JP6897354B2 - アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法、及びアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物 - Google Patents

アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法、及びアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物 Download PDF

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Description

本発明は、アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法、及び白色で、金属成分(Na、K、Fe、Ni、Cr、Cu、Mn、Co、Ti、Zn、Pb、Al)がそれぞれ質量濃度で0.5ppm以下であり、かつ99.5質量%以上の純度であることを特徴とするアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物に関するものである。
アダマンタンは、炭素がダイヤモンドの最小構成単位と同様の構造を有し、対称性が高く安定な化合物である。その誘導体は、光学特性や耐熱性等の特異な機能を示すことから、医薬品や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。アダマンタン誘導体の一つであるアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物は、分子内に反応性の高いカルボニルハライド基を有するため、アダマンタン骨格を機能性分子に組み込むことが容易であり、光ディスク基板、光ファイバーあるいはレンズなどの製造に用いられることが試みられている。
アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法は、いくつか知られている。例えば、特許文献3には、1−アダマンタンカルボン酸と、塩化チオニルを塩素化剤とした製造方法が記載されている。得られた1−アダマンタンカルボン酸クロリドは帯褐白色固体で、融点が46〜47℃であったとの記載がある。しかし、純粋な1−アダマンタンカルボン酸クロリドが白色固体であり、融点が51〜54℃であるのに対し、当該製法で得られたものは融点が低く、着色もあることから、高純度とは言い難い。
また、特許文献4には、前記と同様の方法で得られた1−アダマンタンカルボン酸クロリドの固体を、ベンゼンで洗浄しているが、黄色に着色しているとの記載がある。
さらに、特許文献5には、トルエン溶媒中で、N,N−ジメチルホルムアミドを触媒とし、1−アダマンタンカルボン酸と塩化チオニルとを室温下で反応させることで、白色結晶の1−アダマンタンカルボン酸クロリドを得たとの記載がある。反応後の後処理方法は、溶媒であるトルエンと過剰の塩化チオニルを減圧留去するのみであり、この処理方法ではN,N−ジメチルホルムアミド、及び反応系内で生成するビルスマイヤー型反応剤は完全に除去することができず、当該製法で得られたものは高純度とは言い難い。これらの合成例では、高収率で1−アダマンタンカルボン酸クロリドが得られているが、いずれも純度に関する記載はない。
特開平6−305044号公報 特開平9−302077号公報 特公昭59−514号公報 特表2016−509000号公報 特開2005−132783号公報
近年アダマンタン誘導体の用途が拡大し、光ファイバーや光学レンズ等の光学機器や、電気・電子材料等の分野での利用が増えているが、その製造原料として使われるアダマンタン誘導体は、高い純度が要求されている。アダマンタン誘導体は、元の原料に由来する不純物を含んでいるので、不純物のうち、特に金属成分については、ppmオーダーまで低減することが必須である。本発明者らの検討で、1−アダマンタンカルボン酸と塩化チオニルから従来技術の方法により調製した1−アダマンタンカルボン酸クロリドを用いて、減圧蒸留による精製を試みたが、微量不純物により1−アダマンタンカルボン酸クロリドが分解し、高純度化は困難であった。晶析法による精製も考えられるが、使用溶媒に不溶な成分は本質的に除去が難しく、前述のような高機能性材料の原料に対する高純度化の要求を満たさない。このように、前記従来技術に関する文献には、高純度化の要求を満たすような単離精製方法について何ら記載はなく、高純度品を容易に獲得可能な単離精製方法がこれまでに見出されていないことが問題となっている。そこで、本発明はこのような従来技術の欠点を改良し、高純度なアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アダマンタンカルボン酸を、ルイス塩基存在下でハロゲン化剤と反応させることにより、反応完了後のハロゲン化剤の除去とアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の蒸留精製が、アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を分解させることなく行えることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
