JP6889052B2 - 電解除染方法 - Google Patents

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本発明の実施形態は、電解除染方法に関する。
原子力プラントで用いられた物品(たとえば、タンク、配管)などの除染対象物について、放射性物質で汚染された部分を除染するために、さまざまな除染方法が知られている。
たとえば、放射性物質で汚染された部分を薬液で化学的に除染する化学除染が知られている。化学除染では、除染対象物の体積が大きい場合、薬液が大量に必要になる。このため、薬液の処理などによる負荷が大きくなる。
また、放射性物質で汚染された部分をブラスト材で物理的に研磨して除染する研磨除染(物理除染)が知られている。研磨除染では、除染対象物の狭さく部位について除染処理を行うことが容易でない。さらに、除染処理で用いたブラスト材などが放射性廃棄物として多く発生する。
上記の他に、放射性物質で汚染された部分を電解によって除染する電解除染が知られている。電解除染では、除染対象物において放射性物質で汚染された面の母材が、たとえば、電解質を含む電解質溶液に電気化学的に溶解することによって、放射性物質が除染対象物の面から分離される。電解質溶液に溶解した放射性物質は、濾過や逆電解などの方法で分離可能であるので、放射性廃棄物の量を低減することができる。電解除染では、電解質溶液の他に、粘着性が高い電解質ゲルを用いることが提案されている。
特開昭60-063400号公報
しかしながら、上記の電解除染においては、電解質の電気分解が生じ、除染処理を効率的に行うことが困難な場合がある。特に、除染対象物の狭さく部位について除染処理を効率的に行うことが容易でない場合がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、電解質の電気分解が生ずることを効果的に防止し、効率的な除染処理を実行可能な電解除染方法を提供することである。
実施形態の電解除染方法は、準備工程と除染工程とを有する。準備工程では、金属材料で形成された除染対象物において放射性物質で汚染された表面に、電解質を含む電解質ゲルを介して、導電性部材を設置する。除染工程では、除染対象物と導電性部材との間に電圧を印加し、除染対象物から電解質ゲルを介して導電性部材に電流を流すことによって、除染対象物の表面について電解除染を行う。ここでは、電解質ゲルは、除染対象物を構成する金属材料の金属成分のハロゲン化物を含んでいる。導電性部材は、複数の導電シートで構成されており、複数の導電シートのそれぞれと直流電源との間の各配線の長さが同じである。除染工程では、除染対象物と複数の導電シートのそれぞれとの間において電圧を均一に印加する。
本発明によれば、電解質の電気分解による分解ガスの発生を効果的に抑制し、効率的な除染処理を行うことのできる電解除染方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略断面図である。 図2は、第2実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略断面図である。 図3は、第3実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略平面図である。 図4は、第4実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略断面図である。 図5は、第5実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略横断面図である。 図6は、第5実施形態に係る電解除染方法を説明するための概略縦断面図である。 図7は、第6実施形態において、電解除染で使用した電解質ゲルについて処理する電解質ゲル処理装置を模式的に示す概略断面図である。
<第1実施形態>
[A]電解除染方法
図1は、第1実施形態に係る電解除染方法を説明するための図である。図1では、除染対象物10の断面(yz面)を模式的に示している。
[A−1]準備工程
本実施形態の電解除染方法においては、まず、準備工程を行う。準備工程では、図1に示すように、除染対象物10において放射性物質(図示省略)で汚染された表面10Sに電解質ゲル20を介して導電性部材30を設置する。
