JP6886607B2 - 欠陥評価装置、欠陥評価方法、および構造物の製造方法 - Google Patents

欠陥評価装置、欠陥評価方法、および構造物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、欠陥評価装置、欠陥評価方法、および構造物の製造方法に関する。
X線計測装置の高分解能化に伴い、被検物を検査して微小な巣等の欠陥を検出できるようになったが、被検物の品質保証上、影響を及ぼす巣等の欠陥を抽出する処理に多大な時間を要する。このため、被検物の加工面から所定の距離以内の欠陥について良否判定を行うようにしていた(たとえば特許文献1)。しかしながら、良否判定を行うための条件として設定する項目が多い場合には検査や評価の処理に大きな負荷がかかり、設定する項目が少ない場合には検査や評価の対象とするべき欠陥が対象に含まれなくなるという問題がある。
日本国特開2006−305581号公報
第1の態様によれば、欠陥評価装置は、被検物の一部の領域に評価領域を設定する評価領域設定部と、前記被検物の前記評価領域を実測して得られた欠陥の、前記被検物内における位置関係を算出する評価領域内検査部と、前記評価領域内検査部により算出された前記位置関係に基づいて前記欠陥の危険度を判定する危険度判定部とを備え、前記危険度判定部の結果に基づいて、前記被検物を評価する。
第2の態様によれば、欠陥評価方法は、被検物の一部の領域に評価領域を設定することと、前記被検物の前記評価領域を実測して得られた欠陥の、前記被検物内における位置関係を算出することと、前記位置関係に基づいて前記欠陥の危険度を判定することと、前記判定することの結果に基づいて、前記被検物を評価することを含む。
第3の態様によれば、欠陥評価装置は、被検物の内部を実測して得られた複数の欠陥のうち、判定対象とする欠陥を含む複数の欠陥を集団化したクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与するクラスター化部と、前記クラスター化部により生成されるクラスター指標に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する危険度判定部と、前記危険度判定部の結果に基づいて、前記被検物を判定する。
第4の態様によれば、欠陥評価方法は、被検物の内部を実測して得られた複数の欠陥のうち、判定対象とする欠陥を集団化してクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与することと、前記クラスター指標に基づいて前記クラスターの危険度を判定することと、前記判定した結果に基づいて、前記被検物を評価することとを含む。
第5の態様によれば、欠陥評価装置は、被検物の表面形状モデルに対して、前記被検物の内部を検査して得られた内部危険域に基づいて評価領域を設定する評価領域設定部と、前記評価領域に含まれる複数の内部危険域を、所定のクラスター閾値に基づいて集団化してクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与するクラスター化部と、前記クラスター指標、前記クラスターと前記被検物の表面との距離、および、前記表面の属性に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する危険度判定部と、を備える。
第6の態様によれば、欠陥評価方法は、被検物の表面形状モデルに対して、前記被検物の内部を検査して得られた内部危険域に基づいて評価領域を設定し、前記評価領域に含まれる複数の内部危険域を、所定のクラスター閾値に基づいて集団化してクラスターを生成して、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与し前記クラスター指標、前記クラスターと前記被検物の表面との距離、および、前記表面の属性に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する。
第7の態様によれば、構造物の製造方法は、造物の形状に関する設計情報を作成し、前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、前記構造物に対象領域を設定し、前記対象領域の形状情報を、X線検査装置を用いて取得する構造物の製造方法であって、作成された前記構造物を被検物として前記被検物に対して、第1、第3、第5のいずれか一つの態様の欠陥評価装置を用いて前記対象領域を設定し、前記構造物を評価する。
第8の態様によれば、構造物の製造方法は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、
前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、前記構造物に対象領域を設定し、前記対象領域の形状情報をX線検査装置を用いて取得する構造物の製造方法であって、作成された前記構造物を被検物として前記被検物に対して、第2、第4、第6のいずれか一つの態様の欠陥評価方法によって前記構造物を評価する。
第1の実施の形態によるX線検査装置とその欠陥評価装置との構成を説明する図である。 第1の実施の形態によるX線検査装置とその欠陥評価装置との要部構成を説明するブロック図である。 被検物としてのエンジンのシリンダーブロックと、このエンジンのシリンダーブロックを検査する場合に設定される評価領域の一例とを模式的に示す図である。 グリッドを説明する図である。 重要部位情報に基づいて設定される評価領域を説明する図である。 表面危険域に基づいて設定される評価領域を説明する図である。 表面危険域に基づいて評価領域を設定する際の処理を説明する図である。 表面危険域に基づいて評価領域を設定する際の処理を説明する図である。 被検物の肉厚と設定される評価領域との関係を説明する図である。 表面危険域に基づいて評価領域を設定する際の処理の別の例を説明する図である。 表面危険域に基づいて評価領域を設定する際の処理の別の例を説明する図である。 表面危険域に基づいて評価領域を設定する際における表面危険域と、有効関心領域と、計算面と、評価領域との位置関係を模式的に示す図である。 内部危険域に基づいて評価領域を設定する際の処理を説明する図である。 評価領域の編集処理を説明するための模式図である。 評価領域の編集処理を説明するための模式図である。 評価領域の編集処理を説明するための模式図である。 評価領域の編集処理を説明するための図である。 評価領域の編集処理を説明するための模式図である。 クラスター化処理を説明するための模式図である。 クラスター化処理を説明するための模式図である。 クラスターに対する指標化処理を説明するための模式図である。 危険度判定処理を説明するための模式図である。 クラスターと加工シロの大小とに基づく危険度の判定を説明するための模式図である。 危険度判定の結果を表形式にして示す図である。 危険度判定の結果の表示の一例を模式的に示す図である。 本実施の形態による欠陥評価装置の動作を説明するフローチャートである。 本実施の形態による欠陥評価装置の動作を説明するフローチャートである。 第2の実施の形態による構造物製造システムの構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態による構造物製造システムの動作を説明するフローチャートである。
−第1の実施の形態−
図面を参照しながら、第1の実施の形態によるX線検査装置およびX線検査装置用の被検物の欠陥評価装置について説明する。X線検査装置は、被検物にX線を照射して、被検物を透過した透過X線を検出することにより、被検物の内部情報(たとえば内部構造)等を含む被検物の構造に関する情報を非破壊で取得する。本実施の形態においては、X線検査装置が、エンジンブロック等の鋳造品の構造情報を取得することで、内部情報を取得することができ、その内部構造に含まれる内部構造を基にその被検物の品質管理等を行うための内部検査装置として用いられる場合を例に挙げて説明を行う。
なお、X線検査装置は、エンジンブロックのような鋳造品に限らず、樹脂成型品、部材同士を接着剤や溶接によって接合した場合の接合部の内部構造の形状情報を取得して、これらの検査を行うものであっても良い。
なお、「被検物の構造」については、被検物の形状および内部構造等を含む。特に、被検物の形状については、(1)外部から直接触れるか、被検物から放射または反射される際に、非透過性のエネルギー線(可視光や電子線)が検出できる面から得られる形状、(2)一部が外部から直接触れられる場所に形成されているが、その他が被検物の内部に形成されているような穴を表現する面、(3)いずれも表面に露出されていない中空状の空洞部分の境界面、も含む。これら形状を定義することができる面の個々の要素については、単に表面要素オブジェクトデータと称する。また、表面形状モデルデータは、表面要素オブジェクトデータの集合体からなり、被検物の全体形状を表すものや、単に内部構造とそれ以外との境界を示すものであってもよい。一方、本明細書では、内部構造とは、上記(1)で説明したような面から上記(3)で説明したような面で囲まれた空間の巣までの距離や当該巣の分布状態、被検物の内部に発生する巣が占める、構造体に対する体積比などを含む被検物の強度や特性、または被検物が発揮する機能の能力を評価する際に用いるパラメータとなり得るものが含まれる。
図1は本実施の形態によるX線検査装置100の構成の一例を模式的に示す図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸、Z軸からなる座標系を図示の通りに設定する。
X線検査装置100は、欠陥評価装置1、X線源2、載置部3、検出器4、制御装置5、表示モニタ6および入力操作部11を備えている。なお、欠陥評価装置1がX線検査装置100とは別体に構成されてもよい。X線源2、載置部3および検出器4は、工場等の床面上にXZ平面が実質的に水平となるように配置された筐体(不図示)の内部に収容される。筐体はX線が外部に漏洩しないようにするために、材料として鉛を含む。
X線源2は、制御装置5による制御に応じて、図1に示す出射点Qを頂点としてZ軸に平行な光軸Zrに沿って、Z軸+方向へ向けて扇状のX線(いわゆるファンビーム)を放射する。出射点QはX線源2のフォーカルスポットに相当する。すなわち、光軸Zrは、X線源2のフォーカススポットである出射点Qと、後述する検出器4の撮像領域の中心とを結ぶ。なお、X線源2は扇状にX線を放射するものに代えて、円錐状のX線(いわゆるコーンビーム)を放射するものについても本発明の一態様に含まれる。X線源2は、たとえば約50eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線および約20〜100keVの硬X線、さらに100keV以上のエネルギーを有するX線の少なくとも1つを放射することができる。
載置部3は、被検物Sが載置される載置台30と、回転駆動部32、Y軸移動部33、X軸移動部34およびZ軸移動部35からなるマニピュレータ部36とを備え、X線源2よりもZ軸+側に設けられている。載置台30は、回転駆動部32により回転可能に設けられ、回転駆動部32による回転軸YrがX軸、Y軸、Z軸方向に移動する際に、ともに移動する。
回転駆動部32は、たとえば電動モータ等によって構成され、後述する制御装置5により制御されて駆動した電動モータが発生する回転力によって、Y軸に平行であり、かつ、載置台30の中心を通過する軸を回転軸Yrとして載置台30を回転させる。Y軸移動部33、X軸移動部34およびZ軸移動部35は、制御装置5により制御されて、X線源2から射出されたX線の照射範囲内に被検物Sが位置するように、載置台30をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させる。さらに、Z軸移動部35は、制御装置5により制御されて、X線源2から被検物Sまでの距離が、撮影される画像における被検物Sが所望の拡大率となる距離に載置台30をZ軸方向に移動させる。
検出器4は、X線源2および載置台30よりもZ方向+側に設けられている。すなわち、載置台30は、Z方向において、X線源2と検出器4との間に設けられる。検出器4は、XY平面に平行な面上にX方向に延伸する入射面41を有する、いわゆるラインセンサであり、X線源2から放射され、載置台30上に載置された被検物Sを透過した透過X線を含むX線が入射面41に入射する。検出器4は、公知のシンチレーション物質を含むシンチレータ部と、光電子増倍管と、受光部等とによって構成され、シンチレータ部の入射面41に入射したX線のエネルギーを可視光や紫外光等の光エネルギーに変換して光電子増倍管で増幅し、当該増幅された光エネルギーを上記の受光部で電気エネルギーに変換し、電気信号として制御装置5へ出力する。
なお、検出器4は、入射するX線のエネルギーを光エネルギーに変換することなく電気エネルギーに変換し、電気信号として出力してもよい。検出器4は、シンチレータ部と光電子増倍管と受光部とがそれぞれ複数の画素として分割された構造を有している。これにより、X線源2から放射され、被検物Sを通過したX線の強度分布を取得できる。なお、検出器4として、光電子増倍管を設けずに、シンチレータ部が受光部(光電変換部)の上に直接形成された構造であってもよい。
なお、検出器4はラインセンサに限られず、2次元平面の検出器でも構わない。すなわち、本実施形態において、検出器4のラインセンサは、XY平面に平行な面上にX方向に延伸する入射面41を有するが、入射面41はY方向には1つのみ配置されている。また、XY平面において、X方向に複数の入射面41が配置されている。また、複数の入射面41のそれぞれが、独立してX線の強度を検出することが可能である。本実施形態において、入射面41はY方向に複数配列されていても構わない。たとえば図1のXY平面において、X方向およびY方向に複数の入射面41が配置される2次元平面の検出器でも構わない。また、2次元平面の検出器を用いる場合に、Y方向に複数配列される入射面41のうち、Y方向の所定位置におけるX方向の入射面41のみを使用し、ラインセンサとして使用しても構わない。この場合には、Y方向の所定位置におけるX方向の入射面41のX線の強度分布を取得し、Y方向の所定位置で取得されるX線の強度分布から被検物Sの形状情報を解析しても構わない。また、この場合に、Y方向の複数の位置でのX方向の入射面41のX線の強度分布を取得する際には、Y方向に互いに離れた位置でのX方向の入射面41のX線の強度分布を取得しても構わない。
X線源2と載置部3と検出器4とはフレーム(不図示)によって支持される。このフレームは、十分な剛性を有して製造される。したがって、被検物Sの投影像を取得中に、X線源2、載置部3および検出器4を安定に支持することが可能となる。また、フレームは除振機構(不図示)により支持されており、外部で発生した振動がフレームにそのまま伝達することを防いでいる。
入力操作部11は、キーボードや各種ボタン、マウス等によって構成され、オペレータによって、後述するように被検物Sを検査する際に被検査領域の位置を入力したり、被検査領域の更新をしたりする際に操作される。入力操作部11は、オペレータによって操作されると、操作に応じた操作信号を欠陥評価装置1へ出力する。
