JP6894588B2 - 調光素子、調光機器、及び、調光素子の製造方法 - Google Patents

調光素子、調光機器、及び、調光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、調光素子、調光機器、及び、調光素子の製造方法に関する。
電圧を印加することにより光の反射率を可変にする調光素子が提案されている(特許文献1参照)。調光素子は、光学特性を可逆的に変化させる。調光素子は、例えば、光を透過する透過状態、または、光を反射する鏡状態に可逆的に変化する。調光素子の採用例として、調光素子を建物や乗り物における窓材に適用した例がある。かかる窓材において、周囲環境に応じて光学特性が変化するので、冷暖房負荷が低減される。
調光素子において、反射率の変更を行う方式の1つとして、エレクトロクロミック方式がある。エレクトロクロミック方式の調光素子として、ガラス基板上に、透明導電膜層、プロトン蓄積層、電解質層、触媒層及び調光ミラー層を積層したものが、提案されている。この反射型調光素子では、プロトン蓄積層と調光ミラー層間において、プロトン(水素イオンH+ )が移動することにより、反射率が変化する。反射型調光素子において、所定方向に電圧を印加すると、プロトンがプロトン蓄積層から、電解質層、触媒層を介して、調光ミラー層に移動し、調光ミラー層の反射率が変化する。電圧を逆方向に印加すると、プロトンが調光ミラー層からプロトン蓄積層に戻り、調光ミラー層の反射率が元に戻る。
エレクトロクロミック方式の調光素子において、電解質層に求められる特性は、イオン伝導度が高いこと、すなわち、プロトンが移動可能であること、及び電子伝導度が低いことである。このような電解質層に用いられる材料として、酸化タンタル(Ta2 5 )や酸化ジルコニウム(ZrO2 )がある。また、触媒層として用いられる材料として、パラジウム(Pd)やプラチナ(Pt)がある。
特許第5136978号公報
従来の調光素子の製造時において、正常に動作しない調光素子が製造されることが知られている。すなわち、調光素子の製造において、歩留まりが低下する場合がある。
本開示の一側面は、調光素子の製造における、歩留まりの低下を抑制することを目的とする。
本開示の調光素子は、透明導電膜と、前記透明導電膜の上のプロトン蓄積層と、前記プロトン蓄積層の上の無機電解質層と、前記無機電解質層の上の有機電解質層と、前記有機電解質層の上の触媒層と、前記触媒層の上の調光ミラー層とを有する。
本開示の一側面によれば、調光素子の製造における、歩留まりの低下を抑制することができる。
調光素子の構成を示す断面図である。 調光素子の製造工程の概略を示すフローチャートである。 実施例1及び比較例1の調光素子の構成を示す断面図である。 交流インピーダンス測定の結果を示すグラフである。 CV測定についての説明図である。 CV測定の結果を示すグラフである。 実施例2の調光素子の構成を示す断面図である。 実施例2のCV測定の結果を示すグラフである。 実施例3の調光素子の構成を示す断面図である。 実施例3のCV測定の結果を示すグラフである。 実施例4の調光素子の構成を示す断面図である。 実施例4のCV測定の結果を示すグラフである。 実施例5の調光素子の構成を示す断面図である。 実施例5のCV測定の結果を示すグラフである。 実施例6の調光素子の構成を示す断面図である。 実施例6のCV測定の結果を示すグラフである。 比較例2の調光素子の構成を示す断面図である。 比較例2のCV測定の結果を示すグラフである。 調光機器の構成を示すブロック図である。
以下、本明細書に開示する調光素子を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。図1は調光素子1の構成を示す断面図である。調光素子1は、基板11面に順に積層された、透明導電膜12と、プロトン蓄積層13と、無機電解質層14と、有機電解質層15と、触媒層16と、調光ミラー層17と、保護層18とを有する。換言すれば、調光素子1は、透明導電膜12と、透明導電膜12の上のプロトン蓄積層13と、プロトン蓄積層13の上の無機電解質層14と、無機電解質層14の上の有機電解質層15と、有機電解質層15の上の触媒層16と、触媒層16の上の調光ミラー層17と、調光ミラー層17の上の保護層18とを有する。上述において、「触媒層16の上に」などの説明で用いられている「上に」とは、積層される層の方向を明示する意味を有し、必ずしも隣接して配置されることを意味するものではない。例えば、「触媒層16の上に調光ミラー層17を形成する」とは、触媒層16と調光ミラー層17とが隣接して配置される場合、及び触媒層16と調光ミラー層17とがその間に他の層を介在させて配置される場合を含む。また、「上に」とは、図面の上方向を示す。
