JP6884756B2 - α−ダマスコンを調製する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)を調製する方法であって、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを用意すること、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを酸化剤で6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンへとを酸化すること、及び6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを酸と反応させることを含む、方法に関するものである。
1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)は、様々なエッセンシャルオイル中に見出される芳香物質である。その特徴的な感覚刺激特性に起因して、α-ダマスコンは、香料又は香味料として、商業的に非常に魅力がある。特に、α-ダマスコンは、消臭剤及び香水中の化学的香料として、広く使用されている。
現在、需要のあるα-又はβ-ダマスコンの圧倒的多数は、それぞれ、不飽和アルデヒド又はケトンから、例えば、天然及び/又は石油化学供給源から大量に入手可能であるシトラール、シクロシトラール若しくはシクロゲラン酸から合成によって生成されている。
例えば穏やかな反応条件を使用して、収率を改善し、望まれない副生成物の形成を減少させることによって、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)を効率的に生成させる、新規の方法に対する需要がある。
α-ダマスコンの合成は、当技術分野において、頻繁に記載されていた。
例えば、DE1807568は、その他の化合物の合成に加えて、主に2つの異なる経路を通じて、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)から出発する、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)の合成のための方法を記載している。経路1は、シトラールの環化によって得られるα-シクロシトラール(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-カルボアルデヒド)を、1-プロペニルマグネシウムブロミドと反応させて、アルコール(E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オールを生成し、次に、これを、三酸化クロム又は二酸化マンガンを使用して酸化し、α-ダマスコンを生成することを含む。経路2は、シトラールを、1-プロペニルマグネシウムブロミドと反応させて、6,10-ジメチル-2,5,9-トリエン-4-オールを生成し、これを二酸化マンガンで酸化して、対応するケトン6,10-ジメチル-2,5,9-トリエン-4-オン(プソイドダマスコン)を生成することを含む。プソイドダマスコンを、次に、ボロントリフルオリドジエチルエーテラートを使用して環化し、α-ダマスコンを生成する。アルコール中間体を酸化して対応するケトンを生成するために、酢酸銀、遷移金属元素の酸素含有誘導体、特に、三酸化クロム、二酸化マンガン又は過マンガン酸塩、及び気体の分子状酸素が、適切な酸化剤として言及されている。
Nakataniら、Agr. Biol. Chem.、1974、第38巻(7)、1351〜1354ページは、シトラールから出発するα-ダマスコンの合成のための方法を記載していて、この方法は、最初に、シトラールをアリルマグネシウムブロミドと反応させて、アルコール6,10-ジメチル-2,5,10-トリエン-4-オールを生成し、これを、ピリジン又は3,5-ジメチルピラゾールの存在下、三酸化クロムで酸化させて、対応するケトン6,10-ジメチル-2,5,10-トリエン-4-オンを生成することを含む。このケトンを、次に、カリウムtert-ブタノラートで異性化して、6,10-ジメチル-2,5,9-トリエン-4-オン(プソイドダマスコン)を生成する。このようにして得られたプソイドダマスコンを、最後に、無機酸、特にリン酸、又はルイス酸、特に四塩化スズを使用して環化し、α-ダマスコンを生成する。
アリルアルコールの鉄触媒による好気的酸化もまた、当技術分野において記載されている。
Liuら、Org. Lett.、2013、第15巻、5150〜5153ページは、触媒量のFe(NO3)3、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)及びNaClの存在下、いくつかのアリルアルコール、例えば、ゲラニオール又は(E)-4-メチルヘプタ-4-エン-3-オールを、分子状酸素で酸化させることを記載している。
シトラールからのα-ダマスコンの合成を目的とする、既知の合成方法の圧倒的多数は、アリルアルコール中間体の形成によって進行し、中間体を酸化させて、対応するケトンを生成する。典型的には、これらのアリルアルコール中間体の酸化は、強い酸化剤、例えば三酸化クロム又は過マンガン酸カリウムが使用される場合には、副生成物の形成に起因して収率の低さに悩まされ、且つ/又は特に穏やかな酸化剤、例えば二酸化マンガン又は分子状酸素が適用される場合には、反応時間の長さに悩まされる。さらに、これらの方法は、所望のα-ダマスコンに到達するために、追加の異性化ステップをしばしば必要とし、そのために、全体の収率がさらに低下する。
不満足な全体の収率に起因して、これらの方法は、シトラールからのα-ダマスコンの有効な生成にとって、特に工学規模の生成にとって不適切である。
DE1807568
Agr. Biol. Chem.、1974、第38巻(7)、1351〜1354ページ Org. Lett.、2013、第15巻、5150〜5153ページ
したがって、高い全体の収率で、例えばすぐに入手可能な前駆体3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)から、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)を生成するための改善された方法を提供することが、本発明の目的である。この方法は、簡単で効率的であるべきで、穏やかな反応条件を使用して、工学規模でのα-ダマスコンの経済的生成を可能にするべきである。さらに、高価な及び/又は有害な試薬は、回避されるべきである。
驚くべきことに、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)は、少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体の存在下、酸化剤で、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを酸化すること、続いて、酸を使用して、このようにして得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを環化及びその場で異性化することによって、高収率で調製できることが分かった。
したがって、本発明は、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを調製する方法であって、
a)6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを用意すること、
b)少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体の存在下、酸化剤で、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを酸化して、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを生成すること、
c)ステップb)において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを、酸と反応させて、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを生成すること
を含む、方法に関するものである。
