JP6899381B2 - 電気掃除機の吸込口体 - Google Patents

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Description

本発明は電気掃除機の吸込口体に関する。
従来技術1の電気掃除機の吸込口体として、吸込口に回転可能に設けられた回転ブラシと、回転ブラシ用モータとを備え、回転ブラシを回転させることにより床面上のダストを吸込口に掻き込んで清掃するタイプのものが普及している。この場合、回転ブラシが床面に接触しながら回転することで、ユーザーが吸込口体を軽い力で押し進めることができる。
従来技術2の電気掃除機の吸込口体として、特許文献1には、吸込口に回転可能に設けられた回転ブラシと、回転ブラシ用モータと、第1の歯車を有する垂直軸心廻りに回動可能な回転台と、回転台に回転可能に設けられた左右一対の走行車輪と、車輪駆動用モータと、回転台の歯車と噛合する垂直軸心廻りに回動可能な第2の歯車と、第2の歯車を駆動させる方向転換用モータと、回転台よりも後方に回転可能に設けられた左右一対の大車輪とを備える電気掃除機が提案されている。
従来技術2の電気掃除機によれば、左右一対の走行車輪を回転させて吸込口体を走行させながら回転する回転ブラシによって床面上のダストを吸込口に掻き込んで清掃し、この間、回転台を回動させることにより吸込口体を旋回させて進行方向を転換できるようになっている。
特開平7−8417号公報
従来技術1の吸込口体は、回転ブラシが清掃と走行の両方の機能を担うため、回転ブラシ用モータにかかる負荷が増大しモータ寿命が短くなると共に、回転ブラシによるゴミ取れ効率が低下する。さらに、回転ブラシはユーザーによる吸込口体の直進操作を補助するものであり、特に絨毯上では回転ブラシの摩擦抵抗が増すため効果的である反面、絨毯上では旋回操作がし難くなり吸込口体を軽く浮かせて旋回させる必要があった。
従来技術2の吸込口体は、左右一対の走行車輪を車輪駆動用モータにて回転させて吸込口体を走行させるため、従来技術1と比べて回転ブラシ用モータの負荷が軽減される。また、回転台が回動することにより吸込口体を旋回させることができるため、絨毯上での旋回操作も楽に行うことができる。しかしながら、旋回性を向上させるための部品点数の増加および構造の複雑化等を招き、吸込口体の重量増加およびコストアップに繋がる。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、簡素な構造でありながら吸込口体の直進性と旋回性を両立させることができる電気掃除機の吸込口体を提供することを目的とする。
かくして、本発明によれば、左右方向に延びる吸込口が設けられた底面を有する吸込口本体と、左右方向の第1軸心廻りに回転可能に前記底面に配置された1つの駆動ローラと、前記駆動ローラを回転駆動する駆動ローラ用モータとを備え、
前記駆動ローラは、前記吸込口本体における左右方向中間位置に配置されている電気掃除機の吸込口体(第1発明)が提供される。
また、本発明によれば、左右方向に延びる吸込口が設けられた底面を有する吸込口本体と、前記底面側に左右方向の軸心廻りに回転可能に設けられた駆動ローラと、駆動ローラ用モータと、前記駆動ローラ用モータの回転力を前記駆動ローラへ伝達する回転力伝達機構部とを備え、
前記駆動ローラは、前記回転力伝達機構部と連結する回転部材と、前記回転部材の外周側に設けられたローラ部材と、前記回転部材と前記ローラ部材との間に設けられたローラ固定部材とを有し、
前記回転部材と前記ローラ固定部材とが結合している電気掃除機の吸込口体(第2発明)が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、前記吸込口体を備えた電気掃除機が提供される。
本発明(第1発明)の電気掃除機の吸込口体は、1つの駆動ローラが吸込口本体における左右方向中間位置に配置されているものであるため、ユーザーは駆動ローラによって走行補助を受けることができると共に、簡素な構造でありながら吸込口体の直進性と旋回性が両立する。この結果、ユーザーによる吸込口体への操作性が向上する。
なお、本発明の電気掃除機の吸込口体は、回転ブラシが吸込口に設けられていない吸込口体、吸込気流によって回転する回転ブラシが吸込口に設けられた吸込口体、モータによって回転駆動する回転ブラシが吸込口に設けられた吸込口体、スティック型電気掃除機、アップライト型電気掃除機、キャニスター型電気掃除機等に適用可能であり、いずれのタイプにも吸込口体の直進性と旋回性を両立させることができる。
ところで、本発明者は、吸込口体の走行を補助する駆動ローラを作製する場合、床面となるフローリング、畳、絨毯等と接する外周部分は摩擦抵抗が比較的大きいゴムのような素材にて形成し、吸込口体の筐体に回転可能に軸支され高速回転する軸芯部分は耐久性および耐熱性が大きい樹脂のような素材にて形成する必要があると考えて試作したが、次の新たな課題を見出した。すなわち、前記素材からなる軸芯部分と外周部分とを接着剤にて接着する場合、軸芯部分の接着強度が弱く、実使用に必要な接着強度を得ることができない。
そこで、本発明(第2発明)は、接着強度が異なる部材を組み立てて作製した駆動ローラを有する電気掃除機の吸込口体を提供することを目的とする。
本発明(第2発明)の電気掃除機の吸込口体において、駆動ローラを構成する回転部材とローラ固定部材とが結合している。つまり、回転部材とローラ部材とはローラ固定部材を介して結合している。
そのため、駆動ローラを構成する各部材は次のような素材にて形成することができる。
吸込口体の筐体に回転可能に軸支され高速回転する回転部材は、耐久性および耐熱性が大ければ、接着剤による接着強度が低い素材であっても形成することができる。
床面となるフローリング、畳、絨毯等と接触して空回りすることなく回転力を床面に伝えるローラ部材は、摩擦抵抗および接着剤による接着強度が比較的大きければ、耐久性および耐熱性が低い素材であっても形成することができる。
回転部材とローラ部材とを結合するローラ固定部材は、これらの素材の中間的な物性を有する素材にて形成することができる。
本発明の電気掃除機の実施形態1を示す自立状態の斜視図である。 図1の電気掃除機の自立状態の左側断面図である。 図1の電気掃除機の吸込口体を示す斜視図である。 図1の電気掃除機の吸込口体を示す底面図である。 図1の電気掃除機の吸込口体を示す左側断面図である。 図1の電気掃除機の吸込口体における駆動ローラユニットを示す斜視図である。 図1の電気掃除機の吸込口体の分解図である。 図1の電気掃除機の吸込口体における接続パイプ部の揺動状態を示す説明図であって、(A)は最下降状態、(B)は最上昇状態である。 図6の駆動ローラユニットにおける駆動ローラを示す斜視図である。 図9の駆動ローラの正面図である。 図9の駆動ローラの断面図である。 (A)は図11(A)の部分拡大図、(B)は図11(B)の部分拡大図である。 実施形態1に係る電気掃除機の動作回路の一例を示す回路図である。 図1の電気掃除機の吸込口体を示す左側断面図であって(A)はバンパーの壁への未当接状態を示し、(B)はバンパーの壁への当接状態を示している。 実施形態2に係る電気掃除機の吸込口体における駆動ローラを示す図であって(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は図15(B)のI-I線矢視断面図、(D)は図15(C)のII-II線矢視断面図である。
