図1は、本発明のCLTの弟一の実施形態を示す図である。木材の繊維方向がひき板の長手方向にほぼ一致するようにひき板を作製する。ひき板はCLTを構成する最小単位であるが、大きなCLTを作製するためには、小さなひき板をその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものも含むので、混同しないためにラミナと呼ぶ。また、ラミナには小角材をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に接着したもの及びそれをさらに長さ方向に接合接着したものも含まれる。
長さuij、幅wij、厚さtiを有するラミナLijを作製する。(ここで、iは積層するプライを最上層から数えた数、jは各プライにおけるラミナを1枚目からの数を示す。j=1、2、3、・・、nj、i=1、2、3、・・、m:njはj層目のプライのラミナの総数、mは積層するプライの総数)CLTはラミナを幅方向に並べて面を作り、その面に接着剤を塗って、その面にさらにラミナを並べて積層したものである。この層の1つ1つをプライというが、一層目(最上層)のプライをP1と称する。P1は、厚さt1、長さu1j、幅w1jのラミナL1jをn1枚(j=1〜n1)ラミナの幅方向に並べたもの(これらを幅方向に接着剤を用いて接着しても良い)である。同様に、二層目のプライP2は、厚さt2、長さu2j、幅w2jのラミナL2jをn2枚(j=1〜n2)ラミナの幅方向に並べたもの(これらを幅方向に接着剤を用いて接着しても良い)である。
同様に、i層目のプライPiは、厚さti、長さuij、幅wijのラミナをnj枚(j=1〜nj)ラミナの幅方向に並べたもの(これらを幅方向に接着剤を用いて接着しても良い)である。最下層m層目のプライPmは、厚さtm、長さumj、幅wmjのラミナをnm枚(j=1〜nm)ラミナの幅方向に並べたもの(これらを幅方向に接着剤を用いて接着しても良い)である。以上から、jはプライのラミナ1枚目からのラミナの数を表し、iはプライの最上層からの枚数を表すことが分かる。
図1に示す場合は、奇数層目(i=1、3、5、・・・)のプライPiを構成するラミナの繊維方向はラミナ12で示す繊維方向Y(Y方向=紙面において上下方向)であり、偶数層目(i=2、4、6、・・・)のプライPiを構成するラミナの繊維方向はラミナ11で示す繊維方向X(X方向=紙面において左右方向)である。すなわち、XとYは直交する関係にある。尚、奇数目のプライと偶数層目のプライは取りかえても良い。
プライPiの面は平坦であるため、構成するラミナLijの厚さは同じtiである。図1に示すように、本発明の弟一の実施形態のCLTでは、最上面から数えて奇数層目の各プライPiにおいて、CLTの1つの面およびその反体の面におけるラミナLijは片側に側面に対して食み出し凸部(これをサネとも言う)形成したり、片側に側面に対してへこんで凹部を形成したりしている。ここで食み出したり、へこんだりしている側面の基準は、種々考えられる。食み出す部分だけの場合は、食みだしていない部分の面積と食みだす部分の面積のうち広い方を側面とすれば良い。食みだす部分とへこんだ部分と中間の部分があるときは、やはり最も面積の広い部分を側面としても良いし、それらの平均位置を側面としても良い。尚、どのように側面を定義しても本発明の本質が変化する分けではない。大面積のCLTを作製するときは、1つのCLT(これを小CLT−Aとする)に対して別のCLT(これを小CLT−Bとする)を横方向または縦方向に大きな面(平坦な面)を形成するように接続していき、大きなCLT(大CLTと称する)を形成できる。すなわち、小CLT−AのラミナLijの食み出した部分を、小CLT−BのラミナLijのへこんだ部分に嵌めていく。完全に嵌まり、お互いの側面がぴったりと合わさるためには、小CLT−AのラミナLijの食み出した部分の位置が小CLT−BのラミナLijのへこんだ部分の位置が一致し、かつ小CLT−AのラミナLijの食み出した部分の大きさ(食み出し量、幅、高さ)が小CLT−BのラミナLijのへこんだ部分(の窪み)の大きさ(食み出し量、幅、高さ)とほぼ同じになっている必要がある。同一のCLTの場合には奇数層目の各プライPiを構成するラミナの長さuijが同じ(uij=Ua:iは奇数)であり、かつ偶数層目の通常プライの幅(ラミナを幅方向に並べたときの総幅)Wi(Wi=Σwij:iは偶数)も同じ(Wi=Wa)であり、さらにUa=Waである必要がある。
また、最上面から数えて偶数層目(i=2、4、6、・・・)の各プライPi(iは偶数)は、プライを構成するラミナは食み出してもへこんでもいない通常の直方体状のプライである。この通常プライに積層接着するプライは、ラミナが食み出すか、またはへこんでいるプライ(すなわち、偶数層目のプライ)である。図1に示すように、奇数層目のプライのラミナが食み出してもへこんでもいない面、すなわち両端のラミナの(長手方向の)側面の位置を、通常プライの側面位置に対して一定量ずらすように配置する。すなわち、ラミナが食み出しもへこんでもいないCLTの1つの側面において、奇数層目のプライに対して、通常プライを食み出すか、またはへこまして配置する。大面積のCLTを作製するときは、1つのCLT(これを小CLT−Aとする)に対して別のCLT(これを小CLT−Bとする)を横方向または縦方向に大きな面(平坦な面)を形成するように接続していき、大きなCLT(大CLTと称する)を形成できる。すなわち、小CLT−AのプライPiの食み出した部分を、小CLT−BのプライPiのへこんだ部分に嵌めていく。完全に嵌まり、お互いの側面がぴったりと合わさるためには、小CLT−AのプライPiの食み出した部分の位置が小CLT−BのプライPiのへこんだ部分の位置が一致し、かつ小CLT−AのプライPiの食み出した部分の大きさ(食み出し量、幅、高さ)が小CLT−BのプライPiのへこんだ部分(の窪みの)大きさ(食み出し量、幅、高さ)とほぼ同じになっている必要がある。同一のCLTの場合には、偶数層目の通常プライの長さUi(Ui=uij=ui:iは偶数)が同じ(Ui=Ub:iは偶数)であり、奇数層目のプライの幅(ラミナを幅方向に並べたときの総幅)Wi(Wi=Σwij:iは奇数)も同じ(Wi=Wb)であり、さらにUb=Wbである必要がある。
以上のように、小CLTの一方向(図1では前後方向)の側面には食み出したラミナLijが1つまたは複数存在するが、そこに接続する小CLTの接続面には対応する箇所に1つまたは複数のへこんだラミナLijが配置されており、その面で隙間なくラミナが嵌め込まれるようにする。また、小CLTの他方向(図1では左右方向)の側面には食み出したプライが1つまたは複数存在するが、そこに接続する小CLTの接続面には対応する箇所に1つまたは複数のへこんだプライが配置されており、その面で隙間なくプライが嵌め込まれるようにする。これらを繰り返してCLTを接続することによって、大面積の面を持つ大CLTを作製できる。ラミナ同士およびプライ同士がお互いに嵌まり込んでいるので、結合が強く強度の大きな大面積を有する大CLTが実現できる。尚、ラミナが食み出した側面(図1では前方面)において、へこんだラミナの部分が存在しても良く、ラミナがへこんだ側面(図1では後方面)において、食み出たラミナが存在しても良い。要するにこれに嵌まるCLTの側面のラミナが食み出した部分とへこんだ部分が対応していれば良い。
同様に、偶数番目のプライが食み出た側面((図1では右方側面)においても、偶数番目のプライがへこんでいたり、奇数番目のプライが食み出ていても良い。偶数番目のプライがへこんだ側面((図1では左方側面)においても、偶数番目のプライがへこんでいたり、奇数番目のプライが食み出ていても良い。要するにこれに嵌まるCLTの側面のプライが食み出した部分とへこんだ部分が対応していれば良い。CLTの側面のプライが多数食み出して凸部を有しているので、本発明のCLTは鋸歯状サネを有するCLTまたは櫛歯状サネを有するCLTと称しても良い。
以上、添え字を活用して、第一の実施形態について一般的に述べたが、5枚のラミナから構成されるプライが5層積層したCLTについて、もう少し詳細に述べる。
図1(c)に示すCLT(小CLT)は、5層のプライPi(i=1〜5)から構成され、各プライPiは5枚のラミナLij(j=1〜5)からなる。最上層のプライP1は、図1(a)に示すように、紙面左側からラミナL11、L12、L13、L14、L15の5枚のラミナが幅方向に接続している。これら5枚のラミナの木材の繊維方向はラミナ12と同じY方向である。各ラミナの厚みは同じでt1であり、プライP1は平坦な上面および下面を持つ。ラミナL12およびL14は、他のラミナの(紙面の)後側面に対して(紙面の)後方向に食み出している。逆にラミナL12およびL14は、他のラミナの(紙面の)前側面に対して(紙面の)後方向にへこんでいる。5枚のラミナの長さu11、u12、u13、u14、u15は異なっていても良いが、作製を容易にするには同じ長さとした方が良いので、ここでは同じ長さU1とする。(u11=u12=u13=u14=u15=U1)また、3枚のラミナL11、L13、L15の上下の側面もそろえた方が、作製が容易である。ラミナL12およびL14の食み出し量(長さ){b11、b13}は異なっていても良いが、この食み出し長さも同じ方が作製しやすい。(b11=b13=b1)5枚のラミナの長さが同じなので、ラミナのへこみ量(長さ){a12、a14}はラミナの食み出し量(長さ)に等しい。すなわち、ラミナL12およびL14の食み出し量(長さ)をb1、へこみ量(長さ)をa1(a12=a14=a1)とすれば、a1=b1となる。プライP1の幅W1(ラミナを幅方向に並べて接続した場合の幅で、X方向の長さ)は、5枚のラミナの幅w11、w12、w13、w14、w15の総和となる。(W1=w11+w12+w13+w14+w15)
図1(b)は2層目のプライP2の構造を示す図である。2層目のプライP2を構成する5枚のラミナL21、L22、L23、L24、L25の長手方向は1層目のプライP1の長手方向と直交している。それらの木材の繊維方向は1層目のプライP1の木材の繊維方向Yとほぼ直交しており、ラミナ11で示すX方向である。2層目のプライP2は通常のプライであり、ラミナLijは食み出してもへこんでもおらず、直方体形状である。従って、5枚のラミナL21、L22、L23、L24、L25の長さu2j(j=1〜5)は等しい。(u2j=U2)また、プライP2の幅W2(ラミナを幅方向に並べて接続した場合の幅で、Y方向の長さ)は、5枚のラミナの幅w21、w22、w23、w24、w25の総和となる。(W2=w21+w22+w23+w24+w25)高さは、t2である。
3層目のプライP3は、その構造はプライP1と同じである。5枚のラミナの長さu31、u32、u33、u34、u35は異なっていても良いが、作製を容易にするには同じ長さとした方が良いので、ここでは同じ長さU3とする。(u31=u32=u33=u34=u35=U3)ラミナのへこみ量(長さ){a32、a34}はラミナの食み出し量(長さ)に等しい。すなわち、ラミナL32およびL34の食み出し量(長さ)をb3(b31=b33=b3)、へこみ量(長さ)をa3(a32=a34=a3)とすれば、a3=b3となる。プライP3の幅W3(ラミナを幅方向に並べて接続した場合の幅で、X方向の長さ)は、5枚のラミナの幅w31、w32、w33、w34、w35の総和となる。(W3=w31+w32+w33+w34+w35)高さは、t3である。
4枚目のプライP4は通常のプライであり、その構造は2層目のプライP2と同じである。従って、5枚のラミナL41、L42、L43、L44、L55の長さu4j(j=1〜5)は等しい。(u4j=U4)また、プライP4の幅W4(ラミナを幅方向に並べて接続した場合の幅で、Y方向の長さ)は、5枚のラミナの幅w41、w42、w43、w44、w45の総和となる。(W4=w41+w42+w43+w44+w45)高さは、t4である。
5層目のプライP5は、その構造はプライP1、P3と同じである。5枚のラミナの長さu51、u52、u53、u54、u55は異なっていても良いが、作製を容易にするには同じ長さとした方が良いので、ここでは同じ長さU5とする。(u51=u52=u53=u54=u55=U5)ラミナのへこみ量(長さ){a52、a54}はラミナの食み出し量(長さ)に等しい。すなわち、ラミナL52およびL54の食み出し量(長さ)をb5(b51=b53=b5)、へこみ量(長さ)をa5(a52=a54=a5)とすれば、a5=b5となる。プライP5の幅W5(ラミナを幅方向に並べて接続した場合の幅で、X方向の長さ)は、5枚のラミナの幅w51、w52、w53、w54、w55の総和となる。(W5=w51+w52+w53+w54+w55)高さは、t5である。
