JPH0693305A - 金属繊維焼結シートの製造方法 - Google Patents

金属繊維焼結シートの製造方法

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JPH0693305A
JPH0693305A JP26785492A JP26785492A JPH0693305A JP H0693305 A JPH0693305 A JP H0693305A JP 26785492 A JP26785492 A JP 26785492A JP 26785492 A JP26785492 A JP 26785492A JP H0693305 A JPH0693305 A JP H0693305A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】シートの厚さ方向に孔径を傾斜構造等に任意に
制御でき、皺、脹、斑等のない、薄葉で長尺の金属繊維
焼結シートを得ること。 【構成】(A)金属繊維を主成分とする繊維のスラリー
を湿式抄紙法によりシート化して、繊維径が互いに異な
る複数の金属繊維シートを作成する工程と、(B)該金
属繊維シートを焼結して金属繊維の単層焼結シートを複
数作成する工程と、(C)該単層焼結シートを任意に積
層して積層体を作成する工程と、および(D)該積層体
に対して焼結を行う工程、とからなる金属繊維焼結シー
トの製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィルター材、耐熱材料
等に使用される金属繊維であり、さらに詳細には、繊維
間の平均空隙径がシートの厚み方向に任意に異なる分布
構造を有する金属繊維焼結シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より平均空隙径(以下、孔径と称す
る)の異なるフィルターを、流体の流れ方向に孔径が徐
々に小さくなるように積層して使用することにより異物
を効率よく捕捉できることが知られている。このような
背景から従来下記のようなシートが提案されてきた。す
なわち、孔径が厚さ方向に傾斜構造を有する金属繊維焼
結シートの製造方法としては、繊維径の異なる金網、ウ
エブ、織布を積層するか、あるいは粒径の異なる金属粉
末、および短繊維をバインダーに対して散布することに
より、積層して積層体を形成し、しかるのち、これらの
積層体を真空中、あるいは不活性ガス中で加圧、加熱し
焼結することにより金属繊維を融着させる方法が知られ
ている。
【0003】しかし、上記従来技術によれば孔径の傾斜
構造は得られるものの、編組あるいは紡織して製造した
金網、ウエブ、織布を積層させた場合は、薄いシートが
得られず、また、孔径の小さいものができない。また、
粒径、繊維径の異なる粉末、短繊維を散布、積層する方
法は、散布によるシート中の粉末、単繊維の散布量のバ
ラツキが大きく、得られたシートに厚薄斑が発生する問
題を生じ、さらには、長尺品が出来ない等の問題があっ
た。
【0004】一方、本出願人は、特願平3ー13699
8により湿式抄紙法で抄紙された金属繊維高配合シート
を加熱圧着にて積層し焼結する方法を提案したが、該製
造方法にて得られた金属繊維焼結シートは、薄葉シート
の形成および孔径の小さなシートの作成は可能となった
が、孔径の傾斜構造は不可能であり、加えて、焼結、還
元不足、皺、脹、剥がれ等が発生するという問題を有し
ていた。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明者は前記諸問
題を解決すべく鋭意工夫した結果、あらかじめ焼結処理
した繊維径の異なる金属繊維シートを積層した後、再焼
結することにより、シートの厚さ方向への孔径の分布を
傾斜構造等に任意に制御し、かつ、薄い均一なシートで
あって焼結、還元不足、皺、脹、斑等のない金属繊維焼
結シートが得られる製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)金属繊
維を主成分とする繊維のスラリーを湿式抄紙法によりシ
ート化して、繊維径が互いに異なる複数の金属繊維シー
トを作成する工程と、(B)該金属繊維シートを焼結し
て金属繊維の単層焼結シートを複数作成する工程と、
(C)該単層焼結シートを任意に積層して積層体を作成
する工程と、および(D)該積層体に対して焼結を行う
工程、とよりなることを特徴とする金属繊維焼結シート
の製造方法を提供するものである。
