以下、本発明に係る遊技機の第一の実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置37(図3参照)によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。遊技領域4は、発射ハンドル7の発射強度に応じて、遊技球が流下する度合いを互いに異にする第一遊技領域4Lと第二遊技領域4Rとを備えている。第一遊技領域4Lは、パチンコ機1に正対した遊技者から見て遊技領域4の左側に位置し、第二遊技領域4Rは、遊技者から見て遊技領域4の右側に位置している。ガイドレール3は遊技領域4の左側に形成されている。発射ハンドル7によって所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第二遊技領域4Rを流下し(例えば図2の矢印11参照)、所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第一遊技領域4Lを流下する(例えば図2の矢印10参照)。以下、矢印10に示すように遊技球を発射することを「左打ち」と、矢印11に示すように遊技球を発射することを「右打ち」という。
遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8は、LCDからなる表示画面28を中央に備える。表示画面28は様々な映像を表示するが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄81(図25参照)を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄81を変動させた後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄81の組合せを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
演出装置8において、表示画面28の上方に可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を動作させることで各種演出を行う。演出装置8の右下部には普通図柄作動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には第一始動口14および第二始動口15が設けられており、その下方には大入賞口16が設けられている。第二始動口15は、普通電動役物(後述する普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入り口の大きさを変化する役物)としての開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ第二始動口15の入り口が開放され、遊技球は第二始動口15に入賞できる。なお、第二始動口15は、開閉部材が閉鎖された閉鎖状態にも遊技球の入賞が可能であって、開閉部材が開放されることで閉鎖状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。各開閉部材はソレノイドによって電気的に開閉される。さらに遊技盤2には、上記以外に各種の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技くぎ等が設けられている。
本実施形態では、普通図柄作動ゲート12を通過する遊技球は、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球が大半であり、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過することは困難である。第一始動口14、第二始動口15および大入賞口16は、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球と右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球のいずれもが入賞可能に配置されている。このうち第一始動口14については、入賞口および遊技くぎ等の配置により、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球の方が、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球よりも入賞しやすい配置となっている。また第二始動口15および大入賞口16については、入賞口および遊技くぎ等の配置により、右打ちによって第二遊技領域4Rを流下した遊技球の方が、左打ちによって第一遊技領域4Lを流下した遊技球よりも入賞しやすい配置となっている。
遊技盤2の右下部には、大当たり判定の結果および保留球数等を表示する図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LEDおよび普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部および第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定および第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄および第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定および第二大当たり判定を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯および消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDおよび第二特別図柄記憶数表示LEDは、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「特別図柄保留球数」)を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数(所謂「普通図柄保留球数」)を表示する。
次に、パチンコ機1における遊技の流れについて概略的に説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技、および普通当たり遊技が設けられている。パチンコ機1では、大当たり判定において「大当たり」と判定されると、大入賞口16が所定の時間開放される大当たり遊技が行われる。パチンコ機1は、大当たり判定において「大当たり」と判定される大当たり確率が約1/320である非確率変動状態と、約1/90である確率変動状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。また、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が通常の割合である非時短状態と、非時短状態よりも第二始動口15の開閉部材が開放される割合が高くなる時短状態とを、大当たり遊技の終了後に生起させることができる。パチンコ機1は、これらの組合せにより、「非確率変動非時短状態」(以下、「通常状態」という。)「確率変動時短状態」(以下、「確変時短状態」という。)、「確率変動非時短状態」(以下、「確変非時短状態」という。)、および「非確率変動時短状態」(以下、「非確変時短状態」という。)の四種類の遊技状態を生起する。ただし、この実施形態に限られず、パチンコ機1は、これらのうち三種類以下の遊技状態を生起するものであってもよい。
パチンコ機1では、大当たり判定によって「大当たり」と判定された場合は、100%の確率にて大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起される。本実施形態のパチンコ機1では、確率変動状態において、特別図柄が変動する際に確率変動状態から非確率変動状態へ転落するか否かを決定するための転落抽せんが行われる。パチンコ機1の転落抽せんにおける転落確率(確率変動状態から非確率変動状態に転落する確率)は、1/200である。パチンコ機1の確率変動状態は、転落抽せんにおいて転落すると判定されるまで継続する。
ここで、転落抽せんは、大当たり判定における大当たりか否かの判定結果に係わらず、確率変動状態から非確率変動状態に転落させるか否かを決定するための抽せんである。転落抽せんは、大当たりか否かを決定するための大当たり乱数とは別に、転落させるか否かを決定するための転落乱数を用いて行われる。また、転落抽せんは、パチンコ機1が確率変動状態である場合、第一始動口14および第二始動口15のいずれに遊技球が入賞した場合にも、大当たり判定に先だって、特別図柄の変動開始時に行われる。転落抽せんの結果、確率変動状態から非確率変動状態への転落が決定された場合、当該特別図柄の変動において、非確率変動状態で大当たり判定が行われる。一方、転落抽せんの結果、転落が決定されなかった場合、当該特別図柄の変動において、確率変動状態で大当たり判定が行われる。即ち、確率変動状態では、特別図柄の変動のたびに、転落抽せんと大当たり判定とが行われる。非確率変動状態では、転落抽せんは行われない。
なお、確率変動状態の生起および終了の条件は、上記の例に限られない。パチンコ機1は、転落抽せんを行う遊技機に限られず、大当たり遊技の終了後に確率変動状態を生起し、次に大当たりと判定された場合に確率変動状態を終了させる、所謂ループタイプの遊技機によっても、本発明は実現できる。また、パチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に確率変動状態を生起し、その後に行われた第一大当たり判定の回数と第二大当たり判定の回数との和(以下、「判定回数」という。)が所定の回数に達することで確率変動状態が終了する、所謂回数切り確変機能を有する遊技機であってもよい。また、パチンコ機1において、大入賞口16の内部に特定領域を設け、大当たり遊技中に遊技球が特定領域を通過することを契機として、大当たり遊技終了後に確率変動状態が生起されてもよい。
また、パチンコ機1では、次回の大当たり遊技の実行開始まで、または、判定回数が規定回数(以下、「時短回数」という。)に達するまで時短状態が継続する場合がある。パチンコ機1では、第一大当たり判定によって「大当たり」と判定された場合は、90%の確率で時短状態が生起され、10%の確率で時短状態が生起されない。また、第二大当り判定によって「大当たり」と判定された場合は、100%の確率で時短状態が生起される。パチンコ機1では、時短回数は100回である。本実施形態では、時短回数に達するまでの間に転落抽せんによって確率変動状態から非確率変動状態へ転落しても、時短回数に達するまで時短状態は継続する。なお、時短回数は、パチンコ機1の100回に限られない。パチンコ機1は、大当たりと判定された際に決定される特別図柄と、大当たり判定時に生起されている遊技状態とに応じて、大当たり遊技終了後に生起する時短状態の時短回数を、複数の時短回数の中から決定してもよい。
また、本実施形態のパチンコ機1は、小当たり遊技を実行する。小当たり遊技とは、大入賞口16を短時間開放する当たり遊技である。本実施形態の小当たり遊技では、大入賞口16は、0.6秒間の開放を2回行う。また、小当たり遊技の前後で、確率変動状態であるか否か、また、時短状態であるか否かが変化しない点が、大当たり遊技とは異なる。第一始動口14へ遊技球が入賞すると第一大当たり判定が行われるが、この第一大当たり判定において大当たり、小当たり、はずれのいずれであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において小当たりと判定される小当たり確率は、確率変動状態であるか否かに関わらず一定の確率(本実施形態では、1/250)である。なお、本実施形態では、第二大当り判定においては、大当たりであるかはずれであるかが判定される。第二当たり判定においては、小当たりと判定されない。
次いで、普通当たり遊技について説明する。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過すると、普通当たり判定が行われる。時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では99/100)は、非時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では4/100)よりも高い。また、普通当たり遊技中の第二始動口15の開閉部材の最大開放時間は、非時短状態(0.2秒)よりも時短状態(4.2秒)の方が長い。さらに、普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。第二始動口15の開閉部材は、当たりを示す普通図柄が確定表示されてから開放される。よって、「確変時短状態」(つまり、時短状態)では、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が非時短状態よりも高くなる。この結果、第一始動口14よりも第二始動口15に容易に遊技球を入賞させることができる。従って、時短状態中は、右打ちによって遊技を進行することが、遊技者にとって有利となる。一方、「通常状態」および「潜伏確変状態」(つまり、非時短状態)では、第二始動口15の開閉部材が開放される割合が時短状態よりも低くなるため、第二始動口15よりも第一始動口14に容易に遊技球を入賞させることができる。従って、非時短状態では、左打ちによって遊技を進行することが、遊技者にとって有利となる。なお、パチンコ機1は、遊技状態によらず、左打ちによって遊技を進行することが遊技者にとって有利である遊技機であってもよい。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47、および電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ72、および第二始動口スイッチ73に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ72は、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二始動口15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9、およびスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、演出装置8の各種照明の動作および可動役物30の動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431、CGROM432等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通電動役物開閉ソレノイド69、大入賞口開閉ソレノイド70、普通図柄作動スイッチ74、大入賞口スイッチ75および図柄表示部24が接続されている。普通電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口15の開閉部材を開閉する。大入賞口開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
