JP6883201B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
この摩耗を抑制するため、保護層を設けることも考えられるが、電子輸送性を必要とする正帯電型の電子写真感光体には、負帯電型の電子写真感光体で用いていた正孔輸送性の保護層は用いることができなかった。
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、及び電荷輸送材料を含む電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられ、電荷発生材料と、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも2つを持つ反応性電荷輸送材料とを含む組成物の硬化物で構成された電荷発生・電荷輸送層と、
を有し、
前記電荷発生・電荷輸送層を最表面層とする正帯電型の電子写真感光体。
前記反応性電荷輸送材料が、下記一般式(I)で示される化合物である<1>に記載の電子写真感光体。
一般式(I): F−((−R1−O)n1R2−Y)n2
(一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は単結合を示す。n1は0又は1を示し、n2は2以上4以下の整数を示す。Oは酸素を示し、Yはそれぞれ独立に、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、又は−COOHを示す。)
前記一般式(I)で示される化合物が、下記一般式(II)で示される化合物である<2>に記載の電子写真感光体。
(一般式(II)中、Ar1乃至Ar4は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R1−O)n1R2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は2以上4以下である。また、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、Oは酸素を示し、Yは−OH、−OCH3、−NH2、−SH、又は−COOHを示す。
電荷発生・電荷輸送層が、前記電荷発生材料と、前記反応性電荷輸送材料と、前記反応性電荷輸送材料以外の硬化性化合物と、を含む組成物の硬化物で構成されている<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記硬化性化合物が、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、及びウレタン樹脂から選択される少なくとも1種である<4>に記載の電子写真感光体。
前記電荷発生・電荷輸送層が、前記電荷発生材料と、前記反応性電荷輸送材料として反応性正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む組成物の硬化物で構成されている<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
前記組成物の固形分に対する前記電荷発生材料の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、
前記組成物の固形分に対する前記反応性正孔輸送材料の含有量が5質量%以上90質量%以下であり、
前記組成物の固形分に対する前記電子輸送材料の含有量が5質量%以上30質量%以下である<6>に記載の電子写真感光体。
電荷発生・電荷輸送層の厚さが、1μm以上3.0μm未満である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<4>、又は<5>に係る発明によれば、電荷発生・電荷輸送層が、反応性電荷輸送材料以外の硬化性化合物を含まない組成物の硬化物で構成されている場合に比べ、電荷発生・電荷輸送層の耐傷性が向上した電子写真感光体が提供される。
<6>、又は<7>に係る発明によれば、導電性基体上に電荷輸送層及び電荷発生・電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、電荷発生・電荷輸送層が、電荷輸送材料として、正孔輸送材料(HT−2)及び電子輸送材料(IV−1)のみを含む場合に比べ、帯電電位の変化を抑制した電子写真感光体が提供される。
<8>に係る発明によれば、電荷発生・電荷輸送層の厚さが3.0μm以上の場合に比べ、前画像の履歴が残る残像現象(以下「ゴースト」とも称する)の発生が抑制された電子写真感光体が提供される。
<9>、又は<10>に係る発明によれば、導電性基体上に電荷輸送層及び電荷発生・電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジ又は画像形成装置において、電荷発生・電荷輸送層が、電荷輸送材料として、正孔輸送材料(HT−2)及び電子輸送材料(IV−1)のみを含む場合に比べ、画質の維持性に優れた電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る正帯電型の電子写真感光体(以下、「感光体」と称することがある)は、導電性基体と、導電性基体上に設けられた電荷輸送層と、電荷輸送層上に設けられた電荷発生・電荷輸送層と、を有する。
電荷輸送層は、結着樹脂、及び電荷輸送材料を含む。一方、電荷発生・電荷輸送層は、電荷発生材料と、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも2つを持つ反応性電荷輸送材料(以下、単に「多官能型電荷輸送材料」とも称する)とを含む組成物の硬化物で構成されている。
そして、本実施形態に係る感光体は、電荷発生・電荷輸送層を最表面層とする。
