JP6893408B2 - 微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体及び前記抄造用構造体が使用された微細繊維状セルロースシートの製造装置 - Google Patents

微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体及び前記抄造用構造体が使用された微細繊維状セルロースシートの製造装置 Download PDF

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Description

本発明に係る抄造用構造体は、表面性に優れた微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用ワイヤーに関し、複数の積層構造を採用することによって、脱水の際の微細繊維状セルロース懸濁液の流速をコントロールする技術に関し、無端状に形成された当該抄造用構造体を微細繊維状セルロースシートの複数の製造工程に使用した製造装置に関する。
現在、加工成型のし易さ、温度変化に対する寸法安定性、強度の観点から、セルロースナノファイバーの応用製品への用途が期待されている。例えば、薬等の梱包紙、ガスバリア性を有した包装材料、車体パーツや航空機部材、高機能フィルター、有機ELディスプレイ等の様々な応用製品が検討されている。又、本発明において製造される微細繊維状セルロースシートには、原料としてセルロースナノファイバーが含有されていれば充分であり、更に他の材料と混合して製造されるシート状の被抄造体も含まれる。そして、そのような応用製品の部材に適合したセルロースナノファイバーを原材料として使用した微細繊維状セルロースシートの製造方法も種々検討されている。
例えば、特許文献1には、新規な機能性シートとしてセルロースシートが開示されるとともに、当該セルロースシートを製造するための抄造用装置が開示されている。また、特許文献2には、織布に不織布が積層された多層ワイヤーを使用した抄造装置が開示されている。さらに、特許文献3には、透水性を有するワイヤー層に多孔性顔料と接着剤等から形成される多孔性塗被層を積層した抄造装置が開示されている。
本発明者は、これらの従来技術を検討したところ、高分子樹脂材料が積層されている場合、経時劣化による目詰まりや、被抄造物すなわち微細繊維状セルロースシートの表面平滑性や、シート表面へのワイヤーマークの発生といった問題点が発生し得ることを見出した。
このような問題点を解決するためには、被抄造物と直接的に接触する抄造用装置における搬送用ベルトの上面に、高分子樹脂材料ではなく金属性の材料から構成された積層体を使用することを着想した。そこで、このような金属性の材料として、金属繊維からなる不織布の焼結体を選択することとした。金属焼結体は、非常に高いろ過能力を有し、経時劣化をしにくく、安定した寸法精度が得られやすく品質管理も容易だからである。
本発明者は、第一に60meshの平織金網に、ろ過精度20μm、層厚0.51mmの金属焼結体からなる金属不織布層を積層接合することによって、抄造用装置に使用できる構造体を製造した。かかる構造体上に、平均繊維径2〜200nmの微細繊維状セルロース分散液を差圧0.072MPaで管理し脱水ろ過を行った。その結果、脱水速度が速すぎて、微細繊維がろ材に捕捉されることなく、懸濁液とともに流れ落ちてしまい、十分な微細繊維状セルロースシートを得ることができないことが分かった。また、上記構造体を解析したところ、ろ過精度20μm、層厚0.51mmの金属不織布層の中間部分において、下層となる60meshの平織金網の網目模様の影響によって、流速が高くなる箇所と、流速が低くなる箇所が生じており、面内での流速分布が不規則となり、脱水が積極的になされる箇所と積極的になされない箇所とが存在してしまうことが分かった。
第二に、脱水速度を低くするために、ろ過精度2μmの金属焼結体からなる金属不織布層を60meshの平織金網に積層接合することによって、抄造用装置に使用できる構造体を製造した。かかる構造体上に、平均繊維径2〜200nmの微細繊維状セルロース分散液を差圧0.072MPaで管理し脱水ろ過を行った。その結果、脱水速度が低くなりシート状のものは形成できたが、均一な微細繊維状セルロースシートを形成することはできなかった。
上記シートを解析したところ、シート面内において微細繊維が捕捉されている箇所と捕捉されていない箇所が生じており、均一なシートが形成できていないことが分かった。 本発明者は、上述の結果を鋭意検討し、積層構造体の上層と下層の各層での脱水の際の流速速度をコントロールすることによって、面内での流速分布のばらつきが抑制されることを突き止めた。
他方、微細繊維状セルロースシートは、紙の製造と同様に、脱水工程の後にプレス工程、乾燥工程を経て製造される。各工程で、それぞれ異なった部材が用いられるため、各工程間での搬送が必要となるが、湿紙の状態では紙力強度が弱く、次工程への搬送の際に、湿紙が破断する断紙が生じ、生産性を低下させる原因となっていた。
特に微細繊維状セルロースシートについては、通常の紙の製造で用いられる繊維よりも繊維径がより微細であることから、湿紙状態での紙力強度が通常の紙より弱く、断紙の問題がより顕著になることが問題となっていた。
WO/A1/2006/004012号 特許第5551905号公報 特許第5598546号公報
本発明は、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造することができる抄造用構造体及び製造装置を提供することを目的とする。