図4を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第二大当たり関係情報記憶エリアの構成は、第一大当たり関係情報記憶エリアの構成と同様であるため、説明を簡略化する。第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図14から図16参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第一始動口14への入賞による第一保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第一始動口14に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第一保留球数)は「4」である。CPU51は、処理が未だ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号が小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理(具体的には、判定結果を報知する報知演出、および、判定結果が大当たりの場合に実行される大当たり遊技)が終了すると、次に番号が小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去してもよい。
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄、および転落決定カウンタの値が記憶される転落乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。転落乱数は、確率変動状態から非確率変動状態へ転落するか否かを決定するために用いられる。
パチンコ機1において、第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定および第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された第一変動パターンおよび第二変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターンおよび第二変動パターンに従って、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかの変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかの変動開始に同期して、演出図柄81の変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄または第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄81を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄81による他、表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によっても、第一変動パターンおよび第二変動パターンと同期した報知演出を実行する。
第二大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図14から図16参照)において使用される。第二大当たり関係情報記憶エリアには、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、複数の記憶エリアが設けられている。第二始動口15に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第二始動口15への入賞による第二保留球数が4未満(0〜3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。本実施形態において、第二始動口15に入賞した遊技球に対して、大当たり判定を保留して乱数を記憶しておくことのできる数(最大第二保留球数)は「4」である。以下の説明では、第一大当たり乱数および第二大当たり乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数および第二変動パターン決定乱数を総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、大当たり関係情報記憶エリアともいう。また、大当たり関係情報記憶エリアに記憶された状態で大当たり判定が保留されている大当たり乱数、および大当たり判定が保留されている大当たり乱数とともに取得されて大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して保留乱数という。保留乱数のうち第一大当たり関係エリアに記憶されている第一保留乱数の数は、第一保留球数に対応する。保留乱数のうち第二大当たり関係エリアに記憶されている第二保留乱数の数は、第二保留球数に対応する。なお、RAM52には、普通図柄作動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶するための普通当たり関係情報記憶エリアが設けられている。普通当たり関係情報記憶エリアも、大当たり関係情報記憶エリアと同様に構成されている。
図5を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第一特別図柄と、第二大当たり判定の結果が大当たりであることを示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄および第二特別図柄は、それぞれ複数の大当たり種別のいずれかに分類される。図5に示すように、特別図柄決定テーブルには、複数の大当たり種別に各々対応する特別図柄決定乱数の乱数値が定義されている。第一特別図柄の種別には、「2R大当たり」、「8R大当たり」、「16R大当たり」の3つがある。第二特別図柄の大当たり種別には、「8R大当たり」、「16R大当たり」の2つがある。「2R」、「8R」および「16R」は、1回の大当たり遊技中に大入賞口16が開閉される回数の合計(所謂「ラウンド数」)を示す。
大当たり判定によって大当たりと判定されると、特別図柄決定乱数の値に対応する特別図柄が決定される。決定された特別図柄の属する大当たり種別に応じてラウンド数、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態および生起された遊技状態の継続条件が決定される。本実施形態では、大当たり種別が「2R大当たり」の場合、大当たり遊技終了後に、確変非時短状態が生起される。大当たり種別が「2R大当たり」以外の場合、大当たり遊技終了後に、確変時短状態が生起される。
図6から図9を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルと、遊技の進行に伴う変動パターン決定テーブルの遷移について説明する。パチンコ機1では、図6から図9に示す、共通変動パターン決定テーブル、第一特殊変動パターン決定テーブル、第二特殊変動パターン決定テーブルおよび転落当せん変動パターン決定テーブルの4つの変動パターン決定テーブルが記憶されている。
共通変動パターン決定テーブルは、大当たり判定時の遊技状態(通常状態、確変時短状態、確変非時短状態、または非確変非時短状態)、および大当たり判定の結果(大当たり、小当たりまたははずれ)に応じて、また、大当たり判定が第一大当たり判定であるか、第二大当り判定であるかに応じて、複数のテーブルを設けている(図6参照)。それぞれのテーブルには複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値(0〜511)とが対応付けられている。大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数とともに取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
図6に示すように、第一大当たり判定において通常時の判定結果が大当たりの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄81のうち2つが同じ図柄で停止したリーチ状態を構成した後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。したがって、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「ノーマルリーチ」、「リーチ演出A」、「リーチ演出B」、「リーチ演出C」、「リーチ演出D」、「リーチ演出E」の順に高くなる。また、判定結果が小当たりの場合には「リーチ演出C」が決定される。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。共通変動パターン決定テーブルにおいて、第一大当たり判定において通常時以外の他の遊技状態においても、また、第二大当り判定についても、複数種類の変動パターンが割り当てられ、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。なお、本実施形態では、通常状態を、「状態A」ともいう。
第一特殊変動パターン決定テーブルは、「8R大当たり」および「16R大当たり」による大当たり遊技の終了後から確変時短状態における判定回数が50回に達するまでの間に実行される報知演出の変動パターンを決定するために参照される(図7参照)。図7に示すように、第一特殊変動パターン決定テーブルには、大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値に応じた各種のリーチ演出であって、共通変動パターン決定テーブルに割り当てられているリーチ演出とは異なるリーチ演出が割り当てられている。本実施形態では、「8R大当たり」および「16R大当たり」による大当たり遊技の終了後から確変時短状態における判定回数が50回に達するまでの間の遊技状態を、「状態B」ともいう。なお、状態Bの終了後に実行される報知演出の決定については、共通変動パターン決定テーブルが参照される。本実施形態では、状態Bが終了した後の、確変時短状態において通算して最大100回の大当たり判定が実行される間の遊技状態を、「状態C」ともいう。パチンコ機1は、確変時短状態において「状態B」と「状態C」との異なる遊技状態を複数設けることで、確変時短状態における報知演出の態様に変化を与えて、遊技の興趣を向上している。
図7に示すように、第一特殊変動パターン決定テーブルには、大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値に応じた各種のリーチ演出が割り当てられている。また、第一特殊変動パターン決定テーブルには、「バトル勝利演出」が割り当てられている。バトル勝利演出は、パチンコ機1に登場するキャラクタが互いに戦う演出であるバトル演出のうち、特定のキャラクタがバトルに勝利する演出である。本実施形態では、パチンコ機1は、確変時短状態において転落抽せんに当せんした場合に、同様のバトル演出において特定のキャラクタが敗北するバトル敗北演出を実行する。即ち、バトル演出において特定のキャラクタが勝利すると大当たり判定において大当たりと判定されたことが、特定のキャラクタが敗北すると転落抽せんに当せんして確変時短状態から非確変時短状態へ転落したことが、それぞれ報知される。
第二特殊変動パターン決定テーブルは、「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後、または大当たり判定によって小当たりと判定されて実行された小当たり遊技の終了後から判定回数が20回に達するまでの間に実行される報知演出の変動パターンを決定するために参照される(図8参照)。本実施形態では、「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後、または大当たり判定によって小当たりと判定されて実行された小当たり遊技の終了後から判定回数が20回に達するまでの間の遊技状態を、「状態D」ともいう。なお、状態Dの終了後に実行される大当たり判定の結果を報知する報知演出の決定については、共通変動パターン決定テーブルが参照される。パチンコ機1は、「状態D」を設けることで、「2R大当たり」による大当たり遊技および小当たり遊技が実行された後の報知演出の実行に変化を与えて、遊技の興趣を向上している。
図8に示すように、第二特殊変動パターン決定テーブルには、大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値に応じた各種のリーチ演出であって、共通変動パターン決定テーブルに割り当てられているリーチ演出とは異なるリーチ演出が割り当てられている。また、第一特殊変動パターン決定テーブルには、「勝利演出」が割り当てられている。勝利演出は、前述したバトル勝利演出を短縮した演出である。本実施形態では、パチンコ機1は、確変非時短状態において転落抽せんに当せんした場合に、特定のキャラクタが敗北する敗北演出を実行する。即ち、勝利演出が実行されると大当たり判定において大当たりと判定されたことが、敗北演出が実行されると確変非時短状態から非確変状態へ転落したことが、それぞれ報知される。パチンコ機1は、確率変動状態において時短状態が生起しているか否かに応じて、大当たりと判定されたか転落抽せんに当せんしたか否かの報知態様を異なるものとして、遊技に変化を与えている。
転落当せん変動パターン決定テーブルは、転落抽せんに当せんした場合であって、大当たり判定の結果がはずれの場合に実行される報知演出の変動パターンを決定するために参照される(図9参照)。なお、転落抽せんに当せんすると、確率変動状態から非確率変動状態への転落がすぐに決定されるので、大当たり判定は非確率変動状態で行われる。図9に示すように、転落当せん変動パターン決定テーブルには、時短状態が生起されている場合に決定される「バトル敗北演出」と、非時短状態が生起されている場合に決定される「敗北演出」との、二種類の変動パターンが割り当てられている。転落当せん変動パターン決定テーブルは、第一大当たり判定および第二大当たり判定のいずれが実行された場合においても、共通して参照される。なお、本実施形態において、転落抽せんに当せんした場合であって、大当たり判定の結果がはずれ以外の場合には、共通変動パターン決定テーブルが参照されて報知演出の変動パターンが決定される。
