JP6890019B2 - 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダ等の携帯型電子機器の電源として広く用いられている。携帯型電子機器の小型化及び軽量化に伴い、非水系二次電池の外装の簡素化及び軽量化がなされており、外装材としてステンレス製の缶にかわって、アルミ製の缶が開発され、さらに金属製の缶にかわって、アルミラミネートフィルム製のパックが開発されている。ただし、アルミラミネートフィルム製パックは軟らかいが故に、該パックを外装材とする電池(所謂ソフトパック電池)においては、外部からの衝撃や、充放電に伴う電極の膨張及び収縮によって、電極とセパレータとの間に隙間が形成されやすく、電池のサイクル寿命が低下することがある。
上記の課題を解決するため、電極とセパレータとの接着を高める技術が提案されている。その技術の一つとして、多孔質基材上にポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層を備えたセパレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、電池を製造する際に、正極と負極との間にセパレータを配置した積層体にドライヒートプレス(セパレータに電解液を含浸させずに行う熱プレス処理)を施す場合がある。ドライヒートプレスによりセパレータと電極とが良好に接着するようになれば、電池の製造歩留りを向上させることも可能となる。しかしながら、上述した特許文献1のような従来技術では、ドライヒートプレスにより電極と接着させる機能が不足している。
一方、特許文献2では、多孔質基材の表面に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂を混合して含んだ接着性多孔質層を有したセパレータが開示されている。このようなセパレータによれば、ドライヒートプレスによりセパレータと電極が良好に接着するため、電池製造歩留まりの向上が期待される。しかしながら、このようなセパレータを用いて、正極と負極との間にセパレータを配置してドライヒートプレスを施した後、これに電解液を含浸させると、アクリル系樹脂が電解液で膨潤あるいは溶解してしまい、セパレータが電極から容易に剥離する場合があった。その場合、せっかくドライヒートプレスによりセパレータと電極を接着させても、実際に電池の中で電解液に浸した状態ではセパレータと電極との間に隙間が形成されてしまうため、結果として電池を長期に使用した場合にサイクル寿命が低下することがあった。
特許第4127989号公報 WO2016/98684号公報
このような背景から、ドライヒートプレスによる電極との接着性が良好で、しかも、ドライヒートプレスにより接着させた後に電解液を含浸させた場合にも、電極との良好な接着状態が維持されるセパレータが求められている。
本開示の実施形態は、上記状況のもとになされた。
本開示の実施形態は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータであって、ドライヒートプレスによる電極との接着性が良好で、かつ、その後電解液浸漬後も電極との接着性に優れる非水系二次電池用セパレータを提供することを目的とし、これを解決することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
[1] 多孔質基材と、前記多孔質基材の片面または両面に設けられ、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記接着性多孔質層は、前記アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂が混合された状態で含まれた多孔質構造を有しており、前記接着性多孔質層において、前記アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対して、前記アクリル系樹脂は2〜40質量%含まれており、前記アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマーとスチレン系モノマーを含む共重合体であり、前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は1万〜50万である、非水系二次電池用セパレータ。
[2] 前記アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、および不飽和カルボン酸無水物を含む共重合体である、[1]に記載の非水系二次電池用セパレータ。
[3] 前記アクリル系モノマーが、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、[1]〜[2]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[4] 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、単量体成分としてフッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを含む共重合体であり、当該共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン単量体成分の含有量が3質量%〜20質量%であり、且つ、当該共重合体の重量平均分子量が10万〜150万である、[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[5] 前記接着性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し前記微細孔が連結された構造であるか、又は前記アクリル系樹脂及び前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が分子レベルで相溶化ないし均一に混合された状態でフィブリル状体を形成し、前記多数のフィブリル状体が一体的に連結した三次元網目状構造である、[1]〜[4]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
] 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された[1]〜[]のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
本開示によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を備えたセパレータであって、ドライヒートプレスによる電極との接着性が良好で、かつ、その後電解液浸漬後も電極との接着性に優れる非水系二次電池用セパレータが提供される。
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「機械方向」とは、長尺状に製造される多孔質基材及びセパレータにおいて長尺方向を意味し、「幅方向」とは、「機械方向」に直交する方向を意味する。本開示において、「機械方向」を「MD方向」ともいい、「幅方向」を「TD方向」ともいう。
本明細書において、共重合体の「単量体成分」とは、共重合体の構成成分であって、単量体が重合してなる構成単位を意味する。
<非水系二次電池用セパレータ>
本開示の非水系二次電池用セパレータ(「セパレータ」ともいう。)は、多孔質基材と、多孔質基材の片面又は両面に設けられた接着性多孔質層とを備える。
本開示のセパレータにおいて、接着性多孔質層は、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂が混合された状態で含まれた多孔質構造を有している。この接着性多孔質層において、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対して、アクリル系樹脂は2〜40質量%含まれている。そして、アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマーとスチレン系モノマーを含む共重合体であることが重要である。