ここでは、除染対象物10は、たとえば、鉄(Fe)成分を含む金属材料(鋼など)によって形成されている。除染対象物10は、たとえば、タンクであって、放射性物質(図示省略)で汚染された表面10Sは、そのタンクの内壁面である。
電解質ゲル20は、電解質を含むゲルであって、たとえば、リチウム系電解質ゲル(電池材料として使用されるもの)、有機系イオン液体ゲルである。電解質ゲル20は、電解除染を行ったときに、除染対象物10を溶解できる電位窓を有する。電解質ゲル20は、たとえば、電解質、ゲル化剤、溶媒、その他の添加剤を混合することで作製される。電解質ゲル20において、電解質は、電解除染を行う際に電解を電荷移動律速に保持可能なイオン濃度を維持できるように配合される。これにより、電解除染を行う際に溶媒の分解が生ずることを抑止することができる。本実施形態では、電解質ゲル20は、除染対象物10を構成する金属材料の金属成分のハロゲン化物を支持電解質として含んでいる。上記したように、除染対象物10が鉄(Fe)成分を含む場合(低炭素鋼、ステンレスなど)、電解質ゲル20は、たとえば、鉄(Fe)成分の塩化物(塩化鉄)やフッ化物(フッ化鉄)などを支持電解質として含む。支持電解質は、単一の物質でもよく、複数の物質を混合した混合物であってもよい。ゲル化剤は、一般に市販されているものを、適宜、用いることができる。
なお、除染対象物10を構成する金属材料の金属成分が鉄成分以外である場合には、その金属成分に応じて、ハロゲン化物(特に、塩化物)を適宜選択して用いることができる。
導電性部材30は、導電性材料で形成された部材である。導電性部材30は、たとえば、炭素繊維を用いて板状に形成されたカーボン布であって、導電性を有する共に柔軟性を有することが好ましい。なお、導電性部材30として金属箔または金属メッシュを用いることも可能である。
準備工程においては、上記のように作成させた電解質ゲル20を、除染対象物10において放射性物質で汚染された表面10Sに塗布する。そして、その塗布された電解質ゲル20に導電性部材30が密着するように、導電性部材30を除染対象物10の表面10Sに対面させる。なお、電解質ゲル20の厚みは、特に制限されず、後述する除染工程において電解除染を行う際に電極間の短絡が起こらないように、適宜、設定することができる(たとえば、1mm)。なお、電解質ゲル20が薄くなるほど、電解除染を行う際に電流効率が高くなる。
[A−2]除染工程
上記のように準備工程を実行した後には、除染工程を行う。除染工程では、除染対象物10と導電性部材30との間に電圧(過電圧)を印加することによって、除染対象物10の表面10Sについて電解除染を行う。
ここでは、除染対象物10は、配線W10を介して直流電源40の正極(+)に電気的に接続されている。そして、導電性部材30は、配線W30を介して直流電源40の負極(−)に電気的に接続されている。つまり、除染対象物10が陽極として機能し、導電性部材30が陰極として機能する。
直流電源40を用いて除染対象物10と導電性部材30との間に電圧を印加することによって、除染対象物10から電解質ゲル20を介して導電性部材30に電流が流れる。これにより、除染対象物10の表面10Sの母材がイオン化して、電解質ゲル20に溶解する。これに伴い、除染対象物10の表面10Sから放射性物質が剥離される。放射性物質は、電解質ゲル20にイオンとして取り込まれるか、または、陰極である導電性部材30において析出する。
[B]作用効果
以上のように、本実施形態では、電解質ゲル20は、除染対象物10を構成する金属材料の金属成分のハロゲン化物を支持電解質として含んでいる。このため、陽極として機能する除染対象物10と、陰極として機能する導電性部材30との間における物質移動が円滑になり、この物質移動が電解除染の律速(制約)にならない。つまり、電解質ゲル20が含む支持電解質(電解支持物質)によって、陽極での溶解((陽極の酸化反応)と陰極での析出(陽極の酸化反応)が可逆な反応に維持される(陽極の酸化反応の反応速度と、陰極の還元反応の反応速度とが1:1の状態になる)。そして、その他の電気化学反応が抑制される(たとえば、LiClが分解し、陰極でリチウム(Li)が析出することによって電流のロスが生ずることが抑制されると共に、塩素(Cl)ガスの発生が抑制される)。したがって、本実施形態では、電解質の電気分解が生ずることを効果的に防止し、除染処理を効率的に実行することができる。