主基板41は、図6から図9に示すいずれかの変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28およびスピーカ48等を制御する。また、主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄または第二特別図柄を変動させる。
図10を参照して、通常状態(状態A)において初めて大当たりした場合を例に、大当たり遊技の終了以後の遊技状態の遷移について説明する。図10に示すように、状態Aにおいて「8R大当たり」および「16R大当たり」のうちいずれかの大当たり種別の大当たりと判定されると、その後、大当たり種別に応じた8Rまたは16Rのいずれかの大当たり遊技が行われる。この大当たり遊技が終了すると、遊技状態は確変時短状態へ移行する(矢印a参照)。状態Aにおいては、共通変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。
確変時短状態においては、大当たり遊技終了後に行われた判定回数に応じて、参照される変動パターン決定テーブルが変更される。確変時短状態における判定回数が1〜50回の場合、即ち、状態Bにおいては、第一特殊変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。なお、状態Bにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。
状態Bにおいて一度も大当たりの判定結果が得られず、50回連続してはずれと判定されると、状態Bは終了して状態Cに移行する(矢印b参照)。状態Cは、前回の大当たり遊技終了後の判定回数が時短回数である100回(状態Bから状態Cに移行してから50回)に達するまでの間継続しうる。状態Cにおいては、共通変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。なお、状態Cにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。
確率変動状態が生起されている状態Bおよび状態Cにおいては、大当たり判定に先だって転落抽せんが行われる。状態Bおよび状態Cにおいて転落抽せんに当せんした場合、遊技状態は、確変時短状態から非確変時短状態である状態Fに移行する(矢印eおよびf参照)。状態Fは、大当たり遊技終了後の判定回数が時短回数の100回に達するまでの間継続しうる。状態Fにおいては、共通変動パターン決定テーブルが参照されて変動パターンが決定される。状態Fにおける判定回数が100回に達した場合、遊技状態は、非確変時短状態から通常状態である状態Aに移行する(矢印g参照)。なお、状態Fにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。
また、状態Cにおいて転落抽せんに当せんせず、前回の大当たり遊技が終了してから通算して100回(状態Bから状態Cに移行してから50回)連続してはずれと判定されると、遊技状態は確変非時短状態である状態Eに移行する(矢印c参照)。状態Eは、転落抽せんに当せんするまでの間継続する。状態Eにおいて転落抽せんに当せんした場合、遊技状態は、確変非時短状態から通常状態である状態Aに移行する(矢印d参照)。なお、状態Eにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。
一方、状態Aにおいて「2R大当たり」の大当たり種別の大当たりと判定されると、「2R大当たり」による大当たり遊技が行われる。また、状態Aにおいて大当たり判定によって小当たりと判定されると、小当たり遊技が行われる。この2Rの大当たり遊技状態および小当たり遊技のいずれかが終了すると、遊技状態は状態Dへ移行する(矢印h参照)。「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後には、確変非時短状態が生起する。小当たり遊技の前後では、確率変動状態であるか否か、また、時短状態であるか否かが変化しないので、小当たり遊技の終了後には、引き続き通常状態が継続する。本実施形態では、「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後に生起される確変非時短状態と、小当たり遊技の終了後の通常状態とを合わせて状態Dとして、第二特殊変動パターン決定テーブルを参照して変動パターンが決定される。状態Dは、「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後または小当たり遊技の終了後の判定回数が20回に達するまでの間継続しうる。このように、「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後および小当たり遊技の終了後に共通して状態Dが生起させることで、パチンコ機1は、遊技に変化を与えている。なお、状態Dにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。
状態Dのうち、確変非時短状態が生起されている場合には、大当たり判定に先だって転落抽せんが行われる。状態Dにおいて転落抽せんに当せんした場合、遊技状態は、確変非時短状態から通常状態である状態Aに移行する(矢印d参照)。また、状態Dのうち、確変非時短状態が生起されている場合において、転落抽せんに当せんせず、連続して20回はずれと判定されると、遊技状態は状態Eへ移行する(矢印i参照)。なお、状態Eにおいて大当たりと判定された場合は、大当たり遊技の終了後、大当たり種別に応じた遊技状態が生起される。また、状態Dのうち、通常状態が生起されている場合において、連続して20回はずれと判定されると、遊技状態は状態Aへ移行する(矢印j参照)。
このように、本実施形態では、大当たり判定の結果、判定回数、転落抽せんの結果に応じて、パチンコ機1の遊技状態が変更される。遊技状態毎に、変動パターンの決定のために参照される変動パターン決定テーブルが異なるので、遊技状態に応じて異なる態様の報知演出が実行される。パチンコ機1において、状態A〜Fのうちいずれかの遊技状態から他の遊技状態へ移行する期間である移行期においては、「特別先読みモード」が設定される。また、特別先読みモードが設定されていない場合には「通常先読みモード」がそれぞれ設定され、設定されているモードに応じた先読み演出が実行される。「特別先読みモード」、「通常先読みモード」および先読み演出の詳細については後述する。
図11から図22を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図11参照)は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
図11に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。詳細は後述するが、スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、各入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる(図12および図13参照)。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、大当たり遊技および小当たり遊技の動作(主に大入賞口16の開閉部材の開閉動作)を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。本実施形態では、通常状態において大当たりと判定された場合においては、大当たり種別が「8R大当たり」および「16R大当たり」の場合、確率変動フラグおよび時短フラグが、大当たり遊技終了後に「ON」となる。また、大当たり種別が「2R大当たり」の場合には、確率変動フラグのみが、大当たり遊技終了後に「ON」となる。また、通常状態以外において大当たりと判定された場合においては、大当たり種別に関わらず、すべての大当たり遊技の終了後に、確率変動フラグおよび時短フラグが、大当たり遊技終了後に「ON」となる。なお、大当たり遊技におけるラウンド数は、大当たり種別に応じて決定される。本実施形態では、大当たり種別が「2R大当たり」の場合、大入賞口16が各ラウンドにおいて最大開放時間0.6秒で開放される。また、大当たり種別が「8R大当たり」および「16R大当たり」の場合、大入賞口16が各ラウンドにおいて最大開放時間29秒で開放される。そして、一旦開放された大入賞口16は、最大開放時間の経過、および9個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖される。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定、および遊技状態の移行処理等が行われる(図14から図16参照)。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。CPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く、第二始動口15の開閉部材を開放させる。なお、CPU51は、時短フラグが「ON」とされていれば、時短状態中であると判断する。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄作動スイッチ74が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、それぞれの確率(99/100または4/100)で判定される。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
図12および図13を参照して、スイッチ読込処理(S11、図11参照)の詳細について説明する。図12に示すように、スイッチ読込処理が開始されると、まず、賞球関係スイッチ読込処理が行われる(S21)。賞球関係スイッチ読込処理では、賞球に関係するスイッチである大入賞口スイッチ75、第一始動口スイッチ72、第二始動口スイッチ73等の各種のスイッチから検出信号が供給されているかを検出する。検出信号が供給された場合は、信号を供給したスイッチに応じて賞球の数を決定し、RAM52に記憶する。処理はS22へ移行する。
次いで、特別図柄関係スイッチ読込処理が行われる(S22)。特別図柄関係スイッチ読込処理は、所定の検出信号が供給されているかを検出する。
図13を参照して、特別図柄関係スイッチ読込処理(S22、図12参照)について詳細に説明する。図13に示すように、特別図柄関係スイッチ読込処理が開始されると、第一特別図柄としての識別情報に関係する第一始動口スイッチ72から検出信号が供給されているか否かが判断される(S31)。信号が供給されていない場合(S31:NO)、処理はS33の判断へ移行する。信号が検出された場合(S31:YES)、RAM52に記憶される第一始動口入賞フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S32)。第一始動口入賞フラグは、第一始動口スイッチ72に対応するフラグであり、第一始動口14に遊技球が入賞したことを示す。
次いで、第二特別図柄としての識別情報に関係する第二始動口スイッチ73から検出信号が供給されているか否かが判断される(S33)。信号が供給されていない場合(S33:NO)、処理はスイッチ読込処理へ戻る。信号が検出された場合(S33:YES)、RAM52に記憶される第二始動口入賞フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S34)。第二始動口入賞フラグは、第二始動口スイッチ73に対応するフラグであり、第二始動口15に遊技球が入賞したことを示す。処理はスイッチ読込処理へ戻る。
図12の説明に戻る。次いで、普通図柄関係スイッチ読込処理が行われる(S23)。普通図柄関係スイッチ読込処理では、普通図柄としての識別情報に関係する普通図柄作動スイッチ74から検出信号が供給されているかを検出する。普通図柄作動スイッチ74から検出信号が供給された場合は、普通図柄作動スイッチ74に対応するフラグが「ON」となる。これらのフラグの情報は、後述する普通図柄処理において参照される。処理はメイン処理へ戻る。
図14から図16を参照して、特別図柄処理(S14、図11参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、前述した第一始動口入賞フラグおよび第二始動口入賞フラグに加えて、大当たり遊技状態フラグ、特別図柄表示状態フラグ、確率変動フラグ、時短フラグ、転落当せんフラグ、第二特殊変動フラグ、時短状態終了予告フラグ、転落先読みフラグ、小当たり2R先読みフラグ、第一変更予告フラグ、第二変更予告フラグ等が記憶されている。
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれか一方が変動している場合(変動中)に「1」、いずれか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、いずれも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。確率変動フラグは、確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。時短フラグは、時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。転落当せんフラグは、転落抽せんに当せんした場合に「1」が記憶されて「ON」となる。第二特殊変動フラグは、第二特殊変動パターン決定テーブルを参照することを決定する場合に「1」が記憶されて「ON」となる。時短状態終了予告フラグは、時短状態が終了することを予告する期間に亘って「1」が記憶されて「ON」となる。転落先読みフラグは、転落抽せんに当せんすることが先読みされた場合に「1」が記憶されて「ON」となる。小当たり2R先読みフラグは、大当たり判定の結果が小当たりであることまたは2R大当たりであることが先読みされた場合に「1」が記憶されて「ON」となる。第一変更予告フラグは、状態Bが終了することを予告する期間に亘って「1」が記憶されて「ON」となる。第二変更予告フラグは、状態Dが終了することを予告する期間に亘って「1」が記憶されて「ON」となる。
