JP6884993B2 - 光反射鏡の製造方法及び蒸着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光反射鏡の製造方法及び蒸着装置に関する。より詳細には、本発明は、優れた光反射率の光反射膜を有する光反射鏡の製造方法、及びその製造に用いられる蒸着装置に関する。
銀等を使用した光反射膜を有する光反射鏡の開発は従来広く行われている。このような光反射鏡は、高温高湿下で使用すると、光反射膜が酸化して曇りが発生し、光反射率が低下することがある。
このような光反射膜の劣化を防ぐために、銀等を含有する光反射層の上層に、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって、当該光反射層を保護するバリア層を設けることが知られている(特許文献1)。イオンアシスト蒸着によってバリア層を形成すると、緻密な層を形成できるため、水分や酸素等の侵入を防ぐことができる。
しかし、発明者らが、光反射鏡の製造工程において、光反射層を保護するバリア層(誘電体層)を従来のイオンアシスト蒸着によって形成したところ、光反射率の低い光反射鏡が製造されるという問題があることが分かった。
特開2007−147667号公報
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れた光反射率の光反射膜を有する光反射鏡の製造方法、及びその製造に用いられる蒸着装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、蒸着装置内の、コート治具と基材上の光反射層が形成される部分との間、及びコート治具と治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方を絶縁処理し、当該蒸着装置を使用してプラズマを用いた真空成膜(例えば、イオンアシスト蒸着)によって誘電体層を形成することで、光反射率の高い光反射鏡を製造できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.蒸着装置によって、基材表面上に少なくとも光反射層と誘電体層とを有する光反射鏡の製造方法であって、
前記蒸着装置が、真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーとを備え、
前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されており、
前記絶縁処理が、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間に樹脂製絶縁テープを設けること、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間に樹脂製絶縁ワッシャーを設けることよって行われており、又は、
少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を樹脂製絶縁体にすることによって行われており
前記蒸着装置を使用したプラズマを用いた真空成膜が、イオンアシストデポジション法によって、前記光反射層上に前記誘電体層を形成する工程を有し、かつ、
光反射鏡の光反射率が、96.0〜98.5%の範囲内であるように制御できる
ことを特徴とする光反射鏡の製造方法。
.前記光反射層が、銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金を含有することを特徴とする第1項に記載の光反射鏡の製造方法。
.前記誘電体層が、酸化アルミニウムを含有する層を有することを特徴とする第1項又は項に記載の光反射鏡の製造方法。
.前記誘電体層が、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された層を有することを特徴とする第1項から第項までのいずれか一項に記載の光反射鏡の製造方法。
5.基材表面上に少なくとも光反射層と誘電体層とを有する光反射鏡の作製のため、前記基材に向けてプラズマを用いた真空成膜をイオンアシストデポジション法によって行う蒸着装置であって、
真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーと、を備え、
前記基材上の前記真空成膜が行われる部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されており、
前記絶縁処理が、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間に樹脂製絶縁テープを設けること及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間に樹脂製絶縁ワッシャーを設けることよって行われており、又は、
少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を樹脂製絶縁体にすることよって行われ、かつ、
光反射鏡の光反射率が、96.0〜98.5%の範囲内であるように制御できる
ことを特徴とする蒸着装置。
本発明の上記手段により、優れた光反射率の光反射膜を有する光反射鏡の製造方法、及びその製造に用いられる蒸着装置を提供することができる。上記効果の作用機構は、以下のように推察している。
発明者らが、光反射鏡の製造工程において、光反射層を保護する誘電体層(バリア層)を、プラズマを用いた真空成膜の1つである従来のイオンアシスト蒸着によって形成したところ、光反射率の低い光反射鏡が製造されることが分かった。
そこで、発明者らが原因を検討したところ、誘電体層の形成時に、誘電体層が形成される部分とコート治具とが電気的に接続されていると、光反射層に含有される銀等の金属が、光反射層のバリア層(誘電体層)の表面に粒子状に析出することが分かった(図9参照)。これは、イオンアシスト法の立ち上げプロセスに含まれるニュートラライザー(中和器)による電子の照射によって、光反射層に電子が流れたためであると考えられる。また、これにより、従来の製造方法によって作製した光反射鏡では、析出した金属粒子のプラズモン共鳴等が発生し、光反射率が低下していたと考えられる。
