以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
センター飾り8は、表示画面28、可動体31等を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の上部の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。表示画面28は、例えば、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄60(図24等参照)を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄60を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄60の組合せを確定表示する報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。可動体31は、表示画面28の上方に設けられている。可動体31は、可動部を動作させることで各種演出を行う。
センター飾り8の略中央下方には、第一始動口14が設けられている。第一始動口14の下方には、第二大入賞口17が設けられている。センター飾り8の右斜め下方には、普通図柄作動ゲート12が設けられている。普通図柄作動ゲート12の下方には、第二始動口15が設けられている。第二始動口15の左斜め下方には、第一大入賞口16が設けられている。第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17は、それぞれ開閉部材を備える。遊技球は、各開閉部材が開放された場合にのみ、第二始動口15、第一大入賞口16及び第二大入賞口17のそれぞれに入賞することができる。第二大入賞口17の内部には、特定領域17A、非特定領域(図示略)及び可動片(図示略)が設けられている。特定領域17A及び非特定領域は、第二大入賞口17に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。可動片は、第二大入賞口17の内部において、ソレノイド(図示略)によって電気的に動作する部材である。第二大入賞口17に入賞した遊技球は、可動片の動作に応じて特定領域17A及び非特定領域のいずれかを通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の電飾部材、入賞口、風車及び遊技くぎ等が設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下したものは、遊技盤2の下部に設けられたアウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED、普通図柄記憶数表示LED、及び右打ち報知LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄及び第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LED及び第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球である特別図柄保留球の個数である特別図柄保留数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通図柄保留数を表示する。右打ち報知LEDは、点灯することによって、右打ちで遊技を進行することが遊技者にとって有利な状態であることを表示する。
パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当たり遊技について説明する。大当たり遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。役物連続作動装置とは、大入賞口が連続して作動する大当たり遊技状態を生起させるための装置である。パチンコ機1において、条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合に作動する。以下、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態を、大当たり遊技状態という。
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり、小当たり及びはずれのいずれであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の各開閉部材が、所定の順で所定時間開放状態にされる大当たり遊技が実行される。
以下、大当たり遊技において第一大入賞口16の開閉部材又は第二大入賞口17の開閉部材が、連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。本実施形態では、1回の大当たりラウンド毎に、第二大入賞口17が所定時間で1回又は2回開放する。以下では、ラウンド数を「R」と示すことがある。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。本実施形態では、大当たり遊技において、第二大入賞口17が、1ラウンドにおける通算時間で最大0.1秒間又は最大28.0秒間開放する。
また、第二始動口15へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定では、大当たり又ははずれであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、大当たり遊技が実行される。
パチンコ機1は、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり判定において大当たりであると判定される確率が通常よりも高く変動している遊技状態である。非確変状態は、確変状態が設定されていない状態である。本実施形態では、大当たり判定によって大当たりと判定される大当たり確率が、非確変状態においては約1/300であり、確変状態においては約1/60である。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が第二大入賞口17内の特定領域17Aを通過することが、その大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。パチンコ機1は、特定領域17Aへの遊技球の通過を条件に、大当たり遊技の終了後に確率変動状態を設定する。
パチンコ機1では、確率変動状態において、特別図柄が変動する際に確率変動状態から非確率変動状態へ転落するか否かを決定するための転落抽せんが行われる。パチンコ機1の転落抽せんにおける転落確率(確率変動状態から非確率変動状態に転落する確率)は、1/130である。パチンコ機1の確率変動状態は、転落抽せんに当せんして確率変動状態から非確率変動状態へ転落する時点まで継続する。
ここで、転落抽せんは、大当たり判定における大当たりか否かの判定結果に係わらず、確率変動状態から非確率変動状態に転落させるか否かを決定するための抽せんである。転落抽せんは、大当たりか否かを決定するための大当たり乱数とは別に、確率変動状態から非確率変動状態へ転落させるか否かを決定するための転落乱数を用いて行われる。また、転落抽せんは、パチンコ機1が確変状態である場合、第一始動口14及び第二始動口15のいずれに遊技球が入賞した場合にも、大当たり判定に先だって、特別図柄の変動開始時に行われる。転落抽せんの結果、確変状態から非確変状態への転落が決定された場合、当該特別図柄の変動において、非確変状態で大当たり判定が行われる。一方、転落抽せんの結果、転落が決定されなかった場合、当該特別図柄の変動において、確変状態で大当たり判定が行われる。すなわち、確変状態では、特別図柄の変動のたびに、転落抽せんと大当たり判定とが行われる。非確変状態では、転落抽せんは行われない。
小当たり遊技について説明する。本実施形態では、第一大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、第一大入賞口16の開閉部材が所定時間開放状態にされる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技は、一般に、遊技者における有利度が、大当たり遊技に比較して小さい遊技である。大当たり判定の判定結果が小当たりであると判定された時点では、条件装置は作動しないので、役物連続作動装置も作動しない。また、小当たり遊技の前後において、遊技状態は変化しない。本実施形態の小当たり遊技は、第一大入賞口16の開閉部材が最大0.8秒間の開放を実行することで終了する。小当たり遊技においては、大当たりラウンドが繰り返して行われる大当たり遊技とは異なり、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の各開閉部材が所定回数繰り返して開放状態にされない。なお、小当たり遊技における第二大入賞口17の開閉部材の1回の開放が、複数回の開放によって構成されることは妨げられない。本実施形態では、第二大当たり判定において小当たりであると判定される確率は、遊技状態が確変状態及び非確変状態のいずれであるかに係わらず約1/60である。以下では、大当たり遊技及び小当たり遊技を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合に、単に当たり遊技ともいう。
普通当たり遊技について説明する。本実施形態では、普通図柄作動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定によって当たりであると判定されると、第二始動口15の開閉部材が所定時間開放状態にされる普通当たり遊技が実行される。
パチンコ機1は、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が通常の割合である非時短状態と、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材が開放される割合が高くなる時短状態とのいずれかを設定することができる。時短状態において普通当たり判定によって当たりであると判定される確率(本実施形態では99/100)は、非時短状態において普通当たり判定によって当たりであると判定される確率(本実施形態では4/100)よりも高い。また、普通当たり遊技中の第二始動口15の開閉部材の最大開放時間は、非時短状態(0.2秒)よりも時短状態(4.2秒)の方が長い。さらに、普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。よって、遊技者は、時短状態において、第一始動口14よりも第二始動口15に容易に遊技球を入賞させることができる。したがって、時短状態中は、右打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる。一方、非時短状態においては、第二始動口15の開閉部材が開放状態にされる割合が時短状態よりも低くなるので、遊技者は、第二始動口15よりも第一始動口14に容易に遊技球を入賞させることができる。したがって、非時短状態中は、左打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる。
本実施形態では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したか否か、及び後述する大当たり種別に応じて、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるか否かが決定される。大当たり遊技終了後に時短状態が設定されることが決定された場合には、設定された時短状態の継続条件が、大当たり種別に応じて決定される。大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるか否か、また、大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合の時短状態の継続条件の詳細については後述する。
パチンコ機1は、これら確変状態、非確変状態、時短状態及び非時短状態を組み合わせて、複数種類の遊技状態を設定できる。本実施形態では、大当たり遊技の終了後に、確変状態と時短状態との組合せによる「確変時短状態」、非確変状態と時短状態との組合せによる「非確変時短状態」、非確変状態と非時短状態との組合せによる「通常状態(非確変非時短状態)」のいずれかが設定される。また、時短状態の継続条件に応じて、大当たり遊技の終了後に設定された時短状態が、判定回数が所定の時短回数に達することで終了し、非時短状態へ移行することがある。判定回数とは、大当たり遊技終了後に実行された大当たり判定の回数(第一大当たり判定の回数と第二大当たり判定の回数との和)である。また、確変状態が設定されている場合に転落抽せんに当せんすることで確率変動状態から非確率変動状態へ転落することに伴い、設定されている時短状態が終了し、非時短状態へ移行することがある。なお、パチンコ機1における初回電源投入後の初期状態には、通常状態が設定される。このように、パチンコ機1は、「通常状態」、「確変時短状態」及び「非確変時短状態」の3種類の遊技状態を備える。この他、パチンコ機1は、確変状態と非時短状態との組合せによる「確変非時短状態」等を含めた4種類以上の遊技状態を備えてもよい。また、パチンコ機1の備える遊技状態が2種類以下であってもよい。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ73及び第二始動口スイッチ74に接続している。出力ポート55は、遊技場管理用コンピュータ(図示略)にパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ73は、第一始動口14の入口に設けられ、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ74は、第二始動口15の入口に設けられ、第二始動口15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、可動体31及び電飾基板34に接続している。電飾基板34は、例えばLEDを搭載しており、前述の各種の電飾部材の内部に設けられている。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、可動体31による各種演出動作及び電飾基板34の発光動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。CGROM432は、表示画面28の表示に必要な画像データ等を記憶する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47は、普通電動役物開閉ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、可動片ソレノイド72、ゲートスイッチ75、第一大入賞口スイッチ76、第二大入賞口スイッチ77、特定領域スイッチ78、非特定領域スイッチ79及び図柄表示部24に接続している。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。第一大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、大当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材を開閉する。可動片ソレノイド72は、大当たり遊技の特定のラウンド(本実施形態では6R目)において第二大入賞口17内の可動片(図示略)を動作させる。ゲートスイッチ75は、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。第一大入賞口スイッチ76は、第一大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。第二大入賞口スイッチ77は、第二大入賞口17に入賞した遊技球を検出する。特定領域スイッチ78は、特定領域17Aを通過した遊技球を検出する。非特定領域スイッチ79は、非特定領域を通過した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52に設けられている第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図10から図12参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。本実施形態では、第一大当たり関係情報記憶エリアに、No.「1」から「4」の4つの記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留数のうち第一始動口14への入賞による第一保留数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
第一保留数とは、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行、変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、記憶可能な第一保留数の上限である最大第一保留数は「4」である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、判定エリア(図示略)にシフトする。判定エリアは、大当たり判定を行う乱数を格納するために、RAM52に設けられている記憶エリアであり、第一大当たり判定と第二大当たり判定とで共通に用いられる。CPU51は、判定エリアにシフトされた乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以下に記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。以降は、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が順次判定エリアにシフトされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理とは、例えば、大当たり判定結果を報知する報知演出、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技に関する処理である。なお、判定エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。大当たり乱数とともに取得されて第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して第一乱数ともいう。
第一大当たり関係情報記憶エリアの各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄、及び転落決定カウンタの値が記憶される転落乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。転落乱数は、確率変動状態から非確率変動状態へ転落するか否かを決定するために用いられる。
図示しないが、RAM52には、第二大当たり関係情報記憶エリアが設けられている。第二大当たり関係情報記憶エリアは、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、特別図柄処理において使用される。本実施形態では、第二大当たり関係情報記憶エリアに、No.「1」から「4」の4つの記憶エリアが設けられている。第二始動口15へ遊技球が入賞した際に、特別図柄保留数のうち第二始動口15への入賞による第二保留数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。第二保留数とは、第二始動口15へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行、変動パターンの決定等が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。すなわち、本実施形態において、記憶可能な第二保留数の上限である最大第二保留数は「4」である。大当たり乱数とともに取得されて第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して第二乱数ともいう。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数を、判定エリア(図示略)にシフトする。CPU51は、判定エリアにシフトされた第二乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、大当たり判定等の処理が終了した後に消去される。また、最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされると、次の番号以下に記憶されている乱数が、1つ小さな番号の記憶エリアにシフトされる。
記憶エリアには、第二大当たり判定カウンタの値が記憶される第二大当たり乱数欄、第二特別図柄決定カウンタの値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び第二変動パターン決定カウンタの値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。第二始動口15に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第二大当たり乱数は、第二大当たり判定のために用いられる。第二特別図柄決定乱数は第二特別図柄を決定するために用いられる。第二変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される第二特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
