JP6903401B2 - 筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、検査対象物である円筒状部材等の筒状部材筒状内周面における特定領域の外観(表面)を検査する外観検査方法に関する。
円筒状部材等の内面(以下、筒状内周面、又は内周面ともいう)における特定領域の外観の外観検査方法としては、その筒状内周面をカメラ(CCD)で撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域(検査領域)の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する手法が知られている。一例としては、ビームスプリッタ、反射鏡、対物凸レンズ等の光学系を介して、筒状内周面に光を照射し、その照射面における反射光に基づいて、その内周面をカメラで撮像し、コンピュータにより指定した閾値に基づき、画像処理(例えば、2値化処理)して、そのような画像情報に基づいて、予め設定されている良否判定基準と対比してその外観(内周面)の良否を判定させるようにした方法である(特許文献1等参照)。
上記検査方法では、例えば、円筒内周面に、欠陥としての凹部等の傷があると、その傷の箇所では反射光が乱反射、散乱等することにより、反射鏡に入射する光量が減少するため、そのような光量減少部位は撮像装置により暗部となって撮像される。コンピューターは、その画像から明暗による欠陥候補を切り出し、画像処理し、設定してある良否の判定基準に基づき、不良と判定されるべき場合にそれを欠陥として判定する、というようなものである。
特開2013−142596号公報
ところで、検査対象物である例えば円筒状部材が、その円筒内周面も含め、冷間鍛造加工や、切削等による機械加工等されて製造されたものにおいては、それらの加工過程で用いられる油分(切削油も潤滑剤)や、発生する加工屑、酸化物等の微小な異物等の汚れ(以下、これらを総称して「付着物」という)が、加工面における検査対象の領域に付着していることがある。このような場合において、上述したような検査を行うと、その円筒内周面である加工面自体には、本来、不良(欠陥)と判定(判断)されるべき深さや大きさの傷があるわけではないのに、それらの付着物に起因して、画像処理ないし良否判定において欠陥として認識され、誤って不良(外観不良)と判定されてしまうことがある。また、切削等の加工後の部材の表面に、メッキ層或いは塗膜等の皮膜(金属皮膜又は非金属皮膜。以下、皮膜ともいう)が形成されている場合にも、その円筒内周面である加工面自体には、不良と判定されるべき深さや大きさの傷があるわけではないのに、それらの皮膜の処理不良(メッキ不良、塗装不良等)に基づく、その表面の一部の変色や明度のムラ(以下、「ムラ」という)の存在に起因して、その表面部分が、画像処理ないし良否判定において欠陥として認識され、誤って不良(外観不良)と判定されてしまうことがある。
このように撮像した画像をコンピュータによって、画像処理(例えば2値化処理)し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する外観検査をする場合には、その2値化処理における閾値にもよるが、本来は外観不良と判定すべき欠陥(例えば、傷)ではないのに、付着物や、皮膜における「ムラ」の存在といった誤判定要因に起因して、誤って外観不良の判定(以下、不良誤判定)をしてしまうことがあった。このような不良誤判定は、円筒内周面についての仕上面粗さを高度(表面粗さを小さく)に設定し、判定基準(検査水準)を上げ、厳しくすればするほど発生しがちとなる。例えば、次のような場合である。円筒部材の内周面が上下において同心異径であり、その異径境界の円環状棚面に、金属ワッシャを介在させ、別途、内挿する異径軸部材における異径境界の円環状棚面を圧接させ、その両部材間において金属接触で高度の気密を保持したいような組立構造体で、例えば、皮膜(メッキ層)が形成されているような場合においては、その円環状棚面についての外観検査の水準を厳しくする必要があり、したがって、このような場合には、誤判定が発生しがちとなる。また、このような筒状部材の内周面の検査においては、皮膜形成前の切削等の加工済み段階のものにおいても、上述したような付着物の存在に起因して、これと同様に不良誤判定を招いてしまうことがある。結果、このような検査対象物においては、上記したような画像処理を用いた検査方法を、そのまま適用することはできないことがあった。
一方、このような不良誤判定の発生防止策としては次のようなものが考えられる。例えば、内周面にメッキ層(皮膜)が形成されている場合には、検査工程の前に、筒状部材内に適当な酸性液(メッキ除去用酸性液)を注ぎ込み、そのようなメッキにおける「ムラ」がなくなるように、特定領域におけるその皮膜表面を均一化したり、その部分のメッキ層を除去するなどの処理を行い、誤判定要因を除去することである。また、塗膜が形成されている場合には、それに応じた適当な溶剤の塗布等により、同様の処理を行うことが考えられる。