図14に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S41)。ここでの判断は、第一始動口フラグの状態によって行われる。第一始動口フラグが「OFF」の場合(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。第一始動口フラグが「ON」の場合(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるか否かが判断される(S42)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」であれば(S42:YES)、記憶可能な第一保留球の数が上限に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。
第一保留球数が「4」でない場合には(S42:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S43)。次いで、第一保留球数をサブ制御基板58に通知するための第一保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S44)。次いで、各種乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S45)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が、転落乱数欄には転落決定カウンタの値が、それぞれRAM52に記憶される。
次いで、S45において新たに記憶された第一保留乱数についての情報を、第一保留乱数に含まれる第一大当たり乱数に対して実際に第一大当たり判定が行われるよりも前に取得(先読み)する第一乱数先読み処理が行われる(S46)。処理はS51の判断へ移行する。
図17を参照して、第一乱数先読み処理(S46、図14参照)について詳細に説明する。第一乱数先読み処理では、S45(図14参照)において新たに記憶された第一大当たり乱数に対して行われる第一大当たり判定の結果についての情報、新たに記憶された第一変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報、新たに記憶された第一特別図柄決定乱数によって決定される大当たり種別についての情報、および新たに記憶された転落乱数に対して行われる転落抽せんの結果についての情報が取得される。また、各種フラグの状態に応じて、新たに記憶された第一大当たり乱数に対して行われる第一大当たり判定の結果についての情報、新たに記憶された第一変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報に基づいたコマンドが記憶される。
図17に示すように、第一乱数先読み処理が開始されると、S45において新たに記憶された第一保留乱数の情報が先読みによって取得される(S111)。S111の処理において、第一保留乱数のうち新たに記憶された第一大当たり乱数に対して行われる第一大当たり判定の結果についての情報の取得は、確率変動状態が生起されているか否かに応じた判定テーブルが参照されることで行われる。図示しないが、ROM53には、大当たり判定を行うためのテーブルとして、低確率判定テーブルと、高確率判定テーブルとが記憶されている。低確率判定テーブルは、非確率変動状態中の大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」、「小当たり」および「はずれ」に各々対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。高確率判定テーブルは、確率変動状態中の大当たり判定に用いられるテーブルであり、「大当たり」、「小当たり」および「はずれ」に各々対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。S111では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルを参照して、S45で新たに記憶された第一大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」および「はずれ」のいずれに対応するかを示す情報が、大当たり乱数先読み情報として取得される。即ち、大当たり乱数先読み情報は、大当たり乱数に対して大当たり判定が実際に行われるよりも前に取得される。パチンコ機1は、取得した大当たり乱数先読み情報に基づいて、大当たり乱数について実際に大当たり判定が実行されるよりも前に実行される各種演出を制御することができる。これにより、パチンコ機1は、遊技者の大当たりへの期待感をさらに高めることができる。
本実施形態において、大当たり乱数先読み情報には、はずれ情報、小当たり情報、高確大当たり情報および低確高確大当たり情報の4種類がある。はずれ情報は、低確率判定テーブルおよび高確率判定テーブルのいずれを参照しても、大当たり乱数がはずれであることを示す情報である。小当たり情報は、低確率判定テーブルおよび高確率判定テーブルのいずれを参照しても、大当たり乱数が小当たりであることを示す情報である。高確大当たり情報は、大当たり乱数が、低確率判定テーブルを参照する場合にははずれだが、高確率判定テーブルを参照する場合には大当たりであることを示す情報である。低確高確大当たり情報は、低確率判定テーブルおよび高確率判定テーブルのいずれを参照しても、大当たり乱数が大当たりであることを示す情報である。
パチンコ機1は、大当たり乱数先読み情報を上記のように構成することで、大当たり乱数取得時(先読み時)の遊技状態と、実際の大当たり判定時の遊技状態とが異なる場合であっても、以降に実行される大当たり判定による判定結果を適切に予測することができる。ここで、パチンコ機1は、いずれの遊技状態においてもはずれ情報、小当たり情報、高確大当たり情報および低確高確大当たり情報の4種類の大当たり乱数先読み情報をサブ制御基板58に送信してよい。また、大当たり乱数先読み情報の取得時の遊技状態等、様々な条件に応じて、はずれ情報、小当たり情報、高確大当たり情報および低確高確大当たり情報の4種類のうちいずれかの情報を選択して送信してもよい。なお、大当たり乱数先読み情報は、上記の4種類に加えて、低確率判定テーブルを参照する場合には大当たりだが、高確率判定テーブルを参照する場合にははずれであることを示す低確率大当たり情報等が含まれるように構成されていてもよい。
S111では、新たに記憶された第一変動パターン決定乱数によって決定される変動パターンについての情報も先読みされる。変動パターンについての情報の先読みは、現時点の遊技状態に対応する変動パターン決定テーブルが参照されることで行われる。第一乱数先読み処理では、S111の時点の遊技状態に対応した変動パターン決定テーブルが選択される。選択された変動パターン決定テーブルを参照して、S45で新たに記憶された第一変動パターン決定乱数がいずれの変動パターンに対応するかを示す情報が、実際に変動パターンが決定されるよりも前に、変動パターン先読み情報として取得される。いずれの変動パターンに対応するかを示す情報とは、具体的には、「非リーチ」であるか、「リーチ演出A」であるかなど、変動パターンの種類を示す情報である。パチンコ機1は、取得した変動パターン先読み情報に基づいて、後に実行される報知演出の変動パターンを予測できる。例えば、大当たりとなる期待値の高い種類の変動パターン先読み情報を新たに取得した場合、パチンコ機1は、大当たりとなる期待値の高い変動パターンによる報知演出が実行されるよりも前に実行される報知演出において、特定の演出を実行する。このようにして、パチンコ機1は、報知演出の変動パターンを事前に予測して、遊技者の期待感を向上することができる。これにより、パチンコ機1は、先読み情報に基づいた興趣に富む演出を、遊技者に提供できる。
また、S111では、新たに記憶された第一特別図柄決定乱数によって決定される大当たり種別についての情報も先読みされる。S45で新たに記憶された大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す場合に、特別図柄決定テーブルが参照されることで、S45で新たに取得された第一特別図柄決定乱数がいずれの大当たり種別に対応するかを示す情報が、大当たり種別先読み情報として取得される。即ち、大当たり種別先読み情報は、特別図柄決定乱数に対応する大当たり種別が実際に決定されるよりも前に取得される。
また、S111では、新たに記憶された転落乱数に対して行われる転落抽せんの結果についての情報も先読みされる。図示しないが、ROM53には、転落抽せんを行うためのテーブルとして、転落抽せんテーブルが記憶されている。転落抽せんテーブルには、転落抽せんの「当せん」および「はずれ」に各々対応する転落乱数の乱数値が定義されている。S111において、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されていることが特定された場合、転落抽せんテーブルが参照されて、S45で新たに記憶された転落乱数が「当せん」および「はずれ」のいずれに対応するかを示す情報が、転落先読み情報として取得される。即ち、転落先読み情報は、転落乱数に対して転落抽せんが実際に行われるよりも前に取得される。本実施形態では、転落先読み情報のうち、転落抽せんに当せんすることを示す情報を、転落当せん先読み情報という。また、以下では、S45において新たに記憶された第一保留乱数について先読みされた各種の情報を総称して、保留乱数先読み情報ともいう。
次いで、S111の処理で取得された保留乱数先読み情報に、転落当せん先読み情報があるか否かが判断される(S112)。転落先読み情報がある場合(S112:YES)、転落当せん先読みフラグが「ON」となり(S113)、処理はS114の判断へ移行する。転落先読み情報がない場合(S112:NO)、処理はS114の判断へ移行する。
次いで、S111の処理で取得された保留乱数先読み情報に、小当たり情報または「2R大当たり」の大当たり種別先読み情報があるか否かが判断される(S114)。以下、小当たり情報と「2R大当たり」の大当たり種別先読み情報とを総称して、「小当たり・2R先読み情報」ともいう。小当たり・2R先読み情報がある場合(S114:YES)、小当たり2R先読みフラグが「ON」となり(S115)、処理はS116の判断へ移行する。小当たり・2R先読み情報がない場合(S114:NO)、処理はS116の判断へ移行する。
次いで、時短情報終了予告フラグ、第一変更予告フラグ、および第二変更予告フラグのいずれかが「ON」となっているか否かが判断される(S116)。時短情報終了予告フラグ、第一変更予告フラグ、および第二変更予告フラグのいずれも「OFF」の場合(S116:NO)、転落当せん先読みフラグおよび小当たり2R先読みフラグのいずれかが「ON」となっているか否かが判断される(S117)。転落当せん先読みフラグおよび小当たり2R先読みフラグのいずれも「OFF」の場合(S117:NO)、通常先読み情報をサブ制御基板58に通知するための先読みコマンドがRAM52に記憶されて(S118)、処理は特別図柄処理(図14参照)へ戻る。ここで、通常先読み情報とは、大当たり乱数先読み情報と変動パターン先読み情報とを少なくとも含む保留乱数先読み情報である。
一方、時短情報終了予告フラグ、第一変更予告フラグ、および第二変更予告フラグのいずれかが「ON」となっている場合(S116:YES)、および転落当せん先読みフラグおよび小当たり2R先読みフラグのいずれかが「ON」となっている場合(S117:YES)、特別先読み情報をサブ制御基板58に通知するための先読みコマンドがRAM52に記憶されて(S119)、処理は特別図柄処理(図14参照)へ戻る。ここで、特別先読み情報とは、大当たり乱数先読み情報を少なくとも含む保留乱数先読み情報である。本実施形態では、特別先読み情報は、変動パターン先読み情報を特定しない。特別先読み情報は、大当たり乱数先読み情報と、変動パターン先読み情報を特定していないことを示す「非特定情報」とを含む。この点において、特別先読み情報の特定する情報は、通常先読み情報の特定する情報よりも少ない。特別先読み情報は、通常先読み情報よりも少ない情報を含む情報ともいえる。
図14の説明に戻る。次いで、第二始動口15に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S51)。ここでの判断は、第二始動口フラグの状態によって行われる。第二始動口フラグが「OFF」の場合(S51:NO)、処理はS61(図15参照)の判断へ移行する。第二始動口フラグが「ON」の場合(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるか否かが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」であれば(S52:YES)、記憶可能な第二保留球の数が上限に達しているため、処理はS61(図15参照)の判断へ移行する。
第二保留球数が「4」でない場合には(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S53)。次いで、第二保留球数をサブ制御基板58に通知するための第二保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S54)。次いで、第二大当たり判定カウンタの値(第二大当たり乱数)、第二特別図柄決定カウンタの値(第二特別図柄決定乱数)、第二変動パターン決定カウンタの値(第二変動パターン決定乱数)、および転落決定カウンタの値(転落乱数)がそれぞれ取得され、それぞれRAM52に記憶される(S55)。
次いで、S55において新たに記憶された第二保留乱数についての情報を、第二保留乱数に含まれる第二大当たり乱数に対して実際に第二大当たり判定が行われるよりも前に、先読みにより取得する第二乱数先読み処理が行われる(S56)。第二乱数先読み処理では、新たに記憶された第二大当たり乱数に対応する大当たり乱数先読み情報、新たに記憶された第二変動パターン決定乱数に対応する変動パターン先読み情報、新たに記憶された第二特別図柄決定乱数に対応する大当たり種別先読み情報、新たに記憶された転落乱数に対応する転落先読み情報が、保留乱数先読み情報として取得される。また、各種フラグの状態に応じて、新たに記憶された第二保留乱数に対応する特別先読み情報または通常先読み情報をサブ制御基板58に通知するための先読みコマンドが記憶される。第二乱数先読み処理では、S46の第一乱数先読み処理と同様の処理が進められ、その処理の詳細は図17に示されるとおりであるので、説明を省略する。処理はS61(図15参照)の判断へ移行する。