パチンコ機1において、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかの変動開始に同期して、演出図柄60の変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄又は第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄60を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄60による他、表示画面28、可動体31、電飾部材、スピーカ48等によっても、特別図柄の変動時間と同期した報知演出を実行する。
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一特別図柄決定乱数数及び第二特別図柄決定乱数を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、特別図柄決定乱数ともいう。
なお、RAM52には、普通図柄作動ゲート12を遊技球が通過する時点に取得される普通当たり乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。本実施形態では、普通当たり関係情報記憶エリアに4つの記憶エリアが設けられており、最大普通保留数は「4」である。記憶エリアには、普通当たり判定カウンタの値が記憶される普通当たり乱数欄、普通図柄決定カウンタの値が記憶される普通図柄決定乱数欄が設けられている。普通当たり乱数は、普通当たり判定のために用いられる。普通図柄決定乱数は、普通当たり図柄を決定するために用いられる。普通当たり乱数とともに取得されて普通当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して普通乱数ともいう。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果が大当たり又は小当たりであることを示す第一特別図柄、及び第二大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第二特別図柄を、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。本実施形態では、第一特別図柄は、「8R大当たりA」、「8R大当たりB」、「16R大当たりA」及び「16R大当たりB」の4種類の大当たり種別と、「小当たりA」の1種類の小当たり種別とを含む。第二特別図柄は、「8R大当たりC」及び「16R大当たりC」の2種類の大当たり種別を含む。大当たり種別は、大当たり判定の結果が大当たりであること示す特別図柄の種別である。小当たり種別は、大当たり判定の結果が小当たりであることを示す特別図柄の種別である。各大当たり種別における「8R」及び「16R」は、各大当たり種別に対応する大当たりラウンドのラウンド数である「R」に対応している。
特別図柄決定テーブルでは、大当たり種別及び小当たり種別のそれぞれに、特別図柄決定乱数の値(0〜99)が対応付けられている。第一特別図柄の大当たり種別の割合は、「8R大当たりA」が20%、「8R大当たりB」が20%、「16R大当たりA」が30%、「16R大当たりB」が30%である。第一特別図柄の小当たり種別の割合は、「小当たりA」が100%である。第二特別図柄の大当たり種別の割合は、「8R大当たりC」が40%、「16R大当たりC」が60%である。
本実施形態では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したか否か、及び後述する大当たり種別に応じて、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるか否か、また設定された時短状態の継続条件が定められている。
第一特別図柄の大当たり種別である「8R大当たりA」、「8R大当たりB」、「16R大当たりA」及び「16R大当たりB」のいずれかが決定された場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときには、大当たり遊技の終了後に確変状態及び時短状態(確変時短状態)が設定される。第一特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定されたことに応じて設定された時短状態は、大当たり遊技終了後の判定回数が時短回数である70回に達するまで、又は次回の大当たり遊技が開始されるまでの間継続する。この場合において、判定回数が時短回数に達したとき、確変状態が維持されており、確変時短状態が設定されていれば、以降、確変状態が継続する間、確変時短状態が継続する。一方、判定回数が時短回数に達するまでの間に転落抽せんに当せんしたときには、確変状態から非確変状態に転落する。この場合、時短状態が維持された状態で確変状態から非確変状態に転落することにより、非確変時短状態が設定される。すなわち、大当たり遊技の終了後から転落抽せんに当せんするまでの間は確変時短状態が設定され、転落抽せんに当せんしてから時短回数に達するまでの間は非確変時短状態が継続する。その後は時短回数到達後に時短状態が終了し、通常状態(非確変非時短状態)が設定される。また、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過していないときには、大当たり遊技の終了後に非確変状態及び時短状態(非確変時短状態)が設定され、判定回数が時短回数に達することで時短状態が終了し、通常状態(非確変非時短状態)が設定される。このように、第一特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定された場合には、大当たり遊技終了後に70回の時短状態が保障される。第一大当たり判定によって大当たりであると判定された場合のことを、以下では「特1大当たり」ともいう。特1大当たりの大当たり種別のように、確変状態が設定されているか否かを問わず、時短回数に到達するまでの間に時短状態の継続が保障されている大当たり種別を、以下では、「時短保証大当たり」ともいう。なお、パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときに、特段に演出等による報知が行われない。したがって、遊技者は、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したか否かを把握しないまま、遊技を進行することがある。
第二特別図柄の大当たり種別である「8R大当たりC」及び「16R大当たりC」のいずれかが決定された場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときには、大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される。第二特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定されたことに応じて設定された時短状態は、確変状態が継続する間に設定され、確変状態が終了することに同期して終了する。したがって、第二特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定され、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときには、大当たり遊技終了後に設定された時短状態は、転落抽せんに当せんするまで、又は次回の大当たり遊技が開始されるまでの間継続する。また、第二特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定された場合において、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときには、大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されず、非確変状態が設定される。この場合、時短状態は設定されない。すなわち、第二特別図柄の大当たり種別のいずれかが決定された場合において、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときには、大当たり遊技の終了後に通常状態(非確変非時短状態)が設定される。第二大当たり判定によって大当たりであると判定された場合のことを、以下では「特2大当たり」ともいう。第2大当たりの大当たり種別のように、大当たり遊技の終了後に確変状態が継続されている間に限り時短状態が継続する大当たり種別を、以下では、「時短保証なし大当たり」ともいう。
特別図柄決定テーブルは、大当たり遊技又は小当たり遊技における第一大入賞口16、第二大入賞口17の開放パターンを、大当たり種別及び小当たり種別毎に定めている。大当たり遊技の開放パターンは、パターンA〜Dを含む。「8R大当たりA」にはパターンAが、「8R大当たりB」及び「8R大当たりC」にはパターンBが、「16R大当たりA」にはパターンCが、「16R大当たりB」にはパターンDが、「16R大当たりC」にはパターンEが、それぞれ関連付けられている。なお、本実施形態では、小当たり種別が1種類であり、小当たり遊技の開放パターンは1種類(第一大入賞口16が、0.8秒間の開放を1回)である。
パターンAは、1R目の大当たりラウンドで、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回、27.9秒間の開放を1回行う。2〜5R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。6R目の大当たりラウンドで、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回行う。7,8R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。パターンBは、1R目の大当たりラウンドで、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回行う。2〜6R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。7R目の大当たりラウンドで、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回、27.9秒間の開放を1回行う。8R目の大当たりラウンドのでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。
パターンCは、1〜8R目の大当たりラウンドでは、第二大入賞口17がパターンAと同様の開放を行い、9〜16R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。パターンDは、1〜8R目の大当たりラウンドでは、第二大入賞口17がパターンBと同様の開放を行い、9〜16R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。パターンEは、1R目の大当たりラウンドで、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回、27.9秒間の開放を1回行い、2〜16R目の大当たりラウンドのそれぞれでは、第二大入賞口17が、28.0秒間の開放を1回行う。
本実施形態では、6R目の大当たりラウンドにのみ、可動片が特定領域17Aに遊技球を誘導可能に作動し、6R目以外の大当たりラウンドでは、可動片が特定領域17Aを閉塞し、遊技球が非特定領域のみを通過するように作動する。パターンA〜Dでは、第二大入賞口17が、0.1秒間の開放を1回、27.9秒又は28.0秒間の開放を5回、0.1秒間の開放を1回、それぞれ行う。パターンA,Cでは、1回の大当たり遊技における2回目の0.1秒間の第二大入賞口17の開放が、6R目の大当たりラウンドにおける第二大入賞口17の開放に相当する。この場合、6R目の大当たりラウンドに第二大入賞口17に遊技球が入賞することがほとんどない。このため、パターンA,Cに対応する「8R大当たりA」及び「16R大当たりA」が決定された場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過することがほとんどない。したがって、「8R大当たりA」及び「16R大当たりA」が決定された場合、大当たり遊技の終了後に、実質的に非確変時短状態のみが設定される。
パターンB,Dでは、1回の大当たり遊技における2回目の0.1秒間の第二大入賞口17の開放が、7R目の大当たりラウンドにおける第二大入賞口17の開放の一部に相当し、6R目の大当たりラウンドおいては第二大入賞口17が28.0秒間の開放を行う。この場合、6R目の大当たりラウンド中に第二大入賞口17に向けて遊技球が発射されれば、第二大入賞口17に遊技球がほぼ100%の割合で入賞する。この場合、6R目の大当たりラウンドに第二大入賞口17に入賞した遊技球は、ほぼ100%の割合で特定領域17Aを通過する。なお、パターンEにおいても、6R目の大当たりラウンドで第二大入賞口17が28.0秒間の開放を行う。したがって、パターンB,D,Eに対応する「8R大当たりB」、「16R大当たりB」及び「16R大当たりC」が決定された場合、6R目の大当たりラウンド中に第二大入賞口17に向けて遊技球が発射されれば、大当たり遊技の終了後に、基本的に確変時短状態が設定される。
このように大当たり遊技における第二大入賞口17の開放パターンが設けられているので、第一大当たり判定が行われ、大当たりの判定結果が得られた場合、パターンA,Cのいずれかが決定される割合は50%、パターンB,Dいずれかが決定される割合は50%である。したがって、大当たり遊技中に遊技球の発射が中止されない限り、第一大当たり判定に起因する大当たり遊技が実行された場合、大当たり遊技の終了後に、約50%の割合で非確変時短状態が設定され、約50%の割合で確変時短状態が設定される。すなわち、第一大当たり判定が実行されたことにより大当たりの判定結果が得られた場合の確変突入率は、実質的に約50%である。一方、第二大当たり判定が行われ、大当たりの判定結果が得られた場合、パターンB,Eのいずれかの開放パターンが決定される。したがって、大当たり遊技中に遊技球の発射が中止されない限り、第二大当たり判定に起因する大当たり遊技が実行された場合、大当たり遊技の終了後に、約100%の割合で確変時短状態が設定される。すなわち、第二大当たり判定が実行されたことにより大当たりの判定結果が得られた場合の確変突入率は、実質的に約100%である。
図6及び図7を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、変動パターンが決定される時点における遊技状態(通常状態、確変時短状態又は非確変時短状態)及び大当たり判定による判定結果(大当たり、小当たり又ははずれ)に応じて、複数の変動パターンテーブルを設けている。複数の変動パターンテーブルのそれぞれには、複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンに変動パターン決定乱数の値(0〜511)が対応付けられている。
本実施形態では、変動パターン決定テーブルに、「T−ID」、「テーブル名」、「遊技状態」、「判定結果」、「変動パターン決定乱数」、「変動パターン名」、「変動時間(演出時間)」の各項目が設けられている。「T−ID」は、変動パターン決定テーブルにおける複数の変動パターンテーブルのそれぞれを識別する識別情報である。「テーブル名」は、T−IDに応じて定められる複数の変動パターンテーブルのそれぞれを識別する識別名である。「テーブル名」は、「T−ID」に対応する変動パターンテーブルが遊技において用いられる場面、「T−ID」に対応する変動パターンテーブルに割り当てられている変動パターンに基づいて実行される報知演出の種類等に応じて定められている。「遊技状態」は、T−ID及びテーブル名によって識別される各変動パターンテーブルが参照される遊技状態がいずれであるかを示す。「判定結果」は、大当たり判定による判定結果がいずれであるかを示す。「変動パターン決定乱数」は、各変動パターンに関連付けられている変動パターン決定乱数の値を示す。「変動時間(演出時間)」は、各変動パターンに定められている特別図柄の変動時間(すなわち、変動時間に対応する報知演出の演出時間)を示す。
大当たり判定が行われると、変動パターン決定テーブルに含まれる複数の変動パターンテーブルのうち、後述するシナリオによる指定、大当たり判定が行われるときに設定されている遊技状態、大当たり判定による判定結果に応じた変動パターンテーブルが参照される。参照された変動パターンテーブルに割り当てられている変動パターンのうちから、大当たり乱数とともに取得されている変動パターン決定乱数の値とに対応する変動パターン及び変動時間が決定される。なお、変動パターンが決定される時点は、大当たり判定が実行される時点であり、特別図柄の変動開始時点である。
図6に示すように、T−IDが「T−1」である変動パターンテーブルは、大当たり判定が行われた時点の遊技状態が通常状態である場合に参照される。T−1に対応する「通常」テーブルは、後述するシナリオによる指定に基づいて、又はシナリオが適用されていない通常状態において、参照される変動パターンテーブルである。また、「通常」テーブルは、パチンコ機1における初期状態に参照される。「通常」テーブルに基づいて変動パターンが決定される場合、大当たり判定の結果が大当たりであるときには、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンの決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄60のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。本実施形態では、3つの演出図柄60のうち左図柄61及び右図柄63が同じ数字を示して揺れ変動した状態で、中図柄62が変動を継続することで、リーチ状態が構成される(図28の(9)参照)。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、大当たり判定の結果が大当たりとなる期待度は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。なお、「通常」テーブルは、大当たり判定の結果が小当たりである場合の変動パターンとして「小当たり演出A」を設けている。
T−2に対応する「Aモード」テーブルは、第一大当たり判定によって大当たりであると判定されたことに応じて実行された大当たり遊技の終了後に、シナリオによる指定に応じて参照される変動パターンテーブルである。前述したように、第一大当たり判定が行われ、大当たりの判定結果が得られた場合、約50%の割合で確変時短状態が、約50%の割合で非確変時短状態が設定される。「Aモード」テーブルは、この確変時短状態及び非確変時短状態において、大当たり遊技終了後の判定回数が70回の時短回数に到達するまでの間、共通して参照される。「Aモード」テーブルは、「通常」テーブルと同様に、「リーチ演出F」から「リーチ演出H」の、大当りとなる期待度の異なる複数のリーチ演出の変動パターンを含む。また、「Aモード」テーブルは、「非リーチ」、「小当たり演出B」の各変動パターンも含む。「Aモード」テーブルが参照されて変動パターンが決定される期間には、確変状態か否かを明示しないで次回の大当たりを遊技者に期待させるAモードの報知演出が実行される。
T−3に対応する「Bモード」テーブルは、確変時短状態において主に参照される変動パターンテーブルである。特に、第二大当たり判定が実行されたことにより大当たりの判定結果が得られた場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときには、大当たり遊技の終了後に、シナリオによる指定に応じて「Bモード」テーブルが参照される。また、「Bモード」テーブルは、シナリオが指定されていない場合の確変時短状態において参照される。「Bモード」テーブルが参照されて変動パターンが決定される期間には、敵と味方の各キャラクタが戦う内容の報知演出が繰り返される、いわゆるバトル演出が実行される。本実施形態では、Bモードにおいて味方のキャラクタが勝利すると、大当たり遊技が実行され、大当たり遊技の終了後には再び確率変動状態が設定される可能性が高い。Bモードにおいて味方のキャラクタが敗北すると、確率変動状態よりも不利な遊技状態に移行する可能性がある。
「Bモード」テーブルは、第二大当たり判定によって大当たりであると判定された場合と、第一大当たり判定によって大当たりであると判定された場合と、第一大当たり判定によって小当たりであると判定された場合と、大当たり判定によってはずれであると判定された場合とのそれぞれに対応する変動パターンを定義している。遊技者は時短状態中には主に右打ちで遊技を進行するので、確変時短状態には第二大当たり判定が主に行われる。特2大当たりの場合、大当たり遊技の6R目の大当たりラウンド中に第二大入賞口17に向けて遊技球が発射されれば、大当たり遊技の終了後に、確変時短状態が設定される可能性が高い。大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合には、この大当たり遊技の終了後には、再びBモードによる遊技が進行する。したがって、特2大当たりの場合の変動パターンとして、遊技者にとって有利な大当たりであることを示す報知演出である3種類の勝利演出に対応する「勝利演出A」〜「勝利演出C」が設けられている。「勝利演出」では、演出図柄60がリーチ状態を構成し、味方と敵の各キャラクタがバトル演出を行う。そして、味方のキャラクタがバトルに勝利する演出が実行された後、左図柄61、中図柄62、右図柄63のそれぞれが同じ数字を示して停止する、いわゆるゾロ目の演出図柄60の組合せが確定表示される。その後、大当たり遊技が実行される。以下では、「勝利演出A」〜「勝利演出C」を総称して、単に「勝利演出」ともいう。
