(本開示の基礎となった知見)
誘導加熱調理器として、調理物を加熱する加熱プレートを複数の加熱コイルによって誘導加熱するものが知られている。
このような誘導加熱調理器においては、インバータから複数の加熱コイルのそれぞれに異なる周波数を有する高周波電流を同時に供給する場合、複数の加熱コイルのそれぞれから生じる電磁波が干渉し合い、干渉音が発生する場合がある。
そこで、本発明者らは、複数のインバータのオンオフを順次切り替えることによって、複数のインバータから複数の加熱コイルへの高周波電流の供給を順次切り替える誘導加熱調理器の構成を見出し、以下の発明に至った。
本発明の第1態様の誘導加熱調理器は、
誘導加熱される複数の発熱部、及び前記複数の発熱部で生じた熱を伝導する伝熱部を有する加熱プレートと、
前記加熱プレートを載置するトッププレートと、
前記トッププレートの下方に配置されると共に、前記加熱プレートの厚み方向から見て前記複数の発熱部が投影される領域に配置され、且つ前記複数の発熱部をそれぞれ誘導加熱する複数の加熱コイルと、
前記複数の加熱コイルのそれぞれに高周波電流を供給する複数のインバータと、
前記複数のインバータのそれぞれの出力を制御する制御部と、
を備え、
前記複数のインバータのそれぞれは、前記制御部から入力されるパルス波に基づいて前記高周波電流を発生させる1つのスイッチング素子を有し、
前記制御部は、
前記複数のインバータのそれぞれの前記スイッチング素子に入力する前記パルス波のオンタイムを設定し、
設定された前記パルス波を、前記複数のインバータのそれぞれの前記スイッチング素子に順次切り替えて入力することによって、前記複数のインバータのオンオフを順次切り替える。
本発明の第2態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、前記複数のインバータのうち1つのインバータをオンに切り替える一方、他のインバータをオフに切り替えてもよい。
本発明の第3態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、
前記複数のインバータのそれぞれにおいて、オンのときの前記パルス波の最後のオンタイムを記憶し、
前記複数のインバータのそれぞれにおいて、前記パルス波の最後のオンタイムに基づいて、次にオンになるときの前記パルス波の最初のオンタイムを設定してもよい。
本発明の第4態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、前記複数のインバータのそれぞれにおいて、前記パルス波の前記最初のオンタイムを前記最後のオンタイムと同じに設定してもよい。
本発明の第5態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、前記複数のインバータのうち、前記制御部で設定された目標出力に到達していないインバータについて、前記パルス波の前記最初のオンタイムを前記最後のオンタイムよりも長く設定してもよい。
本発明の第6態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、前記複数のインバータの出力に基づいて、前記複数のインバータのそれぞれにおいて高周波電流を出力する出力時間を設定してもよい。
本発明の第7態様の誘導加熱調理器においては、前記制御部は、前記複数のインバータのオンオフが切り替わる駆動周期における前記複数のインバータのそれぞれの出力を比較し、前記出力の差が相対的に大きい場合、相対的に小さい場合と比べて、前記駆動周期を長くしてもよい。
本発明の第8態様の誘導加熱調理器においては、更に、前記トッププレートの下面において前記複数の加熱コイルが配置される位置に配置される複数の温度検出部を備え、
前記制御部は、前記複数の温度検出部のそれぞれで検出された温度に基づいて、前記複数のインバータのそれぞれの出力を制御してもよい。
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。
(実施の形態)
[全体構成]
本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器の一例について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1の一例の斜視図である。図2は、図1の誘導加熱調理器1の分解斜視図である。図3は、本体20の一例の斜視図である。なお、図中において、X,Y及びZ方向は、それぞれ、誘導加熱調理器1の幅方向、長さ方向及び厚さ方向を意味する。
図1〜図3に示すように、誘導加熱調理器1は、加熱プレート10と、加熱プレート10を載置する本体20と、を備える。
[加熱プレート]
加熱プレート10は、上面に調理物を載せて加熱するプレートである。図1に示すように、加熱プレート10は、薄板状の平面プレートである。加熱プレート10は、例えば、厚さ方向、即ちZ方向から見て、長方形形状に形成されている。また、加熱プレート10は、幅方向、即ちX方向に延びる中心線CL1に対して左右対称形状を有する。加熱プレート10の幅方向に延びる中心線CL1とは、加熱プレート10の厚さ方向から見て、加熱プレート10の長さ方向、即ちY方向の両端から等しい距離にある線を意味する。
実施の形態において、加熱プレート10は、凹状に形成されている。具体的には、加熱プレート10は、フラットな板状部材の外縁を本体20側と反対側に屈曲して形成されている。
図2に示すように、加熱プレート10は、伝熱部11と、複数の発熱部12a、12bと、位置決め部13と、リブ14と、を有する。
また、加熱プレート10の上面には、複数の加熱領域A1、A2を仕切るための仕切り部15が形成されている。複数の加熱領域A1、A2は、それぞれ、複数の発熱部12a、12bによって加熱される領域である。
図4は、加熱プレート10の一例の底面図である。図4に示すように、加熱プレート10の下面には、複数の脚部16が設けられている。
<伝熱部>
伝熱部11は、加熱プレート10の外形を構成するものであり、複数の発熱部12a、12bと接続されている。伝熱部11は、複数の発熱部12a、12bで発生した熱を伝導する金属材料で形成されると共に、非磁性体材料で形成されている。本明細書において、「非磁性体材料」とは、強磁性体材料ではない材料であって、複数の発熱部12a、12bよりも透磁率が低い材料を意味する。
また、伝熱部11は、複数の発熱部12a、12bを形成する金属材料よりも電気抵抗、即ち固有抵抗が小さい金属材料で形成されている。例えば、伝熱部11を形成する金属材料の金属抵抗は、20℃の環境において、1.5mΩ×10−8mΩ以上3.0×10−8mΩ未満であることが好ましい。実施の形態の金属抵抗は、2.7×10−8mΩである。
また、伝熱部11は、複数の発熱部12a、12bを形成する金属材料よりも熱伝導率が大きい金属材料で形成されている。
例えば、伝熱部11の材料としては、アルミニウム、非磁性のステンレスなどが挙げられる。非磁性のステンレスとしては、例えば、オーステナイト系ステンレスなどが挙げられる。
実施の形態では、伝熱部11は、アルミニウムで形成されている。アルミニウムは、磁場の影響を受けにくいため、誘導加熱されにくい。このため、第1発熱部12aと第2発熱部12bとを伝熱部11を介して接続することによって、誘導加熱される加熱領域を切り分けやすい。一方で、アルミニウムは、熱伝導しやすい金属であるため、複数の発熱部12a、12bのそれぞれで発生した熱を加熱領域内で伝導させやすい。なお、アルミニウムの熱伝導率は、100℃の環境において、240W/m・Kである。更に、アルミニウムは、鉄等に比べて軽い金属であるため、加熱プレート10を軽くすることができる。このため、加熱プレート10を容易に持ち上げることができる。
<発熱部>
図2及び図4に示すように、複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の下面、即ち伝熱部11の下面に形成されている。複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の長さ方向、即ちY方向に整列している。また、複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の長さ方向に互いに離れて形成されており、伝熱部11を介して接続されている。具体的には、複数の発熱部12a、12bは、互いに直接接続されないように伝熱部11を挟んで接続されている。
実施の形態において、複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の中心線CL1に対して左右対称に設けられている。複数の発熱部12a、12bは、同じサイズおよび同じ形状で形成されている。具体的には、複数の発熱部12a、12bは、例えば、環状に形成されている。また、複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の下面側から見て、位置決め用の複数の凹凸が形成されている。
複数の発熱部12a、12bは、加熱プレート10の厚み方向から見たとき、本体20内部に収容される複数の加熱コイル23a、23bよりも大きい面積で形成されている。
複数の発熱部12a、12bは、電磁誘導により発熱可能な金属材料で形成されている。複数の発熱部12a、12bは、磁性体材料で形成されている。言い換えると、複数の発熱部12a、12bを形成する金属材料は、伝熱部11を形成する金属材料よりも透磁率が大きい。
