JP6899362B2 - 保持装置 - Google Patents

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Description

本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
例えば半導体製造装置において、ウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えばセラミックス製の板状部材と、例えば金属製のベース部材と、板状部材とベース部材とを接合する接合部と、板状部材の内部に設けられたチャック電極とを備えており、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、板状部材の表面(以下、「吸着面」という)にウェハを吸着して保持する。
静電チャックの吸着面に保持されたウェハの温度が所望の温度にならないと、ウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)の精度が低下するおそれがあるため、静電チャックにはウェハの温度分布を制御する性能が求められる。しかしながら、接合部を形成する材料の熱伝導性は、板状部材およびベース部材を形成する材料の熱伝導性と比較して低い傾向があるため、板状部材とベース部材との間の熱伝導性が低下するおそれがある。従来、静電チャックの板状部材とベース部材との間に、熱伝導性の良好な材料をメッシュ状に形成した部材(熱接続部材)であって、接着剤が塗布された部材を配置することにより、板状部材とベース部材との間の熱伝導性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−263527号公報
上記従来の構成では、熱伝導性の良好な材料をメッシュ状に形成した部材が、特にメッシュの線材に平行な方向に対して、線材が伸びないため、十分な柔軟性を有さない。上記従来の構成では、そのような十分な柔軟性を有さない部材が板状部材とベース部材との間に配置されているため、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができず、部材間の剥離や部材の割れが発生するおそれがある、という課題がある。
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、板状部材と、ベース部材と、接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置され、かつ、冷却機構を有するベース部材と、前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、前記接合部は、接合材と、前記接合材の熱伝導率より高い熱伝導率を有する繊維と、を含有している。
このように、本保持装置では、接合部が、樹脂材料の熱伝導率より高い熱伝導率を有する材料を、繊維の形態で含有しているため、接合部が良好な熱伝導性と十分な柔軟性とを有する。従って、本保持装置によれば、第1の方向(すなわち、接合部を介した板状部材とベース部材との間)における良好な熱伝導性を確保することにより、板状部材の第1の表面の温度の応答性(すなわち、昇温速度や降温速度)を向上させることができる。これにより、板状部材の第1の表面に保持された対象物の昇温速度や降温速度を向上させることができ、ひいては、対象物の加工効率を高めることができる。また、本保持装置によれば、接合部により、板状部材とベース部材との接合性を確保しつつ、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和すること(応力緩和性)により、板状部材が熱応力により変形することを抑制することができ、また、部材間の剥離や部材の割れが発生することを抑制することができる。
(2)上記保持装置において、前記接合部において、前記繊維の平均配向方向は、前記第1の方向に直交する第2の方向に略平行である構成としてもよい。繊維に伝達された熱は、繊維の配向方向(長手方向)へより拡散する。このため、接合部において、繊維の配向方向(長手方向)が第2の方向に略平行であれば、換言すれば、繊維の第2の方向視における平均配向方向が第2の方向に略平行であれば、接合部に伝達された熱をより効果的に、接合部における、板状部材の第2の表面との接合面や、ベース部材の第3の表面との接合面や、接合部内部の第2の方向に拡散させることができる。すなわち、接合部の第2の方向における熱伝導率が向上する。これにより、板状部材の第1の表面の内、接合部を介して位置するベース部材の影響により温度特異点となりやすい領域、例えば、第1の方向視において、ベース部材に形成された冷却機構に重なる領域が低温の特異点となることを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、板状部材の第1の表面の温度の応答性を確保しつつ、第1の表面の温度分布の均一性を向上させることができる。
(3)上記保持装置において、前記接合部の前記第2の方向における熱伝導率は、前記接合部の前記第1の方向における熱伝導率より高い構成としてもよい。このため、接合部に伝達された熱をより効果的に、接合部における、板状部材の第2の表面との接合面や、ベース部材の第3の表面との接合面や、接合部内部の第2の方向に拡散させることができる。すなわち、接合部の第2の方向における熱伝導率が向上する。これにより、板状部材の第1の表面の内、接合部を介して位置するベース部材の影響により温度特異点となりやすい領域、例えば、第1の方向視において、ベース部材に形成された冷却機構に重なる領域が低温の特異点となることを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、板状部材の第1の表面の温度の応答性を確保しつつ、第1の表面の温度分布の均一性を向上させることができる。
(4)上記保持装置において、前記接合部は、前記繊維を含有する繊維含有層と、前記第1の方向において、前記繊維含有層と異なる位置に配置された、前記繊維を含有しない繊維非含有層と、を有する構成としてもよい。繊維非含有層は、繊維を含有しないため、繊維含有層と比較して、より高い柔軟性を有する。このように、本保持装置では、接合部が、良好な熱伝導性を有する繊維含有層と、より高い柔軟性を有する繊維非含有層とを有する。従って、本保持装置によれば、板状部材の第1の表面の温度の応答性を確保するとともに、接合部により、板状部材とベース部材との接合性を確保しつつ、板状部材とベース部材との間の応力緩和性を確保することができる。
(5)上記保持装置において、前記第1の方向において、前記繊維含有層の厚さは、前記繊維非含有層の厚さより厚い構成としてもよい。このような構成であるため、接合部の全てが繊維非含有層で構成される構成や、繊維非含有層が繊維含有層より厚い構成と比較して、接合部における熱伝導性の低下を抑制することができる。また、上記保持装置では、接合部全体において、第1の方向の熱伝導率に比べ、第2の方向の熱伝導率を高くすることができる。従って、本保持装置によれば、板状部材とベース部材との間の応力緩和性を確保するとともに、板状部材の第1の表面の温度の応答性(すなわち、昇温速度や降温速度)が低下することを抑制しつつ、板状部材の第1の表面の温度分布の均一性を向上させることができる。
(6)上記保持装置において、さらに、前記板状部材に配置された抵抗発熱体であるヒータ電極を備え、前記第1の方向において、前記繊維含有層は、前記接合部の内の前記板状部材側に配置されている構成としてもよい。接合部の内、ヒータ電極を備える板状部材側を構成する部分は、高温の熱に晒されるおそれのある部分である。ヒータ電極やウェハに対する処理に伴い発生する熱等によって加熱されるためである。繊維含有層は、上記繊維を含有しているため、良好な耐熱性を有する。これは、繊維自体が高い耐熱性を有することに加えて、繊維含有層が繊維を含有することにより、繊維含有層に含有される樹脂材料を劣化させる要因となりうる酸素が、繊維含有層を透過しにくくなるためである。また、酸素に由来するラジカルが樹脂材料を劣化させるが、繊維含有層に含まれる繊維が当該ラジカルを捕捉し、失活させることにより、樹脂材料の劣化を抑制することができる。このため、接合部に含有される樹脂が分解することにより部材間に剥離が発生することを抑制することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度分布の不均一化を抑制することができる。
