以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示す見回り支援システム1は、施設を運営するスタッフに代わって施設内の見守り対象者の見回りを行うことができるシステムであり、これにより、多数の入居者を少数のスタッフによって見守ることができる。見回り支援システム1は、例えば介護施設や病院等のように、複数の見守り対象者がそれぞれ居住する複数の個室領域と、各個室領域に繋がる共用領域とを有する施設に適用することができる。
図1に示すように、見回り支援システム1は、複数の生体情報取得装置10と、中継装置20と、移動ロボット30と、監視装置40と、複数の扉開閉装置50とを備えている。各生体情報取得装置10と、中継装置20と、移動ロボット30と、監視装置40とは、例えばインターネットや電話回線、LAN回線等を含んで構成された電気通信回線2を介して一方向又は双方向に通信可能に接続されている。各生体情報取得装置10は、各見守り対象者に紐づけされている。つまり、各生体情報取得装置10と各見守り対象者とは1対1の関係となっている。なお、電気通信回線2は、有線又は無線のいずれでも良い。なお、複数の生体情報取得装置10と、中継装置20と、移動ロボット30と、監視装置40とは、インターネット等を用いずに閉じたネットワークを構成していても良い。
また、本実施形態の場合、見回り支援システム1は、無線LANルータ3を更に備えている。無線LANルータ3は、例えばWi-Fi(登録商標)通信可能であって、アクセスポイントの機能を内蔵したブロードバンドルータで構成される。無線LANルータ3は、各生体情報取得装置10と、移動ロボット30と、監視装置40とを、直接又は間接的に電気通信回線2を介して通信可能に接続する。以下では、構成要素毎にその詳細について説明する。
[生体情報取得装置]
生体情報取得装置10は、見守り対象者の生体情報を取得可能な装置である。本実施形態の場合、生体情報取得装置10の形態は、例えば腕時計型やペンダント型、ベルト型、眼鏡型、チョーカー型、ヘルメット型等であり、見守り対象者の身体に装着可能に構成されている。この場合、生体情報取得装置10は、コンセント等には接続されておらず、内蔵の充電池によって駆動する。生体情報取得装置10は、図2に示すように、デバイス制御部11、生体情報取得装置側通信部12、生体情報取得部13、活動状態取得部14、及び生体情報送信部15を有している。
デバイス制御部11は、生体情報取得装置10全体の制御を司っている。デバイス制御部11は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。生体情報取得装置側通信部12、生体情報取得部13、活動状態取得部14、及び生体情報送信部15は、それぞれデバイス制御部11に電気的に接続されている。生体情報取得装置10の動作に必要な電力は、生体情報取得装置10に内蔵されている図示しないバッテリから供給される。
生体情報取得装置側通信部12は、例えば中継装置20及び無線LANルータ3を介して電気通信回線2に接続可能に構成されている。なお、生体情報取得装置側通信部12は、例えば携帯電話回線等を用いて中継装置20及び無線LANルータ3を介さずに電気通信回線2に接続可能に構成されていても良い。生体情報取得装置10は、生体情報取得装置側通信部12によって電気通信回線2に接続することにより、監視装置40と相互に通信可能に構成されている。
生体情報取得部13は、生体情報取得装置10を装着した見守り対象者の生体情報を取得する機能を有している。本実施形態において、生体情報とは、見守り対象者の生命に関わる情報であり、身体の活動状態を示す情報であることから活動量とも称することができる。生体情報は、脈拍数、心拍数、脳波、心電位、又は体温の少なくともいずれか1つを含んでいる。
本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、例えば腕時計型であって、見守り対象者の脈拍数を取得することができる。すなわち、本実施形態において、生体情報取得部13は、腕時計型の生体情報取得装置10に内蔵された脈拍センサである。この場合、生体情報取得部13は、例えば腕の皮膚表面から動脈に向けて光を照射する発光素子と、動脈で反射しその動脈を流れる血液の脈動によって変化する光を受光する受光素子とで構成されている。そして、生体情報取得部13は、受光した光の変化を検出することで、脈動数すなわち心拍数を測定することができる。
活動状態取得部14は、生体情報取得装置10を装着した人の現在の活動状態、例えば座っているか、立っているか、横になっているか等の状態を取得することができる。活動状態取得部14は、例えば3次元の加速度センサ等で構成することができる。
生体情報取得装置10は、生体情報取得部13で取得した所定期間に亘る生体情報を、活動状態取得部14で取得した活動状態とともにログとして記憶することができる。生体情報送信部15は、このログを、例えば監視装置40からの要求に基づいて、又は一定周期毎に、生体情報取得装置側通信部12を介して監視装置40に送信する。そして、監視装置40は、生体情報取得装置10から取得したログを、モニタ43に表示することができる。これにより、施設のスタッフは、監視装置40のモニタ43を通じて、生体情報取得装置10を装着した見守り対象者の生体情報の現在の数値又はログをその時点の活動状態と合わせて確認することができる。
[中継装置]
中継装置20は、生体情報取得装置10と監視装置40との間の通信を中継する機能を有する。中継装置20は、例えばBluetooth(登録商標)を用いた数メートル程度の近距離無線通信、及びWi-Fi等の無線通信が可能な装置であり、例えばスマートフォンで構成することができる。中継装置20は、生体情報取得装置10と近距離無線通信が可能であり、かつ、無線LANルータ3とWi-Fi等の無線通信が可能である。これにより、生体情報取得装置10は、中継装置20を介して無線LANルータ3に通信可能に接続されている。
この場合、1台の中継装置20には複数台の生体情報取得装置10が接続される。そして、1台の無線LANルータ3には複数台の中継装置20が接続される。そのため、見回り支援システム1において、中継装置20の台数は生体情報取得装置10の台数よりも少なく、また、無線LANルータ3の台数は中継装置20の台数よりも少ない。
中継装置20は、例えば個室領域内や共用領域内の特定の場所に固定されており、コンセント等の商用電源から電力の供給を受けて駆動可能に構成されている。中継装置20は、図3に示すように、中継装置制御部21、中継装置側通信部22、設定処理部23、異常検出処理部24、及び異常信号送信処理部25を有している。中継装置制御部21は、中継装置20全体の制御を司っている。中継装置制御部21は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。
設定処理部23、異常検出処理部24、及び異常信号送信処理部25は、中継装置制御部21の図示しない記憶領域に記憶されているコンピュータプログラムをCPUによって実行することにより仮想的に実現するものである。設定処理部23、異常検出処理部24、及び異常信号送信処理部25の一部又は全部をハードウェアで構成しても良い。設定処理部23、異常検出処理部24、及び異常信号送信処理部25一部又は全部を、生体情報取得装置10又は監視装置40に設けても良い。