本発明に係る光反射鏡の製造方法では、コート治具と光反射層が形成される部分との間、及びコート治具と治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されている。これにより、イオンアシスト蒸着を行う際にも、光反射層に含有される銀等の金属が、バリア層(誘電体層)に析出しにくくなり、光反射率の低下を抑えることができたと考えられる。
光反射鏡の概略図 光反射鏡の表面付近の断面図 蒸着装置の概略図 光反射膜形成前における、絶縁テープが貼られたコート治具付近の断面図 光反射膜形成後における、絶縁テープが貼られたコート治具付近の断面図 光反射膜形成前における、絶縁ワッシャーが設けられたコート治具付近の断面図 光反射膜形成後における、絶縁ワッシャーが設けられたコート治具付近の断面図 光反射膜形成前における、治具ホルダーのうちコート治具との接触部分を絶縁体にしたときのコート治具付近の断面図 光反射膜形成後における、治具ホルダーのうちコート治具との接触部分を絶縁体にしたときのコート治具付近の断面図 光反射膜(比較例)のTEM画像 光反射膜(比較例)における銀の元素マッピング画像 光反射膜(実施例)のTEM画像 光反射膜(実施例)における銀の元素マッピング画像 比較例に係る光反射膜形成後のコート治具付近のイメージ図
本発明の光反射鏡の製造方法は、蒸着装置によって、基材表面上に少なくとも光反射層と誘電体層とを有する光反射鏡の製造方法であって、前記蒸着装置が、真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーとを備え、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されており、前記絶縁処理が、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間に樹脂製絶縁テープを設けること、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間に樹脂製絶縁ワッシャーを設けることよって行われており、又は、少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を樹脂製絶縁体にすることによって行われており、前記蒸着装置を使用したプラズマを用いた真空成膜が、イオンアシストデポジション法によって、前記光反射層上に前記誘電体層を形成する工程を有し、かつ、光反射鏡の光反射率が、96.0〜98.5%の範囲内であるように制御できることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記プラズマを用いた真空成膜が、イオンアシストデポジション(IAD)法、スパッタ法、イオンプレーティング法及びCVD法のうちいずれかの成膜方法によって行われることが好ましい。
本発明の実施態様としては、高い光反射率の層を観点から、前記光反射層が、銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金を含有することが好ましい。
本発明の実施態様としては、光反射層への密着性を向上させるとともに、バリア性を向上させる観点から、前記誘電体層が、酸化アルミニウムを含有する層を有することが好ましい。
本発明の実施態様としては、光反射性能を向上させる観点から、前記誘電体層が、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された層を有することが好ましい。
本発明の実施態様における前記絶縁処理としては、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方に、絶縁テープ又は絶縁ワッシャーを設けることよって行われていることが好ましい。
本発明の実施態様における前記絶縁処理としては、少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を絶縁体にすることによって行われていることが好ましい。
本発明の蒸着装置は、基材に向けてプラズマを用いた真空成膜を行う蒸着装置であって、真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーと、を備え、前記基材上の前記真空成膜が行われる部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されていることを特徴とする。
以下、好ましい実施形態をより詳細に説明するが、下記の実施形態のみには限定されない。なお、本明細書において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
また、以下の説明では、本発明に係る光反射鏡10の概略を説明した後、その製造に用いる蒸着装置1及び光反射鏡10の製造方法について説明する。
[光反射鏡]
光反射鏡10は、基材20の表面が光反射膜30で被覆されたものである。図1には、光反射鏡10の一例として、いわゆるポリゴンミラーを示す。
光反射鏡10としてのポリゴンミラーは、例えば、2つの四角錐台の面積の小さな面同士を突き合わせた態様であり、台形状の光反射面11が上下にそれぞれ4面ずつ配置され、計8面の光反射面11が形成されている。各光反射面11の表面には光反射膜30が形成されている(図2参照)。
このようなポリゴンミラーは、例えば、車両のレーザーレーダーなどに適用しうる。
基材20は、光反射鏡10のベースとなる部材であり、光反射膜30よって被覆される平坦な光学面を有する。
光反射膜30は、基材20上に、少なくとも光反射層32と、誘電体層33とを有している。また、基材20と光反射層32との間に、密着層31を有する構成とすることが好ましい。
