JP6894454B2 - 微細構造に基づく創傷閉鎖デバイス - Google Patents

微細構造に基づく創傷閉鎖デバイス Download PDF

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Description

関連出願に関するクロスリファレンス
この出願は、2012年6月15日に出願されたUS仮出願番号第61/660,561号及び2012年10月5日に出願されたUS仮出願番号第61/710,246号に対する優先権を主張するものであり、両出願は、引用によってその全体が本願明細書に組み込まれている。
背景
創傷閉鎖のための組成物及び方法は、従来技術として知られている。創傷の重症度に応じて、最も一般的な治療は、単純な接着剤に基づく市販製品(例えば、バンドエイド(登録商標)、バタフライストリップ(butterfly strip)及びステリ-ストリップ(Steri-Strips))から、より特殊な製品(例えば縫合糸及びステープル)に及ぶ。縫合糸及びステープルを適切に使用するには、訓練された専門家が必要である。そして、これらの技術は、創傷を閉鎖するのに非常に効果的ではあるが、多くの場合麻酔薬を使用する必要がある侵襲性で痛みを伴う処置である。更に、これらの手順は、縫合位置と介入空間との間の裂傷又は外科手術上の切開口に加わる引張力の変化を引き起こす空間及び深さの変動並びに二次的挿入孔の両方を由来とする見た目が悪い瘢痕を残し得る。更に、これらの皮膚閉鎖技術は、縫合糸及びステープルの除去のために診療室又は病院への継続的な通院を必要とする。感染症の場合における特に次善の特徴は、多くの場合、縫合糸を取り除いて創傷を再び開き洗浄する必要がある。加えて、包帯(バンドエイド(登録商標))を用いて創傷を単にカバーすることは、より重症な創傷又はより深い創傷を閉鎖するのには多くの場合十分ではない。これらのデバイス及びステリ-ストリップ及びバタフライストリップを取り付けるために用いる接着剤では、外れたりゆっくり動いたりすることなく、これらの創傷を閉鎖するのには十分でない。皮膚水分によって、接着に基づく包帯の接着性が更に低下するという問題が生じ、創傷の閉鎖及び適切な治癒の前に皮膚及び創傷部からそれらが早期に外れてしまう可能性がある。また、接着剤は、症候性アレルギー及び炎症反応を誘導する可能性がある。米国特許第4,430,998号は、2以上の微細構造アレイ22を備える創傷閉鎖デバイスを開示し(図1〜3)、各微細構造アレイは、少なくとも2つの微細構造を備え(第2欄の第43行目〜第3欄の第2行目を参照)、少なくとも2以上の微細構造アレイ22は、可撓性バッキングに取り付けられている(第2欄の第43行目〜第3欄の第2行目および図3を参照)
本発明は、ある実施形態において継続的に治療することなく単純で侵襲性が最小限の創傷閉鎖を可能にする改良型創傷閉鎖デバイスに関する。このデバイスは、多くの場合、ほとんど痛みを伴うこと無く、容易に使用し且つ外せるため、それらの使用及び除去のために訓練された専門家に依存する必要がない。ある実施形態において、本発明のデバイスは、結果として従来技術では生じる可能性があった、上述の閉鎖による瘢痕が発生することなく創傷閉鎖を達成することができる。更に、ある種の実施形態において、本願明細書において開示する創傷閉鎖デバイスは、接着剤の必要がなく、創傷を適切に固定することができるため、潜在的なアレルギー性合併症が避けられる。
発明の概要
本発明は、概して、1又は複数の微細構造を備える創傷閉鎖デバイスに関する。ある実施形態において、微細構造は、皮膚又は組織に入り込むことができる。ある実施形態において、上記デバイスは、複数の微細構造を備えている。微細構造は、微細構造と同じ素材又は異なる素材から任意に作られている基部又は裏地に加工、固定又は接続されている。ある実施形態において、基部又は裏地は、可撓性若しくは伸縮性又は可撓性且つ伸縮性である。ある実施形態において、微細構造には、基部上に1又は複数の微細構造アレイが形成されている。特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、本開示によれば、少なくとも2つの微細構造アレイを備え、各アレイは、基部上にパターン化され(任意に上記基部は、1又は複数のアレイを備え)、上記アレイは、任意に裏地に固定されている。このような実施形態では、上記アレイの少なくとも1つは、デバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、上記アレイの少なくとももう1つは、デバイスを創傷の他方の横側に固定することができる。他の特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、1つの微細構造アレイだけを備え、上記アレイは基部に加工され、上記基部は裏地に任意に固定されている。このような実施形態では、アレイに備わる微細構造の少なくとも1つはデバイスを創傷の一方の横側に固定することができ、アレイに備わる微細構造の少なくとももう1つはデバイスを創傷の他方の横側に固定することができる。
本発明のデバイスは、多様な機能を発揮し(例えば、創傷をその周囲の環境から保護し、感染を予防し、創傷を閉鎖し、皮膚を通じた治療化合物の輸送を高め)得る有用な創傷閉鎖製品である。
特定の実施形態において、デバイスは、特に、それらの使用によって炎症を引き起こさないように設計されている。ある実施形態において、本願明細書において開示される創傷閉鎖デバイスは、炎症をほぼ誘導せず、更なる瘢痕化(例えば、ステープル及び縫合糸による線路効果(railroad track effect))をほぼ生じさせない。ある実施形態において、本発明のデバイスは、広範囲に及ぶ訓練又は特殊な装置を必要とすることなく、使用及び取り外しが容易であるという重要な利点を有する。更に、ある種の実施形態で、上記デバイスは、接着剤なしに、患者の皮膚に固定するため、接着剤によって引き起こされるアレルギー反応が回避される。従って、本発明の創傷閉鎖デバイスは、従来の創傷閉鎖デバイスに対して魅力的であり用途が広い代替品を提供するものである。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、1又は複数の微細構造が固定された可撓性及び/又は伸縮性裏地を備えている。ある実施形態において、1又は複数の微細構造アレイは、可撓性及び/又は伸縮性裏地に固定されている。裏地の柔軟性又は伸縮性は、全体として均一であってもよく、又は、任意に、これらの特性の1つ又は両方とも、デバイス、1つの微細構造アレイ又は2以上の微細構造アレイの間にわたって又は沿って変えることができる。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、(任意に裏地に固定された)1又は複数の微細構造アレイを備え、少なくとも一つの微細構造アレイは皮膚又は組織に入り込むことができる。特定の実施形態において、かかるデバイスは、表層表皮、表皮、表層真皮又は深層真皮に入り込む微細構造を備えている。他の実施態様において、創傷閉鎖デバイスは、複数の微細構造アレイを備え、微細構造は皮膚又は組織表面に入り込まない。
ある種の実施形態では、創傷閉鎖デバイスは、本願明細書に記載する通り、少なくとも2つの微細構造アレイを備えてもよく、上記アレイは裏地に任意に固定されている。ある特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、本願明細書に記載する通り、裏地に任意に固定された2又は3以上のアレイを備え、少なくとも2つのアレイはアレイがない空間によって分け隔てられていてもよい。この空間(全体を通じて「峡部」と称する)は、任意の適切な長さ、幅又は形状であってもよく、任意の適切な素材を含むものであってもよい。ある実施形態において、峡部は、長さ1mmから長さ15mmにわたる。ある種の実施形態において、峡部は伸縮性ではなく、その一方で、他の実施形態において、この空間は伸縮性である。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部又は裏地に対してある角度にある1又は複数の微細構造を備えている。かかる一つの実施形態において、微細構造は、デバイスに沿って離れるように創傷を引っ張る皮膚由来の長手方向引張力を、皮膚に対して下方にデバイスを押す力に変える角度が付いているため、デバイスは皮膚上に効果的にアンカリングされる。ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部に対して可変的な角度を有する微細構造を具備する微細構造アレイを備えてもよく、例えば、単一のアレイに備わる少なくとも2つの微細構造は、互いに異なる角度で基部から延在している。限定するものではないが、かかるアレイの例は、例えば、直線状微細構造(即ち、角度90度で基部から突出)と角度付き微細構造(例えば、角度90度未満(例えば51度)で基部から突出)の両方を備えるものである。加えて、個々の微細構造の長さは、微細構造アレイでのその位置に基づいて、または創傷閉鎖デバイス上でのその位置に基づいて変えることができる。
各種実施形態において、本発明の微細構造アレイは、特定の形状又はパターンで基部に形成又は固定され、上記形状又はパターンは、任意に、本願明細書に記載する通り、任意の形状又はジオメトリーである。ある実施形態において、かかるパターン化されたアレイは、裏地(例えば可撓性及び/又は伸縮性の裏地)に更に固定される一方で、他の実施形態においては、そうではない。いくつかのある種の実施形態において、本開示によるアレイは、任意にある角度で、基部の部分に形成又は固定され、アレイは、角胴形のパターンであり、上記アレイは、本願明細書に記載する通り、任意の形状又はジオメトリーの微細構造を備え、上記アレイは、任意に裏地に固定されている。
いくつかのある種の実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、皮膚又は組織に入り込むか又は把持することができる複数の微細構造アレイを備え、上記アレイは、本願明細書に記載する通り、少なくとも2つのアレイが峡部によって分け隔てられた構成として、可撓性且つ伸縮性の裏地に固定されているか、単一の可撓性且つ伸縮性の基部に備わっている。上記デバイスは、創傷全体に伸長し、微細構造のトラクション又はグリップを介して両側に固定できる能力を有する。従って、かかるデバイスは、最初に創傷の一方の横側における皮膚又は組織に少なくとも一方の微細構造アレイを固定し、そして、創傷の他方の横側における皮膚又は組織に他方の微細構造アレイを固定するように創傷を横切ってデバイスを引っ張ることによって使用してもよい。ある実施形態では、このような方法において、引っ張られたデバイスの収縮力が閉じた創傷を引っ張る及び/又は固定する。これによって、治癒が更に促進する。その一方で、他の実施形態では、かかる力は、皮膚上でのデバイスの位置を安定にするが、創傷の閉鎖を直接的には誘導しない。
他のある種の実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、皮膚又は組織に入り込むこと又は把持することができる複数の微細構造アレイを備え、上記アレイは、本願明細書に記載する通り、少なくとも2つのアレイが峡部によって分け隔てられた構成として、非伸縮性の裏地に固定されているか、単一の非伸縮性の基部に備わっている。このような実施形態では、デバイスは、例えば、適切な位置に組織を固定するのに有効である。この種のデバイスをどのように用いることができるかという非限定的な例には、他のいくつかの方法(例えば、縫合すること又は、鉗子の使用)により既に閉鎖した創傷を固定することが挙げられる。
本発明の創傷閉鎖デバイスを任意にカバーして周囲の環境から損傷部位を更に保護し、設置したデバイスの適切な固定の維持を支援してもよい。カバーは、任意に接着剤を含むことができる。
本発明の創傷閉鎖デバイスは、様々な形状、サイズ及び構造の微細構造を備えてもよい。従って、ある実施形態において、1又は複数の微細構造アレイは、任意に基部に形成され、上記微細構造は、任意に様々な形状、サイズ、構造及びジオメトリーを有する。上記アレイは、任意に裏地に固定されている。ある種の実施形態は、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロアンカー、マイクロフィッシュスケール、マイクロピラー、マイクロヘアー及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される微細構造を提供する。本発明の創傷閉鎖デバイスは、任意の密度の微細構造を具備する微細構造アレイを備えていてもよい。ある実施形態において、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、アレイ当たり2個の微細構造からアレイ当たりの1000超の微細構造まで変えられる。ある種の実施形態では、アレイは、1cm2当たり1個の微細構造から1cm2当たり1000個の微細構造まで変えられる微細構造アレイの密度を有する。従って、各種実施形態において、アレイピッチは、約30μmから1cm超まで変えられる 。
本願明細書に開示される創傷閉鎖デバイスに備わる微細構造は、任意の素材又は素材の混合物からできていてもよい。ある実施形態において、素材は、天然素材又は天然素材の混合物である一方で、他の実施形態では、合成素材又は合成素材の混合物である。更に他の実施形態では、本開示に従って、1又は複数の合成素材と1又は複数の天然素材との混合物を含む微細構造が提供される。特定の実施形態において、微細構造は、ポリマー、金属、生体素材及びそれらの組み合わせから選択される素材からできている。ある実施形態において、本発明の微細構造は、ナノ構造(例えば、ナノ繊維)を含む。ある実施形態において、微細構造は、ナノ構造(例えば、ナノ繊維)でコーティングされている。ある実施形態において、微細構造は、生分解性素材を含む又は生分解性素材から実質的になる。ある実施形態において、壊れたニードルによる合併症(例えば炎症、組織損傷及び感染)が発生しないことを確実にすることが非常に重要である。他の実施態様において、微細構造は、生分解性素材を含まない。他の実施形態において、微細構造は、生分解性素材及び生物分解ではない素材を含む。
ある種の実施形態では、本発明の微細構造は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、シリコン及びキチンから選択されるポリマーを含む。
本発明の創傷閉鎖デバイスは、限定するものではないが、ナノ構造(例:ナノ構造アレイ又はナノ繊維)生理活性化合物(例えば、薬、治療薬、ヒドロゲル、治療物質及びそれらの組み合わせ)等の他の構成要素を任意に含むこともできる。ある特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、キチン(例えば、キチンナノ繊維)を更に含む。他の実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、ヒドロゲルを更に含む。
本発明のある実施形態では、皮膚に入り込み、薬又は他の治療薬剤のデリバリーを可能にするように設計された微細構造アレイが提供される。ある特定の実施形態では、微細構造は、皮膚に入り込むのに十分長いが、痛みを引き起こす神経終末に達するほど十分な深さはない。ある実施形態は、薬を組み込むことができる内部開口構造を備える微細構造と、薬でコーティングされた微細構造の両方を組み込むことができる。
ある実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、取り付け器具又は機器を用いずに皮膚に使用される。他の実施態様において、創傷閉鎖デバイスは、取り付け器具又は機器(例えば鉗子又はピンセット)を用いて皮膚に使用して、デバイスを保持する又は創傷上でデバイスを使用している間のデリバリー力の補助を提供する。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、使用を補助する(および任意に皮膚におけるデバイスの安定化を補助する)接着剤を任意に含むことができる。接着剤は、デバイスの任意の適切な位置に存在していてもよい。ある実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、接着性の裏地又は接着剤を含む基部を備えている。
ある実施形態において、接着剤は、デバイスの少なくとも一つの末端に取り付けられたタブ上にあるデバイスに提供される。タブは、デバイスの一部ではないが、接着を可能にするためにデバイスに取り付けられる。デバイスは、創傷上に実際に残る一方で、タブは除くことができる。タブは、デバイスの1つ又は両方の遠位端に付加することができる。他の実施態様において、接着剤は、デバイスの少なくとも一つの横側に取り付けられたタブに提供される。
更に他の実施形態では、本願明細書に記載する通り、デバイスの少なくとも一つの末端及び少なくとも一つの横側に配置された接着性タブを備えるデバイスが提供される。これらの接着性タブは、任意の長さであってもよく、デバイスの任意の1又は複数の横側に対して長さが任意に短いか、長いか、同じであってもよい。更に、ある実施形態では、着脱可能な接着性タブ(例えば、接着性の部分を手で容易に剥がすことができる穿孔を有する接着性タブ)が提供される。ある実施形態において、接着剤は、任意の医療用グレードの接着剤(例えば、アクリレート(例:ステリ-ストリップ又はステリ-ストリップS峡部に使用されているもの))又は湿った表面に接着可能なヒドロゲルを主成分とする接着剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ヒドロゲル)である。他の実施形態において、接着剤の構成成分には、接着剤を使わずに粘着力を提供するナノ構造が含まれる。かかる接着剤によって誘導される皮膚又は組織に対するデバイスの粘着力は、わずか1分間の持続であってもよく(例えば、デバイスの使用を補助するのに接着剤を使用する場合)、かかる粘着力が10日間又はそれよりも長く持続するものであってもよい。従って、接着剤による皮膚又は組織に対する粘着力は、5分、10分、15分、20分、30分、60分、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、2日、4日、6日、8日、10日又はそれよりも長い時間持続してもよく、これらには、本願明細書に記載の粘着期間の全ての範囲(1分-10日、1分-1時間、5分-20分等)及び整数(31分、32分、33分、13時間、14時間、15時間、3日、5日等)が含まれる。
本発明の実施形態では、本願明細書に記載する通り、かかるデバイスを1つだけ含む単一のパックと、複数の上記デバイスを含むパックとして利用可能な創傷閉鎖デバイスが提供される。一実施形態として、創傷閉鎖デバイスは、ロール形態である。上記ロールは、任意に個々に包まれた創傷閉鎖デバイス、或いは、個々には包まれていない複数の創傷閉鎖デバイスを含んでいる。特定の実施形態において、デバイスは、無菌であり、開封するまでかかる無菌性を維持するようにパックされている。
本発明は、本発明の創傷閉鎖デバイスの使用を容易にする携帯型ディスペンサーを更に提供する。一実施形態として、ディスペンサーは、任意に、片手で素早く操作可能な、ロールオンタイプの携帯型ディスペンサーである。
本発明のある実施形態は、創傷閉鎖システムを含むキットを更に提供する。創傷閉鎖システムは、本願明細書に記載する1又は複数の創傷閉鎖デバイスと、例えば、他の任意要素(例えば、創傷閉鎖デバイスをカバーするのに使用する1又は複数のカバー(任意に接着性を有するもの))と、デバイスの使用前に創傷に任意に使用することが可能な薬又は治療薬を含む1又は複数の容器(例えば、ボトル、パウチ、パケット、チューブ)と、洗浄及び/又は殺菌手段(例えば、防腐剤、抗生物質、無菌の生理食塩水)と、鎮痛薬(例えば、ベンゾカイン又はリドカイン)と、創傷閉鎖システムの各種要素を使用するための(個別の又は組み合わせの)指示書と、を含む。
