JP6902439B2 - 磁気センサ - Google Patents
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Description
磁気センサでは、磁気抵抗膜の周囲において、保護膜を厚さ方向に貫通する応力緩和用開口が形成されている。応力緩和用開口は、保護膜から磁気抵抗膜に与える応力を緩和し、磁気センサの性能低下を防いでいる。
また、磁気センサの製造プロセスでは、ダム部が磁気抵抗効果体と同一製造工程により形成することができるので、製造工程数を削減することができる。
以下、図1〜図5を用いて、本発明の第1実施の形態に係る磁気センサを説明する。
図1に示されるように、本実施の形態に係る磁気センサ1は、基板2の主面上の中央部分に配設された第1ブリッジ回路及び第2ブリッジ回路を備えている。第1ブリッジ回路は4つのMR素子M1〜M4を含んで構成されている。同様に、第2ブリッジ回路は4つのMR素子M5〜M8を含んで構成されている。
基板2の主面上において、周辺角部分には複数個の端子9Pが配設されている。基板2の1つの角部分には図示省略のボンディングワイヤが接続される3個の端子9Pが配設され、基板2の4つの角部分には合計12個の端子9Pが配設されている。ここで、ボンディングワイヤは、一点鎖線を用いて輪郭形状が示されているボンディング開口を通して端子9Pにボンディングされる構成とされている。ボンディング開口は図4に示される保護膜10を厚さ方向に貫通して形成されている。
MR素子M2は右側に配設され、MR素子M4は中心位置Oに対してMR素子M2と点対称位置とされる左側に配設されている。MR素子M2は、中心位置Oから右側周囲へ放射状に拡がる略二等辺三角形の平面形状に形成されている。MR素子M4は、中心位置Oから左側周囲へ放射状に拡がる略二等辺三角形の平面形状に形成されている。
中心位置OからMR素子M1の左右方向の中心を通過する仮想の基準線Lbを基準として、中心位置Oを中心とする時計回り方向へ、MR素子M1は0度の角度を持って配置されている。MR素子M2は90度、MR素子M3は180度、そしてMR素子M4は270度のそれぞれの角度を持って配置されている。
基準線Lbを基準として、時計回り方向へ、MR素子M5は315度、MR素子M6は45度、MR素子M7は135度、MR素子M8は225度のそれぞれの角度を持って配置されている。
磁気抵抗効果体41の中心位置O側の他端は接続孔8(図2及び図3参照)を通してMR素子M1とMR素子M6との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の右上角部分に配置された端子9Pに接続されている。
磁気抵抗効果体42の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M2とMR素子M7との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の右下角部分に配置された端子9Pに接続されている。
磁気抵抗効果体43の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M3とMR素子M8との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の左下角部分に配置された端子9Pに接続されている。
磁気抵抗効果体44の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M4とMR素子M5との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の左上角部分に配置された端子9Pに接続されている。この端子9Pは磁気抵抗効果体41の一端に接続された端子9Pと共用されている。
磁気抵抗効果体45の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M8とMR素子M4との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の左下角部分に配置された端子9Pに接続されている。
磁気抵抗効果体46の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M5とMR素子M1との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の左上角部分に配置された端子9Pに接続されている。この端子9Pは磁気抵抗効果体45の一端に接続された端子9Pと共用されている。
磁気抵抗効果体46の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M6とMR素子M2との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の右上角部分に配置された端子9Pに接続されている。この端子9Pは磁気抵抗効果体46の一端に接続された端子9Pと共用されている。