なお、図1は、各層の積層順を示すための説明図であり、各層の厚さや大きさ、各層間においての厚みの厚薄(大小関係)が図示する態様に限定されるものではない。
基板11は、光を透過する透明な板状部材である。基板11は、例えば、板ガラス又は樹脂シート若しくは板ガラス及び樹脂シートを組み合わせたものである。
透明導電膜12は、光を透過する導電性材料、例えば、酸化インジウム(In2 3 )、酸化スズ(SnO2 )、酸化インジウム・スズ合金(In2 3 −SnO2 、ITOと略記される)、酸化亜鉛(ZnO)、FTO(F−doped Tin Oxide、フッ素ドープ酸化スズ)などにより形成される。
プロトン蓄積層13は、プロトン(水素イオンH+ )の蓄積又は放出を可逆的に可能な材料により形成される。プロトン蓄積層13は、例えば、酸化タングステン(WO3 )、酸化モリブデン(MoO2 )、酸化ニオブ(Nb2 5 )、酸化バナジウム(V2 5 )などの遷移金属酸化物により形成される。プロトン蓄積層13が酸化タングステンで形成された場合、プロトン蓄積層13は、プロトンを蓄積した状態では、水素化酸化タングステン(Hx WO3 )に変化する。プロトン蓄積層13は、酸化タングステンから水素化酸化タングステンに変化することにより、透明状態から着色状態に変化する。また、プロトン蓄積層13は、プロトンを放出した状態では、酸化タングステンに変化する。プロトン蓄積層13は、水素化酸化タングステンから酸化タングステンに変化することにより、着色状態から透明状態に変化する。プロトン蓄積層13から放出されたプロトンは、調光ミラー層17に移動する。また、調光ミラー層17から放出されたプロトンは、プロトン蓄積層13に蓄積される。このように、プロトン蓄積層13は、プロトンを蓄積しているか、放出しているかにより、着色状態と透明状態とに可逆的に変化する。
無機電解質層14は、プロトンが通過可能な無機材料、特に透明金属酸化物が望ましい。例えば、無機電解質層14は酸化タンタルで形成される。有機電解質層15は、無機電解質層14と同様にプロトンが通過可能な材料で形成される。さらに、有機電解質層15は、触媒層16を形成する材質(例えば、パラジウムなど)が無機電解質層14に拡散することを防ぐ材質で形成される。なお、有機電解質層15についての詳細は、後述する。
触媒層16は、調光ミラー層17に供給されるプロトン又は調光ミラー層17から放出されるプロトンの移動速度を向上させる材質で形成される。触媒層16はパラジウム、白金、銀などの単体金属又はそれらの合金で形成される。また、触媒層16はパラジウム粒子を分散した二酸化ケイ素により、形成されてもよい。
調光ミラー層17は、触媒層16を介して供給されたプロトンを吸蔵又は吸蔵したプロトンを放出することで、光の透過率を変化させる材質で形成される。調光ミラー層17は例えば、マグネシウム・カルシウム合金(Mg−Ca)や、マグネシウムとニッケル、チタン又はニオブとによる合金により形成される。調光ミラー層17はプロトンを吸蔵した場合には、光を透過する透過状態となる。調光ミラー層17はプロトンを放出した場合には、光を反射する反射状態となる。上述したように、プロトン蓄積層13から放出されたプロトンは、調光ミラー層17に移動する。移動したプロトンは調光ミラー層17に吸蔵される。また、調光ミラー層17から放出されたプロトンは、プロトン蓄積層13に移動する。移動したプロトンはプロトン蓄積層13に蓄積される。このように、調光ミラー層17は、プロトンを吸蔵しているか、放出しているかにより、透過状態と反射状態とに可逆的に変化する。
保護層18は調光ミラー層17が酸化することを防止する材料により形成される。また、保護層18は光の反射率が低い材料で形成される。保護層18が光の反射率が高い材料で形成されると、調光ミラー層17が透過状態であっても、保護層18により光が反射する。保護層18が光を反射することにより、調光素子1全体の透過率が低下する。保護層18は、例えば、アルミニウム(Al)薄膜により形成される。アルミニウム薄膜で形成された保護層18は、調光ミラー層17が酸化することを防止できる。また、アルミニウム薄膜は空気中で酸化され、透明なアルミナに変化する。透明なアルミナに変化することにより、保護層18は調光素子1全体の透過率を低下させない。
