JP6895242B2 - ロボット制御装置、ロボット制御方法及びピッキング装置 - Google Patents

ロボット制御装置、ロボット制御方法及びピッキング装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、ロボット制御装置、ロボット制御方法及びピッキング装置に関する。
ロボットアームを用いた自動化ラインでは、作業者がアーム先端の位置データ等を予め記憶させるティーチングという作業を行っている。ティーチングは、時間と手間を要し作業者の負担が大きいため、ティーチングレスが求められている。ティーチングレスのため、ロボットに視覚センサや力覚センサを併用することが多いが、視覚センサは、奥行き方向に誤差を有しており、高い精度を出すにはコストがかかる。また、アーム先端に取り付けた力覚センサを用いる場合は、突き当て動作(アーム先端を作業対象物に軽く接触させること)により得られる接触情報から奥行き方向を計測することはできるが、力覚センサは高価でかつ壊れやすい。力覚センサの代わりに接触力を検知するための機構を付加することも、コスト高の要因になる。
そこで、追加のセンサ等を用いずにロボットアームの各関節を駆動するモータのエンコーダ値等に基づいてアーム先端に生じる外力を推定することが求められている。
特開2013−198955公報 特許第3878054号公報
本発明が解決しようとする課題は、ロボットアームの先端に加わる外力を高精度に推定することができるロボット制御装置を提供することである。
実施形態のロボット制御装置は、リンクと、前記リンクを回転駆動するモータと、を含むロボットアームに用いられるロボット制御装置であって、前記モータの角速度と電流指令値に基づいて前記リンクの回転角の変化量を含む第1の推定値と前記モータの回転角の変化量を含む第2の推定値を導き、前記第1の推定値と前記第2の推定値の差分に基づいて前記ロボットアームに生じる外力を導出する導出部と、を備える。
実施形態のロボット制御方法は、リンクと、前記リンクを回転駆動するモータと、を含むロボットアームに用いられるロボット制御装置におけるロボット制御方法であって、前記モータの角速度と電流指令値に基づいて前記リンクの回転角の変化量を含む第1の推定値と前記モータの回転角の変化量を含む第2の推定値を導き、前記第1の推定値と前記第2の推定値の差分に基づいて前記ロボットアームに生じる外力を導出する。
実施形態のピッキング装置は、上記ロボット制御装置と、保持機構と移動機構の少なくとも一方を含む。
第1の実施形態にかかるロボット制御装置の制御対象の2リンクロボットアームの断面図の一例を示す図である。 ロボットアームの1リンク分を示す模式図である。 ロボットアーム各軸の位置、速度制御系を示すブロック図である。 たわみ加速度を用いたロボット制御装置のブロック図を示す。 第1の実施形態にかかるオブザーバ部を示すブロック図である。 図4に示すオブザーバ部に基づいたアーム先端のたわみ加速度を推定するオブザーバ部を示すブロック図である。 第1の実施形態にかかるロボット制御装置を用いて推定したリンク先端のたわみ加速度推定値を示す図である。 第2の実施形態にかかるロボット制御装置のオブザーバ部の一例を示す図である。 第2の実施形態にかかるロボット制御装置を用いて推定したリンク先端のたわみ速度推定値を示す図である。 第3の実施形態にかかるロボット制御装置のオブザーバ部の一例を示す図である。 第3の実施形態にかかるロボット制御装置を用いてい推定したPI制御出力値を示す図である。 第1乃至3の実施形態にかかるロボット制御装置を含むピッキング装置の一例を示す側面図と正面図である。 物品Gを載置した棚と対向した場合のピッキング装置を示す図である。
以下、図面を参照して実施形態にかかるロボット制御装置について説明する。同じ符号が付されているものは同様のものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係や部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について図1を参照して説明する。図1は第1の実施形態にかかるロボット制御装置の制御対象の2リンクロボットアームの断面図の一例を示す図である。
このロボットアームは、基台1の上部に第1リンク3の一端が取り付けられており、第1リンク3の他端には第2リンク8が取り付けられている。
基台1は、第1モータ4、第1減速機5、第1エンコーダ6を有する。第1リンク3は、第2モータ9、第2減速機10、第2エンコーダ11を有する。第2リンク8の先端には、負荷12を有し、第2リンク8の先端の負荷12で作業対象物(ワーク)と接触する。