図1(a)に示すプライP1は図1(b)に示すプライP2の上面に積層接着される。プライP1の木材の繊維方向YとプライP2の木材の繊維方向Xは直交するようにプライP1とプライP2は積層接着されるが、図1(c)に示すように、図1(c)に示すCLT(CLT−Aと称する)の右側面において、プライP2はプライP1に対して右方向(X方向:プライP2のラミナの長手方向)に食み出している。(食み出し量(長さ)またはずれ量c1)反対側の左側面において、プライP2はプライP1に対して右方向(X方向)にへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量c1’)プライP1の幅W1とプライP2の長さU2が等しい(W1=U2)ときは、c1=c1’となる。 また、Y方向(プライP1のラミナの長手方向)に関して、CLT―Aの前側面において、プライP1のラミナL14はプライP2に対して後方向へへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量d1’) プライP1のラミナL12もプライP2に対して後方向へへこんでいるが、そのへこみ量はd1’と異なるように設定もできるが、製造容易さから同じへこみ量とした方が良い。CLT―Aの後側面(背面)において、ラミナL12およびラミナL14はプライP2に対して後方向へ食み出している。(へこみ量(長さ)またはずれ量d1)プライP2の幅W2とラミナL14の長さ(u14=U1)とが等しい(U1=W2)ときは、d1=d1’となる。また、ラミナL11、L13およびL15は、CLT−Aの前側面においてa1−d1’だけプライ2に対して食み出ており、CLT−Aの後側面においてb1−d1だけプライ2に対してへこんでいるので、a1=b1、d1’= d1のときは、食み出し量とへこみ量は同じである。(プライ2とプライ3、プライ3とプライ4、プライ4とプライ5についても同様である。)
プライP2の下面にプライP3が積層接着される。図1(c)に示すCLT(CLT−Aと称する)の右側面において、プライP2はプライP3に対して右方向(X方向:プライP2のラミナの長手方向)に食み出している。(食み出し量(長さ)またはずれ量c2)反対側の左側面において、プライP2はプライP3に対して右方向(X方向)にへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量c2’)プライP3の幅W3とプライP2の長さU2が等しい(W3=U2)ときは、c2=c2’となる。 また、Y方向(プライP3のラミナの長手方向)に関して、CLT―Aの前側面において、プライP3のラミナL34はプライP2に対して後方向へへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量d2’) プライP3のラミナL32もプライP2に対して後方向へへこんでいるが、そのへこみ量はd2’と異なるように設定もできるが、製造容易さから同じへこみ量とした方が良い。CLT―Aの後側面(背面)において、ラミナL32およびラミナL34はプライP2に対して後方向へ食み出している。(へこみ量(長さ)またはずれ量d2)プライP2の幅W2とラミナL34の長さ(u34=U3)とが等しい(U3=W2)ときは、d2=d2’となる。
プライP3の下面にプライP4が積層接着される。図1(c)に示すCLT(CLT−Aと称する)の右側面において、プライP4はプライP3に対して右方向(X方向:プライP4のラミナの長手方向)に食み出している。(食み出し量(長さ)またはずれ量c3)反対側の左側面において、プライP4はプライP3に対して右方向(X方向)にへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量c3’)プライP3の幅W3とプライP4の長さU4が等しい(W3=U4)ときは、c3=c3’となる。 また、Y方向(プライP3のラミナの長手方向)に関して、CLT―Aの前側面において、プライP3のラミナL34はプライP4に対して後方向へへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量d3’) プライP3のラミナL32もプライP4に対して後方向へへこんでいるが、そのへこみ量はd3’と異なるように設定もできるが、製造容易さから同じへこみ量とした方が良い。CLT―Aの後側面(背面)において、ラミナL32およびラミナL34はプライP4に対して後方向へ食み出している。(へこみ量(長さ)またはずれ量d3)プライP4の幅W4とラミナL34の長さ(u34=U3)とが等しい(U3=W4)ときは、d3=d3’となる。
プライP4の下面にプライP5が積層接着される。図1(c)に示すCLT(CLT−Aと称する)の右側面において、プライP4はプライP5に対して右方向(X方向:プライP4のラミナの長手方向)に食み出している。(食み出し量(長さ)またはずれ量c4)反対側の左側面において、プライP2はプライP3に対して右方向(X方向)にへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量c4’)プライP5の幅W5とプライP4の長さU4が等しい(W5=U4)ときは、c4=c4’となる。 また、Y方向(プライP3のラミナの長手方向)に関して、CLT―Aの前側面において、プライP5のラミナL54はプライP4に対して後方向へへこんでいる。(へこみ量(長さ)またはずれ量d4’) プライP3のラミナL52もプライP4に対して後方向へへこんでいるが、そのへこみ量はd4’と異なるように設定もできるが、製造容易さから同じへこみ量とした方が良い。CLT―Aの後側面(背面)において、ラミナL52およびラミナL54はプライP4に対して後方向へ食み出している。(へこみ量(長さ)またはずれ量d4)プライP4の幅W4とラミナL54の長さ(u54=U5)とが等しい(U5=W4)ときは、d4=d4’となる。
以上のように、CLT−AはプライP1〜P5は左右方向(X方向)および/または前後方向(Y方向)へずらして配置されているので、これと雄雌の関係にあるCLT(CLT−Zとする)を作製すれば、CLT−AとCLT−Zは横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に隙間なく合わせることができ、大きな面積の大CLTを作製できる。尚、ずれ量(食み出し量、へこみ量)は、CLTの端部に配置されるラミナの幅の5%〜80%の範囲に設定するのが良い。5%以下だとCLT同士を組み合わせたときの結合が弱く、80%以上だと組合せ前の個々のCLTの端部に配置されるラミナが不安定となったり、組立て時に不具合を生じたりする恐れがある。従って、プライの端部に配置されるラミナの幅を他のラミナに比べて幅を広くしておけば、ずらし量に余裕ができる。また、ずらし量をCLTの端部に配置されるラミナの幅の40%〜60%にしたときに、CLT同士の結合を最大にできる。図1に示すCLT−Aでは、ラミナの数を5枚としたが、一般の場合について述べたように、もっとラミナの数が多くても良いし、プライを構成する数をプライによって変えても良い。ただし、製造上は、ラミナに合わせた型枠でラミナを外側から押さえるので、ラミナの幅や長さを合わせた方が良い。奇数番目のプライについては、隣接するラミナ同士をずらして配置しているが、一部のラミナだけをずらしてプライを作製しても良い。また、プライについても、隣接するプライ同士をずらして配置しているが、一部のプライだけをずらしてCLTを作製することもできる。結合したときの強度は異なるが、CLTの組合せ方法やプライの作製方法に合わせて、使用環境を考慮して設定すれば良い。ただし、隣接するラミナをずらし、隣接するプライをずらした図1に示す構造が、CLTを組み合わせた後の大CLTの結合が大きい。
図2は、CLT(小CLT−A)を組み合わせて大CLTを作製する状態を示す図である。同じCLT−Aを用いて大CLTを作製するのが製造上はコストを安くできる。すなわち、同じCLTを多数作製すれば量産化が簡単でコストも低減できる。ラミナやプライ、CLT全体を押さえる型枠、プレス装置が少なくて済み、条件設定も容易となる。上述したように、同じCLTを接続するには、U1=W2=U3=W4=U5、およびW1=U2=W3=U4=W5の関係を満たせば良い。そのようにして作製したCLT−Aを組み合わせると図2に示すように大CLTを容易に作製できる。すなわち、CLT−Aの一つ(CLT−A−11とする)に対して、図1に示すCLT−A(CLT−A−11)の前側面はCLT−A(CLT−A−12とする)の後側面と雄雌関係になっているので、CLT−A−11とCLT−A−12はぴったりと嵌まる。また、CLT−A(CLT−A−11)の右側面とCLT−A(CLT−A−21とする)の左側面と雄雌関係になっているので、CLT−A−11とCLT−A−21はぴったりと嵌まる。次にCLT−A−12の右側面とCLT―A−21の前側面にCLT−A(CLT−A−22とする)を合わせるためには、CLT−A−22を前方から後方向へ(図2の⇒方向へ)スライドさせて、CLT−A−12の右側面にCLT−A−22の左側面を、CLT―A−21の前側面にCLT−A−22の後側面を合わせることができる。(CLT−Aの左右側面は前後方向(Y方向)には凹凸がないのでスライド可能である。)これを繰り返せば、任意の大きさ(小CLTの整数倍)の大CLTを作製できる。尚、大CLTの端面はCLT−Aの側面の凹凸ができるので、これを防止するには大CLTの端面に配置するCLTについては、端面側となる側面について凹凸がない平坦な側面を持つCLTをあらかじめ作製しておけば良い。端面側とならない側面については雄雌の関係になるような側面を作製することは当然である。
従来大CLTを作製するには、長いラミナを作製し、そのラミナを幅方向に並べて、必要な枚数のプライを積層接着する必要があった。長く広幅のラミナを作製するには、フィンガー加工や幅はぎ等で複数木材を接合していく必要があり工数もかかりコスト高にもなる。大きなCLTを作製する型枠やプレス装置も大型のものが必要となり、CLTのサイズ以上の設備コストが必要である。たとえば、本発明では、1〜2mサイズのCLTを作製すれば、4m×4mの大CLTの場合は16個〜4個の組合せを行なえば良い。尚、CLTを厚くするのは容易なので、余りコスト高にはならない。
図3は、本発明の別の実施形態を示す図である。図3で示すCLTは、通常の直方体状のプライを隣接するプライに対してX方向(左右方向)および/またはY方向にずらした場合を示す図である。1層目のプライP1は、図3(a)に示すように、木材の繊維方向がX方向であり長手方向がX方向であるラミナL11、L12、L13、L14、L15から成る通常の直方体形状のプライであり、長さ(ラミナの縦方向すなわち長手方向であり、X方向)がU1、幅(ラミナの横方向すなわち幅方向であり、Y方向)がW1、厚さがt1の大きさを有する。図1(b)で示すプライP2と同じ構造である。
2層目のプライP2は、図3(b)に示すように、木材の繊維方向がY方向であり長手方向がY方向であるラミナL21、L22、L23、L24、L25から成る通常の直方体形状のプライであり、長さ(ラミナの縦方向すなわち長手方向であり、Y方向)がU2、幅(ラミナの横方向すなわち幅方向であり、X方向)がW2、厚さがt2の大きさを有する。1層目のプライP1と2層目のプライP2は木材の繊維方向が直交する。3層目のプライP3(長さU3、幅W3、厚さu3)およびプライP5(長さU5、幅W5、厚さu5)は、構造がプライP1と同じである。4層目のプライP4(長さU4、幅W4、厚さu4)は、構造がプライP2と同じである。
これらのプライP1〜P5を互いにずらしながら積層接着してCLT(CLT-Eと称する)を作製する。P1はP2に対してY方向についてa1、X方向についてb1(ずれ量、食み出し量、へこみ量)ずらして積層接着する。P2はP3に対してY方向についてa2、X方向についてb2(ずれ量、食み出し量、へこみ量)ずらして積層接着する。
