以下、本発明に係る一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、パチンコ機1の正面図であり、図2は、遊技盤2の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。この上皿5の中央手前側には、後述する演出装置30の遊技球停留部材32による遊技球の停留の解除タイミングを遊技者が決定するための停留解除ボタン9が設けられている。
そして、上皿5の直下には賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、前面枠13の上部には、左右方向の略全長に亘って前側に膨出するように照明装置35が形成されており、前面枠13の上部における左右の角にはスピーカ48,48がそれぞれ設けられている。また、パチンコ機1の前面には、演出用の電飾ランプが多数設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面にはガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられている。この遊技領域4の略中央には、LCDにより構成された表示画面28、遊技球を用いた演出を行う演出装置30、各種ランプ、LED等を備えた図柄表示装置8が配設されている。そして、図柄表示装置8の下方には第一始動口15が、表示画面28の上方には第一大入賞口18が設けられており、第一大入賞口18への遊技球の入賞を起因として当たり遊技が実行される場合には、主にこの第一大入賞口18が動作する。
また、表示画面28の直下には第二始動口16が設けられている。ここで、この第二始動口16への遊技球の入賞頻度は、第一始動口15への入賞頻度に比べて大幅に少なくなるように構成されている。また、第一始動口15の下方には開閉部材を備えた第二始動電動役物17が設けられており、第一始動口15の右方には普通図柄始動ゲート12が、さらにその右側上方には第二大入賞口19が設けられている。そして、第二始動口16及び第二始動電動役物17のいずれかに遊技球が入賞して当たり遊技が実行される場合には、第二大入賞口19が動作する。
また、第一始動口15の左方には、普通図柄表示部24、普通図柄記憶数表示LED59、第一特別図柄表示部25、及び第二特別図柄表示部26が設けられている。普通図柄表示部24は1つのLEDからなり、点灯状態が普通当たりの当選、消灯状態が落選を示しており、点滅状態がこれから普通当たり判定の結果を報知することを示す変動状態とされている。また、普通図柄記憶数表示LED59は2つのLEDからなり、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂普通図柄作動保留球数を表示する。そして、第一特別図柄表示部25及び第二特別図柄表示部26は共に7セグメントから構成されており、アルファベットや数字、又はこれらの組み合わせからなる特別図柄が、第一当たり判定又は第二当たり判定の結果に応じて表示される。
次に、図柄表示装置8について説明する。図2に示すように、図柄表示装置8は中央に表示画面28を備えている。この表示画面28の中央には、第一当たり判定及び第二当たり判定の結果を表示するためのデモ図柄を表示する3つのデモ図柄表示部が設けられている。これらのデモ図柄表示部は、遊技者の目を惹くように特別図柄表示部25,26よりも広い領域を占めている。さらに、表示画面28では、当たり遊技終了後の遊技状態を遊技者に報知するための演出等、様々な演出が行われる。そして、表示画面28の右方には演出装置30が配設されている。
次に、演出装置30について、図2乃至図5を参照して説明する。図3は、演出装置30の役物装置31の一部を斜め上方から見た斜視図であり、図4は、役物装置31の右側面図であり、図5は、演出装置30を正面から見た部分拡大図である。尚、図3の下側を演出装置30の正面側、上側を演出装置30の背面側とし、図4の左側を演出装置30の正面側、右側を背面側とする。図2に示すように、演出装置30は、主に役物装置31と、遊技状態確定ランプ37と、振り分け演出実行ランプ38とにより構成されている。
まず、役物装置31について説明する。図3及び図4に示すように、役物装置31は、略円柱状の胴部78と、胴部78を遊技盤2に固定するための固定部79とにより構成されている。この固定部79には、役物装置31を遊技盤2にネジ止めするための4つのネジ挿入孔80(図3参照)が形成されている。さらに、胴部78は、背面側の下部から後方へ延びる係止片81(図4参照)を備えている。そして、遊技盤2に設けられた差込孔(図示外)にこの係止片81が挿入されて役物装置31が位置決めされた状態で、ネジを4つのネジ挿入孔80に螺合することで、役物装置31が遊技盤2に固定される。
次いで、役物装置31の停留部82について説明する。図3に示すように、固定部79の上部の略中央には、上方から遊技球が流入可能な停留部82が設けられている。この停留部82へ流入する遊技球は、第一大入賞口18へ入賞済みの遊技球であるため、役物装置31で演出に使用される遊技球が遊技に影響を与えることははい。この停留部82の正面側には、遊技球が停留されているか否かを視認するための矩形の窓部83が形成されている。そして、透明な合成樹脂やガラス等からなる板が窓部83に配設されることにより、遊技球が停留部82の手前側に流下することを防ぎつつ、遊技球の停留を容易に確認することを可能としている。
また、停留部82の奥側には爪部84が設けられており、その上面は停留部82の背面側へ向けて下方に傾斜している。この爪部84によって、停留部82に停留されている遊技球が停留部82の背面側へ排出されることを防いでいる。さらに、既に停留部82に遊技球が停留されている場合には、停留部82の上方から流入してきた遊技球は、停留されている遊技球の上部と爪部84の上面とを滑り落ち、停留部82の背面側へ排出される。これにより、2つ以上の遊技球が停留部82に停留されることを防止している。
また、停留部82の下壁部85は左側へ向けて下方に傾斜しており、停留部82の左側には、側面視L字型である板状の遊技球停留部材32が配設されている。この遊技球停留部材32は、固定部79の内部に設けられた停留部材上下動ソレノイド36(図6参照)によって上下し、通常は下壁部85との間に生じる隙間を埋めて遊技球を停留させている。そして、所定のタイミングで上方へ移動することで、停留されている遊技球を停留部82の左側へ流下させる。また、下壁部85には遊技球を検出する停留部スイッチ65(図6参照)が配設されており、遊技球が停留されているか否かが検出される。
次いで、役物装置31の誘導路86について説明する。図3に示すように、胴部78の左側には、正面側の入球位置89まで遊技球を誘導する誘導路86が形成されている。この誘導路は胴部78の外周に沿って滑らかに弧を描くと共に、正面側に向けて下方に傾斜している。そして、停留部82から流下した遊技球を胴部78の左奥側で受け入れて、内周壁87と外周壁88との間を通して正面側の入球位置まで誘導する。
次いで、役物装置31の回転体33について説明する。図3に示すように、胴部78の中央には略円柱状の回転体33が回転可能に支持されており、胴部78の下部に設けられたステップモータ34(図4参照)により回転駆動される。ステップモータ34は、入力パルスが加えられる毎に一定角度だけ回転するモータであり、パルス信号数により回転角度を、パルスレイトにより回転の速さを制御することができる。さらに、回転方向の切り替え(正転と逆転との切り替え)が可能であり、回転角度を検出しながら正確な回転運動を与えることができる。また、回転体33の側面の所定箇所に図示外の検出マークが形成されると共に、胴部78の内部には検出マークを検出するためのフォトセンサ39(図6参照)が配設されている。そして、フォトセンサ39によって検出マークが検出された位置を原点として、ステップモータ34により回転角度を検出しながら回転体33を回転させることで、回転している回転体33の周方向の向きを把握しつつ役物装置31を動作させることができる。
また、回転体33には、遊技球が入球することで確率変動時短状態(状態A)が生起されることを示す状態A領域90、遊技球が入球することで確率変動非時短状態(状態B)が生起されることを示す状態B領域91、遊技球が入球することで遊技状態が移行しない(通常状態が継続して生起される)ことを示すはずれ領域92の3つの入球領域が形成されている。状態A領域90の周囲は赤く着色されており、「GO」の文字が印刷されている。また、状態B領域91の周囲は青く着色されており、はずれ領域92の周囲は白く着色されている。そして、誘導路86により入球位置89まで誘導されて来た遊技球は、3つの入球領域90〜92のいずれかに入賞することとなる。また、各入球領域90〜92には、遊技球の入球を検出するための近接スイッチが設けられている。
次いで、役物装置31の装飾部材94について説明する。図5に示すように、回転体33の上面には装飾部材94が固定されており、回転体33と共に回転する。本実施の形態に係る装飾部材94は、有色合成樹脂で加工形成された人形であって、この装飾部材94の足元の前側に状態A領域90(図3参照)が設けられている。また、図4に示すように、回転体33及び装飾部材94の回転軸の軸心Oと、遊技盤2の盤面との角度θが、装飾部材94の向きが正面側から容易に確認できる角度である45度以下となるように役物装置31を固定するとよい。これにより、遊技者は人形である装飾部材94が正面を向いているか否かを確認することができるため、状態A領域90が正面側に位置しているか否かを容易に判断することができる。また、装飾部材94の背面側の部分を隠すことができるため、装飾部材94の正面側の入球位置89に遊技者の意識を集中させることができる。さらに、装飾部材94を回転させることにより、演出効果を向上させることを実現している。
次に、遊技状態確定ランプ37について説明する。図2に示すように、役物装置31の上方には遊技状態確定ランプ37が配設されている。この遊技状態確定ランプ37の中央には、当たり遊技終了後に確率変動時短状態(状態A)を生起する場合に点灯する赤色の状態A表示ランプ96が設けられている。また、この状態A表示ランプ96の左側には、当たり遊技終了後に確率変動非時短状態(状態B)を生起する場合に点灯する青色の状態B表示ランプ97が設けられている。そして、状態A表示ランプ96の右側には、当たり遊技の前後で遊技状態が変化しないことを示す白色のはずれ表示ランプ98が配設されている。
そして、回転体33に設けられた3つの入球領域90〜92のうち、当たり遊技終了後の遊技状態に応じた所定の入球領域へ遊技球が入球した場合には、入球領域に対応したランプが点灯する。具体的には、状態A領域90に入球した場合には状態A表示ランプ96が、状態B領域91に入球した場合には状態B表示ランプ97が、はずれ領域92に入球した場合にははずれ表示ランプ98が点灯する。
一方で、イレギュラーが生じて、実際に生起される遊技状態とは異なる遊技状態を示す入球領域へ遊技球が入球した場合には、実際の遊技状態を補正して表示させる。すなわち、遊技球が入球した領域がいずれであるかに関わらず、状態Aが生起されていれば状態A表示ランプ96が、状態Bが生起されていれば状態B表示ランプ97が、通常状態が生起されていればはずれ表示ランプ98が点灯する。そして、遊技状態確定ランプ37の点灯のタイミングに併せて、表示画面28では、復活演出や補正演出等、演出装置30により示された遊技状態の補正を補助する演出が行われる。
次に、振り分け演出実行ランプ38について説明する。図5に示すように、振り分け演出実行ランプ38は装飾部材94の上方に配設されており、遊技球を3つの入球領域90〜92のいずれかに振り分けて入球させる振り分け演出が行われる際に点灯する。よって、遊技者は振り分け演出が実行されるか否かを容易に把握することができる。この振り分け演出は、振り分け演出の実行を指示する振り分け演出実行コマンドがサブ統合基板58(図6参照)へ送信され、且つ遊技球が停留部82に停留されている場合に実行される。
次に、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、演出制御基板43、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47、及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
