以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
まず、図1を参照して本発明による画像形成装置100の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置100を模式的に示す図である。画像形成装置100は画像の形成されたシートSを出力する。画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ、プリンターまたは複合機として好適に用いられる。
図1に示すように、画像形成装置100は、収納部10と、搬送部20と、画像形成部30と、定着部40と、排出部50と、温度測定部60と、制御部70とを備える。収納部10はシートSを収納する。シートSは、例えば、普通紙、再生紙、薄紙、厚紙、コート紙またはOHP(Overhead Projector)シートである。収納部10はシートSを収容可能なカセットを含む。
搬送部20はシートSを搬送する。搬送部20は、収納部10に収納されたシートSを、画像形成部30および定着部40を介して排出部50にまで搬送する。搬送部20は一対の搬送ローラー20aを有する。一対の搬送ローラー20aのうちの一方が駆動して回転し、他方が従動して回転することにより、シートSを搬送できる。
画像形成部30はトナー像をシートSに形成する。トナー像は画像データに基づいて形成される。定着部40は、シートSに形成されたトナー像をシートSに定着する。排出部50は、トナー像の定着されたシートSを画像形成装置100の外部に排出する。排出部50は一対の排出ローラー50aを有する。一対の排出ローラー50aのうちの一方が駆動して回転し、他方が従動して回転することにより、シートSを排出できる。温度測定部60は定着部40の温度を測定する。
制御部70は画像形成装置100の動作を制御する。制御部70は、搬送部20、画像形成部30、定着部40、排出部50および温度測定部60を制御する。
なお、画像形成装置100は通信部80をさらに備えてもよい。通信部80は、画像形成装置100の外部と通信する。画像形成装置100は、通信部80を介して画像データを受信してもよい。
また、画像形成装置100は操作表示部90をさらに備えてもよい。操作表示部90は、タッチパネル92と、操作ボタン94とを備える。タッチパネル92は、表示装置とタッチセンサーとを備える。表示装置は種々の画像を表示する。表示装置は、例えば液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)である。タッチセンサーはユーザーからの操作を受け付ける。また、操作ボタン94はユーザーからの操作を受け付ける。
さらに、画像形成装置100は音声出力部96をさらに備えてもよい。音声出力部96は、制御部70からの指示に従って音声を出力する。
本実施形態の画像形成装置100は、画像データに基づく画像の形成されたシートSを出力する。画像形成装置100では、定着部40が画像データに基づいて形成されたトナー像をシートSに定着させ、温度測定部60は定着部40の温度を測定温度Trとして測定する。また、制御部70は、トナー像の基となる画像データに基づいて定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとに基づいて画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があるか否かを判定する。例えば、測定温度Trと予測温度Tpとの差が大きい場合、制御部70は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると判定する。これにより、画像形成装置100は簡易な構成で画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があるか否かを判定できる。
制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとに基づいて画像形成部30および定着部40のうちの少なくとも一方の不具合を判定する。例えば、制御部70は、画像形成部30および定着部40の一方に不具合があることを判定する。あるいは、制御部70は、画像形成部30および定着部40の両方に不具合があることを判定する。
なお、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合がある場合、制御部70は不具合解消処理を行うことで不具合の解消を図ってもよい。あるいは、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合がある場合、制御部70は画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることをユーザーに警告してもよい。