本発明の創傷閉鎖デバイスは、同様に内外の創傷を治療することに適している。ある実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、対象の皮膚に使用され、他の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、対象の組織(例えば、内部組織)に使用される。従って、本発明の創傷閉鎖デバイスは、限定するものではないが、緊急の医療環境(例えば、救急室、手術室、救急車、戦場及び事故の現場を含む手術又は外傷センター)、病院及びクリニック、(例えば、自宅で使用する)店頭取引環境での創傷の治療を含む様々な環境において有用である。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、別の有用性を有する。例えば、本願明細書で開示するデバイスは、化粧品に用いることもできる。本願明細書に記載する通り、微細構造を用いて皮膚に入り込ませて、真皮を刺激することによる急性損傷を介した皮膚回復と、コラーゲン形成を生じさせて、美容レーザー手法及びマイクロニードル付き皮膚ローラーを用いて達成される効果を誘導させることができる。これによって、シワを減少させて皮膚体積を増加させることによって、皮膚の外観の改善が達成される。美容レーザー手法とは対照的に、創傷閉鎖デバイスの使用は、レーザー手法の数日後まで存在し得る症状である痛み、赤み、腫れ及び一時的な傷となる症候性の炎症が生じない。マイクロニードル付きローラーとは対照的に、創傷閉鎖デバイスは、マイクロニードルが容易にアクセスできない皮膚の領域(例えば鼻と口との間)に使用することができる。加えて、我々の創傷閉鎖デバイスは、一夜又は数日間適所に使用したままにして、マイクロニードルローラーを用いた短期間の治療で達成されるものよりも真皮を潜在的に刺激することができる。最後に、創傷閉鎖デバイスは、皮膚への穴の分布が、皮膚表面上で回転させるマイクロニードルローラーによって達成される分布よりも均一である。
図1a〜1fは、マイクロニードルの製作のための代表的なレプリカ成形工程を表す模式図を示す。図1a:所望の寸法のマスターは、マイクロマシニング、マイクロリソグラフィー、エッチング、レーザー切断又はそれらの組み合わせを介して金属、シリコン又はポリマーによって作られる。図1b:マスターは、ポリマー素材(例えばシリコーン)を使用して写しとり、モールドを形成する。図1c:モールドをマスターから分離する。図1d:モールドを、(例えば、ドロップキャスティング又はスプレーによって)微細構造素材の溶液又は溶融液で満たす。図1e:微細構造素材を固める(例えば、硬化又は乾燥させる)。図1f:微細構造をモールドから分離する。 図2a〜2cは、アルミニウムマスター及びシリコーンモールドのレプリカ成形によって、アセトン中のポリメチルメタクリレート(PMMA)溶液から作られたマイクロニードルの例を図示している。マイクロニードル寸法が提供される。 図3a-1、3a-6は、創傷閉鎖のために具体的には設計されたマイクロニードルのアレイの一部として、概略的にマイクロニードルの例を図示している。なお、非対称のマイクロニードル形状は、引張力が創傷に加わる又は生じる場合にマイクロニードルが皮膚外に持ち上がるのを回避するように設計されている。図3bは、例示的なマイクロニードルの寸法の表である。 図4a〜4dは、マイクロニードルを概略的に図示している。 図5aは、基部に対して垂直に先端から延びるラインが底部を通過しないように角度が付いて釣り合いがとれている微細構造(例えば、マイクロニードル又はマイクロブレード)を概略的に図示している。図5bは、基部に対して垂直に先端から延びるラインが底部を通過するように角度が付いて釣り合いがとれている微細構造(例えば、マイクロニードル又はマイクロブレード)を概略的に図示している。図5cは、一部がシルエットの斜視図である、図5aと類似する微細構造を概略的に図示している。 図6aは、角度付き微細構造を概略的に図示している。図6bは、曲線を有する微細構造を概略的に図示している。図6cは、節を有する微細構造を概略的に図示している。図6dは、曲線を有する微細構造を概略的に図示している。 図7a及び7bは、7mm×10mmのアレイ中に3mmのピッチ構造で高さ1mmのニードルを12本含む低密度直線マイクロニードルアレイ(図7a)と、6mmx10mmアレイ中に3mmの均一なピッチで高さ1mmのニードルを28本含む高密度直線マイクロニードルアレイ(図7b)との比較を示している。 図8a-1、8a-6は、創傷閉鎖のために具体的に設計されたマイクロブレードのアレイの一部として、マイクロブレードの例を概略的に図示している。なお、非対称のマイクロブレード形状は、引張力が創傷に加わる又は生じる場合にマイクロブレードが皮膚外に持ち上がるのを回避するように設計されている。図8bは、例示的なマイクロブレード寸法を有する表である。 図9a〜9dは、1MB型(図8bの一例)のマイクロブレードを概略的に図示している。 図10a〜10dは、2MB型(図8bの一例)のマイクロブレードを概略的に図示している。 図11a〜11dは、3MB型(図8bの一例)のマイクロブレードを概略的に図示している。 図12a及び12bは、6mm x 10mmのアレイ中に4.5μmmピッチ構造で高さ900μmのニードルを6本含む角度付き低密度マイクロブレードアレイ(図12a)と、1.5mmの均一ピッチで高さが900μmの角度付き高密度マイクロブレードアレイ(図12b)との比較を示している。 図13a〜13eは、シリコーン裏地と高密度ニードルアレイによって製造された角度付きニードルを備えた例示的な創傷閉鎖デバイスの模式図を示している。なお、微細構造は、更に任意にコーティング(例えば、創傷治療薬剤でのコーティング)されている。 図14a〜14cは、シリコーン裏地に搭載された直線状マイクロニードルのPMMA微細構造アレイを備えた例示的な創傷閉鎖デバイスのイメージである。 図15a〜15eは、中程度の密度のニードルを備える2つのPMMAマイクロニードルアレイを備えた、ポリウレタン裏地からできている例示的なデバイスの模式図を示している。なお、狭い峡部に関して、ニードルアレイを囲む接着剤を任意に含み、そして峡部上にキトサンヒドロゲルを任意に付加している。 図16は、創傷に使用した本発明の創傷閉鎖デバイスを模式的に示している(断面図)。本実施形態において、マイクロニードルは、表皮を通じ真皮に入り込み、創傷の閉鎖を維持する。これは、縫合糸又はステープルと基本的に同じ作用であるが、組織に対する有害性が著しく低い。組織の深いところの縫合は、創傷条件に応じて必要としてもよいし必要としなくてもよい。 図17a〜17cは、本創傷閉鎖デバイスの3つの非限定的な例の写真である。なお、裏地(1)、峡部(2)、基部(3)、アレイ(4)、アレイ間隔(5)等は、種々のサイズ、形状及び寸法を取り得る。図17aは、峡部としてポリエステル繊維を具備するポリウレタン裏地を備えるデバイスを示している。微細構造は、1mmのピッチで間隔が空けられている。図17bは、ポリエステルから共にできている裏地及び峡部を備えるデバイスを示している。微細構造は、1.5mmの均一なピッチである。図17cは、強度のためにポリエステル繊維支持体を加えた紙/繊維混合物から共にできている裏地及び峡部を備えたデバイスを示している。微細構造は、1.5mmの均一なピッチである。 図18a及び18bは、図17cに示されるデバイスをヒトボランティアに使用した場合の、保護カバーが有る場合と無い場合との写真である。これらのデバイスは、ステリ-ストリップ接着テープに固定されたPMMAマイクロニードルを備えている。なお、デバイス中央の皮膚のしわは、皮膚を正常に伸ばすデバイスの能力を証明するものであるため、皮膚に対して横方向の引張力を加えるデバイスの能力が実証された。これは、創傷の閉鎖に重要である。これによってデバイスが創傷を閉鎖できることを示している。 図19は、本創傷閉鎖デバイスの1つの非限定的な例の写真である。本実施形態において、デバイスは、ステリ-ストリップS由来のポリエチレンの非弾性裏地上に接着されたPMMA基部上に2つのPMMAマイクロニードルアレイを備えている。写真は、切開部を有するシリコーン性擬似皮膚装置に対して使用し、引張力をかけて配置して更に接着性カバーを備えているデバイスを示している。 図20は、図19にて説明したように、ヒトボランティアの手首に設置して、接着性カバーによって保護されたデバイスの写真である。 図21は、新しい豚の皮膚に使用した角度付きニードルのトラクション試験の実験データを示している。C2ニードル(図2bに図示するタイプの8本×4本ニードル)の8mm x 12mmのアレイを有する15mm x 28mmセグメントのステリ-ストリップSは、プレキシガラススライド上に接着された2.5×2.5cmの豚皮膚断片に対して引っ張った。豚の皮膚を、0.9wt%の生理食塩水溶液で洗浄し、厚さ2-3mmにカットして、顕微鏡スライドガラスに接着させた。豚の皮膚を再び生理食塩水溶液にて洗浄して、試験前にガーゼを軽く当てて乾燥させた。トラクションは、引張試験機を用いて、試験機の一方の側にニードルアレイを、他方の側に皮膚を搭載することによって測定した。グラフのY軸は、測定した力(ニュートン)であり、X軸は、測定した変位量(ミリメーター)である。 図22a〜22cは、創傷の位置を図示するものである。この創傷は、本発明にかかるデバイスの創傷閉鎖効率に関する前臨床試験で用いられた豚の新生児に作成した。この研究は、実施例4に完全に記載されている。 図22aは、豚における創傷のサイズとそれらの位置の模式図を示している。 図22bは、創傷作成前の動物の写真を示す。切開部近くには数字を設置している。 図22cは、閉鎖前の創傷の1つの代表例を示している。 図23は、図22a〜22cに記載されている前臨床試験の結果を示している(実施例4を参照)。2つの創傷を、本願明細書に記載する微細構造アレイ創傷閉鎖デバイスで閉鎖し、1つの創傷を縫合糸によって閉鎖した。創傷を12日間観察した。0日目(創傷閉鎖前)、1日目(創傷閉鎖の1日後)、6日目及び9日目(何も覆われていない創傷 - 即ち、デバイス及びカバーを創傷から取り外した)の写真を示している。9日目において、微細構造アレイ閉鎖デバイスで治療された創傷又はその周辺で異常は観察されなかった。しかしながら、縫合糸によって閉鎖した創傷は、炎症及び紅斑を示した(ドレイズスコアは、0-4のスケールで2)。 図24は、9日目の何も覆われていない(デバイス及びカバーを取り外した)創傷(デバイスAで治療した創傷)の画像である。デバイスAは、2つの直線状ニードル微細構造アレイを備えている。 図25は、9日目の何も覆われていない創傷(デバイスCで治療した創傷)の画像である。デバイスCは、2つの角度付きニードル微細構造アレイを備えている。 図26は、9日目の何も覆われていない創傷(縫合による治療を行った創傷)の画像である。
詳細な説明
本願明細書に示す詳細は、例示であり、本発明の好ましい実施形態を詳細に解説するためだけにある。それらは、本発明の様々な実施形態の原理及び概念上の態様に関して最も有益で且つ容易に理解できる記述であると考えられるものを提供するために示している。この点に関しては、本発明の基本的な理解のために必要なこと以上に詳細には本発明の構造的な細部を示す試みは行っておらず、図面及び/又は実施例を伴う記述は、本発明のいくつかの形態を実際どのように具体化することができるかを当業者に明らかにするものである。
定義及び略称
本願明細書において用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本発明の範囲を制限することを目的としない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって制限される。別途定義されない限り、本願明細書において用いられる全ての技術的及び科学的な用語は、一般的に、本発明に属する当業者が理解するものと同じ意味である。明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられている通り、反対のことを明記していない限り、以下の用語は、明示している意味である。
特に明記しない限り、ここで使用しているように、用語「a」及び「an」は、「1つ」、「少なくとも1つ」又は「1又は複数」を意味する。別途、文脈によって要求されない限り、本願明細書において用いられる単数語は、複数を含むものとし、複数語は単数を含むものとする。
用語「例えば」に関しては、「例ではあるが、限定するものではない」ことを意図している。従って、以下のものは、単なる具体的な実施形態の例であるが、限定例であるものとして決して解釈すべきでないことを理解すべきである。特に明記しない限り、「例えば」の使用は、他の実施形態が予想され、本発明に含まれることを明確に示すことを意図している。
「約」は、基準となる量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、含量、重量又は長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%程度の幅を持つ量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、含量、重量又は長さを意味する。用語「約」と共に使用される数値が関係する文脈において記述されている任意の実施形態において、用語「約」は省略可能であることを意図している。
本願明細書と請求項全体にわたって文脈上別段の解釈を要する場合を除き、用語「備える」及びそのバリエーション(例えば、「備える」及び「備えている」)は、非限定的で包括的な意味(即ち、「含むが、これに限定されるものではない」)と解釈されるものである。
「からなる」は、フレーズ「からなる」の次にくるものを含み且つそれに限定することを意味する。従って、フレーズ「からなる」は、リストされた要素が必要又は必須であり、他のいかなる要素も存在しないことを指す。
「から本質的になる」は、このフレーズの後にリストされている任意の要素と、上記リストされた要素に関する開示において特定されている活性又は作用を妨げない又はそれに寄与しない他の要素に限定した任意の要素を含むこを意味する。従って、フレーズ「から本質的になる」は、リストされた要素が必要又は必須であるが、他の要素はオプションであり、それらがリストされた要素の活性又は作用に影響を及ぼすか否かによって存在していても存在していなくてもよい。
この明細書の全体にわたる「一実施形態」又は「実施形態」又は「ある実施形態」又は「ある種の実施形態」に関しては、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。従って、この明細書の全体にわたって様々な場所においてフレーズ「一実施形態において」又は「ある実施形態において」又は「ある種の実施形態において」は、全てが同じ実施形態を参照する必要は必ずしもない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1又は複数の実施形態における任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
「任意の」又は「任意に」は、その後に記載されているイベント又は状況が発生してもしなくてもよいことを意味し、この記述は上記イベント又は状況が発生した場合と発生しなかった場合を含むことを意味する。
「実質的に」又は「本質的に」は、ほとんど全く又は完全に、例えば、ある所定の量に対して95%以上を意味する。
本願明細書において、一般的に使われる用語「創傷閉鎖デバイス」とは、創傷を閉じる、創傷をカバーする、創傷を保護するために使用するデバイス、創傷被覆材、包帯等を意味する。
ここで使用しているように、「創傷」という用語は、剥離皮膚、熱傷、潰瘍(例えば、糖尿病潰瘍、脈管不足、とこずれ及び熱傷由来の潰瘍)又は他の皮膚の問題(例えば、アレルギー))、すり傷、切傷、擦過傷、外科的処置(例えば、低侵襲手術、腹腔鏡手術、ロボット手術、切開生検、一般手術及び美容手術によって引き起こされるもの)によって引き起こされる組織又は皮膚に対する損傷を意味する。創傷は、皮相性(例えば、単に表皮だけに影響を及ぼす)からより深い外傷(例えば、皮膚又は表皮下の組織の層に影響を及ぼす病変)にわたり得るものである。創傷は、任意の長さ又は形状であってもよく、例えば、ある実施形態において、創傷は直線、ギザギザ又は曲線状である。
本願明細書で使用しているように、「組織」という用語は、皮膚、筋肉、腱、骨、心臓、肺、腎臓、脳、腸、結腸、直腸、胃、食道等を含む任意のヒト又は他の動物の組織を意味するが、これに限定されるものではない。
本願明細書で用いられる「PMMA」という用語は、ポリ(メチルメタクリレート)に関連するものを意味するものであり、ポリ(メチル2-メチルプロペノアート)(IUPAC名)、ポリメチルメタクリレート又はより一般的にはプレキシガラスTMとしても知られている。
「固定」、「取り付け」という用語は、全体として置換可能に用いられ、例えば、他のものに接続又は留めるという通常の意味を有する。従って、例えば「接続」、「留め」及び「結ぶ」という他の用語は、同様に用いることもできる。
本願明細書で用いられる「外反した」又は「外反」という用語は、その通常の医療用の意味であることを意図するものであり、例えば、創傷の外反に関するものである。従って、外反した創傷は、閉じた(又は、少なくとも実質的に閉じた)創傷を指し、創傷の縁は、通常の皮膚レベルを上回ってわずかに盛り上がっている。創傷の縁の外反は、直線孔及び視認できる瘢痕の形成を低減させる一般的な縫合技術である。
「把持」という用語は、本願明細書において、使用先である皮膚又は組織の表面上の目的位置に対する創傷閉鎖デバイスの微細構造型アンカリングを述べるために用いられており、上記アンカリングは、微細構造によって皮膚又は組織に入り込む必要がない代わりに、例えば、皮膚又は組織と微細構造との接触によって生じる摩擦を介して固定される。ある実施形態において、上記デバイスは、任意に、本創傷閉鎖デバイス及びシステムの他の各種要素(例えば、保護カバー又は接着剤)の補助があってもなくても把持によって固定される。
「入り込み」又は「入り込む」という用語は、本願明細書において、例えば、本願明細書において開示される1又は複数の微細構造により皮膚又は組織を突き通すことの動作を指すこと意味する。
「炎症」という用語は、その通常の医療用の意味(即ち、有害な刺激に対する組織の生物学的反応)である。炎症の一般的な兆候には、痛み、熱、赤み(紅斑)、膨潤(浮腫)及び機能消失が含まれる。
「基部」という用語は、1又は複数の微細構造が突出している支持手段を一般的に意味する。ある実施形態において、基部は、複数の微細構造を備え、他の実施形態においては、基部上に単一の微細構造を備えるデバイスが提供される。基部は、1又は複数の微細構造が固定された別々の構成要素であってもよく、或いは、微細構造及び基部は、任意に同一又は異なる素材から同時に製造された一連の構成要素であってもよい。いかなる形であれ限定するものではないが、例えば、本発明のある実施形態は、基部にパターン化された1又は複数の微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイスを提供するものであり、基部及び微細構造の両方は、PMMAから作成される。かかる実施形態の一つにおいて、微細構造は、レプリカ成形技術を使用して製造され、微細構造及びアレイは、同時に製造されるため、本質的に1つの単一構成要素である(図1a〜1fを参照)。更なる実施形態は、例えば、厚さ、長さ、幅及び組成を有する基部の仕様を提供する。ある種の実施形態では、基部は、実質的に平らな上面と実質的に平らな下面を備え、上記上面は、1又は複数の微細構造を備え、上記下面は、裏地に任意に固定されている。かかる実施形態では、微細構造を備える上面は、患者の皮膚又は組織と接触するように置かれることを意図しており、下面は、外環境にさらされているか、任意に保護カバー(例えば、接着剤が備わるカバー)と接触していることを意図している。
用語「アレイ」及び「微細構造アレイ」は、本願明細書において使われている通り、「基部」上の2又は3以上の微細構造の二次元構成を記載するために、本願明細書において記載されており、上記基部は、微細構造が突出している実質的に平らな上面を備えている。「アレイ」は、任意の適切な形状又はパターンであってもよい。アレイは、任意の適切なサイズ又は寸法であってもよい。更に、アレイは、任意の適切な数又は密度の微細構造を備えていてもよく、上記微細構造は、任意に、ある角度で又は実質的に垂直で基部から延在している。
