合体ともいう)が形成され、これにより皮膜が毛髪表面に長期間維持されやすくなる。
また、エチレン性不飽和単量体(A)を用いることで、皮膜でコートされた毛髪に適度なツヤを付与することができ、かつ毛髪のツヤを長期間維持させることができる。屈折率は、例えば20℃のエチレン性不飽和単量体(A)にD線(589.3nm)を照射して示される値でありうる。また、エチレン性不飽和単量体(A)の含有量は、不飽和単量体(I)の固形分質量に対して、30〜80質量%の範囲内であることが好ましく、45〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。
エチレン性不飽和単量体(A)の例は、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクロイルモルホリンなどが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をエチレン性不飽和単量体(A)として用いることができる。上記の化合物以外に、エチレン性不飽和単量体(A)に適した化合物があれば、この化合物もエチレン性不飽和単量体(A)に含ませることができる。また、エチレン性不飽和単量体(A)は、例えば分子中に芳香族環を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を含むことができる。エチレン性不飽和単量体(a1)の例は、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、エトキシ化−o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をエチレン性不飽和単量体(a1)として用いることができる。
不飽和単量体(I)がアニオン性不飽和単量体(B)を含むことで、アニオン性不飽和単量体(B)を由来とする構造とカチオン性界面活性剤(II)とがコンプレックスを形成する。これにより、皮膜は毛髪表面に長期間維持されやすくなり、毛髪の良好な指どおりやツヤを長期間維持させやすくできる。アニオン性不飽和単量体(B)の含有量は、不飽和単量体(I)の固形分質量に対して、10〜50質量%の範囲内であることが好ましく、20〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
アニオン性不飽和単量体(B)の例は、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)アクリレート、(メタ)アクリル酸、及びクロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、及びイタコン酸モノアルキルエステル等の不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル;ビニルスルホン酸、及びメタアリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸;α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族ビニル基含有スルホン酸;スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体;リン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−プロペノイックアシッド;3−(2−カルボキシエトキシ)−3−オキシプロピルエステル;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸;並びに;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。リン酸基含有不飽和単量体の例は、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体の例は、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体などが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をアニオン性不飽和単量体(B)として用いることができる。上記の化合物以外に、アニオン性不飽和単量体(B)に適した化合物があれば、この化合物もアニオン性不飽和単量体(B)に含ませることができる。また、アニオン性不飽和単量体(B)は、エチレン性不飽和基を有するアニオン性不飽和単量体(b1)を含むことができる。アニオン性不飽和単量体(b1)の例は、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;ビニルスルホン酸、及びメタアリルスルホン酸等のアルケンスルホン酸;α−メチルスチレンスルホン酸等の芳香族ビニル基含有スルホン酸;スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体;リン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート;2−プロペノイックアシッド;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸;並びに2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をアニオン性不飽和単量体(b1)として用いることができる。アニオン性不飽和単量体(b1)の含有量は、不飽和単量体(I)の固形分質量に対して、10〜50質量%の範囲内であることが好ましく、20〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。