(実施形態1)
図1は本発明の電気掃除機の実施形態1を示す自立状態の斜視図であり、図2は図1の電気掃除機の自立状態の左側断面図である。
<電気掃除機の全体構成>
この電気掃除機100は、電動送風機11、バッテリー12および回路基板等を内蔵する掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されたダストカップユニット20と、掃除機本体10の吸込口となる筒形の吸気部10aに着脱可能に接続される延長パイプ30と、延長パイプ30と着脱可能に接続される吸込口体40とを備え、図1および2に示すように自立可能に構成されている。なお、本明細書において、吸込口体40が床面F上を前進および後退する方向を「前後方向」、床面Fと垂直な方向を「上下方向」、床面Fと平行でかつ前後方向と垂直な方向を「左右方向」に規定し、吸込口体40を後方から視て右および左と規定している。
掃除機本体10は、ハンドル10bと、ハンドル10bに設けられた操作部10cとを有し、操作部10cに設けられた起動停止ボタンSW104の操作によって運転/停止の切り換えを行い、操作部10cに設けられた吸引力切換ボタンSW102の操作によって強または弱に吸引力を切り換えることができる。運転時は、電動送風機11が駆動すると共に、吸込口体40の後述する回転ブラシ用モータおよび駆動ローラ用モータが駆動する。なお、図示省略するが、掃除機本体10と延長パイプ30と吸込口体40とは導電部材により電気的に接続されており、バッテリー12から電動送風機11、各モータ等へ電力が供給される。なお、掃除機本体10の吸気部10aにはブラシ部材13が折り畳み可能に設けられている。
<吸込口体の構成>
図3は図1の電気掃除機の吸込口体を示す斜視図であり、図4は図1の電気掃除機の吸込口体を示す底面図であり、図5は図1の電気掃除機の吸込口体を示す左側断面図である。また、図6は図1の電気掃除機の吸込口体における駆動ローラユニットを示す斜視図であり、図7は図1の電気掃除機の吸込口体の分解図である。また、図8は図1の電気掃除機の吸込口体における接続パイプ部の揺動状態を示す説明図であって、(A)は最下降状態、(B)は最上昇状態である。
[吸込口体について]
吸込口体40は、左右方向(矢印A方向)に延びる吸込口41a1が設けられた底面を有する吸込口本体41と、吸込口本体41の後部に左右方向の軸心廻りに揺動可能に接続された接続パイプ部42と、吸込口本体41における吸込口41a1に左右方向の軸心廻りに回転可能に設けられた回転ブラシ43と、回転ブラシ43を回転駆動する回転ブラシ用モータ44と、吸込口本体41の底面側に設けられた駆動ローラユニット45と、姿勢検知スイッチ46と、持上検知スイッチ47とを備える。
吸込口本体40は、吸込口41a1を有する下部ケース41aと、上部ケース41bと、前部ケース41cと、バンパー41dと、筒形の受部41eと、後部ケース41fとを備える。
下部ケース41aは、吸込口41a1の上方に回転ブラシ43を回転可能に収納する上方開口状の第1スペース41s1と、第1スペース41s1の後方に配置された持上検知スイッチ47および回転ブラシ用モータ44を収納する上方開口状の第2スペース41s2と、第2スペース41s2の後方に、または、第2スペース41s2と一部分が重複して配置された駆動ローラユニット45を収納する下方開口状の第3スペース41s3と、第3スペース41s3の後方に配置された下方開口状の扇形の第4スペース41s4とを有し(図14参照)、第2スペース41s2には持上検知スイッチ47の一部を外部下方に露出させる孔41a2が形成されている。
上部ケース41bは、下部ケース41aの第2スペース41s2および第3スペース41s3を覆う部品であり、その後端部には、ほぼ垂直状態まで揺動させた接続パイプ部42の捻り方向への回動を規制する規制片部41b1が設けられている。
前部ケース41cは、下部ケース41aの第1スペース41s1を覆う部品であり、かつバンパー41dを取り付ける部品である。
なお、図7において、符号41cxは、前部ケースの左右後端部と上部ケース41bの左右前端部との間に着脱可能に取り付けられるストッパ片であり、各ストッパ片41cxを取り外すことにより下部ケース41aから上部ケース41bおよび前部ケース41cを取り外せるようになっている。
持上検知スイッチ47は、車輪を有する揺動レバー部と、揺動レバー部を揺動可能に支持するスイッチ本体と、揺動レバー部を下方へ付勢するねじりコイルバネとを有し、下部ケース41aに収納された回路基板48にスイッチ本体が接続され、揺動レバー部の車輪が孔41a2から外部下方に露出するよう付勢されている。この持上検知スイッチ47は、吸込口体40が床面F上にあるときはモータを駆動させ、吸込口体40が床面Fから浮き上がるとモータの駆動を停止させるよう切り換わる。なお、ここで言う「モータ」には、前記回転ブラシ用モータ44と、前記駆動ローラユニット45に備えられた後述の駆動ローラ用モータ45bとが含まれる。
回転ブラシ43はその一端側に溝付きプーリを有し、回転ブラシ用モータ44の出力軸には溝付きプーリが固定されており、これらの溝付きプーリ間に溝付きベルトが張架されることにより、回転ブラシ用モータ44の回転力が回転ブラシ43に伝達される。
後部ケース41fは、駆動ローラユニット45の後方から左右に亘って包囲するように下部ケース41aの第3スペース41s3の周縁部と嵌合する円弧形部と、この円弧形部と連設されて下部ケース41aの第4スペース41s4の周縁部と嵌合する扇形部とを有し、扇形部の底面(下面)には左右一対の後部ローラ49が左右軸心廻りに回転可能に取り付けられるための下方開口状の取り付け凹部が設けられている。
また、後部ケース41fにおける左右の取り付け凹部の間には円形孔が形成されると共に、円形孔から外部下方へ突出するように下端部に凸曲面部41g1を有する筒形部材41gが後部ケース41f上に設けられている。
この後部ケース41fの円弧形部の左右位置および下部ケース41aの第3スペース41s3の左右位置には、駆動ローラユニット45の後述する左右の軸部45d11を回動可能に軸支する半円形のリブ41hが設けられている。
受部41eは、接続パイプ部42を左右方向の軸心廻りに揺動可能に保持する部品であり、二分割可能な下部材41e1と上部材41e2とを有してなる。
下部材41e1は、円形の通気孔部41e11を前端に有すると共に、半円筒部分の左側の端部に姿勢検知スイッチ46を取り付ける取付部41e12を有している。
上部材41e2は、接続パイプ部42をほぼ垂直状態まで揺動可能とするために後端部に切欠き部41e21が形成されている。
下部材41e1と上部材41e2とが組み立てられた受部41eの通気孔部41e11の円形の外周部は、下部ケース41aと上部ケース41bにそれぞれ設けられた半円形のリブ41e13に嵌り込んで前後方向の軸心廻りに回動可能に取り付けられる。
[接続パイプ部について]