また本発明は、良好な表面性を有する金属焼結体と圧力損失の低い織金網層との積層構造を採用し、かつ、織金網層の面内流速分布のばらつきが表面近傍の金属焼結体層に及ぼす影響を低減させることを目的とする。
また本発明は、高剛性の抄造用構造体を提供することを目的とする。
また本発明は、脱水速度の低い緩慢脱水とし、微細繊維の捕捉性を向上させることを目的とする。
さらに本発明は、抄造工程における脱水部、プレス部、乾燥部の全ての工程で使用することができる抄造用構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題を解決するために積層構造体を採用することとした。また本発明者は、均一なシート表面の形成には、適切な脱水速度の管理と、面内における脱水の均一化が重要であることを見出した。
すなわち、各層での流速が小さいと、脱水に時間を要することとなり、シート形成に時間を要し、逆に各層での流速が大きすぎると、微細繊維をろ材で捕捉し難くなり、高品質のシートを形成できない。
特に本発明は織金網層を使用するが、織金網層は経線と緯線が形成するナックル部分において、非ナックル部と比べると流速が低くなる傾向があり、織金網層の面内での流速分布にばらつきが生じてしまう。このような面内での流速分布のばらつきにより、微細繊維を捕捉し易い箇所と捕捉し難い箇所が生じてしまい、結果的に均一なシート表面性を得ることができない。
本発明は、上記の着想を前提として、以下の構成を採用する。
(1)微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体において、被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布による二層以上の金属焼結体層と、当該二層以上の金属焼結体層における被抄造体の接触する側と反対側に経線及び緯線より構成された一層以上の織金網層を積層して構成したことを特徴とする微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(2)前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層によって構成されたことを特徴とする上記(1)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(3)前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層と、第三金属焼結体層と、によって構成されたことを特徴とする上記(1)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(4)前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層と、第三金属焼結体層と、第四金属焼結体層とによって構成されたことを特徴とする上記(1)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(5)前記織金網層が、経線及び緯線より構成された第一織金網層と、経線及び緯線より構成された第二織金網層、の2層で構成されたことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(6)前記金属繊維からなる不織布による二層以上の金属焼結体層は、被抄造体に接触する側が織金網層に接触する層に比較して圧力損失が高いことを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
ここで圧力損失とは、懸濁液等の流体が金属焼結体層を通過する際の単位時間単位流量あたりのエネルギー損失のことである。例えば、金属焼結体層の通気度を高くすることによって圧力損失を低くすることができる。
本発明においては、被抄造体に接触する側の通気度を低くすることによって、圧力損失を高くすることができる。ここで、一層の金属焼結体層において被抄造体に接触する側の圧力損失を高め、織金網層側の圧力損失を低めた場合も、二層以上の金属焼結体層とみなす。すなわち、一層の金属焼結体層において圧力損失の異なるエリアを設けて製造した場合も、本発明の技術的範囲に含まれることになる。
(7)前記第一金属焼結体層のろ過精度が0.5〜20μm、第二金属焼結体層のろ過精度が10〜40μm、織金網層が80〜200meshであることを特徴とする上記(1)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(8)前記織金網層を構成する第一織金網層のメッシュ数が80〜200mesh、第二織金網層のメッシュ数が40〜80meshであることを特徴とする上記(2)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(9)前記抄造用構造体を構成する各層が、拡散接合により接合されていることを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(10)前記抄造用構造体が、経方向において無端状に接合されたことを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体である。
(11)微細繊維状セルロースシートの製造装置において、当該製造装置が微細繊維状セルロースシートの原材料となる微細繊維状セルロース懸濁液を脱水することにより湿紙を製造する脱水部と、当該湿紙を押圧するプレス部と、当該押圧された湿紙を乾燥する乾燥部とを有し、前記脱水部、プレス部及び乾燥部において上記(10)に記載された抄造用構造体を使用することを特徴とする微細繊維状セルロースシートの製造装置である。
