JP6899071B2 - ノズルキャップおよびそのノズルキャップを使ったプレフィルドシリンジ - Google Patents
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プレフィルド注射器は、シリンジ内にガスケットが配され、注射針が取り付けられる先端部分がノズルキャップで密閉されて、その間に薬液が密封されている。投与の際には、先端部分のノズルキャップを外して注射針を取り付け、ガスケットにプランジャを連結し、当該プランジャを先端側に向けて押し込んでガスケットを摺動させることにより、薬液を投与できる。
このゴム弾性と摺動性は互いに背反しており、背反する特性であるゴム弾性と摺動性を両立させるために、例えば、特許文献1では、摺動領域にシリコーンオイルを塗布した、ゴム製ノズルキャップを開示している。
なお、ノズルキャップの全体形状の一例を示す先行技術として、下に特許文献2を挙げておく。
また、この発明の他の目的は、上記ノズルキャップが装着されている医療用プレフィルドシリンジを提供することである。
請求項3記載の発明は、前記凸条は、前記内周面の周方向の幅が0.2mm以上3.0mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のノズルキャップである。
請求項4記載の発明は、前記凸条は、高さが0.2mm以上2.0mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノズルキャップである。
また、この発明によれば、薬液の確実な封止が可能で、さらにノズルキャップの取り外しが容易である医療用注射器、特にプレフィルド注射器を得ることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係るノズルキャップ1の縦断面図(図2のA−Aに沿う断面図)である。図2は、この発明の一実施形態に係るノズルキャップ1の横断面図(図1のB−Bに沿う断面図)である。図3は、この発明の一実施形態に係るノズルキャップ1の縦断面図(図2のC−Cに沿う断面図)である。
本体2の素材としては、ゴム弾性を有する各種の弾性材で作ることができ、一例として、熱硬化型ゴムや熱可塑性エラストマーを用いることができる。
この実施形態では、各凸条7は、その幅W(内周面5の周方向の長さ)は、0.2mm以上3.0mm以下とされ、より好ましくは、0.5mm以上2.0mm以下とされている。
各凸条7の高さHは、0.2mm以上2.0mm以下とされ、より好ましくは、0.5mm以上1.0mm以下とされている。
この実施形態では、凸条7は、挿入口3に臨む口部内周面51の下端縁から口部内周面51および内周面5にわたって受け入れ孔4の深さ方向に延び、ほぼ内底面6近くまで延びている例を示したが、このような凸条7の形状に限定されるものではない。
また、受け入れ孔4は、挿入口3から内底面6にかけて二段階で狭まっていく形態となっているが、受け入れ孔4はかかる形態でなくてもよく、例えば円柱形状や円錐台形状等、ノズルの挿入が可能な形態であればよい。
さらに、凸条7にシリコーンオイルの膜を設けた構成としてもよい。シリコーンオイルの膜は少なくとも凸条7の表面に設けられていることが好ましく、内周面5全体に設けられていてもよい。
また、この実施形態では、凸条7は3本が等間隔で形成されているが、凸条7の本数は3本に限定されず、3本以上であればよい。凸条7の本数が1本または2本であると、ノズルに対してノズルキャップがまっすぐに嵌合しない恐れがあり、ノズルに対してノズルキャップが偏って嵌合され、シリンジ内の液漏れ等を生じるおそれがあるからである。
この実施形態では、ノズルキャップ1の外形は円柱形状としたが、ノズルキャップ1の外形はノズルキャップ1の封止性や摺動性といった機能に影響を与えない範囲で任意に選択可能である。例えば、ノズルキャップ1の全体形状としては、特許文献2(特開2016−101240号公報)の図1に示されるような、円筒状で下端にフランジを有するキャップ形状であってもよい。また、ノズル受け入れ孔4の内表面に不活性樹脂フィルムが積層されていてもよい。この場合においても、内周面に孔の深さ方向に延びる3本以上の凸条が形成されていればよい。
ノズルキャップ1の素材に関しては特に指定しない。例えば熱硬化型ゴムや、熱可塑性エラストマーが挙げられる。このうち耐熱性に優れることから熱硬化型ゴムや、熱可塑性エラストマーのうち架橋点を有する動的架橋型熱可塑性エラストマーがより好ましい。これらのポリマー成分も特に指定しないが、成形性に優れるエチレン―プロピレン―ジエンゴムやブタジエンゴムが好ましく、また耐ガス透過性に優れるブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムも好ましい。
