JP6888586B2 - エンジンの燃焼制御方法及び燃焼制御装置 - Google Patents

エンジンの燃焼制御方法及び燃焼制御装置 Download PDF

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Description

ここに開示された技術は、エンジンの燃焼制御方法及び燃焼制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、電極間に電圧を印加することにより燃焼室内にプラズマを生成するプラズマ生成手段を備えたエンジンが知られている。
例えば、特許文献1には、中心電極と接地電極との電極間に放電が生じる点火プラグ(プラズマ生成手段)と、中心電極を流れる電流を計測する第1電流計と、接地電極を流れる電流を計測する第2電流とを備え、電極間に低温プラズマ状態(非平衡プラズマ状態)を形成する短パルスの電界を発生される場合に、第1電流計で計測された電流値と第2電流計で計測された電流値との際から、電極間に流れる気体の流速を計測するエンジン(内燃機関)が開示されている。
特開2014−141919号公報
ところで、本発明者らが鋭意研究したところ、プラズマ生成手段の電極間に、当量比の高いリッチ混合気が存在しているときに、上記電極間で放電させて非平衡プラズマを生成すると、混合気の着火及び燃焼を抑制する物質(以下、抑制種という)が生成されることが分かった。このことを利用すれば、エンジンの燃焼抑制要求時に、着火時期を遅くして、燃焼を緩慢にすることできることがと分かった。
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができるようにすることにある。
上記課題を解決するために、ここに開示された技術では、燃焼室が形成された気筒と、上記燃焼室内に臨むように配置され、電極間に電圧を印加することによる放電により上記燃焼室内にプラズマを生成するプラズマ生成手段と、上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備え、上記燃料噴射手段により噴射された燃料によって形成される混合気を上記燃焼室内で燃焼させるエンジンの燃焼制御方法を対象にして、上記エンジンの運転時において、該エンジンの燃焼抑制要求時における制御として、所定当量比以上のリッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、上記燃料噴射手段により上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射工程と、上記プラズマ生成手段により非平衡プラズマを生成することで、上記燃焼室内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する抑制種生成工程とを含み、上記抑制種生成工程は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が存在している期間に、上記電極間で放電させて非平衡プラズマを生成することで、上記抑制種を生成する工程である、ものとした。
この構成によると、プラズマ生成手段の電極間に上記リッチ混合気が存在している期間に非平衡プラズマを生成するため、効率良く上記抑制種を生成することができる。これにより、上記抑制種によって、エンジンの燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御方法において、上記エンジンの燃焼抑制要求時は、該エンジンの運転状態が所定負荷以上の高負荷領域にあるときであってもよい。
すなわち、エンジンの運転状態が高負荷領域であるときは、ノッキングのような異常燃焼が生じやすい。このため、着火時期を遅らせて、燃焼を緩慢にすることが望まれる。そこで、エンジンの運転状態が高負荷領域にあるときには、上記抑制種を生成して、着火時期を遅くすることの効果をより適切に発揮することができる。
上記エンジンの燃焼制御方法において、上記所定当量比は、1〜10である、ことが好ましい。
すなわち、上記抑制種の1つに、ホルムアルデヒド(CHO)があるが、これは、燃料を構成するHCを基に生成される。よって、上記所定当量比が1〜10と比較的高ければ、上記抑制種としてのホルムアルデヒドを効率良く生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、より効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御方法の一実施形態では、上記燃料噴射工程は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、上記燃焼室内に燃料を噴射する工程であってもよい。
この構成によると、プラズマ生成手段の電極間にリッチ混合気を偏在させることが可能であるため、上記抑制種を効率的に生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御方法の上記一実施形態において、上記抑制種生成工程は、上記燃料噴射工程の終了後、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に実行する工程であってもよい。
この構成によると、プラズマ生成手段の電極間にリッチ混合気が偏在する時期に、非平衡プラズマを生成するため、上記抑制種をより効率的に生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、より一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に上記抑制種生成工程を実行する上記一実施形態において、上記抑制種生成工程よりも前に、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する偏在時期推定工程をさらに含んでもよい。
この構成によると、プラズマ生成手段の電極間にリッチ混合気が偏在する時期を予め推定することで、一層効率良く上記抑制種を生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、さらに効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御方法の上記一実施形態において、上記プラズマ生成手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間を通るように、上記エンジンに配設されており、上記抑制種生成工程は、上記燃料噴射工程において、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間に位置している時期に実行する工程であってもよい。