本開示のセパレータは、ドライヒートプレスによる電極との接着に優れるが故に、電池の製造工程において電極と位置ずれしにくくなり、電池の製造歩留りを向上させることができる。
また、本開示のセパレータは、ドライヒートプレスによる電極との接着に優れ、さらに電解液に浸漬させた後も良好な接着状態が維持されるが故に、電池のサイクル特性(容量維持率)を向上させることができる。
この理由は定かではないが、アクリル系モノマーはアクリル基由来の極性が接着に大きく影響しているものと推測される。一方、スチレン系モノマーは極性度が小さため、電解液に対する溶解や膨潤を抑制する効果があると推測される。これらの組み合わせで、ドライヒートプレスによる電極との接着性を向上でき、さらにドライヒートプレスにより接着させた後に電解液に浸漬した場合でも、接着性多孔質層の過度な膨潤を抑制でき、電極との良好な接着状態が維持されるものと推測される。また、このようなアクリル系樹脂は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂との親和性が高く、溶媒中に両樹脂を均一に溶解させることができ、均一な接着性多孔質層を形成しやすい。そして、接着性多孔質層においてアクリル系樹脂とポリフッ化ビニリデン系樹脂が特定の組成比で含まれ、両樹脂が分子レベルで均一に分散することで、セパレータと電極との接着も均一なものとなり、電池のサイクル特性の向上に寄与するものと考えられる。
以下、本開示のセパレータが有する多孔質基材及び接着性多孔質層の詳細を説明する。
[多孔質基材]
本開示において多孔質基材とは、内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。このような基材としては、微多孔膜;繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シート;これら微多孔膜や多孔性シートに他の多孔性の層を1層以上積層した複合多孔質シート;などが挙げられる。多孔質基材としては、セパレータの薄膜化及び強度の観点から、微多孔膜が好ましい。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。
多孔質基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料が好ましく、有機材料及び無機材料のいずれでもよい。
多孔質基材は、多孔質基材にシャットダウン機能を付与するため、熱可塑性樹脂を含むことが望ましい。シャットダウン機能とは、電池温度が高まった際に、構成材料が溶解して多孔質基材の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;などが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。
多孔質基材としては、ポリオレフィンを含む微多孔膜(「ポリオレフィン微多孔膜」という。)が好ましい。ポリオレフィン微多孔膜としては、例えば、従来の電池セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜が挙げられ、この中から十分な力学特性とイオン透過性を有するものを選択することが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、シャットダウン機能を発現する観点から、ポリエチレンを含むことが好ましく、ポリエチレンの含有量としては、ポリオレフィン微多孔膜全体の質量の95質量%以上が好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜は、高温に曝されたときに容易に破膜しない程度の耐熱性を付与する観点からは、ポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。このようなポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレンとポリプロピレンが1つの層において混在している微多孔膜が挙げられる。該微多孔膜においては、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、95質量%以上のポリエチレンと5質量%以下のポリプロピレンとを含むことが好ましい。また、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点からは、2層以上の積層構造を備え、少なくとも1層はポリエチレンを含み、少なくとも1層はポリプロピレンを含む構造のポリオレフィン微多孔膜も好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィンとしては、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万のポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンのMwが10万以上であると、微多孔膜に十分な力学特性を付与できる。一方、ポリオレフィンのMwが500万以下であると、微多孔膜のシャットダウン特性が良好であるし、微多孔膜の成形がしやすい。
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出してシート化し、これを結晶化処理した後延伸し、次いで熱処理をして微多孔膜とする方法:流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出し、これを冷却してシート化し、延伸した後、可塑剤を抽出し熱処理をして微多孔膜とする方法;などが挙げられる。
繊維状物からなる多孔性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド等の耐熱性樹脂;セルロース;などの繊維状物からなる、不織布、紙等の多孔性シートが挙げられる。耐熱性樹脂とは、融点が200℃以上の樹脂、又は、融点を有さず分解温度が200℃以上の樹脂を指す。
複合多孔質シートとしては、微多孔膜や繊維状物からなる多孔性シートに、機能層を積層したシートが挙げられる。このような複合多孔質シートは、機能層によってさらなる機能付加が可能となる観点から好ましい。機能層としては、例えば耐熱性を付与するという観点からは、耐熱性樹脂からなる多孔性の層や、耐熱性樹脂及び無機フィラーからなる多孔性の層が挙げられる。耐熱性樹脂としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン及びポリエーテルイミドから選ばれる1種又は2種以上の耐熱性樹脂が挙げられる。無機フィラーとしては、アルミナ等の金属酸化物;水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;などが挙げられる。複合化の手法としては、微多孔膜や多孔性シートに機能層を塗工する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを接着剤で接合する方法、微多孔膜や多孔性シートと機能層とを熱圧着する方法等が挙げられる。
多孔質基材の表面には、多孔質層を形成するための塗工液との濡れ性を向上させる目的で、多孔質基材の性質を損なわない範囲で、各種の表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
[多孔質基材の特性]
本開示において、多孔質基材の厚さは、良好な力学特性と内部抵抗を得る観点から、5μm〜25μmが好ましい。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、電池の短絡の抑制及び十分なイオン透過性を得る観点から、50秒/100cc〜300秒/100ccが好ましい。