不飽和単量体(I)は、エチレン性不飽和単量体(A)及びアニオン性不飽和単量体(B)と異なるエチレン性不飽和単量体(C)を含みうる。この場合、不飽和単量体(I)の重合体の柔軟性を調整することができ、皮膜と毛髪との密着性を向上させることができる。これにより、皮膜を毛髪表面に更に長期間維持させることができる。エチレン性不飽和単量体(C)の含有量は、不飽和単量体(I)の固形分質量に対して、0〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。また、不飽和単量体(I)はエチレン性不飽和単量体(C)を含まなくてもよい。
不飽和単量体(I)がエチレン性不飽和単量体(C)を含む場合、エチレン性不飽和単量体(C)は、例えば下記式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体(c1)を含むことができる。すなわち、不飽和単量体(I)はエチレン性不飽和単量体(c1)を含むことができる。この場合、重合体を含む皮膜と毛髪との密着性を更に向上させることができる。これにより、皮膜を毛髪表面に更に長期間維持させることができる。エチレン性不飽和単量体(c1)の含有量は、不飽和単量体(I)の固形分質量に対して、10〜40質量%の範囲内であることが好ましい。エチレン性不飽和単量体(c1)の例は、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア、及びN−(メタクリロイルオキシアセトアミドエチレン)N,N’−エチレン尿素などが挙げられる。また、エチレン性不飽和単量体(C)の例は、例えばアクリロニトリル;酢酸ビニル;スチレン;ビニルピロリドン;アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミド化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の、(メタ)アクリル酸のエステル類;(メタ)アクリル酸グリセリル;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル等の、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、前記ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル類の水酸基末端がアルキルエーテル化されたもの;ポリエチレングリコール(m=5)−ポリプロピレングリコール(n=2)モノメタクリレート;ブレンマー70PEP−350B(日油株式会社製)、プロピレングリコールポリブチレングリコール(n=6)モノメタクリレート;ブレンマー10PPB−500B(日油株式会社製)、オクトキシポリエチレングリコール(m=8)ポリプロピレングリコール(n=6)モノメタクリレート;ブレンマー50POEP−800B(日油株式会社製)、オクトキシポリエチレングリコール(m=8)ポリプロピレングリコール(n=6)モノアクリレート;ブレンマー50AOEP−800B(日油株式会社製)等の、オキシエチレン(エチレンオキサイドともいう)、オキシプロピレン(プロピレンオキサイドともいう)及びオキシブチレン(ブチレンオキサイドともいう)の構成単位からなるブロックコポリマーが側鎖に結合した構造を有しているもの;ポリ(エチレングリコール(m=3.5)−プロピレングリコール(n=2.5))モノメタクリレート;ブレンマー50PEP−300(日油株式会社製)、ポリ(エチレングリコール(m=5)−テトラメチレングリコール(n=2))モノメタクリレート;ブレンマー55PET−400(日油株式会社製)、ポリ(エチレングリコール(m=6)−テトラメチレングリコール(n=10))モノメタクリレート;ブレンマー30PET−800(日油株式会社製)、ポリ(エチレングリコール(m=10)−テトラメチレングリコール(n=5))モノメタクリレート;ブレンマー55PET−800(日油株式会社製)、ポリ(プロピレングリコール(m=4)−テトラメチレングリコール(n=8))モノメタクリレート;ブレンマー30PPT−800(日油株式会社製)、ポリ(プロピレングリコール(m=7)−テトラメチレングリコール(n=6))モノメタクリレート;ブレンマー50PPT−800(日油株式会社製)、ポリ(プロピレングリコール(m=10)−テトラメチレングリコール(n=3))モノメタクリレート;ブレンマー70PPT−800(日油株式会社製)等のオキシエチレン(エチレンオキサイドともいう)、オキシプロピレン(プロピレンオキサイドともいう)及びオキシブチレン(ブチレンオキサイドともいう)の構成単位からなるランダムコポリマーが側鎖に結合した構造を有しているもの等の単官能不飽和単量体などが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をエチレン性不飽和単量体(C)として用いることができる。
式(1)において、RはH、或いは相互に結合していてもよい同じ又は異なる有機基であり;R1はH又はCH3であり;A1はO又はNHであり;B1はアセトアミド基又は炭素数1〜4のアルキレン基であり;R2は炭素数1〜4のアルキレン基であってもよい。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、上記の通り、カチオン性界面活性剤(II)を含有する。カチオン性界面活性剤(II)の例は、セトリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、塩化ステアラミドプロピルトリモニウム、塩化アラキドトリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化トリセチルモニウム、オレアミドプロピルジメチルアミン、リノレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、及びアラキドアミドエチルジメチルアミンなどが挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をカチオン性界面活性剤(II)として用いることができる。そして、上記の化合物以外に、カチオン性界面活性剤(II)に適した化合物があれば、この化合物もカチオン性界面活性剤(II)に含ませることができる。