次いで、図15に示すように、大当たり遊技状態であるか否かが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、大当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが変動中であるか否かが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、いずれも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが停止状態中であるか否かが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、いずれも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図16参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図16に示すように、まず、第二保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」以上である場合には(S71:YES)、第二大当り判定が行われるが、詳細は後述する。第二保留球数が「0」である場合には(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるか否かが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」であれば(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
第一保留球数が「1」以上である場合には(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。次いで、第一保留球数をサブ制御基板58に通知するための第一保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S74)。第一大当たり関係情報記憶エリア(図4参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S75)。処理はS90へ移行する。
一方、第二大当たり判定では、まず、第二保留球数が「1」減算される(S83)。次いで、第二保留球数をサブ制御基板58に通知するための第二保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S84)。第二大当たり関係情報記憶エリアの判定エリアが次の番号の記憶エリアにシフトされる(S85)。処理はS90へ移行する。
次いで、大当たり判定処理が行われる(S90)。大当たり判定処理では、大当たり判定、転落抽せん、特別図柄の決定に関する各処理が行われる。図18を参照して、大当たり判定処理(S90、図16参照)について詳細に説明する。
図18に示すように、大当たり判定処理が開始されると、確率変動フラグが「ON」であるか否かが判断される(S121)。確率変動フラグが「OFF」の場合(S121:NO)、処理はS126へ移行する。確率変動フラグが「ON」の場合(S121:YES)、転落抽せん処理が行われる(S122)。転落抽せん処理では、前述した転落抽せんテーブルが参照されて、S75およびS85(図16参照)でシフトされて判定エリアに記憶されている転落乱数が、「当せん」および「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の転落乱数に基づく転落抽せんが、転落乱数の記憶された順に行われる。
次いで、転落抽せんの結果が「当せん」であるか否かが判断される(S123)。転落抽せんの結果が「はずれ」の場合(S123:NO)、処理はS126へ移行する。転落抽せんの結果が「当せん」の場合(S123:YES)、確率変動フラグが「OFF」となり(S124)、転落当せんフラグが「ON」となる(S125)。
次いで、確率変動状態が生起されているか否かに応じた大当たり判定が行われる(S126)。S126では、確率変動フラグの状態を参照して、現時点において確率変動状態が生起されているか否かが特定される。確率変動状態が生起されているか否かが特定された結果に対応して、前述の低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが選択される。選択された低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブルが参照されて、S75およびS85でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」および「はずれ」のいずれに対応するかが判定される。なお、第一大当たり関係情報記憶エリアおよび第二大当たり関係情報記憶エリアにおいて、保留乱数それぞれの記憶順が特定されて記憶されているので、RAM52に記憶されたた未判定の大当たり乱数に基づく大当たり判定が、大当たり乱数の記憶された順に行われる。
次いで、大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S127)。大当たり判定の結果が大当たりの場合(S127:YES)、大当たりであることを示す特別図柄が決定されて(S128)、処理は特別図柄処理(図16参照)へ戻る。大当たり判定の結果が大当たりでない場合(S127:NO)、第一始動口14に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S131)。第一始動口フラグが「ON」の場合、第一始動口14に遊技球が入賞していると判断されて(S131:YES)、大当たり判定の結果が小当たりであるか否かが判断される(S132)。大当たり判定の結果が小当たりの場合(S132:YES)、小当たりであることを示す特別図柄が決定されて(S133)、処理は特別図柄処理へ戻る。一方、第一始動口フラグが「OFF」の場合(S131:NO)、またはS132の判断において大当たり判定の結果が小当たりでない場合(S132:NO)、はずれであることを示す特別図柄が決定されて(S134)、処理は特別図柄処理へ戻る。
図16の説明に戻る。次いで、変動パターン決定処理が行われる(S91)。変動パターン決定処理では、ROM53に記憶されている複数の変動パターン決定テーブルのうち、遊技状態および判定結果等に応じた変動パターン決定テーブルが参照されて、一つの変動パターンが決定される。
図19を参照して、変動パターン決定処理(S91、図16参照)について詳細に説明する。変動パターン決定処理は、第一特別図柄および第二特別図柄の変動パターンを決定する処理である。前述したように、変動パターンの決定において参照される変動パターン決定テーブルは、図10に示す遊技状態の遷移に伴って変更される。変動パターン決定処理は、遊技状態に対応するいずれかの変動パターン決定テーブルを選択して、変動パターンを決定する。
図19に示すように、変動パターン決定処理が開始されると、第二特殊変動フラグが「ON」であるか否かが判断される(S141)。第二特殊変動フラグが「ON」の場合(S141:YES)、CPU51が参照する変動パターン決定テーブルとして、第二特殊変動パターン決定テーブル(図8参照)がセットされて(S145)、処理はS157へ移行する。
第二特殊変動フラグが「OFF」の場合(S141:NO)、確率変動フラグが「ON」であるか否かが判断される(S142)。確率変動フラグが「ON」の場合(S142:YES)、大当たり判定回数計数カウンタの値を示すKが「50」以下であるか否かが判断される(S143)。大当たり判定回数計数カウンタは、RAM52に記憶され、後述する遊技状態移行処理(S108、図15参照)でセットされるカウンタであり、前回の大当たり遊技の終了後からの判定回数を計数する。即ち、S142およびS143において、大当たり遊技終了後に、確率変動状態において大当たり判定において連続して判定された回数が50回以下であるか否かが判断される。Kの値が「50」以下の場合(S143:YES)、CPU51が参照する変動パターン決定テーブルとして、第一特殊変動パターン決定テーブル(図7参照)がセットされて(S144)、処理はS157へ移行する。
一方、確率変動フラグが「OFF」の場合(S142:NO)、転落当せんフラグが「ON」であるか否かが判断される(S151)。転落当せんフラグが「ON」の場合(S151:YES)、大当たり判定の結果がはずれであるか否かが判断される(S152)。大当たり判定の結果がはずれの場合(S152:YES)、CPU51が参照する変動パターン決定テーブルとして、転落当せん変動パターン決定テーブル(図9参照)がセットされて(S154)、処理はS155へ移行する。
転落当せんフラグが「OFF」の場合(S151:NO)、また、転落当せんフラグは「ON」であるが大当たり判定の結果がはずれでない場合(S151:YES,S152:NO)、および、Kの値が「50」よりも大きい場合(S143:NO)、CPU51が参照する変動パターン決定テーブルとして、共通変動パターン決定テーブル(図6参照)がセットされる(S153)。処理はS155へ移行する。次いで、転落当せんフラグが「ON」となっていれば「OFF」とされる(S155)。また、転落先読みフラグが「ON」となっていれば「OFF」とされて(S156)、処理はS157へ移行する。
次いで、セットされたそれぞれの変動パターン決定テーブルが参照されて、大当たり判定の種別、遊技状態および判定結果に応じた変動パターンのうちの一つが、第一変動パターン決定乱数または第二変動パターン決定乱数の値によって決定される(S157)。処理は特別図柄処理(図16参照)へ戻る。
図16の説明に戻る。変動パターンが決定されると、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S92)。変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図11参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された変動パターンに応じて決められている第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S93)。第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S94)、処理はメイン処理へ戻る。
また、図15に示すS62の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが変動中であると判断され(S62:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S101)。S93(図16参照)の処理においてセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には、変動時間が経過したと判断され(S101:YES)、RAM52に特別図柄停止コマンドが記憶される(S102)。このコマンドは、コマンド出力処理(S10、図11参照)によってサブ制御基板58および中継基板47に送信され、表示画面28の演出図柄81、および第一特別図柄または第二特別図柄の変動停止を指示する。次いで、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S103)。第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S104)。その後、第一始動口フラグおよび第二始動口フラグのうち「ON」となっているものが「OFF」とされて(S105)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S101の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S101:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S102においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値によって、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S106)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S106:NO)、処理はメイン処理へ戻る。停止表示時間が経過した場合には(S106:YES)、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれもが変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S107)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S108)、処理はメイン処理へ戻る。
図20から図22を参照して、遊技状態移行処理(S108、図15参照)について詳細に説明する。遊技状態移行処理では、大当たりと判定された場合には遊技を大当たり遊技へ移行させ、所定の終了条件が成立した場合には時短状態および確率変動状態を終了させるための各種のフラグの制御とが行われる。
図20に示すように、遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S161)。大当たりの場合(S161:YES)、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S162)。本実施形態では、大当たり遊技のラウンド数は、特別図柄決定テーブル(図5参照)における特別図柄の大当たり種別に応じて決定される。したがって、大当たり種別に応じた「2R」、「8R」および「16R」の各ラウンド数のいずれかを示す値が、ラウンド数を計数するラウンド数カウンタにセットされる(S163)。また、大当たり遊技を開始させることを示す大当たり遊技開始コマンドが、RAM52に記憶される。大当たり遊技開始コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図11参照)において、サブ制御基板58に送信される。