P3はP4に対してY方向についてa3、X方向についてb3(ずれ量、食み出し量、へこみ量)ずらして積層接着する。P4はP5に対してY方向についてa4、X方向についてb4(ずれ量、食み出し量、へこみ量)ずらして積層接着する。
このCLT−Eに対して各側面の凹凸に合わせた側面を有するCLTを作製すれば、大CLTを作製できる。同じCLT(たとえば、CLT−E)を使用して大CLTを作製するためには、U1=W2=U3=W4=U5、W1=U2=W3=U4=W5である必要がある。図4はそのようにして作製したCLT(CLT-E)をX方向およびY方向に接続して大CLTを作製する状態を示す図である。
同じCLT−Eを用いて大CLTを作製するのが製造上はコストを安くできる。すなわち、同じCLTを多数作製すれば量産化が簡単でコストも低減できる。ラミナやプライ、CLT全体を押さえる型枠、プレス装置が少なくて済み、条件設定も容易となる。CLT−Eの一つ(CLT−E−11とする)に対して、図3に示すCLT−E(CLT−E−11)の前側面はCLT−E(CLT−E−12とする)の後側面と雄雌関係になっているので、CLT−E−11とCLT−E−12はぴったりと嵌まる。また、CLT−E(CLT−E−11)の右側面とCLT−E(CLT−E−21とする)の左側面と雄雌関係になっているので、CLT−E−11とCLT−E−21はぴったりと嵌まる。次にCLT−E−12の右側面とCLT―E−21の前側面にCLT−E(CLT−E−22とする)を合わせるためには、CLT−E−22を前方から後方向(図2の⇒方向)へ、または右方から左方向(図2の⇒方向)へスライドさせて、CLT−E−12の右側面にCLT−E−22の左側面を、CLT―E−21の前側面にCLT−E−22の後側面を合わせることができる。(CLT−Eの左右側面は前後方向(Y方向)には凹凸がないのでスライド可能である。
また、CLT−Eの前後側面は左右方向(X方向)には凹凸がないのでスライド可能である。)これを繰り返せば、任意の大きさ(小CLTの整数倍)の大CLTを作製できる。尚、大CLTの端面はCLT−Eの側面の凹凸ができるので、これを防止するには大CLTの端面に配置するCLTについては、端面側となる側面について凹凸がない平坦な側面を持つCLTをあらかじめ作製しておけば良い。端面側とならない側面については雄雌の関係になるような側面を作製することは当然である。図3に示すタイプのCLT−Eは、左右前後のどちらでもスライドさせて接合できるので、大CLTを作製しやすい。しかも通常の直方体状のプライだけで作製できるという利点もある。図3では、隣接するプライをずらしているが、一部のプライだけずらす方法でも作製できる。たとえば、図3に示す5枚プライの積層CLTでは、中央のプライP3だけを他のプライに対してずらすこともできる。そのとき、中央のプライP3の厚みを他のプライより厚くしておけばCLTの強度も大きくなる。5層よりも少ないプライ(2層〜4層プライ)でも本発明のCLTは可能であり、5層より多いプライ(6層以上のプライ)を積層したCLTでも本発明のCLTを作製できる。プライのずらし方も適用する建物の大きさや強度やコスト等から適合する方法を選択すれば良い。
図5〜図7は、本発明の鋸歯状サネを有するCLTを作製する方法について示す図である。本発明のCLTは各プライについて異なる型枠を用いてプライを構成するラミナを水平方向に固定して各プライを積層圧着する。図5は各プライを積層して加圧圧着するプレス装置の状態を示す断面模式図であり、図5(a)はラミナおよびプライを積層配置した状態で加圧前の状態、図5(b)は加圧中の状態を示す。図5(a)に示すように、プレス台G2の上に必要な枚数のプライ(Pi)を積層配置する。この状態ではプライ同士は接着していないので、ラミナやプライの水平方向位置は正確でなくても良い。各プライおよびラミナの端面はずれて配置されるので、その位置が動かないように水平方向から型枠F2およびF4が配置される。この型枠F2およびF4はプライおよびラミナのずれ量(食み出し量、へこみ量)に対応して、高さ方向(CLTの厚み方向)に凹凸状の型Siが形成されている。型Siの大きさ(幅方向サイズ)は各ラミナやプライPi「と同じサイズに形成されている。紙面の前方および後方にも型枠(F1、F3)は配置される。各プライの接合面には接着剤が塗布されている。ラミナをこの状態で並べるときは、ラミナの側面(幅方向)に接着剤を塗布しラミナを幅方向に接着することもできる。ラミナを並べて積層し配置した(この状態ではラミナやプライは移動可能なので比較的ラフに配置できる)後、図5(b)に示すように、水平方向から型枠F2、F4(およびF1、F3)を閉じてラミナおよびプライを水平方向から押さえて、水平方向の位置決めを行なう。各プライやラミナの位置は型枠F2、F4(およびF1、F3)に取りつけられた型Siの凹凸形状に従って決定される。水平位置決めが決定された状態で上下からプレスG1およびG2により積層されたプライPiを適切な条件(圧力、温度や雰囲気など)で加圧して、プライ同士およびラミナ同士を接着する。プレスG1には型Spが取り付けられており、この型SpがプライPiをプレスするが、プライPiは平坦であるから、この型Spも接触面が平坦である。{図5(b)}接着が完了したら、プレスおよび型枠F(F1〜F4)から完成CLTを取り出す。
図6は各プライの平面状態を示す図である。プライPiを構成するラミナLijの配置状態に合わせて型枠F1〜F4に型Sijが取り付けられている。図6に示すラミナLijは、端面がずれて(食み出したり、へこんだりしている)いるプライPiなので、(プライやラミナの幅方向において)それに応じて型枠F2およびF4の型Sijに凹凸が形成されている。型Sijの大きさ(幅方向サイズ)はラミナLijの幅方向サイズと同じである。プライPiやラミナLijは長手方向には平坦であるから、それに対応して型枠F1およびF3の型Sm+1およびSm+2は平坦である。ラミナLijを並べて配置した後に、図6(b)に示すように、水平方向に型枠F1〜F4を閉じてラミナLijを水平方向に押さえて、プライPiにおけるラミナLijの配置状態が決定される。型Sijの凹凸状態に合わせてラミナLijの位置が固定される。各プライPiが図6(b)の状態で積層されており、この状態で紙面に垂直方向に積層されたプライがプレスされて(図5(b)に示す状態)、プライ同士が積層接着する。
図7はラミナLijのずれがない通常プライの平面状態を示す図である。型枠F1〜F4にそれぞれ取り付けた型Si1〜Si4は平坦な型である。ラミナLijを並べた後(図7(a)、水平方向に型枠F1〜F4を閉じてラミナLijを水平方向に押さえて、整列配置させて、通常プライの状態に決定する。(図7(b))各プライPiが図6(b)の状態で積層されており、この状態で紙面に垂直方向に積層されたプライがプレスされて(図5(b)に示す状態)、プライ同士が積層接着する。
以上詳細に説明した様に、本発明は直交集成板(CLT)におけるプライおよび/またはプライを構成するラミナをずらして配置させたCLTの側面に凹凸を有する(鋸歯状サネまたは櫛歯状サネを有する)CLTであり、CLTの側面に形成された凹凸に対して嵌合するタイプのCLTを組み合わせて、大CLTを作製できるものである。一方のCLTのラミナやプライが他方のCLTの一部になっているので、結合が大きく大きな面積のCLT(大CLT)を作製することが可能である。従来は大CLTを作製するには、サイズの大きなラミナやプライを使用するため大型のCLT装置が必要であったが、本発明の側面に凹凸を有する(鋸歯状サネまたは櫛歯状サネを有する)CLTを使用すれば、小型のCLT装置だけで大CLTを作成できる。すなわち、材料コスト、装置コスト、作製工数、人件費などすべての費用を大幅に削減できる。CLT作製に必要な条件等は非特許文献2等に記載された内容を適用できる。
図9は、本発明の第3の実施形態を示す図であり、縦方向に接続する方法を示す図である。図1〜図3に示す実施形態は、横方向(平面的)に接続するCLTを示しているが、建物を建設する場合、柱や壁等を設置する必要があるが、そのためにはCLTを縦方向に接続する必要がある。
本実施形態で使用するCLT(小CLT)は2組の基本構造から成る。その1つの小CLT(CLT−K−1)の基本構造は、図9(a)に示すように、3層のプライP1、P2、P3から構成される。1層目のプライP1は、3枚のひき板(ラミナ)N11、N12、N13(Nij:i=1.j=1〜3)を幅方向に並べたもので、真中のラミナN12(幅w12)が他の(両側の)ラミナN11(幅w11)、N13(幅w13)より、前方面(ラミナNijの長手方向)に対してへこませて配置している。2層目のプライP2は、4枚のラミナN21、N22、N23、N24(Nij:i=2、j=1〜4)をその幅方向に、1層目のラミナの幅方向に対して直角方向へ並べて接続して配置する。3層目のプライP3は、3枚のラミナN31、N32、N33(Nij:i=3、j=1〜3)(長さm2)をその幅方向に、2層目のラミナの縦(繊維)方向へ並べて接続して配置するとともに、真中のラミナN32(幅w32)が他のラミナN31(幅w31)、N33(幅w33)より、前方面(ラミナNijの長手方向)に対してへこませて配置している。各プライP1、P2およびP3を構成する各ラミナの繊維方向は同方向である。1層目のプライP1を構成するラミナN11、N12、N13の繊維方向は、2層目にプライP2を構成するラミナN21、N22、N23、N24の繊維方向と直交する方向であり、3層目のプライP3を構成するラミナN31、N32、N33の繊維方向と同方向である。
1層目のプライP1における中央のラミナN12は、2層目のラミナN21の前方側面N21−FよりV12だけ後方にへこんでおり、1層目のプライP1における中央のラミナN12の隣に接続するラミナN11は、2層目のラミナN21の前方側面N21−FよりV11だけ後方にへこんでおり、1層目のプライP1における中央のラミナN12の隣に接続するラミナN13は、2層目のラミナN21の前方側面N21−FよりV13だけ後方にへこんでいる。ここで、v12>v11、v13である。
3層目のプライP3における中央のラミナN32の隣に接続するラミナN31は、2層目のラミナN21の前方側面N21−FよりV21だけ前方に飛び出して(食み出して)おり、3層目のプライP3における中央のラミナN32の隣に接続するラミナN33は、2層目のラミナN21の前方側面N21−FよりV23だけ前方に飛び出している。3層目のプライP3における中央のラミナN32は、3層目のプライP3におけるラミナN31よりv22だけ後方にへこんでいる。
もう1つの小CLT(CLT−K−2)の基本構造は、図9(b)に示すように、3層のプライP1’、P2’、P3’から構成される。1層目のプライP1’は、3枚のひき板(ラミナ)M11、M12、M13(Mij:i=1.j=1〜3)を幅方向に並べたもので、真中のラミナM12(幅w12’)が他のラミナM11(幅w11’)、M13(幅w13’)より、前方面(ラミナMijの長手方向)に対して飛び出して配置している。2層目のプライP2’は、4枚のラミナM21、M22、M23、M24(Mij:i=2、j=1〜4){長さm2’}をその幅方向に、1層目のラミナの幅方向に対して直角方向へ並べて接続して配置する。3層目のプライP3’は、3枚のラミナM31、M32、M33(Nij:i=3.j=1〜3)をその幅方向に、2層目のラミナの縦(繊維)方向へ並べて接続して配置するとともに、真中のラミナM32が他の(両側の)ラミナM31、M33より、前方面(ラミナNijの長手方向)に対して飛び出して配置している。各プライP1’、P2’およびP3’を構成する各ラミナの繊維方向は同方向である。1層目のプライP1’を構成するラミナM11、M12、M13の繊維方向は、2層目のプライP2’を構成するラミナM21、M22、M23、M24の繊維方向と直交する方向であり、3層目のプライP3を構成するラミナM31、M32、M33の繊維方向と同方向である。
1層目のプライP1’における中央のラミナM12は、隣のラミナM11よりh12だけ前方へ飛び出している。また、1層目のプライP1’における中央のラミナM12の隣のラミナM11は2層目のプライP2’ ’における最前方のラミナM21の前方側面M21−Fよりも後方にh11だけへこんでおり、1層目のプライP1’における中央のラミナM12の隣のラミナM13は2層目のプライP2’ ’における最前方のラミナM21の前方側面M21−Fよりも後方にh13だけへこんでいる。
