以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、折り畳み式の座部を備えるキャリーカートについて具体化している。以下の説明では、そのキャリーカートを移動させる際の移動方向(進行方向)を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
図1〜図6に示すように、キャリーカート10は、本体フレーム11と、その本体フレーム11により支持された荷台12と、本体フレーム11に折り畳み可能に設けられた座部13とを備える。
本体フレーム11は、上下方向に延びる支柱フレーム部15と、支柱フレーム部15の下端部に連結されたベースフレーム部16(図4参照)とを備える。支柱フレーム部15は、上下方向に延び左右に離間して設けられた一対のフレーム材17を有している。それら各フレーム材17は、金属製の棒材又はパイプ材からなり、その断面(詳しくは長手方向と直交する方向の断面)が四角形状をなしている。なお、支柱フレーム部15がフレーム部に相当する。
支柱フレーム部15には、その上端部に取手部材18が取り付けられている。取手部材18は、使用者がキャリーカート10を移動させる際に把持する部分であり、把持部に相当する。取手部材18は、支柱フレーム部15の各フレーム材17の上端部に跨がって設けられ、それら各フレーム材17にそれぞれ固定されている。また、取手部材18は、その左右方向の長さが支柱フレーム部15の幅W1(左右方向の長さ)よりも長くなっている。
ベースフレーム部16は、金属製の棒材又はパイプ材により矩形枠状に形成されている。ベースフレーム部16は、支柱フレーム部15に対して直交する方向に拡がるよう配置されている。ベースフレーム部16は、支柱フレーム部15に対して前後方向の一方側に配置され、その配置状態で支柱フレーム部15に固定プレート19を介して固定されている。また、この固定状態において、支柱フレーム部15は、ベースフレーム部16の左右方向の中央部に位置している。
ベースフレーム部16の上には、荷台12が設けられている。荷台12は、樹脂材料により形成された板状の台であり、ベースフレーム部16の上に載せられた状態で当該ベースフレーム部16に固定されている。荷台12の上には、かばん等の荷物を載せることが可能となっており、この荷台12が荷物載せ部に相当する。また、荷台12は、支柱フレーム部15に対して前後方向の一方側に配置されている。この場合、支柱フレーム部15と荷台12とは前後方向に並んでおり、以下においては、その並び方向(前後方向)における荷台12側を前側、支柱フレーム部15側を後側として説明を行う。
ベースフレーム部16には、その左右方向の両側に車輪21が取り付けられている。これらの車輪21は、取付プレート22を介してベースフレーム部16に取り付けられている。車輪21は左右方向に延びる回転軸21aを有しており、その回転軸21aが取付プレート22に回転可能に取り付けられている。これにより、車輪21は回転軸21aを中心として回転可能とされており、その車輪21の回転によりキャリーカート10が前後方向に移動することが可能となっている。
ベースフレーム部16には、脚部24が取り付けられている。脚部24は、金属製の棒材又はパイプ材が屈曲されることで形成され、ベースフレーム部16から下方に向けて延びている。脚部24は、その下端部に、地面や床面といった接地面G(図3の二点鎖線参照)に接地される接地部24aを有している。接地部24aは、車輪21よりも前側に配置され、左右方向に延びている。本キャリーカート10では、車輪21と脚部24(接地部24a)とがそれぞれ接地面G上に載置されることで自立することが可能となっている。
続いて、座部13に関する構成について説明する。
座部13は、本体フレーム11の支柱フレーム部15に折り畳み可能に設けられている。座部13は、支柱フレーム部15に対して折り畳まれる折り畳み状態(図2の状態)と、支柱フレーム部15に対して展開され着座可能となる展開状態(図1の状態)とに切替可能とされている。座部13は、支柱フレーム部15に対して後方に展開されるようになっており、その展開状態において支柱フレーム部15から後方に延びるよう配置される。