一方、Bモードにおいて特1大当たりの場合、大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定される割合が約50%であり、非確変時短状態が設定される割合が約50%である。本実施形態では、確変時短状態中に特1大当たりであると判定された場合、特1大当たりに対応する大当たり遊技の終了後にAモードが設定される。すなわち、Bモードにおいて特1大当たりの場合、遊技者にとって最も有利な遊技状態が継続しない可能性がある。したがって、特1大当たりの場合の変動パターンとして、味方のキャラクタが敵のキャラクタに敗北する「敗北演出」の変動パターンが設けられている。Bモードにおいて特1大当たりの場合に実行される敗北演出では、演出図柄60がリーチ状態を構成し、味方と敵の各キャラクタがバトル演出を行う。そして、味方のキャラクタがバトルに敗北する演出が実行された後、左図柄61、中図柄62、右図柄63のそれぞれが同じ数字を示して停止する、いわゆるゾロ目の演出図柄60の組合せが確定表示される。その後、大当たり遊技が実行される。
また、Bモードにおいて大当たり判定の結果がはずれである場合、「はずれ演出」、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の各変動パターンが設けられている。「はずれ演出」、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」は、いずれも非リーチの変動パターンである。「はずれ演出」は、大当たり判定の結果がはずれであることを報知する報知演出である。「はずれ演出」では、演出図柄60が変動を開始し、所定時間の変動を継続した後、リーチ状態に至ることなく、左図柄61、中図柄62、右図柄63のそれぞれが異なる数字を示して停止する、いわゆるバラケ目の演出図柄60の組合せが確定表示される(図29の(13)参照)。「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」も、大当たり判定の結果がはずれであることを報知する報知演出である。「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」では、演出図柄60が変動を開始し、所定時間の変動を継続した後、左図柄61と右図柄63とが同じ数字を示してリーチ状態を構成するかのような動作をした後、リーチ状態が構成されず、バラケ目の演出図柄60の組合せが確定表示される(図29の(12)、(13)参照)。パチンコ機1は、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の変動パターンをはずれの変動パターンに設けることで、リーチ状態に至るか否か、すなわち、「敗北演出」又は「勝利演出」のいずれかが実行されるかどうかを煽ることができる。よって、パチンコ機1は、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の変動パターンを決定することで、大当たり判定の結果がはずれであっても、大当たり判定の結果が大当たりであることを遊技者に期待させることができる。なお、「Bモード」テーブルは、大当たり判定の結果が小当たりである場合の変動パターンとして「小当たり演出D」を設けている。小当たり遊技の前後において遊技状態は変動しないので、Bモードにおいて大当たり判定によって小当たりであると判定されて小当たり演出Dが実行された後には、Bモードが継続する。
T−4に対応する「特殊モード」テーブルは、第二大当たり判定によって大当たりであると判定されたことに応じて実行された大当たり遊技中に、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その大当たり遊技の終了後に、シナリオによる指定に応じて参照される変動パターンテーブルである。また、「特殊モード」テーブルは、特2大当たり遊技終了後に設定される確変時短状態において、転落抽せんに当せんした場合にも参照される。本実施形態では、特2大当たりの場合に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときの大当たり遊技の終了直後の1回の報知演出を決定するために参照される。「特殊モード」テーブルは、特2大当たりの場合と、特1大当たり、小当たり又ははずれの場合とのそれぞれに対応する変動パターンを定義している。「特殊モード」テーブルは、特2大当たりの場合の変動パターンとして、「勝利演出A」〜「勝利演出C」を設けている。また、「特殊モード」テーブルは、特1大当たり、小当たり又ははずれの場合の変動パターとして「敗北演出」を設けている。すなわち、「特殊モード」テーブルは、「Bモード」テーブルに含まれる変動パターンのうち、バトル演出において味方のキャラクタが敵のキャラクタに勝利する「勝利演出」、又はバトル演出において味方のキャラクタが敵のキャラクタに敗北する「敗北演出」のみを含むテーブルである。
なお、特1大当たりの場合に敗北演出が実行されるときには、味方のキャラクタがバトルに敗北する演出が実行された後、ゾロ目の演出図柄60の組合せが確定表示されて、大当たり遊技が実行される。
図8を参照して、ROM53に記憶されているシナリオ選択テーブルについて説明する。シナリオ選択テーブルは、変動パターンの決定において参照する変動パターンテーブルを定義するシナリオを、複数定義するテーブルである。シナリオ選択テーブルには、「シナリオ種類」、「シナリオ開始条件」、「遊技状態」、「変動パターンテーブル」、「変動回数」の各項目が設けられている。
「シナリオ種類」は、シナリオ選択テーブルに設けられる複数のシナリオの種類を示す。本実施形態では、「シナリオ1」から「シナリオ3」の3種類のシナリオが、シナリオ選択テーブルに設けられている。「シナリオ開始条件」は、各シナリオの適用を開始する条件を示す。本実施形態では、シナリオ1は、特1大当たりの場合に実行される大当たり遊技終了後に適用が開始される。以下、特1大当たりの場合に実行される大当たり遊技を、「特1大当たり遊技」という。すなわち、シナリオ1は、特1大当たり遊技終了後の変動パターンテーブルを指定する。シナリオ2は、特2大当たりの場合に実行される大当たり遊技において、遊技球が特定領域17Aを通過したときに、その大当たり遊技の終了後に適用が開始される。以下、特2大当たりの場合に実行される大当たり遊技を、「特2大当たり遊技」という。すなわち、シナリオ2は、遊技球が特定領域17Aを通過した特2大当たり遊技終了後の変動パターンテーブルを指定する。シナリオ3は、特2大当たり遊技において、遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときに、その大当たり遊技の終了後に適用が開始される。すなわち、シナリオ3は、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった特2大当たり遊技終了後の変動パターンテーブルを指定する。このように、パチンコ機1では、特2大当たりの場合、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過するか否かに応じて、特2大当たり遊技終了後に適用されるシナリオが異なる。
「遊技状態」は、各シナリオが適用される遊技状態を示す。前述したように、特1大当たり遊技の終了後には、約50%の割合で非確変時短状態が設定され、約50%の割合で確変時短状態が設定される。シナリオ1は、特1大当たり遊技の終了後に設定される非確変時短状態又は確変時短状態の双方において適用される。シナリオ2は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときに、特2大当たり遊技の終了後に設定される確変時短状態において適用される。シナリオ3は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときに、特2大当たり遊技の終了後に設定される非確変時短状態(通常状態)において適用される。なお、本実施形態では、シナリオが適用されていない状態では、確変時短状態に「Bモード」テーブルが、通常状態に「通常」テーブルが、それぞれ参照されることが、予め定められている。
「変動パターンテーブル」は、シナリオが参照を指定する変動パターンテーブルを、「T−ID」及び「テーブル名」で示す。変動回数は、シナリオによって指定される変動パターンテーブルが参照されて変動パターンが決定される回数を示す。したがって、シナリオ1は、特1大当たりと判定されることを条件に実行される特1大当たり遊技の終了後に、T−IDが「T−2」である「Aモード」テーブルを指定する。その後、Aモードテーブルが参照されて、最長70回の報知演出に亘り、変動パターンが決定される。この70回の変動回数は、本実施形態の時短回数に相当するので、特1大当たり遊技の終了後に最長70回継続する時短状態の間において、Aモードテーブルが参照されて変動パターンが決定される。
シナリオ2は、特2大当たりと判定されることを条件に実行される特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合に、その特2大当たり遊技の終了後に、T−IDが「T−3」である「Bモード」テーブルを指定する。この「Bモード」テーブルに関連付けられる変動回数は「−(指定なし)」となっている。このことは、確変時短状態が継続する間は、Bモードテーブルの参照が継続されることを意味する。本実施形態では、特2大当たり遊技の終了後の確変状態中に転落抽せんに当せんすることで、確率変動状態から非確率変動状態へ転落した場合には、時短状態も終了する。この場合、確変時短状態から通常状態に移行するタイミングでシナリオ2の適用が終了し、以降は「通常」テーブルが参照される。
シナリオ3は、特2大当たりと判定されることを条件に実行される特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その特2大当たり遊技の終了後に、T−IDが「T−4」である「特殊モード」テーブルを指定する。この「特殊モード」テーブルに関連付けられる変動回数は「1」回となっている。このことは、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その特2大当たり遊技の終了直後の1回の変動パターンの決定において特殊モードテーブルが参照されることを意味する。特殊モードテーブルが参照されて変動パターンが1回決定されると、シナリオ3の適用が終了し、以降は通常状態に応じた「通常」テーブルが参照される。
図9を参照して、パチンコ機1における遊技状態及び演出モードの遷移について説明する。以下では、パチンコ機1における初期状態から遊技を開始して、初めて大当たりした場合を例に、遊技状態及び演出モードの遷移について説明する。以下では、通常テーブルが参照される期間を通常モード、Aモードテーブルが参照される期間をAモード、Bモードテーブルが参照される期間をBモード、特殊モードテーブルが参照される期間を特殊モードという。演出モードは、通常モード、Aモード、Bモード、特殊モードを含む。通常モードのうち、Aモード、Bモード、又は特殊モードから移行した直後の状態を、特に、「モード終了」という。「モード終了」では、通常モードと同様に、通常テーブルが参照されて変動パターンが決定される。「モード終了」では、有利な状態が終了したことを示唆する背景画像等が、サブ制御基板58によって適用される。本実施形態では、「モード終了」は、特殊モード又はBモードから移行した直後の数回の報知演出について適用される。
パチンコ機1における初期状態には、通常状態が設定される。前述したように、通常状態は、左打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる遊技状態であるので、遊技者は左打ちによって第一始動口14に向けて遊技球を発射させることで、遊技を進行する。また、パチンコ機1は、遊技者が左打ちで遊技を進行するよう、通常状態において、表示画面28及びスピーカ48等を用いて左打ち報知を実行する。左打ち報知は、左打ち指示及び左打ち警告を含む。左打ち指示は、時短状態から通常状態に移行したとき等、右打ちが有利な状態から左打ちが有利な状態に遊技状態が移行したことを遊技者に報知し、左打ちで遊技を進行することを遊技者に指示するための各種の報知である。左打ち警告は、左打ちが有利な状態において誤って右打ちが行われていることが検出された場合に、誤った遊技である右打ちから、正しい遊技である左打ちに遊技球の発射を戻すよう、遊技者に促すための各種の報知である。このため、左打ち報知は、非時短状態が設定されていることを特定可能な情報である。本実施形態では、パチンコ機1は、通常状態中に普通図柄作動ゲート12を遊技球が通過した場合に、通常状態中に右打ちが行われていると検出する。このため、通常状態においては、第一大当たり判定が主に実行される。左打ちされた遊技球が第二始動口15に入賞する可能性は非常に低い。よって、時短状態から通常状態に移行したとき等、第二保留数が1以上である状態で通常状態に突入した場合を除いて、通常状態において第二大当たり判定が実行されることは稀である。したがって、通常状態での大当たりは、主に特1大当たりとなる。
通常状態においては、通常モードによる遊技が進行する。第一大当たり判定によって特1大当たりであると判定されると、特1大当たり遊技が実行される(矢印a参照)。遊技者は、大当たり遊技中に開放される第二大入賞口17には、右打ちされた遊技球が入賞可能である。したがって、大当たり遊技中は右打ちが有利な状態であり、遊技者は、第二大入賞口17に遊技球を入賞させるため、右打ちにて遊技を進行する。特1大当たりと判定された場合、特1大当たりにおける開放パターンとして、パターンA,Cのいずれかが決定される割合は50%、パターンB,Dいずれかが決定される割合は50%である。このため、特1大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過する場合と、通過しない場合とがある。この結果、特1大当たり遊技終了後に、約50%の割合で確変時短状態が、約50%の割合で非確変時短状態が、それぞれ設定される。特1大当たり遊技終了後には、シナリオ1が適用されるので、特1大当たり遊技終了後に確変時短状態及び非確変時短状態のいずれが設定されても、Aモードテーブルが参照される。すなわち、特1大当たり遊技終了後は、特1大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過するか否かに係わらず、Aモードに突入する(矢印b参照)。
Aモード中において、確変状態が設定されている場合には、毎回の大当たり判定に先立って、転落抽せんが行われる。転落抽せんに当せんした場合、確変状態から非確変状態に転落するので、遊技状態が確変時短状態から非確変時短状態に移行する。本実施形態では、Aモード中に確変時短状態から非確変時短状態に遊技状態が移行することに伴って、転落したことを報知する特段の演出は行われない。
特1大当たり遊技終了後には、確変時短状態及び非確変時短状態のいずれが設定されても、特1大当たり遊技終了後の判定回数が時短回数である70回に達するまで、又は次回の大当たり遊技が開始されるまでの間、時短状態が維持される。Aモードの変動回数も70回に設定されているので、特1大当たり遊技終了後の判定回数が時短回数である70回に達するまで、又は次回の大当たり遊技が開始されるまでの間、Aモードが適用される。
時短状態は、右打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利となる遊技状態であるので、遊技者は右打ちによって第二始動口15に向けて遊技球を発射させることで、遊技を進行する。また、パチンコ機1は、遊技者が右打ちで遊技を進行するよう、Aモード中において、表示画面28及びスピーカ48等を用いて右打ち報知を実行する。右打ち報知は、右打ち指示及び右打ち警告を含む。右打ち指示は、通常状態から時短状態に移行したとき等、左打ちが有利な状態から右打ちが有利な状態に遊技状態が移行したことを遊技者に報知し、右打ちで遊技を進行することを遊技者に指示するための各種の報知である。右打ち警告は、右打ちが有利な状態において誤って左打ちが行われていることが検出された場合に、誤った遊技である左打ちから、正しい遊技である右打ちに遊技球の発射を戻すよう、遊技者に促すための各種の報知である。このため、右打ち報知は、時短状態が設定されていることを特定可能な情報である。本実施形態では、パチンコ機1は、時短状態中に第一始動口14に遊技球が入賞した場合に、時短状態中に左打ちが行われていると検出する。このため、時短状態においては、第二大当たり判定が主に実行される。例えば、第一保留数が1以上であり、第二保留数が0である場合等を除いて、時短状態において第二大当たり判定の実行頻度は、第一大当たり判定の実行頻度よりも高い。したがって、時短状態での大当たりは、主に特2大当たりとなる。なお、Aモードにおいて特1大当たりであると判定された場合、特1大当たり遊技が実行され(矢印e参照)、特1大当たり遊技の終了後には、再びAモードが適用される(矢印f参照)。
Aモードにおいて大当たり判定によって特2大当たりであると判定された場合、特2大当たり遊技が実行される(矢印g参照)。特2大当たり遊技中は、右打ちが有利な状態であるので、右打ち報知が実行される。特2大当たり遊技では、パターンB,Dのいずれかの開放パターンで第二大入賞口17が開放されるので、特2大当たり遊技中に右打ちによって第二大入賞口17に向けて遊技球が発射されれば、第二大入賞口17に遊技球がほぼ100%の割合で入賞する。したがって、特2大当たり遊技の終了後には、主に確変時短状態が設定される(矢印h参照)。この場合、シナリオ3が適用されるので、Bモードによる遊技が進行する。なお、本実施形態では、Aモードにおける判定回数が時短回数に達したときに、確変時短状態であれば、演出モードがAモードからBモードに移行する(矢印d参照)。
Bモードは時短状態が設定されているので、右打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利であり、遊技者は右打ちによって第二始動口15に向けて遊技球を発射させることで、遊技を進行する。Bモードは確変状態が設定されているので、毎回の大当たり判定の実行に先立って、転落抽せんが行われる。本実施形態では、Bモードにおいて転落抽せんに当せんした場合には、特殊モードテーブルが参照されて、変動パターンが決定される。転落抽せんに当せんした場合、確変状態が転落して非確変状態に移行しているので、本実施形態の大当たり確率では、主にはずれであると判定される。この場合、特殊モードテーブルに基づいて「敗北演出」の変動パターンが決定されて(矢印i参照)、遊技状態は通常状態に移行する(矢印j参照)。なお、転落抽せんに当せんした場合に小当たりであると判定されたときにも、特殊モードテーブルに基づいて「敗北演出」の変動パターンが決定される(矢印i参照)。この場合、「敗北演出」の後に小当たり遊技が実行されて、遊技状態は通常状態に移行する(矢印j参照)。この通常状態においては、数回の報知演出が実行される間、「モード終了」が適用される。なお、Aモードにおいて判定回数が時短回数に達した場合に、非確変時短状態であれば、時短状態が終了し、遊技状態が非確変時短状態から通常状態に移行する(矢印c参照)。この場合も、「モード終了」が適用される。Aモードにおいて判定回数が時短回数に達したときの遊技状態が非確変時短状態である場合には、Aモードに確変時短状態で突入した後、Aモード中に転落抽せんに当せんし、時短状態を維持して確変状態から非確変状態に転落した場合と、Aモードに非確変時短状態で突入した後、大当たりすることなく判定回数が時短回数に到達した場合とが含まれる。
また、Bモードでは、転落抽せんに当せんすると、即時に確変状態から非確変状態に転落する。Bモードでは、確変状態から非確変状態に転落すると同時に時短状態が終了するので、転落抽せんに当せんすると、即時に非確変非時短状態が設定される。この場合、時短状態に繰り返されていた第二始動口15の開閉動作が即時に終了するので、何らの工夫を施さないままでは、転落抽せんに当選したことが、第二始動口15の開閉動作の終了により遊技者に判別されてしまう。この点、本実施形態では、Bモードにおいて大当たり判定によって大当たりであると判定された場合にも、即時に時短状態が終了する。すなわち、大当たりか転落かに応じてバトル演出を実行する際に、大当たり及び転落のいずれの結果であっても、バトル演出の開始時点に時短状態が即時に終了する。したがって、バトル演出が実行されるときに、第二始動口15の開閉動作の見た目によって、大当たりか転落かが遊技者に判別されることがない。したがって、パチンコ機1は、転落抽せんに当せんすることで時短状態が終了する場合であっても、バトル演出の開始直後に遊技者の期待感が損なわれることを防止できる。
このように、本実施形態では、Bモードにおいてバトル演出である「敗北演出」又は「勝利演出」の実行当初に時短状態が終了するので、「敗北演出」又は「勝利演出」中に右打ち報知が行われることはない。また、Bモードにおいて「敗北演出」又は「勝利演出」中に左打ち報知も行われない。パチンコ機1は、Bモードにおいて転落抽せんに当せんするか、大当たり判定によって大当たりであると判定されたことにより時短状態が終了していることを特段に報知しない。
Bモードでは、大当たり判定の結果がはずれである場合に「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の各変動パターンが設けられている。「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の各変動パターンによる報知演出が実行される場合、確変時短状態が継続中であるので、通常であれば、右打ち報知が実行される。一方で、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」は、「敗北演出」又は「勝利演出」のいずれかが実行されるかどうかを煽る演出である。このため、パチンコ機1は、Bモードにおいて「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の各変動パターンが決定された場合、右打ち報知を実行しないこととしている。したがって、右打ち報知の実行の有無によって、「敗北演出」、「勝利演出」、「リーチ煽り」演出の何れが実行されるのか、報知演出の開始当初では判別がつかない。これにより、パチンコ機1は、大当たり判定の結果が大当たり又ははずれであるか、或いは転落抽せんに当せんしているかを、互いに判別できないようにし、遊技者の期待感を報知演出の終盤まで持続させることができる。