例えば、通信部80は、画像形成装置100の画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを示す情報を警告として他の電子機器に送信してもよい。一例として、上記他の電子機器は、サーバー、他の画像形成装置またはユーザーの情報端末である。または、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合がある場合、タッチパネル92は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを警告として表示してもよい。あるいは、音声出力部96は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを警告として音声で出力してもよい。なお、上記警告は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると複数回判定された場合に行われてもよい。
次に、図1および図2を参照して本実施形態の画像形成装置100における画像形成部30および定着部40を説明する。図2は、画像形成装置100における画像形成部30および定着部40の一例を示す図である。
画像形成部30は、画像形成部30C、画像形成部30M、画像形成部30Yおよび画像形成部30Kを備える。画像形成部30Cはシアン色のトナー像を形成する。画像形成部30Mはマゼンタ色のトナー像を形成する。画像形成部30Yはイエロー色のトナー像を形成する。画像形成部30Kは黒色のトナー像を形成する。
画像形成部30C、画像形成部30M、画像形成部30Yおよび画像形成部30Kの各々は、トナー供給部31と、転写部32と、像担持体33と、帯電部34と、露光部35と、現像部36とを備える。トナー供給部31にはトナーコンテナが装着される。トナー供給部31は、装着されたトナーコンテナのトナーを現像部36に供給する。画像形成部30Cのトナーコンテナはシアン色のトナーを含有する。同様に、画像形成部30M、30Yおよび30Kのトナーコンテナは、マゼンタ色のトナー、イエロー色のトナーおよび黒色のトナーをそれぞれ含有する。
転写部32は、画像形成部30C、画像形成部30M、画像形成部30Yおよび画像形成部30Kのそれぞれに共通して用いられる。なお、画像形成部30C、画像形成部30M、画像形成部30Yおよび画像形成部30Kの各々の構成は、トナーの色が異なるのみでその他の構成は略同一である。したがって、以下の説明では、シアン色のトナーが供給される画像形成部30Cの構成について説明し、画像形成部30C以外の画像形成部30M、画像形成部30Yおよび画像形成部30Kの構成の説明は省略する。
転写部32は、中間転写体32aと、ローラー32bと、ローラー32cと、一次転写ローラー32dと、二次転写ローラー32eとを含む。ここでは、中間転写体32aは、ローラー32b、ローラー32cおよび一次転写ローラー32dによって張られた無端ベルトを含む。中間転写体32aは長手方向が水平方向と平行になるように配置されている。
ローラー32bおよびローラー32cのそれぞれは少なくとも一方向に回転可能なように構成されている。ローラー32bおよびローラー32cの少なくとも一方が駆動して回転する。ローラー32bおよびローラー32cの少なくとも一方が駆動して回転することにより、中間転写体32aは反時計回りに回転する。例えば、ローラー32bおよびローラー32cのうち一方が駆動して回転し、他方が従動して回転することが好ましい。好適には、ローラー32cが駆動して回転し、ローラー32cの駆動に伴いローラー32bが従動して回転する。
一次転写ローラー32dは中間転写体32aを介して像担持体33と対向し、中間転写体32aと当接するように配置されている。また、二次転写ローラー32eはローラー32cと対向するように配置されている。
像担持体33は、ドラム形状であり、回転軸を有する。像担持体33は回転軸を中心に時計回りに回転する。像担持体33は外周面側に感光層を有する。
帯電部34は像担持体33の感光層を所定の電位に帯電する。露光部35は、像担持体33の感光層にレーザー光を照射して露光する。露光部35は画像データに基づいて像担持体33を露光する。これにより、像担持体33に静電潜像が形成される。
現像部36は像担持体33上の静電潜像を現像する。現像部36は現像ローラーを有する。現像ローラーは、像担持体33にトナーを供給し、像担持体33上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。このようにして、像担持体33の外周面にトナー像が形成される。像担持体33の周面に形成されたトナー像は中間転写体32aに転写される。画像形成部30の像担持体33から中間転写体32aへのトナー像の転写は一次転写とも呼ばれる。
なお、中間転写体32aの外周面は、画像形成部30C、30M、30Y、30Kのそれぞれの像担持体33に当接する。画像形成部30C、30M、30Y、30Kのそれぞれの像担持体33は、中間転写体32aを介して一次転写ローラー32dと対向するように配置されている。シアン色、マゼンタ色、イエロー色および黒色のトナー像は、一次転写ローラー32dによって像担持体33から中間転写体32aに転写される。中間転写体32aは、像担持体33と一次転写ローラー32dとの間において像担持体33からトナー像を受け取る。