中継装置制御部21は、例えばBluetooth(登録商標)等の短距離無線通信機能、及びWi-Fi等の無線LAN機能を有している。設定処理部23は、設定処理を実行可能である。設定処理は、生体情報取得装置10に紐付けられた見守り対象者の生体情報の正常範囲を設定する処理を含む。正常範囲は、異常検出処理部24において異常を検出するための基準となる値である。
設定処理部23は、設定処理の実行により、見守り対象者の安静時の生体情報の正常範囲と、正常範囲から異常範囲の境界となる各閾値と、を設定する。正常範囲は、見守り対象者の健康状態が正常であると判断できる生体情報の範囲である。また、異常範囲は、見守り対象者の健康状態が異常である可能性があると判断される生体情報の範囲である。見守り対象者の生体情報が異常範囲に至ると、見守り対象者の健康が損なわれた状態である可能性があり、場合によっては生命に危険が差し迫っている可能性もある。
正常範囲は、見回り支援システム1を管理するスタッフが中継装置20又は監視装置30を操作して手動により入力することで設定しても良いし、設定処理部23により自動で設定することもできる。自動で設定する場合、設定処理部23は、例えば次のようにして正常範囲を設定することができる。すなわち、設定処理部23は、図4のステップS11において、生体情報取得装置10から見守り対象者の安静時の所定期間分の生体情報を取得する。そして、設定処理部23は、生体情報取得装置10から取得した所定期間分の生体情報に基づいて、その見守り対象者の安静時の生体情報の上限値及び下限値の平均値、又は上限値及び下限値のピーク値を算出する。
次に、設定処理部23は、算出した上限値及び下限値の平均値、又はピーク値を、その見守り対象者の安静時の生体情報の正常範囲の上限値及び下限値として設定する。そして、設定処理部23は、ステップS13において、ステップS12で設定した正常範囲に基づいて、各閾値T1、T2、T3を算出し、設定する。そして、設定処理部23は、設定処理を終了する(エンド)。
設定処理部23は、生体情報取得装置10の活動状態取得部14で取得した現在の活動状態に応じて正常範囲及び各閾値T1、T2、T3の値を変更する処理を実行しても良い。例えば設定処理部23は、過去のデータとして、例えば見守り対象者が歩いているつまり運動時の生体情報と、座ったり寝ていたりするつまり安静時の生体情報と、を取得し、それぞれについて正常範囲及び各閾値T1、T2、T3を設定しても良い。
例えば設定処理部23は、図5に示すように、安静時に取得した生体情報から算出した正常範囲及び各閾値T1、T2、T3を第1設定として登録し、運動時に取得した生体情報から算出した正常範囲及び各閾値T1、T2、T3を第2設定として登録する。そして、設定処理部23は、生体情報取得装置10から受信した活動状態が安静状態であれば第1設定を、運動状態であれば第2設定を、異常検出処理部24で使用する基準値として適用する。
異常検出処理部24は、異常判断処理を実行することができる。異常判断処理は、生体情報取得装置10から取得した見守り対象者の生体情報に基づいて、見守り対象者の健康状態に異常が生じていないか否か、及び異常が生じている場合はその異常の種類を判断する処理である。異常検出処理部24は、見守り対象者の健康状態に関して、異常の有無、及び異常がある場合はその異常の種類を判断することができる。また、異常検出処理部24は、見守り対象者の健康状態に応じて、つまり異常の種類に応じて緊急度を設定する。
この場合、異常検出処理部24は、見守り対象者の健康状態について、例えば第1異常、第2異常、第3異常、及び第4異常の少なくとも4種類の異常と、異常なしと、を判断することができる。また、異常検出処理部24は、見守り対象者の健康状態の異常の有無及び異常の種類に応じて、緊急度を段階的、この場合少なくとも3段階に設定することができる。
ここで、生体情報取得装置10が取得した見守り対象者の生体情報を生体情報Gとする。異常検出処理部24は、図6に示すように、見守り対象者の生体情報Gが正常範囲に収まっている場合つまり第1閾値T1未満でかつ第3閾値T3以上である場合には、異常なしと判断する。この場合、見守り対象者は、比較的安静状態にあると考えられる。そのため、異常検出処理部24は、異常なしと判断した場合、緊急度を「なし」に設定する。
また、例えば図7に示すように、異常検出処理部24は、見守り対象者の生体情報Gが第1閾値T1を超えた場合には、見守り対象者の健康状態が第1異常であると判断する。この第1異常の場合、例えば見守り対象者が歩行等の比較的軽い運動を行ったことにより生体情報Gの値が上昇した可能性があり、緊急性は低いものの注意が必要である。そのため異常検出処理部24は、第1異常と判断した場合、緊急度を「低」に設定する。
また、例えば図8に示すように、異常検出処理部24は、見守り対象者の生体情報Gが第2閾値T2を超えた場合には、第2異常と判断する。この第2異常の場合、例えば見守り対象者が比較的激しい運動を行ったり興奮したりした場合に生体情報Gの値が上昇した場合のみならず、例えば見守り対象者に心臓の痙攣等が生じている可能性が考えられる。この第2異常の場合、第1異常の場合よりも緊急性が高く、より高い注意が必要である。そのため、異常検出処理部24は、第2異常と判断した場合、緊急度を「中」に設定する。
また、例えば図9に示すように、異常検出処理部24は、見守り対象者の生体情報Gが第3閾値T3未満となった場合には、第3異常と判断する。この第3異常のように生体情報Gが急激に低下した場合、心筋梗塞や脳溢血のように生命に危険が及ぶような緊急事態が見守り対象者に発生している可能性が考えられる。そのため、第3異常の場合、第2異常よりも更に緊急性が高く、大至急の措置が必要である。そのため、異常検出処理部24は、第3異常と判断した場合、緊急度を「高」に設定する。
また、異常検出処理部24は、見守り対象者の生体情報Gが取得できなかった場合には、第4異常と判断する。この第4異常の場合、生体情報取得装置10が見守り対象者に適切に装着出来ていない可能性が考えられる。このため、第4異常の緊急性は比較的低いものの、比較的早急に確認が必要である。そのため、異常検出処理部24は、第4異常と判断した場合、緊急度を「低」に設定する。そして、異常信号送信処理部25は、異常検出処理部24で異常が検出された場合に、生体情報ととものに異常の種類を監視装置40に送信する。
[移動ロボット]
移動ロボット30は、施設内や住居内等予め定められた領域内を巡回して見回る等、自律して動作可能なロボットである。また、移動ロボット30は、必要に応じて監視装置40等からの遠隔操作によって動作可能なロボットである。移動ロボット30は、図10に示すように、移動ロボット制御部31、移動ロボット側通信部32、周囲センサ33、移動機構部34、カメラ35、移動ロボット側スピーカ36、移動ロボット側マイク37、開閉信号発信部38、及び移動ロボット側記憶部39を有している