(12)前記微細繊維状セルロースシートの製造装置において、更に微細繊維状セルロースシートを前記抄造用構造体から剥離して巻き取る際のピックアップ補助機構を有することを特徴とする上記(11)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置である。
ここでピックアップ補助機構とは、抄造用構造体から微細繊維状セルロースシートを剥離(ピックアップ)し易くする機能を有する補助機構のことである。
(13)前記微細繊維状セルロースシートを巻き取る際のピックアップ補助機構が、微細繊維状セルロースシートを前記抄造用構造体から剥離する箇所にエアー噴出部材又は微細繊維状セルロースシートに面接触するロールを有することを特徴とする上記(12)に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置である。
(14)微細繊維状セルロースシートの製造装置において、前記脱水部により得られた湿紙を、前記抄造用構造体とスチールベルトとによって挟持し、プレス部及び乾燥部を搬送することを特徴とする上記(11)乃至(13)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置である。
(15)微細繊維状セルロースシートの製造装置において、前記脱水部により得られた湿紙を、複数の前記抄造用構造体によって挟持し、プレス部及び乾燥部を搬送することを特徴とする上記(11)乃至(13)のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置である。
本発明に係る抄造用構造体及び製造装置は、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造するという効果を奏する。
また本発明に係る抄造用構造体は、良好な表面性を有する金属焼結体と圧力損失の低い織金網層との積層構造を採用し、かつ、織金網層の面内流速分布のばらつきが表面近傍の金属焼結体層に及ぼす影響を低減させるという効果を奏する。
また本発明に係る抄造用構造体は、高剛性の構造体を提供する効果を奏する。
また本発明に係る抄造用構造体は、脱水速度の低い緩慢脱水とすることができ、微細繊維の捕捉性を向上させる効果も奏する。
また本発明に係る抄造用構造体は、抄造工程における脱水部、プレス部、乾燥部の全ての工程で使用することができるという効果を奏する。
さらに本発明に係る繊維状セルロースシートの製造装置を使用することによって、ピックアップ補助機構により、微細繊維状セルロースシートを巻き取る際、抄造用構造体からの剥離が容易となる効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。 実施例1に係る抄造用構造体におけるフィルター流体解析による面内流速分布を示す解析図である。 本発明の実施形態2に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される他の抄造用構造体の一例を示す断面図である。 実施例2に係る抄造用構造体におけるフィルター流体解析による面内流速分布を示す解析図である。 比較例1に係る本微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。 比較例1に係る抄造用構造体におけるフィルター流体解析による面内流速分布を示す解析図である。 本発明の実施形態3に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される他の抄造用構造体の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される更に他の抄造用構造体の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態5に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。 本発明の実施形態6に係る他の微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。 本発明の実施形態7に係る更に他の微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態1に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。
図1に示す如く、実施形態1に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体10は、図示しない被抄造体に接触する側(図1における上部)より、金属繊維からなる不織布の第一金属焼結体層1、金属繊維からなる不織布の第二金属焼結体層2、経線及び緯線より構成された織金網層3、の3層構造で構成されている。
ここで、本発明に係る抄造用構造体を使用して製造される微細繊維状セルロースシートとは、パルプ等の加工処理に用いられるセルロース繊維をナノメートルサイズまで微細化して再生成したものである。天然素材から採取できる超微細な繊維状物質により形成されるシート材である。セルロース繊維は、植物細胞壁を解きほぐし、その構成要素となる繊維を抽出することによって得られる。セルロース繊維の太さは、十数ナノメートル単位の微細さであり、従来のパルプ繊維の1000分の1ほどの細さである。微細繊維状セルロースシートは、通常の紙と同じく折りたためるが、非常に軽量である点に特徴を有する。又、繊維が細いため、可視光線の波長よりも細かいため、光の散乱があまり発生しないため、光を透過する性質を有する。一方、微細繊維状セルロースシートは、鉄鋼材料に並ぶ強靭さを持ち、石英程度の熱膨張率の低さを持つ。更に、微細繊維状セルロースシートは、自然由来の素材から得られる点で環境負荷も比較的に少ないため、今後、様々な応用技術の進展が期待される材料である。
