JP6888612B2 - 1,3−ブタジエンの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1,3−ブタジエンの製造方法および1,3−ブタジエンの製造装置に関するものである。
従来、ナフサをクラッキングしてエチレンを生産する際に得られるC留分などのC炭化水素混合物から高純度の1,3−ブタジエンを分離回収する方法として、抽出蒸留を用いた方法が知られている。
具体的には、抽出蒸留を用いてC炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する方法としては、例えば、第一の抽出蒸留により、溶剤に対してブタジエン(1,2−ブタジエンおよび1,3−ブタジエン)よりも難溶性のブタン類およびブテン類を留出させて分離した後、第二の抽出蒸留により、溶剤に対してブタジエンよりも易溶性のアセチレン類を缶出させると共にブタジエンを高濃度で含む留分を留出させ、更に第二の抽出蒸留で得られた前記留分を精製することにより、高純度の1,3−ブタジエンを分離回収する方法が用いられている。
ここで、抽出蒸留を用いた上記1,3−ブタジエンの分離回収方法では、ビニルアセチレン等のアセチレン類を高濃度で含む留分が副生する。しかし、ビニルアセチレンを高濃度で含有する留分には、反応性が高く、異常反応を起こし易いという問題がある。
そこで、例えば特許文献1では、原料としてのC炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に副生する、アセチレン類を富有する留分について、原料として用いられるC炭化水素混合物の一部を希釈剤として用いて希釈することにより、異常反応を予防している。また、特許文献1では、アセチレン類を富有する留分を上記希釈剤で希釈して得られた希釈物を水素化し、得られた水素化物を原料の一部として再利用することにより、1,3−ブタジエンの生産効率の低下を抑制しつつ1,3−ブタジエンの収率を高めている。
特開昭56−46824号公報
しかし、原料として使用されるC炭化水素混合物の一部を希釈剤として用いている特許文献1に記載の技術では、希釈剤を用いて得られた希釈物を水素化する際にC炭化水素混合物中に含まれていた1,3−ブタジエンも水素化されてしまうため、1,3−ブタジエンの収率を十分に高めることはできなかった。
そこで、本発明は、ビニルアセチレンを高濃度で含有する留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることを可能とする1,3−ブタジエンの製造方法および1,3−ブタジエンの製造装置を提供することを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分から1,3−ブタジエンを製造する方法であって、ビニルアセチレンを含有する高VA留分に対して希釈剤を添加し、前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を調製する工程と、前記希釈留分を水素化処理し、前記希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する工程とを含み、前記希釈剤として、実質的に低VA留分のみを使用し、前記低VA留分は、前記C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い留分であることを特徴とする。このように、1,3−ブタジエンを分離回収する際に原料として用いられるC炭化水素混合物を希釈剤として実質的に使用することなく、実質的に低VA留分のみを希釈剤として用いて高VA留分を希釈すれば、希釈留分を水素化処理する際にC炭化水素混合物中の1,3−ブタジエンが水素化されるのを防止することができる。従って、高VA留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。
なお、本発明において、「実質的に低VA留分のみを使用する」とは、希釈剤の95質量%以上が低VA留分で構成されていることを指す。また、「C炭化水素混合物を希釈剤として実質的に使用しない」とは、希釈剤中でC炭化水素混合物が占める割合が0質量%以上5質量%以下であることを指す。
ここで、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、前記希釈留分を水素化処理して得た水素化物をC炭化水素混合物と混合し、得られた混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する工程を更に含むことが好ましい。水素化物とC炭化水素混合物との混合物から1,3−ブタジエンを分離回収すれば、水素化物およびC炭化水素混合物のそれぞれに対して個別に1,3−ブタジエンの分離回収処理を施す場合と比較し、1,3−ブタジエンを効率的に分離回収することができる。
また、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、前記希釈剤が1,3−ブタジエンを含有することが好ましい。希釈剤が1,3−ブタジエンを含有していれば、希釈留分および水素化物中の1,3−ブタジエン濃度を高めることができるので、水素化物からの1,3−ブタジエンの回収効率を高めることができる。
更に、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、前記低VA留分のビニルアセチレン濃度が0.5質量%以下であることが好ましい。低VA留分のビニルアセチレン濃度が0.5質量%以下であれば、高VA留分を効率的に希釈し、高VA留分の異常反応を十分に予防することができる。