なお、多官能型電荷輸送材料が「−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも2つを持つ」とは、同じ種の置換基を2つ以上持つこと、異なる種の置換基を2つ以上もつことの双方を意味する。
単層型感光体は、電荷発生材料、正孔輸送材料、及び電子輸送材材料を同一層中に含有させるため、各材料間の影響が大きく、感度が低い傾向がある。
一方、積層型感光体は、導電性基体上に電荷輸送層及び電荷発生・電荷輸送層をこの順で有する構成を有するため、単層型感光体に比べ、感度が高い傾向がある。
また、電荷発生材料と多官能型電荷輸送材料とを含む組成物の硬化物(つまり電荷発生・電荷輸送層)は、下層を溶解し難い塗布液の溶剤(例えばアルコール系溶剤等)を選択できるため、下層の電荷輸送層に対して明確な界面を形成しつつ形成できる。そのため、上層の電荷発生・電荷輸送層の成分が下層の電荷輸送層に拡散すること、及び下層の電荷輸送層の成分が上層の電荷発生・電荷輸送層に拡散することが抑えられる。その結果、互いの層の成分の拡散による電気特性の低下も抑制される。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体7の一部の断面を概略的に示している。
図1に示した電子写真感光体7は、例えば、導電性基体1を備え、導電性基体1上に、下引層2、電荷輸送層3、及び電荷発生・電荷輸送層4がこの順で設けられている。
ここで、下引層2は、必要に応じて設けられる層である。また、必要に応じてその他の層を設けてもよい。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
電荷輸送層は、結着樹脂と、電荷輸送材料と、を含む。具体的には、電荷輸送層は、結着樹脂と、電荷輸送材料として正孔輸送材料と、を含むことがよい。また、目的とする電気特性を得るために、電荷輸送層は、電荷輸送材料として正孔輸送材料に加え、電子輸送材料を含んでもよい。
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。結着樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
また、感光層の成膜性の観点から、結着樹脂として、例えば、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂、及び粘度平均分子量30000以上80000以下のポリアリレート樹脂の少なくとも1種を用いることがよい。
なお、結着樹脂と電荷輸送材料との配合比は質量比で10:1から1:5までが好ましい。
正孔輸送材料としては、特に制限はないが、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体;1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体;トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物;N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体;4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体;2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体;6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体;p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体;エナミン誘導体;N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等;上記した化合物で構成される基を主鎖又は側鎖に有する重合体;などが挙げられる。これらの正孔輸送材料は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
なお、フェニル基に置換し得る置換基としては、例えば、R31〜R36が示す低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
電子輸送材料としては、例えば、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;ジナフトキノン化合物;ジフェノキノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。これらの電子輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素数は、1以上4以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。
Ar114が示すアリール基は、一般式(IV)中、R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びR47が示すアリール基と同様のものが挙げられ、アリール基が有する置換基についても同様である。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
