JP6905261B2 - 放電装置及びそれを用いた除電装置 - Google Patents
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Description
この種の装置として、例えば特許文献1に記載された除電装置が知られている。この除電装置は、バー状の絶縁性樹脂製のケーシングを備えているが、このケーシングはその長手方向に沿って一対の側壁を所定の対向間隔を保って備えたものである。そして、上記側壁間である底面に沿って、例えば、図7に示す高電圧基板1を設けている。この高電圧基板1には高電圧電源に接続される高電圧線2と、図示しない放電電極針を起立させる電極用接点3とが形成されるとともに、上記高電圧線2と上記放電電極針とを接続する抵抗素子4が設けられている。この抵抗素子4は、一方の端子5が上記高電圧線2に接続され、他方の端子6が電極用接点3に接続され、放電電極に流れる電流を制限するためのものである。
さらに、上記ケーシング内にはウレタンなどの絶縁性樹脂の充填材が充填され、上記高電圧基板1の高電圧線2から放電が発生しないようにしている。
このような電気力線の漏れを防止するためには、上記樹脂製のケーシングの代りに接地された金属製のケーシングを用いることが考えられる。
上記金属製のケーシング内には高電圧基板1が埋設されるように充填材を充填するが、絶縁性樹脂の充填材は、その充填過程において気泡が巻き込まれたり、小さなクラックが形成されたりすることがある。したがって、上記高電圧基板1と接地された金属製のケーシングとの距離を、樹脂製のケーシングを用いた場合と同等にしたのでは、充填材の内部に、高電圧基板1から金属製のケーシングへの放電路が形成され易くなってしまう。
したがって、ケーシング内に絶縁性樹脂の充填材を充填したとしても、内部放電を防止するためには、高電圧基板1と金属製のケーシングの内周面との距離を大きくしなければならない。そのため、ケーシングが大きくなってバータイプの放電装置が大型化してしまうという問題があった。
この発明の目的は、ケーシングの寸法を大きくしなくても、ケーシング外への電気力線の漏れがなく、しかもケーシング内での放電も防止できる放電装置を提供することである。
そして、上記ケーシングが接地された金属製であり、少なくとも上記高電圧基板及び上記抵抗素子の接続端子と上記ケーシングの内周面との間には、固体絶縁物が設けられるとともに、上記高電圧基板、及び上記抵抗素子の端子が上記充填材で覆われたことを特徴とする。
なお、上記固体絶縁物は、型成形などで内部に気泡やクラックを含まないように形成され、目的の絶縁性を保った部材である。
しかも、ケーシング内の高電圧基板及び抵抗素子とケーシング内壁との間に介在させた固体絶縁物は予め型成形などで形成され、樹脂の充填材のように内部に気泡やクラックが形成されないものにすることができる。そのため、固体絶縁物は内部に放電路が形成されにくく、この固体絶縁物を挟んで配置される高電圧基板や放電電極針の基端と、金属製のケーシングとの間の距離をそれほど大きくしなくても、その間の絶縁性を保つことができ、内部放電を防止できる。
したがって、ケーシングの寸法が大きくなることがなく、装置の大型化を防止できる。
また、金属製のケーシング内での固体絶縁物の位置決めも容易で、組み立て作業性が上がる。
もし、高電圧基板上で、抵抗素子と放電電極針とが接続された場合には、放電電極針の基端側と高電圧線との間の放電を防止するために、高電圧基板の面上で抵抗素子の電極側の接点と高電圧線との距離を大きくしなければならない。そうなれば、高電圧基板の幅が大きくなってしまうが、この発明によれば、高電圧基板面上で放電電極針側の接点と高電圧線との距離を大きくとる必要ないので、高電圧基板の幅を大きくする必要はない。
このように、高電圧基板の幅も、高電圧基板とケーシング内周との間の距離も、大きくする必要がないし、高電圧基板に直交する方向の寸法もそれほど大きくならない。
したがって、装置の小型化が可能になる。
この実施形態の放電装置は、図1,2に示すように、バー状の金属製ケーシングC1内に、バー状の絶縁性の樹脂製ケーシングC2を設け、その中に、複数の放電電極針7を所定間隔に起立させた高電圧基板1を設けた放電装置で、図2は、上記金属製ケーシングC1及び樹脂製ケーシングC2の長手方向に直交する断面図である。
なお、図7は従来例の高電圧基板1上の回路図であり、この実施形態の回路は、図のように平面的ではないが、高電圧線2、抵抗素子4及び電極用接点3の接続関係は同じである。そこで、この実施形態において、従来と同様の構成要素には、図7と同じ符号を用いることにする。
また、底面8の外側には、この放電装置を支持部材に固定する際などに利用する取り付け凹部11が、上記底面8に沿って伸びる方向に形成されている。
この樹脂製ケーシングC2も、その両端を固体絶縁物である図示しない閉鎖部材で閉鎖する。