なお、本発明において、「アセチレン濃度」は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、C炭化水素混合物を抽出蒸留して1,3−ブタジエンを含む留分(A)とビニルアセチレンを含む抽出液(B)とを得る抽出蒸留部と、前記抽出液(B)から溶剤を除去してビニルアセチレンを含有する高VA留分を得る放散部と、前記留分(A)から前記1,3−ブタジエン以外の不純物を除去する不純物除去部と、前記高VA留分と、前記抽出蒸留部で生成する留分および前記不純物除去部で生成する留分の少なくとも一方とを混合して前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を得る混合部と、前記希釈留分を水素化処理し、前記希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する水素化部とを備えることを特徴とする。このように、1,3−ブタジエンを分離回収する際に原料として用いられるC炭化水素混合物を高VA留分の希釈に実質的に使用することなく、高VA留分と、抽出蒸留部で生成する留分および不純物除去部で生成する留分の少なくとも一方とを混合する混合部を設け、混合部で得られた希釈留分を水素化部で水素化処理すれば、希釈留分を水素化処理する際にC炭化水素混合物中の1,3−ブタジエンが水素化されるのを防止することができる。従って、高VA留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。
ここで、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、前記水素化部で得られた水素化物を前記抽出蒸留部へと返送する返送ラインを更に備えることが好ましい。返送ラインを設ければ、抽出蒸留部、放散部および不純物除去部を利用して水素化物から1,3−ブタジエンを分離回収することができる。従って、水素化物およびC炭化水素混合物のそれぞれに対して個別に1,3−ブタジエンの分離回収装置を設ける場合と比較し、1,3−ブタジエンを効率的に分離回収することができる。
また、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、前記抽出蒸留部が、前記C炭化水素混合物を抽出蒸留して留分(C)と1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む抽出液(D)とを得る第一抽出蒸留塔と、前記抽出液(D)中に含まれる成分を抽出蒸留して前記留分(A)と前記抽出液(B)とを得る第二抽出蒸留塔とを備え、前記不純物除去部が、1,3−ブタジエンよりも低沸点の不純物を除去する低沸点物除去塔と、1,3−ブタジエンよりも高沸点の不純物を除去する高沸点物除去塔とを備え、前記混合部が、前記留分(C)、前記低沸点物除去塔から排出される前記低沸点の不純物を含む留分(E)および前記高沸点物除去塔から排出される前記高沸点の不純物を含む留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つを前記高VA留分と混合することが好ましい。留分(C)、留分(E)および留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つを用いれば、高VA留分を効率的に希釈し、高VA留分の異常反応を十分に予防することができる。
更に、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、前記混合部が、前記留分(E)および前記留分(F)の少なくとも一方を前記高VA留分と混合することが好ましい。留分(E)および留分(F)の少なくとも一方を用いれば、水素化物からの1,3−ブタジエンの回収効率を高めることができる。
本発明によれば、ビニルアセチレンを高濃度で含有する留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。
本発明に従う1,3−ブタジエンの製造装置の一例の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分から1,3−ブタジエンを製造する際に用いることができる。また、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法を用いて1,3−ブタジエンを製造する際に好適に用いることができる。
(1,3−ブタジエンの製造方法)
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分から1,3−ブタジエンを製造する方法である。そして、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、ビニルアセチレンを含有する高VA留分に対して希釈剤を添加し、高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を調製する工程(希釈工程)と、希釈留分を水素化処理し、希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する工程(水素化工程)とを含み、任意に、水素化工程で得た水素化物をC炭化水素混合物と混合し、得られた混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する工程(回収工程)を更に含む。また、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、希釈工程で用いる希釈剤として、実質的に低VA留分(C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い留分)のみを使用する。