はじめに、主基板41について説明する。パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行う主基板CPUユニット50が設けられている。この主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、演算処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム、各種データの初期値、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶したROM53とが設けられており、これらは1つのLSIとして一体にモールディングされている。また、CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続されており、CPU51は、この割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、ROM53に記憶されている制御プログラムを実行する。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等のサブ基板と、第一始動口15に入賞した遊技球を検出する第一始動口スイッチ60と、第二始動口16及び第二始動電動役物17に入賞した遊技球を検出する第二始動口スイッチ61とが接続されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。
次いで、払出制御基板45及び中継基板47について説明する。払出制御基板45には、CPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、賞品球払出装置49に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、賞品球払出装置49の制御を行う。また、中継基板47には、第二始動電動役物17及び2つの大入賞口18,19にそれぞれ設けられた開閉部材を開閉する開閉部材開放ソレノイド62と、普通図柄始動ゲート12及び2つの大入賞口18,19へ入賞した遊技球をそれぞれ検出する入賞口スイッチ63とが接続されており、中継基板47によって配線の中継が行われている。尚、第一始動口15、第二始動口16、第二始動電動役物17、及び2つの大入賞口18,19に遊技球が入賞すると所定数の遊技球が払い出されるが、役物装置31の回転体33に設けられた3つの入球領域90〜92へ遊技球が入球しても、遊技球の払い出しは行われない。
次いで、サブ統合基板58及び演出制御基板43について説明する。サブ統合基板58にはCPU581、RAM582、及びROM583が設けられており、演出制御基板43、電飾基板46、及びスピーカ48に接続されている。そして、主基板41や電飾基板46から送信されるコマンドに従って、表示画面28の表示や演出装置30による演出等の総合的な制御を行っている。また、演出制御基板43はCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMを内蔵しており、サブ統合基板58から送信されるコマンドに従って表示画面28の制御を行っている。
次いで、電飾基板46について説明する。電飾基板はCPU461、RAM462、及びROM463を内蔵している。そして、普通図柄表示部24及び特別図柄表示部25,26と、照明装置35と、回転体33を回転駆動するステップモータ34と、遊技球停留部材32を上下させる停留部材上下動ソレノイド36と、振り分け演出時に遊技状態を最終的に表示する遊技状態確定ランプ37と、役物装置31による振り分け演出を実行するか否かを表示する振り分け演出実行ランプ38と、回転体33の原点位置を検出するためのフォトセンサ39と、停留部82に遊技球が停留されているか否かを検出する停留部スイッチ65と、状態A領域90へ入球した遊技球を検出する状態A領域スイッチ66と、状態B領域91へ入球した遊技球を検出する状態B領域スイッチ67と、はずれ領域92へ入球した遊技球を検出するはずれ領域スイッチ68と、遊技球の停留の解除タイミングを遊技者が決定するための停留解除ボタン9とが接続されている。そして、電飾基板46は、サブ統合基板58から送信されるコマンドに従って、特別図柄及び普通図柄の表示制御と、照明装置35の発光態様の制御と、演出装置30の制御とを行っている。
次いで、電源基板42について説明する。電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置29に接続されており、各基板及び遊技球発射装置29に直流の安定化した電力を供給している。遊技球発射装置29は、図示外の発射モータや、発射ハンドル7に設けられたタッチセンサ、発射装置停止スイッチ、及び発射強弱ボリューム等からなり、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域へ発射する。
次に、主基板41のRAM52の記憶エリアについて説明する。RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア、普通図柄始動ゲート12や第一始動口15等の各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した際に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア、普通図柄作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア、第一始動口15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する第一大当たり関係情報記憶エリア、第一特別図柄作動保留球数を記憶する第一特別図柄作動保留球数記憶エリア、第二始動口16及び第二始動電動役物17への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する第二大当たり関係情報記憶エリア、第二特別図柄作動保留球数を記憶する第二特別図柄作動保留球数記憶エリア、主基板41からサブ統合基板58、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等へ出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係記憶エリア、各種フラグを記憶するフラグ関係記憶エリアが設けられている。尚、カウンタ記憶エリアに記憶されるカウンタには、乱数を取得するための乱数取得カウンタ、時間を計測するためのタイマカウンタ、入賞球数を計数するための入賞球数カウンタ、大当たり遊技が終了してから実行された第一当たり判定及び第二当たり判定の回数の和を計数する当たり判定回数計数カウンタ等がある。さらに、RAM52には各種の記憶エリアが設けられている。
次に、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて、図7を参照して説明する。図7は、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。この第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図10乃至図13参照)において使用される。図7に示すように、第一大当たり関係情報記憶エリアには判定エリア及び第一〜第四記憶エリアが設けられており、第一〜第四記憶エリアには、第一始動口15に入賞し、まだ第一当たり判定の結果が報知されていない遊技球(第一特別図柄作動保留球)の取得した乱数が記憶される。また、判定エリアには、現在行われている第一当たり判定の結果報知や、第一大当たり遊技及び小当たり遊技の基になった乱数が記憶されている。
この判定エリア及び第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄と、第一特別図柄作成カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄と、第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄とが設けられている。そして、第一始動口15への遊技球の入賞が確認されると、RAM52の第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値(第一特別図柄作動保留球数)に対応する記憶エリアに各値が記憶され、この値に基づいて第一当たり判定、第一特別図柄の決定、及び第一変動パターンの決定が行われる。尚、RAM52の第二大当たり関係情報記憶エリアにおいても、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様の記憶エリアが設けられている。そして、遊技球が第二始動口16又は第二始動電動役物17へ入賞した際に取得される乱数が記憶される。また、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリアにおいても5つの記憶エリアが設けられており、普通当たり乱数を保留できるようになっている。
次に、主基板41のROM53の記憶エリアについて説明する。ROM53には、パチンコ機1のリセットが行われる際に各記憶エリアに記憶される初期値等を記憶する初期設定記憶エリアと、CPU51がパチンコ機1を制御するための各種プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリアと、主基板41からサブ統合基板58等に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリアと、2つの特別図柄表示部25,26に表示する特別図柄のパターンを記憶する特別図柄パターン記憶エリアと、第一当たり判定及び第二当たり判定の判定結果を報知する際の図柄の変動パターンに関するテーブル等の情報が記憶されている変動パターン記憶エリアと、普通当たり判定、第一当たり判定、第二当たり判定、特別図柄の決定等が行われる際に参照される各種テーブルを記憶する判定テーブル記憶エリアとが設けられている。さらに、ROM53には各種の記憶エリアが設けられている。
次に、ROM53の判定テーブル記憶エリアに記憶されている大当たり判定テーブルについて説明する。判定テーブル記憶エリアには、第一当たり判定を行う際に参照される第一大当たり判定テーブル、及び第二当たり判定を行う際に参照される第二大当たり判定テーブル(図示外)が記憶されている。これらの大当たり判定テーブルには、確率変動状態中に参照される高確率判定テーブル、及び非確率変動中に参照される低確率判定テーブルがそれぞれ設けられている。そして、第一大当たり判定テーブルでは「大当たり」「小当たり」「はずれ」のいずれかの判定結果が、また、第二大当たり判定テーブルでは「大当たり」「はずれ」のいずれかの判定結果が、大当たり乱数の各値に対応付けされている。従って、第一当たり判定では、第一大当たり乱数の値を第一大当たり判定テーブルに当てはめることで、大当たり判定と小当たり判定とが同時に行われることとなる。また、小当たりと判定される確率は確率変動状態であるか否かに関わらず一定の確率(3/777)である。一方で、大当たりと判定される確率は確率変動状態中に100/777、非確率変動状態中に10/777となっており、この確率は第一当たり判定及び第二当たり判定で共通の値となっている。
次に、ROM53の判定テーブル記憶エリアに記憶されている特別図柄決定テーブルについて、図8を参照して説明する。図8は、ROM53の判定テーブル記憶エリアに記憶されている特別図柄決定テーブルを示す概念図である。図8に示すように、特別図柄決定テーブルによって決定される特別図柄は、大当たり種別によって、第一当たり判定では5種類、第二当たり判定では3種類に分類される。そして、各特別図柄と特別図柄決定乱数の値とが対応付けされている。従って、特別図柄決定乱数の値に応じて特別図柄が決定され、決定された特別図柄に応じてさらに大当たり種別が決定されることとなる。