制御装置5は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(たとえばフラッシュメモリ等)に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、X線検査装置100の各部を制御する。制御装置5は、X線制御部51と、移動制御部52と、画像生成部53と、画像再構成部54とを備える。X線制御部51はX線源2の動作を制御し、移動制御部52はマニピュレータ部36の移動動作を制御する。画像生成部53は検出器4から出力された電気信号に基づいて被検物SのX線投影画像データを生成し、画像再構成部54はマニピュレータ部36を制御しながらそれぞれの投影方向の異なる被検物Sの投影画像データに基づいて、公知の画像再構成処理を施して再構成画像を生成する。この再構成画像は、X線源2から検出器4の間に位置する部分の被検物Sの内部の構造を示す画像であり、ボクセルデータとして出力される。ボクセルデータとは被検物Sの吸収係数分布を示している。そして、本実施形態では、Y方向において異なる位置で取得された再構成画像を基に、画像再構成部54内部に設けられたサーフェスモデル構築部により、被検物Sの三次元の内部構造や表面形状の情報が生成される。この場合、画像再構成処理としては、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法等がある。
図2のブロック図に示すように、欠陥評価装置1は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(たとえばフラッシュメモリ等)に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、後述する被検物Sの一部を検査する際の各種処理を行う。欠陥評価装置1は、構成情報取得部55と、検査制御部56と、評価部57と、データ蓄積部58とを備える。構成情報取得部55は、被検物Sに関する三次元CAD等による、被検物Sの構造を表現するための表面要素オブジェクトデータ及び表面要素オブジェクトデータに設定された属性情報等を含む設計情報(たとえばSTLデータやポリゴンデータ)や、鋳造シミュレーション等(CAE)により得られた被検物Sの形状や内部構造等に関する情報を取得するためのインターフェースとなる。具体的には、ネットワークのLANポートやシリアルバスポート、Wi−Fiなどの無線通信デバイスなどが含まれる。このインターフェースから入力された情報は、検査制御部56、評価部57、データ蓄積部58などの欠陥評価装置1の各機能ブロックに被検物Sに関する構造情報等を供給する機能を有する。なお、本明細書においては、被検物Sの内部構造とは、被検物Sが外部と境界をなすある表面と他の表面との間の範囲、すなわち被検物Sの外面と内面とに囲まれた肉厚部分を表す。また、本明細書においては、表面要素オブジェクトデータとは被検物Sの表面を設計者の意図やその表面構造が発揮する機能(例えば、油路や冷却流路やシリンダーなど)または面が連続しているか否かなどの所定の基準により設定された表面要素を示す。また、表面形状オブジェクトデータは、表面要素オブジェクトデータの集合体であり、被検物Sの全体表面形状を示す。検査制御部56は、後述するように、被検物Sの一部の被検査領域を設定するための処理を行う。評価部57は、検査制御部56により設定された被検査領域の危険度を判定するための、後述する危険度判定処理を行う。データ蓄積部58は、検査制御部56による処理による生成された各種のデータを記憶するための不揮発性の記憶媒体である。なお、検査制御部56および評価部57の詳細については説明を後述する。
X線検査装置100は、被検物Sの内部構造の検査を行う際に、載置台30をXYZの各方向に移動させて被検物Sを検査位置に位置させる。そして、X線検査装置100は、X線源2からY方向に所定の幅を有するスリットビームを載置台30の回転駆動に伴って回転する被検物Sに向けて照射する。検出器4は被検物Sを投下したX線を含む透過X線を受光して、上記のスリットビームのY方向の幅(たとえば、およそ1mm)に応じた被検物Sの断面の被検物Sの形状情報を得る。X線検査装置100は、回転駆動中の被検物Sへのスリットビームの照射と、上記の載置台30のY方向への移動、すなわち被検物SのY方向への移動とを繰り返し行う。スリットビームが、載置台30に載置された被検物SのY方向の長さの全域に及ぶ範囲で行われると、被検物Sの全体の形状情報を生成することができる(以後、フルスキャンと呼ぶ)。スリットビームの照射が、載置台30に載置された被検物SのY方向の長さの一部の範囲で行われる場合には、該当部分の透過像を取得し、その透過像に基づいて被検物Sの一部分の形状情報を生成できる(以後、部分スキャンと呼ぶ)。
本実施の形態のX線検査装置100では、たとえば鋳造品のように同じ形状を有する多数の被検物Sに対して、フルスキャンまたは部分スキャンを行って検査を行う。フルスキャンは、被検物S全体の内部構造を取得するために、Y方向において所定の間隔で再構成画像を生成するための測定動作を意味する。フルスキャンは、比較的検査時間に多くの時間が割り当てられる時間帯、たとえば被検物Sを製造するための金型のメンテナンス後の試験形成等、量産製造が行われていない時間帯に行われる。部分スキャンは、被検物Sのうち後述する評価領域を含む一部分のみの再構成画像を生成するための測定動作を意味する。上記のフルスキャンを行うタイミング以外で、多数の被検物Sに対の内部欠陥発生可能性の高い部分(以後、評価領域と呼ぶ)を被検査領域として選択して検査する際に行われる。
ところで、X線検査装置100で取得された被検物Sの三次元内部構造や内部構造を構成する材質の情報、または被検物Sの形状に関する情報を含む三次元の構造情報を本明細書では、現物データと呼ぶ。なお、現物データは再構成画像から得られた三次元の点情報を基に、サーフェスモデルまたはソリッドモデルを生成したものであり、CADデータと同様に表面については、表面要素オブジェクトデータとして保持される。
評価領域は、被検物Sの構造や製造方法に起因して被検物Sに欠陥等の発生が見込まれる部位または被検物Sの品質保証上、欠陥の有無及びその危険度を正確に求め、欠陥管理を行いたい部位であり、後述するようにしてX線による検査結果からその状態を評価する処理を行うための対象となる対象領域である。なお、以下の説明では、図3に示すような、エンジンのシリンダーブロックが被検物Sの場合を例に挙げる。この場合、被検物S(エンジンのシリンダーブロック)の評価領域700として、下記(1)〜(5)に記載したような例が挙げられる。また、評価領域は三次元的な領域を示す。また、以後の説明においては、被検物Sに対して、U軸、V軸、W軸からなる直交座標系を設定する。
(1)製品機能上、管理が必要な領域
シリンダーのボア部に鋳包む鋳鉄ライナーや、シリンダーブロックやラダーフレームのクランクジャーナル部に鋳包む鉄製ベアリングキャップ、冷却流路近傍、ボルト締め等の締結部分、オイルパンやミッションケース等の箇所が挙げられる。
被検物Sの製造時に鋳包み技術が用いられた箇所の鉄部材とアルミ部材との密着度は重要管理項目であり、ライナー部の密着が悪い場合には、ボアの精密加工に耐えるような密着強度が不足してボアの真円度に影響を与え、また、エンジン稼働時には、発熱による変形が不均一になり、ピストンリングの摺動抵抗が増加する。いずれの場合も、出力低下や燃費の悪化をもたらす。ベアリングキャップは、密着度が重要であることはもちろんであるが、鋳巣が多い場合は、この部分には大きな負荷がかかるので、機械強度上の問題となる。エンジン稼働によるクランク軸からの負荷増大が、最終的にクラック発生等につながることもある。
冷却流路近傍の肉薄部に巣が連続して発生した場合には、冷却水のリーク危険度が高まる。したがって、評価領域は冷却流路近傍の特に肉薄部が延びる方向に設定されることが好ましい。冷却流路の粗加工後にはリークテスターでエンジンブロック全数について検査しているものの、粗加工前の早い段階でリーク危険度がわかることは好ましい。ボルト締め等の締結部分は負荷がかかる部分であることから、クラックの有無や鋳巣が伸長してクラックに発展する可能性についてチェックされる必要がある。通常は、含侵探傷法が用いられるが、X線検査はこの部分の検査に有効である。オイルパンやミッションケースなどは、限られた部位のみの検査でも有効である。
(2)鋳造品の鋳肌面の領域
鋳型と溶湯との接触面で溶湯が適切に冷却された場合には、鋳造品鋳型と接触して形成された表面(鋳肌面)では、組織が極めて緻密になる。その緻密な層は、一般に、鋳肌面の表面から0.5mm〜1.0mm程度の深さである。このような緻密な層が形成されている場合、巣等を通じて冷却水漏れ等が発生する可能性は低い。しかし、鋳造品の表面に、鋳型の焼き付きが生じている場合がある。焼き付きとは、鋳型が高温となり過ぎることで、鋳造品の表面が剥がれて鋳型にこびり付き、鋳造品の表面が荒れることである。焼き付きは、鋳型において放熱がされ難い突起部やコーナー部、すなわち鋳造品においては凸部や凹部で生じやすい。鋳造品の焼き付き部分や、焼き付き部分の近傍は、鋳肌が荒れた状態なので、鋳造品の表面に近い部分(浅い部分)に存在する巣等は、漏れや強度不足の原因となる可能性が高く危険であるため、評価領域とする必要がある。
(3)シミュレーションで決まる領域
シミュレーションで不具合発生の可能性が予測される部分も評価領域とする必要がある。溶湯の合流点での湯回り不良や、溶湯がガスを巻き込むことによって発生するガス巣、厚さが大きく変化する部分での引け巣なども評価領域とする必要がある。
(4)加工面近傍の領域
鋳造後に後加工することが想定される加工面の周辺は評価領域として設定される。鋳造されたままの状態では表面に現れていない巣が後加工後に現れるという問題があるためである。たとえば、加工面が摺動面となる場合には、加工面に巣が現れた場合には、摺動相手の部材等に傷をつける可能性がある。また、摺動部分のオイルの油膜が好適に確保されない可能性がある。また、加工面にガスケット等を設ける場合も、加工面に巣が現れた状態では封止性に支障をきたすおそれがある。
(5)経験的に決まる領域
エンジンブロックにおいて、金型の鋳抜きピン付近やゲート付近に相当する領域は、評価領域として設定されることが好ましい。金型において、温度の上昇、下降温度幅が大きい激しい鋳抜きピンは、摩耗、ピン曲りの可能性があり、また、溶湯が高速で流動するゲート付近は金型表面が摩耗する可能性が金型の部分よりも高い。このため、エンジンブロックにおいて、金型のこれらの部分に相当する領域は、高頻度で検査を行う必要がある。
図3に示すように、評価領域700には、様々な三次元状の形状が含まれる。エンジンブロックのうち、クランクジャーナル部近傍の評価領域701は、厚みをもった半円弧状である。鋳抜きピン近傍の評価領域702は鋳抜きピンを囲む円筒状である。また、肉厚等の寸法を管理する評価領域703は寸法計測対象を含む形状である。シミュレーションで引け巣発生が予測される部分の評価領域は後述するように不定形である。
近年では、X線装置の分解能が向上しているので、被検物S内部の微細な巣等の内部欠陥を検査することが可能になった。一般に、鋳造品等の被検物Sに発生する巣等の内部欠陥は、サイズが大きいものは被検物S内部構造中に散在し、その個数は、サイズが小さいほど飛躍的に多く分布する。たとえば、X線装置の分解能が2倍に向上すると、従来1mmのサイズの内部欠陥しか検出できなかったのに対して、0.5mmのサイズの内部欠陥を検出できるようになる。その結果、検出可能な内部欠陥の個数は2倍ではなく、2倍をはるかに超えて多数となる。特に、最近のX線装置では、50μmのサイズの内部欠陥を検出可能なものもあり、このような検査装置による検出可能な内部欠陥の個数は膨大なものとなる。膨大な数の内部欠陥に基づいて鋳造品の良否判定を自動的に行う場合には、良否判定の対象を行うべき被検査領域となる評価領域の設定が重要となる。
本実施の形態では、欠陥評価装置1が上記した評価領域の設定に関連する処理を行うことにより、評価領域を設定するための処理が自動化されている。本実施の形態では、欠陥評価装置1の検査制御部56が評価領域の設定に関連する処理を行う。
図2のブロック図に示すように、検査制御部56は、重要部位設定部560と、表面情報取得部561と、危険域情報設定部562と、計算用表面作成部563と、グリッド設定部564と、評価領域設定部565と、評価領域編集部566と、検査結果情報入力部567と、クラスター化部568とを備える。
重要部位設定部560は、構成情報取得部55により取得された被検物Sに関する三次元CAD等の表面形状モデルデータを取得する。その表面形状モデルデータを構成する表面要素オブジェクトデータと表面要素オブジェクトデータに与えられた属性情報とを含む設計情報から、被検物Sのうち重要部位に関する情報(以後、重要部位情報と呼ぶ)を抽出する。重要部位としては、たとえば製品機能上、管理が必要な領域である被検物Sの加工面、ウォータージャケット、油路等の表面形状が挙げられる。したがって、重要部位情報とは、表面形状モデルデータのうちの一部の表面を表す表面要素オブジェクトデータの一つの要素ということができる。抽出された重要部位情報に基づいて、後述する評価領域設定部565によって評価領域が設定される。重要部位設定部560は、抽出した重要部位に対して、その重要部位が分類される属性を表す属性情報を付与する。属性情報としては、その重要部位の名称(加工面、ウォータージャケット、油路等)とすることができる。抽出された重要部位は、付与された属性情報とともに、表面情報としてデータ蓄積部58に記憶される。なお、以下の実施の形態では、特に説明がない場合は、重要部位は被検物Sにおいて、設計者によって意図して作成される表面に設定されるものとする。
表面情報取得部561は、構成情報取得部55により取得された被検物Sに関する三次元CAD等の設計情報や現物データから、被検物Sの表面形状モデルデータを抽出する。表面情報取得部561により抽出された被検物Sの表面形状モデルデータは、後述する危険域情報設定部562により設定された危険域情報とともに、評価領域設定部565が評価領域を設定する際に使用される。危険域情報設定部562は、構成情報取得部55により取得された鋳造シミュレーション等により得られた鋳造品に関する情報に基づいて、被検物Sの表面および内部構造において欠陥が見込まれる危険な部位の位置情報、または位置情報と危険度合とを危険域情報として設定する。危険域情報としては、たとえば被検物Sの表面危険域と内部危険域とがある。