3層目のプライP3’におけるラミナM31は2層目のプライP2’ におけるラミナM21の前方側面M21−Fよりもh21だけ前方に飛び出ており、3層目のプライP3’におけるラミナM32は2層目のプライP2’ におけるラミナM21の前方側面M21−Fよりもh22だけ前方に飛び出ており、3層目のプライP3’におけるラミナM33は2層目のプライP2’ におけるラミナM21の前方側面M21−Fよりもh23だけ前方に飛び出ている。ここで、h22>h21、h23である。
これら2組の小CLT(CLT−K−1、2)を組み合わせることによって大CLTを作製することができる。たとえば、図9(c)に示すように、CLT−K−1に対して、CLT−K−2を上下逆にして、それらの前方面同士を合わせて隙間なく接続し大CLTを作製できる。このとき、CLT−K−1のプライP1の(ラミナ)の厚みをt1、プライP2の(ラミナ)の厚みをt2、プライP3の(ラミナ)の厚みをt3、およびCLT−K−2のプライP1’の(ラミナ)の厚みをt1’、プライP2’の(ラミナ)の厚みをt2’、プライP3’の(ラミナ)の厚みをt3’としたとき、t1=t3’、 t2=t2’、 t3=t1’とする。また、v11=h21、v12=h22、v13=h23、v21=h11、v22=h12、v23=h13、さらにw11=w31’、w12=w32’、w13=w33’、w31=w11’、w32=w12’、 w33=w13’、m2=m2’とする。すなわち、これらの条件下において、飛び出たM32はへこんだN12に入り込み、また、飛び出たM12はへこんだN12に入り込む。また、N21の前方側面N21−FとM21の前方側面M21−Fを合わせることができ、さらにN11とM31、N13とM33のそれぞれの前方面を合わせることができる。以上のように、接続すべきCLT同士のプライの幅、ラミナの幅、ラミナの長さを同じくして、へこんだ部分と飛び出た部分との長さをそろえることによって、より大きなCLTを作製できる。尚、図9(c)ではCLTの前方同士を合わせたが、後方または側面側に接続する場合も図2または図4に示す場合と同様にして、後方または側面側にへこんだ部分と飛び出た部分を作製して合わせていけば良い。これらを繰り返すことによって、大きなCLTを作製することもできる。
図9(a)および(b)に示す小CLTを組み合わせれば、図9(d)に示すように、CLT同士を90度の角度で連結することもできる。すなわち、CLT−K−1の前方面にCLT−K−2の前方面を90度で(垂直に)組み合わせる。N33の前方面に対してM31の前方の上面を、N32の前方面に対してM32の前方の上面を、N31の前方面に対してM33の前方の露出した上面を合わせる。N33、N32、N31の前方の露出した上面にM21の側面が合う。さらに、N21の前方面にM21の前方の上面が合う。N21の前方の露出した上面にM11、M12、M13の前方面が合い、M11、M12、M13の前方の上面にN13、N12、N11の前方面が合う。ここで、上記の条件に加えて、V22=0(すなわち、N32の前方面がN21−Fと同一平面となる)、h22=t3+t2、v21=v23=t3’、h21=h23=t2、v11=v13=t2’、h11=h12=h13=t1、w31=w33=w11=w13=w31’=w33’=w11’=w13’、w12=w32=w12’=w32’である必要がある。尚、プライP1、P3、P1’、P3’におけるラミナの幅はすべて同じくし、またプライP2、P2’の長さをすべて同じくし、各ラミナの厚みをすべて同じくすると各プライおよび小CLTを作製しやすい。
このように、第3の実施形態ではCLT同士を90度の角度で連結することができ、たとえばこれらを壁にすれば部屋の仕切り(壁)として用いることができる。また、たとえば、一方を床板とすれば、他方は垂直壁(柱)とすることができる。あるいは、家の外壁の角部分をこれらのCLTで構成することができる。小CLT同士は結合部分の寸法を正確に作製すれば接合部材を使用することなく強固に結合することができる。あるいは、くぎ、ボルト、ネジ、その他の接合金具、接着剤等の接合部材を用いて小CLT同士を強固に結合することもできる。たとえば、図9(d)に示すように、長ビス、長ネジ、長ボルト等21を両方の(小)CLTにおける90度に結合した部分に渡して強固に小CLT同士を接合することができる。
ここで、図9に示す方式を一般化する。複数枚のプライが積層された2組のCLT(CLT−J−1、CLT−J−2)であり(各CLTにおけるプライの積層数は同じである)、奇数層目のプライを構成するラミナの長手方向は偶数層目のプライを構成するラミナの長手方向とほぼ直交する。CLTの前方において、奇数層目のプライにおいて複数枚のラミナが幅方向に並べられている。奇数層目のプライにおいて並べるラミナの数および幅はすべて同じとする。偶数層目のプライにおいては、1枚のラミナの(長手方向)側面がCLTの前方を向いている。CLTであるから、奇数枚目のラミナの繊維方向と偶数番目のラミナの繊維方向はほぼ直交している。CLT−J−1およびCLT−J−2におけるプライの厚みは同じ(tとする)である。すなわち、CLTを構成するラミナの厚みは同じである。
2組のCLTのうちの一方のCLT(CLT−J−1)では、1層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対して飛び出たラミナの2種類から成り、飛び出たラミナの飛び出し量はラミナの厚み分(t)である。2層目のプライの前方において、前方に配置されたラミナの(長手方向)前方側面の位置は、1層目のプライにおける通常位置に配置されたラミナの前方面からtだけ後方にある。(すなわち、へこんでいる。)3層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対して飛び出たラミナの2種類から成り、飛び出たラミナの飛び出し量はラミナの厚み分(t)である。また、3層目のプライの通常位置にあるラミナの前方面は2層目のプライの前方に配置されたラミナの前方側面位置よりtだけ後方にある。従って3層目の飛び出たラミナの前方面は2層目のプライの前方に配置されたラミナの前方側面位置と一致する。
これを一般化すると、奇数(2n+1){n=1、2、3、・・・}層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対して飛び出たラミナの2種類から成り、飛び出たラミナの飛び出し量はラミナの厚み分(t)であり、すなわち、飛び出たラミナの前方面はその下層のプライの前方に配置されたラミナの前方側面位置と一致する。偶数(2n){n=1、2、3、・・・}層目のプライの前方において、プライの前方に配置されたラミナの前方側面位置はその下層の2n−1層目のプライにおいて通常位置に配置されたラミナの前方面よりtだけ後退している(へこんでいる)。
2組のCLTのうちの他方のCLT(CLT−J−2とする)では、1層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対してへこんだラミナの2種類から成り、へこんだラミナのへこみ量はラミナの厚み分(t)である。2層目のプライの前方において、前方に配置されたラミナの(長手方向)前方側面の位置は、1層目のプライにおける通常位置に配置されたラミナの前方面からtだけ後方にある。(すなわち、へこんでいる。)従って、2層目のプライの前方に配置されたラミナの(長手方向)前方側面の位置は、1層目のプライにおけるへこんだラミナの前方面位置と一致する。3層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対してへこんだラミナの2種類から成り、へこんだラミナのへこみ量はラミナの厚み分(t)である。言いかえれば、へこんだラミナの前方面位置は通常位置にあるラミナの前方面位置より後方にある。また、3層目のプライの通常位置にあるラミナの前方面は2層目のプライの前方に配置されたラミナの前方側面位置よりtだけ後方にある。ここで、CLT−J−1の飛び出したラミナに対応する部分がCLT-J−2ではラミナがへこんでおり、CLT−J−1の通常位置にあるラミナに対応する部分がCLT-J−2ではラミナが通常位置にある。
これを一般化すると、奇数(2n+1){n=1、2、3、・・・}層目のプライの前方において、前方面が通常位置にあるラミナと前方面が通常位置のラミナに対してへこんだラミナの2種類から成り、へこんだラミナのへこみ量はラミナの厚み分(t)であり、すなわち、へこんだラミナの前方面はその上層{(2n+2)層目}のプライの前方に配置されたラミナの前方側面位置と一致する。偶数(2n){n=1、2、3、・・・}層目のプライの前方において、プライの前方に配置されたラミナの前方側面位置はその下層の2n−1層目のプライにおいて通常位置に配置されたラミナの前方面よりtだけ後退している。ここで、CLT−J−1の飛び出したラミナに対応する部分がCLT-J−2ではラミナがへこんでおり、CLT−J−1の通常位置にあるラミナに対応する部分がCLT-J−2ではラミナが通常位置にある。
これら2組のCLT−J−1およびCLT−J−2のそれぞれの前方において直角方向から合わせることによって、90度の角度で交わるL字形のCLT壁を作製できる。すなわち、CLT−J−1の1層目の飛び出た部分をCLT−J−2の1層目のへこんだ部分に合わせて嵌め込み、CLT−J−1の2n+1層目の飛び出た部分をCLT−J−2の2n+1層目のへこんだ部分に合わせて嵌め込んでいくことによって、CLT−J−1の2n+1層目の通常位置にあるラミナとCLT−J−2の2n+1層目の通常位置にあるラミナが合わせられ、さらにCLT−J−1の2n層目とCLT−J−2の2n層目が合う。これらを用いれば、直角構造の壁等を作製でき、直方体状の部屋や家の外壁をCLTだけで構成できる。さらに一方を床部材とすれば、他方を壁部材とすることもできる。
図10は、本発明の第4の実施形態を示す図であり、集成材を十字形に交叉する方法について示す図である。本実施形態では、集成材に適用できる。集成材構造の場合、プライを構成するラミナの繊維方向は、すべてのプライ(ラミナ)において同じである。本実施形態の基本構造は2組(小GLT−K−3、4)であり、これらを組み合わせて十字形構造を構成することができる。図10(b1)は、小GLT−K−3の平面図を示す図で、1層目のプライP1の上方から見た図である。小GLT−K−3は3層のプライP1、P2、P3から構成され、プライP1はラミナN11、N12、N13、N14からなり、その下に2層目のプライP2を構成するラミナN21、N22、N23、N24が配置され、さらにその下に3層目のプライP3を構成するN31、N32、N33、N34が配置される。図10(a1)は、図10(b1)のN11の上方から見た図であり、小GLT−K−3のプライP1、P2、P3が積層された方向から見た図である。図10(c1)は、図10(b1)のN14の下方から見た図であり、小GLT−K−3のプライP1、P2、P3が積層された方向から見た図である。図10(d1)は、図10(b1)の前方(ラミナが凹凸に構成されている方)から見た図であり、凹凸状態が分かるように模様付けしている。
図10(b1)から分かるように、小GLT−K−3の前方において、ラミナの一部は飛び出しており、またラミナの一部はへこんで配置される。破線で示す部分O1、O2は、奥側のラミナの前方位置を示している。図10(d1)に示すように、無地(模様なし)で示す部分(N11、N21、N31、N13、N23、N33の前方面)は中間位置にある。この中間位置に対して、網線模様で示す部分(N32、N12、N34、N14の前方面)は飛び出ており、斜線で示す部分(N22、N24)はへこんでいる。尚、図10において、破線は奥側のラミナの前方位置(O3、O4を除く)を示している。ラミナN11の前方面に対してラミナN12の前方面はx1だけ飛び出しており、ラミナN11の前方面に対してラミナN22の前方面はx2だけへこんでいる。(ラミナN11、N21、N31、N13、N23、N33の前方面は同じ位置であり、ラミナN12、N32、N14、N34の前方面は同じ位置であり、ラミナN22、N24の前方面は同じ位置である。)