このようにして、画像形成部30C、30M、30Y、30Kは、シアン色、マゼンタ色、イエロー色および黒色のトナー像をそれぞれ中間転写体32aに転写する。複数色のトナー像が中間転写体32a上で重畳される。中間転写体32aは、像担持体33からトナー像を受け取った後、受け取ったトナー像を保持したままトナー像をローラー32cと二次転写ローラー32eとの間にまで搬送する。
二次転写ローラー32eはローラー32cに押圧され、ローラー32cと二次転写ローラー32eとの間にニップ部Ntが形成される。中間転写体32aがトナー像を搬送するのに合わせて、シートSはローラー32cと二次転写ローラー32eとの間のニップ部Ntを通過する。中間転写体32a上に形成されたトナー像は、シートSがニップ部Ntを通過する際にシートSに転写される。その結果、シートSにトナー像が転写される。中間転写体32aからシートSへのトナー像の転写は二次転写とも呼ばれる。
定着部40は、ローラー32cと二次転写ローラー32eとの間のニップ部Ntの上方に設けられる。定着部40は、ローラー32cと二次転写ローラー32eとの間のニップ部Ntを通過して搬送されたシートSにトナー像を定着させる。
定着部40は、加熱ローラー42と加圧ローラー44とを含む。加熱ローラー42は、回転軸を有する円筒形状を有しており、回転軸を中心に回転する。加熱ローラー42は加熱装置によって加熱される。また、加圧ローラー44は、回転軸を有する円筒形状を有しており、回転軸を中心に回転する。なお、典型的には、加熱ローラー42の回転軸は加圧ローラー44の回転軸と略平行である。
加熱ローラー42は加圧ローラー44に押圧され、加熱ローラー42と加圧ローラー44との間にニップ部Nfが形成される。シートSは加熱ローラー42と加圧ローラー44との間のニップ部Nfを通過する。シートSがニップ部Nfを通過する際に、加熱ローラー42は、シートSの両面のうちトナー像の形成された面と接触してトナー像をシートSに定着させる。
温度測定部60は、定着部40の温度を測定温度Trとして測定する。例えば、温度測定部60は、定着部40の加熱ローラー42および加圧ローラー44のうちの少なくとも一方の温度を測定する。ここでは、温度測定部60は加熱ローラー42の温度を測定する。好ましくは、温度測定部60は、定着部40がシートSのトナー像を定着させた後の温度を測定する。
温度測定部60は、定着部40のうち回転軸方向に沿った領域の温度を測定してもよい。または、温度測定部60は、回転する定着部40の外周面上のある位置の外周線上の温度を時間的に連続して測定してもよい。あるいは、温度測定部60は、定着部40の回転軸方向に沿った領域の温度を時間的に連続して測定してもよい。
定着部40の加熱ローラー42および加圧ローラー44はいずれも回転軸を中心に回転する。このため、温度測定部60が加熱ローラー42および/または加圧ローラー44の温度を測定する場合、温度測定部60は、加熱ローラー42および加圧ローラー44の両方と接触することなく加熱ローラー42および/または加圧ローラー44の温度を測定する非接触型であることが好ましい。例えば、温度測定部60は赤外線サーモグラフィを含む。温度測定部60は、加熱ローラー42および/または加圧ローラー44からの赤外線を検知して加熱ローラー42および/または加圧ローラー44の温度を測定してもよい。ただし、温度測定部60は加熱ローラー42および/または加圧ローラー44と接触して温度を測定する接触型であってもよい。
図1に示したように、定着部40がトナー像をシートSに定着させた後、搬送部20はシートSを排出部50にまで搬送し、排出部50はトナー像の定着したシートSを画像形成装置100の外部に排出する。以上のようにして、画像形成装置100は画像の形成されたシートSを出力する。
なお、定着部40によるトナー像の定着は、画像形成プロセスの最終仕上げ工程に相当する。従って、定着部40による定着は、定着までの画像形成プロセスにおけるすべての不具合またはずれの影響を受けた状態で行われる。
画像形成装置100が画像を形成する場合、定着部40の外周面のうちシートSと接触する領域は均一な温度になるように定着部40を加熱する。また、画像形成装置100が画像を形成する場合、定着部40がシートSにトナー像と接触して定着部40がシートS上のトナー像を溶着させると、定着部40のうちトナー像の接触した領域の温度は他の領域の温度よりも低下する。
このため、シートSが定着部40を通過する場合、シートSのうちトナー像の転写されたトナー転写領域とトナー像の転写されない白紙領域とでは、シートSがニップ部Nfを通過した後の温度が異なる。典型的には、シートS自体の熱伝導率は約0.1W/m・Kと比較的低い。また、シートSはある程度の表面粗さを有する。このため、定着部40がシートSにトナー像を定着させる場合でも、シートS上の白紙領域では、加熱ローラー42とシートSとの間の微小空間に空気層が形成され、加熱ローラー42からシートSへの熱の伝達が阻害される。このような熱の伝達の阻害は接触熱抵抗とも呼ばれる。