又、本発明に使用される第一金属焼結体層1及び第二金属焼結体層2は、金属を各金属の溶融点前後の温度で金属粉末又は金属繊維を焼き固めて製造された焼結体によって形成された層のことである。金属としては、タングステン、モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、酸化タンタル、チタン、インコネル、アルミニウム、銅、セラミックス、ステンレス、ブロンズ等、金属焼結体を形成できるものであれば、何れの金属を使用しても良い。また、原料となる金属は単一であって、合金であっても良い。かかる金属焼結体は、多結晶体であることが多いが、アモルファスが形成されることもある。
すなわち、従来の織物を構成する層は、ポリエチレンテレフタレート等の高分子樹脂材料から形成される。又は、金属材料による金網であることが多い。しかし、高分子樹脂材料で形成された織物は、圧力や温度によって変形することが知られていた。特に抄造を繰り返す事によって、織物における網目の大きさ、形が変形し、不均一になってしまうことから、経時的な劣化が大きな問題となり得る。他方、金網は、高分子樹脂材料に比較して、経時的な劣化は少ないが、脱水量が多くなると共に、通常の紙の材料であるパルプ繊維よりも、細かいセルロース繊維を支持することができないという問題も発生する。
又、高分子樹脂材料で形成された織物は、製造装置における圧力の掛かる工程、例えば、プレス部や、高温となる乾燥部において使用することができない。しかし、本発明に係る抄造用構造体は高分子樹脂材料を用いないため、脱水部のみならず、プレス部や乾燥部における工程においても使用することが可能である。これによって、従来、脱水部と、プレス部及び乾燥部において、別の部材を用いて搬送等を行うことに起因する湿紙の破断の問題を解決することができる。
そこで本発明は、焼結体を材料として金属焼結体層を使用している。かかる焼結体は焼き固める金属粉末又は金属繊維の密度を調整することによって、気孔率を所望の値に調整できる点も特徴である。
更に、本発明に使用される織金網層3は、脱水性の観点から40mesh〜200meshのものが好ましい。
ここで、本発明における織金網層3を使用する意義は、織金網層の圧力損失が比較的に低いためである。すなわち、本発明は、上層部に圧力損失が比較的に高い金属焼結体層を必須の構成として有するため、下層に圧力損失の異なる織金網層を組み合わせて積層することが特徴となっている。繊維状セルロースシートは、脱水部において、抄造用構造体の下側(織金網層側)から吸引装置によって吸引脱水を行う。この際、圧力損失の低い織金網層を下層側に積層することで、面内からエアーを逃がすことによって、抄造用構造体全体における高い圧力損失を調整することができる。これによって流速分布のばらつきを防止し、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造することができる。
又、本発明の抄造用構造体においては、前記織金網層を経線及び緯線より構成された第一織金網層と、経線及び緯線より構成された第二織金網層、の2層で構成しても良い。この場合は、抄造用構造体が4層構造となる。このような織金網層を2層構造で構成することにより、面内の圧力損失をより細かく調節することができる。
例えば、第一織金網層のメッシュ数を80〜200mesh、第二織金網層のメッシュ数が40〜80meshの範囲で構成することによって、流速の層間における抵抗を自然に低減することができる。
又、本発明の抄造用構造体においては、前記第一金属焼結体層のろ過精度が0.5〜20μm、第二金属焼結体層のろ過精度が10〜40μm、織金網層が80〜200meshにするのが好ましい。このような数値範囲で、各層を形成することによって、流速分布のばらつきを大幅に抑制することができる。
更に、本発明の抄造用構造体においては、前記抄造用構造体を構成する各層を拡散接合により接合するのが好ましい。ここで拡散接合とは、接合する各層の表面を互いに密着させ、真空や不活性ガス中等の制御された雰囲気中において、加圧・加熱することによって、各層の接触している箇所における原子間の拡散を利用して接合する方法である。金属焼結体層と、織金網層とは、異種金属材料であることから、融点が異なるため、溶着が難しく、仮に溶着したとしても、プレス部や乾燥部における環境変化や経時劣化によって、層間剥離が生じる危険性がある。すなわち、本発明の層間接合に拡散接合を適合することによって、異種金属の接合及び接触箇所における面接合が可能となる。
実施例1
上述の実施形態1に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体について、更に上限を限定した上で流体解析を行った。
実施例1に使用した不織布の第一金属焼結体層1として、以下のものを使用した。
材質:AISI316L
厚み:0.35mm
ろ過粒度:1.9μm
空間率:73%
空気透過量(差圧200Pa時):0.17L/min/cm2
抵抗係数:3.88×108-1
実施例1に使用した不織布の第二金属焼結体層2として、以下のものを使用した。
材質:AISI316L
厚み:0.51mm
ろ過粒度:20μm
空間率:82%
空気透過量(差圧200Pa時):2.65L/min/cm2
抵抗係数:2.47×107-1
又、実施例1に使用した経線及び緯線より構成された織金網層3は、平織100meshである。層厚は0.2mmであった。
更に、実施例1に係る抄造用構造体における各層は、拡散接合により接合されている。
各層の流速は、第一金属焼結体層1が0.196m/s、第二金属焼結体層2が0.196m/s、織金網層3が0.200m/sであった。