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、その効果に影響しない程度で、且つ目的に応じて任意の化粧料用基材を含有することができる。化粧料用基材の例は、水、エタノール、及び2−プロパノール等の溶媒成分;1,3−ブチレングリコール、グリセリン、及びジグリセリン等の水酸基含有低分子化合物;イソノナン酸エチルヘキシル等の高級脂肪酸エステル;セタノール、及びステアリルアルコール等の高級アルコール;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び半極性界面活性剤等の界面活性剤;酸化亜鉛、及び酸化チタン等の無機粉体;セルロース粉末、シルク粉末、ポリエチレン粉末、及びポリスチレン粉末等の有機粉体;ホホバ油、ヤシ油、及びシリコーン油等の油脂類;クエン酸、及びクエン酸ナトリウム等のpH調整剤;アニオン性樹脂;カチオン性樹脂;両性樹脂;ノニオン性樹脂;ラノリン誘導体;蛋白誘導体;ビタミン等の薬効成分;殺菌剤;防腐剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;紫外線吸収剤;動植物抽出物又はその誘導体;色素;香料;並びに顔料などが挙げられる。これらのうち、2種以上の化合物を化粧料用基材として用いることができる。そして、上記の化合物以外に、毛髪化粧料に適した化合物があれば、この化合物も化粧料用基材に含ませることができる。
また、化粧料用基材のうち、アニオン性界面活性剤の例は、高級脂肪酸塩型界面活性剤、スルホン酸塩型界面活性剤、硫酸エステル塩型界面活性剤、及びアルキルリン酸エステル塩型界面活性剤などが挙げられる。
高級脂肪酸塩型界面活性剤の例は、C12〜C18の飽和又は不飽和脂肪酸塩、ヤシ油脂肪酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸塩、パーム油脂肪酸塩、硬化パーム油脂肪酸塩、牛脂脂肪酸塩、及び硬化牛脂脂肪酸塩等の脂肪酸塩;N−アシルサルコシン塩;並びにN−アシルグルタミン酸塩などが挙げられる。高級脂肪酸塩型界面活性剤の具体例は、ラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、及びN−ラウロイルメチル−β−アラニントリエタノールアミンなどが挙げられる。
スルホン酸塩型界面活性剤の例は、N−アシルアミノスルホン酸塩、及びポリオキシエチレンスルホコハク酸塩などが挙げられる。スルホン酸塩型界面活性剤の具体例は、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
硫酸エステル塩型界面活性剤の例は、高級アルキル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などが挙げられる。
アルキルリン酸エステル塩型界面活性剤の例は、モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、及びモノラウリルリン酸ジカリウムなどが挙げられる。
上記の化合物以外に、アニオン性界面活性剤に適し、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない化合物があれば、この化合物もアニオン性界面活性剤に含ませることができる。そして、これらのうち、1種又は2種以上の化合物をアニオン性界面活性剤として用いることができる。
ノニオン性界面活性剤の例は、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤、モノエタノールアミド型ノニオン性界面活性剤、ジエタノールアミド型ノニオン性界面活性剤、糖系ノニオン性界面活性剤、及びグリセリン系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤の例は、親水基として一種類のポリオキシアルキレン基を含有するノニオン性界面活性剤、及び親水基として二種類以上のポリオキシアルキレン基を含有するノニオン性界面活性剤などが挙げられる。ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤の具体例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
モノエタノールアミド型ノニオン性界面活性剤の例は、ラウリン酸モノエタノールアミドなどが挙げられる。
ジエタノールアミド系ノニオン性界面活性剤の例は、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。
糖系ノニオン性界面活性剤の例は、アルキルサッカライド系ノニオン性界面活性剤、糖アミド系ノニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、及びショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。アルキルサッカライド系ノニオン性界面活性剤の例は、N−メチルラウリルグルカミド、及びN−メチルアルキルグルカミドなどが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤の例は、モノイソステアレン酸ソルビタン、及びモノオレイン酸ソルビタンなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤の例は、ラウリン酸ショ糖エステル、ショ糖モノステアレート、及びPOPショ糖モノラウレートなどが挙げられる。
グリセリン系ノニオン性界面活性剤の例は、セスキオレイン酸グリセリン、及びポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤;モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤;並びにポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテル等のアルキルエーテル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物をノニオン性界面活性剤として用いることができる。また、このような化合物以外に、ノニオン性界面活性剤に適し、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない化合物があれば、この化合物もノニオン性界面活性剤に含ませることができる。