次いで、Kの値が「0」にクリアされる(S164)。次いで、「ON」となっている時短フラグおよび確率変動フラグがあれば、「OFF」とされる(S165)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が、確率変動状態または時短状態から通常状態へと移行する。次いで、大当たり種別が「2R大当たり」であるか否かが判断される(S166)。大当たり種別が「2R大当たり」でない場合(S166:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る(図15参照)。大当たり種別が「2R大当たり」の場合(S166:YES)、処理はS173(図21参照)の判断へ移行する。
一方、大当たり判定の結果が大当たりでない場合(S161:NO)、大当たり判定の結果が小当たりであるか否かが判断される(S171、図21参照)。小当りの場合(S171:YES)、小当たり遊技を開始させることを示す大当たり遊技開始コマンドが、RAM52に記憶される(S172)。
次いで、遊技状態が通常状態であるか否かが判断される(S173)。確率変動フラグおよび時短フラグのいずれもが「OFF」の場合、通常状態であると判断されて(S173:YES)、第二特殊変動回数計数カウンタの値を示すLの値が「0」にクリアされる(S174)。第二特殊変動回数計数カウンタは、RAM52に記憶されるカウンタであり、前回の小当たり遊技の終了後または「2R大当たり」による大当たり遊技の終了後からの判定回数を計数する。次いで、第二特殊変動フラグが「ON」となり(S175)、小当たり2R先読みフラグが「OFF」となる(S176)。処理はS191(図22参照)へ移行する。一方、確率変動フラグおよび時短フラグの少なくともいずれかが「ON」の場合、通常状態でないと判断されて(S173:NO)、処理はS191へ移行する。これにより、本実施形態では、通常状態以外の遊技状態において大当たり判定によって小当たりまたは2R大当たりによる大当たりと判定された場合には、小当たり遊技の終了後および2R大当たりによる大当たり遊技の終了後に状態Dは生起されない。また、小当たり遊技の実行時点に確率変動状態および時短状態のうち一方または双方が生起されていれば、小当たり遊技の終了後にも同じ遊技状態が継続される。
大当たり判定の結果が小当たりでない場合(S171:NO)、第二特殊変動フラグが「ON」であるか否かが判断される(S181)。第二特殊変動フラグが「OFF」の場合(S181:NO)、処理はS191(図22参照)へ移行する。第二特殊フラグが「ON」の場合(S181:YES)、第二特殊変動回数計数カウンタ(L)に「1」が加算される(S182)。次いで、Lの値が「15」であるか否かが判断される(S183)。Lの値が「15」の場合(S183:YES)、第二変更予告フラグが「ON」となり(S184)、処理はS185の判断へ移行する。Lの値が「15」でない場合(S183:NO)、処理はS185の判断へ移行する。
次いで、Lの値が「20」であるか否かが判断される(S185)。Lの値が「20」の場合(S185:YES)、第二特殊変動フラグが「OFF」となり(S186)、また、第二変更予告フラグが「OFF」となり(S187)、処理はS191(図22参照)へ移行する。Lの値が「20」でない場合(S185:NO)、処理はS191(図22参照)へ移行する。
図22に示すように、次いで、大当たり判定回数計数カウンタ(K)に「1」が加算される(S191)。Kの値が「45」であるか否かが判断される(S192)。Kの値が「45」の場合(S192:YES)、第一変更予告フラグが「ON」となり(S193)、処理はS194の判断へ移行する。Kの値が「45」でない場合(S192:NO)、処理はS194の判断へ移行する。
次いで、Kの値が「50」であるか否かが判断される(S194)。Kの値が「50」の場合(S194:YES)、第一予告フラグが「OFF」となり(S195)、処理はS196の判断へ移行する。Kの値が「50」でない場合(S194:NO)、処理はS196の判断へ移行する。
次いで、Kの値が「95」であるか否かが判断される(S196)。Kの値が「95」の場合(S196:YES)、時短終了予告フラグが「ON」となり(S197)、処理はS199の判断へ移行する。Kの値が「95」でない場合(S196:NO)、処理はS199の判断へ移行する。
次いで、Kの値が「100」であるか否かが判断される(S199)。Kの値が「100」の場合(S199:YES)、時短フラグが「OFF」になり(S200)、時短状態終了予告フラグが「OFF」になり(S201)、処理は特別図柄処理(図15参照)へ戻る。Kの値が「100」でない場合(S199:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
図23から図27を参照して、本実施形態において実行される保留予告演出と、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理の詳細について説明する。図23に示すように、本実施形態では、表示画面28に第一保留球数に応じた数の保留表示91が表示される領域である第一保留表示領域98、および第二保留球数に応じた数の保留表示91が表示される領域である第二保留表示領域99が設けられている。図23上段は、第一保留表示領域98に1個の保留表示91が、第二保留表示領域99に2個の保留表示91が、それぞれ表示されている様子が示されている。このような表示を行うことで、パチンコ機1は、この時点における第一保留球数が1個であり、また第二保留球数が2個であることを、遊技者に視認させることができる。なお、図23上段では、保留表示91が黄色のマークによる表示であることを図示するため、保留表示91に「黄」の文字が付してあるが、実際の保留表示91に色を示す文字等は付されなくてもよい。
図23下段には、図23上段に示されている状態から、第二始動口15に遊技球が入賞し、第二保留乱数が新たに記憶されたことによって、第二保留球数が1個増加した例が示されている。図23上段の例では、すべて黄色のマークである保留表示91が表示されていたが、図23下段の例で第二保留表示領域99における最も右側に新たに追加表示された保留表示95は、金色のマークであることが示されている。なお、本実施形態では黄色の保留表示91、金色の保留表示95の他に、緑色の保留表示92、青色の保留表示93、赤色の保留表示94の複数の保留表示91〜95が、保留予告演出に用いられる(図24参照)。
パチンコ機1は、保留乱数の先読み情報に応じて表示色の異なる保留表示91〜95のいずれかを表示させることで、遊技者の期待感を高める保留予告演出を実行する。保留予告演出は、保留乱数先読み情報を用いて実行される演出であり、所謂先読み演出である。保留予告演出では、保留乱数について大当たり判定がされた場合に大当たりとなる期待値についての情報が、保留乱数先読み情報から取得され、大当たりとなる期待値に応じて保留表示91〜95のいずれかが表示される。大当たりとなる期待値は、大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報に基づいて判断され、判断された期待値に応じた保留表示91の表示色が決定される。
ここで、本実施形態では、前述したように、遊技の進行に伴い遊技状態が遷移し、遊技状態の遷移に伴い参照される変動パターン決定テーブルが変更される。このため、遊技の進行によっては、第一始動口14または第二始動口15に遊技球が入賞した時点である保留乱数先読み情報の取得時点と、保留乱数先読み情報が取得された保留乱数に対して実際に大当たり判定が行われる時点とで、遊技状態が異なる場合がある。遊技状態の移行期においては、特に変動パターンの情報について、保留乱数先読みの取得時点における情報と、保留乱数に対して実際に大当たり判定が実行される時点における情報とが一致しづらくなる。このため、乱数先読み情報の取得時点における情報と、保留乱数に対して実際に大当たり判定が実行される時点における情報とを矛盾なく調整して保留予告演出を制御することは、演出の制御における負荷が大きくなりやすい。特に、遊技状態の移行期において実際に実行される報知演出の変動パターンを、変動パターン先読み情報に基づいて事前に把握するには、遊技状態が移行する状況を同時に把握しておく必要がある。異なる遊技状態を跨いで実行される報知演出の変動パターンを、正確に事前に把握することは、演出の制御に係る処理に負担がかかりやすい。
このような制御処理の負担を回避するために、例えば、遊技状態の移行期以外には先読み演出を実行するが、遊技状態の移行期には先読み演出を実行しないこととする手法が採られる場合がある。しかし、この場合、遊技状態の移行期において先読み演出によって演出を多様化できないため、遊技状態の移行期の演出が単調になりやすく、遊技の興趣が低下しやすくなる可能性がある。
本実施形態では、上記のような問題点を鑑み、遊技状態の変更条件の成立を、変更条件が成立するよりも前に予測する。そして、変更条件の成立が予測された場合には、特別先読みモードを設定し、特別先読みモード以外の遊技においては通常先読みモードを設定し、設定されたモードに応じた保留予告演出を実行する。具体的には、特別先読みモードが設定されている場合には、特別先読み情報を用いた保留予告演出が実行され、通常先読みモードが設定されている場合には、通常先読み情報を用いた保留予告演出が実行される。これにより、パチンコ機1は、遊技状態の移行期において、制御的な負担を回避しつつ、先読み演出である保留予告演出を円滑に実行できる。
図24を参照して、演出制御基板43のCGROM432に記憶されている保留表示テーブルについて説明する。図24に示すように、保留表示テーブルには、保留表示91〜95に対応する画像データが格納されている。なお、図24では、保留表示91〜95の表示色によって示される大当たりの期待値のイメージが矢印で示されている。矢印は、保留表示91〜95の示す大当たりとなる期待値が、保留表示91、保留表示92、保留表示93、保留表示94、保留表示95の順に高くなることを概念的に示すものであり、実際の保留表示テーブルに大当たりとなる期待値は記憶されていない。
図25を参照して、サブ制御基板58のROM583に記憶されている保留表示決定テーブルについて説明する。保留表示決定テーブルは、後述する保留表示制御処理(図27参照)において用いられるテーブルである。保留表示決定テーブルには、後述する特別先読みモードおよび通常先読みモードのいずれが設定されているかに応じて、保留表示91〜95のうちいずれを第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に表示すると決定するかが定義されている。この保留表示決定テーブルが参照されることで、通常先読みモードが設定されている場合には、保留乱数先読み情報のうち大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報に基づいて、保留表示91〜95のうちいずれを第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に表示するかが決定される。また、特別先読みモードが設定されている場合には、保留乱数先読み情報のうち、変動パターン先読み情報にはよらず、大当たり乱数先読み情報に基づいて、保留表示91〜95のうちいずれを第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に表示するかが決定される。図25では、状態Aにおいて実行される報知演出の変動パターンについて例示されている。実際の保留表示決定テーブルには、状態A〜状態Fのそれぞれの遊技状態において実行される報知演出の変動パターンに応じて、保留表示91〜95のうちいずれを第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に表示するかを決定する割合が定義されている。よって、パチンコ機1は、状態A〜状態Fのうちいずれの遊技状態であっても、保留表示91〜95のうちいずれを第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に表示するかを、保留乱数先読み情報に応じて決定できる。
次いで、サブ制御基板処理で使用されるフラグについて説明する。サブ制御基板58のRAM582には、特別先読みフラグ等が記憶されている。特別先読みフラグは、主基板41から先読みコマンドによって通知された先読み情報が特別先読み情報であることを示すフラグである。特別先読みフラグは、主基板41から先読みコマンドによって特別先読み情報が通知された場合に「1」が記憶されて「ON」となり、先読みコマンドによって通常先読み情報が通知された場合に「0」が記憶されてOFFとなる。
図26に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から先読みコマンドを受信したか否かが判断される(S221)。先読みコマンドを受信していない場合(S221:NO)、処理はS226の判断へ移行する。先読みコマンドを受信した場合(S221:YES)、先読みコマンドによって通知された特別先読み情報または通常先読み情報の保留乱数先読み情報が、RAM582に記憶される(S222)。
次いで、S222において記憶された保留乱数先読み情報が特別先読み情報であるか否かが判断される(S223)。保留乱数先読み情報に「非特定情報」が含まれる場合には保留乱数先読み情報が特別先読み情報であると判断され、「非特定情報」が含まれない場合には保留乱数先読み情報が通常先読み情報であると判断される。保留乱数先読み情報が特別先読み情報の場合(S223:YES)、特別先読みフラグが「ON」となり(S224)、処理はS226の判断へ移行する。保留乱数先読み情報が通常先読み情報の場合(S223:NO)、特別先読みフラグが「OFF」となり、処理はS226の判断へ移行する。本実施形態では、特別先読みフラグが「ON」となっている状態を特別先読みモード、特別先読みフラグが「OFF」となっている状態を通常先読みモードともいう。
次いで、主基板41から第一保留球数通知コマンドまたは第二保留球数通知コマンドを受信したか否かが判断される(S226)。第一保留球数通知コマンドまたは第二保留球数通知コマンドを受信していない場合(S226:NO)、処理はS228の判断へ移行する。第一保留球数通知コマンドまたは第二保留球数通知コマンドを受信した場合(S226:YES)、保留表示制御処理が行われて(S227)、処理はS228の判断へ移行する。
図27を参照して、保留表示制御処理(S227、図26参照)について詳細に説明する。保留表示制御処理では、保留球数通知コマンドによって通知された第一保留球数および第二保留乱数と同数の保留表示91〜95を表示するための処理が行われる。図27に示すように、保留表示制御処理が開始されると、保留球数通知コマンドによって通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」加算されたことを通知する情報であるか否かが判断される(S241)。通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」加算されたことを通知する情報でない場合(S241:NO)、処理はS246の判断へ移行する。