ところが、このような方法による誤判定要因の除去では、表面粗さの検査水準が、検査対象部位である筒状部材の内周面のうちの一部である特定領域(上記例における円環状棚面)にのみ、厳しく設定されており、その他の部位には所定厚さの皮膜が要求される場合には、その特定領域以外の部分(検査対象部位以外の部位)には、マスキング等の処理をしなければならず、その処理、及び処理後のそのマスクの除去作業も含め作業手間が大きい。それだけではなく、検査対象の筒状部材が、内径が例えば、10mm程度と小さく、或いは、筒状部材の内周面における検査対象の特定領域が、筒状部材の開口端よりも遠方であり、マスキングすべき位置がその奥に及ぶ場合などは、マスキング自体が困難である。それ故、このような場合には、前記したような処理法は適用できない。結果、このように内径が小さい筒状部材におけるように、筒状内周面の特定領域のみに高度の表面精度(粗度)が要求されるような場合等の要請に対しては、その特定領域のみの検査水準を厳しくしてその外観検査をすることは容易でないといった課題があった。また、そのような一部の特定領域の洗浄のためにのみ、溶剤等の注ぎ込みにより内周面の全体を洗浄して付着物を除去する、というのも非効率的である。
本発明は、如上の課題に鑑みてなされたもので、筒状部材の製造における加工後のその筒状内周面における特定領域の外観検査を、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する外観検査方法において、その検査に先立ち、特定領域に存する上述したような誤判定要因を簡易、効率的に除去できるようにし、誤った「不良判定」の発生防止を図って正確な良否の判定ができるようにし、信頼性の高い検査を簡易、効率的に実現できるようにすることをその目的とする。
請求項1に記載の発明である、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法 は、筒状部材の筒状内周面における特定領域をカメラで撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する、筒状部材の製造における加工後の外観検査方法であって、
その外観検査を行う前に、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、前記筒状部材の製造における加工過程においてその表面に形成した皮膜の表面の一部に生じた変色や明度のムラを除去するレーザ加工工程を前処理工程として含めたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明である、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法 は、筒状部材の筒状内周面における特定領域をカメラで撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する、筒状部材の製造における加工後の外観検査方法であって、
その外観検査を行う前に、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、皮膜ではなく、前記筒状部材の製造における加工過程に起因して、前記表面に付着している油分、加工屑又は金属粉のいずれかの付着物を除去するレーザ加工工程を前処理工程として含めたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、レーザ光が非熱レーザであることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の筒状内周面における特定領域の外観検査方法である。
請求項4に記載の本発明は、前記特定領域の表面にレーザ光を照射するのに、ビームスプリッタ、プリズム又は反射鏡を用い、反射光として照射することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状内周面における特定領域の外観検査方法である。