このように、Bモードでは、「勝利演出A」〜「勝利演出C」、「敗北演出」、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」のうちいずれかの変動パターンが決定された場合には、右打ち報知及び左打ち報知が実行されない。また、「勝利演出A」〜「勝利演出C」、「敗北演出」、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」以外の変動パターンが決定された場合には、通常の右打ち報知が実行される。このような、Bモードで行われる、特定の変動パターンの決定に応じて制限される右打ち報知の態様を、以下では「特殊右打ち報知」という。
Bモードにおいて特2大当たりであると判定されて「勝利演出A」〜「勝利演出C」のいずれかが実行された場合には、特2大当たり遊技が実行される(矢印k参照)。特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合には、特2大当たり遊技の終了後に再び確変時短状態が設定され、Bモードが適用される(矢印h参照)。一方、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合には、特2大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されない。本実施形態では、特2大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されない場合には、時短状態も設定されない。したがって、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合、特2大当たり遊技終了後に通常状態が設定される(矢印m参照)。この場合、本実施形態では、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった特2大当たり遊技の終了後にシナリオ3が適用されて、特殊モードテーブルが参照される。
特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しないことは、例えば、何らかのトラブルで特2大当たり遊技の6R目に遊技球が発射されない等の、非常に稀な場合に生ずる。本実施形態では、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった特2大当たり遊技の終了後に、通常状態が設定される。本実施形態では、遊技者が通常通りに特2大当たり遊技中に遊技球を発射させていれば、特2大当たり遊技の終了後に約100%の割合で確変時短状態が設定される。このため、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合にも、遊技者は、特2大当たり遊技中に特定領域17Aに遊技球を通過させたつもりでいることがある。すなわち、遊技者は、特2大当たり遊技の終了後に確変時短状態が当然に設定されるものと思い込んでいることがある。このような場合に、通常状態に応じた通常モードが特2大当たり遊技の終了後にいきなり適用されると、特2大当たり遊技中に通常通りに遊技球を発射させたつもりの遊技者は、非常に困惑し、例えば遊技継続の意欲を失う可能性がある。さらに、実際には特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過していないにもかかわらず、遊技球が特定領域17Aを通過したのに確変状態が設定されなかったと遊技者が思い込むこと等により、無用なトラブルの要因が生ずる可能性がある。このため、パチンコ機1は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合、特2大当たり遊技終了後に、特殊モードテーブルに基づいて変動パターンを決定することで、遊技者の困惑を緩和し、遊技意欲の維持を図っている。
前述したように、特殊モードテーブルは、バトル演出に関する「勝利演出」又は「敗北演出」の変動パターンのみを含んでいる。「勝利演出」及び「敗北演出」は、特2大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定されている状態であるBモードにおいてのみ実行され得る報知演出である。通常モードテーブルは「勝利演出」及び「敗北演出」の変動パターンを含まないので、バトル演出に関する「勝利演出」又は「敗北演出」の報知演出が、通常モードにおいて実行されることはない。
遊技球が特定領域17Aを通過しなかった特2大当たり遊技の終了後に、シナリオ3の指定によって特殊モードテーブルが参照されて変動パターンが決定されると、特2大当たり遊技の終了後の最初に実行される報知演出が、必ずバトル演出となる。特2大当たり遊技の終了後にバトル演出が開始されると、遊技者は、確変状態が設定されているように思い、勝利演出が実行されて大当たりとなることを期待する。また、このバトル演出が敗北演出となった場合には、遊技者は、このバトル演出の当初に転落抽せんに当せんし確変状態から非確変状態に転落したように受け止める。また、このバトル演出が敗北演出であり、敗北演出の後に特1大当たり遊技が実行された場合には、遊技者は、このバトル演出の当初に転落抽せんに当せんしたが特1大当たりを得られたか、このバトル演出では転落抽せんには当選しておらず、確変状態において特1大当たりを得られたかのように受け止める。
すなわち、パチンコ機1は、シナリオ3の指定に基づくバトル演出を見た遊技者に、このバトル演出の直前に実行された特2大当たり遊技において、遊技球が特定領域17Aを通過したかのように感じさせることができる。パチンコ機1は、大当たり遊技終了後に確変状態が設定されないことに伴い時短状態も設定されない場合に、大当たり遊技終了後に確変時短状態においてのみ実行され得る報知演出と同じ内容の報知演出を実行する。言い換えると、パチンコ機1は、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過していないときに、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合にのみ実行され得る報知演出と同じ内容の報知演出を、大当たり遊技の終了後に実行する。このため、パチンコ機1は、遊技球が特定領域17Aを通過していない大当たり遊技の終了後に、あたかも遊技球が特定領域17Aを通過した結果として確変状態が設定されているかのような報知演出を実行することで、遊技者の困惑を緩和する。よって、遊技者の遊技継続意欲が損なわれない。なお、パチンコ機1は、特殊モードにおける表示画面28の背景画像を、Bモードにおける背景画像と同じものとしている。これにより、パチンコ機1は、特殊モードに突入直後から、あたかもBモードにて遊技が進行しているかのように遊技者に感じさせることができる。
特殊モードにおいて、大当たり判定によって特2大当たりであると判定されると、勝利演出が行われた後、特2大当たり遊技が実行される(矢印p参照)。この特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合には、特2大当たり遊技終了後にBモードが設定される。また、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合には、特2大当たり遊技終了後に特殊モードが設定される。また、特殊モードにおいて大当たり判定によって特1大当たりであると判定された場合、敗北演出が行われた後、特1大当たり遊技が実行される(矢印q参照)。この特1大当たり遊技の終了後には、特1大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したか否かに係わらず、Aモードが適用される(矢印b参照)。また、特殊モードにおいて大当たり判定によって小当たり又ははずれであると判定された場合、敗北演出が行われた後、「モード終了」が適用される(矢印r参照)。「モード終了」において報知演出が所定回数実行された後、演出モードは、遊技開始時点である通常モードに移行する(矢印z参照)。
なお、特殊モードでは、実際には確変状態が設定されていない。このため、確変状態が設定されているかのような報知演出を実行する期間が長くなり過ぎると、かえって遊技者の混乱を招き得る。したがって、パチンコ機1は、特2大当たり遊技の直後の報知演出についてのみ、シナリオ3に基づく特殊モードテーブルを参照して変動パターンを決定することとしている。本実施形態では、パチンコ機1は、特2大当たり遊技終了直後の1回の報知演出についてのみ、特殊モードテーブルを参照して変動パターンを決定することとしている。なお、特殊モードテーブルを参照して変動パターンを決定する回数は1回に限られず、複数回の報知演出の変動パターンが特殊モードテーブルの参照によって決定されてもよい。
特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合、特2大当たり遊技終了後には通常状態が設定されるので、特殊モード中は左打ちが有利な状態である。ここで、前述のように、Bモード中には特殊右打ち報知が適用されるので、Bモード中に実行される「敗北演出」及び「勝利演出」では、右打ち報知及び左打ち報知が行われない。仮に、「敗北演出」及び「勝利演出」のいずれかが実行される特殊モード中に左打ち報知が行われると、特殊モード中に行われるバトル演出では左打ち報知がなされ、Bモード中のバトル演出では左打ち報知がなされないことになる。この場合、特殊モードとBモードとは遊技状態が異なることが、左打ち報知の有無によって遊技者に判別される可能性がある。特殊モードに確変状態が設定されていないことが遊技者に判別されることは、遊技者を困惑させる要因となり得る。このため、パチンコ機1は、特殊モードにおいて、基本的に左打ち報知を行わないこととしている。これにより、特殊モードにおいて確変状態が設定されているかのように、遊技者に認識させることができる。
特殊モードに移行した後、特別図柄保留数が「0」である状態が継続すると、特殊モードにおける報知演出が実行されないままの状態になり、遊技が進行しなくなる。特殊モードではBモードと同様の背景画像が表示画面28に表示されるので、遊技者はBモードと同様に右打ちすることで、特別図柄を変動させようとすることが考えられる。しかしながら、特殊モードでは通常状態が設定されているため、遊技者が右打ちにより遊技球を普通図柄作動ゲート12に通過させても、第二始動口15が開放される割合が時短状態よりも低く、第二保留数が増えにくい。この状態で遊技者が右打ちを継続しても、以降に報知演出が実行されず、遊技が進行しないままである。パチンコ機1は、このような問題を回避するため、特殊モードに移行したときに、特別図柄保留数が「0」である場合に限り、通常状態の正しい遊技である左打ちをすることを遊技者に促すため、左打ち報知を行うこととしている。すなわち、パチンコ機1は、特殊モードに突入後、特別図柄保留数が「1」以上であり報知演出がすぐに実行される場合には左打ち報知を行わず、特殊モードに突入後、特別図柄保留数が「0」である場合に限り、左打ち報知を行う。このような、特殊モードで行われる、特別図柄保留数に応じて制限される左打ち報知の態様を、以下では「特殊左打ち報知」という。
図10から図19を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている主制御プログラムに従って行われる。主制御プログラムのメイン処理(図10参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
図10に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、メイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、第一始動口14、第二始動口15、第一大入賞口16、第二大入賞口17、その他入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。詳細は後述するが、特別電動役物処理では、当たり遊技の動作を制御するための処理、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態に関する処理、第一の特定条件の成立に応じたシナリオを設定する処理等が行われる(図17から図19参照)。当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技及び小当たり遊技における第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉部材の開閉動作である。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる(図11から図13参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口15の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態中に普通当たり判定によって普通当たりであると判定された場合、開閉部材を、非時短状態中よりも長く開放させる。なお、CPU51は、後述する時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ75が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、それぞれの確率で判定される。本実施形態では、普通図柄処理において、ゲートスイッチ75が遊技球を検出する毎に、ゲート通過コマンドが生成される。生成されたゲート通過コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるコマンド出力処理(S10)においてサブ制御基板58に送信される。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)及び情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、出力ポートを介して、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
図11から図13を参照して、特別図柄処理(S14、図10参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、小当たり遊技中フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確変フラグ、時短フラグ、転落当せんフラグ、シナリオフラグ等が記憶されている。
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中であるかを示すフラグであり、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合に「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、大当たり遊技状態フラグが「ON」であることは、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動している状態であることを示す。以下、大当たり遊技中である状態を、大当たり遊技状態ともいう。小当たり遊技状態フラグは、小当たり遊技中であるかを示すフラグであり、小当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、小当たり遊技中でない場合に「0」が記憶されて「OFF」となる。以下、小当たり遊技中である状態を、小当たり遊技状態ともいう。また、大当たり遊技状態及び小当たり遊技状態のいずれかが生起している状態を、当たり遊技状態ともいう。
特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、いずれも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確変フラグは、確変状態中であるかを示すフラグであり、確変状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、非確変状態中に「0」が記憶されて「OFF」となる。
時短フラグは、時短状態中であるかを示すフラグであり、特1大当たりすることで設定される時短状態中に「1」が、特2大当たりすることで設定される時短状態中に「2」が、それぞれ記憶されて「ON」となり、非時短状態中に「0」が記憶されて「OFF」となる。以下では、特1大当たりすることで設定される時短状態を「第一時短状態」、特2大当たりすることで設定される時短状態を「第二時短状態」ともいう。第一時短状態と第二時短状態とを総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、単に時短状態という。転落当せんフラグは、転落抽せんに当せんした場合に「1」が記憶されて「ON」となり、転落抽せんに当せんしていないときに「0」が記憶されて「OFF」となる。シナリオフラグは、シナリオ1〜3のうちいずれが適用されているかを示すフラグであり、シナリオ1が適用されているときに「1」が、シナリオ2が適用されているときに「2」が、シナリオ3が適用されているときに「3」がそれぞれ記憶され、シナリオ1〜3のいずれも適用されていないときに「0」が記憶される。
図11に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているかが判断される(S41)。第一始動口スイッチ73が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図10参照)において、第一始動口スイッチ73に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「OFF」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していないと判断され(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。このフラグが「ON」の場合には、第一始動口14に遊技球が入賞していると判断され(S41:YES)、第一始動口14に遊技球が入賞していることを示す第一始動口入賞コマンドが生成される(S42)。生成された第一始動口入賞コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図10参照)において、サブ制御基板58に送信される。処理はS43の判断へ移行する。
次いで、第一保留数が「4」であるかが判断される(S43)。RAM52に記憶されている第一保留数が「4」であれば(S43:YES)、第一保留数が最大第一保留数に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。第一保留数が「4」でない場合(S43:NO)、RAM52に記憶されている第一保留数に「1」が加算される(S45)。次いで、第一乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S46)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が、転落乱数欄には転落決定カウンタの値が、それぞれ記憶される。次いで、第一始動口14への遊技球の入賞に伴い増加した第一保留数を示す第一保留数通知コマンドが生成される(S49)。生成された第一保留数通知コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58に送信される。処理はS51の判断へ移行する。
次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているかが判断される(S51)。第二始動口スイッチ74が遊技球の入賞を検知すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図10参照)において、第二始動口スイッチ74に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「OFF」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していないと判断され(S51:NO)、処理はS61(図12参照)の判断へ移行する。このフラグが「ON」の場合には、第二始動口15に遊技球が入賞していると判断され(S51:YES)、第二保留数が「4」であるかが判断される(S53)。RAM52に記憶されている第二保留数が「4」であれば(S53:YES)、第二保留数が最大第二保留数に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。
第二保留数が「4」でない場合(S53:NO)、RAM52に記憶されている第二保留数に「1」が加算される(S55)。次いで、第二乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリアにおける空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S56)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり判定カウンタの値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定カウンタの値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定カウンタの値が、転落乱数欄には転落決定カウンタの値が、それぞれ記憶される。次いで、第二始動口15への遊技球の入賞に伴い増加した第二保留数を示す第二保留数通知コマンドが生成される(S59)。再々された第一保留数通知コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58に送信される。処理はS61の判断へ移行する。