そして、上記樹脂製ケーシングC2の一対の側面13,14は、内部で起立した放電電極針7の基端より高く、放電電極針7の先端が突出する高さにしている。
そして、上記高電圧基板1の高電圧線2が、上記金属製ケーシングC1の端部に設けられた閉鎖部材を介して高電圧電源に接続される。
なお、図2中の符号15は、絶縁性樹脂の充填材である。
上記樹脂ブロック16は、図3に示すように略直方体で、絶縁性樹脂材を用いて型成形などによって内部に気泡やクラックを含まないように形成された部材である。
上記樹脂ブロック16の底面側には、底面を開口して長手方向に貫通する基板挿入凹部17が形成され、一方の端面16aには上下に貫通する切欠き18が形成されている。
また、上面16bには、後で説明する第1,2の接続用基板19,20を位置決めするための位置決め凸部21,22が形成されている。これら位置決め凸部21,22はそれぞれ4個一組で構成されている。
なお、上記上面16bが、この発明の、第2の固体絶縁物である樹脂ブロック16において高電圧基板1が設けられた側と反対側となる面である。
また、高電圧基板1に形成された図示しないスルーホールを、上記切欠き18内に対応させ、そこに接続ピン23を起立させて接続し、この接続ピン23と上記高電圧線2とを接続する。
そして、接続ピン23の他方の端部を上記切欠き18から樹脂ブロック16の上面16bに突出させ、その突出部に被せるようにしてこの発明の第1の接続用基板19を設けている(図3〜5参照)。
また、この接続用基板19は、その中央に上記接続ピン23を接続する接点19bを備えるとともに、上記抵抗素子4の一方の端子5を接続するための図示しない抵抗用接点を備えている。これら接点19bと抵抗用接点とは第1の接続用基板19内で接続されている。
そして、上記上面16bに間隔を保って設けられた第1,2の接続用基板19,20をまたぐように抵抗素子4を設け、この抵抗素子4の両端子5,6を各接続用基板19,20の抵抗用接点に接続し、第2の接続用基板20の電極用接点に放電電極針7を固定している。
また、上記接続ピン23によって、複数の樹脂ブロック16が図1に示すように高電圧基板1に所定の間隔を保って固定されることになる。
そして、樹脂製ケーシングC2の両端を固体絶縁物である図示しない閉鎖部材で閉鎖するとともに、金属製ケーシングC1の両端を図示しない金属製の閉鎖部材で閉鎖して、樹脂製ケーシングC2内に充填材15を充填すれば、図2に示す放電装置が形成される。
このとき、充填材15を、図2に示すように、上記樹脂製ケーシングC2の両側面13,14の上まで充填し、上記抵抗素子4が完全に覆われ、放電電極針7の先端が突出するようにしている。
もし、上記樹脂製ケーシングC2が設けられずに金属製ケーシングC1に直接充填材15を充填して、高電圧基板1から金属製ケーシングC1への放電を確実に防止するためには、高電圧基板1と金属製ケーシングC1との間隔L1を、もっと大きくしなければならない。その結果、金属製ケーシングC1のサイズが大きくなってしまうことになる。しかし、この実施形態では、金属製ケーシングC1内に上記樹脂製ケーシングC2を設けることで絶縁性を高め、金属ケーシングC1の大型化を防止している。
このように、この実施形態の放電装置は、大型化しないでも、電気力線の漏れも内部放電も防止できるものである。
そして、金属製ケーシングC1の寸法が小さければ、この放電装置を狭い場所にも設置することができる。つまり、放電装置の設置の自由度が上がる。
もし、図7に示すように、高電圧基板1の同一面上に、高電圧線2と電極用接点3とが設けられていた場合には、その間の沿面放電を防止するために、距離L2を大きくしなければならない。距離L2を大きくすれば、高電圧基板1の幅が大きくなってしまい、それを収容するケーシングC1も大きくなってしまう。
しかし、この実施形態では、上記したように上記電極用接点3に対応する放電電極針7の基端が、上記樹脂ブロック16の上面16b上の接続用基板20に接続されている。つまり、放電電極針7の基端が高電圧基板1の面に対して直交する方向に離れている。そのため、高電圧基板1上の距離L2を大きくする必要がなく、高電圧基板1の幅を大きくしなくてもよい。
そして、樹脂ブロック16の表面に沿った、上記放電電極針7の基端と、高電圧基板1の高電圧線2との沿面放電路は、図4に破線で示した沿面距離x1やx2となる。この距離は、樹脂ブロック16の内部を通る、放電電極針7の基端と高電圧基板1の面1a側の高電圧線2との直線距離よりも長くなる。特に、この実施形態では、高電圧線2を形成した面1aを樹脂ブロック16の底面と面一にしないで、底面から浮かせた位置に形成された基板挿入凹部17に挿入している。このようにすることで、上記距離x1がより長くなるようにしている。