本方法は、効率的であり、安価ですぐに入手可能な前駆体から出発し、3ステップのみで、高い空時収率での1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)の生成を可能にする。本発明の方法は、穏やかな反応条件を使用し、それによって、副生成物の量が減少する。高価な及び/又は有害な試薬の使用は、回避される。本方法の技術的適用性は、簡単で、費用がかからない。本発明による方法を使用することによって、α-ダマスコンは、産業規模で困難なく提供できる。
1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)は、以下の式(I)の化合物である。
Figure 0006884756
クロトニル基(2-ブテノイル基)を有するシクロヘキサン環の1-位の炭素原子は、(R)-又は(S)-配置を有してよいことが、式(I)から明らかである。さらに、クロトニル基のC-C二重結合は、(E)-又は(Z)-配置を有してよい。したがって、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)は、(E,1R)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、(E,1S)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、(Z,1R)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン又は(Z,1S)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンのいずれかの形態(それぞれ、以下、(E,1R)-異性体、(E,1S)-異性体、(Z,1R)-異性体若しくは(Z,1S)-異性体と呼ばれる)で存在してもよく、又はこれらの異性体の混合物の形態(以下、(E/Z,1R/1S)-異性体混合物と呼ばれる)で存在してもよい。
したがって、用語「1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン」は、純粋な(E,1R)-異性体、(E,1S)-異性体、(Z,1R)-異性体及び(Z,1S)-異性体、並びにこれらの異性体が等しい量で存在する混合物又はこれらの異性体の1若しくは2種が過剰に存在する混合物を包含する。
頻繁には、本発明の方法は、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを、純粋な(E,1R)-異性体若しくは純粋な(E,1S)-異性体として、又はこれらの2種の異性体が等しい量で存在する混合物若しくはこれらの異性体の1種が過剰に存在する混合物として提供する。
より頻繁には、本発明の方法は、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを、(E,1R/1S)-異性体混合物として提供し、混合物中で、これらの2種の異性体は等しい量で存在するか、又はこれらの異性体の1種が過剰に存在する。
同様に、中間体6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールのC5とC6との間の二重結合は、(E)-又は(Z)-配置を有してよい。したがって、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールは、(5E)-6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オール若しくは(5Z)-6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールのいずれかの形態で、又はこれらの異性体の混合物の形態で存在できる。
したがって、用語「6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オール」は、純粋な(5E)-異性体と(5Z)-異性体の両方、並びにこれらの2種の異性体が等しい量で存在する混合物又はこれらの異性体の1種が過剰に存在する混合物を包含する。
同じく、中間体6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンのC5とC6との間の二重結合は、(E)-又は(Z)-配置を有してよい。したがって、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンは、(5E)-6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オン若しくは(5Z)-6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンのいずれかの形態で、又はこれらの異性体の混合物の形態で存在できる。
したがって、用語「6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オン」は、純粋な(5E)-異性体と純粋な(5Z)-異性体の両方、並びにこれらの2種の異性体が等しい量で存在する混合物又はこれらの異性体の1種が過剰に存在する混合物を包含する。
ステップa)
本発明によれば、ステップa)は、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの調製を含む。6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールは、例として、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)をアリルマグネシウム化合物と反応させることによって、並びに当業者にとって既知であり、先行技術分野において十分に記載されているその他の方法によって、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールから好都合な方法で得ることができる。
本発明の方法の好ましい実施形態において、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールは、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(シトラール)をアリルマグネシウム化合物と反応させることによって調製される。
出発物質3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールは、純粋な(6E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(ゲラニアール)及び純粋な(6Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(ネラール)として、若しくは(6E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(ゲラニアール)と(6Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(ネラール)との混合物としてのいずれかで購入してもよく、又は当業者にとって既知の方法を使用して調製してもよい。純粋なゲラニアール及び純粋なネラール、並びにそれらの混合物は、本発明の方法のステップa)における6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの調製のための出発物質として等しく適切である。
一般には、当業者にとって既知である全ての一般的なアリルマグネシウム化合物は、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールの6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールへの変換において適用できる。
適切なアリルマグネシウム化合物は、例えばアリルマグネシウムハロゲン化物、例えば、アリルマグネシウムクロリド又はアリルマグネシウムブロミドである。
好ましくは、アリルマグネシウム化合物は、アリルマグネシウムクロリド又はアリルマグネシウムブロミド、特にアリルマグネシウムクロリドから選択される。
典型的には、アリルマグネシウム化合物は、反応混合物中の3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールの総量に対して、0.95から1.5当量の量で、好ましくは1.0から1.4当量の量で、特に1.0から1.3当量の量で使用される。