下記一般式(II)で表されるアダマンタンカルボン酸化合物を、ハロゲン化剤と反応させた後に、ルイス塩基存在下で蒸留精製することを特徴とする下記一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法、及び白色で、金属成分(Na、K、Fe、Ni、Cr、Cu、Mn、Co、Ti、Zn、Pb、Al)がそれぞれ質量濃度で0.5ppm以下であり、かつ99.5質量%以上の純度であることを特徴とする下記一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を提供する。
Figure 0006897354
[一般式(I)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヒドロキシル基を表す。Xはハロゲン原子を表す。]
Figure 0006897354
[一般式(II)中、R、Rは、前記一般式(I)に規定するR、Rと同義である。]
本発明の方法を用いれば、従来の合成法に対し特段工程数を増やすことなく、ハロゲン化剤の除去に続いて、蒸留操作を行うことにより、高純度なアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を容易に得ることができるため、工業的にも優れた方法である。また、得られたアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物は金属成分濃度が極めて低いことから、フォトレジスト材料等の高機能性材料の原料として有用である。
以下、本発明の高純度アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物、及びその製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることであるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法は、下記一般式(II)で表される化合物を、ハロゲン化剤と反応させた後に、ルイス塩基存在下で蒸留精製することにより、下記一般式(I)で表される化合物を得ることを特徴とする。
以下に、まず一般式(I)〜(II)で表される化合物を説明し、次いで本発明の酸ハロゲン化物の製造方法を説明する。
<一般式(I)で表される化合物>
Figure 0006897354
一般式(I)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヒドロキシル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
、Rがアルキル基の場合には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基もしくはn−オクチル基など、炭素数1〜10の分岐していてもよい鎖状の炭化水素基、または例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基もしくはアダマンチル基など、炭素数が3〜10の環状の炭化水素基を表す。
、Rがアリール基を表す場合には、例えば、フェニル基、p−トリル基もしくはナフチル基など、炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基を表す。R、Rがハロゲン原子の場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、もしくはヨウ素原子を表す。
、Rは、水素原子、塩素原子、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基もしくはヒドロキシル基が好ましく、水素原子、塩素原子もしくはメチル基がさらに好ましく、水素原子が最も好ましい。Xは塩素原子もしくは臭素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
<一般式(II)で表される化合物>
Figure 0006897354
一般式(II)中、R、Rは、前記一般式(I)に規定するR、Rとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
続いて以下、本発明の製造方法について詳細に述べる。
<反応工程>
上記一般式(II)で表される化合物をハロゲン化剤と反応させる反応工程に用いることができるハロゲン化剤としては、塩化チオニル、塩化オキサリル、五塩化リンもしくは塩化ホスホリルが挙げられるが、塩化チオニルが好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、アダマンタンカルボン酸1モルに対し、0.1〜5.0モルが好ましく、1.0〜2.0モルがさらに好ましい。
