JP6888911B2 - コア及びリアクトル - Google Patents
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Description
(1)磁性粉末と樹脂とを含むコアであって、前記樹脂は、ショア硬度Dが83以上88以下のエポキシ樹脂であること。
(2)前記コアは、前記磁性粉末に対して3wt%〜5wt%の前記エポキシ樹脂を含有すること。
(3)前記樹脂は、ショア硬度Dが85以上であること。
(4)前記磁性粉末は、第1の磁性粉末と、前記第1の磁性粉末より平均粒径の小さい第2の磁性粉末とからなり、前記第1の磁性粉末と前記第2の磁性粉末の重量比率が80:20〜50:50であること。
(5)前記磁性粉末は、Fe−Si合金粉末若しくはFe−Si−Al合金粉末又はこれらの混合粉であること。
(1)前記コイルは、前記コア内部に埋設されていること。
(2)前記コイルの周囲には、前記樹脂よりショア硬度Dの低い樹脂が被覆されていること。
(3)前記コイルの周囲を被覆する前記樹脂はシリコーン樹脂であること。
[1−1.構成]
本実施形態のリアクトルは、コアと、コイルとを備える。コアは、磁性粉末と樹脂とを含み構成されたメタルコンポジットコアである。磁性粉末と樹脂とを混合した粘土状の混合物を、所定の型に充填し、加圧することでコアを所定の形状とすることができる。コアの形状は、例えば、トロイダル状コア、I型コア、U型コア、θ型コア、E型コア、EER型コアなどである。本実施形態のリアクトルは、トロイダルコアと、当該トロイダルコアに導線を巻き回して形成されたコイルとを備える。
(1)本実施形態のコアは、磁性粉末と樹脂とを含み構成されるコアであって、当該樹脂は、ショア硬度を83以上とした。これにより、磁場印加に伴う磁性粉末の振動や磁歪を抑制し、低騒音化を図ることができる。例えば、磁性粉末周囲の絶縁層が硬くなるので、磁性粉末が振動する余地を無くすことで、粉末同士の衝突やコアとコイルとの衝突を抑制することができ、騒音発生を効果的に抑止することができる。また、当該樹脂のショア硬度を85以上とすることで、顕著な騒音抑制効果を得ることができる。
本発明の実施例を、表1〜表4及び図1を参照して、以下に説明する。
測定項目は、透磁率、鉄損、及び騒音である。作製された各コアのサンプルに対して、φ2.6mmの銅線で42ターンの巻線を施してリアクトルを作製した。騒音測定用のコアは、外径φ110mm、内径49.2mm、高さ30mmとした。また、作製したリアクトルの透磁率及び鉄損を下記の条件で算出し、下記の条件でリアクトルから発生する騒音について測定した。
透磁率及び鉄損の測定条件は、周波数20kHz、最大磁束密度Bm=30mTとした。透磁率は、鉄損Pcv測定時に最大磁束密度Bmを設定したときの振幅透磁率とした。鉄損については、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY−8232)を用いて算出した。この算出は、鉄損の周波数曲線を次の(1)〜(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損係数、渦電流損失係数を算出することで行った。
Ph =Kh×f…(2)
Pe =Ke×f2…(3)
Pcv:鉄損
Kh :ヒステリシス損係数
Ke :渦電流損係数
f :周波数
Ph :ヒステリシス損失
Pe :渦電流損失
騒音測定について、その測定装置、測定環境、測定方法等を以下に示す。
[騒音評価装置とソフトウェア]
(1) 測定装置 SOUND LEVEL METER NL-31 …リオン株式会社製
(2) 測定環境 無響箱(暗騒音は25dB) KM-1…株式会社アコー製
(3) パワーアンプ(音源) HIGH SPEED POWER AMPLIFIER/BIPOLAR POWER SUPPLY 4025…NF ELECTRONIC INSTRUMENTS社製
(4) 発振器 80MHz Function/Arbitrary Waveform Generator 33250A…アジレント・テクノロジー株式会社製
(5) 分析処理ソフト SA-01 CATSYSSA Ver3.5…リオン株式会社製
(1) 太陽光発電用パワーコンディショナに作製したリアクトルを接続した。
(2) マイク距離:測定サンプルから10cmとした。
(3) 測定サンプルを無響箱内に設置し、騒音測定用のマイクの距離はサンプルから10cmとした。
コアのサンプルは、下記のように、(a)コアに含まれる樹脂のショア硬度、(b)樹脂の含有量、(c)第1の磁性粉末と第2の磁性粉末の重量比率の観点から作製した。これらの作製方法と、その結果について下記に順に示す。
平均粒径123μmのFe−6.5%Si合金粉末(円形度0.943)と、平均粒径5.1μmのFe−6.5%Si合金粉末(円形度0.908)を重量比率70:30で混練機にて30分混合し、これらの磁性粉末に対して4wt%のシリコーン樹脂、アクリル樹脂、二液性かつ熱硬化性のエポキシ樹脂A〜Fを、ショア硬度を下記の表1に示す条件としてそれぞれ添加し、混合した。さらに、この磁性粉末と樹脂の混合物をアルミカップとヘラで混練し、0.5tonで加圧成型し、外径φ110mm、内径49.2mm、高さ30mmの成型体を作製し、当該成型体を大気中にて、85℃で2時間乾燥させ、その後120℃で1時間乾燥させ、さらに150℃で4時間乾燥させて、サンプルとなるトロイダルコアを作製した。