表面危険域としては、所定の温度以上の鋳物表面や、冷却が悪く焼き付きが発生しやすい部位(たとえば、上述した鋳造品の凸部や凹部)や、鋳型と鋳物との間に隙間が生じると考えられる部位等が挙げられる。この場合、危険域情報は、上記の表面危険域の位置情報、または所定の温度以上の鋳物表面の場合にはその位置情報と温度情報との組み合わせとなる。内部危険域としては、溶湯が凝固するのに要する凝固時間が周囲よりも長い鋳物内部や、凝固過程で引け巣発生が予測される部位や、ガス巣発生が予測される部位や、湯回りが悪い部位等のように鋳造工程により危険となりうる部位が挙げられる。また、内部危険域として、内部応力(残留応力)が大きい部位等のように、鋳造後の工程である熱処理や粗加工により、巣等から亀裂等が生じる可能性がる部位等が挙げられる。この場合、危険域情報は、上記の内部危険域の位置情報、または溶湯の凝固時間が長い部位の位置情報と凝固時間との組み合わせ、引け巣発生が予測される部位の位置情報と程度(Niiyamaクライテリア)との組み合わせ、内部応力の大きい部位の位置情報と内部応力との組み合わせとなる。
なお、鋳造シミュレーションの結果は、一般的な構造解析ソフト向けに出力可能な機能がある。本実施の形態においても、構造解析ソフト向け出力や、構造解析ソフトで解析した結果、たとえば熱応力解析等を、CAEデータとして取得してもよい。その場合、取得されるCAEデータは、有限要素法や差分法に適用可能な形態で、NASTRANやPATRAN形式等のデータとなっている場合がある。ただし、本実施の形態では、危険域の位置情報、または危険域の位置と危険度合(温度や応力等)とを示すものであればよい。
計算用表面作成部563は、表面危険域に基づいて評価領域を生成する際に使用する計算面を、被検物Sの表面形状モデルデータから抽出する。計算面は、詳細を後述するように、評価領域設定部565が、評価領域を生成する際に用いられる。グリッド設定部564は、被検物Sを表すCAD等の設計情報に後述するグリッドを設定する。評価領域設定部565は、後述するようにしてX線による検査結果からその状態を評価する処理を行うための対象となる評価領域を生成する。評価領域編集部566は、評価領域設定部565により生成された評価領域に対して、所定の条件に基づいて拡大や連結等の編集処理を行う。検査結果情報入力部567は、X線検査装置100により被検物Sを実測した際に得られるデータ、すなわち被検物Sの現物データを取得する。もちろん、このときには、単にボクセルデータでもよく、空隙または外界との接続面の境界がわかるようなデータで構わない。検査結果情報入力部567は、CAD等から得られた表面形状モデルデータと検査結果である現物データとを位置合わせする。なお、ユーザの判断や所定の判断基準に照らし合わせて、現物データから被検物Sの内部の巣などを認識して、巣や製造者が意図していない形状を有する部分を欠陥の位置情報としてCAD等から得られた表面形状モデルデータに設定された座標系にて表現する。クラスター化部568は、検査結果情報入力部567により取得された検査結果情報と、評価領域設定部565または評価領域編集部566により生成、編集された評価領域とに基づいて、評価領域内に散在する巣等を集団化するクラスター化処理を行う。
上記の検査制御部56の各機能の詳細については、説明を後述する。
以下、検査制御部56が行う、評価領域の設定に関連する処理として、グリッド設定処理と、評価領域設定処理と、評価領域編集処理と、クラスター化処理とがある。以下、グリッド設定処理と、評価領域設定処理と、評価領域編集処理と、クラスター化処理とに分けて説明を行う。
<1.グリッド設定処理>
本実施の形態では、評価領域を設定する際に、グリッド設定部564は、構成情報取得部55により取得された設計情報に、複数の格子状のグリッドを設定する。
図4にグリッド600の一例を示す。グリッド600は、たとえば立方体であり、UVW方向のそれぞれに沿って三次元上に格子状に設けられる。なお、グリッド600が立方体であるものに限られず、直方体や四面体等であってもよい。複数のグリッド600は、様々な三次元形状や大きさを有する被検物Sに対して適用される。これにより、後述するようにして被検物Sに対して設定される評価領域がグリッド600により表される。
<2.評価領域設定処理>
評価領域設定部565は、グリッド設定部564により設定されたグリッド600を用いて、評価領域を設定する。評価領域設定部565は、重要部位に基づいた評価領域の設定と、表面危険域に基づいた評価領域の設定と、内部危険域に基づいた評価領域の設定とを行う。以下、重要部位に基づいて評価領域を設定する場合と、表面危険域に基づいて評価領域を設定する場合と、内部危険域に基づいて評価領域を設定する場合とに分けて説明を行う。
<2−1.重要部位に基づいて評価領域を設定する場合>
評価領域設定部565は、重要部位設定部560により抽出された重要部位情報に基づいて、評価領域を設定する。すなわち、評価領域設定部565は、重要部位(たとえば加工面、ウォータージャケット、油路等)のそれぞれをグリッド600により表された評価領域として設定する。
図5を用いて、評価領域設定部565により設定される評価領域700を模式的に示す。図5は、被検物S(エンジンブロック)の一部の表面形状モデルデータを簡略化して模式的に示す図であり、図5(a)は、重要部位設定部560により抽出された重要部位情報、すなわち属性ごとに分類された部位の表面形状モデルを模式的に示している。なお、この表面形状モデルは被検物SのCADデータ等の設計情報から生成されたものや、被検物SをX線検査装置100で計測して取得した形状測定結果から生成されたものでもよい。部位P1はエンジンブロックのウォータージャケットを構成する表面要素オブジェクトデータであり、部位P2はエンジンブロックの油路を構成する表面要素オブジェクトデータである。重要部位として指定する方法としては、表面要素オブジェクトデータに付与されている属性情報に基づき、重要部位の条件に該当するオブジェクトデータを重要部位情報として指定することでもよく、また、ユーザインタフェースを介して、被検物Sの表面形状モデルデータを表示させ、表面形状モデルデータのうち重要部位としてユーザが認識している表面要素オブジェクトデータが位置している三次元座標を少なくとも1か所指定することにより指定してもよい。また、必ずしも被検物Sの表面を直接指定する必要は無く、指定したい表面要素オブジェクトデータに近い位置を指定することでも構わない。図5(b)は、部位P1に対して評価領域設定部565により設定された評価領域700−1と、部位P2に対して設定された評価領域700−2とを模式的に示す。なお、図5(b)は、被検物SのUV平面における平面図である。図5(b)では、図示の都合上、グリッド600を省略して示すが、実際には評価領域700はグリッド600により三次元的な広がりを持つ領域として表される。このように、評価領域設定部565は、重要部位情報に基づいて、内部構造の評価対象領域を決める基準となる被検物Sの表面が特定できる場合には、重要部位である被検物Sの表面に対して評価領域700を設定する。設定された評価領域700は、それぞれ属性情報とIDとが付されてデータ蓄積部58に記憶される。属性情報は、評価領域700が設定された属性を示す情報であり、部位P1であればウォータージャケット、部位P2であれば油路のことである。また、IDは評価領域700を識別するための情報であり、たとえば番号やアルファベット等である。
<2−2.表面危険域に基づいて評価領域を設定する場合>
評価領域設定部565は、焼き付き等の発生する可能性がある被検物Sの表面に対しても評価領域700を設定する。評価領域設定部565は、表面情報取得部561により抽出された被検物Sの表面形状モデルデータと、危険域情報設定部562により設定された危険域情報と、計算用表面作成部563が作成した計算面とに基づいて、グリッド600により欠陥を評価すべき三次元位置が表された評価領域を設定する。以下、詳細に説明する。
図6は、図5と同様に、被検物Sの一部を簡略化して模式的に示す図である。図6においては、部位P1および部位P2はともに加工面であり、部位P1には表面危険域801〜805が散在し、部位P2には表面危険域811〜813が散在するものとする。なお、表面危険域801〜805を総称する場合には表面危険域810と呼び、表面危険域811〜813を総称する場合には、表面危険域820と呼ぶ。
鋳造シミュレーションの計算は、空間を直交格子や非直交格子によりメッシュに区切り、メッシュ単位で行われる。そのため、鋳造シミュレーションの計算結果により得られる空間情報は、計算のメッシュに基づく形状となる。メッシュサイズは、計算精度と処理負荷(計算時間)との関係から、自動車用エンジンのようなサイズの場合、通常、数mm程度である。その結果、危険域情報も空間的には、複数のメッシュの集合体として表現され、実際の表面危険域の形状と厳密には一致しない。つまり、鋳造シミュレーションの結果を、CAD等の設計情報と重ね合わせた場合に、表面危険域が設計情報上で表現される表面形状モデルデータに対して食い込んだような形状になったり、表面形状モデルデータから浮き出たような状態となる。計算用表面作成部563は、このような鋳造シミュレーション等による表面危険域810、820を基に、表面要素オブジェクトデータである部位P1、部位P2から計算面830を設定する。
しかし、計算面830を設計情報で同一面と認識されている面全体に渡って設定すると、焼き付き等が発生する可能性が少ない領域も計算面830に含まれて設定されてしまう。例えば、部位P1、P2の表面の全体に沿って設定すると、計算の対象となる面が非常に大きくなる。このように計算面を設定した場合には、表面危険域810、820から離れていて、危険度が低いために評価の対象外となるような巣等831と部位P1の表面との位置関係も、計算の対象としてしまうということが起こる。対象外の巣等831は、表面危険域810、820に対して評価をする際のノイズである。対象外の巣等831まで評価すれば、処理時間の増大をもたらす。このような処理時間の増大やノイズの発生を抑制するため、本実施の形態では、計算用表面作成部563は、部位P1、P2の表面の一部に計算面を設定する。なお、以下の説明では、部位P1の表面危険域810に対して行われる処理を中心に説明するが、部位P2の表面危険域820についても同様の処理が行われる。
計算用表面作成部563は、部位P1の表面(すなわち表面要素オブジェクトデータ)の一部の領域の境界である面境界位置情報を設定することにより、部位P1の表面から計算面となる表面領域を抽出する。面境界情報については、表面危険域810を示す位置情報を基に作成される。この場合、計算用表面作成部563は、部位P1の表面危険域801〜805をグループ化する。計算用表面作成部563は、散在する表面危険域801〜805とグリッド600とを重ね合わせる。なお、表面危険域801〜805のそれぞれは、被検物Sの表面形状モデルデータ上に位置する複数の位置情報から構成されている。
図7は、部位P1の表面危険域801〜805とグリッド600との関係を模式的に示す図である。図7(a)は、部位P1の表面危険域801〜805を示し、図7(b)は、図7(a)の一部をグリッド600と重ね合わせ拡大した図である。上述したように、鋳造シミュレーションの結果はメッシュ単位で表されるので、表面危険域801〜805は体積を有している場合がある。計算用表面作成部563は、表面危険域810が含まれるグリッド600のうち、個々のグリッド600に含まれる表面危険域810の面積が所定値以上となるグリッド600を抽出する。または、計算用表面作成部563は、表面危険域810までの距離が所定値以下となる部位P1の表面を含むグリッド600を抽出する。これにより、計算用表面作成部563により、被検物Sの内部構造が存在する領域内から任意の位置が設定される。計算用表面作成部563は、上記のようにしてグリッド600を抽出し、抽出されたグリッド600内に位置する表面要素オブジェクトデータの一部を抽出することにより、有効関心領域620を生成する。すなわち、計算用表面作成部563は、グループ化された表面危険域810に対して、部位P1の表面の一部の領域である有効関心領域620(グループ境界位置情報)を生成する。
計算用表面作成部563は、作成したグリッド600で表現された有効関心領域620とCAD等の設計情報により表現された部位P1の表面との共通部分である表面領域を計算面830として抽出する(図7(c)参照)。すなわち、計算用表面作成部563は、部位P1の表面のうち面境界位置情報で囲まれる領域内を計算面830として抽出する。
なお、計算用表面作成部563は、部位P2の表面危険域820に対しても同様の処理を適用して、グリッド600で表現された有効関心領域を生成し、生成した有効関心領域とCAD等の設計情報とに基づいて、計算面を抽出する。
なお、表面危険域820のそれぞれを構成する表面危険域811〜813についても、被検物Sの表面形状モデルデータ上に位置する複数の位置情報から構成されている。
評価領域設定部565は、図7(c)に示すように抽出された計算面830に基づいて、評価領域を設定する。この場合、評価領域設定部565は、図8(a)に示すように、矢印AR1にて示す計算面830の法線方向に向かって、計算面830から被検物Sの内部構造が形成されている領域へ向けて所定の距離だけグリッド600単位にて領域を拡張するようにして評価領域700を生成する。たとえば、評価領域設定部565は、所定の値を、グリッド600の2個分に相当する距離だけ計算面830をその法線方向に拡張する。なお、拡張方向は計算面830の法線方向だけに限らず、被検物Sの構造を構成する材料が存在している方向であればいずれの方向でもよい。また、計算面830が設定された部位P1の表面を含む方向に拡張することも本発明に含まれる。この結果、図8(b)に示すように、計算面830を始点にして被検物Sの内側に向けて領域を拡張することにより、評価領域700が設定される。図8(b)においては、拡張されたグリッド600を破線で示す。なお、所定の値は、グリッド600の2個分に相当する距離に限定されず、グリッド600の3個以上に相当する距離でも良いし、グリッド600の1個分に相当する距離でも良い。また、所定の値として、ある固定値(所定の距離)、たとえば5mmであってもよい。また、所定の値がユーザにより設定されてもよい。この場合、ユーザは入力操作部11を用いて、所定の値や所定のグリッド600の個数を入力すればよい。
なお、評価領域700を生成する際の計算面830の拡張については、上記の例に限定されない。たとえば、被検物Sであるエンジンブロックのうち、トランスミッションケースやオイルパン等のように、形状は複雑であっても肉厚の変化が少なく、かつ、その肉厚がせいぜい5〜10mm程度のように薄い場合を例に挙げる。図9(a)に、この場合の被検物Sの断面を模式的に示す。図9(a)では、被検物Sの部位P10の表面に計算面830が抽出された場合を示す。この場合、評価領域設定部565は、計算面830が設定された表面領域と対向する位置にある表面要素オブジェクトデータが位置情報と、計算面830の位置情報とを基に、それぞれの距離に応じて、部位P10の表面に対向する部位P11の表面に至るまで、計算面830を拡張するようにして評価領域700を生成してよい。