座部13は、樹脂材料により所定の厚みを有する長尺の矩形板状に形成されている。座部13は、その展開状態において前後方向に延びる向きで配置される。したがって、座部13は、その展開状態において前後方向に細長い細長形状とされる。座部13は、その短手方向(左右方向)の幅W2が各車輪21の間隔Dの半分よりも小さくされている(図5参照)。具体的には、座部13の幅W2は8〜15cmとされており、より具体的には10cmとされている。また、座部13の幅W2は支柱フレーム部15の幅W1よりも大きくされている。
このように、本キャリーカート10では、座部13が、その展開状態において支柱フレーム部15から後方に延びる細長形状を有しているため、使用者Uが座部13に座る際、自身の左右方向を座部13の長手方向に向けた状態で座る(つまり横座りする)ことが可能となっている(図8参照)。
座部13の展開状態において、支柱フレーム部15から座部13の先端(後端)までの距離L(座部13の長手方向の距離L)は各車輪21の間隔Dよりも大きくされている(図3参照)。具体的には、支柱フレーム部15から座部13先端までの距離Lは30〜40cmとされており、より具体的には37cmとされている。また、「日本人の人体寸法データブック2004−2006」(社団法人人間生活工学研究センター)に記載された人体計測データ(P422)によれば、本キャリーカート10の使用者として想定している65〜79歳の女性の座位姿勢における臀部の幅(座位臀幅)の平均値は35.2cmとなっている。そのため、そのデータに基づくと、上記の距離Lは35cm以上であることが好ましく、さらに余裕分も考慮すると37cm以上であるのが好ましい。
座部13は、その展開状態における座面13a(上面13a)の高さH、つまりキャリーカート10下端(換言すると車輪21の下端)からの座面高さHが40〜60cmに設定され、具体的には50cmに設定されている(図3参照)。また、本実施形態では、座面13aの高さ位置がキャリーカート10の上下方向の中央位置と略同じ高さ位置に設定されている。
ちなみに、「日本人の人体寸法データブック2004−2006」の人体測定データ(P411,P412)によれば、65〜79歳の女性の座位姿勢における足底面から座面までの鉛直距離は平均で35cm程度となっている。この鉛直距離は、膝の曲がり角度を90°にして座面に座った場合の測定データとなっている。そこで、本実施形態では、この測定データに基づき、座面13aの高さHを40〜60cmに設定している。これにより、65〜79歳の女性が座部13(座面13a)に使用者として座った際には、膝の曲がり角度が鈍角となるため、座部13に座ったり立ち上がったりする際の膝の屈伸運動の距離を短くすることができる。そのため、使用者の膝への負担を軽減させることができる。
座部13は、その長手方向の一端部詳しくは前端部が支柱フレーム部15に対して回動可能に取り付けられている。この場合、座部13は、支持金具26を介して支柱フレーム部15に取り付けられている。支持金具26は、コ字状の板金部材からなり、支柱フレーム部15(詳しくは各フレーム材17)の前面に固定された固定板部26aと、その固定板部26aから後方に延び支柱フレーム部15を挟んで左右両側に設けられた一対の支持板部26bとを有する。各支持板部26bは、支柱フレーム部15よりも後方に延出しており、また互いの間隔が支柱フレーム部15の幅W1よりも大きくなっている。
座部13は、その前端部が各支持板部26bの間に入り込んだ状態で設けられている。座部13は、その前端部が座部13の幅方向(短手方向)に延びる回動軸28を介して各支持板部26bに取り付けられている。これにより、座部13は、その回動軸28を中心として上下方向に回動可能とされている。そして、座部13は、その回動により、支柱フレーム部15に対して展開される展開状態と、支柱フレーム部15に対して折り畳まれる折り畳み状態とに切替可能とされている。具体的には、座部13は、展開状態から上方へ回動することで折り畳み状態へ切り替えられ、折り畳み状態から下方へ回動することで展開状態へ切り替えられる。また、座部13の折り畳み状態では、座部13の上端部が取手部材18と上下に隣接して配置される。詳しくは、座部13の折り畳み状態では、座部13の上端部が取手部材18の下端部に当接して配置される。