通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」加算されたことを通知する情報の場合(S241:YES)、S222(図26参照)の処理でRAM582に記憶された保留乱数先読み情報が参照される(S242)。次いで、ROM583に記憶されている保留表示決定テーブルが参照される(S243)。次いで、特別先読みモードであるか通常先読みモードであるかに応じて、保留乱数先読み情報に対応する保留表示91〜95のいずれか1つが保留表示決定テーブルから決定される(S244)。次いで、S244で決定された保留表示91〜95のいずれか1個が、第一保留表示領域98または第二保留表示領域99に追加して表示される(S245)。処理はS246の判断へ移行する。
ここで、S244の処理における保留表示91〜95の決定について詳細に説明する。図25に示すように、遊技状態が状態Aの場合であって通常先読みモードが設定されている場合、保留乱数先読み情報のうち大当たり乱数先読み情報が低確高確大当たり情報であるか否かに応じて、変動パターン先読み情報の示す変動パターン毎に、保留表示91〜95が決定される割合が予め定められている。
例えば、大当たり乱数先読み情報が低確高確大当たり情報の場合、変動パターン先読み情報の示す変動パターンが「非リーチ」の場合には、保留表示91〜95のうち、400/512の割合で保留表示91が、112/512の割合で保留表示92が決定される。保留表示91〜95のうち、保留表示91は、保留乱数について大当たり判定がされた場合に大当たりとなる期待値が最も低いと判断される場合に表示される。保留表示92は、保留表示91に次いで保留乱数について大当たり判定がされた場合に大当たりとなる期待値が低いと判断される場合に表示される。本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ、「非リーチ」の変動パターンが決定される。したがって、「非リーチ」の情報が変動パターン先読み情報から得られた場合には、大当たりとなる期待値が最も低いことを示す保留表示91が主に決定される。また、「非リーチ」の情報が変動パターン先読み情報から得られた場合に、保留表示91のみが表示されることとすると、保留球に対して実際に大当たり判定が行われるまでの間の遊技者の期待感を持続させにくい。このため、「非リーチ」の情報が変動パターン先読み情報から得られた場合に、保留表示92を一定割合で表示させると決定することで、保留球に対して実際に大当たり判定が行われるまでの間の遊技者の期待感を持続させている。
また、変動パターン先読み情報の示す変動パターンが、大当たりとなる期待値がリーチ演出中で最も高い「リーチ演出E」の場合には、保留表示91〜95のうち、大当たりとなる期待値が最も高いことを示す保留表示95が表示される割合が最も高くなる。また、保留表示94の表示される割合は、保留表示95の表示される割合に次いで高く設定されている。このように、保留表示91〜95のうち比較的高い期待値を示すものを表示すると決定することで、パチンコ機1は、保留球に対して実際に大当たり判定が行われるまでの間の遊技者の期待感を大いに向上できる。
さらに、保留表示決定テーブルでは、変動パターン先読み情報に応じて決定される保留表示91〜95の割合を、大当たり乱数先読み情報が低確高確大当たり情報であるか、はずれ情報または小当たり情報であるか否かに応じて、異なるように設定している。これにより、パチンコ機1は、保留乱数に対して現時点よりも後に行われる大当たり判定の結果の情報、および保留乱数に対して現時点よりも後に実行される報知演出の内容に応じた保留表示91〜95を表示できる。このようにして、通常先読みモードが設定されている場合には、保留表示91〜95のうち、大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報の示す変動パターンに適した大当たりとなる期待値のものが決定される。
一方、図25に示すように、遊技状態が状態Aの場合であって、特別先読みモードが設定されている場合、保留乱数先読み情報のうち大当たり乱数先読み情報の示す情報毎に、保留表示91〜95が決定される割合が予め定められている。特別先読みモードが設定されている場合は、特別先読み情報において変動パターン先読み情報は特定されていないため、変動パターン先読み情報に基づく保留表示91〜95の決定は行われない。即ち、特別先読みモードでは、保留表示決定テーブルにおいて、保留予告演出のために保留表示91〜95が決定される割合が、変動パターン先読み情報ではなく、大当たり乱数先読み情報に対応付けられている。このため、先読み演出である保留予告演出の実行制御において、変動パターン先読み情報に基づいて保留表示91〜95のうちいずれかを決定するする必要はない。言い換えると、パチンコ機1は、遊技状態の移行前に取得された保留乱数先読み情報に応じて、遊技状態の移行後に大当たり判定が実行されて実行される報知演出についての大当たりとなる期待値を、変動パターン先読み情報によらず保留予告演出によって示すことができる。
なお、本実施形態では、特別先読みモードが設定されている場合であって、大当たり乱数先読み情報が状態Aにおいて大当たりであることを示す低確高確大当たり情報の場合には、保留表示91〜95のうち保留表示95の決定される割合が最も高くなる。一方、大当たり乱数先読み情報が状態Aにおいてはずれまたは小当たりであることを示すはずれ情報または小当たり情報のいずれかである場合、保留表示91および保留表示92のいずれかが、所定の割合で決定されるように定義されている。特別先読みモードでは、変動パターン先読み情報によらずに保留予告演出の内容が決定される。このため、保留乱数に対して実際に行われる報知演出によって報知される大当たりとなる期待値と、保留予告演出の内容によって報知される大当たりとなる期待値とに齟齬が生ずる場合がある。特に、大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す情報でない場合、保留乱数に対して大当たりとなる期待値が比較的低い変動パターンが決定される可能性が高い。このため、大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す情報でない場合には、保留表示91〜95のうち、比較的低い大当たりとなる期待値を示す保留表示91および保留表示92のいずれかが決定されることとしている。これによって、後に保留乱数に対して実際に行われる報知演出によって報知される大当たりとなる期待値と、保留予告演出の内容によって報知される大当たりとなる期待値とに齟齬が生じる可能性を低減している。このようにして、パチンコ機1は、遊技状態の移行期において、変動パターン先読み情報によらずに先読み演出を実行できるので、遊技状態の移行期にも大当たりとなる期待値の観点において違和感の少ない先読み演出を遊技者に楽しませることができる。
図27の説明に戻る。次いで、保留球数通知コマンドによって通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」減算されたことを通知する情報であるか否かが判断される(S246)。通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」減算されたことを通知する情報でない場合(S246:NO)、処理はサブ制御基板処理(図26参照)へ戻る。通知された情報が、第一保留球数または第二保留球数が「1」減算されたことを通知する情報の場合(S246:YES)、第一保留表示領域98または第二保留表示領域99のうち最も左側に配置されている保留表示91〜95が消去される(S247)。処理はサブ制御基板処理へ戻る。
図26の説明に戻る。次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S228)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S228:NO)、処理はS231の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S228:YES)、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが、RAM582に記憶される(S229)。そして、RAM582に記憶された変動パターンに基づいて報知演出が制御されて(S230)、処理はS231の判断へ移行する。
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S231)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S231:NO)、処理はS233の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S231:YES)、大当たり判定の結果を示す演出図柄81の組合せが確定表示される(S232)。処理はS233の判断へ移行する。
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S233)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S233:NO)、処理はS221の判断へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S233:YES)、大当たり遊技演出が開始されて(S234)、処理はS221の判断へ戻る。
以上説明したように、パチンコ機1のCPU51は、非確率変動非時短状態である通常状態(状態A)を設定する。状態Aにおいて「8R大当たり」および「16R大当たり」のうちいずれかの大当たり種別の大当たりと判定されると、8Rまたは16Rのいずれかの大当たり遊技が行われ、大当たり遊技の終了後に遊技状態は状態Bへ移行する。状態Bにおいて判定回数が50回に達すると、遊技状態は状態Cに移行する。また、状態Bおよび状態Cにおいて転落抽せんに当せんすると、遊技状態は状態Fに移行する。また、状態Aにおいて「2R大当たり」または「小当たり」と判定されると、対応する大当たり遊技または小当たり遊技の終了後に遊技状態は状態Dに移行する。状態Dにおいて判定回数が20回に達すると、遊技状態は状態Eまたは状態Aに移行する。CPU51は、この遊技状態の変更条件の成立を、保留乱数先読み情報、大当たり判定回数計数カウンタの値、第二特殊変動回数計数カウンタの値に基づいて予測する(S113、S115、S185、S192およびS197)。CPU51によって変更条件の成立が予測された場合は、サブ制御基板58のCPU581によって、特別先読みモードが設定される(S224)。CPU581は、特別先読みモードが設定されている場合、少なくとも大当たり乱数先読み情報を特定するが、変動パターン先読み情報を特定しない特別先読み情報に応じて、保留表示91〜95のうちいずれを表示するかを決定する。一方、変更条件の成立が予測されない場合、CPU581によって通常先読みモードが設定される(S225)。CPU581は、通常先読みモードが設定されている場合、大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報を含む通常先読み情報に応じて、保留表示91〜95のうちいずれを表示するかを決定する(S244)。したがって、パチンコ機1は、遊技状態の変更条件の成立を予測することによって、遊技状態の移行期において、保留予告演出に対する処理負荷を低減できる。
パチンコ機1は、状態B、状態C、状態D、状態Fにおいて実行される判定回数に基づいて、遊技状態の変更条件の成立を簡便に予測して、遊技状態の移行期における保留予告演出に対する処理負荷を低減できる。
パチンコ機1は、状態B、状態C、状態Dにおいて転落抽せんに当せんすることによって所定の遊技状態に移行することを、転落当せん先読み情報に基づいて予測できる。また、状態Aにおいて小当たりまたは2R大当たりと判定されることによって遊技状態が状態Dに移行することを、小当たり・2R先読み情報に基づいて予測できる。したがって、パチンコ機1は、保留乱数先読み情報に基づいて、遊技状態の移行期における保留予告演出に対する処理負荷を低減できる。
パチンコ機1は、複数の変動パターン決定テーブルのうちから、遊技状態の変更条件に応じた変動パターン決定テーブルを選択することで、遊技状態を設定し、また移行する。したがって、パチンコ機1は、各変動パターン決定テーブルに割り当てられる報知演出の変動パターンと各遊技状態とを対応付けることができる。
パチンコ機1は、遊技状態の移行期以外には、通常先読み情報を用いて保留表示91〜95を決定しつつ、遊技状態の移行期には、特別先読み情報を用いて保留表示91〜95を決定するので、保留予告演出に対する処理負荷を低減できる。
本実施形態において、第一始動口14および第二始動口15が、本発明の「始動口」に相当する。図14のS45およびS55において乱数を取得する主基板41のCPU51が、本発明の「乱数取得手段」として機能する。図18のS26において大当たり判定を行う主基板41のCPU51が、本発明の「大当たり判定手段」として機能する。図26のS230において報知演出を制御するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「報知演出実行手段」として機能する。図14のS45およびS55で取得した乱数を記憶するRAM52が、本発明の「乱数記憶手段」に相当する。図14のS46およびS56において保留乱数先読み情報を取得する主基板41のCPU51が、本発明の「情報取得手段」として機能する。
図19のS144、S145、S153およびS154においていずれかの変動パターンをセットする主基板41のCPU51が、本発明の「遊技状態設定手段」として機能する。図19のS141〜S143、S151、S152において参照する変動パターン決定テーブルを判断する主基板41のCPU51が、本発明の「遊技状態変更手段」として機能する。図17のS116〜S119において各種フラグの状態に基づいて遊技状態の変更条件の成立を判断する主基板41のCPU51が、本発明の「予測手段」として機能する。