なお、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法の水素化工程で得られる水素化物中の1,3−ブタジエンは、水素化物をC炭化水素混合物と混合することなく、抽出蒸留や吸着などの既知の分離回収方法を用いて水素化物から直接回収してもよい。
そして、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法では、実質的に、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成する低VA留分のみを希釈剤として用いて高VA留分を希釈しているので、高VA留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。具体的には、例えば高VA留分の希釈剤としてC炭化水素混合物を用いた場合には、希釈留分を水素化処理する際に希釈剤として用いたC炭化水素混合物中に含まれていた1,3−ブタジエンも水素化されてしまい、C炭化水素混合物から分離回収できる1,3−ブタジエンの量も低下してしまう。しかし、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法では、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成する低VA留分のみで実質的に構成された希釈剤を用いているので、希釈留分を水素化処理した場合であっても、C炭化水素混合物から分離回収できる1,3−ブタジエンの量が低下するのを防止することができる。従って、高VA留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。
<1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分>
ここで、1,3−ブタジエンの製造に用いられる、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分とは、1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレン等の炭素数が4の炭化水素化合物を含有するC炭化水素混合物から既知の1,3−ブタジエンの分離方法を用いて1,3−ブタジエンを分離回収する際に副生する留分である。具体的には、例えば抽出蒸留を用いて1,3−ブタジエンを分離回収する場合には、副生する留分としては、特に限定されることなく、
(1)溶剤を用いてC炭化水素混合物を抽出蒸留した際に留出する、溶剤に対してブタジエン(1,2−ブタジエンおよび1,3−ブタジエン)よりも難溶性の炭化水素化合物(例えば、ブタン類およびブテン類など)を含む留分
(2)C炭化水素混合物の抽出蒸留により得られた、ブタジエンを高濃度で含む留分を精製して1,3−ブタジエンを得る際に生じる留分
(3)溶剤を用いてC炭化水素混合物を抽出蒸留した際に缶出する、アセチレンを含む抽出液(缶出液)から溶剤を回収した際に生じる留分
などが挙げられる。
なお、1,3−ブタジエンを分離回収するC炭化水素混合物としては、ナフサをクラッキングしてエチレンを生産する際に得られるC留分などの、1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含有する任意のC炭化水素混合物が挙げられる。
<希釈工程>
そして、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法の希釈工程では、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成する高VA留分に対して希釈剤を添加し、高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を調製することにより、高VA留分の異常反応を予防する。
[高VA留分]
ここで、高VA留分としては、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、ビニルアセチレンを含有する留分であれば、任意の留分を用いることができる。中でも、高VA留分としては、ビニルアセチレン濃度が25質量%以上の留分が好ましく、ビニルアセチレン濃度が30質量%以上の留分がより好ましい。また、高VA留分として用いる留分のビニルアセチレン濃度は、通常50質量%以下である。
具体的には、高VA留分としては、特に限定されることなく、溶剤を用いてC炭化水素混合物を抽出蒸留した際に缶出する、アセチレンを含む抽出液(缶出液)から溶剤を回収した際に生じる留分を用いることができる。より具体的には、上記高VA留分としては、例えば抽出蒸留後に放散塔を用いてアセチレンを含む抽出液から溶剤を回収した際に生じる留分(放散ガス)を用いることができる。
[希釈剤]
また、希釈剤としては、実質的に、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い低VA留分のみを使用する。そして、希釈剤としては、1種類の低VA留分を使用してもよいし、2種類以上の低VA留分を使用してもよい。また、2種類以上の低VA留分を希釈剤として使用する場合には、各低VA留分は、予め混合した後に高VA留分に添加してもよいし、別々に高VA留分に添加してもよい。
