(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図7を参照として説明する。図1は、本実施形態のブーム伸縮状態設定装置10が用いられるシステム1の一例を示す図である。図1に示すように、システム1は、建設機械であるクレーン2を備える。クレーン2は、処理部であるコントローラ(プロセッサ)3と、記憶媒体(記憶部)5と、を備える。コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application specific integrated circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を備える集積回路等であり、1つの集積回路から形成されてもよく、複数の集積回路から形成されてもよい。コントローラ3は、記憶媒体5に記憶される情報を読取るとともに、演算処理、クレーン2の制御等を行う。
図2は、クレーン2の構成の一例を示す図である。図2に示すように、クレーン2は、車体11と、車体11上に設けられる旋回体12と、を備える。車体11には、前方部位の左右両側及び後方部位の左右両側にアウトリガ13が設けられる。二対のアウトリガ13は、周知の構成である。作業時においては、アウトリガ13を車体11の幅方向に張出すとともに、アウトリガ13を地盤に接地させることにより、車体11を支える。旋回体12は、運転室(キャブ)15を備える。また、旋回体12には、伸縮ブーム17の基端部が連結される。伸縮ブーム17には、ブーム起伏シリンダー(図示しない)の一端が連結され、ブーム起伏シリンダーの他端は、旋回体12に連結される。コントローラ3の制御によってブーム起伏シリンダーが伸縮することにより、伸縮ブーム17が旋回体12に対して起伏(起状又は伏状)する。また、伸縮ブーム17は、旋回体12と一緒に旋回する。
旋回体12には、ウインチ(図示しない)が設けられ、ウインチには、ロープ22が巻回される。伸縮ブーム17を旋回体12に対して起状した状態では、ロープ22は、ウインチから伸縮ブーム17に沿って延出され、ロープ22の延出端には、フック23が接続される。そして、吊具であるフック23は、伸縮ブーム17の先端部からロープ22を介して吊下げられる。フック23には、吊荷(例えば図2の27)が引掛け可能である。フック23に吊荷を引掛けた状態において、コントローラ3の制御によってウインチが作動されることにより、吊荷を地面からの吊上げること、及び、吊荷を地面に下ろすことが行われる。また、旋回体12上には、カウンタウエイト25が配置される。カウンタウエイト25によって、伸縮ブーム17を起状した状態でのクレーン2の重心バランスが調整される。
図1及び図2に示すように、伸縮ブーム17は、旋回体12に取付けられるベースブーム部材31と、ベースブーム部材31に対して伸縮ブーム17の長手方向に移動可能な複数(本実施形態では4つ)の可動ブーム部材32A〜32Dと、を備える。可動ブーム部材32A、32B、32C、32Dは、ベースブーム部材31に近い側からこの順で、配置される。そして、可動ブーム部材32Dによって、伸縮ブーム17の先端が形成される。また、伸縮ブーム17の内部には、ブーム伸縮シリンダー33が設けられる。コントローラ3の制御によってブーム伸縮シリンダー33を伸縮することにより、可動ブーム部材32A〜32Dの1つが、長手方向に移動し、伸縮する。前述のような構成であるため、伸縮ブーム17は、複数段(本実施形態では4段)の伸縮ブームとなる。
ここで、全ての可動ブーム部材32A〜32Dの伸長率が0%(最収縮)の状態(図3Aの伸縮パターンNo.1)から、可動ブーム部材32Aの伸長率が100%(最伸長)、かつ、可動ブーム部材32Bの伸長率が50%の目標状態(図3Aの伸縮パターンNo.8)まで可動ブーム部材32A,32Bを伸長することを考える。全ての可動ブーム部材32A〜32Dの伸長率が0%の状態では、ブーム伸縮シリンダー33は、ベースブーム部材31及び可動ブーム部材32Dに連結される。このため、伸縮ブーム17の伸縮状態を目標状態にする際には、まず、ブーム伸縮シリンダー33と可動ブーム部材32Dとの連結を解除し、可動ブーム部材32Bと連結可能な位置までブーム伸縮シリンダー33を収縮する。そして、ブーム伸縮シリンダー33と可動ブーム部材32Bとを連結し、可動ブーム部材32Bの伸長率が50%の状態になるまでブーム伸縮シリンダー33を伸長する。そして、ブーム伸縮シリンダー33と可動ブーム部材32Bとの連結を解除し、可動ブーム部材32Aと連結可能な位置までブーム伸縮シリンダー33を収縮する。そして、ブーム伸縮シリンダー33と可動ブーム部材32Aとを連結し、可動ブーム部材32Aの伸長率が100%の状態になるまでブーム伸縮シリンダー33を伸長する。この場合、目標状態に到達するまでのブーム伸縮シリンダー33の伸縮における移動量には、可動ブーム部材32Aと連結可能な位置までの収縮、及び、可動ブーム部材32Bと連結可能な位置までの収縮のそれぞれにおけるブーム伸縮シリンダー33の移動量が含まれる。
図1に示すように、クレーン2は、表示部35、入力部36、状態検出部37及び送受信部38を備える。表示部35は、例えば運転室15に設けられるモニタ等であり、クレーン2に関する情報が表示される。入力部36は、運転室15に設けられるボタン、レバー又はタッチパネル等であり、クレーン2に関する操作が入力される。なお、入力部36がタッチパネルである場合は、表示部35が入力部36として併用されてもよい。状態検出部37は、例えば、センサ及び演算回路等から形成され、現在のクレーン2の状態を検出する。状態検出部37での検出結果は、コントローラ3に伝達される。状態検出部37は、例えば、アウトリガ13の張出し幅を含むアウトリガ13の張出し状態、カウンタウエイト25の重量、及び、伸縮ブーム17の伸縮状態を検出する。送受信部38は、例えば送受信回路を備える。
また、本実施形態のシステム1では、クレーン(建設機械)2とは別体の携帯端末としてブーム伸縮状態設定装置10が設けられる。この場合、ブーム伸縮状態設定装置10として、タブレット、スマートフォン又はノートパソコン等が用いられる。ブーム伸縮状態設定装置10は、処理部(プロセッサ)41と、記憶媒体(記憶部)42と、を備える。処理部41は、CPU、ASIC又はFPGA等を備える集積回路等であり、1つの集積回路から形成されてもよく、複数の集積回路から形成されてもよい。処理部41は、記憶媒体42に記憶される情報を読取るとともに、演算処理、ブーム伸縮状態設定装置10の制御等を行う。記憶媒体42には、クレーン2において作業に用いることが可能な伸縮ブーム17の複数の伸縮パターンが記憶される。複数の伸縮パターンでは、可動ブーム部材32A〜32Dの少なくとも1つの伸縮状態(伸長率)が互いに対して異なる。例えば、図3A及び図3Bに示す吊荷の吊上げ性能を有するあるクレーン2では、伸縮パターンNo.2と伸縮パターンNo.3において、伸縮ブーム18の長さであるブーム長が互いに対して同一になるが、可動ブーム部材32B,32Dの伸長率が互いに対して異なる。なお、伸縮パターンNo.とは、伸縮パターンのそれぞれの固有番号である。