両性界面活性剤の例は、イミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、及びカルボベタイン型(アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型)等のカルボン酸型両性界面活性剤;スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン型、アルキルヒドロキシスルホベタイン型)両性界面活性剤;ホスホベタイン型両性界面活性剤;アシル第3級アミンオキサイド;並びにアシル第3級ホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
カルボン酸型両性界面活性剤のうち、イミダゾリン型両性界面活性剤の例は、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。アルキルベタイン型両性界面活性剤の例は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。アルキルアミドベタイン型両性界面活性剤の例は、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
スルホベタイン型両性界面活性剤のうち、アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤の例は、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤の例は、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどが挙げられる。
ホスホベタイン型両性界面活性剤の例は、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
ホスホベタイン型両性界面活性剤の例は、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
アシル第3級アミンオキサイドの例は、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどが挙げられる。
アシル第3級ホスフォンオキサイドの例は、ラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどが挙げられる。
上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物を両性界面活性剤として用いることができる。また、このような化合物以外に、両性界面活性剤に適し、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない化合物があれば、この化合物も両性界面活性剤に含ませることができる。
半極性界面活性剤の例は、ラウリルトリメチルアミンオキシド、及びラウリン酸アミドプロピルアミンオキシドなどが挙げられる。上記の化合物以外に、半極性界面活性剤に適し、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない化合物があれば、この化合物も半極性界面活性剤に含ませることができる。そして、これらのうち、1種又は2種以上の化合物を半極性界面活性剤として用いることができる。
また、化粧料用基材のうち、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、及びノニオン性樹脂は、例えば「医薬部外品原料規格2006」(薬事日報社編、株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)に適合した樹脂を含むことができる。
アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、及びノニオン性樹脂は、固形状の樹脂、この固形状の樹脂を溶媒中に溶解させた樹脂溶液、又はこの樹脂溶液を中和させた中和溶液として入手可能である。また、毛髪化粧料を調製する前工程で、固形状の樹脂を溶媒中に溶解させて樹脂溶液を作製し、この樹脂溶液を中和させて中和溶液を作製してもよい。
毛髪化粧料が化粧料用基材を含有する場合、毛髪化粧料は、固形状の樹脂、樹脂溶液、及び中和溶液の群から選択される少なくとも1種のアニオン性樹脂を含有できる。毛髪化粧料は、固形状の樹脂、樹脂溶液、及び中和溶液の群から選択される少なくとも1種のカチオン性樹脂を含有できる。毛髪化粧料は、固形状の樹脂、樹脂溶液、及び中和溶液の群から選択される少なくとも1種の両性樹脂を含有できる。毛髪化粧料は、固形状の樹脂、樹脂溶液、及び中和溶液の群から選択される少なくとも1種のノニオン性樹脂を含有できる。
アニオン性樹脂の具体例は、プラスサイズL−9540B(互応化学工業(株)製)等のアクリル樹脂アルカノールアミン液(成分コード500001);カーボポール940(B.F.Goodrich製)等のカルボキシビニルポリマー(成分コード101243);ウルトラホールド8(BASF社製)等のアクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(成分コード522001);レジン28−1310(NSC社製)等の酢酸ビニル・クロトン酸共重合体液(成分コード522037);ガントレッツES−225(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体液(成分コード504304);ガントレッツES−425(ISP社製)等のビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体液(成分コード504305);並びにポリアクリル酸(成分コード108622)などが挙げられる。上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物をアニオン性樹脂として用いることができる。また、このような化合物以外に、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない樹脂があれば、この樹脂もアニオン性樹脂に含ませることができる。