すなわち、燃料噴射手段から噴射中の燃料が電極間を通る時期であれば、電極間に存在する混合気はかなりリッチな状態になっている。このため、燃料噴射手段から噴射中の燃料が電極間を通る時期に非平衡プラズマを生成することで、上記抑制種を効率的に生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、より一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
本開示に係る技術の別の態様は、上記エンジンの燃焼制御装置に係る技術である。具体的には、燃焼室が形成された気筒と、上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備え、上記燃料噴射手段により噴射された燃料によって形成される混合気を上記燃焼室内で燃焼させるエンジンの燃焼制御装置を対象にして、上記燃焼室内に臨むように配置され、電極間に電圧を印加することによる放電により上記燃焼室内にプラズマを生成するプラズマ生成手段と、上記燃料噴射手段及び上記プラズマ生成手段の作動を制御する制御手段とを更に備え、上記制御手段は、上記エンジンの運転時において、該エンジンの燃焼抑制要求時における制御として、所定当量比以上のリッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、上記燃料噴射手段により上記燃焼室内に燃料を噴射させる燃料噴射制御と、上記プラズマ生成手段により非平衡プラズマを生成することで、上記燃焼室内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する抑制種生成制御とを実行可能に構成されており、上記抑制種生成制御は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が存在している期間に、上記電極間で放電させて非平衡プラズマを生成することで、上記抑制種を生成する制御である、ものとした。
この構成でも、効率良く上記抑制種を生成することにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御装置において、上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定負荷以上の高負荷領域にあるときに、上記エンジンの燃焼抑制要求時であるとして、上記抑制種生成制御を実行するように構成されていてもよい。
この構成によると、エンジンの運転状態が高負荷領域にあるときに、上記抑制種を生成して、着火時期を遅くすることの効果をより適切に発揮することができる。
上記エンジンの燃焼制御装置において、上記所定当量比は、1〜10である、ことが好ましい。
すなわち、燃料を構成するHCを基に生成される上記抑制種を効率的に生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、より効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御装置の一実施形態では、上記制御手段は、上記燃料噴射制御において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、上記燃焼室内に燃料を噴射させるように構成されている。
この構成によると、上記抑制種を効率的に生成することができる。この結果、エンジンの燃焼抑制要求時に、一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御装置の一実施形態において、上記制御手段は、上記燃料噴射制御の終了後、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に上記抑制種生成制御を実行するように構成されていてもよい。
この構成によると、上記抑制種をより効率的に生成することができる。この結果、エンジンの燃焼抑制要求時に、より一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に上記抑制種生成制御を実行する上記一実施形態において、上記制御手段は、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する偏在時期推定部を有し、上記偏在時期推定部は、上記抑制種生成制御を実行するよりも前に、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定するように構成されていてもよい。
この構成によると、一層効率良く上記抑制種を生成することができる。この結果、エンジンの燃焼抑制要求時に、さらに効率的に着火時期を遅らせることができる。
上記エンジンの燃焼制御装置の一実施形態において、上記プラズマ生成手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間を通るように、上記エンジンに配設されており、上記制御手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間に位置している時期に上記抑制種生成制御を実行するように構成されていてもよい。
この構成によると、上記抑制種を効率的に生成することができる。この結果、エンジンの燃焼抑制要求時に、より一層効率的に着火時期を遅らせることができる。
以上説明したように、ここに開示された技術によると、プラズマ生成手段の電極間に所定当量比以上のリッチ混合気が存在している期間に非平衡プラズマを生成して、燃焼室内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を効率良く生成することができ、この結果、生成された上記抑制種によって、エンジンの燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができる。