解析条件として、流体は水、流体密度は997.0kg/m3、流体粘度は0.8899×10-3Pa・s、計算領域上面の流入条件は0PaG、計算領域下面の流出条件は−0.072MPaG、織金網層(3DCADモデル)はすべり無し条件、金属焼結体層(長方形モデル)は上記抵抗係数を有するポーラス条件、計算領域側面は自由すべり条件、計算領域(X×Y×Z)=2.54mm×2.54mm×11.56mm(抄造用構造体位置:Z=7.62mm)であった。
図2は、実施例1における解析結果である面内流速分布を表した解析図である。
図2に示す如く、図2(a)は、第一金属焼結体層1の上面における面内流速分布を示す。図2(b)は、第一金属焼結体層1の下面における面内流速分布を示す。図2(c)は、第二金属焼結体層2の中間における面内流速分布を示す。図2(d)は、第二金属焼結体層2の下面における面内流速分布を示す。
図2(a)〜(d)より明らかなように、積層構造体の上層と下層の各層での脱水の際の流速速度をコントロールすることによって、第一金属焼結体層1における面内での流速分布のばらつきが抑制されていることがわかる。このような作用によって、本実施例1に係る抄造用構造体を抄造用部材として使用すれば、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造することができる。
すなわち、表面性の良い微細繊維状セルロースシートを形成するためには、表面性の良い金属焼結体層のみで抄造を行うことが好ましい。しかしながら、金属焼結体は圧力損失が高すぎるため、金属焼結体層単体で使用することには、別の問題が発生する。
他方、織金網は圧力損失が低く、網目が細かいものであっても、網目の空間が金属焼結体に比較して大きいため、微細繊維を捕捉することが困難である。又、織金網層は、経糸と緯糸が織り成すナックル部が存在する。そのため、脱水の際、非ナックル部に比較して、ナックル部において流速が低くなる傾向にあり、織金網の面内で脱水速度の高い箇所と低い箇所が生じ、脱水速度の高い箇所では、繊維が捕捉され難いことになる。
以上より、上層に金属焼結体層を設け、下層に圧力損失の低い織金網層を設けた2層構造体とした。
しかしながら、単なる2層構造では、後述する比較例1に示す試験結果となった。特に図6(c)を参照すると、織金網層の面内における流速分布のばらつきによる影響が表層である金属焼結体層の中間層部分にまで影響を及ぼしているのが分かる。そのため、金属焼結体層におけるも面内で均一な脱水を行うことができず、結果として表面性の良好なシート形成ができなかった。
そこで、実施形態1に示す如く、金属焼結体層1,2を2層とし、織金網層3と接合した3層構造とすることによって、第一金属焼結体層1では、織金網層の影響(面内での流速分布のばらつき)を受けることなく、均一に脱水を行うことができ、表面性の均一な微細繊維状シートを形成することができる。
実施例1の流体解析結果は、以上の作用効果を証明するものである。
更に、実施例1に係る抄造用構造体は、脱水速度の低い緩慢脱水とすることができ、微細繊維の捕捉性を向上させる効果も有することになる。
実施形態2
図3は、本発明の実施形態2に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。
図3に示す如く、実施形態2に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体20は、図示しない被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布の第一金属焼結体層11、金属繊維からなる不織布の第二金属焼結体層12、経線及び緯線より構成された第一織金網層13、経線及び緯線より構成された第二織金網層14の4層構造で構成されている。
本実施形態2に係る抄造用構造体20は、織金網層と金属焼結体層とを積層している。かかる構成を採用することによって、上述の実施形態1における効果を奏すると共に、構造体の剛性を更に向上させることができる。
実施例2
上述の実施形態2に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体についての流体解析を行った。
実施例2に使用した不織布の第一金属焼結体層11として、以下のものを使用した。
材質:AISI316L
厚み:0.35mm
ろ過粒度:1.9μm
空間率:73%
空気透過量(差圧200Pa時):0.17L/min/cm2
抵抗係数:3.88ラ108-1
実施例2に使用した不織布の第二金属焼結体層12として、以下のものを使用した。
材質:AISI316L
厚み:0.51mm
ろ過粒度:20μm
空間率:82%
空気透過量(差圧200Pa時):2.65L/min/cm2
抵抗係数:2.47×107-1
又、経線及び緯線より構成された織金網層13は、平織100meshである。層厚は、0.2mmであった。更に経線及び緯線より構成された織金網層14は、平織60meshである。層厚は、0.34mmであった。
実施例2に係る抄造用構造体における各層は、拡散接合により接合されている。
解析条件は、実施例1と同じである。各層の流速は、第一金属焼結体層11が0.196m/s、第二金属焼結体層12が0.196m/s、織金網層13が0.200m/s、織金網層14が0.170m/sであった。
図4は、実施例1における解析結果である面内流速分布を表した解析図である。
図4に示す如く、図4(a)は、第一金属焼結体層11の上面における面内流速分布を示す。図4(b)は、第一金属焼結体層11の下面における面内流速分布を示す。図4(c)は、第二金属焼結体層12の中間における面内流速分布を示す。図4(d)は、第二金属焼結体層12の下面における面内流速分布を示す。
