JP2005072048A - データ管理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の画像を分類する際に基板の画像から抽出したデータ群を効率よく管理する。
【解決手段】基板の画像を取り込み、基板に関する予め定めた情報を参照して画像から第1データ群を抽出し(S10〜S12)、第1データ群と画像とを関連づけて記憶する(S13)。
【選択図】 図4
【解決手段】基板の画像を取り込み、基板に関する予め定めた情報を参照して画像から第1データ群を抽出し(S10〜S12)、第1データ群と画像とを関連づけて記憶する(S13)。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ管理装置に関し、特に、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において基板を検査する装置に好適なデータ管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、基板(ウエハやプレート)の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検査が行われている。自動化された検査装置では、基板の表面に検査用の照明光を照射し、基板上の繰り返しパターンから発生する回折光などに基づいて基板の画像を取り込み、この画像の明暗差(コントラスト差)により繰り返しパターンの欠陥箇所を特定する。
【0003】
また、上記の検査装置では、その装置条件(例えば基板のチルト角)を自動的に変更しながら基板の画像を取り込み、得られた多数の画像に基づいて最適な装置条件を決定する(例えば特許文献1を参照)。そして、この最適な装置条件の下で所定の検査を行う。
【特許文献1】
特開2002−162368号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の検査装置では、基板上の繰り返しパターンの種類数に応じて多数の最適な装置条件が得られ、これらの最適な装置条件の下で順に検査を行うと、全体の処理時間が長くなってしまう。処理時間を短縮するためには、多数の最適な装置条件を絞り込み、検査に適するものを選び出す必要がある。さらに、その前処理として、多数の最適な装置条件の各々で取り込んだ基板の画像を分類することも必要となるが、適切な分類方法はまだ提案されていない。
【0005】
本発明の目的は、基板の画像を分類する際に基板の画像から抽出したデータ群を効率よく管理できるデータ管理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のデータ管理装置は、基板の画像を取り込む画像取込手段と、前記基板に関する予め定めた情報を参照して前記画像から第1データ群を抽出する抽出手段と、前記第1データ群と前記画像とを関連づけて記憶する記憶手段とを備えたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記第1データ群のうち少なくとも一部を用いた演算処理により第2データ群を生成する演算手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記第1データ群のうち前記演算処理に用いられた前記少なくとも一部と前記第2データ群と前記画像とを関連づけて記憶するものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ管理装置において、前記記憶手段による記憶内容に基づいて、少なくとも前記画像の識別情報と前記第2データ群とを表示する表示手段をさらに備えたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のデータ管理装置において、前記抽出手段は、前記基板のチップ領域またはショット領域の属性を記述したデータ群を前記情報として参照し、前記画像から前記第1データ群を抽出するものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のデータ管理装置において、前記抽出手段は、前記第1データ群として、前記画像の中から前記チップ領域または前記ショット領域に対応する部分画像を抽出すると共に、該部分画像の特徴量を抽出するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のデータ管理装置において、前記画像取込手段は、複数の前記画像を取り込み、前記抽出手段は、前記画像ごとに、前記部分画像を抽出すると共に、該部分画像の予め定めた複数の種類の前記特徴量を抽出し、前記演算手段は、前記複数の種類の中から1つ以上の種類を選択し、該1つ以上の種類の特徴量を用いた統計的な演算処理により前記複数の画像を分類し、該分類の結果を前記第2データ群として生成するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
ここでは、本実施形態のデータ管理装置について、図1に示す表面検査装置10を例に説明する。表面検査装置10の画像処理装置15が、本実施形態のデータ管理装置に対応する。
【0011】
表面検査装置10は、画像処理装置15の他に、ウエハ11(基板)を支持するホルダ12と、ウエハ11の表面に照明光L1を照射する照明系13と、ウエハ11の表面からの回折光L2を受光する受光系14と、制御装置16とで構成されている。
表面検査装置10は、半導体回路素子の製造工程において、ウエハ11の表面を自動的に検査する装置である。ウエハ11の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域20がxy方向に配列されている。各々のチップ領域20には、複数種類の繰り返しパターンが形成されている。繰り返しパターンとは、周期的に繰り返される線配列形状の回路パターン(レジストパターン)のことである。各々のチップ領域20における繰り返しパターンの配置は同様である。
【0012】
概略、表面検査装置10では、ウエハ11の表面の検査(繰り返しパターンの欠陥検出)を行う前に、ウエハ画像の濃度情報に基づいて最適な装置条件(例えば後述のチルト角や照明光量や照明波長など)の候補を多数決定し、得られた多数の候補の各々に対応するウエハ画像をクラスタリング処理により分類する。そして、分類の結果を考慮して最適な装置条件に設定し、検査を行う。なお、多数の候補が得られる理由は、ウエハ11に複数種類の繰り返しパターンが存在するからである。本実施形態のデータ管理装置は、多数のウエハ画像をクラスタリングにより分類する際、各々のウエハ画像から抽出したデータ群(後述の特徴量など)を効率よく管理するものである。
【0013】
本実施形態のデータ管理装置について具体的に説明する前に、表面検査装置10の各部の説明を行う。
ホルダ12は、不図示の搬送装置によって搬送されてきたウエハ11を上面に載置し、例えば真空吸着により固定保持する。また、ホルダ12は、不図示のチルト機構によって、ウエハ11の表面を通る軸Ax1のまわりに所定の角度範囲内でチルト可能である。ホルダ12のチルト角Tは、制御装置16によって任意に設定可能な装置条件の1つである。
【0014】
なお、図1の軸Ax2は、ホルダ12の法線に相当する。ここで、ホルダ12が水平に保たれた状態での軸Ax2(基準法線)に平行な方向をZ方向とする。また、軸Ax1に平行な方向をX方向とする。さらに、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
照明系13は、光源21とライトガイド22と凹面反射鏡23とで構成された偏心光学系である。ライトガイド22は、光源21からの光を伝送し、端面22aから凹面反射鏡23に向けて射出する。端面22aは、凹面反射鏡23の前側焦点位置に配置されている。
【0015】
凹面反射鏡23は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、ホルダ12の斜め上方に配置されている。つまり、凹面反射鏡23の中心とホルダ12の中心とを通る軸(光軸O1)がZ方向に対して所定の角度θiだけ傾けられている。θiは固定値である。
【0016】
また、凹面反射鏡23は、光軸O1がホルダ12の軸Ax1(X方向)に対して直交すると共に、後側焦点面がウエハ11の表面と略一致するように配置されている。表面検査装置10の照明系13は、ウエハ11側に対してテレセントリックな光学系である。
上記の照明系13において、光源21からの光は、ライトガイド22と凹面反射鏡23とを介して、ウエハ11の表面全体に照射される(照明光L1)。照明光L1は、ウエハ11上の任意の点に到達する光束の中心線が光軸O1に略平行な光束である。照明光L1の入射角(θi−T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と光軸O1との間の角度に相当し、ホルダ12のチルト角Tに応じて変化する。