ロボット制御装置13は、第1モータ4及び第1エンコーダ6とバネ特性を持つ第1減速機5との組合せにより、第1軸2を中心として第1リンク3を水平旋回させる。好ましくは、第1モータ4、第1エンコーダ6及び第1減速機5は、第1軸2を中心に同軸上に配置されるのが良い。また、ロボット制御装置13は、第2モータ9及び第2エンコーダ11とバネ特性を持つ第2減速機10との組合せにより、第2軸7を中心として第1リンク3に対して第2リンク8を水平旋回させる。好ましくは、第2モータ9、第2エンコーダ11及び第2減速機10は、第2軸7を中心に同軸上に配置される。
基台1は、第1軸2のまわりに回転可能な第1リンク3を支持する。また、基台1は、金属製の筐体であり外部から第1モータ4等に衝撃が加わるのを防止する。基台1は、金属製に限定されず樹脂製等であっても良い。
第1リンク3は、一端が基台1内の第1減速機5と繋がる。第1リンク3の他端には、第2モータ9、第2減速機10と第2エンコーダ11が設置される。第2軸7のまわりに回転可能な第2リンク8の一端は、第2減速機10と繋がる。第1リンク3及び第2リンク8は、ロボットのアーム部にあたる。
第1減速機5、第2減速機10は、第1モータ4、第2モータ9にそれぞれ設置されモータの回転速度を減速し、第1リンク3、第2リンク8の回転速度を定める。減速比は、モータの回転数等により適宜調整される。
第1エンコーダ6、第2エンコーダ11は、第1モータ4、第2モータ9にそれぞれ設置されモータの回転角等をセンシングしてロボット制御装置13に出力する。第1エンコーダ6、第2エンコーダ11は、位置検出のセンサやトランスデューサ等で良い。
負荷12は、第2リンク8の先端部であり作業対象物と接触する箇所である。負荷12は、第2リンク8の一部であるが作業対象物に接触しやすい形状となっているのが好ましい。例えば、突起等を設けても良い。負荷12の位置は、第2リンク8の先端部に限定されず、第2リンク8の側面部等も含む。
図2は、ロボットアームの1リンク分を示す模式図である。これは、2慣性系と呼ばれる。このロボットアームは、弾性関節を有するシリアル2リンクアームとして非線形動力学モデルで表すことができる。図2では、1リンク分の非線形動力学モデルの導出に必要な物理パラメータ、慣性モーメント、摩擦係数、及びバネ係数等について第1軸を代表して示す。図2に示すように、モータ20によってリンク30が減速機25を介して駆動制御される。第1軸に関しては、モータ20のトルク入力がuで表され、モータ20の慣性モーメントがmM1で表され、モータ20の回転角、すなわちエンコーダによって検出された出力がθM1で表され、モータ20の粘性摩擦係数がdM1で表され、モータ20のクーロン動摩擦係数がfM1で表され、減速機25の減衰係数がdG1で表され、減速機25のバネ係数がkG1で表され、リンク30の慣性モーメントがmL1で表され、リンク30の粘性摩擦係数がdL1で表され、リンク30の回転角がθL1で表される。
図示を省略するが、第2軸に関しては、モータ20のトルク入力がuで表され、モータ20の慣性モーメントがmM2で表され、モータ20の回転角、すなわちエンコーダによって検出された出力がθM2で表され、モータ20の粘性摩擦係数がdM2で表され、モータ20のクーロン動摩擦係数がfM2で表され、減速機25の減衰係数がdG2で表され、減速機25のバネ係数がkG2で表され、リンク30の慣性モーメントがmL2で表され、リンク30の粘性摩擦係数がdL2で表され、リンク30の回転角がθL2で表される。
これにより、2リンクアームの非線形動力学モデルでは、2次元ベクトルとして、モータ20のトルク入力がuで表され、モータ20の慣性モーメントがmで表され、モータ20の回転角、すなわちエンコーダによって検出された出力がθで表され、モータ20の粘性摩擦係数がdで表され、モータ20のクーロン動摩擦係数がfで表され、減速機25の減衰係数がdで表され、減速機25のバネ係数がkで表され、リンク30の慣性モーメントがmで表され、リンク30の粘性摩擦係数がdで表され、リンク30の回転角がθで表される。
弾性関節を有するシリアル2リンクアームの非線形動力学モデルは、モータ側が式(1)で与えられ、リンク側が式(2)で与えられる。
Figure 0006895242

Figure 0006895242
ただし、
Figure 0006895242
である。
ここで、α、β、γをリンクの長さや重心位置、質量、慣性により構成されるパラメータとすると、リンクの慣性行列は式(3)のように表される。
