JP6884341B2 - 土質判定方法 - Google Patents

土質判定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6884341B2
JP6884341B2 JP2017068846A JP2017068846A JP6884341B2 JP 6884341 B2 JP6884341 B2 JP 6884341B2 JP 2017068846 A JP2017068846 A JP 2017068846A JP 2017068846 A JP2017068846 A JP 2017068846A JP 6884341 B2 JP6884341 B2 JP 6884341B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
data
sound
microphone
sound source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017068846A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018168655A (ja
Inventor
卓 山田
卓 山田
昭彦 大島
昭彦 大島
平田 茂良
茂良 平田
仁志 市村
仁志 市村
芳彦 柴田
芳彦 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa House Industry Co Ltd
University Public Corporation Osaka
Original Assignee
Daiwa House Industry Co Ltd
University Public Corporation Osaka
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa House Industry Co Ltd, University Public Corporation Osaka filed Critical Daiwa House Industry Co Ltd
Priority to JP2017068846A priority Critical patent/JP6884341B2/ja
Publication of JP2018168655A publication Critical patent/JP2018168655A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6884341B2 publication Critical patent/JP6884341B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Description

本発明は、土と土の中に挿入されたデバイスとの摩擦音に基づいて土質を判定する土質判定方法、装置及びプログラムに関する。
土木や建築等の分野で行われる地盤調査時には、地盤の硬さ(強さ)を計測するためにしばしばサウンディングと呼ばれる試験が実施される。サウンディングとは、ロッドの先端に取り付けられた抵抗体を土中に挿入し、抵抗体の土中への貫入時や土中での回転時等の抵抗を計測する試験である。サウンディングの方法としては、標準貫入試験、静的・動的コーン貫入試験、スウェーデン式貫入試験等の様々な方法が知られている。サウンディングでは、地盤の硬さを評価できるに留まり、例えば、粒度を判定することができない。そのため、粒度の分析を行う場合には、現地盤から土のサンプルが採取され(サンプリング)、このサンプルが実験室に持ち帰られて分析される(室内試験)のが一般的である。しかしながら、サンプリング及び室内試験を行うとなると、費用も時間もかかることになる。そのため、原位置試験により粒度等の土質を分析するための技術も提案されている(特許文献1及び非特許文献1,2等参照)。
特許文献1には、貫入試験に用いられるロッドの先端に取り付けられたコーンにマイクを内蔵し、ロッドが土の中に貫入されるときのコーンと土との摩擦音を検出し、この波形を解析することが開示されている。また、特許文献1では、摩擦音のスペクトルは土の平均粒径に影響を受ける点が指摘されている。
非特許文献1,2には、動的コーン貫入試験に用いられるロッドの先端に取り付けられたコーンにマイクを内蔵し、コーンと土との摩擦音を計測することが開示されている。非特許文献1,2では、摩擦音と細粒分又は粗粒分含有率等との関係が考察されている。
特開昭63−279139号公報
水野建人、他7名,「大型動的コーン貫入試験による貫入コーンと地盤の摩擦音と地盤物性の関係の考察」,第51回地盤工学研究発表会講演集,NO.92,pp.183〜184,2016年
山田卓、他5名,「大型動的コーン貫入試験による地盤の液状化判定のための音を利用した粒度評価の試み」,第49回地盤工学研究発表会講演集,NO.107,pp.213〜214,2014年