本明細書において用いる「ルイス塩基」とは、電子対を与えて相手と化学結合を形成するものを意味するが、カルボン酸ハロゲン化物のカルボニル炭素、つまりアシル炭素上で求核置換反応を引き起こすような求核剤は含まれない。前記求核剤の具体例としては、水、アルコール、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(NaOH、KOH、Ca(OH))・炭酸塩(NaCO)・リン酸塩などの無機塩基、等が挙げられる。これらはカルボン酸ハロゲン化物と反応し別の化合物へ変換されるため本発明に用いることはできない。本発明に用いることができるルイス塩基は、例えば、有機リン化合物、有機アミン化合物、有機硫黄化合物から選ぶことができる。具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド、トリエチルアミンもしくはジフェニルスルフィドが挙げられ、これらを1種類または2種類以上の組み合わせで使用することができ、使用するルイス塩基のうち少なくとも一つは、トリフェニルホスフィンもしくはトリフェニルホスフィンオキシドが好ましく、トリフェニルホスフィンがさらに好ましい。
ルイス塩基の使用量は、アダマンタンカルボン酸化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部用いることが好ましく、1〜6質量部用いることがさらに好ましい。
ルイス塩基には、アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の分解原因となる、金属成分を含めた微量不純物による分解作用を抑制する効果があるものと考えている。具体的には、1−アダマンタンカルボン酸クロリドを製造する場合、分解物として1−クロロアダマンタンが副生することがわかっている。これは、微量不純物の酸触媒様作用による分解であると予想され、ルイス塩基により、その酸触媒様作用が抑制されるため、1−クロロアダマンタンの副生、すなわち、1−アダマンタンカルボン酸クロリドの分解が抑制されると考えている。
アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の分解原因となる、微量不純物は、Na、K、Fe、Ni、Cr、Cu、Mn、Co、Ti、Zn、Pb、Al等の金属成分が挙げられる。これらの金属成分は、原料であるアダマンタンカルボン酸に由来するものである。これらの金属成分はハロゲン化剤と反応しルイス酸となる。このルイス酸が含まれた状態のまま、蒸留操作等で加熱をすると、反応工程で生成したアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物が分解する。したがって、このままでは反応釜から取り出すことができない(つまり、蒸留操作ができない)。そこで、蒸留操作前までにルイス塩基を添加して、釜に含まれる原料由来のルイス酸と反応させる(無害化させる)ことで釜内の加熱が可能となる。
ルイス塩基を反応釜に添加するタイミングは、遅くとも蒸留操作前であり、アダマンタンカルボン酸化合物とハロゲン化剤との反応前、反応中、反応終了後のどのタイミングでも良い。反応前に添加することが好ましい。以上から、ルイス塩基存在下で蒸留操作を実施することによって、目的成分のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を分解させることなく釜から取り出すことが可能となる。
微量不純物を含む原料(アダマンタンカルボン酸化合物)を釜に仕込んでから、蒸留操作前の反応工程中の反応前、反応中、反応終了後のどこかのタイミングでルイス塩基を添加して微量不純物(金属成分)と反応させて、無害化(酸と塩基の反応)させる。その後に減圧加熱操作(単蒸留)にて、未反応の塩素化剤と目的物(アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物)をそれぞれ蒸留装置から取り出し、蒸留装置内には微量不純物(金属成分)とルイス塩基から成る反応物が残る。結果として、微量不純物量(金属成分)の多い原料から、ルイス塩基を添加する操作を含むことによって、微量不純物(金属成分)が極めて少ない目的物が得られる。
アダマンタンカルボン酸と塩素化剤との反応温度は、0〜80℃が好ましく、20〜70℃がさらに好ましい。
反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、1〜30時間が好ましく、1〜12時間がさらに好ましい。
ハロゲン化剤を活性化するため、必要に応じて、さらに反応釜に触媒を添加してもよい。触媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、またはピリジンもしくはキノリン等の芳香族アミンが挙げられるが、N,N−ジメチルホルムアミドもしくはピリジンが好ましい。
触媒の使用量は、アダマンタンカルボン酸1モルに対し、0.001〜1モル添加することが好ましく、0.01〜0.5モル添加することがさらに好ましい。