移動ロボット制御部31は、移動ロボット30全体の制御を司っている。移動ロボット制御部31は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。移動ロボット制御部31の図示しない記憶領域は、移動ロボット30を見回り支援システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
移動ロボット側通信部32、周囲センサ33、移動機構部34、カメラ35、移動ロボット側スピーカ36、移動ロボット側マイク37、開閉信号発信部38、及び移動ロボット側記憶部39は、それぞれ移動ロボット制御部31に電気的に接続されている。移動ロボット側通信部32は、例えば電話回線や無線LANを用いた無線通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。本実施形態の場合、移動ロボット側通信部32は、無線LANを用いた無線通信機能によって構成されており、無線LANルータ3を介して監視装置40と通信する。
周囲センサ33は、例えば移動ロボット30の全周囲を3次元で計測可能なセンサであり、例えばLiDER(Light Detection and Ranging)を採用することができる。周囲センサ33は、地図情報を取得するために用いることができる。この場合、見回り支援システム1の管理者は、見回り支援システム1の運用に先立ち、移動ロボット30を施設内で走行させながら周囲センサ33により周囲の情報を取得することで、図13に示すような施設内の地図情報を生成することができる。この場合、周囲センサ33は、地図情報取得部として機能する。生成された地図情報は、例えば移動ロボット側記憶部39に記憶される。移動ロボット30は、作成した地図情報に基づいて施設内を移動する。
また、周囲センサ33は、移動ロボット30の移動中に例えば移動ロボット30の進路上に存在する障害物や人を検知するために用いることができる。この場合、周囲センサ33は、障害物検知部として機能する。
移動機構部34は、例えば図示しない車輪とこの車輪を駆動させるモータ等を有して構成されている。移動機構部34は、特定の領域内、例えば施設内や住居内において、移動ロボット30を自律的に移動させる機能を有している。本実施形態の移動ロボット30は、予め作成された地図情報に基づいて自律的に移動することができる。なお、移動機構部34は、車輪等を有して走行するものに限られず、例えば自律飛行可能な飛行体であっても良い。また、移動機構部34は、施設内に配置されたレールに沿って移動する構成や、施設内に配置されたマーカーを検知してそのマーカー等に沿って移動する構成でも良い。
カメラ35は、移動機構部34の周囲すなわち移動ロボット30の周囲を撮影する機能を有している。この場合、カメラ35で撮影可能な画像は、静止画又は動画のいずれでも良い。カメラ35は、例えばToF(Time of Flight)カメラを用いる3次元的に映像を取得することができる。カメラ35は、障害物検知部として機能しても良い。この場合、移動ロボット30は、移動中に取得した映像又は画像に基づいて、移動ロボット30の進路上の障害物又は人を検知することができる。
移動ロボット側スピーカ36は、移動ロボット30の周囲に対して音声を発する機能を有している。移動ロボット側スピーカ36は、移動ロボット30の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置40から受信した音声データに基づく音声を発することができる。移動ロボット側マイク37は、移動機構部34の周囲すなわち移動ロボット30の周囲の音を集音することができる。移動ロボット側マイク37で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置40へ送信される。
開閉信号発信部38は、電気通信回線2を介さずに扉開閉装置50と直接的に、又は電気通信回線2を介して扉開閉装置50と間接的に無線通信可能な機能を有している。本実施形態の場合、開閉信号発信部38は、無線通信機能又は赤外線通信機能を有しており、扉開閉装置50に対して開信号及び閉信号を発信する。そして、移動ロボット側記憶部39は、電子データを読み書き可能な記憶装置いわゆるストレージで構成されている。
なお、移動ロボット30は、上述した機能の他、移動ロボット30の周囲の温度や湿度、照度、更には移動ロボット30に加えられた衝撃を計測することができる加速度センサ等を有していても良い。また、移動ロボット30は、移動ロボット30の動作に必要な電力を供給するためのバッテリを内蔵している。そして、移動ロボット30は、バッテリの残量が低下すると、給電設備まで自動的に走行し、自動的に給電設備に接続して充電を開始する。
本実施形態の場合、移動ロボット30は、例えば巡回動作として通常巡回と居室巡回とが実行可能である。通常巡回は、図13に示す地図上に設定された巡回ルートRに沿って共用領域82のみを移動する動作である。これに対し、居室巡回は、図13に示す地図上に設定された巡回ルートRに沿って共用領域82を移動するとともに、その移動の途中で予め設定された順で設定された個室領域81に入室する動作である。この場合、居室巡回において移動ロボット30が入室する個室領域81及びその順番は任意に設定することができる。
また、本実施形態の場合、移動中の移動ロボット30に発生するイベントとして、例えば図16に示すように、駆付け動作、転倒者停止、障害物停止、徘徊者発見、が設定されている。図16の例では、駆付け動作をxx号室駆付けと表している。駆付け動作は、巡回動作中に監視装置40から移動指令を受信した場合に発生するもので、異常を検出した生体情報取得装置10に紐付けられた個室領域81に移動する動作である。転倒者停止は、巡回動作中に移動ロボット30が転倒者を発見して停止した場合に生じるイベントである。障害物停止は、移動中の移動ロボット30が進路上に障害物を発見した場合に生じるイベントである。そして、徘徊者発見は、移動中の移動ロボット30が徘徊者つまり一人歩きを発見した場合に生じるイベントである。
[監視装置]
監視装置40は、生体情報取得装置10や移動ロボット30によって取得した各種情報を監視者に提示する機能を有している。また、監視装置40は、各生体情報取得装置10から受信した生体情報を監視し、異常が発生した場合には移動ロボット30へ移動指令を送信する。監視装置40は、見守り対象者の個室領域を有する施設内に設置されていても良いし、外部の施設に設置されていても良い。
監視装置40は、図11に示すように、監視装置制御部41、監視装置側通信部42、モニタ43、入力部44、監視装置側スピーカ45、監視装置側マイク46、及び監視装置側記憶部47を有している。監視装置40は、見回り支援システム1専用のコンピュータであっても良いし、例えば汎用的なパーソナルコンピュータや、いわゆるスマートフォン又はタブレット端末等の高機能携帯端末であっても良い。また、監視装置40は、例えば各種のデータを処理する処理サーバと、そのデータを表示し操作する操作端末とに分離して構成しても良い。この場合、処理サーバは例えば外部のクラウドサーバで構成することができ、施設80のスタッフは操作端末を操作することになる。