L111が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R112が示すアルキル基としては、上記R41、R42、R43、R44、R45、R46、及びR47が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、アリール基がさらにアルキル基又はアルコキシ基で置換されていることが、溶解性の観点で好ましい。アリール基に置換されるアルキル基又はアルコキシ基としては、上記のR41、R42、R43、R44、R45、R46、及びR47が示すアルキル基又はアルコキシ基と同様の基が挙げられる。例えば、アルキル基又はアルコキシ基で置換されたアリール基としては、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、(p−tert−ブチルフェニル等)、メトキシフェニル基(p−メトキシフェニル基等)、エトキシフェニル基等が挙げられる。
R115が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Ar116が示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素数は、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤であれば、特に制限はない。しかし、上記構造を複数有する界面活性剤が、電荷輸送材料との親和性・相溶性が高く、電荷輸送層形成用塗布液の成膜性が向上し、電荷輸送層のシワ、ムラが抑制されるため、好適である。
フッ素原子およびアクリル構造を有する界面活性剤として具体的は、ポリフローKL600(共栄社化学社製)、エフトップEF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601(以上、JEMCO社製)、GF300、GF400(東亞合成製)などが挙げられる。アクリル構造を有する界面活性剤としては、アクリルもしくはメタクリル化合物などのモノマーを重合もしくは共重合したものが主に挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−114(DIC社製)、エフトップEF−101、EF102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A(以上、JEMCO社製)、A−K、501(以上、ネオス社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸類の市販品としては、例えばメガファックF−410(DIC社製)、エフトップ EF−201、EF−204(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
パーフルオロアルキル基含有リン酸エステルの市販品としては、メガファックF−493、F−494(以上、DIC社製)エフトップ EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、(以上、JEMCO社製)などが挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては、数平均分子量が2000以下のものが好ましい。数平均分子量が2000以下のポリエチレングリコールとしては、ポリエチレングリコール2000(数平均分子量2000)、ポリエチレングリコール600(数平均分子量600)、ポリエチレングリコール400(数平均分子量400)、ポリエチレングリコール200(数平均分子量200)等が挙げられる。
ポリエーテル消泡剤としては、PE−M、PE−L(以上、和光純薬工業社製)、消泡剤No.1、消泡剤No.5(以上、花王社製)等が挙げられる。
界面活性剤の含有量を0.01質量%以上とすることでシワ・ムラが抑制などの塗膜欠陥防止効果がより大きくなる傾向にある。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷発生・電荷輸送層は、電荷発生材料と、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHから選択される置換基の少なくとも2つを持つ反応性電荷輸送材料(多官能型電荷輸送材料)とを含む組成物の硬化物で構成されている。つまり、電荷発生・電荷輸送層は、電荷発生材料と、多官能型電荷輸送材料の重合体又は架橋物と、を含む。
電荷発生・電荷輸送層は、硬化性の化合物を使用することで、架橋密度が上がり、電荷発生・電荷輸送層の耐傷性が高まる。また、塗布液(組成物)の製膜性も高まる。
電荷発生材料としては、特に制限はないが、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される場合がある。そして、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい場合があり、それにより画質欠陥が生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
多官能型電荷輸送材料は、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHからなる群から選ばれる少なくとも2つの置換基を持つ電荷輸送材料である。多官能型電荷輸送材料は、−OH、−OCH3、−NH2、−SH、及び−COOHからなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基を持つ単官能型電荷輸送材料を併用してもよい。
(I) F−((−R1−O)n1R2−Y)n2
なお、一般式(II)におけるDの総数は、一般式(I)におけるn2に相当し、好ましくは、2以上4以下であり、さらに好ましくは3以上4以下である。つまり、一般式(I)および一般式(II)において、Dの総数は、好ましくは一分子中に2以上4以下、さらに好ましくは3以上4以下とすると、硬化(架橋)密度が上がり、電荷輸送層上に電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液を塗布するときにおいて、塗布液中の有機溶剤によって発生する電荷輸送層の溶解、膨潤等がより抑制され易くなる。また、電荷発生・電荷輸送層の耐傷性も向上する。