図27のS245において特別先読みモードであるか通常先読みモードであるかに応じて決定された保留表示91〜95のうちいずれか1個を表示画面28に表示するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「先読み演出実行手段」として機能する。図27のS244において、特別先読みモードであるか通常先読みモードであるかに応じて保留乱数先読み情報に対応する保留表示91〜95のいずれか1つを決定するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「通常先読み演出決定手段」および「特別先読み演出決定手段」として機能する。図26のS224において特別先読みフラグを「ON」とし、S225において特別先読みフラグを「OFF」とするサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「モード設定手段」として機能する。図6から図9に示す変動パターン決定テーブルを記憶する主基板41のROM53が、本発明の「演出パターンテーブル記憶手段」に相当する。図19のS157において変動パターンを決定する主基板41のCPU51が、本発明の「演出パターン決定手段」として機能する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。上記の実施形態では、CPU51は、第一乱数先読み処理(図17参照)において、時短状態終了予告フラグ、第一変更予告フラグ、第二変更予告フラグ、転落先読みフラグ、小当たり2R先読みフラグの状態に基づいて遊技状態の変更条件の成立を予測している(S116、S117)。そして、CPU51は、予測の結果に応じて、サブ制御基板58へ送信する先読み情報を、特別先読み情報とするか、通常先読み情報とするかを決定して、先読みコマンドを記憶している(S118、S119)。以下、変形例について説明する。
例えば、CPU51は、第一乱数先読み処理において、サブ制御基板58へ送信する先読み情報を、特別先読み情報とするか通常先読み情報とするかを決定せず、保留乱数の取得時点での遊技状態に応じた大当たり乱数先読み情報と変動パターン先読み情報とをそのままサブ制御基板58へ送信してもよい。そして、CPU51は、図20から図22に示す遊技状態移行処理において、S184(図21参照)の処理で第二変更予告フラグを「ON」とするかわりに、状態Dが間もなく終了することに伴い、特別先読みモードを開始することを指定するコマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。特別先読みモードを開始することを指定するコマンドのことを、以下、「特別先読みモード開始指定コマンド」という。また、CPU51は、S187(図21参照)の処理で、状態Dの終了に伴い特別先読みモードを終了することを指定するコマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。特別先読みモードを終了することを指定するコマンドのことを、以下、「特別先読みモード終了指定コマンド」という。
同様に、CPU51は、S193(図22参照)の処理で第一変更フラグを「ON」とするかわりに、状態Bが間もなく終了することに伴い、特別先読みモード開始指定コマンドを送信してもよい。また、CPU51は、S195(図22参照)の処理で、状態Bの終了に伴い特別先読みモード終了指定コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。また、CPU51は、S197(図22参照)の処理で時短状態終了予告フラグを「ON」とするかわりに、時短状態が間もなく終了することに伴い、特別先読みモード開始指定コマンドを送信してもよい。また、CPU51は、S201(図22参照)の処理で、時短状態の終了に伴い特別先読みモード終了指定コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。
また、同様に、CPU51は、図17に示す第一乱数先読み処理において、S113の処理で転落先読みフラグを「ON」とするかわりに、転落抽せんに当せんすることによって状態Aが間もなく終了することに伴い、特別先読みモード開始指定コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。そして、CPU51は、図19に示す変動パターン決定処理において、S156の処理で転落先読みフラグを「OFF」とするかわりに、転落抽せんに当せんしたことに伴い特別先読みモード終了コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。また、同様に、CPU51は、S115(図17参照)の処理で小当たり2R先読みフラグを「ON」とするかわりに、小当たり遊技または2R大当たりによる大当たり遊技が終了することによって状態Aが間もなく終了することに伴い、特別先読みモード開始指定コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。そして、CPU51は、S176(図21参照)の処理で小当たり2R先読みフラグを「OFF」とするかわりに、小当たりまたは2R大当たりと判定されたことに伴い、特別先読みモード開始指定コマンドをサブ制御基板58へ送信してもよい。
この場合、サブ制御基板58のCPU581は、図26に示すサブ制御処理のS221からS225の処理に替えて、主基板41から特別先読みモード開始指定コマンドを受信した場合に特別先読みモードを設定すればよい。また、CPU581は、特別先読みモード終了指定コマンドを受信した場合に特別先読みモードを終了して通常先読みモードを設定すればよい。そして、CPU581は、図27に示す保留表示制御処理において、S244の処理で特別先読みモードが設定されている場合には、主基板41から送信された大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報のうち、変動パターン先読み情報によらず保留表示91〜95を決定すればよい。また、S244の処理で通常先読みモードが設定されている場合には、大当たり乱数先読み情報および変動パターン先読み情報の双方に応じて保留表示91〜95を決定すればよい。
また、本発明は、上記の実施形態の例および上記の変形例に限定されるものではない。上記実施形態では、通常先読みモードであるか特別先読みモードであるかに応じて、保留表示決定テーブル(図25参照)に含まれるテーブルのうち異なるテーブルを参照して、保留表示91〜95のうちいずれを表示するかを決定している。例えば、特別先読みモードが設定されている場合であって、大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す情報でない場合には、大当たりとなる期待値が最も低い保留表示91のみを決定することとしてもよい。即ち、特別先読みモードが設定されている場合であって、大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す情報でない場合には、保留予告演出を行わないこととしてもよい。この場合であっても、パチンコ機1は、大当たり乱数先読み情報が大当たりであることを示す情報の場合に所定の割合で保留表示91〜95のうちいずれかを決定すれば、遊技状態の移行期において一定の割合で遊技者に先読み演出を楽しませつつ、遊技状態の移行期における先読み演出に係る処理の負担を低減できる。
また、上記の実施形態では、先読み演出として保留表示91〜95を用いた保留予告演出が行われるが、これ以外の種々の先読み演出についても、本発明を適用できる。例えば、保留乱数先読み情報に応じたキャラクタが保留乱数に対して大当たり判定が行われるよりも前に実行される報知演出において表示画面28に表示されるような先読み演出が行われる場合、キャラクタの選択割合の決定において、本発明を適用できる。
上記の実施形態では、遊技状態の移行条件の成立の予測のため、CPU51は、RAM52において大当たり判定回数計数カウンタおよび第二特殊変動回数計数カウンタの値を管理している。例えば、サブ制御基板58において、大当たり遊技および小当たり遊技が実行された後に実行された報知演出の回数を管理することで、特別先読みモードおよび通常先読みモードを設定してもよい。具体的には、パチンコ機1は、上記の実施形態における大当たり判定回数計数カウンタおよび第二特殊変動回数計数カウンタに相当するカウンタを、サブ制御基板58のRAM582において記憶してもよい。サブ制御基板58のCPU581は、このカウンタを参照することで、サブ制御基板58での処理において、遊技状態の変更条件の成立を予測できる。
上記の実施形態では、CPU581は、サブ制御基板処理(図26参照)のS223において保留乱数先読み情報に「非特定情報」が含まれるか否かを判断し、「非特定情報」が含まれる場合に特別先読みフラグを「ON」とすることで特別先読みモードを設定している。また、上記の変形例では、CPU581は、「特別先読みモード開始コマンド」を主基板41から受信することを契機として特別先読みモードを設定している。特別先読みモードの設定条件は、上記の実施形態および変形例に限定されない。例えば、CPU581は、S223の処理に替えて、S222において記憶された保留乱数先読み情報に、小当たり情報、高確大当たり情報および低確高確大当たり情報のいずれかが含まれるか否かを判断し、これらの情報のいずれかが含まれる場合に特別先読みモードを設定してもよい。また、S222において記憶された保留乱数先読み情報に、転落当せん先読み情報が含まれる場合に、特別先読みモードを設定してもよい。
この場合、主基板41からサブ制御基板58へ送信される先読みコマンドが通常先読み情報を送信するコマンドであるか特別先読み情報を送信するコマンドであるかが区別されていなくても、CPU581は、特別先読みモードを設定できる。即ち、パチンコ機1は、CPU51の実行する第一乱数先読み処理(図17参照)において、通常先読み情報を送信するコマンドであるか特別先読み情報を送信するコマンドであるかを区別して先読みコマンドを記憶する処理を行わなくても遊技状態の変更条件の成立を予測できる。また、パチンコ機1は、主基板41からサブ制御基板58へ特別先読みモード開始コマンドを送信しなくても、遊技状態の変更条件の成立を予測できる。したがって、パチンコ機1は、特別先読みモードの設定に係る主基板41における処理の負担を軽減できる。
また、パチンコ機1において、主基板41から通常先読み情報および特別先読み情報のいずれを送信するかが区別された先読みコマンド、あるいは特別先読みモード開始コマンドがサブ制御基板58に送信される構成を有する場合であっても、上記の構成をさらに備えることは有用である。例えば、主基板41における処理のエラー等により、通常先読み情報および特別先読み情報のいずれを送信するかが区別された先読みコマンド、あるいは特別先読みモード開始コマンドがサブ制御基板58に送信されないことが考えられる。このような場合であっても、CPU581は、小当たり情報、高確大当たり情報、低確高確大当たり情報、および転落当せん先読み情報のいずれかを受信することで、特別先読みモードを設定できる。また、小当たり情報、高確大当たり情報、低確高確大当たり情報、および転落当せん先読み情報のいずれかがサブ制御基板58に正常に受信されないような場合であっても、CPU581は、通常先読み情報および特別先読み情報のいずれを送信するかが区別された先読みコマンド、あるいは特別先読みモード開始コマンドの受信に基づいて、特別先読みモードを設定できる。このようにして、特別先読みモードの設定のための情報のうちいずれかが欠落するような場合であっても、パチンコ機1は、特別先読みモードを適切に設定できるので、特別先読みモードが誤って設定されない事態を防止できる。
上記の実施形態では、通常先読みモードでは、大当たり乱数先読み情報と変動パターン先読み情報とを用いた先読み演出を実行し、特別先読みモードでは、変動パターン先読み情報によらず、大当たり乱数先読み情報を用いた先読み演出が実行される。通常先読みモードにおける先読み演出では、常に大当たり乱数先読み情報と変動パターン先読み情報とが用いられる必要はなく、大当たり乱数先読み情報と変動パターン先読み情報とを用いた先読み演出が実行可能に構成されていればよい。
上記の実施形態では、特別先読み情報は、大当たり乱数先読み情報と、変動パターン先読み情報を特定していないことを示す「非特定情報」とを含む。例えば、特別先読み情報は大当たり乱数先読み情報を少なくとも含み、変動パターン先読み情報に関する情報を全く含まない情報であってもよい。即ち、特別先読み情報は、「非特定情報」を含まず、大当たり乱数先読み情報のみを含む情報であってもよい。この場合であっても、パチンコ機1は、特別先読みモードにおいて、大当たり乱数先読み情報に基づいて保留予告演出を行うことができる。
上記の実施形態では、S244(図27参照)の処理において、特別先読み演出であるか、通常先読み演出であるかに応じて、保留表示91〜95のうちいずれか1つを必ず決定することで、一律に保留予告演出を実行する。パチンコ機1は、すべての保留乱数についてS244の処理を行わなくてもよい。例えば、保留乱数に対して所定の割合でS244の処理を実行し、その他の場合には保留乱数に対して保留表示91を表示することを決定してもよい。この場合、例えば、S244の処理を実行する前に、特別先読み演出であるか、通常先読み演出であるかに応じて保留表示91〜95のうちいずれか1つを決定するか否かの判断を行う処理を設ければよい。これにより、保留表示91が表示画面28に表示された場合にも、以降に大当たりとなる期待値の高い報知演出が実行される可能性が生ずるので、遊技者の大当たりへの期待感を持続させることができる。
上記実施形態では、第一保留乱数および第二保留乱数の双方から保留乱数先読み情報を取得して、保留予告演出を実行している。例えば、CPU51は、遊技状態に応じてサブ制御基板58へ送信する保留乱数先読み情報の種類を変化させてもよい。具体的には、CPU51は、時短状態が生起されている場合には第二保留乱数に基づく先読みコマンドのみをサブ制御基板58へ送信し、第一保留乱数に基づく先読みコマンドをサブ制御基板58へ送信しないこととしてもよい。この場合、パチンコ機1は、遊技状態に応じて保留予告演出に変化を与えることができる。
請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、演出装置、図柄表示部、電動役物、入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「表示画面」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。