コアに含まれる樹脂を、表1のエポキシ樹脂C(ショア硬度83)、エポキシ樹脂F(ショア硬度88)とし、その含有量を下記の表2及び表3に示す条件として、上記(a)と同様の手順でトロイダルコアのサンプルを作製した。
第1の磁性粉末と第2の磁性粉末の重量比率を下記の表4に示す条件とし、上記(a)と同様の手順でトロイダルコアを作製した。但し、樹脂の種類はエポキシ樹脂D(ショア硬度D85)とし、その含有量を磁性粉末に対して5wt%とした。
[2−1.構成]
第2の実施形態について、図2を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。よって、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については詳細な説明は省略する。
(1)本実施形態のリアクトルは、コア1の一部である中脚部11の周囲にコイル5a、5bが配置され、コイル5a、5bの周囲には、コア1に含有される樹脂よりショア硬度の低い樹脂からなる被覆部31を設けるようにした。これにより、コイル5a、5bとコア1との間に比較的柔らかい被覆部31が介在するため、被覆部31が緩衝材となって磁場印加によるコア1の振動又はコイル5a、5bの振動を吸収することができ、騒音の発生を抑制することができる。
本実施形態の実施例について、図2及び表5を用いて説明する。コア1に含まれる樹脂のショア硬度と騒音との関係を、図2に示す本実施形態の構造について検証するため、樹脂のショア硬度を表5に示す通りとして、実施例15、比較例12のポット型リアクトルを作製した。すなわち、実施例15は、ショア硬度88の二液性エポキシ樹脂Fとし、比較例12は、ショア硬度78の二液性エポキシ樹脂Aとし、その他の構造は共通している。
まず、コア1の組成として、粒子径(D50)が120μmのガスアトマイズ法で作製されたFe−6.5%Si合金粉末と、粒子径(D50)が5μmのガスアトマイズ法で作製されたFe−6.5%Si合金粉末とを重量比70:30で混合するとともに、これらの複合磁性粉末とエポキシ樹脂を重量比96:4で混合し、混合物を作製した。次に、この混合物と、周囲にショア硬度が6であるシリコーン樹脂からなる被覆部31が設けられたコイル5a、5bとを、図示しない所定の型に入れ、混合物を0.2tonで加圧成型し、大気中において、85℃で2時間、120℃で1時間、150℃で6時間の順に乾燥させて、実施例15、比較例12のリアクトルを作製した。コイル5a、5bは、丸線を使用し、ターン数を30とした。
騒音の測定は、第1の実施形態の「(1)測定項目」と同様に行った。その結果を表5に示す。表5から明らかなように、実施例15の最大騒音値は44.2dBであり、比較例12の最大騒音値54.2dBに対して小さく、低騒音化できることが確認できる。このように、本発明は、リアクトルの構造に関わらず、低騒音化の効果を奏することが確認できる。
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11 中脚部
12 側部
13、14 平板部
31 被覆部
5 コイル
5a、5b コイル
Claims (8)
- 磁性粉末と樹脂とを含むコアであって、
前記樹脂は、ショア硬度Dが83以上88以下のエポキシ樹脂であり、
前記コアは、前記磁性粉末に対して3wt%〜5wt%の前記エポキシ樹脂を含有すること、
を特徴とするコア。 - 前記樹脂は、ショア硬度Dが85以上であること、
を特徴とする請求項1に記載のコア。 - 前記磁性粉末は、第1の磁性粉末と、前記第1の磁性粉末より平均粒径の小さい第2の磁性粉末とからなり、前記第1の磁性粉末と前記第2の磁性粉末の重量比率が80:20〜50:50であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコア。 - 前記磁性粉末は、Fe−Si合金粉末若しくはFe−Si−Al合金粉末又はこれらの混合粉であること、
を特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコア。 - 前記請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のコアと、
コイルと、
を備えたリアクトル。 - 前記コイルは、前記コア内部に埋設されていること、
を特徴とする請求項5に記載のリアクトル。 - 前記コイルの周囲には、前記樹脂よりショア硬度Dの低い樹脂が被覆されていること、
を特徴とする請求項5又は請求項6に記載のリアクトル。 - 前記コイルの周囲を被覆する前記樹脂はシリコーン樹脂であること、
を特徴とする請求項7に記載のリアクトル。
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