以下、本発明に係る回収シュート20を備えた遊技媒体循環システム4について、図面を参照して説明する。ここでは、遊技媒体循環システム4を遊技ホールにおける遊技機島1に適用した場合について説明する。
図1で示すように、この実施形態における遊技機島1は、スロットマシン2(遊技媒体使用機)とメダル貸出機3(遊技媒体使用機)が交互に複数並設される遊技媒体使用機列5が、手前側から左側に湾曲する曲線上に延在されるR島である。遊技媒体使用機列5は、左側に湾曲する曲線上に配置された複数の膳板6上に載置されており、スロットマシン2とメダル貸出機3の間に生じる隙間を台間板(図示せず)で塞いでいる。遊技媒体使用機列5の裏側には、遊技媒体循環システム4が組み込まれている。
スロットマシン2は、図2で示すように、遊技者がメダルを用いて遊技を行うものである。遊技者は、スロットマシン2内にメダルを投入し、レバー2a等の操作手段を操作した結果、3列のリールの図柄が予め入賞設定された組み合わせとなったときに、内蔵された貯留部2bから相応する枚数のメダルをトレイ2cに払い出す。一方で、遊技者がスロットマシン2内にメダルを投入するとメダルは貯留部2bに貯留されるが、メダルを投入し続けると貯留部2bの最大貯留量を超えオーバーフローする。オーバーフローしたメダルは、図示しない管路を介して筐体の下面の設けられた落下口(図示せず)から、スロットマシン2外に排出される。
メダル貸出機3はスロットマシン2に隣接して配置されている。図3で示すように、メダル貸出機3は、遊技者の所定の操作、例えば遊技者の貨幣投入口(図示せず)への貨幣の投入に応じて、内蔵された貯留部3aからノズルシュート3bを介して所定数のメダルをスロットマシン2のトレイ2c内に貸し出す。また、メダル貸出機1には、メダルを計数する計数装置(図示せず)が内蔵されており、ノズルシュート3bの計数投入口3cから投入されたメダルを計数することができる。計数装置による計数を終えたメダルは、図示しない管路を介して筐体の下面の設けられた落下口(図示せず)から、メダル貸出機3外に排出される。
遊技媒体循環システム4は、遊技機島1内でメダルを循環するための装置であり、図1〜3に示すように、メダルを貯留する貯留タンク(図示せず)と、貯留タンクに貯留されたメダルを遊技機島1内に搬送する遊技媒体補給装置8と、遊技媒体補給装置8とスロットマシン2(メダル貸出機3)の間に介設され、メダルを遊技媒体補給装置8からスロットマシン2(メダル貸出機3)に流下する第1の流下装置9と、メダルを回収して貯留タンク7に搬送する遊技媒体回収装置10と、スロットマシン2(メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の間に介設され、メダルをスロットマシン2(メダル貸出機3)から遊技媒体回収装置10に流下する第2の流下装置11A〜11Fと、により主に構成されている。
貯留タンクは、遊技媒体回収装置10により回収されたメダルを貯留可能な容器であって遊技機島1の手前側に備えられた収納ボックス(図示せず)内に収容されている。収納ボックス内には、貯留タンクに貯留されたメダルを遊技媒体補給装置8に揚送するリフタ装置(図示せず)、その他メダル洗浄機・脱水機(図示せず)などが収納されている。
遊技媒体補給装置8は、図2,3で示すように遊技機島1の上部に配置され、貯留タンク7からリフタ装置より揚送されたメダルを遊技機島1内に搬送する装置である。遊技媒体補給装置8は、収納ボックスから遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される補給ライン8Aを備える。補給ライン8Aは、メダルを搬送するための搬送ベルト(図示せず)と、搬送ベルトを内面側から支持する断面H形のフレーム(図示せず)と、搬送ベルトを一定方向に駆動させるドライブユニット(図示せず)と、搬送ベルトを上方から覆うカバー体(図示せず)と、を主に備える。補給ライン8Aの搬送方向側の端部まで搬送されたメダルは落下管(図示せず)を介して遊技媒体回収装置10の第1回収ライン10A上に落下する構成となっている。
第1の流下装置9は、図2,3で示すように遊技媒体補給装置8とスロットマシン2(メダル貸出機3)の間に介設され、遊技媒体補給装置8からスロットマシン2(メダル貸出機3)にメダルを流下する装置である。第1の流下装置9は、遊技媒体補給装置8により搬送されるメダルを制御部(図示せず)の制御によりフラップ(図示せず)を降下して塞き止めて吐出口(図示せず)から流下させる分配装置9Aと、分配装置9Aの吐出口とスロットマシン2(メダル貸出機3)の背面の投入口2d(投入口3d)を連結する中空状の蛇腹管9Bと、により主に構成されている。第1の流下装置9により流下されたメダルは、スロットマシン2の貯留部2b(メダル貸出機3の貯留部3a)に貯留される。