【0017】
また、照明光L1の波長λと光量は、光源21から射出される光の波長と光量に応じて変化する。例えば光源21に波長選択フィルタとニュートラルデンシティ(ND)フィルタを設けた場合、各々のフィルタを制御することにより、照明光L1の波長λと光量を変化させることができる。照明光L1の波長λと光量も、上記のチルト角Tと同様、制御装置16によって任意に設定可能な装置条件の1つである。
【0018】
このようにして照明光L1が照射されると、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンからは、後述する回折の条件にしたがって回折光L2が発生する。回折光L2の回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と回折光L2の進行方向との間の角度に相当し、チルト角Tに応じて変化する。θrは、回折光L2の進行方向とZ方向との間の角度を表す。なお、回折光L2を発生させる繰り返しパターンの直線方向は、ホルダ12の軸Ax1に略平行である。
【0019】
ここで、回折の条件は、照明光L1の波長λおよび入射角(θi−T)、回折光L2の回折角(θr+T)および回折次数n、繰り返しパターンのピッチpを用いると、次式(1)で表すことができる。
【0020】
sin(θi−T) − sin(θr+T) = nλ/p …(1)
式(1)において、入射角(θi−T)および回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。回折次数nは、n=0の0次回折光(正反射光)を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。
【0021】
また、式(1)において、θiはZ方向と光軸O1との間の角度(固定値)を表し、θrはZ方向と回折光L2の進行方向との間の角度を表している。チルト角Tは、ホルダ12が水平状態に保たれたときをT=0とし、入射側への角度方向をプラス、反対側への角度方向をマイナスとする。θiは、チルト角T=0のときの照明光L1の入射角に相当する。θrは、チルト角T=0のときの回折光L2の回折角に相当する。
【0022】
式(1)から分かるように、チルト角Tを変化させることにより、照明光L1の入射角(θi−T)をチルト角Tに応じて変化させることができ、結果として、回折光L2の回折角(θr+T)も変化させることができる。
受光系14は、回折光L2を受光する光学系であり、凹面反射鏡27と、CCDカメラ28とで構成された偏心光学系である。
【0023】
凹面反射鏡27は、上記の凹面反射鏡23と同様の反射鏡であり、ホルダ12の斜め上方に配置される。つまり、凹面反射鏡27の中心とホルダ12の中心とを通る軸(光軸O2)が基準法線(Z方向)に対して所定の角度θdだけ傾くように配置されている。θdは固定値である。以下、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と光軸O2との間の角度(θd+T)を受光角という。この受光角(θd+T)も、上記の入射角(θi−T)と同様、チルト角Tに応じて変化する。
【0024】
また、CCDカメラ28は、その撮像面が凹面反射鏡23の焦点面と略一致するように配置される。CCDカメラ28の撮像面には、複数の画素が2次元的に配列されている。
上記の受光系14において、ウエハ11の表面の繰り返しパターンから発生した回折光L2は、凹面反射鏡23を介して集光され、CCDカメラ28の撮像面上に到達する。CCDカメラ28の撮像面上には、回折光L2によるウエハ11の像(ウエハ回折像)が形成される。CCDカメラ28は、ウエハ回折像を撮像して、画像信号を画像処理装置15に出力する。
【0025】
上記のように、照明系13と受光系14が固定されているため(θi,θdは固定値)、ホルダ12のチルト角Tと照明光L1の波長λとの組み合わせを調整して、回折光L2の回折角(θr+T)が受光角(θd+T)と一致するように設定すれば、ウエハ11の表面の繰り返しパターンから発生した回折光L2を受光系14の光軸O2に沿って進行させることができる。
【0026】
そして、受光系14の光軸O2に沿って導かれる回折光L2の光量が適量である場合には、CCDカメラ28によって、コントラストの良好なウエハ回折像を撮像することができる。回折光L2の光量は、ウエハ11に照射される照明光L1の光量を調整することで、適量に設定できる。
コントラストの良好なウエハ回折像を撮像するために調整すべき装置条件は、ホルダ12のチルト角Tと照明光L1の波長λと光量である。その他、CCDカメラ28の露出時間や電気的な感度などが調整可能な場合、これらを装置条件として含めてもよい。また、ホルダ12が軸Ax2のまわりに回転可能な場合、その回転角を装置条件に含めてもよい。装置条件の調整は制御装置16が行う。
【0027】
ここで、回折光L2の強度は、ウエハ11の表面の繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とで異なる。このため、CCDカメラ28の撮像面に形成されるウエハ回折像には、繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とに起因する明暗差(コントラスト差)が生じることになる。
画像処理装置15は、CCDカメラ28から得られるウエハ回折像の画像信号を所定ビット(例えば8ビット)のディジタル画像に変換し、ウエハ画像としてメモリに記憶させる。さらに、そのときの装置条件(ホルダ12のチルト角Tや照明光L1の波長λなどの組み合わせ)も併せてメモリに記憶させる。
【0028】
また、画像処理装置15は、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検出を行う前に、制御装置16と協同して、最適な装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の候補を多数決定する(図3参照)。そして、画像処理装置15は、得られた多数の候補の各々に対応するウエハ画像をクラスタリング処理により分類する(図4参照)。上述したように、多数の候補が得られる理由は、ウエハ11に複数種類の例えばピッチの異なる繰り返しパターンが存在するからである。
【0029】
次に、最適な装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の候補の決定処理について説明する。この決定処理は、画像処理装置15と制御装置16とが、図3に示すフローチャートの手順にしたがって行う。
ウエハ11がホルダ12上に固定されると、制御装置16は、ホルダ12や光源21などを制御して装置条件を例えば初期値に設定する(ステップS1)。そして、画像処理装置15は、そのときの装置条件を制御装置16から取り込み、CCDカメラ28からウエハ画像を取り込み(ステップS2)、装置条件とウエハ画像を関連づけてメモリに記憶させる(ステップS3)。
【0030】
ステップS1〜S3の処理は、予め想定された全ての装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の各々で処理済になる(つまりステップS4の判定がYesとなる)まで、繰り返し行われる。この間、制御装置16による装置条件の設定変更ごとに、画像処理装置15によるウエハ画像の取り込みが行われ、メモリには装置条件とウエハ画像との記憶情報が蓄積していく。
【0031】
そして、全ての装置条件で処理済になる(ステップS4がYes)と、画像処理装置15は、メモリに記憶させた各ウエハ画像ごとに、全画素の輝度値を調べて、最大輝度値を求める(ステップS5)。さらに、各ウエハ画像に関連づけられた装置条件と最大輝度値との関係を調べ、最大輝度値が極大値を示す多数の装置条件を「最適な装置条件の候補」と決定する(ステップS6)。決定された多数の候補は、各々、メモリ内でウエハ画像に関連づけられている。以下の説明では、決定された候補の数をM個とする。
【0032】
次に、多数(M個)の候補の各々に対応するウエハ画像の分類処理について説明する。この分類処理は、画像処理装置15が、図4に示すフローチャートの手順にしたがって行う。
画像処理装置15は、まず、ステップS10において、例えば図5に示すようなチップマップ(Chip Map)ファイルを参照する。チップマップファイルは、ウエハ11に関する予め定めた情報であり、ウエハ11のチップ領域20(図2)の属性を記述したデータ群を含む。チップ領域20の属性とは、実際のサイズ(Map Size−width,height)や、ウエハ11内での配置(Map−Row,Column)(Mask Area)である。Mask Areaの「1」がチップ領域20に対応する。