(7)上記保持装置において、前記接合部のせん断接着ひずみは、40%以上である構成としてもよい。すなわち、接合部は、ある程度以上のせん断破断のしにくさを有する。そのため、本保持装置では、接合部中の繊維の存在により、板状部材とベース部材との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力によって接合部が破断したり、部材間(接合部と板状部材との間や接合部とベース部材との間)に剥離が発生することを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、接合部の破断や部材間の剥離が発生した部分に起因して板状部材とベース部材との間の熱伝導性(熱引き特性)が低下し、板状部材の第1の表面の内、第1の方向視において、接合部の破断や部材間の剥離が発生した領域重なる領域が高温の温度特異点となることを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、板状部材の第1の表面の温度の応答性を確保しつつ、第1の表面の温度分布の均一性を向上させることができる。
(8)上記保持装置において、前記接合部のヤング率は、10MPa以下である構成としてもよい。本保持装置では、接合部は、ある程度以上の柔軟性を有する。そのため、本保持装置では、接合部中の繊維の存在により、板状部材とベース部材との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力によって反りが発生することを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、該反りに起因して対象物に対する処理速度(例えば、エッチング速度)が不均一となったり、加工深さに制限が出たりすることを抑制することができる。
(9)上記保持装置において、前記接合部の剛性率は、4MPa以下である構成としてもよい。本保持装置では、接合部は、特にせん断方向に対して、ある程度以上の柔軟性を有する。そのため、本保持装置では、接合部中の繊維の存在により、板状部材とベース部材との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力によって反りが発生することを抑制することができる。従って、本保持装置によれば、該反りに起因して対象物に対する処理速度(例えば、エッチング速度)が不均一となったり、加工深さに制限が出たりすることを抑制することができる。
(10)上記保持装置において、前記接合部は、樹脂材料を含む構成としてもよい。そのため、本保持装置によれば、接合部により、板状部材とベース部材との間の接合性を効果的に確保しつつ、板状部材とベース部材との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、部材間の剥離や部材の割れが発生することを効果的に抑制することができる。また、本保持装置によれば、上記接合部が樹脂材料を含んでいることにより、当該接合部に孔が形成されている場合において、当該孔と真空チャンバー内との気密性が確保される。このため、当該孔内の気体が、保持装置が載置された真空チャンバー内に漏れ出ることにより当該真空チャンバー内の真空度が低下することを抑制することができる。また、上記接合部に複数の上記孔が形成されている場合において、当該各孔の間の気密性が確保されるため、各孔の間で気体が相互に混合することを抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、真空チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 図2のX1部における静電チャック100のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。 接合部30の構成を模式的に示す説明図である。 せん断接着ひずみの特定方法を模式的に示す説明図である。 第2実施形態の静電チャック100aにおける接合部30a付近の詳細構成を示す説明図である。
A.第1実施形態:
A−1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、図2のX1部における静電チャック100のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
静電チャック100は、対象物(例えば半導体ウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置される。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置される。
板状部材10は、上述した配列方向(Z軸方向)に略直交する略円形平面状の上面(以下、「吸着面」という)S1を有する部材であり、例えばセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。板状部材10の直径は例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、板状部材10の厚さは例えば1mm〜10mm程度である。板状部材10の吸着面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。また、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」という。面方向は、特許請求の範囲における第2の方向に相当する。
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40に電源(図示せず)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S1に吸着固定される。
板状部材10の内部には、また、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱することによって板状部材10が温められ、板状部材10の吸着面S1に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
ベース部材20は、例えば板状部材10と同径の、または、板状部材10より径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm〜40mm程度である。ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30は、例えば樹脂材料(接着材料)を含んでいる。接合部30の厚さは、例えば0.1mm〜1mm程度である。接合部30の構成については、後に詳述する。
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S1に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。冷媒流路21は、特許請求の範囲における冷却機構に相当する。
また、図2に示すように、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から板状部材10の吸着面S1にわたって上下方向に延びるピン挿通孔140が形成されている。すなわち、ピン挿通孔140は、ベース部材20をZ軸方向に貫通する孔26と、接合部30をZ軸方向に貫通する孔36と、板状部材10をZ軸方向に貫通する孔16とが互いに連通した一体の孔である。ピン挿通孔140は、板状部材10の吸着面S1上に保持されたウェハWを押し上げて吸着面S1から離間させるためのリフトピン(図示せず)を挿通するための孔である。