本発明の反応工程は無溶媒で行うことが生産性の観点から好ましいが、溶媒存在下で行ってもよい。用いる溶媒としては、特に制限はないが、n−ヘキサン、n−ヘプタンもしくはn−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、またはベンゼン、トルエン、キシレンもしくはクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、または酢酸エチル、酢酸イソプロピルもしくは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、またはテトロヒドロフラン、ジエチルエーテルもしくはジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、またはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドもしくはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられるが、これらの溶媒を1種類または2種類以上の組み合わせで使用してもよい。
<蒸留工程>
蒸留工程は、反応工程で得られたアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を含む反応終了後の液(以下、単に「反応液」ともいう)から減圧加熱操作によりアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を取り出す工程である。
本発明のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法では、蒸留工程を始める前に、反応工程において、微量不純物に起因するアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の分解反応を抑えるために、ルイス塩基を添加する。ルイス塩基の添加は、反応前、反応中、反応終了後のどのタイミングでもよい。反応前、反応中にルイス塩基を添加していてもよい。反応終了後のルイス塩基の添加は、既に反応前、反応中でルイス塩基を添加している場合は、反応前、反応中の添加で用いたルイス塩基と同一のものでも、異なるものでもよい。
反応終了後の液にルイス塩基を添加する場合の使用量は、反応工程で使用したアダマンタンカルボン酸化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部用いることが好ましく、0.1〜6質量部用いることがさらに好ましい。反応工程で既に添加している場合は反応工程で使用したアダマンタンカルボン酸化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部用いることが好ましい。
蒸留装置内の操作圧は、加熱温度にも依存するが、最初にハロゲン化剤や溶媒等の低沸点化合物を留出させる際は、それらが留出される操作圧であれば良く、1〜10kPaが好ましく、5〜8kPaがさらに好ましい。アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を留出させる際の操作圧は、0.1〜5kPaが好ましく、0.1〜2kPaがさらに好ましい。
加熱温度は、操作圧に依存するところもあるが、上記操作圧においてハロゲン化剤や溶媒等の低沸点化合物を留出させる際は、それらが留出される温度があれば良く、50〜100℃が好ましい。アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を留出させる際の加熱温度は、100〜200℃が好ましい。
アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を留出させる際に、必要に応じ充填物を詰めた充填塔を設置してもよい。また、蒸留装置内で留出液が固化閉塞するのを防ぐために、必要に応じて保温材(断熱材)、リボンヒーター、温水トレース、スチームトレース等の保温を目的とした器具/設備を配置してもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ガスクロマトグラフィーによる分析
製造工程を経て得られた極めて純度の高いアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の純度(質量%)は、アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を含む試料(蒸留留出液)をメタノール等のアルコールでエステル化処理し、この分析試料をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、得られたガスクロマトグラムにおいて、エステル体の面積に対する面積比をもって決定した。この面積比(%)は、アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の純度(質量%)に対応している。また、製造工程途中のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物混合物(反応終了液)中の組成についても、前記と同様に事前にアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物をメタノール等のアルコールでエステル化処理し、この分析試料をガスクロマトグラフィーにより分析を行い、得られたガスクロマトグラムの面積に対する面積比をもって決定した。表3に反応終了液と蒸留留出液のガスクロマトグラフィーによる成分組成の分析結果を示す。なお、測定条件及び解析条件は下記の通りである。