一方、シートS上のトナー転写領域では、定着部40の加熱ローラー42がトナーと接触してトナーを溶融するため、接触熱抵抗は実質的に無視できる。したがって、シートS上のトナーの有無に応じてシートSがニップ部Nfを通過した後の定着部40の表面温度は大きく異なる。
また、定着部40がトナー像をシートSに定着させる前の温度と定着させた後の温度差により、トナーの消費量は予測可能である。制御部70は、画像データに基づいて露光部35が像担持体33を露光して静電潜像を形成するように露光部35を制御し、その後、静電潜像からトナー像が形成される。このため、露光部35による制御の基となった画像データに応じてトナーの使用量は予測できる。予測したトナーの使用量に基づいて定着部40から奪われる熱量を計算できるため、制御部70は、画像データから定着部40の温度を予測温度として予測できる。このため、定着部40の測定温度と予測温度とを比較することで不具合なく画像が形成されたかを判定できる。また、定着部40の測定温度と予測温度を時間的に連続して比較することで、測定温度と予測温度との乖離が周期的に生じるか否かを特定でき、その結果、画像形成部30および/または定着部40の不具合箇所を特定できる。
定着部40がトナー像をシートSに定着させる場合、定着によって消費される電力P(W)は以下の式(1)で表される。
P=(c×ρ×V×ΔT)/t ・・・(1)
ここで、cはトナーの比熱(J/kg・K)を示し、ρはトナーの密度(kg/m3)を示し、VはシートS上のトナーの体積(m3)を示し、ΔTはトナーがニップ部Nfを通過する前後の温度差を示し、tはシートSがニップ部Nfを通過する時間(秒)を示す。また、ΔT=(T1−T2)で表され、T1はニップ部Nfを通過する前のトナーの温度を示し、T2はニップ部Nfを通過した後のトナーの温度を示す。なお、T1は画像形成装置の内部の温度に相当する。
仮に、画像形成装置100が、シートS全体をトナー転写領域とし、トナー転写領域において同じ濃度のトナー像を形成する場合、画像形成装置100に不具合がなければ、定着部40の温度は定着部40の全体にわたって同程度に低下する。しかしながら、画像形成装置100に不具合があると、定着部40の温度の低下が予測とは異なることがある。例えば、画像形成装置100に不具合がある場合、画像形成装置100が、シートS全体をトナー転写領域とし、トナー転写領域において同じ濃度のトナー像を形成したとしても、定着部40の温度が全体にわたって同程度に低下しない。
例えば、画像形成部30のいずれかの一部の領域に付着した不純物に起因してシートS上にトナーが過剰に付着する場合、定着部40は、シートS上に形成された一部の過剰トナーに熱を大きく奪われるため、定着部40のこの領域の温度は他の領域の温度よりも低くなる。反対に、画像形成部30のいずれかの一部の領域に付着した不純物に起因してシートS上に過少のトナーが付着する場合、定着部40は、シートS上の一部の過少トナーに熱をあまり奪われないため、定着部40のこの領域の温度は他の領域の温度よりも高くなる。
同様に、定着部40の一部の領域に付着した不純物に起因してシートSの一部の領域にトナーが過剰または過少に付着する場合、定着部40は、シートSの一部の過剰トナーまたは過少トナーに起因して定着部40のこの領域の温度は他の領域の温度よりも異なることになる。
本実施形態の画像形成装置100において、制御部70は、画像データに基づいて、定着部40がシートSにトナー像を定着させた後の定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。また、制御部70の制御により、温度測定部60は定着部40の温度を測定温度Trとして測定する。制御部70は、予測温度Tpと測定温度Trに基づいて画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があるか否かを判定する。
例えば、制御部70は、予測温度Tpと測定温度Trとの差が閾値よりも大きい場合、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると判定する。一方、制御部70は、予測温度Tpと測定温度Trとの差が閾値未満である場合、画像形成部30および定着部40のいずれにも不具合がないと判定する。
なお、制御部70が、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると判定する場合、制御部70は、画像形成部30および定着部40のいずれに不具合があるか否かを特定することが好ましい。画像形成部30および定着部40のうちの不具合がある箇所は、予測温度Tpと測定温度Trとの違いに応じて特定できる。例えば、予測温度Tpと測定温度Trとの差が定着部40の回転軸方向のうちのある位置において発生する場合、画像形成部30および/または定着部40のうちのシートSの幅方向における特定の箇所に不具合があると特定できる。