<第2実施形態>
[A]電解除染方法
図2は、第2実施形態に係る電解除染方法を説明するための図である。図2では、図1の場合と同様な部分の断面(yz面)を模式的に示している。
図2に示すように、本実施形態では、絶縁部材50を用いている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する事項については、説明を適宜省略する。
[A−1]準備工程
本実施形態の準備工程では、図2に示すように、除染対象物10の表面10Sと導電性部材30との間に絶縁部材50を介在させる。
ここでは、絶縁部材50は、絶縁材料で形成されており、電解質ゲル20を担持するように構成されている。たとえば、絶縁部材50は、絶縁材料である繊維を格子状に編み込んだネット(網)、繊維を束ねたコード(紐)、絶縁材料である樹脂に多数の孔が空いた多孔質体(スポンジなど)であって、電解質ゲル20を付着した状態で保持する。
本実施形態では、たとえば、電解質ゲル20を担持した絶縁部材50を、除染対象物10において放射性物質で汚染された表面10Sに設置する。その後、その電解質ゲル20を担持した絶縁部材50を介して、導電性部材30が除染対象物10の表面10Sに対面するように、導電性部材30の設置を行う。
なお、図2においては、図示の都合によって、絶縁部材50と電解質ゲル20とを互いに別の層で示しているが、上述したように、絶縁部材50は、電解質ゲル20を担持した状態であって、電解質ゲル20は、除染対象物10と共に、導電性部材30に接触する部分を含む。たとえば、絶縁部材50がネット(網)で構成されたものであるときには、電解質ゲル20が網目を通過して、導電性部材30に接触している。このため、電解質ゲル20と導電性部材30との間が絶縁部材50によって完全に絶縁された状態ではなく、絶縁部材50に保持された電解質ゲル20を介して電気的に接続され、除染対象物10から導電性部材30へ電流が流れる。このことから判るように、絶縁部材50と電解質ゲル20の厚みは、絶縁部材50の厚みと同じであってもよい。具体的には、厚さが1mmである絶縁メッシュを絶縁部材50として用いた場合には、電解質ゲル20の厚みは、1mmであってもよい。
[A−2]除染工程
本実施形態の除染工程において、電解除染を行う際には、上記のように絶縁部材50に担持した電解質ゲル20を介して、除染対象物10から導電性部材30に電流を流す。これにより、除染対象物10の表面10Sの母材が電解質ゲル20に溶解すると共に、除染対象物10の表面10Sから放射性物質が剥離される。
[B]作用効果
以上のように、本実施形態では、除染対象物10の表面10Sと導電性部材30との間に絶縁部材50が介在しており、絶縁部材50が電解質ゲル20を担持する。このため、本実施形態では、陽極として機能する除染対象物10と、陰極として機能する導電性部材30とが、直接接触することを絶縁部材50が妨げている。つまり、絶縁部材50は、陽極と陰極との間の距離を維持するためのスペーサとして機能する。したがって、本実施形態では、電解除染を行う際に、除染対象物10と導電性部材30との間で短絡が生ずることを防止することができる。
そして、本実施形態では、除染対象物10と導電性部材30との間で短絡が発生することを絶縁部材50の設置によって防止可能であるので、除染対象物10と導電性部材30との間の距離(電極間距離)を短くすることができる。その結果、除染対象物10と導電性部材30との間において電気抵抗を低くすることが可能であるので、高い電流効率で電解除染を行うことができる。
その他、本実施形態では、電解質ゲル20が絶縁部材50に担持されているので、電解質ゲル20が除染対象物10の表面10Sに安定的に保持される。このため、除染処理を効率的に実行することができる。なお、電解質ゲル20が殆ど流動しない状態である場合には、絶縁部材50を設置する必要がない。絶縁部材50は、電解質ゲル20の粘度に応じて、適切な開口率を備えるものを、適宜、選択される。
<第3実施形態>
[A]電解除染方法
図3は、第3実施形態に係る電解除染方法を説明するための図である。図3では、導電性部材30の上面であって、図1に示す断面(yz面)の縦方向zに対して直交する面(xy面)を模式的に示している。