接続パイプ部42は、通気路を有する筒形の本体部42aと、本体部42aに取り付けられる上カバー部42bとを有してなり、吸込口本体41の受部41eと左右方向の軸心廻りに揺動可能に接続する接続軸部42xを基端側(根元側)に有している。
接続軸部42xは、接続パイプ部42の揺動方向側(矢印B方向側)の面、すなわち、本体部42aの外面の一部および上カバー部42bの外面の一部が凸曲面となっており、吸込口本体41の受部41eに左右方向の軸心廻り(矢印B方向)に揺動可能として接続されている(図2参照)。
下カバー部42aは、基端部の左側面に突起状のスイッチ当接部42a1を有している。このスイッチ当接部42a1は、接続軸部42xが揺動することにより受部41eに取り付けられた姿勢検知スイッチ46のレバー46aに当接してモータを駆動から停止に切り換える。なお、ここで言う「モータ」には、前記回転ブラシ用モータ44と、前記駆動ローラユニット45に備えられた後述の駆動ローラ用モータ45bとが含まれる。
上カバー部42bは、前記凸曲面に隣接して傾斜面を有すると共に、傾斜面と凸曲面との間のくびれ部42b1を有しており、接続パイプ部42が傾斜状態(図8(A))から垂直状態(図8(B))まで揺動する際にくびれ部42b1が受部41eの切欠き部41e21の奥部に当たり止めされ、それ以上の揺動が規制される。なお、接続パイプ部42の「垂直状態」とは床面Fに対してほぼ垂直な状態を意味している。
[駆動ローラユニットについて]
図9は図6の駆動ローラユニットにおける駆動ローラを示す斜視図であり、図10は図9の駆動ローラの正面図であり、図11は図9の駆動ローラの断面図である。
駆動ローラユニット45は、駆動ローラ45a、駆動ローラ用モータ45b、溝付きベルト45c1を有する回転力伝達機構部およびこれらを収納するケーシング45dを有してなり、吸込口体40と駆動ローラユニット45との間に設けられる図示しない付勢部材によって床面F側へ付勢されるよう吸込口本体41に取り付けられる。
ケーシング45dは、第1ケーシング45d1と、第1ケーシング45d1の上部に組み付けられる第2ケーシング45d2と、第1ケーシング45d1の下部に組み付けられる第3ケーシング45d3とを有してなる。
第1ケーシング45d1は左右側面に軸部45d11を有する。
第2ケーシング45d2は上面の左右位置に前記付勢部材としてのコイルスプリングの下端部を嵌め入れる短筒状の凹部45d21を有する。
第3ケーシング45d3は駆動ローラ45aを床面F側へ突出させる開口部45d31を有する。
駆動ローラ用モータ45bは第1ケーシング45d1と第2ケーシング45d2との間のスペースに収納され、駆動ローラ45aは第1ケーシング45d1と第3ケーシング45d3との間のスペースに左右方向の軸心廻りに回転可能に収納される。
駆動ローラ45aは、前記回転力伝達機構部と連結する回転部材45a1と、回転部材45a1の外周側に設けられた円筒形のローラ部材45a2と、回転部材45a1とローラ部材45a2との間に設けられたローラ固定部材45a3とを有する。
円筒形のローラ固定部材45a3は、軸心方向の両端部に設けられた内フランジ部45a31と、外周面に軸心方向に所定間隔で設けられた一対の円環凸部45a32とを有し、二分割可能な半割体45a33からなる。
円筒形のローラ部材45a2は、ローラ固定部材45a3の一対の円環凸部45a32の間に嵌め込まれている。
回転部材45a1は、外周面に軸心方向に所定間隔で設けられた一対の外フランジ部45a111を有する本体部45a11と、本体部45a11の軸心方向の両端部にピンおよびベアリング45a12を介して回転可能に取り付けられた支持ブロック45a13とを有してなる。
本体部45a11の一端側の外フランジ部45a111と支持ブロック45a13との間には、回転力伝達機構部を構成する溝付きプーリ45a112が一体成形されている。また、本体部45a11の外周部における一対の外フランジ部45a111の内側には、一対の外フランジ部45a111の間に嵌め入れた一対の半割体45a33の内フランジ部45a31を嵌め込む凹周溝45a113が形成されている。なお、半割体45a33の内フランジ部45a31の一部には1つ以上の切れ込みが形成されると共に、凹周溝45a113の一部には1つ以上の突起が設けられており、突起が切れ込みに係合することにより、回転部材45a1とローラ固定部材45a3とは機械的に結合し一体回転する。
回転部材45a1の素材としては、例えば、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE(四フッ化エチレン)等の樹脂が挙げられ、本実施形態ではPOMが用いられる。
また、ローラ固定部材45a3の素材としては、回転部材45a1の素材よりも耐有機溶剤性の低い樹脂、例えば、ABS(スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体)、AS(スチレン・アクリロニトリル共重合体)、PS(ポリスチレン)等の樹脂が挙げられ、本実施形態でABSが用いられる。
ローラ部材45a2の素材としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のゴムが挙げられ、本実施形態ではシリコーンゴムが用いられる。
ローラ部材45a2は、ローラ固定部材45a3に接着剤を用いて接着してもよく、接着剤を用いずに直接被せてもよい。接着剤を用いる場合、ローラ部材45a2とローラ固定部材45a3とを接着できるものであればよく、例えば、アクリル樹脂系、塩化ビニル樹脂系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系等の溶剤形接着剤が挙げられる。
回転力伝達機構部(符号省略)は、駆動ローラ用モータ45bの出力軸に固定された溝付きプーリ45b1と、駆動ローラ45aの溝付きプーリ45a112と、これらの溝付きプーリ45b1、45a112間に張架される溝付きベルト45c1とを有してなる(図7参照)。
[吸込口体における各部品の位置関係]
次に、吸込口体40における駆動ローラ45aを含む各部品の位置関係について説明する。以下、図5に示すように、駆動ローラ45aの軸心を第1軸心P1、接続パイプ部42の接続軸部42xの軸心を第2軸心P2、回転ブラシ43の軸心を第3軸心P3、一対の後部ローラ49の軸心を第4軸心P4、駆動ローラ用モータ45bの軸心を第5軸心P5として説明する。
この吸込口体40において、図4に示すように、駆動ローラ45aは吸込口本体41における左右方向(矢印A方向)の中間位置に配置されている。さらに、図5に示すように、第1軸心P1が、第2軸心P2と吸込口41a1または第3軸心P3との間に配置されている。1つの駆動ローラ45aがこのような位置に配置されることにより、回転ブラシ用モータ44にかかる負荷を抑えながら吸込口体40の旋回の操作性を向上することができる。
また、第4軸心P4は、第2軸心P2よりも後方位置に配置されている。左右一対の後部ローラ49がこのような位置に配置されることにより、駆動ローラ45aと左右一対の後部ローラ49との3点支持により電気掃除機100をほぼ垂直状に自立させるのに有効であり(図2参照)、かつ吸込口体40の後部がフローリング床面Fに接触して傷付くのを後部ローラ49にて抑制することができる。