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1,2の方法では、依然として摩擦音に基づく土質の判定の精度は十分でない。この点、本発明者らは、その原因の1つは、マイクが摩擦音の音源の波形を正確に捉えていないことにあると考えた。すなわち、マイクにより計測される波形は、マイクの応答特性の影響を受けており、音源の波形そのものではない。また、試験環境ごとにマイクやこれを含むデバイスが異なると、これらの応答特性も変化するため、結果がバラついてしまうことになる。これでは、正確な土質の判定が行えない。
本発明は、摩擦音に基づく土質の判定の精度を向上させることができる土質判定方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
第1観点に係る土質判定方法は、以下のステップを含む。
(1)マイクを有するデバイスを土の中に挿入するステップ
(2)前記デバイスと前記土との摩擦音を前記マイクにより計測するステップ
(3)前記マイクにより計測された前記摩擦音のデータを、前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出するステップ
(4)前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定するステップ
第2観点に係る土質判定方法は、第1観点に係る土質判定方法であって、上記(4)のステップは、前記音源のデータに基づいて、前記土の粒度特性値を判定することを含む。
第3観点に係る土質判定方法は、第1観点又は第2観点に係る土質判定方法であって、上記(4)のステップは、前記音源のデータに基づいて、前記摩擦音の前記音源での音圧を算出し、前記音圧に応じて前記土の性質を判定することを含む。
第4観点に係る土質判定方法は、第1観点から第3観点のいずれかに係る土質判定方法であって、前記デバイスは、前記マイクを収容するコーンをさらに有し、前記コーンは、ロッドの先端に固定されている。前記デバイスを前記土の中に挿入するステップは、前記ロッドに力を加えて前記コーンを前記土の中に貫入することを含む。
第5観点に係る土質判定方法は、第4観点に係る土質判定方法であって、以下のステップをさらに含む。
(5)前記ロッドを回転させるステップ
(6)前記ロッドの回転中に、前記ロッドに作用する周面摩擦を計測するステップ
上記(2)のステップは、前記ロッドの回転中に実行される。
第6観点に係る土質判定装置は、マイクを有するデバイスが挿入された土の性質を判定する土質判定装置であって、取得部と、補正部と、判定部とを備える。前記取得部は、前記マイクにより計測された前記デバイスと前記土との摩擦音のデータである計測データを取得する。前記補正部は、前記計測データを、前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出する。前記判定部は、前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定する。
第7観点に係る土質判定プログラムは、マイクを有するデバイスが挿入された土の性質を判定する土質判定プログラムであって、以下のステップ(1)〜(3)をコンピュータに実行させる。
(1)前記マイクにより計測された前記デバイスと前記土との摩擦音のデータである計測データを取得するステップ
(2)前記計測データを、前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出するステップ
(3)前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定するステップ
本発明によれば、土の中に挿入されたデバイスに含まれるマイクにより、デバイスと土との摩擦音が計測される。そして、マイクにより計測された摩擦音のデータが、デバイスの伝達関数に基づいて補正されることにより、摩擦音の音源のデータが導出される。すなわち、マイクにより計測された摩擦音のデータから、マイクを含むデバイスの応答特性がキャンセルされる。そして、この補正後の摩擦音のデータに基づいて、土質が判定される。以上より、マイクにより計測された摩擦音のデータから、マイクを含むデバイスの応答特性の影響が排除されるため、摩擦音に基づく土質の判定の精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る土質判定方法を実施するための試験装置の全体構成図。 本発明の一実施形態に係るコーンを含むデバイスの拡大断面図。 本発明の一実施形態に係る試験装置のブロック構成図。 本発明の一実施形態に係る摩擦音に基づく土質判定処理の流れを示すフローチャート。 音源波形データの抽出の原理を概念的に説明する図。 3種類のコーンの伝達関数を示すグラフ。 図6の3種類のコーンを用いた場合の計測波形を示すグラフ。 図6の3種類のコーンを用いた場合の音源波形を示すグラフ。 標準貫入試験による土質判定の結果と、摩擦音に基づく土質判定の結果とを比較したグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る土質判定方法、装置及びプログラムについて説明する。