また、図2に示すように、静電チャック100は、板状部材10とウェハWとの間の伝熱性を高めてウェハWの温度分布の制御性をさらに高めるため、板状部材10の吸着面S1とウェハWの表面との間に存在する空間に不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)を供給する構成を備えている。すなわち、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から接合部30の上面にわたって上下方向に延びる第1のガス流路孔131と、第1のガス流路孔131に連通すると共に板状部材10の吸着面S1に開口する第2のガス流路孔132とが形成されている。第1のガス流路孔131は、ベース部材20をZ軸方向に貫通する孔25と、接合部30をZ軸方向に貫通する孔35とが互いに連通した一体の孔である。また、第2のガス流路孔132の下端部は、径が拡大された拡径部134となっており、拡径部134内には、通気性を有する充填部材(通気性プラグ)160が充填されている。また、板状部材10の内部には、第2のガス流路孔132と連通すると共に面方向に環状に延びる横流路133が形成されている。ヘリウムガス源(図示しない)から供給されたヘリウムガスが、第1のガス流路孔131内に流入すると、流入したヘリウムガスは、第1のガス流路孔131から拡径部134内に充填された通気性を有する充填部材160の内部を通過して板状部材10の内部の第2のガス流路孔132内に流入し、横流路133を介して面方向に流れつつ、吸着面S1に形成されたガス噴出孔から噴出する。このようにして、吸着面S1とウェハWの表面との間に存在する空間に、ヘリウムガスが供給される。
A−2.接合部30の詳細構成:
次に、図3および図4を参照して、板状部材10とベース部材20とを接合する接合部30の詳細構成について説明する。
図4は、接合部30の構成を模式的に示す説明図である。接合部30は、樹脂材料321を含んでいる。本実施形態では、接合部30は、樹脂材料321を主成分として含んでいる。なお、本明細書において、主成分とは、体積含有率が50vol%より大きい成分を意味する。
接合部30に含まれる樹脂材料321としては、シリコーン樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。樹脂材料の中でもシリコーン樹脂は、耐寒性と耐熱性と柔軟性に優れる。そのため、接合部30が含有する樹脂材料としてシリコーン樹脂を用いれば、接合部30の耐寒性および耐熱性を向上させることができ、静電チャック100を広い温度範囲で使用することができるとともに、接合部30によって板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力を極めて効果的に緩和することにより、部材間の剥離や部材の割れが発生することを極めて効果的に抑制することができるからである。また、シリコーン樹脂の中でも付加硬化型シリコーン樹脂を用いることがさらに好ましい。シリコーン樹脂の中でも付加硬化型シリコーン樹脂は、硬化の際に揮発性の副生成物を発生しない。そのため、接合部30が含有する樹脂材料として付加硬化型シリコーン樹脂を用いれば、該副生成物に起因して接合部30に気泡が生じることを抑制することができ、その結果、該気泡の存在に起因して板状部材10とベース部材20との間の熱伝導性(熱引き特性)が低下し、板状部材10の吸着面S1の温度分布の均一性が低下することを抑制することができる。樹脂材料321は、特許請求の範囲における接合材に相当する。
また、接合部30は、樹脂材料321に加えて、繊維322を含んでいる。ここで、繊維とは、細い糸状の物体であり、より詳細には、平均径(略円形断面の場合は直径、矩形断面の場合は該矩形断面と同じ断面積を有する円の直径)に対する平均長さの比(アスペクト比)が10以上の物体である。繊維322のアスペクト比は、例えば、20以上であることが好ましく、さらに好ましくは、30以上である。繊維322の平均径は、例えば、2μm以上、200μm以下であることが好ましく、接着シートとするためにさらに好ましくは、2μm以上、100μm以下である。繊維322の平均長さは、例えば、20μm以上、30mm以下であることが好ましい。繊維322を形成する材料は、接合部30に含まれる樹脂材料321の熱伝導率より高い熱伝導率を有する繊維であれば、特に限定されない。上記繊維322を構成する素材としての熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上であることが好ましく、より好ましくは、5W/(m・K)以上であり、さらに好ましくは、10W/(m・K)以上である。なお、繊維322の平均径は、FE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡、加速電圧1.5kV)を用いることにより得られた繊維322のSEM画像(例えば、300倍)において、任意の領域に含まれる100個の繊維322の短手方向における長さの平均値である。繊維322の平均長さは、上記により得られた繊維322のSEM画像(例えば、300倍)において、任意の領域に含まれる100個の繊維322の長手方向における長さの平均値である。また、熱伝導率は、JIS R1611,JIS A1412−1,JIS A1412−2,JIS A1412−3等を参考にして測定することができる。または、後述の熱伝導率測定装置を用いて測定してもよい。
上記繊維322を形成する材料としては、例えば、無機物繊維、金属繊維、炭素系繊維等を用いることができる。上記無機物繊維としては、例えば、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アルミナ繊維、ソーダガラス繊維、石英ガラス繊維、ロックウール(すなわち、二酸化ケイ素と酸化カルシウムとを主成分とする人造鉱物繊維)等を用いることができる。上記金属繊維としては、例えば、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、チタン繊維等を用いることができる。上記炭素系繊維としては、炭素繊維カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト等が繊維状に集合した繊維体等を用いることができる。繊維322は、より好ましくは、無機物繊維、炭素系繊維であり、さらに好ましくは、アルミナ繊維である。なお、上記繊維322を2種以上組み合わせて用いることができる。また、樹脂材料321として、付加硬化型シリコーン樹脂を用いた場合、耐熱性向上の観点から、繊維322として、炭素系繊維を用いてもよい。繊維322を形成する主な材料の素材としての、すなわち、繊維の集合体ではなく緻密体としての熱伝導率(W/(m・K))は以下の通りである。
アルミナ:21
ソーダガラス:0.55〜0.75
石英ガラス:1.4
ステンレス:12
アルミニウム:230
銅:403
黄銅:106
チタン:22
グラファイト:80〜230
接合部30における繊維322の含有量は、例えば、2重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。当該含有量が、2重量%未満であると、繊維322による接合部30の熱伝導率上昇の効果が小さく、接合部30を介した板状部材10とベース部材20との間の良好な熱伝導性を確保することができない傾向がある。また、当該含有量が、30重量%を超えると、実質的に樹脂材料321に配合できず、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力を十分に緩和できない傾向がある。これに対し、当該含有量が、2重量%以上、30重量%以下であれば、接合部30を介した板状部材10とベース部材20との間の良好な熱伝導性を確保することができるとともに、接合部30が十分な柔軟性を有するため、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力を緩和できる。当該含有量は、より好ましくは、3重量%以上、25重量%以下であり、さらに好ましくは、5重量%以上、20重量%以下である。
図4に示すように、繊維322は、接合部30の樹脂材料321中で、規則的に織られておらず分散して存在する。より好ましくは、繊維322の少なくとも一部は、接合部30の樹脂材料321中に1本ごとに独立に分散して存在する。繊維322が、接合部30の樹脂材料321中において上記形態で存在するために、不織布や繊維シートから構成される繊維322を用いることができる。