変換は、-20から50℃の温度範囲内、好ましくは-15から30℃の範囲内、特に-10から15℃の範囲内で実行できる。
好ましくは、変換は、大気圧で実行される。
変換は、有機溶媒の存在下又は非存在下で、実行されてよい。
好ましくは、変換は、不活性有機溶媒の存在下で実行される。表現「不活性有機溶媒」は、一般的な反応条件下で、反応に関与する出発物質若しくは試薬、又は結果としての生成物と、いかなる反応も起こさない有機溶媒を一般には意味する。
適切な不活性有機溶媒は、これらに限定されるわけではないが、以下の群を含む。
- S1群:脂肪族及び脂環式炭化水素、特に、5から12個の炭素原子を有する、アルカン及びシクロアルカン、並びにこれらのアルカン及びシクロアルカンの混合物、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル又はシクロヘキサン、
- S2群:芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン又はテトラリン、及びそれらの混合物、
- S3群:脂肪族及び脂環式エーテル、例えば、メチル-tert.-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン又は1,2-ジメトキシエタン、
並びに前述の溶媒の混合物。
より好ましくは、変換は、S2群及びS3群の溶媒、特にTHF、ジエチルエーテル又はトルエンから選択される、不活性有機溶媒中で実行される。
変換が終了した後で、反応混合物は、典型的には、抽出による後処理を受ける。一般には、粗6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールは、高収率で、すなわち、少なくとも90%の収率で、頻繁には少なくとも95%以上の収率で、例えば98%若しくは99%の収率で、得られる。したがって、このようにして得られた粗6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの追加の精製は、通常、必要ない。
一般には、得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールのE/Z-異性体比は、出発物質、例えば、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールのE/Z-異性体比によって決定される。異性化は、本発明の過程の間に、典型的には、観察されないか又はわずかにのみ観察される。例えば、純粋な(6E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール(ゲラニアール)が出発物質として使用される場合、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールは、純粋な(5E)-異性体として、又は(5E)-異性体が大過剰に存在する少なくとも(5E)/(5Z)-異性体混合物として、得られる。
ステップb)
本発明のステップb)は、少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体の存在下、酸化剤で、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを酸化して、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを生成することを含む。
適切な有機ニトロキシルラジカルは、安定な有機ニトロキシルラジカルから、典型的に選択される。
好ましくは、本発明のステップb)において使用される有機ニトロキシルラジカルは、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル化合物、2-アザアダマンタンN-オキシル化合物、(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシル化合物、9-アザノルアダマンタンN-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-N-オキシル、2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-ニトロキシド、ジフェニルニトロキシル、ジ-tert.-ブチルニトロキシル及びそれらの混合物から選択される。
好ましい(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル化合物は、例えば、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)、4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-ヒドロキシTEMPO)、4-アセトアミド-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-アセトアミドTEMPO)又は4-アミノ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-アミノTEMPO)である。
好ましい2-アザアダマンタン-N-オキシル化合物は、例えば、2-アザアダマンタン-N-オキシル(AZADO)、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル(1-メチルAZADO)、5-フルオロ-2-アザアダマンタン-N-オキシル又は1-フルオロ-2-アザアダマンタン-N-オキシルである。
好ましい(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシル化合物は、例えば、(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシル(TMIO)、5-アミノ-(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシル又は5-ニトロ-(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシルである。
より好ましくは、本発明のステップb)において使用される有機ニトロキシルラジカルは、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル化合物及び2-アザアダマンタンN-オキシル化合物、並びにそれらの混合物から選択される。
特に、本発明のステップb)において使用される有機ニトロキシルラジカルは、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル化合物から、特に、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)及び4-ヒドロキシ-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-ヒドロキシTEMPO)から、選択される。
好ましくは、ステップb)において使用される少なくとも1種のニトロキシルラジカルの総量は、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、1から50mol%の範囲内、より好ましくは3から40mol%の範囲内、特に5から30mol%の範囲内である。
典型的には、本発明の方法のステップb)において使用される硝酸化合物は、硝酸塩、例えば、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、遷移金属硝酸塩又は硝酸アンモニウム、及び硝酸(HNO3)、並びにそれらの混合物から選択される。
本発明の目的のために、以上及び以下に言及されている金属硝酸塩は、純粋な金属硝酸塩に関するばかりではなく、それらの水和物形態(複数可)もまた含む。
好ましくは、本発明の方法のステップb)において使用される硝酸化合物は、遷移金属硝酸塩及び硝酸(HNO3)、並びにそれらの混合物から選択される。好ましい遷移金属硝酸塩は、例えば、硝酸鉄(III)又は硝酸銅(II)である。
より好ましくは、本発明の方法のステップb)において使用される硝酸化合物は、硝酸鉄(III)及び硝酸(HNO3)から選択される。