次いで、図12に示すように、当たり遊技状態であるかが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグ又は小当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが変動中であるかが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、いずれも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止状態中であるかが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、いずれも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図13参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当たり判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図13に示すように、まず、第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第二保留数が「1」以上であるかが判断される(S71)。第二保留数が「1」以上である場合には(S71:YES)、第二大当たり判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留数が「0」である場合には(S71:NO)、第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留数が「1」以上であるかが判断される(S72)。第一保留数が「0」であれば(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
第一保留数が「1」以上である場合には(S72:YES)、第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている第一保留数が「1」減算される(S73)。次いで、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)において最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされる(S75)。処理はS81へ移行する。
一方、第二大当たり判定では、まず、第二保留数が「1」減算される(S76)。次いで、第二大当たり関係情報記憶エリアにおいて最も番号の小さい記憶エリアに記憶されている乱数が、判定エリアにシフトされる(S78)。処理はS81へ移行する。次いで、大当たり判定処理が行われる(S81)。大当たり判定処理では、転落抽せん、大当たり判定、大当たり種別の決定に関する各処理が行われる。
図14を参照して、大当たり判定処理(S81、図13参照)について詳細に説明する。大当たり判定処理が開始されると、確変状態が設定されているかが判断される(S111)。確変フラグが「OFF」である場合には確変状態が設定されていないと判断され(S111:NO)、処理はS125へ移行する。確変フラグが「ON」である場合には確変状態が設定されていると判断され(S111:YES)、転落抽せん処理が行われる(S112)。図示しないが、ROM53には、転落抽せんを行うためのテーブルとして、転落抽せんテーブルが記憶されている。転落抽せんテーブルには、転落抽せんの「当せん」及び「はずれ」に各々対応する転落乱数の乱数値が定義されている。転落抽せん処理では、前述した転落抽せんテーブルが参照されて、S75及びS78(図13参照)の各処理でシフトされて判定エリアに記憶されている転落乱数が、「当せん」及び「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の転落乱数に基づく転落抽せんが、転落乱数の記憶された順に行われる。
次いで、転落抽せんの結果が「当せん」であるか否かが判断される(S113)。転落抽せんの結果が「はずれ」の場合(S113:NO)、処理はS125へ移行する。転落抽せんの結果が「当せん」の場合(S113:YES)、確変フラグが「OFF」となり(S115)、転落当せんフラグが「ON」となる(S116)。
次いで、第二時短状態が設定されているかが判断される(S121)。この判断は、時短フラグに「2」が記憶されているかに応じて行われる。時短フラグが「2」でなく第二時短状態が設定されていない場合(S121:NO)、処理はS125へ移行する。時短フラグに「2」が記憶されていれば第二時短状態が設定されていると判断され(S121:YES)、時短フラグが「OFF」となる(S122)。時短状態が終了したことをサブ制御基板58及び図柄表示部24に通知するための時短終了コマンドが生成される(S123)。生成された時短終了コマンドは、RAM52に記憶され、コマンド出力処理によってサブ制御基板58及び中継基板47に送信される。中継基板47を介して時短終了コマンドを受信した図柄表示部24は、点灯されている右打ち報知LEDを消灯する。処理はS125へ移行する。
次いで、確変状態であるか否かに応じて大当たり判定処理が行われる(S125)。S125の処理では、確変フラグの状態が参照されて、現時点において確変状態が設定されているかが特定される。確変状態が生起されているかが特定された結果に対応して、低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが選択される。低確率判定テーブルは、非確変状態中の大当たり判定に用いられるテーブルであり、第一大当たり判定について「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」に、第二大当たり判定について「大当たり」及び「はずれ」に各々対応する大当たり乱数の乱数値を定義している。高確率判定テーブルは、確変状態中の大当たり判定に用いられるテーブルであり、第一大当たり判定について「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」に、第二大当たり判定について「大当たり」及び「はずれ」に各々対応する大当たり乱数の乱数値を定義している。選択された低確率判定テーブル又は高確率判定テーブルが参照されて、S75の処理でシフトされた判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数が、「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかが判定される第一大当たり判定が行われる。また、S78の処理でシフトされた判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数が、「大当たり」及び「はずれ」のいずれに対応するかが判定される第二大当たり判定が行われる。なお、第一大当たり関係情報記憶エリア及び第二大当たり関係情報記憶エリアにおいて、保留乱数それぞれの記憶順が特定されて記憶されているので、RAM52に記憶された未判定の大当たり乱数に基づく大当たり判定が、大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、大当たり判定の結果が大当たりであるかが判断される(S126)。大当たり判定による判定結果が大当たりである場合(S126:YES)、特別図柄決定テーブル(図5参照)が参照されて、第一特別図柄又は第二特別図柄の大当たり種別が決定される(S131)。S126の処理では、S75及びS78で判定エリアにシフトされた大当たり乱数と同時に取得された特別図柄決定乱数の値に対応する大当たり種別が決定される。決定された大当たり種別は、RAM52に記憶される。次いで、第二時短状態が設定されているかが判断される(S132)。時短フラグが「2」でなく第二時短状態が設定されていない場合(S132:NO)、処理は特別図柄処理(図13参照)へ戻る。時短フラグに「2」が記憶されており第二時短状態が設定されている場合(S132:YES)、時短フラグが「OFF」となる(S133)。次いで、時短終了コマンドが生成され(S135)、処理は特別図柄処理へ戻る。生成された時短終了コマンドは、RAM52に記憶され、コマンド出力処理によってサブ制御基板58及び中継基板47に送信される。中継基板47を介して時短終了コマンドを受信した図柄表示部24は、点灯されている右打ち報知LEDを消灯する。
大当たり判定の結果が大当たりでない場合(S126:NO)、大当たり判定の結果が小当たりであるかが判断される(S136)。大当たり判定の結果が小当たりである場合(S36:YES)、特別図柄決定テーブルが参照されて、第一特別図柄の小当たり種別が決定される(S138)。決定された大当たり種別は、RAM52に記憶され、処理は特別図柄処理へ戻る。大当たり判定の結果がはずれの場合には(S136:NO)、所定のはずれ図柄が決定され、処理は特別図柄処理へ戻る。
図13の説明に戻る。大当たり判定処理が終了すると、変動パターン決定処理が行われる(S91)。変動パターン決定処理では、遊技状態及びシナリオによる指定に応じて、変動パターン決定テーブル(図6及び図7参照)に設けられている複数の変動パターンテーブルのうちいずれかが参照されて、1つの変動パターンが決定される。
図15を参照して、変動パターン決定処理(S91、図13参照)について詳細に説明する。変動パターン決定処理が開始されると、シナリオ1が適用されているかが判断される(S141)。シナリオフラグに「1」が記憶されていればシナリオ1が適用されていると判断され(S141:YES)、シナリオ選択テーブルにおいてシナリオ1に対応付けられているT−IDが「T−2」である「Aモード」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S142)。
次いで、判定回数が70回目であるかが判断される(S143)。判定回数の判断は、判定回数計数カウンタの値に基づいて行われる。判定回数計数カウンタは、後述する遊技状態移行処理(S108、図12参照)において判定回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。判定回数計数カウンタは、前回の大当たり遊技の終了後からの判定回数を計数する。本実施形態では、判定回数計数カウンタは、特別図柄が確定表示されるときにカウントアップされる。したがって、S143では、判定回数カウンタの値が「69」であるかが判断される。判定回数が70回目でない場合(S143:NO)、処理はS169へ移行する。判定回数が70回目である場合(S143:YES)、シナリオフラグに「0」が記憶されて(S145)、処理はS169へ移行する。
シナリオ1が適用されていない場合(S141:NO)、シナリオ2が適用されているかが判断される(S151)。シナリオフラグに「2」が記憶されていればシナリオ2が適用されていると判断され(S151:YES)、転落抽せんに当せんしているかが判断される(S152)。転落当せんフラグが「OFF」であれば転落抽せんに当せんしていないと判断されて(S152:NO)、シナリオ選択テーブルにおいてシナリオ2に対応付けられているT−IDが「T−3」である「Bモード」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S153)。その後、転落当せんフラグが「OFF」になり、処理はS169へ移行する。転落当せんフラグが「ON」であれば転落抽せんに当せんしていると判断されて(S152:YES)、転落抽せんに当せんしたときに応じた、T−IDが「T−4」である「特殊モード」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S156)。次いで、シナリオフラグに「0」が記憶されて(S158)、処理はS169へ移行する。
シナリオ2が適用されていない場合(S151:NO)、シナリオ3が適用されているかが判断される(S161)。シナリオフラグに「3」が記憶されていればシナリオ3が適用されていると判断されて(S161:YES)、シナリオ選択テーブルにおいてシナリオ3に対応付けられているT−IDが「T−4」である「特殊モード」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S162)。次いで、シナリオフラグに「0」が記憶されて(S158)、処理はS169へ移行する。シナリオフラグに「0」が記憶されていればシナリオ1〜3のいずれも適用されていないと判断されて(S161:NO)、シナリオフラグには「0」が記憶されており、いずれのシナリオも適用されていないので、確変状態が設定されているかが判断される(S165)。確変フラグが「ON」であれば確変状態が設定されていると判断され(S165:YES)、確変時短状態に応じた、T−IDが「T−3」である「Bモード」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S166)。処理はS169へ移行する。確変フラグが「OFF」であれば確変状態が設定されていないと判断され(S165:NO)、非確変非時短状態に応じた、T−IDが「T−1」である「通常」テーブルが、参照するテーブルとして指定される(S168)。処理はS169へ移行する。
次いで、S142、S153、S156、S162、S166、S168のいずれかの処理により指定された変動パターンテーブルに基づいて、変動パターン決定乱数の値及び大当たり判定による判定結果に応じた変動パターンが1つ決定される(S169)。処理は特別図柄処理(図13参照)に戻る。
図13の説明に戻る。変動パターン決定処理(S91)が終了すると、S91の処理において決定された変動パターンを示す変動パターン指定コマンドが生成される(S93)。生成された変動パターン指定コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、中継基板47及びサブ制御基板58に送信される。中継基板47を介して変動パターン指定コマンドを受信した図柄表示部24は、第一特別図柄表示部又は第二特別図柄表示部における第一特別図柄又は第二特別図柄の変動を開始する。
次いで、決定された変動パターンに対応する変動時間が、特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S95)。第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S96)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図12に示すS62の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが変動中であると判断され(S62:YES)、変動時間が経過したかが判断される(S101)。S95(図13参照)の処理においてセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には、変動時間が経過したと判断され(S101:YES)、特別図柄停止コマンドが生成される(S102)。生成された特別図柄停止コマンドは、RAM52に記憶される。特別図柄停止コマンドは、コマンド出力処理によって中継基板47及びサブ制御基板58に送信され、第一特別図柄又は第二特別図柄、及び表示画面28の演出図柄60の変動停止を指示する。次いで、所定の特別図柄停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S103)。第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S104)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S101の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S101:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S103においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値に基づいて、特別図柄停止表示時間が経過したかが判断される(S106)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、特別図柄停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S106:NO)、処理はメイン処理へ戻る。特別図柄停止表示時間が経過した場合には(S106:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれもが変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S107)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S108)、処理はメイン処理へ戻る。
図16を参照して、遊技状態移行処理(S108、図12参照)について詳細に説明する。遊技状態移行処理では、大当たり判定によって大当たり又は小当たりであると判定された場合に、遊技を大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態へ移行させ、所定の終了条件が成立した場合には、確変状態及び時短状態を終了させるための各種のフラグの制御が行われる。
遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定による判定結果が大当たりであるかが判断される(S171)。判定結果が大当たりである場合(S171:YES)、大当たり種別に対応付けられたラウンド数が、Rカウンタにセットされる(S172)。Rカウンタは、大当たり遊技において実行するラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。具体的には、S131の処理においてRAM52に記憶されている大当たり種別が「16R大当たり」の場合には、Rカウンタに「16」が記憶される。大当たり種別が「8R大当たり」の場合には、Rカウンタに「8」が記憶される。
次いで、「ON」となっている時短フラグ及び確変フラグがあれば、ともに「OFF」となる(S175)。つまり、大当たり遊技中には、非確変状態及び非時短状態が設定される。次いで、時短終了コマンドが生成される(S176)。また、大当たり遊技が開始されることをサブ制御基板58に通知するための大当たり遊技開始コマンドが生成される(S178)。生成された時短終了コマンド及び大当たり遊技開始コマンドは、RAM52に記憶される。時短終了コマンドは、コマンド出力処理によってサブ制御基板58及び中継基板47に送信される。中継基板47を介して時短終了コマンドを受信した図柄表示部24は、点灯されている右打ち報知LEDを消灯する。また、時短終了コマンド及び大当たり遊技開始コマンドは、コマンド出力処理によってサブ制御基板58に送信され、サブ制御基板58に時短状態の終了及び大当たり遊技の開始が通知される。次いで、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S179)。処理は特別図柄処理(図12参照)へ戻る。
一方、大当たり判定による判定結果が大当たりでない場合(S171:NO)、大当たり判定の結果が小当たりであるかが判断される(S181)。大当たり判定の結果が小当たりである場合(S181:YES)、小当たり遊技開始コマンドが生成される(S182)。生成された小当たり遊技開始コマンドは、RAM52に記憶される。小当たり遊技開始コマンドは、コマンド出力処理によってサブ制御基板58に送信され、サブ制御基板58に小当たり遊技の開始が通知される。次いで、小当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S183)。処理はS185に移行する。また、大当たり判定の判定結果がはずれの場合(S181:NO)、処理はS185に移行する。
次いで、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S185)。第一時短状態が設定されているかが判断される(S186)。この判断は、時短フラグに「1」が記憶されているかに応じて行われる。時短フラグが「1」でなく第一時短状態が設定されていない場合(S186:NO)、処理は特別図柄処理(図12参照)へ戻る。時短フラグに「1」が記憶されていれば第一時短状態が設定されていると判断されて(S186:YES)、確変状態が設定されているかが判断される(S188)。確変フラグが「ON」であれば確変状態が設定されていると判断され(S188:YES)、処理は特別図柄処理へ戻る。確変フラグが「OFF」であれば確変状態が設定されていないと判断され(S188:NO)、判定回数計数カウンタの値が、時短回数である「70」であるかが判断される(S191)。判定回数計数カウンタの値が「70」である場合(S191:YES)、時短フラグが「OFF」になる(S192)。次いで、時短終了コマンドが生成される(S193)。生成された時短終了コマンドはRAM52に記憶され、次回のコマンド出力処理によってサブ制御基板58及び中継基板47に送信される。中継基板47を介して時短終了コマンドを受信した図柄表示部24は、点灯されている右打ち報知LEDを消灯する。処理は特別図柄処理へ戻る。