多孔質基材の空孔率は、適切な膜抵抗やシャットダウン機能を得る観点から、20%〜60%が好ましい。多孔質基材の空孔率は、下記の算出方法に従って求める。即ち、構成材料がa、b、c、…、nであり、各構成材料の質量がWa、Wb、Wc、…、Wn(g/cm)であり、各構成材料の真密度がda、db、dc、…、dn(g/cm)であり、膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求められる。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
多孔質基材の突刺強度は、セパレータの製造歩留り及び電池の製造歩留りを向上させる観点から、300g以上が好ましい。多孔質基材の突刺強度は、カトーテック社KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行って測定する最大突刺荷重(g)を指す。
[接着性多孔質層]
本開示において接着性多孔質層は、多孔質基材の片面又は両面にセパレータの最外層として設けられ、セパレータと電極とを重ねてプレス又は熱プレスしたときに電極と接着する層である。
本開示において接着性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。また、接着性多孔質層は、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂が混合された状態で含まれた多孔質構造を有している。このような多孔質構造は、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂が分子レベルで相溶化ないし均一に混合された状態でフィブリル状体を形成し、このような多数のフィブリル状体が一体的に連結して三次元網目状構造となったものである。このような多孔質構造は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)等で確認することができる。
接着性多孔質層は、多孔質基材の片面のみにあるよりも両面にある方が、電池のサイクル特性が優れる観点から好ましい。接着性多孔質層が多孔質基材の両面にあると、セパレータの両面が接着性多孔質層を介して両電極とよく接着するからである。なお、本開示において接着性多孔質層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに上記アクリル系樹脂とポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の樹脂や、無機フィラー、有機フィラー等を含んでもよい。
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂)
本開示において、接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(即ちポリフッ化ビニリデン);フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体);これらの混合物;が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリクロロエチレン等が挙げられ、1種類又は2種類以上を用いることができる。中でも、電極に対する接着性の観点から、VDF−HFP共重合体が好ましい。なお、ここで言う「VDF」はフッ化ビニリデン単量体成分を、「HFP」はヘキサフルオロプロピレン単量体成分を指しており、「VDF−HFP共重合体」とはVDF単量体成分及びHFP単量体成分を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を意味している。ヘキサフルオロプロピレンをフッ化ビニリデンと共重合することで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶性、耐熱性、電解液に対する耐溶解性などを適度な範囲に制御できる。
本開示のセパレータは、以下の理由から、HFP単量体成分の含有量が全単量体成分の3質量%〜20質量%であり、且つ、重量平均分子量(Mw)が10万〜150万である特定VDF−HFP共重合体を接着性多孔質層に含むことが好ましい。また、このようなVDF−HFP共重合体は上記アクリル系樹脂との親和性が高い点でも好ましい。
VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分含有量が3質量%以上であると、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高く、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する接着性多孔質層の接着を向上させ得る。この観点から、VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分含有量は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、6質量%以上が更に好ましい。
VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分含有量が20質量%以下であると、電解液に溶解しにくく過度に膨潤することもないので、電池内部において電極と接着性多孔質層との接着が保たれ得る。この観点から、VDF−HFP共重合体のHFP単量体成分含有量は、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
VDF−HFP共重合体のMwが10万以上であると、接着性多孔質層が電極との接着処理に耐え得る力学特性を確保でき、電極との接着が向上し得る。また、VDF−HFP共重合体のMwが10万以上であると、電解液に溶解しにくいので、電池内部において電極と接着性多孔質層との接着が保たれ易くなる。これらの観点から、VDF−HFP共重合体のMwは、10万以上が好ましく、20万以上がより好ましく、30万以上が更に好ましく、50万以上が更に好ましい。
VDF−HFP共重合体のMwが150万以下であると、接着性多孔質層の塗工成形に用いられる塗工液の粘度が高くなり過ぎず成形性及び結晶形成がよく、接着性多孔質層の表面性状の均一性が高く、その結果として、電極に対する接着性多孔質層の接着が良好である。また、VDF−HFP共重合体のMwが150万以下であると、ドライヒートプレスを行った際のポリマー鎖の運動性が高く、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する接着性多孔質層の接着を向上させ得る。これらの観点から、VDF−HFP共重合体のMwは、150万以下が好ましく、120万以下がより好ましく、100万以下が更に好ましい。
PVDFやVDF−HFP共重合体を製造する方法としては、乳化重合や懸濁重合が挙げられる。また、HFP単位の含有量及び重量平均分子量を満足する市販のVDF−HFP共重合体を選択することも可能である。
(アクリル系樹脂)
本開示のセパレータは、接着性多孔質層にポリフッ化ビニリデン系樹脂に加えてアクリル系樹脂も含まれている。アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマーとスチレン系モノマーを含む共重合体であることが重要である。
アクリル系樹脂を構成するアクリル系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる1種以上からなる。例えば、アクリル酸塩としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸亜鉛等が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、イソボニルアリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。メタクリル酸塩としては、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛等が挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、イソボニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル系モノマーとしては、これらの中でもメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく、特にポリフッ化ビニリデン系樹脂と相溶性が優れるメタクリル酸メチルは接着性多孔質層のガラス転移温度を下げる効果があることから、最も好ましい。