記憶媒体42には、伸縮ブーム17での吊荷の吊上げ性能を示す図3A及び図3B等の表に対応するデータが、記憶される。伸縮ブーム17の吊上げ性能は、アウトリガ13の張出し状態(張出し幅)、カウンタウエイト25の重量、伸縮ブーム17の伸縮状態(伸縮パターン)及び作業半径に対応して、変化する。図3A及び図3Bは、アウトリガ13の張出し幅が9.2m、かつ、カウンタウエイト25の重量が100tの場合の吊上げ性能を、伸縮パターンのそれぞれについて作業半径ごとに示す。例えば、図3A及び図3Bの条件では、可動ブーム部材32A〜32Cの伸長率が0%で、かつ、可動ブーム部材32Dの伸長率が100%の伸縮パターンNo.7において、4m以上かつ20m以下の作業半径の範囲でのみ機能させることが可能である。すなわち、伸縮パターンNo.7では、4m以上かつ20m以下の作業半径の範囲でのみクレーン2で作業可能である。そして、伸縮パターンNo.7では、作業半径20mにおいて、フック23等の吊具及び吊荷を含めて26.5t以下の総重量に対して吊上げ性能を有する。すなわち、図3A及び図3Bの条件では、伸縮パターンNo.7で、かつ、作業半径20mにおいて、吊具及び吊荷を含めて26.5t以下の総重量を吊上げ可能であり、定格総荷重が26.5tとなる。また、伸縮パターンNo.7では、作業半径18mにおいて、吊具及び吊荷を含めて29.5t以下の総重量に対して吊上げ性能を有する。
なお、記憶媒体42には、アウトリガ13の張出し状態(張出し幅)及びカウンタウエイトの重量の少なくとも一方が図3A及び図3Bの条件とは異なる場合の伸縮ブーム17での吊荷の吊上げ性能を示すデータも、記憶される。また、伸縮ブーム17の先端部にジブ(図示しない)が取付け可能な場合は、ジブが取付けられた状態での伸縮ブーム17での吊荷の吊上げ性能を示すデータが、記憶媒体42に記憶されてもよい。処理部41は、吊上げ性能を示すデータ及びフック23の重量に基づいて、それぞれの条件について、吊上げ可能な吊荷のみの重量の最大値である定格荷重を算出可能である。例えば、アウトリガ13の張出し幅が9.2m、カウンタウエイト25の重量が100t、伸縮パターンNo.7、作業半径20mの条件では、フック23の重量を1.35tとすると、定格荷重は25.15tとなる。
ブーム伸縮状態設定装置10は、送受信部43、入力部45及び表示部46を備える。送受信部43は、例えば送受信回路を備え、クレーン2の送受信部38と有線又は無線により通信可能である。クレーン2から送受信部43へは、アウトリガ13の張出し状態(張出し幅)、カウンタウエイト25の重量、及び、伸縮ブーム17の伸縮状態(伸縮パターン)を含む現在のクレーン2の状態、及び、フック23に関する情報等が伝達される。処理部41は、送受信部43がクレーン2から受信した情報に基づいて、演算処理、制御等を行う。入力部45では、クレーン2での作業条件を示す入力値が入力される。処理部41は、クレーン2から受信したクレーン2の現在の状態等に基づいて、記憶媒体42に記憶された伸縮ブーム17の伸縮パターンの中から作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。そして、処理部41は、選択肢として抽出された伸縮パターンを表示部46に表示する。本実施形態では、例えば、携帯端末に設けられるタッチパネル48が、入力部45及び表示部46として併用される。なお、処理部41による伸縮パターンの抽出処理については、後述する。
図4乃至図6は、入力部45及び表示部46として併用されるタッチパネル48での表示の一例を示す図である。図4乃至図6に示すように、タッチパネル48では、領域A1に作業条件の入力値が入力される。本実施形態では、ブーム長の下限値、ブーム長の上限値、作業半径の下限値、及び、吊荷の重量に関連する重量情報の少なくとも1つが入力値として入力される。本実施形態では、吊荷の重量に関連する重量情報として、吊荷及びフック(吊具)23の総重量が、入力される。また、領域A1では、作業条件の入力値として作業半径の下限値が入力された場合に限り、作業半径の上限値を入力可能となる。
また、タッチパネル48では、作業条件の入力値に基づいて処理部41によって抽出された伸縮パターンが、領域A2にリストとして表示される。また、タッチパネル48には、領域A2に表示された伸縮パターンのリストをスクロール操作するスクロール操作部(操作ボタン)51が、設けられる。処理部41は、領域A2において、表示される伸縮パターンの選択肢の中から作業者によって選択中の伸縮パターン、すなわち作業に用いる予定の伸縮パターンを、領域A2に表示される他の伸縮パターンとは異なる色でハイライト表示する。図4乃至図6のそれぞれでは、選択中の伸縮パターンのハイライト表示は、斜線のハッチングで示す。また、タッチパネルの領域A3には、選択中の伸縮パターンでの可動ブーム部材32A〜32Dのそれぞれの伸長率が表示される。
領域A2では、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、項目B1〜B5が表示される。項目B1としては、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、前述した固有番号である伸縮パターンNo.が表示される。項目B2としては、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、ブーム長が表示される。項目B3としては、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業半径に関する情報が、表示される。本実施形態では、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす範囲において作業可能な作業半径の最大値が、表示される。
項目B4としては、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、吊荷の重量に関する重量情報が、表示される。本実施形態では、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす範囲において作業可能な吊荷及びフック23の総重量の最大値が、表示される。そして、本実施形態では、所定の条件を満たす範囲において吊上げ可能な総重量の最大値が、所定の条件を満たす範囲において作業可能な総重量の最大値として、表示される。項目B5としては、抽出された伸縮パターンのそれぞれまでの現在のクレーンの状態からの到達時間、すなわち抽出された伸縮パターンのそれぞれについて現在の伸縮パターンからの所要時間が表示される。到達時間は、処理部41によって、実測値又は計算値が検出される。ここで、処理部41は、ブーム伸縮シリンダー33の伸縮に要する時間のみでなく、ブーム伸縮シリンダー33と可動ブーム部材32A〜32Dとの連結及び連結解除に要する時間等も到達時間に含めて、到達時間を検出する。なお、ある実施例では、項目B5として、抽出された伸縮パターンのそれぞれに到達するまでの現在のクレーン2の状態からのブーム伸縮シリンダー33の伸縮における移動量が、前述の到達時間の代わりに又は到達時間に加えて表示されてもよい。ここで、前述したように、ブーム伸縮シリンダー33の伸縮における移動量には、可動ブーム部材32A〜32Dのいずれかを伸縮させる際の移動量に加え、可動ブーム部材32A〜32Dのいずれかと連結可能な位置までブーム伸縮シリンダー33を伸縮させる際の移動量も、含まれる。
図7は、処理部(プロセッサ)41によって行われる処理を示すフローチャートである。図7に示すように、S101において処理部41は、送受信部43がクレーン2から受信した現在のクレーン2の状態を取得する。現在のクレーン2の状態には、アウトリガ13の張出し状態(張出し幅)、カウンタウエイト25の重量、及び、伸縮ブーム17の伸縮状態(伸縮パターン)が含まれる。この際、フック23に関する情報等も取得する。そして、S102において処理部41は、記憶媒体42から全ての伸縮パターンを抽出する。