以下の説明では、光反射膜30が、密着層31、光反射層32及び誘電体層33を有する場合について説明する。
(密着層)
密着層31は、基材20と光反射層32と密着性を向上させるための層であり、それらの両方に密着がよい材料を選択する必要がある。また、密着層31は、1層のみで構成されてもよいし2層以上で構成されてもよい。2層以上とする場合には、光反射層32に対して密着がよい材料の上層31bと、基材20に対して密着がよい材料の下層31aとを含む層として形成することが好ましい。なお、図2には、2層構成の場合の例を示している。
(光反射層)
光反射層32は、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)又こはこれらの合金を含有する層であることが好ましく、高い光反射率の層を観点からは、銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金であることが好ましい。合金としては、例えば、Ag−Bi、Ag−Pd−Cu、又はAg−Bi−Ge−Auを用いることが好ましい。
光反射層32は、数10〜100nm程度、より好ましくは50〜100nm程度の厚さを有する。
(誘電体層)
誘電体層33は、光反射層32を保護する緻密な層であり、光反射層32への水分や酸素等の侵入を防ぐことにより、光反射膜の劣化を防いでいる。本発明に係る誘電体層33は、後述する蒸着装置1を使用したプラズマを用いた真空成膜(例えば、イオンアシスト蒸着)によって形成される。
誘電体層33を形成する材料は、真空蒸着が可能であり、かつ誘電体層33としの機能を得ることができれば特に限らないが、例えば、金属酸化物、金属フッ化物、又はこれらの混合材料を含有することが好ましい。
誘電体層33は、1層のみで構成されてもよいし2層以上で構成されてもよい。2層以上とする場合には、光反射層32に隣接する層は、光反射層32に対して密着がよい材料を含有する層とすることが好ましい。
誘電体層33の層厚は、10〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜80nmの範囲内である。
誘電体層33を2層以上とする場合には、光反射膜30としての光反射性能を向上させる観点から、例えば、高屈折率層33aと低屈折率層33bとが交互に積層された層を有することが好ましい。また、この場合、好ましくは最上層が低屈折率層33bであることが好ましい。
[蒸着装置]
本発明の蒸着装置1は、基材20に向けてプラズマを用いた真空成膜を行う蒸着装置1であって、真空容器2内に、基材20を保持するコート治具4と、コート治具4を保持する治具ホルダー3と、を備え、基材20上の真空成膜が行われる部分とコート治具4との間、及びコート治具4と治具ホルダー3との間のうち少なくとも一方が絶縁処理されていることを特徴とする。
ここで、本明細書でいう「プラズマを用いた真空成膜」とは、電離によって生じた荷電粒子を含む気体を用いて行う真空成膜を意味する。具体的には、例えば、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)法、イオンプレーティング法、スパッタ法及びCVD法等において、成膜工程でプラズマを使用する方法を指す。
これらの方法のうち、以下の説明では、イオンアシスト蒸着法によって行われるプラズマを用いた真空成膜を行う蒸着装置1について、具体例を挙げて説明する。
蒸着装置1は、密閉容器である真空容器2内に、コート治具4を保持するドーム状の治具ホルダー3と、イオンアシストするためのイオン銃5と、蒸着物質を飛散させる第一蒸発源7及び第二蒸発源8と、電子照射を行う中和器6(ニュートラライザー)等を備えている(図3)。
治具ホルダー3は、真空容器2内の天井付近に回転可能に設置されており、コート治具4を複数保持している。コート治具4は、内部に基材20を保持しており(図4A参照)、蒸着時には、ドーム状の治具ホルダー3の内側からコート治具4内に入った蒸着物質により基材20上に薄膜が形成される。
イオン銃5は、イオン化されたガス分子(例えば、O 等)を基材20に向かって照射する装置であり、蒸着物質に運動エネルギーを与えて薄膜の形成をアシストする。
中和器6(ニュートラライザー)は、電子を基材20に向かって放出する装置であり、基材20上に蓄積されたイオンを中和する。
本発明の蒸着装置1は、基材20上の光反射層32が形成される部分(真空成膜が行われる部分)とコート治具4との間、及びコート治具4と治具ホルダー3との間のうち少なくとも一方が絶縁処理されている。
絶縁処理の方法としては、例えば、絶縁テープ41又は絶縁ワッシャー42を設ける方法が挙げられる。また、少なくとも治具ホルダー3とコート治具4との接触部分43を絶縁体にする方法が挙げられる。
絶縁テープ41を用いる方法としては、絶縁することができれば特にテープの貼る位置は限られないが、例えば、図4Aのように、コート治具4の内面に絶縁テープ41を貼る方法や、コート治具4と治具ホルダー3の間に絶縁テープ41を貼る方法が挙げられる。また、コート治具4の内面に絶縁テープ41を貼った状態で(図4A)、光反射膜30を形成した後の図を図4Bに示す。
絶縁テープ41としては、真空環境下で絶縁効果を発揮できるものであればよく、例えば、ポリイミド樹脂製テープを用いることができる。
絶縁ワッシャー42を設ける方法としては、絶縁することができれば特に設ける位置は限られないが、図5Aに示すように、コート治具4と治具ホルダー3間に設ける方法が挙げられる。また、その他には、図4Aに示したように、コート治具4の内面部分に設けてもよい。また、コート治具4と治具ホルダー3との間に絶縁ワッシャー42を設けた状態で(図5A)、光反射膜30を形成した後の図を図5Bに示す。
絶縁ワッシャー42の材質としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いることができる。