また、接合部30において、繊維322の面方向視における平均配向方向は面方向に略平行である。換言すれば、概ね、繊維322の長手方向は面方向に略一致し、XY平面内に存在する。ここで、「繊維322の面方向視における平均配向方向」とは、面方向視において、繊維322の長手方向と面方向とのなす角の平均角度であり、「繊維322の面方向視における平均配向方向が面方向に略平行」とは、繊維322の面方向視における平均配向方向と面方向とのなす角の平均角度が、±20°の範囲であることを意味する。また、接合部30のXY平面における柔軟性を向上させる観点から、Z軸方向視において、繊維322はXY平面における特定の方向に配向していないことが好ましく、一本一本の繊維はXY平面内において曲がっていてもよい。すなわち、Z軸方向視において、繊維322は、上記XY平面において種々の方向(すなわち、ランダム)に位置していることが好ましい。なお、繊維322の面方向視における平均配向方向は、特許請求の範囲における繊維の平均配向方向に相当する。
繊維322の面方向視における平均配向方向は、例えば、次の方法で求めることができる。まず、接合部30における上下方向に平行なXZ断面を任意に設定し、当該XZ断面においてFE−SEM(加速電圧1.5kV)におけるSEM画像(例えば、300倍)を得る。当該得られたSEM画像において、任意の領域に含まれる繊維322のうち、長手方向における長さLfが50μm以上である繊維の数nを特定する。当該特定された繊維322の長手方向に近似する第1の仮想直線VL1を特定する。次に、面方向に平行な第2の仮想直線VL2を特定する。そして、第1の仮想直線VL1と第2の仮想直線VL2とのなす角の内の最小角度θを特定する。上記特定されたn個の繊維322について、当該最小角度θを特定する。当該特定された最小角度θの平均角度θavが、繊維322の面方向視における平均配向方向である。また、当該平均角度θavが±20°以下であるとき、繊維322の面方向視における平均配向方向が面方向に略平行であるといえる。
また、接合部30の面方向における熱伝導率は、接合部30のZ軸方向(厚み方向)における熱伝導率より高い。換言すれば、接合部30の表面および内部において、接合部30の面方向における熱伝導性は、Z軸方向(厚み方向)における熱伝導性より優れる。接合部30は、例えば、面方向における熱伝導率が0.4W/(m・K)以上、50W/(m・K)以下であり、かつ、面方向における熱伝導率に対するZ軸方向(厚み方向)における熱伝導率の比が1.5以上、10以下であることが好ましい。
なお、接合部30の熱伝導率は、例えば、レーザフラッシュ法により求めることができる。具体的には、接合部30を切り出して、接合部30におけるZ軸方向(厚み方向)および面方向が分かるように、縦10mm×横10mm×厚さ1mmの略直方体の試料を作製する。レーザフラッシュ法では、当該作製された試料の表面をパルスレーザ光により瞬間的に均一加熱し、試料の裏面の温度変化を放射温度計で測定することにより、厚み方向の熱拡散率を得る。レーザのエネルギーの吸収および輻射率を良くするために、試料の表面に前処理としてカーボンスプレーによる黒化処理や金蒸着またはそれらの両方を施してもよい。接合部30の面方向における熱伝導率は、接合部30から縦10mm×幅1mm×厚さ1mmの試料を10本切り出し、幅1mmの部分がレーザフラッシュ測定における厚み方向になるように10本を配置し束ねることで、縦10mm×横10mm×厚さ1mmの略直方体の試料を作製する。その後、上記厚み方向における測定方法と同様の方法で測定することにより、面方向の熱拡散率を得る。レーザフラッシュ法による測定は、測定温度 室温、大気中にて行うことができる。以下の式(1)の通り、上記得られた比熱および熱拡散率と、試料の密度とを乗算して熱伝導率(W/(m・K))を算出する。密度は、例えば、アルキメデス法により、比熱は公知の示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
K=Cp×α×ρ ・・・(1)
(ここで、Kは試料の熱伝導率(W/(m・K))、Cpは試料の比熱(J/(kg・K))、αは試料の熱拡散率(m/s)、ρは試料の密度(kg/m)を表す。)
なお、レーザフラッシュ法以外に、熱拡散率・熱伝導率測定装置 ai−Phase Mobile 1u(株式会社 日立ハイテクサイエンス製)や熱伝導率測定装置 TCi(株式会社リガク製)を用いて測定してもよい。
接合部30は、樹脂材料321および繊維322に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。セラミックスの充填材としては、例えば、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本実施形態の静電チャック100では、接合部30のせん断接着ひずみは、40%以上である。すなわち、接合部30は、ある程度以上のせん断破断のしにくさを有する。
接合部30のせん断接着ひずみは、以下のように特定することができる。図5は、せん断接着ひずみの特定方法を模式的に示す説明図である。まず、図5のA欄およびB欄に示すように、せん断接着ひずみの特定対象である試料SA(初期厚さt)によって、2つの略平板状の被着体201,202(例えば、アルミニウム板)を接合する。例えば、被着体201,202の大きさは、幅12.5mm×長さ100mm×厚さ1mmであり、接合部は、各被着体201,202の端の幅12.5mm×長さ12.5mmの部分である。次に、図5のC欄に示すように、試料SAにせん断力が作用するように、2つの被着体201,202を相対移動させる。例えば、公知の引張試験機(例えば、島津製作所製のオートグラフAG−IS)を用いて、一方の被着体201を接着面に平行な一方の方向(例えば、図5のC欄における上方向)に所定速度(例えば、2mm/分)で移動させながら、荷重と移動距離とを測定する。荷重を試験前の接合部の面積で除すことにより、せん断応力を算出する。このような被着体201,202の相対移動を試料SAが破断するまで継続し、せん断応力が最大になったときの距離ΔLを測定する。最後に、以下の式(2)の通り、距離ΔLを試料SAの初期厚さtで除して、試料SAのせん断ひずみ(%)を算出する。
せん断接着ひずみ(%)=(ΔL/t)×100 ・・・(2)
また、被着体に接合済みの接合材料のせん断ひずみを測定する場合は、例えば以下のように行う。まず、レーザーカット等の加工方法により、接合部を被着体ごと切り出す。切り出す試験片の形状は、引張試験機の治具で保持することができ、かつ、接合されている2つの被着体を、図5に示されるように互いに逆方向に引っ張ることができる形状であればよい。引張試験を行う前に、切り出した試験片における接合部の面積と、接合部の厚さとを測定する。その後は、上述した方法と同様に引っ張り試験を行い、せん断応力が最大になったときの距離ΔLを接合部の初期厚さtで除すことにより、せん断ひずみ(%)を算出する。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30のヤング率は、10MPa以下である。すなわち、接合部30は、ある程度以上の柔軟性を有する。
接合部30のヤング率は、公知の特定方法(例えば、下記のように、公知の引張試験機(例えば、島津製作所製のオートグラフAG−IS)による引張試験を行う方法)を用いて特定することができる。試験片は、シート状に成形し、材料に応じて加熱・硬化した後、所定の大きさに切り出すことにより作製することができる。試験片の大きさは、例えば、幅10mm×長さ70mmである。試験片の両端の長さ20mmの部分を治具で保持し、中間の長さ30mmの部分をサンプル長とする。試験片が破断するまで、例えば50mm/分の速度で長さ方向に引っ張りながら、移動距離とその時の荷重とを測定する。荷重を、試験前の試験片の断面積で除すことにより、引張応力を算出し、引張応力−ひずみ線図の原点付近の傾きからヤング率(弾性率)を算出する。なお、試験片の形状は、JIS K 6251:2010で定められたダンベル形状としてもよい。