そして、S103において処理部41は、作業条件の入力値としてブーム長の下限値及び上限値の少なくとも一方が入力部45で入力されたか否かを判断する。ブーム長の下限値及び上限値の少なくとも一方が入力されたと判断した場合は(S103−Yes)、S104において処理部41は、作業条件の入力値に基づいてブーム長の範囲を設定し、伸縮パターンの中からブーム長が設定された範囲になる伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、ブーム長の下限値のみが入力された場合は、ブーム長が下限値以上になる伸縮パターンのみが抽出され、ブーム長の上限値のみが入力された場合は、ブーム長が上限値以下になる伸縮パターンのみが抽出される。そして、ブーム長の下限値及び上限値の両方が入力された場合は、ブーム長が下限値以上かつ上限値以下になる伸縮パターンのみが抽出される。S104の処理が行われると、処理は、S105に進む。また、S103においてブーム長の下限値及び上限値の両方が入力されていないと判断した場合は(S103−No)、処理は、S105に進む。
S105において処理部41は、作業条件の入力値として作業半径の下限値が入力されたか否かを判断する。作業半径の下限値が入力されていないと判断した場合は(S105−No)、処理は、S106に進む。そして、S106において処理部41は、作業条件の入力値として吊荷の重量に関する重量情報が入力されたか否かを判断する。重量情報が入力されたと判断した場合は(S106−Yes)、処理部41は、入力された重量情報に基づく所定の条件を設定する。そして、S107において処理部41は、アウトリガ13の張出し状態及びカウンタウエイト25の重量を含む現在のクレーン2の状態に基づいて、全ての伸縮パターン又はS104でブーム長に基づいて抽出された伸縮パターンの中から設定された所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、いずれかの作業半径において入力された重量情報に対応する重量で作業可能な伸縮パターンのみが、抽出される。本実施形態では、いずれかの作業半径において重量情報に対応する重量に対して吊上げ性能を有する伸縮パターンのみが、抽出され、具体的には、いずれかの作業半径おいて入力された重量と同一の大きさになる吊荷及びフックの総重量を吊上げ可能な伸縮パターンのみが、抽出される。すなわち、いずれかの作業半径において定格総荷重が入力された重量以上になる伸縮パターンのみが、抽出される。なお、本実施形態では、重量情報として入力された総重量が、重量情報に対応する重量として用いられる。S107の処理が行われると、処理は、S115に進む。また、S106において重量情報が入力されていないと判断した場合は(S106−No)、処理は、S115に進む。
S105において作業半径の下限値が入力されたと判断した場合は(S105−Yes)、S108において処理部41は、作業条件の入力値として作業半径の上限値が入力されたか否かを判断する。作業半径の上限値が入力されていないと判断した場合は(S108−No)、処理部41は、入力された作業半径の下限値に基づく所定の条件を設定する。そして、S109において処理部41は、アウトリガ13の張出し状態及びカウンタウエイト25の重量を含む現在のクレーン2の状態に基づいて、全ての伸縮パターン又はS104でブーム長に基づいて抽出された伸縮パターンの中から設定された所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、入力された作業半径の下限値で機能することが可能な伸縮パターンのみが、抽出される。すなわち、入力された作業半径の下限値においてクレーン2で作業可能な伸縮パターンのみが、抽出される。
S109の処理が行われると、S110において処理部41は、作業条件の入力値として吊荷の重量に関する重量情報が入力されたか否かを判断する。重量情報が入力されたと判断した場合は(S110−Yes)、処理部41は、入力された作業半径の下限値及び重量情報に基づく所定の条件を設定する。そして、S111において処理部41は、現在のクレーン2の状態に基づいて、S109で作業半径の下限値に基づいて抽出された伸縮パターンの中から設定された所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、入力された作業半径の下限値において入力された重量情報に対応する重量で作業可能な伸縮パターンのみが、抽出される。本実施形態では、作業半径の下限値において重量情報に対応する重量に対して吊上げ性能を有する伸縮パターンのみが、抽出され、具体的には、入力された重量と同一の大きさになるフック23及び吊荷の総重量を入力された作業半径の下限値において吊上げ可能な伸縮パターンのみが、抽出される。すなわち、入力された作業半径の下限値において定格総荷重が入力された重量以上になる伸縮パターンのみが、抽出される。S111の処理が行われると、処理は、S115に進む。また、S110において重量情報が入力されていないと判断した場合は(S110−No)、処理は、S115に進む。
S108において作業半径の上限値が入力されたと判断した場合は(S108−Yes)、処理部41は、入力された作業半径の下限値及び上限値の両方に基づく所定の条件を設定する。そして、S112において処理部41は、現在のクレーン2の状態に基づいて、全ての伸縮パターン又はS104でブーム長に基づいて抽出された伸縮パターンの中から設定された所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径で機能することが可能な伸縮パターンのみが、抽出される。すなわち、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径においてクレーン2で作業可能な伸縮パターンのみが、抽出される。
S112の処理が行われると、S113において処理部41は、作業条件の入力値として吊荷の重量に関する重量情報が入力されたか否かを判断する。重量情報が入力されたと判断した場合は(S113−Yes)、処理部41は、入力された作業半径の下限値、上限値及び重量情報に基づく所定の条件を設定する。そして、S114において処理部41は、現在のクレーン2の状態に基づいて、S112で作業半径の下限値及び上限値に基づいて抽出された伸縮パターンの中から設定された所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。この際、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において入力された重量情報に対応する重量で作業可能な伸縮パターンのみが、抽出される。本実施形態では、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において重量情報に対応する重量に対して吊上げ性能を有する伸縮パターンのみが、抽出され、具体的には、入力された重量と同一の大きさになるフック23及び吊荷の総重量を下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において吊上げ可能な伸縮パターンのみが、抽出される。すなわち、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において定格総荷重が入力された重量以上になる伸縮パターンのみが、抽出される。S114の処理が行われると、処理は、S115に進む。また、S113において重量情報が入力されていないと判断した場合は(S113−No)、処理は、S115に進む。
S115において処理部41は、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、前述の項目B1〜B5を算出及び検出する。ここで、作業半径の上限値及び重量情報のいずれもが入力されていない場合は(S106−No;S110−No)、アウトリガ13の張出し状態及びカウンタウエイト25の重量等の現在のクレーン2の状態に基づいて、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業可能な作業半径の最大値が、項目B3として検出される。また、作業半径の上限値が入力されず、かつ、重量情報が入力された場合は(S106−Yes;S110−Yes)、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、入力された重量情報に対応する重量で作業可能な作業半径の最大値が、項目B3として検出される。この場合、本実施形態では、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、重量情報に対応する重量を吊上げ可能な作業半径の最大値が、項目B3として検出される。そして、作業半径の上限値が入力された場合は(S108−Yes)、入力された作業半径の上限値が、項目B3として検出される。