図3に示すように、本実施形態では、導電性部材30の構成が第1実施形態の場合と異なっている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する事項については、説明を適宜省略する。
[A−1]準備工程
本実施形態の準備工程では、図3に示すように、導電性部材30は、複数の導電シート31で構成されている。導電シート31は、たとえば、4枚であって、4枚の導電シート31のそれぞれは、直流電源40に対して並列に接続されている。ここでは、4枚の導電シート31のそれぞれと直流電源40との間を接続する各配線W30の長さが同じである。つまり、4枚の導電シート31のそれぞれと直流電源40との間は、各電気抵抗が同じである。準備工程において、4枚の導電シート31は、たとえば、横方向および縦方向において等しいピッチで並ぶように、マトリクス状に配置される。
[A−2]除染工程
本実施形態の除染工程において、電解除染を行う際には、除染対象物10と複数の導電シート31のそれぞれとの間において電圧が印加される。複数の導電シート31のそれぞれと直流電源40との間は、各電気抵抗が同じであるので、印加される各電圧も同じである。
[B]作用効果
以上のように、本実施形態では、除染対象物10と複数の導電シート31のそれぞれとの間においては、電圧が均一に印加される。このため、除染対象物10の表面10Sについて電解除染がムラ無く実行される。したがって、本実施形態では、除染処理を効率的に実行することができる。
<第4実施形態>
[A]電解除染方法
図4は、第4実施形態に係る電解除染方法を説明するための図である。図4では、図2の場合と同様な部分の断面(yz面)を模式的に示している。
図4に示すように、本実施形態では、ヒータ60を用いている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、第2実施形態の場合(図2参照)と同様である。このため、重複する事項については、説明を適宜省略する。
[A−1]準備工程
本実施形態の準備工程では、図4に示すように、導電性部材30にヒータ60を設置する。
ここでは、ヒータ60は、温調機61に電気的に接続されており、電解質ゲル20が熱分解しない温度以下になるように、温調機61が導電性部材30を加熱する。
[A−2]除染工程
本実施形態の除染工程においては、上記のようにヒータ60によって導電性部材30が加熱された状態で電解除染を行う。これにより、除染対象物10の表面10Sの母材が電解質ゲル20に溶解すると共に、除染対象物10の表面10Sから放射性物質が剥離される。
[B]作用効果
以上のように、本実施形態では、導電性部材30を加熱した状態で電解除染を行うので、電解質ゲル20の温度が上昇する。このため、電解除染を行う際に生ずる電気化学的反応が促進される。また、電気抵抗が低下する。したがって、本実施形態では、電解除染を効率的に実行することができる。
<第5実施形態>
[A]電解除染方法
図5および図6は、第5実施形態に係る電解除染方法を説明するための図である。図5では、図1の場合と同様な部分の断面(yz面)を模式的に示している。これに対して、図6では、図5に示す断面(yz面)の横方向yに対して直交する面(xz面)を模式的に示している(図6のY1−Y1部分の断面が、図5に相当する)。
図5および図6に示すように、本実施形態では、除染対象物10、導電性部材30、および、絶縁部材50の形状等が、第2実施形態の場合(図2参照)と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態の場合と同様である。このため、重複する事項については、説明を適宜省略する。
[A−1]準備工程
本実施形態において、除染対象物10は、たとえば、円筒形状の管状体(配管など)であって、その管状体の内周面が、放射性物質(図示省略)で汚染された表面10Sである。除染対象物10において放射性物質で汚染された表面10Sは、導電性部材30および絶縁部材50を電解除染用具として用いた電解除染を実行することによって、放射性物質が除去される。