また、駆動ローラユニット45の軸部45d11は、駆動ローラ45aの第1軸心P1よりも後方の駆動ローラ用モータ45bの第5軸心P5とほぼ同一軸心上に設けられ、かつ付勢部材は軸部45d11よりも前方に配置されている。そのため、軸部45d11を支点として駆動ローラユニット45が上下方向(矢印C方向)に揺動可能となり、付勢部材による駆動ローラ45aの上下運動の負荷調整をすることができる。なお、図6では、付勢部材としてのコイルスプリングを2個設けることができるよう、駆動ローラユニット45に2個の凹部45d21が設けられた場合を説明したが、凹部45d21の数は3個でもよく、さらに、実際に設けるコイルスプリングの数は駆動ローラ45aにかけようとする負荷に応じて変更すればよい。
[電気掃除機の動作]
このように構成された電気掃除機100を用いて床面F上を清掃する際は、図8(B)に示すように、吸込口体40の接続パイプ部42を傾斜状態とした上で操作部10cの電源スイッチをオンにする。このとき、図12(A)に示すように、接続パイプ部42の接続軸部42xに設けられたスイッチ当接部42a1は姿勢検知スイッチ46のレバー46aから離れた位置にあり、姿勢検知スイッチ46は回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bを駆動させる状態に切り換わっている。
電源スイッチをオンにすることにより、電動送風機11が駆動してダストカップユニット20内が負圧となり、床面F上の空気がダストと共に吸込口41a1から吸込口体40内へ吸い込まれ、延長パイプ30および掃除機本体10内を通ってダストカップユニット20内に流入する。ダストカップユニット20内において、ダストは遠心分離されて溜まり、ダストが除去された空気が再び掃除機本体10内を通って図示しない排気口から外部へ排出される。
また、電源スイッチをオンにすると、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが駆動し、回転ブラシ43および駆動ローラ45aが回転する。このとき、駆動ローラ45aが付勢部材によって床面Fに向かって押し付けられているため、回転する駆動ローラ45aと床面Fとの間の摩擦抵抗によって吸込口本体41には前方へ移動しようとする力が加わる。したがって、ユーザーはハンドル10bを軽く押すだけで吸込口体40を前進させることができる。あるいは、吸込口体40が自走し延長パイプ30を介して掃除機本体10を引っ張る状態となる。また、掃除機本体10内の電動送風機11の吸引力によって、床に貼りつく吸込口体40が駆動ローラ45aによって自走するようになるため、ハンドル10bに手を添えるだけで軽くて容易に掃除することができ、体にかかる負担を軽減できる。そして、駆動ローラ45aを吸込口体40の中心部に配置しているので小回り性が高まり、テーブルの脚回りなど狭い場所でもスムーズに掃除ができる。
吸込口体40の走行中、ユーザーがハンドル10bを右または左にひねると、吸込口体40は右または左へ旋回する。この場合の旋回とは、吸込口体40が左右に移動することが含まれる。このとき、駆動ローラ45aが左右方向の中間位置にあるため、接続パイプ部42の接続軸部42xが作用点となり、駆動ローラ45aが支点となって吸込口体40が右または左へスムーズに方向転換する。
清掃中、吸込口体40が床面Fから浮き上がると、吸込口本体41内に押し込まれていた持上検知スイッチ47が外部に突出する。この状態になると、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bの駆動が停止し、回転ブラシ43および駆動ローラ45aの回転が停止する。
また、清掃中にユーザーがその場を一時的に離れる場合、図1および2に示すように、電気掃除機100を自立させる。このとき、吸込口体40の接続パイプ部42が図8(B)のように所定角度以上に上方へ揺動したほぼ垂直状態となる。この状態になると、図12(B)に示すように、接続パイプ部42の接続軸部42xに設けられたスイッチ当接部42a1が姿勢検知スイッチ46のレバー46aに当接して押し下げ、それによって姿勢検知スイッチ46は回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bの駆動を停止させるように切り換わる。
これにより、ユーザーが操作部10cの電源オフ操作をしなくても自動的に回転ブラシ43および駆動ローラ45aが停止するため、吸込口体40が自走し、自立状態の電気掃除機100がバランスを崩して倒れて破損するという不具合を防止することができる。
<電気掃除機の動作回路>
図13は、この実施形態に係る電気掃除機の動作回路の一例を示す回路図である。
図13に示すように、電気掃除機100の動作回路は、掃除機本体10内の回路基板142を中心に、ダストセンサー基板101、キー基板102、LED基板103、および吸込口体40内の回転ブラシ43用のパワーブラシ基板104に分散して実装されている。
回路基板142は、掃除機本体10内に配置されている。回路基板142にはこの発明に係る制御部に相当するマイクロコンピュータ110が実装されている。
図13において、一部の回路素子には参照の便宜上、トランジスタにQ、抵抗にR、タクトスイッチにSW、発光ダイオードにLEDの文字を先頭に付し、その後に素子個有の番号を付している。
キー基板102およびLED基板103は、操作部10cに配置されている。図13でキー基板102に実装された2つのタクトスイッチであるSW104およびSW102は、それぞれ起動停止ボタンおよび吸引力切換ボタンに対応している。
図13において回路基板142の左端にはバッテリー12と電気的に接続される端子部143が設けられている。L1端子は、バッテリー12からの電圧出力B+(定格は20.5V)を受ける接続端子である。L2端子は接地(GND)の接続端子である。
L1およびL2端子から供給されるバッテリー12の出力電圧B+は、スイッチとしてのトランジスタであるQ4を経て電動送風機11へ供給される。Q4のオンオフは、マイクロコンピュータ110が出力する「吸込駆動」信号によって制御される。この実施形態で電動送風機11は、DCブラシレスモータである。なお、この実施形態において電動送風機11を駆動する「吸込駆動」信号は、パルス状の信号であってそのオンデューティー比を変えることにより電動送風機11の速度、即ち吸引力を変えることが可能である。
バッテリー12からの出力電圧B+は、キー基板102にも供給される。さらにまた、前記出力電圧は、ラッチ回路106を経て、5V電源を出力する安定化電源回路111の入力として供給される。
ラッチ回路106は、5Vの安定化電源をオンおよびオフする回路である。5V電源は、マイクロコンピュータ110をはじめとして、ドライバ回路112、ダスト検出回路114、増幅回路113、ダストセンサー基板のLED501およびフォトトランジスタのQ601等を動作させる電源である。なお、電圧値の5Vは一例に過ぎない。