<1.試験装置の全体構成>
図1は、本実施形態に係る土質判定方法を実施するための試験装置100の全体構成図である。本実施形態に係る土質判定方法は、通常の動的コーン貫入試験を含み、地盤の硬さ(強さ)を計測すると同時に、地盤の粒度分析を行う。図1に示すとおり、試験装置100は、動的コーン貫入試験機1と、動的コーン貫入試験機1の動作を制御する制御装置2とを備えている。制御装置2は、地盤の硬さ(強さ)を表すN値及び周面摩擦を計測する他、動的コーン貫入試験時に土の中に挿入されるコーン12と土との摩擦音のデータに基づいて粒度特性値を判定する。この摩擦音は、後述されるコーン12内に収容されているマイク3により計測される。以下、試験機1及び制御装置2の構成について詳細に説明する。
<2.各部の構成>
<2−1.動的コーン貫入試験機>
図1に示すとおり、動的コーン貫入試験機1は、ロッド11と、ロッド11の先端に固定されているコーン12を有するデバイス10とを備えている。ロッド11は、上下方向に延びている。コーン12は、先端部が円錐状に尖った部材であり、円錐の頂点が下方を向くようにロッド11の下端に連結されている。
また、試験機1は、ハンマー14と、ハンマー14を上下方向に沿って自由落下させるためのハンマーガイド15とを備えている。ハンマー14は、ハンマーガイド15に沿って自由落下したときにロッド11の上端部に下向きの力を加え、当該力によりコーン12を土中に貫入するための打撃装置である。ハンマー14は、上下方向に延びる中心軸を有する円柱状の部材であり、中心軸に沿って中央開口を有している。ハンマーガイド15は、上下方向に延びる棒状の部材であり、ハンマー14の中央開口に挿入されている。ハンマー14の中央開口を画定する面と、ハンマーガイド15の外周面とは実質的に摩擦なくスライドするように構成されている。また、試験機1は、ロッド11の上端部を受け取るとともに、ハンマーガイド15の下端部を受け取るアンビル13を備えている。そのため、自由落下したハンマー14はアンビル13に衝突し、このときの衝撃力がアンビル13を介してロッド11へと伝達される。なお、ハンマー14は、図示されない昇降装置により持ち上げられ、その後、自由落下させられる。昇降装置の動作は、制御装置2により制御される。試験機1は、ハンマー14の落下回数を計測するカウンター20を備えている。
また、試験機1は、トルク計測装置16を備えている。トルク計測装置16は、ロッド11を回転させるとともに、ロッド11の回転時に生じるトルクを計測する。トルク計測装置16は、本実施形態では、ロッド11を掴むことができるように構成されているスイベルヘッドと、ロッド11を掴んだ状態のスイベルヘッドを回転させる油圧モーターとを有している。スイビルヘッド及び油圧モーターの動作は、制御装置2により制御される。制御装置2は、油圧モーターによりロッド11を回転させたときの油圧力をトルクに換算し、さらにこのトルクに基づいてロッド11に作用する周面摩擦を導出する。
以上のコーン12、ロッド11、アンビル13、並びにハンマー14及びハンマーガイド15は、同軸に位置合わせされており、この順に下から上へと配置されている。また、トルク計測装置16は、アンビル13の下においてロッド11を囲むように配置されている。これらの要素11〜16は、地面の上に設置される支持台17と、支持台から上方へ延びるフレーム18と、さらに支持台17及びフレーム18が倒れないように支える支柱19とにより地面上で支持される。支柱19は、フレーム18から地面に向かって斜めに延びる棒状の部材であり、地面側の先端部が地面に打ち込まれる。
図2は、コーン12を含むデバイス10の拡大断面図である。同図に示すとおり、コーン12には内部空間が形成されており、デバイス10は、この内部空間に収容されているマイク3を有する。マイク3が設置されるマイク室は、コーン12の中心軸に位置合わせされている。コーン12は、金属製であり、本実施形態ではステンレス鋼製である。マイク3は、土の中のコーン12と土との摩擦音を計測するための収音機であり、本実施形態ではコンデンサマイクである。また、本実施形態では、マイク3はマイク室内で固定されており、ハンマー14の打撃による衝撃でマイク3が脱落しないよう、マイク3の収容されているマイク室内の隙間にはエポキシ樹脂が充填されている。さらに、本実施形態では、マイク3の収容されているマイク室の入口を覆うように、カバー31がねじ32によりコーン12の内壁面に対し固定されている。さらに、カバー31は、バネ33によりコーン12の内壁面に対しマイク室側に向かって付勢されている。
図2には、ロッド11の下端部も示されている。ロッド11は、同図に示すとおり、中空形状である。そして、ロッド11のこの中央開口を通って、マイク3から制御装置2までケーブル3aが延びている。ケーブル3aは、マイク3と制御装置2とを接続する通信線であり、マイク3により計測された摩擦音のデータを制御装置2に送信する。また、試験機1は、マイクアンプ4を備えており、ケーブル3aは、マイク3とマイクアンプ4とを接続するとともに、マイクアンプ4と制御装置2とを接続する。マイクアンプ4は、マイク3により計測された摩擦音のデータを増幅した後、制御装置2に出力する。