遊技媒体回収装置10は、図1〜3で示すように遊技機島1の下部に配置され、補給ライン8Aから落下管に落下したメダル、スロットマシン2から排出されたメダル及びメダル貸出機3から排出されたメダルを回収して貯留タンクに搬送する装置である。遊技媒体回収装置10は、収納ボックスから遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第2回収ライン10Bと、2番目のメダル貸出機3付近から遊技機島1の延在方向に沿って直線状に設置される第1回収ライン10Aと、を主に備える。第2回収ライン10Bは、図5で示すよう、メダルを搬送するための搬送ベルト10cと、搬送ベルト10cを内面側から支持する断面H形のフレーム10dと、搬送ベルト10cを一定方向に駆動させるドライブユニット(図示せず)と、搬送ベルト10cを上方から覆うカバー体(図示せず)と、を主に備える。なお、第1回収ライン10Aは、第2回収ライン10Bと同様の構成である。図1に示す実施形態では、直線コンベアを複数組み合わせる実施形態を示したが、直線コンベアに代えて曲線コンベアを用いることもできる。
図1で示すように、第2回収ライン10Bの搬送方向対向側の端部は、第1回収ライン10Aの搬送方向側の端部の直下に配置されている。第1回収ライン10Aの端部まで搬送されたメダルは、第1回収ライン10Aの端部から第2回収ライン10Bの搬送方向対向側の端部に落下して第2回収ライン10Bにより搬送される。また、図1で示すように、第1回収ライン10Aは、遊技機島1の延在方向に合わせて第2回収ライン10Bの搬送方向に対して左側に傾斜した向きに配置され搬送方向を変化させている。このように構成すれば、湾曲する曲線上に並設されるスロットマシン2とメダル貸出機3に対し、直線状に形成される第1回収ライン10Aと第2回収ライン10Bを近接させることができる。第2回収ライン10Bの搬送方向側の端部まで搬送されたメダルは貯留タンク内に落下する。
第2の流下装置11A〜11Fは、図1〜3で示すように、スロットマシン2(メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の間に介設され、スロットマシン2(メダル貸出機3)から遊技媒体回収装置10にメダルを流下する装置である。第2の流下装置11Aは、図2,3,12で示すように、スロットマシン2から第2回収ライン10Bに向けて流下するメダルを中継する回収シュート20と、回収シュート20を延長する延長シュート50と、延長シュート50から第1回収ライン10Aに向けて流下するメダルを中継する回収受皿60と、により主に構成される。
回収シュート20は、図4,6,7で示すように、スロットマシン2から流下するメダルを取り込む第1の取込口21aと取り込んだメダルを流下する第1の排出口21bを備える上部シュート21と、第1の排出口21bから流下するメダルを取り込む第2の取込口31aと取り込んだメダルを流下する第2の排出口31bを備える中間シュート31と、第2の排出口31bから流下するメダルを取り込む第3の取込口41aと取り込んだメダルを流下する第3の排出口41bを備える下部シュート41と、上部シュート21に対し中間シュート31を水平方向に回動可能に支持して連結する第1の軸30と、上部シュート21に対し下部シュート41を鉛直方向に回動可能に支持して連結する第2の軸40と、を備える。
上部シュート21は、例えばポリアミド樹脂製であって、図4,6,7で示すように、スロットマシン2(メダル貸出機3)の落下口から流下するメダルを、矩形状の第1の取込口21aから取り込んで受ける矩形皿状の受皿部22を備えている。受皿部22の最下位置には、メダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する円形の第1の排出口21bが形成されている。受皿部22は、第1の排出口21bに向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面23を備えている。傾斜面23を備えることにより、スロットマシン2(メダル貸出機3)から流下して受けたメダルを円滑に第1の排出口21bまで流下させることができる。受皿部22には、第1の取込口21aを形成する上端付近に、膳板6を長方形状に切り抜いて形成された開口に装着する際にねじ止めされる膳板取付部24が形成されている。