なお、希釈剤は、95質量%以上が低VA留分で構成されている(即ち、実質的に低VA留分のみからなる)ことが必要であり、99質量%以上が低VA留分で構成されていることが好ましく、100質量%が低VA留分で構成されている(即ち、低VA留分のみからなる)ことがより好ましい。そして、希釈剤として使用できる低VA留分以外の成分としては、特に限定されることなく、C炭化水素混合物およびC炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に用いられる溶剤などが挙げられる。また、希釈剤中で低VA留分以外の成分が占める割合は、0質量%以上5質量%以下であることが必要であり、1質量%以下であることが好ましく、0質量%であることがより好ましい。
[[低VA留分]]
ここで、低VA留分としては、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い留分であれば任意の留分を用いることができるが、中でもビニルアセチレン濃度が0.5質量%以下の留分が好ましく、ビニルアセチレンを含有しない留分がより好ましい。ビニルアセチレン濃度が0.5質量%以下の留分を低VA留分として用いれば、高VA留分を効率的に希釈し、高VA留分の異常反応を十分に予防することができるからである。
具体的には、上記低VA留分としては、特に限定されることなく、溶剤を用いてC炭化水素混合物を抽出蒸留した際に留出する、溶剤に対してブタジエン(1,2−ブタジエンおよび1,3−ブタジエン)よりも難溶性の炭化水素化合物(例えば、ブタン類およびブテン類など)を含む留分や、C炭化水素混合物の抽出蒸留により得られた、ブタジエンを高濃度で含む留分を精製して1,3−ブタジエンを得る際に生じる留分(より具体的には、ブタジエンを高濃度で含む留分から1,3−ブタジエンよりも低沸点の不純物を除去する際に留出する留分およびブタジエンを高濃度で含む留分から1,3−ブタジエンよりも高沸点の不純物を除去する際に留出する留分)を用いることができる。
中でも、希釈剤中に含まれている特定の炭化水素化合物の濃度のみが過度に高くなるのを防止し、水素化工程などにおいて意図しない副反応が起こるのを抑制する観点からは、希釈剤を構成する低VA留分としては、上記3種類の留分を全て用いることが好ましい。通常、C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成する留分中では当該留分が生成する際の操作内容に応じて特定の炭化水素化合物が富化されているところ、1種類の留分のみを希釈剤として用いた場合には、希釈工程で得られる希釈留分中に含まれる当該特定の炭化水素化合物の濃度が高くなり、水素化処理の際などに意図しない副反応が起こる虞があるからである。
また、希釈剤を構成する低VA留分としては、1,3−ブタジエンを含有する留分を少なくとも用いることが好ましく、1,3−ブタジエンを2質量%以上含有する留分を少なくとも用いることがより好ましい。即ち、希釈剤は1,3−ブタジエンを含むことが好ましい。希釈剤が1,3−ブタジエンを含有していれば、希釈工程で得られる希釈留分および水素化工程で得られる水素化物中の1,3−ブタジエン濃度を高めることができるので、水素化物からの1,3−ブタジエンの回収効率を高めることができるからである。
なお、1,3−ブタジエンを例えば2質量%以上の濃度で含有する留分としては、特に限定されることなく、C炭化水素混合物の抽出蒸留により得られた、ブタジエンを高濃度で含む留分を精製して1,3−ブタジエンを得る際に生じる留分が挙げられる。
[希釈留分]
希釈留分は、実質的に上記低VA留分のみからなる希釈剤で高VA留分を希釈して得られる留分である。なお、高VA留分と希釈剤との混合は、特に限定されることなく、高VA留分と希釈剤とを均一に混合可能な任意の混合方法を用いて行うことができる。また、高VA留分と希釈剤との混合比率は、特に限定されることなく、所望の組成の希釈留分が得られるように適宜調整することができる。
ここで、希釈留分中のビニルアセチレンの濃度は、高VA留分中のビニルアセチレンの濃度よりも低ければ任意の濃度とすることができるが、異常反応を十分に予防する観点からは、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。一方、希釈留分を水素化処理した際に希釈留分中に含まれているビニルアセチレンから1,3−ブタジエンを十分に生成しつつ希釈留分中に含まれている1,3−ブタジエンが水素化されるのを抑制する観点からは、希釈留分中のビニルアセチレンの濃度は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
更に、希釈留分中の1,3−ブタジエンの濃度は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。希釈留分中の1,3−ブタジエンの濃度が上記下限値以上であれば、水素化工程で得られる水素化物中の1,3−ブタジエン濃度を適度に高めることができるので、水素化物からの1,3−ブタジエンの回収効率を高めることができる。また、希釈留分中の1,3−ブタジエンの濃度が上記上限値以下であれば、希釈留分を水素化処理する際に1,3−ブタジエンが水素化されるのを抑制し、1,3−ブタジエンを高収率で得ることができる。
