JP6886149B2 - 移動型止水蓋の設置方法 - Google Patents

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本発明は立坑を掘ることなく、埋設された既設配管に移動型止水蓋を設置する移動型止水蓋の設置方法に関する。
従来より埋設された水道管等の既設配管について交換工事あるいは補修工事をする場合、工事場所に立坑を掘り、この立坑に作業者が入って既設配管の交換工事あるいは補修工事をしている。
この場合、工事場所近傍の既設配管に設置されている既設バルブを閉じて、工事場所に水が入り込まないようにしている。
また工事場所と既設バルブとの間の既設配管に更に追加で仮栓を設置して既設バルブから水が漏洩した場合に備えている。
しかしながら、このような仮栓を既設配管に設置する場合、既設配管周囲に追加の立坑を掘り、この立坑を利用して仮栓を設置する必要があり、仮栓の設置工事が大がかりとなっている。また、他の埋設物が輻輳した場合、立坑が設置できないケースがある。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、既設配管周囲に立坑を掘ることなく、既設配管の設置場所に容易に移動型止水蓋を設置することができる移動型止水蓋の設置方法を提供することを目的とする。
本発明は、受け部を有する受け側配管と、この受け側配管の受け部に差し込まれる差し込み側配管との間の設置場所に移動型止水蓋を設置する移動型止水蓋の設置方法において、蓋本体と、この蓋本体に設けられたキャスタとを有する移動型止水蓋を準備する工程と、前記移動型止水蓋を前記キャスタを介して前記受け側配管または前記差し込み側配管のいずれか一方から前記設置場所まで移動させる工程と、前記設置場所において、前記蓋本体の外周に前記受け側配管と前記差し込み側配管との間に形成された隙間に係合する複数の爪を固定する工程と、前記蓋本体の外周に外周シールを設けて、前記受け側配管と前記差し込み側配管の一方と前記蓋本体の外周とを密封する工程と、を備えたことを特徴とする移動型止水蓋の設置方法である。
本発明は、前記蓋本体に作業者が通る開口が設けられ、この開口は蓋板により覆われることを特徴とする移動型止水蓋の設置方法である。
本発明は、前記外周シールはシール押えにより保持され、前記シール押えをボルト締めすることにより前記外周シールを押圧して外方へ拡げ、前記受け側配管または前記差し込み側配管の内周面に密着させることを特徴とする移動型止水蓋の設置方法である。
以上のように本発明によれば、既設配管の設置場所周囲に立坑を掘ることなく、容易に移動型止水蓋を設置場所まで移動させ、この設置場所において移動型止水蓋を確実に設置することができる。
図1は既設配管に設置された移動型止水蓋を示す図。 図2は移動型止水蓋を示す正面図。 図3は設置前の移動型止水蓋を示す斜視図。 図4は設置後の移動型止水蓋を蓋板方向からみた斜視図。 図5は設置後の移動型止水蓋を蓋板と反対側からみた斜視図。 図6は外周シールの取付構造を示す概略図。 図7は埋設された既設配管を示す概略図。 図8はジャッキボルトを示す拡大図。
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図8は本発明の実施の形態を示す図である。
ここで図1は既設配管に設置された移動型止水蓋を示す図であり、図2は移動型止水蓋を示す正面図であり、図3は設置前の移動型止水蓋を示す斜視図であり、図4は設置後の移動型止水蓋を蓋板方向からみた斜視図であり、図5は設置後の移動型止水蓋を蓋板と反対側からみた斜視図であり、図6は外周シールの取付構造を示す拡大図であり、図7は埋設された既設配管を示す概略図である。また、図8はジャッキボルトを示す拡大図である。
図1および図7に示すように、水道管等の既設配管1Aが地中に埋設されており、この既設配管1Aについて配管の交換工事または補修工事が行われる。
この場合、配管の交換工事または補修工事を行う工事場所近傍に立坑7が掘られ、この立坑7を利用して配管の交換工事または補修工事が行われる。また既設マンホール5内の既設配管1Aにも既設バルブ6が設置されている。そしてこの既設バルブ6も工事期間中は閉じられる。
このように既設バルブ6を閉じることにより、既設配管1Aの工事場所に水が進入しないようになっている。
また、立坑を設置して仮栓を設けることも考えられているが、他の埋設物が輻輳した場合、立坑が設置できない。このため既設バルブ6と工事場所、すなわち立坑7との間に追加の蓋を設ける必要がある。
一般には追加の蓋を設けるために既設配管1A近傍に更なる既設マンホール5Aが必要と考えられるが、本実施の形態によれば、このような既設マンホール5Aを設けることなく、既設バルブ6と工事場所(立坑7)との間に移動型止水蓋10を設けることができる。
次に移動型止水蓋10について述べる。
移動型止水蓋10は既設配管1Aのうち、所定の設置場所Aに設置される。