上部シュート21の第1の排出口21bは、図4で示すように、後述する円筒軸38を水平方向に回動可能に支持する軸受を兼ねる。上部シュート21の第1の排出口21bには、図7で示すように、内周側側面の対向する2カ所に、内フランジ状の内延設部25が内周側に延設されている。内延設部25は、鉛直断面が横長の長方形状である。内延設部25の上面には、図8(a)で示すように、複数列設された三角条の一の谷部からなるクリック位置決め凹部26が列設されており、後述する円筒軸38に突設されたクリック位置決め凸部39が係合して円筒軸38を支持する。内延設部25の内周側の端面は、円筒軸38の外周と同一の円周上に配置されており、円筒軸38の外周と当接して円筒軸38を支持する摺動面となる。
中間シュート31は、図4,6,7で示すように、例えばポリアミド樹脂製の中空の略矩形状の矩形筒体32であって、上端面の円形の開口が第2の取込口31aを形成し、下端面の略矩形状の開口が第2の排出口31bを形成している。
中間シュート31の矩形筒体32を構成する4面の側壁33〜36のうちの遊技機島1の前方向(以下、前方向:図6参照)の側壁33の下部内面側には、第2の排出口31bに向かうに連れて下り傾斜する傾斜底面33aが形成されている(図4参照)。傾斜底面33aを備えることにより、上部シュート21から流下して受けたメダルを円滑に第2の排出口31bまで流下させることができる。また、側壁33の下部外面側には、後述する下部シュート41のジョイント部47の係止片47bの上端と当接して下部シュート41の回動範囲を規制する回動係止部33bが突設されている(図4参照)。
図4,7で示すように、中間シュート31の矩形筒体32を構成する4面の側壁33〜36のうちの遊技機島1の後方向(以下、後方向:図6参照)の側壁35には、矩形状に切り欠いた第1の切欠き部35aが下端から形成されている。このように第1の切欠き部35aを形成することによって、メダルの排出部位を広げてメダルの流下量を増加することができるため、メダルを中間シュート31から下部シュート41に円滑に流下させることができる。また、下部シュート41の第3の取込口41aの配置位置を上げることができるので、回収受皿60(図2,3参照)までの傾斜角度を大きくすることができ、メダルの流下を促進してメダルの滞留を抑制することができる。
図4,6,7に示すように中間シュート31の第1の切欠き部35aは、後方向に遥動自在に開閉するカバープレート37により覆われている。カバープレート37は、図7で示すように、矩形状の板体37aと、板体37aの上端に連結される棒材37bと、棒材37bの両側端部から突設される揺動軸37dと、から主に構成され、この揺動軸が遊技機島1の延在方向(以下、延在方向:図6参照)の側壁36と遊技機島1の手前方向(以下、手前方向:図6参照)の側壁34、36に設けられた軸受穴36aに支承されている。このように構成することにより、勢い良く流下してきたメダルがカバープレート37に衝突してメダルの流下速度が減速するため、メダルの飛び出しを抑制することができる。
図4,6,7に示すようにカバープレート37は、板体37aの下部から延在方向及び手前方向に一対の突起37cが突設されている。一対の突起37cは、側壁34,側壁36の後方向の縁に当接して、カバープレート37が中間シュート31内側に傾斜するのを規制するストッパ機構として機能する。このように構成することによって、カバープレート37が中間シュート31内側に傾斜してメダルの排出部位が狭められることによるメダルの詰りを防止し、メダルの流下量を増加することができる。
中間シュート31の矩形筒体32を構成する4面の側壁33〜36のうちの延在方向の側壁34と手前方向の側壁36には、後述する下部シュート41を鉛直方向(鉛直方向又は鉛直方向を含む方向)に回動自在に軸支する第2の軸40が延在及び手前方向に突設されている(図6,7参照)。
第1の軸30は、上部シュート21に対し中間シュート31を水平方向に回動可能に支持して連結するもので、図4,6,7で示すように、円筒軸38を備える。本実施形態では、円筒軸38は中間シュート31と一体形成されている。円筒軸38は、第2の取込口31aと同じ大きさの断面円形を有する円柱状の中空が形成された筒状体であって、中間シュート31の第2の取込口31aから上方に延設されている。このため、円筒軸38は、第2の取込口31aを中心として上部シュート21に対し中間シュート31を水平方向に回動可能にする。円筒軸38は、第1の排出口21bと第2の取込口31aとを連通させ、内部中空にメダルの流下ルートを形成することができる。なお、本実施形態では、円筒軸38が中間シュート31と一体形成される構成であったが、円筒軸38を独立した部材とし、上部シュート21と中間シュート31をそれぞれ連結する構成であってもよい。
図7で示すように、円筒軸38には、上端部外周の対向する2カ所にクリック位置決め凸部39が突設されている。このクリック位置決め凸部39は、図8(b)で示すように、鉛直断面が長方形に切妻状の三角形を下方に付加接合した形状になっており、上述した中間シュート31に形成された複数のクリック位置決め凹部26に選択的に係合することができる。また、クリック位置決め凸部39の左右には下端から上端方向に切り欠く切欠き部39aが形成されている。クリック位置決め凸部39の左右に切り欠き部39aを形成することにより、クリック位置決め凸部39が上下に変位する弾性変形を容易にすることができる。