<水素化工程>
また、本発明の1,3−ブタジエンの製造方法の水素化工程では、希釈工程で得られた希釈留分を水素化処理し、希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する。そして、1,3−ブタジエンを含有する水素化物を得る。
[水素化処理]
ここで、希釈留分の水素化処理は、特に限定されることなく、ビニルアセチレンを1,3−ブタジエンへと選択的に水素化可能な任意の水素化触媒を用いて行うことができる。具体的には、希釈留分の水素化処理は、水素の存在下、パラジウム系触媒、白金系触媒、ニッケル系触媒、銅系触媒などの水素化触媒と希釈留分とを接触させて行うことができる。中でも、ビニルアセチレンを1,3−ブタジエンへと選択的に水素化しつつ1,3−ブタジエンが水素化されるのを防止する観点からは、水素化触媒としては、CO吸着量が0.5cm/g以下のパラジウム系触媒を用いることが好ましく、パラジウム系触媒のCO吸着量は0.1cm/g以下であることがより好ましく、0.05cm/g以下であることが更に好ましく、0.045cm/g以下であることが特に好ましい。また、1,3−ブタジエンが水素化するのを防止する観点からは、水素化触媒は、エッグシェル構造を有する触媒であることが好ましく、担体としてγ−アルミナと、α−アルミナおよびθ−アルミナの少なくとも一方とを含有するエッグシェル構造の触媒であることがより好ましい。ここで、本発明において、「CO吸着量」は、触媒を200℃で水素により還元した後、金属分散測定装置(MicrotracBel社製、BEL−METALIII)を用いて、COパルス吸着法により50℃で測定することができる。
なお、希釈留分の水素化処理には、気相反応および液相反応の何れを用いてもよいが、ハンドリング性および希釈留分中に含まれている炭化水素化合物の重合防止の観点からは気体状の希釈留分を水素化触媒に接触させる気相反応を用いることが好ましく、常圧気相反応を用いることがより好ましい。
また、希釈留分の水素化処理条件(例えば、供給する水素の圧力、反応温度など)は、使用する触媒および希釈留分の組成などに合わせて適宜に調整することができる。
[水素化物]
そして、水素化工程で得られる水素化物は、ビニルアセチレンの濃度が5質量%未満であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。ビニルアセチレンの濃度が上記上限値以下であれば、水素化物が異常反応を起こすのを抑制することができる。
また、水素化工程で得られる水素化物は、1,3−ブタジエンの濃度が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。1,3−ブタジエンの濃度が上記下限値以上であれば、水素化物から1,3−ブタジエンを効率的に分離回収することができる。なお、水素化物中の1,3−ブタジエンの濃度は、通常、40質量%以下である。
<回収工程>
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法において任意に実施する回収工程では、水素化工程で得られた水素化物をC炭化水素混合物と混合し、得られた混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する。このように、1,3−ブタジエンを分離回収する際の原料であるC炭化水素混合物と水素化物とを混合してから1,3−ブタジエンを分離回収すれば、C炭化水素混合物中の1,3−ブタジエンと一緒に水素化物中の1,3−ブタジエンも分離回収することができるので、1,3−ブタジエンを効率的に得ることができる。
(1,3−ブタジエンの製造装置)
また、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、上述した1,3−ブタジエンの製造方法を用いて1,3−ブタジエンを製造する際に好適に用いることができるものである。そして、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置の一例は、例えば図1に示すような構成を有している。
ここで、図1に示す製造装置100は、原料としてのC炭化水素混合物を抽出蒸留して1,3−ブタジエンを含む留分(A)とビニルアセチレンを含む抽出液(B)とを得る抽出蒸留部10と、抽出蒸留部10で得た抽出液(B)から溶剤を除去してビニルアセチレンを含有する高VA留分を得る放散部20と、抽出蒸留部10で得た留分(A)から1,3−ブタジエン以外の不純物を除去する不純物除去部30とを備えている。なお、製造装置100では、C炭化水素混合物としては、ナフサをクラッキングしてエチレンを生産する際に得られるC留分などの、1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含有する任意のC炭化水素混合物を用いることができる。
また、製造装置100は、放散部20で得た高VA留分と、抽出蒸留部10で生成する留分および不純物除去部30で生成する留分の少なくとも一方、好ましくは両方とを混合して高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を得る混合部40と、混合部40で得た希釈留分を水素化処理し、希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する水素化部50と、水素化部50で得た水素化物を抽出蒸留部10へと返送する任意の返送ライン60とを更に備えている。