本願明細書で用いられる「アレイ領域」は、1又は複数の微細構造アレイが固定されている本デバイスの領域を意味する。従って、ある実施形態において、アレイ領域は1又は複数の基部が固定される裏地の一部であり、上記基部の各々は、1又は複数の微細構造又は微細構造アレイを備えている。ある特定の実施形態において、本発明のデバイスは、本願明細書において記載されている通り、峡部によって互いが分け隔てられている少なくとも2つの「アレイ領域」を備えている。かかる設計の非限定的な例は、図13a〜13eに示しており、創傷閉鎖デバイスが表されている。上記デバイスは、2つのアレイ領域を備え、各領域は裏地に固定された1つの微細構造アレイを備えている。2つのアレイ領域は、裏地と正確に同じ幅の峡部によって隔てられている。他の類似の非限定的な例は、図15a〜15eに示されており、デバイスは、アレイが固定されている裏地の幅と比較して幅が狭い峡部によって分け隔てられている2つのアレイ領域を備えている。
本願明細書で用いられる「峡部」という用語は、2又は3以上の微細構造「アレイ」又は「アレイ領域」を分け隔てる、アレイのない空間を指す。「峡部分離」は、峡部を挟んで対向する側に位置する2つのアレイを分け隔てている距離を指す。峡部には、任意の適切な素材を含んでいてもよく、ある実施形態においては、硬質、可撓性及び/又は伸縮性であってもよい。峡部のサイズ及び形状は、変更可能であり、ある実施形態において、デバイスは、峡部及び裏地を備え、両方とも同一素材から作られている一方で、他の実施形態において、峡部に含まれる素材は裏地のものとは異なっているだろう。ある種の実施形態では、峡部は、空間が2つのアレイを分け隔てるように2又は3以上の微細構造アレイを裏地に単純に固定することによって作られる。更に他の実施形態において、峡部は、複数の微細構造アレイを備える基部の一部である(即ち、峡部及び微細構造は、同一素材からできている)。2種類の峡部に関する非限定的な例は、図13a〜13e及び15a〜15eに見ることができ、これの図において、形状、組成(シリコーン対熱可塑性ウレタン(「TPU」))及び特性(即ち、伸縮性対非伸縮性)は変えている。更にまた、図15a〜15eは、創傷癒合を促進する、峡部に対する任意の追加治療薬(例えば、2%キトサンヒドロゲル)を示している。ある実施形態において、峡部は、長さ1mmから長さ15mmにわたる。従って、これらの実施形態において、本発明のデバイスは、長さ1mmである峡部を備えていてもよく、長さ2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm又は15mmである峡部を備えていてもよく、これらには、本願明細書に記載の峡部長の全ての範囲(例えば、1-15mm、5-10mm、10-15mm、3-4mm、5-6mm、6-8mm等)及び小数(例えば、1.5mm、1.6mm、1.7mm等)が含まれる。峡部の幅は、変更可能である。ある実施形態において、峡部幅は、デバイスの基部又は裏地と同じである。他の実施態様において、峡部は、デバイスの基部又は裏地よりも広い又は狭い。従って、峡部の幅は、1mm程度から50cm程度又は50cm超に変更可能である。従って、峡部幅は、約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm又は50cm超であってもよく、これらには、本願明細書に記載の峡部幅の全ての範囲(例えば、2mm-50cm、5mm-15mm、5mm-10mm等)及び整数(例えば、11mm、12mm、13mm等)が含まれる。
本願明細書で用いられるように、創傷閉鎖デバイスの構成要素が、「異方的に」配置又は分配されると記述されていた場合は、構成要素が全体的に均一ではない代わりにそれらの特性は方向的に変化することを意味する。従って、例えば、ある実施形態において、異方性配置は、微細構造アレイに備わる個々の微細構造の構成要素のバリエーションを指し、上記微細構造は、それらの物性(例えば、それらのアスペクト比又は裏地への結合角)における方向多様性を有する。他の実施態様において、この多様性は、種々のアレイ間における指向性の差異に関するものであってもよい。異方的多様性は、一方向であってもよく、複数方向であってもよい。
本願明細書で用いられる「微細構造」という用語は、基部から突出した又は基部に接続した三次元構造を指す。微細構造は、基部の不可欠な部分であってもよい(即ち、微細構造と基部は、一体であってもよい)。或いは、微細構造は、基部と分けて構築してもよいが基部には(例えば、接着、付着等によって)結合されている。
微細構造は、一般的にミクロンサイズのスケールの寸法であるが、ある種の寸法では、ミリメーターサイズのスケール(例えば、長さ)に拡張してもよく、ある種の寸法では、1ミクロンよりも小さくてもよい(例えば、ナノスケールの先端幅)。
代表的な微細構造には、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロアンカー、マイクロフィッシュスケール、マイクロピラー及びマイクロヘアーが挙げられる。
微細構造は、底部と、先端と、上記先端を備える上記底部に結合している本体と、を備えている。
本願明細書で用いられる「底部」という用語は、基部が微細構造と接している二次元領域を指す。底部は、図5a及び5cを参照するとより理解することができる。底部は、円形、卵形、楕円形、三角形、長方形、正方形、四辺形又は高次多角形を含む任意の二次元形状であってもよい。
本願明細書で用いられる「先端」という用語は、底部及び基部に対して遠位側の微細構造の末端を指す。先端は、単一の点(例えば、ニードル)、線(例えば、ブレード)又は他の形状であってもよい。
本願明細書で用いられる「本体」という用語は、底部と先端との間の微細構造の部分を指す。上記本体は、図5a及び5cを参照するとより理解することができる。上記本体は、本願明細書において、微細構造の「シャフト」と称してもよい。上記本体は、底部の位置から先端に接続している最も長い距離に等しい「長さ」を有する。
微細構造は、直線状か曲線状であってもよい。ある種の実施形態では、上記本体は、その長さに沿って湾曲することなく底部と先端が接続している。他の実施態様において、上記本体は、底部と先端との間でその長さに沿って曲線している。
本願明細書で用いられる「直線状」という用語は、底部と先端との間の本体に沿って湾曲していない(即ち、凹又は凸面がない)微細構造を指す。直線状の微細構造の例は、概略的に、図4a〜6a及び写真として図2a並びに2cに図示している。
本願明細書で用いられる「曲線状」という用語は、底部と先端との間に本体に沿って1又は複数の凹又は凸面を有する微細構造を指す。曲線状の微細構造の例は、概略的に、図6b並びに6d及び写真として図2b、12a並びに12bに図示している。
直線状及び曲線状の微細構造は、基部と微細構造との間に形成される最も小さい角度である「面角」(θF)に関して規定することができる。図6aに図示す直線状の微細構造を参照すると、面角は、底部から先端までの本体全体に沿って一定である。図6b及び6cの曲線状及び節を有する微細構造は、それぞれ、角度θ1(基部と接線T1との間に形成される角度)と角度θ2(基部と接線T2との間に形成される角度)を比較することによって示している通り、本体に沿って複数の互いに異なる面角を有する。角度θ1は、角度θ2とは異なる。面角は、微細構造全体の角度よりも常に大きい。ある種の実施形態では、面角は、(例えば、基部に対して90度の直線状の微細構造に対して)90度より大きい。ある種の実施形態では、面角は、90度未満である。一実施形態では、面角は、5-90度である。一実施形態では、面角は、10-80度である。一実施形態では、面角は、20-70度である。一実施形態では、面角は、50-70度である。
本願明細書で用いられる「節を有する」という用語は、連続して湾曲していない代わりに直線状の部分と接続している1又は複数のジョイントを介して湾曲する微細構造を指す。節を有する微細構造は、「勾配付き」と称することもできる。節を有する微細構造は、図6cに図示されている。
本願明細書で用いられる「凸」という用語は、底部と先端との間の直線状のラインから外側にそれた本体の外表面に沿う少なくとも一つの線を有する微細構造を指す。例示的な凸状の微細構造は、図6dに図示している。
本願明細書で用いられる「凹」という用語は、底部と先端との間の直線状のラインから内側にそれた本体の外表面に沿う少なくとも一つの線を有する微細構造を指す。例示的な凹状の微細構造は、図6bに図示している。
本願明細書で用いられる「角度付き」という用語は、基部に対して垂直ではない微細構造を指す。基部に対する微細構造の角度は、図5aを参照すると理解することができる。図5aは、先端から中心点へ本体を通って接続しているラインを有する直線状の微細構造を図示する。「中心点」は、底部の中心である。ラインと基部との間に形成された角度(中心点角;θc)は、微細構造全体の角度を規定する。
微細構造に関して、先端が中心点直上ではない場合、微細構造は角度が付いている。
曲線状の微細構造は、先端-中心点ラインが基部に対する角度を規定するように描くことができる場合、ある角度によって規定することができる。しかしながら、広範囲にわたる曲線状の微細構造によって、直線上のラインが、先端から中心点まで本体を通じて描くことは出来ないかもしれない。
本願明細書で用いられる「マイクロニードル」という用語は、直線状又はテーパー付きシャフトを備える任意の微細構造を指すことを意図している。一実施形態として、マイクロニードルの直径は、マイクロニードルの基部末端で最も大きく、基部に対して遠位末端の位置に向かってテーパーが付いている。マイクロニードルは、直線状(非テーパー)の部分及びテーパー部を有するシャフトが備わるように製造することもできる。マイクロニードルには、垂線に対して円形断面を有するシャフトを形成することができ、又は、断面を非円形とすることができる。例えば、マイクロニードルの断面は、多角形(例えば、星型の矩形、四角形及び三角形)、長方形又は他の形状であってもよい。マイクロニードルの先端部分は、様々な構成をとることができる。先端は、マイクロニードルシャフトの縦軸に対して対称形であっても非対称であってもよい。一実施形態として、先端は、勾配が付いている。別の実施形態において、先端部分は、テーパー付きである。一実施形態として、テーパー付先端部は、正方形断面を有するシャフト部においてピラミッド形状であり、マイクロニードルはオベリスク形状である。当然、先端及び/又はシャフトは、同様に、円形又は他の形状とすることができる。ある実施形態において、マイクロニードルは、例えば、ロッド、円錐、正方形、長方形、ピラミッド、シリンダーの形状を有する。
本願明細書で用いられる「マイクロブレード」という用語は、先端が点の代わりにブレードであるニードル状微細構造を指すことを意図している。例えば、この実施形態は、図8a-1から8a-6及び12bに図示されている。これらの図は、マイクロブレードを有する微細構造アレイの画像を示している。これらの構造の先端部分は、第一寸法(この画像においては50μm)においては広く、第二寸法においては第一寸法に対して非常に狭い(例えば、この画像の10μm未満)。更に、ある実施形態において、先端の厚さは、基部近くのマイクロブレードの幅よりも小さい。
本願明細書で用いられる「マイクロアンカー」という用語は、皮膚又は組織に対して、本開示によるデバイスをアンカリングできる任意の微細構造を指すことを意図している。マイクロアンカーの例として、フック又は棘のように形作られた末端を有する微細構造が挙げられる。本願明細書で用いられる「棘」という用語は、入り込んだ皮膚又は組織の中で棘を固定するために、先端から離れるように突設された角度付き部分を備えた先端構成を指す。
本願明細書で用いられる「マイクロフィッシュスケール」という用語は、魚のウロコを模倣し、マイクロスケール寸法の他のウロコと部分的に重複しているウロコを有する任意の微細構造を指すことを意図している。
本願明細書で用いられる「マイクロピラー」という用語は、円柱形状を有する任意の微細構造を指すことを意図している。
本願明細書で用いられる「マイクロヘアー」という用語は、マイクロヘアーがファンデルワールス力を介して他の対象物に接触及び接着することができる毛髪様の特徴を有する任意の微細構造を指すことを意図している。
「テーパー」という用語は、幅又は直径が基部から先端にかけてニードルの長さに沿って徐々に減少するため、基部が最大の幅又は直径を有する微細構造を説明するものであり、先端は最も小さい幅又は直径を有する。「部分的にテーパー」状の微細構造は、微細構造の一部がテーパー状であり、微細構造の一部がテーパー状ではない。限定するものではないが、例えば、かかる微細構造は、ブロック形状の基部から延在しているテーパー部を備えることができる。例えば、円柱状基部部分は、特定の長さで先端に向かって延在し、テーパー部が先端へと続くことができる。或いは、微細構造は、非テーパー部が微細構造の先端にある、基部から延在しているテーパー部を備えてもよい。
本願明細書で用いられる、「伸縮性」という用語は、例えば、引張力の結果として、任意の方向に伸ばすことができる任意の素材を包含するものである。「伸縮性」は、「弾性」という用語を包含するため、伸縮性を有する対象は、任意に弾力性を有するものと理解すべきである。従って、ある実施形態において、対象が伸ばされた場合、少なくとも2つの実施形態を含むことを意図する。第一の実施形態は、延伸力が収縮力によって妨げられるため、一旦延伸力が取り除かれると、対象が(例えば、弾性対象と同様に)内在的に収縮しようとする。第二実施形態は、対象が弾力性を内在的に含まないため、かかる収縮力は内在しない。
「可撓性」という用語は、損傷することなく曲げ力を維持することができる任意の素材を説明するものである。ある実施形態において、「可撓性」素材は、例えば、本発明のデバイスがそのデバイスを使用する生物学的バリア(例えば、皮膚、血管壁又は目)の形状にフィットするように曲げることができる十分な柔軟性を有する。
本願明細書で用いられる、「裏地」という用語は、1又は複数のアレイに取り付けられる本創傷閉鎖デバイスの任意要素を説明するものである。ある実施形態において、裏地には、2又は3以上の微細構造アレイが共に取り付けられている。詳細な説明に十分に記載されているように、裏地は、任意の適切な素材を含むことができ、いくつかの実施形態においては、可撓性、伸縮性、弾性又はそれらの組み合わせである。
本願明細書で用いられる「カバー」という用語は、本願明細書に開示する創傷閉鎖システムの任意の要素であって、それによって創傷をカバーする要素を説明するものである。本発明の創傷閉鎖デバイスの使用後、かかるカバーは、任意に、デバイス上部を覆うように使用及び/又は結合させてもよい(例えば、適切な位置へのデバイスの固定補助)。下記の詳細な説明のセクションにおいて十分に記載されている通り、カバーは、任意の適切な素材からできていてもよい。ある実施形態において、カバーは、接着剤を含む。
1又は複数の微細構造が「裏地に固定されている」と言われた場合、微細構造は、任意に、裏地に直接固定されていてもよく、裏地に間接的に固定されていてもよい(例えば、ある実施形態において、「裏地に固定」は、微細構造が基部に作られ又は固定され、上記基部は裏地に固定されているシナリオを包含する)。従って、表現「裏地に固定された1又は複数の微細構造」は、フレーズ「1又は複数の微細構造を含む裏地」と置換可能に適切に用いることができる。
本願明細書で用いられる「ピッチ」という用語は、所定のアレイ、又は、2若しくは3つ以上のアレイにおける、2又は3つ以上の近接する微細構造の先端間の距離を意味するものである。ある実施形態において、ピッチは、30μmから1cm又は1cm超である。従って、ある種の実施形態は、本願明細書に開示の微細構造アレイを提供し、上記微細構造は、30μm、50μm、70μm、90μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm又は10mm超のピッチにより互いが離れており、これらには、本願明細書に記載の微細構造アレイピッチの全ての範囲(例えば、1-10mm、5-10mm、7-10mm等)及び小数(例えば、3.1mm、3.2mm、3.3mm等)が含まれる。ピッチは、アレイの全体にわたって一定(例えば、所定のアレイにおいて全ての微細構造の先端が互いに等しい距離離れている)であってもよく、ピッチは、変化していてもよい。
本願明細書において「テープ」又は「微細構造テープ」又は「微細構造アレイテープ」という用語に関しては、本願明細書に記載の通り、接着剤を備えた微細構造アレイロール包帯を単に説明するものである。
「ドレイズスコア」に関しては、ドレイズスケールに従ったスコアを指し。これは、デバイス及び薬の皮膚毒性を評価するために用いられるスタンダード点数化システムである。
本願明細書で用いられる「接着(剤)」又は「粘着(剤)」という用語は置換可能に用いられている。これらの用語は、それらの通常の意味であり、例えば、2以上の素材を共に結合することができる任意の物質の意味である。ある実施形態において、接着剤は、皮膚に用ることを目的とする。かかる実施形態において、接着剤は、任意の医療用グレードの接着剤(例えば、アクリレート(例:ステリ-ストリップ又はステリ-ストリップS峡部に使用されているもの))又は湿った表面に接着可能なヒドロゲルを主成分とする接着剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ヒドロゲル)であってもよい。他の実施形態において、接着剤の構成成分は、接着剤を使わずに粘着力を提供するナノ構造を含む。
本願明細書で用いられる「取り付け器具」という用語は、例えば、創傷周りの皮膚又は組織に創傷閉鎖デバイスを固定するために用いられる任意の器械又は機器を意味する。従って、かかるデバイスを適用するための医療用機器(例えば鉗子、ピンセット、クランプ、ピン等)の使用は、取り付け器具の使用と考えられる。「取り付け器具」という用語は、本願明細書に開示される、携帯型ディスペンサーにおけるロールをも指す。従って、取り付け器具を用いずにデバイスを使用する場合、器械又は機器を用いずにヒトの手により使用するものと理解される。
微細構造
本願明細書に開示される創傷閉鎖デバイスに備わる微細構造は、任意の素材又は素材の混合物からできていてもよい。ある実施形態において、素材は、天然素材又は天然素材の混合物である一方で、他の実施形態では、合成素材又は合成素材の混合物である。ある実施形態において、微細構造は、無毒性、生分解性、生体再吸収性、生体適合性素材又はそれらの組み合わせからなり、他の実施形態では、そうではない。更に他の実施形態では、本開示に従って、1又は複数の合成素材と1又は複数の天然素材との混合物を含む微細構造が提供される。特定の実施形態において、微細構造は、ポリマー、金属、生体素材及びそれらの組み合わせより選択される素材からできている。
ある種の実施形態では、本発明の微細構造は、PMMA、シリコーン、キチン、キトサン、エコフレックス、チタン、ガラス、金属、スチール、シリコン、絹、腸線、クローミック腸線、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブタエステル(polybutester)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸、ポリラクトン、エラスチン、レシリン、コラーゲン、セルロース及び任意のそれらの組み合わせからなるグループより選択される素材を含む。
本発明の実施形態は、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロアンカー、マイクロフィッシュスケール、マイクロピラー、マイクロヘアー及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される微細構造を提供する。微細構造は、皮膚又は組織に入り込むことができるように設計してもよく、実際に入り込むことなく皮膚又は組織を単に把握するように設計していてもよい。ある実施形態において、微細構造は、特定の深さ(例えば、表皮又は真皮層を通る深さ)まで、又は、その様々なサブ層まで皮膚又は組織に入り込むように設計されている。
本発明の創傷閉鎖デバイスは、任意の所望のサイズ、寸法及びジオメトリーの微細構造を備えてもよい。加えて、微細構造は、実質的に平滑な表面、又は、表面が均一ではない表面(例えば、波打った横側を備える微細構造)、又は、突出部、ギザ部又は凹部含む表面を任意に備えていてもよい。
一つの態様では、微細構造は、基部に隣接した底部、先端、及び底部から先端までの本体を備えている。
一実施形態として、基部に対して垂直に先端から延びるラインは、底部を通過しない。角度付き及び/又は曲線状の微細構造は、先端が底部を越えた所に位置する形状を有していてもよい。かかる微細構造の例は、図5aに概略的に、そして図2bに写真として示している。加えて、先端の位置が上述の通りの任意の微細構造(本体の形状、角度及び/又は湾曲は問わない)は、本実施形態において予定されているものであることはいうまでもない。