<2−2.制御装置>
制御装置2は、動的コーン貫入試験機1の各部の動作を制御するとともに、動的コーン貫入試験機1の各部から各種計測データを取得し、この計測データに基づいて土質を判定する装置である。図3に、試験装置100のブロック構成図を示す。図3に示す通り、制御装置2は、表示部21、入力部22、記憶部23、制御部24及び通信部25を有する。これらの部21〜25は、バス線26を介して互いに接続されている。
表示部21は、液晶ディスプレイ等で構成されており、各種画面をオペレータに対し表示するユーザーインターフェースである。入力部22は、操作ボタンやタッチパネル等で構成されており、制御装置2及び動的コーン貫入試験機1に対するオペレータからの操作を受け付けるユーザーインターフェースである。通信部25は、動的コーン貫入試験機1の各部との通信を可能にする通信インターフェースである。上述したマイク3及びマイクアンプ4は、ケーブル3aを介して通信部25に接続されている。また、上述したハンマー14の昇降機構、カウンター20及びトルク計測装置16も、通信部25に接続されている。記憶部23は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置から構成されている。記憶部23内には、制御装置2及び動的コーン貫入試験機1に後述する動作を実行させるためのプログラム6が格納されている。
制御部24は、CPU、ROM及びRAM等から構成されており、記憶部23内に格納されているプログラム6を読み出して実行することにより、仮想的に打撃制御部24a、トルク計測部24b、音計測部24c、補正部24d及び土質判定部24eとして動作する。各部24a〜24eの動作については、後述する。
<3.土質判定方法>
次に、試験装置100により実施される土質判定方法について説明する。まず、土質の判定を行う対象となる地面上に図1のように動的コーン貫入試験機1を設置し、コーン12を土の中に挿入する。
続いて、オペレータが入力部22に対し所定の操作を行うと、打撃制御部24aは上述した昇降機構を駆動し、ハンマー14を所定の高さ位置からアンビル13に向けて自由落下させる。打撃制御部24aは、このハンマー14による打撃を繰り返すことにより、コーン12に下向きの力を加え、コーン12を徐々に土の中深くに貫入してゆく。そして、コーン12が土の中へ所定の距離(例えば、20cm)だけより深く潜り込む度に、ハンマー14による打撃を休止させる。このとき、打撃制御部24aは、コーン12が所定の距離だけより深く挿入されるのに要したハンマー14の落下回数をカウンター20から読み出し、これを記憶部23内に記憶する。なお、コーン12の挿入深さは、図示されない計測機器により計測されており、この計測機器による計測データが打撃制御部24aに送信されるものとする。計測機器は、様々な構成とすることができるが、例えば、アンビル13に固定した冶具に固定される巻取り式変位計として実現することもできるし、ロッド11に付されている目盛りを読み取るセンサー等として構成することができる。
トルク計測部24bは、打撃の休止期間にトルク計測装置16を駆動し、ロッド11を回転させる。また、トルク計測部24bは、トルク計測装置16を介してこのときに生じるトルク(最大回転トルク等)を計測し、このトルクに基づいて地盤に対するロッド11の周面摩擦(摩擦力、摩擦抵抗等)を計測する。トルク及び周面摩擦の値は、記憶部23内に記憶される。トルクの計測が終わると、ハンマー14による打撃が再開する。そして、コーン12が土の中へ所定の深さだけさらに深く挿入されると、再び同様のトルクの計測が行われる。
打撃の休止期間には、トルクの計測だけでなく、コーン12と土との摩擦音の計測も行われる。摩擦音の計測は、ロッド11及びデバイス10の回転中に行われる。図4は、摩擦音に基づく土質判定処理の流れを示すフローチャートである。まず、音計測部24cは、マイク3を駆動して、回転中のコーン12とその周辺の土との摩擦音をマイク3に計測させ、マイク3により計測された摩擦音の波形(以下、計測波形という)を表すデータ(以下、計測波形データという)を取得する(ステップS1)。計測波形データは、マイクアンプ4により増幅された後、音計測部24cにより収集される。なお、以下では、増幅後の計測波形データも、単に計測波形データと呼ぶ。計測波形データは、時系列のデータであり、本実施形態では、44.1KHzのサンプリング周期で収集される。計測波形データは、記憶部23内に記憶される。
次に、補正部24dは、計測波形データからデバイス10の応答特性、すなわち、マイク3及びコーン12の応答特性がキャンセルされるように、計測波形データを補正する(ステップS2)。これにより、計測波形データから、摩擦音の音源での波形(以下、音源波形という)を表すデータ(以下、音源波形データという)が抽出される。