図4(a)〜(d)より明らかなように、積層構造体の上層と下層の各層での脱水の際の流速速度をコントロールすることによって、第一金属焼結体層1における面内での流速分布のばらつきが抑制されることがわかる。このような作用によって、本実施例1に係る抄造用構造体を抄造用シートとして使用すれば、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造することができる。
比較例1
図5は、比較例1に係る抄造用構造体である。図5に示す如く、比較例1に係る抄造用構造体30は、図示しない被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布の金属焼結体層21、経線及び緯線より構成された織金網層22の2層構造で構成されている。
比較例1に使用した不織布の金属焼結体層21として、以下のものを使用した。
材質:AISI316L
厚み:0.51mm
ろ過粒度:20μm
空間率:82%
空気透過量(差圧200Pa時):2.65L/min/cm2
抵抗係数:2.47×107-1
又、層厚は、0.51mmであった。又、経線及び緯線より構成された織金網層22は、平織60meshである。層厚は、0.34mmであった。
解析条件は、実施例1と同じである。各層における流速は、金属焼結体層21が2.73m/s、織金網層22が2.74m/sであった。
図6は、比較例1における解析結果である面内流速分布を表した解析図である。
図6に示す如く、図6(a)は、金属焼結体層21の上面における面内流速分布を示す。図6(b)は、金属焼結体層21の中間における面内流速分布を示す。図6(c)は、金属焼結体層21の下面における面内流速分布を示す。
特に図6(b)より明らかなように、比較例1の抄造用構造体は、金属焼結体21の中間において、面内流速分布に不均衡が生じている。これでは脱水量に部分的な片寄りが生じてしまい、均一なシート表面性を得ることができない危険性がある。これは、金属焼結体層21の内部で、下層になる織金網層22の影響を受け、流速の分布に不均衡が生じていると考えられる。すなわち、面内での流速の高い部分で集中的に脱水されてしまい、均一に脱水とならず、均一な表面性を有するシート形成が困難となる。特に、金属焼結体21における流体抵抗が低く、流速が高くなっていることが原因と考えられる。
実施例1における解析結果と比較すると、積層構造体の上層と下層の各層での脱水の際の流速速度をコントロールすることによって、面内での流速分布のばらつきが抑制されることがわかる。従って、本発明に係る抄造用構造体を抄造用シートとして使用すれば、均一なシート表面性を有する微細繊維状セルロースシートを製造することができることが分かる。
実施形態3
図7は、本発明の実施形態3に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。以下、実施形態2と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
図7に示す如く、実施形態3に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体37は、図示しない被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布の第一金属焼結体層11、金属繊維からなる不織布の第二金属焼結体層12、金属繊維からなる不織布の第三金属焼結体層15、経線及び緯線より構成された織金網層3の4層構造で構成されている。
本実施形態3に係る抄造用構造体37は、織金網層と金属焼結体層とを積層して構成されている。かかる構成を採用することによって、上述の実施形態1における効果を奏すると共に、脱水速度の低い緩慢脱水とすることができ、微細繊維の捕捉性を向上させることができる。
実施形態4
図8は、本発明の実施形態4に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体の一例を示す断面図である。以下、実施形態2と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
図8に示す如く、実施形態4に係る微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体38は、図示しない被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布の第一金属焼結体層11、金属繊維からなる不織布の第二金属焼結体層12、金属繊維からなる不織布の第三金属焼結体層15、金属繊維からなる不織布の第四金属焼結体層16、経線及び緯線より構成された織金網層3の5層構造で構成されている。
本実施形態4に係る抄造用構造体38は、織金網層と金属焼結体層とを積層して構成されている。かかる構成を採用することによって、上述の実施形態1における効果を奏すると共に、高剛性の構造を提供し、脱水速度の低い緩慢脱水とすることができ、微細繊維の捕捉性を向上させることができる。
実施形態5
図9は、本発明の実施形態5に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。
図9に示す如く、本実施形態5に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置60は、微細繊維状セルロースシートの原材料となる微細繊維状セルロース懸濁液40を、経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー42上に搾水のために排出する。ここで、前記抄造用構造体は、本発明に係る抄造用構造体、例えば、実施形態1又は2に記載されたものを使用する。