少なくとも治具ホルダー3とコート治具4との接触部分43を絶縁体とする方法としては、例えば、コート治具4を絶縁体にする方法、治具ホルダー3のうちコート治具4との接触部分43を絶縁体にする方法(図6A)が挙げられる。
ここで、絶縁体を形成する材料としては、例えば、絶縁樹脂であるエポキシ樹脂が挙げられる。また、治具ホルダー3のうちコート治具4と接触部分43を絶縁体に変更した状態で、光反射膜30を形成した後の図を図6Bに示す。
また、他の方法として、治具ホルダー3とコート治具4との接触部分43の絶縁体を、絶縁コーティング剤によって形成してもよい。
絶縁コーティング剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等を含有する公知の絶縁コーティング剤が挙げられる。
[光反射鏡の製造方法]
本発明の光反射鏡10の製造方法は、上述した蒸着装置1を用いたプラズマを用いた真空成膜(例えば、イオンアシスト蒸着)によって、光反射層32上に誘電体層33を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る光反射鏡10の製造方法では、光反射層32を保護する誘電体層33を、プラズマを用いた真空成膜(例えば、イオンアシスト蒸着)により形成するため、密着性及び緻密性に優れた誘電体層33を形成することができる。
以下の説明では、製造方法の一例として、基材20上に、2層構成の密着層31と、単層の光反射層32と、複数層構成の誘電体層33とを有する光反射鏡10の製造方法について述べる。
(蒸着装置への基材の取り付け)
基材20をコート治具4に取りつけ、そのコート治具4を蒸着装置1内の治具ホルダー3に取り付ける。なお、蒸着装置1は、上記で説明したように、絶縁処理が施されている。
基材20の材料としては、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂材料や、ガラス等の無機材料が挙げられる。
(密着層の形成)
密着層31としては、基材20側の下層31aと、光反射層32側の上層31bとを有する2層構成の密着層31を形成する場合について説明する。
下層31aは、基材20に直接密着して水分を遮断しつつ幾分透過させる緩衝層的な役割を有する薄膜層である。上層31bは、光反射層32と直接密着するとともに水分を確実に遮断する役割を有する薄膜層である。
次に、本発明の蒸着装置1において、密着層31を形成する方法を説明する。
第一蒸発源7に下層31aを形成するための蒸着物質(固形状)を供給し、第二蒸発源8に上層31bを形成するための蒸着物質(固形状)を供給する。次に、真空容器2内を所定圧力まで排気する。また、蒸着する前に、治具ホルダー3を所定の回転数で回転させながら、電気ヒーター(図示省略)により、基材20を所定温度まで加温する。
次に、第一蒸発源7及び第二蒸発源8に向かって、各々に対応する電子銃7b,8bから電子ビームを照射し、それぞれの蒸着物質を蒸発させる。そして、まず、第一蒸発源7のシャッター7aを開いて下層31aを成膜する。次いで、第一蒸発源7のシャッター7aを閉じて、第二蒸発源8のシャッター8aを開いて、密着層31の上層31bを成膜する。また、これらの成膜工程では、公知の層厚モニター(図示省略)で層厚を測定し、層厚が所定の厚さになったら各シャッター7a,8aを閉じることで、層厚の制御をすることができる。
下層31aの蒸着物質としては、酸化アルミニウムを主とする材料とすることが好ましい。この材料を用いてイオンアシスト蒸着すると、水分の遮断性に優れ、かつ緩衝層としても機能する層を形成できる。
酸化アルミニウムを主とする材料としては、例えば、純粋な酸化アルミニウムのほか、酸化アルミニウムにLaが5〜10%程度混合されているメルク社製の「Substance M2」や、「Substance M3」を用いることができる。
上層31bの蒸着物質としては、光反射層32との密着性の高める観点から、LaTiO、CeO、Y及びSnOのうち少なくとも1種から選択される材料を用いることが好ましい。
密着層31(下層31a及び上層31b)は、優れた水分遮断性と、高温高湿環境での高い耐久性を得る観点から、イオンアシスト蒸着によって形成することが好ましい。
本発明の蒸着装置1を用いたイオンアシスト蒸着による密着層31の形成は、第一蒸発源7及び第二蒸発源8のいずれかのシャッター7a,8aが開いているときに、基材20に向かってイオン銃5によってイオン化されたガス分子を照射することで、基材20に付着した蒸着物質を緻密化することで行う。ここで、イオン銃5によるイオン化されたガス分子を照射すると、治具ホルダー3には電荷の偏りが生じるため、中和器6から治具ホルダー3に向かって電子を照射することで中和する。
下層31a及び上層31bは、それぞれ層厚10〜200nm程度、より好ましくは層厚20〜120nmとなるように形成することが好ましい。
下層31a及び上層31bは、十分な水分遮断効果を発揮させるためには層厚10nm以上とすることが好ましい。一方、層厚200nmを超える場合も密着や水分遮断効果は十分あるが、厚み増加にともなって、基材20の表面粗さの増大や膜応力の影響を増加させる副作用があるため、層厚200nm以下とすることが好ましい。
(光反射層の形成)
光反射層32は、例えば、第一蒸発源7に光反射層32を形成するための蒸着物質(固形状)を供給し、電子銃7bからその第一蒸発源7に向かって電子ビームを照射し、シャッター7aを開いて光反射層32を成膜する。