一実施形態として、基部に対して垂直に先端から延びるラインは、底部を通過する。角度付き及び/又は曲線状の微細構造は、底部の外周内に先端が位置する形状を有していてもよい。この微細構造の構成例は、図5bに概略的に、そして図2aに写真として示されている。加えて、先端の位置が上述の通りの任意の微細構造(本体の形状、角度及び/又は湾曲は問わない)は、本実施形態において予定されているものであることはいうまでもない。
一実施形態として、本体と基部との間の角度は、一定の角度である。かかる実施形態では、中心点角及び面角は、一定である。図5a及び6aは、かかる微細構造の例である。
一実施形態として、2又は3つ以上の角は、底部と先端との間の本体と基部との間に形成される。曲線状又は節を有する微細構造は、かかる微細構造の例である。図6b及び6cは、かかる微細構造の例である。
微細構造の本体は、凹面、凸面及び凹面並びに凸面の組合せを備えていてもよい。一実施形態として、本体は、少なくとも一つの凹面を備えている。一実施形態として、本体は、少なくとも一つの凸面を備えている。一実施形態として、本体は、少なくとも一つの凹面及び少なくとも一つの凸面を備えている。
ある種の実施形態では、微細構造は、マイクロニードルを含む。マイクロニードルは、底部から先端にかけて狭くなる。代表的なマイクロニードルは、図3a-1から3a-6に示している。
図3a-4を参照する。各マイクロニードルは、幅(W1)及び厚さ(T)を有する底部を備えている。図3a-1から3a-6に示すマイクロニードルは底部が矩形である一方で、これがマイクロニードルの単なる一実施形態であることはいうまでもない。他の実施形態は、円形、卵形、正方形、高次多角形及びそれらの組み合わせの形状であるマイクロニードル底部を含む。
マイクロニードルの先端は、底部から長さ(L)分延在している。先端は、先端が底部中央の垂直のライン上に位置しないように距離(D)分オフセットしていてもよい。ある種の実施形態では、先端は、底部中央の垂直のライン上に位置する。他の実施態様において、先端は、底部外周の垂直のライン上に位置する。
マイクロニードルの先端は一点に収束する一方で、先端は製作の結果としてある直径を有する。
図3a-6に示すように、各マイクロニードルは、マイクロニードルの側壁とマイクロニードルを支持している表面との間に形成される面角(θF)を有する。
ある種の実施形態では、微細構造は、マイクロブレードを含む。マイクロブレードは、底部から先端にかけて狭くなる。代表的なマイクロブレードを、図3a-6から8a-1に示している。
図8a-4を参照する。各マイクロブレードは、幅(W1)及び厚さ(T)を有する底部を備えている。図3a-1から3a-6に示すマイクロブレードは底部が矩形である一方で、これがマイクロブレードの単なる一実施形態であることはいうまでもない。他の実施形態は、円形、卵形、正方形、高次多角形及びそれらの組み合わせの形状であるマイクロブレード底部を含む。
マイクロブレードの先端は、底部から長さ(L)分延在している。先端は、先端が底部中央の垂直のライン上に位置しないように距離(D)分オフセットしていてもよい。ある種の実施形態では、先端は、底部中央の垂直のライン上に位置する。他の実施態様において、先端は、底部外周の垂直のライン上に位置する。
マイクロニードルとは異なり、マイクロブレードは、一点ではなく線を形成する先端を有する。マイクロブレード先端は、幅(W2)及び名目上の厚さを有する。
図8a-6に示すように、各マイクロブレードは、マイクロブレードの側壁とマイクロブレードを支持している表面との間に形成される面角を有する。
マイクロニードル及びマイクロブレードは、互いに異なる方法で患者の皮膚と相互に作用して、異なる特性が得られる。例えば、マイクロブレードは、同じ長さ及び幅のマイクロニードルより広い表面積を提供する。より大きい表面積を提供することによって、マイクロブレードは、マイクロニードルよりも高い横方向の引張力により皮膚に固定されたままにすることができる。その結果として、マイクロニードルにより達成できるものよりも少ない数のマイクロブレードを用いて、引張力により創傷を閉鎖することができる。
微細構造は、約1μmから約3mmにわたる高さであってもよい。従って、微細構造は、約1μm、10μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1mm、1.5mm、2mm、3mm又は3mm超の高さであってもよく、これらには、本願明細書に記載の微細構造の高さの全ての範囲(例えば、100-1000μm、500-1000μm、700-1000μm、950-1000μm等)及び整数(例えば、2μm、3μm、4μm等)が含まれる。従って、本発明の微細構造アレイは、上記の通り、個々の高さが約1μmから約3mmまでの微細構造を備えていてもよい。より長い(例えば、少なくとも3mmの)微細構造は、より厚い真皮組織(例えば、背中)を含む治療領域に必要とされる。
微細構造は、約15μmから約2mmの範囲に及ぶ幅又は直径(基部の底部と接触する領域によって測定)であってもよい(例えば、図8a-4のWidth「W1」を参照)。従って、微細構造は、約15μm、30μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1mm、1.5mm、2mm又は2mm超の幅又は直径であってもよく、これらには、本願明細書に記載の微細構造の幅及び直径の全ての範囲(例えば、100-1000μm、200-500μm、500-1000μm、700-1000μm等)及び整数(例えば、101μm、102μm、103μm等)が含まれる。従って、本発明の微細構造アレイは、上記の通り、個々の幅又は直径が少なくとも約15μmから約2mmまでの微細構造を備えていてもよい。
微細構造は、約10nmから約50μmまでの幅又は直径を有する先端を備えていてもよい(例えば、図8a-4の幅「W2」を参照)。従って、微細構造は、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm又は50μm超の幅又は直径を有する先端を備えていてもよく、これらには、本願明細書に記載の微細構造の幅又は直径の全ての範囲(例えば、10nm-50μm、200-1000μm、500-1000μm、700-1000μm等)及び整数(例えば、11nm、12nm、13nm等)が含まれる。従って、本発明の微細構造アレイは、上記の通り、個々の幅又は直径が約10nmから50μmの先端を具備する微細構造を備えていてもよい。
微細構造が先端オフセット(D)を有する場合、オフセットは、1nmから、微細構造における底部の厚さ(T)又は幅(W1)の1/2までであってもよい。一実施形態として、先端オフセットは、微細構造の底部の厚さの20%から33%まである。
微細構造の基部
基部は、様々な微細構造及び微細構造アレイを任意に備えることが可能であり、任意の適切な素材からできていてもよい。基部は、(例えば、非侵襲的に創傷が観察できるように)透明又は実質的に透明であってもよく、或いは、(例えば、創傷を隠すために)透明でなくてもよい。基部は、無毒性、生分解性、生体再吸収性、生体適合性素材又はそれらの組み合わせを任意に含んでいてもよい。基部は、それが備える微細構造と同じ素材からできていてもよく、異なる素材からできていてもよい。
従って、微細構造と同様に、本発明は、任意の素材又は素材の混合物を含んでいる微細構造の基部を提供する。ある実施形態において、素材は、天然素材又は天然素材の混合物である一方で、他の実施形態では、合成素材又は合成素材の混合物である。更に他の実施形態では、本開示に従って、1又は複数の合成素材と1又は複数の天然素材との混合物を含む微細構造の基部が提供される。特定の実施形態において、微細構造の基部は、ポリマー、金属、生体素材、ヒドロゲル、ガラス及びそれらの組み合わせより選択される素材からできている。
ある種の実施形態では、本発明の微細構造の基部は、PMMA、シリコーン、キチン、キトサン、チタン、ガラス、金属、スチール、シリコン、絹、腸線、クローミック腸線、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリトリメチレンカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリブタエステル(polybutester)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸、エラスチン、レシリン、コラーゲン、セルロース及び任意のそれらの組み合わせからなるグループより選択される素材を含む。
1つのある種の実施形態において、微細構造及び基部は、両方ともPMMAを含む。他のある種の実施形態において、微細構造及び基部は、両方ともシリコーンを含む。
基部の厚さは、デバイス全体にわたって実質的に均一であってもよく、或いは変化していてもよい。ある実施形態において、基部の厚さは、それを作成した素材によって決定される。例えば、厚さ1mmのシリコーン基部を用いてもよく(但し、その厚さでこの素材が許容可能な柔軟性を有している場合)、その一方で、PMMAを含む基部は、場合によって、ある程度の柔軟性を維持するように約125μm又は125μm未満の厚さで作成されていてもよい。或いは、PMMA基部は、より硬い基部が望まれる場合、より厚く(例えば、厚さ300μm)してもよい。当業者は、基部を形成している素材及び基部における所望の柔軟性又は基部の柔軟性が不要であることに応じて基部の適切な厚さを容易に決定することができる。ある実施形態、基部の厚さは、約10μmから約1mmにわたる。特定の実施形態において、基部は、約10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1mm又は1mm超の厚さを有し、これらには、記載の微細構造の基部の厚さの範囲(例えば、50μm-200μm、100-160μm、120-140μm等)及び整数(例えば、126μm、127μm、128μm等)が含まれる。
基部は、所望の微細構造アレイ又は複数のアレイを備えるのに必要な程度の長さ又は幅であってもよい。如何なる方法に限定するものではないが、例えば、基部の寸法は、創傷と平行する1セットの微細構造を有するように、創傷に対して垂直の寸法が幅1mm同程の小ささであってもよく、この寸法は、10cm程度又は10cm超の幅であってもよい。創傷に対して平行する寸法に関して、基部は、2mmから、50cm程度又は50cm超の長さであってもよい(例えば、任意に、本願明細書に開示の微細構造アレイロール包帯の場合のように)。従って、基部の長さは、約2mm、5mm、10mm、2cm、3cm、4cm、5cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm又は50cm超であってもよく、これらには、創傷に対して平行する記載の基部長の全ての範囲(例えば、2mm-50cm、5mm-15mm、5mm-10mm等)及び整数(例えば、11mm、12mm、13mm等)が含まれ、これらには、本願明細書に記載の通り、創傷に対して垂直の基部長の全ての範囲(例えば、1mm-10cm、2mm-10mm、5mm-10mm等)及び整数(例えば、11mm、12mm、13mm等)が含まれる。
角度付き微細構造
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、裏地又は基部に対してある角度が付いた微細構造を備えている。微細構造は、任意の適切な角度で配置することができる。ある実施形態において、それらは、裏地又は基部に対してある角度で固定され、その角度は、約15、30、45、60、75、又は90度であり、これらには、記載の角度の全ての範囲(例えば、15度-90度、30度-90度、45度-70度等)及び整数(例えば、16度、17度、18度等)が含まれる。一実施形態として、微細構造は、裏地又は基部に対して50度を超える角度が付いている。一実施形態として、微細構造は、裏地又は基部に対して45から70度の角度が付いている。一実施形態として、微細構造は、裏地又は基部に対して50から70度の角度が付いている。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、任意の微細構造アレイにおいてその位置に応じて可変的である、裏地又は基部に対して角度が付いた微細構造も備えている。ある種の実施形態では、1又は複数の微細構造の角度は、微細構造の完全な長さに沿って略一定であり、他の実施形態では、微細構造の角度は微細構造に沿って変化している。
微細構造は、任意の方向に角度を付けることができる。ある実施形態において、特定のアレイにおける全ての微細構造は、同じ向き又は略同じ向きに角度が付けられている一方で、他の実施形態においては、そうではない。ある種の実施形態では、デバイス上の微細構造は、創傷を向くように角度が付いている。ある特定の実施形態において、アレイにおける微細構造は、種々の方向に角度が付いた微細構造のサブセットを備えている。
微細構造アレイ
本発明の創傷閉鎖デバイスは、様々な形状及び寸法の1又は複数の基部にパターン化された微細構造アレイを備えていてもよい。図3a-1から3a-6及び8a-1から8a-6は、我々が生産したいくつかのアレイの模式的な設計を示している。例示的なマイクロニードル(図3b)及びマイクロブレード(図8b)の詳細は、表に提供されている。更に、かかる一つのマイクロニードルアレイとマイクロブレードアレイの写真は、それぞれ、図7a並びに7b及び図12a並びに12bに提供されている。
特に、本発明のデバイスは、アレイの長さ又は幅が特定の創傷タイプ又はサイズの治療を可能にするように設計されたアレイを備えていてもよい。如何なる方法にも限定するものではないが、例えば、創傷に対して平行して延在するアレイの寸法は、(例えば、長さ50cmの直線の創傷を治療するために)50cm同程の幅であってもよく、或いは、(例えば、2〜5mmの長さの創傷を治療するために)2mm幅の狭いものであってもよい。同様に、他の寸法のアレイの長さ(即ち、創傷に対して垂直延在する寸法)は、1mm程度の小ささと50mm程度の大きさであってもよい。従って、個々アレイの寸法は、1mmの長さ及び/又は幅を有していてもよく、それらは、2mm、3mm、5mm、7mm、9mm、10mm、2cm、3cm、4cm、5cm、10cm、15cm、25cm、50cm又は50cm超の長さ及び/又は幅を有していてもよく、これらには、記載の微細構造アレイの長さ及び幅の全ての範囲(例えば、3mm-50cm、9mm-5cm、1cm-50cm等)及び整数(例えば、11cm、12cm、13cm等)が含まれる。
微細構造アレイは、任意の適切な数の微細構造を備えていてもよい。ある実施形態において、個々のアレイに含まれる微細構造の数は、アレイ当たり1個の微細構造からアレイ当たり1000個を超える微細構造まで変更することができる。微細構造アレイは、任意の密度の微細構造を含むことができる。ある実施形態において、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、1cm2当たり1個の微細構造から1cm2当たり1000個の微細構造まで変更することができる。一実施形態として、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、cm2当たり1から100個まである。一実施形態として、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、cm2当たり5から50個まである。一実施形態として、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、cm2当たり10から20個まである。一実施形態として、個々のアレイに含まれる微細構造の密度は、cm2当たり5から10個まである。
特定の実施形態において、アレイにおける微細構造の密度は、創傷閉鎖デバイスに対する炎症反応の誘導を低減する又は除くように低下している。理論によって制限されるものではないが、データは、低密度微細構造を含むアレイ(例えば、図7a及び図12aを参照)が、高密度微細構造を有するアレイ(例えば、実施例3を参照)よりも炎症の誘導が小さい又は誘導しないことを示唆している。
各種実施形態において、本発明の微細構造アレイは、様々な形状又はパターンにおいてパターン化された微細構造を備えている。微細構造アレイの任意の形状又はパターンは、本発明の範囲内である。ある実施形態において、アレイのパターンには複数の直線状の縁が含まれる。ある実施形態において、アレイは、丸みのある縁でパターン化されている。更なる実施形態において、アレイのパターンには、丸みがあり且つ直線状の縁を有する形状が含まれる。ある種の実施形態において、アレイは、卵形、ダイヤモンド形、プラミッド形及び円形からなる群より選択される形状においてパターン化されている。ある種の実施形態において、アレイは、角胴形にパターン化されている。ある種の実施形態において、アレイは、正方形の形状にパターン化されている。ある実施形態において、アレイは、別々の形状にパターン化された複数の微細構造を備え、アレイにおける2又は3以上の領域は、アレイにおける他の領域よりも密度が高い微細構造を備えている。如何なる方法であっても限定するものではないが、例えば、単一の正方形のアレイをとると、一実施形態において、例えば、任意の場所に微細構造の複数グループ(例:アレイの各角に1つのグループ)を有し、4つの微細構造グループは、任意の微細構造を含まないアレイの領域、又は、グループの1つに含まれる微細構造の密度と比較して密度が異なる微細構造を任意に含むアレイの領域によって分けられる。
この概念の非限定的な他の例は、例えば、単一の微細構造アレイを備える単一の基部で作成された創傷閉鎖デバイスであり、上記基部は、図15aから15eに示されるデバイスと類似した形状を有する。かかる基部は、デバイスの一端上の微細構造のグループと、デバイスの他端上の他のグループを備えている。その結果、これらのグループは、任意の微細構造を含まない空間によって分け隔てられている。
ある実施形態において、個々の微細構造は、個々のアレイの全体にわたって均一に分配され、他の実施形態では、微細構造はアレイ全体にわたって均一に分配されていない。ある種の実施形態において、デバイスは、複数のアレイを備え、個々の微細構造の分布は、種々のアレイ(例えば、均一に分配された微細構造を備える全てのアレイ)間で一定であってもよく、また、あるアレイ(例えば、均一に分配された微細構造を備えるいくつかのアレイ)と、分配が不均一な微細構造を備える他のアレイとの間で変化していてもよい。
ある実施形態において、微細構造のサイズ、寸法及びジオメトリーは、個々のアレイの全体にわたって一定である一方で、他の実施形態では、例えば、これらの特性は異方的に変化する。加えて、ある種の実施形態において、デバイスは、複数のアレイを備え、これらの物理的性質は、種々のアレイ(例えば、同一のデザインを含む全てのアレイ)間で一定であってもよく、又は、変化していてもよい(例えば、任意に種々のデザインを含む種々のアレイ)。従って、ある実施形態では、創傷閉鎖デバイスであって、それが備える微細構造に関して均一なアレイを備える創傷閉鎖デバイスが提供される一方で、他の実施形態では、創傷閉鎖デバイスであって、それが備える微細構造に関して不均一なアレイを備える創傷閉鎖デバイスが提供される。
ある実施形態において、デバイスは、2つの異なる微細構造アレイを備え、上記アレイは、角度が付いた微細構造を備え、1つのアレイ由来の微細構造は、他のアレイの微細構造の方へ角度が付いており、その逆も成り立つ。このような実施形態では、峡部が2つの異なる微細構造アレイを分け隔てることができる。そうすると、このアレイは、(例えば、峡部が創傷上に配置された場合)デバイスを使用する創傷の方へ角度が付けられる。
任意に、別々のアレイに備わる互いに対向する微細構造の角度は、同じ(例えば、他方のアレイ上の微細構造の方に角度(例:約45度)が付いた微細構造を両アレイが備えている)、実質的に同じ又は異なっていてもよい。同様に、他の実施形態では、2以上の微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイスが提供され、上記アレイのうちの少なくとも2つは、上記の通りに互いの方に角度が付いている。ある実施形態において、互いの方に角度が付いて互いに対向しているアレイは、同じアレイ領域(即ち、それらは、峡部によって分け隔てられていない)に設置してもよい。ある実施形態において、互いの方に角度が付いて互いに対向しているアレイは、互いに異なるアレイ領域(即ち、それらは、峡部によって分け隔てられている)に設置してもよい。