図5は、音源波形データの抽出の原理を概念的に説明する図である。すなわち、マイク3で収音され、制御装置2に記録される計測波形b(t)は、音源波形a(t)そのものではなく、デバイス10の応答特性を含む波である。この関係を定式化すると、計測波形b(t)は、次式のとおり、音源波形a(t)とデバイス10のインパルス応答関数h(t)との畳み込み積分で表される。なお、tは、時間を表す。
Figure 0006884341
ここで、計測波形b(t)のフーリエ変換をB(f)とし、音源波形a(t)のフーリエ変換をA(f)とし、インパルス応答関数h(t)のフーリエ変換をH(f)とすると、次式が成り立つ。
B(f)=A(f)×H(f)
H(f)は、デバイス10の伝達関数である。なお、h(t)は、デバイス10の伝達関数の時間領域での表記であり、H(f)は、デバイス10の伝達関数の周波数領域での表記である。伝達関数H(f)は、周波数応答関数(振幅スペクトル)と位相スペクトルの一対のスペクトルである。なお、fは、周波数を表す。
以上の原理に鑑みて、本実施形態では、デバイス10の応答特性を表すパラメータとしての伝達関数H(f)が予め計測され、記憶部23内に格納されている。ステップS2では、補正部24dは、計測波形データを周波数解析し、周波数fを下限周波数(例えば、0kHz〜20Hz程度に設定することができる)から22.1kHzまで変化させながら、この帯域での計測波形b(t)のフーリエ変換B(f)を導出する。次に、補正部24dは、記憶部23内の伝達関数H(f)を参照し、上式に基づいて音源波形a(t)のフーリエ変換A(f)を導出する。続いて、補正部24dは、A(f)を逆フーリエ変換することにより、音源波形a(t)を導出する。
なお、本実施形態では、マイク3及びコーン12を含む波動伝播系の応答特性を考慮して計測波形データが解析される。そのため、コーン12の材質や形状、マイク3の種類等を考慮せずとも、デバイス10の伝達関数H(f)を決定しておくだけで、音源波形データを取得することができる。
続くステップS3では、土質判定部24eが、音源波形データに基づいて土質を判定する。本実施形態では、土質を判定するための指標として、土の粒度特性値が判定される。粒度特性値には、粗粒分含有率、細粒分含有率及び平均粒径が含まれ、土質判定部24eは、音源波形データからこれらの深度分布を導出する。
ここで、本発明者らが実際に行った検証実験の結果を示しながら、音源波形データから土質の判定が可能な原理について説明する。まず、本発明者らは、3種類のコーンを用意し、それぞれにコンデンサマイクを収容して、3つのデバイスを作成した(以下、これらのデバイスを、コーンNo.1、コーンNo.2、コーンNo.3と呼ぶ)。そして、コーンNo.1〜No.3の伝達関数H(f)をそれぞれ計測したところ、図6の結果が得られた。
次に、同一条件の地盤を3回作成し、コーンNo.1〜No.3をそれぞれ用いてコーンと土との間の摩擦音を計測した。より具体的には、土質、密度及び上載圧(土被り圧)の条件を揃えた地盤で模型実験を行った。土試料については、市販の珪砂5号(岐阜県土岐市産)を用いた。土層条件については、相対密度50%の地盤を空中落下法で作成し、乾燥条件下で実験を実施した。上載圧は、50kN/m2とし、コーンの回転速度は、45deg/secとした。このときの実験結果を図7及び図8に示す。図7(A)は、コーンNo.1〜No.3をそれぞれ用いた場合の計測波形b(t)のグラフであり、図7(B)は、そのスペクトルのグラフである。一方、図8は、図6の伝達関数H(f)を用いて、ステップS2と同じ計算式で図7の計測波形データから導出した音源波形データを示す。図8(A)は、コーンNo.1〜No.3をそれぞれ用いた場合の音源波形a(t)のグラフであり、図8(B)は、そのスペクトルのグラフである。
図7及び図8を比べれば分かるとおり、音源波形は、計測波形よりも音が大きく、1000kHz付近には、計測波形には見られないピークが現れていることが分かる。また、計測波形では、音圧レベル及びピークが現れる周波数がコーン毎に異なっているのに対し、音源波形では、特に300Hz以上の周波数領域において、3つのコーンから得られたスペクトルの一致率が高い。従って、コーンNo.1〜No.3の応答特性を考慮した音源波形によれば、土の性質をより正確に判定できるようになることが分かった。
また、本発明者らは、コーンNo.2を用いて長野県諏訪市の地盤において動的コーン貫入試験を行い、コーンの貫入深さ20cm毎に行われるトルク計測時に、コーンと土との間の摩擦音を計測した。そして、上述した方法で摩擦音の音源波形a(t)を導出し、さらに音源波形a(t)の音圧の実効値の深度分布を導出した。また、同一地盤で標準貫入試験を行い、N値を求めるとともに、土のサンプルを採取して分析し、粒度特性値(粗粒分含有率、細粒分含有率及び平均粒径)の深度分布を計測した。以上の2つの実験の結果を図9に示す。なお、N値、粗粒分含有率及び平均粒径のグラフ中の濃いドットのグラフが、音源波形a(t)の音圧の実効値のグラフである。また、これらのグラフ及び細粒分含有率のグラフ中の薄いドットのグラフが、標準貫入試験の結果を示している。