また、S115では、作業半径の下限値が入力されていない場合は(S105−No)、現在のクレーン2の状態に基づいて、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値が、項目B4として検出される。この場合、本実施形態では、伸縮パターンのそれぞれについて、吊上げ可能な総重量の最大値が、項目B4として検出される。また、作業半径の下限値が入力され、かつ、作業半径の上限値が入力されていない場合は(S108−No)、入力された下限値以上の作業半径の範囲内において作業可能な総重量の最大値が、項目B4として検出される。この場合、本実施形態では、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、下限値以上の作業半径の範囲内において吊上げ可能な総重量の最大値が、項目B4として検出される。そして、作業半径の下限値及び上限値の両方が入力された場合は(S108−Yes)、下限値以上かつ上限値以下の作業半径の範囲内の全ての作業半径において作業可能な総重量の最大値が、項目B4として検出される。この場合、本実施形態では、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、下限値以上かつ上限値以下の作業半径の範囲内の全ての作業半径において吊上げ可能な総重量の最大値が、項目B4として検出される。
S115の処理が行われると、S116において処理部41は、選択肢として抽出された伸縮パターン、及び、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて検出された項目B1〜B5を、タッチパネル48(表示部46)に表示する。そして、S117において処理部41は、作業条件が変更されたか否か、すなわち作業条件の入力値の少なくとも1つが変更されたか否かを判断する。作業条件が変更されたと判断した場合は(S117−Yes)、処理は、S102に戻る。そして、処理部41は、S102以降の処理を、順次行う。作業条件が変更されていないと判断した場合は(S117−No)、S118において処理部41は、抽出された伸縮パターンの選択肢の中から作業に用いる予定の伸縮パターンを選択する操作が作業者等によって入力されたか否かを、判断する。選択操作が入力されていないと判断した場合は(S118−No)、処理は、S117に戻る。そして、処理部41は、S117以降の処理を順次行う。
S118において選択操作が入力されたと判断した場合は(S118−Yes)、S119において処理部41は、選択された伸縮ブーム17の伸縮パターンをクレーン2に出力する。この際、送受信部43を介して選択された伸縮パターンが、クレーン2の送受信部38に送信される。クレーン2のコントローラ3は、選択された伸縮パターンになる状態に、ブーム伸縮シリンダー33等の作動を制御し、伸縮ブーム17を伸縮させる。この際、処理部41は、前述のように、選択中の伸縮パターンをハイライト表示するとともに、選択中の伸縮パターンでの可動ブーム部材32A〜32Dのそれぞれの伸長率を表示する。
前述のような処理を処理部41が行うため、図4の一例のように作業条件のいずれの入力値も領域A1に入力されていない状態では、S102、S103、S105、S106の処理が順次に行われる。これにより、S115、S116の処理によって、記憶媒体42に記憶された全ての伸縮パターンが、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出され、領域A2に表示される。図4の一例では、作業半径の上限値及び重量情報のいずれもが入力されていないため、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業可能な作業半径の最大値、すなわち機能させることが可能な作業半径の最大値が、項目B3として表示される。例えば、伸縮パターンNo.3の項目B3として、現在のクレーン2の状態(図4の一例ではアウトリガ13の張出し幅が9.2m、かつ、カウンタウエイト25の重量が100t)において作業可能な作業半径の最大値である16mが、表示される。
また、図4の一例では、作業半径の下限値が入力されていないため、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値が、項目B4として表示される。例えば、伸縮パターンNo.3の項目B4として、現在のクレーン2の状態において作業可能な(本実施形態では吊上げ可能な)総重量の最大値である150tが、表示される。また、作業条件のいずれの入力値も領域A1に入力されていない状態では、例えば、伸縮パターンNo.が小さい順に、領域A2に伸縮パターンが表示される。なお、図4の一例では、伸縮パターンNo.3が、選択中の伸縮パターンであり、ハイライト表示される。
図5に示す一例では、作業条件の入力値として領域A1に、ブーム長の下限値40.9m、作業半径の下限値20m、及び、重量情報としてフック23及び吊荷の総重量21tが入力される。この場合、S102、S103、S104の処理が順次に行われ、ブーム長が40.9m以上の伸長パターンNo.19〜No.24が、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出される。そして、S108、S109の順次に処理が行われる。ここで、伸長パターンNo.19〜No.24の全ては、現在のクレーン2の状態(図5の一例ではアウトリガ13の張出し幅が9.2m、かつ、カウンタウエイト25の重量が100t)において下限値として入力された作業半径20mで作業可能である。このため、S109では、伸長パターンNo.19〜No.24の全てが、選択肢として抽出される。そして、S110、S111の処理が順次に行われる。ここで、伸長パターンNo.19〜No.24の全ては、下限値として入力された作業半径20mにおいて重量情報として入力された総重量21tで作業可能である。すなわち、伸長パターンNo.19〜No.24の全ては、下限値である作業半径20mにおいて総重量21tを吊上げ可能である。このため、S111では、伸長パターンNo.19〜No.24の全てが、選択肢として抽出される。
図5の一例では、作業半径の上限値が入力されず、かつ、重量情報が入力されているため、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、重量情報として入力された総重量で作業可能な作業半径の最大値、本実施形態では入力された総重量を吊上げ可能な作業半径の最大値が、項目B3として検出される。例えば、伸縮パターンNo.24の項目B3として、現在のクレーン2の状態において重量情報として入力された総重量21tを吊上げ可能な作業半径の最大値である34mが、表示される。また、図5の一例では、作業半径の下限値が入力され、作業半径の上限値が入力されていないため、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、下限値以上の作業半径の範囲内において作業可能な(本実施形態では吊上げ可能な)フック23及び吊荷の総重量の最大値が、項目B4として表示される。例えば、伸縮パターンNo.24の項目B4として、現在のクレーン2の状態において下限値20m以上の作業半径の範囲内で吊上げ可能な総重量の最大値である40.5tが、表示される。なお、伸縮パターンNo.24の項目B4として表示される40.5tは、項目B3として表示される作業半径34mにおいて吊上げ可能な総重量の最大値ではなく、下限値20m以上の作業半径の範囲内の作業半径20mにおいて吊上げ可能な総重量の最大値である。