また、被着体に接合済みの接合材料のヤング率を測定する場合には、ナイフ等を用いて被着体から接合材料をそぎ落とし、例えば上記と同じ幅10mm×長さ70mmに切り出して試験片を作製し、上記と同様の方法でヤング率を算出することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30の剛性率は、4MPa以下である。すなわち、接合部30は、特にせん断方向に対して、ある程度以上の柔軟性を有する。
接合部30の剛性率は、以下のように特定することができる。すなわち、上述したせん断接着ひずみの特定方法と同様に、剛性率の特定対象である試料SA(初期厚さt)によって、2つの略平板状の被着体201,202(例えば、アルミニウム板)を接合し(図5のA欄およびB欄参照)、次に、試料SAにせん断力が作用するように、2つの被着体201,202を相対移動させる(図5のC欄参照)。例えば、公知の引張試験機(例えば、島津製作所製のオートグラフAG−IS)を用いて、一方の被着体201を接着面に平行な一方の方向(例えば、図5のC欄における上方向)に所定速度(例えば、2mm/分)で移動させながら、荷重と移動距離ΔL’とを測定する。荷重を試験前の接合部の面積で除すことにより、せん断応力を算出する。以下の式(3)の通り、移動距離ΔL’を試料SAの初期厚さtで除すことにより、ひずみ(%)を算出する。せん断接着応力−ひずみ線図における原点付近の傾きから剛性率を算出する。
ひずみ(%)=(ΔL’/t)×100 ・・・(3)
また、被着体に接合済みの接合材料の剛性率を測定する場合は、例えば以下のように行う。まず、レーザーカット等の加工方法により、接合部を被着体ごと切り出す。切り出す試験片の形状は、引張試験機の治具で保持することができ、かつ、接合されている2つの被着体を、図5に示されるように互いに逆方向に引っ張ることができる形状であればよい。引張試験を行う前に、切り出した試験片における接合部の面積と、接合部の厚さとを測定する。その後は、上述した方法と同様に引っ張り試験を行い、せん断接着応力−ひずみ線図における原点付近の傾きから剛性率を算出する。
A−3.静電チャック100の製造方法:
本実施形態の静電チャック100の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、公知の方法により、板状部材10を作製する。例えば、セラミックスグリーンシートを複数枚作製し、所定のセラミックスグリーンシートに所定の加工を行う。所定の加工としては、例えば、チャック電極40やヒータ電極50等の形成のためのメタライズペーストの印刷、各種ビアの形成のための孔空けおよびメタライズペーストの充填等が挙げられる。これらのセラミックスグリーンシートを積層して熱圧着し、切断等の加工を行うことにより、セラミックスグリーンシートの積層体を作製する。作製されたセラミックスグリーンシートの積層体を焼成することにより、セラミックス焼成体である板状部材10を作製する。また、公知の方法により、ベース部材20を作製する。
また、接合部30を形成するためのシート状接着剤を作製する。具体的には、繊維シートを液状の樹脂材料に含浸させた後、例えば離型シート上に膜状に載置した後、所定の硬化処理によって半硬化させることにより、接合部30を形成するためのシート状接着剤を作製する。接合部30を形成するためのシート状接着剤においては、各繊維322は部分的に互いに絡まっており、各繊維322により構成された連続的な空間に樹脂材料が充填されている。液状の樹脂材料にはあらかじめ充填材を加えておいてもよい。もしくは、繊維や充填材を液状の樹脂材料に加えて作製したペーストを、例えば離型シート上に膜状に塗布した後、所定の硬化処理によって半硬化させることにより、繊維含有層32を形成するためのシート状接着剤を作製してもよい。各シート状接着剤に対して、例えば打ち抜き加工を行うことにより、各シート状接着剤の形状を所望の形状(例えば、略円環状および略円形)にする。
その後、接合部30用のシート状接着剤を用いて、板状部材10とベース部材20とを接合する。具体的には、板状部材10とベース部材20との一方の表面(接合面)に、接合部30用のシート状接着剤を所定の位置(例えば、略円環状の接合部30用のシート状接着剤が板状部材10の下面S2またはベース部材20の上面S3の中央)で面方向に配置し、板状部材10とベース部材20とを各シート状接着剤を介して貼り合わせ、各シート状接着剤を硬化させる硬化処理を行うことにより、接合部30を形成する。主として以上の工程により、本実施形態の静電チャック100が製造される。
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10と、ベース部材20と、接合部30とを備える。板状部材10は、Z軸方向に略直交する吸着面S1と、吸着面S1とは反対側の下面S2とを有する。ベース部材20は、上面S3を有し、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されている。ベース部材20は、冷媒流路21を有する。接合部30は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置されて板状部材10とベース部材20とを接合する。また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30は、樹脂材料321と、樹脂材料321の熱伝導率より高い熱伝導率を有する繊維322とを有している。
このように、本実施形態の静電チャック100では、接合部30が、樹脂材料321の熱伝導率より高い熱伝導率を有する材料を、繊維322の形態で含有しているため、接合部30が良好な熱伝導性と十分な柔軟性とを有する。すなわち、接合部30では、各繊維322が樹脂材料321の変形に追随してスライドできるため、接合部30全体として十分な柔軟性を有する。この点で、熱伝導性を有する材料が織布やメッシュの形態で含有されている接合部とは異なる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、Z軸方向(すなわち、接合部30を介した板状部材10とベース部材20との間)における良好な熱伝導性を確保することにより、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性(すなわち、昇温速度や降温速度)を向上させることができる。これにより、板状部材10の吸着面S1に保持されたウェハWの昇温速度や降温速度を向上させることができ、ひいては、ウェハWの加工効率を高めることができる。また、本実施形態の静電チャック100によれば、接合部30により、板状部材10とベース部材20との接合性を確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和すること(応力緩和性)により、板状部材が熱応力により変形することを抑制することができ、また、部材間の剥離や部材の割れが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30において、繊維322の面方向視における平均配向方向は、Z軸方向に直交する面方向に略平行である。繊維322に伝達された熱は、繊維322の長手方向へより拡散する。このため、接合部30において、繊維322の長手方向が面方向に略平行であれば、換言すれば、繊維322の面方向視における平均配向方向が面方向に略平行であれば、接合部30に伝達された熱をより効果的に、接合部30における、板状部材10の下面S2との接合面や、ベース部材20の上面S3との接合面や、接合部30内部の面方向に拡散させることができる。すなわち、接合部30の面方向における熱伝導率が向上する。これにより、板状部材10の吸着面S1の内、接合部30を介して位置するベース部材20の影響により温度特異点となりやすい領域、例えば、Z軸方向視において、ベース部材20に形成された冷媒流路21に重なる領域が低温の特異点となることを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性を確保しつつ、吸着面S1の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30の面方向における熱伝導率は、接合部30のZ軸方向における熱伝導率より高い。