Figure 0006895242
さらに、パラメータα、β、γの詳細は、式(4)のようになる。
Figure 0006895242
ただし、
Figure 0006895242
である。
遠心力、コリオリ力ベクトルについては式(5)のようになる。
Figure 0006895242
モータ角速度制御系については、PI(比例、積分)制御をFF−I−P(フィードフォワード−積分−比例)制御として2自由度PI制御にした式(6)で与えられる。
Figure 0006895242
ただし、
Figure 0006895242
である。
図3は、ロボットアーム各軸の位置、速度制御系を示すブロック図である。
図3に示すように、2自由度PI速度制御系は、位置制御系(P制御)の内側にカスケード接続された制御系として構成される。なお、図3においては、第1軸に関する2自由度PI速度制御系を示している。
以下、位置制御系を除いたモータの角速度制御系に焦点を当て、制御周期が十分短いものと仮定し、これによりモータの角度制御系が連続系であるとして説明を行う。
まず、式(1)の物理パラメータを公知の方法で同定し、次に、同定された物理パラメータを式(1)及び速度フィードバック制御則を表す式(6)に代入する。これにより、2リンクロボットアームの速度制御系のシミュレーションモデルが構築される。
本実施形態では、このシミュレーションモデルを用いて、ロボットアームの先端たわみ加速度等を推定するオブザーバ部(演算部または導出部とも称される)を構成する。
図4は、ロボット制御装置13のブロック図の一例を示す。
ロボット制御装置13は、速度PI制御された動力学モデルに基づくオブザーバ部131と、閾値指定部132と、外力判定部133と、接触位置記憶部134と、反転起動生成部135とを有する。
オブザーバ部131では、第1モータ4、第2モータ9のトルク入力(電流指令値)と、 第1エンコーダ6、第2エンコーダ11からのエンコーダ値とを受け取り、2リンクアーム非線形動力学モデルを用いてたわみ加速度の推定値を求めている。
閾値指定部132では、作業者(ユーザ)等があらかじめ指定するアーム先端に加わる外力の閾値が指定される。閾値指定部132(指定部とも称される)には、図示しない入力部があり、作業者がその入力部により直接閾値を指定しても良い。また、アームの剛性等を考慮して所定の値が設定されていても良い。入力部は、コンピュータや携帯端末等で入力しても良い。ここでいう外力とは、リンクに生じる外部からの加速度のことを示すが、加速度以外にも速度や外乱トルク等を含む。
外力判定部133(判定部とも称される)は、閾値指定部132で指定された閾値と、オブザーバ部131で導出されたアーム先端のたわみ加速度とを比較する。外力判定部133は、閾値とたわみ加速度を比較してたわみ加速度が閾値以上の場合に外部からの外力有りと判定し、たわみ加速度が閾値より小さい場合に外部からの外力無と判定する。上記判定は、たわみ加速度が閾値より大きい場合に外部からの外力有りと判定し、たわみ加速度が閾値以下の場合に外部からの外力無と判定しても良い。外部からの外力とは、突き当て動作によって、ロボットアーム先端の第2リンク8の負荷部12に生じる外力である。
接触位置記憶部134(記憶部とも称される)は、外力判定部133が比較する閾値とたわみ加速度から、たわみ加速度が閾値を超えたときの(たわみ加速度と閾値が等しい場合でも良い)、各軸のモータのエンコーダ値を記憶する。エンコーダ値は、モータの回転角、回転数、モータの速度、モータの負荷等の値である。接触位置記憶部134は、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
反転起動生成部135(生成部とも称される)は、突き当て動作によって発生する外力による衝撃を抑制するために、アームを作業対象物とは逆方向に動作させる軌道を生成する。この動作により、アームを作業対象物の表面から離して停止させる。
オブザーバ部131、外力判定部133及び反転起動生成部135での計算は、コンピュータのCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)等で行われる。
次に、本実施形態のオブザーバ部について詳しく説明する。
図5は、第1の実施形態にかかるオブザーバ部を示すブロック図である。