すなわち既設配管1Aは受け部1aを有する受け側配管1と、受け側配管1の受け部1aに差し込まれる差し込み側配管2とを有し、この受け側配管1と差し込み側配管2との間の設置場所Aに移動型止水蓋10が設置される。
次に移動型止水蓋10の構造について更に述べる。図1および図2に示すように、移動型止水蓋10は開口11bを有する円筒体11aが取付けられた円板状の止水蓋本体11と、止水蓋本体11の表面および裏面に設けられた複数のキャスタ13とを有している。このうち複数のキャスタ13は止水蓋本体11の表面(図1の左側の面)および裏面(図1の右側の面)に4個ずつ合計8個設けられ、これらのキャスタ13は止水蓋本体11の表面および裏面の上方部および下方部に2個ずつ配置されている。
また円板状の止水蓋本体11は上述のように開口11bが形成された円筒体11aを有している。また円筒体11aの端部(図1の左側端部)にはフランジ11dが溶接により取付けられており、このフランジ11dに蓋板12が締付ボルト16を締付けることによって固定されている。
また止水蓋本体11の表面および裏面にはその左右側方部および上方部、下方部に、各々2つずつ合計16個のセンタ出し用ジャッキボルト19が設けられている。
さらに移動型止水蓋10の止水蓋本体11の裏面には円筒体11aから半径方向外方へ延びる複数、例えば8枚の補強板11cが設けられている。また補強板11cの半径方向外側に外側円筒体11eが取付けられている。
さらにまた、止水蓋本体11の表面外周に、複数、例えば16枚の爪15が設けられている。この爪15は受け側配管1と差し込み側配管2との間に形成された隙間Bと係合して、移動型止水蓋10を受け側配管1と差し込み側配管2との間の設置場所Aに堅固に固定するものである。
さらに、移動型止水蓋10の外周に、リング状の外周シール21が設けられている。この場合、移動型止水蓋10の外側円筒体11eの端部(図6の右側端部)にリング状の固定板20が溶接により接合され、この固定板20にリング状の押え板25が取付ボルト25aにより取付けられている。そして押え板25には押圧ボルト26が設けられ、この押圧ボルト26は外側円筒体11eの半径方向外方に配置された押しリング22を押圧する。
他方、止水蓋本体11の裏面側外周にはバックアップリング28が溶接により取付けられている。そして外側円筒体11eの外周であって、バックアップリング28と押しリング22との間の空間には、外周シール21が配置されている。リング状の外周シール21は図6の右側が2つ割したリング状のUパッキン21aと、このUパッキン21aの2つ割部分に嵌合するOリング21bとを有し、押え板25に設けられた押圧ボルト26を締付けることによりUパッキン21aが拡げられ、このUパッキン21aが受け側配管1の内面に押圧される。このようにして受け側配管1と移動型止水蓋10との間を密封することができる。
ところで、受け側配管1と差し込み側配管2とは、差し込み側配管2を受け側配管1の受け部1a内に差し込むことにより連結される。そして受け部1a内に配管シール25Aを挿着し、受け部1a先端のフランジ1bにボルト4により取付けられた押しリング3により配管シール25Aを押圧することにより、受け側配管1と差し込み側配管2との間の密封性を図っている。
次にこのような構成からなる移動型止水蓋を設置する移動型止水蓋の設置方法について説明する。
図7に示すように、立坑7近傍の工事場所において、既設配管1Aを新設配管1Bに交換する交換工事が行われる。このため事前に既設バルブ6を閉とする。さらに立坑7近傍の工事場所と既設バルブ6との間に移動型止水蓋10を設置する。図7において、工事始点が示されている。
まず上述した移動型止水蓋10を作製する。この場合、取付ボルト25aが取外されており、固定板20から押え板25および押しリング22とともにリング状の外周シール21も外側円筒体11eの外周から取外されている。また止水蓋本体11には未だ爪15は取付けられておらず、また円筒体11aから蓋板12は取外されている。
次にこのように外周シール21が予め取外され、かつ爪15および蓋板12を持たない移動型止水蓋10が立坑7から既設配管1A内に配置される(図7参照)。
次に既設配管1A内に配置された移動型止水蓋10は、図7に示すように作業者により既設配管1Aの差し込み側配管2内を移動して、立坑7近傍から受け側配管1と差し込み側配管2との間の設置場所Aまで送られる。
この間、移動型止水蓋10は、図3に示すように合計8個のキャスタ13を用い、このキャスタ13を差し込み側配管2の内周面に沿って移動させることにより、設置場所Aまで前進する。
このように移動型止水蓋10はキャスタ13を用いて差し込み側配管2の内周面に沿って移動するため、移動型止水蓋10を差し込み側配管2の内周面に沿ってスムーズに移動させ前進させることができる。