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明の方法のステップb)において使用される硝酸化合物は、硝酸鉄(III)である。
本発明のさらに別の特に好ましい実施形態において、本発明の方法のステップb)において使用される硝酸化合物は、硝酸(HNO3)である。
好ましくは、ステップb)において使用される少なくとも1種の硝酸化合物の総量は、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、1から50mol%の範囲内、より好ましくは3から40mol%の範囲内、特に5から30mol%の範囲内である。
好ましくは、本発明のステップb)において使用される、少なくとも1種のニトロキシルラジカル対少なくとも1種の硝酸化合物のモル比は、1:10から10:1の範囲内、より好ましくは1:5から5:1の範囲内、特に1:2から2:1の範囲内である。
一般には、ステップb)における酸化は、無機固体の存在下で実施される。
好ましくは、無機固体は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム又はハロゲン化アンモニウムから選択される。
さらにより好ましくは、無機固体は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えば、LiF、LiCl、LiBr、LiI、KF、KCl、KBr、KI、NaF、NaCl、NaBr、NaI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr又はCsI、及びアルカリ土類金属ハロゲン化物、例えば、BeF2、BeCl2、MgF2、MgCl2、CaF2、CaCl2、SrF2、SrCl2、BaF2又はBaCl2から選択される。さらにより好ましくは、無機固体は、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物から選択される。特に、無機固体は、LiF、LiCl、KF、KCl、NaF及びNaCl並びにそれらの混合物から選択される。特に、無機固体は、NaCl若しくはLiCl又はそれらの混合物である。
好ましくは、本発明の方法のステップb)における酸化に使用される無機固体は、固体粒子の形態で、例えば、小さい顆粒の形態で適用される。固体粒子の粒径は、あまり重要ではなく、例えば、10μmから5mm、特に50μmから2mm(例えば、光散乱法による測定値D[4.3])の範囲であってよい。
好ましくは、本発明の方法のステップb)において使用される無機固体の総量は、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、0.5から20重量%の範囲内、より好ましくは1から15重量%の範囲内、特に2から10重量%の範囲内である。
好ましくは、本発明のステップb)において使用される、少なくとも1種のニトロキシルラジカル対無機固体のモル比は、1:10から10:1の範囲内、より好ましくは1:5から5:1の範囲内、特に1:2から2:1の範囲内である。
原則的に、有機ニトロキシルラジカル又はそのN-ヒドロキシ形態を、基質アルコールと反応する活性酸化種であると考えられる対応する高求電子性オキソアンモニウム種へとそれぞれ酸化することができるいずれの酸化剤も、本発明の方法のステップb)における酸化剤として使用できる。
適切な酸化剤は、例として、ハロゲン、酸素、塩素のオキシアニオン、臭素のオキシアニオン、ヨウ素のオキシアニオン、ジアルキルペルオキシド、有機及び無機過酸、ペルエステル、ヒドロペルオキシド並びに過酸化水素から選択される。
- 適切なハロゲンは、例として、フッ素又は塩素である。
- 適切な塩素のオキシアニオンは、例として、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩又は過塩素酸塩である。
- 適切な臭素のオキシアニオンは、例として、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩、臭素酸塩又は過臭素酸塩である。
- 適切なヨウ素のオキシアニオンは、例として、次亜ヨウ素酸塩、亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩又は過ヨウ素酸塩である。
- 適切なジアルキルペルオキシドは、例として、ジイソプロピルペルオキシド又はジ(tert.-ブチル)ペルオキシドである。
- 適切な、有機又は無機過酸は、例えば、メタクロロ過安息香酸又は過酢酸、ペルオキソ二硫酸又はペルオキソ一硫酸である。
- 適切なペルエステルは、例として、ペルアセテート、例えば、tert.-ブチルペルアセテート又はtert.-ブチルフェニルペルアセテートである。
- 適切なヒドロペルオキシドは、例として、tert.-ブチルヒドロペルオキシドである。
本発明の目的のために、表現「次亜塩素酸塩」、「亜塩素酸塩」、「塩素酸塩」又は「過塩素酸塩」は、それぞれ、オキシアニオンClO-(次亜塩素酸)、ClO2 -(亜塩素酸)、ClO3 -(塩素酸)又はClO4 -(過塩素酸)を含有するいずれかの塩、例えば、それらのアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩に関する。
本発明の目的のために、表現「次亜臭素酸塩」、「亜臭素酸塩」、「臭素酸塩」又は「過臭素酸塩」は、それぞれ、オキシアニオンBrO-(次亜臭素酸)、ClO2 -(亜臭素酸)、ClO3 -(臭素酸)又はClO4 -(過臭素酸)を含有するいずれかの塩、例えば、それらのアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩に関する。
本発明の目的のために、表現「次亜ヨウ素酸塩」「亜ヨウ素酸塩」、「ヨウ素酸塩」又は「過ヨウ素酸塩」は、それぞれ、オキシアニオンIO-(次亜ヨウ素酸)、IO2 -(亜ヨウ素酸)、IO3 -(ヨウ素酸)またIO4 -/IO6 5-(過ヨウ素酸)を含有するいずれかの塩、例えば、それらのアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩に関する。
好ましくは、本発明のステップb)において使用される酸化剤は、次亜塩素酸塩、過酸化水素及び分子状酸素から、特に、分子状酸素(以下、酸素ともまた呼ばれる)から選択される。
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明のステップb)における酸化反応は、酸素雰囲気下で実施される。
分子状酸素は、酸化反応の開始のとき又は酸化反応の全進行期間を通して、反応系に適用できる。そのため、反応系中の酸素圧力を、大気圧付近で保持してよい、又は大気圧を超える圧力まで、例えば1.1から10バールの範囲内の圧力までに設定してよい。
本発明の好ましい実施形態において、酸素は、酸素気流の形態でステップb)における酸化反応へ導入される。
酸素気流は、反応系のガス空間中又は液体反応混合物中を通すことができる。酸素気流の反応系中への導入は、好ましくは、液体反応混合物と酸素ガスとの間の交換のための大きな領域を作る様式で行われる。
酸素気流は、反応混合物を通して発泡するように、液面下の反応混合物中へ導入されることが好ましい。酸素気流は、所望される任意の適切な器具によって、系の中へ送り込むことができる。これらの器具の中には、例として、ガス供給ランス用のノズルがある。ノズルは、反応器の底部に又は底部の近くに付けることができる。例えば、環状に配列した、複数のノズルを付けることもできる。
反応混合物は、酸素気流の供給の上方の反応器部分中の反応混合物と、酸素気流の供給の下方の反応器部分中の反応混合物との交換をもたらすために、混合されることが好ましい。例として、撹拌器又は循環ポンプが、混合方法にとって適切である。1つの特定の変化形態において、ガス導入撹拌器として知られているものが、酸素気流の導入のため及び反応混合物の混合のために使用される。
概して、本発明の方法のステップb)において使用される酸化剤は、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して過剰に適用される。