【0033】
そして、画像処理装置15は、次のステップS11(図4)において、各ウエハ画像の中から複数のチップ領域20(つまり図5のMask Areaの「1」)に対応する部分画像(以下「チップ画像」という)を抽出し、得られた複数のチップ画像の濃度を画素ごとに平均化し、チップ平均画像を生成する。
上述したように、1つのウエハ11内で各々のチップ領域20における繰り返しパターンの配置は同様であるため、各々のチップ画像の濃度分布も同様である。したがって、複数のチップ画像の濃度平均により得られたチップ平均画像は、ウエハ画像(ウエハ11の全体像)の特徴を示すと考えられる。
【0034】
図6に、チップ平均画像の例を示す。M個(図6では9個)のチップ平均画像の各々は、M個の候補の各々に関連づけられたウエハ画像(1,2,…)から生成されたものである。チップ平均画像どうしを比較すると、候補の装置条件の相違に応じて、濃度分布も少しずつ異なることが分かる。これは、ウエハ画像(1,2,…)の濃度分布も、候補の装置条件の相違に応じて少しずつ異なることを意味している。
【0035】
次に、画像処理装置15は、図4のステップS12において、各々のチップ平均画像ごとに、チップ平均画像の予め定めた複数の種類(例えば22種類)の特徴量を抽出する。ここで、チップ平均画像の特徴量の例を説明する。
(1) 各チップ平均画像の中で図7(a)に示すような2つの注目領域A,Bを指定し、注目領域A,Bの各々の平均濃度を計算する。そして、2つの平均濃度の違い(領域濃度差や領域濃度比)を計算し、特徴量f1,f2とする。また、他の図7(b)〜(e)に示すような注目領域A,Bでも同様の計算を行い、特徴量f3〜f10とする。
【0036】
(2) 各チップ平均画像の全体で、平均濃度を計算して特徴量f11とし、濃度の標準偏差を計算して特徴量f12とする。また、各チップ平均画像の全体で、濃度を重みとして重心座標を計算し、特徴量f13,f14とする。さらに、各チップ平均画像のうち濃度の高い部分(明部)で同様の計算を行い(偏向させた重心座標)、特徴量f15,f16とする。濃度の高い部分としては、平均濃度以上の部分や(平均濃度+濃度標準偏差)以上の部分が考えられる。
【0037】
(3) 各チップ平均画像の全体で、画像中心回りの慣性モーメントを計算して特徴量f17とし、X軸,Y軸回りの慣性モーメントを計算して特徴量f18,f19とする。また、各チップ平均画像のうち濃度の高い部分(明部)で、偏向させた画像中心回りの慣性モーメントを計算して特徴量f80とし、偏向させたX軸,Y軸回りの慣性モーメントを計算して特徴量f21,f22とする。
【0038】
画像処理装置15は、ここまでの処理により、各々のチップ平均画像(図6)に関して22種類の特徴量f1〜f22を抽出し終えると、図4のステップS13の処理に進む。そして、各々のチップ平均画像と特徴量f1〜f22とウエハ画像とを関連づけてメモリに記憶させる。したがって、各ウエハ画像から抽出したチップ平均画像と特徴量f1〜f22とを効率よく管理することができる。
【0039】
なお、各ウエハ画像が既に上記M個の候補の各々に関連づけられているため、ステップS13における関連づけの結果、各々のチップ平均画像と特徴量f1〜f22も、M個の候補の各々に関連づけられたことになる。チップ平均画像と特徴量f1〜f22は、総じて、請求項の「第1データ群」に対応する。
ここで、ステップS13における関連づけを表示すると、例えば図8の一覧表のようになる。図8には、各ウエハ画像の識別番号1,2,…と、各ウエハ画像に関連づけられた特徴量f1〜f22とが一行にまとめて示されている。図8の「Ave.」「Devi.」「C.X−up」「I−mmtX.」「I−mmtY.」「Mmt−up」「MmtX−up」「MmtY−up」「P1」「P2」…は、各々、特徴量f11,f12,f15,f18〜f22,f1,f2,…の種類を表している。図8の数値は、特徴量f11,f12,f15,f18〜f22,f1,f2の値である。
【0040】
この一覧表(図8)において、任意の識別番号(1,2,…の何れか)を特定することにより、その識別番号のウエハ画像と、ウエハ画像に関連づけられたチップ平均画像とを、メモリから読み出して表示させることができる。識別番号の特定は、例えばコンピュータ画面の対応箇所をクリックすることにより行われる。
次に(図4のステップS14)、画像処理装置15は、各チップ平均画像の特徴量f1〜f22を正規化する。これは、次の選択処理やクラスタリング処理の際に、22種類の特徴量f1〜f22を同じ尺度で扱えるようにするための処理である。そして、正規化された後の特徴量f1〜f22に基づいて、ステップS15以降の処理を行う。以下の説明では、正規化後の特徴量を、単に「特徴量」という。
【0041】
ステップS15において、画像処理装置15は、特徴量f1〜f22の全種類(22種類)の中から例えば6種類を選択する。この選択処理は、任意に行ってもよいし、22種類の特徴量f1〜f22を統計的に演算処理して行ってもよい。統計的に演算処理する場合、個々の標準偏差値または分散値が大きく、互いに相関値が小さい特徴量(例えば6種類)を選択することが好ましい。これは、多くの情報量を含み、互いに異なる傾向を持つ6種類の選択に相当する。
【0042】
次に、画像処理装置15は、ステップS16において、例えば6種類の特徴量を用いた統計的な演算処理(つまりクラスタリング処理)を行う。そして、多数(M個)の候補の各々に対応するウエハ画像を分類する。具体的には、6種類の各々を軸とする6次元のユークリッド空間(特徴量空間)を設定し、この特徴量空間に類似性の尺度を導入して、多数(M個)のウエハ画像を類似のグループ(つまりクラスタ)に分類する。なお、特徴量空間の各軸は距離的に等価に扱うことができる。
【0043】
クラスタリング処理について簡単に説明する。画像処理装置15は、まず、M個のウエハ画像の各々を全てクラスタとする。この時点でクラスタ数CLはM個である。各クラスタに含まれる要素の数は1個である。次に、クラスタ間の距離(つまり要素の間のユークリッド距離)を全ての組み合わせで計算する。
そして、クラスタ間の距離が最小である一対のクラスタを選び、併合する。この併合により、一対のクラスタは、1つのクラスタとなる。これには2つの要素が含まれることになる。この時点でのクラスタ数CLは(M−1)個である。次に、クラスタ間の距離を同様にして計算する。ただし、1つのクラスタに複数の要素が含まれる場合、クラスタ間の距離は群間平均により求められる。
【0044】
画像処理装置15では、距離の計算を終えると、上記と同様、最小距離の一対のクラスタの併合処理を行う。その結果、クラスタ数CLが1つ減少する。さらに、クラスタ間の距離の計算と併合処理を繰り返し、クラスタ数CLが所定数CLSTOP(例えば5個)になると、ステップS16のクラスタリング処理を終了する。なお、最終的なクラスタ数CLSTOPは、処理対象のウエハ画像の総数などに応じて変更可能である。図9には、5個のクラスタ(ID=1〜5)に分類されたウエハ画像(1,2,…)と、それに関連づけられたチップ平均画像の例を示す。
【0045】
また、ステップS16(図4)のクラスタリング処理の途中、画像処理装置15は、クラスタ数CLが例えば11個,10個,9個,…と減少していく各々の段階において、各々のウエハ画像(1,2,…)にクラスタIDを付与する。例えばクラスタ数CLが10個の場合、クラスタID=1〜10の何れかが、各ウエハ画像(1,2,…)に付与される。同様に、例えばクラスタ数CLが9個の場合、クラスタID=1〜9の何れかが、各ウエハ画像(1,2,…)に付与される。
【0046】
クラスタIDとは、クラスタリング処理によりM個のウエハ画像(1,2,…)を分類したときの分類結果(各クラスタのID番号)を表している。また、クラスタIDは、クラスタリング処理の条件(クラスタ数CL)に応じて異なる。なお、同じクラスタIDが付与されたウエハ画像どうし(つまり1つのクラスタに含まれるウエハ画像どうし)は、類似性が高いと考えられる。
【0047】
画像処理装置15は、所望のクラスタ数CL(=11,10,9,…)の各々においてクラスタIDの情報(請求項の「第2データ群」)を生成した後、クラスタ数CLが所定数CLSTOP(例えば5個)になると、クラスタリング処理(S16)を終了して、次のステップS17に進む。
このステップS17では、M個のウエハ画像の各々と、クラスタリング処理に用いた6種類の特徴量(ステップS15で選択したもの)と、所望のクラスタ数CL(=11,10,9,…)の各々におけるクラスタIDとを、関連づけてメモリに記憶させる。したがって、各ウエハ画像に対するクラスタリング処理の条件と結果とを効率よく管理することができる。
【0048】