ここで、本実施の形態における大当たり種別について説明する。本実施の形態では、ラウンド数と、確率変動状態の当否と、時短回数とに応じて大当たりの種別が分類される。ラウンド数とは、1回の大当たり遊技中に大入賞口18,19のいずれかが連続して作動する回数の合計であり、2ラウンド(2R)及び15ラウンド(15R)のいずれかが選択される。さらに、第一大入賞口18が開放される第一大当たり遊技では、一旦開放された第一大入賞口18は0.5秒の最大開放時間の経過、及び9個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると閉鎖する。よって、第一大当たり遊技中は払い出される遊技球(出球)はごく僅かである。一方で、第二大入賞口19が開放される第二大当たり遊技では、30秒の最大開放時間の経過、及び9個の遊技球の入賞のいずれかの条件が満たされると第二大入賞口19が閉鎖する。ここで、第一当たり判定により大当たりとなった場合には、出球のある第二大当たり遊技が実行される割合は僅か1%(「15R確変」の場合のみ)であるが、第二当たり判定により大当たりとなった場合には必ず第二大当たり遊技が実行される。
また、決定された大当たり種別及び大当たり判定時の遊技状態に応じて、大当たり遊技終了後の時短回数が決定される。時短回数とは、時短状態が終了する条件となる当たり判定の回数(第一当たり判定の回数と第二当たり判定の回数との和)である。具体的には、第一当たり判定の場合、大当たり種別が「2R非確変」となった際に時短中であれば時短回数は100回、非時短中であれば0回となる。また、「2R確変A」となった際に時短中であれば時短回数は10000回、非時短中であれば0回となる。また、「2R確変B」となった際に非確率変動非時短状態(通常状態)であれば0回、その他の遊技状態であれば10000回となり、「2R確変C」及び「15R確変」となった場合には、当たり判定時の遊技状態に関わらず、時短回数は10000回となる。そして、第二当たり判定の場合には、当たり判定時の遊技状態に関わらず、大当たり種別が「2R非確変」であれば時短回数は77回、「2R確変」及び「15R確変」となった場合には時短回数は10000回となる。尚、確率変動状態が終了する条件となる当たり判定の回数、すなわち確率変動回数は、非確変の大当たり種別となった場合には0回、確変の大当たり種別となった場合には10000回となる。この遊技状態の制御の詳細は、図13を参照して後述する。
そして、本実施の形態では、通常状態(非確率変動非時短状態)中に第一当たり判定によって2R大当たり又は小当たりと判定された場合、演出装置30による振り分け演出を実行するか否かが特別図柄に応じて決定される。そして、振り分け演出を実行することが決定されると、当たり遊技終了後の遊技状態が振り分け演出によって遊技者に報知される。この振り分け演出では、あたかも入球領域90〜92へ遊技球が入球した時点で、当たり遊技終了後の遊技状態が決定される印象を遊技者に与えることができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。この詳細は後述する。
次に、パチンコ機1の主基板41による動作の詳細について、図9乃至図13を参照して説明する。図9は、主基板41におけるメイン処理のフローチャートであり、図10乃至図12は、メイン処理の中で行われる特別図柄処理のサブルーチンのフローチャートである。また、図13は、図12に示す特別図柄処理の中で行われる遊技状態決定処理のサブルーチンのフローチャートである。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
パチンコ機1の制御は、ROM53の制御プログラム記憶エリアに記憶されている制御プログラムにより行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図6参照)が発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。割込信号は、一定の間隔(本実施の形態では2ms)毎に発生されるので、メイン処理は2ms毎に繰り返し実行されることになる。
まず、主基板41で行われるメイン処理について、図9を参照して説明する。図9に示すように、割込信号の感知によってメイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。このコマンド出力処理では、制御コマンドが、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58や払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47等に出力される。制御コマンドには、大入賞口18,19の開閉タイミングを指示する大入賞口開放コマンド、大入賞口閉鎖コマンド、決定された特別図柄を示す特別図柄指定コマンド、決定された変動パターンを指示すると共に特別図柄の変動開始を指示する変動パターン指定コマンド、変動している特別図柄の停止を指示する特別図柄停止コマンド等、多数のコマンドがある。特に、演出装置30による振り分け演出の実行を指示する振り分け演出開始コマンド、当たり遊技終了後に確率変動時短状態(状態A)が生起されることを示す状態A当選通知コマンド、当たり遊技終了後に確率変動非時短状態(状態B)が生起されることを示す状態B当選通知コマンド、当たり遊技終了後に非確率変動非時短状態(通常状態)が生起されることを示す落選通知コマンドがサブ統合基板58へ送信される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に出力コマンドとして記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。このスイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、第一始動口15、第二始動口16、第二始動電動役物17、大入賞口18,19への遊技球の入賞を検知する処理が行われる。具体的には、これらの入賞口に設けられた各スイッチにより遊技球が検出されたか否かが判断され、遊技球が検出された場合には、RAM25記憶された各スイッチに対応したフラグがONとされる。尚、これらの全てのフラグは、スイッチ読込処理の開始時にOFFとされる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。このカウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの各値が所定量だけ加算され、タイマカウンタの各値が所定量だけ減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。この特別電動役物処理では、大入賞口18,19の開閉動作を指示するための大入賞口開放コマンド、大入賞口閉鎖コマンド等の制御コマンドをサブ統合基板58へ送信するための処理が行われる。ここで、本実施の形態では、大入賞口18,19の開閉動作を制御するための3つの制御パターンがROM53に記憶されている。そして、先述したように、第一大入賞口18が開放される場合(第一当たり判定により2R大当たり又は小当たりと判定された場合)には、1回の開放動作における最大開放時間は0.5秒となっている。一方で、第二大入賞口19が開放される場合(15R大当たりと判定された場合、及び第二当たり判定により2R大当たりと判定された場合)には、最大開放時間は30秒となっている。これにより、第二当たり判定が頻繁に行われる時短状態となることを期待させながら遊技者を楽しませることができる。
また、通常状態中に開始された当たり遊技中の第一大入賞口18の開閉動作が終了した際に、演出装置30による振り分け演出を実行することを示す「1」が振り分け演出実行フラグに記憶されて「ON」となっていれば、振り分け演出の実行を指示する振り分け演出開始コマンドが記憶される。この振り分け演出実行フラグの値は、後述する遊技状態決定処理(図13参照)において制御されている。さらに、当たり遊技終了後に生起される遊技状態に応じて、状態A当選通知コマンド、状態B当選通知コマンド、及び落選通知コマンドのいずれかがRAM52に記憶される。これらのコマンドをサブ統合基板58が受信することにより、演出装置30による後述の振り分け演出が制御されることとなる。
そして、特別電動役物処理では、大当たり遊技の終了後に、その後の遊技状態を制御する処理が行われる。後述する特別図柄処理において、時短回数が77回の時短状態に当選したことを示す「1」が時短A当選フラグに記憶されて「ON」となっている場合には、特別電動役物処理では、時短回数が77回の時短状態中であるか否かを示す時短Aフラグが大当たり遊技終了時に「ON」とされる。同様に、時短回数が100回の時短状態に当選したか否かを示す時短B当選フラグが「ON」とされていれば、時短回数が100回の時短状態中であるか否かを示す時短Bフラグが「ON」とされる。また、時短回数10000回の時短状態に当選して時短C当選フラグが「ON」とされていれば、特別電動役物処理では、大当たり遊技終了後に時短Cフラグが「ON」とされる。そして、確率変動状態に当選したことを示す「1」が確率変動当選フラグに記憶されて「ON」となっていれば、大当たり遊技終了後には、確率変動フラグが確率変動状態中であることを示す「ON」とされる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。この特別図柄処理では、大当たり及び小当たりの判定、表示画面28に表示される図柄や変動パターンの決定、指示、図柄の変動の開始及び終了の指示等が行われる。さらに、大当たり種別と遊技状態とから、演出装置30による振り分け演出を実行するか否か、及び大当たり遊技終了後の遊技状態を決定する処理が行われる。この特別図柄処理については、図10乃至図13に示すフローチャートを参照して後述する。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。この普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に、第二始動電動役物17に設けられた一対の開閉部材(所謂チューリップ)の開閉(普通当たり遊技中の動作)の制御が行われる。これにより、第二始動電動役物17への遊技球の入賞が容易となる。尚、時短遊技状態が生起されている場合には、生起されていない場合よりも第二始動電動役物17が長い時間開放される。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。この普通図柄処理では、普通当たり乱数の取得、普通当たり判定等が行われる。スイッチ読込処理(S11)にて普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過が検出された場合には、普通当たり判定カウンタの値が普通当たり乱数として取得される。そして、取得された乱数は、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリアに普通当たり乱数として記憶され、普通図柄表示部24を変動及び停止させることで、乱数に基づいた普通当たり判定の判定結果が報知される。ここで、時短状態が生起されている場合には、生起されていない場合に比べて普通図柄表示部24の変動時間が短縮されると共に、より高い確率で普通当たりと判定される。よって、時短状態中は第二始動電動役物17が開放される割合が大幅に高くなる。
次いで、賞品球の払い出しを行う払出処理(S17)、及びエラーチェック(S18)が行われる。パチンコ機1にエラーが発生している場合には、表示画面28にエラー表示を行わせたり、照明装置35を点灯・点滅させたり、スピーカ48,48にエラー音を発音させたりする。そこで、S10のコマンド出力処理にてサブ統合基板58へ送信するためのエラーコマンドがRAM52に記憶される。次いで、情報出力処理(S19)において、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の大当たり情報、始動情報等の各種の情報が出力ポート70を介して出力される。情報出力処理が終わるとメイン処理は終了する。そして、割込信号発生回路57から割込信号を受信すると、また最初からメイン処理が実行される。
次に、メイン処理の特別図柄処理(S14)の詳細について、図10乃至図13に示すフローチャートを参照して説明する。先述したように、特別図柄処理では、第一大当たり判定、第二大当たり判定、表示画面28に表示される図柄や変動パターン、及び演出の決定、遊技状態決定処理等が行われる。
はじめに、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52のフラグ関係記憶エリアには、表示状態フラグ、第一大当たり遊技状態フラグ、第二大当たり遊技状態フラグ、小当たり遊技状態フラグ、確率変動フラグ、確率変動当選フラグ、時短A〜Cフラグ、時短A〜C当選フラグ、振り分け演出実行フラグ等が記憶されている。