磁気抵抗効果体48の中心位置O側の他端は接続孔8を通してMR素子M7とMR素子M3との間から周辺側へ引き回された配線9の一端に接続され、この配線9の他端は基板2の左下角部分に配置された端子9Pに接続されている。この端子9Pは磁気抵抗効果体47の一端に接続された端子9Pと共用されている。
なお、磁気抵抗効果体41〜48は「磁気抵抗効果体4」と総称して説明する場合がある。
図4に示されるように、基板2上の全面には絶縁体3が形成され、絶縁体3の表面上に磁気抵抗効果体4が形成されている。磁気抵抗効果体4上には保護膜5が形成され、保護膜5上には配線9及び端子9P(図1参照)が形成されている。そして、配線9上及び端子9P上には保護膜10が形成されている。
第1保護膜51は、磁気抵抗効果体4上に平面視において磁気抵抗効果体4と同一平面形状に形成されている。第1保護膜51は、磁気抵抗効果体4と配線9とを電気的に絶縁すると共に、磁気センサ1の製造プロセスにおける磁気抵抗効果体4のパターンニングを行うハードマスクとしても使用されている。第1保護膜51としては、例えばプラズマ化学的気相析出(CVD: Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜したシリコン窒化膜(Si3N4)が使用されている。シリコン窒化膜の膜厚は例えば150nm〜250nmに設定されている。
第2保護膜52は、磁気抵抗効果体4及び第1保護膜51上を含んで基板2の全面に形成されている。第2保護膜52は、磁気抵抗効果体4と配線9とを主に電気的に絶縁すると共に、磁気抵抗効果体4を外部環境から保護する。第2保護膜52としては、第1保護膜51と同様に、例えばプラズマCVD法を用いて成膜されたシリコン窒化膜が使用されている。シリコン窒化膜の膜厚は例えば250nm〜350nmに設定されている。シリコン窒化膜は、シリコン酸化膜に比べて、機械的に硬く、吸湿性に優れている。
なお、保護膜5としては、シリコン酸化膜(SiO2)が使用されてもよく、又シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とを積層した複合膜が使用されてもよい。
そして、保護膜10には、例えばプラズマCVD法を用いて成膜されたシリコン窒化膜が使用されている。シリコン窒化膜の膜厚は例えば450nm〜550nmに設定されている。
図2〜図4に示されるように、磁気抵抗効果体4の周囲の少なくとも一部に沿って、保護膜5及び保護膜10にはそれらを厚さ方向に貫通する開口部7が配設されている。開口部7は、磁気抵抗効果体4と配線9との接続部分を除いて、磁気抵抗効果体4の周囲に沿って延設された溝状に形成されている。
図2中、左側の等辺に沿って延設される開口部7は、中心位置O側の一端部を磁気抵抗効果体43と配線9との接続部まで右側へ屈曲させ、下側周囲の他端部を周囲側の磁気抵抗効果体43と配線9との接続部まで右側へ屈曲させて底辺に沿って延設させている。この開口部7は、平面視において、略L字形状に形成されている。また、左側の等辺に沿って延設される開口部7は、磁気抵抗効果体43とその左側に配設された磁気抵抗効果体48との間を延在する配線9と、磁気抵抗効果体43との間において、磁気抵抗効果体43寄りに配設されている。
図2中、右側の等辺に沿って延設される開口部7は、中心位置O側の一端部を磁気抵抗効果体43と配線9との接続部まで左側へ屈曲させ、下側周囲の他端部を周囲側の磁気抵抗効果体43と配線9との接続部まで左側へ屈曲させている。この開口部7は、平面視において、略I字形状に形成されている。また、右側の等辺に沿って延設される開口部7は、磁気抵抗効果体43とその右側に配設された磁気抵抗効果体47との間を延在する配線9と、磁気抵抗効果体43との間において、磁気抵抗効果体43寄りに配設されている。
このように、本実施の形態において、MR素子M3の周囲に沿って配設された開口部7は、磁気抵抗効果体43と配線9との接続部を中心として、左右に2分割されている。
第1開口部71は、保護膜5の第2保護膜52に形成され、第2保護膜52の厚さ方向に貫通して形成されている。磁気センサ1の製造プロセスにおいて、第1開口部71の形成には、例えば等方性ドライエッチングが使用されている。
第2開口部72は、平面視において、第1開口部71の配置位置と配置位置を一致させて保護膜10に形成され、保護膜10の厚さ方向に貫通して形成されている。第1開口部71と同様に、第2開口部72は等方性ドライエッチングを用いて形成されている。
ここで、開口部7の絶縁体3に接する側の最も小さい溝幅寸法は、例えば3μm〜5μmに設定されている。なお、磁気センサ1の製造プロセスにおいて、第2開口部72は前述のボンディング開口と同一製造工程により形成されている。
ここで、離間距離L1とは、磁気抵抗効果体43と開口部7とが平行に延在する部位において、それらの延在方向と直交する方向における離間距離である。また、アライメント余裕寸法とは、磁気センサ1の製造プロセスにおいて、アライメントずれが生じても双方のパターンが重ならないための余裕寸法である。磁気抵抗効果体43に対する開口部7のアライメント余裕寸法は、ここでは3μm〜4μmとされている。