そして最後のステップS18で、画像処理装置15は、ステップS17における関連づけを表示する。その表示例を図10に示す。図10には、各ウエハ画像の識別番号1,2,…と、クラスタリング処理に用いた6種類「Devi.」「C.X−up」「I−mmtX.」「I−mmtY.」「P1」「P3」の特徴量f12,f15,f18,f19,f1,f3と、所望のクラスタ数CL=11,10,9,…におけるクラスタID(分類結果)が、一行にまとめて示されている。図10の数値は、特徴量f12,f15,f18,f19,f1,f3の値(正規化前の値)である。
【0049】
図10の一覧表において、任意のクラスタ数CL(=11,10,…の何れか)のうち任意のクラスタIDを特定することにより、そのクラスタIDに属する全てのウエハ画像をメモリから読み出して表示させることができる。なお、クラスタIDの特定は、例えばコンピュータ画面の対応箇所をクリックすることにより行われる。
【0050】
例えば、クラスタ数CL=9の中のクラスタID=3(図10中*箇所)が特定された場合、そのクラスタIDに関連づけられた識別番号3,5,13,14,16,18(図10中※箇所)のウエハ画像が並べて表示される(図11)。このため、クラスタ数CL=9という条件下でクラスタID=3に分類されたウエハ画像どうしの類似性を迅速に確認し、評価することができる。さらに、他のクラスタIDが特定された場合でも同様に、各クラスタに含まれるウエハ画像どうしの類似性を迅速に確認し、評価することができる。
【0051】
したがって、これらの表示内容を比較することにより、図10のクラスタ数CL=11,10,9,…(クラスタリング処理の条件)のうち、各クラスタ内のウエハ画像どうしの類似性が最も高く、適切に分類されたと考えられるものを迅速に選択することができる。つまり、多数(M個)のウエハ画像の分類処理を適切かつ迅速に行える。
【0052】
このようにしてウエハ画像の分類処理(図4)が終わると、画像処理装置15では、各クラスタから代表的なウエハ画像を選び、そのウエハ画像に関連づけられた候補の装置条件を最適条件に決定することができる。この場合に、決定される最適条件の数は、クラスタ数CLと同数であり、候補の全数(M個)よりも少ない。したがって、それぞれの最適条件の下でウエハ11の検査を1回ずつ行うとしても、全ての候補を最適条件に設定して1回ずつ検査する場合と比較して、全体の処理時間を短縮することができる。
【0053】
さらに、分類後の各クラスタから選んだ代表的なウエハ画像に関連づけられた候補の装置条件をさらに厳選し、その中から最も検査に適するものを最適条件として決定することもできる。このような場合、選択の対象となる母体数を減らすことができるので、より容易に最適条件を選ぶことができる。
また、本実施形態では、各チップ平均画像から22種類の特徴量(f1〜f22)を抽出し、この22種類の中から選択した例えば6種類の特徴量に基づいてクラスタリング処理を行うため、多数のウエハ画像を適切に分類することができる。22種類の中から選択する種類の数や組み合わせを変更し、図4のステップS15〜S18の処理を行うことにより、各クラスタ内のウエハ画像どうしの類似性が最も高く、適切に分類されたと考えられる条件(特徴量の種類の数や組み合わせとクラスタ数CL)を迅速に選択することができる。つまり、多数(M個)のウエハ画像の分類処理を適切かつ迅速に行える。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、チップ平均画像を用いたことにより、特徴量の抽出を効率よく行うことができる。そのため、多数のウエハ画像の分類を正確かつ容易に行うことができる。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、チップマップファイル(図5)を参照してチップ平均画像などを抽出したが、これに代えてショットマップファイルを用いてもよい。ショットマップファイルは、ウエハ11に関する予め定めた情報であり、ウエハ11のショット領域の属性(実際のサイズやウエハ11内での配置)を記述したデータ群を含む。
【0055】
また、上記した実施形態では、多数のウエハ画像を分類する際に、ウエハ画像からチップ平均画像を求め、そのチップ平均画像から特徴量を抽出したが、本発明はこれに限定されない。(1)ウエハ画像から特徴量を抽出しても良い。これは、ウエハ11などの基板の表面に塗布されたレジスト膜の厚みの不均一性や、基板の歪みなどに起因する欠陥を検査する場合に有効である。(2)ウエハ画像からショット平均画像を求め、そのショット平均画像から特徴量を抽出するようにしても良い。これは、上記のショットマップファイルを参照して行われ、ショット領域が1つのチップ領域20より小さいときでも有効である。
【0056】
さらに、上記した実施形態では、図8,図10の表示例においてウエハ画像の識別番号1,2,…を用いたが、これに代えてウエハ画像の名前(ファイル名)や画像自体またはアイコンなどを識別情報として用いてもよい。
また、上記した実施形態では、各ウエハ画像の最大輝度値に基づいて最適条件の候補を決定した(図3のステップS5,S6)が、本発明はこれに限定されない。各ウエハ画像の平均輝度値や他のファクター(輝度情報)に基づいて最適条件の候補を決定しても構わない。
【0057】
さらに、上記した実施形態では、クラスタリング処理を行う際に、特徴量空間としてユークリッド空間を用いる例を示したが、他の距離(例えばマハラノビス距離)や空間を用いるようにしても良い。
また、上記した実施形態では、ウエハ11の表面からの回折光L2を用いて検査を行う例を示したが、ウエハ11の表面からの散乱光を用いて検査を行うようにしても良いし、ウエハ11の表面からの回折光L2と散乱光との両方を用いて検査を行うようにしても良い。
【0058】
さらに、表面検査装置10とは構成が異なる表面検査装置に本発明を適用しても良い。例えば、固定されたホルダに対して、照明系および受光系が可動であり、照明系および受光系を動かすことで、ホルダのチルトと同様の効果が得られる表面検査装置に適用しても良い。
また、上記した実施形態では、表面検査装置10の画像処理装置15により多数のウエハ画像の分類処理などを行ったが、表面検査装置10に接続された外部のコンピュータを用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板の画像を分類する際に基板の画像から抽出したデータ群を効率よく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面検査装置10の全体構成を示す図である。
【図2】ウエハ11の表面の外観を示す概略図である。
【図3】最適な装置条件の候補の決定処理を示すフローチャートである。
【図4】多数のウエハ画像の分類処理を示すフローチャートである。
【図5】チップマップファイルの例を示す図である。
【図6】チップ平均画像の例を示す図である。
【図7】チップ平均画像の注目領域A,Bの一例を示す図である。
【図8】各ウエハ画像の識別番号と複数の種類の特徴量との表示例を示す図である。
【図9】クラスタリングによる分類結果の一例を示す図である。
【図10】各ウエハ画像の識別番号とクラスタリング処理の条件および結果との表示例を示す図である。
【図11】あるクラスタに含まれる全ウエハ画像の表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 表面検査装置
11 ウエハ
12 ホルダ
13 照明系
14 受光系
15 画像処理装置
16 制御装置
20 チップ
21 光源
22 ライトガイド
23,27 凹面反射鏡
28 CCDカメラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ管理装置に関し、特に、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程において基板を検査する装置に好適なデータ管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体回路素子や液晶表示素子の製造工程では、基板(ウエハやプレート)の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検査が行われている。自動化された検査装置では、基板の表面に検査用の照明光を照射し、基板上の繰り返しパターンから発生する回折光などに基づいて基板の画像を取り込み、この画像の明暗差(コントラスト差)により繰り返しパターンの欠陥箇所を特定する。
【0003】
また、上記の検査装置では、その装置条件(例えば基板のチルト角)を自動的に変更しながら基板の画像を取り込み、得られた多数の画像に基づいて最適な装置条件を決定する(例えば特許文献1を参照)。そして、この最適な装置条件の下で所定の検査を行う。