座部13には、その展開状態における上面13aに座部13の長手方向に延びる一対の溝部31が形成されている。これら各溝部31は、支柱フレーム部15の各フレーム材17の間隔と同じ間隔で配置されている。各溝部31は、その幅がフレーム材17の幅と同じか又はそれよりも若干大きくされており、長手方向の両端部にてそれぞれ開放されている。座部13の折り畳み状態では、各溝部31にそれぞれフレーム材17が入り込むようになっている。このフレーム材17の入り込み状態では、座部13の前面13a(展開状態における上面13aに対応)とフレーム材17の前面とが面一又は略面一の状態とされる(図7(b)も参照)。なお、各溝部31がそれぞれ第1凹部に相当する。
図1や図3に示すように、座部13には、その展開状態における座部13を下方から支持する支持脚33が取り付けられている。支持脚33は、上下方向に延びており、その上端部が座部13の先端側に取り付けられ、その下端部が接地面Gに載置されるようになっている。詳しくは、支持脚33は、上側から下側に向かうにつれて若干後方(支柱フレーム部15から離間する側)に傾斜するようにして配置されている。
支持脚33は、座部13の先端側において座部先端よりも基端寄り(支柱フレーム部15寄り)に取り付けられている。これにより、座部13には、支持脚33よりも先端側に延出する延出部分34が設けられている。この延出部分34は、使用者が座部13を折り畳んだり展開したりする際につかむことのできる部分となっている。
支持脚33は、金属製の脚本体33aと、その脚本体33aの外側に取り付けられた樹脂製の外装部33bとを有する。脚本体33aは、上下に延びる四角筒状をなしており、支持脚33の上下方向の略全域に亘って設けられている。外装部33bは、座部13と同じ樹脂材料により形成され、脚本体33aの下側部分(下側半分)に取り付けられている。外装部33bは、脚本体33aの下側部分を囲むように取り付けられ、詳しくは脚本体33aの前面及び左右の各側面をそれぞれ囲んでいる。
支持脚33は、その上端部が座部13に対して回動可能に取り付けられている。ここで、支持脚33の回動に関する構成について説明すると、座部13の下面13b(詳しくは座部13の展開状態における下面13b)には、座部13の長手方向に延びる溝部35(図4及び図6参照)が形成されている。この溝部35には、支持脚33の脚本体33aの上端部が入り込んでいる。この入り込み状態において、脚本体33aの上端部は座部13の幅方向に延びる回動軸36を介して座部13に取り付けられている。これにより、支持脚33は、その回動軸36を中心として座部13に対し回動可能とされている(図7も参照)。そして、支持脚33は、その回動により、座部13に対して展開されてその座部13を下方から支持する展開状態(図1や図3の状態)と、座部13の下面13b側に折り畳まれる折り畳み状態(図2や図6の状態)とに切替可能とされている。また、支持脚33は、図6や図7(b)に示すように、支柱フレーム部15に折り畳まれた折り畳み状態の座部13に対し折り畳まれるようになっている。
支持脚33の折り畳み状態では、支持脚33が座部13の溝部35に入り込むようになっている(図6参照)。この場合、溝部35には、支持脚33の上側部分、すなわち支持脚33において外装部33bを有しない部分が入り込むようになっている。支持脚33の上側部分は、その幅(詳しくは座部13の幅方向の長さ)が溝部35の幅と同じか又はそれよりも若干小さくされている。なお、溝部35が第2凹部に相当する。
支持脚33の上側部分が溝部35に入り込んだ状態において、支持脚33の上端と溝部35の上端との間には所定の隙間が設けられている。この隙間は、支持脚33を座部13から展開する際に、使用者が指を入れるための指入れ部37となっている。また、支持脚33が溝部35に入り込んだ状態では、支持脚33の背面が座部13の背面13b(座部13の展開状態における下面13bに対応)と面一又は略面一の状態とされる(図7(b)も参照)。