図17から図19を参照し、特別電動役物処理(S13、図10参照)の詳細について説明する。まず、特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、開放中フラグ、V通過フラグ等が記憶されている。開放中フラグは、第一大入賞口16及び第二大入賞口17が開放状態であるか否かを示すフラグである。開放中フラグは、第一大入賞口16の開閉部材が開放されている場合に「1」が、第二大入賞口17の開閉部材が開放されている場合に「2」が記憶されて「ON」となり、第一大入賞口16及び第二大入賞口17のいずれの開閉部材も開放されていない場合に「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、本実施形態において、第一大入賞口16と第二大入賞口17とが同時に開放することはない。V通過フラグは、6R目の大当たり遊技において第二大入賞口7へ入賞した遊技球が特定領域17Aを通過すると「1」が記憶されて「ON」となり、遊技球が特定領域17Aを通過したことに応じた所定の処理が終了すると「OFF」になる。なお、
図17に示すように、特別電動役物処理が開始されると、大当たり遊技状態であるかが判断される(S201)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態に基づいて行われる。大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合には大当たり遊技状態であると判断され(S201:YES)、Rカウンタの値が「0」であるかが判断される(S202)。Rカウンタの値は、大当たりラウンドが1回終了する毎に「1」減算される。すなわち、Rカウンタの値が「0」であれば、大当たり遊技における最終ラウンドが終了していることとなる。
Rカウンタの値が「0」でない場合(S202:NO)、第二大入賞口17が開放中であるかが判断される(S203)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。開放中フラグに「2」が記憶されていれば第二大入賞口17が開放中であると判断され(S203:YES)、処理はS241(図18参照)の判断へ移行する。開放中フラグに「2」が記憶されていなければ第二大入賞口17が開放中でないと判断され(S203:NO)、Rカウンタが参照される(S205)。また、S131の処理においてRAM52に記憶されている大当たり種別が参照される(S206)。
次いで、特別図柄決定テーブルが参照され、S206で参照された大当たり種別に対応付けられている開放パターンのうち、S205で参照されたRカウンタの値に対応するラウンドにおける第二大入賞口17の開放時間が特定される。特定された開放時間が、開放時間カウンタに記憶される(S208)。開放時間カウンタは、第一大入賞口16及び第二大入賞口17の各開閉部材の開放時間を計測するためのカウンタであり、RAM52に記憶される。
次いで、第二大入賞口17を開放させるための第二開放コマンドが生成される(S211)。生成された第二開放コマンドは、RAM52に記憶される。第二開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二開放コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材を開放させる。第二開放コマンドに基づいて第二大入賞口17が開放されることに応じて、開放中フラグに「2」が記憶される(S212)。
次いで、開放中の第二大入賞口17によって実行されている大当たりラウンドが6ラウンド目であるかが判断される(S213)。この判断は、Rカウンタの値が「3」又は「11」であるかに基づいて行われる。大当たりラウンドが6ラウンド目でない場合(S213、NO)、処理はS241に移行する。大当たりラウンドが6ラウンド目である場合(S213:YES)、第二大入賞口17内の可動片を動作させるための可動片作動コマンドがRAM52に記憶される(S215)。可動片作動コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して可動片作動コマンドを受信した可動片ソレノイド72は、大当たりラウンドの6ラウンド目に、可動片を所定動作パターンで動作させる。処理はS241に移行する。
次いで、図18に示すように、第二大入賞口17へ遊技球が入賞したかが判断される(S241)。第二大入賞口スイッチ77に対応するフラグが「OFF」となっていれば第二大入賞口17へ遊技球が入賞していないと判断され(S241:NO)、処理はS243の判断へ移行する。第二大入賞口スイッチ77に対応するフラグが「ON」となっていれば第二大入賞口17へ遊技球が入賞したと判断され(S241:YES)、第二大入賞口17へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の入賞球数カウンタに「1」が加算される(S242)。処理はS243の判断へ移行する。
次いで、実行中の大当たりラウンドが6R目であるかが判断される。大当たりラウンドが6ラウンド目でない場合(S243:NO)、処理はS248の判断へ移行する。実行中の大当たりラウンドが6R目である場合(S243:YES)、第二大入賞口17内の特定領域17Aを遊技球が通過したかが判断される(S245)。この判断は、特定領域スイッチ78に対応するフラグの状態に基づいて行われる。遊技球が特定領域17Aを通過した場合(S245:YES)、V通過フラグが「ON」となり(S246)、処理はS248の判断へ移行する。なお、遊技球が特定領域17Aを通過していない場合(S245:NO)、処理はS248の判断へ移行する。遊技球が特定領域17Aを通過していないと判断される場合として、6ラウンド目に第二大入賞口17に入賞した全ての遊技球が非特定領域を通過し、特定領域17Aを通過した遊技球が無い場合、また、6R目に第二大入賞口17に遊技球が1個も入賞しなかった場合が該当する。
次いで、第二大入賞口17への入賞球数が「9」以上であるかかが判断される(S248)。入賞球数カウンタの値が「9」未満の場合(S248:NO)、開放時間カウンタの値に基づいて第二大入賞口17の開放時間が経過したかが判断される(S251)。開放時間が経過していなければ(S251:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S201:YES)、最終ラウンドが終了しておらず(S202:NO)、第二大入賞口17が開放中である場合(S203:YES)、第二大入賞口17に9個以上の遊技球が入賞するか、又は開放時間が経過するまで、S248及びS251の判断が繰り返して実行される。
第二大入賞口17へ9個以上の遊技球が入賞するか(S248:YES)、又は開放時間が経過した場合(S251:YES)、第二閉鎖コマンドが生成される(S252)。第二閉鎖コマンドは、開放している第二大入賞口17の開閉部材を閉鎖させるためのコマンドである。生成された第二閉鎖コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二閉鎖コマンドを受信した第二大入賞口ソレノイド71は、第二大入賞口17の開閉部材を閉鎖させる。次いで、開放中フラグが「OFF」になり(S253)、Rカウンタの値が「1」減算される(S255)。その後処理はメイン処理へ戻る。
また、図17に示すように、S202の判断においてRカウンタの値が「0」であり最終ラウンドが終了したと判断された場合(S202:YES)、図19に示すように、大当たり遊技終了コマンドが生成される(S261)。大当たり遊技終了コマンドは、大当たり遊技が終了したことをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。生成された大当たり遊技終了コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58に送信される。次いで、大当たり遊技状態フラグが「OFF」となる(S262)。
次いで、S131の処理でRAM52に記憶された大当たり種別が参照される(S263)。RAM52に記憶されている大当たり種別が、特1大当たりに相当する「8R大当たりA」、「8R大当たりB」、「16R大当たりA」及び「16R大当たりB」のいずれかであるかが判断される(S265)。大当たり種別が、特1大当たりに相当する場合(S265:YES)、シナリオフラグに「1」が記憶される(S266)。特1大当たり遊技の終了後に第一時短状態を設定するため、時短フラグに「1」が記憶される(S268)。次いで、時短開始コマンドが生成される(S271)。時短開始コマンドは、時短状態が開始されることをサブ制御基板58及び図柄表示部24に通知するためのコマンドである。生成された時短開始コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58及び図柄表示部24に送信される。中継基板47を介して時短開始コマンドを受信した図柄表示部24は、右打ち報知LEDを点灯する。
次いで、この大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過したかが判断される(S272)。この判断は、V通過フラグの状態に基づいて行われる。V通過フラグが「ON」の場合(S272:YES)、特定領域17Aを通過したことを条件として特1大当たり遊技の終了後に確変状態を設定するため、確変フラグが「ON」になる(S273)。その後、処理はメイン処理へ戻る。V通過フラグが「OFF」の場合(S272:NO)、特1大当たり遊技の終了後に確変状態が設定されないので、処理はそのままメイン処理へ戻る。
一方、大当たり種別が、特1大当たりに相当しない場合(S265:NO)、特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過したかが判断される(S275)。V通過フラグが「ON」であれば特定領域17Aを通過したと判断され(S275:YES)、シナリオフラグに「2」が記憶される(S276)。特定領域17Aを通過したことを条件として特2大当たり遊技の終了後に確変状態を設定するため、確変フラグが「ON」になる(S278)。次いで、特2大当たりの終了後に確変状態が設定されることを条件として第二時短状態を設定するため、時短フラグに「2」が記憶される(S281)。これを受けて時短開始フラグが生成される(S282)。生成された時短開始コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58及び中継基板47に送信される。中継基板47を介して時短開始コマンドを受信した図柄表示部24は、右打ち報知LEDを点灯する。その後、処理はメイン処理へ戻る。
また、V通過フラグが「OFF」であれば特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過しなかったと判断され(S275:NO)、シナリオフラグに「3」が記憶される(S285)。次いで、特2V非通知コマンドが生成される(S286)。特2V非通知コマンドは、特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過しなかったことを、サブ制御基板58に通知するためのコマンドである。生成された特2V非通知コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において、サブ制御基板58に送信される。その後、処理はメイン処理へ戻る。
図17の説明に戻る。一方、特別電動役物処理が開始されたときに、大当たり遊技状態でない場合(S201:NO)、小当たり遊技中であるかが判断される(S221)。小当たり遊技状態フラグが「OFF」であれば小当たり遊技中でないと判断され(S221:NO)、処理はメイン処理へ戻る。小当たり遊技状態フラグが「ON」であれば小当たり遊技中であると判断され(S221:YES)、第一大入賞口16が開放中であるかが判断される(S222)。この判断は、開放中フラグの状態に基づいて行われる。開放中フラグに「1」が記憶されていれば第一大入賞口16が開放中であると判断され(S222:YES)、処理はS228の判断へ移行する。
開放中フラグに「1」が記憶されていなければ第一大入賞口16が開放中でないと判断され(S222:NO)、特別図柄決定テーブルにおいて小当たり種別に対応付けられている小当たり開放の開放パターンに応じた小当たり開放時間(本実施形態では0.1秒)が、開放時間カウンタに記憶される(S223)。次いで、第一大入賞口16を開放させるための第一開放コマンドが生成される(S225)。生成された第一開放コマンドは、RAM52に記憶される。第一開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一開放コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は第一大入賞口16の開閉部材を開放させる。第一開放コマンドに基づいて第一大入賞口16が開放されることに応じて、開放中フラグに「1」が記憶される(S226)。処理はS228の判断へ移行する。
次いで、第一大入賞口16へ遊技球が入賞したかが判断される(S228)。第一大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「OFF」となっていれば第一大入賞口16へ遊技球が入賞していないと判断され(S228:NO)、処理はS232の判断へ移行する。第一大入賞口スイッチ76に対応するフラグが「ON」となっていれば第一大入賞口16へ遊技球が入賞したと判断され(S228:YES)、第一大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を件数するRAM52の入賞球数カウンタに「1」が加算される(S231)。処理はS232の判断へ移行する。
次いで、第一大入賞口16への入賞球数が「9」以上であるかが判断される(S232)。入賞球数カウンタの値が「9」未満の場合(S232:NO)、開放カウンタの値に基づいて小当たり開放時間が経過したかが判断される(S233)。小当たり開放時間が経過していなければ(S233:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、小当たり遊技中であり(S221:YES)、第一大入賞口16が開放中である場合(S222:YES)、第一大入賞口16に9個以上の遊技球が入賞するか、又は小当たり開放時間が経過するまで、S232及びS233の判断が繰り返して実行される。
第一大入賞口16へ9個以上の遊技球が入賞するか(S232:YES)、又は小当たり開放時間が経過した場合(S233:YES)、第一閉鎖コマンドが生成される(S235)。第一閉鎖コマンドは、開放している第一大入賞口16の開閉部材を閉鎖させるためのコマンドである。生成された第一閉鎖コマンドは、RAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一閉鎖コマンドを受信した第一大入賞口ソレノイド70は、第一大入賞口16の開閉部材を閉鎖させる。次いで、開放中フラグに「0」が記憶されて「OFF」になり(S236)、小当たり遊技状態フラグが「OFF」となる(S238)。処理はメイン処理へ戻る。
図20及び図21を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。パチンコ機1のサブ制御は、サブ制御基板58のROM583に記憶されているサブ制御プログラムに従って行われる。サブ制御プログラムは、パチンコ機1の電源がONにされた際に、CPU581によって実行される。
サブ制御基板処理において使用されるフラグについて説明する。サブ制御基板58のRAM582には、左打ち報知禁止中フラグ、右打ち報知禁止中フラグ等が記憶されている。左打ち報知禁止フラグは、左打ち報知が禁止される期間に「1」が記憶されて「ON」となり、それ以外の期間に「0」が記憶されて「OFF」になる。右打ち報知禁止フラグは、右打ち報知が禁止される期間に「1」が記憶されて「ON」となり、それ以外の期間に「0」が記憶されて「OFF」になる。
図20に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から第一保留数通知コマンドを受信したかが判断される(S291)。第一保留数通知コマンドを受信していない場合(S291:NO)、処理はS293へ移行する。
第一保留数通知コマンドを受信した場合(S291:YES)、第一保留数カウンタに「1」が加算される(S292)。第一保留数カウンタは、サブ制御基板58において第一保留数を計数するためのカウンタであり、RAM582に記憶される。処理はS293へ移行する。
次いで、主基板41から第二保留数通知コマンドを受信したかが判断される(S293)。第二保留数通知コマンドを受信していない場合(S293:NO)、処理はS296の判断へ移行する。第二保留数通知コマンドを受信した場合(S293:YES)、第二保留数カウンタに「1」が加算される(S295)。第二保留数カウンタは、サブ制御基板58において第二保留数を計数するためのカウンタであり、RAM582に記憶される。処理はS296へ移行する。
次いで、主基板41から時短開始コマンドを受信したかが判断される(S296)。時短開始コマンドを受信していない場合(S296:NO)、処理はS301の判断へ移行する。時短開始コマンドを受信した場合(S296:YES)、右打ち指示の実行が開始される(S298)。この処理において、表示画面28、電飾基板34、スピーカ48等を用いた右打ち指示を開始するため、右打ち指示コマンドが生成される。生成された右打ち指示コマンドは、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、スピーカ48に送信される。右打ち指示コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、右打ち指示に必要な画像に対応する画像データをCGROM432から読み出して、後述の右打ち指示画像105(図26の(5)参照)を表示画面28に表示させる。右打ち指示コマンドを、ランプドライバ基板46を介して受信した電飾基板34は、右打ち指示コマンドに対応する発光動作を実行する。右打ち指示コマンドを受信したスピーカ48は、右打ち指示コマンドに対応する音(例えば、「右打ちしてください」等のセリフの音声)を出力する。報知演出の実行中に開始された実行が開始された右打ち指示は、時短状態開始後、数回の報知演出が終了することに伴い終了する。処理はS301の判断へ移行する。
次いで、主基板41から時短終了コマンドを受信したかが判断される(S301)。時短終了コマンドを受信していない場合(S310:NO)、処理はS303の判断へ移行する。時短終了コマンドを受信した場合(S301:YES)、左打ち指示の実行が開始される(S302)。この処理において、表示画面28、電飾基板34、スピーカ48等を用いた左打ち指示を開始するため、左打ち指示コマンドが生成される。生成された左打ち指示コマンドは、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、スピーカ48に送信される。左打ち指示コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、左打ち指示に必要な画像に対応する画像データをCGROM432から読み出して、後述の左打ち指示画像106(図30参照)を表示画面28に表示させる。左打ち指示コマンドを、ランプドライバ基板46を介して受信した電飾基板34は、左打ち指示コマンドに対応する発光動作を実行する。左打ち指示コマンドを受信したスピーカ48は、左打ち指示コマンドに対応する音(例えば、「左打ちに戻してください」等のセリフの音声)を出力する。実行が開始された左打ち指示は、時短状態終了後、数回の報知演出が終了することに伴い終了する。処理はS303の判断へ移行する。
次いで、主基板41からゲート通過コマンドを受信したかが判断される(S303)。ゲート通過コマンドを受信していない場合(S303:NO)、処理はS311の判断へ移行する。ゲート通過コマンドを受信した場合(S303:YES)、遊技状態が非時短状態であるかが判断される(S305)。本実施形態では、時短状態の開始時及び時短状態の終了時に、主基板41からサブ制御基板58に所定のコマンドが送信されるため、サブ制御基板58のCPU581は、時短状態が設定されているか否かを把握している。時短状態が設定されている場合(S305:NO)、処理はS311の判断へ移行する。時短状態が設定されておらず遊技状態が非時短状態である場合(S305:YES)、左打ち警告の実行が開始される(S306)。この処理において、表示画面28、電飾基板34、スピーカ48等を用いた左打ち警告を開始するため、左打ち警告コマンドが生成される。生成された左打ち警告コマンドは、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、スピーカ48に送信される。左打ち警告コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、左打ち警告に必要な画像に対応する画像データをCGROM432から読み出して、表示画面28に表示させる(例えば図24(2)の左打ち警告画像81)。左打ち警告コマンドを、ランプドライバ基板46を介して受信した電飾基板34は、左打ち警告コマンドに対応する発光動作を実行する。左打ち警告コマンドを受信したスピーカ48は、左打ち警告コマンドに対応する音(例えば、「左打ちに戻してください」等のセリフの音声)を出力する。報知演出の実行中に開始された左打ち警告は、左打ち警告の開始後、数回の報知演出が終了することに伴い終了する。処理はS311の判断へ移行する。