光反射層32の蒸着物質としては、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)又はこれらの合金を含有する層であることが好ましく、高い光反射率の層を形成する観点から、特に銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金であることが好ましい。合金としては、例えば、Ag−Bi、Ag−Pd−Cu、又はAg−Bi−Ge−Auを用いることが好ましい。これらの合金のうち、例えば、銀(Ag)とビスマス(Bi)との合金を用いる場合、AgBiを蒸着物質として光反射層32を形成することができる。この場合、原料のBiの組成比は、0.01〜0.8原子%、好ましくは0.02〜0.5原子%である。
光反射層32は、数10〜100nm程度、より好ましくは50〜100nm程度の厚みを有するように形成することが好ましい。
(誘電体層の形成)
誘電体層33は、1層のみで構成されてもよいし2層以上で構成されてもよい。2層以上とする場合には、光反射層32に隣接する層は、光反射層32に対して密着がよい材料を用いて形成することが好ましい。
本発明に係る誘電体層33は、プラズマを用いた真空成膜(例えば、イオンアシスト蒸着)により形成する。以下、本発明の蒸着装置1において、イオンアシスト蒸着によって誘電体層33を形成する方法を説明する。
誘電体層33は、第一蒸発源7に誘電体層33を形成するための蒸着物質(固形状)を供給し、電子銃7bからその第一蒸発源7に向かって電子ビームを照射し、シャッター7aを開いて誘電体層33を成膜する。また、基材20に向かってイオン銃5によりイオン化されたガス分子を照射し、かつ中和器6によって電子を照射して中和することで行われる。
誘電体層33を形成するための蒸着物質としては、真空蒸着することができ、かつ誘電体としての機能が得られる材料であれば特に限られないが、例えば、TiO、Nb、ZrO、CeO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、LaTi、Bi、Ga、GeO,SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO等の金属酸化物、LaF、BaF、NaAl14、NaAlF、AlF、MgF、CaF、BaF、CeF、NdF、YF等の金属フッ化物、又はこれらの混合材料を含有する層であることが好ましい。
誘電体層33は、1層のみで構成されてもよいし2層以上で構成されてもよい。2層以上とする場合には、光反射層32に隣接する層は、光反射層32に対して密着がよい材料を含有する層であることが好ましい。
誘電体層33の厚さは、単層とする場合には、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは15〜30nmの範囲内である。
誘電体層33を2層以上とする場合には、光反射膜30としての光反射性能を向上させる観点から、例えば、高屈折率層33aと低屈折率層33bとを交互に積層された層として形成することが好ましい。また、この場合、これらの最上層が低屈折率層33bであることが好ましい。
高屈折率層33aと低屈折率層33bとを交互に積層形成する方法としては、蒸着装置1において、第一蒸発源7に高屈折率層33aを形成するための蒸着物質(固形状)を供給し、第二蒸発源8に低屈折率層33bを形成するための蒸着物質(固形状)を供給する。そして、第一蒸発源7及び第二蒸発源8のシャッター7a,8aを交互に開くことによって、高屈折率層33aと低屈折率層33bとを交互に積層形成することができる。
高屈折率層33aの蒸着物質としては、例えば、TiO、Nb、Ta、LaTiO、ZrO及びこれらの材料の混合材料のうち少なくとも1種から選ばれる材料を用いることが好ましい。
低屈折率層33bの蒸着物質としては、例えば、SiO及びSiOに酸化アルミニウムを混ぜた混合材料のうち少なくとも1種から選ばれる材料を用いることが好ましい。
そして、これらの材料を用いて、高屈折率層33aは1.8以上の屈折率を有し、低屈折率層33bは1.55以下の屈折率を有する層を形成することが好ましい。
また、誘電体層33は、光反射層への密着性及び耐環境性(高温高湿耐性)を向上させる観点から、酸化アルミニウム含有する層を有することが好ましい。また、特に、光反射層32に隣接する層を、酸化アルミニウムを主とする材料から構成し、屈折率が1.55以上であって1.80未満とすることが好ましい。
なお、イオンアシスト蒸着により成膜する方法は、上記に限られず、本発明の効果が得られる範囲内で適宜変更してもよい。例えば、光反射層32上に誘電体層33を形成する際に、最初の数nmについてはイオンアシスト蒸着を用いない方法で成膜し、途中からイオンアシスト蒸着によって成膜するようにしてもよい。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
光反射鏡1−1(比較例)の製造では、コート治具の内面に導電性テープを貼り、光反射膜を形成した。一方、光反射鏡1−2(実施例)の製造では、コート治具の内面に絶縁テープを貼り、光反射膜の製造を形成した。そして、これらの方法で形成した光反射膜をそれぞれ透過型電子顕微鏡によって観察した。
<光反射鏡1−1の製造>
(蒸着装置の準備)
コート治具と基材上に形成される誘電体層とが電気的に接続されるように、コート治具内面の誘電体層が形成される部分に、導電性テープ(日本電子社製カーボン両面テープ)を貼った。なお、導電性テープを設けた位置は、図4Aで示す絶縁テープ41の位置である。
(基材の準備)
基材として、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリカーボネート(PC)H−3000Rを、直径30mmで厚さ3mmに成形したものを準備した。また、基材は、想定される実際の製品の被成膜面(光反射面)が蒸着入射角度45度に位置するため、基材を保持するコート治具(アルミニウム製)にセットし、コート治具がドーム状の治具ホルダー(アルミニウム製)の指示面に対して45度傾けた状態で設置した。
(密着層の形成)
メルク社製Alを銅製坩堝(第一蒸発源)に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚60nmのAl層(密着層の下層)を形成した。