さらに、バッテリー12の出力電圧B+は、吸込口体40内のパワーブラシ基板104に供給されて吸込口体40の回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bを回転させる。ただし、マイクロコンピュータ110から出力される「PB駆動信号」によって駆動されるトランジスタのQ10によって、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bへの電圧B+の供給がオンおよびオフされる。
マイクロコンピュータ110は、「KEY1」信号のレベルの変化で起動停止ボタン(SW104)または吸引力切換ボタン(SW102)が押されたことを認識する。いずれかのボタンが押された場合の「KEY1」信号の電圧レベルは、抵抗のR102、R107およびR52の分圧比で決まる。何れのボタンが押されたかによって「KEY1」信号のレベルが異なる。なお、「KEY1」信号のレベルを判定する際、マイクロコンピュータ110は同じ電源に接続された「KEY2」信号のレベルを基準として参照する。
起動停止ボタン(SW104)および吸引力切換ボタン(SW102)が受け付けた操作に応答して、マイクロコンピュータ110は電気掃除機100の各部の動作を制御する。例えば、マイクロコンピュータ110が出力する「吸込駆動」信号によってトランジスタのQ4をオンおよびオフし、電動送風機11を起動および停止させる。さらに、LED1〜3の各信号によってLED基板103のLED201、LED202およびLED203を点灯および消灯させる。
パワーブラシ基板104に流れる電流は、電流検出抵抗のR58を流れ、電流の大きさに比例した電圧が抵抗両端に発生する。増幅回路113はその電圧を増幅して「PB電流検知」信号をマイクロコンピュータ110に提供する。マイクロコンピュータ110は、「PB電流検知」信号のレベルを監視する。
吸込口体40がユーザーによって床面から持上げられると、吸込口体40の下面に設けられた持上検知スイッチ47(図12のSW301に対応)がオフして回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bへの電流が回路的に遮断される。また、姿勢検知スイッチ46(図12のSW302に対応)が自立姿勢を検知すると、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bへの電流路からR304への電流路へ回路が切換わる。すると、電流検出抵抗のR58に定常電流が流れる。R304の抵抗値は、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが動作中および停止中(即ち、電流値ゼロ)のいずれとも異なる電流値が得られるように設定されている。
マイクロコンピュータ110は、PB電流検知信号のレベルを監視することによって、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが動作中か、停止中か、あるいは吸込口体40が自立姿勢、持上げかを認識する。
以下の表1は、持上検知スイッチ47および姿勢検知スイッチ46の状態に応じた電動送風機11、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bの状態と、「PB電流検知」信号のレベルを示している。
マイクロコンピュータ110は、「PB電流検知」信号のレベルがR304に流れる定常電流であると判定したら、自立姿勢状態であるとして電動送風機11を停止させる。「PB電流検知」信号のレベルが回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bの動作中または停止中の何れかと判定したら(運転中に起動停止ボタン(SW104)が押されて停止指示を受けた状態を除き)電動送風機11を動作させる。
表1に示すように、吸込口体40が床面から持上げられて持上検知スイッチ47がオフし、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが停止した状態であってもマイクロコンピュータ110は電動送風機11を動作させる。
例えば、ユーザーが吸込口体40を外し、ブラシ部材13を用いてハンディタイプの電気掃除機として使用する場合を考える。吸込口体40が外されると、持上検知スイッチ47がオフした場合と同様、「PB電流検知」の信号レベルはゼロになる。マイクロコンピュータ110は、吸込口体40が外されたことを直接認識はしないが、電流値がゼロであっても電動送風機11を動作させるので電気掃除機として使用可能である。
このように、持上げ検知スイッチ47および姿勢検知スイッチ46の状態、あるいは吸込口体40の着脱状態をマイクロコンピュータ110が認識するための配線がなくても、状況に応じて電動送風機11を適切に動作および停止させる。この実施形態によれば、掃除機本体10と吸込口体40とを結ぶ配線は、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bとを共通で駆動する2本の電源線のみである。掃除機本体10から延長パイプ30を経て吸込口体40に至る接続機構は、スイッチ類の配線が不要なために単純な構成にできる。
即ち、吸込口体40が装着され、自立姿勢でなく、持上げ状態でなければ電動送風機11は動作する(表1の第4行目参照)。吸込口体40が取外された場合、回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが接続されない。よって、電流検出抵抗のR58には電流が流れない(ゼロ電流)。ゼロ電流の状態は、表1の最下行の状態(持上げ状態でかつ倒れた姿勢)に等しい。マイクロコンピュータ110は、吸込口体40が取り外されたこと自体は認識しないが、「PB電流検知」信号のレベルがゼロ電流であることに基づいて電動送風機11を動作させる。
以上のように、2本の電源線のみの単純な構成であっても、マイクロコンピュータ110は、吸込口体40が装着されていれば持上検知および姿勢検知に応じて電動送風機11を動作または停止させ、吸込口体40が取り外されている場合は電動送風機11を動作させるので、吸込口体40の着脱にかかわらず電気掃除機として使用可能である。
Figure 0006899381
なお、この実施形態において姿勢検知スイッチ46は、吸込口体40の前後方向において延長パイプ30の伸びる方向が前方床面の水平面に対して所定角度(例えば、85°±5°)をなす状態になると電流路をR304の側へ切替える。マイクロコンピュータ110は「PB電流検知」信号のレベルがその状態に対応した範囲になったことを認識して自立姿勢と判断する。
続いて、電源オンの状態から電源をオフする場合の回路動作について述べる。電源オフは、動作中のマイクロコンピュータ110が「POW_OFF」信号を出力することにより開始される。マイクロコンピュータ110は、例えば、起動停止ボタン(SW104)が押されて電動送風機11を停止させてから予め定められた期間操作がなかった場合に「POW_OFF」信号を出力する。あるいは、姿勢検知スイッチ46が自立姿勢になってから予め定められた期間操作がなかった場合に「POW_OFF」信号を出力する。
