JP6892271B2 - 伝搬距離推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基地局と端末との間で電波を送受信して、電波の伝搬距離を推定する伝搬距離推定装置に関する。
従来、基地局から端末に電波を送信し、その電波を受信した端末から電波を基地局に再送信させ、このとき基地局が受信した電波から、電波の送受信に要した伝搬距離を推定する伝搬距離推定装置が周知である(特許文献1〜4等参照)。これら特許文献でも示されるように、この種の伝搬距離推定装置は、車両及び電子キーの間でキー照合を無線により行う電子キーシステムへの適用が検討されている。これは、車両から遠く離れた場所に電子キーが位置するとき、この電子キーと車両とを中継器によって不正に通信確立させてしまう状況を防ぐためである。
特開平9−170364号公報 特開2003−13644号公報 特開2006−512515号公報 特開2008−515315号公報
ところで、基地局が端末に電波送信を行うときには、基地局が有する発振器のクロック信号を基に電波が生成されて、基地局から端末に送信される。一方、基地局から受信した電波を端末が基地局に再送信するときには、端末が有する発振器のクロック信号を基に電波が生成されて、端末から基地局に送信される。よって、基地局及び端末の間でクロック信号に誤差があると、電波の伝搬距離を精度よく推定できない問題に繋がっていた。
本発明の目的は、伝搬距離の推定精度を向上することができる伝搬距離推定装置を提供することにある。
前記問題点を解決する伝搬距離推定装置は、互いに異なる周波数の複数の連続波を基地局において合成し、これを測距信号として前記基地局から端末に送信し、当該測距信号を前記端末から前記基地局に返信させ、当該測距信号の伝搬距離を推定する構成において、前記基地局で受信した前記測距信号と当該測距信号の複素共役とを乗算し、その乗算結果に対し相関演算を行って、前記乗算結果の各周波数成分を抽出する相関演算部と、前記相関演算部が抽出した周波数成分の位相から前記伝搬距離を推定する距離推定部とを備えた。
本構成によれば、基地局が受信した測距信号とその複素共役とを乗算すると、基地局及び端末のクロック誤差を要因とした周波数ずれが補正された演算結果が抽出される。このため、電波の伝搬距離を推定するにあたり、周波数ずれが補正された乗算結果に対し相関演算を行って乗算結果の各周波数成分を抽出し、各周波数成分の位相から伝搬距離を推定するので、クロック誤差による周波数ずれの影響がない距離推定結果を得ることが可能となる。よって、伝搬距離の推定精度を向上することが可能となる。
前記伝搬距離推定装置において、前記測距信号の周波数成分は、前記相関演算により抽出されるAC成分であることが好ましい。この構成によれば、測距信号とその複素共役との乗算によって求まるAC成分を用いて、精度よく伝搬距離を推定することが可能となる。
前記伝搬距離推定装置において、前記距離推定部は、前記測距信号とその複素共役との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離について、その平均値を推定距離とすることが好ましい。この構成によれば、各周波数成分の位相の伝搬距離について、これらの平均をとるという簡素な処理を通じて、演算上の最終的な伝搬距離を特定することが可能となる。
前記伝搬距離推定装置において、前記距離推定部は、前記測距信号とその複素共役との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離について、各周波数成分の振幅に応じ加重平均して推定距離とすることが好ましい。この構成によれば、基地局及び端末の間の電波の伝搬距離を演算するにあたり、各周波数成分の位相の平均をとる演算と比較して、伝搬距離の推定精度を確保することが可能となる。
前記伝搬距離推定装置において、前記距離推定部は、前記測距信号とその複素共役との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離について、その中央値を推定距離とすることが好ましい。この構成によれば、抽出された伝搬距離の1値に大きな外れ値が存在する場合であっても、好適な伝搬距離を特定することが可能となる。よって、伝搬距離の推定精度を向上するのに有利となる。
本発明によれば、伝搬距離の推定精度を向上することができる。
一実施形態の伝搬距離推定装置の構成図。 測距信号とその複素共役との周波数スペクトル図。 測距信号とその複素共役とを乗算した後の周波数スペクトル図。
