JP6885746B2 - 開封構造 - Google Patents

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Description

本発明は、包装箱等の開封構造に関する。
重ね合せた開封部分を接着して封緘される包装箱が知られている。
例えば、特許文献1に記載の段ボール箱は、側壁に連なった上部フラップと下部フラップとを接着部で接着して封緘されている。下部フラップには、接着部よりも折線側に情報表示部が設けられている。下部フラップの接着部と情報表示部との間には、表層剥離防止用切線が形成されている。表層剥離防止用切線は、上部フラップを下部フラップから引き剥がした場合に下部フラップの表層が情報表示部まで剥離することを防止している。
登録実用新案第3024758号公報
しかし、上記した段ボール箱の表層剥離防止用切線は、上部フラップの表層が剥離することを考慮したものではなかった。上記した段ボール箱では、上部フラップの表層が接着部から剥がれ始め、上部フラップから剥離した表層が下部フラップ側の接着部と繋がった状態になることがあった。
上記した問題は、接着面に接着した開封部をジッパーに沿って引き剥がして包装箱を開封する場合でも発生していた。開封部の引き剥がしに伴って、開封部の表層が接着剤の付着部から剥がれ始めることがあった(表層剥離の発生)。剥がれた表層(剥離紙)が接着剤に貼り付いたまま開封部の引き剥がしを進めると、接着面(接着剤)が剥離紙に覆われてしまうことがあった。すると、蓋体が身箱に繋がった状態になるため、包装箱の開封作業が困難になるという問題があった。また、開封部の表層がジッパーで切断されずに取り残されることがあった。この場合、開封部の表層剥離がジッパーから外れて(脱線して)進行するため、開封部の表層剥離の範囲が拡大することもあった。
本発明は、上記課題を解決するために、開封部の表層剥離に基づく開封不良を抑制する開封構造を提供する。
上記した目的を達成するため、本発明は、接着面に接着した開封部を引き剥がすための開封構造であって、前記開封部は、開封方向に沿って切断可能に形成されている引裂線と、前記接着面との合せ面において開封方向に交差する方向に沿って切り込まれている剥離中断線と、を含んでいる。
この場合、前記剥離中断線は、少なくとも前記引裂線側の一部が開封方向上流側から下流側に向けて前記引裂線側に傾斜して形成されていることが好ましい。
この場合、前記剥離中断線は、開封方向に間隔をあけて複数並べて設けられ、前記開封部は、隣り合う前記剥離中断線の間に付着した接着剤を介して前記接着面に接着されていることが好ましい。
この場合、前記開封部は、中しんに表ライナーと裏ライナーとを貼り合せた段ボールで構成され、前記引裂線は、複数の切目を開封方向に間隔をあけて並べて形成されているジッパーであり、前記剥離中断線は、前記合せ面となる前記裏ライナーを切断した半切り線であることが好ましい。
この場合、前記開封部は、身箱の一面に形成された開口部を閉塞する蓋体に設けられていることが好ましい。
他の場合、前記開封部は、一面に開口部を有する身箱に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、開封部の表層剥離に基づく開封不良を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱を示す分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱の身箱および蓋体のブランクを示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱の蓋体のブランクを示す底面図である。 本発明の一実施形態に係る開封構造の開封部の一部を示す底面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱の開封過程を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る開封構造であって、開封後の除去部の一部を示す底面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱を開封した状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の第1変形例に係る開封構造の開封部の一部を示す底面図である。 本発明の一実施形態の第2変形例に係る開封構造の開封部の一部を示す底面図である。 本発明の一実施形態の第2変形例(他の例)に係る開封構造の開封部の一部を示す底面図である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る包装箱の身箱および蓋体のブランクを示す底面図である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る包装箱を示す斜視図である。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書では、方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<包装箱の概要>