メルク社製LaTiO(Substance H4)を銅製坩堝(第二蒸発源)に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度4.0nm/秒で蒸着し、層厚30nmのLaTiO層(密着層の上層)を形成した。
蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでOを導入した。また、上記密着層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は表1のとおりとした。
Figure 0006884993
表1中、「Voltage[V]」はイオンガンのビーム電圧を意味し、「Current[A]」はイオンガンのビーム電流を意味する。「ACC[V]」は加速電圧を意味する。「E/B[%]」はEmissionとBeamとのパワー比を意味する。Emissionとはイオンを中和するニュートラライザー(中和器)のパワーであり、Beamとはイオンアシストのパワーである。「Gas1、O[SCCM]」、「Gas2、Ar[SCCM]」および「Gas3、Ar[SCCM]」は酸素やアルゴンの供給量を示す。「Gas2、Ar[SCCM]」はイオンガンへのアルゴンガス成分の供給量を示し、「Gas3、Ar[SCCM]」は中和ガンへのアルゴンガスの供給量を示す。
(光反射層の形成)
Agをモリブデン製抵抗加熱ボートに装填した。真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、モリブデン製抵抗加熱ボートに通電加熱(予備加熱)し、その後抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調整しながら予備加熱より高い温度で本加熱して形成速度16.0nm/秒で蒸着し、層厚100nmのAg層(光反射層)を形成した。
なお、予備加熱(条件)として、10秒で200Aまで上昇させ10秒間保持し、10秒で270Aまで上昇させ5秒間保持し、5秒で290Aまで上昇させ85秒間保持した。
(誘電体層の形成)
メルク社製Alを銅製坩堝に装填した。真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚20nmのAl層(誘電体層)を形成した。蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでOを導入した。
ここで、誘電体層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
<光反射鏡1−2の製造>
コート治具と基材上に形成される誘電体層とが電気的に接続されないように、コート治具内面の誘電体層が形成される部分に、絶縁テープ(3M社製ポリイミドテープ)を貼った(図4A参照)。
それ以外は、光反射鏡1−1と同様にして、光反射鏡1−2を製造した。
<断面の観察>
光反射鏡1−1、1−2について、断面観察の前処理として、Pt−Pdを1nmコーティングした。次に、FIB加工装置により薄片作製後、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察を行った。光反射鏡1−1のTEM画像を図7A、光反射鏡1−2のTEM画像を図8Aに示す。
(FIB加工)
装置:SII製SMI2050
加工イオン:(Ga 30kV)
試料厚さ:200nm
(TEM観察)
装置:日本電子製JEM2000FX(加速電圧:200kV)
電子線照射時間:30秒
また、エネルギー分散形X線分析装置(日本電子社製、JED−2300T)によって、銀(Ag)の元素マッピングを行った。光反射鏡1−1についてのマッピング像を図7B、光反射鏡1−2についてのマッピング像を図8Bに示す。
<結果>
光反射鏡1−1(比較例)の光反射膜の断面を観察すると、誘電体層(Al層)の表面に、粒子状の物質が存在していることが分かった(図7A)。これは、元素マッピングの結果(図7B)より、銀粒子が析出したものと考えられる。銀粒子が析出したのは、誘電体層の製造工程において、イオンアシスト法の立ち上げプロセスに含まれるニュートラライザー(中和器)による電子の照射によって、光反射層に電子が流れたため、図9に示すように、光反射層に含有される銀が誘電体層表面に粒子状に析出したものと考えられる。
これに対し、光反射鏡1−2(実施例)は、誘電体層(Al層)の表面には、粒子状の物質は存在していなかった(図8A、図8B)。
光反射鏡1−1(比較例)では、コート治具に導電性テープを貼ることによって、従来の光反射鏡の製造過程で起こると思われる問題点がはっきりと表れるようにしたものである。従来の蒸着装置においても、光反射層に電子が流れ込むことは避けらないと考えられ、程度は低くなるとしても同様の現象が起きていると考えられる
次に、実施例2では、従来の製造方法及び本発明の製造方法によって光反射鏡をそれぞれ作製し、光反射鏡の光反射率を評価した。
[実施例2]
<光反射鏡2−1の製造>
(基材及び蒸着装置の準備)
光反射鏡1−1の製造において用いた基材を用意し、想定される実際の製品の被成膜面(光反射面)が蒸着入射角度45度に位置するため、基材を保持するコート治具(PC(ポリカーボネート)製)にセットし、コート治具がドーム状の治具ホルダー(アルミニウム製)の指示面に対して45度傾けた状態で設置した。
なお、図3に示すような蒸着装置を用いて光反射膜を形成しているが、光反射鏡2−1の製造では、蒸着装置に対して、光反射鏡2−2〜2−12のような絶縁処理を施していない。光反射鏡2−2〜2−12では、コート治具と光反射層が形成される部分との間、又はコート治具と治具ホルダーとの間のいずれか一方が絶縁処理されている。
(光反射層の形成)
光反射鏡1−1の光反射層と同様の形成方法によって、基材表面に層厚80nmのAg層(光反射層)を形成した。
