JP6887903B2 - 時計用接着剤組成物、時計用接着剤組成物の製造方法、時計および時計の製造方法 - Google Patents

時計用接着剤組成物、時計用接着剤組成物の製造方法、時計および時計の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、時計用接着剤組成物、時計用接着剤組成物の製造方法、時計および時計の製造方法に関する。
時計に用いる接着剤組成物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ダイマー酸変性ビスフェノール型エポキシ樹脂と、イミダゾール系硬化剤とを含む溶液状の接着剤組成物が知られている(特許文献1)。この接着剤組成物によれば、時計の部品同士を高い密着性で固定できる。
特開2017−75219号公報
しかしながら、上記接着剤組成物は硬化後に着色しやすい問題があった。
そこで、本発明の目的は、時計の部品同士を高い密着性で固定できるとともに、硬化後にも無色透明性を維持し得る時計用接着剤組成物を提供することにある。
本発明に係る時計用接着剤組成物は、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物であって、上記チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃での粘度が150mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含み、上記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれる。
本発明の時計用接着剤組成物は、時計の部品同士を高い密着性で固定できるとともに、硬化後にも無色透明性を維持し得る。
図1は、薄型の防水時計を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
<時計用接着剤組成物>
実施形態に係る時計用接着剤組成物は、特定のエポキシ化合物とチオール系硬化剤と硬化促進剤とを含み、上記硬化促進剤を特定の量で含む。上記時計用接着剤組成物は、特定の成分を含むため、時計の部品同士を高い密着性で固定(接着)できる。
また、上記時計用接着剤組成物は、上記硬化促進剤を特定の量で含むため、適度な粘度を有し、高い安定性を有する。たとえば、細かい部品を接着して得られる腕時計においては、先が細いディスペンサー等により、部品に対して時計用接着剤組成物を適切に付着させる必要がある。細かい部品同士の接着としては、たとえば、ダイヤモンド等の宝石を加締めた台座と外装ケースとの接着、文字板と植え物との接着が挙げられる。植え物としては、具体的には、時刻を示す切分および時字、日付窓に用いる窓枠などが挙げられる。適度な粘度を有し、高い安定性を有する上記時計用接着剤組成物は、部品に適切に付着できる。このため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
また、上記時計用接着剤組成物の硬化物は、特定の成分を含むため、適度な柔軟性を有する。このため、圧力がかかって時計が変形した場合であっても、上記硬化物はこの変形に追従できる。より具体的には、上記硬化物にひびが入ったり、上記硬化物が部品から剥がれたりしにくい。たとえば、薄型の防水時計では、圧力によってたわみが生じ得る。このように、たわみが生じ得る時計においても、適度な柔軟性を有する硬化物を与える上記時計用接着剤組成物は、高い密着性を維持できるため好適に用いられる。
さらに、上記時計用接着剤組成物は、上記チオール系硬化剤を含むため、硬化前も硬化後も、無色であり高い透明性を有する。たとえば、ガラスとベゼルとの接着など、ガラスを通して、上記時計用接着剤組成物の硬化物が視認可能な場合がある。このように、上記硬化物が視認可能な場合にも、無色であり高い透明性を有する硬化物を与える上記時計用接着剤組成物は、美観を損ねないため好適に用いられる。
〔エポキシ化合物〕
実施形態に係る時計用接着剤組成物に用いるエポキシ化合物は、1分子中に2個のエポキシ基を有する。エポキシ化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記時計用接着剤組成物にエポキシ化合物を用いると、高い密着性を発揮できる。したがって、高い信頼性を有する時計が得られる。
エポキシ化合物は、液状のエポキシ化合物であることが好ましい。本明細書において、液状のエポキシ化合物は、25℃、1.013×105N/m2での粘度が1500mPa・s以上15000mPa・s以下であることが好ましく、1500mPa・s以上4500mPa・s以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、粘度は回転粘度計により求めた値である。
エポキシ化合物としては、具体的には、ビスフェノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAなどのビスフェノール類のジグリシジルエ−テル類が挙げられる。
上記粘度範囲にあるエポキシ化合物として、ビスフェノールFのジグリシジルエ−テルを用いると、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する上記時計用接着剤組成物が得られる。また、このようなエポキシ化合物を含む時計用接着剤組成物を用いて部品同士を接着すると、より高い密着性とより適度な柔軟性とが発揮できる。
〔チオール系硬化剤〕
実施形態に係る時計用接着剤組成物に用いるチオール系硬化剤は、チオール基(−SH基)を有する化合物である。このようなチオール系硬化剤を含む時計用接着剤組成物を用いて時計の部品同士を接着すると、高い密着性が発揮できる。また、上記時計用接着剤組成物は、硬化前も硬化後も、無色であり高い透明性を有する。
チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃、1.013×105N/m2での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含む。4官能のチオール化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。4官能のチオール化合物を含む時計用接着剤組成物は、適度な粘度を有し、高い安定性を有するとともに、適度な硬化性を有するため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