抄紙用ワイヤー42上の微細繊維状セルロース懸濁液40は、脱水部41において脱水することによって、湿紙を得る。
次に、前記脱水部41により得られた湿紙を、上面から経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー47によってプレスする。又、本製造装置60においては、プレスロール45と、サポートロール46によって、抄紙用ワイヤー42と抄紙用ワイヤー47に押圧挟持されて、湿紙は更に搾水される。
ここで抄紙用ワイヤー47としては、スチールベルトを使用しても良い。
次に、更に搾水された湿紙は、抄紙用ワイヤー42によって乾燥部50に搬送される。抄紙用ワイヤー42上の湿紙は、ドライヤー51によって乾燥され、微細繊維状セルロースシートが生成される。この際も湿紙の上部は、抄紙用ワイヤー47によって、押圧されている。
巻取部61において、抄紙用ワイヤー42から微細繊維状セルロースシートを分離し、リールドラム62で巻き取る。このようにして、表面平滑性に優れた微細繊維状セルロースシートを得ることができる。
実施形態6
図10は、本発明の実施形態6に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。以下、実施形態9と同じ部材については同じ符号を用いて説明する。
図10に示す如く、本実施形態6に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置70は、微細繊維状セルロースシートの原材料となる微細繊維状セルロース懸濁液40を、経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー42上に搾水のために排出する。ここで、前記抄造用構造体としては、本発明に係る抄造用構造体、例えば、実施形態1又は2に記載されたものを使用する。
抄紙用ワイヤー42上の微細繊維状セルロース懸濁液40については、脱水部41において脱水されることによって、湿紙を得る。
次に、前記脱水部41により得られた湿紙を、上面から経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー47によってプレスする。又、本製造装置70においては、プレスロール45と、サポートロール46によって、抄紙用ワイヤー42と抄紙用ワイヤー47に押圧挟持されて、湿紙は更に搾水される。
ここで抄紙用ワイヤー47としては、スチールベルトを使用しても良い。
次に、更に搾水された湿紙は、抄紙用ワイヤー42によって乾燥部50に搬送される。抄紙用ワイヤー42上の湿紙は、ドライヤー51によって乾燥され、微細繊維状セルロースシートが生成される。この際も湿紙の上部は、抄紙用ワイヤー47によって、押圧されている。
巻取部61において、抄紙用ワイヤー42から微細繊維状セルロースシートを分離し、リールドラム62で巻き取る。この際、エアー噴出部材である空気噴射装置65からエアーを微細繊維状セルロースシートと抄紙用ワイヤー42との剥離箇所に吹き付けることによって、微細繊維状セルロースシートを抄紙用ワイヤー42から容易に剥離することができる。このようにして、表面平滑性に優れた微細繊維状セルロースシートを得ることができる。
実施形態7
図11は、本発明の実施形態7に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置の一例を示す概念図である。
図11に示す如く、本実施形態7に係る微細繊維状セルロースシートの製造装置80は、微細繊維状セルロースシートの原材料となる微細繊維状セルロース懸濁液40を、経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー42上に搾水のために排出する。ここで、前記抄造用構造体は、本発明に係る抄造用構造体、例えば、実施形態1又は2に記載されたものを使用する。
抄紙用ワイヤー42上の微細繊維状セルロース懸濁液40については、脱水部41において脱水されることによって、湿紙を得る。
次に、前記脱水部41により得られた湿紙を、上面から経方向において無端状に接合された抄造用構造体で形成された抄紙用ワイヤー47によってプレスする。又、本製造装置80においては、プレスロール45と、サポートロール46によって、抄紙用ワイヤー42と抄紙用ワイヤー47に押圧挟持されて、湿紙は更に搾水される。
ここで抄紙用ワイヤー47としては、スチールベルトを使用しても良い。
次に、更に搾水された湿紙は、ロール67を微細繊維状セルロースシートの上面に面接触させることによって、巻き取りながら乾燥部50に搬送される。抄紙用ワイヤー42上の湿紙は、蒸気などで加熱されたロール67と密着または圧着することによって、シート中の水分が蒸発し乾燥され、微細繊維状セルロースシートが生成される。その後、抄紙用ワイヤー42はロール71,71を介して回動し、微細繊維状セルロースシート72から分離する。本実施形態7においては、ロール67自体がピックアップ補助機構として機能する。微細繊維状セルロースシートを抄造用構造体から剥離することが困難となる場合が想定されるが、抄造用構造体よりも高い表面性を有すロール67と密着または圧着させることで、微細繊維状セルロースシートは抄造用構造体よりも表面性の良いロールに密着または圧着することにより、ピックアップ補助機構として機能させることが可能となる。 巻取部61において、微細繊維状セルロースシート72を巻き取る。この際に、板状のピックアップブレード68をロール67に当接させることによって、微細繊維状セルロースシートをロール67より剥がしてリールドラム62で巻き取る。このような機構を有することによって、微細繊維状セルロースシート72をロール67から剥離することができる。このような構造を採用することによって、微細繊維状セルロースシートを巻き取る際、抄造用構造体からの剥離が容易となる。