複数の発熱部12a、12bは、伝熱部11を形成する金属材料よりも電気抵抗値が高い金属材料で形成されている。例えば、複数の発熱部12a、12bを形成する金属材料の電気抵抗は、20℃の環境において、10×10−8mΩ以上70×10−8mΩ以下であることが好ましい。より好ましくは、複数の発熱部12a、12bを形成する金属材料の電気抵抗は、60×10−8mΩ以上70×10−8mΩ以下であることが好ましい。
例えば、複数の発熱部12a、12bを形成する材料としては、鉄、ステンレスなどが挙げられる。ステンレスとしては、例えば、SUS304、SUS430などが上げられる。なお、SUS304及びSUS430の熱伝導率は、100℃の環境において、それぞれ、16W/m・K及び26W/m・Kである。
<位置決め部>
図2に示すように、位置決め部13は、加熱プレート10の下面から本体20の上に載置されるトッププレート22側に向かって突出し、トッププレート22の外縁に位置する。位置決め部13は、本体20上に加熱プレート10が載置される際に、加熱プレート10の位置決めを行う。
加熱プレート10は、複数の位置決め部13を有する。実施の形態において、加熱プレート10は、4つの位置決め部13を有する。複数の位置決め部13は、加熱プレート10の四隅に設けられている。複数の位置決め部13は、それぞれ、加熱プレート10の角部から本体20側に向かって突出している。加熱プレート10を本体20上に載置したとき、複数の位置決め部13は、それぞれ、トッププレート22の角部を囲うように配置される。複数の位置決め部13は、それぞれ、トッププレート22の角部の形状に対応するように、屈曲した板状の部材で形成されている。
このように、加熱プレート10の外縁に位置決め部13を形成することによって、加熱プレート10を本体20のトッププレート22上に位置決めすることができる。
<リブ>
図2及び図4に示すように、リブ14は、加熱プレート10の長さ方向、即ちY方向に沿って加熱プレート10の下面から本体20上に載置されるトッププレート22側に向かって突出し、トッププレートの外縁に位置する。
加熱プレート10は、複数のリブ14を有する。実施の形態において、加熱プレート10は、2つのリブ14を有する。複数のリブ14は、それぞれ、加熱プレート10の長さ方向の外縁に沿って形成されている。また、加熱プレート10の長さ方向の外縁に沿って延びる複数のリブ14は、それぞれ、加熱プレート10の角部に形成された位置決め部13と一体で形成されている。複数のリブ14は、それぞれ板状に形成されている。
図5Aは、図1の誘導加熱調理器1をB−B線で切断した断面図である。図5Bは、図5Aの誘導加熱調理器1のZ1部分を拡大した部分拡大断面図である。図5A及び図5Bに示すように、複数のリブ14が、加熱プレート10の長さ方向、即ちY方向の外縁に沿って形成されている。複数のリブ14は、加熱プレート10の下面からトッププレート22側に向かって突出して形成され、トッププレート22の長手方向の外縁22aに沿って配置される。
リブ14は、加熱プレート10の外側面10aの内側に位置する。外側面10aは、外側から視認される面である。リブ14を外側面10aよりも内側に配置することで、外観への影響を低減できる。
図5Bに示すように、リブ14の下端14aは、本体20の上に載置されるトッププレート22の上面22bより下方に位置し、トッププレート22の下面22cより上方に位置する。このため、リブ14の下端14aと本体20との間に隙間S1が形成されている。
実施の形態では、リブ14は、加熱プレート10の加熱領域が形成されている伝熱部11の厚みと同等の厚みを有する。例えば、リブ14の厚みは、伝熱部11の厚みの0.5倍以上1.5倍以下であってもよい。
このように、加熱プレート10の長さ方向の外縁に沿ってトッププレート22側に向かって突出するリブ14を形成することによって、加熱プレート10の長さ方向の外縁において熱を蓄積し、加熱プレート10の保温性を高めることができる。また、リブ14によって、デザイン性を損なわずに、加熱プレート10の下方に空気が流入し、保温性が低下することを抑制することができる。更に、リブ14によって、加熱プレート10の強度を高め、加熱プレート10が熱変形することを抑制することができる。
また、リブ14と本体20との間に隙間S1を設けることによって、加熱プレート10の熱が加熱プレート10の外縁から本体20へ直接伝導することを抑制することができる。
<仕切り部>
仕切り部15は、加熱プレート10の上面に形成される複数の加熱領域A1、A2を仕切る。実施の形態において、仕切り部15は、加熱プレート10の厚み方向から見て、加熱プレート10の幅方向に延びる中心線CL1に沿って、加熱プレート10の上面に設けられている。
このように、仕切り部15は、第1発熱部12aによって加熱される第1加熱領域A1と、第2発熱部12bによって加熱される第2加熱領域A2とを仕切っている。
仕切り部15は、例えば、加熱プレート10の幅方向に延びる中心線CL1に沿って延びる凹部である。仕切り部15を凹部で形成することによって、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とに跨がって容易に調理物を加熱することができる。
また、仕切り部15を凹部で形成することによって、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2との境界部分の伝熱部11の厚みを、他のフラットな部分の厚みよりも薄くすることができる。これにより、仕切り部15において熱伝導する面積を小さくし、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2との間で、互いに熱が伝導するのを抑制することができる。
<脚部>
脚部16は、加熱プレート10の下面からトッププレート22に延びて、加熱プレート10をトッププレート22上に支える。図4に示すように、脚部16は、複数の発熱部12a、12bの外側のみに設けられている。具体的には、脚部16は、加熱プレート10の長さ方向、即ちY方向において複数の発熱部12a、12bの外側のみに設けられている。脚部16は、例えば、加熱プレート10の下面からトッププレート22に延びる円柱状の部材で形成されている。
実施の形態において、加熱プレート10は、複数の脚部16を有する。複数の脚部16は、複数の発熱部12a、12bの外側のみにおいて、加熱プレート10の幅方向、即ちX方向に等間隔で整列している。
このように、加熱プレート10の下面に脚部16を設けることによって、加熱コイル23a、23bと発熱部12a、12bとの距離を一定に保つことができる。また、複数の発熱部12a、12bの外側のみに脚部16を設けることによって、熱により加熱プレート10に反りが生じた場合でも加熱プレート10を安定して支持することができる。
[本体]
本体20は、上面に加熱プレート10を載置して、加熱プレート10を加熱する。図3に示すように、本体20は、本体20の外形を構成する筐体21の上面にトッププレート22を載置している。また、本体20は、筐体21の正面に操作表示部30を設けている。
図2に示すように、本体20は、筐体21の内部に、複数の加熱コイル23a、23bと、複数の温度検出部24a、24bと、制御基板40と、冷却ファン51と、を収容している。
図6は、本発明の実施の形態に係る例示的な誘導加熱調理器1を下方向から見たときの斜視図である。図6に示すように、本体20において、冷却ファン51が取り付けられる本体20の長さ方向、即ちY方向における一端側の下面に、下面開口部25aが形成されている。また、本体20の長さ方向における一端側の側面には、側面開口部25bが形成されている。下面開口部25a及び側面開口部25bは、本体20の外部から内部へ空気を吸引するための開口部である。
一方、本体20の長さ方向における他端側の下面には、下面排気口26aが形成されている。また、図2に示すように、本体20の長さ方向における他端側の側面には、側面排気口26bが形成されている。下面排気口26a及び側面排気口26bは、本体20の内部から外部へ空気を排気する排気口である。
また、図6に示すように、本体20の長さ方向における一端側の側面には、制御基板40に電力を供給する電源コードを接続する接続端子27が設けられている。
<筐体>
筐体21は、第1筐体21aと第2筐体21bとを有する。第1筐体21aは、本体20の上側の外形を構成する。第2筐体21bは、本体20の下側の外形を構成する。
<トッププレート>
トッププレート22は、上面に加熱プレート10が載置される電気絶縁性の平板である。トッププレート22は、例えば、ガラス又はセラミック等の電気絶縁物で形成されている。トッププレート22は、本体20の上面、即ち第1筐体21aの上面に載置される。
<操作表示部>
操作表示部30は、誘導加熱調理器1の機能及び設定等を操作する操作部31と、誘導加熱調理器1の機能及び設定等を表示する表示部32と、を有する。操作部31は、例えば、ユーザがスイッチを操作することによって誘導加熱調理器1の電源のオンオフの切替、加熱温度、タイマー、及び/又はコース選択などを決定する。表示部32は、例えば、電源のオンオフ、設定された加熱温度、設定されたタイマー、選択されているコース、及び/又は異常を検知した場合の警告などを表示する。操作部31及び表示部32は、制御基板40に搭載された制御部によって制御される。