なお、一般式(I)において、n2が1を示す化合物も例示している。
硬化性化合物としては、多官能型電荷輸送材料と反応可能な化合物であれば、特に限定されないが、例えば、フェノール化合物(フェノール骨格を有する化合物)、メラミン化合物(メラミン骨格を有する化合物)、グアナミン化合物(グアナミン骨格を有する化合物)、イソシアネート化合物(イソシアネート骨格を有する化合物)からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を用いることがよい。
多官能型電荷輸送材料と硬化性化合物とは質量比で99:1乃至1:99の範囲が好ましく、より好ましくは99:1乃至50:50が好ましい。
触媒の量は、電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液(組成物)の固形分に対し、0.01質量%以上20質量%以下(好ましくは0.1質量%以上10質量%以下)の範囲で用いることがよい。硬化反応させるときの温度は、室温(例えば、25℃)以上200℃以下(好ましくは、100℃以上150℃以下)の範囲であることがよい。
金属触媒としては、例えば、ジブチル錫ラウレート、スタナスオクトエートが挙げられる。
電子輸送材料としては、電荷輸送層で説明した電子輸送材料が挙げられる。これらの中でも、電子輸送材料としては、一般式(IV)で示されるフルオレノン化合物、及び一般式(V)で示されるジフェノキノン化合物から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液(組成物)の固形分に対する電荷発生材料の含有量は0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上8質量%以下がより好ましい。
電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液(組成物)の固形分に対する反応性正孔輸送材料の含有量は30質量%以上95質量%以下が好ましく、40質量%以上90質量%以下がより好ましい。
電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液(組成物)の固形分に対する固形分に対する電子輸送材料の含有量は5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。
なお、各成分の含有量の範囲は、電荷発生・電荷輸送層に対する含有量の範囲としても好ましい。ただし、反応性正孔輸送材料(多官能型電荷輸送材料)の含有量は、反応後(硬化後)の含有量である。
電荷発生・電荷輸送層には、その他、周知の添加剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、フッ素原子、アルキレンオキサイド構造、シリコーン構造のうち少なくとも一種類以上の構造を含む界面活性剤であれば、特に制限はない。しかし、上記構造を複数有する界面活性剤が、電荷輸送材料との親和性・相溶性が高く、電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液の成膜性が向上し、電荷発生・電荷輸送層のシワ、ムラが抑制されるため、好適である。
なお、界面活性剤は、電荷輸送層で説明した界面活性剤と同様であるため、説明を省略する。
界面活性剤の含有量を0.01質量%以上とすることでシワ・ムラが抑制などの塗膜欠陥防止効果がより大きくなる傾向にある。
電荷発生・電荷輸送層の全固形分に対するシリコーン粒子の含有量は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
電荷発生・電荷輸送層は、上記成分を混合した電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液(組成物)を用いて形成される。
特に、これらの分散方法を適用すると、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が抑制される。なお、この分散の際、電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
特に、ゴーストの発生抑制の観点から、電荷発生・電荷輸送層の膜厚(厚さ)は、1μm以上3.0μm未満が好ましく、1μm以上2.5μm以下がより好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
(電荷輸送層1)
結着樹脂として共重合型ポリカーボネート樹脂(PC−1)(粘度平均分子量4.5万)46質量部、正孔輸送材料(HT−2)40質量部、電子輸送材料(IV−1)2質量部、及びシリコーンオイルKP340(信越化学工業(株)製)0.001質量部を、テトラヒドロフラン250質量部及びトルエン20質量部からなる混合溶媒に溶解し、塗布液を得た。得られた塗布液を一晩攪拌して、電荷輸送層形成用塗布液とした。この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に塗布し、130℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ22μmの電荷輸送層を得た。これを電荷輸送層1とする。
電荷輸送層1において、共重合型ポリカーボネート樹脂をポリカーボネート樹脂(PC−2)(粘度平均分子量6万)、正孔輸送材料を正孔輸送材料(HT−4)、電子輸送材料を電子輸送材料(V−2)に変更した以外は、電荷輸送層1と同様にして電荷輸送層を得た。これを電荷輸送層2とする。