切欠き部39aの左右には、図7,8(b)で示すように、フランジ状の外延設部39bが円筒軸38の外周側に延設されている。外延設部39bは、鉛直断面が横長の長方形状であって、高さはクリック位置決め凸部39より切妻状の三角形分薄く形成されている。また、外延設部39bとクリック位置決め凸部39の外周側の端面は、第2の取込口31bと同心円であって第2の取込口31bより大径に形成されている。外延設部39bとクリック位置決め凸部39の外周側の端面は、第1の排出口21bの内周と同一の円周上に配置されており、第1の排出口21bの内周と当接して円筒軸38を支持する摺動面となる。このように構成される外延設部39bは、図8(c)で示すように、上部シュート21の内延設部25の上面の上方に入り込んで中間シュート31の下方向の移動を規制し、中間シュート31の脱落を防止することができる。
下部シュート41は、図4,6,7で示すように、例えばポリカーボネート製の中空の矩形筒体42を備え、上端面の矩形状の開口が第3の取込口41aを形成し、下端面の矩形状の開口が第3の排出口41bを形成している。第3の取込口41aと第3の排出口41bは同じ大きさの開口であって、上述した中間シュート31の第2の排出口31bより若干大きい開口である。矩形筒体42を構成する4面の側壁43〜46のうちの下方向の側壁43と上方向の側壁45には、後述する延長シュート50を連結するための連結係合凸部43b,45bが外面側に突設されている。
下部シュート41における矩形筒体42の第3の取込口41a側には、図4,6,7で示すように、中間シュート31の下部が挿入可能なジョイント部47が配設されている。ジョイント部47は、矩形筒体42を構成する4面の側壁43〜46のうちの手前方向の側壁44と延在方向の側壁46に延設される軸受腕片47aと、下方向の側壁43に延設される係止片47bと、上方向の側壁45の第3の取込口41a側にスペースを形成するように切り欠かれて形成される第2の切欠き部47cと、により主に構成される。
下部シュート41の軸受腕片47aは、中間シュート31の第2の軸40に支持される軸受孔47dが穿設されている。軸受腕片47aは、外側への弾性変形が容易になるように、上流端から下流端方向に長方形状に切り欠いて形成された切欠き部47eを備える。
下部シュート41の係止片47bの上端辺は、下部シュート41が前方向に回動した際に中間シュート31の回動係止部33bに当接し、下部シュート41の前方向への過度の回動を規制することができる。この場合に回動係止部33bは、後方向を0度として鉛直下方を90度とすると、側壁43の傾斜角度が約70度まで回動するように規制している。このように側壁43の傾斜角度を規制することによって、中間シュート31の第2の排出口31bから流下してきたメダルを必ず一旦は側壁43に接触させて、メダルの流下速度を制限することができる。このようにメダルの流下速度を制限することにより、受皿本体61等からのメダルの飛び出しを抑制するとともに、勢いよく流下してきたメダルが直接受皿本体61に衝突することに伴う受皿本体61の磨耗や損傷を抑制することができる。
下部シュート41の第2の切欠き部47cは、下部シュート41が鉛直方向(上方向)に回動した際に中間シュート31との接触を回避するために形成されている。この場合に第2の切欠き部47cは、後方向を0度として鉛直下方を90度とすると、側壁43の傾斜角度が約20度を下回らないように回動を規制している。このように側壁43の最小傾斜角度を規制することによって、下部シュート41内を流れるメダルの流下を促進して、メダルの滞留を抑制することができる。また、側壁45における第2の切欠き部47c側の端縁は、上述したカバープレート37が後方向に回動した際に当接してカバープレート37が第2の切欠き部47cから側壁45の外側に飛び出すのを防止する。
このように下部シュート41の矩形筒体42の流入側にジョイント部47が配設されることによって、下部シュート41の回動位置に関わらず中間シュート31の第2の排出口31bから流下するメダルをこぼれることなく下部シュート41の第3の取込口41aに流下させることができる。
延長シュート50は、図4,9で示すように、下部シュート41の第3の排出口41bから流下するメダルを取り込む第4の取込口51aと、取り込んだメダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する第4の排出口51bと、を備える。