請求項1に記載の発明によれば、外観検査を行う前に、前処理工程として、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、前記筒状部材の製造における加工過程においてその表面に形成した皮膜の表面の一部に生じた変色や明度のムラを除去するレーザ加工工程を前処理工程として含めている。ここに皮膜は、メッキ層、又は塗膜等の金属皮膜又は非金属皮膜等である。そして、前記特定領域における皮膜の表面の一部に生じた変色や明度の「ムラ」(以下、「皮膜のムラ」又は単に「ムラ」ともいう)の除去は、レーザ加工によるため、簡易、効率的に行うことができる。すなわち、皮膜がメッキ層である場合において、内周面の選択的な特定領域について、酸性液の流し込みにより、その除去をする場合には、その除去の不要箇所へはマスキング等の作業手間がかかるなど困難であるのに対し、レーザ加工ではかかる問題もなく、それができるため、その簡易、効率的な除去ができる。また、皮膜が塗膜である場合の溶剤の塗布、流し込みによる場合でも、同様である。このように本発明によれば、当該特定領域のみを対象とする外観検査において、その表面に存在し、誤判定要因となっていた皮膜の「ムラ」の存在による誤判定要因を簡易、効率的に除去できるから、その後の検査において正確な良否判定が得られる。なお、「ムラ」の除去とは、ムラをなくして、当該部分の表面を均一化し、誤判定要因を取り除くことを意味する。
このように、本発明ではレーザ加工工程の後に、上記外観検査を行うこととしているため、そのような皮膜に起因する、誤った「不良判定」の発生を有効に防止できる。これにより、コストの増大を招くことなく、特定領域についての正確な良否の判定ができる。なお、このようなレーザ加工による皮膜のムラの除去においては、検査対象物自体の素地(表面)や、その素地に存し、検出されるべき傷に影響が及ばない範囲で「ムラ」を除去して皮膜の表面を均一化できるように、皮膜の材質等に応じ、出力、走査速度等、照射するレーザ光の照射条件を設定すればよい。
請求項2に記載の本発明によれば、外観検査を行う前に、前処理工程として、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、皮膜ではなく、前記筒状部材の製造における加工過程に起因して、前記表面に付着している油分、加工屑又は金属粉のいずれかの付着物を除去するレーザ加工工程を含めている。本発明では、このような付着物の除去も、レーザ加工によるため、当該特定領域の表面のみを対象として、そこに存在する付着物を洗浄剤の流し込み等の手法による除去に比べ、容易に実現できる。そして、その除去後に上記外観検査を行うこととしているため、そのような付着物に起因する、誤った「不良判定」の発生を有効に防止できるから、特定領域についての正確な良否の判定ができる。なお、このようなレーザ加工による付着物の除去においても、検査対象の素地(表面)やそこに存し、検出されるべき傷に影響が及ばない範囲で、付着物の種類応じ、それらを融解等させて蒸発させることのできるよう、出力、走査速度等、照射するレーザ光の照射条件を設定すればよい。
上述したことから明らかなように、請求項1,2に記載の本発明によれば、特定領域について、微小な欠陥(凹凸や表面傷)も不良と判定したいような高い(厳しい)検査水準とする場合であっても、低コストで信頼性の高い外観検査を実現できる。なお、照射するレーザ光は、公知の各種のものを用いることができるが、請求項3に記載のように、非熱レーザを用いるのが好ましい。検査対象である筒状内周面への熱的影響の回避に有効だからである。また、検査対象である筒状内周面が、例えば、同心異径の円筒面であり、特定領域の表面が、その異径境界における円環状棚面(円環状の急テーパ面)であるような場合には、その棚面が向く方に位置する、大径の筒状内周面の開口端側からレーザ光を照射することで、直接、特定領域の表面であるその円環状棚面をレーザ加工できるが、筒状内周面における前記特定領域が、筒状内周面の軸線(中央)側を向きその軸線に平行な内周面(以下、平行内周面)のように、直接照射するのが困難、又はできないようなときは、請求項4に記載のように、ビームスプリッタ、プリズム又は反射鏡を用い、反射光として照射するのがよい。
本発明を具体化した実施の形態例の説明図であって、左図(A)は、半断面で示した円筒部材の筒状内周面における特定領域(上方向き円環状棚面)をレーザ加工する状態の説明用概念図、右図(B)はレーザ加工後に特定領域をカメラで撮像する状態の説明用概念図。 図1のレーザ加工において、DOEを用いて複数の分岐レーザ光として特定領域をレーザ加工をする状態の説明用概念図(断面図)。 図1の円筒部材の筒状内周面における特定領域(平行円筒面)をレーザ加工する状態の説明用概念図(断面図)。
本発明を具体化した実施の形態例について、図1に基づいて詳細に説明する。ただし、本例では、外観検査の検査対象物が、図1に示したような貫通状の円筒部材(鉄鋼製の異径円筒部材)10であり、外径が一定で、その筒状内周面(円筒状内周面)11が、上下における下端寄り部位が、相対的に小径の小内径部(小内周面)13をなし、この小内径部13とその上方の大内径部(大内周面)15との境界に、図示したような、急先すぼまりテーパの上方向き円環状棚面(段部)14を備えている異径円筒部材とする(図1のS1−S1断面参照)。このような円筒部材10は、冷間鍛造及び切削加工等を経て形成されたものであり、本例では、その加工後、内外の全面(全表面)に皮膜として電気メッキにより、図示はしないがメッキ層(例えば、ニッケルメッキ層)が形成されている。そして、このメッキ層の形成されている内周面のうち、上方向き円環状棚面(以下、円環状棚面ともいう)14を外観検査の対象である特定領域とし、この特定領域の表面であるメッキ層(表面)に「ムラ」が存在し、その「ムラ」が画像処理において不良の誤判定を招く要因となる可能性が高いため、その「ムラ」をレーザ光の照射によって除去し、そのメッキ層の表面を均一化し、その後において、円環状棚面(表面)14に、不良と判定すべき傷(微小なクラック、凹み、皺等)が存在するか否かの外観検査をするものとする。ただし、本例で使用するレーザは非熱レーザとする。