また、図9(a)に示した肉厚が薄い場合とは異なり、肉厚が厚い場合には、評価領域設定部565は、表面危険域の面積に基づいて、計算面830を拡張する距離を決定してもよい。図9(b)に、この場合の被検物Sの断面を模式的に示す。被検物Sのある部位P12の表面には、所定値よりも大きな表面積を有する第1表面危険域821と所定値以下の表面積を有する第2表面危険域822とが存在するものとする。この場合、評価領域設定部565は、第1表面危険域821に基づいて抽出された計算面830に対しては、2個分のグリッド600に相当する距離にて被検物Sの内側へ評価領域700を拡張するようにして評価領域700を生成してよい。評価領域設定部565は、第2表面危険域822に基づいて設定された計算面830に対しては、1個分のグリッド600に相当する距離にて被検物Sの内側へ評価領域700を拡張するようにして生成してよい。
また、評価領域設定部565は、表面危険域情報の危険度合に基づいて、計算面830の法線方向に拡張する距離を変更して評価領域700を生成してもよい。図10(a)に、この場合の表面危険域810をと計算面830とを模式的に示す。この場合、表面危険域情報の危険度合として、たとえば焼き付きの温度を例に挙げる。図10(a)では、表面危険域810のうち焼き付き温度が所定値よりも高い高温の範囲にドットを付与して表現する。評価領域設定部565は、表面危険域810のうち所定値よりも高温の範囲810−R1に対しては、計算面830を被検物Sの内側に大きな距離(深く)拡張し、所定値よりも低温の範囲810−R2に対しては、計算面830を被検物Sの内側に小さな距離(浅く)拡張する。評価領域設定部565は、たとえば、高温の範囲810−R1に対応する計算面830の範囲を、2個分のグリッド600相当分だけ厚さ方向に拡張し、低温の範囲810−R2に対応する計算面830の範囲を1個分のグリッド600相当分とする。これにより、図10(b)に示すように評価領域700を生成する。図10(b)においては、高温の範囲810−R1に対応して拡張したグリッド600を破線で示す。この場合、温度に対する計算面830の拡張度合は、ユーザによって設定可能な構成としてよい。
また、評価領域設定部565は、表面危険域情報の面積度合に基づいて、計算面830からの拡張度合を変更させて評価領域700を生成してもよい。図11(a)に、この場合のグループ化された表面危険域810と計算面830とを模式的に示す。この場合、グループ化された表面危険域810に含まれる表面危険域803の面積と表面危険域805の面積とが所定値を超えるものとする。評価領域設定部565は、表面危険域803、805に対しては、計算面830を被検物Sの内側に深く拡張し、他の表面危険域801、802、804に対しては、計算面830を被検物Sの内側に浅く拡張する。評価領域設定部565は、たとえば、表面危険域803、805に対応する計算面830の範囲を、厚さ方向に2個分のグリッド600にて表現し、面積が小さい表面危険域801、802、804に対応する計算面830は厚さ方向に1個分のグリッド600にて表現することにより、図11(b)に示すように評価領域700を生成する。なお、図11(b)においては、表面危険域803、805に対応して拡張したグリッド600を破線で示す。
なお、以上の説明では、部位P1の表面における表面危険域810に対する処理について説明したが、部位P2の表面における表面危険域820に対しても同様の処理を行うことにより、評価領域700を設定する。
図12に、上記の表面危険域810、820と、有効関心領域820と、計算面830と、評価領域700との位置的な関係を模式的に示す。なお、図示の都合から、計算面830は部位P1、P2の表面からずらして表現している。このようにして設定された評価領域700は、属性情報とIDとが付されてデータ蓄積部58に記憶される。属性情報は、評価領域700が設定された属性を示す情報であり、図12に示す例では加工面や油路のことである。また、IDは評価領域700を識別するための情報であり、たとえば番号やアルファベット等である。
また、評価領域設定部565は、計算面830を拡張する際の拡張率を一定ではなく、たとえば、被検物Sの形状に基づいて、拡張する率(倍率)を変更してもよい。上述したように、焼き付きが発生しやすいのは、鋳型の凸部に対応する被検物Sの凹部であることが多い。評価領域設定部565は、被検物Sの表面形状が凹部の部位に抽出された計算面830に対しては、拡張率を大きくし、たとえば厚さ方向に2個分のグリッド600にて表現し、凸部における計算面830に対しては、厚さ方向に1個分のグリッド600にて表現することにより、評価領域700を生成してよい。
以上の説明では、計算用表面作成部563が表面危険域810、820に基づいて有効関心領域620を生成する場合を説明したが、この場合に限定されるものではない。たとえば、GUIにおけるユーザの操作に基づいて、計算用表面作成部563が有効関心領域620を生成してもよい。この場合、ユーザが表示モニタ6等に表示されたCAD等の設計情報を視認しながら、所望の複数の位置を不図示のマウス等の入力操作部11を用いて指定する。計算用表面作成部563は、ユーザの操作に基づいて入力された複数の位置で囲まれた範囲を有効関心領域620とする。計算用表面作成部563は、この有効関心領域620と、CAD等の設計情報で表現された被検物Sの表面形状とに基づいて、計算面830を抽出すればよい。また、評価領域設定部565は、計算面830を拡張して評価領域700を生成する際の拡張する量や方向を、ユーザの操作に基づいて決定してもよい。この場合も、ユーザは、不図示のマウス等の入力操作部11を用いて、拡張する方向や量を指定すればよい。これにより、経験に基づく危険域に対して評価領域を生成することが可能になる。なお、上述の評価領域設定部565の処理については、CAD等の設計情報で表現された表面形状モデルデータ上で行う以外にも、現物データ上で行うようにしてもよい。
<2−3.内部危険域に基づいて評価領域を設定する場合>
評価領域設定部565は、危険域情報設定部562により設定された危険域情報に含まれる内部危険域、すなわち引け巣やガス巣、凝固時間や内部応力等に基づいて、評価領域を生成する。この場合に生成される評価領域は、鋳造シミュレーション等により得られる巣等が発生する危険域と、実際にX線検査装置100により得られた測定結果とを比較する際に用いることができる。鋳造シミュレーション等の結果は計算条件を決定すれば1つの結果が得られる。しかし、実際の鋳造では、同じ条件で製造したとしても、巣等の発生状況に差があるので、そのばらつきを考慮した上で鋳造品の評価を行う必要がある。そのためには、評価領域を固定して、複数の実際の鋳造品をX線検査装置100で計測して検証する必要がある。また、鋳造シミュレーションの予測精度は100パーセントではない。仮に80パーセント程度の予測精度であったとしても、予測精度をさらに向上させたいという要求がある。このため、X線検査装置100で実測して得られた現物データと、計算により得られたデータとを比較して評価することが必要である。
以上のような鋳造シミュレーションによる計算データとの比較検証に用いるために、本実施の形態では、内部危険域に基づいて評価領域を生成する。
本実施の形態では、複数の内部危険域が規則性なくランダムに分布しているか否かと、形状的な傾向の有無とに着目して、ユーザによる操作に基づいて、散在する内部危険域を纏めることにより評価領域が設定される。この場合、表示モニタ6に、表面情報取得部561から入力される被検物Sの表面形状と内部危険域とが重ねて表示され、ユーザはGUIとして入力操作部11から所望する範囲を指定すればよい。評価領域設定部565は、ユーザによって指定された範囲を囲むようにして、グリッド600で表現された評価領域を生成する。
図13は、被検物Sの内部に散在する内部危険域900を模式的に示す図である。表示モニタ6上において、ユーザが図13に示す内部危険域900−1〜900−5を指定すると、評価領域設定部565は、この内部危険域900−1〜900−5を囲む範囲を評価領域700として生成する。この場合、予め直方体や、円形や、円筒や、トーラス等の基本立体をテンプレートとしてデータ蓄積部58に予め記憶しておき、ユーザがテンプレートを指定した場合に、評価領域700は、指定されたテンプレートに基づいて、評価領域700を生成してもよい。
評価領域設定部565は、内部危険域に基づいて生成した評価領域700に対しては、属性とIDとを付与してデータ蓄積部58に記憶する。属性は、内部危険域を分類する情報、たとえば引け巣危険域や応力危険域等の名称に関する情報である。IDは、評価領域700を識別するための情報であり、たとえば番号やアルファベット等である。なお、内部危険域に関する情報は、鋳造シミュレーションから得られた位置情報を基に、被検物Sの表面形状モデルデータ上に鋳巣の発生予測位置情報が描画されているものだけに限られない。被検物Sの現物データから鋳巣位置を特定する一方、現物データとCAD等の設計情報から得られた表面形状モデルデータとを計算機上で位置合わせすることで、CADからの表面形状モデルデータに鋳巣位置情報を重畳させ、重畳させた情報から内部危険域を設定するようにしてもよい。
<3.評価領域編集処理>
以上のようにして自動で生成された評価領域700においては、複数の評価領域700同士が離れているために評価する対象とするべき危険域が欠落したり、経験的に巣等を経由してリークしやすい流路が欠落したりする可能性がある。また、被検物S上では異なる箇所ではあるが、その箇所に同一の部品が装着される場合、設計情報においては、異なる平面となるため、異なる評価領域700が生成される可能性がある。たとえば、ボルトを取り付けるためのボルト穴が複数個所ある場合、締結部やねじ加工部であるボルト穴周辺は評価領域700であるが、複数のボルト穴間もリークや締結強度の観点から評価領域700とするべきである。
上記したような観点から、生成された複数の評価領域700に対して連結等を行うことにより、評価領域700の精度をより向上させることが望ましい。このため、本実施の形態では、評価領域編集部566が評価領域700に対して編集処理を行う。以下、編集処理について詳細に説明する。
図14(a)は、評価領域設定部565によって被検物Sに対して生成された評価領域700を模式的に示す図である。評価領域700として、被検物Sの部位P1における表面危険域810に対して生成された評価領域700−1と、部位P2における表面危険域820に対して生成された評価領域700−2とを示す。この被検物Sに、表面危険域810の近傍に存在する巣等の危険因子910と、評価領域700−1と評価領域700−2との間に巣等の危険因子920とが存在するものとする。
危険因子910は、部位P1に対して生成された評価領域700−1に含まれるので、検査対象となる。しかし、危険因子920は、評価領域700−1にも評価領域700−2にも含まれないため、検査対象とはならない。評価領域700−1と評価領域700−2とは近い位置に生成されているため、評価領域700−1と評価領域700−2とを連結した広い範囲を評価領域700とすれば、危険因子920も検査対象とすることができる。また、部位P2は油路であるため、危険因子920はリークの発生をもたらす可能性があり、検査対象とするべきである。すなわち、評価領域700−2の属性から部位P2は要注意部位であるので、評価領域700−2を図の破線に示す範囲(補完領域)にまで拡大させるとよい。
評価領域編集部566は、異なる評価領域700間の距離が所定の距離以内の場合には、その評価領域700を連結して、1つの新たな評価領域700を生成する。たとえば、ボルト締結部については、評価領域編集部566は、所定の距離以内のボルト穴間については、1つの評価領域700となるように連結する。また、評価領域編集部566は、評価領域700に付与された属性に基づいて、重要部位の重要度に基づいて、評価領域700の拡大度合と連結度合とを大きくする。すなわち、評価領域編集部566は、重要部位の重要度が高い評価領域700に対してその大きさを拡大し、上記の所定距離を超える位置に生成された他の評価領域700と連結する。上記の図14(a)に示す例では、油路である部位P2の重要度は高いので、評価領域編集部566は、評価領域700−2の拡大度合を大きくして、評価領域700−1と連結させる。これにより、評価領域編集部566は、図14(b)に示すように、新たな評価領域700−3を生成する。なお、このような動作をさせるためには、評価領域編集部566では、現物データからユーザの判断や所定の判定基準に照らし合わせて、巣(もしくは鋳巣)となる表面要素オブジェクトデータまたは表面領域を抽出し、その表面要素オブジェクトデータまたは表面領域に囲まれた部分を巣(もしくは鋳巣)として認識するようにしてもよい。なお、巣となる表面要素オブジェクトデータまたは表面領域の抽出方法は、例えば、CADデータ等の製作者の意図した表面情報との差分データを現物データから得られた表面形状モデルデータから抽出するなどの公知の手法を採用することができる。
なお、評価領域編集部566は、評価領域700同士の連結対象を探索する場合には、設計情報に含まれる表面形状に基づいて、評価領域700から被検物Sの表面形状に沿うか、内部構造が存在する方向に行うのがよい。すなわち、評価領域編集部566は、被検物Sの外部の空中に評価領域700を拡大してもグリッド600の個数が増加するのみであり、鋳巣の探索する負荷量が増えるだけであり、評価解析時間に無駄な時間が生じるためである。一例として、図15に、部位P1に設定された評価領域700−1(図14(a)参照)を拡大する場合を模式的に示す。図15においては、評価領域700−1が評価領域設定部565により生成され、破線で示す評価領域700−3は、評価領域700−1を拡大したものである。
なお、連結する評価領域700は、必ずしも計算面830を設定した上で形成された評価領域700同士を連結するものだけに限られず、ユーザが自ら設定した評価領域700と他の評価領域700とが連結する条件に合致するのであれば連結してよい。
図16は、評価領域編集部566による評価領域700の連結、拡大の方法の例を模式的に示す部分拡大図である。なお、図16は被検物Sの断面を示す図であり、図16において斜線を付した領域は被検物Sの形状を示す表面の内側であることを示す。図16(a)は、ある部位P1の表面に生成された2つの評価領域700−1と700−2とを示す。評価領域編集部566が、図16(a)の評価領域700−1と700−2を連結する場合、上述したように部位P1の表面に沿って連結を行う。図16(b)に、連結により生成された新たな評価領域700−3を模式的に示す。これにより、評価領域700−1と700−2とに挟まれる部位P1の表面についても評価領域700−3に含まれるようにすることができる。
評価領域編集部566は、部位P1が重要部位である場合には、図16(b)に示すように連結して生成された評価領域700−3を拡大してもよい。図16(c)は、評価領域700−3を拡大した評価領域700−4を模式的に示す。これにより、被検物Sの外部空間が評価領域700−4に含まれる割合を抑えながら、重要部位の検査対象とする領域を拡大することができる。