また、チオール系硬化剤は、1分子中に3個のチオール基を有し、24℃、1.013×105N/m2での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である3官能のチオール化合物をさらに含むことが好ましい。3官能のチオール化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。4官能のチオール化合物および3官能のチオール化合物を組み合わせると、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。このため、細かい部品同士の接着により好適に用いられる。
さらに、チオール系硬化剤として、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物のみを含むことがより好ましい。さらに適度な粘度を有し、さらに高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。このため、細かい部品同士の接着にさらに好適に用いられる。
上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物において、上記チオール基が、下記式(1)または下記式(2)で表される基として含まれることが好ましい。このように、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物は、チオール基を有する下記式(1)または下記式(2)で表される基を含むことが好ましい。いいかえると、上記4官能のチオール化合物は、1分子中に下記式(1)または下記式(2)で表される基を合計で4個有することが好ましく、上記3官能のチオール化合物は、1分子中に下記式(1)または下記式(2)で表される基を合計で3個有することが好ましい。なお、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物において、下記式(1)で表される基と下記式(2)で表される基とを両方有していてもよく、下記式(1)で表される基および下記式(2)で表される基のいずれかの基のみを有していてもよい。下記式(1)または下記式(2)で表される基を含む場合は、この時計用接着剤組成物を用いて部品同士を接着した時計は高い耐水性を発揮する。これは、上記時計用接着剤組成物が適切な架橋密度で硬化するためと考えられる。また、下記式(1)で表される基を含む場合は、下記式(2)で表される基を含む場合よりも、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。
Figure 0006887903
上記式(1)中、nは、1または2を表す。
Figure 0006887903
上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物としては、具体的には、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールと、メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸などのメルカプト有機酸とのエステル化合物が挙げられる。上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物としては、より具体的には、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が挙げられる。
上記時計用接着剤組成物は、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物の合計100質量部に対して、上記4官能のチオール化合物を50質量部以上90質量部以下の量で含み、上記3官能のチオール化合物を10質量部以上50質量部以下の量で含むことが好ましい。上記化合物が上記の量で含まれていると、さらに高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。このため、細かい部品同士の接着にさらに好適に用いられる。
〔硬化促進剤〕
実施形態に係る時計用接着剤組成物に用いる硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれる。硬化促進剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記時計用接着剤組成物の安定性の観点からアミン系硬化促進剤が含まれていることが好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンなどのアミン化合物が挙げられる。これらのうちで、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが好適に用いられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、テトラフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシル−1,2−ジメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニドが挙げられる。これらのうちで、テトラメチルグアニジン、テトラエチルグアニジン、テトラフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシル−1,2−ジメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジンが好適に用いられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、 1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ)−3−フェノキシプロピル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;イミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