導電性部材30は、本体部301と第1端面部302aと第2端面部302bとを含む袋体である。導電性部材30において、本体部301は、円筒形状であって、第1端面部302aおよび第2端面部302bは、球冠形状である。導電性部材30は、本体部301の軸AXに沿った方向(図ではy方向)において、第1端面部302aと第2端面部302bとが対面するように構成されている。導電性部材30は、たとえば、導電性材料(導電性カーボンブラック、金属粉末など)がゴム材料に配合された導電性ゴムを用いて形成されており、伸縮性を有している。また、導電性部材30は、第1端面部302aにガス導入管311が連結されている。導電性部材30は、たとえば、圧力ボンベやコンプレッサなどのガス供給部(図示省略)からガスがガス導入管311を介して導入されることによって、内部の圧力が高くなり、収縮した状態から膨張した状態になる。
絶縁部材50は、たとえば、円筒形状であって、導電性部材30の周囲に設置される。ここでは、絶縁部材50は、導電性部材30において本体部301の外周面を囲うように設置される。絶縁部材50は、上記の実施形態の場合と同様に、電解質ゲル20を担持するように絶縁材料で形成されている。絶縁部材50は、たとえば、ゴム材料で形成されており、導電性部材30と同様に伸縮性を有している。
準備工程においては、電解質ゲル20を担持した絶縁部材50を介して、導電性部材30が除染対象物10の表面10Sに対面するように設置される。ここでは、導電性部材30および絶縁部材50が、除染対象物10である管状体の内部に挿入される。
そして、ガス導入管311を介して導電性部材30にガスを導入することによって、導電性部材30を収縮状態から膨張状態に変える。導電性部材30の膨張に伴って、絶縁部材50は、管状体の径方向に拡張する。これにより、絶縁部材50の外周面の全体が除染対象物10の表面10S(内周面)に近づき、絶縁部材50に担持された電解質ゲル20が除染対象物10の表面10S(内周面)に密着した状態になる。
[A−2]除染工程
本実施形態の除染工程では、上記のように、袋体である導電性部材30を膨張させた状態で、電解除染を行う。電解除染を行う際には、絶縁部材50に担持された電解質ゲル20を介して、除染対象物10から導電性部材30に電流を流す。これにより、除染対象物10の表面10Sの母材が電解質ゲル20に溶解すると共に、除染対象物10の表面10Sから放射性物質が剥離される。
[B]作用効果
以上のように、本実施形態では、除染工程では、除染対象物10である管状体の内部において導電性部材30である袋体を膨張させた状態で、除染対象物10の表面10Sについて電解除染を行っている。このため、本実施形態では、除染対象物10において放射性物質で汚染された表面10Sが狭窄部位に存在する場合であっても、その表面10Sについて容易に電解除染を行うことができる。したがって、本実施形態では、電解除染を効率的に実行することができる。
<第6実施形態>
図7は、第6実施形態において、電解除染で使用した電解質ゲル20について処理する電解質ゲル処理装置を模式的に示す図である。
電解質ゲル処理装置100は、図7に示すように、処理容器101と電気炉102と固形汚染物分離部110と汚染成分イオン回収部120とを有する。電解質ゲル処理装置100は、上記のように電解除染で使用した電解質ゲル20を処理する。ここでは、加熱によってゲルからゾルに変わる熱可逆性の電解質ゲル20について、固形汚染物P1および汚染成分イオンP2を除去する処理を行う。電解質ゲル処理装置100で処理された電解質ゲル20は、再度、電解除染で利用される。
なお、電解質ゲル20、固形汚染物P1および汚染成分イオンP2の性状によっては、電解除染で使用した電解質ゲル20を加熱しなくてもよい。未加熱の電解質ゲル20の状態で、化学的に、または、フィルタ、遠心分離等の物理的手段によって、電解質ゲル20から固形汚染物P1および汚染成分イオンP2を除去する処理を行ってもよい。
電解質ゲル処理装置100を構成する各部について順次説明する。
処理容器101は、たとえば、金属材料で形成された容器であって、電解除染で使用した電解質ゲル20が内部に入れられる。ここでは、電解除染で使用した電解質ゲル20は、固形汚染物P1を含むと共に、汚染成分イオンP2が溶解している。