また、予測温度Tpと測定温度Trとの乖離が定着部40の外周面方向のうちのある位置において繰り返し周期的に発生する場合、画像形成部30および/または定着部40のうちの特定の直径の回転部材に不具合が発生していると特定できる。例えば、予測温度Tpと測定温度Trとの乖離が周期的に生じる場合、乖離の周期および定着部40の周速度に基づいて不具合の生じた回転部材の直径を特定できる。
なお、制御部70が、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると判定する場合、制御部70は、不具合の有無および不具合の程度に応じて画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合解消処理を行ってもよい。
次に、図1から図3を参照して画像形成装置100を説明する。図3は画像形成装置100のブロック図である。
制御部70は、搬送部20、画像形成部30、定着部40、排出部50、温度測定部60、通信部80、操作表示部90および音声出力部96を制御する。例えば、制御部70は、搬送部20の搬送ローラー20a、画像形成部30の転写部32のローラー32b、像担持体33、帯電部34、露光部35、現像部36、定着部40の加熱ローラー42、加圧ローラー44、排出部50の排出ローラー50a、温度測定部60、通信部80、操作表示部90および音声出力部96を制御する。
また、制御部70は、画像形成装置100の不具合を判定する不具合判定処理を行う。制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとの差に基づいて画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があるか否かを判定する。
制御部70は、プロセッサー72および記憶部74を備える。プロセッサー72は、例えば中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサー72は汎用演算機を有してもよい。
記憶部74は記憶素子を有する。例えば、記憶素子は半導体メモリーまたはハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)を含む。
記憶部74は画像データを記憶している。上述したように、画像形成装置100は画像データに基づく画像を形成したシートSを出力する。
また、記憶部74は制御プログラムを記憶する。記憶部74が制御プログラムを記憶する場合、プロセッサー72は、記憶部74に記憶された制御プログラムに従って画像形成装置100の各構成要素を制御する。
制御部70は、搬送部20、画像形成部30、定着部40、排出部50および温度測定部60を制御して画像データに基づく画像としてトナー像をシートSに形成する。
制御部70は、搬送部20がシートSを搬送するように搬送部20を制御する。また、制御部70は、画像形成部30がシートSに画像を形成するように画像形成部30を制御する。詳細には、制御部70は、帯電部34が回転する像担持体33を帯電し、露光部35が回転する像担持体33に画像データに基づいて像担持体33を露光して静電潜像を形成するように像担持体33、帯電部34および露光部35を制御する。また、制御部70は、現像部36が像担持体33上の静電潜像を現像したトナー像を形成するように現像部36を制御する。さらに、制御部70は、像担持体33に形成されたトナー像が中間転写体32aを介してシートSに転写されるように搬送部20および転写部32を制御する。
さらに、制御部70は、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させるように搬送部20および定着部40を制御する。制御部70は、定着部40の加熱ローラー42および加圧ローラー44を回転して、加熱ローラー42を所定の温度に加熱するように加熱ローラー42および加圧ローラー44を制御する。例えば、定着部40の加熱ローラー42は180℃以上250℃以下の温度に加熱される。
また、制御部70は、温度測定部60が定着部40の温度を測定するように温度測定部60を制御する。
本実施形態の画像形成装置100では、上述したように、制御部70は、露光部35が像担持体33を画像データに基づいて露光するように露光部35を制御する。さらに、制御部70は、画像データに基づいて定着部40がシートSにトナー像を定着させた後の定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。また、制御部70は、定着部40がシートSにトナー像を定着させた後の定着部40の温度を測定するように温度測定部60を制御する。温度測定部60は定着部40の温度を測定温度Trとして測定する。