表示状態フラグは第一特別図柄表示部25及び第二特別図柄表示部26の状態を示すフラグであり、2つの特別図柄表示部25,26のいずれか一方が変動している場合(変動中)には「1」、いずれか一方が停止表示されている場合(停止表示中)には「2」、両方とも変動中でも停止表示中でもない場合には「0」が記憶されている。また、第一大当たり遊技状態フラグは第一大当たり遊技中に、第二大当たり遊技状態フラグは第二大当たり遊技中に、小当たり遊技状態フラグは小当たり遊技中にそれぞれ「1」が記憶されて「ON」となり、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。また、確率変動フラグは確率変動状態中に「1」が記憶されて「ON」となっており、非確率変動状態中には「0」が記憶されて「OFF」となっている。また、確率変動当選フラグは、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する場合に「ON」、そうでない場合に「OFF」となっている。
また、時短Aフラグは時短回数が77回の時短状態中に、時短Bフラグは時短回数100回の時短状態中に、時短Cフラグは時短回数10000回の時短状態中にそれぞれ「1」が記憶されて「ON」とされ、そうでない場合には「0」が記憶されて「OFF」となっている。そして、時短A当選フラグは時短回数が77回、時短B当選フラグは100回、時短C当選フラグは10000回の時短状態を大当たり遊技終了後に生起する場合にそれぞれ「1」が記憶されて「ON」とされ、そうでない場合に「0」が記憶されて「OFF」とされる。また、振り分け演出実行フラグは、当たり遊技中の第一大入賞口18の開閉動作終了後に演出装置30による振り分け演出を実行する場合に「1」が記憶されて「ON」とされ、実行しない場合に「0」が記憶されて「OFF」とされる。
図10に示すように、メイン処理の特別図柄処理が開始されると、第一始動口15へ遊技球が入賞しているか否かが判断される(S21)。第一始動口15に設けられた第一始動口スイッチ60が遊技球の入賞を検出した場合には、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図9参照)において、入賞球フラグ記憶エリアの第一始動口スイッチ60に対応するフラグが「ON」とされている。そこで、S21では、このフラグが「ON」であるか否かの判断が行われる。「ON」でない場合には(S21:NO)、第一始動口15に遊技球は入賞していないので、そのままS25の判断へ移行する。
第一始動口スイッチ60に対応するフラグが「ON」である場合には(S21:YES)、第一始動口15に遊技球が入賞しているので、その遊技球についての乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図7参照)に記憶される。しかし、乱数を取得して記憶することができる第一特別図柄作動保留球の数は4個である。そこで、RAM52の第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「4」であるか否かの判断が行われる(S22)。第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「4」である場合には(S22:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS25の判断へ移行する。
第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「4」でない場合、すなわち「0」〜「3」のいずれかである場合には(S22:NO)、第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値に「1」が加算される(S23)。そして、第一大当たり関係情報記憶エリアの第一〜第四記憶エリアのうち、第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値に対応する番号の記憶エリアに乱数が記憶される(S24)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が記憶され、第一大当たり特別図柄決定乱数欄には第一大当たり特別図柄作成カウンタの値が記憶され、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される。
次いで、第二始動口16及び第二始動電動役物17への遊技球の入賞に関する処理が行われる。まず、第二始動口16及び第二始動電動役物17のいずれかに遊技球が入賞しているか否かが判断される(S25)。第二始動口16及び第二始動電動役物17に設けられた第二始動口スイッチ61に対応するフラグが「OFF」となっており、遊技球が入賞していないと判断された場合には(S25:NO)、そのままS31(図11参照)の判断へ移行する。第二始動口16及び第二始動電動役物17のいずれかに遊技球が入賞していると判断された場合には(S25:YES)、RAM52の第二特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「4」であるか否かの判断が行われる(S26)。「4」である場合には(S26:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS31の判断へ移行する。
第二特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「4」でない場合には(S26:NO)、第二特別図柄作動保留球数記憶エリアの値に「1」が加算される(S27)。そして、RAM52の第二大当たり関係情報記憶エリアに各種乱数が記憶されて(S28)、S31の判断へ移行する。
次いで、図11のフローチャートに示すように、当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S31)。当たり遊技状態である場合には、第一当たり判定、第二当たり判定や判定結果の報知は行われない。そこで、第一大当たり遊技状態フラグ、第二大当たり遊技状態フラグ、及び小当たり遊技状態フラグのいずれかが「ON」であり、当たり遊技状態である場合には(S31:YES)、何もせずにメイン処理へ戻る。
当たり遊技状態でないと判断された場合には(S31:NO)、第一特別図柄表示部25及び第二特別図柄表示部26の制御に関する処理が行われる。まず、表示状態フラグにより、2つの特別図柄表示部25,26のいずれかが変動中であるか否かの判断が行われる(S32)。表示状態フラグが「1」でなく、特別図柄表示部25,26が共に変動中でない場合には(S32:NO)、表示状態フラグにより、いずれかが停止表示中であるか否かの判断が行われる(S33)。表示状態フラグが「2」でなく、2つの特別図柄表示部25,26が共に停止表示中でない場合には(S33:NO)、第一当たり判定又は第二当たり判定が行われる。
そこで、図12のフローチャートに示すように、当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かの確認が行われる。まず、RAM52の第二特別図柄作動保留球数記憶エリアの値により、第二特別図柄作動保留球数の値が「1」以上であるか否かが判断される(S41)。本実施の形態では、第一特別図柄作動保留球及び第二特別図柄作動保留球が共に「1」以上である場合には、第二当たり判定が優先して実行される。従って、第二特別図柄作動保留球数が「1」以上である場合には(S41:YES)、S61の処理へ移行して第二当たり判定が行われる。一方で、第二特別図柄作動保留球数が「0」である場合には(S41:NO)、RAM52の第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値により、第一特別図柄作動保留球数の値が「1」以上であるか否かが判断される(S42)。「0」であれば(S42:NO)、当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、そのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S42:YES)、第一当たり判定を行うため、S45の処理へ移行する。
第一当たり判定では、まず、第一特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「1」減算され(S45)、第一大当たり関係情報記憶エリア(図7参照)の値がシフトされる。すなわち、第一記憶エリアに記憶されている乱数が判定エリアにシフトされ、第二〜第四記憶エリアに記憶されている乱数が番号の1つ若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる(S46)。
次いで、第一当たり判定が行われる(S47〜S49)。この第一当たり判定は、ROM53の判定テーブル記憶エリアに記憶されている第一大当たり判定テーブルが参照されて、判定エリアの第一大当たり乱数欄(図7参照)に記憶されている値により行われる。確率変動フラグに「1」が記憶されて「ON」となっている確率変動状態中であれば(S47:YES)、大当たりとして決められている特定の値の数が非確率変動状態中よりも多い第一高確率判定テーブルが参照されて第一大当たり判定が行われる(S48)。一方で、確率変動フラグが「OFF」となっている非確率変動状態中であれば(S47:NO)、第一低確率判定テーブルが参照されて判定が行われる(S49)。
次いで、変動パターンを決定する処理、及び第一特別図柄を決定する処理が行われる。まず、第一当たり判定の結果が「大当たり」であるか否かが判断される(S50)。「大当たり」であれば(S50:YES)、当たり変動パターン決定処理(S51)において、第一大当たりを示す第一特別図柄の変動パターンが決定されると共に、決定された変動パターンをサブ統合基板58に指示する変動パターン指定コマンドがRAM52のコマンド関係記憶エリアに記憶される。ここで、変動パターンを決定する処理は、第一大当たり関係情報記憶エリア(図7参照)の第一変動パターン決定乱数欄に記憶されている値により、テーブルが参照されて行われる。尚、変動パターン指定コマンドの受信を契機として、表示画面28内のデモ図柄及び第一特別図柄表示部25の変動が開始される。
そして、特別図柄決定処理(S52)では、大当たりを示す第一特別図柄が決定され、決定された第一特別図柄を示す特別図柄指定コマンドがRAM52のコマンド関係記憶エリアに記憶される。この特別図柄指定コマンドは、次に行われるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図9参照)において、サブ統合基板58へ送信される。また、大当たり特別図柄の決定は、第一大当たり関係情報記憶エリアの第一特別図柄決定乱数欄の値によりテーブルが参照されて行われ、これにより、大当たり種別(図8参照)が決定される。一方で、第一当たり判定の結果が「大当たり」でなければ(S50:NO)、判定結果(はずれ又は小当たり)に応じた変動パターンの決定、及び決定された変動パターンを指定するコマンドの記憶が行われる(S53)。そして、はずれ又は小当たりの判定結果を示す第一特別図柄が決定され、特別図柄指定コマンドが記憶される(S54)。尚、サブ統合基板58では、第一当たり判定の結果が2R大当たりの場合と小当たりの場合とで同じデモ図柄(チャンス図柄)を表示画面28に停止表示させる処理が行われる。
また、第二当たり判定でも、第一当たり判定と同様の流れで各種処理が行われる。まず、RAM52の第二特別図柄作動保留球数記憶エリアの値が「1」減算され(S61)、第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている値がシフトされる(S62)。次いで、確率変動フラグにより確率変動中であるか否かの判断が行われ(S63)、確率変動状態中であれば(S63:YES)、大当たりとして決められている特定の値が非確率変動状態中よりも多い第二高確率判定テーブルが参照されて第二当たり判定が行われる(S64)。一方で、確率変動状態中でなければ(S63:NO)、第二低確率判定テーブルが参照されて判定が行われる(S65)。