〔その他の成分〕
上記時計用接着剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに、充填剤、希釈剤、可撓性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤、チクソトロピー性付与剤、分散剤などを含んでいてもよい。
上記時計用接着剤組成物において、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、通常0.02質量部以上0.08質量部以下の量で、好ましくは0.02質量部以上0.04質量部以下の量で含まれる。上記硬化促進剤が上記量で含まれていると、高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。このため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。なお、イミダゾール系硬化促進剤を用いる場合であっても、この量であれば、上記時計用接着剤組成物およびその硬化物も、無色であり高い透明性を有する。
上記時計用接着剤組成物において、上記チオール系硬化剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、65質量部以上75質量部以下の量で含まれることが好ましい。上記チオール系硬化剤が上記量で含まれていると、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する時計用接着剤組成物が得られる。また、このような時計用接着剤組成物を用いて部品同士を接着すると、より高い密着性とより適度な柔軟性とが発揮できる。
上記時計用接着剤組成物は、製造後に保管する場合は冷凍(たとえば−18℃以下、好ましくは−40℃以下)で保管することが好ましい。これにより、たとえば少なくとも数か月は変質せずに保管できる。上記時計用接着剤組成物は、製造後通常3時間以上、好ましくは6時間以上は、25℃、1.013×105N/m2での粘度が50mPa・s以上15000mPa・s以下の範囲にある。また、上記時計用接着剤組成物は、冷凍での保管後、25℃に戻してから通常3時間以上、好ましくは6時間以上は、25℃、1.013×105N/m2での粘度が50mPa・s以上15000mPa・s以下の範囲にある。なお、上記時計用接着剤組成物の粘度が上記範囲にあると、通常、25℃において、ニードル(内径:0.3mm、長さ:0.4mm)を付けたディスペンサーにより吐出できる状態にある。このように、適度な粘度を有し、高い安定性を有する上記時計用接着剤組成物は、狭い隙間でも均一に付着できる。したがって、特に細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
また、上記時計用接着剤組成物は、時計ケースとガラスとの接着に用いた場合、通常20kgf以上の固定力を有する。さらに、上記時計用接着剤組成物は、硬化前、硬化後ともに、平均透過率(波長:450nm以上700nm以下、L:0.5mm)が通常70%以上である。
上記時計用接着剤組成物の製造方法は、均一な組成物が得られればよく、特に限定されない。具体的には、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを混合する工程を含む。混合には、たとえば自転・公転ミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機が用いられる。より具体的には、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを混合してから、さらにエポキシ化合物を加えて混合することが好ましい。あるいは、チオール系硬化剤とエポキシ化合物とを混合してから、さらに硬化促進剤を加えて混合することが好ましい。たとえば、混合する際の温度は、通常10℃〜30℃、好ましくは20℃〜30℃であり、混合時間は、通常1秒〜5分、好ましくは5秒〜3分である。これにより、上述した時計用接着剤組成物が得られる。
上記時計用接着剤組成物(時計用接着剤)は、上述のように1液型時計用接着剤であってもよいが、2液型時計用接着剤であってもよい。時計用接着剤組成物の取り扱いやすさの点から2液型時計用接着剤であることも好ましい。上記時計用接着剤組成物が2液型時計用接着剤の場合、該接着剤は、エポキシ化合物を含む組成物(主剤)と、チオール系硬化剤および硬化促進剤を含む組成物(硬化剤)とで構成される。また、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、通常0.02質量部以上0.08質量部以下の量で用いる。上記硬化剤は、チオール系硬化剤および硬化促進剤を適宜混合して調整する。2液型時計用接着剤を構成する組成物(主剤および硬化剤)には、本発明の目的を阻害しない範囲で上述したその他の成分が、それぞれ含まれていてもよい。なお、2液型時計用接着剤におけるその他の点については、上述した1液型時計用接着剤における説明と同様である。
<時計>
実施形態に係る時計は、部品同士が、上述した時計用接着剤組成物によって接着されている時計である。上記時計は、時計の部品同士が高い密着性で固定(接着)されており、信頼性、寿命の点で好ましい。上記時計用接着剤組成物は、適度な粘度を有し、高い安定性を有するため、狭い隙間でも均一に付着できる。したがって、時計において、特に細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
上記時計は、具体的には、ダイヤモンド等の宝石を加締めた台座と外装ケースとが上述した時計用接着剤組成物によって接着されている腕時計であることが好ましい。また、文字板と植え物とが上述した時計用接着剤組成物によって接着されている腕時計であることが好ましい。また、上述した時計用接着剤組成物によって、外装ケースの孔にパイプが接着されている腕時計であることも好ましい。このように細かい部品を接着して得られる腕時計においては、先が細いディスペンサー等により、部品に対して適切に接着剤組成物を付着させる必要がある。適度な粘度を有し、高い安定性を有する上記時計用接着剤組成物は、部品に適切に付着できる。このため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