より詳細には、ステップb)において使用される酸化剤は、反応混合物中に存在する6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの1molにつき、少なくとも2mol、好ましくは少なくとも3mol、特に少なくとも5molの量で適用され、上記の特定された酸化剤のモル量は、酸素当量として計算される。
本発明の目的のために、用語「酸素当量」は、所与の酸化体によって放出されることができる酸素原子の数に関する。例えば、無機又は有機過酸、並びにH2O2は、1個の酸素原子を放出できる。次亜塩素酸(ClO-)もまた、1個の酸素原子を放出できるが、一方で、亜塩素酸(ClO2 -)は、典型的には、2個の酸素原子を放出できる。
酸化反応は、典型的には、有機溶媒又は有機溶媒混合物の存在下で実行される。
酸化反応は、有機溶媒の存在下で実行されることが好ましく、有機溶媒は、反応条件下で不活性である。好ましい不活性有機溶媒としては、これらに限定されるわけではないが、以下の群が挙げられる。
- S1群:脂肪族及び脂環式炭化水素、特に、5から12個の炭素原子を有する、アルカン及びシクロアルカン、並びにこれらのアルカン及びシクロアルカンの混合物、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、リグロイン、石油エーテル又はシクロヘキサン、
- S2群:芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン又はテトラリン、及びそれらの混合物、
- S3群:脂肪族及び脂環式エーテル、例えば、メチル-tert.-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン又は1,2-ジメトキエタン、
- S4群:ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又はジクロロエタン、及びそれらの混合物、
- S5群:ハロゲン化芳香族炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、2-クロロトルエン、3-クロロトルエン又は4-クロロトルエン、及びそれらの混合物、
並びに前述の溶媒の混合物。
より好ましくは、酸化は、S2群及びS4群の溶媒、特にトルエン又はジクロロメタンから選択される、不活性有機溶媒中で実行される。
典型的には、酸化反応は、0℃から100℃の範囲内、好ましくは5から70℃の範囲内、特に10から50℃の範囲内の温度で実施される。
酸化反応は、典型的には、大気圧で又は減圧若しくは昇圧で実施される。酸化反応は、大気圧又は昇圧で実行されることが好ましい。
酸化反応は、不活性ガスの非存在下又は存在下で起こり得る。不活性ガスという表現は、一般的な反応条件下で、反応に関与する出発物質、試薬、若しくは溶媒、又は生じた生成物と、いかなる反応も起こさないガスを一般には意味する。不活性ガスの例は、N2、CO2並びに貴ガス、例えば、He、Ne、Ar、Kr及びXeである。酸化反応が、不活性ガスの存在下で実施される場合、不活性ガスは、好ましくは、N2又はArから選択される。好ましくは、酸化反応は、特に酸素が酸化剤として使用される場合、不活性ガスの非存在下で実施される。
少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体が、本発明の方法のステップb)における酸化反応において、およそ等しいモル量で適用される場合、それは有益であると分かった。
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル(A)、少なくとも1種の硝酸化合物(B)及び無機固体(C)は、本発明の方法のステップb)における酸化反応において、1:(0.7〜1.3):(0.7〜1.3)、より好ましくは1:(0.8〜1.2):(0.8〜1.2)、特に1:(0.9〜1.1):(0.9〜1.1)のモル比(A:B:C)で適用される。
少なくとも1種のニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体を、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールに加えることがさらに好ましい。
少なくとも1種のニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体は、以下、「触媒混合物」ともまた呼ばれる。
触媒混合物は、酸化反応の開始のとき又は酸化反応の進行期間を通して加えることができる。表現「反応の進行期間」は、酸化反応の開始、すなわち、酸化剤及びステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを一緒にして、反応パラメーターが、酸化反応が起き得るようになるときと、反応の終わり、すなわち、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールが消費される及び/又はさらなる6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンが全く形成されないときとの間の時間間隔に関する。触媒混合物は、反応の進行期間を通して加えられることが好ましい。それによって、活性触媒混合物の定常量が反応混合物中に存在することが達成される。反応の進行期間を通して触媒混合物を加えることは、清潔で急速な変換に関して有益である。
触媒混合物は、1つ以上の小分けで、又は一定の若しくは変化する添加速度で連続して、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールに加えることができる。好ましくは、触媒混合物は、いくつかの小分け、例えば2から20の小分けにして、又は好ましくは一定の添加速度で連続して、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールに加えられる。
全ての6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールが消費されるまで、触媒混合物を、2つ以上に小分けして、例えば確定した量で、規則的な時間間隔、例えば1から5時間毎に、例えば2若しくは3時間毎に、又は一定の添加速度で連続して、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールに加える場合、それは、有益であると分かった。
典型的には、反応時間は、2から12時間の範囲内、しばしば、3から8時間の範囲内である。
酸化反応が終了した後で、反応混合物は、典型的には、濾過されて、無機物質を除去し、抽出による後処理を受ける。そのようにして得られた粗6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンは、次に、例として、クロマトグラフィー精製法、例えばカラムクロマトグラフィーを使用することによって、又は蒸留によって精製される。
6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの精製のための適切な蒸留装置は、例えば蒸留塔、例えば場合によって泡鐘トレイ、シーブプレート、シーブトレイ、パッケージ若しくは充填材を装備したトレイ蒸留塔、又は回転バンド蒸留塔、例えば薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環蒸発器、Sambay蒸発器等、及びそれらの組合せである。
本発明の方法のステップb)における酸化反応は、連続式又はバッチ式のいずれかで起こるように設計できる。バッチ式の酸化は、この目的のために従来使用されてきた反応器具、例えば撹拌反応器中で行うことができ、この反応器は、場合によって、計量装置を装備されている。本発明の方法のステップb)は、連続式で、例えば、管式反応器中で又は連結した少なくとも2つの撹拌反応器中でも実行されてもよく、逆混合であってもなくてもよい。
ステップc)
本発明のステップc)は、ステップb)において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを酸と反応させて、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを生成することを含む。