マイクロコンピュータ110から「POW_OFF」信号がワンショットで出力されると、それをトリガとしてスイッチングトランジスタのQ1をオンしているラッチ回路がオフする。Q1がオフすると、IC2に供給されるバッテリー出力電圧Bが遮断されて安定化電源回路111に供給されなくなる。その結果、5V電源がオフする。
続いて、電源オフ状態から電源オン状態へ遷移する場合の回路動作について述べる。電源オフ状態では5V電源が遮断されており、マイクロコンピュータ110は動作していない。ただし、バッテリー12からの出力電圧B+は、キー基板102に供給されている。
起動停止ボタン(SW104)または吸引力切換ボタン(SW102)の何れかが押されると、オンされたスイッチを介してラッチ回路106にラッチオンの信号が入力される(図13に示すSW信号)。これをトリガとしてラッチ回路106がオンし、オフしていたQ1をオンする。Q1がオンすると、安定化電源回路111に電圧が供給され、5V電源が立ち上がる。
5V電源が立ち上がると、マイクロコンピュータ110の電源であるVDD端子に5V電圧が供給されると共に、RESET端子に接続されたC16がR50を介して充電され、やがてリセットが解除される。このようにしてマイクロコンピュータ110の処理が開始される。
また、5V電源が立ち上がると、ドライバ回路112、ダスト検出回路114、増幅回路113等に電源が供給されてそれぞれの回路が動作する。その結果、マイクロコンピュータ110は起動停止ボタン(SW104)および吸引力切換ボタン(SW102)のユーザーによる操作が検出可能になり、その操作に応じてLED201〜203を点灯および消灯することができる。また、電動送風機11の動作を制御できるようになる。さらに、「PB電流検知」信号のレベルを読み取って回転ブラシ用モータ44および駆動ローラ用モータ45bが動作しているか停止しているか、吸込口体40が自立姿勢にあるか否かを検出できるようになる。
起動停止ボタン(SW104)が押されて電動送風機11を停止してから何も操作されないままで予め定められた期間(例えば3分)が経過したら、マイクロコンピュータ110は「POW_OFF」信号を出力して5V電源をオフする。また、電源オンの状態で吸込口体40が自立姿勢になってから、何も操作されないまま前記期間が経過した場合も、「POW_OFF」信号を出力して5V電源をオフする。これによって、待機中にマイクロコンピュータ110や他の回路を動作させるために消費されるバッテリー12の電力が低減される。
ラッチ回路106および安定化電源回路111は、この発明に係る電源部を構成する。
[その他の構成]
図14は図1の電気掃除機の吸込口体を示す左側断面図であって(A)はバンパーの壁への未当接状態を示し、(B)はバンパーの壁への当接状態を示している。
図7と図14(A)に示すように、吸込口本体40の下部ケース41aにおいて、回転ブラシ43を収納する前記第1スペース41s1と、第1スペース41s1の後方の第2スペース41s2との間には、仕切りとなるリブ41a3が設けられている。
吸込口体40において、リブ41a3の上端部は上部ケース41bを介して前部ケース41cと接合されているため、第1スペース41s1の上部と第2スペース41s2の上部は閉鎖されている。一方、リブ41a3の下端部は吸込口41a1の後端部に対向して配置されている。この構造により、吸込口41a1と第2スペース41s2とを連通させる吸気流路41A4がリブ41a3によって狭められている。この結果、吸込口41aから吸気流路41A4および第2スペース41s2を通って接続パイプ部42へ流れる気流を高圧化して吸引力を高めることができ、ダストを強力に吸い込むことができる。
図3に示すように、バンパー41dは、その表面(前面)に波紋の一部を模して形成された凹凸部41d1を有している。この凹凸部41d1における凸部および凹部は、左右方向の中間部が低くかつ左右端部が高くなった湾曲形に形成されているため、凹部に付着したダストが左右中間に集まり易くなっている。また、凹凸形状にすることで、平面形状に比べて壁と接触する領域が約半減するので、傷がつく範囲が少なくなり、外観上見栄えがよくなる。
また、バンパー41dは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)といった軟質素材にて形成されている。そのため、図14(B)に示すように、バンパー41dを壁Wに押し付けることでバンパー41dが弾性変形して壁Wと吸込口41a1との距離が縮まり、この結果、吸引力を高めることができる。
(実施形態2)
図15は実施形態2に係る電気掃除機の吸込口体における駆動ローラを示す図であって(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は図15(B)のI-I線矢視断面図、(D)は図15(C)のII-II線矢視断面図である。
実施形態2の電気掃除機の吸込口体は、実施形態1における駆動ローラ45aの構成が異なる以外は、実施形態1の吸込口体と同様である。以下、実施形態2における実施形態1とは異なる部分を主として説明する。
実施形態2の駆動ローラ145aは、回転力伝達機構部の溝付きベルト45c1(図7参照)と連結する回転部材145a1と、回転部材145a1の外周部に嵌め込まれた円筒形のローラ部材45a2とを有してなり、実施形態1(図9〜11)で説明した駆動ローラ45aにおけるローラ固定部材45a3に相当する部品を有していない。
回転部材45a1は、外周面に軸心方向に所定間隔で設けられた一対の大径フランジ部145a111および一対の大径フランジ部145a111の両側に設けられた一対の小径フランジ部145a113を有する本体部145a11と、本体部145a11の軸心方向の両端部にピンおよびベアリング145a12を介して回転可能に取り付けられた支持ブロック145a13とを有してなる。
本体部145a11の一端側の小径フランジ部145a113と支持ブロック145a13との間には、回転力伝達機構部を構成する溝付きプーリ145a112が一体成形されている。また、溝付きプーリ145a112と小径フランジ部145a113との間および支持ブロック145a13と小径フランジ部145a113との間には、図15(D)に示すように十字形の断面形状を有するリブ145a114が設けられている。このリブの形状は、十字形に限定しなくてもよく、リブの数を増やすなどして、例えば、6本にしてよい。
駆動ローラ145aの回転時において、回転するリブ145a114によって気流が発生し、回転部材45a1に髪の毛や糸屑等の繊維状ダストが巻き付こうとすると、繊維状ダストが気流に流されて巻き付きが抑制される。なお、図9〜11で説明した実施形態1の駆動ローラ45aの回転部材45a1においても、溝付きプーリ45a112と外フランジ部45a111との間および支持ブロック45a13と外フランジ部45a111との間には、十字形の断面形状を有するリブが設けられてもよい。
伸縮性を有するゴム製の円筒形ローラ部材145a2は、その孔部を拡径して回転部材45a1における一対の大径フランジ部145a111の間に嵌め込まれる。嵌め込まれたローラ部材145a2は、収縮することにより回転部材145a1に密着するため、接着剤による接着は省略される。