図1ないし図4を参照して、本実施形態に係る包装箱1について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1を示す分解斜視図である。図3は包装箱1の身箱2および蓋体3のブランク2A,3Aを示す平面図である。図4は包装箱1の蓋体3のブランク3Aを示す底面図である。
図1および図2に示すように、包装箱1は、身箱2と、蓋体3と、を備えている。包装箱1は、身箱2と蓋体3とが分かれている所謂テレスコープ型の段ボール箱である。身箱2は、底面板10の四辺(周縁)に罫線15を介して起立姿勢で設けられる一対の側面板11と一対の端面板12と(複数の周面板)を含んでいる。つまり、身箱2は、上面を開放した有底の角筒形状に形成されている。蓋体3は、身箱2の上面に形成された上面開口部16を閉塞可能に形成されている。包装箱1は、身箱2の上面開口部16を蓋体3で閉塞して封緘されることとなる(図1参照)。
身箱2および蓋体3は、それぞれ、図3に示すブランク2A,3Aを組み立てることで形成されている。ブランク2A,3Aは、それぞれ、一枚の紙製の段ボールを紙器打抜装置で打ち抜いて形成されている。段ボールは、例えば、波状の中しん4Aに表ライナー4Bと裏ライナー4Cとを貼り合せたものである。なお、図3は表ライナー4B側(包装箱1の外面側)を示し、図4は裏ライナー4C側(包装箱1の内面側)を示している。本明細書では、段ボールの中しん4Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
<身箱の構成>
図3に示すように、身箱2のブランク2Aは、底面板10と、一対の側面板11と、一対の端面板12と、4つの内折り面板13と、一対のフラップ14と、を含んでいる。ブランク2Aは、全体的に流れ方向よりも段方向に長い略長方形の板状に形成されている。
底面板10は、段方向に長い略長方形状に形成されている。一対の側面板11は、底面板10の流れ方向両端に罫線15を介して連なった状態で設けられている。側面板11は、底面板10と段方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。側面板11の流れ方向の寸法は、底面板10の流れ方向の寸法よりも短くなっている。一対の端面板12は、底面板10の段方向両端に罫線15を介して連なった状態で設けられている。端面板12は、底面板10と流れ方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。端面板12の段方向の寸法は、側面板11の流れ方向の寸法と略同一である。
4つの内折り面板13は、各端面板12の流れ方向両端に罫線15を介して連なった状態で設けられている。内折り面板13は、端面板12と段方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。内折り面板13の流れ方向の寸法は、側面板11の流れ方向の寸法と略同一である。一対のフラップ14は、一対の端面板12の段方向外端(先端)に罫線15を介して連なった状態で設けられている。フラップ14は、端面板12と流れ方向に略同一寸法となる略長方形状に形成されている。フラップ14の段方向の長さは、端面板12の段方向の長さよりも十分に短くなっている。なお、罫線15は、段ボールを裏ライナー4C側から厚み方向に直線状に潰して形成されている。
<蓋体の構成>
図3および図4に示すように、蓋体3のブランク3Aは、蓋面板20と、接合部21と、開封部22と、を含んでいる。ブランク3Aは、全体的に略正方形(正確には段方向よりも流れ方向に僅かに長い略長方形)の板状に形成されている。
蓋面板20は、身箱2の底面板10と略同じ大きさとなる長方形状に形成されている。接合部21と開封部22とは、蓋面板20の段方向両端に罫線23(罫線15と同様のもの)を介して連なった状態で設けられている。接合部21と開封部22とは、それぞれ、蓋面板20と流れ方向に同一寸法となる略長方形状に形成されている。接合部21および開封部22の段方向の寸法は、蓋面板20の段方向の寸法よりも十分に短くなっている。また、各片21,22の段方向の寸法は、身箱2の高さよりも十分に短くなっている(図1参照)。接合部21の段方向の寸法は、開封部22の段方向の寸法と略同一である。
<包装箱の組立工程>