以下、伝搬距離推定装置の一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、基地局1及び端末2には、これら2者間の電波送信にかかる距離(伝搬距離d)を推定する伝搬距離推定装置3が設けられている。伝搬距離推定装置3は、例えば電子キーのキー照合を無線によって行う電子キーシステムに搭載されている。この場合、電子キーシステムは、基地局1及び端末2の間で仮にID照合が成立していても、伝搬距離推定装置3によって求まる伝搬距離dが閾値以上であれば、不正通信の可能性が高いとして、ID照合成立を不許可とする。
基地局1は、各々異なる周波数の無変調連続波(CW波)として複素信号gn(p)を出力する複数の発振器4(例えばN個)を備える。各周波数の複素信号gn(p)は、「n」が「1」〜「N」をとり、信号成分として実部及び虚部を有する。なお、「n」は、何番目の周波数かを表す数であり、「N」は、使用する周波数の総数であり、「p」は離散時間である。
基地局1は、発振器4から入力する各複素信号gn(p)から実部を取り出す実数取出部5を備える。実数取出部5は、複素信号gn(p)からの実部の取り出しにより、信号real(gn(p))を出力する。なお、real(・)は、複素数から実数を取り出す関数を示す。
基地局1は、実数取出部5から出力された信号real(gn(p))を加算する加算器6と、加算器6から出力される合成信号real(G(p))をD/A変換するD/Aコンバータ7とを備える。基地局1は、D/A変換後の合成信号real(G(q))と局部発振器8から入力する発振信号とを乗算するミキサ9と、乗算後の信号をフィルタリングするバンドパスフィルタ10と、バンドパスフィルタ10を通過した合成信号を測距信号real(G(q))cos(ωq)として送信する送信アンテナ11とを備える。なお、「G(p)」及び「G(q)」は、合成された複素信号であり、「q」は、連続時間である。
端末2は、基地局1から送信された測距信号real(G(q))cos(ωq)を伝搬時間q0分遅れた信号で受信する受信アンテナ12と、この受信信号real(G(q−q0))cos(ωq)をフィルタリングするバンドパスフィルタ13とを備える。端末2は、バンドパスフィルタ13を通過した信号と局部発振器14から入力する発振信号とを乗算するミキサ15と、乗算後の信号をフィルタリングするローパスフィルタ16と、ローパスフィルタ16を通過した受信信号real(G(q−q0))をA/D変換するA/Dコンバータ17とを備える。
端末2は、A/Dコンバータ17から入力する受信信号real(G(p−q0))を基に端末2を作動させる信号処理部18を備える。信号処理部18は、基地局1から受信信号real(G(q−q0))cos(ωq)を受信したとき、この受信信号real(G(q−q0))cos(ωq)を基地局1に返信する動作を実行する。
端末2は、電波返信時において信号処理部18から入力する信号をD/A変換するD/Aコンバータ19と、D/A変換後の信号と局部発振器20から入力する発振信号とを乗算するミキサ21とを備える。端末2は、乗算後の信号をフィルタリングするバンドパスフィルタ22と、バンドパスフィルタ22を通過した信号を測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)として送信する送信アンテナ23とを備える。
基地局1は、端末2から送信された測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)を伝搬時間q0分遅れた信号で受信する受信アンテナ24を備える。基地局1は、受信アンテナ24の後段の一方の経路に、バンドパスフィルタ25、局部発振器26、ミキサ27、ローパスフィルタ28及びA/Dコンバータ29を備える。バンドパスフィルタ25は、受信アンテナ24が受信した測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)をフィルタリングする。ミキサ27は、バンドパスフィルタ25を通過した信号と局部発振器26から入力する発振信号とを乗算する。ローパスフィルタ28は、ミキサ27で合成された信号のうち低い周波数のみ通過させる。A/Dコンバータ29は、ローパスフィルタ28を通過した測距信号real(G(q−2q0))をA/D変換して、測距信号real(G(p−2q0))を出力する。
基地局1は、受信アンテナ24の後段の他方の経路に、バンドパスフィルタ30、移送器31、ミキサ32、ローパスフィルタ33及びA/Dコンバータ34を備える。バンドパスフィルタ30は、受信アンテナ24が受信した測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)をフィルタリングする。ミキサ32は、バンドパスフィルタ30を通過した信号と、局部発振器26から出力される発振信号を移送器31によって90°位相を遅らせた信号とを乗算する。ローパスフィルタ33は、ミキサ32で合成された信号のうち、低い周波数のみ通過させる。A/Dコンバータ34は、ローパスフィルタ33を通過した信号をA/D変換して、測距信号img(G(p−2q0))を出力する。なお、img(・)は、複素数から虚部を取り出す関数を示す。