座部13の溝部35に関して詳しくは、溝部35は、座部13の幅方向の中央部に配置されている。溝部35は、座部13の幅方向において、座部13の上面13aに形成された各溝部31の間に配置されている。したがって、溝部35は、各溝部31と座部13の厚み方向に重ならないように配置されている。また、溝部35は、その底面が各溝部31の底面よりも上記厚み方向において座部13の上面13a側に位置している。したがって、座部13の幅方向において溝部35は各溝部31と一部重複している。
図1や図3に示すように、座部13の展開状態において、その座部13の下方には、支持脚33と支柱フレーム部15とを連結する連結部材38が設けられている。連結部材38は、座部13の長手方向と同じ方向に延びており、所定の厚みを有する板状に形成されている。連結部材38は、その長手方向の一端部(前端部)が支柱フレーム部15の下端側に連結され、その長手方向の他端部(後端部)が支持脚33の上下方向の中間部(詳しくは中央部)に連結されている。また、かかる連結状態において、詳しくは、連結部材38は、支持脚33側から支柱フレーム部15側に向かうにつれ若干下方傾斜するようにして配置されている。なお、連結部材38が連結部に相当する。
連結部材38は、座部13と同じ樹脂材料により形成されている。したがって、本実施形態では、連結部材38と座部13と支持脚33の外装部33bとがいずれも同じ樹脂材料、詳しくは同じ材質でかつ同じ色からなる樹脂材料により形成されている。これにより、座部13周辺におけるデザイン上の統一化が図られている。また、連結部材38は、その短手方向(左右方向)の幅W3が座部13の幅W2と同じとされ(図5参照)、その厚みt2が座部13の厚みt1と同じとされている(図3参照)。
連結部材38には、その厚み方向に貫通する開口部48が形成されている(図1や図4,図6等参照)。開口部48は、連結部材38の長手方向に延びる長尺状をなしており、連結部材38の先端(支柱フレーム部15側とは反対側の端)にて開放されている。これにより、連結部材38において開口部48を挟んだ両側部分は、その開口部48を挟んで互いに対向する一対の対向部49となっている。
連結部材38は、支柱フレーム部15に対して回動可能に連結されている。図示は省略するが、連結部材38は、座部13と同様、支持金具を介して支柱フレーム部15に連結されている。この場合、連結部材38は、幅方向(換言すると座部13の幅方向)に延びる回動軸(図示略)を介して支持金具に取り付けられており、その回動軸を中心として上下方向に回動可能とされている。そして、連結部材38は、その回動により、支柱フレーム部15に対し展開され支持脚33の起立状態を保持する展開状態(図1や図3の状態)と、支柱フレーム部15に折り畳まれる折り畳み状態(図2や図5の状態)とに切替可能とされている。具体的には、連結部材38は、展開状態から上方へ回動することで折り畳み状態へ切り替えられ、折り畳み状態から下方へ回動することで展開状態へ切り替えられる。
連結部材38には、その上面38a(詳しくは連結部材38の展開状態における上面38a)に連結部材38の長手方向に延びる一対の凹状部41が形成されている。これら各凹状部41は、支柱フレーム部15の各フレーム材17の間隔と同じ間隔で配置されている。各凹状部41は、その幅がフレーム材17の幅と同じか又はそれよりも若干大きくされており、長手方向の両端部にてそれぞれ開放されている。また、凹状部41は、その長手方向において開口部48が形成されている範囲では凹部41aとされ、それ以外の範囲では溝部41bとされている。凹部41aでは開口部48側が開放され、凹部41aが開口部48と連続している。
連結部材38の折り畳み状態では、各凹状部41にそれぞれフレーム材17が入り込むようになっている。このフレーム材17の入り込み状態では、連結部材38の前面38a(展開状態における上面38aに対応)とフレーム材17の前面とが面一又は略面一の状態とされる(図7(b)も参照)。なお、この場合、各凹状部41がそれぞれ第3凹部に相当する。
連結部材38の折り畳み状態では、連結部材38が支柱フレーム部15に折り畳まれた折り畳み状態の座部13と上下に並んで配置される。この場合、連結部材38の前面38aと座部13の前面13aとが面一又は略面一の状態とされ、かつ、連結部材38の背面38b(展開状態における下面38bに対応)と座部13の背面13bとが面一又は略面一の状態とされる。