実施形態1に係る燃焼制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 放電プラグの電極周辺を示す概略図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 非平衡プラズマの生成条件を示すマップである。 非平衡プラズマを生成する際のパルス電圧の波形の一例を示すグラフである。 高負荷領域における放電態様及び燃料噴射態様の一例を示す図である。 燃料噴射時における、燃焼室内のリッチ混合気の分布を示す図である。 圧縮後期における、燃焼室内のリッチ混合気の分布を示す図である。 抑制種生成制御を実行する際のPCMの処理動作を示すフローチャートである。 抑制種生成制御を実行した場合の熱発生の履歴の一例を概略的に示す図である。 実施形態2に係る燃焼制御装置が適用されたエンジンにおける、放電プラグとインジェクタとの位置関係を示す概略図である。 実施形態2のエンジンの制御系統を示すブロック図である。 実施形態2の、高負荷領域における放電態様及び燃料噴射態様の一例を示す図である。 実施形態2において、抑制種生成制御を実行する際のPCMの処理動作を示すフローチャートである。 放電プラグの電極間の混合気の空燃比を計測するためのマップである。
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1には、実施形態1に係る燃焼制御装置が適用されたエンジン1の構成を示す。本実施形態のエンジン1は車両の搭載されるエンジンである。このエンジン1は、エンジン本体1aと、エンジン本体1aに燃焼用の空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1aで生成された排気を排出するための排気通路30とを備える。
エンジン本体1aは、直列4気筒式であって、4つの気筒2が図1の紙面と直交する方向に直列に配置されている。エンジン本体1aは上記車両の駆動源として利用される。
エンジン本体1aは、気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、気筒2に往復動(ここでは上下動)可能に嵌装されたピストン5とを有する。
気筒2は燃焼室6が形成された気筒である。詳しくは、気筒2内におけるピストン5の上方に燃焼室6が形成されている。燃焼室6はいわゆるペントルーフ型であり、シリンダヘッド4の下面で構成される燃焼室6の天井面は吸気側および排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。この燃焼室6内では、エンジン1の燃焼サイクル、すなわち、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の各行程がこの順で繰り返される。以下の説明では、ピストン5の位置や混合気の燃焼状態によらず気筒2の内側空間のうちピストン5の上面と燃焼室6の天井面との間に形成される空間を燃焼室6という。
シリンダブロック3における気筒2の周囲には、エンジン冷却水が流通するウォータジャケット3aが形成されている。ウォータジャケット3aは、4つの気筒2を囲むように、シリンダブロック3内に形成されている。
ピストン5は、シリンダブロック3内においてコンロッド8を介してクランクシャフト7と連結されている。クランクシャフト7は、ピストン5の往復動により回転駆動される。ピストン5の上面には、その中心部を含む領域をシリンダヘッド4とは反対側(下方)に凹ませたキャビティ5a(図7等参照)が形成されている。
エンジン本体1aの幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が下死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積との比は、本実施形態では15以上、特に、15〜25(例えば17程度)に設定されている。
シリンダヘッド4には、吸気通路20から供給される空気を気筒2(燃焼室6)内に導入するための吸気ポート9と、燃焼室6内で、燃料と空気との混合気が燃焼することにより生成された排気を排気通路30に導出するための排気ポート10とが形成されている。これら吸気ポート9と排気ポート10とは、気筒2毎にそれぞれ2つずつ形成されている。
シリンダヘッド4には、各吸気ポート9の燃焼室6側の開口をそれぞれ開閉する吸気弁11と、各排気ポート10の燃焼室6側の開口をそれぞれ開閉する排気弁12とが設けられている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)14が設けられている。インジェクタ14は、噴射口が形成された先端部が燃焼室6の天井面の中央付近に位置して燃焼室6の中央を臨むように取り付けられている。インジェクタ14は、その先端に複数の噴口を有し、燃焼室の天井面の中央付近からピストン5の冠面に向かって燃料を噴射するように構成されている。
インジェクタ14は、不図示の高圧ポンプから圧送された燃料を燃焼室6内に噴射する。インジェクタ14の噴射圧は、最大で70MPa程度まで高められる。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内に臨むように配設されかつ該燃焼室6内にプラズマを生成するための放電プラグ13が設けられている。図2に示すように、放電プラグ13の先端には中心電極13aと接地電極13bとが形成されている。中心電極13aは、棒状をなしていて、先端を除く部分は碍子13cによって覆われている。接地電極13bは中心電極13aと同心の円筒状をなしている。中心電極13aは電源(図示省略)に接続されており、該電源から電圧が印加されると、中心電極13aと接地電極13bとの間で放電するようになっている。そして、中心電極13aと接地電極13bとの間で放電したときには、放電のエネルギーにより、燃焼室6内にプラズマが生成される。このことから、放電プラグ13は、電極13a,13b間に電圧を印加することによる放電により燃焼室6内にプラズマを生成するプラズマ生成手段に相当する。
上記吸気通路20には、上流側から順に、エアクリーナ21と、吸気通路20を開閉するためのスロットルバルブ22とが設けられている。本実施形態では、エンジン1の運転中、スロットルバルブ22は基本的に全開もしくはこれに近い開度に維持されており、エンジン1の停止時等の限られた運転条件のときにのみ閉弁されて吸気通路20を遮断する。
上記排気通路30には、排気を浄化するための浄化装置31が設けられている。浄化装置31は、例えば、三元触媒を内蔵している。
排気通路30には、排気通路30を通過する排気の一部をEGRガスとして吸気通路20に還流するためのEGR装置40が設けられている。EGR装置40は、吸気通路20のうちスロットルバルブ22よりも下流側の部分と排気通路30のうち浄化装置31よりも上流側の部分とを連通するEGR通路41、および、EGR通路41を開閉するEGRバルブ42を有する。