なお、記憶部74は、画像データに対応する定着部40の予測温度をテーブルとして予め記憶してもよい。この場合、画像データの色情報および濃度に応じて予測温度を予め記憶してもよい。あるいは、記憶部74は画像データを記憶しており、プロセッサー72は、記憶部74の画像データに基づいて所定の演算を行い、予測温度を求めてもよい。
画像形成装置100が通信部80を備える場合、画像データは通信部80を介して外部から入力されてもよい。この場合、記憶部74は通信部80を介して入力された画像データを一旦記憶する。なお、記憶部74は、画像形成装置100が画像データに基づく画像を形成した後すぐに、または、画像を形成した時刻から所定期間経過後に、画像データを消去してもよい。
なお、画像データは、不具合判定処理を行うために予め決められたデータであってもよい。この場合、画像データは、縦方向および横方向にわたって均一な色および濃度を示すように設定されていることが好ましい。また、この場合、不具合判定処理は、ユーザーからの画像形成処理とは異なるタイミングで行われることが好ましい。例えば、不具合判定処理は、画像形成装置100の使用が想定されない時刻(例えば、深夜2時等)に定期的に行われてもよい。あるいは、不具合判定処理は、画像形成装置100の累積画像形成枚数が特定の値に達した毎に(例えば、累積画像形成枚数が1万枚に達する毎)に適宜行われてもよい。この場合、不具合判定処理は、ユーザーの所望する画像データに基づく画像形成とは別のタイミングで行われる。
あるいは、画像データは、ユーザーが出力を希望する通常の画像データであってもよい。通常、ユーザーの画像データは、縦方向および横方向にわたって均一な色および濃度を示さないように設定されている。この場合、画像形成装置100は、ユーザーからの指示に応じてユーザーの所望する画像データに基づいてトナー像をシートSに形成する際に不具合判定処理を行う。不具合判定処理は、ユーザーの所望する画像データに基づく画像形成と同じタイミングで行われる。
記憶部74が制御プログラムを記憶する場合、記憶部74は、画像を形成する場合のシートSの搬送速度を記憶する。この場合、画像形成装置100の画像形成部30および定着部40はシートSが所定の搬送速度で搬送されるように制御される。
なお、記憶部74は、画像形成部30および定着部40に含まれる回転部材の直径を記憶していることが好ましい。例えば、記憶部74は、搬送部20の搬送ローラー20a、ローラー32c、一次転写ローラー32d、二次転写ローラー32e、像担持体33、定着部40の加熱ローラー42、加圧ローラー44の直径を記憶していることが好ましい。
不具合判定処理の結果、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があると判定された場合、制御部70は不具合解消処理を行ってもよい。例えば、制御部70は、キャリブレーションを行うことで不具合解消処理を行ってもよい。
ここで、図1〜図4を参照して本実施形態の画像形成装置100における不具合判定処理を説明する。図4は、定着部40の近傍を拡大した図である。
制御部70は、画像データに基づいて画像としてトナー像を形成する。この場合、定着部40は、搬送されるシートS上のトナーTを定着させる。トナー像の転写されたシートSが加熱ローラー42と加圧ローラー44との間のニップ部Nfを通過する際に、トナーは溶融してシートSに定着する。制御部70は、温度測定部60が定着部40の温度を測定温度Trとして測定するように温度測定部60を制御する。
また、制御部70は、画像データに基づいてトナー像を形成する。この場合、制御部70は、画像データに基づいて定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。
制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとに基づいて画像形成部30および/または定着部40に不具合がないか判定する。
ここで、図1〜図5を参照して不具合判定処理の一例を具体的に説明する。図5(a)は本実施形態の画像形成装置100において定着部40を通過したシートSを示す模式的な図であり、図5(b)は定着部40の回転軸方向の位置に対する温度を示すグラフである。
図5(a)に示すように、定着部40の加熱ローラー42は反時計回りに回転し、加圧ローラー44は時計回りに回転する。加熱ローラー42と加圧ローラー44との間にニップ部Nfが形成される。トナー像の転写されたシートSがニップ部Nfを通過する際に、トナーは溶融してシートSに定着する。
ここでは、温度測定部60は加熱ローラー42の温度を測定する。詳細には、温度測定部60は、加熱ローラー42のうちの温度測定領域42rの温度を測定する。温度測定領域42rは、加熱ローラー42のうちニップ部Nfを通過した直後に位置しており、加熱ローラー42の回転軸方向に延びている。