次いで、変動パターンを決定する処理、及び第一特別図柄を決定する処理が行われる。まず、第二当たり判定の結果が「大当たり」であるか否かが判断され(S66)、「大当たり」であれば(S66:YES)、第二大当たりを示す変動パターンの決定、及び決定された変動パターンを指定するコマンドの記憶が行われる(S67)。そして、大当たりを示す第二特別図柄が決定され、特別図柄指定コマンドが記憶される(S68)。また、第二当たり判定の結果が「大当たり」でなければ(S66:NO)、はずれを示す変動パターンが決定され、この変動パターンを指定するコマンドが記憶される(S69)。そして、はずれを示す第二特別図柄が決定され、特別図柄指定コマンドが記憶される(S70)。次いで、遊技状態決定処理(S75)が行われる。
次に、遊技状態決定処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。この遊技状態決定処理では、特別図柄に応じて決められている大当たり種別が判定され、この大当たり種別と、大当たり判定時の遊技状態とに応じて、大当たり遊技終了後の遊技状態を制御するためのフラグの処理が行われる。また、本実施の形態では、通常状態中の第一当たり判定において2R大当たりと判定された場合の一部、及び小当たりと判定された場合には、表示画面28に特定の「チャンス目」を表示させて第一大入賞口18を2回開閉させた後、演出装置30による振り分け演出が実行される。遊技状態決定処理では、振り分け演出を実行するか否かを示すフラグの処理も併せて行われる。
まず、第一当たり判定により大当たりとされたか否かの判断が行われ(S78)、第一当たり判定による大当たりでなければ(S78:NO)、そのままS93の判断へ移行する。第一当たり判定による大当たりであれば(S78:YES)、特別図柄に応じて決められている大当たり種別(図8参照)が「15R確変」であるか否かが判断される(S79)。「15R確変」であれば(S79:YES)、そのままS82の判断へ移行する。「15R確変」でなければ(S79:NO)、決定されている特別図柄が、振り分け演出を実行するとあらかじめ決められている特別図柄であるか否かが判断され(S80)、実行しない特別図柄であれば(S80:NO)、S82の判断へ移行する。振り分け演出を実行すると決められている特別図柄であれば(S80:YES)、第一大入賞口18の開閉動作終了後に振り分け演出を実行することを示す「1」が振り分け演出実行フラグに記憶されて「ON」とされ(S81)、S82の判断へ移行する。
次いで、大当たり種別(図8参照)が「2R非確変」であるか否かが判断される(S82)。「2R非確変」である場合には(S82:YES)、時短A〜Cフラグのいずれかが「ON」となっているか否かにより時短中であるか否かの判断が行われ(S83)、時短中でなければ(S83:NO)、そのまま図11に示す特別図柄処理へ戻る。一方で、時短中、すなわち非確率変動時短状態及び確率変動時短状態のいずれかが生起されていれば(S83:YES)、時短回数100回の時短状態を大当たり遊技終了後に生起させることを示す「1」が時短B当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S84)、特別図柄処理へ戻る。
また、第一当たり判定により大当たりとなり(S78:YES)、大当たり種別が「2R非確変」でなければ(S82:NO)、他の大当たり種別は全て確率変動状態が生起される大当たり種別である。そこで、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起させることを示す「1」が確率変動当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S85)、S86の判断へ移行する。
次いで、大当たり種別が「2R確変A」であるか否かが判断され(S86)、「2R確変A」であれば(S86:YES)、時短中であるか否かが判断される(S87)。時短中でなければ(S87:NO)、大当たり遊技終了後には時短状態は生起されないため、そのまま特別図柄処理へ戻る。一方で、時短中、すなわち非確率変動時短状態及び確率変動時短状態のいずれかが生起されていれば(S87:YES)、時短回数が10000回の時短状態を大当たり遊技終了後に生起させることを示す「1」が時短C当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S88)、特別図柄処理へ戻る。
また、大当たり種別が「2R確変A」でない場合には(S86:NO)、「2R確変B」であるか否かが判断され(S89)、「2R確変B」である場合には(S89:YES)、非確率変動非時短状態中であるか否かが判断される(S90)。時短A〜Cフラグ及び確率変動フラグが全て「OFF」とされており、非確率変動非時短状態中(通常状態中)であると判断された場合には(S90:YES)、時短状態は生起されないため、そのまま特別図柄処理へ戻る。一方で、非確率変動非時短状態中でない場合には(S90:NO)、時短回数が10000回の時短状態に当選したことを示す「1」が時短C当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S91)、特別図柄処理へ戻る。
また、第一当たり判定により大当たりとなり(S78:YES)、大当たり種別が「2R非確変」、「2R確変A」、「2R確変B」のいずれでもない場合には(S82:NO、S86:NO、S89:NO)、大当たり種別は「2R確変C」及び「15R確変」のいずれかである。この場合、第一当たり判定時の遊技状態に関わらず、時短回数が10000回の時短状態が大当たり遊技終了後に生起される(図8参照)。そこで、時短C当選フラグが「ON」とされて(S91)、特別図柄処理へ戻る。
また、第一当たり判定により大当たりと判定されていなければ(S78:NO)、第二当たり判定により大当たりと判定されたか否かが判断される(S93)。第二当たり判定による大当たりであれば(S93:YES)、大当たり種別が「2R非確変」であるか否かが判断される(S94)。「2R非確変」でなければ(S94:NO)、大当たり種別は「2R確変」及び「15R確変」のいずれかであり、この場合には必ず確率変動時短状態が生起される。そこで、確率変動当選フラグが「ON」とされる(S95)。そして、時短回数が10000回の時短状態に当選したことを示す「1」が時短C当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S96)、特別図柄処理へ戻る。また、大当たり種別が「2R非確変」である場合には(S94:YES)、第二当たり判定時の遊技状態に関わらず、大当たり遊技終了後には時短回数が77回の時短状態が生起される。そこで、時短回数が77回の時短状態を大当たり遊技終了後に生起させることを示す「1」が時短A当選フラグに記憶されて「ON」とされ(S97)、特別図柄処理へ戻る。
また、第一当たり判定及び第二当たり判定でいずれも大当たりと判定されていない場合には(S78:NO、S93:NO)、第一当たり判定により小当たりと判定されたか否かが判断される(S98)。小当たりと判定されていなければ(S98:NO)、そのまま特別図柄処理へ戻る。一方で、小当たりと判定されている場合には(S98:YES)、通常状態中の小当たり遊技による第一大入賞口18の開閉動作終了後に振り分け演出を実行するために、振り分け演出実行フラグに「1」が記憶されて「ON」とされ(S99)、特別図柄処理へ戻る。
次いで、図12のフローチャートに示すように、遊技状態決定処理(S75)が終了すると、既に決定されている変動パターンにより決められている特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタに記憶される(S76)。そして、2つの特別図柄表示部25,26のいずれか一方が変動していることを示す「1」が表示状態フラグに記憶されて(S77)、特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。
また、図11のフローチャートに示すS32の判断において、表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄表示部25,26のいずれかが変動中であると判断された場合には(S32:YES)、変動時間が経過したか否かの判断が行われる(S101)。S76(図12参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっており、変動時間が経過したと判断された場合には(S101:YES)、RAM52のコマンド関係記憶エリアに特別図柄停止コマンドが記憶される(S102)。この特別図柄停止コマンドは、変動しているいずれかの特別図柄表示部25,26の変動停止を指示するコマンドである。そして、停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶され(S103)、特別図柄表示部25,26のいずれか一方が停止表示中であることを示す「2」が表示状態フラグに記憶されて(S104)、メイン処理へ戻る。一方、S101の判断において、特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でなく、変動時間がまだ経過していない場合には(S101:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
また、S33の判断において、表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄表示部25,26のいずれかが停止表示中であると判断された場合には(S33:YES)、S103でセットされた特別図柄停止時間カウンタの値により、停止表示時間が経過したか否かの判断が行われる(S105)。特別図柄指定時間カウンタの値が「0」でなく、停止表示時間がまだ経過していない場合には(S105:NO)、停止表示を継続するため、そのままメイン処理へ戻る。また、特別図柄停止時間カウンタの値が「0」である場合には、停止表示時間が経過したので(S105:YES)、特別図柄表示部25,26が共に変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が表示状態フラグに記憶される(S106)。
次いで、遊技状態移行処理が行われる(S107)。この遊技状態移行処理では、当たり遊技を制御するための第一大当たり遊技状態フラグ、第二大当たり遊技状態フラグ、及び小当たり遊技状態フラグの値が、当たり判定の結果に応じて制御される。また、判定結果がはずれ又は小当たりであった場合には、前回の当たり遊技の終了後に行われた当たり判定の回数が計数され、計数された当たり判定の回数に応じて、時短状態及び確率変動状態を制御する処理が行われる。例えば、時短回数が77回の時短状態中であるか否かを示す時短Aフラグが「ON」となっている場合には、当たり判定の回数が77回となった際に、この時短Aフラグを「OFF」とする処理が行われる。そして、特別図柄処理へ戻る。
以上説明したように、遊技球が始動口へ入賞すると(S21:YES、又はS25:YES)、各種乱数が取得され(S24、S28)、取得された乱数に基づいて第一当たり判定及び第二当たり判定が行われる(S48,S49,S64,S65)。この当たり判定は、第一当たり判定よりも第二当たり判定を優先して行われる(S41、S42)。そして、判定の結果が大当たりであれば、大当たり種別とその時点での遊技状態とに応じて大当たり遊技終了後の遊技状態が決定される(図13参照)。
ここで、非確率変動非時短状態(通常状態)中は、第一当たり判定により大当たりとなっても、遊技者に有利な非確率変動時短状態へ移行することはない。しかし、第二当たり判定により大当たりとなった場合には、遊技状態は非確率変動時短状態及び確率変動時短状態のいずれかに必ず移行する。従って、遊技者に不利な通常状態が生起されている間も、第二当たり判定により大当たりとなることを期待させながら遊技者に遊技を楽しませることができる。
また、第一当たり判定を契機として、通常状態又は確率変動非時短状態から時短状態へ移行した場合には、その時点の遊技状態は必ず確率変動時短状態である。そして、当たり判定(確率変動中の大当たり確率は100/777)により10000回連続してはずれとなる確率は限りなく0%に近いため、確率変動時短状態から通常状態へ移行(転落)するためには、確率変動時短状態中に大当たりとなってまず非確率変動時短状態へ移行し、さらに通常状態へ移行する必要がある。よって、第一当たり判定を契機として時短状態が生起された場合には、払い出しの多い第二大当たり遊技が高い割合で実行されるという利点がある。一方で、第二当たり判定を契機として時短状態が生起された場合には、時短状態中に大当たりと判定されることなく通常状態へ移行してしまう虞がある。従って、第一当たり判定による大当たりの遊技者にとっての利益・不利益と、第二当たり判定による大当たりの利益・不利益とが相反する新しい遊技性を遊技者に提供することができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。