基地局1は、実部及び虚部から複素信号を算出する複素化部35を備える。複素化部35は、A/Dコンバータ29から入力する測距信号real(G(p−2q0))とA/Dコンバータ34から入力する測距信号img(G(p−2q0))とを基に、複素信号G(p−2q0)を算出する。
基地局1は、基地局1及び端末2の間の電波の伝搬距離dを推定する一連の処理を実行する相関演算部40及び距離推定部41を備える。相関演算部40は、基地局1で受信した測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)と、測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)の複素共役とを乗算し、その乗算結果に対し相関演算を行って、乗算結果の各周波数成分を抽出する。距離推定部41は、相関演算部40が抽出した周波数成分の位相から伝搬距離dを推定する。
次に、図1〜図3を用いて、伝搬距離推定装置3の作用及び効果を説明する。なお、本例は、端末2側での信号処理は何も行われていないものとして定式化している。また、回路による遅延は存在せず、遅延は電波の伝搬でのみ発生するとして定式化している。
図1に示すように、各発振器4(総数N個)は、各々異なる周波数の複素信号g1(p)〜gN(p)を実数取出部5に出力する(n=1〜N)。実数取出部5は、各複素信号g1(p)〜gN(p)において実部を取り出し、実数のみから構築される信号real(g1(p))〜real(gN(p))を加算器6に出力する。加算器6は、これら信号real(g1(p))〜real(gN(p))を足し合わせて合成信号real(G(p))とし、これをD/Aコンバータ7に出力する。合成信号real(G(p))は、次式(1)により表される。
Figure 0006892271
合成信号real(G(p))は、D/Aコンバータ7によってD/A変換され、合成信号real(G(q))としてミキサ9に出力される。ミキサ9に入力された合成信号real(G(q))は、局部発振器8から入力する発振信号と乗算され、バンドパスフィルタ10により所定帯域の信号のみが通過される。バンドパスフィルタ10を通過した合成信号real(G(q))は、測距信号real(G(q))cos(ωq)として送信アンテナ11から端末2に向けて送信される。
基地局1の送信アンテナ11から送信された測距信号real(G(q))cos(ωq)は、伝搬時間q0後、端末2に到達する。なお、測距信号real(G(q))cos(ωq)は、複素信号q1(p)〜qN(p)を合成することにより生成された所定波形が繰り返し出現する繰り返し信号である。また、送信信号real(G(q))cos(ωq)は、広帯域信号である。
端末2は、基地局1から送信された測距信号real(G(q))cos(ωq)を、伝搬時間q0遅れた信号、すなわちreal(G(q−q0))cos(ωq)として受信アンテナ12で受信する。この受信信号real(G(q−q0))cos(ωq)は、バンドパスフィルタ13を通過後、ミキサ15に出力される。ミキサ15に入力された受信信号real(G(q−q0))cos(ωq)は、局部発振器14から入力する発振信号と乗算され、ローパスフィルタ16により低帯域のみ通過される。ローパスフィルタ16を通過した受信信号real(G(q−q0))は、A/Dコンバータ17でA/D変換され、受信信号real(G(p−q0))として信号処理部18に出力される。
信号処理部18は、A/Dコンバータ17から入力した受信信号real(G(p−q0))の信号波形を読み取る。このとき、信号処理部18は、受信信号real(G(p−q0))を正常に読み取ることができると、real(G(q−q0))cos(ωq)の信号を基地局1に返信する動作に移行し、測距信号real(G(p−q0))をD/Aコンバータ19に出力する。
D/Aコンバータ19に入力された送信信号real(G(p−q0))は、D/A変換によって送信信号real(G(q−q0))に変換され、ミキサ21に出力される。ミキサ21に入力された送信信号real(G(q−q0))は、局部発振器20から入力した発振信号と乗算され、バンドパスフィルタ22により所定帯域のみ通過される。そして、バンドパスフィルタ22を通過した信号が測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)として送信アンテナ23から基地局1に向けて無線送信される。