ここでは、画像データは矩形領域全体にわたって同じ濃度を示すように設定されているが、シートS上のトナー転写領域においてトナーの濃度は一定ではない。詳細には、シートS上のトナー転写領域のうち、左端の領域Tbのトナーの濃度は、他の領域Taのトナーの濃度よりも高い。
図5(b)に測定温度Trおよび予測温度Tpを示す。上述したように、測定温度Trは、温度測定部60が加熱ローラー42の温度測定領域42rの温度を測定した結果である。また、予測温度Tpは、画像データに基づいて予測した加熱ローラー42の温度である。
画像データは矩形領域全体にわたって同じ濃度を示すように設定されていることから、図5(b)に示すように、予測温度Tpは、加熱ローラー42の回転軸方向の位置に関わらず、一定である。一方、温度測定部60によって測定された測定温度Trは、温度測定領域42rの右端から中央部にまでほぼ一定であるが、中央部から左端において低下している。
このように、測定温度Trが予測温度Tpとは異なる場合、制御部70は画像形成部30および/または定着部40に不具合があると判定する。また、この場合、制御部70は、画像形成部30および定着部40のそれぞれの構成要素のうち左端部分に不具合がある可能性が高いことを特定できる。
次に、図1〜図4、図6を参照して不具合判定処理の別の例を具体的に説明する。図6(a)は本実施形態の画像形成装置100において定着部40を通過したシートSを示す模式的な図であり、図6(b)は定着部40の温度の時間変化を示すグラフである。
図6(a)に示すように、定着部40の加熱ローラー42は反時計回りに回転し、加圧ローラー44は時計回りに回転する。加熱ローラー42と加圧ローラー44との間にニップ部Nfが形成される。トナー像の転写されたシートSがニップ部Nfを通過する際に、トナーは溶融してシートSに定着する。
ここでは、温度測定部60は加熱ローラー42の温度を測定する。詳細には、温度測定部60は、加熱ローラー42のうちの温度測定領域42rの温度を測定する。温度測定領域42rは、加熱ローラー42のうちニップ部Nfを通過した直後、かつ、加熱ローラー42の中央に位置する。
ここでは、画像データは矩形領域全体にわたって同じ濃度を示すように設定されているが、シートS上のトナー転写領域においてトナーの濃度は一定ではない。詳細には、シートS上のトナー転写領域のうち、領域Tbのトナーの濃度は他の領域Taのトナーの濃度よりも高く、領域Tbが繰り返し存在している。
図6(b)に測定温度Trおよび予測温度Tpを示す。上述したように、測定温度Trは、温度測定部60が加熱ローラー42の温度測定領域42rの温度を測定した結果である。また、予測温度Tpは、画像データに基づいて予測した加熱ローラー42の温度である。
画像データは矩形領域全体にわたって同じ濃度を示すように設定されていることから、図6(b)に示すように、予測温度Tpは、時間の変化に関わらず、一定である。一方、温度測定部60によって測定された測定温度Trは時間的に変化する。具体的には、温度測定部60が、トナー転写領域の領域Taに対応する加熱ローラー42の温度を測定する場合、測定温度Trは予測温度Tpとほぼ等しい。一方、温度測定部60が、トナー転写領域の領域Tbに対応する加熱ローラー42の温度を測定する場合、測定温度Trは予測温度Tpよりも低い。これは、トナー転写領域の領域Tbでは、トナーの濃度が想定よりも高く、加熱ローラー42の温度が大きく低下したためである。
このように、測定温度Trが予測温度Tpとは異なる場合、制御部70は画像形成部30および/または定着部40に不具合があると判定する。また、制御部70は、画像形成部30および定着部40のそれぞれの構成要素のうち回転部材に不具合がある可能性が高いことを特定できる。
また、測定温度Trが予測温度Tpとの乖離が周期的に繰り返して発生する場合、制御部70は、画像形成部30および定着部40のうちの不具合の可能性の高い回転部材を特定できる。制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとの差が閾値よりも大きくなる繰り返し周期があるか否かを判定することで不具合のある回転部材を特定できる。例えば、閾値は10℃である。
例えば、定着部40の予測温度Tpと測定温度Trとの乖離が1秒ごとに生じる場合、定着部40が周速度94mm/秒で回転しているとすると、制御部70は、直径30mmの回転部材に不具合があることを特定できる。
ここで、図1、図2および図7を参照して本実施形態の画像形成装置100の不具合判定処理を説明する。図7は、本実施形態の画像形成装置100の不具合判定処理のフローチャートである。
画像形成装置100が不具合判定処理を開始する。
S702に示すように、画像形成装置100は、画像データに基づいて画像を出力する。また、画像を出力する際に、温度測定部60は、定着部40の温度を測定温度Trとして測定する。なお、画像データは、不具合判定処理専用のデータであってもよい。あるいは、画像データは、ユーザーから画像出力の指示を受けたデータであってもよい。