アレイは、創傷上に配置されるデバイス上の位置(例えば、峡部)に関連して規定されるアスペクト比を有する。長さは、創傷から離れるように垂直に延びるアレイの寸法として規定される。幅は、創傷と平行して延びるアレイの寸法として規定される。一実施形態として、アレイのアスペクト比は、0.1から10まである。一実施形態として、アレイのアスペクト比は、0.4から3まである。一実施形態として、アレイのアスペクト比は、1から5まである。一実施形態として、アレイのアスペクト比は、2から3まである。
微細構造の製造
本願明細書に開示されている創傷閉鎖デバイスに含まれる微細構造は、熟練した職人が利用可能な任意の方法を使用して製造することができる。ある実施形態において、微細構造は、確立された方法に基づく微細加工プロセスによってなされる。例えば、集積回路、電子パッケージ及び他のマイクロ電子デバイスの作成に用いられる方法であり、マイクロマシニング及びマイクロ成形の分野において使用する方法を追加すると更に増える。
微細構造のアレイは、例えば、レプリカ成形、射出成形、マイクロリソグラフィー、打抜き及びエッチング、カット、レーザー切断の組合せを使用して製造することができる。エッチングは、例えば、WO2007127976A2WO2002072189A2、WO2002064193A2、US特許番号6,503,231及び6,334,856、WO1999064580及びWO2000074763、WO2012167162に記載されており、本願明細書には引用によってその全てが組み込まれている。限定するものではないが、例えば、微細構造は、(i)微細構造を直接エッチングすること、(ii)モールドをエッチングして、微細構造素材を含む溶融液又は溶液でモールドを満たして微細構造製品を形成すること、又は(iii)微細構造マスターをエッチングして、このマスターを用いてモールドを作成し、モールドを満たして(マスターの)微細構造レプリカを形成すること、によって作成することができる。ある特定の実施形態において、微細構造は、図1a〜1fで概説し、実施例1に記載されている技術に従って製造される。簡潔にはいえば、所望の寸法のマスターは、マイクロマシニング、マイクロリソグラフィー、エッチング、レーザー切断又はそれらの組み合わせによって金属、シリコン又はポリマーを用いて作成する。マスターは、ポリマー素材(例えば、シリコーン)を使用して複製される。そして、シリコーンをマスターから持ち上げて、マイクロニードル素材の溶液又は溶融液で満たす。充填は、例えば、ロップキャスティング又はスプレーによって行われる。溶液又は溶融液の硬化又は乾燥の後、マイクロニードルをモールドから持ち上げる。
裏地
本発明の実施形態は、様々な微細構造を1又は複数備える創傷閉鎖デバイスに関する。上記微細構造は、裏地に任意に固定されている。従って、ある実施形態において、1又は複数の微細構造アレイが裏地に固定されている。上記微細構造は、任意に様々なサイズ、寸法及びジオメトリーを有している。任意の最適な裏地を本発明のデバイスの製造に用いてもよい。そして、ある実施形態において、裏地は、任意に可撓性及び/又は伸縮性である。裏地は、別々の構成要素である。微細構造は、例えば、1又は複数の微細構造を備える基部の結合を介して、又は、裏地上への1又は複数の個々の微細構造の直接結合を介して、裏地に固定される。かかる基部は、一般的に、2つの実質的に平面の表面(即ち、上面及び下面)を備え、1又は複数の微細構造は、上記上面から垂直又はある角度で突出しており、上記下面は実質的に平坦である。このような例では、裏地は、任意の適当な手段によって(例えば、接着によって)下面に固定することができる。
従って、本発明の創傷閉鎖デバイスは、裏地が取り付けられたもの又は取り付けられていないものを提供することができる。例えば、本発明のデバイスは、使用準備ができている形態として提供することができ、1又は複数の微細構造アレイは、本開示に従って裏地に固定されている。更に、本発明の創傷閉鎖デバイスのいくつかは、裏地を備えていないがその代わりに、適切な基部(例えば、柔軟性、伸縮性又は柔軟性及び伸縮性を備える基部)上に1又は複数の微細構造又は微細構造アレイを備えることで、デバイスは、単独でその意図された機能を実行することができる。或いは、本発明の創傷閉鎖デバイスは、1又は複数の適切で独立した裏地と共に、商業用にパックすることも考えられる。上記裏地は、任意に種々の形状、サイズ又は組成を有するため、1又は複数の適切なサイズの裏地を、ある種の創傷を治療するために具体的に選択することができる。かかるパッケージで提供される1又は複数の微細構造アレイは、必要に応じて、裏地に取り付けて、特定の創傷用デバイスを作成することができる。従って、例えば、かかるデバイスは、1又は複数の結合手段(例えば、接着剤)が任意に同梱されていてもよく、結合手段は、デバイスの1又は複数の構成要素に任意に含まれていてもよく、又は、例えば、パッケージ又は容器内に別々に提供することができる。
本デバイスにおいて用いられる適切な裏地には、透明でない裏地だけでなく、透明又は実質的に透明であるものが含まれるため、創傷癒合を非侵襲的にモニターすることができる。ある実施形態において、裏地は、シート、包帯、ロール、フィルム、布、織物、又は、他の透過性、半透過性若しくは非透過性カバーの形態である。裏地は、天然、合成及び/又は、人工素材からできていてもよく、ある特定の実施形態では、ポリマー物質(例えば、シリコーン、ポリウレタン又はポリエチレン)が含まれる。裏地は、無毒性、生分解性、生体再吸収性又は生体適合性である素材からできていてもよい。ある実施形態において、裏地は不活性素材を含み、他の実施形態では、裏地は活性素材を含む(例えば、WO2013028966A2にて開示する、微生物を取り除く活性炭布)。
ある実施形態において、裏地は、弾性特性を更に含み、弾力性は、デバイスの全体にわたって任意に類似していてもよく、デバイスに沿って、又は、横切って変化していてもよい。従って、ある実施形態において、裏地は、医療用テープ、白色布テープ、外科手術用テープ、黄褐色布医療用テープ、絹製外科手術用テープ、透明テープ、低アレルギー性テープ、シリコーン、弾性シリコーン、ポリウレタン、弾性ポリウレタン、ポリエチレン、弾性ポリエチレン、ゴム、ラテックス、ゴア-テックス、プラスチック及びプラスチック部品、ポリマー、バイオポリマー並びに天然素材からなるグループより選択される素材単独又はそれらの組み合わせを含む。
ある種の実施形態において、本発明は、本願明細書にて開示する通り、3M トランスポア外科手術用テープ、3M ブレンダーム外科手術用テープ、カバーレットファブリック、ダイナレックス絹製外科手術用テープ、ケンドルTM ハイポアラージェニッククリアテープ、テンダーフィックスTM ハイポアラージェニッククロステープ、クラシルクTM クロステープ、クラポント、レウコサンスキンリンク、レウコサンストリップ、レウコストリップ、ステリ-ストリップ、ステリ-ストリップ S、アルゴストリップ及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される商業的に入手可能な裏地に固定された1又は複数の微細構造を具備する創傷閉鎖デバイスを備えている。
デバイス
本発明の創傷閉鎖デバイスは、本願明細書に記載の1又は複数の微細構造を備えている。デバイスは、任意の適切な所望の形状、サイズ又は構成を有することができる。例えば、本発明のデバイスは、ある実施形態において、正方形、矩形、円形又は卵形、蝶形又は他の形状を、単独又は組み合わせで有することができ、ある実施形態において、それらは、カットするか、例えば、肢の一部を包み肢上の創傷を覆うことができるシート、テープ、ロール又はカバーを備えていてもよい。
ある例において、デバイスは、本願明細書によれば、多種多様な創傷の閉鎖を可能にする一般的な特徴を含む。
ある種の実施形態では、デバイスは、長さ700ミクロンから1mmの微細構造を備えている。
ある種の実施形態では、デバイスは、幅200ミクロンから400ミクロンの微細構造を備えている。
ある種の実施形態では、デバイスは、40度から60度の角度が付いている微細構造を備えている。
ある種の実施形態では、デバイスは、1cm2当たり10から100の密度を有する微細構造のアレイを備えている。
ある場合には、各種デバイスの構成要素は、本願明細書に開示の明細書によれば、特定の創傷、組織タイプ又は体の位置を治療するためのデバイスを具体的に最適化するように設計されている。従って、ある例において、様々な仕様(例えば、微細構造のタイプ、ジオメトリー、サイズ、規格、アレイ中の間隔、アレイ構造、アレイの数、アレイの位置、アレイの寸法、峡部、各種要素の素材等)を慎重に選択して創傷閉鎖デバイスを設計し、例えば、特定のタイプの創傷を治療する、或いは、患者における特定のタイプの組織又は位置上の任意の創傷を治療する。如何なる方法であっても限定するものではないが、例えば、手掌又は背中の創傷治療には、身体の種々の(そして、他の)サイトに存在する皮膚は多様な厚さを内在的に有しているため、顔の創傷治療に必要とされるものよりも長いニードルが必要とされるだろう。加えて、創傷治療は、高齢者又は慢性的な医学的状態又は皮膚状態を患っている患者、又は、薬(例えば、皮膚の菲薄化になることが知られているステロイド)で治療された患者においてはより短いニードルが必要であってもよい。このように、創傷閉鎖デバイスは、様々な創傷を適切にカバーする任意の適切な形状及びサイズを有していてもよい。加えて、デバイスは、単一の創傷又は任意に複数の創傷をカバーするのに適した任意の長さ又は幅であってもよい(例えば、テープ包帯)。
デバイスは、創傷上に配置されるデバイスの位置(例えば、峡部)に関連して規定されるアスペクト比を有する。長さは、創傷から垂直に離れるように延びるデバイスの寸法として規定される。幅は、創傷と平行して延びるデバイスの寸法として規定される。一実施形態として、デバイスのアスペクト比は、0.1から10まである。一実施形態として、デバイスのアスペクト比は、0.4から3まである。一実施形態として、デバイスのアスペクト比は、1から5まである。一実施形態として、デバイスのアスペクト比は、2から3まである。
創傷閉鎖デバイスは、創傷が閉鎖して充分な治癒を示す場合に取り除かれる。これは、縫合糸及び他のデバイスが、頭部(顔面及び首を含む)、四肢及び体躯上から、それぞれ、3-5日目、6-10日目及び11-14日目に取り除かれるように、種々の身体サイト関して変わるものである。予想外に、創傷閉鎖マイクロニードルプロトタイプデバイスは、縫合糸を用いた創傷の閉鎖と比較すると創傷の治癒を加速させると評価された。実施例5を参照。より迅速な治癒的閉鎖は、感染、裂開及び他の有害事象の危険性を低下させ、患者が時間的に早く日常生活の活動に戻ることができるため患者には有益である。加えて、加速した治癒は、慢性的な医学的状態又は皮膚状態を患う患者又は薬(例えば、創傷の治癒が遅れることに関連しているステロイド)で治療された患者の利益になる。
感染を回避するために、本発明の創傷閉鎖デバイスは、皮膚又は組織に使用する前は無菌であることが有益である。従って、一実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、パック時において無菌である。別の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、使用前に直ちに滅菌される。多くの適当な殺菌手段は、従来技術において公知且つ一般的であり、かかる任意の手段は創傷閉鎖デバイスを滅菌するのに適している(ただし、上記殺菌はデバイスを破壊しない)。かかる手段は、これに限定されないが、熱、放射線又は化学薬剤による殺菌を含み得る。
更に、本願明細書に記載の通り、複数の創傷閉鎖デバイスが互いに接続していることから、2個以上のデバイスを同時に創傷に使用することができる。かかる接続は、デバイス上の任意の適切な位置で行ってもよく、当然、特定のデバイスの形状及び使用目的に応じて変化させてもよい。かかる配置に関する非限定的な例には、例えば、創傷に対して垂直に延在する片側又は両側を介して共に接続された複数の矩形デバイスが含まれる。このことから、複数個接続した創傷閉鎖デバイスは、平行するように同時に使用してもよく、各デバイスは、創傷に対して垂直であり、複数のデバイスは、軌道に沿った鉄道の枕木のように創傷の縦軸に沿って延在する。
本発明のデバイスは、デバイスの使用を補助し、及び/又は、使用する位置でのデバイスの維持を補助する接着剤を任意に含むことができる。更に、「裏地」のセクションにおいてより入念に記載されていて通り、デバイスには、例えば、裏地に対する基部部分の直接結合を介して、微細構造アレイを裏地に結合する接着剤が含まれていてもよい。これらの様々な接着剤は、デバイス全体にわたって同じであってもよく、2以上の接着剤がデバイスに含まれていてもよい。例えば、1つの接着剤を用いてアレイを裏地に結合することができ、別の接着剤を用いてデバイスを患者の皮膚又は組織に結合することができる。更に、接着性カバーを用いてもよく、接着剤は、更に、デバイスにおける他の各種要素に任意に含まれている接着剤と同じであってもよく、カバーは、デバイスにおける他の各種要素とは異なる接着剤を有する。従って、デバイスは、1又は複数の種類の接着剤を有していてもよい。
ある例において、デバイスは、1又は複数のアレイに作成された微細構造を複数個有する単一の基部である。かかる実施形態において、微細構造は、アレイ全体にわたって均一に間隔が空いていてもよく、又は、不均一に間隔が空いていてもよく(例えば、1つの非限定的な実施形態では、少なくとも2つのアレイを具備する1つの基部が備わっている)、アレイは、峡部によって分け隔てられている。或いは、デバイスは、1又は複数の基部を備えていてもよく、各基部は、1又は複数のアレイに作成された複数の微細構造を備えており、基部は、本開示に従って裏地に取り付けられている。他の例においても、微細構造は、(例えば、個々の微細構造の結合を介して)裏地又は基部に固定されている。
デバイス上の微細構造アレイ
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、1つの微細構造アレイだけを備えている。一実施形態として、創傷閉鎖デバイスは、(例えば、峡部によって分け隔てられた)2つの微細構造アレイを備えている。ある種の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、複数の微細構造アレイを備えている。特定の実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、2から100個の微細構造アレイを備えている。
複数のアレイは、任意に適切な間隔(デバイス全体にわたって同じ間隔であってもなくてもよい)によって互いに分け隔てられいてもよい。ある実施形態において、アレイ間隔は、約30μmから1cmにわたる。従って、アレイ間隔は、約30μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1mm、1.5mm、2mm、3mm、5mm、7mm、10mm又は10mm超であってもよく、これらには、本願明細書に記載の微細構造の高さの全ての範囲(例えば、100-1000μm、500μm-10mm、700μm-1mm等)及び整数(例えば31μm、32μm、33μm等)が含まれる。一実施形態として、アレイ間隔は、2から10mmまである。別の実施形態において、アレイ間隔は、4から10mmまである。
アレイは、規則的に間隔が空いていてもよく、不規則に間隔が空いて(例えば、間隔と間隔との間が変化して)いてもよい。特定の実施形態において、少なくとも2つのアレイがデバイスに備わっており、上記アレイは、任意に峡部によって間隔が空いている一方で、他の実施形態において、かかる峡部はアレイを分け隔てていない。更なる実施形態において、デバイスは、峡部の片側又は両側に複数のアレイを備えてもよく、上記複数のアレイは、任意に、峡部の各側において互いに均一に間隔を空けていてもよく、間隔を空けていなくてもよい。ある実施形態においては、峡部の両側におけるアレイの数が等しく、他の実施形態では、峡部の両側におけるアレイの数は等しくない。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部に備わる及び/又は裏地に任意に固定された2又は3以上のアレイを備え、アレイは、峡部によって分け隔てられている。ある種の実施形態において、峡部は伸縮性ではない一方で、他の実施形態では、伸縮性である。非限定的な例として、かかる一つのデバイスは、裏地に固定された2つのアレイを備え、上記アレイが非伸縮性峡部によって分け隔てられており、アレイを含む間隔は、伸縮性ではない(例えば、図13aから13e)。図15aから15eに示されるかかるデバイスの他の非限定的な例として、デバイスは、裏地に固定されて、伸縮性ではない峡部によって分け隔てられた2つのアレイを備えている。かかる実施形態の例は、ヒト及び合成皮膚に使用した、図18aから20に示されている。
ある実施形態において、デバイスは、峡部によって分け隔てられていない2又は3以上のアレイを備えている。従って、2又は3以上のアレイは、任意に、互いに接近していることから、アレイを分け隔てている空間がなくてもよく、又は実質的になくてもよい。かかるデバイスの非限定的な例では、2つの別々の微細構造アレイを備えていてもよく、各アレイは、それ独自の基部を備え、各アレイは、それらの微細構造のピッチと同じ距離又はそれ未満の距離によって互いが分け隔てられている。従って、かかる創傷閉鎖デバイスは、創傷を閉鎖又は固定するために用いてもよく、2又は3以上のアレイに備わる微細構造は、創傷の縁まで完全に設置される。
同様に、本発明は、1つの微細構造アレイだけを備えたデバイスを提供するものであり、創傷は、創傷を直接覆ったデバイスの使用を介して閉鎖又は固定される。その結果、単一のアレイに備わる微細構造の一部は、創傷の一方の側に固定され、同じアレイに備わる微細構造の一部は、創傷の他方の側に固定される。更に、創傷は、1つの微細構造アレイだけを備えたデバイスを用いて閉鎖してもよい。この場合、上記アレイは、微細構造アレイが創傷を完全にカバーするように、かかる創傷よりも長く且つ幅がある。この結果、微細構造は、創傷の実質的に全ての横側に存在し、任意に創傷にも入り込んでいる。
特定の実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部に備わる及び/又は裏地に任意に固定された複数の微細構造アレイを備えることで、少なくとも一つの微細構造アレイは、創傷の一方の側において皮膚又は組織に入り込む又は把握することができ、少なくとも一つの他の微細構造アレイは、任意に峡部によって第一アレイから分け隔てられており、創傷の他の側において皮膚又は組織に入り込む又は把握することができる。ある実施形態において、デバイスは、可撓性及び伸縮性の裏地を備えている。かかるデバイスは、対象の皮膚上での微細構造のトラクション及びグリップを利用して創傷の横側を覆うように伸張してもよい。このような実施形態では、任意に、弾力性を含む裏地又は峡部を備えて、デバイスの収縮力がデバイスを適所で固定することを補助及び/又は創傷閉鎖を促進してもよい。この方法では、ある種の実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、創傷が閉鎖若しくは実質的に閉鎖又は任意に外反するように、創傷に直接隣接して共に皮膚を引っ張ることが可能である。他の実施態様において、デバイスは、実質的に伸縮性ではないため、他の手段(例えば縫合又は鉗子)によって閉鎖した創傷に、既に閉鎖した位置にある創傷を固定するように使用する。
アレイは、任意の適切な形状であってもよく、特定の実施形態においては、裏地の形状に関して上記した通り、刺激誘導を低減して偶然外れることを制限するように丸みのある縁を備えている。
デバイス面積及び密度
創傷閉鎖デバイスは、特定用途に適している任意の面積であってもよい。面積が大きいデバイスは、大きい創傷に使用され、小さいデバイスは、小さい創傷に使用される。
一実施形態として、デバイスは、面積が0.5cm2未満である。一実施形態として、デバイスは、面積が1cm2未満である。一実施形態として、デバイスは、面積が1.5cm2未満である。一実施形態として、デバイスは、面積が2cm2未満である。一実施形態として、デバイスは、面積が3cm2未満である。