図2は、調光素子1の製造工程の概略を示すフローチャートである。調光素子1の製造装置(以下、製造装置と記す)は、最初に調光素子1の基板11を用意する(ステップS1)。製造装置は、基板11上に透明導電膜12を成膜する(ステップS2)。続いて、製造装置は、透明導電膜12上にプロトン蓄積層13を形成する(ステップS3)。更に、製造装置は、プロトン蓄積層13上に無機電解質層14を形成する(ステップS4)。次に、製造装置は、無機電解質層14の上に有機電解質層15を形成する(ステップS5)。そして、製造装置は、有機電解質層15の上に触媒層16を形成する(ステップS6)。そして、製造装置は、触媒層16の上に調光ミラー層17を形成する(ステップS7)。最後に、製造装置は、調光ミラー層17の上に保護層18を形成する(ステップS8)。
各層の形成には、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などを用いる。また、各層を形成する各々の材料が塗布形成できるものであれば、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の各種印刷法などを用いても良い。どのような形成方法を用いるかについては、層を形成する材質や層の厚さなどに応じて選択すれば良い。
また、調光素子1を製造するにあたり、各層を順次積層するのではなく、一又は複数の層を別々に形成したものを貼りあせても良い。調光素子1を構成する各層が担う機能が損なわれないのであれば、既知の様々な製造方法を用いて、調光素子1を製造することが可能である。
次に、調光素子1の有機電解質層15について説明する。以下の説明においては、一例として、触媒層16がパラジウムにより形成され、無機電解質層14が酸化タンタルにより形成される場合について説明する。本明細書に開示する調光素子1においては、無機電解質層14と触媒層16との間に、有機電解質層15が設けられている。有機電解質層15は、ゾルゲル法により形成した酸化タンタル(Ta2 5 )や、PEEK(PolyEther Ether Ketone ポリエーテルエーテルケトン)や、ナフィオン(Nafion、登録商標)などの、有機材料で形成している。有機電解質層15は、上述したように、触媒層16を形成する材質(例えば、パラジウムなど)が無機電解質層14に拡散することを防ぐために形成されている。なお、酸化タンタル(Ta2 5 )は、五酸化タンタルと記載することもある。
上述したように、従来の調光素子の製造時において、正常に動作しない調光素子(不具合品とも呼ぶ)が製造されることが知られている。
本発明者らは鋭意研究の結果、不具合品が製造される原因を見出した。この原因は、不具合品に含まれる無機電解質層の電気抵抗が小さいため、電圧が効果的にかからず、調光素子においてプロトンが移動しないことにある。調光素子においては透明導電膜と保護層との間に電圧をかけることで、プロトンがプロトン蓄積層と調光ミラー層との間を移動する。透明導電膜と保護層との間に、適切な電圧がかからなければ、プロトンは移動しない。
具体的には、有機電解質層を有しない従来の調光素子(以下、従来調光素子と記す)の製造工程においては、酸化タンタルを含む無機電解質層の上に、パラジウムを含む触媒層が形成される。この形成の際に、パラジウムが無機電解質層に拡散する場合がある。無機電解質層にパラジウムが拡散すると、拡散したパラジウムにより、無機電解質層の電気抵抗が小さくなる。その結果、無機電解質層に電圧を印可しても、電気抵抗が少ないため、無機電解質層にいわゆるリーク電流が流れる。
このように、パラジウムが無機電解質層に拡散すると、従来調光素子全体の電気抵抗が想定した値よりも小さくなる場合がある。その結果、不具合品に電圧を印加しても、プロトンが移動しない。
すなわち、不具合品に電圧を印加して、調光ミラー層を透過状態から反射状態、又は反射状態から透過状態に遷移させようとしても、パラジウムの拡散により無機電解質層の電気抵抗が小さくなり、プロトンの移動が行わなくなるので、かかる遷移が行われない。
従来調光素子に対して、本実施の形態の調光素子1は、無機電解質層14の上に、有機電解質層15が積層され、その上に更に触媒層16が積層された構造を有する。調光素子1の有機電解質層15により、触媒層16に含まれるパラジウムが、触媒層16の積層時に、無機電解質層14に拡散することを防ぐことできる。その結果、パラジウムの拡散による、無機電解質層14における電気抵抗の低下が発生しないので、不具合品の発生を抑制できる。
このように、本実施の形態によれば、不具合品の発生率(調光素子の不良率とも呼ぶ)を下げること、すなわち、調光素子の製造における歩留まりの低下を抑制できる。
次に、有機電解質層15を設けたことによる効果について、具体的な実施例の検証結果を説明する。図3は実施例1及び比較例1の調光素子1の構成を示す断面図である。図3Aは実施例1(有機電解質層15を有する調光素子1)の構成を示す。図3Bは比較例1(従来の調光素子)の構成を示す。図3Bに示した調光素子は、上述したように、調光ミラー層が正常に動作しない不具合品である。なお、図3では基板11の記載を省略している。