ここで、図1および図2を参照して、包装箱1の組立工程について説明する。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機によって自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明する。
身箱2は、裏ライナー4Cを上方に向けたブランク2Aの各面板等10〜14を罫線15に沿って折り曲げることで組み立てられる。まず、作業者は、底面板10に対して各端面板12を立ち上げるように折り曲げ、各内折り面板13を内側に折り曲げる。続いて、作業者は、底面板10に対して各側面板11を立ち上げるように折り曲げ、各フラップ14を内側に折り曲げる。
以上によって、身箱2が組み立てられる(図2参照)。底面板10に対して一対の側面板11と一対の端面板12とを起立姿勢とした状態において、4つの内折り面板13は一対の端面板12に対して罫線15で内側に折られて一対の側面板11の内面に対向して設けられている。また、この状態において、一対のフラップ14は、一対の端面板12に対して罫線15で内側に折られて上面開口部16に向けて延びた状態に設けられている。なお、上記した組立手順に限らず、各内折り面板13や各フラップ14が折り曲げられた後に、各端面板12が折り曲げられてもよい。
ところで、各側面板11、各端面板12および各内折り面板13は、互いに固定(接続)されていない。すなわち、各側面板11および各端面板12は、底面板10に対して起立姿勢とした状態で互いに分離して設けられている。したがって、作業者が各面板11,12等を押さえていないと、身箱2は組み立て前の平坦な状態(ブランク2A)に戻ってしまう。
次に、作業者は、身箱2の上面開口部16を蓋体3で塞いで封緘された包装箱1を構成する。なお、包装箱1に収容する商品等の内容物は、身箱2を組み立てる前に底面板10上に配置されてもよいし、身箱2を組み立てた後に上面開口部16から身箱2内に収容されてもよい。
作業者は、蓋体3の蓋面板20を上面開口部16に位置合せして身箱2上に載置する。蓋面板20は、上面開口部16を挟んで位置する一対の側面板11の間に架け渡されて上面開口部16を閉塞する。この状態で、接合部21と開封部22とは、一対の側面板11よりも外側に延びている。なお、蓋体3の中しん4Aは、蓋面板20の架設方向に延びた状態で設けられている。また、身箱2の中しん4Aは、蓋面板20の架設方向に直交する長さ方向に延びた状態で設けられている。
続いて、作業者は、一対の側面板11の外面上部に設定された接着面17に接着剤Gを略点状(略円形状)に付着させる。接着面17には、複数の略点状の接着剤Gが段方向に略等間隔で付着している。作業者は、接合部21と開封部22とを罫線23に沿って下方に折り曲げる。接合部21と開封部22とは、蓋面板20で上面開口部16を閉塞した状態で一対の側面板11(接着面17)に接着されることになる。
以上によって、身箱2と蓋体3とが連結され、包装箱1が封緘された状態になる(図1参照)。一対の側面板11は、蓋体2に接続されるため、倒れることなく起立姿勢に維持されている。蓋体2(蓋面板20)が一対のフラップ14を上側から押さえているため、一対の端面板12も倒れることなく起立姿勢に維持されている。なお、接着剤Gは、側面板11の表ライナー4B(接着面17)に付着させていたが、これに限らず、接合部21および開封部22の裏ライナー4Cに付着させていてもよい。また、接着剤Gとして、例えば、ホットメルト接着剤、合成樹脂系エマルジョン接着剤または両面テープ等を用いることができる。
包装箱1は、蓋体3の開封部22を接着剤Gの接着力に抗して側面板11から引き剥がすことで開封される。蓋体3には、側面板11の接着面17に接着した開封部22を引き剥がすための開封構造5が備えられている。
<開封構造の構成>
以下、図1、図3ないし図5を参照して、開封構造5について説明する。図5は開封構造5の開封部22の一部を示す底面図である。なお、図面に示す「W」は開封部22の開封方向(開封部22を引き剥がす方向)を示している。開封方向とは、蓋体3の流れ方向と平行な方向を指す。また、以下の説明で、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、開封方向の「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
図1に示すように、開封構造5は、接着面17に接着剤Gを介して接着される開封部22を含んでいる。上記したように、接着面17は、一対の側面板11の外面上部に設けられている。接着面17には接着剤Gが略点状に付けられている。なお、開封部22は、蓋体3を構成する部分であったが、開封構造5を構成する部分でもある。