<抽出蒸留部>
ここで、抽出蒸留部10は、例えば、C炭化水素混合物を気化させる蒸発塔11と、蒸発塔11で気化させたC炭化水素混合物を抽出蒸留して留分(C)と抽出液(D)とに分離する第一抽出蒸留塔12と、抽出液(D)から溶剤を除去する放散塔13と、抽出液(D)から溶剤を除去して得た留分を加圧するコンプレッサー14と、コンプレッサー14で加圧された留分を抽出蒸留して留分(A)と抽出液(B)とに分離する第二抽出蒸留塔15とを備えている。
そして、第一抽出蒸留塔12では、C炭化水素混合物の供給段より上段に溶剤を供給してC炭化水素混合物を抽出蒸留することにより、溶剤に対して1,3−ブタジエンよりも難溶性のブタン類およびブテン類などを含む留分(C)を塔頂から留出させると共に、1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む抽出液(D)を塔底から缶出させる。なお、第一抽出蒸留塔12に供給する溶剤としては、例えば国際公開第99/051552号に記載されている溶剤などの、C炭化水素混合物の抽出蒸留に使用されている既知の溶剤を用いることができる。
また、放散塔13では、塔底より溶剤を缶出させると共に、塔頂より1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む留分を留出させる。なお、放散塔13で回収した溶剤は、任意に第一抽出蒸留塔12や第二抽出蒸留塔15などで再利用することができる。
更に、第二抽出蒸留塔15では、放散塔13から留出した1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む留分の供給段より上段に溶剤を供給して1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む留分を抽出蒸留することにより、1,3−ブタジエンを含む留分(A)を塔頂から留出させると共に、溶剤に対して1,3−ブタジエンよりも易溶性のビニルアセチレンなどを含む抽出液(B)を塔底から缶出させる。なお、第二抽出蒸留塔15に供給する溶剤としては、例えば国際公開第99/051552号に記載されている溶剤などの、C炭化水素混合物の抽出蒸留に使用されている既知の溶剤を用いることができる。
<放散部>
また、放散部20は、例えば、抽出液(B)中に混入した1,3−ブタジエンを回収するための第一放散塔21と、1,3−ブタジエンを回収した後の抽出液(B)から溶剤を除去してビニルアセチレンを含有する高VA留分を得る第二放散塔22とを備えている。
そして、第一放散塔21では、抽出液(B)中に混入していた1,3−ブタジエンを含む留分を塔頂より留出させると共に、塔底よりビニルアセチレンを含有する缶出液を缶出させる。なお、第一放散塔21の塔頂から留出した1,3−ブタジエンを含む留分は、任意に第二抽出蒸留塔15へと返送することができる。
また、第二放散塔22では、第一放散塔21からの缶出液中に含まれていたビニルアセチレンを含む高VA留分を塔頂より留出させると共に、塔底より溶剤を缶出させる。なお、第二放散塔22で回収した溶剤は、任意に第一抽出蒸留塔12や第二抽出蒸留塔15などで再利用することができる。
<不純物除去部>
不純物除去部30は、例えば、第二抽出蒸留塔15で得た留分(A)中に含まれている、1,3−ブタジエンよりも低沸点の不純物を除去する低沸点物除去塔31と、1,3−ブタジエンよりも高沸点の不純物を除去する高沸点物除去塔32とを備えている。
そして、低沸点物除去塔31では、例えばメチルアセチレン等の低沸点の不純物を含む留分(E)を塔頂より留出させると共に、塔底より1,3−ブタジエンが富化された缶出液を缶出させる。
また、高沸点物除去塔32では、1,3−ブタジエンが更に富化された留分を塔頂より留出させると共に、例えば1,2−ブタジエン等の高沸点の不純物を含む留分(F)を塔底より缶出させる。
<混合部>
混合部40では、第一抽出蒸留塔12で生成した留分(C)、低沸点物除去塔31で生成した留分(E)および高沸点物除去塔32で生成した留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つを放散部20で得た高VA留分と混合して希釈留分を得る。なお、通常、留分(C)、留分(E)および留分(F)中に含まれているビニルアセチレンの濃度は高VA留分中に含まれているビニルアセチレンの濃度よりも低いため、希釈留分中のビニルアセチレンの濃度は高VA留分中のビニルアセチレンの濃度よりも低くなる。従って、この製造装置100では、高VA留分の異常反応を予防することができる。
ここで、混合部40としては、留分(C)、留分(E)および留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つと高VA留分とを均一に混合することができるものであれば、特に限定されることなくインラインミキサーなどの混合装置や合流配管などを用いることができる。
なお、混合部40では、留分(E)および留分(F)の少なくとも一方と高VA留分とを混合することが好ましく、留分(E)および留分(F)の少なくとも一方と、留分(C)と、高VA留分とを混合することがより好ましく、留分(C)、留分(E)および留分(F)と、高VA留分とを混合することが更に好ましい。即ち、製造装置100は、低沸点物除去塔31から混合部40へと留分(E)を供給する留分(E)ラインおよび高沸点物除去塔32から混合部40へと留分(F)を供給する留分(F)ラインの少なくとも一方と、放散部20(図示例では第二放散塔22)から混合部40へと高VA留分を供給する高VA留分ラインとを備えることが好ましく、留分(E)ラインおよび留分(F)ラインの少なくとも一方と、抽出蒸留部10(図示例では第一抽出蒸留塔12)から混合部40へと留分(C)を供給する留分(C)ラインと、高VA留分ラインとを備えることがより好ましく、留分(C)ライン、留分(E)ライン、留分(F)ラインおよび高VA留分ラインを全て備えることが更に好ましい。