尚、本実施形態に係るエンジン1は、過給機を備えていない。但し、本開示に係る技術は、過給機を備えたエンジンに適用することを排除しない。
図3は、エンジン1の制御系統を示す。本実施形態1に係るエンジン1は、制御装置としてのパワートレイン・コントロール・モジュール100(以下、PCM100という)によって統括的に制御される。PCM100は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。
車両には各種センサが設けられている。PCM100はこれらセンサと電気的に接続されており、PCM100には、各センサからの検出信号が入力される。例えば、エンジン1には、エンジン本体1aの温度を検出するエンジン温度センサSN1と、吸気通路20に流入する吸気流量を検出するエアフローセンサSN2と、燃焼室6に供給される吸気の圧力を検出する吸気圧センサSN3と、クランクシャフト7の回転角度を検出するクランク角センサSN4と、運転者により操作される不図示のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN5と、各気筒2にそれぞれ1つずつ設けられ、各気筒2内の圧力をそれぞれ検出する筒内圧センサSN6が設けられている。
エンジン温度センサSN1は、例えば、ウォータジャケット3aを流通するエンジン冷却水の温度を検出することで、エンジン本体1aの温度を検出する。尚、エンジン温度センサSN1は、排気温度を検出することで、エンジン本体1aの温度を検出するセンサであってもよく、エンジンオイルの油温を検出することで、エンジン本体1aの温度を検出するセンサであってもよい。
PCM100は、クランク角センサSN4の検出結果からエンジン本体1aの回転数(エンジン回転数)を算出する。PCM100は、アクセル開度センサSN5の検出結果からエンジン負荷を算出する。PCM100は、筒内圧センサSN6の検出結果から、燃焼室6内の熱発生率を算出する。
PCM100は、これらセンサSN1〜SN6等からの入力信号に基づいて種々の演算を実行して、放電プラグ13、インジェクタ14、スロットルバルブ22、EGRバルブ42等のエンジン1の各部を制御する。
PCM100は、放電プラグ13の電極13a,13b間に、所定当量比以上の混合気(以下、リッチ混合気という)が偏在する時期を推定する偏在時期推定部101を有している。
〈非平衡プラズマの生成〉
本実施形態では、エンジン1の燃焼サイクルにおいて、非平衡プラズマを生成することにより、エンジン1の燃焼状態を制御するようにしている(制御の詳細については後述する)。尚、非平衡プラズマとは、燃焼室6内のガス温度の上昇を伴わず、燃焼室6内の電子と、燃焼室6内のガスのイオンや分子とが熱平衡状態にないプラズマのことをいう。
本実施形態では、非平衡プラズマは、放電プラグ13の電極13a,13b間に印加するパルス電圧を制御することにより、特に、パルス電圧のパルス幅を制御することにより生成する。図4及び図5は、非平衡プラズマの生成条件を示す。図4の横軸はパルス幅であり、対数スケールで示している。一方、図4の縦軸は印加電圧のピーク値であり、対数スケールで示している。図4に示すように、パルス幅を短くすると(0.01μsec以上かつ1μsec未満にすると)非平衡プラズマが生成され、パルス幅を長くすると(1μsec以上にすると)熱平衡プラズマが生成されることが分かる。これは、パルス幅の短いパルス電圧では、電子のみが反応して、イオンや分子はほとんど反応しないためである。
本実施形態では、図5に示すように、基本的には、ピーク電圧が10kV、パルス幅が0.1μsecのパルス電圧を、放電プラグ13の電極13a,13b間に印加して、非平衡プラズマを生成する。また、PCM100は、非平衡プラズマを生成する際には、上記のパルス電圧を100kHzの周波数で繰り返し放電させる。
尚、非平衡プラズマを生成する際のパルス電圧におけるピーク電圧は、筒内圧等に基づいて1kV〜30kVの範囲で変更してもよい。詳しくは、筒内圧が高いほど、ピーク電圧を高く設定してもよい。
燃焼室6内で非平衡プラズマを生成すると、放電プラグ13の電極13a,13bの周辺の状態に応じて、種々の物質が生成される。例えば、電極13a,13bの周辺が、当量比が小さいリーンな状態であった場合には、非平衡プラズマを生成すると、オゾン(O)やOH等の、燃焼室6内での混合気の燃焼を促進させる物質である活性種が生成される。一方で、電極13a,13bの周辺が、当量比が大きいリッチな状態であった場合には、燃料を基にして、ホルムアルデヒド(CHO)や水(HO)等の、燃焼室6内での混合気の燃焼を抑制させる物質である抑制種が生成される。
〈燃焼制御〉
本実施形態では、エンジン1の全運転領域において、圧縮着火燃焼(CI燃焼)が実施される。具体的には、圧縮上死点よりも前にインジェクタ14から燃焼室6内に燃料が噴射され、この燃料と空気との混合気を燃焼室6内で圧縮することで昇温させ、圧縮上死点付近で混合気を自着火させる。
ここで、エンジン1の運転状態が、エンジン負荷が所定負荷以上の高負荷であるときには、燃焼室6内が高温状態になるため、ノッキングのような異常燃焼が生じ易い。特に、本実施形態1のエンジン本体1aは、幾何学的圧縮比が15以上と比較的高いため、ノッキングが生じ易い。ノッキングのような異常燃焼は、燃焼騒音の増大やピストン等の損傷の原因となる。このため、エンジン1の運転状態が高負荷領域にあるときには、異常燃焼を抑制するために、燃焼を抑制することが求められる。尚、上記所定負荷は、ノッキングのような異常燃焼が生じる可能性のある負荷の下限値である。
そこで、本実施形態1では、PCM100は、エンジン1の運転時において、エンジン1の運転状態が上記所定負荷以上の高負荷領域であるようなエンジン1の燃焼抑制要求時に、放電プラグ13により非平衡プラズマを生成することで、燃焼室6内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成させる。より詳しくは、PCM100は、所定当量比以上の上記リッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、インジェクタ14により燃焼室6内に燃料を噴射させる燃料噴射制御を実行するとともに、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が存在している期間に、電極13a,13b間で放電させて非平衡プラズマを生成して、上記抑制種を生成する抑制種生成制御を実行する。尚、上記所定当量比は、非平衡プラズマを生成した際に、上記活性種よりも上記抑制種が多く生成されるような当量比であり、例えば、1〜10である。