<加熱コイル>
複数の加熱コイル23a、23bは、それぞれ、トッププレート22の下方に配置され、且つ加熱プレート10の厚み方向、即ちZ方向から見て、複数の発熱部12a、12bが投影される領域に配置されている。実施の形態において、複数の加熱コイル23a、23bは、それぞれ、複数の発熱部12a、12bと対向する位置に配置されている。即ち、複数の加熱コイル23a、23bは、それぞれ、複数の発熱部12a、12bと1対1の配置関係になっている。
本明細書では、第1発熱部12aが投影される領域に配置される加熱コイルを第1加熱コイル23aとし、第2発熱部12bが投影される領域に配置される加熱コイルを第2加熱コイル23bとして説明する。
第1加熱コイル23a及び第2加熱コイル23bは、それぞれ、制御基板40に搭載される複数のインバータから高周波電流を供給される。これにより、第1加熱コイル23aが第1発熱部12aを誘導加熱する一方、第2加熱コイル23bが第2発熱部12bを誘導加熱する。
実施の形態では、第1加熱コイル23aは、平板状の取り付け板52に取り付けられると共に、冷却ファン51に隣接して配置される。
<温度検出部>
複数の温度検出部24a、24bは、それぞれ、加熱領域A1、A2の温度を検出する。即ち、複数の温度検出部24a、24bは、それぞれ、複数の発熱部12a、12bの温度を検出する。複数の温度検出部24a、24bは、トッププレート22の下面において複数の加熱コイル23a、23bが配置される位置にそれぞれ配置される。複数の温度検出部24a、24bは、複数の加熱コイル23a、23bとそれぞれ1対1の関係で配置される。
複数の温度検出部24a、24bは、例えば、サーミスタ又は赤外線温度センサなどで構成される。
本明細書では、第1加熱領域A1の温度を検出する温度検出部を第1温度検出部24aとし、第2加熱領域A2の温度を検出する温度検出部を第2温度検出部24bとして説明する。
実施の形態において、第1温度検出部24aは、第1加熱コイル23aの中央に配置され、第2温度検出部24bは、第2加熱コイル23bの中央に配置されている。これにより、第1発熱部12a及び第2発熱部12bの温度をより精度高く測定することができる。
複数の温度検出部24a、24bで検出された温度の情報は、制御基板40に搭載される制御部に送信される。
<制御基板>
制御基板40は、誘導加熱調理器1の制御を行う回路が搭載された基板である。図7は、誘導加熱調理器1の例示的な制御ブロック図である。図7に示すように、制御基板40は、制御部41と、複数のインバータ42a、42bと、複数の温度算出部43a、43bと、を有する。また、制御部41は、操作部31、表示部32及び報知部33と接続されている。
本明細書では、第1加熱コイル23aに高周波電流を供給するインバータを第1インバータ42aとし、第2加熱コイル23bに高周波電流を供給するインバータを第2インバータ42bとして説明する。また、第1温度検出部24aで検出された温度情報に基づいて第1発熱部12aの温度を算出する温度算出部を第1温度算出部43aとし、第2温度検出部24bで検出された温度情報に基づいて第2発熱部12bの温度を算出する温度算出部を第2温度算出部43bとして説明する。
なお、制御基板40を構成する要素は、例えば、これらの要素を機能させるプログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)を備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
<制御部>
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を制御する。具体的には、制御部41は、操作部31で設定された加熱温度の情報を操作部31から受信し、受信した加熱温度の情報に基づいて、複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を制御する。
例えば、ユーザが操作部31を介して、第1加熱領域A1の加熱温度を設定する。操作部31は、設定された加熱温度の情報を制御部41に送信する。制御部41は、操作部31から第1加熱領域A1の加熱温度の情報を受信し、受信した加熱温度の情報に基づいて、第1インバータ42aの出力を設定する。例えば、制御部41は、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aに供給される高周波電流の周波数及び出力時間等を設定する。次に、制御部41は、決定された出力に基づいて、第1加熱コイル23aへ高周波電流を出力させる。
このように、制御部41は、操作部31で設定された第1加熱領域A1の加熱温度に基づいて、第1インバータ42aの出力を制御している。同様に、制御部41は、操作部31で設定された第2加熱領域A2の加熱温度に基づいて、第2インバータ42bの出力を制御している。
このような制御により、制御部41は、加熱プレート10の第1発熱部12aで加熱される第1加熱領域A1と、第2発熱部12bで加熱される第2加熱領域A2とをそれぞれ個別に温度を調節することができる。
また、制御部41は、複数の温度検出部24a、24bで検出された温度の情報に基づいて、複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を制御している。例えば、加熱プレート10が加熱されている間に、第1温度検出部24aは、第1発熱部12aの温度情報、即ち第1加熱領域A1の温度情報を検出する。第1温度検出部24aで検出された温度情報は、制御部41の第1温度算出部43aに送信される。第1温度算出部43aは、検出された温度情報に基づいて、第1発熱部12aの温度を算出する。算出された第1発熱部12aの温度は、制御部41に送信される。制御部41は、算出された第1発熱部12aの温度と操作部31で設定された第1加熱領域A1の加熱温度とを比較する。制御部41は、比較結果に基づいて、第1発熱部12aの温度が操作部31で設定された加熱温度と同じになるように、第1インバータ42aの出力を調節する。
このように、制御部41は、第1温度検出部24aで検出された第1発熱部12aの温度情報、即ち第1加熱領域A1の温度情報に基づいて、第1インバータ42aの出力を制御している。同様に、制御部41は、第2温度検出部24bで検出された第2発熱部12bの温度情報、即ち第2加熱領域A2の温度情報に基づいて、第2インバータ42bの出力を制御している。
このような制御により、制御部41は、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とにおいて、設定された加熱温度を容易に実現できると共に、設定された加熱温度を容易に維持することができる。
また、制御部41は、例えば、操作部31で設定された第1加熱領域A1及び第2加熱領域A2の加熱温度、タイマー、及び/又はコースなどの情報を表示部32に送信する。表示部32は、制御部41から受信した情報に基づいて、設定されている加熱温度、タイマー、及び/又はコースの情報を表示する。
また、制御部41は、第1温度検出部24a及び第2温度検出部24bで検出された温度情報に基づいて、第1加熱領域A1及び第2加熱領域A2の温度が設定された加熱温度となっていると判断すると、報知部33を制御してユーザに報知する。例えば、制御部41は、予熱を完了したとき、ブザーなどで音による報知を行ってもよい。
<インバータ>
複数のインバータ42a、42bは、制御部41で設定された出力に応じて、複数の加熱コイル23a、23bのそれぞれに高周波電流を供給する。図8は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1の例示的な制御回路の一部の回路図である。図8に示すように、第1インバータ42aは、平滑コンデンサC1を介して第1加熱コイル23aと接続されている。第2インバータ42bは、平滑コンデンサC1を介して第2加熱コイル23bと接続されている。第1加熱コイル23aとコンデンサC2とは並列で接続されており、第2加熱コイル23bとコンデンサC3とは並列で接続されている。
複数のインバータ42a、42bは、それぞれ、スイッチング素子SW1、SW2を有する。実施の形態では、第1インバータ42aは第1スイッチング素子SW1を有し、第2インバータ42bは第2スイッチング素子SW2を有する。
第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2は、それぞれ、制御部41から入力されるパルス波に基づいて高周波電流を発生させるスイッチである。即ち、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2は、それぞれ、第1インバータ42a及び第2インバータ42bから第1加熱コイル23a及び第2加熱コイル23bにそれぞれ高周波電流を供給するスイッチである。第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transister)を用いている。IGBTは、制御部41からパルス波が入力されると、交流電源からDCコンバータを介して供給される直流電流を所望の出力に応じた高周波電流に変換する。IGBTは、制御部41によって設定されたパルス波に基づいて、直流電流を高周波電流に変換する。