【0007】以下に本発明の金属繊維焼結シートの製造
方法の一例について詳述する。まず、湿式抄紙法により
繊維径がA>B>Cの大小関係にある3枚の金属繊維シ
ートを作成する。すなわち、金属繊維(繊維径A)の配
合率が70重量%以上に調整されたスラリーを湿式抄紙
法により抄造し、脱水プレスおよび加熱乾燥して繊維径
Aの金属繊維シートA’を作成する。湿式抄紙の際、配
合する結着剤用繊維として、例えば(株)クラレ社製の
クラレビニロンフィブリボンドVPB105−1−3
(商品名)として知られているような水中溶解度70℃
の易溶解性PVA繊維が好適に用いられる。同様の方法
で、平均金属径が繊維径Aより小さい繊維径Bの金属繊
維高配合シートB’及び該繊維径Bよりさらに小さい繊
維径Cの金属繊維シートC’を作製する。
【0008】なお、上記金属繊維シートA’B’および
C’には、繊維径が平均繊維径でA>B>Cなる範囲内
で、A、BおよびC以外の繊維径の金属繊維を配合して
もよい。また、該金属繊維は異なる材料を用いてもよ
い。
【0009】次に、このようにして得られた金属繊維シ
ートA’、B’およびC’を金属繊維表面の酸化防止と
還元効果を上げるため、乾燥した水素ガス雰囲気下にお
いて金属繊維の融点を超えない温度にて各々脱脂処理と
焼結を行った金属繊維の単層焼結シートA”、B”およ
びC”を作成する。その際の焼結条件として金属繊維の
融点近くの温度、例えばステンレス繊維の場合は約12
00℃を焼結温度に設定し、15〜20cm/minの
焼結速度で連続炉にて焼結加工を行う。この場合焼結
は、連続水素炉で行っても、窒素ガス等の不活性ガス雰
囲気炉を前工程、水素ガス雰囲気炉を後工程とした不活
性ガス雰囲気炉を併用する連続焼結炉で行ってもよい。
【0010】しかるのちに、前述の方法により得られた
繊維径の異なる金属繊維の単層焼結シートA”、B”お
よびC”を、目的とする厚さ方向での孔径の分布になる
ように、例えばA”/B”/C”の傾斜構成の順に積層
して、積層体を形成し、前述と同一の焼結条件にて各積
層間の焼結を行い、本発明の金属繊維焼結シートを得
る。なお、繊維径の異なる金属繊維の単層焼結シート
は、使用目的に応じて3層以上の多数層に積層させても
よいし、積層の順序は、前記傾斜構造に限定されること
なく繊維径と孔径との比例関係を考慮して必要とする厚
さ方向での孔径の分布を得るべく任意に積層することも
できる。
【0011】本発明においては、連続焼結炉における一
次焼結時の加熱の過程でまず金属繊維シート中の結着剤
である非金属繊維がPVA繊維の場合400℃位で熱分
解し、その結果、一旦繊維間の結絡性が無くなりシート
のハンドリング性も無くなるが、更に昇温し例えばステ
ンレス繊維の場合約800℃になると金属繊維の一部が
焼結し始め繊維間結合が生じ、ハンドリング性のある物
理強度の大きいシートを得ることができる。また、金属
繊維間の結合、絡合状態、孔径をより安定化するために
焼結後もしくは焼結時に加圧処理を施すとよいが、使用
目的により該加圧処理を行わない場合もある。
【0012】尚、本発明で使用する金属繊維は、繊維径
が1〜50μm、好ましくは1〜20μmであって、繊
維長が0.5〜12mm、好ましくは2〜6mmのステ
ンレス、真ちゅう、銅、アルミニウム等の金属繊維であ
り、これらの中でも特に、細線加工が可能、耐熱性、耐
錆性がよい等の理由により、ステンレス繊維が好適に用
いられる。繊維径が1μm以下であると金属繊維の強度
が低すぎて抄紙が困難となり、50μm以上であると金
属繊維が毛布に刺さり、抄紙に支障をきたす。また、繊
維長が0.5mm以下であると金属繊維間の絡合しずら
くなり、12mm以上であると金属繊維が塊状になり、
不都合を生じる。
【0013】
【実施例】以下、実施例及び比較例をもって本発明を更
に詳細の説明する。 実施例1.繊維径8μm(繊維径A)、繊維長4mmの
ステンレス繊維(SUS316L)90重量部及び水中
溶解度70℃であるPVA繊維(クラレ社製フィブリボ
ンドVPB105-1ー3)10重量部からなるスラリー
を湿式抄紙法にて抄造後脱水プレス、および加熱乾燥し
て米坪量110g/m2の金属繊維シートA’を得た。
次いで繊維径4μm(繊維径B)、繊維長4mmのステ
ンレス繊維(SUS316L)を使用し、前述と同様の
方法にて金属繊維シートをB’得た。同じく繊維径2μ
m(繊維径C)、繊維長3mmのステンレス繊維(SU
S316L)を使用し同様の方法にて金属繊維シート