監視装置制御部41は、監視装置40全体の制御を司っている。監視装置制御部41は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。監視装置制御部41の図示しない記憶領域は、監視装置40を見回り支援システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
監視装置側通信部42、モニタ43、入力部44、監視装置側スピーカ45、監視装置側マイク46、及び監視装置側記憶部47は、それぞれ監視装置制御部41に電気的に接続されている。監視装置側通信部42は、例えば電話回線や有線又は無線LANを用いた通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。
モニタ43は、例えば一般的な液晶モニタ等であって、電気通信回線2を介して生体情報取得装置10から取得した生体情報や、移動ロボット30のカメラ35で撮影された画像又は映像を表示する機能を有している。入力部44は、入力用のユーザインタフェースであって、例えばキーボードやタッチパネル等で構成されている。また、入力部44は、スタッフ等からの音声入力を受け付ける構成であっても良い。
監視装置側スピーカ45は、監視装置40の周囲に対して音声を発する機能を有している。監視装置側スピーカ45は、監視装置40の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット30から受信した音声データに基づく音声を発することができる。
監視装置側マイク46は、監視装置40の周囲の音を集音することができる。監視装置側マイク46で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット30へ送信される。すなわち、移動ロボット30のカメラ35の視野内に見守り対象者が存在している場合、監視装置40を扱うスタッフは、モニタ43に映る見守り対象者を見ながら、移動ロボット側スピーカ36及び移動ロボット側マイク37と、監視装置側スピーカ45及び監視装置側マイク46と介してその見守り対象者と会話を行うことができる。そして、監視装置側記憶部47は、電子データを読み書き可能な記憶装置いわゆるストレージで構成されている。
[扉開閉装置]
扉開閉装置50は、各個室領域と共用領域との境界部分つまり各個室領域の出入口に設けられた各扉84、例えば引戸に取り付けられている。扉開閉装置50は、移動ロボット30又は監視装置40からの指示により、扉84を自動で開閉できるとともに、人が手動で開閉できる手動状態に切り替えることができる。本実施形態の場合、扉開閉装置50は、移動ロボット30と直接的に通信することにより、移動ロボット30からの指示によって扉84を自動的に開閉する。扉開閉装置50は、図12に示すように、開閉装置制御部51、モータ52、開閉検出部53、及び開閉信号受信部54を有している。
開閉装置制御部51は、扉開閉装置50全体の制御を司っている。開閉装置制御部51は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。開閉信号受信部54、モータ52、及び開閉検出部53は、それぞれ開閉装置制御部51に電気的に接続されている。モータ52は、図示しないベルト等を介して扉84に接続されている。モータ52の回転により、図示しないベルト等を介して扉84が開閉される。
開閉検出部53は、扉84の開閉状態を検出する機能を有する。開閉検出部53は、扉84の位置を直接的又は間接的に検出可能な例えば近接センサや機械スイッチ等で構成することができる。開閉装置制御部51は、開閉検出部53の検出結果に基づいて扉84の開閉状態を検出する。
開閉信号受信部54は、移動ロボット30の開閉信号発信部38から発信された開閉信号を、電気通信回線2を介さずに直接的に、又は電気通信回線2を介して間接的に、受信することができる。そして、開閉装置制御部51は、開閉信号受信部54で受信した開閉信号に基づいてモータ52を動作させることで、扉84を自動開閉する。本実施形態の場合、開閉信号受信部54は、無線信号又は赤外線信号を受信可能に構成されており、開閉信号発信部38から発信された開閉信号を、電気通信回線2を介さずに直接的に受信することができる。
なお、複数台の扉開閉装置50のそれぞれに固有に設定されている。そのため、扉開閉装置50は、自己に設定された開閉信号を受信した場合のみ、扉84を自動で開閉する。なお、モータ52が通電されていない状態では、モータ52に回転力は生じていないため、扉84は、手動状態となっており人の力で容易に開閉することができる。
[見回り支援システムの適用例]
次に、見回り支援システム1の適用例について、図13以降も参照して説明する。図13は、例えば見回り支援システム1が適用される在宅型又は介護付き老人ホームの施設80の例である。施設80は、複数の個室領域81と各個室領域81に繋がる共用領域82とを有している。各個室領域81と共用領域82とは、それぞれ扉84で仕切られている。すなわち、扉84は、各個室領域81の出入口に設けられており、各個室領域81と共用領域82とを開閉可能に仕切っている。各扉84には、それぞれ扉開閉装置50が設けられている。監視装置40は、施設80内の任意の場所又は施設80外に設置されている。
[各装置の制御及び動作内容]
次に、各装置10、20、40、50及び移動ロボット30の制御及び動作内容について説明する。各装置10、20、40、50及び移動ロボット30は、各制御部11、21、31、41のCPUが各制御部11、21、31、41、51の記憶領域に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。以下の説明では、制御を行う主体を各制御部11、21、31、41、51として説明する。
図14に示すように、本実施形態において、複数の個室領域81は、それぞれ各個室領域81を識別するための個室番号が設定されている。同様に、複数の生体情報取得装置10及び複数の扉開閉装置50は、個体を識別するための番号をそれぞれ有している。そして、個室領域81の番号と、生体情報取得装置10の番号と、扉開閉装置50の番号とは、例えば個室領域81に入居する入居者の氏名つまり生体情報取得装置10の装着者の氏名に紐付けされている。そして、この紐付けされた情報は、例えば監視装置40の監視装置側記憶部47や移動ロボット30の移動ロボット側記憶部39に記録されている。
[生体情報取得装置及び中継装置の制御及び動作内容]
次に、生体情報取得装置10及び中継装置20で行われる制御及び動作内容の一例について、図17を参照しながら説明する。本実施形態の場合、中継装置20は例えばコンセント等の外部電源に接続されて使用されることを前提としているため充電の間隔を考慮する必要がない。一方で、生体情報取得装置10は見守り対象者に装着されるものであり、生体情報取得装置10に内蔵の充電池で駆動する。そして、充電している最中は生体情報取得装置10が使用できなくなるか、又は配線で繋がれているため、使用に制限が生じる。そのため、生体情報取得装置10の使用の利便性を考慮すると生体情報取得装置10の
充電の間隔を極力長くすることが重要であり、そのためには消費電力を抑える必要がある。