図5に示すように、オブザーバ部131は、第1および第2軸のPI制御器1311、1312と、2リンクアームの非線形動力学モデル1313と、非線形動力学モデル1313を積分する積分器群1314a〜1314d、1315a〜1315dとを有する。PI制御器1311は、第1軸を駆動するモータの速度dθM1/dtと第1軸を駆動するモータの回転速度の推定値との偏差に基づいてPI制御する。PI制御器1312は、第2軸を駆動するモータの速度dθM2/dtと第2軸を駆動するモータの回転速度の推定値との偏差に基づいてPI制御する。2リンクアームの非線形動力学モデル1313は、PI制御器1311の出力と第1軸の操作量uとの和となる第1入力τおよびPI制御器1312の出力と第2軸の操作量uとの和となる第2入力τに基づいて非線形動力学モデルに基づいて第1および第2リンクの角加速度の推定を行うとともに第1および第2リンクをそれぞれ駆動するモータの角加速度の推定を行い、推定した角加速度を出力する。積分器1314aは、非線形動力学モデル1313から出力される第1リンクの角加速度の推定値を積分し、角速度の推定値を出力する。積分器1314bは、積分器1314aの出力を積分し、第1リンクの回転角の推定値を出力する。積分器1314cは、非線形動力学モデル1313から出力される第1リンクを駆動するモータの角加速度の推定値を積分し、上記モータの角速度の推定値を出力する。積分器1314dは、積分器1314cの出力を積分し、第1リンクを駆動するモータの回転角の推定値を出力する。積分器1315aは、非線形動力学モデル1313から出力される第2リンクの角加速度の推定値を積分し、角速度の推定値を出力する。積分器1314bは、積分器1314aの出力を積分し、第2リンクの回転角の推定値を出力する。積分器1314cは、非線形動力学モデル1313から出力される第2リンクを駆動するモータの角加速度の推定値を積分し、上記モータの角速度の推定値を出力する。積分器1314dは、積分器1314cの出力を積分し、第2リンクを駆動するモータの回転角の推定値を出力する。
これらの第1および第2リンクの角加速度の推定値、第1および第2リンクの角速度の推定値、第1および第2リンクを駆動するモータの角速度の推定値、およびモータの回転角の推定値は、それぞれオブザーバ部131から出力される。
すなわち、図5に示すオブザーバ部131は、ロボットアームの非線形動力学モデル1313を内蔵し、PI制御器1311、1312のオブザーバゲインは、ロボットアーム各軸の既存の速度制御系のPI制御ゲインをそのまま使用するシミュレーションモデルである。つまり、通常のオブザーバゲイン調整にかかるエンジニアリングコストが全くない。これは、前記物理パラメータが精度良く同定されていることによって達成される。
非線形動力学モデルに基づくPI制御型オブザーバは、式(1)を変形した式(7)のような2階微分形式で表される。なお、式(7)において、^は推定値を表す。
Figure 0006895242
ただし、
Figure 0006895242
である。
このように、オブザーバ部131には、モータの角速度(エンコーダ差分)とモータドライバへの入力電圧(電流指令値)が入力される。ここでPI制御系1311、1312のオブザーバゲインは、実機の速度ループのFF−I−P制御(2自由度PI制御)のPとIのゲインと同じものを選んでおり、この場合、オブザーバの追従性能の1自由度だけを考えれば良いので、FF=PのようにPI制御として設定する。このシステムは、ゲインが一定の非線形オブザーバの一種である。
式(7)をロボット制御装置13に実装し、リアルタイムで積分器群1314、1315のように2回積分(実際は数値積分)することによって状態推定ができる。
これにより、軸ねじれ角加速度の推定値は、各リンクの角加速度推定値とモータの角加速度推定値との差分から、式(8)のように求められる。
Figure 0006895242
ここで、ロボットアームの各リンクの長さをl、l、アーム先端の座標をP(x、y)とすると、以下の式(9)により導出できる。
Figure 0006895242
式(9)の両辺を微分すると、ヤコビ行列J(θ)を用いて、式(10)が得られる。
Figure 0006895242
式(10)を用いると、軸ねじれ角速度とアーム先端のたわみ速度の関係として、式(11)が得られる。
Figure 0006895242
さらに、式(11)の両辺を微分すると、軸ねじれ角加速度とアーム先端のたわみ加速度の関係として、式(12)が導かれる。
Figure 0006895242
ただし、本実施形態で想定されるアームの動作速度は小さく、微分の過程で現れるdJ(θ)/dtは無視できるほど小さいと仮定した。なお、軸ねじれ角は微小であるのでJ(θ)は、J(θ)=J(nθ)として、計測できるモータ角度から導出可能である。