また、連結部材38及び座部13の折り畳み状態において、座部13の背面13bには凹部43が形成されている(図6参照)。凹部43は、座部13の下端側に設けられ、下方に向けて開口している。また、凹部43は溝部35の下端と連続しており、その幅が溝部35の幅よりも大きくされている。一方、連結部材38には、座部13の凹部43に入り込む凸部44が設けられている。凸部44は、連結部材38の上端側で上方に向けて突出して形成され、その幅が凹部43の幅と同じか又はそれよりも若干小さくされている。連結部材38及び座部13の折り畳み状態では、連結部材38の凸部44が座部13の凹部43に嵌め込まれるようになっている。そして、その嵌め込みによって座部13と連結部材38とが互いに結合され、その結合により座部13及び連結部材38の折り畳み状態が保持されるようになっている。
連結部材38は、支持脚33に対して回動可能に連結されている。支持脚33は、連結部材38の各対向部49の間に配置され、その配置状態で連結部材38の幅方向(左右方向)に延びる回動軸46を介して連結されている。これにより、支持脚33は、その回動軸46を中心として連結部材38に対し回動可能とされている。そして、支持脚33は、その回動により、連結部材38に対し展開された展開状態(図1や図3の状態)と、連結部材38に折り畳まれる折り畳み状態(図2や図6の状態)とに切替可能とされている。また、支持脚33は、図6や図7(b)に示すように、支柱フレーム部15に折り畳まれた折り畳み状態の連結部材38に対し折り畳まれるようになっている。
支持脚33の上記折り畳み状態では、支持脚33が連結部材38の開口部48に入り込むようになっている(図5や図6参照)。この場合、開口部48には、支持脚33の下側部分、すなわち支持脚33において外装部33bを有する部分が入り込むようになっている。支持脚33の下側部分は、その幅(左右方向の長さ)が開口部48の幅と同じか又はそれよりも若干小さくされている。また、支持脚33の下側部分は、その幅が支柱フレーム部15の各フレーム材17の間隔とも同じとされている。なお、開口部48が入り込み部に相当する。
支持脚33の下側部分は、前後方向の幅ta(図3参照)が連結部材38の厚みt2と同じか又は略同じとされている。支持脚33の下側部分が開口部48に入り込んだ状態では、支持脚33の前面が連結部材38の前面38aと面一又は略面一の状態とされ、かつ、支持脚33の背面が連結部材38の背面38bと面一又は略面一の状態とされる(図7(b)等も参照)。また、支持脚33が開口部48に入り込んだ状態では、支持脚33の一部が支柱フレーム部15の各フレーム材17の間に入り込む(図5参照)。
上記のように、支持脚33は、支柱フレーム部15に折り畳まれた座部13及び連結部材38に跨がる状態でそれら両者13,38に折り畳まれるようになっている。そして、支持脚33は、その折り畳み状態で座部13の溝部35と連結部材38の開口部48とにそれぞれ嵌め込まれるようになっている。これにより、支持脚33の折り畳み状態が保持されるとともに、座部13及び連結部材38の支柱フレーム部15に対する折り畳み状態が保持されるようになっている。
続いて、座部13を展開状態から折り畳み状態へと切り替える際の作用について図3に加え図7を参照しながら説明する。
上述した本キャリーカート10の構成によれば、座部13が展開状態(図3の状態)から支柱フレーム部15に折り畳まれると、それに連動して連結部材38が支柱フレーム部15に折り畳まれ、さらには支持脚33が座部13及び連結部材38に折り畳まれるようになっている。すなわち、図7(a)に示すように、座部13が展開状態から折り畳み状態へ切り替えられる際には、座部13が展開状態から上方(折り畳み側)に向けて回動される。すると、それに連動して連結部材38が展開状態から上方(折り畳み側)に向けて回動され、それとともに支持脚33が座部13及び連結部材38に対し折り畳まれる側に回動される。座部13が支柱フレーム部15に対して折り畳まれると、図7(b)に示すように、連結部材38も支柱フレーム部15に対して折り畳まれ、さらにはそれら折り畳まれた座部13及び連結部材38に対し支持脚33が折り畳まれる。これにより、支柱フレーム部15に座部13、支持脚33及び連結部材38の3者が折り畳まれる状態となる。