端末2の送信アンテナ23から送信された測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)は、伝搬時間q0後、基地局1に到達する。なお、ここで端末2から送信される測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)は、基地局1から端末2に送信された測距信号real(G(q))cos(ωq)と波形は同じであるものの、位相が所定時間遅れた信号となっている。
端末2から送信された測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)は、伝搬時間q0遅れた信号、すなわちreal(G(q−2q0))cos(ωq)として基地局1に到達する。この測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)は、バンドパスフィルタ25,30の各々に入力される。バンドパスフィルタ25に入力された測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)は、所定帯域のみ通過され、ミキサ27に出力される。ミキサ27に入力された測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)は、局部発振器26から入力した発振信号と乗算され、ローパスフィルタ28により低帯域のみ通過される。ローパスフィルタ28を通過した測距信号real(G(q−2q0))は、A/Dコンバータ29によってA/D変換され、測距信号real(G(p−2q0))として複素化部35に入力される。
バンドパスフィルタ30に入力された測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)は、所定帯域のみ通過され、ミキサ32に出力される。ミキサ32に入力された測距信号real(G(q−2q0))cos(ωq)は、局部発振器26から入力した90°位相遅れの発振信号と乗算され、ローパスフィルタ33により低帯域のみ通過される。ローパスフィルタ33を通過した信号は、A/Dコンバータ34によってA/D変換され、測距信号img(G(p−2q0))として複素化部35に入力される。
複素化部35は、A/Dコンバータ29から測距信号real(G(p−2q0))を入力し、A/Dコンバータ34から測距信号img(G(p−2q0))を入力すると、これらを複素化することにより、複素信号G(p−2q0)を算出する。複素化部35は、算出した複素信号G(p−2q0)を、相関演算部40に出力する。
相関演算部40は、基地局1が送信する測距信号real(G(q))cos(ωq)と、端末2から受信した測距信号real(G(q−q0))cos(ωq)との間に生じている位相回転量を周波数fn(p)ごとに求め、さらに隣り合う周波数fn(p)における位相回転量の差を求める。そして、距離推定部41は、相関演算部40が求めた位相回転量から、基地局1及び端末2の間の伝搬距離dを算出する。
ここで、例えば基地局1及び端末2の間でクロックの周波数誤差がない場合について考察する。基地局1から端末2に送信する時間tにおける測距信号をX(t)とすると、X(t)は、次式(2)により表される。なお、式(2)において、「xn(t)」は、n番目の周波数fn(p)における測距信号成分を表し、「x(t)」は、N個の周波数成分からなる列ベクトルを表す。また、式(2)において、「I」は、全ての要素が1であるN次元行ベクトルを表し、「」は、転置行列を表し、「ω」は周波数fn(p)の角速度を表す。
Figure 0006892271
同様に、端末2から基地局1が受信した測距信号を「X’(t)」とすると、このX’(t)は、次式(3)により表される。なお、ここでは、電波伝搬による振幅変化はないものとする。
Figure 0006892271
まず、基地局1が受信した測距信号X’(t)から、n番目の周波数fにおける振幅及び位相の変化を表すyを抽出する。yは、例えば距離情報を含む特性値の一種であり、次式(4)により算出される。なお、式(4)において、「」は、複素共役を表す。
Figure 0006892271
この式(4)では、時間tが消去されていない項は、時間Tを適切にとると、tに関する平均化により消滅する。また、式(4)は平均化を表す式であり、同式において時間Tを適切にとると、周波数fにおける伝搬時間tに応じた位相回転を表す複素数が得られる。