このため、接合部30に伝達された熱をより効果的に、接合部30における、板状部材10の下面S2との接合面や、ベース部材20の上面S3との接合面や、接合部30内部の面方向に拡散させることができる。すなわち、接合部30の面方向における熱伝導率が向上する。これにより、板状部材10の吸着面S1の内、接合部30を介して位置するベース部材20の影響により温度特異点となりやすい領域、例えば、Z軸方向視において、ベース部材20に形成された冷媒流路21に重なる領域が低温の特異点となることを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性を確保しつつ、吸着面S1の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30のせん断接着ひずみは、40%以上である。すなわち、接合部30は、ある程度以上のせん断破断のしにくさを有する。このような高いせん断接着ひずみの値は、上述したように、接合部30において、各繊維322が樹脂材料321の変形に追随してスライドでき、接合部30全体として十分な柔軟性を有するために実現することができる。そのため、本実施形態の静電チャック100では、接合部30中の繊維322の存在により、板状部材10とベース部材20との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力によって接合部30が破断したり、部材間(接合部30と板状部材10との間や接合部30とベース部材20との間)に剥離が発生することを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、接合部30の破断や部材間の剥離が発生した部分に起因して板状部材10とベース部材20との間の熱伝導性(熱引き特性)が低下し、板状部材10の吸着面S1の内、Z軸方向視において、接合部の破断や部材間の剥離が発生した領域に重なる領域が高温の温度特異点となることを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性を確保しつつ、吸着面S1の温度分布の均一性を向上させることができる。
例えば、板状部材10の直径が360mmであり、接合部30の厚さが1mmであり、板状部材10がアルミナ(熱膨張係数:8.2ppm/K)により形成され、ベース部材20がアルミニウム(熱膨張係数:23ppm/K)により形成され、応力ゼロとなる温度を100℃(硬化温度)とし、使用時温度を板状部材10では150℃、ベース部材20では20℃としたとき、接合部30のせん断接着ひずみが40%以上であれば、接合部30が破断することがない。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30のヤング率は、10MPa以下である。すなわち、接合部30は、ある程度以上の柔軟性を有する。このような低いヤング率の値は、上述したように、接合部30において、各繊維322が樹脂材料321の変形に追随してスライドでき、接合部30全体として十分な柔軟性を有するために実現することができる。そのため、本実施形態の静電チャック100では、接合部30中の繊維322の存在により、板状部材10とベース部材20との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力によって反りが発生することを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、該反りに起因してウェハWに対する処理速度(例えば、エッチング速度)が不均一となったり、加工深さに制限が出たりすることを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30の剛性率は、4MPa以下である。すなわち、接合部30は、特にせん断方向に対して、ある程度以上の柔軟性を有する。このような低い剛性率の値は、上述したように、接合部30において、各繊維322が樹脂材料321の変形に追随してスライドでき、接合部30全体として十分な柔軟性を有するために実現することができる。そのため、本実施形態の静電チャック100では、接合部30中の繊維322の存在により、板状部材10とベース部材20との間の良好な熱伝導性を確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力によって反りが発生することを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100によれば、該反りに起因してウェハWに対する処理速度(例えば、エッチング速度)が不均一となったり、加工深さに制限が出たりすることを抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100では、接合部30が樹脂材料321を含んでいる。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、接合部30により、板状部材10とベース部材20との間の接合性を効果的に確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の熱膨張差による応力を効果的に緩和することができ、部材間の剥離や部材の割れが発生することを効果的に抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100によれば、接合部30が樹脂材料321を含んでいることにより、接合部30に形成された第1のガス流路孔131およびピン挿通孔140の各孔と真空チャンバー内との気密性が確保される。このため、第1のガス流路孔131内のヘリウムガスやピン挿通孔140内の大気が、静電チャック100が載置された真空チャンバー内に漏れ出ることにより当該真空チャンバー内の真空度が低下することを抑制することができる。また、接合部30に形成された第1のガス流路孔131およびピン挿通孔140の各孔の間の気密性が確保されるため、第1のガス流路孔131内のヘリウムガスとピン挿通孔140内の大気とが相互に混合することを抑制することができる。
B.第2実施形態:
B−1.静電チャック100aの構成:
図6は、第2実施形態の静電チャック100aにおける接合部30a付近の詳細構成を示す説明図である。図6には、図3に示された第1実施形態の静電チャック100のXZ断面構成に対応する第2実施形態の静電チャック100aのXZ断面構成が示されている。以下では、第2実施形態の静電チャック100aの構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図6に示すように、第2実施形態の静電チャック100aは、第1実施形態の静電チャック100が備える接合部30に代えて接合部30aを備える。接合部30aは、通常層31と、繊維含有層32とから構成されており、この点で接合部30と異なる。なお、通常層31は、特許請求の範囲における繊維非含有層に相当する。
接合部30aの繊維含有層32は、第1実施形態の静電チャック100における接合部30と同様に、樹脂材料321と繊維322とを含んでいる。第2実施形態の静電チャック100aにおいて、繊維含有層32は、第1実施形態における静電チャック100の接合部30と同様に、樹脂材料321を主成分として含んでいる。また、繊維含有層32は、樹脂材料321および繊維322に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。
一方、接合部30aの通常層31は、樹脂材料321を含んでいる。第2実施形態の100aにおいて、通常層31は、樹脂材料321を主成分として含んでいる。通常層31に含まれる樹脂材料321としては、繊維含有層32に含まれる樹脂材料321と同様に、シリコーン樹脂やアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、シリコーン樹脂を用いることが好ましく、シリコーン樹脂の中でも付加硬化型シリコーン樹脂を用いることがさらに好ましい。なお、通常層31に含まれる樹脂材料321と、繊維含有層32に含まれる樹脂材料321とは、同種の樹脂であることが好ましい。それらの樹脂材料321が同種であれば、相互の濡れ性が高くなるため接着性が良好となるからである。