また、作業条件の入力値が入力された場合は、処理部41は、抽出された伸縮パターンの中で項目B2〜B5のそれぞれの値が最良の伸縮パターンを、優先度の高い伸縮パターンとして設定する。そして、処理部41は、領域A2において、優先度の高い順に伸縮パターンを表示する。例えば、図5の一例では、抽出された伸縮パターンにおいて、項目B2の値が最良(ブーム長が最大)の伸縮パターンNo.24、項目B3の値が最良(作業半径に関する値が最大)の伸縮パターンNo.20、項目B4の値が最良(重量情報に関する値が最大)の伸縮パターンNo.19、及び、項目B5の値が最良(到達時間又はブーム伸縮シリンダー33の移動量が最小)の伸縮パターンNo.21が、他の抽出された伸縮パターンに比べ優先度が高く設定される。そして、優先度が高く設定された伸縮パターンNo.24、No.20、No.19、No.21は、領域A2において他の伸縮パターンより上位に(先に)、表示される。
また、図5の一例では、抽出された伸縮パターンの中において項目B2〜B5のそれぞれの最良値を、他の部分とは異なる色でハイライト表示される。この際、項目B2〜B5のそれぞれの最良値は、選択中の伸縮パターンのハイライト表示とは異なる色で、ハイライト表示される。なお、図5の一例では、項目B2〜B5のそれぞれの最良値のハイライト表示は、ドットのハッチングで示され、斜線のハッチングで示される伸縮パターンNo.24が、選択中の伸縮パターンである。また、抽出された伸縮パターンにおいて項目B2〜B5の値のいずれもが最良でない伸縮パターンは、項目B2〜B5の値のいずれかが最良の伸縮パターンより下位に(後に)、例えば項目B2の値が大きい順に表示される。この際、項目B2の値が同一の伸縮パターンは、例えば、項目B3の値が大きい順に表示し、項目B2、B3の両方の値が同一の伸縮パターンは、例えば、項目B4の値が大きい順に表示する。そして、項目B2〜B4の全ての値が同一の伸縮パターンは、例えば、項目B5の値が小さい順に表示する。
図6に示す一例では、作業条件の入力値として領域A1に、作業半径の下限値7m及び上限値26m、及び、重量情報としてフック23及び吊荷の総重量32tが入力される。この場合、作業条件の入力値としてブーム長の下限値及び上限値のいずれもが入力されていないため、S102、S103の処理が順次に行われた時点は、記憶媒体42に記憶された全ての伸縮パターンが、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出される。そして、S105、S108、S112の処理が順次に行われる。図6の一例では、S112の処理によって、現在のクレーン2の状態(図6の一例ではアウトリガ13の張出し幅が9.2m、かつ、カウンタウエイト25の重量が100t)において下限値7m以上かつ上限値26m以上の全ての作業半径で作業可能な伸縮パターンNo.12〜No.21が、選択肢として抽出される。そして、S113、S114の処理が順次に行われる。図6の一例では、S114の処理によって、現在のクレーン2の状態において重量情報として入力された総重量32tを下限値7m以上かつ上限値26m以上の全ての作業半径で吊上げ可能な伸縮パターンNo.12、No.13、No.16、No.17、No.19が、選択肢として抽出される。すなわち、下限値7m以上かつ上限値26m以上の全ての作業半径において総重量32tで作業可能な伸縮パターンNo.12、No.13、No.16、No.17、No.19のみが、抽出される。
図6の一例では、作業半径の上限値が入力されているため、抽出された伸縮パターンの全てについて、入力された作業半径の上限値である26mが、項目B3として検出及び表示される。また、図6の一例では、作業半径の下限値及び上限値の両方が入力されているため、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、下限値以上かつ上限値以下の作業半径の範囲内の全ての作業半径において作業可能な(本実施形態では吊上げ可能な)フック23及び吊荷の総重量の最大値が、項目B4として表示される。例えば、伸縮パターンNo.13の項目B4として、現在のクレーン2の状態において下限値7m以上かつ上限値26m以下の全ての作業半径で吊上げ可能な総重量の最大値である35.4tが、表示される。なお、図6の一例では、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、入力された作業半径の上限値26mで吊上げ可能な総重量の最大値が、項目B4として表示される。
また、図6の一例では、抽出された伸縮パターンにおいて、項目B2の値が最良(ブーム長が最大)の伸縮パターンNo.19、項目B4の値が最良(重量情報に関する値が最大)の伸縮パターンNo.13、及び、項目B5の値が最良(到達時間又はブーム伸縮シリンダー33の移動量が最小)の伸縮パターンNo.12が、他の抽出された伸縮パターンに比べ優先度が高く設定される。そして、優先度が高く設定された伸縮パターンNo.19、No.13、No.12は、領域A2において他の伸縮パターンより上位に、表示される。なお、図6の一例では、作業半径の上限値が入力されているため、項目B3は、抽出された全ての伸縮パターンにおいて、入力された上限値で同一になる。また、図6の一例でも、図5の一例と同様に、抽出された伸縮パターンの中において項目B2、B4、B5のそれぞれの最良値を、他の部分とは異なる色でハイライト表示される。なお、図6の一例では、項目B2、B4、B5のそれぞれの最良値のハイライト表示は、ドットのハッチングで示され、斜線のハッチングで示される伸縮パターンNo.13が、選択中の伸縮パターンである。
本実施形態のブーム伸縮状態設定装置10では、作業条件の入力値として入力されたブーム長の下限値及び/又は上限値に基づいてブーム長の範囲が設定され、伸縮パターンの中からブーム長が設定された範囲になる伸縮パターンのみが、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出される。このため、抽出された選択肢は、ブーム長が1つのある値になる伸縮パターンに限定されず、作業者は、例えば、少なくとも1つの伸縮パターンが他の伸縮パターンとはブーム長が異なる選択肢から、作業に用いられる伸縮パターンを選択可能となる。これにより、作業者は、ブーム長に基づいて、作業に用いられる伸縮パターンを選択肢から選択可能となる。ブーム長に基づいて作業に用いられる伸縮パターンが選択可能になることにより、選択肢が広くなり、作業者は、作業現場の環境等に対応する伸縮パターンを所定の条件を満たす様々な選択肢から選択可能となる。これにより、クレーン2での作業計画等を立て易くなる。
また、本実施形態では、処理部41が前述のように処理を行うことにより、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす伸縮パターンのみが、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として適切に抽出される。例えば、ブーム長の上限値が作業条件の入力値として入力されることにより、ブーム長が入力された上限値以下の伸縮パターンのみが選択肢として抽出される。これにより、障害物等で上空に障害等がある場合でも、作業現場の環境等に適した伸縮パターンのみが選択肢として抽出される。