このように、本キャリーカート10では、座部13を支柱フレーム部15に折り畳むことで、座部13に加え支持脚33及び連結部材38についても折り畳むことが可能となっている。これにより、座部13、支持脚33及び連結部材38の3者を一挙に折り畳むことができるため、座部13に加え、支持脚33及び連結部材38を備えた構成にあって、その使い勝手を良好なものとすることができる。
また、座部13が折り畳み状態から展開状態へ切り替えられる際にも、上記の場合と同様、座部13が折り畳み状態から展開されると、それに連動して連結部材38が支柱フレーム部15から展開され、さらには支持脚33が座部13及び連結部材38に対して展開される。そのため、座部13、支持脚33及び連結部材38の3者を一挙に展開状態とすることができる。
次に、座部13の作用について図8を用いながら説明する。
上述したように、座部13は、その展開状態において支柱フレーム部15から後方に延びる細長形状を有している。そのため、図8に示すように、使用者Uが座部13に座る際には、自身の左右方向を座部13の長手方向に向けた状態で座ることが可能となっている。つまり、使用者Uは座部13に対し横座りすることが可能となっている。
また、荷台12が、支柱フレーム部15に対して座部13が展開される座部展開側(後側)とは反対側(前側)に配置されているため、荷台12に載せられた荷物Sは座部13に腰掛ける(横座りする)使用者Uの側方に配置される。そのため、使用者Uは座部13に腰掛けながら、荷物Sに手をかける等して、荷物Sの管理を好適に行うことが可能となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
上述したように使用者が座部13に横座りする際には、使用者の側方に支柱フレーム部15が位置することになる。このため、使用者は、座部13に座ったり座部13から立ち上がったりする際に、支柱フレーム部15の上部に設けられた取手部材18を持つことができる。これにより、使用者が座部13に座ったり立ちがったりする動作を容易に行うことが可能となる。また、取手部材としては、使用者がキャリーカート10を移動する際に用いる取手部材18(把持部)を利用することができるため、専用の把持部を別途設ける必要がない。そのため、構成が煩雑化するのを抑制しながら、上記の効果を得ることができる。
座部13の幅方向(短手方向)を車輪21の回転軸21aの延びる方向(車輪21の回転軸方向)と同じ方向に設定した。これにより、使用者が座部13に座ったり座部13から立ち上がったりする際に、キャリーカート10が座部13の幅方向つまりは座ったり立ち上がったりする使用者の前後方向に動いてしまうのを抑制することができる。これにより、座部13に座ったり立ち上がったりするのをより一層容易に行うことができる。
支柱フレーム部15の幅W1を座部13の幅W2よりも小さくしたため(W1<W2)、座部13を支柱フレーム部15に折り畳んだ状態において、スリムな外観を得ることができる。また、この場合、細長の座部13があたかも支柱の一部を構成しているように見えるため、その点でもスリムな外観を得ることができる。
また、座部13には、その折り畳み時に支柱フレーム部15が入り込む溝部31を設けたため、支柱フレーム部15を座部13よりも小幅にした構成にあって、座部13の折り畳み時に支柱フレーム部15と座部13とを含む全体の厚みが大きくなるのを抑制することができる。
また、座部13に溝部31を設けない構成と比較すると、折り畳み時に上記全体の厚みが大きくなるのを抑制しながら、座部13の厚みを大きくすることが可能となる。そのため、座部13の強度向上を図りながらスリム化を実現することができる。座部13が小幅で形成される構成では、座部13の強度確保が重要となるため、座部13の厚みを大きくできることの意義は大きい。