そして、通常状態中に遊技を行っている遊技者は、第一当たり判定が行われた場合には、遊技者に最も有利な確率変動時短状態(状態A)、又は、確率変動時短状態へ移行する割合が通常状態よりも高い確率変動非時短状態(状態B)へ遊技状態が移行することを期待する。そこで、本実施の形態では、通常状態中の当たり遊技において第一大入賞口18を2回開閉させた後に、演出装置30による振り分け演出を用いて遊技状態を遊技者に報知することで、遊技者の興趣を惹き付けている。
次に、サブ統合基板58における振り分け演出処理について、図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15は、サブ統合基板58における振り分け演出処理のフローチャートである。サブ統合基板58では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28やスピーカ48、特別図柄表示部25,26等を制御する処理が行われる。特に、演出装置30による振り分け演出の開始を指示するコマンドを受信した場合には、電飾基板46に対して振り分け演出を実行させる指示が行われる。
まず、サブ統合基板58のRAM582について説明する。RAM582には、各種カウンタが記憶されるカウンタ記憶エリア、電飾基板46や演出制御基板43等に出力される制御コマンドが記憶されるコマンド関係記憶エリア、各種フラグが記憶されるフラグ関係記憶エリア等の各種記憶エリアが設けられている。そして、フラグ関係記憶エリアには、確率変動時短状態(状態A)が生起されていることを示す状態A当選フラグ、及び、確率変動非時短状態(状態B)が生起されていることを示す状態B当選フラグが記憶されており、振り分け演出処理において使用される。これらのフラグは、状態A又は状態Bが生起されている場合にそれぞれ「1」が記憶されて「ON」となり、生起されていない場合に「0」が記憶されて「OFF」となる。
次いで、サブ統合基板58のROM583について説明する。ROM583には、CPU581がパチンコ機1の制御を補助するための各種プログラムが記憶されている。また、サブ統合基板58から電飾基板46や演出制御基板43等に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリア、演出装置30による振り分け演出の内容を決定するための情報が記憶されている振り分け演出関係情報記憶エリア等の各種記憶エリアが設けられている。
以下、サブ統合基板58で行われる振り分け演出処理について、図14及び図15を参照して説明する。振り分け演出の開始を指示する振り分け演出開始コマンドを主基板41から受信すると、サブ統合基板58では振り分け演出処理が実行される。
まず、役物装置31の停留部82(図3参照)に遊技球が停留されているか否かが判断される(S121)。先述したように、停留部82には遊技球を検出するための停留部スイッチ65(図6参照)が配設されており、この停留部スイッチ65により遊技球が検出されると、遊技球が停留されていることを示す信号が電飾基板46からサブ統合基板58へ出力される。この信号が入力されておらず、遊技球が停留されていないと判断された場合には(S121:NO)、遊技球を用いた演出装置30による振り分け演出は実行できない。そこで、遊技状態を遊技者に報知する報知演出を表示画面28に実行させるためのコマンドが演出制御基板43へ送信されると共に、報知演出に同期してスピーカ48から音声を発生させる処理が行われる(S122)。そして、振り分け演出処理を終了する。
一方で、停留部82に遊技球が停留されていると判断された場合には(S121:YES)、振り分け演出の演出時間が、タイマカウンタである演出時間計測カウンタに記憶されて、演出時間の計測が開始される(S124)。次いで、確率変動時短状態(状態A)が生起されていることを示す状態A当選通知コマンドを受信したか否かが判断され(S125)、受信していない場合には(S125:NO)、確率変動非時短状態(状態B)が生起されていることを示す状態B当選通知コマンドを受信したか否かが判断される(S126)。受信していない場合には(S126:NO)、遊技状態が通常状態から移行しなかったことを示す落選通知コマンドを受信したか否かが判断され(S127)、受信していない場合には(S127:NO)、S125の判断へ戻り、これらの判断が繰り返し行われる。
そして、状態A当選通知コマンドを受信した場合には(S125:YES)、確率変動時短状態が生起されていることを示す「1」が状態A当選フラグに記憶されて「ON」とされる(S129)。次いで、状態Aに当選していることを示す複数の振り分け演出の中の1つが決定され、決定された演出を実行させるための状態A当選振り分け演出実行コマンドが、電飾基板46及び演出制御基板43へ送信される(S130)。これにより、指定された振り分け演出を演出装置30に実行させる処理が電飾基板46で行われると共に、振り分け演出に同期した映像を表示画面28に表示させる処理が演出制御基板43で行われる。そして、S141(図15参照)の判断へ移行する。
また、状態B当選通知コマンドを受信した場合には(S126:YES)、確率変動非時短状態が生起されていることを示す「1」が状態B当選フラグに記憶されて「ON」とされる(S132)。次いで、状態Bに当選していることを示す複数の振り分け演出の中の1つが決定され、決定された演出を実行させるための状態B当選振り分け演出実行コマンドが電飾基板46及び演出制御基板43へ送信されて(S133)、S141の判断へ移行する。また、落選通知コマンドを受信した場合には(S127:YES)、状態A及び状態Bに落選していることを示す複数の振り分け演出の中の1つが決定され、決定された演出を実行させるための落選振り分け演出実行コマンドが送信されて(S135)、S141の判断へ移行する。
次いで、図15に示すように、状態A領域90(図3参照)へ遊技球が入球したことを示す状態A領域入球コマンドを電飾基板46から受信したか否かが判断される(S141)。受信していない場合には(S141:NO)、状態B領域91へ入球したことを示す状態B領域入球コマンドを受信したか否かが判断され(S142)、受信していない場合には(S142:NO)、はずれ領域92へ入球したことを示すはずれ領域入球コマンドを受信したか否かが判断される(S143)。そして、いずれのコマンドも受信していない場合には(S143:NO)、S124(図14参照)でセットされたカウンタの値により、演出時間が経過したか否かが判断され(S144)、経過していない場合には(S144:NO)、S141の判断へ戻り、これらの判断が繰り返し行われる。
そして、状態A領域入球コマンドを受信した場合には(S141:YES)、状態Aに当選しているか否か、すなわち、確率変動時短状態が生起されているか否かが状態A当選フラグによって判断される(S147)。当選している場合には(S147:YES)、遊技球が入球領域へ入球したことにより示された内容と、実際に生起されている遊技状態とが一致している。よって、状態Aが確定していることを示す演出を表示画面28に表示させる状態A確定演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S148)。そして、遊技状態確定ランプ37の状態A表示ランプ96(図2参照)を点灯させる状態A表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S149)、S182の処理へ移行する。
状態Aに当選していない場合には(S147:NO)、状態Bに当選しているか、すなわち、確率変動非時短状態が生起されているか否かが状態B当選フラグによって判断される(S150)。当選している場合には(S150:YES)、振り分け演出により示された内容と、実際に生起されている遊技状態とが異なっている。そこで、振り分け演出により示された内容を補正して、状態Bが生起されていることを示す演出を表示画面28に表示させる状態B補正演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S151)。そして、状態B表示ランプ97を点灯させる状態B表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S152)、S182の処理へ移行する。
状態A及び状態Bのいずれにも当選していない場合には(S150:NO)、振り分け演出により示された内容と、実際に生起されている遊技状態(通常状態)とが異なっている。そこで、振り分け演出により示された内容を補正して、遊技状態が通常状態から移行しなかったことを示す演出を表示画面28に表示させるはずれ補正演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S153)。そして、はずれ表示ランプ98を点灯させるはずれ表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S154)、S182の処理へ移行する。
また、状態B領域入球コマンドを受信した場合には(S142:YES)、状態Aに当選しているか否かが判断され(S158)、当選している場合には(S158:YES)、実際は状態Aに当選していたことを示す復活演出を表示画面28に表示させる復活演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S159)。そして、状態A表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S160)、S182の処理へ移行する。状態Aに当選していない場合には(S158:NO)、状態Bに当選しているか否かが判断され(S161)、当選している場合には(S161:YES)、状態Bが確定していることを示す演出を表示画面28に表示させる状態B確定演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S162)。そして、状態B表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S163)、S182の処理へ移行する。状態A及び状態Bのいずれにも当選していない場合には(S161:NO)、はずれ補正演出実行コマンドが演出制御基板43へ送信され(S164)、はずれ表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S165)、S182の処理へ移行する。
また、はずれ領域入球コマンドを受信した場合には(S143:YES)、状態Aに当選しているか否かが判断され(S169)、当選している場合には(S169:YES)、復活演出実行コマンドが演出制御基板43へ送信される(S170)。そして、状態A表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S171)、S182の処理へ移行する。状態Aに当選していない場合には(S169:NO)、状態Bに当選しているか否かが判断され(S172)、当選している場合には(S172:YES)、状態B補正演出実行コマンドが演出制御基板43へ送信される(S173)。そして、状態B表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S174)、S182の処理へ移行する。状態A及び状態Bのいずれにも当選していない場合には(S172:NO)、遊技状態が通常状態から移行していないことを確定させる演出を表示画面28に表示させるはずれ確定演出実行コマンドが、演出制御基板43へ送信される(S175)。そして、はずれ表示ランプ点灯コマンドが電飾基板46へ送信されて(S176)、S182の処理へ移行する。