図9から分かるように、音源波形a(t)の音圧の実効値の深度分布の形状は、N値、粗粒分含有率及び平均粒径の深度分布とよく一致している。すなわち、N値、粗粒分含有率及び平均粒径が大きくなると、音源波形a(t)の実効値も大きくなり、N値、粗粒分含有率及び平均粒径が小さくなると、音源波形a(t)の実効値も小さくなる。なお、細粒分含有率は、1−粗粒分含有率で表されるため、細粒分含有率が大きくなると、音源波形a(t)の実効値は小さくなり、細粒分含有率が小さくなると、音源波形a(t)の実効値は大きくなる。以上より、音源波形a(t)の実効値に応じて、N値、並びに細粒分含有率、粗粒分含有率及び平均粒径等の土の粒度特性値を判定できることが分かった。
以上の知見を受けて、ステップS3では、土質判定部24eは、音源波形a(t)の音圧の実効値を判定する。そして、土質判定部24eは、音源波形a(t)の音圧の実効値に応じて、細粒分含有率、粗粒分含有率及び平均粒径等の土の粒度特性値を判定する。なお、音源波形a(t)の音圧の実効値を様々な粒度特性値に換算するためのパラメータは、多数の実験を通して予め求められ、記憶部23内に格納されているものとする。
以上のステップS1〜S3は、コーン12が土の中へ所定の深さだけより深く潜り込む度に実行される。すなわち、各深度での粒度特性値が算出され、これにより、粒度特性値の深度分布が算出される。粒度特性値の深度分布は、記憶部23内に記憶される。
以上の各種計測の結果は、表示部21上に表示される。具体的には、ステップS3で算出された粒度特性値の深度分布に加え、カウンター20により計測されたN値の深度分布、及びトルク(周面摩擦)の深度分布が表示部21上に表示される。オペレータは、これらの情報に基づいて土質を判定することができる。
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<4−1>
上記実施形態では、摩擦音に基づく土質判定処理は、動的コーン貫入試験とともに行われたが、標準貫入試験や静的コーン貫入試験、スウェーデン式貫入試験等の試験と組み合わせることもできる。或いは、摩擦音に基づく土質判定処理のみを独立して実施することもできる。
<4−2>
上記実施形態では、図4に示される摩擦音に基づく土質判定処理は、動的コーン貫入試験を制御する制御装置2により実行されたが、別のコンピュータにより実行されてもよい。また、摩擦音に基づく土質判定処理を実行するコンピュータは、コーン12に内蔵することもできる。
<4−3>
上記実施形態では、デバイス10の応答特性を表すパラメータとして、周波数領域での伝達関数H(f)が予め計測され、記憶部23内に格納されていたが、デバイス10の時間領域での伝達関数h(t)を予め記憶しておくこともできる。
<4−4>
上記実施形態では、摩擦音の計測はコーン12の回転中に行われたが、摩擦音の計測のタイミングはこの態様に限定されない。例えば、動的コーン貫入試験を終了して片付ける段階において、地中からロッド11を引き抜く時の摩擦音を計測することもできる。
1 動的コーン貫入試験機
10 デバイス
100 試験装置
11 ロッド
12 コーン
2 制御装置
24c 音計測部(取得部)
24d 補正部
24e 土質判定部(判定部)
3 マイク
a(t) 音源波形
b(t) 計測波形
H(f) 伝達関数

Claims (6)

  1. 土質判定方法であって、
    マイクを有するデバイスを土の中に挿入するステップと、
    前記デバイスと前記土との摩擦音を前記マイクにより計測するステップと、
    前記マイクにより計測された前記摩擦音のデータを、前記デバイスのインパルス応答関数のフーリエ変換である前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出するステップと、
    前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定するステップと
    を含み、
    前記土の性質を判定するステップは、前記音源のデータに基づいて、前記土の粒度特性値を判定することを含む、
    土質判定方法。
  2. 前記土の性質を判定するステップは、前記音源のデータに基づいて、前記摩擦音の音圧を算出し、前記音圧に応じて前記土の性質を判定することを含む、
    請求項に記載の土質判定方法。
  3. 前記デバイスは、前記マイクを収容するコーンをさらに有し、前記コーンは、ロッドの先端に固定されており、
    前記デバイスを前記土の中に挿入するステップは、前記ロッドに力を加えて前記コーンを前記土の中に貫入することを含む、
    請求項1又は2に記載の土質判定方法。
  4. 前記ロッドを回転させるステップと、
    前記ロッドの回転中に、前記ロッドに作用する周面摩擦を計測するステップと
    をさらに含み、
    前記摩擦音を前記マイクにより計測するステップは、前記ロッドの回転中に実行される、