アクリル系樹脂を構成するスチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、メタクロロスチレン、パラクロロスチレン、パラフロロスチレン、パラメトキシスチレン、メタターシャリーブトキシスチレン、パラターシャリーブトキシスチレン、バラビニル安息香酸、パラメチル−α−メチルスチレン等を例示することが出来る。
スチレン系モノマーとしては、これらの中でもスチレン、パラメトキシスチレン、パラメチル−α−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが電解液に対して溶解、膨潤抑制効果が強いことから最も好ましい。
本開示のセパレータにおいて、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの共重合比(アクリル系モノマー/スチレン系モノマー[質量比])は、本発明の効果をより向上させる観点で、0.10〜2.35の範囲が好ましく、更には0.15〜1.50、更には0.20〜1.00が最も好ましい。アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの共重合比が2.35以下であると、電解液に浸漬させた場合でも剥離し難くなるため好ましい。一方、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの共重合比が0.10以上であると、ドライヒートプレスを行った際の接着力が向上しやすい点で好ましい。
本開示のセパレータの接着性多孔質層に使用されるアクリル系樹脂は、単量体成分として、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの他に、さらに不飽和カルボン酸無水物を含んでいても良い。
不飽和カルボン酸無水物としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物、トリメリット酸無水物などを例示することが出来る。
アクリル系樹脂に含有される不飽和カルボン酸無水物は、アクリル系樹脂全量に対して50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、30質量%以下が最も好ましい。不飽和カルボン酸無水物の量がアクリル系樹脂全量に対して50質量%以下であれば、アクリル系樹脂のガラス転移温度が150℃を超えることはなく、ドライヒートプレスで電極と強固に接着させることが可能となる。一方、アクリル系樹脂に含有される不飽和カルボン酸無水物は、アクリル系樹脂全量に対して1.0質量%以上含まれていると、接着性の観点で好ましい。このような観点では、5質量%以上がより好ましく、さらには10質量%以上が特に好ましい。
不飽和カルボン酸無水物の添加はアクリル系樹脂のガラス転移温度を高める傾向にあるが、ドライヒートプレスで電極と強固に接着させることが出来る。この理由は定かではないが、酸無水物骨格の極性が高いため電極と強い分子間相互作用が形成される、あるいは酸無水物骨格が電極中の樹脂成分と反応した可能性が考えられる。
本開示のセパレータで使用されるアクリル系樹脂のガラス転移温度としては、−20℃〜150℃の範囲が好適である。一般的には、アクリル系樹脂のガラス転移温度が低いほどドライヒートプレスの際に接着性多孔質層の流動性を高めるので、電極表面の凹凸にポリマー鎖が入り込んでアンカー効果が発現し、電極に対する接着性多孔質層の接着を向上させる。一方で、高いガラス転移を有するアクリル樹脂であってもフッ化ビニリデン系樹脂と相溶する場合、例えば完全相溶、部分相溶する場合には接着性多孔質層のガラス転移温度が実質低下するために高接着力を発現する場合がある。ガラス転移温度が−20℃以上であると、セパレータ表面に位置する接着性多孔質層がブロッキングを引き起こし難くなる点で好ましい。ガラス転移温度が150℃以下であれば、ドライヒートプレスによる接着効果を向上し易くなる点で好ましい。
本開示のセパレータで使用されるアクリル系樹脂のMwとしては、1万〜50万が好ましい。アクリル系樹脂のMwが1万以上であるとドライヒートプレスによる電極との接着強度が向上する点で好ましい。一方、アクリル系樹脂のMwが50万以下であると、ドライヒートプレスの際に接着性多孔質層の流動性が良好になる点で好ましい。アクリル系樹脂のMwのより好ましい範囲は3万〜30万であり、更には5万〜20万の範囲が最も好ましい。
接着性多孔質層におけるアクリル系樹脂の含有量は、本発明の効果を奏する上で、かつ多孔質基材と接着性多孔質層との間の剥離強度を高める観点から、接着性多孔質層に含まれる全樹脂の総量の2質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が更に好ましい。一方、接着性多孔質層の凝集破壊を抑制する観点から、接着性多孔質層におけるアクリル系樹脂の含有量は、接着性多孔質層に含まれる全樹脂の総量の40質量%以下が好ましく、38量%以下がより好ましく、35質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
(その他の樹脂)
本開示において、接着性多孔質層は、フッ化ビニリデン系樹脂及びアクリル系樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。
その他の樹脂としては、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ビニルニトリル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)の単独重合体又は共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)などが挙げられる。
(フィラー)
本開示において、接着性多孔質層は、セパレータの滑り性や耐熱性を向上させる目的で、無機物又は有機物からなるフィラーを含んでいてもよい。その場合、本開示の効果を妨げない程度の含有量や粒子サイズとすることが好ましい。フィラーとしては、セル強度の向上及び電池の安全性確保の観点から、無機フィラーが好ましい。
フィラーの平均粒子径は、0.01μm〜5μmが好ましい。その下限値としては0.1μm以上がより好ましく、上限値としては1μm以下がより好ましい。
無機フィラーとしては、電解液に対して安定であり、且つ、電気化学的に安定な無機フィラーが好ましい。具体的には例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化セリウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素等の金属水酸化物;アルミナ、チタニア、マグネシア、シリカ、ジルコニア、チタン酸バリウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、タルク等の粘土鉱物;などが挙げられる。これらの無機フィラーは、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。無機フィラーは、シランカップリング剤等により表面修飾されたものでもよい。
無機フィラーとしては、電池内での安定性及び電池の安全性確保の観点から、金属水酸化物及び金属酸化物の少なくとも1種が好ましく、難燃性付与や除電効果の観点から、金属水酸化物が好ましく、水酸化マグネシウムが更に好ましい。