【特許文献1】
特開2002−162368号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の検査装置では、基板上の繰り返しパターンの種類数に応じて多数の最適な装置条件が得られ、これらの最適な装置条件の下で順に検査を行うと、全体の処理時間が長くなってしまう。処理時間を短縮するためには、多数の最適な装置条件を絞り込み、検査に適するものを選び出す必要がある。さらに、その前処理として、多数の最適な装置条件の各々で取り込んだ基板の画像を分類することも必要となるが、適切な分類方法はまだ提案されていない。
【0005】
本発明の目的は、基板の画像を分類する際に基板の画像から抽出したデータ群を効率よく管理できるデータ管理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のデータ管理装置は、基板の画像を取り込む画像取込手段と、前記基板に関する予め定めた情報を参照して前記画像から第1データ群を抽出する抽出手段と、前記第1データ群と前記画像とを関連づけて記憶する記憶手段とを備えたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ管理装置において、前記第1データ群のうち少なくとも一部を用いた演算処理により第2データ群を生成する演算手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記第1データ群のうち前記演算処理に用いられた前記少なくとも一部と前記第2データ群と前記画像とを関連づけて記憶するものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ管理装置において、前記記憶手段による記憶内容に基づいて、少なくとも前記画像の識別情報と前記第2データ群とを表示する表示手段をさらに備えたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のデータ管理装置において、前記抽出手段は、前記基板のチップ領域またはショット領域の属性を記述したデータ群を前記情報として参照し、前記画像から前記第1データ群を抽出するものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のデータ管理装置において、前記抽出手段は、前記第1データ群として、前記画像の中から前記チップ領域または前記ショット領域に対応する部分画像を抽出すると共に、該部分画像の特徴量を抽出するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のデータ管理装置において、前記画像取込手段は、複数の前記画像を取り込み、前記抽出手段は、前記画像ごとに、前記部分画像を抽出すると共に、該部分画像の予め定めた複数の種類の前記特徴量を抽出し、前記演算手段は、前記複数の種類の中から1つ以上の種類を選択し、該1つ以上の種類の特徴量を用いた統計的な演算処理により前記複数の画像を分類し、該分類の結果を前記第2データ群として生成するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
ここでは、本実施形態のデータ管理装置について、図1に示す表面検査装置10を例に説明する。表面検査装置10の画像処理装置15が、本実施形態のデータ管理装置に対応する。
【0011】
表面検査装置10は、画像処理装置15の他に、ウエハ11(基板)を支持するホルダ12と、ウエハ11の表面に照明光L1を照射する照明系13と、ウエハ11の表面からの回折光L2を受光する受光系14と、制御装置16とで構成されている。
表面検査装置10は、半導体回路素子の製造工程において、ウエハ11の表面を自動的に検査する装置である。ウエハ11の表面には、図2に示すように、複数のチップ領域20がxy方向に配列されている。各々のチップ領域20には、複数種類の繰り返しパターンが形成されている。繰り返しパターンとは、周期的に繰り返される線配列形状の回路パターン(レジストパターン)のことである。各々のチップ領域20における繰り返しパターンの配置は同様である。
【0012】
概略、表面検査装置10では、ウエハ11の表面の検査(繰り返しパターンの欠陥検出)を行う前に、ウエハ画像の濃度情報に基づいて最適な装置条件(例えば後述のチルト角や照明光量や照明波長など)の候補を多数決定し、得られた多数の候補の各々に対応するウエハ画像をクラスタリング処理により分類する。そして、分類の結果を考慮して最適な装置条件に設定し、検査を行う。なお、多数の候補が得られる理由は、ウエハ11に複数種類の繰り返しパターンが存在するからである。本実施形態のデータ管理装置は、多数のウエハ画像をクラスタリングにより分類する際、各々のウエハ画像から抽出したデータ群(後述の特徴量など)を効率よく管理するものである。
【0013】
本実施形態のデータ管理装置について具体的に説明する前に、表面検査装置10の各部の説明を行う。
ホルダ12は、不図示の搬送装置によって搬送されてきたウエハ11を上面に載置し、例えば真空吸着により固定保持する。また、ホルダ12は、不図示のチルト機構によって、ウエハ11の表面を通る軸Ax1のまわりに所定の角度範囲内でチルト可能である。ホルダ12のチルト角Tは、制御装置16によって任意に設定可能な装置条件の1つである。
【0014】
なお、図1の軸Ax2は、ホルダ12の法線に相当する。ここで、ホルダ12が水平に保たれた状態での軸Ax2(基準法線)に平行な方向をZ方向とする。また、軸Ax1に平行な方向をX方向とする。さらに、X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とする。
照明系13は、光源21とライトガイド22と凹面反射鏡23とで構成された偏心光学系である。ライトガイド22は、光源21からの光を伝送し、端面22aから凹面反射鏡23に向けて射出する。端面22aは、凹面反射鏡23の前側焦点位置に配置されている。
【0015】
凹面反射鏡23は、球面の内側を反射面とした反射鏡であり、ホルダ12の斜め上方に配置されている。つまり、凹面反射鏡23の中心とホルダ12の中心とを通る軸(光軸O1)がZ方向に対して所定の角度θiだけ傾けられている。θiは固定値である。
【0016】
また、凹面反射鏡23は、光軸O1がホルダ12の軸Ax1(X方向)に対して直交すると共に、後側焦点面がウエハ11の表面と略一致するように配置されている。表面検査装置10の照明系13は、ウエハ11側に対してテレセントリックな光学系である。
上記の照明系13において、光源21からの光は、ライトガイド22と凹面反射鏡23とを介して、ウエハ11の表面全体に照射される(照明光L1)。照明光L1は、ウエハ11上の任意の点に到達する光束の中心線が光軸O1に略平行な光束である。照明光L1の入射角(θi−T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と光軸O1との間の角度に相当し、ホルダ12のチルト角Tに応じて変化する。
【0017】
また、照明光L1の波長λと光量は、光源21から射出される光の波長と光量に応じて変化する。例えば光源21に波長選択フィルタとニュートラルデンシティ(ND)フィルタを設けた場合、各々のフィルタを制御することにより、照明光L1の波長λと光量を変化させることができる。照明光L1の波長λと光量も、上記のチルト角Tと同様、制御装置16によって任意に設定可能な装置条件の1つである。
【0018】
このようにして照明光L1が照射されると、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンからは、後述する回折の条件にしたがって回折光L2が発生する。回折光L2の回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と回折光L2の進行方向との間の角度に相当し、チルト角Tに応じて変化する。θrは、回折光L2の進行方向とZ方向との間の角度を表す。なお、回折光L2を発生させる繰り返しパターンの直線方向は、ホルダ12の軸Ax1に略平行である。
【0019】
ここで、回折の条件は、照明光L1の波長λおよび入射角(θi−T)、回折光L2の回折角(θr+T)および回折次数n、繰り返しパターンのピッチpを用いると、次式(1)で表すことができる。
【0020】
sin(θi−T) − sin(θr+T) = nλ/p …(1)
式(1)において、入射角(θi−T)および回折角(θr+T)は、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。回折次数nは、n=0の0次回折光(正反射光)を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、反射側に見込む角度方向をマイナスとする。