図10(b2)は、小GLT−K−4の平面図を示す図で、1層目のプライP1’の上方から見た図である。小GLT−K−4は3層のプライP1’、P2’、P3’から構成され、プライP1’はラミナM11、M12、M13、M14からなり、その下に2層目のプライP2’を構成するラミナM21、M22、M23、M24が配置され、さらにその下に3層目のプライP3’を構成するM31、M32、M33、M34が配置される。図10(a2)は、図10(b2)のM11の上方から見た図であり、小GLT−K−4のプライP1’、P2’、P3’が積層された方向から見た図である。図10(c2)は、図10(b2)のM14の下方から見た図であり、小GLT−K−4のプライP1’、P2’、P3’が積層された方向から見た図である。図10(d2)は、図10(b2)の前方(ラミナが凹凸に構成されている方)から見た図であり、凹凸状態が分かるように模様付けしている。
図10(b2)から分かるように、小GLT−K−4の前方において、ラミナの一部は飛び出しており、またラミナの一部はへこんで配置される。尚、破線で示す部分O3、O4は、奥側のラミナの後方位置を示している。図10(d2)に示すように、無地(模様なし)で示す部分(M11、M21、M31、M13、M23、M33の前方面)は一番奥側にへこんでいる。このへこんだ位置に対して、網線模様で示す部分(M32、M12、M34、M14の前方面)は飛び出ており、点模様で示す部分(M22、M24)はさらに(一番)飛び出ている。ラミナM11の前方面に対してラミナM12の前方面はy1だけ飛び出していて、ラミナM12の前方面に対してラミナM22はy2だけ飛び出している。(ラミナM11、M21、M31、M13、M23、M33の前方面は同じ位置であり、ラミナM12、M32、M14、M34の前方面は同じ位置であり、ラミナM22、M24の前方面は同じ位置である。)
ここで、小GLT−K−3および小GLT−K−4のプライP1およびP1’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t1)であり、プライP2およびP2’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t2)であり、プライP2およびP2’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t3)とする。また、小GLT−K−3を構成するラミナNij(i=1、2、3;j=1、2、3、4)の幅wijと小GLT−K−4を構成するラミナMij(i=1、2、3;j=1、2、3、4)の幅wij’は同じとする。(すなわち、wij=wij’)また、y2=x1+x2とする。
このような条件下で、小GLT−K−3および小GLT−K−4の前方面同士を合わせることができる。図10(e)は、小GLT−K−3および小GLT−K−4の前方面同士を組み合わせた図である。すなわち、ラミナM22の前方面をラミナN22のO1の位置まで入れることができ、N22のへこんだ(窪んだ)部分にM22の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。同様にラミナM24の前方面をラミナN24のO2の位置まで入れることができ、N24のへこんだ(窪んだ)部分にM24の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。また、N12の前方面がM12の前方面と、N14の前方面がM14の前方面と一致する。この結果、図10(e)に示すように、N11(N21、N31)の前方面とM11(M21、M31)の前方面との間に、隙間31(長さx1+y1、奥行きt1+t2+t3)が形成される。また、N13(N23、N33)の前方面とM13(M23、M33)の前方面との間に、隙間32(長さx1+y1、奥行きt1+t2+t3)が形成される。
図10(f)は、図10(e)の上下反転した図である。ラミナNijの幅(wij)およびラミナMijの幅(wij’)を同じくし(すなわち、wij=wij’=w)、x1+y1=t1+t2+t3とする。このような条件にすると、互いの隙間の所にラミナの前方部を入れ込んで十字形の交叉壁を造ることができる。しかも交叉部分に隙間を形成せずに作製できる。すなわち、図10(f)に示すように、結合して隙間33、34を形成する。この隙間の長さはx1+y1=t1+t2+t3である。この隙間に小GLT−K−3の前方部を入れる。すなわち、隙間34にN14(N24、N34)を入れ、隙間33にN12(N22、N32)を入れる。また、この隙間に小GLT−K−4の前方部を入れる。すなわち、隙間34にM14(M24、M34)を入れ、隙間33にM12(M22、M32)を入れる。このとき、小GLT−K−3の前方部のへこんだ部分に小GLT−K−4の前方部の飛び出た部分を嵌め込む。
図11は、このように2組の集成材を2つ使用して、十字形に組み合わせた集成材を示す図である。集成材の上下を反転したということを示すためにGLT−K−3、GLT−K−4に下線を引いている。各(小)集成材(GLT−K−3、GLT−K−4)上部のラミナの符号のみを示しているが、それらの下部のラミナの符号は図10に示す場合と同じである。このように、図10に示す小集成材の前方部で結合した部分で、十字形に小集成材が交叉して、十字形壁の集成材部材が作製される。この場合、互いの集成材は交叉部分で隙間なく交叉している。凸部(飛び出た部分)と凹部(へこんだ部分)が嵌め込まれているので、これらの交叉部分は強固に結合される。さらに結合状態を強固にする場合は、接着剤、接続金具等を用いることができる。この十字形組合せ集成材構造は、たとえば家屋内の各部屋の仕切り壁として適用できる。あるいは、アパート等の集合住宅の仕切壁としても使用できる。
本実施形態では、3層のプライや幅方向のラミナ数は4枚としたが、これに限定されないことは言うまでもなく、上記に示した条件を満たしながら、飛び出た部分とへこんだ部分を対応付けさせながら集成材を作製すれば良い。また、上記に示した条件も適宜変更して適用することもできる。たとえば、y2=x1+x2としたが、y2<x1+x2としても良く、ただしこの場合は、組み合わせたときにN22とM22との間に隙間が生じる。この隙間は組み合わせた大集成材の内部に形成されるので、全体の外観形状は隙間が生じない場合と同じとなる。
ここで、図10および図11に示す方式を一般化する。奇数層(2m+1:m=1、2、3、・・・)のプライが積層された2つの集成材から成る2組の集成材(GLT−J−3とGLT−J−4、GLT−J−5とGLT−J−6)があり、各プライを構成するラミナの数および幅は同じであり、ラミナ数は偶数枚(2p+1:p=1、2、3、・・・)である。また、各集成材同士において対応するプライの厚みは等しい。すなわち、GLT−J−3、GLT−J−4、GLT−J−5およびGLT−J−6において、i層目(i=2m+1:m=1、2、3、・・・)の厚みが等しく、各プライの厚みをti(i=1、2、・・・2m+1)とする。(従って、各プライにおける、そのプライを構成するラミナの厚みは同じである。)
GLT−J−3において、奇数枚目のラミナの前方面は、各プライに拘わらず一致する(同一位置にある)。また、奇数層目のプライにおいて、各プライに拘わらず偶数枚目のラミナの前方面は一致し(同一位置にあり)、奇数枚目のラミナの前方面に対してx1だけ飛び出している。さらに、偶数層目のプライにおいて、各プライに拘わらず偶数枚目のラミナの前方面は一致し(同一位置にあり)、奇数枚目のラミナの前方面に対してx2だけへこんでいる。
GLT−J−4において、奇数枚目のラミナの前方面は、各プライに拘わらず一致する(同一位置にある)。また、奇数層目のプライにおいて、各プライに拘わらず偶数枚目のラミナの前方面は一致し(同一位置にあり)、奇数枚目のラミナの前方面に対してy1だけ飛び出している。さらに、偶数層目のプライにおいて、各プライに拘わらず偶数枚目のラミナの前方面は一致し(同一位置にあり)、奇数枚目のラミナの前方面に対してy1+y2だけ飛び出している。
ここで、y2−x2≦x1という条件のもとで、GLT−J−3とGLT−J−4の前方面において対応するプライおよびラミナを合わせることによって、奇数枚目のGLT−J−3のラミナの前方面と奇数枚目のGLT−J−3のラミナの前方面との間にx1+y1の隙間が形成される。
もう一組の組合せ集成材のうちのGLT−J−5はGLT−J−3と同じであり、GLT−J−6はGLT−J−4と同じであるが、これらを組み合わせるときに上下を反転させる。その結果組み合わせた集成材(GLT−J−5とGLT−J−6)においては、偶数枚目のGLT−J−5のラミナの前方面と偶数枚目のGLT−J−6のラミナの前方面との間にx1+y1の隙間が形成される。ここで、x1+y1=Σti(i=1〜2m+1)とすると、これらの隙間同士の間に相手側の前方側に飛び出たラミナが入って嵌まり、十字形に交叉した集成材壁が作製される。作製方法として、たとえばGLT−J−3とGLT−J−4の前方面同士を合わせて作製した隙間にGLT−J−6の飛び出たラミナをその隙間に入れて、その飛び出たラミナの前面にGLT−J−5のへこんだラミナの前面を合わせるように嵌め込めば良い。尚、x1+y1<Σtiの条件でも(隙間がΣtiとなる条件を実現できるので)これらの隙間同士の間に相手側の前方側に飛び出たラミナが入って嵌まり、十字形に交叉した集成材壁が作製される。
図12は、本発明の第5の実施形態を示す図であり、CLTを十字形に交叉する方法について示す図である。本実施形態の基本構造は2組(図12で示す小CLT−K−5と小CLT−K−6の組合せCLT、および図13で示す小CLT−K−7と小CLT−K−8との組合せCLT)であり、これらを組み合わせて十字形構造を構成することができる。図12(b1)は、小CLT−K−5の平面図を示す図で、1層目のプライP1の上方から見た図である。小CLT−K−5は3層のプライP1、P2、P3から構成され、プライP1はラミナN11、N12、N13からなり、その下に2層目のプライP2を構成するラミナN21、N22、N23、N24、N25、N26が配置され、さらにその下に3層目のプライP3を構成するN31、N32、N33が配置される。CLT構造の場合、1層目のプライP1のラミナの繊維方向は、2層目のプライP2のラミナの繊維方向とほぼ直交し、3層目のプライP3のラミナの繊維方向と同じである。図12(a1)は、図12(b1)の上方から見た図であり、小CLT−K−5のプライP1、P2、P3が積層された方向から見た図である。図12(c1)は、図12(b1)の下方から見た図であり、小CLT−K−5のプライP1、P2、P3が積層された方向から見た図である。図12(d1)は、図12(b1)の前方(ラミナが凹凸に構成されている方)から見た図であり、凹凸状態が分かるように模様付けしている。
図12(b1)から分かるように、小CLT−K−5の前方において、ラミナの一部はへこんで配置される。破線で示す部分O1、O2、O3は、奥側のラミナの前方でへこんだ位置を示している。図12(d1)に示すように、無地(模様なし)で示す部分(N11、N22、N24、N26、N31の前方面)は通常位置にある。この通常位置に対して、斜線で示す部分(N21、N23、N25)はへこんでいる。尚、図10において、破線は奥側のラミナの前方位置を示している。ラミナN11の前方面に対してラミナN21の前方面はx3だけへこんでいる。(ラミナN11、N22、N24、N26、N31の前方面は同じ位置であり、ラミナN21、N23、N25の前方面は同じ位置である。)
図12(b2)は、小CLT−K−6の平面図を示す図で、1層目のプライP1’の上方から見た図である。小CLT−K−6は3層のプライP1’、P2’、P3’から構成され、プライP1’はラミナM11、M12、M13からなり、その下に2層目のプライP2’を構成するラミナM21、M22、M23、M24、M25、M26が配置され、さらにその下に3層目のプライP3’を構成するM31、M32、M33が配置される。CLT構造の場合、1層目のプライP1’のラミナの繊維方向は、2層目のプライP2’のラミナの繊維方向とほぼ直交し、3層目のプライP3’のラミナの繊維方向と同じである。図12(a2)は、図12(b2)の上方から見た図であり、小CLT−K−6のプライP1’、P2’、P3’が積層された方向から見た図である。図12(c2)は、図12(b2)の下方から見た図であり、小CLT−K−6のプライP1’、P2’、P3’が積層された方向から見た図である。図12(d2)は、図12(b2)の前方(ラミナが凹凸に構成されている方)から見た図であり、凹凸状態が分かるように模様付けしている。