また、本実施形態では、作業半径の下限値及び上限値の両方が作業条件の入力値として入力された場合は、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径で作業可能な伸縮パターンのみが、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出される。そして、作業半径の下限値及び上限値に加えて重量情報が作業条件の入力値として入力された場合は、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において入力された重量情報に対応する重量で作業可能な伸縮パターン(本実施形態では、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において入力された重量情報に対応する重量に対して吊上げ性能を有する伸縮パターン)のみが、選択肢として抽出される。このため、例えば、下限値以上かつ上限値以上の作業半径の範囲で吊荷を移動させる場合において、作業現場の環境等に適した伸縮パターンのみが選択肢として抽出される。すなわち、作業半径が変化しながら吊荷を移動させる作業等においても、作業現場の環境等に適した伸縮パターンのみが選択肢として抽出される。
また、本実施形態では、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、現在のクレーンの状態からの到達時間、及び/又は、現在のクレーン2の状態からのブーム伸縮シリンダー33の伸縮における移動量が、項目B5として表示される。このため、作業者は、ブーム長、作業半径に関する情報、及び、吊荷の重量に関する重量情報だけでなく、項目B5に基づいて、作業に用いられる伸縮パターンを選択可能となる。これにより、現在のクレーンの状態からの到達時間等も考慮して、効率的に伸縮パターンが選択される。
また、本実施形態では、抽出された伸縮パターンの中で項目B2〜B5のそれぞれの値が最良の伸縮パターンが、優先度の高い伸縮パターンとして設定される。そして、領域A2において、優先度が高く設定された伸縮パターンは、上位に表示される。このため、作業者は、抽出された伸縮パターンの中のいずれが目的の作業に適しているか、認識し易い。
また、本実施形態では、ブーム伸縮状態設定装置10は、クレーン(建設機械)2とは別体の携帯端末である。このため、クレーン2の車外においても、ブーム伸縮状態設定装置10を利用可能となり、利便性が向上する。例えば、作業の打ち合わせ時等の事前検討に、ブーム伸縮状態設定装置10を用いることが可能となる。また、汎用の携帯端末をブーム伸縮状態設定装置10として複数設けることも可能となり、複数のブーム伸縮状態設定装置10を用いて事前検討を行うことが可能となる。さらに、事前検討において作業に用いられる伸縮パターンを選択し、選択された伸縮パターンを記憶媒体42等に記憶することも可能である。そして、クレーン2の使用時に、記憶された伸縮パターンを読取り、送受信部43を介して読取った伸縮パターンをクレーン2に送信することも可能となる。これにより、クレーン2の作業前の準備が短縮される。
また、ブーム伸縮状態設定装置10がクレーン2とは別体の携帯端末であるため、クレーン2のコントローラ3が前述の伸縮パターンの抽出処理等を行う必要はない。このため、クレーン2のコントローラ3の処理能力を上げたり、記憶媒体5の記憶容量を大きくしたりする等の必要はなく、コントローラ3及び記憶媒体5を含むクレーン2のハードウェアを従来の構成に対して高機能化する必要はない。したがって、クレーン2のハードウェアを高機能化するコスト等が抑制される。また、ブーム伸縮状態設定装置10として汎用の携帯端末を用いれば、処理部41の処理能力の向上、及び、記憶媒体42の大容量化等のブーム伸縮状態設定装置10の高機能化を、低コストで実現できる。さらに、専用のアプリを開発することにより、ブーム伸縮状態設定装置10において、高機能化及び低コスト化がさらに促進される。
(変形例)
なお、図8に示す第1の変形例では、タッチパネル48の領域A4において、項目B2〜B5の中で優先度の高い1つの項目を選択する操作を入力される。領域A4において項目B2〜B5のいずれかが選択された場合は、処理部41は、領域A2に表示される伸縮パターンの選択肢を、選択された項目を基準として並び替える。本変形例では、領域A4で選択された項目に関する値が適切な伸縮パターンほど、優先度が高い伸縮パターンとして設定され、領域A2において上位に表示される。ここで、項目B2が選択された場合は項目B2の値(ブーム長)が大きい順に、項目B3が選択された場合は項目B3の値(作業半径に関する値)が大きい順に、項目B4が選択された場合は項目B4の値(重量情報に関する値)が大きい順に、項目B5が選択された場合は項目B5の値(到達時間又はブーム伸縮シリンダー33の移動量)が小さい順に、抽出された伸縮パターンが表示される。なお、図8の一例では、領域A4において項目B2が選択され、ブーム長が大きい順に、伸縮パターンの選択肢が領域A2に表示される。また、領域A4において項目B2〜B5のいずれもが選択されていない場合は、例えば第1の実施形態で前述したように、優先度が設定され、優先度が高い順に伸縮パターンが領域A2に表示される。本変形例では、領域A4において項目B2〜B5の中で選択中の項目は、例えば、白抜き文字で表示され、図8の一例では、網目のハッチングで示す。
また、作業条件の入力値として入力される重量情報は、フック23及び吊荷の総重量に限るものではない。ある変形例では、重量情報として、フック23を除いた吊荷のみの重量が、入力される。本変形例では、重量情報として入力された吊荷のみの重量にフック23の重量を加算した総重量が、重量情報に対応する重量として、伸縮パターンの抽出に用いられる。また、本変形例では、S115の処理によって、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす範囲において作業可能な吊荷のみ重量の最大値が、項目B4として検出される。例えば、作業半径の下限値が入力されていない場合は(S105−No)、フック23の重量を含む現在のクレーン2の状態に基づいて、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、作業可能な(本変形例では吊上げ可能な)吊荷のみの重量の最大値が、項目B4として検出される。また、作業半径の下限値が入力され、かつ、作業半径の上限値が入力されていない場合は(S108−No)、入力された下限値以上の作業半径の範囲内において作業可能な(本変形例では吊上げ可能な)吊荷のみの重量の最大値が、項目B4として検出される。そして、作業半径の下限値及び上限値の両方が入力された場合は(S108−Yes)、下限値以上かつ上限値以下の作業半径の範囲内の全ての作業半径において作業可能な(本変形例では吊上げ可能な)吊荷のみの重量の最大値が、項目B4として検出される。
また、図9及び図10に示す第2の変形例では、タッチパネル48に重量係数入力部53が設けられ、入力部45では、重量情報としてフック23及び吊荷の総重量が入力された場合に、作業条件の入力値として重量係数も入力される。図9及び図10の一例では、重量係数は、パーセント表示される。本変形例では、第1の実施形態と同様に、重量情報として入力された総重量が、重量情報に対応する重量として用いられる。本変形例では、処理部41は、クレーン2の現在の状態に基づいて、所定の条件を満たす範囲において吊上げ可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値と重量係数との積が入力された重量情報に対応する重量以上になる伸縮パターンのみを、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。すなわち、本変形例では、所定の条件を満たす範囲において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が入力された重量情報に対応する重量以上になる伸縮パターンのみが、入力された重量情報に対応する重量で作業可能な伸縮パターンであると、判断される。