デバイスは、単位面積当たりの微細構造の密度を有する。ある種の実施形態では、微細構造密度は、アレイ又はデバイス全体にわたって均一である。別の実施形態において、微細構造密度は、均一ではない。
一実施形態として、デバイスは、面積が0.5cm2未満であり、2-20個の微細構造を備えている。一実施形態として、デバイスは、面積が1cm2未満であり、6-50個の微細構造を備えている。一実施形態として、デバイスは、面積が1.5cm2未満であり、10-100個の微細構造を備えている。一実施形態として、デバイスは、面積が2cm2未満であり、20-200個の微細構造を備えている。一実施形態として、デバイスは、面積が3cm2未満であり、50-300個の微細構造を備えている。
頭と首用デバイス
頭部、首及び顔面に生じた裂傷及び皮膚生検での最も大きな断片と、開示したデバイスの優れた創傷閉鎖能力と、を考慮すれば、ある種の実施形態では、デバイスは、比較的小規模の創傷閉鎖用に構成される。ある種のかかる「頭と首」用デバイスにおいて、比較的短い微細構造(例えば、マイクロニードル)を用いて炎症を最小限にし、他の皮膚サイト(例えば背中及び四肢)と比較して皮膚が薄い頭部、顔面及び首に入り込むことができるようする。頭と首デバイスの例は、0.5〜2cmの長さ及び幅を有する。かかるコンパクトな形態は、比較的小さいアレイと短い峡部又は峡部なしに由来する。
一実施形態として、微細構造の間隔は、1-3mmである。
1つの例示的な実施形態において、頭と首用デバイスは、1cm x 0.6cmのデバイスという特徴を有し、2つのアレイのそれぞれは、長さ3-4mm及び幅0.6cmであり、各アレイに2-6個の微細構造(例えば、マイクロニードル)を有し、長さ2-3mmの峡部を有する。
1つの例示的な実施形態において、頭と首用デバイスは、1cm x 1cmのデバイスという特徴を有し、2つのアレイのそれぞれは、長さ3-4mm及び幅1cmであり、各アレイに6-40個の微細構造(例えば、マイクロニードル)を有し、長さ2-3mmの峡部を有する。
1つの例示的な実施形態において、頭と首用デバイスは、1.5cm x 1cmのデバイスという特徴を有し、2つのアレイのそれぞれは、およそ長さが5-6mm及び幅が1cmであり、各アレイに10-60個の微細構造(例えば、マイクロニードル)を有し、長さが約5mmの峡部を有する。
1つの例示的な実施形態において、頭と首用デバイスは、2cm x 1cmのデバイスという特徴を有し、2つのアレイのそれぞれは、およそ長さが6-8mm及び幅が1cmであり、各アレイに15-100個の微細構造(例えば、マイクロニードル)を有し、峡部は、長さが6-8mmである。
任意のデバイスサイズ、微細構造タイプ、アレイタイプ及び関連した特性を有する頭と首用デバイスが更に予想されることはいうまでもない。
ロール包帯
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、ロールの形態である。本発明のロール創傷閉鎖デバイスは、ある実施形態において、重要な創傷閉鎖微細構造アレイを追加したロール包帯に類似している。かかる微細構造アレイロール包帯は、細くて長い形状を有し、ロールとして形成されている。それらは、様々な長さ及び幅と、長手方向軸と、上記長手方向軸に沿って(一般的には上記長手方向軸の中心線に)延在する、即ち微細構造アレイロール包帯を使用すると創傷上を覆う、創傷に面する峡部と、を備えている。
ある種の実施形態において、微細構造アレイロール包帯の各々は、細くて長い平行した3つの長手部分を備え、上記長手部分は、微細構造アレイを固定する裏地の長手方向軸に沿って延在する中間部分(創傷に面する峡部)を備えている。かかる包帯は、裏地の長手方向軸に沿って延在する2つの外側部分を更に備え、上記2つの外側部分の各々は、包帯の長さに沿って延在する1又は複数の微細構造アレイを備えている。ある実施形態において、包帯は、長手方向軸に沿って延在する微細構造の1つの長いアレイを備え、他の実施形態では、複数の微細構造アレイがこの軸に対応するように備わっている。
他の類似の実施形態において、微細構造アレイロール包帯は、裏地を備えていないが、基部上に微細構造を備えている。かかる包帯は、細くて長い平行した3つの長手部分を備え、上記長手部分は、微細構造アレイが固定された基部の長手方向軸に沿って延在する中間部分(創傷に面する峡部)を備えている。かかる包帯は、基部の長手方向軸に沿って延在する2つの外側部分を更に備え、上記2つの外側部分の各々は、基部の長さに沿って延在する1又は複数の微細構造アレイを備えている。ある実施形態において、包帯は、縦軸に沿って延在する微細構造の1つの長いアレイを備え、他の実施形態では、複数の微細構造アレイはこの軸に対応するように備わっている。
本発明にかかる全てのデバイスと同様に、ロール包帯には、他の薬又は治療薬を、例えば、峡部上に又はそれに沿って任意に含ませることができる。同様に、ロール包帯は、例えば、裏地又は基部に直接含まれる接着剤を、又は任意に裏地又は基部の外側の部分に沿って突出しているタブ又はストリップに含まれる接着剤を任意に含むこともでき、上記タブ又はストリップは、任意に着脱可能であり、例えば、穿孔により容易に分離することが可能である。
例えば、包帯(例えば、例えばBAND-AID(登録商標))の市販製品(OTC)ユーザーに目標を定めると、更なる実施形態には、本微細構造技術に基づく接着剤のない創傷閉鎖デバイスが含まれる。かかる実施形態は、接着剤を使用して皮膚に取り付ける従前から利用可能な包帯の代替物として使用してもよい。かかる実施形態は、典型的な接着剤付き包帯の形態及び形状とすることができる。これらの製品は、今日では包帯が使用される小さな切り傷及び熱傷を患っている患者のニーズを満たすことができる。更なる実施形態では、デバイスの取り付けに役立つ他の構成要素(例えば、ナノ構造(例:ナノ繊維))を備えるデバイスが提供される。かかる一つの非限定的な例には、裏地又は微細構造に対するキチンナノ繊維コートを追加で備えている。それらはサイズが小さいため、これらのナノ構造によってデバイスの表面積が増加し、創傷又は組織若しくは皮膚周辺との全体的な接触性が上昇する。従って、増加した表面積は、接着剤を使用せずに接着性を誘導して、デバイスの適切な設置及び付着を補助する。
本発明のデバイスは、様々な装飾的デザインを更に備えていてもよい。ある実施形態において、上記デバイスは、実質的に透明であり、他の実施形態では透明ではない。具体的な実施形態として、色又はパターン(例えば、動物のプリント又はテーマデザイン)を有する本願明細書に開示するデバイスが提供される。
任意の構成要素
特定の実施形態において、上述の微細構造アレイに加えて、本発明の創傷閉鎖デバイスは、微細構造にナノ構造アレイ及び/又はナノ繊維コーティングを更に備えていてもよい。このような実施形態では、ナノ繊維コート微細構造表面又はナノ構造アレイは、デバイスの表面積を増加させることができるため、使用対象の皮膚又は組織とデバイスとの接触性が上昇する。その結果、デバイスは、接着剤を使わずに粘着力が更に向上して、より効率的に張り付くことから、接着性の構成要素が不要になる。従って、ある特定の実施形態において、本発明の微細構造は、共願のPCT出願(PCT/US2012/040565、引用によって本願明細書に完全に組み込まれている)に開示しているキチンナノ繊維インクを備える又はそれによってコーティングされている。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、基部又は可撓性裏地上に視覚的ストレス指標を備えている。ある種の実施形態では、ストレス指標は、デバイスの拡張に応じて色が変化する塗装済みストリップ又はいくつかの塗装済みストリップである。
更なる実施形態において、本願明細書に開示されたデバイスは、例えば、痛みを低減したり、治癒を向上させたり、創傷に対する粘着力を低下させたり、感染を防止したり、かゆみを低減させたり、そうでなければ患者の快適性の向上を補助したりする、1又は複数の追加の構成要素を備えていてもよい。かかる追加の構成要素は、以下に記載されており、任意の適切な位置に(例えば、峡部又は1若しくは複数のアレイに)本発明の創傷閉鎖デバイスを組み込むことができる、又は、本創傷閉鎖デバイスの使用前に創傷を治療するためにそれらを代わりに提供及び/又は使用することができる。
ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、ヒドロゲルを更に含む。ヒドロゲルは、任意の物質を含んでいてもよい。ある実施形態では、不活性物質又は不活性物質の混合物を含む、又はそれから本質的になる、又はそれからなるヒドロゲルが提供される。ある実施形態において、ヒドロゲルは、バイオポリマーを含む。ある種の実施形態では、ヒドロゲルは、生物活性物質を含み、ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、創傷癒合を誘導又は促進可能な生物活性物質を含む。一実施形態として、ヒドロゲルは、キチン、キトサン又はキチンとキトサンとの混合物を含む。ある種の実施形態では、本発明の創傷閉鎖デバイスは、本願明細書に記載のヒドロゲルを含み、ヒドロゲルは、可撓性裏地に結合している。ヒドロゲルは、任意の適切な位置にある裏地に結合していてもよい。ある特定の実施形態において、ヒドロゲルは、峡部に結合している。ある特定の実施形態において、ヒドロゲルは、微細構造アレイ内の空間(例えば、少なくとも2つの微細構造の間)における可撓性裏地に結合している。ある特定の実施形態において、ヒドロゲルは、(例えば、コーティングとして)1又は複数の微細構造に直接結合している。
ある実施形態において、他の治療薬剤は、例えば、キトサン、キチン、アルギネート、銀、シリコーン、ヨウ素、抗菌物質、サイトカイン、成長因子、蜂蜜、マヌカ蜂蜜、ポリヘキサメチレンビグアニド、メチレンブルー、ゲンチアナバイオレット及びそれらの組み合わせが任意に含まれる又は創傷閉鎖デバイスと共に使用される。従って、かかる実施形態において、これらの他の薬剤は、デバイスの使用前に、ユーザーによって創傷又はデバイスに任意に使用してもよい。或いは、ある実施形態において、これらの他の薬剤は、(例えば、峡部又はアレイに)パックされてデバイスに含んでいてもよい。薬剤は、粉末、クリーム、ゲル、軟膏又は他の当業者には公知の製剤として使用してもよい。
カバー
本発明のある実施形態では、創傷又は創傷閉鎖デバイスの上部をカバーする1又は複数の保護カバーが任意に使用され、例えば、周囲の環境から創傷を更に保護し、その目的の位置における確実なデバイスの維持を補助する。実際、我々は、ある実施形態において、このようにしてカバーされると、それらの目的位置においてより強くデバイスが固定されることを明らかにした。原則として、如何なるカバーであっても十分である。ある実施形態において、最適なカバーは、デバイスに下向の力を更に加えて、微細構造が適切な位置に留まることを確実にし、いずれの微細構造も意図しない剥離を防止することができる。カバーは、任意の適切な形状であってもよく、特定の実施形態においては、裏地の形状に関して上記した通り、刺激誘導を低減して偶然外れることを制限するように丸みのある縁を備えている。
ある実施形態において、カバーは接着剤を含む一方で、他の実施形態ではそれを含まない。接着剤は、任意に、永久にデバイスに付着するが、皮膚又は組織には一時的に付着するのでもよいことから、任意にカバーを取り除くことを試みると、結果としてデバイスが同時に除去される。このような例では、デバイス及び/又はカバーは、任意に、必要に応じて新しいデバイス及び/又はカバーと交換してもよい。ある実施形態において、カバーは、デバイスに永久的には接着しない代わりに、創傷上のデバイスの設置位置を妨げることなく取り除くことが可能であり、任意に、他のカバーと交換することができるように設計されていてもよい。或いは、1又は複数のデバイスを交換するように、かかる一時的なカバーを取り除くことができる。そして、当然、新規なカバーを、例えば必要に応じて任意に使用してもよい。他の実施態様において、一部のカバーだけに、例えば、本願明細書に記載されている通り、接着剤が含まれていてもよい。
ある実施形態において、カバーは、任意に可撓性及び/又は伸縮性であってもよい。ある実施形態において、カバーは、透明又は実質的に透明であるため、創傷癒合を非侵襲的にモニターすることができる一方で、他の実施形態では、カバーは透明ではない。ある実施形態において、カバーは、シート、包帯、フィルム、又は他の透過性、半透過性若しくは不透過性カバーの形態である。カバーは、天然、合成及び/又は人工素材から製造されていてもよく、ある特定の実施形態では、ポリマー物質(例えば、シリコーン、ポリウレタン又はポリエチレン)を含む。ある実施形態において、カバーは、無毒性、生分解性、生体再吸収性又は生体適合性の素材を含む。ある実施形態において、カバーは、不活性素材を含み、他の実施形態では、カバーは、活性化素材を含む。ある実施形態において、カバーは、弾性特性を更に含み、弾力性は、カバー全体にわたって任意に類似していてもよく、カバーに沿って、又は、横切って変化していてもよい。更に、ある実施形態において、カバーは、接着剤を含む一方で、他の実施形態では、含まれていない。従って、ある実施形態において、カバーは、テープ(例えば、医療用テープ、白色布テープ、外科手術用テープ、黄褐色布医療用テープ、絹製外科手術用テープ、透明テープ、低アレルギー性テープ)、シリコーン、弾性シリコーン、ポリウレタン、弾性ポリウレタン、ポリエチレン、弾性ポリエチレン、ガーゼ、ゲル、ヒドロゲル、絹、キチン、キトサン、セルロース、アルギネート、発泡体、収縮性ラップ、シート及び親水コロイドからなるグループより選択される素材単独又はそれらの組み合わせを含む。
特定の実施形態において、カバーは、ブラウンメディカル(Brown Medical)-シールタイトシャワードレッシングプロテクションパッチ(Sealtight Shower Dressing Protection Patch)、スミス&ネヒューカバーサイトコンポジットカバードレッシング(Smith & Nephew Coversite Composite Cover Dressing)、コロプラストコムフィールプラスハイドロコロイドクリアシンドレッシング(Coloplast Comfeel Plus Hydrocolloid Clear Thin Dressing)、シスタジェニックニュー-ダームボーデッドハイドロコロイドウーンドドレッシング(Systagenix Nu-Derm Bordered Hydrocolloid Wound Dressing)、3M テガダームハイドロコロイドドレッシング(3M Tegaderm Hydrocolloid Dressing)、スミス&ネヒューレプリケアシンハイドロコロイドドレッシング(Smith & Nephew Replicare Thin Hydrocolloid Dressing)、スミス&ネヒューレプリケアハイドロコロイドウーンドドレッシング(Smith & Nephew Replicare Hydrocolloid Wound Dressing)、ホリスターレストアステラルハイドロコロイドドレッシング(Hollister Restore Sterile Hydrocolloid Dressing)、ホリスターレストアステラルハイドロコロイドドレッシングウィズフォーム(Hollister Restore Hydrocolloid Dressing with Foam)、裏地、ホリスターレストアプラスハイドロコロイドドレッシングウィズテーパードエッジ(Hollister Restore Plus Hydrocolloid Dressing with Tapered Edge)、ケンダルポリスキンIIトランスペアレントドレッシング(Kendall Polyskin II Transparent Dressing)、スミス&ネヒューアルギサイトMカルシウムアルギネートドレッシング(Smith & Nephew AlgiSite M Calcium Alginate Dressing)、ケンダルキュラソーブカルシウムアルギネートドレッシング(Kendall Curasorb Calcium Alginate Dressing)、デローヤルカルジネートカルシウムアルギネートドレッシング(Deroyal Kalginate Calcium Alginate Dressing)、スミス&ネヒューシカ-ケアシリコーンゲルシーティング(Smith & Nephew Cica-Care Silicone Gel Sheeting)、メンリッケルメピフォームセーフタックセルフアドヒレントドレッシングウィズソフトシリコーンフォースカーレダクション(Molnlycke Mepiform Safetac Self Adherent Dressing with Soft Silicone for Scar Reduction)、メンリッケルメピフォームセーフタックトランスペアレントウーンドコンタクトレイヤー(Molnlycke Mepitel Safetac Transparent Wound Contact Layer)、スミス&ネヒューオプサイトフレキシフィックストランスペアレントフィルムロール(Smith & Nephew OpSite Flexifix Transparent Film Roll)、シスタジェニックセレクトバイオクルシーブトランスペアレントウーンドドレッシング(Systagenix Select Bioclusive Transparent Wound Dressing)、シスタジェニックセレクトバイオクルシーブトランスペアレントウーンドドレッシング(Systagenix Select Bioclusive Transparent Wound Dressing)、3Mテガダームトランスペアレントドレッシングファーストエイドスタイル(3M Tegaderm Transparent Dressing First Aid Style)、3Mテガダームクリアアブソーベントアクリリックドレッシング(3M Tegaderm Clear Absorbent Acrylic Dressing)、ハートマンコスモポアアドへッシブウーンドドレッシング(Hartmann Cosmopore Adhesive Wound Dressing)、3Mテガダームトランスペアレントフィルムドレッシングウィズボーダー(3M Tegaderm Transparent Film Dressing with Border)、ケンダルテルファステラルクリアウーンドドレッシング(Kendall Telfa Sterile Clear Wound Dressing)、スミス&ネヒューアレビンシンジェントル-アドヘッシブポリウレタンドレッシング(Smith & Nephew Allevyn Thin Gentle-Adhesive Polyurethane Dressing)、及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される商業的に入手可能なカバーである。
ある実施形態において、カバーは、任意に接着剤を含むロールに含まれている。ある実施形態において、ロール包帯は、接着性カバー(例えば、接着性ロールカバー)によってカバーすることができる。他の実施態様において、ロール包帯は、複数の接着性カバー(例えば、複数のシートカバー)によってカバーすることができる。
ある実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、使い捨てである。従って、使い捨てのデバイスは、それを二回以上使用できない構成要素を備えていてもよい。いかなる形であれ限定するものではないが、例えば、使い捨てのデバイスは、一旦皮膚から取り除かれると付着しない接着素材を含む裏地又は創傷カバーを備えていてもよい。他の非限定的な例において、接着性カバーを用いてもよく、使用後、カバーは、創傷閉鎖デバイスを破壊することなく互いを分離することができないように創傷閉鎖デバイスに接着するように設計されている。他の非限定的な例において、微細構造は、生分解性素材からできていてもよい。かかる使い捨てのデザインによって、複数の患者にデバイスを使用した結果として感染因子が伝わる可能性のリスクを防止してもよく、そして、感染リスクを高める可能性がある同一患者に対する再使用のリスクも低下するだろう。
パック