図3ないし図5に示すように、開封部22は、引裂線32を挟んで残存部30と除去部31とに区切られている。残存部30は、蓋面板20の段方向一端に罫線23を介して連なった状態で設けられている。除去部31は、残存部30の段方向一端に引裂線32を介して連なった状態で設けられている。除去部31は、残存部30よりも段方向に幅広い帯状に形成されている。除去部31の裏ライナー4Cは、接着剤Gを介して接着面17に接着される合せ面を構成している。除去部31の上流端部には、引裂線32に沿ってスリットを切り込むことで摘み部31Aが形成されている。摘み部31Aの裏ライナー4Cには、滑り止め用の複数の摘み線31Bが形成されている。各摘み線31Bは、裏ライナー4C側から厚み方向に僅かに直線状に潰して形成されている。
図5に示すように、引裂線32は、蓋体3の罫線23と略平行に延びた状態で形成されている。引裂線32は、複数の切目32Aを開封方向に間隔をあけて(略等間隔)並べて形成されている所謂ジッパーである。引裂線32は、複数の切目32Aに沿って切断可能に形成されている。
各切目32Aは、刃物を段ボールの厚み方向に貫通させることで形成されている。各切目32Aは、直線部32Bと、誘導部32Cと、を含んでいる。直線部32Bは、開封方向に沿って直線的に切り込まれて形成されている。誘導部32Cは、直線部32Bよりも上流側に形成されている。誘導部32Cは、直線部32Bから除去部31側に向かって上流側に傾斜して形成されている。なお、誘導部32Cは、直線部32Bに対して約30度傾いている。
ところで、引裂線32に沿って除去部31を引き剥がすと、除去部31の裏ライナー4Cの表層(以下、「除去部31の表層」ともいう。)が接着剤Gの付着部から剥がれ始めることがあった(表層剥離の発生)。剥がれた表層(以下、「剥離紙P」ともいう。)が接着剤Gに貼り付いたまま除去部31の引き剥がしを進めると、接着面17(接着剤G)が剥離紙Pに覆われてしまうことがあった。すると、蓋体3が身箱2に繋がった状態になるため、包装箱1の開封作業が困難になることがあった。また、除去部31の表層が引裂線32で切断されずに取り残されることがあった。この場合、除去部31の表層剥離が引裂線32から外れて(脱線して)進行するため、表層剥離の範囲が拡大することもあった。そこで、本実施形態に係る開封構造5は、除去部31(開封部22)の表層剥離に基づく包装箱1の開封不良を抑制する複数の剥離中断線33を含んでいる。
図4および図5に示すように、複数の剥離中断線33は、除去部31の裏ライナー4Cにおいて開封方向に間隔をあけて(略等間隔)並べて設けられている。各剥離中断線33は、除去部31の裏ライナー4Cにおいて開封方向に交差する方向に沿って直線状に切り込まれている。詳細には、各剥離中断線33は、開封方向上流側から下流側に向けて引裂線32側に傾斜して形成されている。各剥離中断線33の傾斜角度θは、罫線23に平行な直線(開封方向に延びた直線)に対して約45度に設定されている(図5参照)。
図5に示すように、各剥離中断線33は、引裂線32の近傍から除去部31の先端近傍までの間に形成されている。各剥離中断線33は、引裂線32とは接続(交差)しないように形成されている。各剥離中断線33は、合せ面となる裏ライナー4Cを切断した半切り線である。詳細には、各剥離中断線33は、裏ライナー4Cのみを切断、または裏ライナー4Cから段ボールの厚み方向の途中(略半分)まで切断して形成されている。
接着剤Gは、接着面17(側面板11の表ライナー4B)と除去部31の裏ライナー4Cとを接着している。複数の接着剤Gは、隣り合う剥離中断線33の間隔の略中央に付着するように接着面17に略点状(略円形状)に付けられている。
<開封構造の作用>
次に、図6ないし図8を参照して、包装箱1の開封時における開封構造5の作用について説明する。図6は包装箱1の開封過程を示す斜視図である。図7は開封後の除去部31の一部を示す底面図である。図8は包装箱1を開封した状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、包装箱1は封緘された状態であるものとする。また、説明を簡単にするため、除去部31における1つの接着剤Gの付着部と、その付着部の下流側に隣接する1つの剥離中断線33と、に着目して説明する。
まず、ユーザーは、摘み部31Aを持って除去部31(開封部22)を開封方向に向かって引っ張る。図6および図7に示すように、除去部31は、引裂線32に沿って残存部30から切断されながら接着面17(または接着剤G)から引き剥がされて行く。
除去部31の表層が接着剤Gの付着部から剥がれ始めると、除去部31の引き剥がしの進行に伴って表層剥離の範囲が開封方向に延びて行く(図7の黒塗り矢印参照)。表層剥離が剥離中断線33まで進行すると、剥離紙Pは剥離中断線33で切断される。つまり、表層剥離の進行が中断される。