ローラ部材145a2の厚みは、外周面における軸心方向の両端部が厚く、両端部の間は若干薄くなっており、この厚みの差によってローラ部材145a2の外周面には凹周溝145a21が形成されている。ローラ部材145a2に凹周溝145a21を設けることにより、凹周溝145a21が無い場合と比較してローラ部材145a2の床面との接触面積が減少し、その結果、回転部材145a1およびローラ部材145a2の振動、がたつき又はふらつきの発生が抑制されると共に、騒音の低減を図ることができる。
(実施形態3)
実施形態1の電気掃除機では、吸込口体40が持ち上げられた状態を持上検知スイッチ47にて検知し電源をオフするように構成された場合を例示したが、次のように構成してもよい。すなわち、持上検知スイッチ47を省略し、吸込口本体41と駆動ローラユニット45との間にスイッチまたはセンサを設け、吸込口本体41から駆動ローラユニット45が離れた状態を検知すると電源をオフするように構成してもよい。このようにすれば、駆動ローラユニット45が持上検知スイッチの機能を兼ねることができる。
また、駆動ローラユニット45は軸部45d11によって揺動するのではなく、駆動ローラユニット45全体が上下動して負荷調整を行うように構成されてもよい。さらに、この場合も、駆動ローラユニット45が持上検知スイッチの機能を兼ねてもよい。
(実施形態4)
図9〜11で説明した駆動ローラ45aの場合、フローリングや畳の上を走行する場合と比べて、絨毯上を走行する場合はローラ部材45a2の空転が生じやすく、吸込口体40の走行力が低下しやすい。
そこで、駆動ローラ45aにおいて、ローラ固定部材45a3の円環凸部45a32と回転部材45a1の外フランジ部45a111との間の溝45ax、すなわち、ローラ部材45a2の軸心方向両側に円環状の毛ローラ45ax1(図10中の2点鎖線部分)が設けられてもよい。この場合、例えば、毛ローラ45ax1の素材を接着剤にて溝45axに貼り付けて固定する。このようにすれば、絨毯上を清掃する際に毛ローラ45ax1の絨毯との大きな摩擦抵抗が加わるため、吸込口体40の走行力を増大させることができる。
あるいは、ローラ部材45a2の外周面を凹凸状の形成し、この凹凸が絨毯との摩擦抵抗を増加させて吸込口体40の走行力を増大させるようにしてもよく、さらには毛ローラ45ax1を併用してもよい。
(実施形態5)
実施形態1では、回転ブラシ43およびそれを回転させる回転ブラシ用モータ44を吸込口体40に設けた場合を例示したが、回転ブラシ用モータ44を省略し、吸込気流によって回転する回転ブラシを採用してもよく、あるいは回転ブラシも省略してもよい。
(実施形態6)
実施形態1では、ケーシング45d内に駆動ローラ45a、駆動ローラ用モータ45bおよび回転力伝達機構部を収納してなる駆動ローラユニット45を軸部45d11を中心に揺動可能に吸込口本体41に取り付け、付勢部材にて駆動ローラユニット45を床面F側へ付勢する構成を例示したが、駆動ローラ45a、駆動ローラ用モータ45bおよび回転力伝達機構部は吸込口本体41内に収納されてもよい。この場合、例えば、サスペンション機能を有する支持部材を吸込口本体内に設け、その支持部材に駆動ローラの両端を回転可能に取り付ける。この際、駆動ローラのローラ部材の下部を吸込口本体の底部に設けた孔から外部へ露出させる。そして、駆動ローラの溝付きプーリと駆動ローラ用モータの溝付きプーリとの間に溝付きベルトを張架する。
(まとめ)
本発明(第1発明)の電気掃除機の吸込口体は、左右方向に延びる吸込口が設けられた底面を有する吸込口本体と、左右方向の第1軸心廻りに回転可能に前記底面に配置された1つの駆動ローラと、前記駆動ローラを回転駆動する駆動ローラ用モータとを備え、
前記駆動ローラは、前記吸込口本体における左右方向中間位置に配置されている。
本発明(第1発明)は次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(1)前記吸込口本体の後部に左右方向の第2軸心廻りに揺動可能に接続された接続パイプ部をさらに備え、第1軸心が第2軸心と前記吸込口との間に配置されてもよい。
このようにすれば、接続パイプに接続した延長パイプを握って掃除するスティック型およびキャニスター型電気掃除機の吸込口体の旋回性が向上する。このとき、駆動ローラが接続パイプに近い位置に配置されることにより、ユーザーは延長パイプを握る手首を軽くひねる小さな動作で容易に吸込口体を旋回あるいは移動させることができる。
(2)前記吸込口本体における前記吸込口に左右方向の第3軸心廻りに回転可能に設けられた回転ブラシをさらに備えてもよい。
また、それに加え、前記回転ブラシを回転駆動する回転ブラシ用モータをさらに備えてもよい。
回転ブラシおよび回転ブラシ用モータを設けた場合、ダスト除去を主目的とする回転ブラシを採用することができるため、回転ブラシ用モータの負荷軽減およびゴミ取れ効率の向上を図ることができる。
吸込気流により回転する回転ブラシを設けた場合、回転ブラシによる走行補助がなくてもユーザーは駆動ローラによって走行補助をうけることができ、回転ブラシが無い場合と比べてゴミの集塵効率も向上する。
(3)第1軸心と平行な第4軸心廻りに回転可能な左右一対の後部ローラが前記吸込口本体における第2軸心よりも後方位置に設けられていてもよい。
このようにすれば、スティック型電気掃除機において、駆動ローラと左右一対の後部ローラとの3点支持によりほぼ垂直状に自立させるのに有効であり、かつ吸込口体の後部がフローリング床面に接触して傷付くのを後部ローラにて抑制することができる。
(4)前記吸込口本体の前記左右一対の後部ローラの間に凸曲面部が設けられてもよい。
このようにすれば、絨毯上を清掃する際、左右一対の後部ローラが絨毯の毛に埋まるのを凸曲面部によって抑え、絨毯上での吸込口体の旋回性を維持することができる。
本発明(第2発明)の電気掃除機の吸込口体は、左右方向に延びる吸込口が設けられた底面を有する吸込口本体と、前記底面側に左右方向の軸心廻りに回転可能に設けられた駆動ローラと、駆動ローラ用モータと、前記駆動ローラ用モータの回転力を前記駆動ローラへ伝達する回転力伝達機構部とを備え、
前記駆動ローラは、前記回転力伝達機構部と連結する回転部材と、前記回転部材の外周側に設けられたローラ部材と、前記回転部材と前記ローラ部材との間に設けられたローラ固定部材とを有し、
前記回転部材と前記ローラ固定部材とが結合し、前記ローラ固定部材と前記ローラ部材とは接着剤により結合している。
本発明(第2発明)は次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(I)前記ローラ固定部材が前記回転部材よりも耐有機溶剤性の低い樹脂からなってもよい。
この場合、ローラ固定部材の素材としては、例えば、ABS(スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体)、AS(スチレン・アクリロニトリル共重合体)、PS(ポリスチレン)等の樹脂が挙げられる。また、回転部材の素材としては、例えば、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE(四フッ化エチレン)等の樹脂が挙げられる。また、ローラ部材の素材としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のゴムが挙げられる。