【0021】
また、式(1)において、θiはZ方向と光軸O1との間の角度(固定値)を表し、θrはZ方向と回折光L2の進行方向との間の角度を表している。チルト角Tは、ホルダ12が水平状態に保たれたときをT=0とし、入射側への角度方向をプラス、反対側への角度方向をマイナスとする。θiは、チルト角T=0のときの照明光L1の入射角に相当する。θrは、チルト角T=0のときの回折光L2の回折角に相当する。
【0022】
式(1)から分かるように、チルト角Tを変化させることにより、照明光L1の入射角(θi−T)をチルト角Tに応じて変化させることができ、結果として、回折光L2の回折角(θr+T)も変化させることができる。
受光系14は、回折光L2を受光する光学系であり、凹面反射鏡27と、CCDカメラ28とで構成された偏心光学系である。
【0023】
凹面反射鏡27は、上記の凹面反射鏡23と同様の反射鏡であり、ホルダ12の斜め上方に配置される。つまり、凹面反射鏡27の中心とホルダ12の中心とを通る軸(光軸O2)が基準法線(Z方向)に対して所定の角度θdだけ傾くように配置されている。θdは固定値である。以下、ウエハ11の表面に垂直な軸Ax2と光軸O2との間の角度(θd+T)を受光角という。この受光角(θd+T)も、上記の入射角(θi−T)と同様、チルト角Tに応じて変化する。
【0024】
また、CCDカメラ28は、その撮像面が凹面反射鏡23の焦点面と略一致するように配置される。CCDカメラ28の撮像面には、複数の画素が2次元的に配列されている。
上記の受光系14において、ウエハ11の表面の繰り返しパターンから発生した回折光L2は、凹面反射鏡23を介して集光され、CCDカメラ28の撮像面上に到達する。CCDカメラ28の撮像面上には、回折光L2によるウエハ11の像(ウエハ回折像)が形成される。CCDカメラ28は、ウエハ回折像を撮像して、画像信号を画像処理装置15に出力する。
【0025】
上記のように、照明系13と受光系14が固定されているため(θi,θdは固定値)、ホルダ12のチルト角Tと照明光L1の波長λとの組み合わせを調整して、回折光L2の回折角(θr+T)が受光角(θd+T)と一致するように設定すれば、ウエハ11の表面の繰り返しパターンから発生した回折光L2を受光系14の光軸O2に沿って進行させることができる。
【0026】
そして、受光系14の光軸O2に沿って導かれる回折光L2の光量が適量である場合には、CCDカメラ28によって、コントラストの良好なウエハ回折像を撮像することができる。回折光L2の光量は、ウエハ11に照射される照明光L1の光量を調整することで、適量に設定できる。
コントラストの良好なウエハ回折像を撮像するために調整すべき装置条件は、ホルダ12のチルト角Tと照明光L1の波長λと光量である。その他、CCDカメラ28の露出時間や電気的な感度などが調整可能な場合、これらを装置条件として含めてもよい。また、ホルダ12が軸Ax2のまわりに回転可能な場合、その回転角を装置条件に含めてもよい。装置条件の調整は制御装置16が行う。
【0027】
ここで、回折光L2の強度は、ウエハ11の表面の繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とで異なる。このため、CCDカメラ28の撮像面に形成されるウエハ回折像には、繰り返しパターンの欠陥箇所と正常箇所とに起因する明暗差(コントラスト差)が生じることになる。
画像処理装置15は、CCDカメラ28から得られるウエハ回折像の画像信号を所定ビット(例えば8ビット)のディジタル画像に変換し、ウエハ画像としてメモリに記憶させる。さらに、そのときの装置条件(ホルダ12のチルト角Tや照明光L1の波長λなどの組み合わせ)も併せてメモリに記憶させる。
【0028】
また、画像処理装置15は、ウエハ11の表面に形成された繰り返しパターンの欠陥検出を行う前に、制御装置16と協同して、最適な装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の候補を多数決定する(図3参照)。そして、画像処理装置15は、得られた多数の候補の各々に対応するウエハ画像をクラスタリング処理により分類する(図4参照)。上述したように、多数の候補が得られる理由は、ウエハ11に複数種類の例えばピッチの異なる繰り返しパターンが存在するからである。
【0029】
次に、最適な装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の候補の決定処理について説明する。この決定処理は、画像処理装置15と制御装置16とが、図3に示すフローチャートの手順にしたがって行う。
ウエハ11がホルダ12上に固定されると、制御装置16は、ホルダ12や光源21などを制御して装置条件を例えば初期値に設定する(ステップS1)。そして、画像処理装置15は、そのときの装置条件を制御装置16から取り込み、CCDカメラ28からウエハ画像を取り込み(ステップS2)、装置条件とウエハ画像を関連づけてメモリに記憶させる(ステップS3)。
【0030】
ステップS1〜S3の処理は、予め想定された全ての装置条件(チルト角Tや波長λなどの組み合わせ)の各々で処理済になる(つまりステップS4の判定がYesとなる)まで、繰り返し行われる。この間、制御装置16による装置条件の設定変更ごとに、画像処理装置15によるウエハ画像の取り込みが行われ、メモリには装置条件とウエハ画像との記憶情報が蓄積していく。
【0031】
そして、全ての装置条件で処理済になる(ステップS4がYes)と、画像処理装置15は、メモリに記憶させた各ウエハ画像ごとに、全画素の輝度値を調べて、最大輝度値を求める(ステップS5)。さらに、各ウエハ画像に関連づけられた装置条件と最大輝度値との関係を調べ、最大輝度値が極大値を示す多数の装置条件を「最適な装置条件の候補」と決定する(ステップS6)。決定された多数の候補は、各々、メモリ内でウエハ画像に関連づけられている。以下の説明では、決定された候補の数をM個とする。
【0032】
次に、多数(M個)の候補の各々に対応するウエハ画像の分類処理について説明する。この分類処理は、画像処理装置15が、図4に示すフローチャートの手順にしたがって行う。
画像処理装置15は、まず、ステップS10において、例えば図5に示すようなチップマップ(Chip Map)ファイルを参照する。チップマップファイルは、ウエハ11に関する予め定めた情報であり、ウエハ11のチップ領域20(図2)の属性を記述したデータ群を含む。チップ領域20の属性とは、実際のサイズ(Map Size−width,height)や、ウエハ11内での配置(Map−Row,Column)(Mask Area)である。Mask Areaの「1」がチップ領域20に対応する。
【0033】
そして、画像処理装置15は、次のステップS11(図4)において、各ウエハ画像の中から複数のチップ領域20(つまり図5のMask Areaの「1」)に対応する部分画像(以下「チップ画像」という)を抽出し、得られた複数のチップ画像の濃度を画素ごとに平均化し、チップ平均画像を生成する。
上述したように、1つのウエハ11内で各々のチップ領域20における繰り返しパターンの配置は同様であるため、各々のチップ画像の濃度分布も同様である。したがって、複数のチップ画像の濃度平均により得られたチップ平均画像は、ウエハ画像(ウエハ11の全体像)の特徴を示すと考えられる。
【0034】
図6に、チップ平均画像の例を示す。M個(図6では9個)のチップ平均画像の各々は、M個の候補の各々に関連づけられたウエハ画像(1,2,…)から生成されたものである。チップ平均画像どうしを比較すると、候補の装置条件の相違に応じて、濃度分布も少しずつ異なることが分かる。これは、ウエハ画像(1,2,…)の濃度分布も、候補の装置条件の相違に応じて少しずつ異なることを意味している。
【0035】
次に、画像処理装置15は、図4のステップS12において、各々のチップ平均画像ごとに、チップ平均画像の予め定めた複数の種類(例えば22種類)の特徴量を抽出する。ここで、チップ平均画像の特徴量の例を説明する。
(1) 各チップ平均画像の中で図7(a)に示すような2つの注目領域A,Bを指定し、注目領域A,Bの各々の平均濃度を計算する。そして、2つの平均濃度の違い(領域濃度差や領域濃度比)を計算し、特徴量f1,f2とする。また、他の図7(b)〜(e)に示すような注目領域A,Bでも同様の計算を行い、特徴量f3〜f10とする。
【0036】
(2) 各チップ平均画像の全体で、平均濃度を計算して特徴量f11とし、濃度の標準偏差を計算して特徴量f12とする。また、各チップ平均画像の全体で、濃度を重みとして重心座標を計算し、特徴量f13,f14とする。さらに、各チップ平均画像のうち濃度の高い部分(明部)で同様の計算を行い(偏向させた重心座標)、特徴量f15,f16とする。濃度の高い部分としては、平均濃度以上の部分や(平均濃度+濃度標準偏差)以上の部分が考えられる。