無機フィラーの粒子形状には制限はなく、球に近い形状でもよく、板状の形状でもよいが、電池の短絡抑制の観点からは、板状の粒子や、凝集していない一次粒子であることが好ましい。
接着性多孔質層に無機フィラーが含まれている場合、接着性多孔質層における無機フィラーの含有量は、接着性多孔質層に含まれる全樹脂と無機フィラーの合計量の5質量%〜80質量%が好ましい。無機フィラーの含有量が5質量%以上であると、熱が印加された際にセパレータの熱収縮が抑制され寸法安定性の観点から好ましい。本観点から、無機フィラーの含有量は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。一方、無機フィラーの含有量が80質量%以下であると、接着性多孔質層の電極への接着が確保される観点から好ましい。本観点から、無機フィラーの含有量は、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリメタクリル酸メチル等の架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン、架橋ウレタン樹脂などが挙げられ、架橋ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
(その他の成分)
本開示において、接着性多孔質層は、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などの添加剤を含んでいてもよい。分散剤は、接着性多孔質層の塗工成形に用いられる塗工液に、分散性、塗工性及び保存安定性を向上させる目的で添加される。湿潤剤、消泡剤、pH調整剤は、接着性多孔質層の塗工成形に用いられる塗工液に、例えば、多孔質基材とのなじみをよくする目的、塗工液へのエア噛み込みを抑制する目的、又はpH調整の目的で添加される。
[接着性多孔質層の特性]
本開示において、接着性多孔質層の厚さは、多孔質基材の片面において、電極との接着性の観点から、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、電池のエネルギー密度の観点から、8.0μm以下が好ましく、6.0μm以下がより好ましい。
接着性多孔質層が多孔質基材の両面に設けられている場合、一方の面における接着性多孔質層の厚さと、他方の面における接着性多孔質層の厚さとの差は、両面合計の厚さの20%以下であることが好ましく、低いほど好ましい。
接着性多孔質層の重量は、多孔質基材の片面において、電極との接着性の観点から、0.5g/m以上が好ましく、0.75g/m以上がより好ましく、イオン透過性の観点から、5.0g/m以下が好ましく、4.0g/m以下がより好ましい。
接着性多孔質層の空孔率は、イオン透過性の観点から、30%以上が好ましく、力学的強度の観点から、80%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。本開示における接着性多孔質層の空孔率の求め方は、多孔質基材の空孔率の求め方と同様である。
接着性多孔質層の平均孔径は、イオン透過性の観点から、10nm以上が好ましく、電極との接着性の観点から、200nm以下が好ましい。本開示における接着性多孔質層の平均孔径は、すべての孔が円柱状であると仮定し、次の式によって算出する。
d=4V/S
式中、dは接着性多孔質層の平均孔径(直径)、Vは接着性多孔質層1m当たりの空孔体積、Sは接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積を表す。
接着性多孔質層1m当たりの空孔体積Vは、接着性多孔質層の空孔率から算出する。接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積Sは、以下の方法で求める。
まず、多孔質基材の比表面積(m/g)とセパレータの比表面積(m/g)とを、窒素ガス吸着法にBET式を適用することにより、窒素ガス吸着量から算出する。これらの比表面積(m/g)にそれぞれの目付(g/m)を乗算して、それぞれの1m当たりの空孔表面積を算出する。そして、多孔質基材1m当たりの空孔表面積をセパレータ1m当たりの空孔表面積から減算して、接着性多孔質層1m当たりの空孔表面積Sを算出する。
多孔質基材と接着性多孔質層との間の剥離強度は、0.20N/10mm以上が好ましい。該剥離強度が0.20N/10mm以上であると、電池の製造工程においてセパレータのハンドリング性に優れる。この観点からは、該剥離強度は、0.30N/10mm以上がより好ましく、高いほど好ましい。該剥離強度の上限は制限されるものではないが、通常は2.0N/10mm以下である。
[セパレータの特性]
本開示のセパレータの厚さは、機械的強度の観点からは、5μm以上が好ましく、電池のエネルギー密度の観点からは、35μm以下が好ましい。
本開示のセパレータの突刺強度は、250g〜1000gが好ましく、300g〜600gがより好ましい。セパレータの突刺強度の測定方法は、多孔質基材の突刺強度の測定方法と同様である。
本開示のセパレータの空孔率は、電極に対する接着性、ハンドリング性、イオン透過性、及び機械的強度の観点から、30%〜65%が好ましく、30%〜60%がより好ましい。
本開示のセパレータのガーレ値(JIS P8117:2009)は、機械的強度と電池の負荷特性の観点から、100秒/100cc〜300秒/100ccが好ましい。
[セパレータの製造方法]
本開示のセパレータは、例えば、下記工程(i)〜(iii)を有する湿式塗工法によって製造することができる。
(i)フッ化ビニリデン系樹脂及びアクリル系樹脂を含む塗工液を多孔質基材に塗工し、塗工層を形成する工程。
(ii)塗工層を形成した多孔質基材を凝固液に浸漬し、塗工層において相分離を誘発しつつポリフッ化ビニリデン系樹脂及びアクリル系樹脂を固化させ、多孔質基材上に多孔質層を形成し、複合膜を得る工程。
(iii)複合膜を水洗及び乾燥する工程。
塗工液は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、アクリル系樹脂とを溶媒に溶解又は分散させて調製する。接着性多孔質層にフィラーを含有させる場合は、塗工液中にフィラーを分散させる。
塗工液の調製に用いる溶媒は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解する溶媒(以下、「良溶媒」ともいう。)を含む。良溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒は、良好な多孔構造を有する多孔質層を形成する観点から、相分離を誘発させる相分離剤を含むことが好ましい。したがって、塗工液の調製に用いる溶媒は、良溶媒と相分離剤との混合溶媒であることが好ましい。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲の量で良溶媒と混合することが好ましい。相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
塗工液の調製に用いる溶媒としては、良好な多孔構造を形成する観点から、良溶媒と相分離剤との混合溶媒であって、良溶媒を60質量%以上含み、相分離剤を40質量%以下含む混合溶媒が好ましい。
塗工液の樹脂濃度は、良好な多孔構造を形成する観点から、1質量%〜20質量%が好ましい。
多孔質基材への塗工液の塗工手段としては、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター等が挙げられる。多孔質層を多孔質基材の両面に形成する場合、塗工液を両面同時に基材へ塗工することが生産性の観点から好ましい。
凝固液は水のみでも良いが、塗工液の調製に用いた良溶媒及び相分離剤と、水とを含むことが一般的である。良溶媒と相分離剤の混合比は、塗工液の調製に用いた混合溶媒の混合比に合わせるのが生産上好ましい。凝固液中の水の含有量は40質量%〜90質量%であることが、多孔構造の形成および生産性の観点から好ましい。凝固液の温度は、例えば20℃〜50℃である。