図6は、エンジン1の運転状態が高負荷領域であるときの放電態様及び燃料噴射態様の一例を示している。図6では、圧縮上死点のクランク角を0°としており、これに対して進角側(圧縮上死点よりも早い時期)をマイナスで表し、遅角側(圧縮上死点よりも遅い時期)をプラスで表している。図6において、吸気行程は−360°〜−180°の期間であり、圧縮行程は、−180°〜0°の期間である。また、各行程の前期及び後期とは、各行程の実施期間(クランク角度での期間)を均等に2分割したときの、前半の期間が前期に相当し、後半の期間がそれぞれ後期に相当する。
高負荷領域では、図6に示すように、PCM100は、吸気行程中にインジェクタ14から燃料を噴射する。そして、圧縮行程後期において、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が存在している期間(クランク角期間)に、上記抑制種生成制御を実行して、上記抑制種を燃焼室6内に生成する。
図7は、吸気行程における燃焼噴射時の燃焼室6内のリッチ混合気の分布を示す。吸気行程前期でインジェクタ14から噴射された燃料は、ピストン5のキャビティ5a内に向かって飛翔し、キャビティ5a周辺に偏在する。キャビティ5a周辺に偏在する燃料は、空気(新気)やEGRガスと混じり合うことにより、キャビティ5a周辺にリッチ混合気層51を形成する。吸気行程が進んで、ピストン5が下降したとしても、上記リッチ混合気は比重が大きいので、燃焼室6の下側に集まる。
上記燃料噴射制御の終了後、圧縮行程に入り、ピストン5が上昇すると、ピストン5の上昇流と吸気の噴き戻しとによって、図8に示すように、上記リッチ混合気が上昇する。これにより、圧縮行程後期において、リッチ混合気層51が放電プラグ13の電極13a,13b周辺に位置するようになって、電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在するようになる。このことから、PCM100は、上記燃料噴射制御において、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、燃焼室6内に燃料を噴射させている。
そして、PCM100は、上記のように、ピストン5の上昇流と吸気の噴き戻しとによって、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期に、該電極13a,13b間で放電させ、非平衡プラズマを生成させて、上記抑制種を生成する。本実施形態1では、電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期については、偏在時期推定部101により推定する。この偏在時期推定部101には、予め実験やシミュレーションにより求められた、圧縮行程後期において、電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期を求めるためのマップや計算式が記憶されている。偏在時期推定部101は、エンジン負荷やエンジン回転数などのパラメータに基づいて、上記マップや上記計算式により、圧縮行程後期において、電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する。偏在時期推定部101による上記リッチ混合気の上記偏在時期の推定は、上記抑制種生成制御を実行する前に行われる。このように、放電プラグ13の電極13a,13b間にリッチ混合気が偏在する時期を予め推定することで、効率良く上記抑制種を生成することができる。
次に、上記抑制種生成制御を実行する際のPCM100の処理動作について、図9を参照して説明する。このフローチャートに基づく処理動作は、エンジン1が作動している間は1燃焼サイクル毎に実行される。以下に説明する処理動作では、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期の推定は、偏在時期推定部101により実行される。
まず、ステップS101において、PCM100は、各センサSN1〜SN6からの情報を読み込む。
次のステップS102では、PCM100は、エンジン負荷が所定負荷以上であるか否かを判定する。PCM100は、エンジン負荷が所定負荷以上であるYESのときには、ステップS103に進む一方で、エンジン負荷が所定負荷未満であるNOのときには、リターンする。
上記ステップS103では、PCM100は、吸気行程前期においてインジェクタ14からの燃料噴射を開始する。燃料噴射の終了時期については、エンジン負荷等に基づいて算出された燃料噴射に応じて設定される。
次のステップS104では、PCM100は、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する。
続くステップS105では、PCM100は、上記抑制種生成制御を実行する期間、すなわち、電極13a,13b間への放電期間を設定する。このステップS105では、PCM100は、上記ステップS4で推定された、電極13a,13b間への上記リッチ混合気の偏在時期に応じて、電極13a,13b間への放電期間を設定する。
次のステップS106では、PCM100は、放電開始時期(放電を開始するクランク角度)になったか否かを判定する。PCM100は、放電開始時期になったYESのときには、ステップS107に進む一方で、未だ放電開始時期になっていないNOのときには、放電開始時期になるまでステップS106の判定を繰り返す。
上記ステップS107では、PCM100は、電極13a,13b間にパルス電圧を印加して、電極13a,13b間で放電させる。これにより、非平衡プラズマを生成して、燃焼室6内に上記抑制種を生成する。
次のステップS108では、PCM100は、上記ステップS105で設定した放電期間が経過したか否かを判定する。PCM100は、放電期間が経過したYESのときには、ステップS109に進む一方で、未だ放電期間が経過していないNOのときには、ステップS107に戻って、放電期間が経過するまで、電極13a,13b間で放電させる。
上記ステップS109では、PCM100は、電極13a,13b間の放電を停止させる。ステップS109の後はリターンする。