また、除去部31の表層が引裂線32で切断されずに取り残された場合、除去部31の表層剥離が引裂線32から脱線して進行し、表層剥離の範囲が除去部31の段方向先端に向かって広がって行く(図7の白塗り矢印参照)。表層剥離が剥離中断線33まで進行すると、剥離紙Pは剥離中断線33で切断される。つまり、表層剥離の範囲の拡大が中断される。このとき、剥離紙Pは、剥離中断線33の傾斜に沿って引裂線32に向かって切断される。このため、脱線した表層剥離の進行方向も引裂線32に向けて誘導される(図7の破線矢印参照)。
ユーザーが除去部31を下流端まで引き剥がして接着面17から取り除くと、身箱2と蓋体3との連結が解除される。つまり、包装箱1が開封された状態になる。
ここで、既に述べたように、各面板11〜13は互いに接続されていない。身箱2と蓋体3との連結が解除されると、蓋体2は側面板11および端面板12を押さえることができなくなる。このため、図8に二点鎖線で示した各面板11,12は、起立姿勢を維持することができなくなる。したがって、側面板11および端面板12は、底面板10との折曲部分の復元力(弾性力)および自身の重さによって、罫線15(底面板10との境界)を支点として外側に倒れる(図8の二点鎖線矢印参照)。この際、各内折り面板13は、端面板12との折曲部分の復元力によって外側に回動して側面板11を外側に押し出す。また、接合部21を介して側面板11に接着された蓋体3も側面板11と共に倒れる。以上のように、身箱2は、包装箱1の開封に連動して展開(解体)され、ほぼ組み立て前のブランク2Aの状態に戻る。そして、ユーザーは、展開した身箱2から内容物を取り出す。なお、展開した身箱2のブランク2Aは、多少の折り癖が付いた状態になっている。
以上説明した本実施形態に係る開封構造5では、剥離中断線33が除去部31(開封部22)の裏ライナー4Cから剥離した剥離紙Pを切断する構成とした(図7参照)。この構成によれば、除去部31の表層剥離の進行が剥離中断線33で途切れるため、接着面17が剥離紙Pで覆われることを抑制することができる。また、除去部31の表層剥離が引裂線32から脱線して進行した場合に、表層剥離の範囲の拡大を阻止することができる。これにより、開封部22の表層剥離に基づく包装箱1の開封不良を抑制することができる。
また、本実施形態に係る開封構造5によれば、剥離中断線33は開封方向に傾いているため、脱線した表層剥離の進行方向を引裂線32に向けて誘導することができる(図7参照)。これにより、表層剥離の進行方向を引裂線32側に戻すことができるため、表層剥離の発生範囲を狭い範囲に留めることができる。
また、本実施形態に係る開封構造5では、開封部22が隣り合う剥離中断線33の間に付着した接着剤Gを介して接着面17に接着されている(図6および図7参照)。この構成によれば、除去部31の引き剥がしに伴って接着剤Gの付着部を始点とした表層剥離が連続して発生しても、開封方向に並んだ複数の剥離中断線33によって表層剥離の進行を中断することができる。これにより、表層剥離の発生範囲の拡大を効果的に抑制することができる。なお、接着剤Gは隣り合う剥離中断線33の間において、開封方向下流側に位置する剥離中断線33の近傍に付着することが好ましい。これにより、表層剥離の進行を最小限に抑えることができる。
また、本実施形態に係る包装箱1では、各側面板11および各端面板12が、底面板10に対して起立姿勢とした状態で互いに分離しており、除去部31(開封部22)を接着面17から引き剥がした場合に罫線15を支点として外側に傾倒可能に設けられていた(図8参照)。つまり、身箱2と蓋体3との連結を解除すると、4枚の面板11,12等が放射方向に倒れる構成とした。この構成によれば、身箱2と蓋体3との連結を解除するだけで身箱2を自動的(自然)に展開(解体)することができる。これにより、ユーザーは身箱2の内部に収容された内容物を容易且つ迅速に取り出すことができる。また、開封後の包装箱1(身箱2)は解体された状態になるため、使用済みの包装箱1を廃棄のために解体する手間を省くことができる。つまり、包装箱1の廃棄作業を容易化することができる。
また、本実施形態に係る包装箱1では、身箱2を組み立てた状態で各内折り面板13は側面板11よりも内側に配置され、接合部21および開封部22は側面板11の外面に接着される構成とした。この構成によれば、側面板11の傾倒を阻害する位置(例えば、内折り面板13と側面板11との継目等)に接着剤Gが付着することを防止することができる。また、身箱2と蓋体3との連結を解除すると、各内折り面板13が罫線15を支点として外側に回動して側面板11を外側に押し出す。これにより、包装箱1の開封に連動して各面板11,12が自動的に倒れることを保証することができる。