次いで、主基板41から第一始動口入賞コマンドを受信したかが判断される(S311)。第一始動口入賞コマンドを受信していない場合(S311:NO)、処理はS315(図21参照)の判断へ移行する。第一始動口入賞コマンドを受信した場合(S311:YES)、遊技状態が時短状態であるかかが判断される(S312)。時短状態が設定されておらず遊技状態が非時短状態である場合(S312:NO)、処理はS315の判断へ移行する。時短状態が設定されている場合(S312:YES)、右打ち警告の実行が開始される(S313)。この処理において、表示画面28、電飾基板34、スピーカ48等を用いた右打ち警告を開始するため、右打ち警告コマンドが生成される。生成された右打ち警告コマンドは、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、スピーカ48に送信される。右打ち警告コマンドを受信した演出制御基板43のCPU431は、右打ち警告に必要な画像に対応する画像データをCGROM432から読み出して、表示画面28に後述の右打ち警告画像82(図26の(6)参照)を表示させる。右打ち警告コマンドを、ランプドライバ基板46を介して受信した電飾基板34は、右打ち警告コマンドに対応する発光動作を実行する。右打ち警告コマンドを受信したスピーカ48は、右打ち警告コマンドに対応する音(例えば、「右打ちしてください」等のセリフの音声)を出力する。実行が開始された右打ち警告は、右打ち警告の開始後、数回の報知演出が終了することに伴い終了する。処理はS315の判断へ移行する。
次いで、図21に示すように、主基板41から特2V非通過コマンドを受信したかが判断される(S315)。特2V非通過コマンドを受信していない場合(S315:NO)、処理はS321の判断へ移行する。特2V非通過コマンドを受信した場合(S315:YES)、第一保留数及び第二保留数のいずれかが「1」以上であるかが判断される(S316)。第一保留数カウンタ及び第二保留数カウンタの少なくともいずれかの値が「1」以上であり保留数が「1」以上である場合(S316:YES)、実行されている左打ち指示及び左打ち警告があれば、それらの実行が禁止される(S318)。次いで、左打ち報知禁止中フラグが「ON」になり(S319)、処理はS321の判断へ移行する。
CPU581が特2V非通過コマンドを受信するのは、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定されない大当たり種別の大当たりと判定されて大当たり遊技が実行され、その大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合である。この状態で、第一保留数及び第二保留数のいずれかが「1」以上であれば、報知演出がすぐに開始される。仮に、このような場合の報知演出中に左打ち報知が実行されると、左打ち報知を見た遊技者は、設定されている遊技状態が非時短状態である通常状態であることを判別可能である。このことは、大当たり遊技の終了後に確変時短状態が当然に設定されていると思っている遊技者を困惑させる可能性がある。パチンコ機1は、S315及びS318の処理を設けることで、通常であれば当然に確変時短状態が生起される大当たり遊技の終了後に通常状態が設定されている場合、左打ち報知の実行を禁止するので、通常状態が設定されていることを把握し難くできる。なお、この場合であっても、図柄表示部24の右打ち報知LEDは時短状態の終了に伴い消灯されるので、遊技状態の判別が全くできなくはならず、遊技者の円滑な遊技が保たれる。
本実施形態では、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その特2大当たり遊技の終了後に特殊モードテーブルが参照されて変動パターンが決定される。これにより、遊技者に確変時短状態が設定されていないことを把握し難くし、遊技者が困惑することを回避している。このような特殊モード中に左打ち報知が行われると、せっかく特殊モードテーブルに基づいてバトル演出しか実行されないにも係わらず、遊技状態が既に通常状態であることが遊技者に判別されかねない。このため、パチンコ機1は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合には、その特2大当たり遊技の終了後に実行する報知演出において左打ち報知を禁止する。これにより、パチンコ機1は、遊技者の困惑を回避できる。なお、この場合も、図柄表示部24の右打ち報知LEDは時短状態の終了に伴い消灯されるので、遊技状態の判別が全くできなくはならず、遊技者の円滑な遊技が保たれる。
一方、第一保留数カウンタ及び第二保留数カウンタのいずれも「0」であり保留数が記憶されていない場合(S316:NO)、左打ち報知を禁止する処理は行われず、処理はS321の判断へそのまま移行する。特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合において、その特2大当たり遊技終了後に第一保留数及び第二保留数のいずれも「0」であれば、新たに第一保留数又は第二保留数が増加するまでの間、報知演出が実行されない状態が継続する。この場合、特殊モードテーブルに基づく報知演出を待ち受ける表示画面28には、バトル演出に対応する特殊モード中であることを示す背景画像等が表示されることがある。この場合、当然に確変時短状態が設定されていると思い込んでいる遊技者は、バトル演出が実行され得るBモード中であると思って、遊技球を右打ちすることで、特別図柄保留球を得ようとすることがある。このとき、実際には通常状態が設定されているので、右打ちを継続して遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過しても、第二始動口15が開放される割合は低いので、第二始動口15に遊技球が入賞し難い状態が継続する。このような場合に、左打ち警告を禁止すると、遊技者が右打ちを継続したまま、報知演出が実行されにくい状態が長期間に亘る可能性がある。よって、パチンコ機1は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その特2大当たり遊技終了後に第一保留数及び第二保留数のいずれも「0」であるときには、左打ち報知を禁止しないこととしている。これにより、遊技者が、通常状態の正しい遊技である左打ちをするように促し、遊技が円滑に進行するようにしている。
なお、これらの処理によって行われる左打ち報知の禁止は、以下の態様で行われる。左打ち報知が禁止されている状態で、左打ち報知が開始されるタイミングが到来した場合には、左打ち報知の禁止期間中には左打ち報知は行われず、左打ち報知の禁止期間が終了したときに左打ち報知が開始され得る。また、左打ち報知が行われている状態で、左打ち報知が禁止される期間が開始した場合には、行われていた左打ち報知が中断される。そして、左打ち報知の禁止期間が終了したときに、左打ち報知が再開される。
次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S321)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S321:NO)、処理はS323の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S321:YES)、報知演出制御処理が実行されて(S322)、処理はS323の判断へ移行する。
図22を参照して、報知演出制御処理(S322、図21参照)について詳細に説明する。報知演出制御処理では、演出図柄60を用いて大当たり判定の判定結果を報知する報知演出の制御が行われる。報知演出制御処理が開始されると、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドが解析されて、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが特定される(S341)。特定された変動パターンは、RAM582に記憶される。
次いで、特定された変動パターンが、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」のいずれかであるかが判断される(S343)。特定された変動パターンが「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」のいずれかである場合(S343:YES)、右打ち報知の実行が禁止される(S345)。次いで、右打ち禁止中フラグが「ON」となり(S346)、処理はS355へ移行する。これらの処理によって、Bモードにおいて「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の変動パターンによる報知演出が実行される場合に、右打ち報知が禁止される。
右打ち報知の禁止は、左打ち報知の禁止と同様に、右打ち報知が禁止されている状態で、右打ち報知が開始されるタイミングが到来した場合には、右打ち報知の禁止期間中には右打ち報知は行われず、右打ち報知の禁止期間が終了したときに右打ち報知が開始され得る。また、右打ち報知が行われている状態で、右打ち報知が禁止される期間が開始した場合には、行われていた右打ち報知が中断される。そして、右打ち報知の禁止期間が終了したときに、右打ち報知が再開される。
一方、特定された変動パターンが、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」のいずれでもない場合(S343:NO)、特定された変動パターンが、Bモードテーブルにおける大当たり判定の結果が大当たりの場合に関連付けられている変動パターンであるか、又は、Bモードにおいて転落抽せんに当せんし、特殊モードテーブルに基づいて決定された変動パターンであるかが判断される(S351)。この判断は、S341の処理で特定された変動パターンが、Bモードテーブルにおける大当たり判定の結果が大当たりの場合に関連付けられている「勝利演出A」〜「勝利演出C」、「敗北演出」のいずれであるか、又は、特殊モードテーブルに基づいて決定された「勝利演出A」〜「勝利演出C」、「敗北演出」のいずれかであるかに基づいて行われる。特定された変動パターンが、Bモードテーブルにおける大当たり判定の結果が大当たりの場合に関連付けられている変動パターンでなく、特殊モードテーブルに基づいて決定された変動パターンでもない場合(S351:NO)、処理はS355へ移行する。
特定された変動パターンが、Bモードテーブルにおける大当たり判定の結果が大当たりの場合に関連付けられている変動パターンであるか、又は、特殊モードテーブルに基づいて決定された変動パターンである場合(S351:YES)、左打ち報知の実行が禁止される(S352)。次いで、左打ち禁止中フラグが「ON」となり(S353)、処理はS355へ移行する。
次いで、特定された変動パターンに応じた報知演出の実行が制御される(S355)。このとき、特定された変動パターンに対応する画像データをCGROM432から読み出して、表示画面28に表示させることを指示するコマンドが生成され、演出制御基板43に送信される。演出制御基板43は、受信したコマンドに従って、表示画面28における表示を制御する。また、表示画面28における演出図柄60の変動表示を開始する。また、特定された変動パターンに対応する電飾の発光動作、可動体31の動作及び音声出力の制御を指定するコマンドが生成され、ランプドライバ基板46に送信される。ランプドライバ基板46を介してコマンドを受信した電飾基板34は、コマンドに対応する発光動作を実行する。ランプドライバ基板46を介してコマンドを受信した可動体31は、コマンドに対応する動作演出を実行する。ランプドライバ基板46を介してコマンドを受信したスピーカ48は、コマンドに対応する音声を出力する。処理はサブ制御基板処理(図21参照)に戻る。
図21の説明に戻る。次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S323)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S323:NO)、処理はS326の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S323:YES)、確定表示処理が実行されて(S325)、処理はS326の判断へ移行する。
図23を参照して、確定表示処理(S325、図21参照)について詳細に説明する。確定表示処理では、報知演出を終了するための制御、及び右打ち報知中断中フラグ、左打ち報知中断中フラグの制御が行われる。確定表示処理が開始されると、大当たり判定の判定結果を示す演出図柄60の組合せが確定表示される(S361)。本実施形態では、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す演出図柄60の組合せは、例えば「111」「222」等、同じ数字を示す3個の演出図柄による組合せである。大当たり判定の結果が小当たりであることを示す演出図柄の組合せは、例えば「151」「373」等、3個の演出図柄のうち2個が同じ数字に揃う組合せである。大当たり判定の結果がはずれであることを示す演出図柄の組合せは、例えば「274」「356」等、3個の演出図柄が同じ数字に揃わない組合せである。
次いで、第一保留数カウンタ又は第二保留数カウンタのいずれかから「1」を減算する(S362)。このとき、実行を終了する報知演出に対応する特別図柄が第一特別図柄であれば第一保留数カウンタから「1」を減算する。実行を終了する報知演出に対応する特別図柄が第二特別図柄であれば第二保留数カウンタから「1」を減算する。
次いで、右打ち報知中断中フラグが「ON」であるかが判断される(S363)。右打ち報知中断中フラグが「ON」である場合(S363:YES)、中断又は実行していなかった右打ち報知を再開又は開始し(S365)、右打ち報知中断中フラグが「OFF」となる(S366)。その後、処理はサブ制御基板処理(図21参照)へ戻る。
一方、右打ち報知中断中フラグが「OFF」の場合(S363:NO)、左打ち報知中断中フラグが「ON」であるかが判断される(S371)。左打ち報知中断中フラグが「ON」である場合(S371:YES)、中断又は実行していなかった左打ち報知を再開又は開始し(S372)、左打ち報知中断中フラグが「OFF」となる(S373)。その後、処理はサブ制御基板処理へ戻る。また、左打ち報知中断中フラグが「OFF」である場合(S371:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。
図21の説明に戻る。次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S326)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S326:NO)、処理はS331の判断へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S326:YES)、大当たり遊技演出の実行が指示される(S328)。大当たり遊技演出は、大当たり遊技中であることを遊技者に報知するために実行される演出である。この処理では、実行される大当たり遊技演出に対応するコマンドが生成される。生成されたコマンドは、演出制御基板43及びランプドライバ基板46に適宜送信される。処理はS253の判断へ移行する。
次いで、右打ち指示の実行が開始される(S329)。本実施形態では、大当たり遊技中は、左打ちされた遊技球よりも右打ちされた遊技球が第二大入賞口17に入賞しやすく、右打ちが有利な状態である。したがって、パチンコ機1は、大当たり遊技中に右打ち指示を行う。大当たり遊技中の右打ち指示は、大当たり遊技が実行される間、表示画面28に右打ち指示画像105(図26の(5)参照)が継続して表示されることで行われる。処理はS331の判断へ移行する。
次いで、大当たり遊技終了コマンドを受信したかが判断される(S331)。大当たり遊技終了コマンドを受信していない場合(SS331:NO)、処理はS291(図20参照)の判断へ戻る。大当たり遊技終了コマンドを受信した場合(S331:YES)、大当たり遊技演出の実行終了が指示される(S332)。この処理では、実行中の大当たり遊技演出を終了することを示すコマンドが生成される。生成されたコマンドは、演出制御基板43及びランプドライバ基板46に適宜送信される。次いで、右打ち指示の実行が終了される(S333)。この処理により、大当たり遊技演出中に実行されていた右打ち指示が終了される。処理はS291の判断へ戻る。
図24から図30を参照して、パチンコ機1で実行される右打ち報知、左打ち報知の態様の一例について説明する。図24の(1)、(2)及び図25の(3)は、通常状態における遊技の一例を示す。(1)は、通常状態における報知演出において、3つの演出図柄60(左図柄61、中図柄62及び右図柄63)が変動中である状態を示す。なお、図中の矢印67は、演出図柄60が変動中であることを示している。
通常状態における正しい遊技は、左打ちである。通常状態において遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過すると、パチンコ機1は、通常状態中に右打ちが行われていると検出する。この場合、パチンコ機1は、(2)に示すように、「!左打ちに戻してください!」の文言及び左向きの矢印を示す画像からなる左打ち警告画像81を表示画面28に表示させ、右打ちしている遊技者に、遊技球の発射を左打ちに戻すよう促す。
図25の(3)は、演出図柄60が報知演出によって大当たり判定の判定結果が大当たりであることを示すゾロ目の組合せで確定表示されている状態を示す。この態様の表示の後、大当り遊技が行われ、表示画面28は(4)に示すように大当たり遊技演出に関する画像を表示する。大当たり遊技演出中には、大当たり遊技を演出する各種の画像101の他、ラウンド表示103、大当たり図柄104等が表示画面28に表示される。ラウンド表示103は、大当たりラウンドが何ラウンド目かを示す画像であり、(4)では7ラウンド目であることが示されている。大当たり図柄104は、いずれの演出図柄60の組合せで大当たりとなったのかを表示する。本実施形態では、大当たり遊技状態における正しい遊技は、右打ちである。このため、パチンコ機1は、大当たり遊技演出において、「右打ち」の文言及び右向きの矢印を示す画像からなる右打ち指示画像105を表示画面28に表示することで、大当たり遊技中の遊技者に右打ちすることを促す。
特1大当たり遊技が終了した後は、Aモードで遊技が進行する。図26の(5)、(6)は、Aモードにおける遊技の一例を示す。(5)は、Aモードにおける報知演出において、3つの演出図柄60が変動中である状態を示す。Aモード中は確変時短状態又は非確変時短状態が設定されている。時短状態中における正しい遊技は、右打ちである。このため、(5)に示すように、パチンコ機1は、大当たり遊技終了後の数回の報知演出において、右打ち指示画像105を表示画面28に表示することで、遊技状態の変わり目における遊技者に右打ちすることを促す。
時短状態において遊技球が第一始動口14を通過すると、パチンコ機1は、時短状態中に左打ちが行われていると検出する。この場合、パチンコ機1は、(6)に示すように、「!右打ちしてください!」の文言及び右向きの矢印を示す画像からなる右打ち警告画像82を表示画面28に表示させ、Aモード中に左打ちしている遊技者に、遊技球の発射を右打ちに戻すよう促す。なお、(6)では、右打ち指示画像105と右打ち警告画像82とが表示画面28に表示されているが、大当たり遊技終了後の数回の報知演出の実行終了に伴い右打ち指示画像105が表示も終了している場合には、右打ち警告画像82のみが表示される。
また、大当たり遊技が特2大当たり遊技であり、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合には、Bモードで遊技が進行する。Bモードでは、バトル演出が行われ、特2大当たりと判定されてバトル演出に勝利すると、特2大当たり遊技が実行され、その特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過すると、その後に再びBモードの遊技が進行する。また、特1大当たりと判定されてバトル演出に敗北すると、特1大当たり遊技が実行され、その特1大当たり遊技の終了後にAモードの遊技が進行する。また、転落抽せんに当せんした場合には敗北演出が実行され、確変状態の終了に伴いBモードは終了し、その後は「モード終了」を経て、通常モードの遊技が進行する。すなわち、バトル演出において勝利演出が実行されると遊技者にとって最も有利なBモードが継続し、バトル演出において敗北演出が実行されるとBモードが終了する。図27から図29は、Bモードにおける遊技の一例を示す。
図27の(7)は、Bモードにおける報知演出において、3つの演出図柄60が変動中である状態を示す。Bモード中は、バトル演出が開始されるまでの間、確変時短状態が設定される。このため、Bモード中における正しい遊技は、右打ちである。(7)に示すように、パチンコ機1は、大当たり遊技終了後の数回の報知演出において、右打ち指示画像105を表示画面28に表示することで、遊技状態の変わり目における遊技者に右打ちすることを促す。
Bモードにおいても、遊技球が第一始動口14を通過すると、パチンコ機1は、時短状態中に左打ちが行われていると検出する。この場合、パチンコ機1は、(8)に示すように、右打ち警告画像82を表示画面28に表示させ、Bモード中に左打ちしている遊技者に、遊技球の発射を右打ちに戻すよう促す。