1,11 不織布の第一金属焼結体層
2,12 不織布の第二金属焼結体層
15,16 不織布の第三金属焼結体層
14,17 織金網層
3 経線及び緯線より構成された織金網層
10,20,37,38 抄造用構造体
13 経線及び緯線より構成された第一織金網層
40 微細繊維状セルロース懸濁液
41 脱水部
42 抄紙用ワイヤー
47 抄紙用ワイヤー
50 乾燥部
60,70,80 微細繊維状セルロースシートの製造装置

Claims (15)

  1. 微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体において、被抄造体に接触する側より、金属繊維からなる不織布による二層以上の金属焼結体層と、当該二層以上の金属焼結体層における被抄造体の接触する側と反対側に経線及び緯線より構成された一層以上の織金網層を積層して構成したことを特徴とする微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  2. 前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層によって構成されたことを特徴とする請求項1に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  3. 前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層と、第三金属焼結体層と、によって構成されたことを特徴とする請求項1に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  4. 前記金属繊維からなる二層以上の金属焼結体層が、第一金属焼結体層と、第二金属焼結体層と、第三金属焼結体層と、第四金属焼結体層とによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  5. 前記織金網層が、経線及び緯線より構成された第一織金網層と、経線及び緯線より構成された第二織金網層、の2層で構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  6. 前記金属繊維からなる不織布による二層以上の金属焼結体層は、被抄造体に接触する側が織金網層に接触する層に比較して圧力損失が高いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  7. 前記第一金属焼結体層のろ過精度が0.5〜20μm、第二金属焼結体層のろ過精度が10〜40μm、織金網層が80〜200meshであることを特徴とする請求項1に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  8. 前記織金網層を構成する第一織金網層のメッシュ数が80〜200mesh、第二織金網層のメッシュ数が40〜80meshであることを特徴とする請求項に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  9. 前記抄造用構造体を構成する各層が、拡散接合により接合されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  10. 前記抄造用構造体が、経方向において無端状に接合されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造に使用される抄造用構造体。
  11. 微細繊維状セルロースシートの製造装置において、当該製造装置が微細繊維状セルロースシートの原材料となる微細繊維状セルロース懸濁液を脱水することにより湿紙を製造する脱水部と、当該湿紙を押圧するプレス部と、当該押圧された湿紙を乾燥する乾燥部とを有し、前記脱水部、プレス部及び乾燥部において請求項10に記載された抄造用構造体を使用することを特徴とする微細繊維状セルロースシートの製造装置。
  12. 前記微細繊維状セルロースシートの製造装置において、更に微細繊維状セルロースシートを前記抄造用構造体から剥離して巻き取る際のピックアップ補助機構を有することを特徴とする請求項11に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置。
  13. 前記微細繊維状セルロースシートを巻き取る際のピックアップ補助機構が、微細繊維状セルロースシートを前記抄造用構造体から剥離する箇所にエアー噴出部材又は微細繊維状セルロースシートに面接触するロールを有することを特徴とする請求項12に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置。
  14. 微細繊維状セルロースシートの製造装置において、前記脱水部により得られた湿紙を、前記抄造用構造体とスチールベルトとによって挟持し、プレス部及び乾燥部を搬送することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置。
  15. 微細繊維状セルロースシートの製造装置において、前記脱水部により得られた湿紙を、複数の前記抄造用構造体によって挟持し、プレス部及び乾燥部を搬送することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一に記載された微細繊維状セルロースシートの製造装置。
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