カチオン性樹脂の具体例は、マーコート550(カルゴン社製)等のアクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液(成分コード532001);ガフカット755(ISP社製)等のビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩液(成分コード520526);並びにポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液(成分コード506024)などが挙げられる。上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物をカチオン性樹脂として用いることができる。また、このような化合物以外に、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない樹脂があれば、この樹脂もカチオン性樹脂に含ませることができる。
ノニオン性樹脂の具体例は、ルビスコールK(BASF社製)等のポリビニルピロリドン(成分コード008805);酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(成分コード523102);並びにポリアクリルアミド(成分コード520988)などが挙げられる。上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物をノニオン性樹脂として用いることができる。また、このような化合物以外に、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない樹脂があれば、この樹脂もノニオン性樹脂に含ませることができる。
両性樹脂の具体例は、プラスサイズL−401(互応化学工業株式会社製)等のポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン液(成分コード521111);プラスサイズL−450(互応化学工業株式会社製)等のメタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液(成分コード523245);並びにユカフォーマーAM−75(三菱化学株式会社製)等のN−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体液(成分コード521112)などが挙げられる。上記の化合物のうち、1種又は2種以上の化合物を両性樹脂として用いることができる。また、このような化合物以外に、毛髪化粧料で得られる効果に影響しない樹脂があれば、この樹脂も両性樹脂に含ませることができる。
不飽和単量体(I)の重合体は、重量平均分子量が1000〜1000000の範囲内であることが好ましく、3000〜200000の範囲内であることがより好ましい。このような重合体の重量平均分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによる分子量測定結果から算出できる。ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィでの分子量測定は、例えば、次の条件の下で行うことができる。
GPC装置:昭和電工社製 SHODEX SYSTEM 11、
カラム:SHODEX KF−800P,KF−005,KF−003,KF−001の4本直列、
移動相:THF、
流量:1ml/分、
カラム温度:45℃、
検出器:RI、
換算:ポリスチレン。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、例えば、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアローション、ノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)、ヘアゲル、ヘアスタイリングフォーム(ヘアムース)、又はヘアトリートメントとして利用可能である。特に毛髪化粧料は、ヘアトリートメントであることが好ましい。
本実施形態に係る毛髪化粧料は、複数の剤に分けられてなることが好ましい。この場合、複数の剤は、不飽和単量体(I)の重合体を含有する第1剤と、カチオン性界面活性剤(II)を含有する第2剤とを含むことができる。毛髪化粧料が複数の剤に分けられている場合、第1剤と、第2剤とを別々に毛髪に塗布することができ、これにより、毛髪の表面でカチオン性界面活性剤(II)とアニオン性不飽和単量体(B)を由来とする構造とでコンプレックスを形成することができる。この場合、塗布前にコンプレックスの形成をさせにくくできる。
複数の剤に分けられた毛髪化粧料は、多剤式ヘアトリートメントを構成しうる。毛髪化粧料が複数の剤に分けられている場合、毛髪表面で第1剤と第2剤とを混合させることにより、アニオン性不飽和単量体(B)を由来とする構造とカチオン性界面活性剤(II)とでコンプレックスを形成することができる。
第1剤と第2剤とを混合させるにあたって、第1剤を毛髪に馴染ませながら塗布し、その後、第1剤が塗布された毛髪に第2剤を塗布することができる。この場合、第1剤を洗い流すことなく、塗布された毛髪で第1剤と第2剤を混合してもよい。また、塗布前の毛髪の性質に応じて、塗布された第1剤の一部を洗い流し、その後、毛髪に残存した第1剤と、第2剤とを混合してもよい。