この反応は、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを環化して、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンを生成すること、並びに1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンの3-ブテノイル基の末端の二重結合を転位して、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを生成することを含む。両方の反応、すなわち、環化反応及び転位反応は同時に進行する。
本発明の方法のステップc)において使用できる適切な酸は、好ましくは、ルイス酸及びブレンステッド酸から選択される。好ましいルイス酸は、例として、BF3、例えば、BF3ジエチルエーテラート、TiCl4、AlCl3、FeCl3、SbCl3、SbCl5、TiCl4、ZnCl2又はZnBr2である。好ましいブレンステッド酸は、例として、無機酸、例えば、H2SO4、ポリリン酸、H3PO4若しくはHClO4、スルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸及びトリフルオロ酢酸から選択される。
より好ましくは、本発明の方法のステップc)において使用される酸は、無機酸から、さらにより好ましくはH2SO4又はH3PO4から、特にH3PO4から選択される。
好ましくは、本発明の方法のステップc)において使用される酸の総量は、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの1molにつき、0.9から5molの範囲内で、より好ましくは1.0から4molの範囲内で、特に1.1から3molの範囲内である。
本発明の方法のステップc)は、好ましくは、ニトロアルカン、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパン又は1-ニトロブタン、及び上に定義されているS1群からS5群の溶媒から選択される不活性有機溶媒、並びにそれらの混合物の存在下で実行される。
本発明の方法のステップc)の反応において使用される不活性有機溶媒は、1013mbarで、少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも80℃の沸点を有することがさらに好ましい。
より好ましくは、本発明の方法のステップc)は、1013mbarで少なくとも80℃の沸点を有する、ニトロアルカン及び上に定義されているS2群及びS5群の溶媒から選択される不活性有機溶媒の存在下で実行される。特に、本発明の方法のステップc)は、ニトロメタン、ベンゼン又はトルエンの存在下で実行される。
典型的には、本発明の方法のステップc)における反応は、20℃から150℃の範囲内、好ましくは40から130℃の範囲内、特に60から110℃の範囲内の温度で実施される。
本発明の方法のステップc)における反応は、大気圧又は減圧若しくは昇圧で、好ましくは大気圧又は昇圧で、特に大気圧で実施されてよい。
本発明の方法のステップc)における反応は、上に定義されている不活性ガスの非存在下又は存在下で起こり得る。反応が、不活性ガスの存在下で実施される場合、不活性ガスは、好ましくはN2又はArから選択される。好ましくは、本発明の方法のステップc)における反応は、不活性ガスの非存在下で実施される。
環化/異性化反応の完了後に、反応混合物は、水及び/又はアルカリ水溶液を加えることによってクエンチされ、抽出による後処理を受ける。このようにして得られた粗1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、次に、蒸留若しくはクロマトグラフィー又は組合せ手段を含む従来の精製手段を受ける。好ましくは、本発明の方法のステップc)において得られた粗1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、クロマトグラフィー精製法、例えば、カラムクロマトグラフィーを使用して、精製される。
1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、上に定義されている、それぞれ、(E/Z,1R/1S)-異性体混合物又は(E,1R/1S)-異性体混合物として、少なくとも80%の純度で、例えば90%の純度で、一般には得ることができる。
原則的に、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンの(1R/1S)-異性体組成物は、出発物質6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの異性体組成物、すなわち、C5とC6との間の二重結合の(E/Z)-比、使用される酸の種類、反応温度及び/又は環化反応のために使用される溶媒によって影響され得る。しかし、出発物質6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの(E/Z)-比は、本発明の方法の環化/異性化反応にとって決定的ではない。
驚くべきことに、ステップc)における環化反応は、典型的には、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンの3-ブテノイル基の末端の二重結合を転位して、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)の2-ブテノイル基(クロトニル基)を生成することを含むことが分かった。非転位環化生成物1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンは、わずかしか観察できなかった。
より詳細には、本発明の方法のステップc)において得られた生成混合物は、生成混合物中の1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-ブタ-3-エン-1-オン及び1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンの総量に対して、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に5重量%未満、例えば4又は2重量%の1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンを含む。
本発明の方法のステップc)における環化/転位反応の後で得られた1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンの2-ブテノイル基の二重結合は、(E)-又は(Z)-配置を有し得る。本発明の方法のステップc)の一般的な反応条件下で、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、(E/Z)-異性体混合物としてしばしば得られ、(E)-異性体は、過剰に、例えば生成混合物中に存在する1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンの(E)-及び(Z)-異性体の総量に対して少なくとも60%又は75%まで存在する。
本発明の方法のステップc)における、環化及びその場での異性化反応は、連続式又はバッチ式でのいずれかで起こるように設計できる。バッチ式の環化及びその場での異性化は、この目的のために従来使用されてきた反応器具、例えば撹拌反応器中で行うことができ、この反応器は、場合によって、計量装置を装備している。本発明の方法のステップc)は、連続式で、例えば、管式反応器中で又は連結した少なくとも2つの撹拌反応器中でも実行されてもよく、逆混合であってもなくてもよい。
異性化ステップ
所望であれば、生成混合物中の1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンの割合は、少量の1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンを含む、本発明のステップc)において得られた1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンに、追加の異性化ステップを受けさせることによって、さらに増加させてもよい。