電気炉102は、処理容器101の側面に設置されている。電気炉102は、処理容器101に入れられた電解質ゲル20を加熱する。加熱により、処理容器101に入れられた電解質ゲル20の粘度が低下する。
固形汚染物分離部110は、電解質ゲル20に含まれる固形汚染物P1を除去するために設けられている。固形汚染物分離部110は、ポンプ111と濾過装置112とを有し、ポンプ111と濾過装置112とが配管P110に設けられている。固形汚染物分離部110において、ポンプ111は、処理容器101に入れられた電解質ゲル20を吸い上げて、濾過装置112に供給する。濾過装置112は、その供給された電解質ゲル20について濾過を行う。これにより、固形汚染物分離部110では、電解質ゲル20に含まれる固形汚染物P1が残渣(濾物)として濾過装置112に残り、濾過装置112を通過した濾液が処理容器101に戻される。
汚染成分イオン回収部120は、電解質ゲル20に含まれる汚染成分イオンP2を除去するために設けられている。汚染成分イオン回収部120は、陰極部材121と陽極部材122と直流電源123とを有する。陰極部材121は、配線W121を介して直流電源123の負極(−)に電気的に接続されている。陽極部材122は、配線W122を介して直流電源123の正極(+)に電気的に接続されている。陰極部材121および陽極部材122は、処理容器101に入れられた電解質ゲル20に浸漬される。汚染成分イオン回収部120では、直流電源123によって陰極部材121と陽極部材122との間に電圧が印加されることによって、陽極部材122から電解質ゲル20を介して陰極部材121に電流が流れる。これにより、電解質ゲル20に含まれる汚染成分イオンP2が陰極部材121において還元されて電析する。
本実施形態において、固形汚染物分離部110の濾過、および、汚染成分イオン回収部120の電析は、電気炉102によって電解質ゲル20が加熱された状態で同時に実行することができる。したがって、本実施形態の電解質ゲル処理装置100は、電解除染で使用した電解質ゲル20から固形汚染物P1および汚染成分イオンP2を除去する処理を効率的に実行することができる。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…除染対象物、10S…表面、20…電解質ゲル、30…導電性部材、31…導電シート、301…本体部、302a…端面部、302b…端面部、40…直流電源、50…絶縁部材、60…ヒータ、61…温調機、100…電解質ゲル処理装置、101…処理容器、102…電気炉、110…固形汚染物分離部、111…ポンプ、112…濾過装置、120…汚染成分イオン回収部、121…陰極部材、122…陽極部材、123…直流電源、311…ガス導入管、P1 固形汚染物、P110…配管、P2…汚染成分イオン、W10…配線、W121…配線、W122…配線、W30…配線。

Claims (3)

  1. 金属材料で形成された除染対象物において放射性物質で汚染された表面に、電解質を含む電解質ゲルを介して、導電性部材を設置する準備工程と、
    前記除染対象物と前記導電性部材との間に電圧を印加し、前記除染対象物から前記電解質ゲルを介して前記導電性部材に電流を流すことによって、前記除染対象物の表面について電解除染を行う除染工程と
    を有し、
    前記電解質ゲルは、前記除染対象物を構成する金属材料の金属成分のハロゲン化物を含んでおり、
    前記導電性部材は、複数の導電シートで構成されており、前記複数の導電シートのそれぞれと直流電源との間の各配線の長さが同じであり、
    前記除染工程では、前記除染対象物と前記複数の導電シートのそれぞれとの間において電圧を均一に印加する、
    電解除染方法。
  2. 前記準備工程では、前記電解質ゲルを担持するように絶縁材料で形成された絶縁部材を、前記除染対象物の表面と前記導電性部材との間に介在させ、
    前記除染工程では、前記絶縁部材に担持された前記電解質ゲルを介して、前記除染対象物から前記導電性部材に電流を流すことによって、前記電解除染を行う、
    請求項1に記載の電解除染方法。
  3. 前記除染工程では、前記導電性部材を加熱した状態で前記電解除染を行う、
    請求項1または2に記載の電解除染方法。
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