制御部70は、搬送部20、画像形成部30、定着部40および排出部50を制御して、シートSにトナー像を形成する。詳細には、制御部70は、搬送部20がシートSを搬送するように搬送部20を制御する。また、制御部70は、帯電部34によって帯電された像担持体33が回転した状態で露光部35が画像データに基づいて像担持体33を露光して静電潜像を形成するように像担持体33、帯電部34および露光部35を制御する。
また、制御部70は、現像部36が像担持体33上の静電潜像を現像することでトナー像を形成するように現像部36を制御する。さらに、制御部70は、像担持体33に形成されたトナー像が中間転写体32aを介してシートSに転写するように搬送部20および転写部32を制御する。さらに、制御部70は、シートSに転写されたトナー像をシートSに定着させるように搬送部20および定着部40を制御する。さらに、制御部70は、温度測定部60が定着部40の温度を測定するように温度測定部60を制御する。
また、S704に示すように、画像データに基づく定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。制御部70は、画像データから定着部40の温度を予測温度Tpとして予測する。
次に、S706に示すように、画像形成部30および/または定着部40に不具合があるか否かを判定する。制御部70は、測定温度Trと予測温度Tpとに基づいて画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があるか否かを判定する。予測温度Tpとの測定温度Trとの差が閾値よりも大きい場合、制御部70は画像形成装置100に不具合があると判定する。あるいは、予測温度Tpとの測定温度Trとの差が閾値未満である場合、制御部70は画像形成部30および定着部40のいずれにも不具合がないと判定する。
次に、制御部70が画像形成装置100に不具合があると判定した場合(S706においてYesの場合)、S708に示すように、不具合対応を行う。不具合対応では、不具合があると判定されたことを記憶部74に記憶してもよい。または、不具合対応では、不具合を解消するための不具合解消処理を行ってもよい。
なお、不具合対応において、不具合があると判定されたことを記憶部74に記憶する場合でも、記憶部74は、不具合があると判定された回数を記憶することが好ましい。また、この場合、不具合があると判定された回数が所定の回数を超えると、制御部70はユーザーに警告することが好ましい。
例えば、通信部80は、画像形成装置100の画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを示す情報を警告として他の電子機器に送信してもよい。一例として、上記他の電子機器は、サーバー、他の画像形成装置またはユーザーの情報端末である。または、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合がある場合、タッチパネル92は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを警告として表示してもよい。あるいは、音声出力部96は、画像形成部30および定着部40の少なくとも一方に不具合があることを警告として音声で出力してもよい。
また、不具合があると判定されたことを記憶部74が記憶する場合、制御部70は、画像形成装置100の動作を不具合が解消されるまで中断してもよい。あるいは、不具合の有無に関わらず画像形成装置100の動作を中断せず、画像形成装置100は通常の動作を継続してもよい。
また、不具合対応において、制御部70は不具合解消処理を行ってもよい。例えば、制御部70は、不具合があると判定された場合、キャリブレーションによって不具合の解消を図ってもよい。
S708において不具合対応が終了した後、不具合判定処理を終了する。
また、制御部70が画像形成部30および定着部40のいずれにも不具合がないと判定した場合(S706においてNOの場合)、制御部70は不具合判定処理を終了する。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解し易くするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
なお、図1および図2を参照して上述した画像形成装置100では、中間転写体32aを介してトナー像の一次転写および二次転写が行われたが本実施形態はこれに限定されない。画像形成装置100は、中間転写体32aを備えることなくトナー像の二次転写は行われなくてよい。この場合、画像形成部30の像担持体33はトナー像をシートSに直接転写してもよい。
また、図1および図2を参照して上述した画像形成装置100では、画像形成部30は4つの色のトナー像を形成したが、本実施形態はこれに限定されない。画像形成装置100は、4つの色以外の複数の色のトナー像を形成してもよい。あるいは、画像形成装置100は、1色のトナー像からなるモノクロ画像のみを形成する画像形成装置であってもよい。