本発明の創傷閉鎖デバイスは、個々にパック(例えば、単回使用のスタンドアローンパック)されていてもよく、或いは、複数のデバイスとして、任意の形、例えば、個々にパックされた単回使用の閉鎖デバイスを複数個含んでいる容器、又は、例えば、複数のデバイスを含み、切断可能接続部又は引き裂き可能接続部によって分離できるロールと共にパックされていてもよい。従って、ある実施形態では、本願明細書に記載の通り、複数の個々にパックされた創傷閉鎖デバイスを複数個含むロールが提供され、個々にパックされたデバイスの各々は、有孔接続部を介して少なくとも一つの他の個々にパックされたデバイスと接続しているため、上記個々にパックされた包帯の1つを簡単に分離することができる。
ある実施形態において、本発明の複数の創傷閉鎖デバイスは、ロールの形態で共にパックされていてもよく、或いは、本願明細書に記載の通り、創傷閉鎖デバイスは微細構造アレイ包帯であってもよい。従って、本開示では、本創傷閉鎖デバイスの簡単な使用を補助する、ロールオンタイプの携帯型ディスペンサーが提供される。自宅用セットとして使用可能であるが、この実施形態は、外科市場(例えば、具体的には、緊急の医療環境(例:時間が最も重要性である救急室及び手術室))を考慮して具体的に設計されている。迅速な片手操作について、かかる実施形態では、使用に貴重な時間を必要とする縫合糸、又は、手作業が困難であり小さな創傷のみ閉鎖可能なステリ-ストリップに勝る有意な利点が提供される。
かかる実施形態の設計は、紙上の誤記を訂正するのに用いられるホワイトテープディスペンサーに例えることができる。この実施形態は、その無菌性を確実にするために密封された囲い内に保たれたロールを含むことができる。テープ又は包帯は、様々な医療用途及び他の用途のニーズに合わせて様々な幅に調節してもよい。例えば、かかるテープ又は包帯は、0.5cm、1cm又はそれより大きい幅を有していてもよい。ディスペンサーを用いてデバイスを創傷領域に使用することによって、医療ケアに関する医療提供者は、その強い機械特性及び接着特性を有するこの実施形態を迅速に使用して、痛みを伴う縫合を行わずに創傷閉鎖を確実に行なうことができるだろう。微細構造技術により、患者皮膚と接触すると直ぐに微細構造は接着し、更なる素材を必要としない。微細構造は、微細構造ロールの背部(皮膚とは離れている表面)に対する粘着力を最小限にして、迅速及び便利な取り出しを確実にするように設計されるだろう。本発明の微細構造ディスペンサーは、カットのための手段は、具体的には、患者の皮膚に損傷を与えることのない微細構造テープ又はロールを切る具体的な切断手段を備えていてもよい。ある実施形態において、医療ケアに関する医療提供者の手を上方に回転させると微細構造テープを切断できる角度で刃物を設置することができる。この片手操作によって、早くて正確な創傷閉鎖がもたらされる。医療ケアに関する医療提供者は、創傷閉鎖の間、他の手を使用して皮膚の平坦化を確実に行なうことができる。これは、医療ケアに関する医療提供者にとってより簡便であるだけでなくて、創傷閉鎖の実行時に外科医を補助する他の医療要員を省くこともできる。
創傷閉鎖システムキット
ある実施形態において、本発明のデバイスは、創傷閉鎖システムとして提供される。上記創傷閉鎖システムは、本願明細書に記載する少なくとも一つの創傷閉鎖デバイスと、上記デバイスと共に任意に使用可能な少なくとも一つの他の構成要素(例えば、創傷治癒能力を向上させるもの)と、を含むキットである。これらのようなキットは、本願明細書に開示される1又は複数の創傷閉鎖デバイスと、1又は複数の他の任意の構成要素(例えば、創傷閉鎖デバイスをカバーするように使用する(任意に接着剤を含む)1又は複数のカバー)と、デバイスの使用前に創傷に任意に使用することができる薬又は治療薬、洗浄及び/又は殺菌手段(例えば、防腐剤、抗生物質、無菌生理食塩水)、鎮痛薬(例えば、ベンゾカイン又はリドカイン)を含む1又は複数の容器(例えば、ボトル、パウチ、パケット、チューブ)と、創傷閉鎖デバイスを使用するための指示書と、を含む。
かかる実施形態において、本開示の1又は複数の創傷閉鎖デバイスと、任意に上述した1又は複数の任意の構成要素とを含む創傷閉鎖システムは、更にキチン及び/又はキトサンを有する。同様に、キチン及びキトサンは、1)治癒を促進し、2)抗バクテリアであり、3)出血を防止(止血)し、4)炎症を低減し、5)瘢痕化を低減し、6)流体(例えば滲出物)を吸収し、7)空気を通す、ことから、閉鎖前に創傷に対してそれらを追加することは、治癒プロセスを大幅に向上させることができる。キチン又はキトサンは、任意の適切な形態であってもよく、ある実施形態においては、粉末、ゲル、クリーム又は軟膏の形態である。キチン又はキトサンは、創傷閉鎖デバイスの使用前に、創傷又はデバイスに使用してもよい。その結果、これらの製品の天然治癒特性によって治癒を促進させることができる。或いは、デバイスは、デバイスの任意の適切な位置(例えば、微細構造上若しくはその周辺又は峡部上)にキチン又はキトサンが既にある状態でパックされていてもよい。
ある特定の実施形態では、キットは、(裏地から離れた位置にある)1又は複数の微細構造アレイと、1又は複数の裏地(例えば、任意に、アレイを固定できる様々な裏地)(従って、このユーザー柔軟性によって、特定の創傷の仕様に合わせた正確なデバイス設計を仕立てることができる)と、1又は複数のアレイを1又は複数の裏地に取り付ける手段(例えば、接着剤)と、カバーと、(例えば、軟膏、ゲル、クリーム又は粉末の形態の)キチン又はキトサンと、を備えていてもよい。
他の具体な実施形態において、キットは、裏地に固定された1又は複数の微細構造アレイと、カバーと、(例えば、軟膏、ゲル、クリーム又は粉末の形態の)キチン又はキトサンと、を備えていてもよい。
別の実施形態において、キットは、所望の寸法にアレイを個々に製造することができるように、デバイス、アレイ及び/又は裏地を切断するように構成された鋭利な装置(例えば、使い捨てのハサミ)が備わっている。これによって、ユーザーは、創傷閉鎖デバイスを個々の創傷に関する特定の寸法及び他の特性に仕立てることができる。
加えて、全てのキットは、任意に、本デバイスの使用説明書を更に含む。
デバイスの使用
各種実施形態の創傷閉鎖デバイスは、急性及び慢性創傷(例えば、裂傷、切断、すり傷、擦過傷、手術後創(例えば、低侵襲手術、腹腔鏡手術、ロボット手術、切開生検、一般手術及び美容手術によって引き起こされる創傷)、剥離皮膚、熱傷、潰瘍(例えば、糖尿病潰瘍、脈管不足潰瘍、とこずれ)又は他の皮膚の問題(例えば、アレルギー、湿疹、皮膚炎及び乾癬))を含む任意の種類の創傷を治療するために用いることができる。従って、実施形態のデバイスを使用してより大きな創傷だけでなく小さい創傷を治療することができるように、様々なサイズの創傷閉鎖デバイスを作成することができる。特定の実施形態において、本発明のデバイスで治療される創傷は、長さ約0.1mmから長さ約50cmにわたる。従って、特定の実施形態で、創傷長は、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm又は50cm超であり、これらには、記載の創傷長の全ての範囲(例えば、0.1mm-50cm、0.5mm-10cm、0.5mm-5cm等)並びに整数及び小数(例えば、9.1mm、9.2mm、9.3mm等)が含まれる。
創傷閉鎖デバイスは、創傷全体又は創傷の一部を閉鎖するのに用いることができる。同一又は異なる設計の複数の創傷閉鎖デバイスを共に用いて所定の創傷を閉鎖してもよい。複数の創傷閉鎖デバイスを用いて単一創傷を閉鎖する場合、それらを互いに近接するように配置(創傷に対して平行又は直角のいずれかで延在)させてもよく、任意の適切な距離で互いを分け隔てていてもよい。従って、デバイスは、2つの異なるデバイスのアレイ間に空間なく使用してもよく、約2cm又は2cm超で離れて使用してもよい。特定の実施形態において、複数の創傷閉鎖デバイスは、約2mmから約10mmにわたる間隔を有して、本開示に従って創傷に固定される。
創傷閉鎖デバイスは、他の創傷閉鎖デバイス(例えば縫合糸、ステープル、組織接着剤及び包帯)と組み合わせて使用することもできる。創傷閉鎖デバイスは、他のデバイス(例えばステープル、縫合糸又は組織接着剤)用いて閉鎖前に、創傷を一時的に閉鎖するために使用することもできる。創傷閉鎖デバイスは、縫合糸又はステープルを用いて閉鎖した後に使用することもできる。例えば、これは、縫合糸及びステープルを早期に除去することができるため、これらのデバイスに関連する瘢痕化のリスクが低下する。
創傷閉鎖デバイスは、単独で又は創傷被覆材(透明フィルム、ガーゼ、親水性繊維、ヒドロゲル、親水コロイド、滲出吸収体、コラーゲン及びアルギネートを含む)と共に使用することができる。デバイスは、ビスマス、石油、銀及びカルボキシメチルセルロースを含有する浸透性被覆材を用いることもできる。
本願明細書に開示される創傷閉鎖デバイスは、任意の適切な方法によって使用することができる。如何なる方法にも限定するものではないが、例えば、ある実施形態において、創傷には、1以外の幅に対する長さのアスペクト比(例えば、裂傷)が含まれる。一実施形態において、創傷閉鎖デバイスは、かかる創傷のより長い部分に対して垂直に使用することができることから、創傷の隙間を架橋することができ、或いは、デバイスは、創傷の隙間に対して平行に使用することができ、例えば、微細構造アレイ創傷包帯ロールは、創傷を覆うように巻かれる。更なる実施形態において、本発明のデバイスは、創傷の隙間に対して対角線でかかる創傷に使用してもよい。加えて、必要に応じて、ある実施形態では、複数の閉鎖デバイスを利用して特定の創傷を治療する。このような実施形態では、デバイスは、所望の創傷閉鎖効果を達成するように、任意の適切な方法で創傷に使用してもよい。非限定的な例には、例えば、互い平行しての又は互いに垂直での、更には互いに十字に交差しての1又は複数の創傷閉鎖デバイスの使用が含まれる。ある実施形態において、デバイスは、創傷全体に伸長され、他の実施形態において、デバイスは、伸長されずに使用される。ある実施形態において、デバイスは、手で使用され、ある実施形態において、デバイスは、(以下でより詳しく記載している)取り付け器具又は機器を用いて使用される。ある実施形態において、複創傷閉鎖デバイスを用いて個々の創傷を閉鎖してもよい。任意の数のデバイスを用いて任意の配向で所定の創傷を閉鎖してもよい。上記デバイスは、所望の創傷閉塞効果を達成するように任意の適切な距離で互いが離れるように間隔を空けてもよい。
一般に、本発明の創傷閉鎖デバイスは、創傷を閉鎖又は保護することができる一方で、任意に薬又は治療薬剤の効果的且つ多用途デリバリーを可能にすることもできる。図16は、創傷に使用した創傷閉鎖デバイスの模式的な断面図を示す。本実施形態において、比較的長い微細構造は、創傷の両側において表皮に入り込み、近接する皮膚の真皮に入り込むことを示している。このようにして、確実に創傷を閉鎖する。所望の用途に応じて、微細構造長を、例えば、より短い微細構造を用いることで変更し、表皮に対する局所ドラッグデリバリー、真皮を透過するのに十分な長さ又は特定の皮膚及び表皮副層に対する薬又は治療薬デリバリーを目的とする様々な中間長の微細構造を介した浸透性デリバリーを誘導する。当業者は、容易に、特定の層を標的するのに必要な長さの微細構造を決定し、デバイスを使用する意図がある位置に応じて変化するであろう特性を決定することができる。例えば、眼瞼の真皮層を目標とする場合、0.3mmの範囲の微細構造長を構成しなければならない。しかしながら、真皮層の裏側を標的にする必要がある場合、微細構造長は、1桁長く(例えば3mmに)しなければならない。
従って、ある実施形態において、本発明の創傷閉鎖デバイスは、それらの所望の機能を、他の公知の薬又は治療薬剤の非存在下で提供される。そして、他の実施形態では、デバイスは、それらの所望の機能を、他の薬又は治療薬剤と組み合わせて提供される。ある特定の実施形態において、本発明では、例えば、薬又は治療薬を組み込むことができる中空微細構造(例えば、米国特許第3964482号(その全ては、引用により本願明細書に組み込まれている)に記載されているもの)と、多孔性微細構造と、薬又は治療薬がコーティングされた微細構造と、薬又は治療薬デリバリーを制御するための徐放機構を有する微細構造と、を備える創傷閉鎖デバイスが提供される。本願明細書に記載の創傷閉鎖デバイスを用いて、人間又は任意の他の動物(限定するものではないが、哺乳動物、魚、爬虫類、鳥類及び他の生物)上の創傷を治療することができる。従って、本願明細書に記載の創傷閉鎖デバイスの医療用及び獣医学用の用途は、本発明に含まれるものであり、かかる用途は、訓練された医療の専門家、医師、獣医師、看護士、救急医療士等によって、又は、店頭で本願明細書に記載のデバイスを購入した消費者によって実行することができる。
実施例1
微細構造の製作
以下の実施例は、本願明細書に従う微細構造及び微細構造アレイを生産する多くの適切な方法の1つを概説している。この特定の実施例では、微細構造は、本技術分野で一般に用いられるレプリカ成形技術を使用して生産しており、熟練した職人であれば容易に再現することができる。
図1a〜1fは、この手順における主要なステップを説明する模式図を示している。開始するために、所望の寸法のマスターモールドを、マイクロマシニング及びウェットエッチングを介してアルミニウムから作成した。ポリジメチルシロキサン(PDMS)モールド(Sylgard 184 Silicone Elastomer Kit、ダウコーニング社、3097358-1004)は、アルミニウム箔ボックス内のマスター上部に、混合したばかりのPDMSの構成成分を注入し、15分間乾燥させ、そして、構成成分をホットプレート上で110℃1時間硬化させることによって、マスターから作成した。PMMA(シグマオールドリッチ445746-500G)をアセトンに溶解して10wt%溶液を作成し、そして3mmの溶液高となるようにモールドに注いだ。約3日間の乾燥後、全てのアセトンを蒸発させて、微細構造をモールドから剥がし取り、そして必要になるまで細胞培養皿上で保存した。最後に、微細構造を、ロックタイト4011医療用接着剤を用いて接着させることによってステリ-ストリップS片に固定した。図2a〜2cは、この技術を介して生産された種々の微細構造の写真である。A及びCは、直線状マイクロニードルであり、Bは、角度付きマイクロブレードである。図7a、7b、12a及び12bは、それぞれ、直線状マイクロニードルアレイ及び角度付きマイクロブレードアレイの非限定的な実施例のイメージである。各々は、低密度(図7a及び12a)のパターンと、高密度(図7b及び12b)のパターンである。従って、これらは、この方法を介して生産することができる多様な微細構造の一部を示している。図14a〜14c及び17a〜17cは、この方法を介して生産された微細構造アレイを備える創傷閉鎖デバイスの非限定的なプロトタイプの実施例を示している。
実施例2
創傷閉鎖デバイス
以下の実施例は、我々が製造したいくつかの創傷閉鎖デバイスのうち、非限定的に選択したものを説明している。原則として、微細構造は、本技術分野で一般的な微細加工技術を用いて(例えば、実施例1に記載されているレプリカ成形法を介して)、任意の想定し得る形状を容易に作成することができる。更に、PMMAは、この実施例に示したデバイスの全てに使用されているが、様々な微細構造及び微細構造アレイを他の素材(例えば、キチン)から形成した。そして、当業者は、無数の他の素材(例えば、この明細書に記載されている様々な素材、及び、かかる微細加工に適している、熟練職人には公知の何百もの他の素材)から類似の微細構造を容易に作成することができる。従って、制限するものではないが、我々は、この技術の多彩な用途に関する特定の用途の例として、これらの特定の実施形態を示す。
プロトタイプA
これらのデバイスは、すべて、実施例1に記載されている方法に従って製造された2つの微細構造アレイを備えている。2つの基部は、それぞれ単一の微細構造アレイを備えており、ステリ-ストリップS素材由来のポリウレタン裏地に固定した。アレイを備える裏地は、ポリエステル繊維峡部によって分け隔てた。図17aは、これらのプロトタイプの1つの画像を示している。この画像において、裏地素材は、長さ3cm x 幅1.5cmである。アレイは、長さ12mm x 幅8mmであり、PMMAからできている長さ550μmの直線状マイクロニードルを備えている。このマイクロニードルは、アレイ中に分配されている。峡部は、長さ15mmであり、2つの微細構造アレイ間は22mm離れている。このプロトタイプの生産を通じて、要素(例えば、ニードルアレイ間の峡部長さ/距離、裏地内のニードルアレイの位置、ニードルアレイを挟んで対抗する横側にあるタブの長さ、タブに及び/又は峡部領域における接着剤の有無、微細構造のタイプ、使用する微細構造アレイのサイズ及び微細構造の密度)を色々と変化させて、多くの他のモデルを製造した。
プロトタイプB
これらのデバイスは、すべて、実施例1に記載されている方法に従って製造された2つの微細構造アレイを備えている。2つの基部は、それぞれ単一の微細構造アレイを備えており、ステリ-ストリップS素材由来の単一のポリエステル繊維裏地に固定した。基部は、様々な峡部長をつくるために様々な長さで分け隔てて配置されている。図17bは、これらのプロトタイプの1つの画像を示している。この画像において、2つのマイクロブレードアレイは、5mmの峡部分離を有する長さ22mmのポリエステル繊維に固定されている。各アレイは、長さ4.5mm x 幅11mmであり、アレイの全体にわたって均一に分配された8個の角度付きマイクロブレード×3個のマイクロブレード構成において長さ900μmのPMMAマイクロブレードを備えている。2つのアレイは、5mmで分け隔てられている。デバイスの両末端上のタブは、(ステリ-ストリップSに存在する)アクリレート接着剤を有する。このプロトタイプの生産を通じて、要素(例えば、峡部長(即ち、微細構造アレイ間の距離)、アレイを挟んで対抗する横側にあるタブの長さ、タブに及び/又は峡部領域における接着剤の有無、微細構造のタイプ、使用する微細構造アレイのサイズ及び微細構造の密度)を色々と変化させて、多くの他のモデルを製造した。
プロトタイプC
これらのデバイスは、すべて、実施例1に記載されている方法に従って製造された2つの微細構造アレイを備えている。2つの基部は、それぞれ単一の微細構造アレイを備えており、ステリ-ストリップ(注: ステリ-ストリップSではない)素材由来の、強度のためにポリエステル繊維支持体を加えた紙/繊維混合物からできている単一の裏地(この裏地は、皮膚に適合し得る一方でそれでも創傷を閉鎖し得るある程度の柔軟性を有する)に固定した。基部は、様々な峡部長をつくるために様々な長さで分け隔てて配置されている。図17cは、これらのプロトタイプの1つの画像を示している。この画像において、2つのマイクロニードルアレイは、8mmの峡部分離を有する45mmのポリエステル繊維に固定されている。各アレイは、長さ6mm x 幅10mmであり、アレイの全体にわたって均一に分配された7個の直線状ニードル×4個の直線状ニードル構成において長さ1mmのPMMAニードルを備えている。デバイスの両末端上のタブは、(ステリ-ストリップに含まれる)アクリレート接着剤を有する。2つのマイクロニードルアレイは、8mmで分け隔てられている。このプロトタイプの生産を通じて、要素(例えば、峡部長(即ち、ニードルアレイ間の距離)、ニードルアレイを挟んで対抗する横側にあるタブの長さ、タブに及び/又は峡部領域における接着剤の有無、微細構造のタイプ、使用する微細構造アレイのサイズ及び微細構造の密度)を色々と変化させて、多くの他のモデルを製造した。
まとめ
この例では、本創傷閉鎖デバイスの用途の広さが証明された。示したように、微細構造及びアレイの寸法(例えば、サイズ、形状、幅及び長さ)と、タイプ(マイクロニードル及びマイクロブレードアレイをそれぞれ示す図7a及び7b並びに図12a及び12bを参照)と、様々な長さ及び幅の基部に提供された微細構造の角度は、変更することができる。様々なサイズ、形状、及び微細構造密度を有する微細構造アレイを製造することもできる。様々な裏地/峡部サイズ、素材、アレイ構成等を有する創傷閉鎖デバイスを製造することも可能である。従って、本発明の本創傷閉鎖デバイスは、様々な組織及び皮膚における広範囲で種々のタイプの創傷を閉鎖するのに必要な固有の要件を微調整可能な無数の創傷閉鎖デバイスを提供することができる、用途の範囲が広い創傷閉鎖システムを提供する。
実施例3
微細構造アレイトラクション分析