延長シュート50は、図4,9で示すように、例えばポリカーボネート製の中空の矩形筒体51を備え、流入側端面の矩形状の開口が第4の取込口51aを形成し、排出側端面の矩形状の開口が第4の排出口51bを形成している。第4の取込口51aは、下部シュート41の第3の排出口41bと同じ大きさであって、第4の取込口51aと第4の排出口51bは同じ大きさである。
矩形筒体51を構成する4面の側壁52〜55のうちの下方向の側壁52と上方向の側壁54には、上述した下部シュート41の連結係合凸部43b,45bを係合可能な連結係合開口52a,54aが穿設された延長シュート碗部52b,54bが流入側端部から延設されている。また、側壁52,54には、外面側に他の延長シュート50を連結するための延長シュート連結係合凸部52c,54cが形成されている。
このように構成される延長シュート50は、図12で示すように、他の延長シュート50の連結係合開口52a,54aを延長シュート連結係合凸部52c,54cに係合することにより他の延長シュート50と連結することができる。このため、延長シュート50と後述する回収受皿60との間の距離が離れている場合、必要な数の延長シュート50を連結して継ぎ足せば回収受皿60まで延長することができる。
回収受皿60は、図5,10で示すように、延長シュート50の第4の排出口51b等から流下したメダルを受けて遊技媒体回収装置10に向けて流下する受皿本体61と、受皿本体61の円筒軸70を回動可能に支持する受皿ホルダ80と、遊技媒体回収装置10に受皿ホルダ80を取り付けるための受皿ホルダ押さえ具90と、から主に構成される。受皿本体61は、受皿本体61の外周を取り囲む側壁65〜67と、受皿本体61から下方に延設される円筒軸70とが、一体に形成され、受皿本体61の外周を取り囲む側壁64が着脱可能に取り付けられている。
受皿本体61は、例えばポリカーボネート製であって、図5,10で示すように、上述した延長シュート50の第4の排出口51bから流下するメダルを受ける長方形板状の受皿部62と、受皿部62の最下位置に形成されメダルを遊技媒体回収装置10に向けて流下する円形の流下口63と、を備えている。この受皿部62は、流下口63に向かうに連れて下方に傾斜する傾斜面62aを備えている。傾斜面62aを備えることにより、延長シュート50から流下して受けたメダルを円滑に流下口63まで流下させることができる。この傾斜面62aの表面には、メダルと傾斜面62aとの間の摩擦を軽減するための凸条62bが流下方向に沿って形成されている。
側壁64〜67は、図5,10で示すように、受皿本体61の外周を取り囲むように立設された4枚の板状体で構成される。受皿本体61の外周を取り囲む側壁64〜67が立設されることにより、勢い良く流下して受皿部62と衝突して跳ね上がったメダルを跳ね返して円滑に流下口63に導くことができる。この場合、側壁65,67は受皿部62からメダルの流下方向に沿って立設され、側壁66は側壁65,67と共に流下口63を囲むように受皿部62の側端部から立設されている。このように構成される側壁65〜67は受皿本体61と一体に形成されている。
図10で示すように、受皿部62の上り側の側端部に立設される側壁64は、受皿本体61から分離して着脱可能に形成されている。側壁64は、側壁65及び67の内法と同等の横幅に形成される矩形板状の蓋体64aと、蓋体64aの側方の両端部に突設される矩形板状のスライダ64bと、下方向の端部に弾性変形可能に形成された係合フック64cと、により主に構成される。側壁64は、側壁65,67の内面側に形成された案内溝65a,67aにスライダ64bを上方から挿入し、受皿部62に形成された係合凹部62cに係合フック64cを係合すれば、受皿本体61に取り付けることができる。側壁64を取り付けることにより、受皿部62の上り側の側端部からのメダルの飛び出しを防止することができる。また、側壁64を取り外すことにより、受皿部62の上り側の側端部に流下ルートを構成する他の部材、例えば下部シュート41,延長シュート50を載置して連結して、メダルを流下口63に向けて流すことができる。
受皿本体61の円筒軸70は、図5,10で示すように、受皿本体61の流下口63から下方に延設されており、受皿本体61を水平方向に回動可能に支持する回動軸となる。円筒軸70は、流下口63と同じ大きさの断面円形を有する円柱状の中空が形成された筒状体であって、下端部外周の対向する2カ所にクリック位置決め凸部71が突設されている。このクリック位置決め凸部71は、図10,11(b)で示すように、鉛直断面が長方形に切妻状の三角形を上方に付加接合した形状になっており、後述する受皿ホルダ80に形成された複数のクリック位置決め凹部88に選択的に係合することができる。また、クリック位置決め凸部71の左右には下端から上端方向に切り欠く切欠き部72が形成されている。クリック位置決め凸部71の左右に切り欠き部72を形成することにより、クリック位置決め凸部71が上下に変位する弾性変形を容易にすることができる。