第1インバータ42aは、制御部41から第1スイッチング素子SW1にパルス波が入力されている間、オンになる。第1インバータ42aは、オンになっている間、第1スイッチング素子SW1を用いて、制御部41から入力されたパルス波に基づいて高周波電流を発生させる。第1インバータ42aは、発生された高周波電流を第1加熱コイル23aに供給する。第1インバータ42aは、制御部41から第1スイッチング素子SW1にパルス波が入力されなくなるとオフになり、第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給を停止する。
同様に、第2インバータ42bは、制御部41から第2スイッチング素子SW2にパルス波が入力されている間、オンになる。第2インバータ42bは、第2スイッチング素子SW2を用いて、制御部41から入力されたパルス波に基づいて高周波電流を発生させる。第2インバータ42bは、発生させた高周波電流を第2加熱コイル23bに供給する。第2インバータ42bは、制御部41から第2スイッチング素子SW2にパルス波が入力されなくなるとオフになり、第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給を停止する。
このように、誘導加熱調理器1では、複数のインバータ42a、42bのそれぞれが1つのスイッチング素子(IGBT)を用いて、1つの加熱コイルへの高周波電流の供給を行っている。このような構成により、1つのインバータが2つのスイッチング素子を用いて、複数の加熱コイルへの高周波電流の供給を行う構成と比べて、コストを低減することができる。また、発熱量を抑えることができるため、排熱するためのヒートシンクを小さくすることができる。その結果、誘導加熱調理器1を薄型化することができる。
<温度算出部>
複数の温度算出部43a、43bは、それぞれ、複数の温度検出部24a、24bで検出された温度の情報に基づいて、複数の加熱領域A1、A2の温度を算出する。具体的には、第1温度算出部43a及び第2温度算出部43bは、それぞれ、第1温度検出部24a及び第2温度検出部24bから、第1加熱領域A1及び第2加熱領域のそれぞれの温度の情報を受信する。第1温度算出部43a及び第2温度算出部43bは、温度の情報に基づいて、第1加熱領域A1及び第2加熱領域のそれぞれの温度を算出する。第1温度算出部43a及び第2温度算出部43bは、算出した温度の情報を制御部41に送信する。
<冷却ファン>
図2に示すように、冷却ファン51は、本体20内部に冷却用の空気を送風するターボファンである。冷却ファン51は、本体20の外部から内部に空気を送風し、本体20内部に収容された複数の加熱コイル23a、23b、複数のインバータ42a、42b及び制御部41を冷却する。具体的には、冷却ファン51は、本体20の一端側に設けられた下面開口部25a及び側面開口部25bから、本体20の外部の空気を吸引し、本体20の内部に送風する。
図9は、例示的な本体の内部構成を示す概略構成図である。図9に示すように、冷却ファン51は、本体20の厚み方向、即ちZ方向に延びる回転軸CR1を有する。冷却ファン51は、本体20の長さ方向における一端側に取り付けられている。また、冷却ファン51は、第1加熱コイル23aを取り付ける取り付け板52と一体形成されたファンケーシング53に取り付けられている。
<ファンケーシング>
図10は、本体20の一端側に配置される冷却ファン51の周辺における本体内部の構成の一例を示す概略部分構成図である。図11は、本体20の一端側に配置される冷却ファン51の周辺における本体内部の構成の一例を示す別の概略部分構成図である。
図9〜11に示すように、ファンケーシング53は、冷却ファン51を内部に収容するケースである。ファンケーシング53の上面53aには、空気を吸気する吸気口54が設けられている。一方、ファンケーシング53の下面53bは、図6に示すように、第2筐体21bで塞がれている。即ち、ファンケーシング53の下面53bは、第2筐体21bで形成されている。
図9及び図10に示すように、吸気口54は、本体20の一端側の下面に設けられた下面開口部25aと連通している。また、吸気口54は、本体20の一端側の側面に設けられた側面開口部25bと連通している。このため、冷却ファン51を駆動すると、下面開口部25a及び側面開口部25bから本体20の外部の空気が吸引される。図10の矢印FL1に示すように、本体20の外部の空気は、下面開口部25a及び側面開口部25bを通って、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54に流入する。
下面開口部25aは、ファンケーシング53の下面53bよりも上方に位置している。即ち、ファンケーシング53の下面53bは、下面開口部25aよりも下方に位置している。このような構成により、下面開口部25aからの空気が、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54へ流入しやすくなる。
ファンケーシング53は、第1加熱コイル23aが配置される側の側面に、冷却ファン51から第1加熱コイル23aへ空気を送風する送風口55を有している。送風口55は、第1加熱コイル23aが取り付けられる取り付け板52の下面よりも下側に設けられている。これにより、図10の矢印FL2に示すように、冷却ファン51からの空気が、送風口55を通って、第1加熱コイル23aへ向かって送風される。
このように、冷却ファン51は、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54から冷却用の空気を吸気し、ファンケーシング53の側面に設けられた送風口55から空気を第1加熱コイル23aに送風している。
このような構成により、複数の加熱コイル23a、23bを冷却するために本体20内部に送風する空気の送風量を増大させることができるため、冷却効果を向上させることができる。
また、ファンケーシング53の上面53aに吸気口54を設けているため、水の流入を抑制することができる。例えば、本体20の底部の下方に水があったとしても、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54から空気を吸気することができるため、吸気口54に水が吸い込まれにくい。このため、ファンケーシング53の吸気口54から水が流入することを抑制することができる。
また、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54から空気を吸気するため、ファンケーシング53の下面53bを塞ぐことができる。このため、冷却ファン51を本体20の底面に近づけて配置することができる。即ち、本体20の高さを低くすることができる。その結果、誘導加熱調理器1によれば、ファンケーシングの下面に吸気口が設けられている構成と比べて、装置の厚みを小さくすることができる。その結果、誘導加熱調理器1の小型化することができる。
本体20内部においては、冷却ファン51が配置されている領域と、第1加熱コイル23aが配置されている領域とを仕切る仕切りリブ56が設けられている。仕切りリブ56は、本体20の外部からファンケーシング53の吸気口54へ空気が流れる流路と、ファンケーシング53の送風口55から第1加熱コイル23aへ空気が流れる流路とを、を仕切っている。具体的には、仕切りリブ56は、第1加熱コイル23aを取り付ける取り付け板52の上面から本体20の上面に向かって延びる板状の部材で形成されている。
このような構成により、第1加熱コイル23a側からファンケーシング53の吸気口54への空気の流れを、仕切りリブ56によって遮ることができる。その結果、第1加熱コイル23aの熱で暖められた空気が、吸気口54に吸入されることを抑制することができる。
図11に示すように、本体20内部においては、側面開口部25bとファンケーシング53の吸気口54との間の流路に、本体20の厚み方向、即ちZ方向に延びる水切りリブ57が形成されている。水切りリブ57は、本体20の幅方向、即ちX方向に延びる板状の部材である。水切りリブ57の上面57aは、ファンケーシング53の吸気口54よりも高い位置に形成されている。
このような構成により、本体20の外部から側面開口部25bを通って本体20の内部に水が浸入してきた場合、水切りリブ57によって、水が吸気口54に流入することを抑制することができる。
また、本体20の一端側の側面に、誘導加熱調理器1に電力を供給する電源コードを接続する接続端子27が設けられている。このように、接続端子27を、排気口26a、26bが設けられる他端側に設けないことで、本体20内部で暖められた空気によって接続端子27が熱くなることを抑制することができる。
[加熱制御]
次に、誘導加熱調理器1の例示的な加熱制御について説明する。
図12Aは、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1の加熱制御の一例を示す図である。図12Aにおいては、制御部41による第1インバータ42aの出力の制御、第2インバータ42bの出力の制御、及び全体の出力を示す。全体の出力とは、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力との合計を意味する。また、図12Aに示す制御は、加熱プレート10の第1加熱領域A1及び第2加熱領域A2の両方を同じ加熱温度で加熱する場合の第1インバータ42a及び第2インバータ42bの出力の制御を示す。