通常、留分(E)および留分(F)には1,3−ブタジエンが例えば2質量%以上含まれているため、少なくとも留分(E)および/または留分(F)を高VA留分と混合すれば、希釈留分および希釈留分を水素化処理して得られる水素化物中の1,3−ブタジエン濃度を高めることができるので、水素化物からの1,3−ブタジエンの回収効率を高めることができるからである。また、留分(C)中ではブタン類およびブテン類などが富化されており、留分(E)中ではメチルアセチレン等の低沸点の不純物が富化されており、留分(F)中では1,2−ブタジエン等の高沸点の不純物が富化されているところ、留分(C)、留分(E)および留分(F)の全てを高VA留分と混合すれば、得られる希釈留分中で特定の炭化水素化合物の濃度が高くなるのを抑制し、水素化処理の際などに意図しない副反応が起こるのを抑制することができるからである。
ここで、製造装置100において、高VA留分と混合しなかった留分は、特に限定されることなく、焼却などの既知の処理方法を用いて処理することができる。
<水素化部>
水素化部50では、混合部40で得た希釈留分を水素化処理し、希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する。なお、製造装置100では、混合部40を設け、高VA留分と、留分(C)、留分(E)および留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つとを混合して調製した希釈留分を水素化処理しているので、希釈留分を水素化処理した場合であっても、C炭化水素混合物から分離回収できる1,3−ブタジエンの量が低下するのを防止することができる。従って、高VA留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。なお、C炭化水素混合物から分離回収できる1,3−ブタジエンの量が低下するのを防止する観点からは、混合部40では、高VA留分と、留分(C)、留分(E)および留分(F)からなる群より選択される少なくとも一つのみとを混合することが好ましい。
ここで、水素化部50としては、特に限定されることなく、ビニルアセチレンを1,3−ブタジエンへと選択的に水素化可能な水素化触媒が内部に充填された反応器と、反応器内へと水素を供給する水素供給ラインとを備え、任意に反応器内へと供給する希釈留分を気化させる蒸発器を更に備える水素化装置を用いることができる。
<返送ライン>
返送ライン60は、水素化部50と抽出蒸留部10とを接続しており、水素化部50で得た水素化物を抽出蒸留部10へと返送する。具体的には、返送ライン60は、水素化部50の出口と、抽出蒸留部10の蒸発塔11とを接続している。そして、返送ライン60を介して返送された水素化物は、C炭化水素混合物と混合されて抽出蒸留部10へと供給される。その結果、水素化物中に含まれている1,3−ブタジエンは、C炭化水素混合物中に含まれている1,3−ブタジエンと共に効率的に分離回収される。
なお、返送ライン60には、水素化物を凝縮させるための凝縮器または昇圧ブロアーを有していてもよい。
以上、一例を用いて本発明の1,3−ブタジエンの製造装置について説明したが、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は上記一例に限定されるものではない。具体的には、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、返送ライン60に替えて水素化物から1,3−ブタジエンを分離回収する分離回収装置を備えていてもよい。また、抽出蒸留部10、放散部20および不純物除去部30の構成は上記構成に限定されるものではなく、1,3−ブタジエンを分離回収可能な任意の構成に変更することができる。具体的には、例えば、第一放散塔21の塔頂から留出した1,3−ブタジエンを含む留分は、第二抽出蒸留塔15へと返送することなく、混合部40へと供給して高VA留分の希釈に用いてもよい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す製造装置100を用いて1,3−ブタジエンの製造を行った。具体的には、ナフサをクラッキングしてエチレンを生産する際に得られるC留分よりなるC炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した高VA留分を留分(C)、留分(E)および留分(F)で希釈して得た希釈留分を気相反応で水素化処理し、1,3−ブタジエンを製造した。なお、水素化触媒としては、パラジウム系触媒(日揮触媒化成株式会社製、N1182AZ)を空気雰囲気下1000℃で3時間焼成して得た水素化触媒(エッグシェル構造を有するパラジウム系触媒、担体がγ−アルミナ、α−アルミナおよびθ−アルミナを含有、CO吸着量:0.0435cm/g)を使用した。また、希釈留分の水素化処理を行う際の希釈留分と水素との流量比は、希釈留分:水素(体積比)=2:1とした。