受皿本体61の切欠き部72の左右には、図10,11(b)で示すように、フランジ状に外延設部73が外周側に延設されている。外延設部73は、鉛直断面が横長の長方形状であって、高さはクリック位置決め凸部71より切妻状の三角形分低く形成されている。また、外延設部73とクリック位置決め凸部71の外周側の端面は、円形の流下口63と同心円であって流下口63より大径に形成されている。このように構成される外延設部73は、受皿ホルダ80の内延設部86の下面に形成される複数のクリック位置決め凹部88の下方に入り込んで受皿本体61の上方向の移動を規制し、受皿本体61の受け皿ホルダ80からの脱落を防止することができる。
受皿ホルダ80は、図5で示すように、円筒軸70を水平方向(水平面内又は水平面内を含む方向)に回動可能に支持する軸受となる。受皿ホルダ80は、例えばポリカーボネート製であって、図5,10で示すように、矩形板状であって中心に流下口63と同一の大きさの開口であって流下口63から遊技媒体回収装置10に向けて落下するメダルが通過する落下口81aが形成される基部81と、基部81の対向する端辺から下方に延設される一対の脚部82と、を主に備える。受皿ホルダ80は、基部81と一対の脚部82により下方に開口した断面コの字形に形成され、図5で示すように、遊技媒体回収装置10のフレーム10dに上方から跨って配設することができる。脚部82には、図5,10で示すように、後述する受皿ホルダ押さえ具90の係合フック92aが嵌合するための嵌合孔82aと、係合フック92aを係合するための取付鍔部82bが設けられている。
受皿ホルダ80の基部81の上面の落下口81aの周縁には、図10で示すように、上述した円筒軸70における外延設部73の外周側に対応した円形状平面であって、円筒軸70の下面及び外延設部73の下面を当接して回動可能に支持する第1の摺動面83(スラスト摺動面)が形成されている。第1の摺動面83(スラスト摺動面)の外周側周縁には、凸状に形成される台座部84が形成されている。台座部84の内周側側面は、外延設部73の外周側の端面を当接して回動可能に支持する第2の摺動面85(ラジアル摺動面)となる。
台座部84は、図10で示すように、内周側側面の上端部の対向する2カ所に、内フランジ状の内延設部86が内周側に延設されている。内延設部86の下面には、図11(a)で示すように、複数列設された三角条の一の谷部からなるクリック位置決め凹部88が列設されている。内延設部86の内周側の端面は、円筒軸70の外周と同一の円周上に配置されており、円筒軸70の外周と当接して支持する第3の摺動面87(ラジアル摺動面)となる。
受皿ホルダ押さえ具90は、図5で示すように、受皿ホルダ80を遊技媒体回収装置10のフレーム10dに取り付けるための部材である。受皿ホルダ押さえ具90は、例えばポリアミド樹脂製であって、図5,10で示すように、長方形板状の基部91と、基部91の対向する端辺から上方に延設される一対の腕部92と、腕部92の先端に形成される係合フック92aと、により主に構成される。基部91の上面には、図5,10で示すように、搬送ベルト10cが垂れ下がることにより基部91の上面と接触した際に、基部91の上面と搬送ベルト10cとの間の摩擦を軽減するための凸条91aが搬送方向に沿って形成される。受皿ホルダ押さえ具90は、基部91と一対の腕部92により上方に開口した断面コの字形に形成され、図5で示すように、遊技媒体回収装置10のフレーム10dに下方から跨って配設することができる。
上記のように構成される第2の流下装置11Aの設置方法について説明する。最初に作業者は、回収シュート20の上部シュート21を膳板6に取り付ける(図12参照)。スロットマシン2筐体下面に設けられた落下口の直下には、膳板6を長方形状に切り抜いて形成された開口が形成されている。作業者は、この開口に上部シュート21を嵌合した状態で膳板取付部24の内側からねじ止めして、上部シュート21と膳板6を固定する。
次いで、回収シュート20を組み立てる。作業者は、最初に上部シュート21と中間シュート31連結する。作業者は、図7で示すように、上部シュート21の第1の排出口21bに、中間シュート31と一体形成された円筒軸38を、第1の排出口21bの内延設部25と円筒軸38の外延設部39bが衝突しないように角度を合わせながら上昇して挿入する。円筒軸38が第1の排出口21bに挿入されると、外延設部39bとクリック位置決め凸部39の外周側の端面は、第1の排出口21bの内周と当接され支持される。また、第1の排出口21bの内延設部25の内周側の端面は、円筒軸38の外周と当接して円筒軸38を支持する。