このような本例では、この外観検査に先立ち、次のようにして、円環状棚面14のメッキ層(表面)の「ムラ」を除去する。円筒部材10を検査テーブル20上に垂直に起立させて位置決め、固定する。一方、図1の左図(A)に示したように、レーザ光Laを発振するレーザ発振器(ヘッド)100を、円筒部材10の上方に配置しておき、図中、太い破線で示したようにレーザ光Laを、円筒部材10の上方から、その内部の上方向き円環状棚面14に向けて所定の照射スポット(集光点)径で照射できるように設定しておく。この照射スポット径はレーザの出力や、円環状棚面14への熱的影響等を考慮し、メッキ層(表面)の「ムラ」の除去に適するように適度に設定する。他方、円筒部材10は、検査テーブル20の回転により、円筒部材10の軸線G回りに適度の速度で回転でき、レーザ光Laが、円環状棚面14を周回状に走査(移動)されるように設定されている。なお、レーザ光の照射における光軸は、円筒部材10の軸線(中心軸)Gに平行又は略平行となるようにしてもよいが、本例では、円環状棚面14が、上記したようなテーパ(軸線Gに垂直な平面に対し約30度)をなしていること等から、そのテーパにおける母線に垂直となるように、或いは、それに近くなるように、軸線Gに対し傾斜させる設定とされている。
このような本例では、上記の設定、段取りの後に、レーザ発振器100を駆動してレーザ光Laを円環状棚面14に、所定の照射スポット径で照射する。この照射開始から、検査テーブル20の回転により、円筒部材10をその軸線G回りに回転させ、レーザ光Laを相対的に円環状棚面14において周方向に周回、走査させる。ただし、この照射過程では、円環状棚面14の全面(全体)が均一にレーザ光Laにて走査されるように、そのスポット径との関係で、例えば、円環状棚面14における外周縁寄り部位から順次、内周縁寄り部位に向かうよう、その半径方向において照射位置を変え、集光点が異なる円周上において移動するように、レーザ光Laの照射角度、又はレーザ発振器100の位置を変更する。かくして、所定の照射によるレーザ加工を実施することにより、上方向き円環状棚面14におけるメッキ層の「ムラ」がレーザ加工によって除去され、その表面の均一化が図られる。
なお、このようなレーザ加工に用いられるレーザ光Laは、検出されるべきの本来の傷に影響ないし変化を与えず、メッキ層の「ムラ」を除去させ得るように、メッキ層(本例ではNiメッキ)の種類(材質、融点)や厚み等に応じ、その表面層を微量な厚み範囲で融解ないし蒸発させ得る出力等にその条件を設定すればよい。これは、試験照射(試験レーザ加工)を繰り返す等に基づき、所望とする均一化(「ムラ」の除去)が得られる条件範囲を割り出すことで設定できる。因みに、本例では、Niメッキ層の厚み(設計値)が1〜10μmであり、レーザ発振器(本例ではYAGレーザ(基本波長:1064nm))等の条件は、波長:355nm,出力:1.4w(100%出力約4w)、周波数:100kHz,走査速度:400mm/s、4μmピッチのパルスレーザである。
このような本例では、内周面における特定領域である上方向き円環状棚面14において、不良の誤判定要因となっていたメッキ層の「ムラ」を、上記したレーザ加工で簡易、効率的に除去できる。すなわち、レーザ加工で、そのメッキ層の表面を融解又は燃焼させて蒸発させることで、その表面のムラを除去し、表面の均一化を図るものであるから、従来におけるような酸性液の流し込み等により、内周面の一部分(上方向き円環状棚面14)の「ムラ」の除去を図る手法に比べ、簡易、効率的にその「ムラ」の除去、すなわち、表面の均一化が図られる。これにより、このレーザ加工工程の後で、筒状内周面11における特定領域である上方向き円環状棚面14を外観検査すればよい。