また、入球領域へ入球したことを示すコマンドを受信する前に演出時間が経過した場合には(S144:YES)、時間切れとなったことを示す時間切れ通知コマンドが電飾基板46へ送信される(S180)。次いで、遊技状態を遊技者に報知する報知演出が表示画面28によって実行される(S181)。そして、S182の処理では、状態A当選フラグ及び状態B当選フラグのいずれかが「ON」となっている場合に「OFF」とする処理が行われて(S182)、振り分け演出処理を終了する。
次に、電飾基板46における振り分け演出処理について、図16乃至図20を参照して説明する。図16は、電飾基板46における振り分け演出処理のフローチャートであり、図17乃至図20は、電飾基板46の振り分け演出処理で行われる状態A当選演出実行処理のサブルーチンのフローチャートである。電飾基板46では、サブ統合基板58から送信されるコマンドに従って、演出装置30による振り分け演出を実行する制御が行われる。
まず、電飾基板46のRAM462及びROM463について説明する。RAM462には、各種カウンタが記憶されるカウンタ記憶エリア、サブ統合基板58等に出力される制御コマンドが記憶されるコマンド関係記憶エリア、各種フラグが記憶されるフラグ関係記憶エリア等の各種記憶エリアが設けられている。また、ROM463には、CPU461がパチンコ機1の制御を補助するための各種プログラムや、制御コマンドのテーブル等が記憶されている。特に、ROM463には、遊技球停留部材32(図3参照)による停留が解除されてから、入球位置89へ遊技球が到達するまでの時間A秒が記憶されている。さらに、回転体33の回転速度と回転角度とに応じて、各入球領域90〜92が入球位置へ到達するまでの時間が記憶されている。これらの値に基づいて、遊技球を所定の入球領域90〜92へ入球させる振り分け演出が行われる。
以下、電飾基板46で行われる振り分け演出処理について、図16を参照して説明する。振り分け演出処理では、まず、サブ統合基板58から振り分け演出実行コマンドを受信したか否かが判断され(S191)、受信していない場合には(S191:NO)、この判断が繰り返し行われる。そして、振り分け演出実行コマンドを受信した場合には(S191:YES)、振り分け演出が実行中であるか否かを示す振り分け演出実行ランプ38を点灯させる処理が行われる(S192)。
次いで、振り分け演出実行コマンドにより指定されている振り分け演出が、状態Aの当選を示す演出であるか否かが判断される(S193)。状態Aの当選を示す演出であれば(S193:YES)、コマンドにより指定されている状態A当選演出が実行される(S194)。この詳細は図17乃至図20を参照して後述する。また、状態Aの当選を示す演出でなければ(S193:NO)、状態Bの当選を示す演出が指定されているか否かが判断され(S195)、状態Bの当選を示す演出が指定されていれば(S195:YES)、コマンドにより指定されている状態B当選演出が実行される(S196)。また、状態Aの当選及び状態Bの当選のいずれも指定されていなければ(S195:NO)、指定されている落選演出が実行される(S197)。
次いで、状態A領域90へ遊技球が入球したか否かが状態A領域スイッチ66(図6参照)により判断され(S201)、入球していない場合には(S201:NO)、状態B領域91へ入球したか否かが状態B領域スイッチ67により判断される(S202)。状態B領域へ入球していない場合には(S202:NO)、はずれ領域92へ入球したか否かがはずれ領域スイッチ68により判断される(S203)。そして、いずれの入球領域にも入球していない場合には(S203:NO)、サブ統合基板58から時間切れ通知コマンドを受信したか否かが判断され(S204)、受信していない場合、すなわち、演出時間が経過していない場合には(S204:NO)、S201の判断へ戻り、これらの判断が繰り返し行われる。
そして、状態A領域90へ遊技球が入球した場合には(S201:YES)、状態A領域入球コマンドがサブ統合基板58へ送信されて(S205)、S208の判断へ移行する。また、状態B領域91へ入球した場合には(S202:YES)、状態B領域入球コマンドがサブ統合基板58へ送信されて(S206)、S208の判断へ移行する。また、はずれ領域92へ入球した場合には(S203:YES)、はずれ領域入球コマンドがサブ統合基板58へ送信されて(S207)、S208の判断へ移行する。S208では、サブ統合基板58から表示ランプ点灯コマンドのいずれかを受信したか否かが判断され(S208)、受信していなければ(S208:NO)、繰り返しこの判断が行われる。そして、受信した場合には(S208:YES)、コマンドにより指定されているランプを所定時間点灯させる処理が行われ(S209)、点灯している振り分け演出実行ランプ38を消灯させる処理が行われて(S210)、S191の判断へ戻る。
また、入球領域90〜92へ遊技球が入球する前に演出時間が経過した場合には(S204:YES)、エラー音を発生させる等のエラー処理が行われ(S212),振り分け演出実行ランプ38を消灯させる処理が行われて(S210)、S191の判断へ戻る。
次に、状態A当選演出実行処理(S194)の詳細について、図17乃至図20を参照して説明する。先述したように、状態A当選演出実行処理では、サブ統合基板58により決定された状態A当選演出の種類に応じて遊技球を状態A領域90へ入球させる処理が行われる。尚、状態B当選実行演出処理(S196)及び落選演出実行処理(S197)における処理内容は、図17乃至図19に示す状態A当選演出実行処理の状態A領域90を、状態B領域91及びはずれ領域92にそれぞれ置き換えるのみであるため、この説明を省略する。
まず、図17を参照して、同一の速さで同一方向に回転している回転体33の状態A領域90へ遊技球を入球させる場合の状態A当選演出実行処理について説明する。まず、回転体33のステップモータ34による回転が開始され(S221)、停留の解除を可能とするまでの待機時間の計測が開始される(S222)。この待機時間中に、表示画面28では様々な演出が行われる。そして、待機時間が経過したか否かが判断され(S223)、経過していなければ(S223:NO)、この判断が繰り返し行われる。待機時間が経過した場合には(S223:YES)、状態A領域90がA秒後に入球位置89に到達するか否かが判断される(S224)。先述したように、停留が解除されてから遊技球が入球位置89へ到達するまでの時間A秒と、各入球領域90〜92が入球位置89へ到達するまでの時間とがROM463に記憶されている。そして、状態A領域90が入球位置89へ到達するまでにA秒を要すると判断されるまで(S224:NO)、繰り返しこの判断が行われ、A秒を要すると判断された場合には(S224:YES)、遊技球停留部材32による遊技球の停留が解除されて(S225)、振り分け演出処理へ戻る。これにより、遊技球と状態A領域90とが同じタイミングで入球位置89へ到達することとなり、状態A領域90へ遊技球を入球させることができる。
次に、図18を参照して、回転体33を途中で逆回転させて状態A領域90へ遊技球を入球させる場合の状態A当選演出実行処理について説明する。まず、回転体33の回転が開始され(S231)、待機時間の計測が開始される(S232)。そして、待機時間が経過したか否かが判断され(S233)、経過していなければ(S233:NO)、繰り返しこの判断が行われる。待機時間が経過した場合には(S233:YES)、状態A領域90が入球位置89を通過してからA秒が経過したか否かが判断され(S234)、A秒が経過していなければ(S234:NO)、この判断が繰り返し行われる。そして、状態A領域90が入球位置89を通過後A秒が経過した場合には(S234:YES)、遊技球停留部材32による遊技球の停留が解除され(S235)、回転体33を同じ速さで逆回転させる処理が行われて(S236)、振り分け演出処理へ戻る。すると、状態A領域90へ入球する見込みが低いタイミングで停留が解除されるにも関わらず、回転体33の回転方向が逆転して状態A領域90へ遊技球が入球するための、一旦落胆した遊技者を喜ばせて興趣を強く惹き付けることができる。
次に、図19を参照して、状態A領域90を入球位置89で停止させる場合の状態A当選演出実行処理について説明する。まず、回転体33の回転が開始され(S241)、待機時間の計測が開始される(S242)。そして、待機時間が経過するまで(S243:NO)、待機状態となり、時間が経過すると(S243:YES)、状態A領域90が入球位置89へ到達したか否かが判断される(S244)。状態A領域90が入球位置89へ到達するまで(S244:NO)、繰り返しこの判断が行われ、到達すると(S244:YES)、回転体33を停止させる処理が行われる(S245)。この状態で、遊技球停留部材32による遊技球の停留が解除されて(S246)、振り分け演出へ戻る。この場合、遊技球が状態A領域90へ入球することを、遊技者は停留が解除される段階で認識することができる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
次に、図20を参照して、遊技者自身が遊技球の停留の解除タイミングを決定する場合の状態A当選演出実行処理について説明する。まず、回転体の回転が開始され(S251)、待機時間の計測が開始される(S252)。そして、待機時間が経過するまで(S253:NO)、待機状態となり、時間が経過すると(S253:YES)、回転体33の回転の速さを減少させる処理が行われる(S254)。そして、停留解除ボタン9(図1参照)の操作が有効となり、停留解除ボタン9が押下されたか否かが判断される(S255)。ボタンが押下されるまで(S255:NO)、この判断は繰り返し行われ、停留解除ボタン9が押下されると(S255:YES)、遊技球停留部材32による遊技球の停留が解除されて(S256)、振り分け演出へ戻る。これにより、遊技者は実際に状態A領域90を狙って遊技球の停留を解除させることができるため、遊技者を楽しませることができる。また、遊技者自身が停留の解除タイミングを決定する場合には、回転体33をより遅く回転させることができるため、遊技者は入球させたい入球領域へ狙いを定めやすくなる。よって、停留の解除に遊技者を集中させることができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。さらに、解除のタイミングが悪く、状態B領域91又ははずれ領域92へ入球してしまった場合でも、実際は状態A(確率変動状態)が生起されていることが表示画面28及び遊技状態確定ランプ37により遊技者に報知されるため、遊技者を喜ばせることができる。
次に、本実施の形態に係るパチンコ機1の遊技の流れ及び効果について、図21を参照して説明する。図21は、パチンコ機1の4つの遊技状態の移行の流れを示した図である。
まず、時短状態(確率変動時短状態及び非確率変動時短状態)からの遊技状態の流れについて説明する。時短状態中に大当たりとなると、当たり判定の種類に関わらず、その後に再び時短状態が生起される。さらに、時短状態中は第二当たり判定が第一当たり判定よりも優先して行われ、さらに第二始動電動役物17への入賞球数が大幅に増えるため、遊技球の払い出し数(出球)の多い第二大当たり遊技が行われる割合が高くなる。よって、時短状態が生起されることを期待させながら遊技者に遊技を楽しませることができる。一方で、非確率変動時短状態では、当たり判定が77回又は100回行われる間に大当たりと判定されなければ、遊技状態は通常状態へ移行してしまう。よって、非確率変動時短状態で遊技を行っている遊技者に、早く大当たりとなることを期待させながら遊技を楽しませることができる。
次いで、非時短状態(通常状態及び確率変動非時短状態)からの遊技の流れについて説明する。非時短状態中は時短状態中に比べて、普通当たりと判定される確率が低く、普通図柄の変動時間が長く、第二始動電動役物17の開放時間が短いため、第二始動電動役物17へ遊技球を入賞させることは困難である。さらに、第二始動口16は第一始動口15よりも遊技球の入賞が困難となるように構成されている。従って、非時短状態中は主に第一当たり判定が行われ、第二当たり判定が行われることは稀である。
そして、第一当たり判定により大当たりと判定された場合の大当たり遊技は、出球がほぼゼロである第一大当たり遊技が99%の割合で行われるが、大当たり遊技の終了後には遊技状態が移行する可能性がある。また、第一当たり判定により小当たりと判定された場合には、遊技者に有利な遊技状態へ遊技状態が移行することは無いが、第一大入賞口18が第一当たり判定による2R大当たりと同じ動作を行う。さらに、小当たりと判定された場合、及び第一当たり判定により2R大当たりと判定された場合には、表示画面28に同じデモ図柄(チャンス目)が表示される。従って、小当たり遊技を行うことで、より有利な遊技状態へ移行することを遊技者に期待させることができる。