図12Aに示すように、制御部41は、加熱プレート10の第1加熱領域A1及び第2加熱領域A2の両方を同じ加熱温度で加熱する場合、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの両方の出力をP1に設定する。P1は、例えば、操作部31で設定された加熱温度に基づいて算出されたインバータの出力である。即ち、P1はユーザが設定した所望の加熱温度に対応する出力である。
次に、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bのオンオフを順次切り替えることによって、第1インバータ42aの出力と、第2インバータ42bの出力と、を順次切り替える。これにより、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給と、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給と、を順次切り替える。その結果、第1発熱部12aと第2発熱部12bとを順次誘導加熱することによって、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とを順次加熱する。これにより、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とを同じ温度に加熱している。
実施の形態では、制御部41は、2つのインバータ42a、42bを制御しており、第1インバータ42aの出力と、第2インバータ42bの出力と、を交互に切り替えている。即ち、制御部41は、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給と、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給と、を交互に切り替えている。
具体的には、制御部41は、加熱を開始すると、第1スイッチング素子SW1にパルス波を入力することによって、第1インバータ42aをオンにする。第1インバータ42aは、オンになっている間、制御部41から入力されたパルス波に基づいて高周波電流を発生させる。第1インバータ42aは、発生させた高周波電流を第1加熱コイル23aに供給する。ここで、制御部41は、第1インバータ42aの出力を0から開始して、P1まで徐々に上げていく。
第1インバータ42aの出力がP1に達すると、制御部41は、第1スイッチング素子SW1へのパルス波の入力を停止し、第1インバータ42aをオンからオフに切り替える。これにより、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給を停止する。即ち、第1インバータ42aの出力を停止する。
次に、制御部41は、第2スイッチング素子SW2にパルス波を入力することによって、第2インバータ42bをオフからオンに切り替える。第2インバータ42bは、オンになっている間、制御部41から入力されたパルス波に基づいて高周波電流を発生させる。第2インバータ42bは、発生させた高周波電流を第2加熱コイル23bに供給する。ここで、制御部41は、第2インバータ42bの出力を0から開始して、P1まで徐々に上げていく。
第2インバータ42bの出力がP1に達すると、制御部41は、第2スイッチング素子SW2へのパルス波の入力を停止し、第2インバータ42bをオンからオフに切り替える。これにより、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給を停止する。即ち、第2インバータ42bの出力を停止する。
図12Aに示す加熱制御においては、上述した第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを順次切り替えて、第1加熱コイル23aと第2加熱コイル23bとを順次加熱している。
このように、制御部41は、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを交互に切り替えることによって、全体の出力をP1にしている。これにより、加熱プレート10の全面を所定の加熱温度で均一に加熱することができる。
また、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを交互に切り替えることによって、第1インバータ42aからの高周波電流の供給と第2インバータ42bからの高周波電流の供給とを交互に行っている。即ち、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへ高周波電流を供給しているとき、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給を停止している。一方、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへ高周波電流を供給しているとき、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給を停止している。
また、高周波電流が第1加熱コイル23a及び第2加熱コイル23bに同時に供給されないため、第1加熱コイル23aから生じる電磁波と、第2加熱コイル23bから生じる電磁波とが干渉しない。このため、これらの電磁波の干渉による干渉音が生じることを抑制することができる。
第1インバータ42a及び第2インバータ42bの両方をオンにして複数の加熱コイル23a、23bに高周波電流を同時に供給する場合、干渉音が生じることがある。例えば、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とが異なると、高周波電流の周波数が異なることになり、それぞれのインバータから発生する電磁波が干渉することによって、干渉音が発生することがある。誘導加熱調理器1によれば、第1インバータ42a及び第2インバータ42bを交互にオンオフを切り替えるため、高周波電流が第1加熱コイル23a及び第2加熱コイル23bに交互に供給される。このため、複数の加熱コイル23a、23bに高周波電流が同時に供給されず、干渉音が発生することを抑制することができる。即ち、誘導加熱調理器1によれば、ユーザが不快に感じるような干渉音の発生を抑制することができる。
また、制御部41は、第1インバータ42aがオフからオンに切り替わるとき、第1インバータ42aの出力を毎回0から開始し、P1まで徐々に上げている。また、制御部41は、第2インバータ42bがオフからオンに切り替わるとき、第2インバータ42bの出力を毎回0から開始し、P1まで徐々に上げている。
このように、制御部41は、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを切り替える度に、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの出力開始時の出力を低くしている。このように制御することにより、第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを切り替えたときに、第1インバータ42a及び第2インバータ42bにかかる負荷を低減することができる。
図12Bは、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1の加熱制御の別例を示す図である。図12Bに示す加熱制御では、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの前回の出力情報に基づいて次回の出力を設定している。なお、図12Bに示す加熱制御では、制御部41が第1インバータ42aの出力と第2インバータ42bの出力とを順次切り替える点において、図12Aに示す加熱制御と同じである。
図12Bに示すように、制御部41は、第1インバータ42aがオンときの第1インバータ42aの出力情報、及び第2インバータ42bがオンのときの第2インバータ42bの出力情報を記憶している。制御部41は、記憶した出力情報に基づいて第1インバータ42a及び第2インバータ42bの出力を制御している。
例えば、制御部41は、加熱を開始すると、第1スイッチング素子SW1にパルス波を入力し、第1インバータ42aをオンにする。これにより、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給を開始する。高周波電流の供給を開始すると、制御部41は、第1インバータ42aの出力を0からP1まで徐々に上げていく。
また、制御部41は、第1インバータ42aがオンのときの第1インバータ42aの出力情報を記憶する。出力情報は、例えば、第1インバータ42aの出力及び出力時間を含む。
次に、制御部41は、記憶した出力情報に基づいて、次に第1インバータ42aがオンになるときの第1インバータ42aの出力を設定する。出力情報に基づくインバータの出力の設定の詳細については、後述する「加熱制御の詳細」にて説明する。