図12(b2)から分かるように、小CLT−K−6の前方において、ラミナの一部は飛び出しており、またラミナの一部はへこんで配置される。尚、破線で示す部分は、奥側のラミナの位置を示している。図12(d2)に示すように、無地(模様なし)で示す部分(M11、M22、M24、M26、M31の前方面)は通常位置にある。この通常位置に対して、点模様で示す部分(M21、M23、M25)は飛び出ている。ラミナM11の前方面に対してラミナM21の前方面はy3だけ飛び出している。(ラミナM21、M23、M25の前方面は同じ位置である。)
ここで、小CLT−K−5および小CLT−K−6のプライP1およびP1’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t1)とし、プライP2およびP2’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t2)とし、プライP2およびP2’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(t3)とする。また、小CLT−K−5を構成するラミナNij(i=1、2、3;j=1、2、3、4)の幅wij、長さをLij、小CLT−K−6を構成するラミナMij(i=1、2、3;j=1、2、3、4)の幅wij’、 長さをLij’としたとき、L11=L12=L13=L11’=L12’=L13’=w21+w22+w23+w24+w25+w26=w21’+w22’+w23’+w24’+w25’+w26’、w21=w21’、w22=w22’、w23=w23’、w24=w24’、w25=w25’、w26=w26’とする。他のプライ層、ラミナについても同様とする。尚、これらの幅を同じくし、長さを同じくし、厚みを同じくすると製作が容易である。また、y3>x3とする。
このような条件下で、小CLT−K−5および小CLT−K−6の前方面同士を合わせることができる。図12(e)は、小CLT−K−5および小CLT−K−6の前方面同士を組み合わせた図であり、図12(a1)および図12(a2)と同じ状態で示した図である。すなわち、ラミナM21の前方面をラミナN21の前方面O1の位置まで入れることができ、N21のへこんだ(窪んだ)部分にM21の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。同様にラミナM23の前方面をラミナN23の前方面O2の位置まで入れることができ、N23のへこんだ(窪んだ)部分にM23の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。同様にラミナM25の前方面をラミナN25の前方面O3の位置まで入れることができ、N25のへこんだ(窪んだ)部分にM25の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。この結果、y3>x3であるから、図12(e)に示すように、N11の前方面とM11の前方面との間に、隙間35(長さy3−x3、高さt1、奥行きL11)が形成される。また、N31の前方面とM31の前方面との間に、隙間36(長さy3−x3、高さt3、奥行きL31)が形成される。
図12(f)は、小CLT−K−5および小CLT−K−6を組み合わせたときの図12(b1)および図12(b2)と同じ状態で示した図である。N11、N22、N31とM11、M22、M31の間に隙間37(長さy3−x3、幅w22、奥行きt1+t2+t3)、N11、N24、N31とM11、M24、M31の間に隙間38(長さy3−x3、幅w24、奥行きt1+t2+t3)、N11、N26、N31とM11、M26、M31の間に隙間39(長さy3−x3、幅w26、奥行きt1+t2+t3)が形成される。これらの隙間37、38、39は貫通する隙間である。(尚、ここで、y3≦x3とすれば、CLT−K−5とCLT−K−6は隙間なく合わせることができ、これを繰り返せば大CLTを作製できる。)
図13は、図12で示すCLTと組み合わせて十字形組合せCLTを作製するもうひと組の組合せCLT(CLT−K−7、CLT−K−8)を示す図である。基本的には図12に示すCLT(CLT−K−5、CLT−K−6)と同じ形状であるから、ラミナ、プライの符号は同じものを使用する。尚、同符号であるから、図12と区別する意味で、CLTの符号をつけて示すことにする。たとえば、図12に示すラミナN21は、CLT−K−3の(ラミナ)N21と記載する。また、図13(a)〜(f)はそれぞれ図12(a)〜(f)と同じ状態で見ているので、詳細な説明は省く。以下に、図12に示すCLTと異なる所について説明する。
図13において、CLT−K−7を構成するプライP2におけるラミナN21、N23、N25の前方面は、プライP1におけるラミナN11の前方面およびプライP3におけるラミナN31の前方面と同じ位置(通常位置)にある。この通常位置に対して、プライP2におけるラミナN22、N24、N26(これらは斜線で示す)の前方面はx4だけへこんでおり、それらの前方面の位置はそれぞれ破線O4、O5、O6で示す。CLT−K−8を構成するプライP2’におけるラミナM21、M23、M25の前方面は、プライP1におけるラミナM11の前方面およびプライP3におけるラミナM31の前方面と同じ位置(通常位置)にある。この通常位置に対して、プライP2におけるラミナM22、M24、M26(これらは点線で示す)の前方面はy4だけ飛び出している。ここで、y4>x4とする。
図13(e)および図13(f)は、CLT−K−7のプライP2におけるへこんだ部分(凹部)へCLT−K−8のプライP2’における飛び出た部分(凸部)を入れて嵌め込んだ状態を示す図である。ラミナM22の前方面をラミナN22の前方面O4の位置まで入れることができ、N22のへこんだ(窪んだ)部分にM22の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。同様にラミナM24の前方面をラミナN24の前方面O5の位置まで入れることができ、N24のへこんだ(窪んだ)部分にM24の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。同様にラミナM26の前方面をラミナN26の前方面O6の位置まで入れることができ、N26のへこんだ(窪んだ)部分にM26の飛び出た部分を嵌めて合わせることができる。この結果、y4>x4であるから、図13(e)に示すように、N11の前方面とM11の前方面との間に、隙間40(長さy4−x4、高さt1、奥行きL11)が形成される。また、N31の前方面とM31の前方面との間に、隙間41(長さy4−x4、高さt3、奥行きL31)が形成される。
また、図13(f)に示すように、N11、N21、N31とM11、M21、M31の間に隙間42(長さy4−x4、幅w21、奥行きt1+t2+t3)、N11、N23、N31とM11、M23、M31の間に隙間43(長さy4−x4、幅w23、高さt1+t2+t3)、N11、N25、N31とM11、M25、M31の間に隙間44(長さy4−x4、幅w25、高さt1+t2+t3)が形成される。これらの隙間42、43、44は貫通する隙間である。(尚、ここで、y4≦x4とすれば、CLT−K−7とCLT−K−8は隙間なく合わせることができ、これを繰り返せば大CLTを作製できる。)ここで、図12に示すCLT−K−5およびCLT−K−6と図13に示すCLT−K−7およびCLT−K−8の対応するプライおよびラミナの幅、長さ、厚みを同じくする。たとえば、CLT−K−5のラミナN11とCLT−K−7のラミナN11の長さと厚みを同じ値とする。また、y3−x3=(CLT−K−7または8における)t1+t2+t3、y4−x4=(CLT−K−5または6における)t2とする。
このような条件にすると、互いの隙間の所にラミナの前方部を入れ込んで十字形の交叉壁を造ることができる。すなわち、図12(f)に示すように、結合して隙間37、38、39を形成する。この隙間の長さはy3−x3であるから、CLT−K−7およびCLT−K−8を入れ込むことができる。すなわち、この隙間に小CLT−K−8の前方部を入れる。すなわち、隙間37にM22(小CLT−K−8の)を入れ、隙間38にM24(小CLT−K−8の)を入れる。隙間39にM26(小CLT−K−8の)を入れる。これらの隙間の長さはy3−x3であるから、CLT−K−8のM11、M21、M31を嵌め込むことができる。次に。これらの隙間の逆側にM22、M24、M26が出ているから、それらの飛び出たラミナを小CLT−K−7のへこんだ部分N22、N24、N26に嵌め入れる。図13から分かるようにCLT−K−7およびCLT−K−8を組み合わせたときの隙間y4−x4は(CLT−K−5または6における)t2と等しいので、CLT−K−7およびCLT−K−8組み合わせたときの隙間42、43、44にLT−K−5およびCLT−K−6の組み合わせたときに飛び出た部分であるM21、M23、M25が嵌まった状態になる。
図14は、このような図12および図13で示す2組のCLTを2つ使用して、十字形に組み合わせたCLTを示す図である。各(小)CLT(CLT−K−5、CLT−K−6、CLT−K−7、CLT−K−8)上部のラミナの符号のみを示しているが、それらの下部のラミナの符号は図12および図13に示す場合と同じである。このように、図12および図13に示す小CLTの前方部で結合した部分で、十字形に小CLTが交叉して、十字形壁のCLT部材が作製される。凸部(飛び出た部分)と凹部(へこんだ部分)が嵌め込まれているので、これらの交叉部分は強固に結合される。さらに結合状態を強固にする場合は、接着剤、接続金具等を用いることができる。この十字形組合せCLT構造は、たとえば家屋内の各部屋の仕切り壁として適用できる。あるいは、アパート等の集合住宅の仕切壁としても使用できる。
本実施形態では、3層のプライや幅方向のラミナ数は6枚としたが、これに限定されないことは言うまでもなく、さらにプライ数やラミナ数を増やすことができ、上記に示した条件を満たしながら、飛び出た部分とへこんだ部分を対応付けさせながらCLTを作製すれば良い。また、上記に示した条件も適宜変更して適用することもできる。たとえば、y4−x4=t2としたが、y4−x4<t2としても良く、この場合でもCLT−K−7とCLT−K−8との間にCLT−K−6のたとえばラミナM21等を挟むことができるが、CLT−K−7のN22の前方O4とCLT−K−8のM22の前方面は接触しないで隙間ができる。尚、y4−x4≦0とすれば、これらのCLT同士は隙間なく合わせることができ、大CLTを作製できる。
ここで、図12〜図14に示す方式を一般化する。本実施形態のCLTは、奇数層目のプライを構成するラミナの長手方向は偶数層目のプライを構成するラミナの長手方向と直交するCLTである。奇数層(2m+1:m=1、2、3、・・・)のプライが積層された2つのCLTから成る2組のCLT(CLT−J−7とCLT−J−8、CLT−J−9とCLT−J−10)(すべてのCLTの積層プライ数は同じ枚数である)があり、偶数層目のプライを構成するラミナの数および幅は同じであり、ラミナの枚数は偶数枚(2p:p=1、2、3、・・・)である。また、各CLT同士において対応するプライの厚みは等しい。すなわち、CLT−J−7、CLT−J−8、CLT−J−9およびCLT−J−10において、i層目(i=2m+1:m=1、2、3、・・・)の厚みが等しく、各プライの厚みをti(i=1、2、・・・2m+1)とする。(従って、各プライにおける、そのプライを構成するラミナの厚みは同じである。)各CLTにおいて、偶数層目のラミナの長手方向の一方を前方とする。
CLT−J−7の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりx3だけへこんでいる。偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と一致する。(同じ位置にある。)