測定条件
機器:ガスクロマトグラフGC−2014(島津製作所製)
カラム:NB−1(内径0.25mmID×長さ60m、膜厚0.25μm、ジーエルサイエンス社製)
検出器:FID、INJ(気化室温度):250℃、DET(検出器温度):260℃
カラム温度:70℃を1min維持し、10℃/minの昇温速度で200℃まで昇温した後200℃で5min維持し、更に10℃/minの昇温速度で250℃まで昇温した後250℃で6min維持する。
カラム流量:1.37mL/min(ヘリウム)、スプリット比:13.9
分析試料の調製:酸ハロゲン化物の試料0.1gを乾燥メタノール10mLで希釈反応させて、エステル体の溶液とする。
解析条件
データ処理装置:LabSolutions(島津製作所製)
解析パラメーター:WIDTH=3、SLOPE=4000、DRIFT=0、MIN.AREA=10000、T.DBL=1000
フレーム原子吸光分光法による分析
アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物中に含まれる金属成分のうち、Na及びKの含有量は、フレーム原子吸光分光法により測定する。測定条件は下記の通りである。
前処理:塩酸及び硫酸を用いて炭化後、マッフル炉で灰化する。
機器:原子吸光光度計Z−2310(日立ハイテクフィールディング製)
測定:前処理した試料を上記分析装置にて絶対検量線法で測定する。
ICP発光分光法による分析
アダマンタンカルボン酸ハロゲン化物中に含まれる金属成分のうち、Fe、Ni、Cr、Cu、Mn、Co、Ti、Zn、Pb、Alの含有量は、ICP発光分光法にて測定する。測定条件は下記の通りである。
前処理:硝酸、硫酸、過酸化水素を加え、加熱分解する。
機器:高周波プラズマ発光分析装置ICPS−7500(島津製作所製)
測定:前処理した試料を上記分析装置にて内部標準法で測定する。
〔実施例1〕
撹拌器具、温度計、冷却管、滴下ロートを付属した反応器を用意し、冷却管には10℃設定の水を流した。室温にて、反応器に1−アダマンタンカルボン酸252.4g(1.40モル)、塩化チオニル166.6g(1−アダマンタンカルボン酸に対し1.0当量)を仕込み、撹拌しながら60℃に加熱した。滴下ロートから塩化チオニル83.3g(1−アダマンタンカルボン酸に対し0.5当量)を滴下し、55〜65℃にて10時間加熱撹拌した。得られた反応終了後の液は橙色に着色しており、329.5gであった。反応液の組成は、1−アダマンタンカルボン酸クロリド83.48質量%、塩化チオニル15.57質量%、1−クロロアダマンタン0.43質量%、その他不純物0.52質量%であった。
続いて、反応釜に吹込管、冷却管を装着、減圧装置に接続して蒸留装置とし、これにトリフェニルホスフィン(TPP)2.8g(1−アダマンタンカルボン酸に対し1.1質量%)を加え、吹込管に窒素を流して反応液をバブリングさせた。操作圧7〜10kPa、温度80℃にて未反応の塩化チオニルを留去し、濃橙色液体276.6gを得た。
さらに、トリフェニルホスフィン13.9g(1−アダマンタンカルボン酸に対し5.5質量%)を加え、冷却管への通水を60℃に設定し、操作圧0.5〜1.5kPa、温度110〜120℃にて、黄色に着色した低沸不純物を留出、分離させた後、白色の1−アダマンタンカルボン酸クロリドを留出させた。これを集め、168.4g(収率60.5%)の精製物(表3の「蒸留留出液」)を得た。最終的な組成は、1−アダマンタンカルボン酸クロリド99.89質量%、1−クロロアダマンタン0.08質量%、その他不純物0.02質量%であった。また、微量不純物の金属成分量はフレーム原子吸光分光法による分析とICP発光分光法による分析から表1のようになった。
Figure 0006897354
分析の結果、金属成分量はいずれも、分析装置の定量下限以下であり、正確な値は得られなかった。したがって、表1には、用いた分析装置の定量下限値である0.5ppm以下を、生成物の金属成分量として記載している。
〔実施例2〕
撹拌器具、温度計、冷却管、滴下ロートを付属した反応器を用意し、冷却管には10℃設定の水を流した。室温にて、反応器に1−アダマンタンカルボン酸252.4g(1.40モル)とトリフェニルホスフィン14.0g(1−アダマンタンカルボン酸に対し5.5質量%)、塩化チオニル166.6g(1.40モル、1−アダマンタンカルボン酸に対し1.0当量)を仕込み、撹拌しながら60℃に加熱した。滴下ロートから塩化チオニル83.3g(0.70モル、1−アダマンタンカルボン酸に対し0.5当量)を滴下し、55〜65℃にて10時間加熱撹拌した。得られた反応終了後の液は橙色に着色しており、366.4gであった。反応液の組成は、1−アダマンタンカルボン酸クロリド75.62質量%、塩化チオニルは20.21質量%、トリフェニルホスフィンは3.82質量%、1−クロロアダマンタンは未検出、その他不純物0.35質量%であった。