そこで、本実施形態において、中継装置20は、見守り対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得部13で取得した生体情報が正常範囲内である場合には、生体情報取得装置10に対して、所定時間毎、例えば1分間隔で生体情報を取得するように指示する。一方、見守り対象者に異常が発生した場合つまり生体情報取得部13で取得した生体情報が正常範囲を外れている場合には、監視装置40に対して異常信号を送信すると共に、生体情報を常時取得するようにする。これによれば、異常が発生していない通常時においては、生体情報取得装置10の動作時間を低減することができるため、消費電力を抑えることができる。なお、生体情報取得装置10は、異常発生の有無に関わらず常に生体情報を取得する構成であっても良い。
また、見守り対象者が運動場合においては心拍数等が急変する可能性がある。一方で、見守り対象者が寝ている等の安静時において心拍数等が急変する可能性は、運動時に比べて低い。そこで、生体情報取得装置側通信部12は、生体情報取得部13で取得した生体情報を所定の周期で送信するとともに、活動状態取得部14で取得した活動状態が運動状態である場合に比べて安静状態である場合の方が周期を長くする処理を実行可能である。
例えば生体情報取得装置側通信部12は、活動状態取得部14で取得した活動状態が安静状態であれば生体情報を1分間隔で送信し、運動状態であれば1分間隔よりも短い間隔例えば随時〜30秒間隔で生体情報を送信する。これによれば、急変の可能性の低い安静時には生体情報取得装置10の消費電力を抑えることができるとともに、急変の可能性の高い運動時にはより厳重に体調の変化を見守ることができる。
具体的には、中継装置20の中継装置制御部21は、図17に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS11において生体情報取得装置10から見守り対象者の生体情報及び活動状態を取得する。次に、中継装置制御部21は、ステップS11で取得した生体情報の値が正常範囲内であるか否かを判断する。そして、生体情報の値が正常範囲内であれば(ステップS12でYES)、中継装置制御部21は、ステップS13へ処理を移行し、ステップS11で取得した活動状態を判定する。
中継装置制御部21は、活動状態が運動である場合は、ステップS14において、生体情報の送信周期を短く設定するように生体情報取得装置10に指示する。一方、中継装置制御部21は、活動状態が運動である場合は、生体情報の送信周期を1分間隔に維持する。そして、中継装置制御部21は、ステップS11へ処理を戻す。
また、ステップS12において生体情報の値が正常範囲から外れている場合(ステップS12でNO)、中継装置制御部21は、見守り対象者に異常が発生したと判断する。そして、中継装置制御部21は、ステップS15へ処理を移行させ、異常信号送信処理部25を動作させて異常信号を監視装置40に送信する。
次に、中継装置制御部21は、ステップS16において解除信号を受信したか否かを判断する。解除信号は、ステップS15で発信した異常信号を停止させるための信号であり、本実施形態の場合、監視装置40から送信される。解除信号を受信していない場合(ステップS16でNO)、中継装置制御部21は、異常信号の発信を継続する。一方、解除信号を受信した場合(ステップS16でYES)、中継装置制御部21は、ステップS17へ処理を移行させ、ステップS15で発信した異常信号を停止させる。その後、中継装置制御部21は、ステップS11へ処理を移行させ、ステップS11以降の処理を繰り返す。
[監視装置の制御及び動作内容]
次に、監視装置40で行われる制御及び動作内容の一例について、図18も参照して説明する。監視装置40のモニタ43には、図15に示すように、移動ロボット30のカメラ35で撮影された映像が表示される。そして、生体情報取得装置10からの異常信号を受信すると、移動ロボット側スピーカ36からその旨が報知されると共に、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報がモニタ43に表示される。
この場合、監視装置制御部41は、モニタ43に、カメラ35で撮影した映像431と、カメラ35で映像を撮影した撮影時刻を示す時刻表示432と、施設内の地図433と、時刻表示432に示された時刻における移動ロボット30の動作状態を示す状態表示434と、移動ロボット30の位置を示す位置表示435と、を同一画面に表示させる処理を行うことができる。つまり、映像431、時刻表示432、地図433、状態表示434、及び位置表示435は、モニタ43内に設定された特定の表示領域436内に表示される。移動ロボット30の状態表示434の表示内容は、図16に示すように、移動ロボット30が現在実行している動作や発生したイベントに応じて設定されている。また、移動ロボット30の位置表示435は、地図433上に重ねて表示されており、時刻表示432に表示された時刻における移動ロボット30の位置を示している。
具体的には、監視装置40の監視装置制御部41は、図18に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS21において、図15に示したように、移動ロボット30のカメラ35で撮影した映像をモニタ43に表示する。この表示は、移動ロボット30の動作中に常に表示され続ける。次に、監視装置制御部41は、ステップS22において、中継装置20から異常信号を受信しているか否かを判断する。異常信号を受信していない場合(ステップS22でNO)、監視装置制御部41はステップS22を繰り返す。一方、異常信号を受信した場合(ステップS22でYES)、監視装置制御部41は、ステップS23へ処理を移行させる。
監視装置制御部41は、ステップS23において監視装置側スピーカ45を動作させて異常信号を受信した旨つまり見守り対象者に異常が発生している旨を報知する。この場合、監視装置制御部41は、例えば図19に示すように、異常の種類ごとに異なる音に設定されたアラート音を監視装置側スピーカ45から発生させることができる。この場合、第1異常及び第2異常の場合は経過を見て対処すればよいが、第3異常の場合は緊急な対応が必要であるため、第3異常を示すアラート音は特に他のアラート音と明確に区別ができるような態様、例えば連続した音や他の異常のアラート音よりも大きい音に設定されている。また、この場合、少なくとも至急の対応が必要な第3異常については、監視装置制御部41は、アラート音とともに個室番号を示す音声を発生させても良い。
これにより、スタッフは、モニタ43の前に居ない場合であっても、モニタ43を見ることなくアラート音を聞くだけで異常の種類を判別でき、その異常に応じた内容の処置を素早く行うことができる。そのため、スタッフは、アラート音がなった場合に常にモニタ43の前に行って確認する必要がなくなるため、スタッフの負担を軽減することができる。さらには、スタッフは、至急の対応が必要な第3異常については駆付けるべき個室番号をモニタ43に見に行かずに知ることができるため、素早い処置が可能となる。