残留1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-1-オンの1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)への異性化は、塩基又は酸、好ましくは酸を、本発明の方法のステップc)において得られた生成混合物に加えることによって達成できる。
この任意の異性化反応において適用されてよい適切な塩基は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物又はアルカリ金属及びアルカリ土類金属アルコラートから選択される。適切なアルカリ金属及びアルカリ土類金属アルコラートは、例として、カリウムエタノラート、ナトリウムエタノラート、カリウムイソプロパノラート、ナトリウムイソプロパノラート、カリウムtert.-ブタノラート又はナトリウムtert.-ブタノラートである。特に適切な塩基は、カリウムtert.-ブタノラート又はナトリウムtert.-ブタノラートである。
任意の異性化反応において適用できる好ましい酸は、上に定義されているブレンステッド酸から選択される。無機酸は、好ましくは、水溶液の形態で適用される。
異性化反応は、好ましくは、アルカノール、例えば、エタノ−ル、イソプロパノール若しくはtert.-ブタノ−ル、ニトロアルカン、又は上に定義されているS2群及びS5群の溶媒から選択される、有機溶媒の存在下で実施される。
任意の異性化反応は、好ましくは、30から150℃の範囲内、特に50から120℃の範囲内の温度で実施される。
任意の異性化反応の完了後に、反応混合物は、水及び/又は酸性若しくは塩基性水溶液を、それぞれ加えることによってクエンチされ、抽出による後処理を受ける。このようにして得られた粗1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、次に、上に記載されている通り、蒸留若しくはクロマトグラフィー又は組合せ手段を含む従来の精製手段を受ける。
[実施例1]
シトラールからの6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの合成(ステップa)
0℃から5℃の間の温度を維持しながら、乾燥THF(750ml)中のシトラール(100g、0.65mol)の撹拌された溶液に、アリルマグネシウムクロリド(362.6ml、THF中に2M、0.72mol)を、滴下で加えた。アリルマグネシウムクロリドの完全な添加後に、反応混合物を0℃で1時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応の完了後に、混合物を、0〜10℃で飽和塩化アンモニウム溶液(500ml)を加えることによってクエンチした。水性層を酢酸エチル(3X50ml)によって抽出し、組み合わされた有機層を濃縮して、化合物2を127g生成した(99.5%)。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.53 (s, 3H), 1.61 (s, 6H), 1.94-2.07 (m, 4H), 2.18-2.23 (m, 2H), 4.34-4.36 (m, 1H), 5.01-5.14 (m, 4H), 7.72-5.75 (m, 1H).
[実施例2]
TEMPO/硝酸鉄(III)九水和物/NaClを使用する、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの合成(ステップb)
硝酸鉄(III)九水和物(2.0g、5.1mmol、0.1eq)、TEMPO(0.79g、5.1mmol、0.1eq)及び固体NaCl(0.29g、51mmol、0.1eq)を、25℃でトルエン50mlに加えた。この混合物に、実施例1において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オン(10.0g、51mmol、1eq)を25℃で加え、酸素雰囲気下(O2ガスを、反応混合物に、連続して通過させた)、3時間撹拌した。反応は、TLC及びHPLCによってモニターされ、50%の変換を示した。3時間の撹拌後に、追加量の硝酸鉄(III)九水和物(2.0g、5.1mmol、0.1eq)、TEMPO(0.79g、5.1mmol、0.1eq)、NaCl(0.29g、5.1mmol、0.1eq)を、25℃で反応混合物に再び加え、反応混合物を、次に、さらに2時間撹拌した。ほぼ95%の出発物質の消費後に(TLC及びHPLCに基づく)、反応混合物を、トルエン(20ml)を加えることによって希釈した。反応混合物を濾過して、無機物質を除去し、濾過物を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(150ml)、1N HCl(150ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150ml)、ブライン(150ml)によって洗浄した。組み合わされた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、カラムクロマトグラフィーによって精製された粗化合物13.0gを生成した。精製された化合物の収率は、出発物質に対して72%であった。その他のバッチについては、粗化合物を蒸留によって精製した。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) (EとZの異性体混合物) δ 1.63 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.9 (s, 1H), 2.07-2.09 (m,4H), 2.50-2.55 (m, 0.5H), 3.09-3.14 (m,1.5H), 5.0-5.23 (m, 3H), 5.84-5.93 (m, 1H), 6.01 (bs, 1H).
[実施例3]
4-OH TEMPO/硝酸鉄(III)九水和物/NaClを使用する、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの合成(ステップb)
硝酸鉄(III)九水和物(13.3g、32.9mmol、0.1eq)、4-ヒドロキシTEMPO(5.7g、32.9mmol、0.1eq)及び固体NaCl(1.9g、32.9mmol、0.1eq)を、25℃でトルエン350.0mlに加えた。この混合物に、実施例1において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オール(64.0g、329.8mmol、1eq)を加え、酸素雰囲気下(O2ガスを、反応混合物に、連続して通過させた)、45℃で3時間撹拌した。反応は、TLC及びHPLCによってモニターされ、50%の変換を示した。3時間の撹拌後に、追加量の硝酸鉄(III)九水和物(13.3g、32.9mmol、0.1eq)、4-ヒドロキシTEMPO(5.7g、32.9mmol、0.1eq)及びNaCl(1.9g、32.9mmol、0.1eq)を、45℃で反応混合物に再び加え、反応混合物を、次に、さらに2時間撹拌した。ほぼ95%の出発物質の消費後に(TLC及びHPLCに基づく)、反応混合物を、トルエン(100.0ml)を加えることによって希釈した。反応混合物を濾過して、無機物質を除去し、濾過物を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(250.0ml)、1N HCl(250.0ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(300.0ml)、ブライン(250.0ml)によって洗浄した。組み合わされた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、粗化合物61.0gを生成し、80℃/1.8mbarでの真空蒸留によって精製して、生成物30.0g(収率:50%)を得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) (EとZの異性体混合物) δ 1.63 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.9 (s, 1H), 2.07-2.09 (m,4H), 2.50-2.55 (m, 0.5H), 3.09-3.14 (m,1.5H), 5.0-5.23 (m, 3H), 5.84-5.93 (m, 1H), 6.01 (bs, 1H).