また、評価領域編集部566は、図16(a)に示す評価領域700−1と評価領域700−2とに基づいて、図16(d)に示すような新たな評価領域700−5を生成してもよい。この場合、評価領域編集部566は、評価領域700−1のうち評価領域700−2から最も離れた頂点A1と、評価領域700−2のうち評価領域700−1から最も離れた頂点A2とを頂点とする対角線が形成されるように評価領域700−5を生成する。ただし、この評価領域700−5は部位P1の外部の空間が多く含まれてしまう。このため、評価領域編集部566は、評価領域700−5から部位P1の外部の空間を除去することにより、図16(e)に示すような評価領域700−6とするのがよい。
また、評価領域編集部566は、評価領域700−1と評価領域700−2とをそれぞれ拡大することにより、図16(f)に示すような連結された評価領域700−7を生成してもよい。
また、たとえば、設計情報から、機能上はオイル等が流れる流路がわかっているにも関わらず、異なる評価領域700が生成される可能性もある。このような場合にも、評価領域編集部566は編集処理を行う。リークテストは、たとえば、流路の一方からエアーを送り込み、他方から流出するエアーの流量を計測することで漏れ量を求め、漏れ量が規定量を超える場合に不良と判定する。流路は単純な一方向とは限らず、横穴や縦穴や横穴からクランクジャーナルへの斜め穴等の複雑な形状のものもある。リークテストをこのような流路に対して実施する場合には、X線検査装置100による現物データも用いて、この流路に合致するように評価領域700が生成されているとよい。
図17は、上記のような油路に沿って評価領域700が編集処理により生成された場合を示す。これにより、油路に合致した評価領域700(図17の破線部)が生成されるので、重要部位を確実に検査対象とすることができる。
被検物Sの表面が鋳造品の表面と一致している場合、異なる評価領域700が自動的に生成される場合もある。この場合、評価領域編集部566は、上述した拡大や連結等を行わず、それぞれの評価領域700が属性に基づいて区別されたままとする。
図18は、異なる属性の評価領域700が重複している場合を模式的に示す図である。図18においては、評価領域700−1と700−2とが部位P1とP2における重要部位情報に基づいて設定され、評価領域700−3と700−4とが部位P1とP2の表面危険域に基づいて設定されたものとする。部位P1に設定された評価領域700−1と700−3とが重複し、部位P2に設定された評価領域700−2と700−4とが重複している。評価領域700−1と700−3とに付与された属性は互いに異なり、評価領域700−2と700−4とに付与された属性は互いに異なっている。この場合、後述する危険度判定の処理を行う際に、属性に基づいて危険度を判定することができるので、評価領域編集部566は、属性が異なる評価領域700が重複していてもそのままとする。
また、リークテスト等で判明する実測判定の結果と、X線検査装置100により実際に測定して得られた実測結果とで整合がとれない場合がある。被検物Sにおいて、加工面も異なり、装着される部品が異なるような部位であっても、鋳造方案の設計上、鋳造の湯流れや凝固現象としては、同様の温度・冷却プロセスを経る部位がある。評価領域編集部566は、このような部位に対しては、同一の評価領域700を設定してもよい。
なお、評価領域編集部566は、上述したように評価領域700を拡大したり連結したりすることにより生成される新たな評価領域700のグリッド600の個数が所定個数を超える場合は、編集処理を行わない。すなわち、評価領域700を表現するグリッド600の個数が所定個数を超えることにより、各種の処理に要する負荷が過大となることが見込まれる場合には、評価領域編集部566は、評価領域700の拡大や連結を行わない。また、評価領域設定部565により生成された評価領域700を表現するグリッド600の個数が所定個数を超える場合には、評価領域編集部566は、生成された評価領域700を分割して複数の評価領域700となるようにしてもよい。なお、グリッド600の所定個数は、処理負荷や処理時間の観点から、試験等に基づいて設定された値であり、予めデータ蓄積部58に記憶されているものとする。また、グリッド600の所定個数は、評価領域700の増大に伴って評価の対象とはならない領域が含まれるようになることを抑制し、欠陥の検出精度を高レベルに維持する観点から設定することができる。
<4.クラスター化処理>
上記のようにして作成された評価領域700の内部に散在する巣等を集団化するクラスター化処理について説明する。この場合、クラスター化部568は、検査結果情報入力部567により取得された検査結果情報と、評価領域設定部565または評価領域編集部566により生成、編集された評価領域とに基づいて、検査結果情報における評価領域700内に散在する巣等を集団化する。上述したように、CAD等の表面要素オブジェクトデータを含む設計情報と検査結果である現物データとは位置合わせされ、検査結果情報に含まれる被検物Sの内部の巣等の危険因子の位置が設計情報に設定された座標系にて表現されている。X線検査装置100による実測にて得られた現物データと、評価領域700とが位置合わせされた共通の位置空間において、クラスター化部568は、グリッド600の単位にて、現物データ上の巣等を集団化する。
なお、位置合わせのためには、検査結果情報入力部567は、CAD等の表面要素オブジェクトデータを含む設計情報や鋳造シミュレーション等の内部構造に関する情報に基づいて、評価領域設定部565または評価領域編集部566により設定された評価領域を、X線検査装置100による実測にて得られた現物データに設定する。また、検査結果情報入力部567は、現物データに対してグリッドを設定するとともに、ポリゴン化して現物データから被検物Sの表面形状モデルデータを形成する。検査結果情報入力部567は、この表面形状モデルデータに基づいて、評価領域700を設定してもよい。
図19は、ある評価領域700内において実測して得られた現物データから抽出された複数の巣が散在している様子を示した図である。なお、図19では、巣を危険因子の一例として示している。以下、危険因子950として説明するが、危険因子は巣だけに限られない。なお、図19(a)では、図示の都合から巣等の危険因子950の個数を限定して表現しているが、X線検査装置100の分解能が向上してより小さな巣等を検出できる場合には、この巣等の危険因子950の個数は図示の例よりも増加する。また、図示の都合から、図19においては、グリッド600を省略して評価領域700を示している。クラスター化部568は、このように個数が多い巣等の危険因子950のうち、互いに近距離に位置する巣等同士を1つの塊、すなわちクラスターとしてまとめて一つの欠陥部位として認識できるようにし、後処理にて欠陥部位として認識されるクラスターごとに危険度の判定を行うことができるようにする。
クラスター化部568は、設定変更可能な固定値をクラスター閾値とし、このクラスター閾値以下の2つの巣等の危険因子950を1つのクラスターにまとめる。本実施の形態では、クラスター閾値は、2つの巣等の危険因子950の間の距離であり、たとえば1mm等に設定することができる。すなわち、クラスター化部568は、巣間距離が1mm以下の巣等の危険因子950を同一のクラスターとする。なお、巣間距離とは、ある巣等の危険因子950の外周と他の巣等の危険因子950の外周との間の距離である。
図19(b)は、図19(a)の破線で囲む領域R1を拡大して示す図である。クラスター化部568は、巣間距離が1mm以下の巣等の危険因子951と952とを同一クラスターとし、巣間距離が1mmを超える巣等の危険因子951と953とは同一クラスターとはしない。なお、クラスター化部568は、大きな巣等の危険因子950(図19(b)の例では巣等の危険因子951)から順に、周囲の巣等の危険因子950との巣間距離を計算するのがよい。巣等の危険因子950の大きさが小さくなるにつれて、その小さな巣等の危険因子950の個数が急激に増加する。この状態で小さな巣等の危険因子950から処理を行うと、処理するデータ量が増加し処理時間が増加してしまう。したがって、大きな巣等の危険因子950から処理を行うことにより、処理するデータ量の増加や処理時間の増加を防ぐことができる。
クラスター化部568は、対象とした巣等の危険因子950に対してクラスター閾値以下の他の巣等の危険因子950が1つでも存在する場合には、対象とした巣等の危険因子950を表現するグリッド600に対して、クラスター化可能なグリッドであることを示すフラグ1を付す。クラスター化部568は、対象とした巣等の危険因子950に対してクラスター閾値以下の他の巣等の危険因子950が1つも存在しない場合には、対象とした巣等の危険因子950を表現するグリッド600に対してフラグ0を付す。クラスター化部568は、フラグ1が付されたグリッド600を結合することにより、クラスターを生成する。
図20(a)は、図19(a)に示す評価領域700内の巣等の危険因子950に対して上記の処理を行った結果、生成されたクラスター960を模式的に示す図である。図20(a)では、5個のクラスター960−1〜960−5が生成された場合を示している。クラスター化部568は、それぞれのクラスター960−1〜960−5に対して、IDを付してデータ蓄積部58に記憶する。この場合、クラスター化部568は、クラスター960−1〜960−5に対して、IDとしてたとえば番号1〜5をそれぞれ付す。クラスター化部568は、他の評価領域700の巣等の危険因子950に対しても、同様にしてクラスター化処理を行う。
なお、上述した説明では、クラスター閾値を巣間距離としたが、この例に限定されない。たとえば、クラスター閾値として巣の膨張距離としてもよい。巣の膨張距離とは、巣等の危険因子950の外周を膨張させる距離である。たとえば、クラスター閾値として巣の膨張距離を0.5mmとした場合、クラスター化部568は、巣等の危険因子950の外周を0.5mm膨らませる。図20(b)は、図19(b)に示す巣等の危険因子951、952、953のそれぞれの外周を0.5mm膨らませた場合を示す。図20(b)に示すように、巣等の危険因子951と巣等の危険因子952とは、一部で重複する範囲R2が生じる。クラスター化部568は、対象とする巣等の危険因子950を膨張させた場合に、重複する他の巣等の危険因子950が1つでも存在する場合には、クラスター閾値以下の巣等の危険因子950であると見なし、対象とする巣等の危険因子950を表現するグリッド600のフラグを1に設定する。また、図20(b)の巣等の危険因子951と953との間では重複が生じていない。このような場合には、クラスター化部568は、クラスター閾値を超える巣等の危険因子950であると見なし、対象とする巣等の危険因子950を表現するグリッド600に対してフラグ0を付す。また、他にもグリッド600の寸法をクラスター閾値よりも小さい値にした上で、巣の少なくとも一部が存在するグリッド600と、他の巣の少なくとも一部が存在するグリッド600との間隔がクラスター閾値であるような場合も、1つのクラスターにしてもよい。また、このときに使用されるクラスター閾値はグリッド単位で設定されていてもよい。
クラスター化部568は、上記のようにして作成したクラスター960を後述する危険度判定に用いるための危険の程度を指標化する指標化処理を行う。クラスター化部568は、クラスター960の内部の巣等の危険因子950の状況に基づいて、クラスター960の危険の程度をたとえば5段階にて数値化する。クラスター化部568は、たとえば、危険の程度が高いクラスター960に大きな数値(クラスター指標)を付与する。クラスター化部568は、たとえば、クラスター960内の平均巣間距離や、クラスター閾値以下の巣間の個数や、クラスター960の体積に占める巣等950の総体積の割合(平均体積率)や、巣等の危険因子950の形状等から総合的にクラスター960の危険の程度を数値化して、指標化処理を行う。
平均巣間距離は、クラスター960内の複数の巣間距離の平均値であり、値が小さいほどクラスター960内部の複数の巣等950が近接していることを表す。クラスター閾値以下の巣間の個数は、たとえばざく巣のような細かい巣等の危険因子950が密集している場合には多くなる。このような場合には、複数の巣等の危険因子950は、内部で繋がっている可能性がある。平均体積率は、クラスター960内の巣等の危険因子950の総体積をクラスター960の体積で除した値である。この値が大きいほどクラスター960内に巣等の危険因子950が多く発生していることを表す。特に、巣等の危険因子950のサイズが小さい場合、その発生頻度も高いので、X線検査装置100の分解能以下の巣等が潜んでいる可能性もある。クラスター960内の巣等の危険因子950の形状として、鋭角な部分の度合い(例えば、巣の輪郭形状のアスペクト比など)の形状特徴量によって引け巣とガス巣を区別して指標化する。
図21(a)と図21(b)とを用いて、クラスター化部568による指標化処理を説明する。図21(a)は、クラスター960内に小さな巣等の危険因子950が数多く密集している例を示し、図21(b)は、クラスター960内に比較的大きな巣等の危険因子950が少数個散在している例を示す。図21(a)の例では、クラスター閾値以下の巣間の個数が多く、図21(b)の例では、クラスター閾値以下の巣間の個数が少ない。クラスター閾値以下の巣間の個数が多い図21(a)の例では、上述したように、クラスター960内の複数の巣等の危険因子950が内部で繋がっている可能性がある。図21(a)と図21(b)に示す例では、共にクラスター960内の複数の巣間距離の平均値が同程度である。図21(a)の例では、小さな巣等の危険因子950が密集しているので、平均体積率は小さな値となり、図21(b)の例では、大きな巣等の危険因子950が散在しているので、平均体積率は大きな値となる。クラスター化部568は、上記のような特徴を有している図21(a)に示すクラスター960の危険の程度が高いものと判定し、クラスター指標として「5」を付与する。クラスター化部568は、上記のような特徴を有している図21(b)に示すクラスター960の危険の程度が比較的低いものと判定し、クラスター指標として「2」を付与する。
次に、欠陥評価装置1が行う危険度判定処理、すなわち品質評価処理について説明する。
本実施の形態のX線検査装置100は、上述したようにして生成された評価領域700のそれぞれに対して、クラスター化部568により生成されたクラスター960の危険度の判定を行う。この場合、欠陥評価装置1の評価部57により位置関係の検査と、危険度の判定とが行われる。
評価部57は、図2に示すように、評価領域内検査部571と危険度判定部572とを機能として有する。評価領域内検査部571は、クラスター960と被検物Sの表面との位置関係について計算する。危険度判定部572は、評価領域内検査部571により算出された位置関係に基づいて、クラスター960の危険度の判定を行う。
まず、評価領域内検査部571による位置関係を算出する処理について説明する。評価領域内検査部571は、クラスター化部568により生成されたクラスター960と、評価領域編集部566により編集された評価領域700と、被検物Sの表面(たとえば計算面830や加工面)の位置情報とに基づいて、処理を行う。