C’を得た。そして、上記金属繊維シートA’B’およ
びC’を水素ガス連続焼結炉を使用し焼結温度1120
℃、速度15cm/minで焼結し金属繊維の単層焼結
シートA”、B”およびC”を作製した。しかるのち、
金属繊維の単層焼結シートをA”/B”/C”の順に積
層して積層体を形成し、再び水素ガス連続焼結炉を用い
焼結温度1120℃、速度15cm/minで積層間の
焼結加工を行った。更に、該シートを繊維間の絡合状
態、平均孔径を安定化するために線圧200kg/cm
2、速度3m/minにて加圧処理を行い繊維径A>B
>Cの関係に対応した孔径が傾斜構造を有する本発明の
金属繊維焼結シートを得た。
【0014】実施例2.繊維径8μm(繊維径A1)、
繊維長4mmのステンレス繊維45重量部、繊維径4μ
m(繊維径A2)、繊維長4mmのステンレス繊維45
重量部及び水中溶解度70℃であるPVA繊維10重量
部からなるスラリーを実施例と同要領で金属繊維シート
A’を得た。次いで繊維径8μm(繊維径B1)、繊維
長4mmのステンレス繊維45重量部、繊維径2μm
(繊維径B2)、繊維長3mmのステンレス繊維45重
量部及びPVA繊維10重量部からなるスラリーを前述
と同要領で金属繊維シートB’を作製した。次に、上記
金属繊維シートA’およびB’について実施例1と同要
領にて焼結を行い金属繊維の単層焼結シートA’および
B’を得た。得られた金属繊維の単層焼結シートA”と
B”を積層して積層体を形成し再び前記と同焼結条件で
層間の焼結加工を行った。更に該シートを実施例1.と
同条件で加圧処理を行い繊維径についてA1+A2>B
1+B2の関係に対応した孔径が傾斜構造を有する本発
明の金属繊維焼結シートを得た。
【0015】比較例1.実施例1で得た金属繊維シート
A’、B’およびC’について金属繊維の単層焼結シー
トを作成する工程を経ることなく積層し、ロール温度1
70℃、線圧300kg/cm2、速度3m/minに
て熱圧着処理を行った。
【0016】実施例1、2で得られた金属繊維焼結シー
トの各層の孔径の平均値をパームポロメーター(PMI
社製)で測定した結果を表1に示す。また、図1、図2
に実施例1、2で得られた金属繊維焼結シートの走査型
電子顕微鏡による断面写真(倍率500倍)を示す。こ
れらを見ても明らかなように、積層間が傾斜構造を有し
ており、かつ、薄葉シートが得られたことがわかる。一
方、実施例1と同一条件にて焼結加工を行って得られた
比較例1の金属繊維焼結シートは、焼結、還元不足、ま
た、各積層間の熱収縮の違いにより脹、剥がれ、斑等が
生じ、孔径が傾斜構造を有する金属繊維焼結シートが形
成できなかった。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明の製造方法は、シートの厚さ方向
に孔径を傾斜構造等に任意に制御でき、従来技術では得
られなかった脹、剥がれ、斑等のない、薄葉で長尺の金
属繊維焼結シートを得ることができる。また、金属繊維
自体が具備している物性、特に強度、耐熱性、導電性を
損なう事なくシート状物においてその機能が発輝され、
しかも繊維間強度も充分にあるので、特にフィルター等
工業上多くの用途に展開可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の金属繊維焼結シートの走査型電子顕
微鏡による断面写真
【図2】実施例2の金属繊維焼結シートの走査型電子顕
微鏡による断面写真

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)金属繊維を主成分とする繊維のス
    ラリーを湿式抄紙法によりシート化して、繊維径が互い
    に異なる複数の金属繊維シートを作成する工程と、
    (B)該金属繊維シートを焼結して金属繊維の単層焼結
    シートを複数作成する工程と、(C)該単層焼結シート
    を任意に積層して積層体を作成する工程と、および
    (D)該積層体に対して焼結を行う工程、とよりなるこ
    とを特徴とする金属繊維焼結シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 金属繊維の繊維径が1〜50μm、繊維
    長が0.5〜12mmであることを特徴とする請求項1
    記載の金属繊維焼結シートの製造方法。
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