図5に示されるように、離間距離L1がアライメント余裕寸法の範疇では、オフセット電圧の変化量がかなり大きい。これに対して、離間距離L1が7μmよりも長くなると、オフセット電圧の変化量が著しく小さくなり、オフセット電圧の変化量に安定性が得られる。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、図4に示されるように、磁気抵抗効果体4が絶縁体3の表面上に配設され、この磁気抵抗効果体4上を含む絶縁体3の表面上には保護膜5及び保護膜10が設けられる。保護膜5及び保護膜10には、図1〜図3に示されるように、磁気抵抗効果体4の周囲の少なくとも一部に沿って開口部7が設けられる。開口部7は、図4に示されるように、保護膜5及び保護膜10を厚さ方向に貫通する。
図5に示されるように、磁気抵抗効果体4と開口部7との離間距離L1が長くなると、オフセット電圧の変化量が小さくなる。このため、水分の浸入を効果的に抑制又は防止することができ、磁気センサ1において特性の耐久変動を小さくすることができる。
特に、離間距離L1が8μm〜12μmの範囲内とされる場合には、オフセット電圧の変化量が更に小さくなると共に、離間距離L1があまり大きくならないので、磁気センサ1の集積度を向上することができる。
以下、図6〜図9を用いて、本発明の第2実施の形態に係る磁気センサを説明する。なお、第2実施の形態の説明において、第1実施の形態において説明した構成要素と同一構成要素、又は実質的に同一構成には同一符号を付し、その説明は重複するので省略する。
図6に示されるように、本実施の形態に係る磁気センサ1は、基本的には図1に示される第1実施の形態に係る磁気センサ1の構成と同一構成とされている。すなわち、磁気センサ1は、第1ブリッジ回路を構成するMR素子M1〜M4と、第2ブリッジ回路を構成するMR素子M5〜M8とを備え、MR素子M1〜M8のそれぞれの周囲に沿って開口部7が配設されている。
詳細に説明すると、図8に示されるように、ダム部4Dは、絶縁体3と保護膜5との間、すなわち磁気センサ1の構造又は製造プロセスにおいて磁気抵抗効果体4と同一導電層に形成されている。同一導電層に形成されるので、ダム部4Dは磁気抵抗効果体4と同一材料により形成されている。ダム部4D上には、このダム部4Dをパターンニングする第1保護膜51が、磁気抵抗効果体4上の第1保護膜51と同様に構成されている。
本実施の形態では、ダム部4Dの幅寸法は例えば2μm〜5μmに設定され、ダム部4Dと磁気抵抗効果体4との離間寸法は、ダム部4Dと開口部7との離間寸法よりも小さい例えば2μmに設定されている。ダム部4Dと開口部7との離間寸法は、アライメント余裕寸法を含めて、例えば3μm〜4μmに設定されている。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、図8に示されるように、磁気抵抗効果体4が絶縁体3の表面上に配設され、この磁気抵抗効果体4上を含む絶縁体3の表面上には保護膜5及び保護膜10が設けられる。保護膜5及び保護膜10には、図6〜図8に示されるように、磁気抵抗効果体4の周囲の少なくとも一部に沿って開口部7が設けられる。開口部7は、図8に示されるように、保護膜5及び保護膜10を厚さ方向に貫通する。
このため、ダム部4Dが配設されて水分の浸入を効果的に抑制又は防止することができ、図9(A)に示されるように、磁気センサ1において特性の耐久変動を小さくすることができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において以下の通り変形可能である。
例えば、本発明では、基板として、炭化シリコン基板、ガラス基板、樹脂基板等の絶縁性基板が使用される場合には基板自体が絶縁体とされるので、基板上の絶縁体を省略することができる。
また、上記実施の形態では、基板にブリッジ回路を構成するMR素子だけが配設されているが、本発明は、1つの基板にMR素子と回路を構築する素子、例えばトランジスタ、抵抗、容量等とを配設してもよい。
さらに、本発明は、MR素子として、異方向性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子、トンネル磁気抵抗効果(TMR)素子等を使用してもよい。
Claims (2)
- 絶縁体の表面上に配設された磁気抵抗効果体と、
前記磁気抵抗効果体上を含む前記絶縁体の表面上に設けられた保護膜と、
前記磁気抵抗効果体の周囲の少なくとも一部に沿って前記保護膜を厚さ方向に貫通する開口部と、
前記絶縁体と前記保護膜との間において、前記磁気抵抗効果体と前記開口部との中間位置に配設され、前記開口部から前記絶縁体と前記保護膜との界面を通じて前記磁気抵抗効果体へ浸入する水分を堰き止めるダム部と、
を備えた磁気センサ。 - 前記ダム部は、前記磁気抵抗効果体と同一層に、かつ、同一材料により形成されている請求項1に記載の磁気センサ。
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