(誘電体層の形成)
光反射鏡1−1の誘電体層と同様の形成方法によって、光反射層上に層厚20nmのAl層(誘電体層)を形成した。
<光反射鏡2−2の製造>
コート治具と治具ホルダー間に、図5Aに示すように、絶縁ワッシャー(ガラスエポキシ樹脂製)を設けた。その他は、光反射鏡2−1の製造方法と同様にして、光反射鏡2−2を製造した。
<光反射鏡2−3の製造>
基材を保持するコート治具を、絶縁樹脂であるエポキシ樹脂製の治具に変更した。その他は、光反射鏡2−1の製造方法と同様にして、光反射鏡2−3を製造した。
<光反射鏡2−4の製造>(参考例)
光反射鏡2−3と同様の蒸着装置を用いて、光反射鏡1−1の製造において用いた基材上に、アネルバ社製のスパッタ装置(L−430S−FHS)を使用して、スパッタ法により光反射膜を形成した。
まず、基材表面に、Ar20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温(25℃)下、ターゲット側電力150W、成膜速度0.38nm/sで、層厚が80nmとなるようにAgをRFスパッタし、Ag層(光反射層)を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
次に、光反射層上に、Ar20sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温(25℃)下、ターゲット側電力75W、成膜速度0.07nm/sで、層厚が20nmとなるようターゲットであるAlをRFスパッタし、Al層(誘電体層)を形成した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
<光反射鏡2−5の製造>
治具ホルダーのうちコート治具との接触部分を絶縁体(エポキシ樹脂製)に変更した(図6A)。その他は、光反射鏡2−1の製造方法と同様にして、光反射鏡2−5を製造した。
<光反射鏡2−6の製造>
コート治具内面の誘電体層が形成される部分に、絶縁テープ(3M社製ポリイミド樹脂製テープ)を貼った(図4A参照)。その他は、光反射鏡2−1の製造方法と同様にして、光反射鏡2−6を製造した。
<光反射鏡2−7の製造>
光反射層の形成方法を以下のように変更した以外は、光反射鏡2−2の製造方法と同様にして、光反射鏡2−7を製造した。
(光反射層の形成)
基材表面に以下のようにして光反射層を形成した。
Auをモリブデン製抵抗加熱ボートに装填した。真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、モリブデン製抵抗加熱ボートに通電加熱(予備加熱)し、その後抵抗加熱ボートの通電加熱条件を適宜調整しながら予備加熱より高い温度で本加熱して形成速度16.0nm/秒で蒸着し、層厚80nmのAu層(光反射層)を形成した。
なお、予備加熱(条件)として、10秒で300Aまで上昇させ10秒間保持し、10秒で400Aまで上昇させ5秒間保持し、5秒で450Aまで上昇させ85秒間保持した。
<光反射鏡2−8の製造>
誘電体層の形成方法を以下のように変更した以外は、光反射鏡2−6の製造方法と同様にして、光反射鏡2−8を製造した。
(誘電体層の形成)
TiOを銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚20nmのTiO層(誘電体層)を形成した。蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでOを導入した。誘電体層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
<光反射鏡2−9の製造>
誘電体層の形成方法を以下のように変更した以外は、光反射鏡2−6の製造方法と同様にして、光反射鏡2−9を製造した。
(誘電体層の形成)
メルク社製SiOを銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚20nmのSiO層(誘電体層)を形成した。蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでOを導入した。誘電体層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
<光反射鏡2−10の製造>
誘電体層の形成方法を以下のように変更した以外は、光反射鏡2−6の製造方法と同様にして、光反射鏡2−10を製造した。
(誘電体層の形成)
ZnSを銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚20nmのZnS層(誘電体層)を形成した。誘電体層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
<光反射鏡2−11の製造>
誘電体層の形成方法を以下のように変更した以外は、光反射鏡2−6の製造方法と同様にして、光反射鏡2−11を製造した。
(誘電体層の形成)
SiNを銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚20nmのSiN層(誘電体層)を形成した。蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでNを導入した。誘電体層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
<光反射鏡2−12の製造>
光反射鏡2−6の製造方法において、基材と光反射層との間に以下のような密着層を形成し、誘電体層を以下のように変更した以外は同様にして、光反射鏡2−12を製造した。
(密着層の形成)
メルク社製Alを銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度5.0nm/秒で蒸着し、層厚60nmのAl層(密着層の下層)を形成した。蒸着中は1.5×10−2Paに達するまでOを導入した。