また、監視装置制御部41は、異常信号を受信すると、異常信号が生じた生体情報取得装置10に紐付けされている個室領域81を特定する。そして、監視装置制御部41は、特定した生体情報取得装置10の例えばIDや特定した個室領域81の部屋番号、及びその部屋の居住者の氏名等を、モニタ43に表示させる。更に、監視装置制御部41は、ステップS23において、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報等の各種情報をモニタ43に表示させる。この場合、各種情報は、図15に示すように、カメラ35で撮影した映像と共に、モニタ43に表示される。
次に、監視装置制御部41は、ステップS24において、移動ロボット30に対して移動指令を送信する。移動指令とは、移動ロボット30を、異常信号を発信した生体情報取得装置10に紐付けされている個室領域81に移動させるための指令信号である。
その後、監視装置制御部41は、ステップS25において異常解除の入力又は受信の有無を判断する。異常解除の入力とは、監視装置40に設けられた図示しない解除操作部をスタッフ等が操作することである。また、異常解除の受信とは、移動ロボット30に設けられた図示しない解除操作部をスタッフ等が操作することにより移動ロボット30が解除操作を受けたことを示す信号を送信し、その信号を監視装置40が受信することである。解除操作部の操作は、例えばスタッフ等が見守り対象者の状態を確認した場合等に行われる。
異常解除の入力又は受信が無い場合(ステップS25でNO)、監視装置制御部41は、異常解除の入力又は受信があるまで待機する。一方、異常解除の入力又は受信があった場合(ステップS25でYES)、監視装置制御部41は、ステップS26において、中継装置20及び移動ロボット30に対して解除信号を送信する。その後、監視装置制御部41は、ステップS21へ戻り、ステップS21以降の処理を繰り返す。
[移動ロボットの制御及び動作内容]
次に、移動ロボット30で行われる制御及び動作内容の一例について、図20から図22も参照しながら説明する。本実施形態の場合、移動ロボット30は、見守り対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得装置10が異常信号を発信していない場合には、通常巡回又は居室巡回の一方の巡回動作を行う。例えば通常巡回では、図13に示すような予め設定された巡回ルートRを巡回する。巡回ルートRは任意に設定することができる。
一方、中継装置20が異常信号を発信した場合、移動ロボット30は、巡回動作を中断して駆け付け動作を行う。移動ロボット30は、駆け付け動作の実行により、異常が発生した生体情報取得装置10に紐付けされた個室領域81を目的地として移動する。
また、移動ロボット30又は監視装置40は、異常が発生した場合において、少なくとも移動ロボット30が個室領域81に入ってから異常が解除されるまでの期間、図15に示すモニタ43内の表示領域436内に表示されている内容、つまりカメラ35で撮影した映像431と、カメラ35で映像431を撮影した時刻を示す時刻表示432と、施設内の地図433と、地図433上に重ねて表示され時刻表示432に示された時刻における移動ロボット30の位置と、を記録する処理を実行可能である。この記録データは、移動ロボット側記憶部39又は監視装置側記憶部47の一方又は良否に保存される。
具体的には、移動ロボット30の移動ロボット制御部31は、図20に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS31でカメラ35を動作させて周囲の映像を撮影してその映像を監視装置40に送信するとともに、ステップS32で移動機構部34を動作させて巡回動作を実行する。巡回動作中、移動ロボット制御部31は、周囲センサ33を動作させて、自己の進路上に進行を妨げる障害物が存在しているか否かを判断する(ステップS33)。
進路上に障害物が検知された場合(ステップS33でYES)、移動ロボット制御部31は、一旦停止した後にステップS34において回避動作を実行する。回避動作は、移動ロボット30が巡回ルートR上から一旦離脱して、障害物を回避した後に再び巡回ルートR上に復帰する動作である。そして、移動ロボット制御部31は、障害物を回避した後、ステップS35において巡回動作を再開する。一方、進路上に障害物が検知されなかった場合(ステップS33でNO)、移動ロボット制御部31は、ステップS36へ処理を移行させる。
また、移動ロボット制御部31は、巡回動作中に周囲センサ33を動作させて共用領域82内で一人歩きをしている見守り対象者つまり徘徊者を検知する。徘徊者を検知しない場合は(ステップS36でNO)、移動ロボット制御部31は、図21のステップS43へ処理を移行させる。一方、移動ロボット制御部31は、巡回動作中に徘徊者を検知した場合(図20のステップS36でYES)、移動ロボット制御部31は、ステップS37において顔認識動作を実行する。
顔認識動作は、徘徊者の顔をカメラ35で撮影し、徘徊者の顔を認識するとともに、徘徊者の顔を予め登録された見守り対象者の顔画像と照合して、見守り対象者を特定する動作である。見守り対象者の顔画像は、例えば図14に示すように予め個室領域81の個室番号及び生体情報取得装置10の番号等と紐付けられて、移動ロボット側記憶部39や監視装置側記憶部47に記憶されている。また、移動ロボット30は、カメラ35で徘徊者の顔が撮影できない場合には、「こちらを向いて下さい」のように徘徊者が振り返ることを促すような音声を移動ロボット側スピーカ36から発したり、徘徊者の前方に回り込むようにして徘徊者の顔を撮影できる位置まで移動したりする。なお、顔認識動作における認識処理は、移動ロボット制御部31で行っても良いし、監視装置側記憶部47で行っても良い。
移動ロボット制御部31は、一人歩きをしている見守り対象者を特定すると、ステップS38で声掛け動作を行う。声掛け動作は、移動ロボット側スピーカ36から、自分の個室領域81へ戻ることを促す音声を発生させる動作である。この場合、移動ロボット制御部31は、特定された見守り対象者に対応した内容の音声を移動ロボット側スピーカ36から発生させることができる。
声掛け動作で発生させる音声は、例えば見守り対象者ごとに任意に設定することができる。声掛け動作で発生させる音声は、図14に示すように、例えば見守り対象者ごとでかつ時間帯ごとに任意に設定することができる。この場合、声掛け動作で発生させる音声は、音声生成ソフトで生成された合成音声であっても良いし、例えば録音したものとすることができる。例えば録音した家族の声を声掛け動作の音声に用いることで、また、時間帯に適した内容とすることで、徘徊者が声掛けの内容を認知し易くなり、その結果、徘徊者が自室へ戻ることをより効果的に促すことができる。録音した音声等の情報は、例えば移動ロボット側記憶部39や監視装置側記憶部47に記憶されている。
ここで、移動ロボット30が発見した人が複数人である場合には、例えば施設スタッフが含まれており徘徊者でない可能性が高い。そこで、声掛け動作は、発見した人の人数に応じて行っても良い。すなわち、移動ロボット30は、検出した人の人数に応じて声掛け動作を行うか否かを判断しても良い。例えば移動ロボット30は、巡回動作中に発見した人の人数が一人である場合には声掛け動作を行うが、発見した人が複数人の場合は声掛け動作を行わないようにすることもできる。