図6は、図5に示すオブザーバ部に基づいたアーム先端のたわみ加速度を推定するオブザーバ部を示すブロック図である。図6のオブザーバ部を用いることにより、軸ねじれ角加速度を導出し、式(12)の座標変換を用いることにより、アーム先端のたわみ加速度を求めることができる。
詳しく述べると、図6に示すように、第1リンク3の角加速度の推定値、第1リンク3とこの第1リンク3を駆動する第1モータ4との間に設けられる第1減速機5の減速比nG1、および第1リンク3を駆動する第1モータ4の角加速度の推定値に基づいて、第1軸ねじれ角加速度の推定値を演算し、この推定値が出力される(式(8)に基づく)。同様に、第2リンク8の角加速度の推定値、第2リンク8とこの第2リンク8を駆動する第2モータ9との間に設けられる第2減速機10の減速比nG2、および第2リンク8を駆動する第2モータ9の角加速度の推定値に基づいて、第2軸ねじれ角加速度の推定値を演算し、この推定値が出力される(式(8)に基づく)。この第1軸ねじれ角加速度推定値と第2軸ねじれ角加速度推定値を式(12)の座標変換することにより、アーム先端のたわみ加速度が求められる。
また、接触位置記憶部134に記憶された外力判定部133が外力有と判定した時の第1エンコーダ6と第2エンコーダ11の値と、各リンクの長さを用いて式(9)から作業対象物の座標P(x、y)が導出される。座標P(x、y)は、反転起動生成部135で導出しても良いし、オブザーバ部131で導出しても良い。
次に、本実施形態にかかるロボット制御装置を用いた場合のアームたわみ加速度の推定値と、力覚センサを用いてアーム先端の接触力を計測した場合とを比較する。
図7は、突き当て動作における時間応答波形を示す。図7(a)は、突き当て動作時の接触力をアーム先端に装着した力覚センサで計測した波形である。図7(b)は、本実施形態にかかるロボット制御装置を用いて推定した突き当て動作時のアーム先端のたわみ加速度の波形である。
図7(a)と(b)の比較から、推定したアーム先端のたわみ加速度は、アーム先端の突き当ての瞬間を精度良く推定できているのが解る。
本実施形態にかかるロボット制御装置を用いることにより、力覚センサ等を特別に設置しなくても、高い精度でアームに加わる外力を推定できる。
また、本実施形態にかかるロボット制御装置を用いることにより、別途力覚センサ等を設置する必要が無い為、低コスト化及び省スペース化が図れる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図8を参照して説明する。図8は、第2の実施形態にかかるロボット制御装置のオブザーバ部の一例を示す図である。
本実施形態のオブザーバ部は、たわみ加速度推定値の代わりに、たわみ速度推定値を出力ことが第1の実施形態にかかるロボット制御装置と異なる。その他の構成については、第1の実施形態にかかるロボット制御装置と同様である。
図8に示すように、たわみ速度推定値を導出するための軸ねじれ角速度推定値は、各リンクの角速度推定値と各モータの角速度推定値との差分から求められる。
詳しく述べると、このオブザーバ部131において、第1リンク3の角速度の推定値、第1リンク3とこの第1リンク3を駆動する第1モータ4との間に設けられる第1減速機5の減速比nG1、および第1リンク3を駆動する第1モータ4の角速度の推定値に基づいて、第1軸ねじれ角速度の推定値を演算し、この推定値が出力される。同様に、第2リンク8の角速度の推定値、第2リンク8とこの第2リンク8を駆動する第2モータ9との間に設けられる第2減速機10の減速比nG2、および第2リンク8を駆動する第2モータ9の角速度の推定値に基づいて、第2軸ねじれ角速度の推定値を演算し、この推定値が出力される。これらのねじれ角速度推定値を式(11)に基づく座標変換を行うことにより、たわみ速度推定値が得られる。
図9は、ロボットアームの突き当て動作時に、本実施形態にかかるロボット制御装置を用いて推定したリンク先端のたわみ速度推定値の波形である。図7(b)で示した、たわみ加速度推定値の結果の方が、力覚センサで測定した図7(a)の波形との類似度が高いことが解る。ただし、たわみ速度の方が波形の安定性が高いため閾値の指定がし易いという利点がある。たわみ加速度とたわみ速度を組合せることにより精度の高い外力の判定ができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図10を参照して説明する。図10は、第3の実施形態にかかるロボット制御装置のオブザーバ部の一例を示す図である。
本実施形態のオブザーバ部は、たわみ加速度推定値の代わりに、PI制御出力値を出力することが第1の実施形態にかかるロボット制御装置と異なる。その他の構成については、第1の実施形態にかかるロボット制御装置と同様である。