第1剤は、その中で、アニオン性不飽和単量体(B)を由来とする構造とコンプレックスを形成しなければ、上記の化粧料用基材を任意に含有できる。この場合、不飽和単量体(I)の重合体の含有量は、第1剤の質量に対して、0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、1〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。また、第1剤は、室温で液状、ゲル状、ローションのいずれかであることが好ましく、ヘアローションやノンガスエアゾール剤(ヘアミスト剤)であることがより好ましい。この場合、第1剤を毛髪へ十分に馴染ませることができる。第1剤は、後述の不飽和単量体(I)の重合体を作製する際に用いられる親水性溶媒等を含有してもよく、或いは含有しなくてもよい。
第2剤は、その中で、カチオン性界面活性剤(II)とコンプレックスを形成しなければ、上記の化粧料用基材を任意に含有できる。この場合、カチオン性界面活性剤(II)の含有量は、第2剤の質量に対して、0.5〜30質量%の範囲内であることが好ましく、1〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。また、第2剤は、例えばクリーム状の剤であってもよい。この場合、ハケ、コーム、手櫛等による第2剤の塗布性が向上し、これにより塗布時に毛髪にダメージを与えにくくできる。
<重合体の製造方法>
次に、不飽和単量体(I)の重合体の製法方法について説明する。
不飽和単量体(I)の重合体は、ラジカル重合開始剤の存在下で、不飽和単量体(I)を重合させることにより得られる。
重合体は、例えば、親水性溶媒又は水と親水性溶媒との混合溶媒を用い、溶媒中で不飽和単量体(I)が重合するような溶液重合法により、作製され得る。不飽和単量体(I)の重合体が溶液重合法で作製される場合、例えば親水性溶媒又は混合溶媒中に不飽和単量体(I)とラジカル重合開始剤とを溶解させた反応溶液を調製し、この反応溶液を、窒素環境下で、溶媒の沸点又はそれに近い温度で攪拌することによって、不飽和単量体(I)を重合させることができる。この場合、反応溶液中に、重合反応の開始当初から不飽和単量体(I)に含まれる単量体の全種及び全量が溶解していてもよい。その他にも、不飽和単量体(I)に含まれる単量体の種類とその量等に応じて、重合反応の開始時と途中で不飽和単量体(I)を分割して反応溶液に添加してもよい。或いは反応溶液中に不飽和単量体(I)を連続添加して重合反応を進行させてもよい。不飽和単量体(I)の重合体を含む生成物溶液のうち、重合体の固形分質量が20〜80質量%の範囲内となるようにして親水性溶媒の配合量が設定されているとよい。
溶液重合法に用いられる溶媒のうち、親水性溶媒は、25℃の下で、100gの水に対して10g以上が溶解するような溶解度を有する有機溶媒であることが好ましい。親水性溶媒の例は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール及びグリセリン等の炭素数が1〜4の脂肪族1〜4価アルコール;アセトン;メチルセロソルブ;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル;ジオキサン;酢酸メチル;酢酸エチル;並びにジメチルホルムアミドを含む。これらのうち、1種又は2種以上の化合物を親水性溶媒として用いることができる。特に、毛髪化粧料が人体の皮膚に付着する可能性を考慮して、親水性溶媒は、エタノール、及び2−プロパノールの群から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、不飽和単量体(I)の重合反応を可能にする任意の化合物を含むことができる。この場合、ラジカル重合開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、及び過酸化水素等の過酸化物;過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウム等の過硫酸塩;並びに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノ吉草酸、及び2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリド等のアゾ系化合物を含む。これらのうち、1種又は2種以上の化合物をラジカル重合開始剤として用いることができる。
また、必要に応じて、反応溶液中に連鎖移動剤を更に添加し、これにより重合体の分子量を調節してもよい。連鎖移動剤は、有機化合物の連鎖移動剤、及び無機化合物の連鎖移動剤からなる群から選択される1種以上の化合物を含むことができる。有機化合物の連鎖移動剤の例は、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、及びチオグリセロール等のメルカプタン基を有する化合物を含む。無機化合物の連鎖移動剤の例は、次亜リン酸ナトリウム、及び亜硫酸水素ナトリウムを含む。上記の化合物以外に、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤の配合量は、不飽和単量体(I)の固形分重量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
毛髪化粧料を作製する前段階で、重合体を含有する溶液のうち、その溶媒を除去してもよい。溶媒を除去する場合、溶媒の沸点又はそれに近い温度で重合体を含有する溶液を加温して溶媒を揮発させることができる。また、重合体を含有する溶液を減圧環境内に配置して溶媒を揮発させることができる。或いは、重合体を含有する溶液を減圧環境内に配置すると共に、溶媒の沸点又はそれに近い温度で加温することで、溶媒を揮発させることができる。
また、不飽和単量体(I)は、溶液重合法の代わりに、リビングラジカル重合法により重合されてもよい。この場合、得られる重合体の重量平均分子量の調整が容易になり、且つ連鎖移動剤が使用された溶液重合法よりも、重合体の分子量分布を狭くすることができる。