また、上記時計は、具体的には、薄型の防水時計であることも好ましい。図1は、薄型の防水時計を示す図である。この防水時計は、ヘッド10を構成する外装ケースとしてベゼル12、ガラス14、ケース16および耐圧板18を有する。なお、図1は、ヘッド10の断面片側を示している。また、図1は模式的に表した図であり、サイズ、形状などはこれに限定されない。
ヘッド10では、外装ケースの厚みもそれぞれ薄く、外装ケースにより構成される外装はムーブメント20を安定に保持するために特殊な構造となる。すなわち、ベゼル12およびガラス14で構成される部分と、ケース16および耐圧板18で構成される部分との2体構造となる。これら2つの部分はねじ22により固定されている。
なお、ヘッド10の中には、ムーブメント20の他に、文字板24などが備えられており、文字板24とガラス14との間は空間となっている。
上述したように、薄型の防水時計はヘッド10の厚みが薄い。ヘッドの厚み10とは、具体的には、図1に示すように文字板24と垂直方向であり、かつガラス14表面から耐圧板18表面までの距離であって、最も大きい距離をいう。一般の腕時計としては10mmのヘッドの厚さを基準としてプラス2mmマイナス2mmの範囲が標準である。薄型の防水時計の厚さは、通常8mm未満、好ましくは4mm未満、より好ましくは3mm未満である。
ベゼル12に接着し固定するとともに文字板24にかぶせるガラス14は、時計の強度の観点から、ミネラルガラス、クリスタルガラス、石英ガラスまたはサファイアガラスからなることが好ましい。
ガラス14の厚みは、強度と薄さのバランスの観点から、好ましくは450μm以上550μm以下であり、より好ましくは500μm以上550μm以下である。
ベゼル12およびケース16は、時計の強度の観点から、ステンレス(例えばSUS316L)、純チタンなどのチタンまたはサーメットで形成することが好ましい。
裏面に当たるケース16は中心部が抜けた構造になっており、ここへ耐圧板18を接着(固定)する。耐圧板18はヤング率200GPa以上の脆性材からなることが好ましい。耐圧板18を形成する脆性材のヤング率は、時計の強度の観点から、より好ましくは350GPa以上、さらに好ましくは400GPa以上である。具体的には、サファイア(ヤング率約470GPa)、サーメット(ヤング率約440GPa)、タングステン(ヤング率約411GPa)、アルミナ(ヤング率約360GPa)、ジルコニア(ヤング率約200GPa)の材料を使用できる。
耐圧板18は、通常の厚みのヘッドに用いられる着脱可能な裏蓋と同じ機能を有するが、着脱できないようにケース16に張り付けられている。また、耐圧板18は、たとえば高いヤング率を有する脆性材から形成される板である。耐圧板18の厚みは、強度と薄さのバランスの観点から、好ましくは300μm以上500μm以下である。
この薄型の防水時計においては、上述した時計用接着剤組成物により、ベゼル12とガラス14とが固定されているか、またはケース16と耐圧板18とが固定されている。好ましくは、上述した時計用接着剤組成物により、ベゼル12およびガラス14と、ケース16および耐圧板18との両方が固定されている。
上記2体構造を有する薄型の防水時計では、外装ケースが圧力を受けた時に変形しやすい。上記時計用接着剤組成物は、硬化後においても高い接着力と適度な柔軟性とを有する硬化物を与える。上記硬化物はこの変形に追従できる。このため、上記時計用接着剤組成物は、薄型の防水時計の部品の接着に好適に用いられる。
なお、薄型の防水時計の構造は、図1に示す構造に限らない。たとえば、ヘッドが、ベゼルおよびガラスで構成される部分と、ケースで構成される部分との2体構造であってもよい。すなわちヘッドは耐圧板を有していなくてもよい。なお、これら2つの部分はねじにより固定されている。このような薄型の防水時計では、上述した時計用接着剤組成物により、ベゼルとガラスとが固定されている。
さらに、上記時計は、具体的には、ベゼルとガラスとが、上述した時計用接着剤組成物によって接着されている腕時計であることも好ましい。ガラスとベゼルとの接着など、ガラスを通して、上記時計用接着剤組成物の硬化物が視認可能な場合がある。このように、上記硬化物が視認可能な場合にも、無色であり高い透明性を有する硬化物を与える上記時計用接着剤組成物は、美観を損ねないため好適に用いられる。このような腕時計の詳細な説明については、上述した防水時計と同様である。なお、ヘッドの厚みは、上述した防水時計のように薄くなくてもよい。
実施形態に係る時計は、上述した腕時計以外の腕時計であってもよい。さらに、実施形態に係る時計は、たとえば、置き時計、掛け時計、懐中時計であってもよい。これらの時計において、部品同士が、上述した時計用接着剤組成物によって接着されている。
実施形態に係る時計の製造方法は、部品同士を、上述した時計用接着剤組成物により接着する工程を含む。
この工程では、たとえば、一方の部品において、他方の部品を接着したい箇所に、ディスペンサーにより上述した時計用接着剤組成物を吐出させ付着させる。次いで、付着させた時計用接着剤組成物の上に他方の部品を載せ置く。次いで、時計用接着剤組成物を加熱し硬化させて、部品同士を接着させる。加熱温度は、通常60℃〜130℃、好ましくは80℃〜120℃であり、加熱時間は、通常10分〜180分、好ましくは30分〜120分である。このようにして、実施形態に係る時計が得られる。適度な粘度を有し、高い安定性を有する上記時計用接着剤組成物は、部品同士の狭い隙間に均一に広がって塗布できるため、高い密着性で部品同士を固定できる。