また、第一当たり判定を契機として通常状態から確率変動非時短状態へ移行する確率は67%であり、遊技者に最も有利な確率変動時短状態へ移行する確率は10%であり、非確率変動時短状態へ移行することは無い。一方で、第二当たり判定による大当たりを契機とした場合には、当たり判定時の遊技状態が通常状態であっても、必ず確率変動時短状態(77%)及び非確率変動時短状態(23%)のいずれかに移行する。さらに、第二当たり判定を契機とした大当たり遊技は必ず第二大当たり遊技となり、多数の遊技球が払い出される。従って、遊技者に最も不利な通常状態が生起されている間も、稀に実行される第二当たり判定により大当たりとなることを期待させながら遊技者に遊技を楽しませることができる。よって、当たり判定が1種類の場合よりも遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
さらに、通常状態が生起されている間に、第一当たり判定を契機として大当たり遊技又は小当たり遊技が実行されると、表示画面28にチャンス目が表示された後に、演出装置30による振り分け演出が実行される場合がある。この振り分け演出では、回転体33の回転速度と入球領域90〜92の位置とに応じて、遊技球停留部材32による遊技球の停留の解除タイミングを制御することで、あらかじめ決定されている遊技状態に対応した入球領域へ遊技球を入球させることができる。従って、あたかも入球領域90〜92へ遊技球が入球した時点で当たり遊技終了後の遊技状態が決定される印象を遊技者に与えることができ、あらかじめ決定されている遊技状態を機械的に遊技者に報知する場合よりも、演出に対する遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
また、大当たりか否かの判定結果と当たり遊技終了後の遊技状態とを異なる装置(表示画面28と演出装置30)で遊技者に報知することができるため、同じ装置を用いて遊技者に報知する場合よりも、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。そして、回転体33のステップモータ34による回転の速さや方向は切り替えが可能であるため、演出装置30による振り分け演出の内容を多様化させることができる。さらに、停留解除ボタン9により、遊技球の停留の解除タイミングを実際に遊技者が決定することもできるため、遊技者を楽しませることができる。また、装置の不具合や振動等の影響で、入球させるべき所定の入球領域とは異なる入球領域へ遊技球が入球した場合でも、遊技状態確定ランプ37及び表示画面28により、当たり遊技終了後に実際に生起される遊技状態を表示することができる。よって、抽選結果が誤認されることを防止することができる。
尚、本実施の形態における第一始動口15、第二始動口16、及び第二始動電動役物17が本発明の「始動口」に相当し、第一始動口スイッチ60及び第二始動口スイッチ61が「遊技球検出手段」に相当する。また、図10に示すS24及びS28で乱数を取得する主基板41のCPU51が「当たり乱数取得手段」として機能し、図12のS48,49,64,65で当たり判定を行う主基板41のCPU51が「当たり判定手段」として機能する。また、図9に示すS13、及び図11に示すS107で、確率変動状態及び時短状態についてのフラグを制御する主基板41のCPU51が「遊技状態制御手段」として機能する。また、遊技球停留部材32が「停留手段」に相当し、ステップモータ34が「回転駆動手段」に相当し、停留部材上下動ソレノイド36が「解除手段」に相当する。また、フォトセンサ39及びステップモータ34が「位置検出手段」に相当し、図17乃至図19で停留の解除タイミングを決定する電飾基板46のCPU461が「入球制御手段」として機能する。
また、表示画面28が「図柄表示手段」に相当し、表示画面28の表示を制御する主基板41、サブ統合基板58、及び演出制御基板43が「図柄表示制御手段」に相当する。また、遊技状態確定ランプ37が「遊技状態表示手段」に相当し、状態A領域スイッチ66、状態B領域スイッチ67、及びはずれ領域スイッチ68が「入球検出手段」に相当する。また、図15に示すS152,154,160,165,171,174、及び図16に示すS208,209で遊技状態確定ランプ37を点灯させるサブ統合基板58のCPU581、及び電飾基板46のCPU461が「遊技状態表示制御手段」として機能する。また、停留解除ボタン9が「操作部」に相当し、状態A(確率変動時短状態)が生起されている場合に図20に示す状態A当選演出実行処理を行う電飾基板46のCPU461が「遊技状態判断手段」として機能する。また、図20で停留解除ボタン9の操作を有効とするか否かを制御する電飾基板46のCPU461が「操作部有効制御手段」として機能する。
尚、本発明は以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、本実施の形態では、回転体33に設けられた入球領域は3つであるが、入球領域の数は3つに限られず適宜設定が可能である。また、本実施の形態では、確率変動時短状態(状態A)、確率変動非時短状態(状態B)、及び通常状態の3つの遊技状態のいずれが生起されているかを、演出装置30による振り分け演出で遊技者に報知している。しかし、振り分け演出によって報知される内容は変更が可能である。例えば、確率変動時短状態となるか否かのみを報知する構成としてもよいし、非確率変動時短状態も含めた全ての遊技状態の移行を報知することも可能である。また、通常状態からの遊技状態の移行だけでなく、通常状態以外の遊技状態からの移行を振り分け演出により遊技者に報知してもよい。
また、演出装置30を構成する部材の形状は適宜変更が可能である。例えば、本実施の形態では、前側と後側との区別が容易である人形を装飾部材94に使用し、この人形の前側に状態A領域90を配設することで入球領域の位置の把握を容易としているが、装飾部材94は人形でなくてもよい。また、装飾部材94をただ回転させるだけでなく、回転体33上で動作させてもよいし、LED等を用いて装飾部材94の色を変化させてもよい。これにより、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。また、役物装置31における外周壁88(図3参照)を透明な部材により形成することで、入球領域へ入球する遊技球の様子をより容易に視認させることができる。
また、回転体33の動作も、図17乃至図20に示した動作に限られない。例えば、回転体33の回転の速さは3段階以上に切替可能としてもよいし、回転体33をコマ送りのように段階的に回転させてもよい。また、本実施の形態では、停留解除ボタン9の操作によって停留が解除される場合、図20に示すように、遊技者による操作が行われると同時に停留を解除しているが、これも変更が可能である。例えば、停留解除ボタン9の操作が行われた後、入球させるべき所定の入球領域へ遊技球が入球するタイミングとなるまで待機してから停留を解除してもよい。これにより、停留のタイミングを自分で決定できる印象を遊技者に与えつつ、あらかじめ決定されている遊技状態に応じた所定の入球領域へ遊技球を入球させることができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。また、停留解除ボタン9の操作と同時に停留を解除した後、遊技球が入球位置89へ到達するタイミングにあわせて回転体33の回転の速さや方向を調整し、所定の入球領域へ入球させる構成としてもよい。
また、本実施の形態では、第一大入賞口18の開閉動作が終了し、振り分け演出(S194,S196,S197、図16参照)が開始されてから、回転体33の回転を開始させている。しかし、振り分け演出中以外に定常的に回転体33の回転を行い、振り分け演出開始時に回転体33の動作を変化させて、振り分け演出中の動作とそれ以外の動作とを区別して演出を行ってもよい。これにより、当たり遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)に関連しない遊技では、演出装置30は通常の演出部材として動作する。一方で、当たり遊技に関連した遊技では、演出装置30は回転体33や遊技球を用いた特殊演出部材として、遊技者にとって興趣に溢れる複合演出を提供することができる。尚、回転体33の動作の変化に併せて、装飾部材94の動作(例えば、手の動き等)を変化させることが可能であることは言うまでもない。
更には、当たり遊技に関連しない遊技において、例えば、当たり遊技が実行されていない通常状態(低確率状態)中と確率変動状態(高確率状態)中とで回転体33や装飾部材94の動作を区別して演出を行うように構成してもよい。これにより、通常状態であるか、確率変動状態であるかを演出装置30によってより容易に認識することができ、さらに、遊技者にとって興趣にあふれる複合演出を提供することができる。また、通常状態及び確率変動状態で動作を変化させるのではなく、時短状態中と非時短状態中とで回転体33や装飾部材94の動作を区別して演出を行ってもよい。これにより、時短状態であるか否かが演出装置30によって認識しやすくなることに加え、遊技者にとって興趣にあふれる複合演出を提供することができる。
また、本実施の形態では、第一大入賞口18の開閉動作(ラウンド中)の終了後、表示画面28に当たり遊技終了デモ画面が表示されている間に振り分け演出を実行している。ここで、当たり遊技のラウンド中と当たり遊技終了デモ画面の表示との間に実行される残球処理(第一大入賞口18への入賞の有効な検出を終了するまでの処理)中に、回転体33に高速回転等の特殊な動作を実行させて、振り分け演出の準備を行う制御を行うようにしてもよい。この残球処理中の回転体33は高速回転に限られず、低速回転、変則回転等であってもよい。これにより、当たり遊技のラウンド中と当たり遊技終了デモの表示中との区別が容易となる。よって、当たり遊技終了デモの表示中に行われる振り分け演出の開始時点を回転体33の動作によって容易に認識することができ、振り分け演出の開始時点が遊技者に誤認されることを防止することができる。
また、演出装置30に使用するセンサ等の部材も変更が可能である。本実施の形態では、回転体33の原点を検出するために回転体33に検出マークを付し、フォトセンサ39を用いてこの検出マークを検出しているが、例えば回転体33に突起を形成し、圧力センサ等の他のセンサにより原点を検出してもよい。また、本実施の形態では、遊技球停留部材32を上方に移動させることにより、遊技球が自然に誘導路86へ流下する構成となっているが、停留部82から誘導路86へ遊技球を移動させるコンベア等の機構を設けてもよい。また、演出装置30を制御する制御基板は電飾基板46及びサブ統合基板58以外の他の制御基板であってもよい。
また、本実施の形態では、第一大当たり遊技中に開閉する第一大入賞口18と、第二大当たり遊技中に開閉する第二大入賞口19とが設けられているが、大入賞口の数は2つに限られず、1つであっても3つ以上であってもよい。また、1回の当たり遊技中に複数の大入賞口を開閉させてもよい。また、第二当たり判定が行われるための契機となる入賞口には、常に入賞が可能な第二始動口16と、開放されなければ遊技球が入賞できない第二始動電動役物17とが設けられているが、第二始動口16を設けずに本発明を実現することも可能である。
また、大当たり遊技中のラウンド数や、大入賞口18,19の最大開放時間は適宜変更することができ、遊技状態が移行する割合も本実施の形態で示した割合に限られず、変更することが可能である。また、大当たり遊技中のラウンド数を3種類以上設けてもよいことは勿論である。また、時短回数は77回、100回、10000回の3種類設けられているが、この種類も3種類に限られない。
また、本実施の形態では、第二当たり判定により大当たりと判定された場合には、確率変動時短状態及び非確率変動時短状態のいずれかに必ず移行するが、これを変更してもよい。例えば、通常状態中の第二当たり判定によって大当たりとなれば、必ず非確率変動時短状態へ移行する構成としてもよい。これにより、通常状態から非確率変動時短状態へ移行した場合には、規定時短回数以内に再び大当たりとなるか否かに遊技者の興味が強く惹き付けられることとなる。すなわち、通常状態から第二当たり判定を契機として移行する非確率変動時短状態を、所謂「チャンス状態」として位置づけることができる。これにより、新しい遊技性を遊技者に提供することができる。