リビングラジカル重合法で不飽和単量体(I)を重合させる場合、温度及び時間等の重合条件は、重合反応が優れた反応速度で生じるように設定されてもよい。この場合、不飽和単量体(I)及びラジカル重合開始剤の種類に応じて、重合条件を適宜設定することができる。重合反応は、窒素ガス、及びアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。重合反応終了後、不飽和単量体(I)のうちの未反応モノマーは、少量であるほど好ましく、残存していないことがより好ましい。
上記の通り、重合体は、ラジカル重合開始剤を用いた、溶液重合法、又はリビングラジカル重合法により、不飽和単量体(I)を重合反応させて作製されうる。このようにして得られた重合体は、塩基性化合物で中和されてもよい。この場合、中和された重合体に良好な水溶性を付与することができる。塩基性化合物は、有機の塩基性化合物、及び無機の塩基性化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含むことができる。有機の塩基性化合物の例は、モルホリン、N,N−ジメチルアミン、N−N−ジエチルアミン、エタノールアミン、N−N−ジエタノールアミン、N,N,N−トリエタノールアミン、2−アミノ−2メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、及びトリイソプロパノールアミンを含む。無機の塩基性化合物の例は、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウム等を含む。
塩基性化合物で重合体に水溶性を付与するにあたって、重合体の中和率を50〜100%の範囲内にすることができる。或いは重合体を塩基性化合物で中和させる際の中和曲線において、pHが中和点以上であってもよい。中和率は、例えば、下記式(2)により算出されうる。
中和率={(塩基性化合物のモル数)×(価数)}/(重合体の全酸基のモル数)×100 ・・・(2)
以下、本発明の具体的な実施例を示す。但し、この実施例に本発明は制限されず、種々の形態に設計変更が可能である。
なお、以下に記される「部」及び「%」は、中和率を除いて、特に明示しない限り全て質量基準であり、また表中に示される各成分の配合量は全て「質量部」で表したものである。
〔実施例1〜10、比較例1〜5〕
還流冷却器、温度計、窒素置換用管、滴下漏斗及び撹拌機が取り付けられた容量1リットルの四つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器内に100部のエタノールを仕込み、その後、窒素気流下で反応容器内を昇温させた。反応容器内のエタノールが還流状態(約80℃)になったところで、重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)を添加した。
重合開始剤の添加後、下記表1に示す原料を反応容器内に添加し、8時間かけて重合反応を進行させた。重合反応後、反応容器を冷却し、反応容器内の溶液温度が50℃になった時点で、塩基性化合物(2−アミノ−2メチル−1−プロパノール)を同量のエタノールで溶解させた溶液を反応容器中に添加して重合体の中和率を80%にさせた。続けて、反応容器内の溶液が40質量%の不揮発分を含有するようにエタノールを更に添加した。これにより、重合体を含有する溶液(重合体含有溶液)を得た。なお、中和率は、下記式(2)により算出された。
中和率={(塩基性化合物のモル数)×(価数)}/(重合体の全酸基のモル数)×100 ・・・(2)
〔第1剤の作製〕
次に、各実施例及び比較例の重合体含有溶液(固形分;40%)を2.5部とし、この重合体含有溶液を、67.5部の精製水と、30部のエタノールと混合して、第1剤を作製した。
〔第2剤の作製〕
ビーカー内に、5.0部のグリセリンと、4.0部のステアリルアルコールと、2.5部のベヘントリモニウムクロリドと、1.0部のイソノナン酸エチルヘキシルとを投入した。このビーカーを75〜80℃に加熱した液相に設置してビーカー内の成分を全て溶融させた。溶融後、75〜80℃にした87.35部の水をビーカー内に投入しつつ溶融した成分と混合することで、溶融した成分と水とで乳化物を生じさせた。乳化後、ビーカー内に0.15部の1%クエン酸水溶液を添加した。その後、ビーカー内を室温まで冷却することで、クリーム状の第2剤を得た。
<評価>
各実施例及び比較例の第1剤と、第2剤とを多剤式トリートメントとして用いた。まず、第1剤をシャンプー処理後の毛束に塗布した。その後、第1剤が塗布された毛束に第2剤を塗布し、第1剤及び第2剤を混合させた。毛束の第1剤及び第2剤を洗い流した後、その毛束をドライヤーで乾燥させた。乾燥後の毛束を下記のようにして評価した。そして評価結果を下記表1に示す。なお、評価をするにあたって、第1剤及び第2剤で処理されていない毛束を対照毛髪として用いた。
(ツヤ感)
上記のように処理された毛束の「ツヤ感」を、下記評価項目に準じて評価した。
A:対照毛髪よりも良好であった。
B:対照毛髪よりも若干改善されていた。
C:対照毛髪から改善されていなかった。
(スベリ感)
上記のように処理された毛束の「スベリ感」を、下記評価項目に準じて評価した。
A:対照毛髪よりも良好であった。
B:対照毛髪よりも若干改善されていた。
C:対照毛髪から改善されていなかった。
(ごわつきの改善)
上記のように処理された毛束の「ごわつき」を、下記評価項目に準じて評価した。
A:対照毛髪よりも良好であった。
B:対照毛髪よりも若干改善されていた。
C:対照毛髪から改善されていなかった。
(持続性)
上記のように第1剤及び第2剤で処理された毛束に、更に3回シャンプー処理を行い、その後、ドライヤーでシャンプー処理後の毛束を乾燥させた。そして、シャンプー処理された毛束に関し、毛髪の「ツヤ感」、「スベリ感」、「ごわつきの改善」の評価を行い、その評価結果から、皮膜の持続性を下記評価項目に準じて評価した。
A:対照毛髪よりも非常に良好であった。
B:対照毛髪よりも良好であった。
C:対照毛髪から改善されていなかった。