【0037】
(3) 各チップ平均画像の全体で、画像中心回りの慣性モーメントを計算して特徴量f17とし、X軸,Y軸回りの慣性モーメントを計算して特徴量f18,f19とする。また、各チップ平均画像のうち濃度の高い部分(明部)で、偏向させた画像中心回りの慣性モーメントを計算して特徴量f80とし、偏向させたX軸,Y軸回りの慣性モーメントを計算して特徴量f21,f22とする。
【0038】
画像処理装置15は、ここまでの処理により、各々のチップ平均画像(図6)に関して22種類の特徴量f1〜f22を抽出し終えると、図4のステップS13の処理に進む。そして、各々のチップ平均画像と特徴量f1〜f22とウエハ画像とを関連づけてメモリに記憶させる。したがって、各ウエハ画像から抽出したチップ平均画像と特徴量f1〜f22とを効率よく管理することができる。
【0039】
なお、各ウエハ画像が既に上記M個の候補の各々に関連づけられているため、ステップS13における関連づけの結果、各々のチップ平均画像と特徴量f1〜f22も、M個の候補の各々に関連づけられたことになる。チップ平均画像と特徴量f1〜f22は、総じて、請求項の「第1データ群」に対応する。
ここで、ステップS13における関連づけを表示すると、例えば図8の一覧表のようになる。図8には、各ウエハ画像の識別番号1,2,…と、各ウエハ画像に関連づけられた特徴量f1〜f22とが一行にまとめて示されている。図8の「Ave.」「Devi.」「C.X−up」「I−mmtX.」「I−mmtY.」「Mmt−up」「MmtX−up」「MmtY−up」「P1」「P2」…は、各々、特徴量f11,f12,f15,f18〜f22,f1,f2,…の種類を表している。図8の数値は、特徴量f11,f12,f15,f18〜f22,f1,f2の値である。
【0040】
この一覧表(図8)において、任意の識別番号(1,2,…の何れか)を特定することにより、その識別番号のウエハ画像と、ウエハ画像に関連づけられたチップ平均画像とを、メモリから読み出して表示させることができる。識別番号の特定は、例えばコンピュータ画面の対応箇所をクリックすることにより行われる。
次に(図4のステップS14)、画像処理装置15は、各チップ平均画像の特徴量f1〜f22を正規化する。これは、次の選択処理やクラスタリング処理の際に、22種類の特徴量f1〜f22を同じ尺度で扱えるようにするための処理である。そして、正規化された後の特徴量f1〜f22に基づいて、ステップS15以降の処理を行う。以下の説明では、正規化後の特徴量を、単に「特徴量」という。
【0041】
ステップS15において、画像処理装置15は、特徴量f1〜f22の全種類(22種類)の中から例えば6種類を選択する。この選択処理は、任意に行ってもよいし、22種類の特徴量f1〜f22を統計的に演算処理して行ってもよい。統計的に演算処理する場合、個々の標準偏差値または分散値が大きく、互いに相関値が小さい特徴量(例えば6種類)を選択することが好ましい。これは、多くの情報量を含み、互いに異なる傾向を持つ6種類の選択に相当する。
【0042】
次に、画像処理装置15は、ステップS16において、例えば6種類の特徴量を用いた統計的な演算処理(つまりクラスタリング処理)を行う。そして、多数(M個)の候補の各々に対応するウエハ画像を分類する。具体的には、6種類の各々を軸とする6次元のユークリッド空間(特徴量空間)を設定し、この特徴量空間に類似性の尺度を導入して、多数(M個)のウエハ画像を類似のグループ(つまりクラスタ)に分類する。なお、特徴量空間の各軸は距離的に等価に扱うことができる。
【0043】
クラスタリング処理について簡単に説明する。画像処理装置15は、まず、M個のウエハ画像の各々を全てクラスタとする。この時点でクラスタ数CLはM個である。各クラスタに含まれる要素の数は1個である。次に、クラスタ間の距離(つまり要素の間のユークリッド距離)を全ての組み合わせで計算する。
そして、クラスタ間の距離が最小である一対のクラスタを選び、併合する。この併合により、一対のクラスタは、1つのクラスタとなる。これには2つの要素が含まれることになる。この時点でのクラスタ数CLは(M−1)個である。次に、クラスタ間の距離を同様にして計算する。ただし、1つのクラスタに複数の要素が含まれる場合、クラスタ間の距離は群間平均により求められる。
【0044】
画像処理装置15では、距離の計算を終えると、上記と同様、最小距離の一対のクラスタの併合処理を行う。その結果、クラスタ数CLが1つ減少する。さらに、クラスタ間の距離の計算と併合処理を繰り返し、クラスタ数CLが所定数CLSTOP(例えば5個)になると、ステップS16のクラスタリング処理を終了する。なお、最終的なクラスタ数CLSTOPは、処理対象のウエハ画像の総数などに応じて変更可能である。図9には、5個のクラスタ(ID=1〜5)に分類されたウエハ画像(1,2,…)と、それに関連づけられたチップ平均画像の例を示す。
【0045】
また、ステップS16(図4)のクラスタリング処理の途中、画像処理装置15は、クラスタ数CLが例えば11個,10個,9個,…と減少していく各々の段階において、各々のウエハ画像(1,2,…)にクラスタIDを付与する。例えばクラスタ数CLが10個の場合、クラスタID=1〜10の何れかが、各ウエハ画像(1,2,…)に付与される。同様に、例えばクラスタ数CLが9個の場合、クラスタID=1〜9の何れかが、各ウエハ画像(1,2,…)に付与される。
【0046】
クラスタIDとは、クラスタリング処理によりM個のウエハ画像(1,2,…)を分類したときの分類結果(各クラスタのID番号)を表している。また、クラスタIDは、クラスタリング処理の条件(クラスタ数CL)に応じて異なる。なお、同じクラスタIDが付与されたウエハ画像どうし(つまり1つのクラスタに含まれるウエハ画像どうし)は、類似性が高いと考えられる。
【0047】
画像処理装置15は、所望のクラスタ数CL(=11,10,9,…)の各々においてクラスタIDの情報(請求項の「第2データ群」)を生成した後、クラスタ数CLが所定数CLSTOP(例えば5個)になると、クラスタリング処理(S16)を終了して、次のステップS17に進む。
このステップS17では、M個のウエハ画像の各々と、クラスタリング処理に用いた6種類の特徴量(ステップS15で選択したもの)と、所望のクラスタ数CL(=11,10,9,…)の各々におけるクラスタIDとを、関連づけてメモリに記憶させる。したがって、各ウエハ画像に対するクラスタリング処理の条件と結果とを効率よく管理することができる。
【0048】
そして最後のステップS18で、画像処理装置15は、ステップS17における関連づけを表示する。その表示例を図10に示す。図10には、各ウエハ画像の識別番号1,2,…と、クラスタリング処理に用いた6種類「Devi.」「C.X−up」「I−mmtX.」「I−mmtY.」「P1」「P3」の特徴量f12,f15,f18,f19,f1,f3と、所望のクラスタ数CL=11,10,9,…におけるクラスタID(分類結果)が、一行にまとめて示されている。図10の数値は、特徴量f12,f15,f18,f19,f1,f3の値(正規化前の値)である。
【0049】
図10の一覧表において、任意のクラスタ数CL(=11,10,…の何れか)のうち任意のクラスタIDを特定することにより、そのクラスタIDに属する全てのウエハ画像をメモリから読み出して表示させることができる。なお、クラスタIDの特定は、例えばコンピュータ画面の対応箇所をクリックすることにより行われる。
【0050】
例えば、クラスタ数CL=9の中のクラスタID=3(図10中*箇所)が特定された場合、そのクラスタIDに関連づけられた識別番号3,5,13,14,16,18(図10中※箇所)のウエハ画像が並べて表示される(図11)。このため、クラスタ数CL=9という条件下でクラスタID=3に分類されたウエハ画像どうしの類似性を迅速に確認し、評価することができる。さらに、他のクラスタIDが特定された場合でも同様に、各クラスタに含まれるウエハ画像どうしの類似性を迅速に確認し、評価することができる。
【0051】
したがって、これらの表示内容を比較することにより、図10のクラスタ数CL=11,10,9,…(クラスタリング処理の条件)のうち、各クラスタ内のウエハ画像どうしの類似性が最も高く、適切に分類されたと考えられるものを迅速に選択することができる。つまり、多数(M個)のウエハ画像の分類処理を適切かつ迅速に行える。
【0052】