検証に用いた実施例1の調光素子1の各層の材質は以下とした。透明導電膜12はITO、プロトン蓄積層13はスパッタ法により形成した酸化タングステン層とした。無機電解質層14はスパッタ法により形成した酸化タンタル層、有機電解質層15はゾルゲル法により形成した酸化タンタル層とした。触媒層16はパラジウムにより形成した。調光ミラー層17はマグネシウム・カルシウム合金により形成した。保護層18はアルミニウムにより形成した。
一方、比較例1の材質は、以下とした。透明導電膜12はITO、プロトン蓄積層13はスパッタ法により形成した酸化タングステン層とした。無機電解質層14はスパッタ法により形成した酸化タンタル層である。触媒層16はパラジウムにより形成した。調光ミラー層17はマグネシウム・カルシウム合金により形成した。保護層18はアルミニウムにより形成した。すなわち、有機電解質層15を設けなかったこと以外は実施例1と同様の構成とした。
なお、図3における“V”は、電圧を印可する回路を模式的に示している。
実施例1及び比較例1の電気的特性を把握するために、交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定とは、周波数を変えながら交流電圧を印加し解析対象のインピーダンスを測定する方法であり、その測定結果から等価回路の同定を行うことが可能となる。
図4は交流インピーダンス測定の結果を示すグラフである。図4に示すグラフは、Cole−Coleプロットと呼ばれるグラフである。図4は、交流インピーダンス法を用いて複数の周波数で、2つの調光素子のインピーダンスを測定し、そのインピーダンススペクトルを複素平面上に描いたものである。図4の縦軸は、虚数領域のインピーダンスであり、単位はΩ(オーム)である。図4の横軸は、実数領域のインピーダンスであり、単位はΩ(オーム)である。図4において、グラフ31が、実施例1の特性を示すグラフである。図4において、グラフ32が、比較例1の特性を示すグラフである。図4のグラフから、比較例1は周波数が高い領域のみで、インピーダンスを持っていることが分かる。それに対して、実施例1は周波数が高い領域のみでなく、周波数が低い領域C1においても、インピーダンスを持つことが分かる。すなわち、比較例1は電荷移動による応答のみしか観測されないのに対し、実施例1は、物質移動による応答も観測されることを示している。すなわち、比較例1はプロトンの移動は起こっていないのに対して、実施例1はプロトンの移動が起こっていることを示している。
次に、実施例1、比較例1の特性を把握するために、CV(Cyclic Voltammetry サイクリックボルタンメトリー)測定を行ったので、その結果について説明する。CV測定とは、例えば、三角波電圧源を用いて、観測系に対して電位を掃引し、電位を測定するというものである。CV測定は、調光素子におけるプロトンの移動のような電気化学反応を観測することが可能である。
図5はCV測定についての説明図である。図5はCV測定によって得られる電位と電流値との関係をグラフで示したものである。横軸は電位で単位はV、縦軸は電流でA/cm2 である。図5はCV測定よって得られる典型的なグラフを2つ示している。グラフ41は電気化学反応が生じない場合に得られるグラフである。グラフ42は電気化学反応が生じた場合に得られるグラフである。
図6はCV測定の結果を示すグラフである。横軸は電位で単位はV、縦軸は電流でmA/cm2 である。グラフ51が比較例1の測定結果を示すグラフである。グラフ52が実施例1の測定結果を示すグラフである。図6に示す結果から、比較例1はプロトンの移動が観測されていないのに対して、実施例1はプロトンの移動が観測されている。グラフ52において、ピークP1付近の波形が調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に対応する観測結果である。ピークP2付近の波形が調光ミラー層17のプロトン放出に対応する観測結果である。したがって、実施例1においては、電気化学反応が生じており、比較例1においては、電気化学反応が生じていないことが分かる。
更に、実施例2〜6及び比較例2についてCV測定の検証を行った。以下で説明する図7、9、11、13、15、17においては、図3と同様に、基板11の記載を省略しており、“V”は、電圧を印可する回路を模式的に示している。また、図8、10、12、14、16、18におけるグラフの横軸及び縦軸の単位は図6と同様である。