したがって、樹脂ブロック16の上面16b上で抵抗素子4に接続された放電電極針7の基端と高電圧線2との直線距離や沿面距離を大きくするために、金属製ケーシングC1の側面の高さ方向の寸法を大きくする必要もない。
したがって、金属製ケーシングC1の幅方向の寸法とともに、側面の高さ方向、すなわち幅に直交する方向の寸法も大きくしなくても、高電圧線2と電極用接点3、すなわち放電電極針7の基端との間の放電を防止できる。
このように金属製ケーシングC1が小型化可能であれば、放電電極針7の先端を処理対象に対向させて設置する場合にも、この放電装置の設置スペースが小さくても足り、設置の自由度が上がる。
なお、この放電装置の高電圧線2には、金属製ケーシングC1の端部に設けた図示しない閉鎖部材を介して高電圧を印加するようにしているが、上記高電圧線2に、例えば、正の直流高電圧を印加すれば正のイオンが生成され、負の直流高電圧を印加すれば負のイオンが生成され、それぞれ帯電装置として用いることができる。また、上記高電圧線2に交番電圧を印加すれば、正のイオンと負のイオンとが交互に生成される除電装置として用いることもできる。
さらに、図6に示すように、一対のケーシングC1,C1をセットにして、図示しない一対の固定用レールに取り付ければ、両放電装置の金属製ケーシングC1,C1の側面の高さを合わせ、放電電極針7の先端位置を揃えることも簡単にできる。
そして、一対の放電装置を組み合わせ、一方の高電圧線2に正の高電圧を印加し、他方の高電圧線2に負の高電圧を印加すれば、正イオンと負のイオンとを同時に生成させて直流の除電装置として用いることができる。その際、上記取り付け凹部11を利用して一対の金属製ケーシングC1,C1の側面高さを揃えれば、ケーシング内に設けられた放電電極針7の先端位置を揃えることができ、除電対象に向けて正のイオンと負のイオンとをバランスよく放射することができる。
さらに、上記樹脂ブロック16を用いることによって、樹脂製ケーシングC2内での放電を防止しながら、充填材15のみを充填した場合と比べて、樹脂製ケーシングC2及び金属製ケーシングC1の寸法を小さくすることができ、この放電装置を帯電装置または除電装置として用いる際の設置の自由度が上がる。
また、第1の固体絶縁物は、高電圧基板1及び抵抗素子4の周囲と金属製ケーシングC1の内周との間に介在して、その間の絶縁性が保たれるものであれば、上記樹脂製ケーシングC2のような形状に限らない。
C2 (第1の固体絶縁物)樹脂製ケーシング
1 高電圧基板
2 高電圧線
4 抵抗素子
5,6 (抵抗素子の)端子
7 放電電極針
8 (ケーシングの)底面
9,10 (ケーシングの)側面
15 充填材
16 (第2の固体絶縁物)樹脂ブロック
16b (高電圧基板と反対側の面)上面
19 (第1の)接続用基板
20 (第2の)接続用基板
Claims (5)
- 底面と一対の側面とを有し、上記底面と対向する面に開口を有するケーシング内に、
上記開口と対向する底面に沿って配置されるとともに、高電圧電源に接続される高電圧線が配線された高電圧基板と、
この高電圧基板に対してほぼ直交して起立し、その先端を上記開口に臨ませた放電電極針と、
上記放電電極針の基端と上記高電圧線との間を電気的に接続する抵抗素子とが収容され、
上記ケーシング内に絶縁性樹脂の充填材が充填された放電装置において、
上記ケーシングが接地された金属製であり、
少なくとも上記高電圧基板及び上記抵抗素子の接続端子と上記ケーシングの内周面との間には、固体絶縁物が設けられるとともに、
上記高電圧基板、上記抵抗素子の接続端子及び上記固体絶縁物が上記充填材で覆われた放電装置。 - 上記固体絶縁物は、
上記ケーシングの内周面に沿った形状である請求項1に記載の放電装置。 - 上記高電圧基板及び抵抗素子と上記ケーシングとの間に設けられた上記固体絶縁物を第1の固体絶縁物とするとともに、
上記高電圧基板と上記放電電極針の基端との間には第2の固体絶縁物が設けられ、
この第2の固体絶縁物において上記高電圧基板が設けられた側と反対側となる面に沿って、上記抵抗素子が設けられた請求項1または2に記載の放電装置。 - 上記第2の固体絶縁物における上記抵抗素子が設けられる側の面には、
上記抵抗素子の一方の端子と上記高電圧線とを接続するための第1の接続用基板と、
上記放電電極針と上記抵抗素子の他方の端子とを接続するための第2の接続用基板とが、
所定の間隔を保って設けられた請求項3に記載の放電装置。 - 上記請求項1〜4のいずれかに記載の放電装置を一対、組み合わせてなる除電装置であって、
一方の放電装置の一方の側面が、他方の放電装置の他方の側面に接触して設けられるとともに、
いずれか一方の放電装置の上記高電圧線には正の高電圧電源が接続され、いずれか他方の放電装置の上記高電圧線には負の高電圧電源が接続された除電装置。
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