このようにすれば、回転部材に直接ローラ部材を被せて接着剤にて接着した接着力よりも、ローラ固定部材にローラ部材を被せて接着剤にて接着した接着力を大きくすることができ、長期間使用しても回転部材の回転力を空転することなくローラ部材に確実に伝達することができる。
(II)前記ローラ固定部材は、半円筒形に二分割可能な一対の半割体からなり、前記一対の半割体を前記回転部材の外周部に嵌合させることにより結合するよう構成されてもよい。
このようにすれば、ローラ固定部材の回転部材への結合を容易に行うことができる。
(III)前記吸込口本体の後部に軸支された駆動ローラユニットと、前記吸込口本体と前記駆動ローラユニットとの間に設けられて前記駆動ローラユニットを床面側へ付勢する付勢部材とをさらに備え、
前記駆動ローラユニットは、前記駆動ローラ、前記駆動ローラ用モータ、前記回転力伝達機構部およびこれらを収納するケーシングを有してなり、
前記ケーシングは、前記駆動ローラを床面側へ突出させる開口部を有すると共に、前記付勢部材にて床面側へ付勢されてもよい。
このようにすれば、駆動ローラが床面に押し付けられるため、駆動ローラの床面に対する滑りを抑えて吸込口体の走行力を一定に維持し易くなる。このとき、駆動ローラと駆動ローラ用モータと回転力伝達機構部がケーシング内に収納されるため、吸込口本体に対して駆動ローラユニット全体が動いても確実にモータから駆動ローラへ回転力が伝達される。
(IV)前記駆動ローラユニットは、前記駆動ローラの軸心よりも後方かつ平行に設けられた軸部を有し、
前記付勢部材は、前記軸部よりも前方に配置されてもよい。
このようにすれば、軸部を支点として駆動ローラユニットが上下方向に揺動可能となり、確実に駆動ローラを床面へ付勢させることができる。
(V)前記ローラ部材の軸心方向両側に円環状の毛ローラが設けられてもよい。
ローラ部材の絨毯との接触面積はフローリングや畳の場合よりも低くなり易く、そのためローラ部材の絨毯との摩擦抵抗が低下して吸込口体の走行力が低下し易い。このような場合、ローラ部材の軸心方向両側に円環状の毛ローラを設けることにより、毛ローラの絨毯との大きな摩擦抵抗が加わるため、吸込口体の走行力を増大させることができる。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
40 吸込口体
41 吸込口本体
41a1 吸込口
41g1 凸曲面部
42 接続パイプ部
43 回転ブラシ
44 回転ブラシ用モータ
45 駆動ローラユニット
45a 駆動ローラ
45a1 回転部材
45a2 ローラ部材
45a3 ローラ固定部材
45a33 半割体
45ax1 毛ローラ
45b 駆動ローラ用モータ
45b 駆動ローラ用モータ
45d ケーシング
45d11 軸部
45d31 開口部
49 後部ローラ
100 電気掃除機
1 第1軸
2 第2軸心
3 第3軸心
4 第4軸心

Claims (15)

  1. 左右方向に延びる吸込口が設けられた底面を有する吸込口本体と、左右方向の第1軸心廻りに回転可能に前記底面に配置された1つの駆動ローラと、前記駆動ローラを回転駆動する駆動ローラ用モータとを備え、
    前記駆動ローラは、前記吸込口本体における左右方向中間位置に配置され
    前記吸込口本体の後部に軸支された駆動ローラユニットと、前記吸込口本体と前記駆動ローラユニットとの間に設けられて前記駆動ローラユニットを床面側へ付勢する付勢部材とをさらに備え、
    前記駆動ローラユニットは、前記駆動ローラ、前記駆動ローラ用モータ、前記回転力伝達機構部およびこれらを収納するケーシングを有してなり、
    前記ケーシングは、前記駆動ローラを床面側へ突出させる開口部を有すると共に、前記付勢部材にて床面側へ付勢されることを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
  2. 前記駆動ローラユニットは軸部を有し、前記軸部は前記駆動ローラ用モータの軸心と略同一軸心上に設けられている請求項1に記載の電気掃除機の吸込口体。
  3. 前記軸部は、前記駆動ローラの軸心よりも後方かつ平行に設けられ
    前記付勢部材は、前記軸部よりも前方に配置されている請求項に記載の電気掃除機の吸込口体。
  4. 前記吸込口本体の底面における駆動ローラよりも後方に凸曲面部が設けられており、
    前記凸曲面部は、前記吸込口本体の前記底面の一部が下方に膨らんで形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  5. 前記吸込口本体の後部に左右方向の第2軸心廻りに揺動可能に接続された接続パイプ部をさらに備え、第1軸心が第2軸心と前記吸込口との間に配置されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  6. 第1軸心と平行な第4軸心廻りに回転可能な左右一対の後部ローラが前記吸込口本体における第2軸心よりも後方位置に設けられている請求項に記載の電気掃除機の吸込口体。
  7. 前記吸込口本体の前記左右一対の後部ローラの間に前記凸曲面部が設けられた請求項に記載の電気掃除機の吸込口体。
  8. 前記吸込口本体における前記吸込口に左右方向の第3軸心廻りに回転可能に設けられた回転ブラシをさらに備えた請求項1〜7のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  9. 前記回転ブラシを回転駆動する回転ブラシ用モータをさらに備えた請求項に記載の電気掃除機の吸込口体。
  10. 記駆動ローラ用モータの回転力を前記駆動ローラへ伝達する回転力伝達機構部を備え、
    前記駆動ローラは、前記回転力伝達機構部と連結する回転部材と、前記回転部材の外周側に設けられたローラ部材と、前記回転部材と前記ローラ部材との間に設けられたローラ固定部材とを有し、
    前記回転部材と前記ローラ固定部材とが結合している請求項1〜9のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  11. 前記ローラ固定部材が前記回転部材よりも耐有機溶剤性の低い樹脂からなる請求項10に記載の電気掃除機の吸込口体。
  12. 前記ローラ固定部材と前記ローラ部材とが接着剤により結合している請求項11に記載の電気掃除機の吸込口体。
  13. 前記ローラ固定部材は、半円筒形に二分割可能な一対の半割体からなり、前記一対の半割体を前記回転部材の外周部に嵌合させることにより結合するよう構成された請求項10〜12のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  14. 前記ローラ部材の軸心方向両側に円環状の毛ローラが設けられた請求項10〜13のいずれか1つに記載の電気掃除機の吸込口体。
  15. 請求項〜14のいずれか1つに記載の吸込口体を備えた電気掃除機。
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