CLT−J−8の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりy3だけ飛び出している。偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と一致する。(同じ位置にある。)
ここで、y3>x3という条件のもとで、CLT−J−7の前方面およびCLT−J−8の前方面の対応するラミナを合わせて嵌める(たとえば、CLT−J−8の偶数層目のプライにおける飛び出た奇数枚目のラミナの前方面を、CLT−J−7の偶数層目のプライにおけるへこんだ奇数枚目のラミナの前方面に合わせる)と、偶数枚目のラミナ同士の前面においてy3−x3の隙間が形成される。
もう一組の組合せCLTのうちのCLT−J−9の前方面において、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数枚目のラミナの前方面よりx4だけへこんでいる。偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と一致する。(同じ位置にある。)
もう一組の組合せCLTのうちのCLT−J−10の前方面において、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数枚目のラミナの前方面よりy4だけ飛び出している。偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と一致する。(同じ位置にある。)
ここで、y4>x4という条件のもとで、CLT−J−9の前方面およびCLT−J−10の前方面の対応するラミナを合わせて嵌める(たとえば、CLT−J−10の偶数層目のプライにおける飛び出た偶数枚目のラミナの前方面を、CLT−J−9の偶数層目のプライにおけるへこんだ偶数枚目のラミナの前方面に合わせる)と、奇数枚目のラミナ同士の前面においてy4−x4の隙間が形成される。
ここで、y3−x3=Σti(i=1〜2m+1){ti(i=1〜2m+1)はi層目のプライの厚み}(すなわち、y3−x3がCLTの厚みに等しい)とし、y4−x4=Σti−(t1+t2m+1){ti(i=1〜2m+1)はi層目のプライの厚み}(すなわち、y4−x4がCLTの厚みからその最外側のプライの厚みを引いたものに等しい)とすると、これらの組合せCLT(CLT−J−7とCLT−J−8、CLT−J−0とCLT−J−10)の隙間同士の間に相手側の前方側に飛び出たラミナが入って嵌まり、十字形に交叉したCLT壁が作製される。作製方法として、たとえばCLT−J−7とCLT−J−8の前方面同士を合わせて作製した隙間にCLT−J−10の飛び出たラミナをその隙間に入れて、その飛び出たラミナの前面にCLT−J−9のへこんだラミナの前面を合わせるように嵌め込めば良い。尚、y3−x3<Σti、y4−x4<Σti−(t1+t2m+1)の条件のもとでも(隙間が上記値となる条件を実現できるので)、これらの隙間同士の間に相手側の前方側に飛び出たラミナが入って嵌まり、十字形に交叉したCLT壁が作製できる。
図18はおよび図19は、本発明の第7の実施形態を示す図であり、CLTを十字形に交叉する方法について示す図である。本実施形態の基本構造は2組(図18で示す小CLT−K−11と小CLT−K−12の組合せCLT、および図19で示す小CLT−K−13と小CLT−K−14との組合せCLT)であり、これらを組み合わせて十字形構造を構成することができる。図18に示すCLT−K−11およびCLT−K−12は図12に示すCLT−K−5およびCLT−K−6に類似した構造をしている。CLT−K−5およびCLT−K−6はプライ数が3層であるが、CLT−K−11およびCLT−K−12はプライ数が5層である。また、偶数層目のラミナ数が奇数(ここでは5枚)となっている。それらの構造はCLT−K−5およびCLT−K−6の構造と同じであるから、詳細は省略するが、CLT構造であるから、奇数層目のプライのラミナの繊維方向は偶数層目のラミナの繊維方向とほぼ直交している。尚、図(a1)〜(d1)、図(a2)〜(d2)、図(e)および図(f)は、図12における図の記載方法と同じである。
CLT−K−11の偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおける前方のラミナの前方側面に対してx5だけへこんでおり、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおける前方のラミナの前方側面と同じ位置にある。一方CLT−K−12の偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおける前方のラミナの前方側面に対してy5だけ飛び出しており、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおける前方のラミナの前方側面と同じ位置にある。従って、図18(d1)および(d2)やその他の図から分かるように、CLT−K−11の2層目のプライP2におけるラミナN21、N23、N25および4層目のプライP4におけるラミナN41、N43、N45は他のラミナよりへこんでおり、CLT−K−12の2層目のプライP2におけるラミナM21、M23、M25および4層目のプライP4におけるラミナM41、M43、M45は他のラミナより飛び出している。尚、へこみ位置O1、O2、O3の位置は図12に示す場合より後退している(奥にある)が、この位置はCLT−K−12を合わせたときに確実に嵌め合わせて結合できるような位置に適宜選択できる。(すなわち、x5は適宜選択できる。)また、M21等の飛び出し量y5も図12に示す場合よりも長く記載しているが、この長さもCLT−K−11を合わせたときに確実に嵌め合わせて結合できるような長さに適宜選択できる。
ここで、小CLT−K−11および小CLT−K−12のプライPiおよびPi’を構成するラミナの厚み(高さ)は同じ(ti)とし(i=1〜5)、また、小CLT−K−11を構成するラミナNij(i=1〜5、j=1〜5)の幅wij、長さをLij、小CLT−K−12を構成するラミナMij(i=1〜5、j=1〜5)の幅wij’、 長さをLij’としたとき、L11=L12=L13=L11’=L12’=L13’=w21+w22+w23+w24+w25=w21’+w22’+w23’+w24’+w25’、w21=w21’、w22=w22’、w23=w23’、w24=w24’、w25=w25’とする。他のプライ層、ラミナについても同様とする。尚、これらの幅を同じくし、長さを同じくし、厚みを同じくすると製作が容易である。また、y5>x5とする。
このような条件下で、小CLT−K−11および小CLT−K−12の前方面同士を合わせることができる。CLT−K−12の飛び出した部分(たとえば、M21、M23、M25、M41、M43、M45)をCLT−K−11のへこんだ部分(たとえば、N21、N23、N25、N41、N43、N45)に嵌め込んで合わせれば、図18(e)および図18(f)に示すように長さy5−x5の隙間71、72、73、74、75が形成される。
図19は、図18で示す組合せCLTと合わせて十字形に交叉できる組合せCLTを構成する2つの小CLT−K−13および小CLT−K−14を示す図である。CLT−K−13とCLT−K−14は同じ形状であり、凹部(へこんだ部分)が存在せず、飛び出たラミナを有するCLTである。CLT−K−13は、奇数層(5層)のプライからなり、最外側の1層目のプライP1および5層目のプライP5は、それぞれ3枚のラミナ(N11、N12、N13またはN51、N52、N53)から構成され、ラミナN11およびN51の側面はCLTの前方を向いており、ラミナN11およびN51の前方側面は同じ位置にある。
偶数層目のプライP2、P4において、奇数枚目のラミナ(N21、N23、N25またはN41、N43、N45)は、最外側の1層目のプライP1および5層目のプライP5において前方に配置されたラミナ(N11、N51)に対してy6だけ飛び出している。また、偶数層目のプライP2、P4において、偶数枚目のラミナ(N22、N24またはN42、N44)は、奇数枚目のラミナ(N21、N23、N25またはN41、N43、N45)に対してy7だけ飛び出している。以上は、図19(a1)〜(d1)の図から自明である。
このCLT−K−13と組み合わせるCLT−K−14は、CLT−K−13と同じ構造であるから、NijとMijは同じものであり、各プライの構成および各ラミナの構成はCLT−K−13と同じである。このことは、図19(a2)〜(d2)の図から自明である。尚、図19(a1)〜(d1)、(a2)〜(d2)および(e)、(f)の記載方法は、図10、図12、図13、図18に示す場合と同じである。
これらのCLT−K−13およびCLT−K−14は飛び出た部分(凸部)だけで構成されており、それらの前方同士を合わせたときに。対応する部分(たとえば、Nijに対してMij)が直面するが、ラミナの飛び出た部分同士が合うので、嵌め合わせることはできず、結合させることはできない。すなわち、CLT−K−13およびCLT−K−14の飛び出たラミナの前方面同士を合わせると(たとえば、N22とM22、N24とM24、N42とM42、N44とM44が合う)、図19(e)に示すように、最外側に長さ2(y6+y7)の隙間76、78が、中央に長さ2y7の隙間77が形成され、また、図19(f)に示すように、最外側に長さ2y7の隙間81、83が、中央に長さ2y7の隙間82が形成される。
CLT−K−13およびCLT−K−14同士は単純には結合しないが、CLT−K−11およびCLT−K−12の組合せCLTと組み合わせると、十字形に交叉するCLT壁を作製できる。ここで、CLT−K−11、CLT−K−12、CLT−K−13、CLT−K−14の偶数層目のプライにおけるラミナの幅はすべて同じ(Wとする)とし、奇数層目のプライにおけるラミナの長さはすべて同じ(Lとする)とし、プライの厚さ、すなわちラミナの厚みはすべて同じ(t)とする。また、y5−x5=3t、y6=t、2y7=3tとする。
図20は、第7の実施形態を用いた十字形に交叉するCLT壁を示す図で、上方または下方から見た平面図である。図18(f)に示す隙間74にCLT−K−13の飛び出た部分(たとえば、N22、N24)を挿入する。隙間75にCLT−K−13の飛び出た部分(たとえば、N42、N44)を挿入する。このとき、隙間71にN21、N31、N41等が納まる。また、図18(f)に示す隙間74の上記とは逆方向からCLT−K−14の飛び出た部分(たとえば、M22、M24)を挿入する。隙間75の上記とは逆方向からCLT−K−14の飛び出た部分(たとえば、M42、M44)を挿入する。このとき、隙間73にM21、M31、M41等が納まる。この結果、図20に示すように、CLT−K−11およびCLT−K−12の組合せCLTの最外側の隙間(71、73)にCLT−K−13およびCLT−K−14の前方部が入り、十字形に交叉したCLT壁を作製できる。この場合、十字に交差した部分の中央に隙間72が残る。尚、本実施形態の場合、片側だけ(たとえば、CLT−K−14を使用しない)を用いればT字型のCLT壁も作製できる。
図18〜図20を一般化すると次のようになる。
奇数層(2m+1:m=1、2、3、・・・)のプライが積層された2つのCLTから成る2組の組合せCLT(CLT−J−11とCLT−J−12、CLT−J−13とCLT−J−14)(すべてのCLTの積層プライ数は同じ枚数である)において、奇数層目のプライを構成するラミナの長手方向は偶数層目のプライを構成するラミナの長手方向と直交するCLTであり、偶数層目のプライを構成するラミナの数および幅および厚み(t)は同じであり、ラミナの枚数は奇数枚であり、各CLTにおいて、偶数層目のラミナの長手方向の一方を前方とする。
CLT−J−11の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりx5だけへこんでおり、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と同じ位置にあり、CLT−J−12の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりy5だけ飛び出しており、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と同じ位置にある。