図7は、実施例2の調光素子1の構成を示す断面図である。図8は、実施例2のCV測定の結果を示すグラフである。実施例2の調光素子1は、無機電解質層14をイオンプレーティング法により形成した酸化タンタル層とし、プロトン蓄積層13をイオンプレーティング法により形成した酸化タングステン層としたこと以外は実施例1と同様の構成とした。図8に示すように、実施例1と同様に、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に対応するピークと、調光ミラー層17のプロトン放出に対応するピークが観測された。したがって、無機電解質層14をイオンプレーティング法により形成した酸化タンタル層とし、プロトン蓄積層13をイオンプレーティング法により形成した酸化タングステン層とする場合においても、電気化学反応が生じることが分かる。
図9は、実施例3の調光素子1の構成を示す断面図である。図10は、実施例3のCV測定の結果を示すグラフである。実施例3の調光素子1は、調光ミラー層17をマグネシウムニッケル合金により形成したこと以外は実施例1と同様の構成とした。図10に示すように、実施例1と同様に、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に係るピークと、調光ミラー層17のプロトン放出に対応するピークが観測された。したがって、調光ミラー層17をマグネシウムニッケル合金により形成する場合においても、有機電解質層15を設けることにより、電気化学反応が生じることが分かる。
図11は、実施例4の調光素子1の構成を示す断面図である。図12は、実施例4のCV測定の結果を示すグラフである。実施例4は、調光ミラー層17をイットリウム層としたこと以外は実施例1と同様の構成とした。図12に示すように、実施例1と同様に、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に対応するピークと、調光ミラー層17のプロトン放出に対応するピークが観測された。したがって、調光ミラー層17をイットリウム層とする場合においても、有機電解質層15を設けることにより、電気化学反応が生じることが分かる。
図13は、実施例5の調光素子1の構成を示す断面図である。図14は、実施例5のCV測定の結果を示すグラフである。実施例5は、有機電解質層15をナフィオン層としたこと以外は実施例1と同様の構成とした。図14に示すように、実施例1と同様に、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に対応するピークと、調光ミラー層17のプロトン放出に対応するピークが観測された。したがって、有機電解質層15をナフィオン層とする場合においても、電気化学反応が生じることが分かる。
図15は、実施例6の調光素子1の構成を示す断面図である。図16は、実施例6のCV測定の結果を示すグラフである。実施例6は、有機電解質層15をPEEK層により形成したこと以外は実施例1と同様の構成とした。図16に示すように、実施例1と同様に、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵に対応するピークと、調光ミラー層17のプロトン放出に対応するピークが観測された。したがって、有機電解質層15をPEEK層とする場合においても、電気化学反応が生じることが分かる。
図17は、比較例2の調光素子1の構成を示す断面図である。図18は、比較例2のCV測定の結果を示すグラフである。比較例2においては、プロトン蓄積層13はイオンプレーティング法により形成した酸化タングステン層とし、無機電解質層14はイオンプレーティング法により形成した酸化タンタル層としたこと以外は、比較例1と同様の構成とした。図18に示すように、イオンプレーティング法により形成した酸化タングステン層及び酸化タンタル層とし、有機電解質層を設けなかった場合、プロトン移動に係るピークは観測されなかった。したがって、有機電解質層を設けない場合、電気化学反応が生じていないことが分かる。
実施例1〜6及び比較例1、2のCV測定結果より、有機電解質層15を設けることにより、調光ミラー層17からのプロトン吸蔵、調光ミラー層17のプロトン放出が生じ、電気化学反応が生じることが分かる。
以上のように、本実施の形態の調光素子1においては、無機電解質層14と触媒層16との間に、有機電解質層15を設けている。有機電解質層15により、製造工程において、触媒層16を積層する際に、触媒層16を形成するパラジウムが、無機電解質層14に拡散することを防ぐことが可能となる。そして、パラジウムが拡散することにより、調光素子に電圧を印加しても、プロトンの移動が発生しないという不具合を防ぐことが可能となる。このように、有機電解質層15を設けることにより、調光素子の製造における歩留まりの低下を抑制できる。