制御部41は、記憶した出力情報において、前回の第1インバータ42aの第1出力がP1である場合、次に出力される第1インバータ42aの第2出力をP1に設定する。具体的には、制御部41は、第1インバータ42aの第2出力を0から開始してP1まで徐々に上げていくのではなく、最初からP1で開始するように設定する。
また、制御部41は、記憶した出力情報において、前回の第1インバータ42aの第1出力時間ts1に基づいて、次回の第1インバータ42aの第2出力時間ts2を設定する。なお、出力時間とは、スイッチング素子にパルス波が入力されてインバータがオンになっている時間、即ち、インバータが加熱コイルへ高周波電流を供給している時間である。
図12Bに示す加熱制御では、制御部41は、第1インバータ42aを2回目以降にオンにするとき、第1インバータ42aの出力を低下させずにP1一定に設定している。また、制御部41は、出力時間ts1、ts2、ts3をすべて同じ時間に設定している。
制御部41は、第2インバータ42bの出力の制御についても、第1インバータ42aの出力の制御と同様の制御を行っている。即ち、制御部41は、第2インバータ42bを2回目以降にオンにするとき、第2インバータ42bの出力を低下させずにP1一定に設定している。また、制御部41は、出力時間ts11、ts12、ts13をすべて同じ時間に設定している。
このように制御することにより、第1インバータ42a及び第2インバータ42bから高周波電流を効率良く出力することができ、加熱プレート10を効率良く加熱することができる。
なお、図12Bに示す加熱制御では、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bを2回目以降でオンにするとき、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの出力を低下させずにP1一定とする例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの前回の出力に基づいて、次の出力を変更してもよい。
また、図12Bに示す加熱制御では、制御部41は、第1インバータ42aの出力時間ts1、ts2、ts3をすべて同じ時間に設定し、第2インバータ42bの出力時間ts11、ts12、ts13をすべて同じ時間に設定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bの前回の出力に基づいて、次の出力時間ts2、ts12を前回の出力時間ts1、ts11と異なる時間に設定してもよい。
[加熱制御の詳細]
次に、誘導加熱調理器1の詳細な加熱制御の一例を説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1の詳細な加熱制御の一例を示す図である。図13は、制御部41のパルス波の制御の一例を示す。図13においては、第1インバータ42aの第1スイッチング素子SW1に入力される第1パルス波と、第2インバータ42bの第2スイッチング素子SW2に入力される第2パルス波とが示されている。
図13に示すように、制御部41は、第1インバータ42aの第1スイッチング素子SW1への第1パルス波の入力と、第2インバータ42bの第2スイッチング素子SW2への第2パルス波の入力と、を交互に行っている。これにより、制御部41は、第1インバータ42aから第1加熱コイル23aへの高周波電流の供給と、第2インバータ42bから第2加熱コイル23bへの高周波電流の供給と、を交互に行っている。
第1インバータ42aの出力を制御する制御部41の第1パルス波の制御について説明する。制御部41は、例えば、操作部31で設定された加熱温度に基づいて、第1インバータ42aの出力を設定する。具体的には、制御部41は、第1インバータ42aの第1スイッチング素子SW1に入力する第1パルス波のオンタイムを設定する。制御部41は、第1パルス波のオン/オフのデューティが一定の条件下として、第1パルス波のオンタイムを設定することによって、第1パルス波の第1周波数f1を設定している。また、制御部41は、第1パルス波のオンタイムに基づいて、第1出力時間ts1を設定している。
制御部41は、第1パルス波を第1スイッチング素子SW1に入力することによって、第1インバータ42aをオンにする。第1インバータ42aがオンになっている第1出力時間ts1の間、第1インバータ42aは、制御部41から入力された第1パルス波に基づいて、第1スイッチング素子SW1によって直流電流を高周波電流に変換する。これにより、第1インバータ42aは、高周波電流を第1加熱コイル23aに供給する。このとき、制御部41は、第1出力時間ts1における第1パルス波の最後のオンタイムt1を記憶する。
制御部41は、第1出力時間ts1における第1パルス波の最後のオンタイムt1に基づいて、次に第1インバータ42aがオンになるときの第2出力時間ts2における第1パルス波の最初のオンタイムt2を設定する。
実施の形態では、制御部41は、次に第1インバータ42aがオンになるときの第2出力時間ts2における第1パルス波の最初のオンタイムt2を、第1出力時間ts1における第1パルス波の最後のオンタイムt1と同じに設定する。
これにより、制御部41は、次に第1インバータ42aがオンになるときの第2出力時間ts2における第1パルス波の第2周波数f2を設定することができる。実施の形態では、制御部41は、第2周波数f2を第1周波数f1と同じに設定している。
また、制御部41は、第2出力時間ts2における第1パルス波の最初のオンタイムt2に基づいて、第2出力時間ts2を設定する。実施の形態では、第2出力時間ts2における第1パルス波の最初のオンタイムt2が、第1出力時間ts1における第1パルス波の最後のオンタイムt1と同じに設定されているため、第2出力時間ts2は第1出力時間ts1と同じ時間に設定される。
このように、制御部41は、前回第1インバータ42aがオンのときの第1パルス波の最後のオンタイムt1に基づいて、次に第1インバータ42aがオンになるときの第1パルス波の最初のオンタイムt2を設定している。これにより、第1インバータ42aは、前回の出力情報に基づいて、次回の第1インバータ42aの出力を行うことができる。その結果、加熱プレート10の第1加熱領域A1を効率良く加熱することができる。
第2インバータ42bの出力を制御する制御部41の第2パルス波の制御についても、第1パルス波の制御と同様である。
制御部41は、第2インバータ42bの第2スイッチング素子SW2に入力する第2パルス波のオンタイムを設定する。次に、制御部41は、第2パルス波を第2スイッチング素子SW2に入力することによって、第2インバータ42bをオンにする。第2インバータ42bがオンになっている第1出力時間ts11の間、第2インバータ42bは、制御部41から入力された第2パルス波に基づいて、第2スイッチング素子SW2によって直流電流を高周波電流に変換する。これにより、第2インバータ42bは、高周波電流を第2加熱コイル23bに供給する。このとき、制御部41は、第1出力時間ts11における第2パルス波の最後のオンタイムt11を記憶する。
制御部41は、第1出力時間ts11における第2パルス波の最後のオンタイムt11に基づいて、第2出力時間ts12における第2パルス波の最初のオンタイムt12を設定する。これにより、制御部41は、第2出力時間ts12において第2インバータ42bの第2パルス波の第2周波数f12を設定する。
実施の形態では、制御部41は、第1出力時間ts11における第2パルス波の第1周波数f11と、第2出力時間ts12における第2パルス波の第2周波数f12とを同じに設定している。また、制御部41は、第2出力時間ts12を、第1出力時間ts11と同じ時間に設定している。
このように、制御部41は、出力情報として、前回の出力時間におけるパルス波の最後のオンタイムを記憶し、パルス波の最後のオンタイムに基づいて、次のパルス波の最初のオンタイムを設定している。このような制御をすることにより、前回の出力情報を引き継いで、インバータの出力を制御することができるため、加熱プレート10のそれぞれの加熱領域を効率良く加熱することができる。
なお、図13に示す加熱制御では、制御部41は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bにおける第1出力時間ts1、ts11と、第2出力時間ts2、ts12とをそれぞれ同じに設定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、加熱中に加熱温度の設定が変更された場合などでは、制御部41は、第1出力時間ts1、ts11と、第2出力時間ts2、ts12とをそれぞれ異なる時間に設定してもよい。
また、第1インバータ42aの出力時間ts1、ts2と、第2インバータ42bの出力時間ts11、ts12とは異なっていてもよい。出力時間ts1、ts2、ts11、ts12は、第1インバータ42a及び第2インバータ42bのそれぞれの出力の大きさに応じて設定されてもよい。
また、制御部41は、複数のインバータ42a、42bのオンオフが切り替わる駆動周期tc1、tc2における複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を比較し、出力の差に基づいて、駆動周期tc1、tc2を調節してもよい。