図10は、上記抑制種生成制御を実行した場合の熱発生の履歴を示す。この図10において、実線は、上記抑制種生成制御を実行したときの熱発生の履歴であり、破線は、上記抑制種生成制御を実行していないときの熱発生率の履歴である。図10では、圧縮上死点のクランク角を0°としており、これに対して進角側(圧縮上死点よりも早い時期)をマイナスで表し、遅角側(圧縮上死点よりも遅い時期)をプラスで表している。
図10に示すように、上記抑制種生成制御を実行することで、着火時期、すなわち、熱発生率が上昇し始める時期が遅角されていることが分かる。これは、上記抑制種が燃焼室6内に存在することによって、燃料の分解が抑制されて、混合気の燃焼が抑制されるためである。また、上記抑制種生成制御を実行したときには、上記抑制種生成制御を実行していないときと比較して、燃焼が緩慢になっていることが分かる。これは、上記抑制種により着火時期が遅くなったことに加えて、上記抑制種により着火後の火炎伝播も抑制されるためである。このように、エンジン1の燃焼抑制要求時に、上記抑制種生成制御によって燃焼室6内に上記抑制種を生成することで、着火時期を遅らせることができる。
したがって、本実施形態1では、エンジン1の運転時において、該エンジン1の燃焼抑制要求時に、所定当量比以上のリッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、インジェクタ14により燃焼室6内に燃料を噴射させる燃料噴射制御を実行するとともに、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が存在している期間に、電極13a,13b間で放電させて非平衡プラズマを生成することで、燃焼室6内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する抑制種生成制御を実行するため、効率良く上記抑制種を生成することができ、生成された上記抑制種によって、エンジン1の燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができる。
また、本実施形態1では、圧縮行程後期において、ピストン5の上昇流と吸気の噴き戻しとによって、上記リッチ混合気が上昇して、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期に、非平衡プラズマを生成する(電極13a,13b間で放電する)ため、上記抑制種をより効率的に生成することができる。これにより、エンジン1の燃焼抑制要求時に、より効率的に着火時期を遅らせることができる。
さらに、本実施形態1では、非平衡プラズマを生成する(電極13a,13b間で放電する)よりも前に、圧縮行程後期において、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定するため、一層効率良く上記抑制種を生成することができる。これにより、エンジンの燃焼抑制要求時に、さらに効率的に着火時期を遅らせることができる。
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態2では、エンジン本体1aにおける、放電プラグ213とインジェクタ214との配置が上記実施形態1とは異なる。具体的には、本実施形態2では、放電プラグ213は、インジェクタ214からの燃料の噴射角度に応じて配設されている。より詳しくは、図11に示すように、放電プラグ213は、インジェクタ214から噴射中の燃料の少なくとも一部が電極213a,213b間を通るように配設されている。これにより、インジェクタ214から燃料が噴射されている間は、電極213a,213b間には、所定当量比以上のリッチ混合気が偏在することになる。つまり、本実施形態2でも、PCM100は、上記リッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、インジェクタ214により燃焼室6内に燃料を噴射させる燃料噴射制御を実行する。より詳しくは、PCM100は、上記燃料噴射制御において、放電プラグ213の電極213a,213b間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、燃焼室6内に燃料を噴射させる。
また、本実施形態2では、エンジン1の制御系統が上記実施形態1とは異なる。具体的には、本実施形態2では、図12に示すように、PCM100が偏在時期推定部を有していない。
さらに、本実施形態2では、エンジン1の運転状態が、エンジン負荷が所定負荷以上の高負荷であるときの放電態様及び燃料噴射態様が、上記実施形態1とは異なる。図13には、エンジン1の運転状態が高負荷領域であるときの放電態様及び燃料噴射態様の一例を示している。図13では、圧縮上死点のクランク角を0°としており、これに対して進角側(圧縮上死点よりも早い時期)をマイナスで表し、遅角側(圧縮上死点よりも遅い時期)をプラスで表している。図13において、吸気行程は−360°〜−180°の期間であり、圧縮行程は、−180°〜0°の期間である。
高負荷領域では、図13に示すように、PCM100は、吸気行程中にインジェクタ214から燃料を噴射する。そして、インジェクタ214による燃料の噴射と同期して、インジェクタ214から噴射中の燃料が放電プラグ213の電極213a,213b間に位置している時期に、電極213a,213b間で放電させて、燃焼室6内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する。つまり、本実施形態2では、PCM100は、燃料噴射制御と抑制種生成制御とを同期して実行する。このため、電極213a,213b間に上記リッチ混合気が偏在する時期は、インジェクタ14による燃料の噴射時期であり、本実施形態2では、特に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する必要がない。
上述したように、放電プラグ213は、インジェクタ214から噴射中の燃料の少なくとも一部が電極213a,213b間を通るように配設されており、インジェクタ214から燃料が噴射されている間は、電極213a,213b間には上記リッチ混合気が形成される。このため、インジェクタ214による燃料の噴射と同期して、電極213a,213b間で放電させれば、効率良く上記抑制種を生成することができる。
次に、本実施形態2において、抑制種生成制御を実行する際のPCM100の処理動作について、図14を参照して説明する。このフローチャートに基づく処理動作は、エンジン1が作動している間は1燃焼サイクル毎に実行される。
まず、ステップS201において、PCM100は、各センサSN1〜SN6からの情報を読み込む。