本開示のセパレータは、乾式塗工法でも製造し得る。乾式塗工法とは、樹脂を含む塗工液を多孔質基材に塗工して塗工層を形成した後、塗工層を乾燥させて塗工層を固化させ、多孔質基材上に多孔質層を形成する方法である。ただし、乾式塗工法は湿式塗工法と比べて多孔質層が緻密になりやすいので、良好な多孔構造を得られる観点から湿式塗工法の方が好ましい。
本開示のセパレータは、多孔質層を独立したシートとして作製し、この多孔質層を多孔質基材に重ねて、熱圧着や接着剤によって積層する方法によっても製造し得る。多孔質層を独立したシートとして作製する方法としては、上述した湿式塗工法又は乾式塗工法を適用して剥離シート上に多孔質層を形成し、多孔質層から剥離シートを剥離する方法が挙げられる。
<非水系二次電池>
本開示の非水系二次電池は、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であり、正極と、負極と、本開示の非水系二次電池用セパレータとを備える。ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
本開示の非水系二次電池は、例えば、負極と正極とがセパレータを介して対向した電池素子が電解液と共に外装材内に封入された構造を有する。本開示の非水系二次電池は、非水電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池に好適である。
本開示の非水系二次電池は、本開示のセパレータがドライヒートプレスによる電極との接着に優れるが故に、製造歩留りが高い。
本開示の非水系二次電池は、本開示のセパレータがドライヒートプレスによる電極と強固に接着し、その後の電解液浸漬においても接着性が保持されるが故に、電池のサイクル特性(容量維持率)に優れる。
以下、本開示の非水系二次電池が備える正極、負極、電解液及び外装材の形態例を説明する。
正極の実施形態例としては、正極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に配置された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、アルミ箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
本開示の非水系二次電池においては、本開示のセパレータの接着性多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂が耐酸化性に優れるため、接着性多孔質層を非水系二次電池の正極側に配置することで、正極活物質として、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3等を適用しやすい。
負極の実施形態例としては、負極活物質及びバインダ樹脂を含む活物質層が集電体上に配置された構造が挙げられる。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質としては、リチウムを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、具体的には例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;ウッド合金;などが挙げられる。バインダ樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末、極細炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを質量比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)20:80〜40:60で混合し、リチウム塩を0.5mol/L〜1.5mol/L溶解した溶液が好適である。
外装材としては、金属缶、アルミラミネートフィルム製パック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本開示のセパレータはいずれの形状にも好適である。
本開示の非水系二次電池の製造方法としては、セパレータに電解液を含浸させずに熱プレス処理(本開示において「ドライヒートプレス」という。)を行って電極に接着させ、その後にセパレータに電解液を含浸させることを含む製造方法が挙げられる。該製造方法は、例えば、正極と負極との間に本開示のセパレータを配置した積層体を製造する積層工程と、積層体にドライヒートプレスを行って電極とセパレータとを接着させるドライ接着工程と、外装材に収容された積層体に電解液を注入して外装材を封止する後工程と、を有する。
積層工程において、正極と負極との間にセパレータを配置する方式は、正極、セパレータ、負極をこの順に少なくとも1層ずつ積層する方式(所謂スタック方式)でもよく、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に重ね、長さ方向に捲き回す方式でもよい。
ドライ接着工程は、積層体を外装材(例えばアルミラミネートフィルム製パック)に収容する前に行ってもよく、積層体を外装材に収容した後に行ってもよい。つまり、ドライヒートプレスによって電極とセパレータとが接着した積層体を外装材に収容してもよく、積層体を外装材に収容した後に外装材の上からドライヒートプレスを行って電極とセパレータとを接着させてもよい。
ドライ接着工程におけるプレス温度は、70℃〜120℃が好ましく、75℃〜110℃がより好ましく、80℃〜100℃が更に好ましい。この温度範囲であると、電極とセパレータとの接着が良好であり、また、セパレータが幅方向に適度に膨張し得るので、電池の短絡が起こりにくい。
ドライ接着工程におけるプレス圧は、電極1cm当たりの荷重として0.5kg〜40kgが好ましい。プレス時間は、プレス温度及びプレス圧に応じて調節することが好ましく、例えば0.1分間〜60分間の範囲で調節する。
上記製造方法においては、ドライヒートプレスする前に積層体に常温プレス(常温下での加圧)を施して、積層体を仮接着してもよい。
後工程においては、ドライヒートプレスを行った後、積層体を収容している外装材に電解液を注入し、外装材の封止を行う。電解液を注入した後、外装材の上からさらに積層体をヒートプレスしてもよいが、ヒートプレスしなくても良好な接着状態を維持することができる。封止前に、外装体の内部は真空状態にすることが好ましい。外装材の封止の方式としては、例えば、外装材の開口部を接着剤で接着する方式、外装材の開口部を加熱加圧して熱圧着する方式が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本開示のセパレータ及び非水系二次電池をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本開示のセパレータ及び非水系二次電池の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
<測定方法、評価方法>
実施例及び比較例で適用した測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂の組成]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂20mgを重ジメチルスルホキシド0.6mlに100℃にて溶解し、100℃で19F−NMRスペクトルを測定し、NMRスペクトルからポリフッ化ビニリデン系樹脂の組成を求めた。
[樹脂の重量平均分子量]
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー分析装置(日本分光社GPC−900)を用い、カラムに東ソー社TSKgel SUPER AWM−Hを2本用い、溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを使用し、温度40℃、流量10ml/minの条件で、ポリスチレン換算の分子量として測定した。
[樹脂のガラス転移温度]