図10に示すように、PI制御1311及び1312からそれぞれ出力されるΔu、Δuを用いる。PI制御出力値は、オブザーバ部の推定誤差と外乱トルクを含むので、閾値を設定することによって、外乱トルクだけを抽出することができる。
図11は、ロボットアームの突き当て動作時に、推定したPI制御出力値の波形である。
図11中に示すピーク箇所がリンクと作業対象物との接触点を示している。ノイズレベルが比較的大きいため、やや閾値が指定がし難いが、オブザーバ部によるフィードバックがあるため、非線形動力学モデルを開ループで用いる場合より閾値を小さくすることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態について図12と図13を参照して説明する。図12は、第1乃至3の実施形態にかかるロボット制御装置13を含むピッキング装置100の一例を示す側面図と正面図である。図13は、物品Gを載置した棚110と対向した場合のピッキング装置100を示す図である。
ここで、説明の便宜上、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向、+Z方向、および−Z方向について定義する。+X方向、−X方向、+Y方向、および−Y方向は、例えば、略水平面に沿う方向である。−X方向は、+X方向の反対方向である。実施形態において、−X方向は「物品Gをピッキング装置100に引き寄せる方向」である。「物品Gを引き寄せる方向」とは、図13に示す、棚110からピッキング装置100への方向である。+Y方向は、+X方向と交差する方向(例えば略直交する方向)である。−Y方向は+Y方向の反対方向である。+Z方向は、+X方向および+Y方向と交差する方向(例えば略直交する方向)であり、例えば略鉛直上向き方向である。−Z方向は+Z方向の反対方向であり、例えば略鉛直下向き方向である。
図13に示すように、ピッキング装置100は、例えば床面に設置される棚110に対向するように移動し、棚110に載置された物品Gをピッキングする。棚110は、ピッキング装置100が横方向(+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向)から物品Gを認識し、さらにピッキングできるように、例えば側面に空間を有する。物品Gとは、段ボール箱等に入れられた製品、パッケージされた製品、製品単品等を含む。
図12に示すように、ピッキング装置100は、台車120と、物品Gを保持する保持機構170と、保持機構170を移動する移動機構140と、保持機構170により保持した物品を入れる荷台150を有する。
台車120は、保持機構170、移動機構140と荷台150を乗せる基台121を有し、基台121には例えば4つの車輪122が備えられる。台車120は、車輪122が回転することにより棚110が設置される床面上を移動する。移動する手段としては車輪に限定されず、キャタピラのようなものでも良いし、倉庫内等にあらかじめ設置されたレール等を移動しても良い。
台車120は、AGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)であり、車輪122の駆動を制御する制御部を有する。制御部は、慣性センサ等の位置センサや画像センサを有し、これらのセンサにより走行路上の自車位置を計測する。制御部は、工場や倉庫内の棚位置や走行路のレイアウト情報を記憶しており、レイアウト情報とセンサ等から取得した自車位置情報から目標経路を走行する。棚位置や走行路のレイアウトが変更された場合は、制御部内のレイアウト情報を変更する。上述した台車120は、慣性センサ等により自車位置を把握するいわゆるガイドレス方式について説明したが、それに限定されず、例えば工場や倉庫等の床等に設置された誘導線や磁気テープ等により走行経路を把握するガイド方式であっても良い。
保持機構170は、アーム171と、アーム171の一端に設けられアーム171を回転する回転軸172と、アーム171の他端に設けられ物品Gを保持する保持部173と、アーム171と保持部173の間に関節部174を有する。
アーム171は、保持部173を物品Gに近づける。アーム171は、例えば、アルミニウム合金、プラスチック材料等で形成される。軽く剛性の高いものなら何でもよい。また、アーム171は、多関節の構造としても良い。
回転軸172は、モータ、減速機、ベアリングとエンコーダで構成される。モータ、減速機、ベアリングは同軸状に配置される。エンコーダは、モータの回転角、回転数、モータの速度、モータの負荷等を検出する。