次いで、作業者は、中間シュート31を水平方向に回動して位置決めをする。作業者が、中間シュート31を水平方向に回動させると、第1の排出口21bの内延設部25の上方の空間に、円筒軸38の外延設部39bが水平方向から侵入する。更に円筒軸38を回動させると、図8(c)に示すように、外延設部39bに続いてクリック位置決め凸部39が空間に侵入し、内延設部25の上面に設けられた一のクリック位置決め凹部26と係合する。クリック位置決め凸部39と一のクリック位置決め凹部26が係合している状態であっても、円筒軸38を回動する付勢力を加えれば、クリック位置決め凸部39が上方に弾性変形して回動可能となり係合するクリック位置決め凹部26を変更することができる。作業者は、中間シュート31が所望の水平方向の方角に向くまで、中間シュート31を回動する付勢力を加える。
次いで、作業者は、中間シュート31と下部シュート41を連結する。作業者は、中間シュート31の矩形筒体32の下端部を下部シュート41のジョイント部47に挿入しつつ軸受腕片47aを外側に弾性変形させて、中間シュート31の第2の軸40を下部シュート41の軸受孔47dに挿入して連結する。このようにして組み立てられた回収シュート20は、上部シュート21に対し円筒軸38を中心として中間シュート31を所望の水平方向の角度に回動することができると共に、中間シュート31に対し第2の軸40を中心として下部シュート41を所望の鉛直方向の角度に回動することができる。
次いで、遊技媒体回収装置10の第2回収ライン10Bに回収受皿60を取り付ける。作業者は、回収受皿60を取り付けるのに際し、最初に受皿ホルダ80を第2回収ライン10Bに取り付ける。作業者は、第2回収ライン10B上の回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる位置に、フレーム10dの上方から跨いで受皿ホルダ80を配設する(図5,12参照)。次いで、フレーム10dの下方から跨いで受皿ホルダ押さえ具90を配設し、受皿ホルダ80の嵌合孔82aに係合フック92aを嵌合すると共に受皿ホルダ80の取付鍔部82bに係合フック92aを係合する。受皿ホルダ80を、ねじ止め等の固定をすることなく第2回収ライン10Bに取り付けることができるので、受皿ホルダ80は、第2回収ライン10B上を摺動可能に配設される。よって、受皿ホルダ80の取り付け位置の調整が容易となる。
次いで、回収受皿60の受皿本体61を受皿ホルダ80に取り付ける。作業者は、図10で示すように、受皿本体61から下方に延設された円筒軸70の下端を、受皿ホルダ80の内延設部86と円筒軸70の外延設部73が衝突しないように角度を合わせて降下させて、円筒軸70の下端面と受皿ホルダ80の第1の摺動面83(スラスト摺動面)とを当接させる。円筒軸70の下端には、円筒軸70の下面及び外延設部73の下面が配置されており、これらの面が第1の摺動面83(スラスト摺動面)と当接して鉛直方向に対して回動可能に支持された状態となる。また、外延設部73の外周側端面は、第2の摺動面85に当接して支持され、更に、円筒軸70の外周は第3の摺動面87と当接して支持された状態となる。
この状態において、円筒軸70の上端に位置する流下口63は、第2回収ライン10Bの直上に配置されており、受皿本体61は流下口63を中心として水平方向に回動可能に支持することができる。
次いで作業者は、受皿本体61を水平方向に回動して位置決めをする。作業者は、スロットマシン2の方面、正確には膳板6に固定された回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる方角に、受皿本体61の受皿部62の上り側の側端部が向くように受皿本体61を回動すればよい。作業者が、受皿本体61と共に円筒軸70を水平方向に回動させると、受皿ホルダ80の内延設部86と第1の摺動面83との間に形成した隙間に、円筒軸70の外延設部73が水平方向から侵入する。更に円筒軸70を回動させると、図11(b)に示すように、外延設部73に続いてクリック位置決め凸部71が隙間に侵入し、内延設部86の下面に設けられた一のクリック位置決め凹部88と係合する。クリック位置決め凸部71と一のクリック位置決め凹部88が係合している状態であっても、円筒軸70を回動する付勢力を加えれば、クリック位置決め凸部71が下方に弾性変形して回動可能となり係合するクリック位置決め凹部88を変更することができる。作業者は、受皿本体61の受皿部62の上り側の側端部が、回収シュート20の裏面側を正面に捉えられる方角に向くまで円筒軸70を回動する付勢力を加える。