    請求項に記載の土質判定方法。
  5. マイクを有するデバイスが挿入された土の性質を判定する土質判定装置であって、
    前記マイクにより計測された前記デバイスと前記土との摩擦音のデータである計測データを取得する取得部と、
    前記計測データを、前記デバイスのインパルス応答関数のフーリエ変換である前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出する補正部と、
    前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定する判定部と
    を備え
    前記判定部は、前記音源のデータに基づいて、前記土の粒度特性値を判定する、
    土質判定装置。
  6. マイクを有するデバイスが挿入された土の性質を判定する土質判定プログラムであって、
    前記マイクにより計測された前記デバイスと前記土との摩擦音のデータである計測データを取得するステップと、
    前記計測データを、前記デバイスのインパルス応答関数のフーリエ変換である前記デバイスの伝達関数に基づいて補正することにより、前記摩擦音の音源のデータを導出するステップと、
    前記音源のデータに基づいて、前記土の性質を判定するステップと
    をコンピュータに実行させ
    前記土の性質を判定するステップは、前記音源のデータに基づいて、前記土の粒度特性値を判定することを含む、
    土質判定プログラム。

JP2017068846A 2017-03-30 2017-03-30 土質判定方法 Active JP6884341B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017068846A JP6884341B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 土質判定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017068846A JP6884341B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 土質判定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018168655A JP2018168655A (ja) 2018-11-01
JP6884341B2 true JP6884341B2 (ja) 2021-06-09

Family

ID=64017736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017068846A Active JP6884341B2 (ja) 2017-03-30 2017-03-30 土質判定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6884341B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200173532A1 (en) * 2017-09-07 2020-06-04 Harmonic Drive Systems Inc. Wave bearing for strain wave gearing
CN109781310B (zh) * 2019-03-07 2023-11-24 重庆科技学院 土压力测试装置及测试方法
JP6967617B2 (ja) * 2020-01-30 2021-11-17 株式会社メーサイ 地質調査装置
JP7450454B2 (ja) 2020-05-13 2024-03-15 株式会社大林組 土質評価方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0621852B2 (ja) * 1987-05-11 1994-03-23 日立建機株式会社 土質判別装置
JPH02248838A (ja) * 1989-03-22 1990-10-04 Hitachi Constr Mach Co Ltd 土質判別装置
JP2000337070A (ja) * 1999-05-26 2000-12-05 Shimizu Corp 掘削または穿孔時の地質・地層変化の判定方法
JP2001021412A (ja) * 1999-07-12 2001-01-26 Shibaura Mechatronics Corp 音圧検知装置
JP3617036B2 (ja) * 2001-05-22 2005-02-02 ビイック株式会社 地盤探査装置及びそれに使用される解析プログラム
US6983208B2 (en) * 2003-11-24 2006-01-03 Mgd Technologies, Inc. Method and apparatus for combined measurements of concentration, distribution and flow velocity of suspended solids