図22に、クラスター960と、評価領域700と、被検物Sの表面との関係を模式的に示す。評価領域700と、クラスター960−1〜960−5とは、図20(a)に示す場合と同様である。図22においては、表面Q1、Q2が加工面であり、範囲Q3が表面危険域情報に基づいた焼き付きが発生しやすい部位であり、表面Q4は締結を行う予定の部位の表面である。
評価領域内検査部571は、各クラスター960−1〜960−5について表面との間の評価対象を抽出する。このとき、評価領域内検査部571は、計算用閾値以下の距離となるクラスター960−1〜960−5と表面との間を計算の対象とする。図X+13では、クラスター960−1に対する評価対象をL1−1、L1−2で示し、クラスター960−2に対する評価対象をL2−1で示し、クラスター960−3に対する評価対象をL3−1、L3−2、L3−3、L3−4、L3−5で示し、クラスター960−4に対する評価対象をL4−1、L4−2、L4−3、L4−4、L4−5で示し、クラスター960−5に対する評価対象をL5−1、L5−2で示す。なお、図22に示す例では、評価領域内検査部571は、クラスター960の境界と表面との距離に基づいて評価対象を抽出しているが、クラスター960内で表面に近い巣等の危険因子950の境界と表面との距離に基づいて評価対象を抽出してもよい。たとえば、評価領域内検査部571は、クラスター960−1に含まれる巣等950の境界と表面との距離に基づいて、評価対象L1−2に代えて評価対象L1−21を抽出してよい。この場合、表面までの距離がより正確となるので好ましい。
危険度判定部572は、上記のようにして抽出された評価対象の距離と判定用閾値との大小関係を比較する。なお、判定用閾値は、上述した計算用閾値よりも小さな値として設定されている。危険度判定部572は、判定用閾値よりも小さな距離の評価対象が抽出されたクラスター960に対しては、危険度が高いと判定する。
なお、上述した判定用閾値は、調整可能な値である。たとえば、判定用閾値を用いた危険度の判定結果が、実際の運用に合致していないような場合、すなわち危険の判定が過剰に多い場合や過度に少ない場合に、判定用閾値の調整が行われる。危険の判定が過剰に多い場合、危険度判定部572は判定用閾値の値を小さな値に設定し直して、再度判定処理を行う。この場合、たとえば2mmの判定用閾値を1mmに設定し直すと、表面から1.5mmに位置するクラスター960は危険ではないと判定される。また、危険の判定が過度に少ない場合、危険度判定部572は判定用閾値の値を大きな値に設定し直して、再度判定処理を行う。この場合、たとえば2mmの判定用閾値を3mmに設定し直すと、表面から2.5mmに位置するクラスター960が危険であると判定される。なお、判定用閾値を大きな値に調整する場合、危険度判定部572は、計算用閾値の値(たとえば5mm)未満の値に設定する。このように判定用閾値と計算用閾値の2つの閾値を設けている理由は、計算用閾値(たとえば5mm)によって一度計算結果として得られているので、判定用閾値を変更して判定結果が実際の運用に合致するように試行することが容易にできるからである。
危険度判定部572は、クラスター960ごとに、評価領域内検査部571により抽出された評価対象の距離と、評価対象の終点となる表面の属性に基づいて設定される距離とに基づいて、危険度の判定を行う。この場合、危険度判定部572は、抽出された評価対象の距離が等しい場合であっても、終点となる表面の属性が異なる場合には、危険度の評価を異ならせる。たとえば、危険度判定部572は、終点となる表面の属性が緻密層の場合と、加工面の場合とでは、加工面を終点とする評価対象の危険度を高いものとして判定する。また、危険度判定部572は、終点となる表面が重要部位である場合には、評価対象の危険度を高いものとして判定する。
たとえば、図22に示す例では、危険度判定部572は、クラスター960−1、960−3に対して抽出された評価対象L1−2、L3−1は、その終点となる表面は緻密層が削られる加工面Q1となるため危険度が高いと判定する。危険度判定部572は、クラスター960−3に対する評価対象L3−4は、その終点となる表面は緻密層が削られる加工面Q2であり、かつ油路であるので危険度が高いと判定する。さらにこのクラスター960−3を介して評価対象L3−1の終点である加工面から漏れが発生する可能性がある。したがって、危険度判定部572は、評価対象L3−4は危険度が最大であると判定する。このように、リークは流路が問題となるので、表面が油路の場合にはリークする流路の入口と出口も危険度を判定する際に考慮に入れる必要がある。危険度判定部572は、クラスター960−4の評価対象L4−5は、その終点である表面は焼き付きが発生する可能性がある範囲Q3であり健全な組織の状態ではないので、危険度が高いと判定する。危険度判定部572は、クラスター960−5の評価対象L5−2は、その終点である表面Q4は締結を行う部位であり、締結により力が加わると破断の可能性があるので、危険度が高いと判定する。
なお、危険度判定部572は、クラスター960内の最も被検物Sの表面に近い巣の表面から終点となる被検物Sの表面までの距離情報に加えて、終点となる被検物Sの表面に設定された加工シロの深さ情報によって危険度の判定を異ならせる。
図23は、クラスター960と表面との距離と加工シロの深さとの関係を模式的に示す。図23では、鋳抜きピンで最初に形成された穴の表面をQ5、表面Q5を加工することによって形成される表面をQ6、クラスター960の評価対象をL−1、L−2と表す。評価対象L−1とL−2の表面Q6までの距離は等しいものとする。また、評価対象L−1が抽出された位置での加工シロをR3、評価対象L−2が抽出された位置での加工シロをR4とする。評価対象L−2が抽出された位置での加工シロR4は、評価対象L−1が抽出された位置での加工シロR3と比較して大きい。表面の加工シロが大きい場合には、切削される緻密層が多いので、加工シロが小さい場合よりも危険度が高い。すなわち、危険度判定部572は、加工面である表面Q5までの距離が等しい評価対象L−1およびL−2に対して、評価対象L−1よりも、評価対象L−2の方が危険度が高いと判定する。
危険度判定部572は、上記のような考え方に従って危険度の判定を行うために、以下の式(1)、(2)に示す判定式を用いる。式(1)は表面が油路ではない場合の判定式であり、式(2)は表面が油路の場合の判定式である。
x=(クラスター指標×評価対象の個数×加工シロの大きさ×表面度数)/評価対象の距離 …(1)
x={(クラスター指標×評価対象の個数×加工シロの大きさ×表面度数)/評価対象の距離}×係数 …(2)
なお、表面度数は、表面の属性に基づいて指標化した値であり、焼き付きは「4」、加工面は「3」、締結部は「2」などのように、たとえば5段階で数値化して表現する。また、式(2)は、表面が油路でありリークテストの対象となるため、式(1)の判定式に重みを付けがされたものである。
上記の式(1)、(2)を用いることにより、現物データのそれぞれの表面に付与された属性情報とクラスター960に付与された属性情報との組み合わせに応じて、品質評価を判定するための基準が設定されることになる。
危険度判定部572は、上記の式(1)または(2)により得られた値が所定の判定用閾値を超えるか否かに基づいて、各クラスター960の危険度を判定する。すなわち、危険度判定部572は、式(1)または(2)により得られた値が判定用閾値を超える場合には危険と判定し、判定用閾値以下の場合には危険ではないと判定する。なお、この判定用閾値は、上述した評価対象を抽出する際に用いられた計算用閾値よりも小さな値である。
図24は、危険度判定部572が危険度の判定の際に用いる各指標と判定結果とを表形式で表した一例である。なお、図24では、クラスターIDと評価対象IDとについては、クラスターと評価対象に付与した参照符号を用いて表している。図24のクラスター判定の欄に、危険度判定部572が式(1)または(2)に基づいて行った判定結果が入力されればよい。
上記の判定結果は、表示モニタ6に表示される。この場合、表示モニタ6は、評価の対象となったクラスター960とともに判定結果に基づいて評価対象を色分けして表示してよい。
図25に、表示モニタ6に表示される判定結果の一例を模式的に示す。表示モニタ6には、グリッド600の単位で表現された評価領域700と、巣等の危険因子950と、クラスター960と、評価対象とが表示される。図25は、一例として、4個のクラスター960−1〜960−4に対する危険度判定の結果を表している。クラスター960−1には5個の評価対象L1−1〜L1−5が抽出され、クラスター960−2および960−3には評価対象L2−1およびL3−1がそれぞれ抽出され、クラスター960−4には2個の評価対象L4−1、L4−2が抽出されたものとする。クラスター960−1の評価対象L1−1〜L1−5のうち、評価対象L1−2およびL1−5が判定閾値以下であったものとする。同様に、クラスター960−4の評価対象L4−1、L4−2のうち、評価対象L4−2が判定閾値以下であったものとする。その他の評価対象については、判定閾値よりも大きく計算用閾値以下であったものとする。
表示モニタ6は、判定閾値以下の評価対象と、判定閾値より大きく計算用閾値以下の評価対象とを色分けして表示する。この場合、表示モニタ6は、クラスター960−1の評価対象L1−2およびL1−5とクラスター960−4の評価対象L4−2とを、たとえば赤色で表示し、他の評価対象をたとえば青色で表示する。なお、図25においては、図示の都合上、評価対象L1−2、L1−5、L4−2を実線で表し、他の評価対象を破線で表現することにより色分けして表示されたことを表現する。
なお、判定用閾値は欠陥位置との距離を求める面の属性情報に応じて、異なる閾値を設定してもよい。また、ある面との距離を求める欠陥位置にある欠陥の状態に応じて、異なる判定用閾値を設定してもよい。
表示モニタ6は、クラスター960の危険度に基づいて、色分けして表示する。図25の例では、クラスター960−1は、上記のように、危険と判定された評価対象L1−2とL1−5とが抽出されていることからわかるように、被検物Sを構成する2つの表面の近傍に位置する危険因子950の集団である。クラスター960−4は、危険と判定された評価対象L4−2が抽出されていることからわかるように、被検物Sの1つの表面の近傍に位置している危険因子950の集団である。また、クラスター960−2、960−3は危険とは判定されていない評価対象L2−1、L3−1がそれぞれ抽出されていることからわかるように、被検物Sの表面から一定距離以上離れて位置している危険因子950の集団である。このような場合、表示モニタ6は、複数の表面近傍に位置するクラスター960−1内部のグリッド600を例えば赤色、1個の表面近傍に位置するクラスター960−4内部のグリッド600を例えば黄色、表面から一定距離以上離れているクラスター960−2、960−3内部のグリッド600を例えば青色にて表示する。なお、図25では、図示の都合から、クラスター960−1内部のグリッド600に斜線を付し、クラスター960−4内部のグリッド600にドットを付し、クラスター960−2、960−3内部のグリッド600に格子状の模様を付して色分けして表示されたことを表現する。
また、表示モニタ6は、被検物Sの表面の属性情報に基づいて、表面を色分けして表示することもできる。また、表示モニタ6は、危険度の判定結果に基づいて、評価領域700を色分けして表示することもできる。危険度が高いと判定された場合には、表示モニタ6は評価領域700を例えば赤色で表示し、危険度が高くないと判定された場合には、表示モニタ6は評価領域700を例えば青色で表示すればよい。このように、被検物Sに期待されている機能を達成させるために形成された表面と危険因子との距離情報を基に、危険度判定を行い、わかりやすく危険域を被検物Sのモデルデータ上に表示することを可能にすることができる。
図26、図27のフローチャートを参照して、欠陥評価装置1により行われる処理について説明する。図26、図27のフローチャートに示す各処理を実行するためのプログラムは、データ蓄積部58に記憶され、欠陥評価装置1により読み出されて実行される。
図26のステップS100では、グリッド設定部564によりグリッド600を設定してステップS101へ進む。ステップS101では、危険域情報または重要部位情報は被検物Sの表面よりも内側(内部構造)に存在するか否かを判定する。すなわち内部危険域情報か否かを判定する。被検物Sの表面よりも内側、すなわち内部危険域情報の場合には、ステップS101が肯定判定されてステップS102へ進む。ステップS102では、表面情報と内部危険域情報とから、評価領域設定部565は評価領域700を設定して後述するステップS109へ進む。内部危険域情報ではない場合には、ステップS101が否定判定されてステップS103へ進む。
ステップS103では、計算面830が特定できるか否かを判定する。計算面830が特定できる、すなわち重要部位情報の場合には、ステップS103が肯定判定されてステップS104へ進む。ステップS104においては、評価領域設定部565は、重要部位情報に基づく表面に評価領域700を設定して後述するステップS109へ進む。
計算面830が特定できない場合、すなわち表面危険域情報の場合には、ステップS103が否定判定されてステップS105へ進む。ステップS105では、設計情報と危険域情報とを取得してステップS106へ進む。ステップS106では、評価領域設定部565は、有効関心領域620を設定してステップS107へ進む。ステップS107では、計算用表面作成部563は有効関心領域620内に計算面830を設定してステップS108へ進む。ステップS108では、評価領域設定部565は、計算面820を被検物Sの内側に拡張することにより評価領域700を設定してステップS109へ進む。ステップS109では、設定された評価領域700に属性情報を付与して、図27のステップS110へ進む。
ステップS110では、評価領域編集部566は、評価領域700を表現するグリッド600の個数が所定個数以下か否かを判定する。所定個数以下ではない場合には、ステップS110が否定判定され、ステップS111へ進む。ステップS111では、評価領域編集部566は、評価領域700を分割してステップS110へ戻る。グリッド600の個数が所定個数以下の場合には、ステップS110が肯定判定されてステップS112へ進む。ステップS110、S111における処理により、評価領域700を表現するためのグリッド600の個数を所定個数以下に抑制して、評価領域700に対する処理時間の増大を抑制する。また、評価領域700の増大に伴って評価の対象とはならない領域が含まれるようになることを抑制し、欠陥の検出精度を高レベルに維持することができる。