次に移動型止水蓋10が設置場所Aに達したところで、移動型止水蓋10を停止させる。次に止水蓋本体11に設けられたジャッキボルト19を用いて移動型止水蓋10の芯出しを行う(図8参照)。
具体的には、まず止水蓋本体11の下方部に設けられたジャッキボルト19を用いて移動型止水蓋10を設置場所A内でわずかに上昇させる。次に他のジャッキボルト19を順次調整することにより、設置場所Aにおいて移動型止水蓋10の芯出しを行う。
その後止水蓋本体11の表面(図1の左側の面)の外周に、16枚の爪15を溶接により固定する。この場合、各爪15は受け側配管1と差し込み側配管2との間に形成された隙間Bに係合される。このことにより、移動型止水蓋10を設置場所Aにおいて堅固に固定することができる。
すなわち、例えば既設バルブ6から水漏れが生じ既設配管1Aの受け側配管1内に水圧が生じた場合であっても、止水蓋本体11に取付けられた爪15が受け側配管1と差し込み側配管2との間の隙間Bに係合されるため、移動型止水蓋10に受け側配管1側から加わる水圧を隙間Bに係合する爪15により受けることができる。このとき隙間Bに係合する爪15に加わる力は、差し込み側配管2の端面で保持される。
このように止水蓋本体11に爪15を固定した後、作業者は移動型止水蓋10の表面(図1の左側の面)に設けられたキャスタ13を取外し、円筒体11aの開口11bを通って移動型止水蓋10の裏面(図1の右側の面)側に移動する。
次に作業者は移動型止水蓋10の裏面(図1の右側の面)に設けられたキャスタ13を取外す。
次に外側円筒体11eの外周に、2つ割れしたUパッキン21aとUパッキン21aの2つ割部分に嵌合するOリング21bとを有する外周シール21を装着する(図6参照)。次に固定板20に押え板25を取付け、押圧ボルト26を締付けることにより外周シール21がバックアップリング28と押しリング22との間で押圧される。このときUパッキン21aがOリング21bにより拡げられて、Uパッキン21aが受け側配管1の内面に押圧され、このようにして受け側配管1と移動型止水蓋10との間を密封する。
図6において、Uパッキン21aはOリング21bにより拡げられるだけでなく、例えば受け側配管1内に水圧が加わった場合、この受け側配管1内の水圧によってもUパッキン21aが拡張するためUパッキン21aをより確実に受け側配管1側へ押付けることができる。
その後作業者は、移動型止水蓋10の裏面(図1の右側の面)に設けられたキャスタ13を取外し、開口11bを通って再び移動型止水蓋10の表面側に移動する。
次に開口11b周囲のフランジ11dに蓋板12を設置し、締付ボルト16を締付けることにより、フランジ11dに蓋板12を固定する。
このようにして設置場所Aに、移動型止水蓋10を設置することができる(図4および図5参照)。
次に作業者は差し込み側配管2を通って立坑7まで戻る。
以上のように本実施の形態によれば、既設配管1Aの設置場所A周囲に立坑を掘ることなく、容易に移動型止水蓋10を設置場所Aまで移動させ、この設置場所Aに移動型止水蓋10を設置することができる。
1 受け側配管
1a 受け部
1A 既設配管
1B 新設配管
2 差し込み側配管
3 押しリング
4 ボルト
5 既設マンホール
6 既設バルブ
7 立坑
10 移動型止水蓋
11 止水蓋本体
11a 円筒体
11b 開口
11c 補強板
11d フランジ
11e 外側円筒体
12 蓋板
13 キャスタ
15 爪
16 締付ボルト
19 ジャッキボルト
21 外周シール
21a Uパッキン
21b Oリング
25 押え板
25A 配管シール

Claims (3)

  1. 受け部を有する受け側配管と、この受け側配管の受け部に差し込まれる差し込み側配管との間の設置場所に移動型止水蓋を設置する移動型止水蓋の設置方法において、
    蓋本体と、この蓋本体に設けられたキャスタとを有する移動型止水蓋を準備する工程と、
    前記移動型止水蓋を前記キャスタを介して前記受け側配管または前記差し込み側配管のいずれか一方から前記設置場所まで移動させる工程と、
    前記設置場所において、前記蓋本体の外周に前記受け側配管と前記差し込み側配管との間に形成された隙間に係合する複数の爪を固定する工程と、
    前記蓋本体の外周に外周シールを設けて、前記受け側配管と前記差し込み側配管の一方と前記蓋本体の外周とを密封する工程と、を備えたことを特徴とする移動型止水蓋の設置方法。
  2. 前記蓋本体に作業者が通る開口が設けられ、この開口は蓋板により覆われることを特徴とする請求項1記載の移動型止水蓋の設置方法。
  3. 前記外周シールはシール押えにより保持され、前記シール押えをボルト締めすることにより前記外周シールを押圧して外方へ拡げ、前記受け側配管または前記差し込み側配管の内周面に密着させることを特徴とする請求項1または2記載の移動型止水蓋の設置方法。
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