例えば、作業条件の入力値として作業半径が入力されず、重量情報及び重量係数が入力された場合は、S107の処理によって、吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が入力された重量情報に対応する重量以上になる伸縮パターンのみが、選択肢として抽出される。また、作業半径の上限値が入力されず、作業半径の下限値、重量情報及び重量係数が入力された場合は、S111の処理によって、作業半径の下限値において吊上げ可能な総重量の最大値(作業半径の下限値での定格総荷重)と重量係数との積が入力された重量情報に対応する重量以上になる伸縮パターンのみが、選択肢として抽出される。図10の一例では、作業半径の下限値20m、重量情報21t及び重量係数90%が入力されているため、作業半径20mで吊上げ可能な総重量の最大値(作業半径20mでの定格総荷重)の90%が21t以上になる伸縮パターンのみが、選択肢として抽出される。例えば、選択肢として抽出された伸縮パターンNo.24では、入力された作業半径の下限値20mで吊上げ可能な総重量40.5tの90%は、36.5tであり、入力された重量情報に対応する重量21tより大きい。また、作業半径の下限値及び上限値、及び、重量情報が入力された場合は、S114の処理によって、下限値以上かつ上限値以下の全ての作業半径において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が入力された重量情報に対応する重量以上になる伸縮パターンのみが、選択肢として抽出される。なお、図9の一例のように、重量係数が100%の場合は、第1の実施形態と同様にして、伸縮パターンの選択肢が抽出される。
本変形例では、S115の処理によって、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、所定の条件を満たす範囲において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が、項目B4として検出される。すなわち、処理部41は、所定の条件を満たす範囲において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす範囲において作業可能な総重量の最大値であると、判断する。例えば、作業半径の下限値が入力されていない場合は(S105−No)、クレーン2の状態に基づいて、抽出された伸縮パターンのそれぞれについて、吊上げ可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値と重量係数との積が、項目B4として検出される。また、作業半径の下限値が入力され、かつ、作業半径の上限値が入力されていない場合は(S108−No)、下限値以上の作業半径の範囲内において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が、項目B4として検出される。図10の一例では、作業半径の下限値20m以上の範囲内において吊上げ可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値の90%の値が、項目B4として検出される。例えば、選択肢として抽出された伸縮パターンNo.24では、作業半径の下限値20m以上の範囲で吊上げ可能な総重量の最大値40.5tの90%は、36.5tであり、36.5tが項目B4として検出される。そして、作業半径の下限値及び上限値の両方が入力された場合は(S108−Yes)、下限値以上かつ上限値以下の作業半径の範囲内の全ての作業半径において吊上げ可能な総重量の最大値と重量係数との積が、項目B4として検出される。なお、図9の一例のように、重量係数が100%の場合は、第1の実施形態と同様にして、項目B4が検出及び表示される。
作業においては、外部表示等が緑色の状態等の吊上げ能力に余裕を持った状態で作業を行いたい場合がある。本変形例では、重量係数を100%より小さい90%等に設定することにより、吊上げ能力に余裕を持った状態での作業に適切な伸縮パターンのみが、選択肢として抽出される。また、ある変形例では、第2の変形例の重量係数が入力される構成と、前述した変形例の重量情報として吊荷のみの重量が入力される構成と、を組み合わせてもよい。
また、図11は、第3の変形例におけるタッチパネル48での表示の一例を示す。本変形例では、図11に示すように、タッチパネル48に機種選択部55が設けられ、記憶媒体42には、互いに対して機種が異なる複数のクレーン2のそれぞれについて、吊上げ性能を示すデータが記憶される。本変形例では、処理部41は、複数のクレーン2の全ての伸縮ブーム17の伸縮パターンの中から、作業条件の入力値に基づく所定の条件を満たす伸縮パターンを、抽出する。例えば、機種選択部55をタッチすると、機種を選択するためのウィンドウが表示され、作業者は、ウィンドウから1つ以上の機種を選択する。機種が選択されると、処理部41は、選択された機種の全ての伸縮パターンを記憶媒体42から抽出する。そして、処理部41は、前述の実施形態等と同様にして、例えばS103〜S114の処理と同様にして、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢を抽出する。ここで、1つの機種が選択されると、機種選択部55には、選択された機種が表示される。また、複数の機種が選択されると、選択された機種の中で入力された作業条件等に対して最適な機種が、機種選択部55に表示される。
本変形例では、領域C1に作業条件の入力値が、入力される。領域C1では、複数の作業条件について、入力値を入力可能である。例えば、部位D1に最初に行う作業における作業条件の入力値、部位D2に2番目に行う作業における作業条件の入力値、部位D3に3番目に行う作業における作業条件の入力値が、それぞれ入力される。本変形例でも前述の実施形態等と同様に、作業条件のそれぞれの入力値として、ブーム長の下限値、ブーム長の上限値、作業半径の下限値、及び、吊荷の重量に関連する重量情報の少なくとも1つを入力可能であり、作業半径の下限値が入力された場合は、作業半径の上限値も入力可能である。本変形例では、処理部41は、作業条件のそれぞれについて、入力値に基づく所定の条件を満たす伸縮パターンのみを、前述の実施形態等と同様にして、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢として抽出する。また、領域C1では、処理部41による処理対象として選択中の作業の作業条件が、他の作業条件とは異なる色でハイライト表示される。図11の一例では、処理対象として選択中の作業についてのハイライト表示は、斜線のハッチングで示され、2番目に行う作業が選択中の作業(作業条件)となる。
本変形例では、処理部41は、処理対象となる作業を選択する。そして、処理対象として選択された作業について、例えばS103〜S114の処理と同様にして、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢を抽出する。ある作業について、選択肢の抽出処理が行われ、抽出された選択肢の1つが作業に用いられる予定の伸縮パターンとして選択されると、処理部41は、全ての作業(作業条件)について作業に用いられる予定の伸縮パターンが選択されたか否かを判断する。少なくとも1つの作業について用いられる予定の伸縮パターンが選択されていない場合は、処理部41は、用いられる予定の伸縮パターンが選択されていない作業の中から処理対象となる作業を選択し、前述のようにして伸縮パターンの抽出処理等を行う。すなわち、全ての作業(作業条件)について伸縮パターンの抽出処理等が完了するまで(作業に用いられる予定の伸縮パターンが選択されるまで)、処理部41によって、処理対象の作業の選択、及び、処理対象として選択された作業における伸縮パターンの抽出処理等が、繰返し行われる。