更に移動ロボット30は、複数人の人を発見した場合に、各人の顔を認識し、その認識した顔の中に施設80のスタッフが含まれていない場合には声掛け動作を行い、施設80のスタッフが含まれている場合には声掛け動作を行うようにしても良い。この場合、施設80のスタッフの顔情報は、予め移動ロボット30又は監視装置40に登録しておく。
また、移動ロボット30が日中も巡回動作を行う場合、声掛け動作は、時間帯に応じて行っても良い。移動ロボット30は、人を発見した時間帯が例えば20:00〜4:00の夜間帯であれば声掛け動作を行い、夜間帯以外の時間帯であれば声掛け動作を行わないようにすることもできる。この場合、声掛け動作を行う時間帯はスタッフの任意に設定することができる。
その後、移動ロボット制御部31は、ステップS39において、声掛け動作によって徘徊者が自分の個室領域81に戻ったか否かを判断する。この場合、移動ロボット30は、徘徊者を追跡して自分の個室領域81に入るまでを確認しても良い。また、この場合、移動ロボット30は、徘徊者を追跡して自分の個室領域81に近づいたと判断すると、開閉信号発信部38から開信号を発信し、扉開閉装置50を動作させて徘徊者の個室領域81の扉84を開けても良い。これにより、徘徊者が自分の個室領域81に確実に戻ることを効果的に促すことができる。
移動ロボット制御部31は、徘徊者が自分の個室領域81に戻ったことを確認すると(ステップS39でYES)、ステップS41において巡回動作を再開する。一方、移動ロボット制御部31は、ステップS38の声掛け動作の実行後、所定期間経過しても徘徊者が自分の個室領域81に戻ったことを確認できない場合(ステップS39でNO)、ステップS40において、監視装置40に徘徊者が戻らない旨の情報を送信し、モニタ43や監視装置側マイク46を用いてスタッフに報知する。その後、移動ロボット制御部31は、ステップS41において巡回動作を再開する。
また、移動ロボット制御部31は、ステップS43に示すように、監視装置40から移動指令を受信したか否かを判断する。移動指令を受信していない場合(ステップS43でNO)、移動ロボット制御部31は、ステップS33〜S41の処理を繰り返して巡回動作を継続する。一方、移動指令を受信した場合(ステップS43でYES)、移動ロボット制御部31は、ステップS44へ処理を移行させ、駆付け動作を実行する。
駆付け動作が実行されると、移動ロボット30は、巡回ルートRから離脱して、扉開閉装置50により扉84を開くための開信号を発信しながら、移動指令で指定された個室領域81を目指して移動を開始する。具体的には、駆付け動作が実行されると、移動ロボット制御部31は、図21のステップS44において、移動機構部34を駆動させて、目的となる個室領域81を目指して移動するように、移動ロボット20の移動を開始させる。この場合、移動ロボット30は、目的地となる個室領域81の直前までは、巡回ルートR上を走行する。また、移動ロボット制御部31は、ステップS45において開閉信号発信部38から開信号の発信を開始する。
この場合も、巡回動作時と同様に、移動ロボット制御部31は、周囲センサ33を動作させて、進路上に自己の進行を妨げる障害物が存在しているか否かを判断する(ステップS46)。そして、進路上に障害物が検知された場合(ステップS46でYES)、移動ロボット制御部31は、一旦停止した後に回避動作を行い(ステップS47)、その後移動を再開する(ステップS48)。
また、本実施形態の場合、移動ロボット30は、駆け付け動作において、移動指令で指定された個室領域81の番号を示す音声を移動ロボット側スピーカ36から発しながら移動する期間を有する。例えば移動ロボット30は、ステップS44において駆付け動作を実行すると、指定された個室領域81の前に到着するまでの期間、若しくは指定された個室領域81に入室するまでの期間、移動ロボット側スピーカ36から個室領域81の番号を発し続ける。この場合、音声の内容としては、例えば「101号室に駆け付けます」等とすることができる。
次に、移動ロボット制御部31は、ステップS49において目的地である個室領域81の扉84の前に到着したか否かを判断する。扉84前に到着していない場合(ステップS49でNO)、移動ロボット制御部31は、ステップS46へ処理を戻して、移動を継続する。一方、目的地に到着すると(ステップS49でYES)、移動ロボット制御部31は、ステップS50において移動を一旦停止するとともに、ステップS51において扉開閉装置50から開完了信号を受信するまで待機する(ステップS51でNO)。開完了信号は、扉84の開放が完了した旨を示す信号である。
移動ロボット制御部31は、扉開閉装置50から開完了信号を受信すると(ステップS51でYES)、ステップS52において開信号の発信を停止する。そして、移動ロボット制御部31又は監視装置制御部41の一方又は両方は、ステップS53において、図15のモニタ43内に表示領域436に表示されている内容の記録つまり録画を開始して、移動ロボット側記憶部39又は監視装置側記憶部47の一方又は両方に保存する。そして、移動ロボット制御部31は、ステップS54において、移動機構部34を駆動させて移動ロボット30を個室領域81内に入室させる。
ここで、ベッド83の位置は、入室した個室領域81によって異なっている。この場合、移動ロボット30は、予め各個室領域81におけるベッド83の位置を記憶しており、その記憶されているベッド83の位置に基づいて、入室後に向きを変えるようにする。また、各個室領域81におけるベッド83の位置を記憶し、移動ロボット30に送信する移動指令に、ベッド83の位置情報つまり入室後にどちらの方向へ向けばよいかの情報を含ませても良い。そして、移動ロボット制御部31は、図22のステップS55において移動ロボット30の向きを修正する。
移動ロボット30は、目的地に到着すると、監視装置40から解除信号を受信する又は移動ロボット30に搭載された解除操作部が操作されるまで、目的地で待機する。その間、移動ロボット制御部31は、カメラ35で撮影した画像又は映像を、監視装置40に送信し続ける。スタッフは、監視装置40のモニタ43に映る映像やスピーカ36、45、マイク37、46を用いて、異常を検出した生体情報取得装置10の装着者つまり異常が発生した見守り対象者の状態の確認や、見守り対象者に対する呼びかけ、及び問診等を行う。そして、スタッフは、見守り対象者の状態を確認した後、移動ロボット30又は監視装置40に設けられた図示しない解除操作部を操作して異常を解除する(図22のステップS56でYES)。
移動ロボット制御部31は、解除操作の検出又は解除信号を受信すると(ステップS56でYES)、ステップS57において記録つまり録画を停止するとともに、ステップS58において移動機構部34を動作させて個室領域81から退室する。そして、移動ロボット制御部31は、移動ロボット30が個室領域81から退室すると、扉84の前で一旦停止して、ステップS59において扉開閉装置50に対して扉84を閉めるための閉信号を送信する。そして、移動ロボット制御部31は、扉開閉装置50から扉84の閉完了信号を受信すると(ステップS60でYES)、ステップS61において閉信号を停止するとともに、ステップS62において巡回動作を再開する。そして、移動ロボット制御部31は、図20のステップS33へ処理を戻し、ステップS33以降の処理を繰り返す。