メルク社製LaTiO(Substance H4)を銅製坩堝に装填した。
真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度4.0nm/秒で蒸着し、層厚60nmのLaTiO層(密着層の上層)を形成した。
上記密着層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
(誘電体層の形成)
誘電体層は、下記のように5層構成となるように形成した。下記の説明では、下から順に、第1層〜第5層としている。
密着層の下層と同様の方法によって、層厚25nmのAl層(誘電体層の第1層)を形成した。
次に、密着層の上層と同様の方法によって、層厚75nmのLaTiO層(誘電体層の第2層)を形成した。
次に、メルク社製SiOを銅製坩堝に装填した。真空槽を1×10−4Paまで減圧した後、電子銃にて加熱し、電子銃の通電加熱条件を適宜調整して形成速度8.0nm/秒で蒸着し、層厚15nmのSiO層(誘電体層の第3層)を形成した。
次に、密着層の上層及び誘電体層の第2層と同様の方法によって、層厚80nmのLaTiO層(誘電体層の第4層)を形成した。
次に、誘電体層の第3層と同様の方法によって、層厚30nmのSiO層(誘電体層の第5層)を形成した。
第1層〜第5層の形成は、イオンアシスト蒸着(IAD:Ion Assisted Deposition)によって行った。IAD条件は上記表1のとおりとした。
上述した光反射鏡2−1〜2−12におけるそれぞれの光反射膜の層構成について、表2に示した。なお、表2では、密着層と誘電体層が複数層で形成されている場合は、下層から上層の順となるように、左から右に順番で記載している。
<光反射鏡の光反射率の評価>
大塚電子社製分光光度計MCPD3000を用いて、波長870nmにおいて45度で反射されるP偏光の測定を行った。
光反射率(%)の測定結果を表2に示す。表2中の○、×の基準は下記のとおりである。
○:光反射率が95%以上(合格)
×:光反射率が95%未満(不合格)
Figure 0006884993
<評価結果>
表2に示すとおり、従来の蒸着装置によって製造した比較例に係る光反射鏡2−1に対し、本発明に係る蒸着装置によって、光反射率の高い光反射鏡2−2〜2−11を製造することができた。
1 蒸着装置
2 真空容器
3 治具ホルダー
4 コート治具
5 イオン銃
6 中和器
7 第一蒸発源
7a シャッター
7b 電子銃
8 第二蒸発源
8a シャッター
8b 電子銃
10 光反射鏡
11 光反射面
20 基材
30 光反射膜
31 密着層
31a 下層
31b 上層
32 光反射層
33 誘電体層
41 絶縁テープ
42 絶縁ワッシャー
43 治具ホルダーとコート治具との接触部分

Claims (5)

  1. 蒸着装置によって、基材表面上に少なくとも光反射層と誘電体層とを有する光反射鏡の製造方法であって、
    前記蒸着装置が、真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーとを備え、
    前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されており、
    前記絶縁処理が、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間に樹脂製絶縁テープを設けること、及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間に樹脂製絶縁ワッシャーを設けることよって行われており、又は、
    少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を樹脂製絶縁体にすることによって行われており
    前記蒸着装置を使用したプラズマを用いた真空成膜が、イオンアシストデポジション法によって、前記光反射層上に前記誘電体層を形成する工程を有し、かつ、
    光反射鏡の光反射率が、96.0〜98.5%の範囲内であるように制御できる
    ことを特徴とする光反射鏡の製造方法。
  2. 前記光反射層が、銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金を含有することを特徴とする請求項1に記載の光反射鏡の製造方法。
  3. 前記誘電体層が、酸化アルミニウムを含有する層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光反射鏡の製造方法。
  4. 前記誘電体層が、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光反射鏡の製造方法。
  5. 基材表面上に少なくとも光反射層と誘電体層とを有する光反射鏡の作製のため、前記基材に向けてプラズマを用いた真空成膜をイオンアシストデポジション法によって行う蒸着装置であって、
    真空容器内に、前記基材を保持するコート治具と、前記コート治具を保持する治具ホルダーと、を備え、
    前記基材上の前記真空成膜が行われる部分と前記コート治具との間、及び前記コート治
    具と前記治具ホルダーとの間のうち少なくとも一方が絶縁処理されており、
    前記絶縁処理が、前記基材上の前記光反射層が形成される部分と前記コート治具との間に樹脂製絶縁テープを設けること及び前記コート治具と前記治具ホルダーとの間に樹脂製絶縁ワッシャーを設けることよって行われており、又は、
    少なくとも前記治具ホルダーと前記コート治具との接触部分を樹脂製絶縁体にすることよって行われ、かつ、
    光反射鏡の光反射率が、96.0〜98.5%の範囲内であるように制御できる
    ことを特徴とする蒸着装置。
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