このように、スロットマシン2と遊技媒体回収装置10の位置関係によらず受皿本体61の受皿部62をスロットマシン2方面に向けることができるため、回収コンベアの配置の自由度を高めにことができる。また、上部シュート21から受皿ホルダ80までを剛体で接続することができるので、スロットマシン2から遊技媒体回収装置10までの流下ルートに生じる水平方向の湾曲部位を減少してメダル詰まりの発生を抑制することができる。
なお、回収シュート20から回収受皿60までのメダルの上下方向の流下角度が浅くなると予想される場合には、受皿部62の上り側の側端部に取り付けられた側壁64を受皿本体61から取り外すことができる(図10参照)。図12において図示した回収受皿60は、受皿本体61から側壁64を取り外している。
次いで、回収シュート20を延長する延長シュート50を取り付ける。作業員は、回収シュート20の下部シュート41を鉛直方向に回動して回収受皿60に向け、下部シュート41の下端部から回収受皿60までの距離を測定し、必要な数(例えば3個)の延長シュート50を用意する。作業員は、延長シュート50の連結係合開口54aを他の延長シュート連結係合凸部54cに係合して3個の延長シュート50を連結する。
次いで、図12に示すように、連結された延長シュート50の下端部を受皿部62の上り側の側端部に載置した状態で、回収シュート20の下部シュート41を鉛直方向に回動して遊技媒体回収装置10側に向け、下部シュート41の連結係合凸部45bに延長シュート50の連結係合開口54aを係合して連結する。
このように、スロットマシン2と遊技媒体回収装置10の位置関係によらず回収シュート20の下部シュート41を遊技媒体回収装置10方面に向けることができるため、スロットマシン2から遊技媒体回収装置10までの流下ルートに剛体を用いることができ、水平方向及び鉛直方向の湾曲部位を減少してメダル詰まりの発生を抑制することができる。
以上で第2の流下装置11Aの設置は終了であるため、設置時間の大幅な短縮と設置作業の容易化を図ることができる。
なお、第2の流下装置11Aにおいては回収シュート20を延長する延長シュート50を3個連結して取り付けた実施形態を示したが、延長シュート50は下部シュート41の下端部から回収受皿60までの距離が近い場合には、延長シュート50を取り付けることを要しない。図1における第2の流下装置11Cは、図13で示すように、延長シュート50を連結していない。回収シュート20の中間シュート31水平方向に回動して、下部シュート41を鉛直方向に回動して、下端部を受皿部62の上り側の側端部に載置すればよい。なお、第2の流下装置11Bは延長シュート50を5個連結して継ぎ足し、第2の流下装置11Dは延長シュート50を11個連結して継ぎ足し、第2の流下装置11Eは延長シュート50を8個連結して継ぎ足し、第2の流下装置11Fは延長シュート50を2個連結して継ぎ足したものである。
このように、この発明の回収シュート20によれば、遊技媒体使用機(スロットマシン2,メダル貸出機3)と遊技媒体回収装置10の位置関係によらずメダルが円滑に流下する流下ルートを構築することができる。
なお、上述した実施形態において、上部シュート21と円筒軸38の取り付け構造は、円筒軸38の外周に形成されたクリック位置決め凸部39を水平方向から内延設部25の上方に侵入させて、内延設部25の上面のクリック位置決め凹部26に係合するものであったが、例えば図14で示すように、上部シュート21Aの第1の排出口21bに内周を一周する係合溝27を形成し、中間シュート31と一体形成される円筒軸38Aの上端の周縁から上方に立設された係合フック74を係合する構成であってもよい(その他の実施形態)。このように上部シュート21Aと円筒軸38Aを構成しても、上部シュート21Aに対し中間シュート31を水平方向に回動可能に支持することができる。
また、図15で示すように、上部シュート21Bの第1の排出口21bに、外周を一周する第1の段部75と、第1の段部75の直下に段差を設けた第2の段部76を形成し、円筒軸38Bの上端周縁に第1の段部75を係合させ、環状部材77を第2の段部76の外周に固定する構成であってもよい(その他の実施形態)。このように上部シュート21Bと円筒軸38Bを構成しても、上部シュート21Bに対し中間シュート31を水平方向に回動可能に支持することができる。
また、図16で示すように、上部シュート21Cの第1の排出口21bの外周に矢印の方向、すなわち下方にスリーブ78を下降させることにより、内周側に配置された移動係脱部材79を内周側に押し出し、円筒軸38Cの上端周縁付近に形成されたスロート部88の外周に係合させる構成であってもよい(その他の実施形態)。このように上部シュート21Cと円筒軸38Cを構成しても、上部シュート21Cに対し中間シュート31を水平方向に回動可能に支持することができる。
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。