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を行って得た示差走査熱量曲線(DSC曲線)から求めた。ガラス転移温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、階段状変化部分の曲線の接線であって勾配が最大の接線とが交わる点の温度である。
[多孔質基材及びセパレータの膜厚]
多孔質基材及びセパレータの膜厚(μm)は、接触式の厚み計(ミツトヨ社LITEMATIC)にて20点を測定し、これを平均することで求めた。測定端子は直径5mmの円柱状の端子を用い、測定中に7gの荷重が印加されるように調整した。
[接着性多孔質層の層厚]
接着性多孔質層の層厚(μm)は、セパレータの膜厚から多孔質基材の膜厚を減算することにより、両面の合計の層厚を求め、この半分を片面の層厚とした。
[ガーレ値]
多孔質基材及びセパレータのガーレ値(秒/100cc)は、JIS P8117:2009に従い、ガーレ式デンソメータ(東洋精機社G−B2C)を用いて測定した。
[空孔率]
多孔質基材及び接着性多孔質層の空孔率(%)は、下記の式に従って求めた。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100
式中、εは空孔率(%)、Wsは目付(g/m)、dsは真密度(g/cm)、tは厚さ(μm)である。
[多孔質基材と接着性多孔質層との間の剥離強度]
セパレータの一方の表面に粘着テープを貼り(貼る際に、粘着テープの長さ方向をセパレータのMD方向に一致させた。)、セパレータを粘着テープごと、TD方向1.2cm、MD方向7cmに切り出した。粘着テープを直下の接着性多孔質層と共に少し剥がし、2つに分離した端部をテンシロン(オリエンテック社製RTC−1210A)に把持させてT字剥離試験を行った。なお、粘着テープは、接着性多孔質層を多孔質基材から剥がすための支持体として用いたものである。T字剥離試験の引張速度は20mm/minとし、多孔質基材から接着性多孔質層が剥離する際の荷重(N)を測定した。測定開始後10mmから40mmまでの荷重を0.4mm間隔で採取しその平均を算出し、幅10mmあたりの荷重(N/10mm)に換算し、さらに試験片3枚の測定値を平均して、剥離強度(N/10mm)とした。
[正極との接着強度:ドライヒートプレス]
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末89.5g、導電助剤であるアセチレンブラック4.5g、及びバインダであるポリフッ化ビニリデン6gを、ポリフッ化ビニリデンの濃度が6質量%となるようにN−メチル−ピロリドンに溶解し、双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、正極活物質層を有する正極を得た。
上記で得た正極を幅1.5cm、長さ7cmに切り出し、セパレータをTD方向1.8cm、MD方向7.5cmに切り出した。正極とセパレータとを重ね、温度80℃、圧力5.0MPa、時間3分の条件で熱プレスして、正極とセパレータとを接着させ、これを試験片とした。試験片の長さ方向(即ちセパレータのMD方向)の一端において正極からセパレータを少し剥がし、2つに分離した端部をテンシロン(オリエンテック社製RTC−1210A)に把持させてT字剥離試験を行った。T字剥離試験の引張速度は20mm/minとし、正極からセパレータが剥離する際の荷重(N)を測定し、測定開始後10mmから40mmまでの荷重を0.4mm間隔で採取しその平均を算出し、さらに試験片3枚の測定値を平均して、セパレータの接着強度(N)とした。
[正極との接着性:電解液浸漬後]
上記[正極との接着強度]で得たドライヒートプレス接着後の正極とセパレータを電解液(1mol/L LiPF−エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート[質量比3:7])中に室温で24時間浸漬させた後、電解液中から取り出し、手でセパレータをつまんで正極から剥離して、以下の基準で電解液浸漬後の接着性を確認した。
A:強固な接着(サンプルを反転しただけではセパレータが電極から脱落することはなく、剥離後の顕微鏡観察で電極表面に接着性多孔質層が多く付着しているのが確認できる)
B:十分な接着(サンプルを反転しただけではセパレータが電極から脱落することはなく、剥離後の顕微鏡観察で電極表面に接着性多孔質層が僅かに付着しているのが確認できる)
C:弱い接着(サンプルを反転しただけではセパレータが電極から脱落することはないが、手で容易に剥離でき、剥離後の顕微鏡観察で電極表面に接着性多孔質層が殆ど残っていない)
D:接着なし(サンプルを反転しただけでセパレータが電極から脱落し、セパレータと電極が完全に接着していない)
[負極との接着強度]
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40質量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、及び適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、乾燥後プレスして、負極活物質層を有する負極を得た。
上記で得た負極を用いて、前記[正極との接着強度:ドライヒートプレス]と同様にしてT字剥離試験を行い、セパレータの接着強度(N)を求めた。
[負極との接着性:電解液浸漬後]
上記で得た負極を用いて、前記[正極との接着性:電解液浸漬後]と同様にして、電解液浸漬後の接着性を確認した。
[サイクル特性(容量維持率)]
前記の正極及び負極にリードタブを溶接し、正極、セパレータ、負極の順に積層した。この積層体をアルミラミネートフィルム製のパック中に挿入し、真空シーラーを用いてパック内を真空状態にして仮封止し、パックごと積層体の積層方向に熱プレス機を用いて熱プレスを行い、これにより、電極とセパレータとの接着を行った。熱プレスの条件は、温度90℃、電極1cm当たり20kgの荷重、プレス時間2分間とした。次いで、パック内に電解液(1mol/L LiPF−エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート[質量比3:7])を注入し、積層体に電解液をしみ込ませた後、真空シーラーを用いてパック内を真空状態にして封止し、電池を得た。
温度40℃の環境下で、電池に500サイクルの充放電を行った。充電は1C且つ4.2Vの定電流定電圧充電、放電は1C且つ2.75Vカットオフの定電流放電とした。500サイクル目の放電容量を初期容量で除し、電池10個の平均を算出し、得られた値(%)を容量維持率とした。
[負荷特性]
前記[サイクル特性(容量維持率)]における電池製造と同様にして電池を製造した。温度15℃の環境下、電池に充放電を行い、0.2Cで放電した際の放電容量と、2Cで放電した際の放電容量とを測定し、後者を前者で除し、電池10個の平均を算出し、得られた値(%)を負荷特性とした。充電条件は0.2C、4.2Vの定電流定電圧充電8時間とし、放電条件は2.75Vカットオフの定電流放電とした。
<セパレータの作製>
[実施例1]
ジメチルアセトアミドとトリプロピレングリコールの混合溶媒(ジメチルアセトアミド:トリプロピレングリコール=80:20[質量比])に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(VDF−HFP共重合体、HFP単位含有量12.4質量%、重量平均分子量86万)と、アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、重合比[質量比]50:50、重量平均分子量11.5万、ガラス転移温度105℃)とを溶解させ、接着性多孔質形成用の塗工液を作製した。塗工液に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の質量比を80:20とし、塗工液の樹脂濃度を5.0質量%とした。