US7152467B2 (en) * 2004-03-17 2006-12-26 Slaughter Scott H Parallel seismic depth testing using a cone penetrometer
JP6349591B2 (ja) * 2014-05-28 2018-07-04 学校法人日本大学 貫入試験システム、土質判定装置、貫入試験方法およびコンピュータプログラム
JP6622517B2 (ja) * 2015-08-27 2019-12-18 キヤノン株式会社 シート搬送装置および画像読取装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018168655A (ja) 2018-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6884341B2 (ja) 土質判定方法
JP6414222B2 (ja) 斜面監視システム、斜面安全性解析装置、方法およびプログラム
EP1793225A1 (en) Internal tree nondestructive inspection method and apparatus using acoustic tomography
EP3658868B1 (en) Apparatus and method for performing an impact excitation technique
JP6763394B2 (ja) 土質判定装置、土質判定方法及びプログラムを記憶する記録媒体
KR101731070B1 (ko) 낙추식 계장화 샤르피 충격 시험 장치
Lee et al. Evolution of the shear wave velocity during shaking modeled in centrifuge shaking table tests
McLaskey et al. Calibrated acoustic emission system records M− 3.5 to M− 8 events generated on a saw-cut granite sample
WO2014097552A1 (ja) 地盤調査方法および地盤調査装置
JP5801696B2 (ja) 不安定岩塊の崩落危険度の評価方法
Manandhar et al. Liquefaction evaluation using frequency characteristics of acceleration records in KAIST centrifuge tests for LEAP
JP4071988B2 (ja) 打撃貫入に伴うs波振幅を用いた地盤調査方法
CN107476274A (zh) 一种标准贯入试验触探杆前端量测分析系统及方法
JP6832211B2 (ja) 地盤調査装置及び地盤調査方法
US9618436B2 (en) Automatic impulse hammer for characterization of mechanical properties of a material
Carroll et al. Variable rate of penetration and dissipation test results in a natural silty soil
JP2016080592A (ja) 表面検査方法および表面検査装置
JP2005180137A (ja) 動的載荷試験方法
Žaržojus et al. Energy transfer measuring in dynamic probing test in layered geological strata
Ertel et al. Advances in pile integrity testing
JP5714930B2 (ja) コンクリート系構造物の品質診断方法
JP7115045B2 (ja) 杭の健全性評価方法
JP4704848B2 (ja) 地盤改良評価装置及び地盤改良評価プログラム
JP2000214139A (ja) 打診音による弾塑性体の物性評価方法
Benz-Navarrete et al. Servo-assisted and computer-controlled variable energy dynamic super heavy penetrometer

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190724

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210413

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6884341

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250