座部13の座面13a(上面13a)の高さHを50cmに設定したため、座部13に座ったり座部13から立ち上がったりする際に腰を上下する距離を短くすることができる。そのため、座ったり立ち上がったりする動作をより楽に行うことができる。また、この場合、座面13aの高さ位置を座部13に座る使用者の膝高さよりも上に位置させることができるため、使用者が座った状態での膝の曲がり角度を鈍角にすることができる。そのため、使用者が座部13から立ち上がる際の動作を特に楽にすることができる。
座部13の展開状態において座部13を下方から支持する支持脚33を設けたため、使用者が座部13に腰掛けた際、座部13が長手方向に傾くのを抑制することができる。これにより、安定した状態で座部13に腰掛けることが可能となる。
支持脚33を座部13の下面13b側に折り畳み可能とするとともに、座部13の下面13bにその折り畳まれた支持脚33が入り込む溝部35を設けた。これにより、支持脚33の折り畳み時に座部13及び支持脚33を含む全体の厚みが大きくなってしまうのを抑制することができる。そのため、座部13が支柱フレーム部15に折り畳まれた際、つまり、支柱フレーム部15、座部13及び支持脚33の3者が折り畳まれた際、これら3者全体の厚みが大きくなるのを抑制することができる。
具体的には、各溝部31,35のうち、溝部31を座部13の上面13aに設け、溝部35を座部13の下面13bに設け、それら各溝部31,35を座部13の厚み方向に重ならないよう配置した。これにより、支柱フレーム部15、座部13及び支持脚33の3者が折り畳まれた際、支柱フレーム部15と支持脚33とが座部13の厚み方向に重ならないようにすることができる。そのため、それら3者全体の厚みが大きくなるのを好適に抑制することができる。
ちなみに、上述した溝部31,35による各効果を得るにあたっては、座部13が細長形状であることは必須でなく、例えば略正方形状の座部等であっても、溝部31,35を設けることで同様の効果を得ることができる。
座部13の展開状態において、座部13の下方で支持脚33と支柱フレーム部15とを連結する連結部材38を設けた。これにより、使用者が座部13に腰掛けた際、支持脚33が位置ずれするのを抑制することができるため、座部13に対しより安定した状態で腰掛けることが可能となる。
また、連結部材38を支柱フレーム部15に対し上方に向け折り畳み可能とするとともに、連結部材38の上面38aには、連結部材38の折り畳み時に支柱フレーム部15が入り込む凹状部41を設けた。また、連結部材38に対して支持脚33を折り畳み可能とし、その連結部材38に、折り畳まれた支持脚33が入り込む開口部48を設けた。これにより、支柱フレーム部15、連結部材38及び支持脚33の3者が折り畳まれた際に、それら3者全体の厚みが大きくなるのを抑制することができる。
ちなみに、上述した凹状部41及び開口部48による効果を得るにあたっては、連結部材38が座部13の長手方向に延びる形状を有していなくてもよく、連結部材38がそれ以外の形状であっても、凹状部41及び開口部48を設けることで同様の効果を得ることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、座部13の幅W2を車輪21の間隔Dの半分よりも小さくしたが、座部13の幅W2を車輪21の間隔Dの半分以上としてもよい。また、上記実施形態では、支柱フレーム部15から座部13の先端までの距離Lを車輪21の間隔Dよりも大きくしたが、上記距離Lを車輪21の間隔Dより小さくしてもよい。要するに、座部13を支柱フレーム部15から後方へ延びる細長形状とすれば、座部13の幅W2と上記距離Lとは任意としてよい。
・上記実施形態では、座部13の座面高さHを50〜60cmに設定したが、座面高さHを50cmより小さくしてもよい。
・上記実施形態では、座部13を板状に形成したが、座部13を丸棒や角棒等により棒状に形成してもよい。また、座部13を丸パイプや角パイプ等により管状に形成してもよい。これらの場合にも、座部13を前後方向に細長い細長形状とすることが可能である。
・上記実施形態では、座部13の上面13aに支柱フレーム部15が入り込む溝部31を設け、連結部材38の上面38aに支柱フレーム部15が入り込む凹状部41を設けたが、これら溝部31及び凹状部41を設けないようにしてもよい。また、上記実施形態では、座部13の下面13bに支持脚33が入り込む溝部35を設けたが、この溝部35についても必ずしも設ける必要はない。但し、支柱フレーム部15に座部13、連結部材38及び支持脚33を折り畳んだ際に、それら全体の厚みが大きくなるのを抑制する上では、溝部31,35及び凹状部41を設けるのが望ましい。