塗工液を、多孔質基材であるポリエチレン微多孔膜(膜厚9.0μm、ガーレ値150秒/100cc、空孔率43%)の両面に塗工し(その際、表裏の塗工量が等量になるように塗工した)、凝固液(水:ジメチルアセトアミド:トリプロピレングリコール=62.5:30:7.5[質量比]、液温35℃)に浸漬して固化させた。次いで、これを水洗し乾燥して、ポリエチレン微多孔膜の両面に接着性多孔質層が形成されたセパレータを得た。
[実施例2]
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル−スチレン−不飽和カルボン酸無水物の3元共重合体(重合比[質量比]10:70:20、重量平均分子量11.3万、ガラス転移温度130℃)に変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例3]
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル−スチレン−不飽和カルボン酸無水物の3元共重合体(重合比[質量比]30:50:20、重量平均分子量13万、ガラス転移温度115℃)に変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例4]
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(重合比[質量比]40:60、重量平均分子量11.9万、ガラス転移温度108℃)に変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例5]
アクリル系樹脂として、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(重合比[質量比]20:80、重量平均分子量10.9万、ガラス転移温度112℃)に変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例6〜10]
塗工液に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の質量比を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例11]
塗工液に、表1に記載の含有量になるように、さらに水酸化マグネシウム粒子(一次粒子の体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)を分散した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例12]
塗工液に、表1に記載の含有量になるように、さらに水酸化マグネシウム粒子(一次粒子の体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)を分散した以外は、実施例2と同様にしてセパレータを作製した。
[実施例13]
塗工液に、表1に記載の含有量になるように、さらに水酸化マグネシウム粒子(一次粒子の体積平均粒径0.8μm、BET比表面積6.8m/g)を分散した以外は、実施例3と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例1]
塗工液にアクリル系樹脂を含まない以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例2]
塗工液にアクリル系樹脂を含まず、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び水酸化マグネシウム粒子の含有量を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例11と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例3]
塗工液に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の質量比を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
[比較例4]
塗工液に含まれるアクリル系樹脂をメタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体(重合比[質量比]90:10、重量平均分子量8.5万、ガラス転移温度80℃)に変更し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とアクリル系樹脂の質量比を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例1〜13及び比較例1〜4の各セパレータの物性及び評価結果を表1に示す。
Figure 0006890019

Claims (6)

  1. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面または両面に設けられ、アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、
    前記接着性多孔質層は、前記アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂が混合された状態で含まれた多孔質構造を有しており、
    前記接着性多孔質層において、前記アクリル系樹脂およびポリフッ化ビニリデン系樹脂の合計質量に対して、前記アクリル系樹脂は2〜40質量%含まれており、
    前記アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマーとスチレン系モノマーを含む共重合体であり、
    前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は1万〜50万である、非水系二次電池用セパレータ。
  2. 前記アクリル系樹脂は、単量体成分としてアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、および不飽和カルボン酸無水物を含む共重合体である、請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 前記アクリル系モノマーが、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  4. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、単量体成分としてフッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを含む共重合体であり、当該共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン単量体成分の含有量が3質量%〜20質量%であり、且つ、当該共重合体の重量平均分子量が10万〜150万である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  5. 前記接着性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し前記微細孔が連結された構造であるか、又は前記アクリル系樹脂及び前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が分子レベルで相溶化ないし均一に混合された状態でフィブリル状体を形成し、前記多数のフィブリル状体が一体的に連結した三次元網目状構造である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  6. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1〜請求項のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
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