また、高VA留分、留分(C)、留分(E)、留分(F)、希釈留分および水素化物の組成を、ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies社製、7890A)を用いて以下の条件で測定した。結果を表1に示す。
・ガスクロマトグラフ:Agilent(登録商標)7890A(アジレント社製)
・カラム:Agilent 19091P-S33、30.0m×250μm×5.00μm
・カラム温度:35℃×2.5分⇒5℃/分で昇温⇒100℃⇒10℃/分で昇温⇒180℃×10分
・インジェクション温度:200℃
・検出器温度:200℃
・キャリヤーガス:ヘリウム
・スプリット比:200/1
・検出器:FID
Figure 0006888612
表1より、実施例1では水素化物中の1,3−ブタジエンの濃度が希釈留分中の1,3−ブタジエン濃度よりも向上しており、高VA留分の希釈により異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高収率で製造できていることが分かる。
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法および製造装置によれば、ビニルアセチレンを高濃度で含有する留分の異常反応を予防しつつ1,3−ブタジエンを高い収率で得ることができる。
10 抽出蒸留部
11 蒸発塔
12 第一抽出蒸留塔
13 放散塔
14 コンプレッサー
15 第二抽出蒸留塔
20 放散部
21 第一放散塔
22 第二放散塔
30 不純物除去部
31 低沸点物除去塔
32 高沸点物除去塔
40 混合部
50 水素化部
60 返送ライン
100 製造装置

Claims (6)

  1. 炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成した留分から1,3−ブタジエンを製造する方法であって、
    ビニルアセチレンを含有する高VA留分に対して希釈剤を添加し、前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を調製する工程と、
    前記希釈留分を水素化処理し、前記希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する工程と、
    を含み、
    前記希釈剤として、実質的に低VA留分のみを使用し、
    前記低VA留分は、前記C炭化水素混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する際に生成し、且つ、前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い留分であって、溶剤を用いて前記C 炭化水素混合物を抽出蒸留した際に留出する、前記溶剤に対してブタジエンよりも難溶性の炭化水素化合物を含む留分、並びに、前記C 炭化水素混合物の抽出蒸留により得られた、ブタジエンを高濃度で含む留分から1,3−ブタジエンよりも低沸点の不純物を除去する際に留出する留分およびブタジエンを高濃度で含む留分から1,3−ブタジエンよりも高沸点の不純物を除去する際に留出する留分である、1,3−ブタジエンの製造方法。
  2. 前記希釈留分を水素化処理して得た水素化物をC炭化水素混合物と混合し、得られた混合物から1,3−ブタジエンを分離回収する工程を更に含む、請求項1に記載の1,3−ブタジエンの製造方法。
  3. 前記希釈剤が1,3−ブタジエンを含有する、請求項1または2に記載の1,3−ブタジエンの製造方法。
  4. 前記低VA留分のビニルアセチレン濃度が0.5質量%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の1,3−ブタジエンの製造方法。
  5. 炭化水素混合物を抽出蒸留して1,3−ブタジエンを含む留分(A)とビニルアセチレンを含む抽出液(B)とを得る抽出蒸留部と、
    前記抽出液(B)から溶剤を除去してビニルアセチレンを含有する高VA留分を得る放散部と、
    前記留分(A)から前記1,3−ブタジエン以外の不純物を除去する不純物除去部と、
    前記高VA留分と、前記抽出蒸留部で生成する留分および前記不純物除去部で生成する留分の少なくとも一方とを混合して前記高VA留分よりもビニルアセチレン濃度が低い希釈留分を得る混合部と、
    前記希釈留分を水素化処理し、前記希釈留分中のビニルアセチレンを水素化して1,3−ブタジエンを生成する水素化部と、
    を備え
    前記抽出蒸留部が、前記C 炭化水素混合物を抽出蒸留して留分(C)と1,3−ブタジエンおよびビニルアセチレンを含む抽出液(D)とを得る第一抽出蒸留塔と、前記抽出液(D)中に含まれる成分を抽出蒸留して前記留分(A)と前記抽出液(B)とを得る第二抽出蒸留塔とを備え、
    前記不純物除去部が、1,3−ブタジエンよりも低沸点の不純物を除去する低沸点物除去塔と、1,3−ブタジエンよりも高沸点の不純物を除去する高沸点物除去塔とを備え、
    前記混合部が、前記留分(C)、前記低沸点物除去塔から排出される前記低沸点の不純物を含む留分(E)および前記高沸点物除去塔から排出される前記高沸点の不純物を含む留分(F)を前記高VA留分と混合する、1,3−ブタジエンの製造装置。
  6. 前記水素化部で得られた水素化物を前記抽出蒸留部へと返送する返送ラインを更に備える、請求項5に記載の1,3−ブタジエンの製造装置。
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