電荷輸送層1において、共重合型ポリカーボネート樹脂を共重合型ポリカーボネート樹脂(PC−3)(粘度平均分子量4万)、正孔輸送材料を正孔輸送材料(HT−1)に変え、電荷輸送材料を加えなかった以外は、電荷輸送層1と同様にして電荷輸送層を得た。これを電荷輸送層3とする。
(電荷発生・電荷輸送層1)
正孔輸送材料(I−16)30質量部、及び正孔輸送材料(I−8)25質量部を2−ブタノール250質量部、シクロペンタノール20質量部の混合溶剤に溶かした。この液に、電子輸送材材料(IV−2)15質量部、及び電荷発生材料としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料3質量部からなる混合物を加え、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて3時間分散した。得られた分散液からガラスビーズをろ別した後、ろ液にポリフローKL−600(共栄社化学製)0.001質量、及びNACURE5225(楠本化成製ブロック酸触媒)0.05質量部を加え、電荷発生・電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて電荷輸送層上に塗布し、150℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ4μmの電荷発生・電荷輸送層1を得た。これを電荷発生・電荷輸送層1とする。
電荷発生・電荷輸送層1において、さらに、硬化性化合物としてレゾール型フェノール樹脂(PL−4852、群栄化学製)5質量部を加えて、電荷発生・電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて電荷輸送層上に塗布し、150℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ3μmの電荷発生・電荷輸送層を得た。これを電荷発生・電荷輸送層2とする。
電荷発生・電荷輸送層1において、さらに、硬化性化合物としてメチル化メラミン樹脂(二カラック MW−390、三和ケミカル製)3質量部を加えて、電荷発生・電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて電荷輸送層上に塗布し、150℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ3μmの電荷発生・電荷輸送層を得た。これを電荷発生・電荷輸送層3とする。
電荷発生・電荷輸送層1において、表1に従って成分を変更した以外は、電荷発生・電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて電荷輸送層上に塗布し、150℃、40分の乾燥硬化を行い、表1に示す厚さの電荷発生・電荷輸送層を得た。これを電荷発生・電荷輸送層4〜7とする。
電荷輸送層1で調製した電荷輸送層形成用塗布液に、電荷発生物質としてCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜、24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料3質量部からなる混合物と、テトラヒロドフラン300質量部とを加え、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて3時間分散し、電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液をスプレーコート法にて電荷輸送層上に塗布し、135℃、30分の乾燥硬化を行い厚さ3μmの電荷発生・電荷輸送層を作製した。これを電荷発生・電荷輸送層C1とする。
(単層型感光層C2)
電荷発生・電荷輸送層C1でテトラヒロドフランを150質量部にした以外は同様に調製した電荷発生・電荷輸送層形成用塗布液を、浸漬塗布法にて電荷輸送層上に塗布し、135℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ26μmの単層型感光層(単層型感光層)を得た。これを単層型感光層C2とする。
酸化亜鉛粒子(平均粒径70nm:MZ−200 テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM−573、信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学工業(株)製)15質量部をメチルエチルケトン150質量部に溶解した溶液を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製):20質量部を添加し、下引層形成塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にてアルミニウム基体上に塗布し、160℃、40分で乾燥硬化を行い膜厚が1μmの下引層を得た。
ただし、比較例3の感光体は、アルミニウム基体上に、直接、単層型感光層C2を形成した単層型感光体を作製した。
(帯電維持性)
室温30℃、湿度80%の環境下で、Brother社製HL−2360Dを用い、A4用紙に20%ハーフトーン画像を15000枚出力した。そして、初期の感光体の表面電位と15000枚出力した後の感光体の表面電位の差ΔVを下記基準で評価した。
A:40V以下で、全く問題なし。
B:40V超え80V以下で、許容範囲。
C:80V超えで、画質上問題となるレベル。
室温10℃、湿度15%の環境下で、Brother社製HL−2360Dを用い、A4用紙に50%ハーフトーン画像20000枚出力した。20000枚目の画質のかすれを目視で以下の基準で評価した。
A:画質のかすれが発生なし
B:画質のかすれの発生が僅かにあり、画質上許容できるレベル
C:目視で明らかな画質のかすれが発生し、実使用上問題となるレベル。