が抽出された後は、距離推定アルゴリズムを用い、基地局1及び端末2の間の伝搬距離dを算出する。伝搬距離dは、次式(5)により算出される。なお、式(5)において、「∠」は、複素数の位相各を抽出する演算を表し、「c」は、光速を表す。
Figure 0006892271
式(5)からも分かるように、周波数の異なるN個のsin波を合成した信号を送受信することにより、伝搬距離dを推定することが可能となる。
続いて、例えば基地局1及び端末2の間でクロックの周波数誤差がある場合について考察する。クロックの周波数誤差がある場合、測距信号X’(t)に含まれる周波数fが基地局1の想定と異なるため、yの抽出時に誤差が発生してしまう。
ここで、測距信号X’(t)が全周波数一律に周波数f(角速度ω)ずれた測距信号X’’(t)を考える。測距信号X’’(t)は、次式(6)により表される。
Figure 0006892271
式(6)で求まる信号に対し、n番目の周波数fにおける振幅及び位相の変化を表す相関演算値y’’を抽出すると、以下の(7)により表される。
Figure 0006892271
この式(7)では、ωを含まない項はtが残存し、平均化により消滅するため、表記していない。式(7)からも分かるように、時間tに関する項が消えないため、平均化するとy’’は「0」となる。すなわち、クロック誤差が残存する場合には、y’’を正しく抽出することができない。
そこで、本例の場合、基地局1及び端末2の間にクロック誤差があることを踏まえて、y’’ではなく、基地局1及び端末2の間の距離情報を含むパラメータzを次式(8)から算出する。相関演算部40は、この式(8)によりパラメータzを算出する。
Figure 0006892271
式(8)は、次式(9)に展開することが可能である。式(9)から分かるように、式(8)から算出されるパラメータzは、測距信号X’’(t)と測距信号X’’(t)の複素共役(X’’(t))とを乗算した特性値であるといえる。
Figure 0006892271
図2に、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))との周波数スペクトルを図示する。同図に示されるように、測距信号X’’(t)は、0Hzの正負側にそれぞれ周波数のずれたものが複数生じる。また、各々の測距信号X’’(t)に対する複素共役(X’’(t))は、対応する測距信号X’’(t)に対し、所定数波数ずれた値で求まる。
図3に、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))とを乗算したときの周波数スペクトルを図示する。同図に示されるように、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))とを乗算すれば、周波数ずれがなくなり、各周波数成分に対して相関演算を行えば、正しい位相を抽出することが可能であることが分かる。この考え方に沿い、本例の相関演算部40は、式(8)の演算式に従い、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))とを乗算し、その乗算結果に対し相関演算を行って、乗算結果の各周波数成分を抽出する。
距離推定部41は、パラメータzを用い、以下の式(10)により伝搬距離dを推定する。
Figure 0006892271
式(10)に示されるように、距離推定部41は、相関演算部40が抽出した周波数成分の位相から伝搬距離dを推定する。ここで、式(10)の演算結果(伝搬距離d)は、クロック誤差のない計算結果(式(5)の結果)と同じになる。よって、基地局1及び端末2の間に仮にクロック誤差が存在していたとしても、パラメータzを抽出することにより、正しく伝搬距離dを推定することが可能となることが分かる。
さて、本例の場合、基地局1が受信した測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))とを乗算すると、基地局1及び端末2のクロック誤差を要因とした周波数ずれが補正された演算結果が抽出される。このため、電波の伝搬距離dを推定するにあたり、周波数ずれが補正された乗算結果に対し相関演算を行って乗算結果の各周波数成分を抽出し、各周波数成分の位相から伝搬距離dを推定するので、クロック誤差による周波数ずれの影響がない距離推定結果を得ることが可能となる。よって、伝搬距離dの推定精度を向上することができる。