また、接合部30aの通常層31は、樹脂材料321に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。ただし、通常層31は、繊維含有層32と異なり、繊維322を含んでいない。
図6に示すように、接合部30aは、通常層31がベース部材20側に位置し、かつ、繊維含有層32が板状部材10側に位置するように配置されている。具体的には、接合部30aは、Z軸方向において、通常層31側の表面(接合部30aにおける下側の表面)において、ベース部材20の上面S3と接合しており、繊維含有層32側の表面(接合部30aにおける上側の表面)において、板状部材10の下面S2と接合している。すなわち、接合部30aは、繊維含有層32と、Z軸方向において、繊維含有層32と異なる位置に配置された通常層31とを有している。さらに、Z軸方向において、繊維含有層32は、接合部30aの内の板状部材10側に配置されている。
接合部30aにおいて、Z軸方向における繊維含有層32の厚さT2は、通常層31の厚さT1より厚い。繊維含有層32の厚さT2は、例えば、0.1mm以上、1mm以下であり、かつ、通常層31の厚さT1に対する繊維含有層32の厚さT2の比は2以上であることが好ましい。さらに好ましくは、繊維含有層32の厚さT2は、0.3mm以上、0.8mm以下であり、かつ、通常層31の厚さT1に対する繊維含有層32の厚さT2の比は3以上、10以下である。なお、接合部30aにおける通常層31と繊維含有層32の特定方法および各層31,32の各厚さT1,T2の測定方法については、後に詳述する。
B−2.接合部30aにおける内部構成の特定方法:
静電チャック100aにおける接合部30aの内部構成、すなわち、接合部30aにおける通常層31と繊維含有層32の特定方法は、以下の通りである。まず、接合部30aにおける上下方向に平行なXZ断面を任意に設定し、当該XZ断面においてFE−SEM(加速電圧1.5kV)におけるSEM画像(例えば、300倍)を得る。
通常層31と繊維含有層32との境界は次のように特定することができる。通常層31および繊維含有層32に含有される樹脂材料321が互いに異なる種類である場合には、FE−SEMにおける観察により、通常、通常層31と繊維含有層32との境界を明瞭に特定することができる。通常層31および繊維含有層32に含有される樹脂材料321が互いに同種であり、通常層31と繊維含有層32との境界を明瞭に特定することができない場合には、繊維含有層32に含有される繊維322の下端を結んだ仮想線を通常層31と繊維含有層32との境界と特定することができる。具体的には、次の方法で求めることができる。まず、静電チャック100aを切断し切断面を平面研磨した後、加工面をFE−SEM(加速電圧1.5kV)で100倍の倍率で撮像する。このとき、得られるSEM画像内に、板状部材10と、ベース部材20と接合部30aとが収まり、かつ、接合部30aの厚み方向がSEM画像におけるZ軸方向と一致するよう撮像する。得られたSEM画像において、Z軸方向に直交する複数の線を上方向から所定間隔(例えば1μm間隔)で引く。当該線の内、線上に板状部材10が重なっていない線であって、最も上方向に位置する第1の線を特定する。次に、当該線の内、線上にベース部材20が重なっていない線であって、最も下方向に位置する第2の線を特定する。次に、Z軸方向において、上記第1の線と第2の線との間に位置する上記線の内、線上に繊維322が重なっていない線であって、最も上方向に位置する第3の線を特定する。Z軸方向において、上記第1の線と上記第3の線との間の距離を繊維含有層32の厚みと特定し、上記第3の線と上記第2の線との間の距離を通常層31の厚みと特定することができる。各層31,32の厚さは、SEM画像中のスケールとの比較により算出することができる。
B−3.静電チャック100aの製造方法:
第2実施形態の静電チャック100aの製造方法は、例えば以下の通りである。なお、板状部材10およびベース部材20は、第1実施形態の静電チャック100における板状部材10およびベース部材20と同様の方法により作製することができる。
また、接合部30aの各層(通常層31および繊維含有層32)は次の方法により作製することができる。まず、通常層31および繊維含有層32を形成するためのシート状接着剤を作製する。具体的には、液状の樹脂材料に必要に応じて充填材を加えて作製したペーストを、例えば離型シート上に膜状に塗布した後、所定の硬化処理によって半硬化させることにより、通常層31を形成するためのシート状接着剤を作製する。また、繊維含有層32を形成するためのシート状接着剤は、第1実施形態の静電チャック100における接合部30を形成するためのシート状接着剤と同様の方法により作製することができる。各シート状接着剤に対して、例えば打ち抜き加工を行うことにより、各シート状接着剤の形状を所望の形状(例えば、略円環状および略円形)にする。
その後、通常層31用および繊維含有層32用のシート状接着剤を用いて、板状部材10とベース部材20とを接合する。具体的には、板状部材10の表面(接合面)に、繊維含有層32用のシート状接着剤を所定の位置(例えば、略円環状の繊維含有層32用のシート状接着剤が板状部材10の下面S2の中央)で面方向に配置する。一方、ベース部材20の表面(接合面)に、通常層31用のシート状接着剤を所定の位置(例えば、略円環状の通常層31用のシート状接着剤がベース部材20の上面S3の中央)で面方向に配置する。これにより、板状部材10とベース部材20とを各シート状接着剤を介して貼り合わせ、各シート状接着剤を硬化させる硬化処理を行うことにより、接合部30a(通常層31および繊維含有層32)を形成する。主として以上の工程により、第2実施形態の静電チャック100aが製造される。
B−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、第2実施形態の静電チャック100aでは、接合部30aが、繊維322を含有する繊維含有層32と、Z軸方向において、繊維含有層32とは異なる位置に配置された、繊維322を含有しない通常層31とを有する。通常層31は、繊維322を含有しないため、繊維含有層32と比較して、より高い柔軟性を有する。このように、静電チャック100aでは、接合部30aが、良好な熱伝導性を有する繊維含有層32と、より高い柔軟性を有する通常層31とを有する。従って、第2実施形態の静電チャック100aによれば、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性を確保するとともに、接合部30aにより、板状部材10とベース部材20との接合性を確保しつつ、板状部材10とベース部材20との間の応力緩和性を確保することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100aでは、Z軸方向において、繊維含有層32の厚さT2が、通常層31の厚さT1より厚い。このため、接合部30aの全てが通常層31で構成される構成や、通常層31が繊維含有層32より厚い構成と比較して、接合部30aにおける熱伝導性の低下を抑制することができる。また、第2の実施形態の静電チャック100aでは、接合部30a全体において、Z軸方向の熱伝導率に比べ、面方向の熱伝導率を高くすることができる。従って、第2実施形態の静電チャック100aによれば、板状部材10とベース部材20との間の応力緩和性を確保するとともに、板状部材10の吸着面S1の温度の応答性(すなわち、昇温速度や降温速度)が低下することを抑制しつつ、板状部材10の吸着面S1の温度分布の均一性を向上させることができる。