続いて、吹込管、冷却管を装着、減圧装置に接続して蒸留装置とし、吹込管に窒素を流してこの反応液をバブリングさせた。操作圧7〜10kPa、温度80℃にて未反応の塩化チオニルを留去し、濃橙色液体300.6gを得た。
冷却管への通水を60℃に設定し、操作圧0.5〜1.5kPa、温度110〜120℃にて、黄色に着色した低沸不純物を留出、分離させた後、白色の1−アダマンタンカルボン酸クロリドを留出させた。これを集め、241.2g(収率86.6%)を得た。ガスクロマトグラフィー分析では、1−アダマンタンカルボン酸クロリド99.91質量%、1−クロロアダマンタンは未検出、その他不純物0.09質量%であった。
〔比較例1〕
撹拌器具、温度計、冷却管、滴下ロートを付属した反応器を用意し、冷却管には10℃設定の水を流した。室温にて、反応器に1−アダマンタンカルボン酸360.5g(2.00モル)を仕込み、撹拌しながら塩化チオニル356.9g(3.00モル、1−アダマンタンカルボン酸に対し1.5当量)を滴下し、55〜65℃で15時間加熱撹拌した。得られた反応終了後の液は橙色に着色しており、483.7gであった。ガスクロマトグラフィー分析では、1−アダマンタンカルボン酸クロリド80.38質量%、1−クロロアダマンタン0.77質量%、塩化チオニル17.82質量%、その他不純物1.03質量%であった。
続いて、吹込管、冷却管を装着、減圧装置に接続して蒸留装置とし、吹込管に窒素を流して、この反応液をバブリングさせた。操作圧7〜10kPa、温度80℃にて未反応の塩化チオニルを留去した。1−アダマンタンカルボン酸クロリドを留出させるため、徐々に温度を150℃まで昇温したが、1−アダマンタンカルボン酸クロリドの留出は見られず、蒸留装置内の液は黒色に変化していた。
この黒色残渣のガスクロマトグラフィー分析では、1−アダマンタンカルボン酸クロリド5.22質量%、1−クロロアダマンタン91.89質量%、その他不純物2.89質量%であり、反応分析で確認された1−アダマンタンカルボン酸クロリドはほとんどが分解し、1−クロロアダマンタンに変化していた。また、前記黒色残渣中の金属成分量はフレーム原子吸光分光法による分析とICP発光分光法による分析から表2のようになった。表2中の0.5ppm以下の値は、表1と同様、分析装置の定量下限値である。
Figure 0006897354
上記実施例1、実施例2及び比較例1の結果を表3にまとめて示す。表3中の「工程液」とは、反応工程、蒸留工程それぞれで得られるアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を主成分とした液のことをいう。表中の「反応終了液」とは蒸留を行う前の反応工程における反応終了後の液のことを示しており、「蒸留留出液」とは蒸留工程において目的のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物を蒸留装置から取り出した留出液のことを示している。
Figure 0006897354
本発明のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物は、フォトリソグラフィー分野におけるフォトレジスト用樹脂やドライエッチング耐性向上剤の原料、医農薬中間体、その他各種工業製品用などとして有用である。

Claims (2)

  1. 不純物として金属成分、Na、K、Fe、Ni、Cr、Cu、Mn、Co、Ti、Zn、Pb、Alを含有する下記一般式(II)で表されるアダマンタンカルボン酸組成物を、ハロゲン化剤と反応させる反応工程、及び得られた反応生成物を蒸留操作にて精製する蒸留工程を含み、有機リン化合物から選ばれるルイス塩基を前記蒸留工程前の前記反応工程又は前記蒸留操作前において添加することを特徴とする、前記金属成分の含有量がそれぞれ質量濃度で0.5ppm以下である下記一般式(I)で表されるアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法。
    Figure 0006897354
    [式(I)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヒドロキシル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
    Figure 0006897354
    [式(II)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヒドロキシル基を表す。]
  2. 前記ルイス塩基が、トリフェニルホスフィン及びトリフェニルホスフィンオキシドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のアダマンタンカルボン酸ハロゲン化物の製造方法。
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