また、この包装箱1では、一対のフラップ14が蓋体3の流れ方向両端部と上面開口部16との隙間を塞ぐ構成とした。この構成によれば、蓋体3の流れ方向両端部を身箱2に接着する必要がなく、接着面17の数の増加を抑制することができる。これにより、身箱2と蓋体3との連結解除を簡単且つ迅速に行うことができる。
なお、本実施形態に係る開封構造5では、剥離中断線33が直線状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9Aに示すように、剥離中断線34が屈曲した形状に形成されていてもよい(第1変形例)。他にも、図9Bおよび図9Cに示すように、剥離中断線35が開封方向に向けて傾くように湾曲して形成されていてもよい(第2変形例)。これらのように、剥離中断線33〜35は、少なくとも引裂線32側の一部が開封方向上流側から下流側に向けて引裂線32側に傾斜して形成されていればよい。さらに、剥離中断線33の傾斜角度θは約45度に設定されていたが、本発明はこれに限定されない。剥離中断線33〜35の傾斜角度(剥離中断線35の場合、接線の傾斜角度)は、罫線23(開封方向)に交差可能な角度の範囲内で自由に設定することができる。例えば、剥離中断線が罫線23に対して直角に形成されていてもよい(図示せず)。
また、本実施形態に係る包装箱1では、接着面17が側面板11に設けられ、開封部22が蓋体3に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接着面17が端面板12に設けられていてもよい(図示せず)。つまり、蓋体3が一対の端面板12に架け渡されて上面開口部16を閉塞してもよい。他にも、図10および図11に示すように、接着面17が蓋体3(蓋面板20)に設けられ、開封部22(開封構造5)が側面板11(または端面板12)に設けられていてもよい(第3変形例)。この場合、除去部31は蓋面板20の一端部に接着することができる(図11参照)。以上のように、接着面17が側面板11(または端面板12)と蓋体3の何れか一方に設けられ、開封部22が側面板11(または端面板12)と蓋体3の何れか他方に設けられていればよい。
また、本実施形態(第1ないし第3変形例も含む。以下同じ。)に係る包装箱1では、蓋面板20の対向する二辺に接合部21と開封部22とが設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接合部21に代えて、一対の開封部22が蓋面板20の対向する二辺に連なった状態で設けられていてもよい。また、例えば、接合部21が蓋面板20の一辺に、3つの開封部22が蓋面板20の他の三辺に連なった状態で設けられていてもよい。つまり、蓋面板20の何れかの一辺(側面板11または端面板12の一辺(上端辺))に開封部22が連なった状態で設けられていればよい。
なお、本実施形態に係る開封構造5では、引裂線32が開封部22を二分割するように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、引裂線32が罫線23上に形成されていてもよい(図示せず)。また、引裂線32は、所謂ジッパーで構成されていたが、これに限らず、例えば、直線状の複数の切目を開封方向に並べたミシン線で構成されてもよい(図示せず)。また、他にも、引裂線が開封部22の裏ライナー4Cにおいて開封方向に沿って貼付されたカットテープであってもよい(図示せず)。
また、本実施形態に係る開封構造5では、複数の剥離中断線33〜35が開封方向に略等間隔に並んでいたが、これに限らず、異なる(不均一な)間隔で並べられていてもよい。また、剥離中断線33〜35の形成数は任意であって、剥離中断線33〜35は、開封部22に少なくとも1つ形成されていればよい。また、剥離中断線33〜35は所謂半切り線であったが、これに限らず、刃物を段ボールの厚み方向に貫通させることで形成された全切り線であってもよい。
また、本実施形態に係る開封構造5では、除去部31が残存部30から完全に取り除かれた場合に包装箱1が開封されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、除去部31の下流端部が残存部30に繋がった状態で包装箱1が開封されるように接着剤Gを付ける位置を調整してもよい。
また、本実施形態に係る開封構造5は、身箱2と蓋体3とに分かれたツーピース構造の包装箱1に適用されていたが、本発明はこれに限定されない。開封構造5は、例えば、B式やN式等、身箱と蓋体とが一体となったワンピース構造の包装箱に適用されていてもよい(いずれも図示せず)。B式またはN式の包装箱の場合、接着面17と開封部22の何れか一方が側面に形成され、接着面17と開封部22の何れか他方が蓋部分に形成されていることが好ましい。他にも、開封構造5は、ラップアラウンドケース等に適用されていてもよい(図示せず)。ラップアラウンドケースの場合、接着面17と開封部22とが商品等に巻き付いて重なった端部に形成されていることが好ましい。