薄型の防水時計の場合は、たとえばベゼル12に上記時計用接着剤組成物を塗布してからガラス14を嵌め込む。また、たとえばケース16に上記時計用接着剤組成物を塗布してから耐圧板18を嵌め込む。より具体的には、たとえばベゼル12に形成された断面L字状のガラス装着部A(具体的にはL字の隅部)に対して、ディスペンサーで上記時計用接着剤組成物を環状に吐出させて塗布し、ガラス14を嵌め込む。ガラス14を嵌め込むと、上記時計用接着剤組成物が装着部Aに沿ってL字状に広がり、ベゼル12とガラス14との間の装着部A全体に付着した状態となる。同様に、たとえばケース16の裏面側に形成された断面L字状の耐圧板装着部B(具体的にはL字の隅部)に対して、ディスペンサーで上記時計用接着剤組成物を環状に吐出させて塗布し、耐圧板18を嵌め込む。耐圧板18を嵌め込むと、上記時計用接着剤組成物が装着部Bに沿ってL字状に広がり、ケース16と耐圧板18との間の装着部B全体に付着した状態となる。なお、ガラス14または耐圧板18に上記時計用接着剤組成物を塗布してからそれぞれベゼル12またはケース16に嵌め込んでもよい。上述した時計用接着剤組成物は部品同士の狭い隙間に均一に塗布できるため、高い密着性で部品同士を固定できる。
以上より、本発明は以下に関する。
[1] 1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物であって、上記チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含み、上記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計用接着剤組成物。
上記[1]の時計用接着剤組成物によれば、時計の部品同士を高い密着性で固定できるとともに、硬化後にも無色透明性を維持できる。
[2] 上記チオール系硬化剤は、1分子中に3個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である3官能のチオール化合物をさらに含み、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物の合計100質量部に対して、上記4官能のチオール化合物を50質量部以上90質量部以下の量で含み、上記3官能のチオール化合物を10質量部以上50質量部以下の量で含むことを特徴とする[1]に記載の時計用接着剤組成物。
[3] 上記チオール基が、下記式(1)または下記式(2)で表される基として含まれることを特徴とする[1]または[2]に記載の時計用接着剤組成物。
Figure 0006887903
(上記式(1)中、nは1または2を表す。)
Figure 0006887903
上記[2]または[3]の時計用接着剤組成物は、適度な粘度を有し、高い安定性を有するとともに、適度な硬化性を有する。このため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
[4] 上記チオール系硬化剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、65質量部以上75質量部以下の量で含まれることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載の時計用接着剤組成物。
上記[4]の時計用接着剤組成物は、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する。また、上記[4]の時計用接着剤組成物を用いて部品同士を接着すると、より高い密着性とより適度な柔軟性とが発揮できる。
[5] 上記エポキシ化合物は、25℃での粘度が1500mPa・s以上15000mPa・s以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1つに記載の時計用接着剤組成物。
上記[5]の時計用接着剤組成物は、より適度な粘度を有し、より高い安定性を有する。このため、細かい部品同士の接着に好適に用いられる。
[6] 1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを混合する工程を含む時計用接着剤組成物の製造方法であって、上記チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含み、上記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計用接着剤組成物の製造方法。
上記[6]の製造方法によれば、時計の部品同士を高い密着性で固定できるとともに、時計の美観を維持できる時計用接着剤組成物が得られる。
[7] 上記チオール系硬化剤は、1分子中に3個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である3官能のチオール化合物をさらに含み、上記4官能のチオール化合物および上記3官能のチオール化合物の合計100質量部に対して、上記4官能のチオール化合物を50質量部以上90質量部以下の量で含み、上記3官能のチオール化合物を10質量部以上50質量部以下の量で含むことを特徴とする[6]に記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
[8] 上記チオール基が、下記式(1)または下記式(2)で表される基として含まれることを特徴とする[6]または[7]に記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
Figure 0006887903
(上記式(1)中、nは1または2を表す。)
Figure 0006887903
上記[7]または[8]の製造方法によれば、細かい部品同士を好適に接着できる時計用接着剤組成物が得られる。
[9] 上記チオール系硬化剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、65質量部以上75質量部以下の量で含まれることを特徴とする[6]〜[8]のいずれか1つに記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
上記[9]の製造方法によれば、時計の部品同士をより高い密着性で固定できる時計用接着剤組成物が得られる。
[10] 上記エポキシ化合物は、25℃での粘度が1500mPa・s以上15000mPa・s以下であることを特徴とする[6]〜[9]のいずれか1つに記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