充てん剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルクなどの無機充てん剤や、カーボンブラックが使用可能である。充てん剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対して20〜70重量部が好ましく、30〜60重量部がより好ましい。この範囲を外れると、適切なゴム強度が得られないため、薬液の封止性が低下する。
可塑剤としては、例えば、ミネラルオイルなどの鉱物油、液状ポリイソブチレンなどの低分子量ポリマーが使用可能であるが、アロマオイルなどの芳香環構造を有するものは清浄性が低下するため適さない。
ノズルキャップ1の成形工程としては、例えば、温度150℃〜220℃、時間0.5〜60分間の条件でのプレスによる圧縮成型、トランスファー成型または射出成型による架橋成形を使用することができる。
未加硫ゴムにて、ノズルキャップ形状に加硫成形した。この時、使用する金型を適宜選択することにより、凸条の本数および形状を変更し、表1に記載の実施例1〜3と比較例1、2を得た。
実施例、比較例共に、ノズルキャップ内表面にシリコーンを塗布し、洗浄工程を経て、ノズルキャップを作成した。
<未加硫ゴムシート>
ハロゲン化ブチルゴム
<架橋剤>
2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン 三協化成株式会社製、ジスネットDB(登録商標)
[製造条件]
加硫温度180℃、加硫時間6分、処理圧力20MPaの条件で、圧縮成型金型で作成した。
<薬液の封止性>
別途用意したガスケットをシリンジに挿入後、試験液を充填し、反対側を成型後の製品でキャップした。70℃にて1週間静置後、ビデオマイクロスコープ(ライカマイクロシステムズ株式会社製DVM5000)にて対物レンズ50倍で観察し、液漏れの有無を測定した。10個の製品を観察し、キャップが浮き上がり、接液部の面積が初期状態から2倍以上に広がったものを、液漏れと判定し、その個数を表1に記載した。2以下を良好とした。試験液は水に色素(メチレンブルー シグマアルドリッチジャパン合同会社製)0.2g/Lを加えたものを使用し、シリンジはシクロオレフィン樹脂製の内径φ6.35mmを使用した。
成型後の製品をシリンジに装着後、オートグラフ(株式会社島津製作所製 オートグラフ−1000D型)にシリンジ側を固定し、引き上げ速度分速50mmで引き上げた。各実施例、比較例において5個の製品を引き抜いた際の最大応力を測定し、その平均値を算出した。実施例2の測定値の平均値を100としたときの、各実施例、比較例の測定値の平均値の相対値を算出し、表1に記載した。前記相対値が50〜150のものを良好とし、50未満および150を超えるものを不良とした。
凸条を有さない比較例1では、ノズルキャップとシリンジの密着性が増し、強固に嵌合するため、ノズルキャップの摺動性が不良であった。一方で凸条を有する実施例1〜3は比較例1と比較して摺動性が良好であった。
凸条の本数が2本である比較例2では、シリンジとノズルキャップの嵌合が緩くなり、薬液の封止性が悪くなった。一方で凸条が3本以上である実施例1〜3は比較例2と比較して、薬液の封止性が良好であった。
2 本体
3 挿入口
4 受け入れ孔
5 内周面
6 内底面
7 凸条
Claims (5)
- 医療用プレフィルドシリンジのノズルに被せるノズルキャップであって、
前記ノズルキャップは、ゴム弾性を有し、ゴム硬度が40〜70(JIS K 6253 A)の弾性材で作られた本体を有し、
前記本体には、ノズルを受け入れるために凹んだ受け入れ孔が備えられ、
前記受け入れ孔は、前記受け入れ孔の側方を区画する内周面と、前記受け入れ孔の底を区画する内底面とを含み、
前記内周面には、前記受け入れ孔の深さ方向に延びる3本以上の凸条が前記内周面の周方向に均等間隔で形成されていることを特徴とする、ノズルキャップ。 - 少なくとも前記凸条表面にシリコーン膜が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のノズルキャップ。
- 前記凸条は、前記内周面の周方向の幅が0.2mm以上3.0mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のノズルキャップ。
- 前記凸条は、高さが0.2mm以上2.0mm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノズルキャップ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のノズルキャップが装着されていることを特徴とする、医療用プレフィルドシリンジ。
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