保持部173は、物品Gを保持する。
保持部173は、複数の吸着パッド(図示しない)を有し、真空ポンプ(図示しない)等に繋がれる。吸着パッドを物品Gに接触させ、真空ポンプにより物品Gと吸着パッドの間を減圧することにより物品Gを吸着保持する。保持部133は、吸着パッドにより吸着する場合に限定されず、複数の爪で挟持する保持方式であっても良い。真空ポンプは、台車120の中に設置されても良い。
関節部174は、保持部173をアーム171の長手方向を軸に捩じれ方向に回転する関節1741と、アーム171の長手方向と垂直な方向を軸に保持部173を回転する関節1742とを有する。関節1741と関節1742には、それぞれサーボモータが設けられ、保持部173を所定の方向へ駆動する。上述したように関節部174は、2つの関節を有することを説明したが、それに限定されず、例えばボールジョイント等を用いても良い。第1乃至3にかかるロボット制御装置は、2リンクアーム(2軸アーム)を想定しているため、第1乃至3にかかるロボット制御装置を用いてアームに生じる外力や物品Gの位置情報等を推定する場合、捩じれ方向に回転する関節1741は、駆動しない。
次に、移動機構140について説明する。
移動機構140は、第1移動部141と、第2移動部142と、第3移動部143と、を有し、保持機構170を3軸方向に移動する直動機構である。具体的には、第1移動部141には、保持機構170の回転軸172が設置され、第1移動部141は回転軸172を+X方向または−X方向に移動する。X方向は、保持機構170を棚に近づける方向もしくは遠ざける方向である。第2移動部142は、台車120の基台121に対して垂直に設置され、第1移動部141と略垂直に接続される。第2移動部142は第1移動部141を+Z方向または−Z方向に移動する。つまり、第2移動部142は、保持機構170を+Z方向または−Z方向に移動する。第3移動部143は、基台121上かつ基台121の上面と水平に設置される。第3移動部143は、第2移動部142と略垂直に接続される。別の観点で見ると、第3移動部143は、第1移動部141と略垂直である。第3移動部143は、第2移動部142を+Y方向または−Y方向に移動する。つまり、第3移動部143は、保持機構170を+Y方向または−Y方向に移動する。Y方向は、ピッキング装置100が物品Gをピッキングする際に棚に対して平行な方向である。
第1移動部141、第2移動部142と第3移動部143は、移動方向である3軸方向にそれぞれ平行に配置され、軸方向にスライドするように移動する。
移動機構140には、例えば、ステッピングモータを搭載した電動スライダの直動機構を用いても良い。また、電動スライダに代わり電動シリンダを用いても良い。
移動機構140には、棚110までの距離や棚110に載置された物品Gまでの距離、形状や載置状態を認識する認識部160が設置される。認識部160は、第1移動部141の先端に設置される。
認識部160には、距離画像センサまたは赤外線ドットパターン投影方式カメラなどの三次元位置計測可能なカメラを利用することができる。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、赤外線のドットパターンを対象物体に投影し、この状態で棚10に載置された物品Gの赤外線画像を撮影する。赤外線画像を解析することで物品Gの3次元情報を得ることが可能である。
荷台150は、保持機構170により保持された物品Gを移載する箇所である。荷台150は、台車120の基台上に設置される。荷台150は、移載部151と第4移動部152と、を有する。移載部151は、コンテナ、箱、カゴや板状のステージ等で構成される。第4移動部152は、台車120の基台121上に略垂直に設置され、移載部151を+Z方向または−Z方向に移動可能である。第4移動部152は、例えば、ステッピングモータを搭載した電動スライダの直動機構を用いても良い。また、電動スライダに代わり電動シリンダを用いても良い。アーム171が駆動する際、荷台150は、アーム171に接触しないように+Z方向または−Z方向に移動する。
第1乃至3の実施形態にかかるロボット制御装置13は、台車120の制御部に内蔵される。ロボット制御装置13は、保持機構170の回転軸172及び関節部174に設置されるモータの電流指令値やエンコーダ値(モータ角速度等)を取得する。そして、電流指令値と角速度の情報に基づいて保持部173に生じる外力を推定する。外力を推定するためのオブザーバ部171での導出方法や閾値指定部172での閾値の設定は、第1乃至3にかかるロボット制御装置と同様である。