すなわち、図1の右図(B)に示したように、円筒部材10の上方に配置したカメラ200にて、軸線Gに沿って上方向き円環状棚面14を撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該上方向き円環状棚面14に存在する欠陥について予め設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する外観検査を行えばよい。そして、この検査では、その前処理工程である上記したレーザ加工により、メッキ層の「ムラ」が除去されているのであるから、従来においてそのムラに起因して発生していた、誤った「不良判定」の発生が防止される。すなわち、誤った「不良判定」要因である「ムラ」がなくなっているため、本来の傷が特定領域(上方向き円環状棚面14)に存在する場合にはその傷が顕在化する。したがって、そのような傷のみを基準として、画像処理における「不良判定」基準(例えば、2値化処理における閾値)を設定すればよいから、誤った「不良判定」の発生防止が図られ、正確な良否の判定を行うことができる。
上記例のレーザ加工においては、図2に示したように、DOE(回析光学素子)120を用いることで、1つのレーザ光Laを複数に分岐して行うこともできる。すなわち、円筒部材10の例えば軸線(中心軸)Gに沿って、レーザ光Laを照射し、DOE(回析光学素子)120に入射させ、そのレーザ光(入射光)Laを、例えば、中心軸Gと同軸の円周上において等角度間隔で複数に分岐した複数の分岐レーザ光Labとし、これを集光レンズ140を介し、上方向き円環状棚面14における周方向の多数箇所を一度に照射するようにしてもよい。このようにすれば、円筒部材10等との相対的な軸線G回りの回転と組み合わせることにしても、短時間で、円環状棚面14の全体のレーザ加工ができる。
上記例では、皮膜であるメッキ層の「ムラ」を除去し、その表面の均一化を図ることとした場合で説明したが、皮膜が塗膜であり、それに「ムラ」がある場合においても、上記したのと同様にレーザ加工をすることで、その「ムラ」の除去(表面の均一化)を図ることができる。なお、このような場合にも、レーザの照射条件は、その皮膜(塗膜)の材質、厚み等に応じて、その除去が効率的にできるように設定すればよい。なお、周方向における一部の部分のみの「ムラ」を除去したい場合には、その部分のみを特定領域としてレーザ光を照射すればよい。
上記例では、切削等による加工後の円筒部材10に、メッキ等の皮膜の形成(皮膜処理)がなされている場合で説明したが、上記したような円筒部材10でも、このような皮膜の形成をしない段階のものにおいて、その上方向き円環状棚面(素地)14における傷の有無を検査することがある。この検査においても、その面に付着物(異物)が付着しているために、不良と誤判定されるのを防止したい場合には、その上方向き円環状棚面14に、上記したのと同様にしてレーザ光を照射して、その付着物を除去するレーザ加工をすればよい。
このようなレーザ加工による付着物の除去は、その付着物をレーザで融解又は燃焼させて蒸発させるのであるから、従来における洗浄剤の流し込み等により、洗浄して除去する手法に比べて、簡易、効率的にその除去ができる。なお、このような付着物の除去においても、外観検査の対象となるべき素地、及び、素地に存する微小クラックや凹み等の傷に影響ないし変化を与えず、目的の付着物のみが除去されるように、その付着物に応じ適する必要な出力のレーザ光を、適度の走査速度で照射するなど、その加工条件を設定すればよい。そして、このようなレーザ加工により付着物を除去した後は、上記したのと同様に、上方向き円環状棚面をカメラにより撮像し、画像処理等することによる外観検査をすることにより、付着物の存在(付着)に起因する、誤った「不良判定」の発生防止が図られるから、正確な検査をすることができる。
さて次に、検査対象物は上記例における円筒部材10と同じであるが、その検査対象である特定領域が、上記例における上方向き円環状棚面14ではない場合のレーザ加工について、図3を参照しながら説明する。図3では、検査対象である特定領域が、筒状内周面11のうち、軸線Gを向くその軸線Gに平行な平行内周面(筒内壁面)の一部(図3中の1点鎖線で挟まれる領域)17の場合である。この場合でも、直接、レーザ光Laを照射することができないことはないが、筒状内周面11が細長く、特定領域17も上端の開口から遠方となる等により、直接の照射が好ましくないか、困難な場合には、図3に示したように、円筒部材10内に反射鏡160を内挿、配置するようにし、レーザ発振器100からのレーザ光Laによる照射における光軸を例えば円筒部材10の中心軸Gに一致させ、その反射鏡160に入射させて反射させ、レーザ光Laを、例えば、90度方向転換させて、特定領域17である筒内壁面に直角に照射させるようにすればよい。
すなわち、特定領域17がこのような部位のように直接照射するのが困難か、できないような場合には、このように反射鏡160を用いて照射すればよい。そして、このような場合においても、円筒部材10をその軸線G回りに適度の回転速度で回転させることで、レーザ光Laを筒状内周面11において周方向に走査させることができる。なお、このような場合には特定領域17の軸線G方向の大きさ(範囲)に応じて、その1回転の走査の終了ごと、円筒部材10を、軸線G方向(図中、上下の矢印で示した方向)に、照射スポット径に応じ、適量ずつ移動する(ずらす)ことで、必要な範囲(特定領域17)の照射を行うことができる。なお、この移動は、検査テーブル20の上下動によればよい。