ステップS112では、評価領域700を編集するか否かを判定する。評価領域700を編集する場合には、ステップS112が肯定判定されてステップS113へ進み、評価領域700を編集しない場合には、ステップS112が否定判定されて後述するステップS116へ進む。ステップS113では、評価領域編集部566は、評価領域700に対して編集処理を行ってステップS114へ進む。ステップS114では、評価領域700の属性が所定のもの、たとえば油路やねじ穴同士であるか否かを判定する。評価領域700の属性が所定のものである場合には、ステップS114が肯定判定されてステップS115へ進む。評価領域700の属性が所定のものではない場合には、ステップS114が否定判定されてステップS110へ戻る。ステップS115では、評価領域編集部566は、評価領域700を拡張して隣接する評価領域700と連結してステップS110へ戻る。
ステップS112が否定判定されると、ステップS116にて、クラスター化部568はクラスター化処理を行ってステップS117へ進む。ステップS117では、クラスター化部568は、クラスター960に対して指標化処理を行ってステップS118へ進む。ステップS118では、評価部57の危険度判定部572が評価領域700内の各クラスター960ごとに危険度判定処理を行ってステップS119へ進む。このとき、危険度判定処理により得られた判定結果は、表示モニタ6に表示される。ステップS119では、判定用閾値は適正か否かを判定する。判定用閾値が適正の場合はステップS119が肯定判定されて処理を終了する。判定用閾値が適正ではない場合には、ステップS119が否定判定され、判定用閾値を調整してステップS118へ戻り危険度判定処理をやり直す。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)欠陥評価装置1の検査制御部56では、計算用表面作成部563は、表面危険域情報に基づいて、被検物Sの表面形状の一部の部位の表面から計算面830を抽出し、評価領域設定部565は計算面830に基づいて評価領域700を設定する。これにより、重要部位とは異なり表面が特定できないような被検物Sの部位を危険度の検査や評価の対象とすることができる。
(2)計算用表面作成部563は、複数の表面危険域をグループ化した位置に対して有効関心領域620を設定し、被検物Sの部位のうち有効関心領域620で囲まれた範囲を計算面830として抽出する。これにより、表面危険域に基づいて、被検物Sに表面を設定して評価領域700を設定することができる。
(3)評価領域設定部565は、計算面830を始点に被検物Sの内側に向けて拡張することにより、評価対象700を設定する。これにより、被検物Sの部位の表面とその近傍を危険度の検査や評価の対象とし、被検物Sの外部の空間に評価領域700を設定することを防ぐことができる。
(4)評価領域設定部565は、計算面830を被検物Sの内側に向けて所定の距離まで拡張することにより評価領域700を設定する。これにより、被検物Sの部位の表面とその近傍を危険度の検査や評価の対象とすることができる。
(5)評価領域設定部565は、計算面830が含まれる部位の属性情報に基づいて、所定の距離を設定する。これにより、計算面830が抽出された部位の重要度合に基づいて、被検物Sの部位の表面からどの程度の深さまでを検査や評価の対象とするべきかを決めることができる。
(6)評価領域設定部565は、計算面830と対向する部位の表面までの距離情報に基づいて、計算面830を拡張する距離を設定する。これにより、計算面830が抽出された部位の肉厚が薄い場合には、計算面830と対向する部位の表面も含まれるように評価領域700を設定することができる。
(7)評価領域設定部565は、計算面830の凸部と凹部のアスペクト比、すなわち凹凸の度合いに基づいて、計算面830を拡張する距離を設定する。これにより、凹凸の度合いによって異なる危険(たとえば凹部は焼き付きの影響を受けやすい)の状態を考慮に入れた評価領域700を設定することができる。
(8)評価領域設定部565は、被検物Sの内部構造に推定される欠陥に関する欠陥推定情報に基づいて、計算面830から被検物Sの内部構造が存在する方向に拡張する距離を設定する。これにより、表面危険域情報の危険度合、たとえば温度等に基づいて、危険度合が大きい程、被検物Sの表面から深い位置まで検査や評価の対象とすることができる。
(9)評価領域設定部565は、計算面830、すなわち表面危険域の面積に基づいて、計算面830を拡張する際の距離を設定する。これにより、大きな表面危険域は、被検物Sの表面から深い位置まで存在している可能性があるので、このような表面危険域を検査や評価の対象とすることができる。
(10)計算用表面作成部563は、被検物Sの同一部位に複数の有効関心領域620が設定されている場合には、有効関心領域620のそれぞれに対して計算面830を抽出し、評価領域設定部565は、複数の計算面830ごとに評価領域700を設定する。これにより、同一部位の表面危険域が分布する位置が大きく離れているような場合には、各々の表面危険域に対して評価領域700を設定し、検査や評価の対象として不要な領域を除外しつつ、表面危険域を検査や評価の対象に含めることができる。
(11)構成情報取得部55は、被検物Sの表面形状を示す表面形状情報と、被検物Sに発生することが推定される欠陥の位置に関する内部危険域情報とを取得する。計算用表面作成部563は、被検物Sの表面形状に沿って、推定される欠陥の位置を含む所定の領域を計算面830として抽出する。評価領域設定部565は、計算面830を、被検物Sの内部構造において表面形状に沿った方向と交わる方向に拡張して、評価領域700を設定する。これにより、重要部位とは異なり表面が特定できないような被検物Sの部位を危険度の検査や評価の対象とすることができる。
(12)クラスター化部568は、評価領域700が被検物Sを実測して得られたデータに基づく現物データに位置合わせされた状態で、現物データの空間内に評価領域700を設定し、現物データの空間内の評価領域700内にある欠陥箇所を特定する。これにより、設計情報の座標系を現物データにも適用させて欠陥箇所を特定できるので、利便性が向上する。
(13)クラスター化部568は、特性された欠陥箇所をグリッド600の単位で抽出し、複数のグリッド600である場合には、特定された欠陥箇所の位置関係または抽出されたグリッド600の位置関係に基づいて、複数のグリッド600を纏めてグリッド群であるクラスター960を生成する。これにより、複数の危険因子950をグリッド600の形式で集団化した状態で危険度を判定することができる。
(14)危険度判定部572は、クラスター960ごとに、クラスター960内に含まれている欠陥箇所と現物データに表現される表面を含む現物表面領域との距離情報を算出し、算出された距離情報に基づいて、危険度を判定する。これにより、被検物Sの現物表面の近傍に位置する危険因子950はリークや破断等の原因となり得るので、このような危険因子950の危険度を高く判定することができる。
(15)危険度判定部572は、品質評価を行う際に用いる距離情報は、クラスター960内に位置する複数の危険因子950から現物データに表現される表面を含む現物表面領域までのそれぞれの距離情報のうち最短距離を示す情報を含む。これにより、現物表面の近傍に位置し、リークや破断等の原因となる可能性が高い危険因子950に対して危険度の判定を行うことができる。
(16)危険度判定部572は、品質評価を行う際に用いる距離情報は、現物データに表現されている各々の表面ごとに、クラスター950内に位置する任意の欠陥箇所からの距離情報を含む。これにより、被検物Sのある現物表面に対しては危険度が低くいが、他の現物表面に対しては危険度が高いような危険因子950を漏らすことなく評価することができる。
(17)危険度判定部572は、クラスター960内において、複数の表面の各々からクラスター960内に存在するいずれかの危険因子950までの距離情報のうちそれぞれの表面ごとに設定されている属性情報に基づいて設定された評価基準に基づいて、品質評価を判定する。一般に、被検物Sの表面の状態が、たとえば加工面の場合と緻密層の場合とでは、危険因子950の位置が被検物Sの表面からの距離が同一であったとしても危険度が異なる。本実施の形態では、被検物Sの表面の状態に基づいた距離情報を用いて危険度を判定するので、判定精度を向上させることができる。
(18)評価領域編集部566は、評価領域設定部565により設定された複数の評価領域700の相互の距離情報に基づいて、評価領域700間の三次元空間を、検査または評価の対象とするための補完領域として設定し、評価領域700と補完領域とを含めた新たな評価領域を設定する。これにより、評価領域設定部565により設定された評価領域700に含まれない危険因子920を検査や評価の対象とすることができる。
(19)評価領域編集部566は、鋳造条件の変化に対する欠陥の出現頻度の変化の類似性を表す類似性情報に基づいて、補間領域の設定の可否を決定する。これにより、鋳造方案上の設計上、鋳造の湯流れや凝固の現象の観点から、同様の温度・冷却プロセスを経るような部位については1つの評価領域700に纏ることができる。
(20)評価領域編集部566は、被検物Sが構成する表面のうち、複数の評価領域700の一部が含まれる表面の有無に基づいて、補完領域の設定の可否を決定する。これにより、オイルが流れる油路等の流路を別々の評価領域700にすることなく、同一の流路を纏めて検査や評価の対象とすることができる。
(21)評価領域設定部565は、被検物Sの内部構造が存在する領域内から任意の位置を設定し、設定された位置に基づいて評価領域700を設定する。これにより、重要部位とは異なり表面が特定できないような被検物Sの部位であっても、危険度の検査や評価の対象とすることができる。
(22)現物データのそれぞれの表面に付与された属性情報とクラスター960に付与された属性情報との組み合わせに応じて、品質評価を判定するための基準が設定される。これにより、危険度の判定精度を向上させることができる。
−第2の実施の形態−
図面を参照して、第2の実施の形態による構造物製造システムを説明する。本実施の形態の構造物製造システムは、たとえば自動車のドア部分、エンジン部分、ギア部分および回路基板を備える電子部品等の成型品を作成する。
図28は、本実施の形態による構造物製造システム1000の構成の一例を示すブロック図である。構造物製造システム1000は、第1の実施の形態または変形例にて説明したX線検査装置100と、設計装置1110と、成形装置1120と、制御システム1130と、リペア装置1140とを備える。
設計装置1110は、構造物の形状に関する設計情報を作成する際にユーザが用いる装置であって、設計情報を作成して記憶する設計処理を行う。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報である。設計情報は成形装置1120および後述する制御システム1130に出力される。成形装置1120は設計装置1110により作成された設計情報を用いて構造物を作成、成形する成形処理を行う。この場合、成形装置1120は、3Dプリンター技術で代表される積層加工、鋳造加工、鍛造加工および切削加工のうち少なくとも1つを行うものでもよい。
X線検査装置100は、成形装置1120により成形された構造物の形状を測定する測定処理を行う。X線検査装置100は、構造物を測定した測定結果である構造物の座標を示す情報(以後、形状情報と呼ぶ)を制御システム1130に出力する。制御システム1130は、座標記憶部1131と、検査部1132とを備える。座標記憶部1131は、上述した設計装置1110により作成された設計情報を記憶する。
検査部1132は、成形装置1120により成形された構造物が設計装置1110により作成された設計情報に従って成形されたか否かを判定する。換言すると、検査部1132は、成形された構造物が良品か否かを判定する。この場合、検査部1132は、座標記憶部1131に記憶された設計情報を読み出して、設計情報とX線検査装置100から入力した形状情報とを比較する検査処理を行う。検査部1132は、検査処理としてたとえば設計情報が示す座標と対応する形状情報が示す座標とを比較し、検査処理の結果、設計情報の座標と形状情報の座標とが一致している場合には設計情報に従って成形された良品であると判定する。設計情報の座標と対応する形状情報の座標とが一致していない場合には、検査部1132は、座標の差分が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であれば修復可能な不良品と判定する。
修復可能な不良品と判定した場合には、検査部1132は、不良部位と修復量とを示すリペア情報をリペア装置1140へ出力する。不良部位は設計情報の座標と一致していない形状情報の座標であり、修復量は不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分である。リペア装置1140は、入力したリペア情報に基づいて、構造物の不良部位を再加工するリペア処理を行う。リペア装置1140は、リペア処理にて成形装置1120が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
図29に示すフローチャートを参照しながら、構造物製造システム1000が行う処理について説明する。
ステップS200では、設計装置1110はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS201へ進む。なお、設計装置1110で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS201では、成形装置1120は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS202へ進む。ステップS202においては、X線検査装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS203へ進む。
ステップS203では、検査部1132は、設計装置1110により作成された設計情報とX線検査装置100により測定され、出力された形状情報とを比較する検査処理を行って、ステップS204へ進む。ステップS204では、検査処理の結果に基づいて、検査部1132は成形装置1120により成形された構造物が良品か否かを判定する。構造物が良品である場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致する場合には、ステップS204が肯定判定されて処理を終了する。構造物が良品ではない場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致しない場合や設計情報には無い座標が検出された場合には、ステップS204が否定判定されてステップS205へ進む。