本実施形態では、勝利演出及び敗北演出のいずれもが、リーチ状態を構成する。このため、図28の(9)に示すように、Bモードの報知演出において、左図柄61及び右図柄63が同じ数字を示してリーチ状態を構成すると、その後の報知演出が勝利演出及び敗北演出のいずれかに発展する。本実施形態では、勝利演出に発展した場合に大当たりとなり、敗北演出に発展した場合にBモードが終了することを示唆する画像83が表示される。勝利演出及び敗北演出のいずれも、報知演出開始時点から時短状態が終了し、非時短状態となっている。勝利演出に発展した場合には、(10)に示すように中図柄62が左図柄61及び右図柄63と同じ数字で停止して、表示画面28に大当たり判定の結果が大当たりであることを示す演出図柄60の組合せが確定表示される。敗北演出に発展した場合、大当たり判定の結果がはずれのときには、(11)に示すように、表示画面28に大当たり判定の結果がはずれであることを示す演出図柄60の組合せが確定表示される。なお、敗北演出に発展し、大当たり判定の結果が特1大当たりであるときには、図示しないが、表示画面28に大当たり判定の結果が大当たりであることを示す演出図柄60の組合せが確定表示される。
パチンコ機1では、このような勝利演出及び敗北演出の実行開始から実行終了までの間、左打ち指示が禁止されるので、後述の左打ち指示画像106(図30の(14)参照)が表示画面28に表示されることがない。また、勝利演出及び敗北演出の実行中に右打ちが検出されても、左打ち警告が禁止されるので、図28に示すように、左打ち警告画像81が表示画面28に表示されない。このように、勝利演出と敗北演出とが途中まで同様に経過するので、パチンコ機1は、バトル演出において勝利するか敗北するか、遊技者に興味を持たせることができる。
なお、本実施形態では、勝利演出及び敗北演出が開始される前に右打ちが検出され、既に右打ち警告画像82が表示画面28に表示されている場合、勝利演出及び敗北演出の開始と同時にその右打ち警告画像82の表示が終了される。また、勝利演出及び敗北演出の実行中に右打ちが検出された場合には、その右打ちの検出に応じた右打ち警告画像82の表示は行われない。
Bモードにおいては、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」の各変動パターンによる報知演出が実行されることもある。図29の(12)は、「リーチ煽りA」による報知演出の一例を示す。(12)に示すように、「リーチ煽りA」による報知演出が開始されると、演出図柄60が変動を開始した後、まず左図柄61が停止し、中図柄62及び右図柄63が変動を継続する。このとき、右図柄63が左図柄61と同じ数字で停止すれば、リーチ状態が構成されるので、左図柄61及び右図柄63を強調させるための効果画像91が、停止中の左図柄61及び変動中の右図柄63の周囲に付加される。これにより、パチンコ機1は、右図柄63がいずれの数字で停止するか、遊技者に注目させることができる。「リーチ煽りB」による報知演出でも、同様の表示が行われる。
「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出は、リーチ状態を構成しない報知演出である。したがって、(13)に示すように、その後、演出図柄60は、大当たり判定の結果がはずれであることを示す組合せで確定表示される。なお、大当たり判定の結果がはずれであることを示す組合せで確定表示される時点までに、効果画像91は表示画面28から消去される。
「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出の実行中には確変時短状態が継続している。本実施形態では、このような「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出の実行中における右打ち報知が禁止される。したがって、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出の実行中には、Bモード開始直後の数回の報知演出であっても、右打ち指示画像105が表示画面28に表示されない。直前の報知演出において右打ち指示画像105が表示画面28に表示されている場合には、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出の開始に伴い、右打ち指示画像105が表示画面28から消去される。また、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出の実行中に左打ちが検出されても、右打ち警告が禁止されるので、右打ち警告画像82が表示画面に表示されない。パチンコ機1は、このように「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出と、勝利演出及び敗北演出とを、リーチ状態が構成されるまでの間の見かけを共通にすることで、結果としてはずれの判定結果を報知する報知演出においても、遊技者の期待感を維持できる。
なお、Bモードにおいて、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出、勝利演出及び敗北演出以外のはずれ演出等が実行される場合には、右打ち報知及び左打ち報知が禁止されない。したがって、Bモードにおいて、「リーチ煽りA」、「リーチ煽りB」による報知演出、勝利演出及び敗北演出以外のはずれ演出等が実行される場合には、時短状態が設定されているか否かに応じて、適切に右打ち報知及び左打ち報知が行われる。このように、Bモードにおいて右打ち報知及び左打ち報知が禁止される期間は限定的であるので、正しい発射位置での遊技の進行が保たれる。
また、本実施形態では、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合、その特2大当たり遊技の終了後に特殊モードでの遊技が進行する。特殊モードでは、実際の遊技状態は通常状態であるが、Bモードでの勝利演出及び敗北演出と同じ態様で報知演出が実行される。この特殊モード中においては、主に左打ち報知が禁止される。このため、特殊モード中の報知演出の見かけは、図28の(9)〜(11)と同じになる。特殊モードにおける報知演出においてはずれの判定結果が報知された後には、図30の(14)に示す「モード終了」での報知演出が数回実行された後、通常モードに移行する。したがって、パチンコ機1は、特2大当たり遊技の終了後に確変時短状態が当然に設定されていると思い込んでいる遊技者を困惑させることなく、通常モードでの遊技に円滑に導くことができる。また、通常モードにおける報知演出において左打ち指示画像106及び左打ち警告画像81が表示されることがないので、実際の遊技状態が通常状態であることを遊技者に気づかせないまま、遊技を通常モードに移行させることができる。
本実施形態では、特殊モードが終了した後、左打ち報知の禁止が解除されるので、図30の(14)に示すように、「モード終了」において左打ち指示画像106が表示画面28に表示される。なお、特殊モード中に特2大当たりの判定結果が報知された場合には、その報知演出の終了後に特2大当たり遊技が実行され、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過すれば、その後はBモードでの遊技が進行する。また、特殊モード中に特1大当たりの判定結果が報知された場合には、その報知演出の終了後に特1大当たり遊技が実行され、その後はAモードでの遊技が進行する。
以上説明したように、パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過することを条件として、その大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される。確変状態は、大当たり確率が非確変状態よりも高くなるので、遊技者にとって有利な遊技状態である。確変状態中は、特別図柄の変動開始前に転落抽せんが行われる。パチンコ機1では、Bモードにおいて、転落抽せんに当せんした場合、特殊モードテーブルが参照されて、勝利演出及び敗北演出のうちいずれかの変動パターンが決定される。本実施形態では、大当たり確率により、大当たり判定によって特2大当たりであると判定される確率よりもはずれであると判定される確率の方が大きいので、転落抽せんに当せんした場合には、主に敗北演出が決定される。また、特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、その特2大当たり遊技の終了後に設定される通常状態において、シナリオ3の指定により特殊モードテーブルが参照されて、主に敗北演出の変動パターンが決定される。よって、特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合であっても、その特2大当たり遊技の終了後に敗北演出が実行されるのを見た遊技者は、実際は通常状態での遊技であるにかかわらず、あたかも確変時短状態が設定されているかのように、遊技を楽しむことができる。したがって、パチンコ機1は、通常であれば大当たり遊技の終了後に当然に確変時短状態が設定されるような場合に何らかの不具合等で通常状態が設定されていても、遊技者を落胆、困惑させることなく、遊技を進行できる。このようにして、パチンコ機1は、遊技者の意図とは異なる遊技状態が設定されていても、遊技者の興趣が低下することを防止できる。
変動パターン決定テーブルは、「通常」テーブル、「Aモード」テーブル、「Bモード」テーブル、「特殊モード」テーブルを備えている。また、シナリオ選択テーブルは、参照する変動パターンテーブルを定義する複数のシナリオを、それぞれのシナリオ開始条件に対応付けて記憶している。シナリオ2は、大当たり判定によって特2大当たりであると判定された場合において、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したことを条件として、「Bモード」テーブルを参照することを定義している。シナリオ3は、大当たり判定によって特2大当たりであると判定された場合において、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったことを条件として、「特殊モード」テーブルを参照することを定義している。「通常」テーブルには、勝利演出及び敗北演出の変動パターンが割り当てられていない。「Bモード」テーブルには、勝利演出及び敗北演出を含む複数の変動パターンが割り当てられている。「特殊テーブル」には、勝利演出及び敗北演出の変動パターンのみが割り当てられている。「特殊テーブル」は、シナリオ3による指定の他、Bモード中に転落抽せんに当せんした場合の報知演出の決定においても参照される。このため、Bモード中に転落抽せんに当せんし、特殊テーブルが参照されて勝利演出又は敗北演出の変動パターンが決定された後には、大当たり判定の判定結果がはずれであれば、その後に通常状態に則した通常テーブルが参照されて変動パターンが決定される。また、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合にも特殊テーブルが参照されて勝利演出又は敗北演出の変動パターンが決定され、大当たり判定の判定結果がはずれであれば、その後に通常状態に則した通常テーブルが参照されて変動パターンが決定される。すなわち、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過してBモードによる遊技が進行した場合と、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったため特殊モードによる遊技が進行した場合の双方において、敗北演出の変動パターンが決定された後には、通常テーブルが参照されて変動パターンが決定される。時短保証なし大当たりとなり、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過してBモードによる遊技が進行した場合と、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったため特殊モードによる遊技が進行した場合の双方において、その後の遊技の経過が共通する。したがって、敗北演出を見た遊技者は、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したのか否かを判別し難い。このように、パチンコ機1は、時短保証なし大当たりによる大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合にも、あたかも確変時短状態が設定されたかのように遊技者に認識させることができる。
時短保証なし大当たりによる大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときには確変状態とともに時短状態が設定されるが、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しなかったときには確変状態及び時短状態のいずれも設定されない。この場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過するか否かに応じて、大当たり遊技の終了後に設定される遊技状態の有利度に大きな差が生ずる。パチンコ機1は、時短保証なし大当たりである特2大当たりの大当たり種別が決定された場合において、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したときに、「Bモード」テーブルをシナリオ2の指定により参照する。Bモードにおいて大当たり判定によって特2大当たりであると判定された場合、「Bモード」テーブルに基づいて勝利演出の変動パターンが決定される。すなわち、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合には、Bモードでの遊技が進行し、勝利演出又は敗北演出が決定され得る。また、「特殊モード」テーブルには、勝利演出及び敗北演出が割り当てられているので、特殊モードにおいても勝利演出又は敗北演出が決定される。このように、パチンコ機1は、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過した場合と通過しなかった場合の双方において、勝利演出及び敗北演出のいずれかの変動パターンを決定しうる。よって、パチンコ機1は、大当たり遊技終了後に確変時短状態ではなく通常状態が設定されていることを遊技者に把握させにくい。このように、パチンコ機1は、大当たり遊技終了後に通常状態が設定される場合であっても、遊技者を落胆させにくくできる。
パチンコ機1では、大当たり遊技における第二大入賞口17の開放パターンとしてパターンA〜Eを備える。パターンA,Cに対応する「8R大当たりA」及び「16R大当たりA」が決定された場合、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過することがほとんどない。パターンB,D,Eに対応する「8R大当たりB」、「16R大当たりB」及び「16R大当たりC」が決定された場合、6R目の大当たりラウンド中に第二大入賞口17に向けて遊技球が発射されれば、大当たり遊技の終了後に、基本的に確変時短状態が設定される。特1大当たりはパターンA〜Dを含み、特2大当たりはパターンB,Eを含む。すなわち、特2大当たり遊技では、特1大当たり遊技よりも大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過しやすい。このため、特2大当たり遊技が実行された場合、遊技者は、遊技球が実際に特定領域17Aを通過した否かに係わらず、大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過したものと思い込みやすい。このような状況で、特2大当たり遊技中に遊技球が特定領域17Aを通過していなかったことを知った遊技者は、大当たり遊技の終了後に確変時短状態が設定されないことに大いに落胆し、困惑することとなる。パチンコ機1は、特2大当たり遊技の終了後に通常状態が設定される場合であっても、あたかも確変状態が設定されているかのように遊技者に認識させることができるので、遊技者を落胆、困惑させる可能性を低減できる。
本実施形態において、図11のS46及びS56において第一乱数を取得する主基板41のCPU51が、本発明の「取得手段」として機能する。第一乱数が、本発明の「第一情報」に相当する。第一大入賞口16及び第二大入賞口17が、本発明の「大入賞口」に相当する。図14のS125で大当たり判定を実行する主基板41のCPU51が、本発明の「第一判定手段」として機能する。図15のS169で変動パターンを決定する主基板41のCPU51が、本発明の「第一決定手段」として機能する。図22のS355で報知演出を実行するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「実行手段」として機能する。図16のS179において大当たり遊技状態フラグを「ON」にする主基板41のCPU51が、本発明の「第一状態生起手段」として機能する。図18のS245において遊技球が特定領域17Aを通過したかを判断する主基板41のCPU51が、本発明の「判断手段」として機能する。図19のS273、S278において確変フラグを「ON」にする主基板41のCPU51が、本発明の「第一設定手段」として機能する。図14のS112において転落抽せんを実行する主基板41のCPU51が、本発明の「第二判定手段」として機能する。
図6及び図7に示す変動パターン決定テーブルを記憶する主基板41のROM53が、本発明の「演出パターンテーブル記憶手段」に相当する。図15のS142、S153、S156、S162、S166、S168において参照する変動パターンテーブルを指定する主基板41のCPU51が、本発明の「参照テーブル指定手段」として機能する。図14のS131において大当たり種別を決定する主基板41のCPU51が、本発明の「第二決定手段」として機能する。通常テーブルが、本発明の「通常テーブル」に相当する。
特殊テーブルが、本発明の「第一テーブル」に相当する。Bモードテーブルが、本発明の「第二テーブル」に相当する。敗北演出の変動パターンが、本発明の「第一演出パターン」に相当する。勝利演出の変動パターンが、本発明の「第二演出パターン」に相当する。
図10のS16において普通当たり判定を実行する主基板41のCPU51が、本発明の「第三判定手段」として機能する。図19のS268、S281で時短フラグを「ON」にする主基板41のCPU51が、本発明の「第二設定手段」として機能する。大当たり遊技における第二大入賞口17の開放パターンがパターンA,Cである「8R大当たりA」及び「16R大当たりA」が、本発明の「第一種別」の大当たり種別に相当する。開放パターンがパターンB,D,Eである「8R大当たりB」、「16R大当たりB」及び「16R大当たりC」が、本発明の「第二種別」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。上記実施形態では、特2大当たり遊技において遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に、特2大当たり遊技の終了後に設定される特殊モードでは1回の報知演出が実行される。例えば、特2大当たり遊技の終了後に実行される2回以上〜数回の報知演出について特殊モードが適用されてもよい。
上記実施形態では、第二大当たり判定によって大当たりであると判定されたことに応じて実行された大当たり遊技中に、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合と、Bモードにおいて転落抽せんに当せんした場合とで共通して「特殊モード」テーブルが参照されて変動パターンが決定される。第二大当たり判定によって大当たりであると判定されたことに応じて実行された大当たり遊技中に、遊技球が特定領域17Aを通過しなかった場合に参照される変動パターンテーブルと、Bモードにおいて転落抽せんに当せんした場合に参照される変動パターンテーブルとが、異なるテーブルであってもよい。例えば、一方のテーブルに、「勝利演出A」〜「勝利演出C」に加えて、又は「勝利演出A」〜「勝利演出C」のうちいずれかに替えて、勝利演出である「勝利演出D」等の異なる変動パターンが割り当てられていてもよい。また、上記実施形態では敗北演出の変動パターンは1通りであるが、敗北演出の変動パターンが複数設けられていてもよい。この場合、敗北演出の変動パターンの分布が、一方のテーブルと他方のテーブルとで異なってもよい。
パチンコ機1は、Bモード中に大当たり判定によって特1大当たりであると判定された場合、勝利演出の変動パターンが決定されることとしてもよい。この場合、特1大当たりであると判定された場合の勝利演出の変動パターンが、特2大当たりであると判定された場合の勝利演出の変動パターンと同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、パチンコ機1は、特殊モードにおいて大当り判定によって特1大当たりであると判定された場合にも、勝利演出の変動パターンが決定されることとしてもよい。この場合においても、特1大当たりであると判定された場合の勝利演出の変動パターンが、特2大当たりであると判定された場合の勝利演出の変動パターンと同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
上記実施形態では、特殊モード又はBモードから移行した直後の通常モードに「モード終了」を設けているが、特殊又はBモードから、直接通常モードに移行してもよい。
上記実施形態では、1つのシナリオによって指定される変動パターンは1つであるが、1つのシナリオに複数の変動パターンが関連付けられており、複数の変動パターンについて参照順が定義されていてもよい。具体的には、シナリオ2に「B−1モード」テーブル及び「B−2モード」テーブルの2つのテーブルが関連付けられており、大当たり遊技後50回の報知演出を「B−1モード」テーブルを参照し、その後は「B−2モード」テーブルを参照して変動パターンを決定するよう、「B−1モード」テーブルと「B−2モード」テーブルとの参照順が定義されていてもよい。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、表示手段、可動手段、対応画像等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「第一設定手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。