このようにしてウエハ画像の分類処理(図4)が終わると、画像処理装置15では、各クラスタから代表的なウエハ画像を選び、そのウエハ画像に関連づけられた候補の装置条件を最適条件に決定することができる。この場合に、決定される最適条件の数は、クラスタ数CLと同数であり、候補の全数(M個)よりも少ない。したがって、それぞれの最適条件の下でウエハ11の検査を1回ずつ行うとしても、全ての候補を最適条件に設定して1回ずつ検査する場合と比較して、全体の処理時間を短縮することができる。
【0053】
さらに、分類後の各クラスタから選んだ代表的なウエハ画像に関連づけられた候補の装置条件をさらに厳選し、その中から最も検査に適するものを最適条件として決定することもできる。このような場合、選択の対象となる母体数を減らすことができるので、より容易に最適条件を選ぶことができる。
また、本実施形態では、各チップ平均画像から22種類の特徴量(f1〜f22)を抽出し、この22種類の中から選択した例えば6種類の特徴量に基づいてクラスタリング処理を行うため、多数のウエハ画像を適切に分類することができる。22種類の中から選択する種類の数や組み合わせを変更し、図4のステップS15〜S18の処理を行うことにより、各クラスタ内のウエハ画像どうしの類似性が最も高く、適切に分類されたと考えられる条件(特徴量の種類の数や組み合わせとクラスタ数CL)を迅速に選択することができる。つまり、多数(M個)のウエハ画像の分類処理を適切かつ迅速に行える。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、チップ平均画像を用いたことにより、特徴量の抽出を効率よく行うことができる。そのため、多数のウエハ画像の分類を正確かつ容易に行うことができる。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、チップマップファイル(図5)を参照してチップ平均画像などを抽出したが、これに代えてショットマップファイルを用いてもよい。ショットマップファイルは、ウエハ11に関する予め定めた情報であり、ウエハ11のショット領域の属性(実際のサイズやウエハ11内での配置)を記述したデータ群を含む。
【0055】
また、上記した実施形態では、多数のウエハ画像を分類する際に、ウエハ画像からチップ平均画像を求め、そのチップ平均画像から特徴量を抽出したが、本発明はこれに限定されない。(1)ウエハ画像から特徴量を抽出しても良い。これは、ウエハ11などの基板の表面に塗布されたレジスト膜の厚みの不均一性や、基板の歪みなどに起因する欠陥を検査する場合に有効である。(2)ウエハ画像からショット平均画像を求め、そのショット平均画像から特徴量を抽出するようにしても良い。これは、上記のショットマップファイルを参照して行われ、ショット領域が1つのチップ領域20より小さいときでも有効である。
【0056】
さらに、上記した実施形態では、図8,図10の表示例においてウエハ画像の識別番号1,2,…を用いたが、これに代えてウエハ画像の名前(ファイル名)や画像自体またはアイコンなどを識別情報として用いてもよい。
また、上記した実施形態では、各ウエハ画像の最大輝度値に基づいて最適条件の候補を決定した(図3のステップS5,S6)が、本発明はこれに限定されない。各ウエハ画像の平均輝度値や他のファクター(輝度情報)に基づいて最適条件の候補を決定しても構わない。
【0057】
さらに、上記した実施形態では、クラスタリング処理を行う際に、特徴量空間としてユークリッド空間を用いる例を示したが、他の距離(例えばマハラノビス距離)や空間を用いるようにしても良い。
また、上記した実施形態では、ウエハ11の表面からの回折光L2を用いて検査を行う例を示したが、ウエハ11の表面からの散乱光を用いて検査を行うようにしても良いし、ウエハ11の表面からの回折光L2と散乱光との両方を用いて検査を行うようにしても良い。
【0058】
さらに、表面検査装置10とは構成が異なる表面検査装置に本発明を適用しても良い。例えば、固定されたホルダに対して、照明系および受光系が可動であり、照明系および受光系を動かすことで、ホルダのチルトと同様の効果が得られる表面検査装置に適用しても良い。
また、上記した実施形態では、表面検査装置10の画像処理装置15により多数のウエハ画像の分類処理などを行ったが、表面検査装置10に接続された外部のコンピュータを用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、基板の画像を分類する際に基板の画像から抽出したデータ群を効率よく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面検査装置10の全体構成を示す図である。
【図2】ウエハ11の表面の外観を示す概略図である。
【図3】最適な装置条件の候補の決定処理を示すフローチャートである。
【図4】多数のウエハ画像の分類処理を示すフローチャートである。
【図5】チップマップファイルの例を示す図である。
【図6】チップ平均画像の例を示す図である。
【図7】チップ平均画像の注目領域A,Bの一例を示す図である。
【図8】各ウエハ画像の識別番号と複数の種類の特徴量との表示例を示す図である。
【図9】クラスタリングによる分類結果の一例を示す図である。
【図10】各ウエハ画像の識別番号とクラスタリング処理の条件および結果との表示例を示す図である。
【図11】あるクラスタに含まれる全ウエハ画像の表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 表面検査装置
11 ウエハ
12 ホルダ
13 照明系
14 受光系
15 画像処理装置
16 制御装置
20 チップ
21 光源
22 ライトガイド
23,27 凹面反射鏡
28 CCDカメラ
Claims (6)
- 基板の画像を取り込む画像取込手段と、
前記基板に関する予め定めた情報を参照して前記画像から第1データ群を抽出する抽出手段と、
前記第1データ群と前記画像とを関連づけて記憶する記憶手段とを備えた
ことを特徴とするデータ管理装置。 - 請求項1に記載のデータ管理装置において、
前記第1データ群のうち少なくとも一部を用いた演算処理により第2データ群を生成する演算手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記第1データ群のうち前記演算処理に用いられた前記少なくとも一部と前記第2データ群と前記画像とを関連づけて記憶する
ことを特徴とするデータ管理装置。 - 請求項2に記載のデータ管理装置において、
前記記憶手段による記憶内容に基づいて、少なくとも前記画像の識別情報と前記第2データ群とを表示する表示手段をさらに備えた
ことを特徴とするデータ管理装置。 - 請求項1から請求項3の何れか1項に記載のデータ管理装置において、
前記抽出手段は、前記基板のチップ領域またはショット領域の属性を記述したデータ群を前記情報として参照し、前記画像から前記第1データ群を抽出する
ことを特徴とするデータ管理装置。 - 請求項4に記載のデータ管理装置において、
前記抽出手段は、前記第1データ群として、前記画像の中から前記チップ領域または前記ショット領域に対応する部分画像を抽出すると共に、該部分画像の特徴量を抽出する
ことを特徴とするデータ管理装置。 - 請求項5に記載のデータ管理装置において、
前記画像取込手段は、複数の前記画像を取り込み、
前記抽出手段は、前記画像ごとに、前記部分画像を抽出すると共に、該部分画像の予め定めた複数の種類の前記特徴量を抽出し、
前記演算手段は、前記複数の種類の中から1つ以上の種類を選択し、該1つ以上の種類の特徴量を用いた統計的な演算処理により前記複数の画像を分類し、該分類の結果を前記第2データ群として生成する
ことを特徴とするデータ管理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003208984A JP2005072048A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | データ管理装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006284433A (ja) * | 2005-04-01 | 2006-10-19 | Tokyo Seimitsu Co Ltd | 外観検査装置及び外観検査方法 |
JPWO2018020681A1 (ja) * | 2016-07-29 | 2019-05-16 | 株式会社ニコン | 設定方法、検査方法、欠陥評価装置および構造物の製造方法 |
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2003
- 2003-08-27 JP JP2003208984A patent/JP2005072048A/ja active Pending
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