次のステップS202では、PCM100は、エンジン負荷が所定負荷以上であるか否かを判定する。PCM100は、エンジン負荷が所定負荷以上であるYESのときには、ステップS203に進む一方で、エンジン負荷が所定負荷未満であるNOのときには、リターンする。
上記ステップS203では、PCM100は、吸気行程前期においてインジェクタ214からの燃料噴射を開始する。燃料噴射の終了時期については、エンジン負荷等に基づいて算出された燃料噴射に応じて設定される。
次のステップS204では、PCM100は、上記抑制種生成制御を実行して、放電プラグ213の電極213a,213b間での放電を開始させる。
次のステップS205では、PCM100は、インジェクタ214による燃料噴射が完了したか否かを判定する。PCM100は、燃料噴射が完了したYESのときには、ステップS206に進む一方で、未だ放電開始時期になっていないNOのときには、燃料噴射が完了するまで、電極213a,213b間での放電を継続させる。
上記ステップS206では、PCM100は、電極213a,213b間での放電を停止させる。ステップS206の後はリターンする。
したがって、本実施形態2では、放電プラグ213は、インジェクタ214から噴射中の燃料が電極213a,213b間を通るように、エンジン1に配設されており、インジェクタ214から噴射中の燃料が電極213a,213b間に位置している時期に上記抑制種生成制御を実行するため、効率良く上記抑制種を生成することができ、生成された上記抑制種によって、エンジン1の燃焼抑制要求時に、着火時期を遅らせることができる。
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態1では、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定していたが、これに限らず、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気があるか否かを検出するようにしてもよい。具体的には、PCM100に、図15に示すような、電極13a,13b間の混合気の空燃比を検出するためのマップを予め格納させておく。次に、筒内圧センサSN6の検出結果から、空燃比の推定に利用する直線を決定させる。次いで、非平衡プラズマを生成するためのパルス電圧を電極13a,13b間に印加した際に生じるイオン電流を測定する。その後、測定したイオン電流の値をマップに当てはめて、電極13a,13b間の混合気の空燃比を求める。これにより、電極13a,13b間の混合気の空燃比を検出することができる。そして、検出された空燃比から当量比を算出すれば、電極13a,13b間の混合気が上記リッチ混合気であるか否かを判定することができる。これにより、放電プラグ13の電極13a,13b間に上記リッチ混合気があるか否かを検出することができる。
また、上述の実施形態2でも、上記のように、放電プラグ213の電極213a,213b間に上記リッチ混合気があるか否かを検出するようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態1及び2を組み合わせてもよい。すなわち、インジェクタ14(214)による燃料の噴射と同期して、放電プラグ13(213)の電極13a,13b(213a,213b)間で放電して、上記抑制種を生成するとともに、圧縮行程後期において、電極13a,13b(213a,213b)間に上記リッチ混合気が偏在する時期にも、該電極13a,13b(213a,213b)間で放電して、上記抑制種を生成するようにしてもよい。特に、エンジン1の運転状態が、エンジン回転数が高い領域にあるときには、吸気行程及び圧縮行程の実時間(ピストン5が移動する時間)が短いため、十分な量の上記抑制種を生成するために、吸気行程及び圧縮行程の両方で上記抑制種を生成することが好ましい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
ここに開示された技術は、燃焼室が形成された気筒と、該気筒に嵌挿されたピストンの往復動により回転駆動されるクランクシャフトと、上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備え、上記燃料噴射手段により噴射された燃料によって形成される混合気を上記燃焼室内で燃焼させるエンジンに有用である。
1 エンジン
5 ピストン
6 燃焼室
7 クランクシャフト
13 放電プラグ(プラズマ生成手段)
13a 中心電極(プラズマ生成手段の電極)
13b 接地電極(プラズマ生成手段の電極)
14 インジェクタ(燃焼噴射手段)
100 PCM(制御手段)

Claims (14)

  1. 燃焼室が形成された気筒と、上記燃焼室内に臨むように配置され、電極間に電圧を印加することによる放電により上記燃焼室内にプラズマを生成するプラズマ生成手段と、上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備え、上記燃料噴射手段により噴射された燃料によって形成される混合気を上記燃焼室内で燃焼させるエンジンの燃焼制御方法であって、
    上記エンジンの運転時において、該エンジンの燃焼抑制要求時における制御として、
    所定当量比以上のリッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、上記燃料噴射手段により上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射工程と、
    上記プラズマ生成手段により非平衡プラズマを生成することで、上記燃焼室内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する抑制種生成工程とを含み、