次に、上述した調光素子1を用いた調光機器について説明する。図19は調光機器10の構成を示すブロック図である。調光機器10は調光素子1と印加回路2とを含む。印加回路2は調光素子1の透明導電膜12と保護層18との間に電圧を印加する回路である。具体的には、印加回路2は、前記透明導電膜12及び前記調光ミラー層17の間に電圧を印加し、前記調光ミラー層17を透過状態から反射状態へ、又は反射状態から透過状態へ遷移させる。
印加回路2は第1の出力端を0(V)としたとき、第2の出力端を+V(V)又は−V(V)とすることが可能となっている。印加回路2は、第2の出力端を+V(V)又は−V(V)とすることにより、調光素子1の調光ミラー層17を反射状態又は透過状態に遷移させ、調光素子1のプロトン蓄積層13を着色状態又は透明状態に遷移させる。具体的には、保護層18の電位が透明導電膜12の電位よりも高くなるように、印加回路2は、調光素子1に第1の電圧(例えば、第1の極性の電圧)を印加する。この印加を所定方向に電圧を印加するという。所定方向に電圧が印加されると、プロトンは調光ミラー層17からプロトン蓄積層13へ移動する。プロトンが移動することにより、調光ミラー層17は反射状態となり、プロトン蓄積層13は着色状態となる。また、保護層18の電位が透明導電膜12の電位よりも低くなるように、印加回路2は、調光素子1に第1の電圧と異なる第2の電圧(例えば、第1の極性と異なる第2の極性の電圧)を印加する。この印加を所定方向と逆の電圧を印加するという。所定方向と逆の電圧(第2の電圧)が印加されると、プロトンはプロトン蓄積層13から調光ミラー層17へ移動する。プロトンが移動することにより、調光ミラー層17は透過状態となり、プロトン蓄積層13は透過状態となる。以上のように調光機器10は印加回路が出力する電圧により、調光素子1の状態を変化させ、光を反射又は透過させる。
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 調光素子
11 基板
12 透明導電膜
13 プロトン蓄積層
14 無機電解質層
15 有機電解質層
16 触媒層
17 調光ミラー層
18 保護層
10 調光機器
2 印加回路

Claims (9)

  1. 透明導電膜と、
    前記透明導電膜の上のプロトン蓄積層と、
    前記プロトン蓄積層の上の無機電解質層と、
    前記無機電解質層の上の有機電解質層と、
    前記有機電解質層の上の触媒層と、
    前記触媒層の上の調光ミラー層とを有する
    調光素子。
  2. 前記触媒層は、前記調光ミラー層に供給又は前記調光ミラー層から放出されるプロトンの移動速度を向上させる材質で形成され、
    前記有機電解質層は、前記触媒層を形成する材質が前記無機電解質層に拡散することを防ぐ材質で形成されている
    請求項1に記載の調光素子。
  3. 前記透明導電膜及び前記調光ミラー層の間に第1の電圧を印加した場合、前記プロトン蓄積層に含まれるプロトンが前記調光ミラー層に移動することにより、前記調光ミラー層は反射状態から透過状態へ遷移し、
    前記第1の電圧と異なる第2の電圧を印加した場合、前記調光ミラー層に含まれるプロトンが前記プロトン蓄積層に移動することにより、前記調光ミラー層は透過状態から反射状態へ遷移する
    請求項2に記載の調光素子。
  4. 前記有機電解質層は、ゾルゲル法により形成された酸化タンタル層、ポリエーテルエーテルケトン層又はナフィオン(登録商標)層である
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の調光素子。
  5. 請求項3に記載の調光素子と、
    前記透明導電膜及び前記調光ミラー層の間に前記第1の電圧又は前記第2の電圧を印加し、前記調光ミラー層を透過状態から反射状態へ、又は反射状態から透過状態へ遷移させる印加回路と
    を備える調光機器。
  6. 基板上に、
    透明導電膜と、
    プロトン蓄積層と、
    無機電解質層と、
    有機電解質層と、
    触媒層と調光ミラー層と
    を順に積層する
    調光素子の製造方法。
  7. 前記有機電解質層は、ゾルゲル法により形成された五酸化タンタル層である
    請求項6に記載の調光素子の製造方法。
  8. 前記無機電解質層はスパッタ法により成膜された五酸化タンタル層であり、
    前記有機電解質層はゾルゲル法により形成されて前記無機電解質層に積層された五酸化タンタル層である
    請求項6又は請求項7に記載の調光素子の製造方法。
  9. 前記有機電解質層はスピンコート法により形成された五酸化タンタル層である
    請求項8に記載の調光素子の製造方法。
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