室温10℃、湿度15%の環境下で、Brother社製HL−2360Dを用い、A4用紙に50%ハーフトーン画像20000枚出力した。そして、出力後の感光体の表面の傷の有無を下記基準で評価した。
A:傷の発生がない
B:多少の傷があるが、許容できるレベル
C:傷が多く、実使用上問題となるレベル。
室温10℃、湿度15%の環境下で、Brother社製HL−2360Dを用い、下記図4に示したGと黒領域を有するパターンのチャートをプリントし、黒領域部分にGの文字の現れ具合を下記基準で評価した。
A:図4(A)のごとく良好ないし軽微である。
B:図4(B)のことく若干目立つ程度であるが、許容できるレベル
C:図4(C)のごとくはっきり確認され、実使用上問題となるレベル。
室温30℃、湿度85%の環境下で、Brother社製HL-2360Dを用い、20%ハーフトーン画像5000枚印刷し、10時間後に再度印刷し10枚目の画像を評価し目視で黒点の有無を以下の基準で評価した。
A:発生なし。
B:10個以下であるが、許容できるレベル
C:10個以上発生し、実使用上問題となるレベル。
また、本実施例の感光体は、比較例の感光体に比べ、画質維持性、耐傷性に優れていることもわかる。
そして、本実施例の感光体は、比較例の感光体に比べ、ゴーストの発生が抑制されていることもわかる。
・I− 8:一般式(I)の多官能型電荷輸送材料の例示化合物(I−8)
・I−16:一般式(I)の多官能型電荷輸送材料の例示化合物(I−16)
・IV−2:一般式(IV)の電子輸送材料の例示化合物(IV−2)
・HT−2:構造式(HT−2)で表される正孔輸送材料
・HT−4:構造式(HT−4)で表される正孔輸送材料
・「ClGaPc」:CuKα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料。
Claims (10)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、結着樹脂、及び電荷輸送材料を含む電荷輸送層と、
前記電荷輸送層上に設けられ、電荷発生材料と、−OHを2つ持つ第一反応性電荷輸送材料及び−OHを4つ持つ第二反応性電荷輸送材料を有する反応性電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化物で構成された電荷発生・電荷輸送層と、
を有し、
前記電荷発生・電荷輸送層を最表面層とする正帯電型の電子写真感光体。 - 前記第一反応性電荷輸送材料が、下記一般式(I)で示される化合物であって、下記n2が2の整数を示す化合物であり、
前記第二反応性電荷輸送材料が、下記一般式(I)で示される化合物であって、下記n2が4の整数を示す化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
一般式(I): F−((−R1−O)n1R2−Y)n2
(一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は単結合を示す。n1は0又は1を示し、n2は2又は4の整数を示す。Oは酸素を示し、Yはそれぞれ独立に、−OHを示す。) - 前記第一反応性電荷輸送材料が、前記一般式(I)で示される化合物のうち、下記一般式(II)で示される化合物であって、下記Dの総数が2の化合物であり、
前記第二反応性電荷輸送材料が、前記一般式(I)で示される化合物のうち、下記一般式(II)で示される化合物であって、下記Dの総数が4の化合物である請求項2に記載の電子写真感光体。
(一般式(II)中、Ar1乃至Ar4は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を示し、Dは−(−R1−O)n1R2−Yを示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dの総数は2又は4である。また、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1以上5以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を示し、n1は0又は1を示し、Oは酸素を示し、Yは−OHを示す。) - 電荷発生・電荷輸送層が、前記電荷発生材料と、前記反応性電荷輸送材料と、前記反応性電荷輸送材料以外の硬化性化合物と、を含む組成物の硬化物で構成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化性化合物が、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、及びウレタン樹脂から選択される少なくとも1種である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生・電荷輸送層が、前記電荷発生材料と、前記反応性電荷輸送材料として反応性正孔輸送材料と、電子輸送材料と、を含む組成物の硬化物で構成されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記組成物の固形分に対する前記電荷発生材料の含有量が0.5質量%以上10質量%以下であり、
前記組成物の固形分に対する前記反応性正孔輸送材料の含有量が30質量%以上90質量%以下であり、
前記組成物の固形分に対する前記電子輸送材料の含有量が5質量%以上30質量%以下である請求項6に記載の電子写真感光体。 - 電荷発生・電荷輸送層の厚さが、1μm以上3.0μm未満である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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