本変形例では、タッチパネル48の領域C2に、現在の伸縮パターン、及び、作業のそれぞれについて作業条件等に基づいて選択された伸縮パターン(作業のそれぞれにおいて用いる予定の伸縮パターン)が、表示される。領域C2では、表示される伸縮パターンのそれぞれについて、項目B1、B2、B6が表示される。項目B1は、前述した伸縮パターンNo.であり、項目B2は、前述したブーム長である。また、項目B6は、1つ前の作業に用いる予定の伸縮パターンからの到達時間であり、最初に行う作業の伸縮パターンについては、現在の伸縮パターンからの到達時間が示される。
本変形例では、処理対象として選択中の作業(作業条件)について、例えばS103〜S114の処理と同様にして、作業に用いられる伸縮パターンの選択肢を抽出されると、処理部41は、抽出された伸縮パターン(選択肢)のそれぞれについて、前述の項目B1、B2、B6を検出する。そして、処理部41は、抽出された伸縮パターンの中で項目B6の値が最良の伸縮パターン、すなわち1つ前の作業からの到達時間が最小の伸縮パターンを、処理対象として選択中の作業に用いる予定の伸縮パターンとして選択する。そして、処理部41は、項目B6に基づいて選択した伸縮パターンを、領域C2に表示する。また、領域C2でも、処理対象として選択中の作業に用いる予定の伸縮パターンが、他の作業の伸縮パターンとは異なる色でハイライト表示される。図11では、選択中の作業についての伸縮パターンのハイライト表示は、斜線のハッチングで示され、2番目の作業に用いる予定の伸縮パターンが、ハイライト表示される。図11の一例では、最初に行う作業に用いる予定の伸縮パターンとして伸縮パターンNo.22が選択されている。そして、処理対象として選択中の2番目に行う作業について、伸縮パターンの抽出処理及び項目B6に基づく伸縮パターンの選択が、行われている。ここで、図11の一例では、2番目に行う作業の作業条件の入力値に基づいて抽出された伸縮パターン(選択肢)の中で、伸縮パターンNo.13が、最初に行う作業に用いる予定の伸縮パターンNo.22からの伸縮時間が最小になる。すなわち、2番目に行う作業については、抽出された伸縮パターンの中で、伸縮パターンNo.13が、項目B6の値が最小となる。このため、伸縮パターンNo.13が、2番目に行う作業に用いられる予定の伸縮パターンとして選択され、領域C2に表示される。
なお、本変形例では、抽出された伸縮パターンの中から項目B6の値が最良の伸縮パターンが、作業に用いる予定の伸縮パターンとして選択されるが、ある変形例では、抽出された伸縮パターンの中から項目B2の値が最良(ブーム長が最大)の伸縮パターンが、作業に用いる予定の伸縮パターンとして選択されてもよい。また、別のある変形例では、処理部41が、例えばS103〜S114の処理等によって抽出された伸縮パターン(選択肢)のそれぞれについて、前述の項目B3又はB4を検出する。そして、抽出された伸縮パターンの中から項目B3の値が最良の伸縮パターン又は項目B4の値が最良の伸縮パターンが、作業に用いる予定の伸縮パターンとして選択される。
また、本変形例では、タッチパネル48の領域C3に、処理対象として選択中の作業に用いる予定の伸縮パターン、すなわち処理対象の作業の情報として領域C2に表示される伸縮パターンについて、可動ブーム部材32A〜32Dのそれぞれの伸長率が表示される。この際、1つ前の作業に用いる予定の伸縮パターンから選択中の作業に用いる予定の伸縮パターンまでの可動ブーム部材32A〜32Dのそれぞれの伸長率の変化態様も、領域C3に表示される。図11の一例では、最初に行う作業に用いられる予定の伸縮パターンNo.22から処理対象である2番目に行う作業に用いられる予定の伸縮パターンNo.13までの可動ブーム部材32A〜32Dのそれぞれの伸長率の変化態様が、表示される。
また、本変形例では、タッチパネル48の領域C4に、処理対象として選択中の作業に用いる予定の伸縮パターンでの、クレーン2の作業姿勢図が表示される。図11の一例では、処理対象として選択中の2番目に行う作業に用いられる予定の伸縮パターンNo.13での作業姿勢図が、表示される。この際、選択中の作業で用いられる予定の伸縮パターンについて、作業可能な作業半径の下限値及び上限値が検出され、検出された作業半径の下限値での作業姿勢及び作業半径の上限値での作業姿勢の両方が、領域C4に表示される。また、領域C4には、作業可能な作業半径の下限値及び上限値が数値で表示されるとともに、作業半径の下限値及び上限値のそれぞれにおける揚程及び定格総荷重(吊上げ可能なフック23及び吊荷の総重量の最大値)が、数値で表示される。なお、ある変形例では、作業半径及び揚程は数値で表示されず、作業姿勢図及び目盛が、領域C4に表示される。そして、作業者は、目盛から、作業半径の下限値及び上限値、及び、作業半径の下限値及び上限値のそれぞれにおける揚程を読取る。また、別のある変形例では、作業姿勢図が表示されず、作業半径の下限値及び上限値の数値、及び、作業半径の下限値及び上限値のそれぞれにおける揚程及び定格総荷重の数値のみが、領域C4に表示される。
前述の実施形態等では、ブーム伸縮状態設定装置10は、クレーン2とは別体の携帯端末等である。このため、第3の変形例のように、1つのブーム伸縮状態設定装置10で複数の機種に対応可能になる。また、ブーム伸縮状態設定装置10が携帯端末として設けられることにより、前述のように処理部41の処理能力の向上、及び、記憶媒体42の大容量化が、容易かつ低コストで実現可能になる。このため、複数の機種の全ての伸縮パターンからの作業に用いる予定の伸縮パターンの選択処理、複数の作業条件のそれぞれについての伸縮パターンの抽出処理、及び、タッチパネル48への様々な態様での表示処理等、第3の変形例等で前述した高機能な処理を、容易かつ低コストで実現可能となる。
また、ある変形例では、クレーン2の送受信部38及びブーム伸縮状態設定装置10の送受信部43が、設けられなくてもよい。本変形例では、クレーン2に外部表示器(図示しない)等が設けられ、クレーン2のコントローラ3は、アウトリガ13の張出し状態及びカウンタウエイト25の重量等の現在のクレーン2の状態を外部表示器に表示する。そして、作業者は、外部表示器等に表示された現在のクレーン2の状態を、入力部45(タッチパネル48)において入力する。そして、処理部41は、入力部45での入力に基づいて、クレーン2の現在の状態を取得する。また、本変形例では、第1の実施形態と同様にして抽出された伸縮パターンが、表示部46に表示される。そして、作業者は、表示部46に表示された伸縮パターンの1つを、作業に用いる伸縮パターンとしてクレーン2の入力部36に入力する。そして、コントローラ3は、入力部36で入力された伸縮パターンに伸縮ブーム17がなる状態に、伸縮ブーム17を制御する。
また、ある変形例では、ブーム伸縮状態設定装置10がクレーン2に設けられてもよい。この場合、クレーン2のコントローラ3、記憶媒体5、表示部35及び入力部36等によって、ブーム伸縮状態設定装置10が形成される。本変形例では、クレーン2のコントローラ3が、前述の実施形態等の処理部41と同様の処理を行う。そして、クレーン2の記憶媒体5には、記憶媒体42と同様に、伸縮ブーム17の複数の伸縮パターンに関するデータ、及び、伸縮ブーム17での吊荷の吊上げ性能を示すデータが、記憶される。また、運転室15の内部には、表示部35及び入力部36として併用されるタッチパネル(図示しない)等が設けられる。そして、運転室15の内部のタッチパネルには、タッチパネル48と同様の情報が表示されるとともに、タッチパネル48と同様の操作が可能である。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。