    上記抑制種生成工程は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が存在している期間に、上記電極間で放電させて非平衡プラズマを生成することで、上記抑制種を生成する工程であることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記エンジンの燃焼抑制要求時は、該エンジンの運転状態が所定負荷以上の高負荷領域にあるときであることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記所定当量比は、1〜10であることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記燃料噴射工程は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、上記燃焼室内に燃料を噴射する工程であることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  5. 請求項4に記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記抑制種生成工程は、上記燃料噴射工程の終了後、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に実行する工程であることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  6. 請求項5に記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記抑制種生成工程よりも前に、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する偏在時期推定工程をさらに含むことを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  7. 請求項4に記載のエンジンの燃焼制御方法において、
    上記プラズマ生成手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間を通るように、上記エンジンに配設されており、
    上記抑制種生成工程は、上記燃料噴射工程において、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間に位置している時期に実行する工程であることを特徴とするエンジンの燃焼制御方法。
  8. 燃焼室が形成された気筒と、上記燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段とを備え、上記燃料噴射手段により噴射された燃料によって形成される混合気を上記燃焼室内で燃焼させるエンジンの燃焼制御装置であって、
    上記燃焼室内に臨むように配置され、電極間に電圧を印加することによる放電により上記燃焼室内にプラズマを生成するプラズマ生成手段と、
    上記燃料噴射手段及び上記プラズマ生成手段の作動を制御する制御手段とを更に備え、
    上記制御手段は、上記エンジンの運転時において、該エンジンの燃焼抑制要求時における制御として、所定当量比以上のリッチ混合気が少なくとも局所的に形成されるように、上記燃料噴射手段により上記燃焼室内に燃料を噴射させる燃料噴射制御と、上記プラズマ生成手段により非平衡プラズマを生成することで、上記燃焼室内での混合気の燃焼を抑制する物質である抑制種を生成する抑制種生成制御とを実行可能に構成されており、
    上記抑制種生成制御は、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が存在している期間に、上記電極間で放電させて非平衡プラズマを生成することで、上記抑制種を生成する制御であることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  9. 請求項8に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記制御手段は、上記エンジンの運転状態が所定負荷以上の高負荷領域にあるときに、上記エンジンの燃焼抑制要求時であるとして、上記抑制種生成制御を実行するように構成されていることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  10. 請求項8又は9に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記所定当量比は、1〜10であることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  11. 請求項8〜10のいずれか1つに記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記制御手段は、上記燃料噴射制御において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在可能なように、上記燃焼室内に燃料を噴射させるように構成されていることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  12. 請求項11に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記制御手段は、上記燃料噴射制御の終了後、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期に上記抑制種生成制御を実行するように構成されていることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  13. 請求項12に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記制御手段は、圧縮行程後期において、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定する偏在時期推定部を有し、
    上記偏在時期推定部は、上記抑制種生成制御を実行するよりも前に、上記プラズマ生成手段の上記電極間に上記リッチ混合気が偏在する時期を推定するように構成されていることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
  14. 請求項11に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    上記プラズマ生成手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間を通るように、上記エンジンに配設されており、
    上記制御手段は、上記燃料噴射手段から噴射中の燃料が上記電極間に位置している時期に上記抑制種生成制御を実行するように構成されていることを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
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