前記したレーザ加工において用いる反射鏡は、プリズムでもビームスプリッタでもよい。また、前記したレーザ加工におけるように反射鏡を用いる場合にも、レーザ発振器100から発振される1つのレーザ光Laを、DOEを用いて複数のレーザ光に分岐し、それぞれ集光し、反射鏡(複数の反射鏡、又は上向き円錐状の反射鏡)にて反射させて、円筒内周面における周方向において、角度間隔をおいて複数個所同時に照射することとしてもよい。また、ビームスプリッタを用いる場合には、例えば、1つのビームスプリッタ(ハーフミラー)を介して、1/2の光量として平行内周面(筒内壁面)に向けて照射し、透過する1/2の光量を別途、反射鏡で、筒状内周面11における半径方向の例えば、逆方向に照射するようにしてもよい。こうすることで、上下方向のズレは生じるが、対向する管内壁面に同時に照射できるため、特定領域が上下方向において広い範囲ととなる場合に好適である。なお、このようなレーザ加工後においては、その検査対象である特定領域17を、円筒部材10の上方からカメラで撮像することで、上記したのと同様に外観検査ができる。なお、この場合には、円筒部材10内に反射鏡を配置して、平行内周面(筒内壁面の特定領域17)を撮像し、その画像データに基づいて外観検査をすればよい。
上記各例では、検査対象物を円筒部材とし、その筒状内周面における特定領域の外観検査をする場合で説明したが、本発明は、筒状部材の筒状内周面(又は部材の穴の内周面)の異径、同径、或いはテーパの有無等にかかわらず、そして、その横断面の形状に限定されることなく、またその深さ(筒状内周面の長さ)の長短等にかかわらず、各種形状の横断面を有する筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査に広く適用できる。すなわち、本発明では、コンピュータによる画像処理を用いた外観検査において、その外観検査に先立ち、検査対象の特定領域において存在するメッキのムラのような、誤った不良判定を招くような誤判定要因を、事前に各種のレーザ(YAGレーザ、半導体レーザ、CO2レーザ等)によるレーザ加工で除去する工程を含めることのできる筒状内周面における特定領域の外観検査に広く適用できる。なお、このようなレーザの発振モードは、除去対象に応じて連続発振又はパルス発振(パルス幅)を選択すればよい。
10 円筒部材(検査対象物)
11 筒状内周面(内面)
14 上方向き円環状棚面(筒状内周面における特定領域)
17 筒状内周面における特定領域
100 カメラ
160 反射鏡
La,Lab レーザ光

Claims (4)

  1. 筒状部材の筒状内周面における特定領域をカメラで撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する、筒状部材の製造における加工後の外観検査方法であって、
    その外観検査を行う前に、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、前記筒状部材の製造における加工過程においてその表面に形成した皮膜の表面の一部に生じた変色や明度のムラを除去するレーザ加工工程を前処理工程として含めたことを特徴とする、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法。
  2. 筒状部材の筒状内周面における特定領域をカメラで撮像し、撮像した画像をコンピュータによって画像処理し、該特定領域の表面に存在する欠陥について設定されている良否判定基準に基づき、該表面の外観の良否を判定する、筒状部材の製造における加工後の外観検査方法であって、
    その外観検査を行う前に、前記筒状内周面における前記特定領域の表面にレーザ光を照射し、皮膜ではなく、前記筒状部材の製造における加工過程に起因して、前記表面に付着している油分、加工屑又は金属粉のいずれかの付着物を除去するレーザ加工工程を前処理工程として含めたことを特徴とする、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法。
  3. レーザ光が非熱レーザであることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法。
  4. 前記特定領域の表面にレーザ光を照射するのに、ビームスプリッタ、プリズム又は反射鏡を用い、反射光として照射することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、筒状部材の筒状内周面における特定領域の外観検査方法。
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