上記[10]の時計用接着剤組成物の製造方法によれば、細かい部品同士を好適に接着できる。
[11] 部品同士が、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物によって接着されている時計であって、上記チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含み、上記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計。
上記[11]の時計は、部品同士が高い密着性で固定されているとともに、美観を維持できる。
[12] 部品同士を、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物により接着する工程を含む時計の製造方法であって、上記チオール系硬化剤は、1分子中に4個のチオール基を有し、24℃での粘度が50mPa・s以上1500mPa・s以下である4官能のチオール化合物を含み、上記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、上記硬化促進剤は、上記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計の製造方法。
上記[12]の製造方法によれば、部品同士が高い密着性で固定されているとともに、美観を維持できる時計が得られる。
[13] 2液型であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載の時計用接着剤組成物。
上記[13]の時計用接着剤組成物は取り扱いやすさの点から好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
時計用接着剤組成物の製造の際、チオール系硬化剤については、4官能のチオール化合物として、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を用い、3官能のチオール化合物として、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)を用いた。
[実施例1−1]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部と、硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.03質量部とを自転・公転ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物に、エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER807(商品名)、三菱化学株式会社製) 100質量部を加え、自転・公転ミキサーを用いて混合した。これにより時計用接着剤組成物を得た。なお、混合は25℃で行った。
[実施例1−2]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部の代わりに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 50質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 20質量部とを用いた他は、実施例1−1と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例1−3]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部の代わりに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 40質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 30質量部とを用いた他は、実施例1−1と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[比較例1]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部の代わりに、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部を用いた他は、実施例1−1と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例2−1]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 40質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 30質量部との代わりに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 35質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 30質量部とを用いた他は、実施例1−3と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例2−2]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 40質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 30質量部との代わりに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 45質量部と、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート) 30質量部とを用いた他は、実施例1−3と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例3−1]
硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.03質量部の代わりに、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.02質量部を用いた他は、実施例1−3と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例3−2]
硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.03質量部の代わりに、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.04質量部を用いた他は、実施例1−3と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例3−3]
硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.03質量部の代わりに、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.08質量部を用いた他は、実施例1−3と同様にして、時計用接着剤組成物を得た。
[実施例4−1]
チオール系硬化剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 70質量部と、エポキシ化合物としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER807(商品名)、三菱化学株式会社製) 100質量部とを自転・公転ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物に、硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 0.03質量部を加え、自転・公転ミキサーを用いて混合した。これにより時計用接着剤組成物を得た。
<評価>
〔粘度〕
得られた時計用接着剤組成物の粘度について、「◎」、「○」および「△」の基準により評価した。
〔保存性〕
得られた時計用接着剤組成物の保存性について、25℃で評価した。具体的には、シリンジに時計用接着剤組成物を入れ、ニードル(内径:0.3mm、長さ:4.0mm)から該時計用接着剤組成物を吐出させた。吐出開始時に、5sあたりの吐出量(重量)を調べた。次いで、吐出開始時から9時間後まで、1時間ごとに5sあたりの吐出量を調べた。吐出量が吐出開始時の吐出量に対して50%未満の量になった場合は、吐出終了時点(9時間後)より前であっても、その時点で吐出を終了した。表1には、吐出量が、吐出開始から何時間後まで、吐出開始時の吐出量に対して50%以上を維持していたかを示す。なお、「9時間以上」とは、吐出終了時点(9時間後)においても、吐出量が吐出開始時の吐出量に対して50%以上を維持していた場合である。
吐出開始時の吐出量に対して50%以上を維持できる時間が長いほど、細かい部品同士の接着に好適に用いられると考えられる。
〔硬化性〕
得られた時計用接着剤組成物の硬化性について、以下のように評価した。得られた時計用接着剤組成物を80℃の炉に入れ、3時間後に取り出した。硬化していた場合を「合格」、硬化していなかった場合を「不合格」とした。
〔接着性〕
得られた時計用接着剤組成物の接着性について、以下のように評価した。まず、ケースとガラスとの間を得られた時計用接着剤組成物によって接着した。具体的には、ケースに得られた時計用接着剤組成物を塗布し、ガラスをかぶせ、80℃で3時間硬化させた。これにより模擬的なヘッドを得た。次に、このヘッドに対して、防水試験、衝撃試験およびヒートサイクル試験をこの順で続けて行った。
防水試験:25℃、3気圧の条件下の水中にヘッドを10分間置き、次いで常圧に戻す操作を、5回繰り返した。次いで、ヘッドを45℃の水中で10分間加熱した後、水滴をふき取り、60℃のホットプレート上に置いた。ヘッドの温度が40℃以上44℃以下であることを確かめた。このヘッドの上(ガラス面)側に16℃以上20℃以下の水を絞った冷たいシートを載せ、1分間放置した。
放置後、ガラスの曇りの有無を調べた。次いで、接着力を測定した。
衝撃試験(ハンマー試験):60cmの高さからハンマーを落としてヘッドにあてた。具体的には、この操作について、ヘッドの9時方向から5回行った後、ガラス側から5回行った。次いで、ケースとガラスとが剥離していないかを調べた。
ヒートサイクル試験:1セット目として、60℃の条件下にヘッドを1時間置いた。次いで、−10℃の条件下にヘッドを1時間置いた。さらに、上記操作を2セット行った。 合計3セット後に、ケースとガラスとが剥離していないかを調べた。次いで、接着力を測定した。
さらに、上述した防水試験、衝撃試験およびヒートサイクル試験をこの順で続けて繰り返した。すなわち、上述した防水試験、衝撃試験およびヒートサイクル試験を2セット行った。
防水試験、衝撃試験およびヒートサイクル試験の1セット後について、下記(1)〜(3)を満たす場合を「合格」とした。下記(1)〜(3)のいずれかを満たさない場合を「不合格」とした。
(1)防水試験後において、ガラスの曇りは見られず、接着強度は20kg以上であった。
(2)衝撃試験後において、ケースとガラスとは剥離しなかった。
(3)ヒートサイクル試験後において、ケースとガラスとは剥離せず、接着強度は20kg以上であった。
なお、衝撃試験後の評価で、ケースとガラスとが剥離した場合は、ヒートサイクル試験は行わず、その時点で試験を終了した。
防水試験、衝撃試験およびヒートサイクル試験の2セット後についても、1セット後と同様に評価を行った。
上記評価において「合格」の場合は、時計用接着剤組成物が接着性と柔軟性とのバランスに優れると考えられる。なお、比較例1の時計用接着剤組成物は、硬化性の評価において硬化しなかった。このため、比較例1の時計用接着剤組成物については、接着性の評価は行わなかった。
〔色〕
実施例で得られた時計用接着剤組成物、および硬化性の評価において硬化させた硬化物の色について目視により調べた。実施例で得られた時計用接着剤組成物および硬化物は、すべて無色透明であった。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006887903

10 ヘッド
12 ベゼル
14 ガラス
16 ケース
18 耐圧板
20 ムーブメント
22 ねじ
24 文字板

Claims (11)