本実施形態にかかるピッキング装置100は、棚110や棚110に載置された物品Gに保持部173を突き当てることにより認識部160では正確に認識できない棚110や物品Gの位置情報を正確に取得できる。
また、認識部160とロボット制御装置13を用いた保持部173の突き当て動作を組合せることにより物品Gの保持を精度良く行うことができる。
また、ロボット制御装置13により、棚110や物品Gの位置情報をキャリブレーションすることにより認識部160を複数有さなくても正確な位置情報を取得することができる。
また、第1乃至3にかかるロボット制御装置が推定するリンクの角速度及び速度は、第1の推定値とも称され、モータの角速度及び速度は、第2の推定値とも称される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 基台
2 第1軸
3 第1リンク
4 第1モータ
5 第1減速機
6 第1エンコーダ
7 第2軸
8 第2リンク
9 第2モータ
10 第2減速機
11 第2エンコーダ
12 負荷
13 ロボット制御装置
20 モータ
25 減速機
30 リンク
100 ピッキング装置
110 棚
120 台車
121 基台
122 車輪
131 オブザーバ部
1311、1312 PI制御
1313 非線形動力学モデル
1314、1315 積分器
132 閾値指定部
133 外力判定部
134 接触位置記憶部
135 反転起動生成部
140 移動機構
141 第1移動部
142 第2移動部
143 第3移動部
150 荷台
151 移載部
152 第4移動部
160 認識部
170 保持機構
171 アーム
172 回転軸
173 保持部
174 関節部

Claims (9)

  1. リンクと、前記リンクを回転駆動するモータと、を含むロボットアームに用いられるロボット制御装置であって、
    前記モータのエンコーダ値と電流指令値に基づいて前記リンクの回転角の変化量を含む第1の推定値と前記モータの回転角の変化量を含む第2の推定値を導き、前記第1の推定値と前記第2の推定値の差分に基づいて前記ロボットアームの前記リンクに外力で生じる加速度を導出する導出部と、を備え
    前記第1推定値は前記リンクの角加速度であり、前記第2の推定値は前記モータの角加速度であるロボット制御装置。
  2. 閾値を指定する指定部と、前記閾値と前記外力に基づいて前記外力の有無を判定する判定部と、を更に備え、
    前記判定部は、前記外力が前記閾値より大きい場合に外力有と判定し、前記外力が前記閾値より小さい場合に外力無と判定する請求項1に記載のロボット制御装置。
  3. 前記判定部が外力有と判定したときの前記モータの回転角を記憶する記憶部を更に備える請求項2に記載のロボット制御装置。
  4. 前記判定部が外力有と判定したときに、前記外力を緩和するための前記リンクの動作を生成する生成部を更に備える請求項2または3に記載のロボット制御装置。
  5. 前記生成部は、前記記憶部が記憶した前記モータの回転角と前記リンクの長さに基づいて前記外力が生じた際の前記リンクの位置情報を導出する請求項4に記載のロボット制御装置。
  6. 前記導出部は、前記差分を座標変換する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
  7. リンクと、前記リンクを回転駆動するモータと、を含むロボットアームに用いられるロボット制御装置であって、
    前記モータのエンコーダ値と電流指令値に基づいて前記リンク及び前記モータのPI制御出力値を導き、前記PI制御出力値に基づいて前記ロボットアームに生じる外乱トルクを導出する導出部と、を備えるロボット制御装置。
  8. リンクと、前記リンクを回転駆動するモータと、を含むロボットアームに用いられるロボット制御装置におけるロボット制御方法であって、
    前記モータのエンコーダ値と電流指令値に基づいて前記リンクの回転角の変化量を含む第1の推定値と前記モータの回転角の変化量を含む第2の推定値を導き、前記第1推定値は前記リンクの角加速度であり、前記第2の推定値は前記モータの角加速度であり、前記第1の推定値と前記第2の推定値の差分に基づいて前記ロボットアームの前記リンクに外力で生じる加速度を導出するロボット制御方法。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のロボット制御装置と、
    保持機構と移動機構の少なくとも一方を含むピッキング装置。
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