また、第2実施形態の静電チャック100aでは、さらに、板状部材10に配置された抵抗発熱体であるヒータ電極50を備え、Z軸方向において、繊維含有層32は、接合部30の内の板状部材10側に配置されている。接合部30aの内、ヒータ電極50を備える板状部材10側を構成する部分は、高温の熱に晒されるおそれのある部分である。ヒータ電極50やウェハWに対する処理に伴い発生する熱等によって加熱されるためである。繊維含有層32は、上記繊維322を含有しているため、良好な耐熱性を有する。これは、繊維322自体が高い耐熱性を有することに加えて、繊維含有層32が繊維322を含有することにより、繊維含有層32に含有される樹脂材料321を劣化させる要因となりうる酸素が、繊維含有層32を透過しにくくなるためである。また、酸素に由来するラジカルが樹脂材料321を劣化させるが、繊維含有層32に含まれる繊維322が当該ラジカルを捕捉し、失活させることにより、樹脂材料321の劣化を抑制することができる。このため、接合部30に含有される樹脂が分解することにより部材間に剥離が発生することを抑制することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S1の温度分布の不均一化を抑制することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。より具体的には、上記実施形態では、接合部30において、繊維322の面方向視における平均配向方向は面方向に略平行であるが、必ずしも繊維322の面方向視における平均配向方向が面方向に略平行である必要はない。
また、上記実施形態では、接合部30および接合部30aの繊維含有層32、すなわち、繊維322を含有する部分が、面方向の全体にわたって配置されているが、接合部30および/または接合部30aの繊維含有層32は、面方向の一部分にのみ配置されていてもよいし、面方向の複数部分に点在して配置されていてもよい。
また、上記第2実施形態では、接合部30aにおいて、面方向の全体にわたって繊維含有層32が、通常層31の上側に配置されているが、繊維含有層32が通常層31の下側に配置されていてもよいし、繊維含有層32が、通常層31の上側と下側との両方に配置されていてもよい。
上記実施形態では、接合部30のせん断接着ひずみは40%以上であり、接合部30のヤング率は10MPa以下であり、接合部30の剛性率は4MPa以下であるとしているが、これらの物性値の数値範囲は好ましい範囲であり、これらの物性値の数値範囲を満たすことは必ずしも必須ではない。
上記実施形態では、板状部材10の内部にヒータ電極50が配置されているが、必ずしも板状部材10の内部にヒータ電極50が配置されている必要はなく、板状部材10の表面にヒータ電極50が配置されていてもよい。また、上記実施形態では、ベース部材20に冷媒流路21が形成されているが、必ずしもベース部材20に冷媒流路21が形成されている必要はなく、ベース部材20にペルチェ素子等の他の冷却機構が備えられていてもよい。
上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。
上記実施形態の静電チャック100における各部材の形成材料は、あくまで一例であり、任意に変更可能である。例えば、上記実施形態では、板状部材10が、セラミックスにより形成されているが、板状部材10が、セラミックス以外の材料(例えば、樹脂材料)により形成されるとしてもよい。また、上記実施形態において、接合部30の通常層31に含まれる樹脂材料321と繊維含有層32に含まれる樹脂材料321とは、同種でも異種でもよい。ただし、それらの樹脂材料321が同種であれば、相互の濡れ性が高くなるため接着性が良好となるため、好ましい。また、上記実施形態では、接合部30の通常層31および繊維含有層32が樹脂材料321を主成分として含んでいるが、通常層31および/または繊維含有層32が樹脂材料321を副成分として含むとしてもよい。
上記実施形態の静電チャック100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、第2実施形態では、接合部30の通常層31を形成するためのシート状接着剤と繊維含有層32を形成するためのシート状接着剤とを作製し、通常層31をベース部材20へ配置し、繊維含有層32を板状部材10へ配置した後、板状部材10とベース部材20とを各シート状接着剤を介して貼り合わせているが、これに代えて、通常層31を形成するためのシート状接着剤と繊維含有層32を形成するためのシート状接着剤とを作製した後、これらのシート状接着剤を積層して接着剤積層体を作製し、当該作製された接着剤積層体の内の通常層31側の表面がベース部材20側に位置し、繊維含有層32側の表面が板状部材10側に位置するよう、板状部材10とベース部材20とを接着剤積層体を介して貼り合わせるとしてもよい。
本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック100に限らず、板状部材と、ベース部材と、接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、真空チャック等)にも同様に適用可能である。
10:板状部材 16:孔 20:ベース部材 21:冷媒流路 25:孔 26:孔 30:接合部 30a:接合部 31:通常層 32:繊維含有層 35:孔 36:孔 40:チャック電極 50:ヒータ電極 100:静電チャック 100a:静電チャック 131:第1のガス流路孔 132:第2のガス流路孔 133:横流路 134:拡径部 140:ピン挿通孔 160:充填部材(通気性プラグ) 201,202:被着体 321:樹脂材料 322:繊維 Lf:長さ S1:吸着面 S2:下面 S3:上面 S4:下面 SA:試料 T1,T2:厚さ VL1:第1の仮想直線 VL2:第2の仮想直線 W:半導体ウェハ

Claims (7)

  1. 第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、
    第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置され、かつ、冷却機構を有するベース部材と、
    前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、
    を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、
    前記接合部は、接合材と、前記接合材の熱伝導率より高い熱伝導率を有する繊維と、を含有
    前記接合部において、前記繊維の平均配向方向は、前記第1の方向に直交する第2の方向に略平行であり、
    前記接合部の前記第2の方向における熱伝導率は、前記接合部の前記第1の方向における熱伝導率より高く、
    前記接合部は、前記繊維を含有する繊維含有層と、前記第1の方向において、前記繊維含有層と異なる位置に配置された、前記繊維を含有しない繊維非含有層と、を有する、
    ことを特徴とする保持装置。
  2. 請求項1に記載の保持装置において、
    前記第1の方向において、前記繊維含有層の厚さは、前記繊維非含有層の厚さより厚い、
    ことを特徴とする保持装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の保持装置において、さらに、
    前記板状部材に配置された抵抗発熱体であるヒータ電極を備え、
    前記第1の方向において、前記繊維含有層は、前記接合部の内の前記板状部材側に配置されている、
    ことを特徴とする保持装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記接合部のせん断接着ひずみは、40%以上である、
    ことを特徴とする保持装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記接合部のヤング率は、10MPa以下である、
    ことを特徴とする保持装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記接合部の剛性率は、4MPa以下である、
    ことを特徴とする保持装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の保持装置において、
    前記接合部は、樹脂材料を含む、
    ことを特徴とする保持装置。
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