また、本実施形態に係る包装箱1では、底面板10が略長方形であったため、身箱2が略角筒形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、底面板は、四角形以外の多角形状に形成されていてもよい。この場合、身箱は、底面板の各辺に周面板を立てて設け、多角形断面を有する筒形状に形成されることになる。また、蓋体は身箱の多角形断面に合せた形状に形成されることが好ましい。また、身箱として、一対の外フラップを突き合わせて底面板を構成する所謂半A式の身箱を用いてもよい。
また、本実施形態に係る包装箱1では、身箱2のブランク2Aが全体的に段方向に長い略長方形状に形成されていたが、これに限らず、全体的に段方向よりも流れ向に長い略長方形の板状に形成されていてもよいし、全体的に略正方形の板状に形成されていてもよい。これと同様に、蓋体3のブランク3Aは、全体的に流れ方向よりも段方向に長い略長方形の板状に形成されていてもよいし、全体的に段方向よりも流れ方向に長い略長方形の板状に形成されていてもよい。
また、本実施形態に係る包装箱1は、紙製の段ボールで形成されていたが、これに限らず、厚紙等で形成されていてもよい。また、接着剤Gは、接着面17(または開封部22)に略点状に付けられていたが、これに限らず、開封方向に沿って略直線状に付けられていてもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る開封構造の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
2 身箱
3 蓋体
4A 中しん
4B 表ライナー
4C 裏ライナー
5 開封構造
10 底面板
11 側面板(周面板)
12 端面板(周面板)
15 罫線
16 上面開口部(開口部)
17 接着面
22 開封部
32 引裂線
32A 切目
33〜35 剥離中断線
G 接着剤

Claims (6)

  1. 接着面(17)に接着剤(G)を介して接着した開封部(22)を引き剥がすために紙製の包装箱に備えられた開封構造(5)であって、
    前記開封部は、
    開封方向に沿って切断可能に形成されている引裂線(32)と、
    前記接着面との合せ面において開封方向に交差する方向に沿って切り込まれている剥離中断線(33)と、を含み、
    前記剥離中断線は、前記接着剤よりも開封方向下流側に位置し、前記引裂線の近傍から前記開封部の先端近傍までの間において開封方向上流側から下流側に向けて前記引裂線側に傾斜した直線状に形成され、
    前記開封部が前記引裂線に沿って切断されながら前記接着剤から引き剥がされることに伴って、前記剥離中断線は、前記開封部の表層が前記接着剤の付着部から剥がれる前記開封部の表層剥離の進行を中断し、且つ前記開封部の表層が前記引裂線で切断されずに取り残されて前記引裂線から脱線する前記開封部の表層剥離の進行を中断すると共に前記引裂線から脱線した前記開封部の表層剥離の進行方向を前記引裂線に向けて誘導することを特徴とする開封構造。
  2. 前記開封部の開封方向の上流端部には、引裂線に沿ってスリットを切り込むことで摘み部が形成され、
    前記摘み部の前記接着面側には、滑り止め用の複数の摘み線が、前記剥離中断線とは逆向きに傾斜した直線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の開封構造。
  3. 前記剥離中断線は、開封方向に間隔をあけて複数並べて設けられ、
    前記開封部は、隣り合う前記剥離中断線の間に付着した前記接着剤を介して前記接着面に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の開封構造。
  4. 前記開封部は、中しん(4A)に表ライナー(4B)と裏ライナー(4C)とを貼り合せた段ボールで構成され、
    前記引裂線は、複数の切目(32A)を開封方向に間隔をあけて並べて形成されているジッパーであり、
    前記剥離中断線は、前記合せ面となる前記裏ライナーを切断した半切り線であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の開封構造。
  5. 前記開封部は、身箱(2)の一面に形成された開口部(16)を閉塞する蓋体(3)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の開封構造。
  6. 前記開封部は、一面に開口部(16)を有する身箱(2)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の開封構造。
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