なお、駆動周期tc1、tc2とは、第1インバータ42aがオンになってから、次に第1インバータ42aがオンになるまでの期間を意味する。言い換えると、駆動周期tc1、tc2とは、第1パルス波が入力されてから次に第1パルス波が入力されるまでの期間を意味する。図13に示すように、駆動周期tc1は、第1パルス波の第1出力時間ts1と第2パルス波の第1出力時間ts11とを合計した期間である。また、駆動周期tc2は、第1パルス波の第2出力時間ts2と第2パルス波の第2出力時間ts12とを合計した期間である。
例えば、制御部41は、駆動周期tc1、tc2における複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力(つまり、誘導加熱調理器の消費出力であり、毎秒出力)を比較し、出力(つまり、誘導加熱調理器の消費出力であり、毎秒出力)の差が相対的に大きい場合、相対的に小さい場合と比べて、駆動周期tc1、tc2を長くしてもよい。あるいは、制御部41は、駆動周期tc1、tc2における複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を比較し、出力の差が相対的に小さい場合、相対的に大きい場合と比べて、駆動周期tc1、tc2を短くしてもよい。
このような制御により、複数の加熱コイル23a、23bの周辺にある照明などの機器が影響を受け、機器が誤動作することを抑制することができる。
なお、図13に示す加熱制御では、制御部41は、第2出力時間ts2、ts12におけるパルス波の最初のオンタイムt2、t12を、第1出力時間ts1、ts11におけるパルス波の最後のオンタイムt1、t11とそれぞれ同じに設定する例について説明したが、これに限定されない。制御部41は、第2出力時間ts2、ts12におけるパルス波の最初のオンタイムt2、t12を、第1出力時間ts1、ts11におけるパルス波の最後のオンタイムt1、t11とそれぞれ異なるように設定してもよい。
例えば、第1インバータ42aの第1出力時間ts1において、制御部41で設定された目標出力P1に到達していない場合を説明する。この場合、制御部41は、第1インバータ42aについて、第2出力時間ts2における第1パルス波の最初のオンタイムt2を、第1出力時間ts1における第1パルス波の最後のオンタイムt1よりも長く設定してもよい。
このような制御により、インバータを適切な出力に設定することができ、所望の加熱温度まで素早く加熱することができる。
[効果]
実施の形態1に係る誘導加熱調理器1によれば、以下の効果を奏することができる。
誘導加熱調理器1において、加熱プレート10は、複数の発熱部12a、12bを有する。また、加熱プレート10の厚み方向から見て複数の発熱部12a、12bが投影される領域に、複数の加熱コイル23a、23bがそれぞれ配置されている。このような構成により、複数の発熱部12a、12bによりそれぞれ加熱される複数の加熱領域A1、A2を1つの加熱プレート10上に形成し、複数の加熱領域A1、A2をそれぞれ個別に加熱することができる。
また、複数の加熱領域A1、A2のそれぞれの加熱温度は、制御部41によって、個別に調節することができる。このため、誘導加熱調理器1によれば、複数の加熱領域A1、A2のそれぞれにおいて、ユーザが設定した加熱温度を実現することができる。その結果、ユーザは複数の加熱領域A1、A2のそれぞれにおいて、設定した加熱温度で調理物を加熱することができる。したがって、誘導加熱調理器1によれば、利便性を向上させることができる。
複数のインバータ42a、42bのそれぞれは、制御部41から入力されるパルス波に基づいて高周波電流を発生させる1つのスイッチング素子SW1、SW2を有している。制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれのスイッチング素子SW1、SW2に入力するパルス波のオンタイムを設定している。また、制御部41は、設定されたパルス波を、複数のインバータ42a、42bのそれぞれのスイッチング素子SW1、SW2に順次切り替えて入力することによって、複数のインバータ42a、42bのオンオフを順次切り替えている。このような構成により、複数のインバータ42a、42bの高周波電流の出力を順次切り替えることができる。これにより、複数の加熱コイル23a、23bから発生する電磁波が互いに干渉することを抑制することができ、干渉音の発生を抑制することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのうち1つのインバータをオンに切り替える一方、他のインバータをオフに切り替えている。このような構成により、複数のインバータ42a、42bから同時に高周波電流が出力されないため、複数の加熱コイル23a、23bから発生する電磁波が互いに干渉することを更に抑制することができる。その結果、干渉音の発生を更に抑制することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれにおいて、オンのときのパルス波の最後のオンタイムt1、t11を記憶している。また、制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれにおいて、パルス波の最後のオンタイムt1、t11に基づいて、次にオンになるときのパルス波の最初のオンタイムt2、t12を設定している。このような構成により、前回のインバータの出力に基づいて、次回のインバータの出力を適切に調節することができる。このため、干渉音の発生を抑制しつつ、加熱プレート10を効率良く加熱し、短期間で所望の加熱温度に加熱することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれにおいて、パルス波の最初のオンタイムt2、t12を最後のオンタイムt1、t11と同じに設定している。このような構成により、インバータの前回の出力を、次回の出力に引き継ぐことができる。これにより、干渉音の発生を抑制しつつ、加熱プレート10を更に効率良く加熱し、短期間で所望の加熱温度に加熱することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのうち、制御部41で設定された目標出力に到達していないインバータについて、次のパルス波の最初のオンタイムt2、t12を前回の最後のオンタイムt1、t11よりも長く設定する。このような構成により、短時間で目標とする出力に達成させることができる。これにより、干渉音の発生を抑制しつつ、加熱プレート10を更に効率良く加熱し、短期間で所望の加熱温度に加熱することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bの出力に基づいて、複数のインバータ42a、42bのそれぞれにおいて高周波電流を出力する出力時間ts1、ts2、ts11、ts12を設定している。このような構成により、複数のインバータ42a、42bの出力に応じて、適切な出力時間を設定することができる。
制御部41は、複数のインバータ42a、42bのオンオフが切り替わる駆動周期tc1、tc2における複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力(つまり、誘導加熱調理器の消費出力であり、毎秒出力)を比較し、出力(つまり、誘導加熱調理器の消費出力であり、毎秒出力)の差が相対的に大きい場合、相対的に小さい場合と比べて、インバータ42a、42bの駆動周期tc1、tc2を長くする。たとえば、出力の差が300Wのとき、駆動周期tc1、tc2をそれぞれ10秒程度とするのに対し、出力の差が250Wのとき、駆動周期tc1、tc2をそれぞれ5秒程度としてもよい。このような構成により、複数のインバータ42a、42bの出力差により、複数の加熱コイル23a、23bの周辺に配置された照明などの機器が影響を受けて、異常な動作をすることを抑制することができる。
誘導加熱調理器1は、複数の加熱コイル23a、23bが配置される位置に複数の温度検出部24a、24bをそれぞれ配置している。複数の温度検出部24a、24bは、複数の加熱領域A1、A2のそれぞれの温度を検出している。制御部41は、複数の温度検出部24a、24bのそれぞれで検出された温度に基づいて、複数のインバータ42a、42bのそれぞれの出力を制御している。このため、ユーザが設定した複数の加熱領域A1、A2のそれぞれにおける加熱温度を精度高く実現することができる。その結果、ユーザは複数の加熱領域A1、A2のそれぞれにおいて、設定した加熱温度で調理物を加熱することができる。
[実施例1]
図14は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器において加熱実験を行ったときの実験結果の一例を示すグラフである。図14に示すグラフは、加熱プレート10の第1加熱領域A1を第1目標加熱温度Tg1に加熱すると共に、第2加熱領域A2を第2目標加熱温度Tg2に加熱したときの第1加熱領域A1及び第2加熱領域A2における温度を測定した結果を示す。なお、第1目標加熱温度Tg1は250℃であり、第2目標加熱温度Tg2は90℃である。第1目標加熱温度Tg1及び第2目標加熱温度Tg2は、操作部31で設定した加熱温度である。
図14に示すように、第1加熱領域A1の測定温度は、200秒程度で第1目標加熱温度Tg1に達し、第1目標加熱温度Tg1を保っている。また、第2加熱領域A2の測定温度についても、200秒程度で第2目標加熱温度Tg2に達し、第2目標加熱温度Tg2を保っている。