・上記実施形態では、連結部材38に支持脚33が入り込む開口部48(入り込み部に相当)を設けたが、これを変更して、連結部材38の下面38bに支持脚33が入り込む溝部(入り込み部に相当)を設けてもよい。また、連結部材38にかかる入り込み部を設けないようにしてもよい。
・上記実施形態では、フレーム部としての支柱フレーム部15を座部13よりも小さい幅で形成したが、フレーム部を座部13よりも大きい幅で形成してもよい。その場合、フレーム部に座部13を折り畳む際、フレーム部を構成する各フレーム材の間に座部13を入り込ませた状態で折り畳むことが可能となるため、座部13の上面13aにフレーム材を入り込ませる凹部を設けなくて済む。
・上記実施形態では、支持脚33と支柱フレーム部15とを連結する連結部材38を設けたが、連結部材38を設けないようにしてもよい。また、支持脚33についても必ずしも設ける必要はなく、座部13を支柱フレーム部15に安定した状態で支持させることができれば不具備としてもよい。
・例えば、使用者の操作に基づいて座部13の折り畳み状態を解除する解除手段を設けてもよい。かかる解除手段としては、例えば使用者により操作される解除操作部(解除ボタン等)と、その解除操作部の操作に基づいて折り畳み状態の座部13を展開状態側(後方)に押し出す押し出し部とを備えた構成が考えられる。この場合、解除操作部は、取手部材18又はその付近に設けることが考えられ、押し出し部は、取手部材18又は支柱フレーム部15に設けることが考えられる。なお、解除操作部は、使用者が取手部材18を持ちながら解除操作できる範囲に設けるのが好ましい。
上記の構成において、使用者により解除操作部に対し座部13の折り畳み状態を解除する解除操作がされると、押し出し部により折り畳み状態の座部13が展開状態側に押し出される。これにより、座部13の折り畳み状態が解除され、座部13が折り畳み状態から展開状態へ切り替えられる。このような構成によれば、座部13を半ば自動で展開させることができるため、座部13を手で持って手動で展開させる上記実施形態の場合と比べ、座部13を展開させる作業が楽になる。
・上記実施形態では、座部13を支柱フレーム部15に対して後方に展開させる構成、換言すると座部13を支柱フレーム部15に対して荷台12とは反対側に展開させる構成としたが、これを変更して、座部13を支柱フレーム部15に対して前方に、つまり荷台12と同じ側に展開させる構成としてもよい。この場合にも、座部13をその展開状態において前後方向に細長い形状とすることで座部13に横座りすることが可能となる。また、座部13を支柱フレーム部15に対して左右いずれかの側に展開させる構成としてもよい。その場合、座部13を展開状態において左右方向に細長い形状とすればよい。
・上記実施形態では、キャリーカート10が車輪21を2つ備える2輪のキャリーカートとなっていたが、キャリーカート10が車輪21を4つ備える4輪のキャリーカートに本発明を適用してもよい。また、キャリーカート10の車輪21の数は必ずしも2つ又は4つである必要はなく、それ以外の個数であってもよい。例えば、車輪21を3つ備える3輪のキャリーカートとしてもよい。
・上記実施形態では、車輪21が前後方向に回転可能となっていたが、車輪21としては、左右方向に回転可能なものを用いてもよいし、また全方向(360°)に回転可能な車輪(例えば車輪が球体からなるボールキャスタ等)を用いてもよい。
・上記実施形態では、ベースフレーム部16上に取り付けた荷台12を荷物を載せるための荷物載せ部としたが、荷台12を設けずに、ベースフレーム部16上に荷物を直接載せる構成としてもよい。その場合、ベースフレーム部16が荷物載せ部に相当する。
・上記実施形態では、荷台12(荷物載せ部に相当)を備えるキャリーカート10について具体化したが、キャリーカートには荷物載せ部としてかご(バスケット)やかばん等を備えているものもある。そこで、そのようなキャリーカートに本発明を適用してもよい。