[実施例4]
TEMPO/硝酸鉄(III)九水和物/LiClを使用する、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの合成(ステップb)
実施例2の方法を、NaClの代わりにLiClの同じモル量を使用して繰り返した。出発物質の変換は、90%であった。カラムクロマトグラフィーによる精製の後で、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを、70%の収率で得た。
[実施例5]
TEMPO/硝酸鉄(III)九水和物/KClを使用する、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの合成(ステップb)
実施例2の方法を、NaClの代わりにKClの同じモル量を使用して繰り返した。出発物質の変換は、50%であった。カラムクロマトグラフィーによる精製の後で、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを、35%の収率で得た。
[実施例6]
HNO3/4-OH TEMPOを使用する、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの合成(ステップb)
硝酸(70%)(0.22g、2.57mmol、0.1eq)、4-ヒドロキシTEMPO(0.44g、2.57mmol、0.1eq)及び固体NaCl(0.15g、2.57mmol、0.1eq)を、20℃で、ジクロロメタン25.0mlに加えた。この混合物に、実施例1において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オール(5.0g、25.7mmol、1eq)を加え、酸素雰囲気下(O2ガスを、反応混合物に、連続して通過させた)、20℃で3時間撹拌した。反応は、TLC及びHPLCによってモニターされ、50%の変換を示した。3時間の撹拌後に、追加量の硝酸(70%)(0.22g、2.57mmol、0.1eq)、4-ヒドロキシTEMPO(0.44g、2.57mmol、0.1eq)及びNaCl(0.15g、2.57mmol、0.1eq)を、20℃で反応混合物に再び加え、反応混合物を、次に、さらに2時間撹拌した。ほぼ95%の出発物質の消費後に(TLC及びHPLCに基づく)、反応混合物を、トルエン(20.0ml)を加えることによって希釈した。反応混合物を濾過して、無機物質を除去し、濾過物を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(100.0ml)、1N HCl(100.0ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150.0ml)、ブライン(100.0ml)によって洗浄した。組み合わされた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、粗化合物5.0gを生成し、80℃/1.8mbarでの真空蒸留によって精製して、生成物3.0g(収率:60%)を得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) (EとZの異性体混合物) δ 1.63 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.9 (s, 1H), 2.07-2.09 (m,4H), 2.50-2.55 (m, 0.5H), 3.09-3.14 (m,1.5H), 5.0-5.23 (m, 3H), 5.84-5.93 (m, 1H), 6.01 (bs, 1H).
[実施例7]
1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(α-ダマスコン)の合成(ステップc)
トルエン(20ml)中の1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン(2g、10.4mmol)の溶液に、室温で、リン酸(1.52、15mmol)を加え、混合物を、次に、3時間、80℃まで加熱した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、次に、水(20ml)を加えることによってクエンチした。水性層を酢酸エチル(2x20ml)によって抽出し、組み合わされた有機層を、収集し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、45%の収率で所望のα-ダマスコン0.9gを得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.83 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 1.15-1.36 (m, 1H), 1.60 (brs, 3H), 1.64-1.78 (m, 1H), 1.92 (brd, 3H), 2.0-2.25 (m, 2H), 2.90 (s, 1H), 5.55-5.56 (bs, 1H), 6.25 (br d,1H), 6.80-6.86 (m, 1H).

Claims (15)

1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを調製する方法であって、
a)6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを用意すること、
b)少なくとも1種の有機ニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物、及びアルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物から選択される無機固体の存在下、次亜塩素酸塩、過酸化水素又は分子状酸素から選択される酸化剤で、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールを酸化して、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを生成すること、
c)ステップb)において得られた6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンを、無機酸から選択される酸と反応させて、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンを生成すること
を含む、方法。
ステップb)において使用される少なくとも1種のニトロキシルラジカルの総量が、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、1から50mol%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
ステップb)において使用されるニトロキシルラジカルが、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル化合物、2-アザアダマンタン-N-オキシル化合物、(1,1,3,3-テトラメチルイソインドリン-2-イル)オキシル化合物、9-アザノルアダマンタンN-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-ニトロキシド、ジフェニルニトロキシル、ジ-tert.-ブチルニトロキシル又はそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
ステップb)において使用される硝酸化合物が、遷移金属硝酸塩、硝酸(HNO3)又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される硝酸化合物が、Fe(NO3)3 又は硝酸(HNO3)から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される少なくとも1種の硝酸化合物の総量が、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、1から50mol%の範囲内である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される少なくとも1種のニトロキシルラジカル対少なくとも1種の硝酸化合物のモル比が、1:10から10:1の範囲内である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される無機固体が、LiF、LiCl、KF、KCl、NaF、NaCl又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される無機固体の総量が、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、0.5から20重量%の範囲内である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される酸化剤が、分子状酸素である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
ステップb)において使用される酸化剤が、反応混合物中の6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールの量に対して、過剰に存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
ステップc)において使用される酸が、硫酸又はリン酸から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
ステップc)において使用される酸の総量が、6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オンの1molにつき、0.9から5molの範囲内である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1種のニトロキシルラジカル、少なくとも1種の硝酸化合物及び無機固体が、ステップa)において用意された6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールに加えられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
6,10-ジメチルウンデカ-1,5,9-トリエン-4-オールが、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナールをアリルマグネシウム化合物と反応させることによって用意される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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