CLT−J−13の前方面において、最外側のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面はすべて同じ位置にあり、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、最外側のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面よりy6だけ飛び出しており、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数枚目のラミナの前方面よりy7だけ飛び出しており、奇数層目のプライ(最外側のプライを除く)において前方にあるラミナの前方側面は、最外側のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面よりy6だけ飛び出しており、CLT−J−14はCLT−J−13と同じ構造である。
CLT−J−11およびCLT−J−12を前方面において対応するラミナを合わせて嵌めることによって、偶数枚目のラミナ同士の前面においてy5−x5の隙間が形成されることを特徴とし、ここで、y5−x5=CLTの厚み−2t、y6=t、2y7=CLTの厚み−2tとしたとき、前記隙間の一方側から、CLT―J−13の飛び出し部(凸部)を入れ、前記隙間の他方側からCLT―J−14の飛び出し部(凸部)を入れて、CLT−J−11およびCLT−J−12の組合せCLTに嵌め込むことによって、CLT−J−13とCLT−J−14との組合せCLTがCLT―J−11とCLT―J−12との組合せCLTと十字形に交叉するCLTを作製できる。
第7の実施形態の変形として、図19に示すCLT−K−13およびCLT−K−14において、y6=0としても、CLT−K−11およびCLT−K−12の組合せCLTの隙間にCLT−K−13およびCLT−K−14の飛び出た部分を入れることができる。すなわち、図18(f)に示す隙間74にCLT−K−13の飛び出た部分(たとえば、N22、N24)を挿入し、隙間75にCLT−K−13の飛び出た部分(たとえば、N42、N44)を挿入する。図21は、このようにして作製した十字形に交叉するCLT壁を示す図である。これによっても十字形に交叉したCLT壁を作製できるが、CLTが十字形に交叉する部分に3箇所の隙間71、72、73が形成される。図20および図21に示す十字形交叉CLTの結合を高めるために、適切な接着剤や接合金具等の接合部材を用いることもできる。
これを一般化すると次のようになる。奇数層(2m+1:m=1、2、3、・・・)のプライが積層された2つのCLTから成る2組の組合せCLT(CLT−J−15とCLT−J−16、CLT−J−17とCLT−J−18)(すべてのCLTの積層プライ数は同じ枚数である)において、奇数層目のプライを構成するラミナの長手方向は偶数層目のプライを構成するラミナの長手方向と直交するCLTであり、偶数層目のプライを構成するラミナの数および幅および厚み(t)は同じであり、ラミナの枚数は奇数枚であり、各CLTにおいて、偶数層目のラミナの長手方向の一方を前方とする。
CLT−J−15の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりx5だけへこんでおり、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と同じ位置にあり、CLT−J−16の前方面において、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、偶数枚目のラミナの前方面よりy5だけ飛び出しており、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と同じ位置にある。
CLT−J−17の前方面において、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面はすべて同じ位置にあり、偶数層目のプライにおける奇数枚目のラミナの前方面は、奇数層目のプライにおいて前方にあるラミナの前方側面と同じ位置にあり、偶数層目のプライにおける偶数枚目のラミナの前方面は、奇数枚目のラミナの前方面よりy7だけ飛び出しており、CLT−J−18はCLT−J−17と同じ構造である。
CLT−J−15およびCLT−J−16を前方面において対応するラミナを合わせて嵌めることによって、偶数枚目のラミナ同士の前面においてy5−x5の隙間が形成され、ここで、y5−x5=CLTの厚み−2t、2y7=CLTの厚み−2tとしたとき、
前記隙間の一方側から、CLT―J−17の飛び出し部(凸部)を入れ、前記隙間の他方側からCLT―J−18の飛び出し部(凸部)を入れて、CLT−J−15およびCLT−J−16の組合せCLTに嵌め込むことによって、CLT−J−17とCLT−J−18との組合せCLTがCLT―J−15とCLT―J−16との組合せCLTと十字形に交叉するCLTを作製できる。
図15は、本発明の第6の実施形態を示す図である。本実施形態は、柱材や梁材等を接続する部材をCLTで構成するものである。図15(b)はその接続部材CLT−K−9の平面図を示す。図15(a)は接続部材CLT−K−9の立面図(背面図)で、ラミナ53側から見た図である。図15(c)は接続部材CLT−K−9の立面図(正面図)で、ラミナ51側から見た図である。図15(d)は接続部材CLT−K−9の右側面図であり、図15(e)は接続部材CLT−K−9の右側面図である。破線は奥側にあることを示す。第6の実施形態は、3層のプライP1、P2.P3から構成される。
1層目のプライP1は大きさ(長さ)の異なるラミナ51(51−1、2、3)から成り、中央のラミナ51−2の長さ(縦方向または高さ方向)が最も長く、その両側のラミナ51−1および51−3はほぼ同じ長さ(縦方向または高さ方向)である。(が、異なっていても良い。)またこれらのラミナの幅(横方向または水平方向)はほぼ同じである。(が、異なっていても良い。)2層目のプライP2は1枚のラミナ52で構成され、プライP1およびプライP3の右側前方面に対して飛び出ており、プライP1およびプライP3の左側前方面に対してへこんでいる。ラミナ52の長さ(縦方向または高さ方向)はプライP1を構成するラミナの長さと同じである。(が、異なっていても良い。)3層目のプライP3は大きさ(長さ)の異なるラミナ53(53−1、2、3)から成り、中央のラミナ53−2の長さ(縦方向または高さ方向)が最も長く、その両側のラミナ53−1および53−3はほぼ同じ長さ(縦方向または高さ方向)である。(が、異なっていても良い。)またこれらのラミナの幅(横方向または水平方向)はほぼ同じである。ここでは、プライP1を構成するラミナと同じ大きさのラミナを用いている。プライP1を構成するラミナおよびプライP3を構成するラミナの繊維方向は、ほぼ同じであり、プライP2を構成するラミナの繊維方向と直交する。
図15(b)の平面図では、ラミナ51−2および53−2が他のラミナよりも長さが長く、高さ方向に飛び出していることを示すために点模様で示している。また、P2の左側前方面をO1と付している。図15(d)の左側面図において、ラミナ52がへこんでいることを示すために斜線模様で示しており、図15(e)の右側面図において、ラミナ52が飛び出ていることを示すために点模様で示している。このように、接続部材CLT−K−9は、プライP1(ラミナ51−2)とプライP3(ラミナ53−2)との間のP2に隙間54が形成されている。本実施形態の接続部材CLT−K−9を用いて、この隙間に柱や梁、あるいは板材を嵌めてそれらを接続部材CLT−K−9に固定できる。
図16は、図15に示した接続部材CLT−K−9を土台として用いて、柱を固定する状態を示す図である。従来は、木造家屋を建てるとき、地面に基礎を作り、その上に土台としての梁や柱を乗せる。図16(b)は立面図(正面図)、図16(a)は左側面図、図16(c)は右側面図、図16(d)は平面図(上面図)で柱56を透かして描いている。図16に示すように、地面60に基礎55を作る。この基礎は地面に直接木材が触れないようにし、地面からの水分や湿気、虫(たとえばシロアリ)などが木材に侵入しないようにしたもので、たとえば、石材やコンクリート材で作製される。その基礎55の上に本発明の接続部材CLT−K−9を土台として配置する。この接続部材CLT−K―9は防水処理、防虫処理や防腐処理等を施している。またこの接続部材CLT−K―9は基礎に定着された緊結金物(たとえば、引張ボルトや羽子板ボルト)等で基礎に緊結される。このCLT−K−9の上に柱56をたてる、柱56は接続部材CLT−K−9の形状に合わせた加工をしており、柱56の接続部は、隙間54に合うように凸状の形状をしており、また、凸形状の51−2および53−2に合うように凹状の形状をしている。これらの柱56の接続部の凸状部分および凹状部分を、接続部材CLT−K−9の隙34や凸形状の51−2および53−2に嵌め合わせて、柱56を接続部材CLT−K−9に固定する。くぎ、ボルト、ネジ、その他の接合金具、接着剤等の接合部材を用いて、接続部材CLT−K−9と柱56の結合を強固にすることもできる。柱56自体は接続部材と接触しているだけで、基礎55と接触していない。従って、柱56自体に防水・防虫・防腐処理等を施す必要がない。
図17は、図15に示した接続部材CLT−K−9を土台として用いて、梁を固定する状態を示す図である。基礎55の上に土台としての接続部材CLT−K−9を乗せて、隣同士の土台の間に梁57をかける。梁57は接続部材CLT−K−9の形状に合わせた加工をしており、梁57の接続部は、隙間54に合うように凸状の形状をしており、また、凸形状の51−2および53−2に合うように凹状の形状をしている。これらの梁57の接続部の凸状部分および凹状部分を、接続部材CLT−K−9の隙34や凸形状の51−2および53−2に嵌め合わせて、梁57を接続部材CLT−K−9に固定する。くぎ、ボルト、ネジ、その他の接合金具、接着剤等の接合部材を用いて、接続部材CLT−K−9と梁57の結合を強固にすることもできる。梁57自体は接続部材と接触しているだけで、基礎55と接触していない。従って、梁57自体に防水・防虫・防腐処理等を施す必要がない。
基礎に接触する柱や梁等の木材は防腐・防虫処理等を施す必要があるが、従来工法では、柱や梁等は大型部材であるため、防腐・防虫処理等を施すのが大変であった。たとえば、大きな容器に防腐・防虫液を入れてそれに浸漬処理するなどの大掛かりな容器を用意したり、手間もかかっていた、これに対して本発明の接続部材CLT−K−9は基礎に乗せる程度の大きさで良いので、防腐・防虫処理等に使用する容器も小型のもので十分であり、軽く小さいので手間も余りかからない。また、接続部材CLT−K−9に接続する柱や梁もCLT材で構成することが簡単にできる。すなわち、これまでに説明したように接続部材CLT−K−9の形状に合わせて、柱や梁を構成するラミナに凹凸を形成すれば良いだけである。図15に示す接続部材の形状は家屋の形状や家屋の強度に合わせて変更することもできる。たとえば、梁と梁あるいは梁と柱が角部(L字形)で交わる場合や、T字形で交わる場合も、それに合わせた接続部材とすれば良い。CLT材自体は、隣接して積層するラミナの繊維方向が直交しているので強度が強いので柱や梁にも適用可能であるから、本実施形態の接続部材を用いてCLTを土台としても使用できる。
以上、詳細に説明したように、家屋で用いる殆どの部材を本発明のCLT材で作製できる。たとえば、柱がない壁式構造である木質パネル構造にも適用できる。また木質パネル構造も含めて本発明のCLTは組立式であるから木質プレハブ住宅にも適用できる。また、CLTを組み合わせて任意のサイズの大CLTを作製できるので、小型パネル方式から大型パネル方式にも適用できる。さらに床・壁・屋根等は平面構造であり、柱や梁も本発明のCLTを積層すれば良いので、これらに本発明のCLTを適用できる。また本発明のCLTは強度も大きいので、3階建て以上の高層木造建築にも適用できる。
尚、本明細書において、明細書のある部分に記載し説明した内容について記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、前記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が前記実施形態に限定されないことも言うまでもない。