  1. 1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物であって、
    前記チオール系硬化剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を含み、
    前記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、
    前記硬化促進剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計用接着剤組成物。
  2. 前記チオール系硬化剤は、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)をさらに含み、
    前記ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)および前記トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)の合計100質量部に対して、前記ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を50質量部以上90質量部以下の量で含み、前記トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)を10質量部以上50質量部以下の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の時計用接着剤組成物。
  3. 前記チオール系硬化剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、65質量部以上75質量部以下の量で含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の時計用接着剤組成物。
  4. 前記エポキシ化合物は、25℃での粘度が1500mPa・s以上15000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の時計用接着剤組成物。
  5. 1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを混合する工程を含む時計用接着剤組成物の製造方法であって、
    前記チオール系硬化剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を含み、
    前記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、
    前記硬化促進剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計用接着剤組成物の製造方法。
  6. 前記チオール系硬化剤は、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)をさらに含み、
    前記ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)および前記トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)の合計100質量部に対して、前記ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を50質量部以上90質量部以下の量で含み、前記トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)を10質量部以上50質量部以下の量で含むことを特徴とする請求項に記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
  7. 前記チオール系硬化剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、65質量部以上75質量部以下の量で含まれることを特徴とする請求項5または6に記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
  8. 前記エポキシ化合物は、25℃での粘度が1500mPa・s以上15000mPa・s以下であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の時計用接着剤組成物の製造方法。
  9. 部品同士が、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物によって接着されている時計であって、
    前記チオール系硬化剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を含み、
    前記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、
    前記硬化促進剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計。
  10. 部品同士を、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、チオール系硬化剤と、硬化促進剤とを含む時計用接着剤組成物により接着する工程を含む時計の製造方法であって、
    前記チオール系硬化剤は、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を含み、
    前記硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤およびイミダゾール系硬化促進剤からなる群から選ばれ、
    前記硬化促進剤は、前記エポキシ化合物100質量部に対して、0.02質量部以上0.08質量部以下の量で含まれることを特徴とする時計の製造方法。
  11. 2液型であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の時計用接着剤組成物。
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