以下の実施例は、微細構造アレイが皮膚を把持及び保持することができるか否かを決定するために我々が行った予備分析を概説する。この研究の目的は、創傷が角度付きマイクロブレードを備える創傷閉鎖デバイスが皮膚に接着できるか否かを評価することである。C2マイクロブレード(均一に分配された8X4マイクロブレード、図2bを参照)の8mm x 12mmアレイを有するステリ-ストリップSの15mm x 28mmセグメントを、新しい豚の皮膚(厚さ2-3mm)の2.5×2.5cm片に取り付けた。豚の皮膚を、予めプレキシガラススライド上に接着させて、0.9wt%生理食塩水溶液で洗浄し、試験前にガーゼを軽く当てた。トラクションは、引張試験機を用いて、試験機(島津AGS-X)の一方の側にニードルを、他方の側に皮膚を搭載して、そして引張力を加えることで測定した。
結果
この実験の結果を図21に示している。グラフのY軸は、測定した力(ニュートン)であり、X軸は、測定した変位量(ミリメーター)である。角度付きニードルは、豚の皮膚を効率的に把持することができたことから、かかるデバイスは、目的通り、創傷を閉鎖することができるだろう。
実施例4
予備ヒト研究
以下の実施例は、本発明にかかる3つの異なる創傷閉鎖デバイスを比較するために実行された予備ヒト研究を概説する。この研究の目的は、以下の通りとした。
・デバイスの使用によって痛みが誘導されるか否かを評価すること。
・ヒト皮膚に対するデバイスの接着を試験すること。
・デバイスによって誘導される炎症反応をモニターすること。
創傷閉鎖デバイスを、3人の健常なヒトボランティアの前腕の手掌表面に設置して、デバイス配置の不快/痛み、炎症反応及び安定性を最高8日間毎日観察した。デバイスは、アレイの1つを下向きに押して、皮膚を伸ばすように横方向に引っ張り、他のアレイを皮膚に固定することによって、(創傷がない)皮膚に固定した。この結果、2つのアレイ間の皮膚を共に圧縮して創傷を閉鎖するのに用いられる手法を模倣した。
創傷閉鎖デバイス
この研究において使用した創傷閉鎖デバイスは、すべて、PMMAからできたマイクロニードル及び基部を備えている。基部の厚さは、約140μmであった。各創傷閉鎖デバイスは、約1cm x 1cm寸法の2つの微細構造アレイを備えるものとした。デバイスA及びBは、マイクロニードルを備える一方で、デバイスCはマイクロブレードを備えるものとした。デバイスは、それぞれ、ステリ-ストリップS(登録商標)素材からできている裏地を備えたものとした。裏地は、アレイに固定されており、かかるアレイは、2つのアレイを分け隔てる長さ8mmの峡部を有している。加えて、ステリ-ストリップS(登録商標)素材を、各アレイの遠位端を超えて6mm拡張した。ステリ-ストリップS(登録商標)素材は、通常、接着剤を有するが、接着剤は、ボランティアの皮膚に使用する前はカバーされていることから、デバイスは、接着剤なしに接着性に関する試験を行なうことができる。また、皮膚に対する使用後、デバイス及び近接する皮膚を、約4cm x 4cmの接着性ポリウレタンテープカバー(3M 9833)によってカバーした。以下のデバイスを試験した。
デバイスA
・アレイにおける各マイクロニードルは、ピラミッド形状であり、アレイの基部に対して90度であった。
・各マイクロニードルは、以下の寸法を有していた:底部の長さは、1mm、幅は420ミクロン、先端直径は60ミクロン。
・マイクロニードルは、1.5mmのピッチで均一に分配され、合計で各アレイにおいて約50個のマイクロニードルが存在していた。
デバイスB
・アレイにおける各マイクロニードルは、ピラミッド形状であり、アレイの基部に対して90度であった。
・各マイクロニードルは、以下の寸法を有していた:底部の長さは、1mm、幅は420ミクロン、先端直径は60ミクロン。
・創傷に対して対抗する横側におけるアレイは、角度付きマイクロニードルが創傷の方へ角度が付くように配置した。
・マイクロニードルは、3mmのピッチで均一に分配され、合計で各アレイにおいて16個のマイクロニードルが存在していた。
デバイスC
・アレイにおける各マイクロブレードは、ピラミッド形状であり、アレイの基部に対して51度であった。
・各マイクロブレードは、以下の寸法を有していた:底部の長さは、900ミクロン、幅は1050ミクロン、先端幅は約130ミクロン、先端厚は約20-30ミクロン。
・創傷に対して対抗する横側におけるアレイは、角度付きマイクロブレードが創傷の方へ角度が付くように配置した。
・マイクロブレードは、4.5mmのピッチで均一に分配され、合計で各アレイにおいて9個のマイクロブレードが存在していた。
デバイスの使用
創傷閉鎖デバイスを、以下の手順を用いて皮膚に設置した。皮膚に取り付けできるように、アレイの1つの遠位端に取り付けた接着性ストリップを手で下向きに押し付けた。そして、親指を使用して最も近いアレイを通じて圧力を加えた。親指で一方のアレイを下向きに押したままにしつつ、他方のアレイの遠位端を2本の指でつまみ、創傷の閉鎖と外反を模倣するように横方向に穏やかに伸ばした。デバイスの設置後、デバイスを医療用接着性カバー(カタログno. 9833、3M)を用いてカバーした。
結果
ボランティアは、デバイスの使用の際に軽度(0から10を範囲とする痛みの視覚アナログスコア(VAS)で、およそ1-2)の痛みを報告した。痛みは、1時間以内に消失し、皮膚への使用期間中(2-8日)デバイスによる痛みはなかった。
創傷閉鎖デバイスは、2〜8日間、皮膚上に残した。観察は、毎日行った。全てのデバイスは、使用の全期間中、適切な位置のままで皮膚に確実に取り付けられているように見えた。デバイスAに関しては、デバイス設置のおよそ3日後、紅斑がアレイと接触する皮膚に現れた。アレイを取り除くと、膨潤(浮腫)も観察された。皮膚は、およそ2-4週間後に正常な外観に戻った。他のデバイスに関しては、これらのデバイスを最高8日間適所のままとした場合、皮膚サイトでは紅斑、浮腫又は炎症の証拠はなかった。ニードルが皮膚に入った場所で小さい刺創が示され、24-48時間後には消失し、その時点でデバイスB及びCに関して皮膚は正常の外観に戻った。
まとめ
まとめると、本研究の結果から、デバイスはほとんど痛みを誘導することなく使用できることが示された。全てのデバイスは、数日間、皮膚に確実に取り付けたままであった。より大きなピッチ(3mm又は3mm超)を有するデバイスでは、皮膚炎症(紅斑及び浮腫)という結果にはならなかった一方で、1.5mmのピッチを有するデバイスは炎症の証拠を示した。従って、理論によって限定されるものではないが、アレイにおける微細構造の密度及び数の低下は、皮膚に取り付けたままにするデバイスの能力を損なうことなく炎症が起きにくい結果となり得ることが、この予備研究から明らかである。これら及び他のデータ(例えば、実施例5)から、本創傷閉鎖デバイスは従来の創傷閉鎖方法に対して魅力的な代わりの代替物を提供することが強くサポートされている。
実施例5
豚の創傷閉鎖研究
以下の実施例は、本発明にかかる3つの異なる創傷閉鎖デバイスの創傷閉鎖効率を評価し、これらの効率と縫合糸の創傷閉鎖効率とを比較するために実行した予備動物試験を概説する。この研究の目的は、以下の通りとした。
・傷ついた皮膚に対するデバイスの接着性を試験すること。
・創傷を閉鎖するデバイス能力を評価すること。
・デバイスによって誘導される炎症反応をモニターすること。
・治癒を促進するデバイスの能力を評価すること。
・創傷を閉鎖するために用いたデバイスと縫合糸との上記結果を比較すること。
研究の手順
豚の新生児を本研究に用いた(注意:豚の新生児の皮膚は、ヒト皮膚の生体機械的特性と非常に近い)。豚の新生児は、創傷閉鎖デバイスを試験するためのスタンダード動物モデルである。外科用メスを用いて、長さがそれぞれ3cmの全層創傷を、全身麻酔下で動物の胸部領域の背側の皮膚から作成した。創傷は、動物の臀部における中心の両サイドに作成し、同一サイド上の創傷とは互いに約5cm離れている(図22a及び22b)。
創傷領域を剃り、標準的な消毒液を用いて洗浄した。無菌技術を用いて、3cmの完全な厚さの切開部を、外科用メスを用いて作成した(図22c)。創傷は、無菌ガーゼを用いて吸い取ることで乾燥させて、創傷閉鎖デバイスを用いて閉鎖した(図23)。各創傷は、同一のデバイスを2つ各創傷に使用して、種々のタイプの創傷閉鎖デバイスを用いて閉鎖した。加えて、コントロールとして、創傷の1つは、同様の方法で縫合糸によって閉鎖し、3つの縫合糸を創傷に使用した(図23)。
創傷閉鎖デバイス
この研究において使用する創傷閉鎖デバイスは、すべて、実施例1に記載する方法に従ってPMMAからできている微細構造及び基部を備えるものとした。基部の厚さは、約140μmであった。各創傷閉鎖デバイスは、2つの微細構造アレイを備え、寸法は、約6mm x 10mmであった。デバイスは、それぞれ、ステリ-ストリップ(登録商標)素材からできた裏地を備え、2つのアレイを分け隔てる長さ8mmの峡部を備えるアレイに取り付けられたものとした。加えて、ステリ-ストリップ(登録商標)素材は、各アレイの遠位端を6mm超えて延在している。以下のデバイスを試験した。
デバイスA: 直線状マイクロニードル(即ち、90度)
・アレイにおける各マイクロニードルは、ピラミッド形状であり、アレイの基部に対して90度であった。
・各マイクロニードルは、以下の寸法を有していた:底部の長さは1mm、幅は420ミクロン、先端直径は約60ミクロン。
・マイクロニードルは、3mmのピッチで均一に分配され、合計で各アレイにおいて12個のマイクロニードルが存在していた。
・図7aは、これらのアレイの1つの写真を示している。
デバイスB: 角度付きマイクロブレード(即ち、51度)
・アレイにおける各マイクロブレードは、ピラミッド形状であり、アレイの基部に対して51度であった。
・各マイクロブレードは、以下の寸法を有していた:マイクロブレードが底部と接触する場所の長さは900ミクロン、幅は900ミクロン、先端幅は約130ミクロン及び先端厚さは約20-30ミクロン。
・マイクロブレードは、4.5mmのピッチで均一に分配され、合計で各アレイにおいて6個のマイクロブレードが存在していた。
・創傷に対して対抗する横側におけるアレイは、角度付きマイクロブレードが創傷の方へ角度が付くように配置した。
・図12aは、これらのアレイの1つの写真を示している。
デバイスの使用
0日目に、創傷閉鎖デバイスを、以下の手順を用いて豚の皮膚に設置した:皮膚に取り付けできるように、アレイの1つの遠位端に取り付けた接着性ストリップを片手の複数の指を用いて下向きに押し付けた。そして、親指を使用して最も近いアレイを通じて圧力を加えた。親指で一方のアレイを下向きに押したままにしつつ、他方のアレイの遠位端を2本の指でつまみ、創傷の閉鎖と創傷の外反を可能にするように横方向に穏やかに伸ばした。これと同じ手順を、第二創傷閉鎖デバイスを設置する際に繰り返した。2つの創傷閉鎖デバイスの設置後、創傷領域をテガダーム(登録商標)を用いてカバーした。
結果
炎症、感染、裂開、紅斑及び浮腫に関する得点化をしながら、創傷を12日間毎日観察した。更に、写真を取って治癒手順をドキュメント化した。9日目に、デバイス/縫合糸を取り除いた。1日目の創傷を示す写真(デバイス/縫合糸の配置の1日後)と、6日目及び9日目(デバイス/縫合糸の配置の10日後)は、図23-26に示しており、結果の概要は、以下に示している。
炎症
1日目、炎症は、デバイスBによって閉鎖した創傷周辺及び縫合糸によって閉鎖した創傷周辺で観察されたが、かかる炎症は、創傷閉鎖デバイスAによっては誘導されなかった。6日目、縫合された創傷はまだ炎症を起こしていたが、かかる炎症はデバイスA及びBによって閉鎖した創傷周辺では観察されなかった。9日目、炎症は、縫合糸によって閉鎖した創傷周辺でまだ観察されていたが、炎症はデバイスAによって閉鎖した創傷周辺で観察されなかった、デバイスA又はBで閉鎖した創傷周辺では観察されなかった。
感染
感染症は、1日目、6日目又は9日目のいずれの創傷でも、創傷閉鎖法に関係なく、確認されなかった。
裂開
裂開は、1日目、6日目又は9日目のいずれの創傷でも、創傷閉鎖法に関係なく、確認されなかった。
紅斑
紅斑は、1日目、6日目及び9日目に、縫合された創傷周辺で観察され、9日目の紅斑は、0-4のドレイズスケールによれば、ドレイズスコアが2であった。6日目又は9日目でなく、1日目において、紅斑は、デバイスBによって閉鎖した創傷周辺でも観察された。デバイスAは、紅斑を誘導しなかった。
浮腫
浮腫は、1日目、6日目又は9日目のいずれの創傷でも、創傷閉鎖法に関係なく、観察されなかった。
まとめ
まとめると、本研究の結果から、デバイスAもBも創傷を効果的に閉鎖でき、縫合糸に匹敵する効率を有することが示された。加えて、本願明細書に開示される創傷閉鎖デバイスは、長く続く炎症又は紅斑を誘導しないという更なる利益を提供するものであった。これら両有害反応は、縫合により閉鎖された創傷において誘導され、10日間の観察期間持続した。従って、本発明のデバイスは、創傷閉鎖のために、縫合糸に対して魅力的な代替物を提供するものである。
上述の各種実施形態を組み合わせて更なる実施形態を提供することができる。本願明細書において引用されている及び/又は出願データシートにリストされている全てのUS特許、US特許出願公開公報、US特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許公開物は、その全体が引用に本願明細書に組み込まれている。実施形態の態様は、様々な特許、出願、公開公報のコンセプトを採用して更なる実施形態を提供する必要がある場合は、修正することが可能である。
これらの又は他の変更は、上記の詳細な説明を考慮して実施形態に施してもよい。一般に、添付の請求項において、使用する用語は、請求項を、明細書及び請求項に開示した特定の実施形態に限定するものと解釈すべきではなく、権利が付与されるかかる請求項に対する等価物の完全な範囲と共に可能性がある実施形態を全て含むものと解釈すべきである。従って、請求項は、開示によって限定されない。

Claims (18)

  1. 創傷閉鎖デバイスであって、
    前記創傷閉鎖デバイスは、長手方向軸を有する裏地を備え、
    前記裏地は、可撓性部分を備え、
    前記可撓性部分は、少なくとも2の微細構造アレイが取り付けられており、
    各微細構造アレイは、少なくとも2つの微細構造を備え、
    前記少なくとも2の微細構造アレイは、前記裏地の非伸縮性部分を形成する非伸縮性峡部よって分け隔てられており、
    前記少なくとも2の微細構造アレイを支持する前記裏地の可撓性部分と前記非伸縮性峡部を形成する前記裏地の非伸縮性部分とは、同一平面上にあり、
    前記非伸縮性峡部は、前記長手方向軸を横切る幅を持ち、
    前記幅は、前記長手方向軸を横切る方向の前記少なくとも2の微細構造アレイの幅よりも狭く、
    前記創傷閉鎖デバイスは、前記創傷閉鎖デバイスを近接する創傷閉鎖デバイスに近接配置し、前記創傷閉鎖デバイスの前記少なくとも2の微細構造アレイが前記近接する創傷閉鎖デバイスの微細構造アレイに近接して配置されると、前記非伸縮性峡部と前記近接する創傷閉鎖デバイスの隣接する峡部との間にギャップが形成されるように構成されており、
    創傷閉鎖デバイスは、前記2つの微細構造アレイの各々を横切る方向に伸縮可能である、
    創傷閉鎖デバイス。
  2. 前記少なくとも2の微細構造アレイは、2つの微細構造アレイのみを含む、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  3. 前記創傷閉鎖デバイスは、創傷を閉鎖状態に維持することができる、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  4. 前記創傷閉鎖デバイスが前記長手方向軸に対して前記非伸縮性峡部が創傷を横切って延在するように位置すると、前記少なくとも2の微細構造アレイは、前記少なくとも2の微細構造アレイのうちの1つが前記創傷の一方の横側の皮膚に入り込むことができ、前記少なくとも2の微細構造アレイの他の1つが前記創傷の他方の横側の皮膚に入り込むことができるように、前記裏地に取り付けられている、請求項1記載の創傷閉鎖デバイス。
  5. 前記裏地は、接着剤を有する、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  6. 前記接着剤は、1又は複数の着脱可能なタブに設置されている、請求項5に記載の創傷閉鎖デバイス。
  7. 前記裏地は、ロール包帯の形態である、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  8. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造は、前記裏地に対して15〜90度の角度である、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  9. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造のうちの少なくとも1つの微細構造は、前記裏地に隣接した底部、先端、及び前記底部と前記先端とを接続している本体を備え、
    前記本体は、前記底部と前記先端との間で曲線状である、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  10. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造のうちの少なくとも1つの微細構造は、前記裏地に隣接した底部、先端、及び前記底部と前記先端とを接続している本体を備え、
    前記本体は、前記底部と前記先端との間で、前記裏地の平面から外側に延在する方向にまっすぐである、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  11. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造のそれぞれは、前記裏地に隣接した底部、先端、及び前記底部と前記先端とを接続している本体を備え、
    前記底部と前記先端との間の前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造の、前記裏地の平面から外側に延在する方向の長さは、1μmから2mmである、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  12. 前記創傷閉鎖デバイスをカバーするように構成された保護カバーを更に備える、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  13. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造は、シリコーン、キチン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、金属及びそれらの組み合わせからなるグループより選択される素材を含む、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  14. 前記金属は、チタン又はスチールである、請求項13に記載の創傷閉鎖装置。
  15. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造は、マイクロニードル、マイクロブレード、マイクロアンカー、マイクロフィッシュスケール、マイクロピラー及びマイクロヘアーからなるグループより選択される、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  16. 前記少なくとも2の微細構造アレイのそれぞれの少なくとも2つの微細構造は、ロッド、円錐、正方形、長方形、ピラミッド、シリンダーからなるグループより選択される形状を有する、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  17. 創傷の方を向かないように構成され且つ前記少なくとも2の微細構造アレイを備える第2の側とは反対の側である前記裏地の第1の側は、平滑で平らである、請求項1に記載の創傷閉鎖デバイス。
  18. 前記長手方向軸は、創傷を横切って延在するように構成された前記創傷閉鎖デバイスの長さを規定し、
    前記長手方向軸を横切る前記非伸縮性峡部の前記幅は、前記長さ未満であり、前記少なくとも2の微細構造アレイの幅未満である、請求項1に記載の創傷閉鎖装置。
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