図3に示すように、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))とを乗算したとき、乗算結果としてDC成分及びAC成分が抽出される。DC成分は、「0」Hzの周波数成分の位相であり、AC成分は、「0」Hz以外の周波数成分の位相である。本例の相関演算部40は、距離推定で用いる測距信号X’’(t)の周波数成分として、相関演算により抽出されるAC成分を使用する。よって、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))との乗算によって求まるAC成分を用いて、精度よく伝搬距離dを推定することができる。
距離推定部41は、測距信号X’’(t)とその複素信号(X’’(t))との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離dについて、その平均値を推定距離とする。よって、各周波数成分の位相の伝搬距離dについて、これらの平均をとるという簡素な処理を通じて、演算上の最終的な伝搬距離dを特定することができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・伝搬距離dの演算は、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離dについて、これらの平均値をとる演算に限定されない。例えば、距離推定部41は、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離dについて、各周波数成分の振幅に応じ加重平均して推定距離としてもよい。この場合、基地局1及び端末2の間の電波の伝搬距離dを演算するにあたり、各周波数成分の位相の伝搬距離dの平均をとる演算と比較して、伝搬距離dの推定精度を確保することができる。
・距離推定部41は、測距信号X’’(t)とその複素共役(X’’(t))との乗算結果に含まれる各周波数成分の位相から算出される各伝搬距離dについて、その中央値を推定距離としてもよい。この場合、抽出された伝搬距離dの1値に大きな外れ値が存在する場合であっても、好適な伝搬距離dを特定することが可能となる。よって、伝搬距離dの推定精度を向上するのに有利となる。
・伝搬距離推定装置3の回路構成、すなわち基地局1や端末2の回路構成は、実施形態に述べた構成に限らず、他に変更可能である。
・伝搬距離d(伝搬時間q0)を電波の位相から推定する演算は、例えばMUSIC法など、種々の方式が採用可能である。
・伝搬距離推定装置3は、電子キーシステムに搭載されることに限定されず、他のシステムや機器に適用可能である。
・連続波は、複素信号として取り扱われることに限定されず、種々の方式が採用可能である。
・連続波は、それぞれのfk(p)の周波数帯域が重なり合わなければ、無変調波に限らず、種々の変調が施された信号としてもよい。
・連続波は、送信の開始から終了まで全て連続する信号である必要はなく、適宜中段される信号でもよい。
・端末2の信号処理部18では、基地局1と既知の方法で信号処理が実施されてもよい。これにより、例えば中継器が伝搬距離測定用の信号を基地局1へ直接送信することで伝搬距離d(伝搬時間q0)を偽装するという手法を防止することができる。
・伝搬距離推定装置3は、距離推定を行う装置に限定されず、例えば伝搬時間q0を推定する装置でもよい。
1…基地局、2…端末、3…伝搬距離推定装置、40…相関演算部、41…距離推定部、f…周波数、d…伝搬距離、X''(t)…測距信号、(X''(t))…測距信号の複素共役。

Claims (4)

  1. 互いに異なる周波数の複数の連続波を基地局において合成し、これを測距信号として前記基地局から端末に送信し、当該測距信号を前記端末から前記基地局に返信させ、当該測距信号の伝搬距離を推定する伝搬距離推定装置において、
    前記基地局で受信した前記測距信号、n+1番目の周波数における測距信号成分の複素共役、当該測距信号の複素共役及びn番目の周波数における測距信号成分を乗算し、その乗算結果を時間平均したパラメータz を算出することを、前記互いに異なる周波数のそれぞれについて行う相関演算部と、
    前記相関演算部が抽出した各z の位相から前記伝搬距離を推定する距離推定部とを備えたことを特徴とする伝搬距離推定装置。
  2. 前記距離推定部は、各z の位相から算出される各伝搬距離について、その平均値を推定距離とする請求項に記載の伝搬距離推定装置。
  3. 前記距離推定部は、各z の位相から算出される各伝搬距離について、各周波数成分の振幅に応じ加重平均して推定距離とする請求項に記載の伝搬距離推定装置。
  4. 前記距離推定部は、各z の位相から算出される各伝搬距離について、その中央値を推定距離とする請求項に記載の伝搬距離推定装置。
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