このように、誘導加熱調理器1によれば、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とにおいて、それぞれ個別に加熱温度を第1目標加熱温度Tg1及び第2目標加熱温度Tg2に精度高く調節することができる。即ち、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2とで左右の加熱温度が異なっていても、それぞれの加熱領域A1,A2の温度を精度高く調節することができる。
また、誘導加熱調理器1によれば、加熱プレート10を効率良く加熱し、短時間で所望の加熱温度まで加熱することができる。
また、誘導加熱調理器1によれば、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2の温度を検出しながら温度調節しているため、第1加熱領域A1と第2加熱領域A2の温度をそれぞれ第1目標加熱温度Tg1及び第2目標加熱温度Tg2に保つことができる。
なお、実施の形態では、加熱プレート10は、薄板状のフラットなプレートを例として説明したが、これに限定されない。例えば、加熱プレート10は、半球状に窪んだ複数の凹部を有するプレート、所謂たこ焼きプレート、長方形状に窪んだ複数の凹部を有するプレート、あるいは、これらのプレートを組み合わせたプレートであってもよい。組み合わせたプレートは、例えば、第1加熱領域A1がフラットなプレートであり、第2加熱領域A2がたこ焼きプレートであってもよい。また、厚み方向から見たときの加熱プレート10の形状は、長方形形状に限定されない。例えば、厚み方向から見たときの加熱プレート10の形状は、正方形、円形、又は楕円形などであってもよい。
実施の形態では、加熱プレート10は、2つの発熱部12a、12bを有する例を説明したが、これに限定されない。加熱プレート10は、2つ以上の発熱部を有していてもよい。また、複数の発熱部12a、12bは、環状に形成されている例について説明したが、これに限定されない。複数の発熱部12a、12bの形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、又は多角形であってもよい。
また、複数の発熱部12a、12bは、同じサイズおよび同じ形状で形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、複数の発熱部12a、12bは、それぞれ、異なるサイズおよび異なる形状で形成されていてもよい。
実施の形態では、加熱プレート10は、幅方向に延びる中心線CL1に対して左右対称形状を有する例を説明したが、これに限定されない。また、複数の発熱部12a、12bについても、中心線CL1に対して左右対称に設けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、加熱プレート10及び複数の発熱部12a、12bを左右の形状を異なるように形成することによって、加熱プレート10を本体20に取り付ける際に取り付け方向を固定することができる。これにより、加熱プレート10が本体20に誤った方向に取り付けられることを防止することができる。
実施の形態では、加熱プレート10は、複数の位置決め部13を有する例について説明したが、これに限定されない。加熱プレート10は、1つ以上の位置決め部13を有していればよい。また、複数の位置決め部13は、加熱プレート10の角部に形成される例について説明したが、これに限定されない。複数の位置決め部13は、本体20の上に載置されるトッププレート22の外縁に位置すればよい。
また、加熱プレート10は、位置決め部13によってトッププレート22上に位置決めされる例について説明したが、これに限定されない。例えば、本体20の外縁に取り付けられるフレームにより加熱プレート10の位置決めを行ってもよい。
図15は、本発明の実施の形態に係る誘導加熱調理器1にフレーム60を取り付けた状態の一例の概略構成図である。図15に示すように、フレーム60は、加熱プレート10の外縁を囲うように配置される。また、フレーム60は、トッププレート22よりも下方に延び、且つトッププレート22を載置する本体20の外縁に接触するフレーム脚部61を有する。図15に示す例では、フレーム60は、本体20の複数の角部に接触する複数のフレーム脚部61を有する。このような構成により、加熱プレート10がフレーム60の内側に配置されると、加熱プレート10の外縁がフレーム60の内壁に接触する。これにより、加熱プレート10がトッププレート22上に載置された状態で、フレーム60によって位置決めすることができる。
実施の形態では、加熱プレート10は、複数のリブ14を有する例について説明したが、これに限定されない。加熱プレート10は、1つ以上のリブ14を有していればよい。また、リブ14は、位置決め部13と一体で形成されている例について説明したが、これに限定されない。リブ14は、位置決め部13と別個の部材で形成されていてもよい。
実施の形態では、仕切り部15は、凹部で形成される例について説明したが、これに限定されない。仕切り部15は、例えば、凸部で形成されていてもよい。このような構成により、ユーザは、第1加熱領域A1で加熱する調理物と、第2加熱領域A2で加熱する調理物と、を混ざらないように調理することができる。
また、仕切り部15は、加熱プレート10の幅方向に延びる中心線CL1に沿って設けられる例について説明したが、これに限定されない。仕切り部15は、複数の加熱領域A1,A2を仕切ることができればよく、複数の発熱部12a、12bとの間の加熱プレート10の上面に設けられていればよい。
実施の形態では、加熱プレート10は、円柱形状の複数の脚部16を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、脚部16は、楕円形状、多角形状を有していてもよい。
実施の形態では、第1加熱コイル23a及び第2加熱コイル23bは、それぞれ、加熱プレート10の厚み方向から見て第1発熱部12a及び第2発熱部12bが投影される領域に1対1で対向して配置される例について説明したが、これに限定されない。第1発熱部12a及び第2発熱部12bのそれぞれに対して、複数の加熱コイルが対向して配置されてもよい。例えば、第1発熱部12aが投影される領域に、複数の第1加熱コイル23aが同心円上に配置されていてもよい。同様に、第2発熱部12bが投影される領域に、複数の第2加熱コイル23bが同心円上に配置されていてもよい。
実施の形態では、複数の温度検出部24a、24bは、複数の加熱コイル23a、23bの中央に配置される例について説明したが、これに限定されない。
実施の形態では、開口部は、下面開口部25a及び側面開口部25bである例を説明したが、これに限定されない。開口部は、下面開口部25aと側面開口部25bとのうちのいずれかであってもよい。同様に、排気口は、下面排気口26a及び側面排気口26bである例を説明したが、これに限定されない。排気口は、下面排気口26aと側面排気口26bとのうちのいずれかであってもよい。
実施の形態では、冷却ファン51は、ターボファンである例について説明したが、これに限定されない。冷却ファン51は、ファンケーシング53の上面53aに設けられた吸気口54から空気を吸気し、ファンケーシング53の側面に設けられた送風口55から空気を送風可能なファンであればよい。
実施の形態では、ファンケーシング53の下面53bは、第2筐体21bで形成される例について説明したが、これに限定されない。ファンケーシング53は、下面53bも含めて一体の部材で形成されていてもよい。また、ファンケーシング53の下面53bは、第2筐体21bとは別の部材で形成されていてもよいし、第2筐体21bと別の部材との組み合わせで形成されていてもよい。
実施の形態では、誘導加熱調理器1は温度検出部24a、24bを有するが、温度検出部24a、24bを有さなくてもよい。または、誘導加熱調理器1が温度検出部24a、24bを有する場合であっても、検出された温度に基づいてインバータ42a、42bの出力が設定されなくてもよい。
この場合、たとえばユーザは、操作部31を介して、温度の代わりに火力を設定できてもよい。火力は、たとえば強火、中火、および弱火のいずれかから選択できてもよい。または、ユーザは、火力と調理時間とを組み合わせた複数の調理メニューから、いずれか1つを選択できてもよい。設定された火力、または調理メニューに応じて、制御部41はインバータ42a、42bの出力を制御する。つまり、制御部41は、スイッチング素子SW1、SW2に印加するパルス波のオンタイムを制御する。また制御部41は、複数のインバータ42a、42bのそれぞれにおいて高周波電流を出力する出力時間を制御する。
この場合も、制御部41は、設定されたパルス波を、インバータ42a、42bのそれぞれのスイッチング素子SW1、SW2に順次切り替えて入力することによって、複数のインバータ42a、42bのオンオフを順次切り替えている。このような構成により、複数のインバータ42a、42bの高周波電流の出力を順次切り替えることができる。これにより、複数の加熱コイル23a、23bから発生する電磁波が互いに干渉することを抑制することができ、干渉音の発生を抑制できる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。