[扉開閉装置の制御及び動作内容]
次に、扉開閉装置50で行われる制御及び動作内容の一例について、図23も参照しながら説明する。本実施形態において、開閉装置制御部51は、モータ52を駆動させていない非動作時には、移動ロボット30の開閉信号発信部38から発信される開閉信号を受け付けている。なお、以下の説明では、扉84が閉じた状態である場合を前提とする。また、扉84は、モータ52が駆動していない状態では、人の力で開閉することができる。
開閉装置制御部51は、図23に示すように、扉84が閉じた状態では、開信号を受信するまで待機している(ステップS71でNO)。そして、開閉装置制御部51は、移動ロボット30の開閉信号発信部38から開信号を受信すると(ステップS71でYES)、ステップS72においてモータ52を駆動させる。これにより、扉84が自動的に開く。その後、開閉装置制御部51は、開閉検出部53によって扉84が開いたことを検出すると(ステップS73でYES)、ステップS74においてモータ52を停止させる。これにより、扉84は、移動ロボット30が通過可能な状態に開く。そして、開閉装置制御部51は、ステップS75において移動ロボット30へ扉84を開いた場合には開完了信号を送信し、扉84を閉じた場合には閉完了信号を送信した後、ステップS71へ処理を戻す。
なお、扉開閉装置50は、移動ロボット30の開閉信号発信部38とは別に、開閉信号を発信するためのボタン等を備えていても良い。このボタンは、例えば扉84の個室領域81側及び共用領域82側のそれぞれに設けることができる。
なお、移動ロボット制御部31又は監視装置制御部41の一方又は両方は、巡回動作中に徘徊者を発見(図20のステップS36でYES)してから、巡回動作を再開(ステップS41)するまでの期間も、図15のモニタ43内に表示領域436に表示されている内容の記録つまり録画を開始して、移動ロボット側記憶部39又は監視装置側記憶部47の一方又は両方に保存するようにしても良い。
以上説明した実施形態によれば、監視装置40は、各見回り対象者が装着している生体情報取得装置10で取得した見守り対象者の生体情報に基づいて異常を検出する。そして、異常が発生した場合には監視装置側スピーカ45及び監視装置側モニタ43を用いて報知するとともに、移動ロボット30が駆付けて見守り対象者を撮影する。こにれよれば、施設80のスタッフは、常に施設80内を見回ることなく対象者の健康状態を見守ることができるため、スタッフの見回り作業に関する負担を著しく低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、監視装置40は、異常信号を受信した場合に異常の種類ごとに異なる音に設定されたアラート音を監視装置側スピーカ45から発生させる。これによれば、施設80のスタッフは、モニタ43の前に居ない場合であっても、モニタ43を見ることなくアラート音を聞くだけで異常の種類を判別でき、その異常に応じた内容の処置を素早く行うことができる。そのため、スタッフは、アラート音がなった場合に常にモニタ43の前に行って確認する必要がなくなるため、スタッフの負担を軽減することができる。
また、移動ロボット30は、駆け付け動作において、移動指令で指定された個室領域81の番号を示す音声を移動ロボット側スピーカ36から発しながら移動する期間を有する。これによれば、例えばスタッフが施設80内の見回りをしているなどしてスタッフが監視装置40の傍にいない場合であっても、スタッフは、移動ロボット30から発する音声を聞くことで、異常が発生した個室領域81に素早く駆付けることができる。
また、この個室領域の番号を示す音声は、巡回動作中には発生しないため、異常が発生したことを示す機能も有する。そのため、移動ロボット30から発せられる個室領域の番号を聞いた周囲の人は、その個室領域で異常が発生したことを認識できる。そのため、個室領域の番号を示す音声は、その音声を聞いた周囲の人に、移動ロボット30の進路を妨害しないように行動することを促す効果も期待できる。
また、監視装置40は、図15に示すように、カメラ35で撮影した映像431と、映像431の撮影時刻を示す時刻表示432と、施設80内の地図433と、時刻表示432に示された時刻における移動ロボット30の動作状態を示す状態表示434と、地図433上に重ねて表示され時刻表示432に示された時刻における移動ロボット30の位置を示す位置表示435と、をモニタ43の同一画面に表示させる処理を実行可能である。これによれば、異常の内容の把握に必要な情報を一画面に集約して表示させることで、異常が発生した際に、スタッフはモニタ43を見ることで素早くその異常の状況を把握することができる。
また、移動ロボット30又は監視装置40は、異常が発生した場合において、少なくとも移動ロボット30が個室領域81に入ってから異常が解除されるまでの期間、カメラ35で撮影した映像431と、映像431の撮影時刻と、施設80内の地図433と、撮影時刻における移動ロボット30の動作状態と、撮影時刻における移動ロボット30の位置と、を記録する処理を実行可能である。これによれば、異常の検証をするための役立つ情報を自動で保存することができるため、スタッフの手間を低減することができる。
また、生体情報取得装置10は、生体情報取得装置10の装着者の活動状態を取得可能な活動状態取得部14を更に有している。そして、設定処理部23は、活動状態取得部14で取得した現在の活動状態に応じて正常範囲を変更する処理を実行可能である。そして、生体情報取得装置側通信部12は、生体情報取得部13で取得した生体情報を所定の周期で送信するとともに、活動状態取得部14で取得した活動状態が運動状態である場合に比べて安静状態である場合の方が周期を長くする処理を実行可能である。
これによれば、急変の可能性の低い安静時には生体情報取得装置10の消費電力を抑えることができるとともに、急変の可能性の高い運動時にはより厳重に体調の変化を見守ることができる。その結果、生体情報取得装置10の充電期間の長期間化と見守りの精度の向上の両立を図ることできる。
また、移動ロボット30は、巡回動作中に共用領域82内で人を検知した場合に、その検知した人の顔を認識して見守り対象者を特定する顔認識動作と、その見守り対象者に対応した内容の音声を移動ロボット側スピーカ36から発する声掛け動作と、を実行可能である。これによれば、一人歩きをしている見守り対象者に移動ロボット30が自動で声掛けを行うことで、スタッフの手によらずに、見守り対象者が自分の個室領域81に戻ることを促すことができる。その結果、スタッフの手間を更に低減することができる。
そして、移動ロボット30は、声掛け動作において任意の内容で録音された音声を再生可能であり、また、声掛け動作を時間帯ごとに異なる内容の音声で実行可能である。これらによれば、見守り対象者の個々に適した内容で声掛け動作を行うことができるため、一人歩きしている見守り対象者を更に効果的に自分の個室領域81へ戻ることを促すことができる。
なお、本発明の実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。