ステップS205では、検査部1132は構造物の不良部位が修復可能か否かを判定する。不良部位が修復可能ではない場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲を超えている場合には、ステップ205が否定判定されて処理を終了する。不良部位が修復可能な場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲内の場合には、ステップS205が肯定判定されてステップS206へ進む。この場合、検査部1132はリペア装置1140にリペア情報を出力する。ステップS206においては、リペア装置1140は、入力したリペア情報に基づいて、構造物に対してリペア処理を行ってステップS202へ戻る。なお、上述したように、リペア装置1140は、リペア処理にて成形装置1120が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
上述した第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)構造物製造システム1000のX線検査装置100は、設計装置1110の設計処理に基づいて成形装置1120により作成された構造物の形状情報を取得する測定処理を行い、制御システム1130の検査部1132は、測定処理にて取得された形状情報と設計処理にて作成された設計情報とを比較する検査処理を行う。従って、構造物の欠陥の検査や構造物の内部の情報を非破壊検査によって取得し、構造物が設計情報の通りに作成された良品であるか否かを判定できるので、構造物の品質管理に寄与する。
(2)リペア装置1140は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。従って、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
上述した第1および第2の実施の形態のX線検査装置や欠陥評価装置を次のように変形してもよく、変形例の一つ、もしくは複数を上述の第1および第2の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)X線検査装置100がコーンビームを放射するX線源と、ラインセンサではなく2次元状に画素が配列された構造を有する検出器4とを有するものであっても良い。この場合、検出器4のライン状に並ぶ画素から信号を出力すれば良い。
(2)グリッド600の形状は、立方体に限られない。たとえば、タービンブレードの羽部、ミッションケースやデフケースなどのような、中空形状の物品は、構造上の表面方向と肉厚方向とでは、検査に必要なグリッド600のピッチが異なる。表面方向にはグリッド600をあまり小さくする必要は無い。一方、肉厚方向には、グリッド600のピッチを小さくする必要がある。このような物品に対しては、直方体のグリッドを設定することが好ましい。
(3)グリッド設定部564は、構成情報取得部55により取得されたCAD等の設計情報にグリッド600を設定するものとしたが、この例に限定されない。グリッド設定部564は、たとえば、検査結果情報入力部567が入力したX線検査装置100による計測によって取得された実測データ、すなわちボクセルデータに基づいて、グリッド設定処理を行ってもよい。この場合、欠陥評価装置1の検査制御部56は、入力したボクセルデータから、被検物Sの表面情報と内部構造情報とを分離する処理を行う表面情報分離部を機能として備えるとよい。ボクセルデータから分離された表面情報は、CAD等の設計情報に代えて表面情報取得部561に出力される。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
1…欠陥評価装置、5…制御装置、6…表示モニタ、
11…入力操作部、55…構成情報取得部、56…検査制御部、
57…評価部、58…データ蓄積部、
560…重要部位設定部、561…表面情報取得部、
562…危険域情報設定部、563…計算用表面作成部、
564…グリッド設定部、565…評価領域設定部、
566…評価領域編集部、567…検査結果情報入力部、
568…クラスター化部、571…評価領域内検査部
572…危険度判定部、1000…構造物製造システム、
1110…設計装置、1130…制御システム、
1132…検査部

Claims (36)

  1. 被検物の一部の領域に評価領域を設定する評価領域設定部と、
    前記被検物の前記評価領域を実測して得られた欠陥の、前記被検物内における位置関係を算出する評価領域内検査部と、
    前記評価領域内検査部により算出された前記位置関係に基づいて前記欠陥の危険度を判定する危険度判定部とを備え、
    前記危険度判定部の結果に基づいて、前記被検物を評価する欠陥評価装置。
  2. 請求項1に記載の欠陥評価装置であって、
    前記位置関係は、前記被検物の表面までの距離を含む、欠陥評価装置。
  3. 請求項1または2に記載の欠陥評価装置であって、
    前記評価領域設定部は、前記被検物の部位に関する設計情報を用いて前記評価領域を設定する、欠陥評価装置。
  4. 請求項3に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、前記位置関係と前記設計情報とに基づいて前記欠陥の危険度を判定する、欠陥評価装置。
  5. 請求項4に記載の欠陥評価装置であって、
    前記設計情報は、前記部位の機能に関する属性情報を含み、
    前記欠陥の危険度は、前記属性情報と、前記欠陥の程度に基づいて定まる、欠陥評価装置。
  6. 請求項5に記載の欠陥評価装置であって、
    前記欠陥の程度は、欠陥の数、大きさ、形状、欠陥間の距離の少なくとも一つを含む、欠陥評価装置。
  7. 請求項4から6のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    欠陥箇所の危険度の判定結果に基づいて、前記被検物が良品か不良品かを判定する、欠陥評価装置。
  8. 請求項5から7のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    属性情報は、前記被検物の前記部位の表面に関する情報である、欠陥評価装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記被検物の内部の欠陥は、X線検査装置を用いて実測して得られる、欠陥評価装置。
  10. 被検物の一部の領域に評価領域を設定することと、
    前記被検物の前記評価領域を実測して得られた欠陥の、前記被検物内における位置関係を算出することと、
    前記位置関係に基づいて前記欠陥の危険度を判定することと、
    前記判定することの結果に基づいて、前記被検物を評価することを含む、欠陥評価方法。
  11. 被検物の内部を実測して得られた複数の欠陥のうち、判定対象とする欠陥を含む複数の欠陥を集団化したクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与するクラスター化部と、
    前記クラスター化部により生成されるクラスター指標に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する危険度判定部と、
    前記危険度判定部の結果に基づいて、前記被検物を判定する欠陥評価装置。
  12. 請求項11に記載の欠陥評価装置であって、
    前記クラスターの前記被検物内での位置関係を算出する評価領域内検査部を更に備え、
    前記危険度判定部は、前記位置関係に基づいて前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  13. 請求項12に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、前記クラスターと前記被検物の表面との間の距離に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  14. 請求項12に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、前記クラスターと前記被検物の表面との間の距離と、前記表面の属性情報とに基づいて、前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  15. 請求項12に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、前記クラスターに占める前記欠陥の体積率に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  16. 請求項12に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、前記クラスターにおける複数の欠陥の間の距離に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  17. 請求項12から16のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部が行った前記危険度の判定結果に基づいて、前記被検物が良品か不良品かを判定する、欠陥評価装置。
  18. 請求項11から17のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記クラスター化部は、複数のクラスターを生成し、前記複数のクラスターの一部のクラスターの判定結果を用いて、前記被検物を判定する、欠陥評価装置。
  19. 請求項11から18のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記被検物の内部を複数の欠陥は、X線検査装置を用いて実測して得られたデータである、欠陥評価装置。
  20. 被検物の内部を実測して得られた複数の欠陥のうち、判定対象とする欠陥を集団化してクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与することと、
    前記クラスター指標に基づいて前記クラスターの危険度を判定することと、
    前記判定した結果に基づいて、前記被検物を評価することとを含む欠陥評価方法。
  21. 被検物の表面形状モデルに対して、前記被検物の内部を検査して得られた内部危険域に基づいて評価領域を設定する評価領域設定部と、
    前記評価領域に含まれる複数の内部危険域を、所定のクラスター閾値に基づいて集団化してクラスターを生成し、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与するクラスター化部と、
    前記クラスター指標、前記クラスターと前記被検物の表面との距離、および、前記表面の属性に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する危険度判定部と、を備える欠陥評価装置。
  22. 請求項21に記載の欠陥評価装置であって、
    前記クラスター指標は、内部欠陥の間の距離、前記クラスター閾値以下の前記内部欠陥の個数、前記クラスターの体積に占める前記内部欠陥の総体積の割合、および前記内部欠陥の形状のうちの少なくとも一つに基づいて前記クラスターに付与する、欠陥評価装置。
  23. 請求項21または22に記載の欠陥評価装置であって、
    前記属性は、前記被検物の表面の部位の名称である、欠陥評価装置。
  24. 請求項21から23のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記危険度判定部は、少なくともクラスター指標と前記属性と前記距離と、に基づいて前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価装置。
  25. 請求項21から24のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記評価領域の拡大および/または複数の前記評価領域の連結を行う、評価領域編集部をさらに備える、欠陥評価装置。
  26. 請求項21から25のいずれか一項に記載の欠陥評価装置であって、
    前記被検物の内部の検査は、X線検査装置を用いて行われる、欠陥評価装置。
  27. 被検物の表面形状モデルに対して、前記被検物の内部を検査して得られた内部危険域に基づいて評価領域を設定し、
    前記評価領域に含まれる複数の内部危険域を、所定のクラスター閾値に基づいて集団化してクラスターを生成して、前記クラスターの危険の程度を指標化したクラスター指標を付与し
    前記クラスター指標、前記クラスターと前記被検物の表面との距離、および、前記表面の属性に基づいて、前記クラスターの危険度を判定する、欠陥評価方法。
  28. 請求項27に記載の欠陥評価方法であって、
    前記クラスター指標は、内部欠陥の間の距離、クラスター閾値以下の前記内部欠陥の個数、前記クラスターの体積に占める前記内部欠陥の総体積の割合、および前記内部欠陥の形状のうちの少なくとも一つに基づいて前記クラスターに付与される、欠陥評価方法。
  29. 請求項27または28に記載の欠陥評価方法であって、
    前記属性は、前記被検物の表面の部位の名称である、欠陥評価方法。
  30. 請求項27から29のいずれか一項に記載の欠陥評価方法であって、
    少なくともクラスター指標と前記属性と前記距離と、に基づいて前記クラスターの危険度が判定される、欠陥評価方法。
  31. 請求項27から30のいずれか一項に記載の欠陥評価方法であって、
    前記評価領域の拡大および/または複数の前記評価領域の連結をさらに行う、欠陥評価方法。
  32. 請求項27から31のいずれか一項に記載の欠陥評価方法であって、
    前記被検物の内部の検査は、X線検査装置を用いて行われる、欠陥評価方法。
  33. 構造物の形状に関する設計情報を作成し、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、
    前記構造物に対象領域を設定し、前記対象領域の形状情報を、X線検査装置を用いて取得する構造物の製造方法であって、
    作成された前記構造物を被検物として前記被検物に対して、請求項1から9、11から19、および21から26のいずれか一項に記載の欠陥評価装置を用いて前記対象領域を設定し、
    前記構造物を評価する、構造物の製造方法。
  34. 構造物の形状に関する設計情報を作成し、
    前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、
    前記構造物に対象領域を設定し、前記対象領域の形状情報を、X線検査装置を用いて取得する構造物の製造方法であって、
    作成された前記構造物を被検物として前記被検物に対して、請求項10、20、27から32のいずれか一項に記載の欠陥評価方法によって前記構造物を評価する、構造物の製造方法。
  35. 請求項33または34に記載の構造物の製造方法において、
    前記被検物を評価した評価結果に基づいて、前記構造物の再加工を行う、構造物の製造方法。
  36. 請求項35に記載の構造物の製造方法において、
    前記構造物の再加工は、前記設計情報に基づいて前記構造物の作成を再度行う、構造物の製造方法。
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